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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2025059647
(43)【公開日】2025-04-10
(54)【発明の名称】表示装置及びソースドライバ
(51)【国際特許分類】
   G09G 3/36 20060101AFI20250403BHJP
   G09G 3/20 20060101ALI20250403BHJP
   G02F 1/133 20060101ALN20250403BHJP
【FI】
G09G3/36
G09G3/20 641Q
G09G3/20 612U
G09G3/20 633D
G09G3/20 623R
G09G3/20 623E
G09G3/20 623B
G02F1/133 550
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023169875
(22)【出願日】2023-09-29
(71)【出願人】
【識別番号】000116024
【氏名又は名称】ローム株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001025
【氏名又は名称】弁理士法人レクスト国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】樋口 鋼児
【テーマコード(参考)】
2H193
5C006
5C080
【Fターム(参考)】
2H193ZA02
2H193ZD21
2H193ZF13
2H193ZF33
5C006AA16
5C006AF13
5C006AF25
5C006AF38
5C006AF45
5C006AF46
5C006AF72
5C006BB16
5C006BC03
5C006BC12
5C006BC16
5C006BF04
5C006BF25
5C006EB05
5C006EC09
5C006FA03
5C006FA21
5C080AA06
5C080AA10
5C080BB05
5C080CC07
5C080DD01
5C080DD25
5C080EE29
5C080FF11
5C080FF12
5C080JJ01
5C080JJ02
5C080JJ05
5C080KK02
5C080KK20
(57)【要約】
【課題】表示画面内の部分領域に階調の異なる画像が表示される場合に、階調潰れを起こすことなく画質調整を行うことが可能な表示装置を提供する。
【解決手段】映像データ信号出力部は、映像データに基づいて、表示パネルの表示画面の少なくとも1つの部分領域について、当該少なくとも1つの部分領域に対応するガンマ補正の設定情報であるガンマ設定データを映像データに基づいて生成するガンマ設定データ生成部を有する。ソースドライバは、ガンマ設定データの供給を受け、ガンマ設定データに基づいて少なくとも1つの部分領域に対応するガンマ補正カーブである局所ガンマ補正カーブを生成するガンマカーブ生成部と、局所ガンマ補正カーブに基づいて、複数の画素データ片に対応する階調電圧のガンマ補正を少なくとも1つの部分領域毎に行うデコーダ部と、ガンマ補正を経た階調電圧に基づいて画素駆動電圧を出力する出力部と、を有する。
【選択図】図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数本のソースライン及び複数本のゲートラインと、前記複数本のソースラインと前記複数本のゲートラインとの交差部の各々にマトリクス状に設けられた複数個の画素部と、を有する表示パネルと、
映像データの入力を受け、前記映像データに基づいて複数の画素データ片の系列を含む映像データ信号を出力する映像データ信号出力部と、
前記映像データ信号出力部から前記映像データ信号の供給を受け、前記映像データ信号に基づいて前記複数個の画素部に印加する画素駆動電圧を出力するソースドライバと、
を有し、
前記映像データ信号出力部は、前記表示パネルの表示画面の少なくとも1つの部分領域について、当該少なくとも1つの部分領域に対応するガンマ補正の設定情報であるガンマ設定データを前記映像データに基づいて生成するガンマ設定データ生成部を有し、
前記ソースドライバは、
前記ガンマ設定データの供給を受け、前記ガンマ設定データに基づいて前記少なくとも1つの部分領域に対応するガンマ補正カーブである局所ガンマ補正カーブを生成するガンマカーブ生成部と、
前記局所ガンマ補正カーブに基づいて、前記複数の画素データ片に対応する階調電圧のガンマ補正を前記少なくとも1つの部分領域毎に行うデコーダ部と、
前記ガンマ補正を経た前記階調電圧に基づいて前記画素駆動電圧を出力する出力部と、
を有することを特徴とする表示装置。
【請求項2】
前記映像データ信号出力部は、前記映像データに基づいて前記少なくとも1つの部分領域に表示される画像である局所画像の階調を分析する局所画像分析部を有し、
前記ガンマ設定データ生成部は、前記局所画像分析部による分析結果に基づいて、前記ガンマ設定データを生成することを特徴とする請求項1に記載の表示装置。
【請求項3】
前記ガンマカーブ生成部及び前記デコーダ部は、前記複数本のソースラインから構成されるチャネル毎に複数設けられ、
前記ソースドライバは、複数の前記デコーダ部からチャネル毎に1の前記デコーダ部を選択するデコーダ選択回路を有することを特徴とする請求項1に記載の表示装置。
【請求項4】
複数本のソースラインと、前記複数本のソースラインに接続された複数の画素部と、を有する表示パネルに接続され、複数の画素データ片の系列を含む映像データ信号を受け、前記映像データ信号に基づいて前記複数の画素部に印加する画素駆動電圧を出力するソースドライバであって、
前記表示パネルの表示画面の少なくとも1つの部分領域に対応するガンマ補正の設定データであるガンマ設定データの入力を受け、前記ガンマ設定データに基づいて前記少なくとも1つの部分領域に対応するガンマ補正カーブである局所ガンマ補正カーブを生成するガンマカーブ生成部と、
前記局所ガンマ補正カーブに基づいて、前記複数の画素データ片に対応する階調電圧のガンマ補正を前記少なくとも1つの部分領域毎に行うデコーダ部と、
前記ガンマ補正を経た前記階調電圧に基づいて前記画素駆動電圧を出力する出力部と、
を有することを特徴とするソースドライバ。
【請求項5】
前記ガンマカーブ生成部及び前記デコーダ部は、前記複数本のソースラインから構成されるチャネル毎に複数設けられ、
複数の前記デコーダ部からチャネル毎に1の前記デコーダ部を選択するデコーダ選択回路を有することを特徴とする請求項4に記載のソースドライバ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、表示装置及びソースドライバに関する。
【背景技術】
【0002】
液晶や有機EL(OLED)等の表示デバイスからなる表示装置において、ガンマカーブを用いた輝度の補正(ガンマ補正)が行われている。このようなガンマ補正を行う回路として、階調電圧生成器によって特定のシナリオに対応した階調電圧を選択し、選択した階調電圧の微調整を設定レジスタに設定する第1および第2の参照基準電圧を変化させることにより行うことで、所望のガンマ補正カーブに合致したガンマ補正を行うガンマ補正回路が提案されている(例えば、特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2009-25665号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
近年、TV会議システムの表示等において、ディスプレイ内にソースの異なる複数の画像を表示することが行われている。このような複数の画像の中に、画像内の平均輝度の異なる画像が存在している場合、それぞれの平均輝度付近に階調を多めに割り当てるように画質調整が行われる。例えば、複数の画像の中に、黒潰れした画像及び白飛びした画像の両方が存在している場合、黒領域及び白領域にそれぞれ階調が多めに割り当てられることになる。
【0005】
しかしながら、このような階調の割り当てを行うと、黒領域及び白領域の中間階調付近の階調数が縮退してグラデーションが粗くなり、所謂階調潰れが生じてしまうという問題があった。
【0006】
本発明は上記問題点に鑑みてなされたものであり、表示画面内の部分領域に階調の異なる画像が表示される場合に、階調潰れを起こすことなく画質調整を行うことが可能な表示装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明に係る表示装置は、複数本のソースライン及び複数本のゲートラインと、前記複数本のソースラインと前記複数本のゲートラインとの交差部の各々にマトリクス状に設けられた複数個の画素部と、を有する表示パネルと、映像データの入力を受け、前記映像データに基づいて複数の画素データ片の系列を含む前記映像データ信号を出力する映像データ信号出力部と、前記映像データ信号出力部から前記映像データ信号の供給を受け、前記映像データ信号に基づいて前記複数個の画素部に印加する画素駆動電圧を出力するソースドライバと、を有し、前記映像データ信号出力部は、前記表示パネルの表示画面の少なくとも1つの部分領域について、当該少なくとも1つの部分領域に対応するガンマ補正の設定情報であるガンマ設定データを前記映像データに基づいて生成するガンマ設定データ生成部を有し、前記ソースドライバは、前記ガンマ設定データの供給を受け、前記ガンマ設定データに基づいて前記少なくとも1つの部分領域に対応するガンマ補正カーブである局所ガンマ補正カーブを生成するガンマカーブ生成部と、前記局所ガンマ補正カーブに基づいて、前記複数の画素データ片に対応する階調電圧のガンマ補正を前記少なくとも1つの部分領域毎に行うデコーダ部と、前記ガンマ補正を経た前記階調電圧に基づいて前記画素駆動電圧を出力する出力部と、を有することを特徴とする。
【0008】
本発明に係るソースドライバは、複数本のソースラインと、前記複数本のソースラインに接続された複数の画素部と、を有する表示パネルに接続され、複数の画素データ片の系列を含む映像データ信号を受け、前記映像データ信号に基づいて前記複数の画素部に印加する画素駆動電圧を出力するソースドライバであって、前記表示パネルの表示画面の少なくとも1つの部分領域に対応するガンマ補正の設定データであるガンマ設定データの入力を受け、前記ガンマ設定データに基づいて前記少なくとも1つの部分領域に対応するガンマ補正カーブである局所ガンマ補正カーブを生成するガンマカーブ生成部と、前記局所ガンマ補正カーブに基づいて、前記複数の画素データ片に対応する階調電圧のガンマ補正を前記少なくとも1つの部分領域毎に行うデコーダ部と、前記ガンマ補正を経た前記階調電圧に基づいて前記画素駆動電圧を出力する出力部と、を有することを特徴とする。
【発明の効果】
【0009】
本発明に係る表示装置によれば、表示画面内の部分領域に階調の異なる画像が表示される場合に、階調潰れを起こすことなく画質調整を行うことが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】本発明の実施例に係る表示装置の構成を示すブロック図である。
図2】複数のウィンドウに異なる画像が表示された表示画面の例を示す図である。
図3】タイミングコントローラ及びソースドライバの構成を示すブロック図である。
図4】画像データラッチ回路、デコーダ回路及びデコーダ選択回路の構成を示すブロック図である。
図5A図2の第1のウィンドウに対応するガンマ補正カーブの例を示す図である。
図5B図2の第2のウィンドウに対応するガンマ補正カーブの例を示す図である。
図5C図2の表示画像全体のガンマカーブの例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下に本発明の好適な実施例を詳細に説明する。なお、以下の実施例における説明及び添付図面においては、実質的に同一または等価な部分には同一の参照符号を付している。
【0012】
図1は、本発明の実施例に係る表示装置の構成を示すブロック図である。表示装置100は、アクティブマトリクス駆動方式の液晶表示装置である。表示装置100は、表示パネル11、タイミングコントローラ12、ゲートドライバ13及びソースドライバ14-1~14-kを含む。
【0013】
表示パネル11は、複数の画素部P11~Pnm及び画素スイッチM11~Mnm(n,m:2以上の自然数)がマトリクス状に配置された半導体基板から構成されている。表示パネル11は、各々が水平方向に延伸する走査線であるn本のゲート線GL1~GLnと、これに交差するように配されたデータ線であるm本のソース線SL1~SLmと、を有する。画素部P11~Pnm及び画素スイッチM11~Mnmは、ゲート線GL1~GLn及びソース線SL1~SLmの交差部に設けられている。
【0014】
画素スイッチM11~Mnmは、ゲートドライバ13から供給されるゲート信号Vg1~Vgnに応じてオン又はオフに制御される。
【0015】
画素部P11~Pnmは、ソースドライバ14-1~14-kから映像データに対応した階調電圧(駆動電圧)の供給を受ける。具体的には、ソースドライバ14-1~14-kから画素駆動電圧信号Vd1~Vdmがソース線SL1~SLmに出力され、画素スイッチM11~Mnmがそれぞれオンのときに、画素駆動電圧信号Vd1~Vdmが画素部P11~Pnmに印加される。これにより、画素部P11~Pnmの各々の画素電極が充電され、輝度が制御される。
【0016】
画素部P11~Pnmの各々は、画素スイッチM11~Mnmを介してソース線SL1~SLmに接続される透明電極と、半導体基板に対向して設けられ且つ面全体に1つの透明な電極が形成された対向基板との間に封入された液晶と、を含む。表示装置内部のバックライトに対して、画素部P11~Pnmに印加された階調電圧(駆動電圧)と対向基板電圧との電位差に応じて液晶の透過率が変化することにより、表示が行われる。
【0017】
タイミングコントローラ12は、映像データVSに基づき各画素の輝度レベルを例えば8ビットの256段階の輝度階調で表す画素データ片PDの系列(シリアル信号)を生成する。また、タイミングコントローラ12は、同期信号SSに基づいて、一定のクロック周期を有する埋め込みクロック方式のクロック信号CLK を生成する。タイミングコントローラ12は、画素データ片PDの系列とクロック信号CLKとを一体化したシリアル信号である映像データ信号VDSを生成し、ソースドライバ14-1~14-kに供給して映像データの表示制御を行う。映像データ信号VDSは、所定数のソース線毎に伝送路の数に応じてシリアル化された映像データ信号として構成されている。
【0018】
本実施例では、各々がm個の画素データ片PDからなるn個の画素データ片群がシリアルに連続することにより、1フレーム分の映像データ信号VDSが構成されている。n個の画素データ片群の各々は、それぞれ1水平走査ライン(すなわち、ゲート線GL1~GLnの各々)上の画素を供給対象とする階調電圧に対応する画素データ片からなる画素データ片群である。ソースドライバ14-1~14-kの動作により、m×n個の画素データ片PDに基づいて、n×m個の画素部(すなわち、画素部P11~Pnm)を供給対象とする画素駆動電圧信号Vd1~Vdmがソース線を介して印加される。
【0019】
また、タイミングコントローラ12は、同期信号SSに基づいて、映像データ信号VDSの1フレーム毎のタイミングを示すフレーム同期信号FSを生成し、ソースドライバ14に供給する。タイミングコントローラ12は、ゲートドライバ13の動作を制御するゲート制御信号GSを生成し、ゲートドライバ13に供給する。
【0020】
ゲートドライバ13は、タイミングコントローラ12からゲート制御信号GSの供給を受けて動作し、ゲート制御信号GSに含まれるクロックタイミングに基づいて、ゲート信号Vg1~Vgnを順次ゲート線GL1~GLnに供給する。ゲート信号Vg1~Vgnの供給により、画素行毎に画素部P11~Pnmが選択される。そして、選択された画素部に対して、ソースドライバ14-1~14-kから画素駆動電圧信号Vd1~Vdmが印加されることにより、画素電極への階調電圧の書き込みが行われる。
【0021】
換言すると、ゲートドライバ13の動作により、ゲート線の伸長方向に沿って(すなわち、横一列に)配置されたm個の画素部が、画素駆動電圧信号Vd1~Vdmの供給対象として選択される。ソースドライバ14-1~14-kは、選択された横一列の画素部に対して画素駆動電圧信号Vd1~Vdmを印加し、電圧に応じた色を表示させる。画素駆動電圧信号Vd1~Vdmの供給対象として選択される横一列分の画素部を選択的に切り替えながら、ソース線の伸長方向(すなわち、縦方向)に繰り返すことにより、1フレーム分の画面表示が行われる。
【0022】
ソースドライバ14-1~14-kは、ソース線SL1~SLmを分割した所定数のデータ線毎に設けられている。ソースドライバ14-1~14-kは、別々の半導体IC(Integrated Circuit)チップに形成されている。例えば、ソースドライバ1個あたり960出力を有し、表示パネルが1画素列あたりデータ線1本を備えている場合、4Kパネルは12個、8Kパネルは24個のソースドライバでソース線が駆動される。ソースドライバ14-1~14-kは、タイミングコントローラ12から、それぞれ別々の伝送路で、フレーム同期信号FSと、クロック信号CLK及び映像データ信号VDSが一体化されたシリアル信号と、の供給を受ける。タイミングコントローラ12と各データドライバ間の伝送路が1ペア(2本)の場合、1データ期間に、ソースドライバの出力数分の映像データVDがシリアル化された差動信号として供給される。
【0023】
本実施例では、表示パネル11に表示される画面(以下、表示画面DSと称する)に複数のウィンドウが表示され、当該複数のウィンドウに互いにソースが異なる複数の画像が表示される。以下の説明では、これらのウィンドウが表示される領域を表示画面DSの部分領域と称する。例えば、表示装置100に接続されたコンピュータを用いてTV会議を行う場合や、表示装置100に接続された車載用のナビゲーション装置を用いてナビゲーション画面の表示とバックカメラの画像の表示とを同時に行う場合に、このような表示が行われる。
【0024】
図2は、複数の部分領域(複数のウィンドウ)に異なる画像が表示された表示画面DSの例を示す図である。ここでは、第1のウィンドウW1及び第2のウィンドウW2にそれぞれ異なる人物が写った画像が表示されている例を示している。
【0025】
第1のウィンドウW1には、背景が暗く、全体的に黒の階調が強い画像が表示されている。一方、第2のウィンドウW2には、背景が明るく、全体的に白の階調が強い画像が表示されている。
【0026】
本実施例の表示装置100は、このような表示画面内に階調の異なる画像が表示される場合に対応した画質調整を行う機能を有する。かかる機能について、以下説明する。
【0027】
図3は、タイミングコントローラ12及びソースドライバ14-1~14-kの画質調整機能に関わる部分の構成を示すブロック図である。ここでは、ソースドライバ14-1~14-kのうち、ソースドライバ14-1及び14-2のみを抜き出して示している。
【0028】
タイミングコントローラ12は、全体画質調整回路21、部分領域設定部22及び画像データ制御回路23を有する。全体画質調整回路21は、映像データVSの全体の画質調整を行う。
【0029】
部分領域設定部22は、映像データVSに基づいて、表示パネル11の表示画面DS内の一部の領域であって画像が表示される領域を部分領域として設定する。例えば、部分領域設定部22は、映像データVSに含まれる画像データが表示画面DSに表示される際の表示位置及びその階調の情報に基づいて、部分領域を設定する。例えば、図2の例では、表示画面DS内の第1のウィンドウW1及び第2のウィンドウW2が表示される領域がそれぞれ部分領域として設定される。
【0030】
画像データ制御回路23は、映像データVSに基づいて生成された映像データ信号VDSを、部分領域設定部22により設定された部分領域の情報とともにソースドライバ14-1及び14-2に供給する。
【0031】
また、タイミングコントローラ12は、複数の局所画像分析回路及びガンマカーブ調整回路を有する。図3では、このうち局所画像分析回路24A、24B及びガンマカーブ調整回路25A、25Bのみを示している。
【0032】
局所画像分析回路24Aは、部分領域設定部22により設定された1又は複数の部分領域に表示される画像である局所画像について階調の分析を行う。ガンマカーブ調整回路25Aは、局所画像分析回路24Aの分析結果に基づいて、部分領域に対応するガンマ補正カーブの設定情報であるガンマ設定データGSDを生成する。ガンマカーブ調整回路25Aは、生成したガンマ設定データGSDをソースドライバ14-1及び14-2に供給する。
【0033】
同様に、局所画像分析回路24Bは、局所画像分析回路24Aが分析する局所画像とは異なる部分領域に表示される局所画像について階調の分析を行う。ガンマカーブ調整回路25Bは、局所画像分析回路24Bの分析結果に基づいてガンマ設定データGSDを生成し、ソースドライバ14-1及び14-2に供給する。
【0034】
ソースドライバ14-1は、画像データラッチ回路31、ガンマカーブ生成回路32、デコーダ回路33、デコーダ選択回路34及び出力回路35を有する。ガンマカーブ生成回路32及びデコーダ回路33は、それぞれ複数設けられている。
【0035】
画像データラッチ回路31は、タイミングコントローラ12から供給された映像データ信号VDSに含まれる画素データ片PDの系列を順次取り込む。画像データラッチ回路31は、1水平走査ライン分の画素データ片PDのうちソースドライバ14-1が供給対象とする階調電圧信号に対応する個数(m個)の画素データ片PDが取り込まれる度に、取り込んだ画素データ片PDをデコーダ回路33に供給する。
【0036】
ガンマカーブ生成回路32は、タイミングコントローラ12から供給されたガンマ設定データGSDに基づいて、部分領域に対応するガンマ補正カーブである局所ガンマ補正カーブを生成する。部分領域が複数存在する場合、複数のガンマカーブ生成回路によって複数の局所ガンマ補正カーブが生成される。
【0037】
複数のデコーダ回路33は、それぞれ複数のガンマカーブ生成回路32に対応して設けられている。デコーダ選択回路34は、画像データラッチ回路31から出力された画素データ片PD及びタイミングコントローラ12から供給された部分領域の情報に基づいて、複数のデコーダ回路33のうちのいずれかを選択する。
【0038】
デコーダ回路33は、画像データラッチ回路31から画素データ片PDの供給を受けるとともに、ガンマカーブ生成回路32から局所ガンマ補正カーブの供給を受ける。デコーダ回路33は、局所ガンマ補正カーブを用いて部分領域に対応するガンマ補正を行いつつ、画素データ片PDのDA変換を行う。すなわち、デコーダ回路33は、図示せぬ階調電圧生成部から供給された階調電圧の中から、自身が供給を受けた画素データ片PDに示される輝度に対応した階調電圧を選択する。デコーダ回路33は、ガンマカーブ生成回路32から供給された局所ガンマ補正カーブに基づいて階調電圧のガンマ補正を行う。
【0039】
出力回路35は、デコーダ回路33により行われたガンマ補正を反映した階調電圧信号を増幅し、画素駆動電圧信号Vdとして出力する。
【0040】
図4は、画像データラッチ回路31、デコーダ回路33及びデコーダ選択回路34の構成を示すブロック図である。
【0041】
タイミングコントローラ12から供給された映像データ信号VDSは、インタフェース51を介してソースドライバ14-1に入力され、画像データラッチ回路31内のデータラッチの各々に供給される。
【0042】
また、ガンマ設定データGSDは、タイミングコントローラ12から供給されたインタフェース51を介してレジスタ52に格納され、ガンマカーブ生成回路32-1~32-3に供給される。
【0043】
画像データラッチ回路31は、データラッチ41A~41Fを含む。データラッチ41A~41Fは、チャネル毎に設けられており、映像データ信号VDSに含まれる画素データ片PDの系列を、インタフェース51を介して順次取り込む。
【0044】
デコーダ回路33は、第1デコーダD1A~D1F、第2デコーダD2A~D2F、及び第3デコーダD3A~D3Fを含む。すなわち、デコーダ回路33では、チャネル毎に3つのデコーダが設けられている。
【0045】
ガンマカーブ生成回路32-1~32-3は、第1~第3のデコーダに対応して設けられている。ガンマカーブ生成回路32は、レジスタ52から読み出されたガンマ設定データGSDに基づいて、ガンマ補正カーブを生成する。ガンマカーブ生成回路32-1は第1デコーダD1A~D1F、ガンマカーブ生成回路32-2は第2デコーダD2A~D2F、ガンマカーブ生成回路32-3は第3デコーダD3A~D3Fに、それぞれガンマ補正カーブを供給する。
【0046】
デコーダ選択回路34は、選択回路44A~44Fを含む。選択回路44A~44Fは、チャネル毎に設けられており、チャネル毎にデコーダを選択する。
【0047】
出力回路35は、チャネル毎に設けられており、デコーダ選択回路34により選択されたデコーダにおいて行われたガンマ補正を経た階調電圧信号に基づいて、チャネル毎の画素駆動電圧信号Vdを出力端子STから出力する。
【0048】
なお、ここではA~Fまでのチャネルを抜粋して示しているが、実際にはより多くのチャネルが存在し、各チャネルについて同様の構成が設けられている。
【0049】
以上のように、本実施例の表示装置100では、部分領域を設定して局所ガンマ補正カーブを部分領域毎に生成し、生成したガンマ補正カーブに基づいて階調電圧のガンマ補正を行うことにより、画素駆動電圧信号Vdを生成する。
【0050】
図5Aは、上記のような局所ガンマ補正カーブとは異なり、表示画面DSの全体のガンマ補正カーブを示す図である。このガンマ補正カーブは、表示パネル11の特性によって決まるものであり、ここでは黒側及び白側のいずれにも偏らない形状を有する。
【0051】
図5Bは、図2の表示画面DSの第1のウィンドウW1が位置する部分領域に対応する局所ガンマ補正カーブを示す図である。第1のウィンドウW1に表示される局所画像は暗い画像であるため、その局所ガンマ補正カーブは、黒側の階調の破線で囲まれた部分が急峻になっている。この局所ガンマ補正カーブを用いてガンマ補正が行われることにより、第1のウィンドウW1の画像は、黒側の階調が強調して表示される。
【0052】
図5Cは、図2の表示画面DSの第2のウィンドウW2が位置する部分領域に対応する局所ガンマ補正カーブを示す図である。第2のウィンドウW2に表示される局所画像は明るく、白色を帯びた画像であるため、その局所ガンマ補正カーブは、白側の階調の破線で囲まれた部分が急峻になっている。この局所ガンマ補正カーブを用いてガンマ補正が行われることにより、第2のウィンドウW2の画像は、白側の階調が強調して表示される。
【0053】
このように、本実施例の表示装置100では、部分領域像毎に局所ガンマ補正カーブが生成され、部分領域に表示される局所画像の階調に応じたガンマ補正が行われる。このため、階調が大きく異なる画像が含まれる表示画面に対して、表示画面全体に対応する1つのガンマ補正カーブのみを用いてガンマ補正を行った場合に生じる問題、すなわち中間階調付近のグラデーションが粗くなる所謂階調潰れの問題が生じない。
【0054】
したがって、本実施例の表示装置100によれば、表示画面内の部分領域に階調の異なる画像が表示される場合に、階調潰れを起こすことなく画質調整を行うことが可能となる。
【0055】
なお、本発明は上記実施例で示したものに限られない。例えば、図2では表示画面DSの複数の部分領域に第1のウィンドウW1及び第2のウィンドウW2が表示され、それぞれのウィンドウに階調の異なる画像が表示される場合を例として説明した。しかし、表示画面内の分割領域の数はこれに限られず、本実施例の表示装置100は、少なくとも1つの部分領域が存在している場合に適用することが可能である。その際、当該少なくとも1つの部分領域に応じたガンマ補正カーブを生成し、部分領域毎のガンマ補正を行うように構成されていればよい。
【0056】
また、図4ではチャネル毎に第1~第3の3つのデコーダが設けられている場合を例として説明したが、デコーダの数はこれに限られない。
【0057】
また、上記実施例では、タイミングコントローラ12が、全体画質調整回路21、部分領域設定部22、画像データ制御回路23、局所画像分析回路24A、24B及びガンマカーブ調整回路25A、25Bを有する場合について説明した。しかし、これらの機能はタイミングコントローラ12以外の映像データ信号出力部に設けられていてもよく、例えばSoC(System on Chip)に設けられていてもよい。
【0058】
また、上記実施例では、表示装置100がアクティブマトリクス方式の液晶表示装置である場合を例として説明した。しかし、表示装置100は有機EL(OLED)の表示装置であってもよい。
【符号の説明】
【0059】
100 表示装置
11 表示パネル
12 タイミングコントローラ
13 ゲートドライバ
14 ソースドライバ
21 全体画質調整回路
22 部分領域設定部
23 画像データ制御回路
24A,24B 局所画像分析回路
25A,25B ガンマカーブ調整回路
31 画像データラッチ回路
32 ガンマカーブ生成回路
33 デコーダ回路
34 デコーダ選択回路
35 出力回路
図1
図2
図3
図4
図5A
図5B
図5C