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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2025059779
(43)【公開日】2025-04-10
(54)【発明の名称】プライマー組成物
(51)【国際特許分類】
   C09D 201/00 20060101AFI20250403BHJP
   C09D 5/00 20060101ALI20250403BHJP
   C09D 5/34 20060101ALI20250403BHJP
   C09D 7/65 20180101ALI20250403BHJP
   C09D 133/14 20060101ALI20250403BHJP
   C09D 7/63 20180101ALI20250403BHJP
   C09D 201/02 20060101ALI20250403BHJP
【FI】
C09D201/00
C09D5/00 D
C09D5/34
C09D7/65
C09D133/14
C09D7/63
C09D201/02
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023170076
(22)【出願日】2023-09-29
(71)【出願人】
【識別番号】000105648
【氏名又は名称】コニシ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100089152
【弁理士】
【氏名又は名称】奥村 茂樹
(72)【発明者】
【氏名】八石 侑樹
(72)【発明者】
【氏名】野村 幸弘
【テーマコード(参考)】
4J038
【Fターム(参考)】
4J038CG141
4J038CH111
4J038DL052
4J038DL082
4J038DL092
4J038EA011
4J038GA15
4J038JC32
4J038JC34
4J038JC35
4J038KA04
4J038KA06
4J038KA09
4J038MA09
4J038NA12
4J038PA18
4J038PB05
(57)【要約】
【課題】 充填した硬化性シーリング材のスリップが有効に防止しうる、目地形成の際に用いるプライマー組成物を提供する。
【解決手段】 このプライマー組成物は、皮膜形成性樹脂とシリコーン系界面活性剤と揮発性有機溶剤とを含有する。皮膜形成性樹脂としては、アクリル骨格よりなる主鎖の末端及び/又は側鎖に加水分解性シリル基を有するアクリル樹脂が用いられる。シリコーン系界面活性剤としては、ポリエーテル変性ジメチルポリシロキサンやアミノ変性ジメチルポリシロキサンが用いられる。揮発性有機溶剤としては、酢酸プロピルが用いられる。シリコーン系界面活性剤の含有量は、皮膜形成性樹脂100質量部に対して0.01~5質量部である。揮発性有機溶剤の含有量は、皮膜形成性樹脂100質量部に対して100~800質量部である。
【選択図】 なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
皮膜形成性樹脂、
オルガノポリシロキサン基よりなる疎水基と、ポリエーテル基、水酸基、メルカプト基及びアミノ基よりなる群から選ばれた基を含有する親水基とを有するシリコーン系界面活性剤、並びに
揮発性有機溶剤
を含有するプライマー組成物。
【請求項2】
皮膜形成性樹脂100質量部に対して、シリコーン系界面活性剤0.01~5質量部及び揮発性有機溶剤100~800質量部を含有する請求項1記載のプライマー組成物。
【請求項3】
皮膜形成性樹脂が硬化性樹脂である請求項1記載のプライマー組成物。
【請求項4】
硬化性樹脂が、アクリル骨格よりなる主鎖の末端及び/又は側鎖に加水分解性シリル基を有するアクリル樹脂である請求項3記載のプライマー組成物。
【請求項5】
さらに、加水分解性シリル基と、アミノ基、エポキシ基及びビニル基よりなる群から選ばれた反応性官能基とを有するシランカップリング剤が含有されてなる請求項4記載のプライマー組成物。
【請求項6】
硬化性樹脂100質量部に対して、シランカップリング剤5~200質量部を含有する請求項5記載のプライマー組成物。
【請求項7】
硬化性樹脂が2個以上のイソシアネート基を有するポリイソシアネート化合物である請求項3記載のプライマー組成物。
【請求項8】
目地壁に、請求項1記載のプライマー組成物を塗布し、皮膜形成性樹脂で皮膜を形成すると共に揮発性有機溶剤を揮発させ、厚さ1~50μmのプライマー層を形成した後、該プライマー層上に硬化性シーリング材を充填することを特徴とする目地の形成方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、建築物や構築物等の目地を形成する際に用いるプライマー組成物に関し、目地を形成する際に用いる硬化性シーリング材のスリップ現象を有効に防止しうるプライマー組成物に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来より、防水等を目的として、外壁材間の隙間に硬化性シーリング材を充填し、目地を形成することが行われている。硬化性シーリング材は充填時にはペースト状であって、その後、徐々に硬化して弾性体となり、目地が完成する。しかるに、ペースト状から弾性体となる段階で、硬化性シーリング材が自重でスリップを起こして滑り落ち、目地上部に弾性体の存在しない欠損箇所が生じることがあった。
【0003】
このため、硬化性シーリング材にシリコーン系界面活性剤を含有させ、スリップを防止することが行われている(特許文献1)。しかしながら、未だ十分にスリップを防止できないという憾みがあった。
【0004】
【特許文献1】特開2000-204348号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明の課題は、硬化性シーリング材にシリコーン系界面活性剤を含有させた場合に比べて、よりスリップを起こしにくい目地形成に用いるプライマー組成物を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明者は、スリップを起こしにくい目地形成に関する研究を行っていたところ、硬化性シーリング材にシリコーン系界面活性剤を含有させるよりも、揮発性有機溶剤を含有するプライマー組成物にシリコーン系界面活性剤を含有させる方が、顕著なスリップ防止性を発揮することを発見した。本発明は、かかる知見に基づくものである。すなわち、本発明は、皮膜形成性樹脂、オルガノポリシロキサン基よりなる疎水基と、ポリエーテル基、水酸基、メルカプト基及びアミノ基よりなる群から選ばれた基を含有する親水基とを有するシリコーン系界面活性剤、並びに揮発性有機溶剤を含有するプライマー組成物に関するものである。
【0007】
本発明で用いる皮膜形成性樹脂としては、プライマー層となる皮膜を形成しうる樹脂であれば、従来公知のものを採用しうる。たとえば、アクリル樹脂やウレタン樹脂を用いることができる。特に、皮膜形成性樹脂として、硬化性アクリル系樹脂や硬化性ウレタン系樹脂等の硬化性樹脂を用いるのが好ましい。硬化性樹脂を硬化させたプライマー層は、高強度であり耐候性にも優れるからである。硬化性アクリル系樹脂としては、アクリル骨格よりなる主鎖の末端及び/又は側鎖に加水分解性シリル基を有するアクリル樹脂(以下、「アクリルシリコン樹脂」という。)であるのが好ましい。アクリルシリコン樹脂は、大気中の湿分により、加水分解性シリル基が結合し硬化する。また、硬化性ウレタン系樹脂としては、主として2個以上のイソシアネート基を有するポリイソシアネート化合物であるのが好ましい。かかる硬化性ウレタン系樹脂も、大気中の湿分により、分子内のNCO基が結合し硬化する。
【0008】
本発明で用いるシリコーン系界面活性剤は、オルガノポリシロキサン基よりなる疎水基と、ポリエーテル基、水酸基、メルカプト基及びアミノ基よりなる群から選ばれた基を含有する親水基とを有するものである。すなわち、Si(珪素)とO(酸素)とが交互に結合されてなるシロキサン結合を主骨格とし、主鎖・側鎖や末端にポリエーテル基、水酸基、メルカプト基及びアミノ基よりなる群から選ばれた親水基が導入されてなるものである。かかるシリコーン系界面活性剤は、アミノ変性シリコーンオイル、メルカプト変性シリコーンオイル、ポリエーテル変性シリコーンオイル、水酸基を有するポリエーテル変性ポリジメチルシロキサン又はアクリル基を有するポリエーテル変性ポリジメチルシロキサンとして市販されている。
【0009】
本発明で用いる揮発性有機溶剤は、常温で揮発する有機溶剤であれば、従来公知のものを採用しうる。具体的には、酢酸エチル、酢酸プロピル又は酢酸ブチル等が用いられる。揮発性有機溶剤を含有するプライマー組成物を用いてプライマー層を形成すると、皮膜形成性樹脂で皮膜が形成されると共に揮発性有機溶剤は表面から揮発し、シリコーン系界面活性剤がプライマー層表面に移行しやすくなり、スリップ防止効果が発現しやすくなるものと考えられる。プライマー組成物中における揮発性有機溶剤の含有量は50~95質量%であるのが好ましく、さらに60~90質量%であるのがより好ましく、特に65~85質量%であるのが最も好ましい。
【0010】
本発明で用いるシリコーン系界面活性剤は、皮膜形成性樹脂100質量部に対して0.01~5質量部配合されているのが好ましい。また、揮発性有機溶剤は、皮膜形成性樹脂100質量部に対して100~800質量部配合されているのが好ましい。また、皮膜形成性樹脂として硬化性樹脂を用いた場合、プライマー組成物中に、シランカップリング剤や触媒が含有されているのが好ましい。たとえば、アクリルシリコン樹脂を用いた場合、加水分解性シリル基と、アミノ基、エポキシ基及びビニル基よりなる群から選ばれた反応性官能基とを有するシランカップリング剤を含有させておくのが好ましい。シランカップリング剤は、硬化性樹脂100質量部に対して5~200質量部を含有させておくのが好ましい。さらに、硬化触媒を含有させておくのが好ましい。これにより、アクリルシリコン樹脂の硬化が進行しやすくなる。また、硬化性ウレタン樹脂を用いた場合、シランカップリング剤や硬化触媒を含有させておくのが好ましい。なお、皮膜形成性樹脂が非硬化性樹脂である場合も、シランカップリング剤や硬化触媒を含有させておくのが好ましい。
【0011】
本発明に係るプライマー組成物は、被着体にシーリング材を充填したり、又は接着剤を塗布する際、被着体と接着剤との接着性を向上させるため、被着体表面に塗布されるものである。具体的な使用方法としては、目地を形成する際に用いられる。たとえば、目地壁に、本発明に係るプライマー組成物を塗布し、皮膜形成性樹脂で皮膜を形成すると共に揮発性有機溶剤を揮発させ、厚さ1~50μmのプライマー層を形成した後、該プライマー層上に硬化性シーリング材を充填して目地を形成する方法が挙げられる。目地壁は、一般的にコの字状となっている。かかる目地壁の表面にプライマー組成物を塗布する。塗布量は2~500g/m2程度である。その後、プライマー組成物中の揮発性有機溶剤が蒸発し、皮膜形成性樹脂による皮膜が形成され、プライマー層となる。プライマー層の厚さは、1~50μm程度である。揮発性有機溶剤の蒸発に伴い、プライマー組成物中のシリコーン系界面活性剤は、プライマー層表面に移行すると考えられる。このシリコーン系界面活性剤の存在により、プライマー層上に充填される硬化性シーリング材のスリップが防止されるのである。
【0012】
プライマー層上に充填される硬化性シーリング材としては、従来公知のシーリング材が用いられる。具体的には、変成シリコーン樹脂を主体とする変成シリコーン系シーリング材やウレタン樹脂を主体とするポリウレタン系シーリング材等が用いられる。かかる硬化性シーリング材中には、従来公知の種々の添加剤が含有されていてもよい。たとえば、充填剤、希釈剤、シランカップリング剤、触媒、脱水剤、酸化チタン又はカーボンブラック等の染顔料等の着色剤、光硬化性樹脂(アクリロイル基含有樹脂、メタクリロイル基含有樹脂等)、乾性油、半乾性油(桐油、ひまし油、脱水ひまし油、アマニ油等)、耐候性付与剤・紫外線吸収剤・老化防止剤(ヒンダードアミン化合物、ベンゾトリアゾール化合物、トリアジン化合物、ヒンダードフェノール化合物等)等が含有されていてもよい。なお、硬化性シーリング材中に、シリコーン系界面活性剤を含有させておけば、スリップをより有効に防止しうる。
【0013】
プライマー層と硬化性シーリング材とは、同種又は近縁の樹脂であるのが好ましい。プライマー層と硬化性シーリング材との接着性が向上するからである。たとえば、プライマー層を構成する樹脂がアクリルシリコン樹脂の場合、硬化性シーリング材として変成シリコーン樹脂を主体とする変成シリコーン系シーリング材を用いるのが好ましい。また、プライマー層を構成する樹脂が2個以上のイソシアネート基を有するポリイソシアネート化合物よりなるものである場合、硬化性シーリング材としてウレタン樹脂を主体とするポリウレタン系シーリング材を用いるのが好ましい。しかしながら、プライマー層と硬化性シーリング材とが異種のものであってもよい。たとえば、プライマー層を構成する樹脂としてアクリルシリコン樹脂を用いた場合でも、プライマー層中にアミノ基、エポキシ基及びビニル基よりなる群から選ばれる反応性官能基を有するシランカップリング剤を存在させておくと、ポリウレタン系シーリング材との接着性が向上する。
【発明の効果】
【0014】
本発明に係るプライマー組成物を用いてプライマー層を形成した後、シーリング材を充填して目地形成すると、シーリング材のスリップを防止しうるという効果を奏する。
【実施例0015】
実施例1
以下の組成よりなるプライマー組成物を得た。
アクリルシリコン樹脂 100質量部
(株式会社カネカ製「カネカゼムラックYP1915B」)(*1)
エポキシ基を有するシランカップリング剤 2質量部
(信越化学工業株式会社製「KBM403」)
アミノ基を有するシランカップリング剤 1質量部
(信越化学工業株式会社製「KBM603」)
ビニル基を有するシランカップリング剤 1質量部
(信越化学工業株式会社製「KBM1003」)
有機スズ系触媒 0.1質量部
(日東化成株式会社製「ネオスタンU-130」)
水酸基を有するポリエーテル変性ポリジメチルシロキサン 1質量部
(ビックケミー・ジャパン株式会社製「BYK-377」)
酢酸プロピル(大八化学工業株式会社製) 50質量部
(*1)株式会社カネカ製「カネカゼムラックYP1915B」は、主鎖の末端に加水分解性シリル基を有するアクリルシリコン樹脂40質量部、酢酸ブチル55質量部及びその他の化合物5質量部の組成を持つものである。
【0016】
実施例2
水酸基を有するポリエーテル変性ポリジメチルシロキサン(ビックケミー・ジャパン株式会社製「BYK-377」)を、アクリル基を有するポリエーテル変性ポリジメチルシロキサン(ビックケミー・ジャパン株式会社製「BYK-UV3500」)に変更した他は、実施例1と同一処方でプライマー組成物を得た。
【0017】
実施例3
水酸基を有するポリエーテル変性ポリジメチルシロキサン(ビックケミー・ジャパン株式会社製「BYK-377」)を、アミノ変性シリコーンオイル(ダウ・東レ株式会社製「DOWSILTMFZ-3789」)に変更した他は、実施例1と同一処方でプライマー組成物を得た。
【0018】
実施例4
水酸基を有するポリエーテル変性ポリジメチルシロキサン(ビックケミー・ジャパン株式会社製「BYK-377」)を、ポリエーテル変性シリコーンオイル(信越化学工業株式会社製「KF-945」)に変更した他は、実施例1と同一処方でプライマー組成物を得た。
【0019】
実施例5
水酸基を有するポリエーテル変性ポリジメチルシロキサン(ビックケミー・ジャパン株式会社製「BYK-377」)を、メルカプト変性シリコーンオイル(信越化学工業株式会社製「KF-2001」)に変更した他は、実施例1と同一処方でプライマー組成物を得た。
【0020】
実施例6
以下の組成よりなるプライマー組成物を得た。
アクリルシリコン樹脂 100質量部
(株式会社カネカ製「カネカゼムラックYP1915B」)(*1)
エポキシ基を有するシランカップリング剤 5質量部
(信越化学工業株式会社製「KBM403」)
アミノ基を有するシランカップリング剤 2質量部
(信越化学工業株式会社製「KBM903」)
アミノ基を有するシランカップリング剤 1質量部
(エボニック社製「Dynasylan1124」)
ビニル基を有するシランカップリング剤 1質量部
(信越化学工業株式会社製「KBM1003」)
有機スズ系触媒 0.2質量部
(株式会社カネカ製「BT453Z」)
水酸基を有するポリエーテル変性ポリジメチルシロキサン 0.5質量部
(ビックケミー・ジャパン株式会社製「BYK-377」)
アミノ変性シリコーンオイル 0.5質量部
(ダウ・東レ株式会社製「DOWSILTMFZ-3789」)
酢酸エチル(大八化学工業株式会社製) 25質量部
酢酸プロピル(大八化学工業株式会社製) 50質量部
(*1)実施例1の場合と同一である。
【0021】
実施例7
以下の組成よりなるプライマー組成物を得た。
アクリルシリコン樹脂 100質量部
(株式会社カネカ製「カネカゼムラックYP1915B」)(*1)
エポキシ基を有するシランカップリング剤 2質量部
(信越化学工業株式会社製「KBM403」)
アミノ基を有するシランカップリング剤 2質量部
(信越化学工業株式会社製「KBM903」)
ビニル基を有するシランカップリング剤 2質量部
(信越化学工業株式会社製「KBM1003」)
有機スズ系触媒 0.2質量部
(日東化成株式会社製「ネオスタンS-1」)
アミノ変性シリコーンオイル 0.02質量部
(ダウ・東レ株式会社製「DOWSILTMFZ-3789」)
酢酸エチル(大八化学工業株式会社製) 25質量部
酢酸プロピル(大八化学工業株式会社製) 25質量部
(*1)実施例1の場合と同一である。
【0022】
実施例8
アミノ変性シリコーンオイル(ダウ・東レ株式会社製「DOWSILTMFZ-3789」)の配合量を5質量部に変更した他は、実施例7と同一処方でプライマー組成物を得た。
【0023】
実施例9
有機スズ系触媒(日東化成株式会社製「ネオスタンS-1」)を用いずに、且つ、アミノ変性シリコーンオイル(ダウ・東レ株式会社製「DOWSILTMFZ-3789」)の配合量を0.05質量部に変更した他は、実施例7と同一処方でプライマー組成物を得た。
【0024】
実施例10
アミノ基を有するシランカップリング剤(信越化学工業株式会社製「KBM903」)及びビニル基を有するシランカップリング剤(信越化学工業株式会社製「KBM1003」)を用いずに、エポキシ基を有するシランカップリング剤(信越化学工業株式会社製「KBM403」)の配合量を100質量部に変更し、且つ、アミノ変性シリコーンオイル(ダウ・東レ株式会社製「DOWSILTMFZ-3789」)の配合量を0.05質量部に変更した他は、実施例7と同一処方でプライマー組成物を得た。
【0025】
実施例11
エポキシ基を有するシランカップリング剤(信越化学工業株式会社製「KBM403」)及びビニル基を有するシランカップリング剤(信越化学工業株式会社製「KBM1003」)を用いずに、アミノ基を有するシランカップリング剤(信越化学工業株式会社製「KBM903」)の配合量を100質量部に変更し、且つ、アミノ変性シリコーンオイル(ダウ・東レ株式会社製「DOWSILTMFZ-3789」)の配合量を0.05質量部に変更した他は、実施例7と同一処方でプライマー組成物を得た。
【0026】
実施例12
エポキシ基を有するシランカップリング剤(信越化学工業株式会社製「KBM403」)及びアミノ基を有するシランカップリング剤(信越化学工業株式会社製「KBM903」)を用いずに、ビニル基を有するシランカップリング剤(信越化学工業株式会社製「KBM1003」)の配合量を100質量部に変更し、且つ、アミノ変性シリコーンオイル(ダウ・東レ株式会社製「DOWSILTMFZ-3789」)の配合量を0.05質量部に変更した他は、実施例7と同一処方でプライマー組成物を得た。
【0027】
実施例13
以下の組成よりなるプライマー組成物を得た。
アクリルシリコン樹脂 100質量部
(株式会社カネカ製「カネカゼムラックYP1915B」)(*1)
エポキシ基を有するシランカップリング剤 10質量部
(信越化学工業株式会社製「KBM403」)
エポキシ基を有するシランカップリング剤 1質量部
(信越化学工業株式会社製「KBM402」)
アミノ基を有するシランカップリング剤 2質量部
(信越化学工業株式会社製「KBM903」)
アミノ基を有するシランカップリング剤 0.5質量部
(エボニック社製「Dynasylan1124」)
有機スズ系触媒 0.2質量部
(日東化成株式会社製「ネオスタンS-1」)
アミノ変性シリコーンオイル 0.1質量部
(ダウ・東レ株式会社製「DOWSILTMFZ-3789」)
酢酸エチル(大八化学工業株式会社製) 25質量部
酢酸プロピル(大八化学工業株式会社製) 25質量部
(*1)実施例1の場合と同一である。
【0028】
実施例14
エポキシ基を有するシランカップリング剤(信越化学工業株式会社製「KBM402」)に代えて、エポキシ基を有するシランカップリング剤(信越化学工業株式会社製「KBM303」)を用いた他は、実施例13と同一処方でプライマー組成物を得た。
【0029】
実施例15
エポキシ基を有するシランカップリング剤(信越化学工業株式会社製「KBM402」)に代えて、アミノ基を有するシランカップリング剤(信越化学工業株式会社製「KBM602」)を用いた他は、実施例13と同一処方でプライマー組成物を得た。
【0030】
実施例16
エポキシ基を有するシランカップリング剤(信越化学工業株式会社製「KBM402」)に代えて、ビニル基を有するシランカップリング剤(信越化学工業株式会社製「KBM1003」)を用いた他は、実施例13と同一処方でプライマー組成物を得た。
【0031】
実施例17
エポキシ基を有するシランカップリング剤(信越化学工業株式会社製「KBM402」)に代えて、アルキル基を有するシランカップリング剤(信越化学工業株式会社製「KBM3103C」)を用いた他は、実施例13と同一処方でプライマー組成物を得た。
【0032】
実施例18
以下の組成よりなるプライマー組成物を得た。
ポリイソシアネート化合物 670質量部
(三井化学株式会社製「タケネートD103M-2」)
アクリル樹脂 100質量部
(ダウ・東レ株式会社製「パラロイドA21」)
シランカップリング剤 90質量部
(信越化学工業株式会社製「KBM803」)
p-トルエンスルホニルイソシアネート(脱水剤) 5質量部
水酸基を有するポリエーテル変性ポリジメチルシロキサン 1質量部
(ビックケミー・ジャパン株式会社製「BYK-377」)
酢酸エチル(大八化学工業株式会社製) 670質量部
酢酸ブチル(大八化学工業株式会社製) 520質量部
【0033】
比較例1
水酸基を有するポリエーテル変性ポリジメチルシロキサンを配合しない他は、実施例1と同一処方でプライマー組成物を得た。
【0034】
比較例2
水酸基を有するポリエーテル変性ポリジメチルシロキサン(ビックケミー・ジャパン株式会社製「BYK-377」)及びアミノ変性シリコーンオイル(ダウ・東レ株式会社製「DOWSILTMFZ-3789」)を配合しない他は、実施例6と同一処方でプライマー組成物を得た。
【0035】
比較例3
水酸基を有するポリエーテル変性ポリジメチルシロキサン(ビックケミー・ジャパン株式会社製「BYK-377」)を配合しない他は、実施例18と同一処方でプライマー組成物を得た。
【0036】
[スリップ試験1]
温度23℃湿度50%で、幅20mm、深さ20mm及び長さ100mmのコの字型アルミチャンネルの両内側面に、実施例1に係るプライマー組成物を約40g/m2の塗布量で塗布した後、底面にマスキングテープを貼った。次いで、プライマー組成物を乾燥させて、厚さ約5~20μmのプライマー層を形成した。プライマー層が形成された両内側面上に、下記に示す硬化性シーリング材Aを投入し、コの字型アルミチャンネルの溝を埋めるようにして充填した。なお、コの字型アルミチャンネルの底面にはマスキングテープを貼ったので、プライマー層と硬化性シーリング材Aとは両内側面で接着している。その後、40℃の環境下にて、アルミチャンネルを垂直に立てかけ24時間放置した。24時間後において、硬化性シーリング材Aのスリップ長さは0mmであり、スリップ試験の結果は良好であった。なお、スリップ試験の判定基準は、スリップ長さが0mmの場合は「良好」と評価し、スリップ長さが5mm未満の場合は「良」と評価し、スリップ長さが5mm以上の場合は「不良」と評価した。
【0037】
硬化性シーリング材Aは、下記組成のシーリング材基剤A100質量部と下記組成のシーリング材硬化剤A8.0質量部とを均一に混合してなるものである。
(シーリング材基剤A)
変成シリコーンポリマー 100質量部
(AGC株式会社製「EXCESTAR S2730C」)
変成シリコーンポリマー 10質量部
(株式会社カネカ製「サイリルSAT145」)
フタル酸ジイソノニル(大八化学工業株式会社製) 10質量部
脂環式エポキシ基を有する可塑剤 50質量部
(新日本理化株式会社製「サンソサイザーE-PS」)
水酸基を有するポリエーテル変性ポリジメチルシロキサン 1質量部
(ビックケミー・ジャパン株式会社製「BYK-377」)
プラスチックバルーン 6質量部
(松本油脂製薬株式会社製「マツモトMFL100MCA」)
シリコーンオイル処理疎水性シリカ 1質量部
(日本アエロジル株式会社製「アエロジルRY200S」)
重質炭酸カルシウム 30質量部
(丸尾カルシウム株式会社製「スーパーS」)
軽質炭酸カルシウム 100質量部
(丸尾カルシウム株式会社製「カルファイン200M」)
軽質炭酸カルシウム 40質量部
(丸尾カルシウム株式会社製「カルファインN-350」)
イソパラフィン 10質量部
(出光興産株式会社製「メルベイユ30」)
(シーリング材硬化剤A)
1、2ーシクロヘキサンジカルボン酸ジイソノニルエステル 12質量部
(BASFジャパン株式会社製「ヘキサモールDINCH」)
無機スズ触媒 12質量部
(日東化成株式会社製「ネオスタンU-28」)
アミン触媒(ドデシルアミン) 3質量部
重質炭酸カルシウム 25質量部
(丸尾カルシウム株式会社製「スーパーS」)
軽質炭酸カルシウム 20質量部
(丸尾カルシウム株式会社製「カルファインN-350」)
イソパラフィン 8質量部
(出光興産株式会社製「メルベイユ30」)
【0038】
[スリップ試験2~6]
実施例1に係るプライマー組成物に代えて、実施例2~5に係る各プライマー組成物を用いた他は、スリップ試験1と同一の方法により、スリップ試験2~5を行った。この結果、硬化性シーリング材Aのスリップ長さは、いずれも0mmであり、スリップ試験の結果は良好であった。また、実施例1に係るプライマー組成物に代えて、比較例1に係るプライマー組成物を用いる他は、スリップ試験1と同一の方法により、スリップ試験6を行った。この結果、硬化性シーリング材Aのスリップ長さは、10mm以上となり、スリップ試験の結果は不良であった。
【0039】
[スリップ試験7]
実施例1に係るプライマー組成物に代えて、実施例6に係るプライマー組成物を用いたこと、且つ、硬化性シーリング材Aに代えて、下記に示す硬化性シーリング材Bを用いたことの他は、スリップ試験1と同一の方法により、スリップ試験7を行った。この結果、硬化性シーリング材Bのスリップ長さは、0mmであり、スリップ試験の結果は良好であった。
硬化性シーリング材Bは、シーリング材基剤B100質量部とシーリング材硬化剤A8.0質量部とを均一に混合してなるものである。ここで、シーリング材基剤Bは、水酸基を有するポリエーテル変性ポリジメチルシロキサン(ビックケミー・ジャパン株式会社製「BYK-377」)を配合しない他は、シーリング材基剤Aと同一処方のものである。
【0040】
[スリップ試験8]
硬化性シーリング材Bに代えて、下記に示す硬化性シーリング材Cを用いた他は、スリップ試験7と同一の方法により、スリップ試験7を行った。この結果、硬化性シーリング材Cのスリップ長さは、0mmであり、スリップ試験の結果は良好であった。
硬化性シーリング材Cは、シーリング材基剤C100質量部とシーリング材硬化剤A8.0質量部とを均一に混合してなるものである。ここで、シーリング材基剤Cは下記処方のものである。
(シーリング材基剤C)
変成シリコーンポリマー 100質量部
(AGC株式会社製「EXCESTAR S2730C」)
変成シリコーンポリマー 5質量部
(株式会社カネカ製「サイリルSAT145」)
ポリエーテルポリオール 70質量部
(AGC株式会社製「プレミノールS4012」)
脂環式エポキシ基を有する可塑剤 10質量部
(株式会社ダイセル製「セロキサイド2021P」)
プラスチックバルーン 3質量部
(松本油脂製薬株式会社製「マツモトMFL100MCA」)
プラスチックバルーン 3質量部
(松本油脂製薬株式会社製「マツモトMFL110CAL」)
シリコーンオイル処理疎水性シリカ 1質量部
(日本アエロジル株式会社製「アエロジルRY200S」)
重質炭酸カルシウム 50質量部
(丸尾カルシウム株式会社製「スーパーS」)
軽質炭酸カルシウム 40質量部
(丸尾カルシウム株式会社製「カルファイン200M」)
軽質炭酸カルシウム 60質量部
(丸尾カルシウム株式会社製「カルファインN-350」)
イソパラフィン 10質量部
(出光興産株式会社製「メルベイユ30」)
【0041】
[スリップ試験9]
硬化性シーリング材Bに代えて、下記に示す硬化性シーリング材Dを用いた他は、スリップ試験7と同一の方法により、スリップ試験9を行った。この結果、硬化性シーリング材Dのスリップ長さは、0mmであり、スリップ試験の結果は良好であった。
硬化性シーリング材Dは、シーリング材基剤D100質量部とシーリング材硬化剤A8.0質量部とを均一に混合してなるものである。ここで、シーリング材基剤Dは下記処方のものである。
(シーリング材基剤D)
変成シリコーンポリマー 100質量部
(AGC株式会社製「EXCESTAR S2730C」)
変成シリコーンポリマー 10質量部
(株式会社カネカ製「サイリルSAT145」)
ポリエーテルポリオール 30質量部
(AGC株式会社製「プレミノールS3011」)
脂環式エポキシ基を有する可塑剤 25質量部
(新日本理化株式会社製「リカレジンEX-68」)
プラスチックバルーン 3質量部
(松本油脂製薬株式会社製「マツモトMFL100MCA」)
プラスチックバルーン 3質量部
(松本油脂製薬株式会社製「マツモトMFL110CAL」)
カオリン 5質量部
(株式会社イメリスミネラルズ・ジャパン製「Hydrite N」)
重質炭酸カルシウム 70質量部
(丸尾カルシウム株式会社製「スーパーS」)
軽質炭酸カルシウム 60質量部
(丸尾カルシウム株式会社製「カルファイン200M」)
軽質炭酸カルシウム 40質量部
(丸尾カルシウム株式会社製「カルファインN-350」)
イソパラフィン 15質量部
(出光興産株式会社製「メルベイユ30」)
【0042】
[スリップ試験10]
硬化性シーリング材Bに代えて、下記に示す硬化性シーリング材Eを用いた他は、スリップ試験7と同一の方法により、スリップ試験10を行った。この結果、硬化性シーリング材Eのスリップ長さは、0mmであり、スリップ試験の結果は良好であった。
硬化性シーリング材Eは、シーリング材基剤E100質量部とシーリング材硬化剤A8.0質量部とをを均一に混合してなるものである。ここで、シーリング材基剤Eは下記処方のものである。
(シーリング材基剤E)
変成シリコーンポリマー 100質量部
(AGC株式会社製「EXCESTAR S2730C」)
変成シリコーンポリマー 40質量部
(株式会社カネカ製「サイリルSAT145」)
アクリルオリゴマー系可塑剤 15質量部
(東亞合成株式会社製「UP-1110」)
フタル酸ジイソノニル(大八化学工業株式会社製) 10質量部
脂環式エポキシ基を有する可塑剤 10質量部
(新日本理化株式会社製「サンソサイザーE-PS」)
脂環式エポキシ基を有する可塑剤 5質量部
(株式会社ダイセル製「セロキサイド2021P」)
プラスチックバルーン 6質量部
(松本油脂製薬株式会社製「マツモトMFL110CAL」)
カオリン 5質量部
(株式会社イメリスミネラルズ・ジャパン製「Hydrite N」)
重質炭酸カルシウム 70質量部
(丸尾カルシウム株式会社製「スーパーS」)
軽質炭酸カルシウム 40質量部
(丸尾カルシウム株式会社製「カルファイン200M」)
軽質炭酸カルシウム 50質量部
(丸尾カルシウム株式会社製「カルファインN-350」)
イソパラフィン 10質量部
(出光興産株式会社製「メルベイユ30」)
ポリエチレン繊維 1質量部
(三井化学ファイン株式会社製「ケミベストFDSS-5」)
【0043】
[スリップ試験11]
硬化性シーリング材Bに代えて、下記に示す硬化性シーリング材Fを用いた他は、スリップ試験7と同一の方法により、スリップ試験11を行った。この結果、硬化性シーリング材Fのスリップ長さは、0mmであり、スリップ試験の結果は良好であった。
硬化性シーリング材Fは、シーリング材基剤F100質量部とシーリング材硬化剤A8.0質量部とを均一に混合してなるものである。ここで、シーリング材基剤Fは下記処方のものである。
(シーリング材基剤F)
変成シリコーンポリマー 100質量部
(AGC株式会社製「EXCESTAR S2730C」)
ポリエーテルポリオール 60質量部
(AGC株式会社製「プレミノールS3011」)
脂環式エポキシ基を有する可塑剤 15質量部
(新日本理化株式会社製「リカレジンEX-68」)
プラスチックバルーン 4質量部
(松本油脂製薬株式会社製「マツモトMFL110CAL」)
ガラスバルーン 2質量部
(スリーエムジャパン株式会社製「グラスバブルスS22」)
重質炭酸カルシウム 60質量部
(丸尾カルシウム株式会社製「スーパーS」)
軽質炭酸カルシウム 80質量部
(丸尾カルシウム株式会社製「カルファイン200M」)
軽質炭酸カルシウム 30質量部
(丸尾カルシウム株式会社製「カルファインN-350」)
イソパラフィン 10質量部
(出光興産株式会社製「メルベイユ30」)
ポリエチレン繊維 0.5質量部
(三井化学ファイン株式会社製「ケミベストFDSS-5」)
【0044】
[スリップ試験12~16]
実施例6に係るプライマー組成物に代えて、比較例2に係るプライマー組成物を用いた他は、スリップ試験7と同一の方法でスリップ試験12を行った。同様に、実施例6に係るプライマー組成物に代えて、比較例2に係るプライマー組成物を用いた他は、スリップ試験8~11と同一の方法でスリップ試験13~16を行った。この結果、硬化性シーリング材B~Fのスリップ長さは、いずれも10mm以上となり、スリップ試験の結果は不良であった。
【0045】
[スリップ試験17]
実施例1に係るプライマー組成物に代えて、実施例7に係るプライマー組成物を用いたこと、且つ、硬化性シーリング材Aに代えて、硬化性シーリング材[変成シリコーン系シーリング材、コニシ株式会社製「ボンドMSシール」(混合質量比で、基剤:硬化剤=100:8.0)](以下、単に「MSシール」という。)を用いたことの他は、スリップ試験1と同一の方法により、スリップ試験17を行った。この結果、MSシールのスリップ長さは、0mmであり、スリップ試験の結果は良好であった。
【0046】
[スリップ試験18~29]
実施例7に係るプライマー組成物に代えて、実施例8~18に係る各プライマー組成物を用いた他は、スリップ試験17と同一の方法により、スリップ試験18~28を行った。この結果、MSシールのスリップ長さは、0mmであり、スリップ試験の結果は良好であった。また、実施例7に係るプライマー組成物に代えて、比較例3に係るプライマー組成物を用いる他は、スリップ試験17と同一の方法により、スリップ試験29を行った。この結果、MSシールのスリップ長さは、10mm以上となり、スリップ試験の結果は不良であった。
【0047】
以上のスリップ試験の結果から、シリコーン系界面活性剤を含有している実施例1~18に係るプライマー組成物を用いれば、シリコーン系界面活性剤を含有していない比較例1~3に係るプライマー組成物を用いた場合と比較して、施工された硬化性シーリング材のスリップ現象を防止しうることが分かる。
【0048】
[接着性試験1]
塗装アルミサッシ(YKKAP社製「YA-4N」)に実施例13に係るプライマー組成物を約40g/m2の塗布量で刷毛で塗布し、プライマー組成物を乾燥させ、プライマー層を形成した後に、MSシールを施工し、「建築工事標準仕様書・同解説 JASS8 防水工事(2022年版)2.3.2 f(1)」に準じた試験方法により接着性試験1を行った。接着性試験1の判定結果は「○」であった。
この接着性試験1は、MSシールの硬化前のスリップ現象が防止されていたとしても、硬化後に目地への接着性が不十分であれば、シーリング材として不適当であると考えられるため、硬化後のMSシールと目地部のプライマー層との接着性を評価したものである。接着性試験の判定基準は、MSシールが凝集破壊又は薄層凝集破壊した場合は「○」と評価し、MSシールが界面剥離した場合は「×」と評価した。
【0049】
[接着性試験2~5]
実施例13に係るプライマー組成物に代えて、実施例14~17に係る各プライマー組成物を刷毛で塗布した他は、接着性試験1と同一の方法により、接着性試験2~5を行った。接着性試験2~5の判定結果は、いずれも「○」であった。
【0050】
[接着性試験6]
MSシールに代えて、硬化性シーリング材[ポリウレタン系シーリング材、コニシ株式会社製「ボンドビューシール6909」(混合質量比で、基剤:硬化剤=100:450)](以下、単に「ビューシール」という。)を用いる他は、接着性試験1と同一の方法により、接着性試験6を行った。接着性試験6の判定結果は「×」であった。なお、接着性試験6に加えてスリップ試験を行ったところ、スリップ長さは0mmであり、結果は良好であった。
【0051】
[接着性試験7~10]
実施例13に係るプライマー組成物に代えて、実施例14~17に係る各プライマー組成物を刷毛で塗布した他は、接着性試験6と同一の方法により、接着性試験7~10を行った。接着性試験7、8及び10の判定結果は、いずれも「×」であった。一方、接着性試験9の判定結果は「○」であった。これは、実施例16に係るプライマー組成物には、ビニル基を有するシランカップリング剤(信越化学工業株式会社製「KBM1003」)が配合されていることにより、ポリウレタン系シーリング材に対する接着性が向上したためであると考えられる。なお、接着性試験7~10に加えてスリップ試験を行ったところ、全てスリップ長さは0mmであり、結果は良好であった。