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特開2025-5982処理装置、処理方法、プログラム、および画像形成システム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2025005982
(43)【公開日】2025-01-17
(54)【発明の名称】処理装置、処理方法、プログラム、および画像形成システム
(51)【国際特許分類】
   G06F 3/12 20060101AFI20250109BHJP
   B41J 29/38 20060101ALI20250109BHJP
   G03G 21/00 20060101ALI20250109BHJP
【FI】
G06F3/12 342
G06F3/12 308
G06F3/12 319
B41J29/38 350
G03G21/00 510
【審査請求】未請求
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023106468
(22)【出願日】2023-06-28
(71)【出願人】
【識別番号】000001270
【氏名又は名称】コニカミノルタ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001807
【氏名又は名称】弁理士法人磯野国際特許商標事務所
(72)【発明者】
【氏名】山室 達郎
【テーマコード(参考)】
2C061
2H270
【Fターム(参考)】
2C061AP01
2C061AQ06
2C061AR01
2C061AS02
2C061BB10
2C061BB11
2C061CG02
2C061HH03
2C061HH13
2C061HJ06
2C061HJ10
2C061HK18
2H270LB02
2H270LB04
2H270LB14
2H270LB18
2H270MB27
2H270RA10
2H270RC18
2H270ZC03
2H270ZC04
(57)【要約】
【課題】低カバレッジに起因する不具合を抑制でき、かつ、コスト面で不利になりにくい処理装置、処理方法、プログラム、および画像形成システムを提供する。
【解決手段】印刷に用いる印刷データの画像データ処理装置20であって、前記印刷データのカバレッジ率を算出するカバレッジ率算出部26aと、前記カバレッジ率の算出結果に基づいて、トナーリフレッシュ用画像を前記印刷データに生成するリフレッシュ用画像処理部26cとを備える。リフレッシュ用画像処理部26cは、箔加工が施される箔押し領域内に前記トナーリフレッシュ用画像を生成する。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
印刷に用いる印刷データの処理装置であって、
前記印刷データのカバレッジ率を算出するカバレッジ率算出部と、
前記カバレッジ率の算出結果に基づいて、トナーリフレッシュ用画像を前記印刷データに生成するリフレッシュ用画像処理部と、を備え、
前記リフレッシュ用画像処理部は、箔加工が施される箔押し領域内に前記トナーリフレッシュ用画像を生成する、
ことを特徴とする処理装置。
【請求項2】
前記リフレッシュ用画像処理部は、各色のトナーによるトナーリフレッシュ用領域を均等に割り当てる、
請求項1に記載の処理装置。
【請求項3】
前記リフレッシュ用画像処理部は、前記カバレッジ率の低い色のトナーによるトナーリフレッシュ用領域を、他の色に対して広く割り当てる、
請求項1に記載の処理装置。
【請求項4】
前記リフレッシュ用画像処理部は、前記箔押し領域を縮小した縮小領域を前記トナーリフレッシュ用画像として割り当てる、
請求項1に記載の処理装置。
【請求項5】
前記リフレッシュ用画像処理部は、最適なトナー使用量の算出を行い、その算出結果に基づいてトナーリフレッシュ用領域を割り当てる、
請求項1に記載の処理装置。
【請求項6】
前記リフレッシュ用画像処理部は、トナー量の偏りによってトナーリフレッシュ用画像の高さが不揃いにならないように、前記トナーリフレッシュ用画像のトナー量を調整する、
請求項1に記載の処理装置。
【請求項7】
印刷に用いる印刷データの処理方法であって、
前記印刷データのカバレッジ率を算出するカバレッジ率算出ステップと、
前記カバレッジ率の算出結果に基づいて、トナーリフレッシュ用画像を前記印刷データに生成するリフレッシュ用画像処理ステップと、を有し、
前記リフレッシュ用画像処理ステップでは、箔加工が施される箔押し領域内に前記トナーリフレッシュ用画像を生成する、
ことを特徴とする処理方法。
【請求項8】
請求項7に記載の処理方法をコンピュータに実行させるためのプログラム。
【請求項9】
印刷後に箔加工を実施する画像形成システムであって、
印刷データに基づいて、媒体に画像を印刷する印刷装置と、
箔データに基づいて、印刷済みの前記媒体に箔を加工する箔加工装置と、
前記印刷データおよび前記箔データを処理する処理装置と、を備え、
前記処理装置は、
前記印刷データのカバレッジ率を算出するカバレッジ率算出部と、
前記カバレッジ率の算出結果に基づいて、トナーリフレッシュ用画像を前記印刷データに生成するリフレッシュ用画像処理部と、
前記箔加工が施される箔押し領域を前記箔データから抽出する箔押し領域抽出部と、を有し、
前記リフレッシュ用画像処理部は、前記箔押し領域内に前記トナーリフレッシュ用画像を生成する、
ことを特徴とする画像形成システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、処理装置、処理方法、プログラム、および画像形成システムに関する。
【背景技術】
【0002】
ロール紙対応のプリンタのように用紙が途中で切れることなく排紙される印刷機において、カバレッジ率が低い(使用するトナー量が少ない)原稿を一定以上の距離で印刷すると、現像器内のトナーの劣化が発生し、トナーこぼれやかぶりの画像不具合が生じる。
この問題に対して、一般的には、用紙端部に帯状のトナーリフレッシュ用画像を印刷することによって、トナー消費量を増やす方法が知られている。しかしながら、例えば、画質調整用のカラーパッチを印刷する場合や、用紙幅をフルに使用して印刷データを印刷する場合には、用紙端部にトナーリフレッシュ用画像を印刷する方法は使用できない。
【0003】
これに関連して、印刷ジョブの実行を一時中断して、リフレッシュ帯と称する画像パターンを印刷して強制的にトナーを消費し、現像器内のトナーの入れ替えを行う技術が提案されている(例えば、特許文献1参照)。
特許文献1に記載された技術は、印刷ジョブに含まれる画像のカバレッジに基づいて、トナーを消費するための画像パターンの作成要否を判断し、必要と判断した際には連続紙の搬送距離を算出して、算出した搬送距離に応じて画像パターンを作成する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2017-096991号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1に記載された技術では、印刷ジョブには関係しない無駄な印刷領域が発生するので、コスト面で不利となる。
【0006】
本発明は、前記した問題点に鑑みてなされたものであり、本発明の目的は、低カバレッジに起因する不具合を抑制でき、かつ、コスト面で不利になりにくい処理装置、処理方法、プログラム、および画像形成システムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の上記目的は、下記の手段によって達成される。
【0008】
(1)印刷に用いる印刷データの処理装置であって、前記印刷データのカバレッジ率を算出するカバレッジ率算出部と、前記カバレッジ率の算出結果に基づいて、トナーリフレッシュ用画像を前記印刷データに生成するリフレッシュ用画像処理部と、を備え、前記リフレッシュ用画像処理部は、箔加工が施される箔押し領域内に前記トナーリフレッシュ用画像を生成する、ことを特徴とする処理装置。
【0009】
(2)前記リフレッシュ用画像処理部は、各色のトナーによるトナーリフレッシュ用領域を均等に割り当てる、上記(1)の処理装置。
【0010】
(3)前記リフレッシュ用画像処理部は、前記カバレッジ率の低い色のトナーによるトナーリフレッシュ用領域を、他の色に対して広く割り当てる、上記(1)の処理装置。
【0011】
(4)前記リフレッシュ用画像処理部は、前記箔押し領域を縮小した縮小領域を前記トナーリフレッシュ用画像として割り当てる、上記(1)の処理装置。
【0012】
(5)前記リフレッシュ用画像処理部は、最適なトナー使用量の算出を行い、その算出結果に基づいてトナーリフレッシュ用領域を割り当てる、上記(1)の処理装置。
【0013】
(6)前記リフレッシュ用画像処理部は、トナー量の偏りによってトナーリフレッシュ用画像の高さが不揃いにならないように、前記トナーリフレッシュ用画像のトナー量を調整する、上記(1)の処理装置。
【0014】
(7)印刷に用いる印刷データの処理方法であって、前記印刷データのカバレッジ率を算出するカバレッジ率算出ステップと、前記カバレッジ率の算出結果に基づいて、トナーリフレッシュ用画像を前記印刷データに生成するリフレッシュ用画像処理ステップと、を有し、前記リフレッシュ用画像処理ステップでは、箔加工が施される箔押し領域内に前記トナーリフレッシュ用画像を生成する、ことを特徴とする処理方法。
【0015】
(8)上記(7)の処理方法をコンピュータに実行させるためのプログラム。
【0016】
(9)印刷後に箔加工を実施する画像形成システムであって、印刷データに基づいて、媒体に画像を印刷する印刷装置と、箔データに基づいて、印刷済みの前記媒体に箔を加工する箔加工装置と、前記印刷データおよび前記箔データを処理する処理装置と、を備え、前記処理装置は、前記印刷データのカバレッジ率を算出するカバレッジ率算出部と、前記カバレッジ率の算出結果に基づいて、トナーリフレッシュ用画像を前記印刷データに生成するリフレッシュ用画像処理部と、前記箔加工が施される箔押し領域を前記箔データから抽出する箔押し領域抽出部と、を有し、前記リフレッシュ用画像処理部は、前記箔押し領域内に前記トナーリフレッシュ用画像を生成する、ことを特徴とする画像形成システム。
【発明の効果】
【0017】
本発明によれば、低カバレッジに起因する不具合を抑制でき、かつ、コスト面で不利になりにくい。
【図面の簡単な説明】
【0018】
図1】本発明の実施形態に係る画像形成システムの概略構成図である。
図2】本発明の実施形態に係る画像データ処理装置および印刷装置の構成図である。
図3】印刷データのイメージである。
図4】箔データのイメージである。
図5】トナーリフレッシュ用画像を追加した印刷データのイメージである。
図6】最終的に印刷される印刷物のイメージである。一部の形成物の箔画像を切り欠いてトナーリフレッシュ用画像を示している。
図7】トナーリフレッシュ用画像を追加した印刷データのイメージである。
図8】トナーリフレッシュ用画像を追加した印刷データのイメージである。
図9】トナーリフレッシュ用画像を追加した印刷データのイメージである。
図10】トナーリフレッシュ用画像を追加した印刷データのイメージである。
図11】本発明の実施形態に係る画像データ処理装置の処理方法の工程を示すフローチャートである。
図12】トナーリフレッシュ用画像の設定を行う設定画面の例示である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、本発明の実施形態を、図面を参照して詳細に説明する。各図は、本発明を十分に理解できる程度に、概略的に示してあるに過ぎない。よって、本発明は、図示例のみに限定されるものではない。また、各図において、共通する構成要素や同様な構成要素については、同一の符号を付し、それらの重複する説明を省略する。また、本発明に直接関連しない既知の機能については詳細な説明を省略する場合がある。
【0020】
[実施形態の概要]
昨今の印刷物は、付加価値を高めるために金や銀などの箔を後処理で上乗せするケースが多くある。特に、ロール紙への印刷で多く見受けられるラベル印刷等で、この箔処理を使用するケースが多いという特徴がある。金や銀などの箔を載せる領域(箔押し領域)は、箔の下に隠れるのでトナーでどのような印刷をしても最終的な印刷物に影響がない。そこで、金や銀などの箔を載せる領域(箔押し領域)に着目し、この箔押し領域にカバレッジ率の低い色のトナーで印刷する。
【0021】
<実施形態に係る画像形成システムの構成>
図1は、第1実施形態に係る画像形成システム1の概略構成図である。この画像形成システム1は、画像データ作成装置10と、画像データ処理装置20と、印刷装置30と、箔加工装置40とを備える。画像形成システム1によって印刷される最終的な印刷物80には、印刷装置30によって形成される印刷画像と、箔加工装置40によって形成される箔画像とが含まれる。
【0022】
(画像データ作成装置)
図1に示す画像データ作成装置10は、画像形成システム1によって形成される画像(印刷画像および箔画像)に関するデータ(画像データ)を作成するための装置である。画像データ作成装置10は、印刷画像に関する画像データである印刷データ50と、箔画像に関する画像データである箔データ60とを作成する。印刷データ50および箔データ60のファイル形式は特に限定されない。印刷データ50の一例は、PDF(Portable Document Format)データであり、箔データ60の一例は、TIFF(Tag Image File Format)データである。箔データ60は、例えば、画像データの他、箔の色、種類などの情報を含むことが可能なファイル形式のデータである。
【0023】
画像データ作成装置10は、一般的なコンピュータなどの端末装置であってよく、通信機能を有することが好ましい。画像データ作成装置10は、作成した画像データ(印刷データ50および箔データ60)を、画像データ処理装置20に送信する。なお、画像データ作成装置10は、画像形成システム1の構成要素である必要はなく、外部装置であってもよい。
【0024】
(画像データ処理装置)
画像データ処理装置20は、画像データ作成装置10から送信された印刷データ50および箔データ60のデータ処理を実施し、処理したデータを印刷装置30と箔加工装置40に送信する。例えば、画像データ処理装置20は、印刷データ50をRIP(Raster Image Processor)処理することでRIP処理済みの印刷データ50aを作成し、当該印刷データ50aを印刷装置30に送信する。また、画像データ処理装置20は、箔データ60をRIP処理することでRIP処理済みの箔データ60aを作成し、当該箔データ60aを箔加工装置40に送信する。なお、この画像データ処理装置20は、上述した画像データ作成装置10を兼ねるものであってもよく、次に説明する印刷装置30の一部を構成するものであってもよい。また、画像データ処理装置20は、カバレッジ率に基づいて、トナーリフレッシュ用画像データを印刷データ50に生成する。トナーリフレッシュ用画像データは、強制的にトナーを消費するためのトナーリフレッシュ用画像に関するデータである。トナーリフレッシュ用画像に関する処理については後述する。
【0025】
(印刷装置)
印刷装置30は、画像データ処理装置20から送付されたRIP処理済みの印刷データ50aに基づく印刷を実施し、媒体に印刷画像を形成する。印刷画像を形成する媒体の形状、種類、材質などは限定されない。本実施形態では、印刷画像を形成する媒体としてロール紙を想定する。また、印刷装置30の印刷方式は限定されない。本実施形態では、フルカラーの画像を形成するカラー印刷装置を想定する。印刷装置30によって印刷された印刷物70は、箔加工装置40に渡される。なお、印刷装置30は、印刷データ50にトナーリフレッシュ用画像データが追加されていた場合に、トナーリフレッシュ用画像を媒体に印刷する。
【0026】
(箔加工装置)
箔加工装置40は、画像データ処理装置20から送付されたRIP処理済みの箔データ60aに基づく箔加工処理を実施する。本実施形態では、印刷装置30によってカラーの印刷画像が形成されたカラー画像印刷済み印刷物70に対して、箔加工装置40が箔画像をさらに形成する。これにより、カラーの印刷画像および金や銀などの箔画像が形成された最終的な印刷物80が作成される。
【0027】
図2を参照して(適宜、図1を参照)、画像データ処理装置20の構成について説明する。図2は、画像データ処理装置20および印刷装置30の構成図(ハードウェア構成を含む)である。図2に示すように、画像データ処理装置20は、ハードウェア構成として、操作表示部21、CPU(Central Processing Unit)22、RAM(Random Access Memory)やROM(Read Only Memory)などのメモリ23、HDD(hard disk drive)24、および外部I/F(Interface)25を備える。画像データ処理装置20は、一般的なコンピュータなどの端末装置であってよい。画像データ処理装置20は、外部I/F25を介して、画像データ作成装置10から印刷データ50および箔データ60を受け取る。
【0028】
図3は、印刷データ50のイメージである。図3に示す印刷データ50は、複数のオブジェクト51を有する。オブジェクト51は、縦横に並べて配置されており、全体として4行3列の行列構造となっている。各々のオブジェクト51は、円形状の図形52と、図形52の中に配置された文字列53とで構成される。図形52および文字列53には、任意の色が対応付けられている。
【0029】
図4は、箔データ60のイメージである。図4に示す箔データ60は、複数のオブジェクト61を有する。各々のオブジェクト61は、箔押し領域62と、箔押し領域62の一部が白抜きされた白抜き領域63とを有する。箔押し領域62は、金や銀などの箔を載せる領域であり、例えばブラック(K100%)で描画されている。本実施形態では、説明を簡単にするために、箔押し領域62の形状およびサイズを、印刷データ50のオブジェクト51の図形52に対応させている。白抜き領域63は、文字列53に対応している。
【0030】
図2に示すように、画像データ処理装置20は、CPU22によるプログラムの実行処理によって実現される機能として、カバレッジ率算出部26a、箔押し領域抽出部26b、リフレッシュ用画像処理部26c、印刷データ作成部26d、および箔データ作成部26eを有する。なお、これらの各機能を実現されるためのプログラムは、例えば、メモリ23に保存されたもの、外部装置からメモリ23またはHDD24にロードされて保存されたものなどであってよい。
【0031】
(カバレッジ率算出部)
カバレッジ率算出部26aは、画像データ作成装置10から送信された印刷データ50のカバレッジ率を算出する。カバレッジ率は、例えば、所定範囲すべてを1色で印刷したときのトナー消費量を100%として、実際に使用したトナー消費量から算出する割合である。カバレッジ率算出部26aは、各色(CMYK)のカバレッジ率を算出する。
【0032】
(箔押し領域抽出部)
箔押し領域抽出部26bは、画像データ作成装置10から送信された画像データの中に、箔データ60が含まれているか否かを判断する(つまり、印刷データ50に加えて箔データ60が画像データ作成装置10から送信されたか否かを判断する)。画像データに箔データ60が含まれている場合、箔押し領域抽出部26bは、箔押し領域62(図4参照)を抽出する。
【0033】
(リフレッシュ用画像処理部)
リフレッシュ用画像処理部26cは、カバレッジ率の算出結果に基づいて、トナーリフレッシュ用画像を印刷データ50に生成する。例えば、リフレッシュ用画像処理部26cは、カバレッジ率が低くトナーリフレッシュ用画像の印刷が必要と判断した場合には、箔加工が施される箔押し領域62内に各色(CMYK)のトナーリフレッシュ用画像を追加する。
【0034】
図5を参照して、リフレッシュ用画像処理部26cの処理の一例を説明する。図5は、トナーリフレッシュ用画像54を追加した印刷データ150のイメージである。図5に示す印刷データ150は、図3に示す印刷データ50に対してトナーリフレッシュ用画像54が追加されている。トナーリフレッシュ用画像54は、図形52(つまり、箔押し領域62(図4参照))内に生成されている。ここでは、各色(CMYK)のトナーリフレッシュ用画像54を均等に印刷する場合を想定する。一番上の行に配置されるオブジェクト151には、「C100%」のトナーリフレッシュ用画像54Cが生成されている。また、上から二番目の行に配置されるオブジェクト151には、「M100%」のトナーリフレッシュ用画像54Mが生成されている。また、上から三番目の行に配置されるオブジェクト151には、「Y100%」のトナーリフレッシュ用画像54Yが生成されている。また、一番下の行に配置されるオブジェクト151には、「K100%」のトナーリフレッシュ用画像54Kが生成されている。これにより、各色(CMYK)でのトナーリフレッシュ用画像54の合計面積は概ね同じになっている。つまり、図5では、各色(CMYK)のトナーによるトナーリフレッシュ用領域を、箔押し領域62(図4参照)に均等に割り当てている。
【0035】
(印刷データ作成部)
印刷データ作成部26dは、印刷データ50をRIP処理することでRIP処理済みの印刷データ50aを作成する。図5に示すように、トナーリフレッシュ用画像54が追加された印刷データ150の場合、印刷データ作成部26dは、トナーリフレッシュ用画像54を含んだ印刷データ50aを作成する。作成された印刷データ50aは、印刷装置30に送信される。
【0036】
(箔データ作成部)
箔データ作成部26eは、箔データ60をRIP処理することでRIP処理済みの箔データ60a(図1参照)を作成する。作成された箔データ60aは、箔加工装置40に送信される。
【0037】
図2を参照して(適宜、図1を参照)、印刷装置30の構成について説明する。図2に示すように、印刷装置30は、ハードウェア構成として、操作表示部31、CPU32、RAMやROMなどのメモリ33、HDD34、および外部I/F35を備える。また、印刷装置30は給紙部36、印刷部37、および排紙部38を備える。印刷部37は、例えば、各色(CMYK)のトナーを用いて、フルカラーの画像を形成する。
【0038】
図6は、画像形成システム1によって最終的に印刷される印刷物80(図1参照)のイメージである。図6に示す印刷物80は、複数のオブジェクト81を有する。各々のオブジェクト81は、印刷装置30によって印刷された印刷画像82と、箔加工装置40によって形成された箔画像83とを有する。印刷画像82には、箔画像83に覆われていて視認することができないトナーリフレッシュ用画像84が含まれる。図6では、一部のオブジェクト81の箔画像83を切り欠いて、箔画像83の下側に隠れて形成されるトナーリフレッシュ用画像84を示している。
【0039】
ここまでは、各色(CMYK)のトナーによるトナーリフレッシュ用領域を、箔押し領域62(図4参照)に均等に割り当てる場合を説明した。続いて、トナーリフレッシュ用領域の他の割り当て方法を説明する。
【0040】
図7は、カバレッジ率の低い色のトナーに大きいトナーリフレッシュ用領域を割り当てる場合である。図7は、トナーリフレッシュ用画像54を追加した印刷データ250のイメージである。図7に示す各々のオブジェクト251は、図5に示すオブジェクト151と同様である。図7では、色(C)のカバレッジ率が他の色(MYK)のカバレッジ率よりも低い想定であり、箔押し領域62に対して、色(C)のトナーリフレッシュ用画像54Cが色(MYK)のトナーリフレッシュ用画像54M,54Y,54Kよりも多く生成されている。具体的には、一番上および上から二番目の行に配置されるオブジェクト251には、「C100%」のトナーリフレッシュ用画像54Cが生成されている。また、一番左の列の下側二か所に配置されるオブジェクト251には、「M100%」のトナーリフレッシュ用画像54Mが生成されている。また、中央の列の下側二か所に配置されるオブジェクト251には、「Y100%」のトナーリフレッシュ用画像54Yが生成されている。また、一番右の列の下側二か所に配置されるオブジェクト251には、「K100%」のトナーリフレッシュ用画像54Kが生成されている。つまり、図7では、色(C)のトナーによるトナーリフレッシュ用領域に対して、各色(MYK)のトナーによるトナーリフレッシュ用領域が半分になっている。言い換えれば、カバレッジ率の低い色(C)のトナーによるトナーリフレッシュ用領域を、他の色(MYK)に対して広く割り当てている。
【0041】
図8は、箔加工がずれる場合を考慮し、箔押し領域62に対してトナーリフレッシュ用画像54を縮小して描画する場合である。図8は、トナーリフレッシュ用画像54を追加した印刷データ350のイメージである。図8に示すオブジェクト351は、図形52(つまり、箔押し領域62)のサイズに対してトナーリフレッシュ用画像54のサイズが小さくなっており、図形52とトナーリフレッシュ用画像54との間に隙間55が存在する。箔押し領域62とトナーリフレッシュ用画像54とは同じ形状であり、縮尺のみが変更されているのがよい。図8に示すトナーリフレッシュ用画像54は、箔押し領域62と同じ円形であり、中心が一致している(トナーリフレッシュ用画像54の外形と箔押し領域62の外形とは同心円となっている)。どの程度の縮尺にすればよいかは、例えば箔加工装置40の加工精度などを考慮して決定され、箔押し領域62のサイズを100%とした場合に、トナーリフレッシュ用画像54のサイズを例えば70%~95%にする。
【0042】
図9は、最適なトナー使用量の算出を行い、無駄なトナー消費を抑制する場合である。図9は、トナーリフレッシュ用画像54を追加した印刷データ450のイメージである。図9に示すオブジェクト451は、図5に示すオブジェクト151と同様である。図9では、最適なトナー使用量の算出を行った結果、すべての箔押し領域62(図4参照)にトナーリフレッシュ用画像54を描画する必要まではないと判断した想定であり、左および右の列にはトナーリフレッシュ用画像54を描画せず、中央の列にのみトナーリフレッシュ用画像54を描画している。これにより、図5に示す場合と比較して、トナーリフレッシュ用領域が3分の1になっているため、トナー消費を3分の1に抑制することができる。
【0043】
図10は、トナー量の偏りで高さが不揃いにならないように考慮した場合である。図10は、トナーリフレッシュ用画像554を追加した印刷データ550のイメージである。図9では、トナーリフレッシュ用画像54を生成したオブジェクト451と、生成しないオブジェクト51とが混在しているので、トナー量に伴う高さが不揃いになっている。図10では、すべてのオブジェクト551に「C30%」「M30%」「Y30%」「K30%」でトナーリフレッシュ用画像554を生成しているので、高さが不揃いになっておらず、また、図5に示す場合と比較して、トナーリフレッシュ用領域の高さが低くなっている。
【0044】
<実施形態に係る画像形成システムの動作>
図11を参照して(適宜、図1ないし図10を参照)、画像形成システム1を構成する画像データ処理装置20の処理について説明する。図11は、実施形態に係る画像データ処理装置20の処理方法の工程を示すフローチャートである。
【0045】
画像データ処理装置20は、画像データ作成装置10から印刷データ50を受信する(ステップS1)。この場合に、画像データ処理装置20は、受信した印刷データ50に対応する箔データ60が存在するかを確認する(ステップS2)。
箔データ60が存在しない場合(ステップS2で“No”)、印刷データ作成部26dは、印刷データ50をRIP処理することでRIP処理済みの印刷データ50aを作成し、印刷装置30が印刷データ50aに基づいて印刷する(ステップS5)。つまり、この場合には、トナーリフレッシュ用画像54を印刷データ50に追加しない。
【0046】
一方、箔データ60が存在する場合(ステップS2で“Yes”)、カバレッジ率算出部26aは、印刷データ50のカバレッジ率を算出し、算出したカバレッジ率が閾値を下回っているかを判定する(ステップS3)。カバレッジ率算出部26aは、例えば各色(CMYK)のカバレッジ率を算出し、少なくとも何れかの色のカバレッジ率が閾値を下回っているかを判定する。
【0047】
カバレッジ率が閾値を下回っていない場合(ステップS3で“No”)、印刷データ作成部26dは、印刷データ50をRIP処理することでRIP処理済みの印刷データ50aを作成し、印刷装置30が印刷データ50aに基づいて印刷する(ステップS5)。つまり、この場合には、トナーリフレッシュ用画像54を印刷データ50に追加しない。
【0048】
一方、カバレッジ率が閾値を下回っている場合(ステップS3で“Yes”)、箔データ60を印刷データ50に合成し、箔加工が施される領域(箔押し領域62)に各色(CMYK)のトナーリフレッシュ用画像54(図5参照)を生成する(ステップS4)。続いて、印刷データ作成部26dは、トナーリフレッシュ用画像54を追加した印刷データ150(図5参照)をRIP処理することでRIP処理済みの印刷データ50aを作成し、印刷装置30が印刷データ50aに基づいて印刷する(ステップS5)。そして、箔加工装置40が当該印刷物70に対して箔加工を施すことで、図6に示す最終的な印刷物80が完成する。
【0049】
次に、図12を参照して、トナーリフレッシュ用画像54の設定方法について説明する。図12は、トナーリフレッシュ用画像54の設定を行う設定画面の例示である。図12に示す設定画面は、例えば、画像データ処理装置20の操作表示部21、または、印刷装置30の操作表示部31に表示される。図12に示す設定画面を用いて、各色(CMYK)のカバレッジ率を閾値の設定が可能である。また、箔押し領域62に対してトナーリフレッシュ用画像54を縮小して印刷する設定が可能である(図8参照)。また、各オブジェクトのトナー量を一定にする設定が可能である(図10参照)。
【0050】
以上のように構成された本発明の実施形態に係る画像形成システム1は、以下のような作用効果を奏する。
つまり、本実施形態に係る画像形成システム1は、金や銀などの箔を載せる領域(箔押し領域62)内にトナーリフレッシュ用画像54を生成する。そのため、印刷ジョブには関係しない無駄な印刷領域が発生しないので、コスト面で不利にならない。なお、この箔押し領域62は、箔の下に隠れるので、最終的な印刷物80(図6参照)に影響がない。
【0051】
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明は、前記した実施形態に限定されず、適宜変更して実施することが可能である。
実施形態では、トナーリフレッシュ用画像54を単色のトナーを用いて生成していたが、複数色のトナーを用いてトナーリフレッシュ用画像54を生成してもよい。例えば、色(C+M200%)のような複数のトナーを混色したトナーリフレッシュ用画像54を生成してもよい。
【符号の説明】
【0052】
1 画像形成システム
10 画像データ作成装置
20 画像データ処理装置(処理装置)
30 印刷装置
40 箔加工装置
21,31 操作表示部
22,32 CPU
23,33 メモリ
24,34 HDD
25,35 外部I/F
26a カバレッジ率算出部
26b 箔押し領域抽出部
26c リフレッシュ用画像処理部
26d 印刷データ作成部
26e 箔データ作成部
36 給紙部
37 印刷部
38 排紙部
図1
図2
図3
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図5
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図12