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特開2025-5969中綿、中綿を含む寝装品及び中綿の生産方法
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  • 特開-中綿、中綿を含む寝装品及び中綿の生産方法 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2025005969
(43)【公開日】2025-01-17
(54)【発明の名称】中綿、中綿を含む寝装品及び中綿の生産方法
(51)【国際特許分類】
   A47G 9/02 20060101AFI20250109BHJP
   B32B 5/26 20060101ALI20250109BHJP
   D04H 1/02 20060101ALI20250109BHJP
   B68G 7/02 20060101ALI20250109BHJP
【FI】
A47G9/02 E
B32B5/26
D04H1/02
B68G7/02
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023106448
(22)【出願日】2023-06-28
【新規性喪失の例外の表示】新規性喪失の例外適用申請有り
(71)【出願人】
【識別番号】523170552
【氏名又は名称】青島上雅家居用品股▲ふん▼有限公司
(74)【代理人】
【識別番号】100103207
【弁理士】
【氏名又は名称】尾崎 隆弘
(72)【発明者】
【氏名】王岩鵬
【テーマコード(参考)】
3B102
4F100
4L047
【Fターム(参考)】
3B102BA07
3B102BA11
3B102BA12
3B102BA13
4F100AR00D
4F100BA03
4F100BA05
4F100BA06
4F100BA10B
4F100BA10C
4F100DG03A
4F100DG03E
4F100DG06A
4F100DG06E
4F100DG11B
4F100DG11C
4F100EH17
4F100EJ30
4F100EJ37
4F100JJ01A
4F100JJ01E
4F100JJ02D
4F100JM10A
4F100JM10E
4F100YY00A
4F100YY00E
4L047AA28
4L047AA29
4L047AB02
4L047AB07
4L047AB08
4L047CB06
4L047CC07
(57)【要約】
【課題】高い保温性を有するとともに、その構造を単純化することができる掛け布団や毛布等の寝装品等に使用する中綿、中綿を含む寝装品及び中綿の生産方法を提供する。
【解決手段】寝装品の一種としての掛け布団10は、図1(a)に示すように、エアロゲルを練り込んだ中綿層1、中綿層1の表面と裏面にそれぞれ設ける表地2と、裏地3とを備えている。寝装品の一種としての毛布11は、図1(b)に示すように、エアロゲルを練り込んだ2枚の中綿層1と、その表側と裏側にそれぞれ設ける、マイクロファイバーの表地2と、マイクロファイバーの裏地3とを備え、2枚の中綿層1の間に断熱層、例えば、アルミニウム層4を設けている。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
エアロゲルが練り込まれた短繊維を含み、
前記短繊維の全重量に対する前記エアロゲルの重量比率が0.1%~10%であり、
前記エアロゲルの熱伝導率が、0.01~0.03W/(m・k)、前記短繊維の熱伝導率が、0.1~0.14W/(m・k)であることを特徴とする、中綿。
【請求項2】
前記中綿を構成する繊維が、前記エアロゲルが練り込まれた短繊維のみであることを特徴とする、請求項1に記載の中綿。
【請求項3】
前記短繊維と異なる第2の繊維を含み、中綿の全重量に対する前記第2の繊維の重量比率が、0~95%(ただし、0%を除く。)であることを特徴とする、請求項1に記載の中綿。
【請求項4】
前記短繊維の繊維径は0.5Dtex~50Dtex、長さは20mm~100mmであり、前記第2の繊維は短繊維であり、その繊維径は0.5Dtex~50Dtex、長さは20mm~250mmであることを特徴とする、請求項3に記載の中綿。
【請求項5】
表地と裏地と、
前記表地と裏地との間に設けられ、請求項1~4に記載の中綿で構成される中綿層と、を有することを特徴とする、
寝装品。
【請求項6】
さらに断熱層を有し、
2枚の前記中綿層が前記断熱層を表側及び裏側から挟持し、
前記2枚の中綿層を前記表地及び裏地で挟持してなる、請求項5に記載の寝装品。
【請求項7】
合成繊維原料にエアロゲルを練り込み、合成繊維原料を重合させてエアロゲルを含むチップとし、これを溶融紡糸とする溶融紡糸生産工程と、
該溶融紡糸を延伸させ、切断し、短繊維を生産する短繊維生産工程と、
該短繊維を中綿に形成する中綿形成工程と、
を設けたことを特徴とする、
中綿の生産方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、掛け布団、毛布等の寝装品等に使用する中綿、中綿を含む寝装品及び中綿の生産方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
特許文献1~3に示す掛け布団は、表地と裏地と、表地と裏地との間に配設した中綿や羽毛等で構成されている。掛け布団の保温性を高めるために、中綿を構成する繊維間や羽毛間で形成される空気層を多く確保する必要がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】実用新案登録第3236318号公報
【特許文献2】特許第6584046号公報
【特許文献3】特許第6641061号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
中綿にエアロゲルを使用すると、保温性が向上することが考えられるが、エアロゲル中綿層は、製造工程が複雑化して、生産コストを下げることが非常に困難である。また、エアロゲルは耐久性が低い、エアロゲル繊維が中わたの中の空気をキャッチすることが難しく、高い保温・断熱効果が得られないおそれがある等の課題がある。
【0005】
そこで、本発明は、高い保温性を有するとともに、その構造を単純化することができる掛け布団や毛布等の寝装品等に使用する中綿、中綿を含む寝装品及び中綿の生産方法を提供することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
前記の課題を解決するために、本発明は、エアロゲルが練り込まれた短繊維を含み、前記短繊維の全重量に対する前記エアロゲルの重量比率が0.1%~10%であり、前記エアロゲルの熱伝導率が、0.01~0.03W/(m・k)、前記短繊維の熱伝導率が、0.1~0.14W/(m・k)であることを特徴とする、中綿である。これにより、高い保温性を有するとともに、その構造を単純化することができる。本発明の中綿は、掛け布団や毛布等の寝装品に使用することにより、高い保温性を有する寝装品を提供することができるが、本発明の中綿の使用は寝装品に限定されない。例えば、ラグ・クッションなどのインテリア用品にも本発明の中綿を使用可能である。
【0007】
前記中綿を構成する繊維が、前記エアロゲルが練り込まれた短繊維のみであってもよい。
【0008】
前記短繊維と異なる第2の繊維を含み、中綿の全重量に対する前記第2の繊維の重量比率が、0~95%(ただし、0%を除く。)であることが好ましい。これにより、中綿層の生産に支障を生じない。
【0009】
前記短繊維の繊維径は0.5Dtex~50Dtex、長さは20mm~100mmであり、前記第2の繊維は短繊維であり、その繊維径は0.5Dtex~50Dtex、長さは20mm~250mmであることが好ましい。これにより、中綿層の生産に支障を生じない。
【0010】
本発明は、また、表地と裏地と、前記表地と裏地との間に設けられ、上記の中綿で構成される中綿層と、を有することを特徴とする、寝装品である。これにより、軽くて、薄くて、保温性が高く、熱が逃げにくい寝装品を提供できる。
【0011】
さらに断熱層を有し、2枚の前記中綿層が前記断熱層を表側及び裏側から挟持し、前記2枚の中綿層を前記表地及び裏地で挟持してなる寝装品であることが好ましい。これにより、軽くて、薄くて、さらに保温性が高く、熱が逃げにくい毛布を提供できる。
【0012】
本発明は、また、合成繊維原料にエアロゲルを練り込み、合成繊維原料を重合させてエアロゲルを含むチップとし、これを溶融紡糸とする溶融紡糸生産工程と、該溶融紡糸を延伸させ、切断し、短繊維を生産する短繊維生産工程と、該短繊維を中綿に形成する中綿形成工程と、を設けたことを特徴とする、中綿の生産方法である。これにより、高い保温性を有するとともに、その構造を単純化することができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1】本発明実施形態に係る寝装品の断面図。
図2】本発明実施形態のエアロゲル練り込みポリエステル短繊維の生産工程を示すフローチャート。
図3】本発明実施形態の中綿シートの生産工程1の説明図。
図4】本発明実施形態の中綿シートの生産工程2の説明図。
図5】本発明実施形態の中綿シートの生産工程3の説明図。
【発明を実施するための形態】
【0014】
本発明の実施形態について、図面を参照して説明する。
【0015】
本実施形態1の寝装品の一種としての掛け布団10は、図1(a)に示すように、エアロゲルを練り込んだ中綿層1、中綿層1の表面と裏面にそれぞれ設ける表地2と、裏地3とを備えている。中綿層1は、その全体の厚さを2~100mmとしている。表地2と、裏地3の厚さは2~30mmである。
【0016】
表地2と裏地3は、綿、ポリエステル、レーヨン又はリヨセル等の任意の材料で構成されている。また、表地2と裏地3として、起毛した生地を用いることが好ましい。
【0017】
本実施形態1の寝装品の一種としての毛布11は、図1(b)に示すように、エアロゲルを練り込んだ2枚の中綿層1と、その表側と裏側にそれぞれ設ける、マイクロファイバーの表地2と、マイクロファイバーの裏地3とを備え、2枚の中綿層1の間に断熱層、例えば、アルミニウム層4を設けている。中綿層1の厚さは、2~100mm、表地2、裏地3の厚さは2~30mm、断熱層の厚さは、1~10mmである。本実施形態の中綿層1には吸湿発熱性があるが、これと、吸湿発熱綿(例えばアクリレートとレーヨン、リヨセル、コットンの1種類または2種類以上混用)や蓄熱保温綿(例えば、ポリエステル、ポリプロピレン、アクリルの1種類または2種類以上混用)とを組み合わせて、より保温性をあげることができる。
【0018】
中綿層1は、化学繊維綿をシート状に形成した中綿で構成されている。化学繊維綿は、化学繊維から生産される綿(わた)であり、化学繊維綿の化学繊維としては、再生繊維、半合成繊維、合成繊維、無機質繊維などが挙げられ、ポリエステル、ナイロン、ポリプロピレンなどの合成繊維を用いることが好ましく、複数の素材の繊維を複合したものであってもよい。また、中綿層1を構成する中綿には、化学繊維の他に天然繊維が含まれていてもよい。
【0019】
また、中綿層1を構成する中綿は、エアロゲル練り込み短繊維を含んでいる。エアロゲル練り込み短繊維は、エアロゲルを短繊維の合成繊維原料に練り込み、重合反応を生じさせて、チップとし、これを溶融紡糸として、これから短繊維を製造する。
【0020】
エアロゲルとしては、シリカエアロゲル、カーボンエアロゲル、アルミナエアロゲルなどが挙げられるが、本実施形態では、シリカエアロゲルを用いる。エアロゲルは、その熱伝導率が極めて低く、高い断熱特性を有するものである。
【0021】
本実施形態において、表地2及び裏地3は、綿、ウール、麻等の天然繊維、レーヨン等の再生繊維、ポリエステル、ナイロン、アクリル系繊維等の合成繊維、天然あるいは合成の皮革等、任意の素材の生地を使用できる。表地2と裏地3を同じ素材としても、異なる素材としてもよく、生産するものによって適宜素材を選ぶことができる。
【0022】
毛布11は、通気性を有するとともに、アルミニウム層4を設けているため、エアロゲルを練り込んだ中綿層1の熱を反射し、かつ、エアロゲルの高い断熱特性により、熱を表地2と裏地3内に閉じ込めることができるため、高い保温性を確保できる。
【0023】
本実施形態では、ポリエステルにシリカエアロゲルを練り込んだ短繊維を含む中綿で構成した中綿層1を用いた。
【0024】
羽毛のように、保温性の高い合成繊維の寝装品を提供するため、熱伝導率の低いエアロゲルをポリエステル短繊維に練り込むことにより、寝装品の保温性を高めることができる。ポリエステル短繊維の熱伝導率が低いほど、保温性や断熱性が高い。
【0025】
図1(a)に示す掛け布団10のように中綿層1を表地2と裏地3の間に1層設ける場合の他、複数の層を設ける場合もある。例えば、表地2と裏地3の間に3層以上ある例が挙げられる。
【0026】
本発明実施形態の態様に応じて、図1(a)に示す1層から、複数層(例えば5層)まで、適宜、変更できる。例えば、1層の場合はエアロゲルを練り込んだポリエステル繊維中綿層、2層の場合は、エアロゲルを練り込んだポリエステル繊維中綿層と吸湿発熱中綿層、3層の場合は、エアロゲルを練り込んだポリエステル繊維中綿層と吸湿発熱中綿層と防ダニ中綿層、4層の場合、エアロゲルを練り込んだポリエステル繊維中綿層と吸湿発熱中綿層と防ダニ中綿層と蓄熱中綿層、5層の場合は、エアロゲルを練り込んだポリエステル繊維中綿層と吸湿発熱中綿層と防ダニ中綿層と蓄熱中綿層とアルミニウム製不織布などが挙げられる。他にも抗菌防臭・消臭機能綿の使用などが挙げられる。ここで、吸湿発熱綿層としては、アクリレートとレーヨン、リヨセル、コットンの1種類または2種類以上を混用した綿層、蓄熱保温綿層としては、ポリエステルとポリプロピレン、アクリルの1種類または2種類以上を混用した綿層、防ダニ中綿層としては、防ダニ加工したポリエステルの綿層が例示される。
【0027】
エアロゲルはエアロゲルを練り込んだポリエステル短繊維の全体重量に対して、重量比率で0.1%~10%を練り込んでいる。エアロゲルを練り込んだポリエステル短繊維は、中綿層1において、全体の重量割合の5%~100%を用いている。
【0028】
エアロゲルを練り込んだポリエステル短繊維は、溶融紡糸から短繊維(ステープルともいう。)にする。繊維径は0.5Dtexから50Dtexであり、長さは20mmから100mmである。この短繊維をカーディング工程等を経て、中綿層1に形成する。
【0029】
中綿層1に含まれる、エアロゲルを練り込んだポリエステル短繊維以外の短繊維については、繊維径は0.5Dtexから50Dtexであり、長さは20mmから250mmである。上限と下限を超えた場合、中綿層1の形成が難しくなる。
【0030】
エアロゲルの熱伝導率は0.01~0.03W/(m・k)であることが好ましい。エアロゲルを練り込んだポリエステル短繊維の熱伝導率は0.1~0.14W/(m・k)であることが好ましい。中綿層1の目付が40~700g/mであることが好ましい。
【0031】
合繊掛け布団、羽毛掛け布団、本発明実施形態のエアロゲルを0.18%練り込んだポリエステル短繊維50%の中綿層1を有する掛け布団を比較した結果を表1に示す。
【0032】
【表1】
【0033】
エアロゲル繊維50%の本発明実施形態は、従来品であり、エアロゲルを含まない、合繊掛け布団と、羽毛掛け布団に対して、保温率と、clo値が高くなっていることが確認できた。ここで、充填(詰め物)の目付は400g/mである。「clo値」とは、ASTM D 1518-85で、熱伝導率とともに測定することが可能な値である。1cloとは、気温21℃、相対湿度50%、気流0.1m/sの室内で、椅座安静の人間が平均皮膚温を約33℃に維持できるような着衣の保温力のことである。中綿層1のclo値が6.0~10.0であることが好ましい。「保温率」とは、保温性試験(JIS L 1096・ASTM D 1518)による、熱の逃しにくさを示す割合であり、衣服の断熱性を高め伝熱量を小さくするこの性能を、保温性と呼ぶ。代表的な試験方法に、ASTM D 1518-1985とJIS L 1096がある。中綿層1の保温率が89%~92%であることが好ましい。
【0034】
本発明実施形態の掛け布団の生産方法のうち、エアロゲルを特定割合で練り込んだポリエステル短繊維の生産工程について、図2を参照して説明する。
【0035】
石油から、パラキシレンとエチレンを得る。パラキシレンを酸化し、テレフタル酸を生産し、エチレンからエチレングリコールを生産し、テレフタル酸とエチレングリコールを重合し、重合工程の際に、エアロゲル原料(二酸化ケイ素からなる粒子状のエアロゲル原料、粒子直径は50nm以下)を、0.1重量%~10重量%練り込みし、エアロゲルを練り込んだポリエステルチップを得る。ポリエステル原料を重合するとき、液体ではなく、粘度の高い流体であり、粘度は0.6-0.7dl/gであることから、エアロゲルを投入し、エアロゲルとポリエステル原料を撹拌混合することを、練り込みと表現する。このポリエステルチップから溶融紡糸を得て、これを延伸させ、捲縮させ、得られた糸を切断することにより、ポリエステル短繊維(ポリエステルステープルともいう。)を得る。または、溶融紡糸を巻取り、延伸させて、ポリエステルフィラメントとし、それから、ポリエステル短繊維(ポリエステルステープルともいう。)を得る。エアロゲル練り込みポリエステル短繊維を利用して中綿層1を生産する。
【0036】
このエアロゲル練り込みポリエステル短繊維の繊維径は0.5Dtex~50Dtexであり、長さは20mm~100mmである。上限と下限を超えた場合、中綿層1の形成が難しくなる。
【0037】
中綿層1の形成のために、エアロゲル練り込みポリエステル短繊維以外の短繊維を混綿可能であるが、その繊維径は0.5Dtex~50Dtexであり、長さは20mm~250mmである。上限と下限を超えた場合、中綿層1の形成が難しくなる。
【0038】
以下、中綿層1を構成するシート状の中綿である中綿シートの生産工程について、図3図5を参照して説明する。
【0039】
中綿シートは、エアロゲルを0.1重量%~10重量%で練り込んだエアロゲル練りこみポリエステル短繊維(融点255~265℃)のみから形成してもよく、エアロゲル練り込みポリエステル短繊維以外の短繊維を混綿して形成してもよい。エアロゲル練り込みポリエステル短繊維は、中綿シートの全体重量の5重量%~100重量%を用いる。
【0040】
中綿シートの生産工程の第1の実施例である生産工程1について図3を参照し説明すると、原料工程、混綿・開繊工程、カーディング工程、結合工程、加熱工程、検査工程、巻取り工程の各工程からなる。加熱工程の加熱温度は110℃~220℃である。生産工程1における繊維の混合率は、エアロゲル練り込みポリエステル短繊維(融点255~265℃)5~95重量%、エアロゲル練り込みポリエステル短繊維よりも融点の低い低融点ポリエステル短繊維(融点100~120℃)5~60重量%、その他の短繊維(化学繊維や天然繊維等)5~90重量%が望ましい。例えば、エアロゲル練り込みポリエステル短繊維92重量%と、低融点ポリエステル短繊維8重量%を混綿する場合、エアロゲル練り込みポリエステル短繊維50重量%と、低融点ポリエステル短繊維15重量%、ポリエステル短繊維35重量%(融点255~265℃)を混綿する場合、エアロゲル練り込みポリエステル短繊維50重量%と、低融点ポリエステル短繊維15重量%、レーヨン短繊維35重量%を混綿する場合、エアロゲル練り込みポリエステル短繊維30重量%と、低融点ポリエステル短繊維15重量%、ポリエステル短繊維45重量%、アクリレート短繊維10重量%を混綿する場合等、種々なる態様で実施可能である。
【0041】
中綿シートの生産工程の第2の実施例である生産工程2について図4を参照し説明すると、原料工程、混綿・開繊工程、カーディング工程、ニードルパンチ工程、検査工程、巻取り工程の各工程からなる。生産工程2では、生産工程1が加熱工程で低融点のポリエステル繊維の溶融を行うのに代えて、ニードルパンチ加工を行うので、低融点のポリエステル繊維を混用する必要がない。共通する工程については、生産工程1の説明を援用する。生産工程2における繊維の混合率は、繊維が1種類の場合、原料は、エアロゲル練り込みポリエステル短繊維が100重量%であるが、繊維が2種類以上の場合、エアロゲル練り込みポリエステル短繊維(融点255~265℃)5重量%~95重量%、その他の短繊維(化学繊維や天然繊維等)5~95重量%が望ましい。例えば、エアロゲル練り込みポリエステル短繊維が100重量%の場合、エアロゲル練り込みポリエステル短繊維50重量%、ポリエステル短繊維(融点255~265℃)50重量%の場合、エアロゲル練り込みポリエステル短繊維50重量%と、ポリエステル短繊維15重量%、レーヨン短繊維35重量%を混綿する場合、エアロゲル練り込みポリエステル短繊維30重量%と、ポリエステル短繊維60重量%、アクリレート短繊維10重量%を混綿する場合等、種々なる態様で実施可能である。
【0042】
中綿シートの生産工程の第3の実施例である生産工程3について図5を参照し説明すると、原料工程、混綿・開繊工程、カーディング工程、結合工程の各工程からなる。生産工程3においては、結合工程で中綿シートの生産工程が終了になり、その後は掛け布団の中に中綿シートを詰める工程になる。生産工程3においても、低融点のポリエステル繊維の溶融を行う加熱工程がないので、低融点のポリエステル繊維を混用する必要がない。共通する工程については、生産工程1の説明を援用する。生産工程3における繊維の混合率は、繊維が1種類の場合、原料は、エアロゲル練り込みポリエステル短繊維が100重量%であるが、繊維が2種類以上の場合、エアロゲル練り込みポリエステル短繊維(融点255~265℃)5重量%~95重量%、その他の短繊維(化学繊維や天然繊維等)5~95重量%が望ましい。例えば、エアロゲル練り込みポリエステル短繊維が100重量%の場合、エアロゲル練り込みポリエステル短繊維50重量%、ポリエステル短繊維(融点255~265℃)50重量%の場合、エアロゲル練り込みポリエステル短繊維50重量%と、ポリエステル短繊維15重量%、レーヨン短繊維35重量%を混綿する場合、エアロゲル練り込みポリエステル短繊維30重量%と、ポリエステル短繊維60重量%、アクリレート短繊維10重量%を混綿する場合等、種々なる態様で実施可能である。
【0043】
本発明によれば、下記の効果が発揮される。エアロゲルを短繊維に練り込んであるので、中綿層1の製造工程を簡素化し、生産コストを下げることができる。特許文献1のエアロゲルシートより生産コストが安くなる。エアロゲルを短繊維に練り込んであるので、エアロゲルの耐久性が高くなる。複雑に絡み合うエアロゲル繊維が中わたの中の空気をキャッチすることで、デッドエア(動かない空気)が生まれ、高い保温・断熱効果が得られる。
【0044】
本発明の中綿の構造や、生産方法は、上記の実施形態に限定されるものではなく、その趣旨を逸脱しない範囲において、種々の変更を加えることができる。
【産業上の利用可能性】
【0045】
エアロゲルを短繊維に練り込んであるので、高い保温性を有する寝装品を提供することができ、用途や活用範囲を拡大できることから、産業上の利用可能性は大である。
【符号の説明】
【0046】
1 中綿層
2 表地
3 裏地
4 アルミニウム層
10 掛け布団
11 毛布
図1
図2
図3
図4
図5