(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2025059466
(43)【公開日】2025-04-10
(54)【発明の名称】ブルーベリージャム入りヨーグルト
(51)【国際特許分類】
A23C 9/133 20060101AFI20250403BHJP
A23L 21/12 20160101ALI20250403BHJP
A23L 29/231 20160101ALI20250403BHJP
【FI】
A23C9/133
A23L21/12
A23L29/231
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023169557
(22)【出願日】2023-09-29
(71)【出願人】
【識別番号】000000941
【氏名又は名称】株式会社カネカ
(74)【代理人】
【識別番号】110000556
【氏名又は名称】弁理士法人有古特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】香山 佳代子
(72)【発明者】
【氏名】毛笠 秀昭
(72)【発明者】
【氏名】中川 直紀
【テーマコード(参考)】
4B001
4B041
【Fターム(参考)】
4B001AC02
4B001AC03
4B001AC06
4B001AC21
4B001AC31
4B001AC99
4B001BC01
4B001BC07
4B001BC08
4B001BC14
4B001EC01
4B041LC01
4B041LD04
4B041LH05
4B041LK11
4B041LK30
4B041LP01
4B041LP11
4B041LP16
4B041LP25
(57)【要約】 (修正有)
【課題】ブルーベリージャムのすっきりとした酸味且つブルーベリー本来の自然な風味と適度な果肉感に加え、プレーンヨーグルトの乳の濃厚さ、乳本来の風味、及びとろみ感が感じられ、更に風味や食感の調和がとれていて、ブルーベリージャムとプレーンヨーグルトの一体感のあるブルーベリージャム入りヨーグルトを提供する。
【解決手段】ブルーベリージャム入りヨーグルト全体中、酸度(クエン酸換算)が0.35~0.54%のブルーベリージャム10~25重量%と、プレーンヨーグルト90~75重量%とを含むブルーベリージャム入りヨーグルトであって、前記ブルーベリージャム全体中、ブルーベリーを23~40重量%、レモン果汁を固形分換算で0.3~0.65重量%含有し、前記ブルーベリーの内、目開き15mmの篩を通過し目開き5mmの篩を通過しないブルーベリーの含有量が10~20重量%である、前記ブルーベリージャム入りヨーグルト。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ブルーベリージャム入りヨーグルト全体中、
酸度(クエン酸換算)が0.35~0.54%のブルーベリージャム10~25重量%と、プレーンヨーグルト90~75重量%とを含むブルーベリージャム入りヨーグルトであって、
前記ブルーベリージャム全体中、ブルーベリーを23~40重量%、レモン果汁を固形分換算で0.3~0.65重量%含有し、前記ブルーベリーの内、目開き15mmの篩を通過し目開き5mmの篩を通過しないブルーベリーの含有量が10~20重量%であり、
前記ブルーベリージャムは、Brixが45~55%、且つ25℃における硬度(圧縮時最大荷重)が0.9~1.6Nであり、
前記プレーンヨーグルトは、プレーンヨーグルトの原料ミックス全体中、生乳及び/又は牛乳の含有量が60~97重量%、灰分量が0.85~1.25重量%であり、前記灰分中の(Ca+P)/(K+Mg+Na)(ミネラル分重量比)が1~1.25のプレーンヨーグルトの原料ミックスが発酵されたものであり、
前記プレーンヨーグルトは、カードのメジアン径が5~70μm、BH型粘度計でNo.4のローターを使用し、2rpmの回転速度で、10℃における粘度が20~60Pa・sである、
ブルーベリージャム入りヨーグルト。
【請求項2】
ブルーベリージャム全体中、ペクチンを0.8~1.3重量%、砂糖を40~50重量%含有する、請求項1に記載のブルーベリージャム入りヨーグルト。
【請求項3】
ブルーベリージャム中の前記砂糖全体中のCaの含有量が0.002~0.005重量%、Kの含有量が0.01~0.02重量%である、請求項2に記載のブルーベリージャム入りヨーグルト。
【請求項4】
プレーンヨーグルトの原料ミックス全体中、乳固形分の含有量が14.5~18重量%、乳タンパク質の含有量が4.5~6.5重量%である、請求項1~3の何れか一項に記載のブルーベリージャム入りヨーグルト。
【請求項5】
ブルーベリージャムとプレーンヨーグルトを含むブルーベリージャム入りヨーグルトの製造方法であって、
前記ブルーベリージャム10~25重量部と前記プレーンヨーグルト90~75重量部を容器に充填する工程を含み、
前記プレーンヨーグルトは、BH型粘度計でNo.4のローターを使用し、2rpmの回転速度で、10℃での粘度が20~60Pa・sであり、
前記ブルーベリージャムは、
ブルーベリージャム全体中、ブルーベリーが23~40重量%、該ブルーベリーの内、目開き15mmの篩を通過し目開き5mmの篩を通過しないブルーベリーの含有量が10~20重量%となるようにブルーベリー、水を混合する工程、
前記混合した原料混合物を、ゲージ圧0.02~0.1MPaの減圧条件下で、65~85℃で保持して濃縮する工程、
前記濃縮後の前記原料混合物にレモン果汁を固形分換算でブルーベリージャム全体中0.3~0.65重量%となるように加え、酸度(クエン酸換算)を0.35~0.54%に調整する工程、
酸度調整後の原料混合物が70~95℃の温度になるまで加熱し、前記温度を1~5分間保持する工程、
加熱後の原料混合物が0~50℃になるまで冷却する工程、を含む方法により得られ、
前記プレーンヨーグルトは、
前記プレーンヨーグルトの原料ミックス全体中、生乳及び/又は牛乳の含有量が60~97重量%、灰分量が0.85~1.25重量%であり、前記灰分中の(Ca+P)/(K+Mg+Na)(ミネラル分重量比)が1~1.25となるように調整された原料ミックスを、乳酸菌スターターと合わせ、36~42℃の温度条件下で、pHが4.1~4.85となるまで発酵する工程、
前記発酵により得られたカードを、メジアン径が5~70μmとなるように粉砕する工程、を含む方法により得られる、
ブルーベリージャム入りヨーグルトの製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ブルーベリージャムを含有するヨーグルト及びその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年の食の多様化に伴い、ヨーグルトにおいては健康効果に注目されていたが、ここ最近はヨーグルトそのものの味や食感自体を楽しむ「嗜好性」重視の傾向が強まっている。
【0003】
前記のような状況の中、いろいろな果実が入ったり、フルーツソース或いはフルーツジャムとプレーンヨーグルトを合わせたフルーツ入りヨーグルトが上市されている。しかし、風味や食感の観点から、それらとプレーンヨーグルトの組み合わせは必ずしも最適ではない。
【0004】
特許文献1には、たんぱく質濃度が10%で、粘度が4000cp(4Pa・s)の濃縮発酵乳をプラスチックカップに98g充填して表面を平らに均した後、予めブルーベリー果肉21.2%、エステル化度35のLMペクチン0.8%、砂糖19.2%、ステビア0.045%を配合して調製したBrix値26のブルーベリーソースを42g充填した二層タイプの発酵乳製品(実施例1-3)が記載されている。しかし、本特許は濃縮発酵乳層とブルーベリーソース層の両層の境界面を鮮明に維持するための技術に関するものであり、得られた二層タイプの発酵乳製品は、食した際にブルーベリージャムとプレーンヨーグルトの風味や食感の調和がとれていて、それらの一体感が感じられるものではない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
前記のような状況に鑑み、我々は、風味や食感の観点から、プレーンヨーグルトとブルーベリージャムの最適な組み合わせを検討した。そこで本発明の目的は、プレーンヨーグルトとブルーベリージャムを一緒に食した時に、ブルーベリージャムのすっきりとした酸味且つブルーベリー本来の自然な風味と適度な果肉感に加え、プレーンヨーグルトの乳の濃厚さ、乳本来の風味、及びとろみ感が感じられ、更に風味や食感の調和がとれていて、ブルーベリージャムとプレーンヨーグルトの一体感のあるブルーベリージャム入りヨーグルトを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明者らは上記課題を解決するために鋭意研究を重ねた結果、ブルーベリージャムとプレーンヨーグルトを含むブルーベリージャム入りヨーグルトにおいて、ブルーベリージャムは特定の酸度と特定のBrixと特定の硬度で、ブルーベリー及びレモン果汁を特定量含有し、特定サイズのブルーベリーの含有量が特定範囲にあり、プレーンヨーグルトは、プレーンヨーグルトの原料ミックスが発酵されたものであり、プレーンヨーグルトの原料ミックス全体中の生乳及び/又は牛乳と灰分量の含有量が特定量で、灰分中のミネラル分重量比が特定範囲にあり、プレーンヨーグルトのカードのメジアン径と粘度が特定範囲にあり、前記ブルーベリージャムと前記プレーンヨーグルトをそれぞれ特定量含有するブルーベリージャム入りヨーグルトにすることで、プレーンヨーグルトとブルーベリージャムを一緒に食した時に、ブルーベリージャムのすっきりとした酸味且つブルーベリー本来の自然な風味と適度な果肉感に加え、プレーンヨーグルトの乳の濃厚さ、乳本来の風味及びとろみ感が感じられ、更に風味や食感の調和がとれていて、ブルーベリージャムとプレーンヨーグルトの一体感のあるブルーベリージャム入りヨーグルトが得られることを見出し、本発明を完成するに至った。
【0008】
即ち、本発明の第一は、ブルーベリージャム入りヨーグルト全体中、酸度(クエン酸換算)が0.35~0.54%のブルーベリージャム10~25重量%と、プレーンヨーグルト90~75重量%とを含むブルーベリージャム入りヨーグルトであって、前記ブルーベリージャム全体中、ブルーベリーを23~40重量%、レモン果汁を固形分換算で0.3~0.65重量%含有し、前記ブルーベリーの内、目開き15mmの篩を通過し目開き5mmの篩を通過しないブルーベリーの含有量が10~20重量%であり、前記ブルーベリージャムは、Brixが45~55%、且つ25℃における硬度(圧縮時最大荷重)が0.9~1.6Nであり、前記プレーンヨーグルトは、プレーンヨーグルトの原料ミックス全体中、生乳及び/又は牛乳の含有量が60~97重量%、灰分量が0.85~1.25重量%であり、前記灰分中の(Ca+P)/(K+Mg+Na)(ミネラル分重量比)が1~1.25のプレーンヨーグルトの原料ミックスが発酵されたものであり、前記プレーンヨーグルトは、カードのメジアン径が5~70μm、BH型粘度計でNo.4のローターを使用し、2rpmの回転速度で、10℃における粘度が20~60Pa・sである、ブルーベリージャム入りヨーグルトに関する。好ましい実施態様は、ブルーベリージャム全体中、ペクチンを0.8~1.3重量%、砂糖を40~50重量%含有する、前記ブルーベリージャム入りヨーグルトに関する。より好ましくは、ブルーベリージャム中の前記砂糖全体中のCaの含有量が0.002~0.005重量%、Kの含有量が0.01~0.02重量%である、前記ブルーベリージャム入りヨーグルトに関する。他の好ましい実施態様は、プレーンヨーグルトの原料ミックス全体中、乳固形分の含有量が14.5~18重量%、乳タンパク質の含有量が4.5~6.5重量%である、前記ブルーベリージャム入りヨーグルトに関する。本発明の第二は、ブルーベリージャムとプレーンヨーグルトを含むブルーベリージャム入りヨーグルトの製造方法であって、前記ブルーベリージャム10~25重量部と前記プレーンヨーグルト90~75重量部を容器に充填する工程を含み、前記プレーンヨーグルトは、BH型粘度計でNo.4のローターを使用し、2rpmの回転速度で、10℃での粘度が20~60Pa・sであり、前記ブルーベリージャムは、ブルーベリージャム全体中、ブルーベリーが23~40重量%、該ブルーベリーの内、目開き15mmの篩を通過し目開き5mmの篩を通過しないブルーベリーの含有量が10~20重量%となるようにブルーベリー、水を混合する工程、前記混合した原料混合物を、ゲージ圧0.02~0.1MPaの減圧条件下で、65~85℃で保持して濃縮する工程、前記濃縮後の前記原料混合物にレモン果汁を固形分換算でブルーベリージャム全体中0.3~0.65重量%となるように加え、酸度(クエン酸換算)を0.35~0.54%に調整する工程、酸度調整後の原料混合物が70~95℃の温度になるまで加熱し、前記温度を1~5分間保持する工程、加熱後の原料混合物が0~50℃になるまで冷却する工程、を含む方法により得られ、前記プレーンヨーグルトは、前記プレーンヨーグルトの原料ミックス全体中、生乳及び/又は牛乳の含有量が60~97重量%、灰分量が0.85~1.25重量%であり、前記灰分中の(Ca+P)/(K+Mg+Na)(ミネラル分重量比)が1~1.25となるように調整された原料ミックスを、乳酸菌スターターと合わせ、36~42℃の温度条件下で、pHが4.1~4.85となるまで発酵する工程、前記発酵により得られたカードを、メジアン径が5~70μmとなるように粉砕する工程、を含む方法により得られる、ブルーベリージャム入りヨーグルトの製造方法に関する。
【発明の効果】
【0009】
本発明に従えば、プレーンヨーグルトとブルーベリージャムを一緒に食した時に、ブルーベリージャムのすっきりとした酸味且つブルーベリー本来の自然な風味と適度な果肉感に加え、プレーンヨーグルトの乳の濃厚さ、乳本来の風味、及びとろみ感が感じられ、更に風味や食感の調和がとれていて、ブルーベリージャムとプレーンヨーグルトの一体感のあるブルーベリージャム入りヨーグルトを提供することができる。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明につき、更に詳細に説明する。本発明のブルーベリージャム入りヨーグルトは、特定のブルーベリージャムと特定のプレーンヨーグルトをそれぞれ特定量含有する。
【0011】
[ブルーベリージャム]
前記ブルーベリージャムとは、ブルーベリーの果実をレモン果汁と共にゼリー化するまで加熱したものをいい、ブルーベリージャムのBrix及び硬度の調整等のため、必要に応じて、加熱前に糖類、ゲル化剤、加熱前後の何れかに酸味料、保存料、香料、色素等を加えてもよい。ブルーベリーは、ツツジ科スノキ属シアノコカス節に分類される低木果樹及びその果実(ベリー)の総称である。その中でも、味が濃く、酸味が強いワイルドブルーベリーが好ましい。
【0012】
前記ブルーベリージャムは、酸度が0.35~0.54%であることが好ましく、0.42~0.51%がより好ましく、0.43~0.5%が更に好ましい。酸度が0.35%よりも低いと、酸味が弱くなり、プレーンヨーグルトとの風味の調和が崩れる場合や、ジャムが軟らかくなって保存中に離水が発生する場合や、ヨーグルト製造時の充填で液だれし易くなって生産性が劣る場合がある。また酸度が0.54%より高いと、酸味が強くなって、すっきりとした酸味が損なわれ、プレーンヨーグルトとの風味の調和が崩れる場合や、ジャムが硬くなってフレーバーリリースが悪くなる場合や、プレーンヨーグルトと混ざりにくくなる場合がある。なお、「すっきりとした酸味」は、適度、良質、又は良好な酸味であるのに対し、「強すぎる酸味」は、度を超えた嫌な酸味であるともいえる。
【0013】
なお、前記酸度はクエン酸換算による酸度を意味し、ジャムをミキサーにかけて果肉を細かくしたものをサンプルとして、中和滴定法で測定することができる。具体的には、以下の方法で測定できる。サンプル約5gをビーカーに採取し、蒸留水で約2倍量に薄め、指示薬としてフェノールフタレイン溶液を2滴加える。ビュレットを用いて0.1mol/L水酸化ナトリウム水溶液を用いて滴定する。滴定に使用した量(ml)から、以下の式により酸度を算出する。ブルーベリー果肉やレモン果汁中の有機酸は主にクエン酸であるため、算出係数はクエン酸係数を使用する。
酸度(%)=((滴定量(ml)×F×0.0064)/試料採取量(g))×100
F:0.1mol/L水酸化ナトリウム溶液のファクター
0.0064:クエン酸係数
【0014】
前記ブルーベリージャムは、Brixが45~55%であることが好ましく、46~54%がより好ましく、48~52%が更に好ましい。Brixが前記範囲を外れると、ブルーベリージャムのすっきりとしさ酸味が感じられ難くなる場合、又はブルーベリージャムをプレーンヨーグルトと一緒に食した際に風味や食感の調和が崩れて一体感が損なわれる場合がある。
【0015】
なお、前記Brixは、20℃に温調したブルーベリージャムを糖用屈折計示度(アタゴ株式会社「RX-5000」)で測定することができる。
【0016】
前記ブルーベリージャムは、25℃における硬度(圧縮時最大荷重)が0.9~1.6Nが好ましく、0.9~1.5Nがより好ましく、0.9~1.4Nが更に好ましい。硬度が前記範囲を外れると、ブルーベリージャムとしての好ましい本来の自然な風味や食感が得られない場合、又はブルーベリージャムをプレーンヨーグルトと一緒に食した際に風味や食感の調和が崩れて一体感が損なわれる場合がある。
【0017】
前記25℃における硬度は、25℃に温調したブルーベリージャムをレオメーター(株式会社サン科学「CR-200D」、プランジャー:円盤状、直径40mm)を用いて測定することができる。
【0018】
前記ブルーベリーの含有量は、ブルーベリージャム全体中、23~40重量%が好ましく、26~40重量%がより好ましく、30~40重量%が更に好ましい。ブルーベリーの含有量が23重量%より少ないと、ブルーベリー本来の自然な風味が感じられない場合がある。40重量%を超えると、ブルーベリージャムの酸味が強く感じられて、すっきりとした酸味が損なわれる場合、又はブルーベリージャムをプレーンヨーグルトと一緒に食した際に風味や食感の調和が崩れて一体感が損なわれる場合がある。
【0019】
前記ブルーベリーは、事前にサイレントカッター等である程度表面をカットしておくことが好ましい。これによって、ブルーベリージャムはブルーベリー本来の自然な風味と適度な果肉感が感じられるものとなる。
【0020】
前記表面をカットしたブルーベリージャムの大きさに関して具体的に述べると、前記ブルーベリーの内、目開き15mmの篩を通過し目開き5mmの篩を通過しないブルーベリーの含有量が10~20重量%が好ましく、12~18重量%がより好ましく、14~18重量%が更に好ましい。含有量が10重量%より少ないと、ブルーベリーの果肉感が感じられない場合がある。また20重量%を超えると、ブルーベリージャムをプレーンヨーグルトと一緒に食した際に風味や食感の調和が崩れて一体感が損なわれる場合がある。測定方法の詳細は実施例の項に記載する。前記篩としては、「JIS Z 8801-1:2019」に規定されている試験用篩を用いることができる。
【0021】
前記レモン果汁は、レモン果実を搾汁して得られる液体であり、ストレート果汁、濃縮果汁、及び、濃縮還元果汁の群から選ばれる少なくとも1種を使用することができる。
【0022】
前記レモン果汁の含有量は、ブルーベリージャム全体中、含有量が固形分換算で0.3~0.65重量%が好ましく、0.45~0.65重量%がより好ましく、0.5~0.6重量%が更に好ましい。含有量が固形分換算で0.3重量%より少ないと、すっきりとした酸味が不足する場合がある。含有量が0.65重量%より多いと、酸味が強く感じられて、すっきりとした酸味が損なわれる。ブルーベリージャムをプレーンヨーグルトと一緒に食した際に風味や食感の調和が崩れて一体感が損なわれる場合がある。なお、レモン果汁以外の酸味料や果汁を、本発明の効果を阻害しない限りにおいては、ブルーベリージャム全体中、固形分換算で0.15重量%以下の範囲で含有しても良い。
【0023】
前記酸味料としては、クエン酸、リンゴ酸、酒石酸、乳酸、リン酸;これら酸の塩類(例えばナトリウム塩)が、前記果汁としては、ゆず、すだち、ライム、みかん、グレープフルーツ、カボス、ダイダイ、オレンジ等の柑橘類等が挙げられ、それぞれこれらの群から選ばれる少なくとも1種を使用することができる。
【0024】
前記ブルーベリージャムには、風味や食感の観点から、ペクチンを添加することが好ましい。前記ペクチンとは、果物や野菜類等、多数の植物中に存在するもので、植物組織中の構成成分や中間層の成分であるガラクツロン酸がα-1,4結合したポリガラクツロン酸を主成分とした増粘多糖類をいう。ペクチンを構成するガラクツロン酸は部分的にメチルエステル化されており、エステル化度によってLM(低メトキシル)ペクチンとHM(高メトキシル)ペクチンに分けられる。HMペクチンは、一般的にエステル化度が50%以上であるものをいう。本発明で使用され得るペクチンは、HMペクチン又はLMペクチンの何れか一方であってもよいし、これらの混合物であってもよい。
【0025】
前記ペクチンの含有量は、ブルーベリージャム全体中、0.8~1.3重量%が好ましく、0.8~1.2重量%がより好ましく、0.8~1.1重量%が更に好ましい。含有量を前記範囲内とすることで、プレーンヨーグルトと一緒に食した際に風味や食感の調和がより向上する。
【0026】
前記ブルーベリージャムは、風味や食感の観点から、砂糖を添加することが好ましい。前記砂糖としては、きび糖及び赤糖等の含蜜糖;上白糖、三温糖、グラニュー糖、白双糖、粉砂糖、顆粒状糖、及び液糖等の精製糖等が挙げられ、これらの群から選ばれる少なくとも1種を使用することができる。その中でも、砂糖全体中のCaの含有量が0.002~0.005重量%、Kの含有量が0.01~0.02重量%の砂糖がより好ましい。優しくすっきりした甘さのブルーベリージャムを得るためである。このCa及びKの含有量にするには、砂糖がオーガニック原料由来(例えば、有機砂糖等のきび糖)であると容易に調整できる。
【0027】
なお、前記砂糖全体中のCa及びKの含有量は、原子吸光光度法、又はICP(誘導結合プラズマ)発光分析法により測定することができる。
【0028】
前記砂糖の含有量は、ブルーベリージャム全体中、40~50重量%が好ましく、40~48重量%がより好ましく、40~45重量%が更に好ましい。含有量をその範囲内とすることで、プレーンヨーグルトと一緒に食した際に風味や食感の調和がより向上する。
【0029】
前記ブルーベリージャムには、発明の効果を損なわない範囲で、砂糖以外の糖類、ペクチン以外のゲル化剤、保存料、香料、色素等も適宜配合することができる。
【0030】
前記砂糖以外の糖類としては、特に限定されず、ブドウ糖、果糖、ショ糖、麦芽糖、酵素糖化水飴、還元澱粉糖化物、還元水飴、異性化液糖、ショ糖結合水飴、還元糖、還元パラチノース、ソルビトール、乳糖、還元乳糖、L-アラビノース、トレハロース、キシロース、キシリトール、マルチトール、エリスリトール、マンニトール、フラクトオリゴ糖、大豆オリゴ糖、ガラクトオリゴ糖、乳果オリゴ糖、キシロオリゴ糖、ラフィノース、ラクチュロース、パラチノース、パラチノースオリゴ糖等の糖類や糖アルコール、並びに蜂蜜やカエデ糖等の天然の甘味料等が挙げられ、これらの群から選ばれる少なくとも1種を使用することができる。
【0031】
前記ペクチン以外のゲル化剤としては、ローカストビーンガム、ジェランガム、キサンタンガム、カラギーナン、グアーガム、タラガム、アルギン酸ナトリウム、寒天、ゼラチン、澱粉類、セルロース類等が挙げられ、これらの群から選ばれる少なくとも1種を使用することができる。
【0032】
前記保存料としては、ソルビン酸及びその塩、安息香酸及びその塩、亜硫酸及び誘導体、ナタマイシン、ナイシン、プロピオン酸カルシウム等が挙げられ、これらの群から選ばれる少なくとも1種を使用することができる。なお、風味の観点からは、保存料を添加しないことが好ましい。
【0033】
前記香料としては、天然又は合成のブルーベリーフレーバー等が挙げられる。なお、風味の観点からは、香料を添加しないことが好ましい。
【0034】
前記色素としては、ブルーベリー色素、赤ダイコン色素、ストロベリー色素、プラム色素、クランベリー色素、ブラックベリー色素、ラズベリー色素、赤カブ色素及びムラサキトウモロコシ色素が挙げられる。
【0035】
[プレーンヨーグルト]
本開示において、前記プレーンヨーグルトとは、乳等省令で定義されている発酵乳の内、乳又はこれと同等以上の無脂乳固形分を含む乳等を乳酸菌で発酵させて糊状にしたもの、及び、前記乳等に糖類等を混ぜ合わせた風味素材を含まない原料ミックスを乳酸菌で発酵させて糊状にしたものである。ここで、原料ミックスとは、ヨーグルトの発酵前の乳酸菌以外の原料の混合物のことである。
【0036】
前記乳は、生乳、牛乳、特別牛乳、生山羊乳、殺菌山羊乳、生めん羊乳、生水牛乳、成分調整牛乳、低脂肪牛乳、無脂肪牛乳及び加工乳をいう。前記生乳は、搾取したままの牛の乳をいい、前記牛乳は、直接飲用に供する目的又はこれを原料とした食品の製造若しくは加工の用に供する目的で販売する牛の乳をいう。前記特別牛乳とは、牛乳であって特別牛乳として販売するもので、「牛乳」の中でも特定の製造の方法の基準等が設けられている(昭和二十六年十二月二十七日厚生省令第五十二号「乳及び乳製品の成分規格等に関する省令」に規定される通り)。
【0037】
前記プレーンヨーグルトは、プレーンヨーグルトの原料ミックスが発酵されたものであり、前記原料ミックスは、前記原料ミックス全体中、特定量の生乳及び/又は牛乳と、特定量の灰分を含有し、前記灰分中のミネラル分重量比が特定範囲にあり、前記プレーンヨーグルトは、前記プレーンヨーグルトのカードのメジアン径と10℃における粘度が特定の範囲にある。
【0038】
前記生乳及び/又は牛乳の含有量は、前記原料ミックス全体中、60~97重量%が好ましく、75~97重量%がより好ましく、85~97重量%が更に好ましい。含有量が60重量%より少ないと、乳本来の風味が不足する場合がある。含有量が97重量%より多いと、とろみ感を得ることが困難となる場合がある。
【0039】
使用する生乳及び/又は牛乳の種類は特に限定されないが、乳本来の風味を高める観点から、前記生乳及び/又は牛乳のタンパク還元価は2~9が好ましく、4~9がより好ましい。
【0040】
生乳と牛乳は、それぞれ単独で使用してもよく、生乳と牛乳を混合して使用してもよいが、生乳を単独で使用すると、乳の濃厚さが殺菌工程等で損なわれず、より乳本来の風味のプレーンヨーグルトを得ることができて好ましい。前記生乳と牛乳を混合して使用する場合、混合割合は特に限定されないが、生乳と牛乳の混合物のタンパク還元価が前記範囲となることが好ましい。
【0041】
タンパク還元価は、公知の方法で測定することができる。タンパク還元価の測定方法としては、例えば、「日本薬学会編 乳製品試験法・注解」(金原出版株式会社、p.131、昭和59年3月20日発行)に記載される方法等が挙げられる。
【0042】
前記灰分の含有量(灰分量)は、プレーンヨーグルトの原料ミックス全体中、0.85~1.25重量%が好ましく、0.9~1.2重量%がより好ましく、0.9~1.1重量%が更に好ましい。灰分量が0.85重量%より少ないと、乳の濃厚さが不足する場合があり、1.25重量%より多いと、ミネラルに起因するエグ味等の雑味が感じられる場合がある。
【0043】
前記灰分量は、前記原料ミックス全体中に含まれる灰分の合計量を指す。前記灰分に含まれる金属成分として、アルカリ金属(例えば、ナトリウム、カリウム等)等の一価金属、アルカリ土類金属(例えば、カルシウム、マグネシウム等)、並びに鉄、亜鉛、銅、アルミニウム等の多価金属等が例示される。
【0044】
プレーンヨーグルトの原料ミックス全体中の灰分量は、公知の方法で測定することができ、例えば、酢酸マグネシウム添加灰化法、直接灰化法又は硫酸添加灰化法により測定することができる。
【0045】
前記灰分量は、原料として用いる生乳及び/又は牛乳、並びにその他の原料の種類や量によって適宜調整することができ、その他の原料としては、例えば生乳及び牛乳以外の乳や、乳製品、乳タンパク質源、ミネラル源が挙げられる。
【0046】
前記生乳及び牛乳以外の乳としては、生山羊乳、殺菌山羊乳、生めん羊乳、生水牛乳、成分調整牛乳、低脂肪牛乳、無脂肪牛乳、加工乳が例示される。
【0047】
前記乳製品としては、ホエイ、脱塩ホエイ、ホエイパウダー(脱塩ホエイパウダーを含む)、全脂粉乳、脱脂粉乳、全脂濃縮乳、脱脂濃縮乳、加糖練乳、加糖脱脂練乳、無糖練乳、無糖脱脂練乳、クリーム、発酵クリーム、バター、発酵バター、バターミルク、バターミルクパウダー等が例示される。
【0048】
前記乳タンパク質源としては、乳タンパク質濃縮物(MPC)、乳タンパク質分離物(MPI)、高純度乳タンパク質(TMP)、ホエイタンパク質濃縮物(WPC)、ホエイタンパク質分離物(WPI)、カゼインカルシウム、カゼインナトリウム、カゼインカリウム、カゼインマグネシウム、酸カゼイン、レンネットカゼイン、カゼインペプチド等が例示される。
【0049】
前記ミネラル源としては、灰汁、乳清ミネラル、各金属成分が例示される。
【0050】
前記灰分中のミネラル分重量比は1~1.25が好ましく、1~1.2がより好ましく、1~1.1が更に好ましい。前記ミネラル分重量比が1未満では、エグ味等の雑味が感じられる場合、又は乳の濃厚さが不足する場合がある。また、前記ミネラル分重量比が1.25よりも高いと、乳の濃厚さが不足する場合がある。
【0051】
前記ミネラル分重量比とは、カルシウム(Ca)とリン(P)からなるミネラルの含有量と、カリウム(K)とマグネシウム(Mg)及びナトリウム(Na)からなるミネラルの含有量の重量比を指し、具体的には以下の式により算出される。
ミネラル分重量比=(Ca+P)含有量/(K+Mg+Na)含有量
【0052】
前記プレーンヨーグルトの原料ミックス全体中の前記各ミネラルの含有量は、吸光光度法、原子吸光光度法、又はICP(誘導結合プラズマ)発光分析法により測定することができる。
【0053】
前記ミネラル分重量比は、乳の濃厚さを得る観点から、乳由来の原料、即ち生乳及び/又は牛乳、生乳及び牛乳以外の乳、乳製品、乳タンパク質源、乳清ミネラル等を用いて調整することが好ましい。前記乳由来の原料は、その製造過程における膜濃縮等の濃縮工程で原料乳のミネラルが部分的に除かれ、ミネラル構成に偏りがあるものもあるため、これら原料を用いることで、前記ミネラル分重量比を調整することができる。
【0054】
前記乳由来の原料としては、脱脂乳、脱脂濃縮乳、脱脂粉乳や濃縮乳等の乳製品;乳タンパク質濃縮物(MPC)、乳タンパク質分離物(MPI)、高純度乳タンパク質(TMP)、ホエイタンパク質濃縮物(WPC)及びホエイタンパク質分離物(WPI)等の乳タンパク質源;乳清ミネラル等の乳由来のミネラル源;並びに;乳糖等が例示され、中でも脱脂乳、脱脂濃縮乳、脱脂粉乳、乳タンパク質濃縮物(MPC)、乳タンパク質分離物(MPI)、高純度乳タンパク質(TMP)、ホエイタンパク質濃縮物(WPC)、ホエイタンパク質分離物(WPI)からなる群から選ばれる少なくとも1種を用いることがより好ましく、脱脂乳、脱脂濃縮乳、脱脂粉乳からなる群から選ばれる少なくとも1種、及び、乳タンパク質濃縮物(MPC)、乳タンパク質分離物(MPI)、高純度乳タンパク質(TMP)からなる群から選ばれる少なくとも1種を併せて用いることが更に好ましい。
【0055】
前記「脱脂乳」とは、生乳、牛乳、特別牛乳又は生水牛乳の乳脂肪分を除去したものをいう。本発明において、低脂肪牛乳及び無脂肪牛乳は脱脂乳に含まれるものとする。前記「脱脂濃縮乳」とは、生乳、牛乳、特別牛乳又は生水牛乳から乳脂肪分を除去したものを濃縮したものをいう。前記「脱脂粉乳」とは、生乳、牛乳、特別牛乳又は生水牛乳の乳脂肪分を除去したもの(つまり、脱脂乳)からほとんど全ての水分を除去し、粉末状にしたものをいう。
【0056】
前記脱脂乳、脱脂濃縮乳、及び、脱脂粉乳の種類は特に限定されないが、脱脂乳、脱脂濃縮乳、及び脱脂粉乳からなる群から選ばれる少なくとも1種の含有量は、比較的容易に灰分量とミネラル分重量比を調整することができるため、プレーンヨーグルトの原料ミックス全体中、乾燥重量で1~7重量%が好ましく、2~6重量%がより好ましく、3~5重量%が更に好ましい。
【0057】
前記乳タンパク質濃縮物(MPC)、乳タンパク質分離物(MPI)、及び、高純度乳タンパク質(TMP)からなる群から選ばれる少なくとも1種の含有量で、比較的容易に灰分量とミネラル分重量比を調整することができ、そのためにそれらの含有量は、プレーンヨーグルトの原料ミックス全体中、乾燥重量で0.2~2.5重量%が好ましく、0.3~2重量%がより好ましく、0.4~1重量%が更に好ましい。なお、各成分の乾燥重量は、常圧加熱乾燥法により測定することができる。
【0058】
本発明のプレーンヨーグルトは、プレーンヨーグルトの原料ミックス全体中、乳固形分の含有量が14.5~18重量%であることが好ましく、14.5~17重量%であることがより好ましく、14.5~16重量%であることが更に好ましい。乳固形分の含有量が14.5重量%以上であると、14.5重量%より少ない場合に比べ乳の濃厚さがより強く感じられる。18重量%以下であると、18重量%より多い場合に比べとろみ感がより強く感じられる。
【0059】
前記乳固形分の含有量とは、乳脂肪分と無脂乳固形分の合計量を指す。前記乳脂肪分及び無脂乳固形分の含有量は、それぞれ日本国における厚生省令第五十二号「乳及び乳製品の成分規格等に関する省令」に記載の定量法である「牛乳、特別牛乳、殺菌山羊乳、低脂肪牛乳、無脂肪牛乳及び加工乳の乳脂肪分の定量法」(言い換えれば、レーゼゴットリーブ法)及び「乳及び乳製品の無脂乳固形分の定量法」に基づき測定することができる。
【0060】
前記プレーンヨーグルトの原料ミックス全体中、乳タンパク質の含有量が4.5~6.5重量%であることが好ましく、4.5~6重量%であることがより好ましく、4.6~5.5重量%であることが更に好ましい。乳タンパク質の含有量が4.5重量%以上であると、4.5重量%より少ない場合に比べ乳の濃厚さ、及びとろみ感がより強く感じられる。6.5重量%以下であると、6.5重量%より多い場合に比べとろみ感がより強く感じられる。ここで、前記乳タンパク質の含有量とは、プレーンヨーグルトの原料ミックス全体中に含まれる全ての乳由来のタンパク質の合計量を指す。なお、プレーンヨーグルトの原料ミックス全体中の乳タンパク質の含有量は、公知の方法で測定することができ、例えば、燃焼法により測定することができる。
【0061】
前記乳タンパク質量を調整する目的で、乳タンパク質源となる原料をプレーンヨーグルトの原料ミックス全体中に配合することもできる。乳タンパク質源としては、前述の灰分量の調整に用いられる乳タンパク質源と同じものでよく、乳タンパク質濃縮物(MPC)、乳タンパク質分離物(MPI)、高純度乳タンパク質(TMP)、ホエイタンパク質濃縮物(WPC)、ホエイタンパク質分離物(WPI)、カゼインカルシウム、カゼインナトリウム、カゼインカリウム、カゼインマグネシウム、酸カゼイン、レンネットカゼイン、カゼインペプチド等が例示される。
【0062】
プレーンヨーグルトの原料ミックス全体中に含まれる乳タンパク質中のホエイタンパク質の割合は、より優れた風味と滑らかな食感の観点から18~25重量%が好ましく、18~23重量%がより好ましく、19~21重量%が更に好ましい。
【0063】
プレーンヨーグルトの原料ミックス全体中の乳タンパク質中のホエイタンパク質の割合は、各原料におけるタンパク質の含有量と前記タンパク質中のホエイタンパク質の割合から算出される理論値として導くことができる。
【0064】
乳本来の風味やとろみ感の観点から、プレーンヨーグルトの原料ミックス全体中、乳脂肪の含有量が3~5重量%であることが好ましく、3~4.5重量%であることがより好ましく、3~4重量%であることが更に好ましい。ここで、前記乳脂肪の含有量とは、プレーンヨーグルトの原料ミックス全体中に含まれる乳脂肪の合計量を指し、前述したプレーンヨーグルトの原料ミックスに含まれる全ての乳脂肪の合計量を指す。なお、プレーンヨーグルトの原料ミックス全体中の乳脂肪の含有量は、公知の方法で測定することができ、例えば、レーゼゴットリーブ法により測定することができる。
【0065】
本発明の効果を阻害しない限り、前記プレーンヨーグルトの原料ミックス全体中には、生乳、牛乳、並びに灰分量及び灰分中のミネラル分重量比調整のために必要に応じて配合する原料以外の任意成分を含むことができる。前記任意成分として、糖類、安定剤、油脂、乳化剤、着香料、酸化防止剤等が挙げられる。
【0066】
前記プレーンヨーグルトの原料ミックスに含まれ得る糖類としては、上白糖、グラニュー糖、粉糖、ブドウ糖、果糖、ショ糖、麦芽糖、酵素糖化水飴、還元澱粉糖化物、還元水飴、異性化液糖、ショ糖結合水飴、還元糖、還元パラチノース、ソルビトール、還元乳糖、L-アラビノース、トレハロース、キシロース、キシリトール、マルチトール、エリスリトール、マンニトール、フラクトオリゴ糖、大豆オリゴ糖、ガラクトオリゴ糖、乳果オリゴ糖、キシロオリゴ糖、ラフィノース、ラクチュロース、パラチノース、パラチノースオリゴ糖等の糖類や糖アルコール、並びに蜂蜜やカエデ糖等の天然の甘味料等が例示される。前記糖類の含有量は、プレーンヨーグルトの原料ミックス全体中、10重量%以下が好ましく、5重量%以下がより好ましく、3重量%以下が更に好ましく、含有しないことが特に好ましい。
【0067】
前記プレーンヨーグルトの原料ミックスに含まれ得る安定剤としては、ペクチン、アラビアガム、カラギーナン、アルギン酸類(アルギン酸、アルギン酸塩)、グアーガム、タラガム、ローカストビーンガム、タマリンドシードガム、サイリウムシードガム、水溶性大豆多糖類、グルコマンナン、ジェランガム、キサンタンガム、プルラン、カードラン、セルロース、カルボキシメチルセルロース塩、メチルセルロース、キチン、キトサン、ゼラチン等の増粘多糖類;タピオカ澱粉、馬鈴薯澱粉、コーンスターチ、ワキシーコーンスターチ、小麦澱粉、米澱粉等の生澱粉;並びに前記生澱粉にα化、エーテル化、エステル化、アセチル化、架橋処理、酸化処理等の処理を施した加工澱粉及びデキストリン等が例示される。前記安定剤の含有量は、プレーンヨーグルトの原料ミックス全体中、2重量%以下が好ましく、1重量%以下がより好ましく、0.5重量%以下が更に好ましく、含有しないことが特に好ましい。
【0068】
前記プレーンヨーグルトに含まれ得る油脂としては、大豆油、綿実油、コーン油、サフラワー油、オリーブ油、パーム油、菜種油、米ぬか油、ヤシ油、パーム核油、ラード、魚油等の各種の動植物油脂、及びそれらの硬化油、分別油、エステル交換油等の加工油脂等が例示される。前記油脂の含有量は、プレーンヨーグルトの原料ミックス全体中、3重量%以下が好ましく、2重量%以下がより好ましく、1重量%以下が更に好ましく、含有しないことが特に好ましい。
【0069】
前記プレーンヨーグルトに含まれ得る乳化剤としては、モノグリセリド、有機酸が結合したモノグリセリド誘導体、ショ糖脂肪酸エステル、ポリグリセリン脂肪酸エステル、プロピレングリコール脂肪酸エステル、ポリグリセリン縮合リシノレイン酸エステル、ステアロイル乳酸カルシウム、ステアロイル乳酸ナトリウム等が例示される。前記乳化剤の含有量は、プレーンヨーグルトの原料ミックス全体中、1重量%以下が好ましく、0.5重量%以下がより好ましく、0.2重量%以下が更に好ましく、含有しないことが特に好ましい。
【0070】
前記プレーンヨーグルトに含まれ得る着香料としては、ヨーグルトフレーバー、ミルクフレーバー、バニラフレーバー、及びこれらの混合物等が例示される。前記着香料の含有量は、プレーンヨーグルトの原料ミックス全体中、0.5重量%以下が好ましく、0.3重量%以下がより好ましく、0.2重量%以下が更に好ましく、含有しないことが特に好ましい。
【0071】
前記プレーンヨーグルトに含まれ得る酸化防止剤としては、ビタミンA、カロテノイド、ビタミンC、ビタミンE、セレン、フラボノイド、ポリフェノール、リコペン、ルテイン、リグナン等が例示される。前記酸化防止剤の含有量は、プレーンヨーグルトの原料ミックス全体中、0.2重量%以下が好ましく、0.1重量%以下がより好ましく、0.05重量%以下が更に好ましい。
【0072】
前記プレーンヨーグルトのカードのメジアン径は5~70μmが好ましく、10~60μmがより好ましく、10~50μmが更に好ましい。メジアン径が5μmより小さいと、乳の濃厚さが不足する場合があり、70μmより大きいと、とろみ感が不足する場合がある。なお、プレーンヨーグルトのカードのメジアン径は、レーザ回折/散乱式粒子径分布測定装置LA-960V2((株)堀場製作所製)により、分散媒として水を用いて測定することができる。
【0073】
前記プレーンヨーグルトは、BH型粘度計でNo.4のローターを用いて、2rpmの回転速度で、10℃において測定した粘度が20~60Pa・sであることが好ましく、23~60Pa・sがより好ましく、25~55Pa・sが更に好ましい。前記粘度が20Pa・sより低いと、乳の濃厚さやとろみ感が不足する場合がある。60Pa・sより高いと、乳の濃厚さが不足する場合がある。
【0074】
本発明のプレーンヨーグルトは、前記のような特定組成を有する原料ミックスの発酵物であり、且つカードのメジアン径及び粘度が前記範囲内であることにより、乳本来の風味、乳の濃厚さ、及び、とろみ感の全てを満足することができる。
【0075】
[ブルーベリージャム入りヨーグルト]
本発明のブルーベリージャム入りヨーグルトは、ブルーベリージャム入りヨーグルト全体中、前記ブルーベリージャム10~25重量%と前記プレーンヨーグルト90~75重量%を含有することが好ましい。各含有量が前記範囲を外れると、ブルーベリージャムとプレーンヨーグルトを一緒に食した際に風味や食感の調和が崩れて一体感が損なわれる場合がある。更には、ブルーベリージャム12~25重量%とプレーンヨーグルト88~75重量%を含有することがより好ましく、ブルーベリージャム12~22重量%とプレーンヨーグルト88~78重量%を含有することが更に好ましく、ブルーベリージャム14~20重量%とプレーンヨーグルト86~80重量%を含有することが特に好ましい。
【0076】
本発明の効果を損なわない範囲で、ブルーベリージャムとヨーグルト以外の成分を含むことができ、その添加量は3重量部以下が好ましく、1重量部以下がより好ましく、添加しないことが更に好ましい。
【0077】
本発明のブルーベリージャム入りヨーグルトの製造方法を、以下に例示する。前記ブルーベリージャムは、原料の混合工程、濃縮工程、酸度調整工程、加熱工程、及び、冷却工程を経て製造することができる。また、前記プレーンヨーグルトは、原料の発酵工程、及び、粉砕工程を経て製造することができる。そして、ブルーベリージャム入りヨーグルトは、前記ブルーベリージャムと前記プレーンヨーグルトを容器に充填する工程を経て製造することができる。具体的には、以下の通りである。
【0078】
[ブルーベリージャムの製造方法]
(原料の混合工程)
前述したブルーベリージャムの原料(ブルーベリー、水、及び必要に応じて他の任意成分)を全て混ぜ合わせ、ジャム原料混合物を得る。
【0079】
前記ブルーベリーは、他の原料と混ぜ合わせる前に、前述したとおり、事前にダイサーやサイレントカッター等の切断装置である程度表面をカットしておくことが好ましく、サイレントカッターがより好ましい。前記ブルーベリーのカットサイズは、前述の通り、前記ブルーベリーの内、目開き15mmの篩を通過し目開き5mmの篩を通過しないブルーベリーの含有量が10~20重量%となるよう、適宜カットすればよい。
【0080】
ジャム原料混合物中のブルーベリーの含有量は、前述したブルーベリージャム全体中のブルーベリーの含有量や、次に説明する濃縮工程における濃縮度等を勘案して設定すればよい。
【0081】
(濃縮工程)
前記混合工程で得られたジャム原料混合物を、減圧状態で加熱撹拌できる装置に投入した後、減圧条件下で、65~85℃で保持し、所定の重量まで濃縮して、濃縮後の原料混合物を得る。前記濃縮時の温度は65~85℃が好ましく、67~83℃がより好ましい。また前記減圧の条件としては、ゲージ圧が0.02~0.1MPaを目安とすればよい。
【0082】
(酸度調整工程)
前記濃縮工程で得られた濃縮後の原料混合物に、レモン果汁を固形分換算でブルーベリージャム全体中0.3~0.65重量%となるように加え、酸度(クエン酸換算)を0.35~0.54%に調整し、酸度調整後の原料混合物を得る。また、香料及び色素を配合する際は、風味や色調の変質を抑制する観点から、本工程で添加することが好ましい。
【0083】
(加熱工程)
前記酸度調整工程で得られた酸度調整後の原料混合物を、70~95℃に加熱して加熱処理後の原料混合物を得る。前記加熱処理温度は、75~92℃がより好ましく、80~90℃が更に好ましい。また、前記加熱処理温度における保持時間は1~5分間を目安とすればよい。前記加熱処理温度が70℃よりも低かったり、保持時間が1分間よりも短いと、衛生的な日持ちが低下する場合がある。前記加熱処理温度が95℃よりも高かったり、保持時間が5分間よりも長いと、風味が悪くなる場合がある。
【0084】
(冷却工程)
前記加熱工程で得られた加熱処理後の原料混合物を、0~50℃に冷却することで、本発明のブルーベリージャムを得ることができる。冷却温度が0℃より低いと、凍結して離水が発生する場合があり、50℃より高いと、風味が悪くなる場合がある。前記冷却温度は15~35℃が好ましく、15~25℃がより好ましい。
【0085】
また、前記加熱工程で得られた加熱処理後の原料混合物をピロー包装等の密封容器に充填してから、前記冷却を行ってもよい。この手法によると、製造後のブルーベリージャムの保存や運搬をすることが容易である。その後、密封容器を開封してブルーベリージャムを取り出して、プレーンヨーグルトと共に容器に充填すればよい。
【0086】
[プレーンヨーグルトの製造方法]
(原料の加熱処理工程)
前述したプレーンヨーグルトの原料(生乳及び/又は牛乳と、灰分量及び灰分中のミネラル分重量比調整のために必要に応じて配合する原料と、その他必要に応じて配合する任意成分)を混合溶解し、原料ミックスを得る。原料ミックスにおける、生乳及び/又は牛乳の含有量、灰分量、並びにミネラル分重量比は、前述のとおり調整すればよい。
【0087】
原料の加熱処理工程は行っても行わなくてもよいが、乳の濃厚さととろみ感があるプレーンヨーグルトを得るという観点から、前記原料ミックスは、加熱処理をすることが好ましい。
【0088】
加熱処理の条件は、例えば、80~98℃、好ましくは85~95℃の温度に、1~50分間、好ましくは5~20分間保持すればよい。また、その加熱処理方法としては、例えば、原料ミックスを、加熱殺菌に用いる装置を用いて昇温し前記温度に到達した後、加熱及び温度保持ができる装置に入れて、所定時間保持することにより行う。これにより、原料ミックスが殺菌される。
【0089】
前記加熱処理に用いる装置としては、乳の加熱殺菌を実施するための加熱装置であれば特に限定されず、適宜選択することができるが、生産性を考慮して、流路式殺菌装置が好ましい。そのような殺菌装置としては、例えば、プレート式殺菌装置、チューブ式殺菌装置、スピンジェクション式殺菌装置、ジュール式殺菌装置等が挙げられるが、これらに限定されない。また、加熱及び温度保持ができる装置としては、保温可能なジャケット付きの容器、タンク等が挙げられるが、これらに限定されない。
【0090】
前記加熱処理前に、原料乳に含まれる脂肪球の径をそろえて品質を安定化することを目的に、公知の均質化処理を実施してもよい。その場合、ホモジナイザー、マイクロフルダイザー、コロイドミル等の装置を用いることができる。このような均質化処理は、前記加熱処理後に行なうこともできる。
【0091】
(発酵工程)
前記加熱処理後の原料ミックスに乳酸菌スターターを添加し、pHが4.1~4.85となるまで発酵することにより、発酵工程後の原料ミックスが得られる。また、前記pHは4.2~4.8が好ましく、4.2~4.7がより好ましい。
【0092】
発酵時の原料ミックスの温度は、36~42℃が好ましく、38~42℃がより好ましい。前記加熱処理後の原料ミックスは、乳酸菌スターターを添加する前に、予め36~42℃に温調しておくことが好ましく、38~42℃に温調しておくことがより好ましい。
【0093】
前記発酵する工程は、発酵を二段階で行うこともできる。例えば、原料ミックスの温度を36~42℃である程度発酵(一次発酵)をさせた後、原料ミックスを15~25℃となるまで冷却し、同温度条件(15~25℃)下で二次発酵することもできる。二次発酵を行うことにより、大きめのカードが再生し、プレーンヨーグルトの乳の濃厚さととろみ感を向上させることができる。二次発酵時の温度条件は、15~19℃が好ましい。
【0094】
前記二次発酵を行う場合、プレーンヨーグルトの乳の濃厚さととろみ感を更に向上させる観点から、原料ミックスのpHが4.2~4.75となるまで行うことが好ましく、4.2~4.6がより好ましく、4.3~4.6が更に好ましい。
【0095】
前記乳酸菌スターターは、特に限定されず、公知の乳酸菌スターターを用いることができ、例えば、ラクトコッカス(Lactococcus)、ストレプトコッカス(Streptococcus)、ペディオコッカス(Pediococcus)、ロイコノストック(Leuconostoc)に属する乳酸球菌、ラクトバチルス(Lactobacillus)に属する乳酸桿菌、ビフィズス菌(Bifidobacterium)等が挙げられる。具体例としては、Streptococcus thermophilus、Lactobacillus delbrueckii subsp. Bulgaricus、Lactobacillus acidophilus、Bifidobacterium lactis等が挙げられる。
【0096】
前記乳酸菌スターターの添加量は特に限定されず、ヨーグルトの作製に通常使用される量であればよい。例えば、原料ミックス100重量部に対して、0.00001~5重量部添加すればよく、凍結乾燥タイプでは0.00001~0.05重量部、発酵液タイプでは0.01~5重量部を目安とすればよい。
【0097】
(粉砕工程)
前記発酵工程で得られた発酵後の原料ミックスのカードを、メジアン径が5~70μmとなるように粉砕する。
【0098】
カードの粉砕は、公知の方法により行うことができ、具体的には、メッシュフィルターを用いる方法や、タンク内での撹拌による方法等が挙げられる。簡便性とカードサイズの均一性の観点から、メッシュフィルターを用いる方法が好ましい。
【0099】
使用するメッシュフィルターのメッシュサイズとしては、例えば、10~100メッシュが好ましく、20~90メッシュがより好ましく、30~70メッシュが更に好ましい。
【0100】
メッシュフィルターを通す時の圧力条件としては、例えば、0.01~0.45MPaが好ましく、0.05~0.45MPaがより好ましく、0.1~0.4MPaが更に好ましい。
【0101】
以上の製造方法によって、カードのメジアン径が5~70μmであると共に、10℃で測定した粘度が20~60Pa・sであるプレーンヨーグルトを容易に得ることができる。
【0102】
[ブルーベリージャム入りヨーグルトの製造方法]
(充填工程)
前記ブルーベリージャム10~25重量部と前記プレーンヨーグルト90~75重量部を容器に充填する工程を経てブルーベリージャム入りヨーグルトを製造することができる。前記ブルーベリージャムと前記プレーンヨーグルトの容器への充填は、何れを先に充填してもよい。また、2つを同時に充填してもよい。
【0103】
以上説明したブルーベリージャム入りヨーグルトの製造方法によれば、プレーンヨーグルトには、乳本来の風味、乳の濃厚さ、及びとろみ感があり、且つ、ブルーベリージャムにはすっきりとした酸味且つブルーベリー本来の自然な風味と適度な果肉感が感じられ、これらを一緒に食した時に風味や食感の調和がとれていて、ブルーベリージャムとプレーンヨーグルトの一体感のあるブルーベリージャム入りヨーグルトを提供することができる。
【実施例0104】
以下に実施例を示し、本発明をより具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例に何ら限定されるものではない。なお、実施例において「部」や「%」は重量基準である。
【0105】
また、実施例及び比較例で使用した原料は以下の通りである。
1)日本精糖(株)製「上白糖P」
2)Usina Sao Francisco S.A.製「Organic Crystal Sugar」
3)三晶(株)製「LM-102AS-J」(LMペクチン)
4)雄山(株)製「レモン濃縮果汁」(固形分:42%)
5)(株)別海ウェルネスファーム製「生乳」(乳脂肪分:3.7%、乳タンパク質含有量:3.2%、タンパク還元価:4.4)
6)(株)カネカ製「カネカ脱脂粉乳」(乳脂肪分:1.0%、乳タンパク質含有量:34.0%、水分含有量:3.8%)
7)Glanbia Nutritionals社製「MPC80 SOLMIKO」(乳脂肪分:1.5%、乳タンパク質含有量:80.5%、水分含有量:4.2%)
8)(株)明治製「明治十勝フレッシュクリーム47」(乳脂肪分:47.0%、乳タンパク質含有量:1.0%)
9)HILMAR CHEESE CO.製「ラクトース HILMAR FINE GRAIND」
10)Danisco社製「YO-MIX207」
【0106】
<ブルーベリージャム中の、目開き15mmの篩を通過し目開き5mmの篩を通過しないブルーベリーの含有量の測定>
実施例・比較例で作製したブルーベリージャム中の、目開き15mmの篩を通過し目開き5mmの篩を通過しないブルーベリーの含有量は、以下の方法で評価した。
【0107】
まず、ブルーベリージャム(容器中の全量)の重量(Z)を測定後、その全量を目開き5mm四方の篩にかけ、40℃の温水で水洗することで、目開き5mmの篩を通過しないブルーベリーを回収し、表面の水分を拭き取った後の重量(X)を測定した。
【0108】
次に、目開き5mmの篩を通過しなかったブルーベリーを、目開き15mm四方の篩にかけ、40℃の温水で水洗することで、目開き15mmの篩を通過しないブルーベリーを回収し、表面の水分を拭き取った後の重量(Y)を測定した。
【0109】
そして、以下の式により含有量を算出した。
ブルーベリージャム中の、目開き15mmの篩を通過し目開き5mmの篩を通過しないブルーベリーの含有量(重量%)={(X-Y)/Z)}×100
【0110】
<ブルーベリージャム中の砂糖全体中のCa及びKの含有量の測定>
ブルーベリージャム中の砂糖全体中のCa及びKの含有量は、ICP(誘導結合プラズマ)発光分析法により測定した。
【0111】
<ブルーベリージャムの酸度(クエン酸換算)の測定>
酸度は、クエン酸換算による酸度を意味し、ブルーベリージャムをミキサーにかけて果肉を細かくしたものをサンプルとして中和滴定法で測定した。具体的には、以下のとおりである。サンプル約5gをビーカーに採取し、蒸留水で約2倍量に薄め、指示薬としてフェノールフタレイン溶液を2滴加えた。ビュレットを用いて0.1mol/L水酸化ナトリウム水溶液を用いて滴定した。滴定に使用した量(ml)から、以下の式により酸度を算出した。ブルーベリー果肉やレモン果汁中の有機酸は主にクエン酸であるため、算出係数はクエン酸係数を使用した。
酸度(%)=((滴定量(ml)×F×0.0064)/試料採取量(g))×100
F:0.1mol/L水酸化ナトリウム溶液のファクター
0.0064:クエン酸係数
【0112】
<ブルーベリージャムのBrixの測定>
Brixは、20℃に温調したブルーベリージャムを糖用屈折計示度(アタゴ株式会社「RX-5000」)で測定した。
【0113】
<ブルーベリージャムの硬度(圧縮時最大荷重)の測定>
25℃における硬度は、25℃に温調したブルーベリージャムをレオメーター(株式会社サン科学「CR-200D」、プランジャー:円盤状、直径40mm)を用いて測定した。
【0114】
<プレーンヨーグルトカードのメジアン径の測定>
メジアン径は、レーザ回折/散乱式粒子径分布測定装置「LA-960V2」((株)堀場製作所製)により、分散媒として水を用いて測定した。
【0115】
<プレーンヨーグルトの粘度の測定>
10℃における粘度は、BH型粘度計でNo.4のローターを使用し、2rpmの回転速度で、サンプルを10℃に保持しながら、常法に従って測定した。
【0116】
<タンパク還元価の測定>
生乳及び/又は牛乳のタンパク還元価の測定は、「日本薬学会編 乳製品試験法・注解」(金原出版株式会社、p.131、昭和59年3月20日発行)に記載の方法に準拠して行った。
【0117】
<プレーンヨーグルトの原料ミックスの組成分析>
乳固形分、乳タンパク質、灰分、乳脂肪の含有量は、下記の通り、一般的な乳製品の栄養成分分析法に準じて分析した。
乳固形分:「乳及び乳製品の成分規格等に関する省令」に記載の定量法である「牛乳、特別牛乳、殺菌山羊乳、低脂肪牛乳、無脂肪牛乳及び加工乳の乳脂肪分の定量法」(レーゼゴットリーブ法)及び「乳及び乳製品の無脂乳固形分の定量法」に基づいて測定した。
乳タンパク質:燃焼法
灰分:直接灰化法
乳脂肪:レーゼゴットリーブ法
プレーンヨーグルトの原料ミックスにおける、灰分中の(Ca+P)/(K+Mg+Na)のミネラル分重量比は、ICP(誘導結合プラズマ)発光分析法により算出した。
乳タンパク質中のホエイタンパク質の割合は、各原料におけるタンパク質の含有量と前記タンパク質中のホエイタンパク質の割合から算出した。
【0118】
<ブルーベリージャムの官能評価>
熟練した10人のパネラーに、製造例で得られた各ブルーベリージャムを10℃に温調したものを食してもらい、すっきりとした酸味、ブルーべリー本来の自然な風味、及び、果肉感の観点で各々の官能評価を行い、その評価点の平均値を官能評価の評価値として各表に記載した。その際の評価基準は以下の通りであった。
【0119】
(すっきりとした酸味)
5点:製造例1のブルーベリージャムよりも良く、すっきりとした酸味が強く感じられる
4点:製造例1のブルーベリージャムと同等で、すっきりとした酸味が十分に感じられる
3点:製造例1のブルーベリージャムよりも少し劣るが、すっきりとした酸味が感じられる
2点:製造例1のブルーベリージャムよりも悪く、すっきりとした酸味が感じられ難い
1点:製造例1のブルーベリージャムよりも非常に悪く、すっきりとした酸味が感じられない
【0120】
(ブルーベリー本来の自然な風味)
5点:製造例1のブルーベリージャムよりも良く、本来の自然な風味が強く感じられる
4点:製造例1のブルーベリージャムと同等で、本来の自然な風味が十分に感じられる
3点:製造例1のブルーベリージャムよりも少し劣るが、本来の自然な風味が感じられる
2点:製造例1のブルーベリージャムよりも悪く、本来の自然な風味が感じられ難い
1点:製造例1のブルーベリージャムよりも非常に悪く、本来の自然な風味が感じられない
【0121】
(果肉感)
5点:製造例1のブルーベリージャムよりも良く、果肉感がしっかりと感じられる
4点:製造例1のブルーベリージャムと同等で、果肉感が十分に感じられる
3点:製造例1のブルーベリージャムよりもやや劣るが、果肉感が感じられる
2点:製造例1のブルーベリージャムよりも悪く、果肉感があまり感じられない、又は、果肉感が感じられ過ぎる
1点:製造例1のブルーベリージャムよりも非常に悪く、果肉感が全く感じられない、又は、果肉感が非常に感じられ過ぎる
【0122】
<プレーンヨーグルトの官能評価>
熟練した10人のパネラーに、製造例で得られた各プレーンヨーグルトを10℃に温調したものを食してもらい、乳本来の風味、乳の濃厚さ、及び、とろみ感の観点で各々の官能評価を行い、その評価点の平均値を官能評価の評価値として各表に記載した。その際の評価基準は以下の通りであった。
【0123】
(乳本来の風味)
5点:製造例16のプレーンヨーグルトよりも良く、乳本来の風味が強く感じられる
4点:製造例16のプレーンヨーグルトと同等で、乳本来の風味が十分に感じられる
3点:製造例16のプレーンヨーグルトよりもやや劣るが、乳本来の風味が感じられる
2点:製造例16のプレーンヨーグルトよりも悪く、乳本来の風味が感じられ難い
1点:製造例16のプレーンヨーグルトよりも非常に悪く、乳本来の風味が感じられない
【0124】
(乳の濃厚さ)
5点:製造例16のプレーンヨーグルトよりも良く、乳の濃厚さが強く感じられる
4点:製造例16のプレーンヨーグルトと同等で、乳の濃厚さが十分に感じられる
3点:製造例16のプレーンヨーグルトよりもやや劣るが、乳の濃厚さが感じられる
2点:製造例16のプレーンヨーグルトよりも悪く、乳の濃厚さが感じられ難い
1点:製造例16のプレーンヨーグルトよりも非常に悪く、乳の濃厚さが感じられない
【0125】
(とろみ感)
5点:製造例16のプレーンヨーグルトよりも良く、とろみ感が強く感じられる
4点:製造例16のプレーンヨーグルトと同等で、とろみ感が十分に感じられる
3点:製造例16のプレーンヨーグルトよりもやや劣るが、とろみ感が感じられる
2点:製造例16のプレーンヨーグルトよりも悪く、とろみ感が感じられ難い
1点:製造例16のプレーンヨーグルトよりも非常に悪く、とろみ感が感じられない
【0126】
<ブルーベリージャム入りヨーグルトの官能評価>
熟練した10人のパネラーに、実施例及び比較例で得られた各ブルーベリージャム入りヨーグルトを10℃に温調したものを、ブルーベリージャムとプレーンヨーグルトが混ざり合うように、全体をスプーンで5回撹拌してから食してもらって官能評価を行い、その評価点の平均値を官能評価とした。その際の評価基準は以下の通りであった。
【0127】
(ブルーベリージャムとプレーンヨーグルトの風味と食感の調和のある一体感)
5点:実施例1のブルーベリージャム入りヨーグルトよりも良く、ブルーベリージャムとプレーンヨーグルトの風味と食感の調和のある一体感が非常に感じられて、大変おいしい
4点:実施例1のブルーベリージャム入りヨーグルトと同等で、ブルーベリージャムとプレーンヨーグルトの風味と食感の調和のある一体感が感じられ、おいしい
3点:実施例1のブルーベリージャム入りヨーグルトよりもやや劣るが、ブルーベリージャムとプレーンヨーグルトの風味と食感の調和のある一体感が感じられる
2点:実施例1のブルーベリージャム入りヨーグルトよりも悪く、ブルーベリージャムとプレーンヨーグルトの風味と食感の調和が崩れており、一体感が感じられない
1点:実施例1のブルーベリージャム入りヨーグルトよりも非常に悪く、ブルーベリージャムとプレーンヨーグルトの風味と食感の調和が非常に崩れており、一体感が全く感じられない
【0128】
(製造例1) ブルーベリージャムの作製
表1の配合に従って、サイレントカッターでカットしたブルーベリー(品種:ワイルドブルーベリー):30.0重量部、水:30重量部、砂糖:44.85重量部、ペクチン:1.05重量部を加熱撹拌機に投入した。加熱撹拌機を密閉した後、0.05MPa(ゲージ圧)の減圧条件下で撹拌しながら、75℃まで昇温・保持し、所定の重量まで濃縮したところで、常圧に戻し、レモン果汁1.2重量部を投入して、88℃まで昇温して3分間保持した後、25℃まで冷却してブルーベリージャム100重量部を得た。得られたブルーベリージャムの酸度、Brix、硬度と、すっきりとした酸味、ブルーベリー本来の自然な風味、及び果肉感の評価結果を表1に示した。
【0129】
【0130】
(製造例2) ブルーベリージャムの作製
表1の配合に従って、上白糖を有機砂糖に変更した以外は、製造例1と同様にしてブルーベリージャムを得た。得られたブルーベリージャムの酸度、Brix、硬度と、すっきりとした酸味、ブルーベリー本来の自然な風味、及び果肉感の評価結果を表1に示した。
【0131】
(製造例3~7) ブルーベリージャムの作製
表1の配合に従って、ブルーベリーと上白糖をそれぞれ、23.0重量部と50.0重量部(製造例3)、39.0重量部と40.0重量部(製造例4)、20.0重量部と50.0重量部(製造例5)、45.0重量部と38.0重量部(製造例6)、又は、23.0重量部と55.0重量部(製造例7)に変更し、水で全体量を調整した以外は、製造例1と同様にしてブルーベリージャムを得た。得られたブルーベリージャムの酸度、Brix、硬度と、すっきりとした酸味、ブルーベリー本来の自然な風味、及び果肉感の評価結果を表1に示した。
【0132】
(製造例8~11) ブルーベリージャムの作製
表2の配合に従って、ペクチンの含有量を変更し、水で全体量を調整すると共に、サイレントカッターでカットする時間を調整して、ブルーベリーの内、目開き15mmの篩を通過し目開き5mmの篩を通過しないブルーベリーの含有量を変更した以外は、製造例2と同様にしてブルーベリージャムを得た。得られたブルーベリージャムの酸度、Brix、硬度と、すっきりとした酸味、ブルーベリー本来の自然な風味、及び果肉感の評価結果を表2に示した。
【0133】
【0134】
(製造例12~15) ブルーベリージャムの作製
表2の配合に従って、濃縮レモン果汁の含有量を変更し、水で全体量を調整すると共に、サイレントカッターでカットする時間を調整して、ブルーベリーの内、目開き15mmの篩を通過し目開き5mmの篩を通過しないブルーベリーの含有量を変更した以外は、製造例2と同様にしてブルーベリージャムを得た。得られたブルーベリージャムの酸度、Brix、硬度と、すっきりとした酸味、ブルーベリー本来の自然な風味、及び果肉感の評価結果を表2に示した。
【0135】
(製造例16) プレーンヨーグルトの作製
表3の配合に従って、生乳:85.0重量部に、脱脂粉乳:4.2重量部、MPC:1.0重量部、水:9.8重量部を添加し、溶解してヨーグルトの原料ミックスを調製した。
【0136】
これらを60℃に予備加熱し、高圧ホモジナイザーを用いて3.5/17MPaの圧力で均質化し、プレート式熱交換器を用いて90℃まで昇温し、ジャケット付のタンクで、90℃で10分間保持して加熱処理した。その後、40℃まで冷却し、乳酸菌スターター(Streptococcus thermophilus、Lactobacillus delbrueckii subsp. Bulgaricus、Lactobacillus acidophilus、Bifidobacterium lactis)を0.0014重量部添加し、pH4.5になるまで発酵を行なった。発酵後のヨーグルトの原料ミックスを、0.22MPaの圧力で60メッシュのフィルターに通して、カードの粉砕を行った後、小売用容器に充填し、冷蔵倉庫で8℃まで冷却して、プレーンヨーグルトを得た。得られたプレーンヨーグルトの粘度、カードのメジアン径と、乳本来の風味、乳の濃厚さ、及び、とろみ感の評価結果を表3に示した。
【0137】
【0138】
(製造例17) プレーンヨーグルトの作製
表3の配合に従って、生乳:85.0重量部を60.0重量部に、脱脂粉乳:4.2重量部を8.5重量部に、MPC:1.0重量部を1.5重量部、水:9.8重量部を28.2重量部に変更し、生クリーム:1.8重量部を添加し、溶解してヨーグルトミックスを調製した以外は、製造例16と同様にしてプレーンヨーグルトを得た。得られたプレーンヨーグルトの粘度、カードのメジアン径と、乳本来の風味、乳の濃厚さ、及び、とろみ感の評価結果を表3に示した。
【0139】
(製造例18) プレーンヨーグルトの作製
表3の配合に従って、生乳:85.0重量部を95.6重量部に、脱脂粉乳:4.2重量部を3.9重量部に、MPC:1.0重量部を0.5重量部に変更し、水を添加しなかった以外は、製造例16と同様にしてプレーンヨーグルトを得た。得られたプレーンヨーグルトの粘度、カードのメジアン径と、乳本来の風味、乳の濃厚さ、及び、とろみ感の評価結果を表3に示した。
【0140】
(製造例19) プレーンヨーグルトの作製
表3の配合に従って、生乳:85.0重量部を97.0重量部に、脱脂粉乳:4.2重量部を2.0重量部に変更し、MPC:1.0重量部はそのままで、水を添加しなかった以外は、製造例16と同様にしてプレーンヨーグルトを得た。得られたプレーンヨーグルトの粘度、カードのメジアン径と、乳本来の風味、乳の濃厚さ、及び、とろみ感の評価結果を表3に示した。
【0141】
(製造例20) プレーンヨーグルトの作製
表3の製造条件に従って、製造例16と同様の方法で発酵させて得られた発酵後のヨーグルトミックスについて、パドル型の撹拌羽を有するタンクにおいて、0.35回転/秒の撹拌速度で90分間の撹拌によりカードの粉砕を行った後、小売用容器に充填し、冷蔵倉庫で8℃まで冷却して、プレーンヨーグルトを得た。得られたプレーンヨーグルトの粘度、カードのメジアン径と、乳本来の風味、乳の濃厚さ、及び、とろみ感の評価結果を表3に示した。
【0142】
(製造例21) プレーンヨーグルトの作製
表3の配合に従って、生乳:85.0重量部を40.0重量部に、脱脂粉乳:4.2重量部を7.0重量部に、水:9.8重量部を45.5重量部に変更し、MPC:1.0重量部はそのままで、生クリーム:4.5重量部、乳糖:2.0重量部を添加した以外は、製造例16と同様にしてプレーンヨーグルトを得た。得られたプレーンヨーグルトの粘度、カードのメジアン径と、乳本来の風味、乳の濃厚さ、及びとろみ感の評価結果を表3に示した。
【0143】
(製造例22) プレーンヨーグルトの作製
表1の配合に従って、生乳:85.0重量部を100.0重量部に変更し、脱脂粉乳、MPC、及び、水を添加しなかった以外は、製造例16と同様にしてプレーンヨーグルトを得た。得られたプレーンヨーグルトの粘度、カードのメジアン径と、乳本来の風味、乳の濃厚さ、及び、とろみ感の評価結果を表3に示した。
【0144】
(製造例23) プレーンヨーグルトの作製
表3の配合に従って、生乳:85.0重量部を95.0重量部に、脱脂粉乳:4.2重量部を5.0重量部に変更し、MPC及び水を添加しなかった以外は、製造例16と同様にしてプレーンヨーグルトを得た。得られたプレーンヨーグルトの粘度、カードのメジアン径と、乳本来の風味、乳の濃厚さ、及び、とろみ感の評価結果を表3に示した。
【0145】
(製造例24) プレーンヨーグルトの作製
表3の配合に従って、生乳:85.0重量部を97.0重量部に、MPC:1.0重量部を3.0重量部に変更し、脱脂粉乳及び水を添加しなかった以外は、製造例16と同様にしてプレーンヨーグルトを得た。得られたプレーンヨーグルトの粘度、カードのメジアン径と、乳本来の風味、乳の濃厚さ、及び、とろみ感の評価結果を表3に示した。
【0146】
(実施例1) ブルーベリージャム入りのヨーグルトの作製
表4の配合に従って、製造例1のブルーベリージャム18gを充填した後、その上に、製造例16のプレーンヨーグルト82gを充填し、冷蔵倉庫で8℃まで冷却して、ブルーベリージャム入りヨーグルトを得た。得られたブルーベリージャム入りヨーグルトのブルーベリージャムとプレーンヨーグルトの風味と食感の調和のある一体感の評価結果を表4に示した。
【0147】
【0148】
(実施例2~8、比較例1~7) ブルーベリージャム入りヨーグルトの作製
表4の配合に従って、製造例1のブルーベリージャムを、製造例2(実施例2)、製造例3(実施例3)、製造例4(実施例4)、製造例8(実施例5)、製造例9(実施例6)、製造例12(実施例7)、製造例13(実施例8)、製造例5(比較例1)、製造例6(比較例2)、製造例7(比較例3)、製造例10(比較例4)、製造例11(比較例5)、製造例14(比較例6)、又は、製造例15(比較例7)のブルーベリージャムに変更した以外は、実施例1と同様にしてブルーベリージャム入りヨーグルトを得た。得られたブルーベリージャム入りヨーグルトのブルーベリージャムとプレーンヨーグルトの風味と食感の調和のある一体感の評価結果を表4に示した。
【0149】
表4から明らかなように、ブルーベリージャム全体中、ブルーベリーを23~40重量%、レモン果汁を固形分換算で0.30~0.65重量%含有し、ブルーベリーの内、目開き15mmの篩を通過し目開き5mmの篩を通過しないブルーベリーの含有量が10~20重量%であり、酸度が0.35~0.54%、Brixが45~55%、且つ25℃における硬度(圧縮時最大荷重)が0.9~1.6Nであるブルーベリージャムを含むブルーベリージャム入りヨーグルト(実施例1~8)は何れも、すっきりとした酸味且つブルーベリー本来の自然な風味と適度な果肉感に加え、乳の濃厚さや乳本来の風味が感じられ、風味や食感の調和がとれていて、ブルーベリージャムとプレーンヨーグルトの一体感のあるものであり、良好な評価結果であった。
【0150】
一方、ブルーベリーが20.0重量%と少なく、目開き15mmの篩を通過し目開き5mmの篩を通過しないブルーベリーの含有量が9.0重量%と少なく、25℃における硬度(圧縮時最大荷重)が0.8Nと低いブルーベリージャムを含むブルーベリージャム入りヨーグルト(比較例1)は、ブルーベリージャムのすっきりとした酸味とブルーベリー本来の自然な風味と果肉感が感じられ難く、ブルーベリージャムとプレーンヨーグルトの調和が崩れており、一体感が感じられなかった。
【0151】
また、ブルーベリーが45.0重量%と多いブルーベリージャムを含むブルーベリージャム入りヨーグルト(比較例2)は、ブルーベリージャムのすっきりとした酸味が弱く、且つブルーベリーの果肉感が感じられ過ぎて、ブルーベリージャムとプレーンヨーグルトの調和が崩れており、一体感が感じられなかった。
【0152】
また、目開き15mmの篩を通過し目開き5mmの篩を通過しないブルーベリーの含有量が8.9重量%と少なく、Brixが60%と高く、25℃における硬度(圧縮時最大荷重)が1.7Nと高いブルーベリージャムを含むブルーベリージャム入りヨーグルト(比較例3)は、ブルーベリージャムのすっきりとした酸味とブルーベリー本来の自然な風味と果肉感が感じられ難く、ブルーベリージャムとプレーンヨーグルトの調和が崩れており、一体感が感じられなかった。
【0153】
また、目開き15mmの篩を通過し目開き5mmの篩を通過しないブルーベリーの含有量が21.0重量%と多く、25℃における硬度(圧縮時最大荷重)が0.7Nと低いブルーベリージャムを含むブルーベリージャム入りヨーグルト(比較例4)は、ブルーベリージャムが柔らか過ぎて、ブルーベリージャムとプレーンヨーグルトの調和が崩れており、一体感が感じられなかった。
【0154】
また、目開き15mmの篩を通過し目開き5mmの篩を通過しないブルーベリーの含有量が9.0重量%と少なく、25℃における硬度(圧縮時最大荷重)が1.8Nと高いブルーベリージャムを含むブルーベリージャム入りヨーグルト(比較例5)は、ブルーベリージャムのすっきりした酸味が弱く、ブルーベリーの果肉感が感じられ難く、ブルーベリージャムとプレーンヨーグルトの調和が崩れており、一体感が感じられなかった。
【0155】
また、ブルーベリージャム全体中、レモン果汁が固形分換算で0.29重量%と少なく、酸度が0.28%と低いブルーベリージャムを含むブルーベリージャム入りヨーグルト(比較例6)は、ブルーベリージャムのすっきりした酸味が弱く、ブルーベリージャムとプレーンヨーグルトの調和が崩れており、一体感が感じられなかった。また、ブルーベリージャムに離水が見られた。
【0156】
更に、ブルーベリージャム全体中、レモン果汁が固形分換算で0.67重量%と多く、酸度が0.60%と高いブルーベリージャムを含むブルーベリージャム入りヨーグルト(比較例7)は、ブルーベリージャムの酸味が強く、すっきりとした酸味が損なわれ、ブルーベリージャムとプレーンヨーグルトの調和が崩れており、一体感が感じられなかった。
【0157】
(実施例9~12、比較例8~11) ブルーベリージャム入りヨーグルトの作製
表5の配合に従って、製造例16のプレーンヨーグルトを、製造例17(実施例9)、製造例18(実施例10)、製造例19(実施例11)、製造例20(実施例12)、製造例21(比較例8)、製造例22(比較例9)、製造例23(比較例10)、又は、製造例24(比較例11)に変更した以外は、実施例1と同様にしてブルーベリージャム入りヨーグルトを得た。得られたブルーベリージャム入りヨーグルトのブルーベリージャムとプレーンヨーグルトの風味と食感の調和のある一体感の評価結果を表5に示した。
【0158】
【0159】
表5から明らかなように、プレーンヨーグルトの原料ミックス全体中、生乳の含有量が60~97重量%、灰分量が0.85~1.25重量%であり、灰分中の(Ca+P)/(K+Mg+Na)(ミネラル分重量比)が1~1.25で、プレーンヨーグルトのカードのメジアン径が5~70μm、BH型粘度計でNo.4のローターを使用し、2rpmの回転速度で、10℃における粘度が20~60Pa・sであるプレーンヨーグルトを含むブルーベリージャム入りヨーグルト(実施例1、9~12)は何れも、すっきりとした酸味且つブルーベリー本来の自然な風味と適度な果肉感に加え、乳の濃厚さや乳本来の風味が感じられ、更に風味や食感の調和がとれていて、ブルーベリージャムとプレーンヨーグルトの一体感のあるものであり、良好な評価結果であった。
【0160】
一方、プレーンヨーグルトの原料ミックス全体中、生乳の含有量が40重量%と少ないプレーンヨーグルトを使用したブルーベリージャム入りヨーグルト(比較例8)は、プレーンヨーグルトの乳本来の風味が弱く、ブルーベリージャムとプレーンヨーグルトの調和が崩れており、一体感が感じられなかった。
【0161】
また、プレーンヨーグルトの原料ミックス全体中、生乳の含有量が100重量%と多く、灰分量が0.70重量%と少なく、10℃における粘度が5Pa・sと低いプレーンヨーグルトを使用したブルーベリージャム入りヨーグルト(比較例9)は、プレーンヨーグルトの乳の濃厚さが弱くて、とろみ感も低く、ブルーベリージャムとプレーンヨーグルトの調和が崩れており、一体感が感じられなかった。
【0162】
また、プレーンヨーグルトの原料ミックス全体中、灰分中の(Ca+P)/(K+Mg+Na)(ミネラル分重量比)が0.95と低いプレーンヨーグルトを使用したブルーベリージャム入りヨーグルト(比較例10)は、プレーンヨーグルトの乳の濃厚さが弱く感じられ、ブルーベリージャムとプレーンヨーグルトの調和が崩れており、一体感が感じられなかった。
【0163】
更に、プレーンヨーグルトの原料ミックス全体中、灰分中の(Ca+P)/(K+Mg+Na)(ミネラル分重量比)が1.45と高いプレーンヨーグルトを使用したブルーベリージャム入りヨーグルト(比較例11)は、プレーンヨーグルトの乳の濃厚さが弱く、プレーンヨーグルトにエグ味が感じられ、ブルーベリージャムとプレーンヨーグルトの調和が崩れており、一体感が感じられなかった。
【0164】
(実施例13~40) ブルーベリージャム入りヨーグルトの作製
表6の配合に従って、実施例1で使用したブルーベリージャムとプレーンヨーグルトをそれぞれ変更した以外は、実施例1と同様にしてブルーベリージャム入りヨーグルトを得た。得られたブルーベリージャム入りヨーグルトのブルーベリージャムとプレーンヨーグルトの風味と食感の調和のある一体感の評価結果を表6に示した。
【0165】
【0166】
表6から明らかなように、ブルーベリージャム全体中、ブルーベリーを23~40重量%、レモン果汁を固形分換算で0.30~0.65重量%含有し、ブルーベリーの内、目開き15mmの篩を通過し目開き5mmの篩を通過しないブルーベリーの含有量が10~20重量%であり、酸度が0.35~0.54%、Brixが45~55%、且つ25℃における硬度(圧縮時最大荷重)が0.9~1.6Nであるブルーベリージャムと、プレーンヨーグルトの原料ミックス全体中、生乳の含有量が60~97重量%、灰分量が0.85~1.25重量%であり、前記灰分中の(Ca+P)/(K+Mg+Na)(ミネラル分重量比)が1~1.25で、プレーンヨーグルトのカードのメジアン径が5~70μm、BH型粘度計でNo.4のローターを使用し、2rpmの回転速度で、10℃における粘度が20~60Pa・sであるプレーンヨーグルトを含むブルーベリージャム入りヨーグルト(実施例13~40)は何れも、ブルーベリージャムのすっきりとした酸味且つブルーベリー本来の自然な風味と適度な果肉感に加え、プレーンヨーグルトの乳の濃厚さ、乳本来の風味及びとろみ感が感じられ、更に風味や食感の調和がとれていて、ブルーベリージャムとプレーンヨーグルトの一体感のあるものであり、良好な評価結果であった。
【0167】
(実施例41~42、比較例12~13) ブルーベリージャム入りヨーグルトの作製
表7の配合に従って、ブルーベリージャム入りヨーグルト全体中、ブルーベリージャム18重量%とプレーンヨーグルト82重量%を、それぞれ、25重量%と75重量%(実施例41)、10重量%と90重量%(実施例42)、28重量%と72重量%(比較例12)、又は、8重量%と92重量%(比較例13)に変更した以外は、実施例1と同様にしてブルーベリージャム入りヨーグルトを得た。得られたブルーベリージャム入りヨーグルトのブルーベリージャムとプレーンヨーグルトの風味と食感の調和のある一体感の評価結果を表4に示した。
【0168】
【0169】
表7から明らかなように、ブルーベリージャム入りヨーグルト全体中、ブルーベリージャムが10~25重量%、プレーンヨーグルトが90~75重量%の範囲にあるブルーベリージャム入りヨーグルト(実施例1、41~42)は何れも、ブルーベリージャムとプレーンヨーグルトの一体感のあるものであり、良好な評価結果であった。
【0170】
一方、ブルーベリージャムが28重量%と多く、プレーンヨーグルトが72重量%と少ないブルーベリージャム入りヨーグルト(比較例12)や、ブルーベリージャムが8重量%と少なく、プレーンヨーグルトが92重量%と多いブルーベリージャム入りヨーグルト(比較例13)は、ブルーベリージャムとプレーンヨーグルトの調和が崩れており、一体感が感じられなかった。