(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2025005986
(43)【公開日】2025-01-17
(54)【発明の名称】給与計算装置、給与計算方法および給与計算プログラム
(51)【国際特許分類】
G06Q 40/12 20230101AFI20250109BHJP
【FI】
G06Q40/12 420
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023106474
(22)【出願日】2023-06-28
(71)【出願人】
【識別番号】398040527
【氏名又は名称】株式会社オービック
(74)【代理人】
【識別番号】110002147
【氏名又は名称】弁理士法人酒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】橋本 凌真
(72)【発明者】
【氏名】佐野 直樹
【テーマコード(参考)】
5L040
5L055
【Fターム(参考)】
5L040BB65
5L055BB65
(57)【要約】 (修正有)
【課題】公務員を出向者として受入れる企業の給与計算業務を効率化する給与計算装置を提供する。
【解決手段】給与計算装置である業務支援装置100は、まず、項目定義マスタ106aに従い総支給額、課税総額、報酬総額、賃金総額及び残業基準賃金の集計計算を行い、派遣調整手当を計算して金額を仮決めする。次に、項目定義マスタ106aに従い総支給額、課税総額、報酬総額および賃金総額につき仮決めの調整手当を含むデータを基に集計計算を実行し、派遣調整手当を計算して金額を確定する。更に、項目定義マスタ106aに従って残業基準賃金について仮決めの派遣調整手当を含むデータを基に集計計算を行い、項目定義マスタ106aに従って総支給額、課税総額、報酬総額および賃金総額について、確定した派遣調整手当を含む所要のデータを基に集計計算を行い、項目定義マスタ106aに従って控除合計額について所要のデータを基に集計計算を行う。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
集計結果の属性ごとに集計対象の金額項目の属性をフラグで管理している集計定義データであって、集計結果の属性として、総支給額、課税総額、報酬総額および賃金総額のうちの少なくとも一つの属性と残業基準賃金とを含み、且つ、金額項目の属性として、基本給、役職手当、1段階目の計算で得られた調整手当および1段階目または2段階目の計算で得られた調整手当を含むものにアクセス可能であり、
調整手当は、公務員を出向者として受け入れている企業が出向者に支払う、「(社会保険料+労働保険料-共済金額)×所定の率」という式で定義される金額の属性であり、
3段階の計算を実行する給与計算部を備え、
前記給与計算部は、(1)1段階目の計算では、調整手当が未計算の状態で前記集計定義データに従って各集計結果の属性について所要のデータを基に集計計算を実行し、その後、所要のデータを基に調整手当を計算して金額を仮決めし、(2)2段階目の計算では、前記集計定義データに従って前記少なくとも一つの属性について前記1段階目の計算で得られた仮決めの調整手当を含む所要のデータを基に集計計算を実行し、その後、所要のデータを基に調整手当を計算して金額を確定し、(3)3段階目の計算では、前記集計定義データに従って残業基準賃金について前記1段階目の計算で得られた仮決めの調整手当を含む所要のデータを基に集計計算を実行し、且つ、前記集計定義データに従って前記少なくとも一つの属性について前記2段階目の計算で得られた確定した調整手当を含む所要のデータを基に集計計算を実行すること、
を特徴とする給与計算装置。
【請求項2】
集計定義データは、集計結果の属性として、総支給額、課税総額、報酬総額、賃金総額および残業基準賃金を含むこと、
を特徴とする請求項1に記載の給与計算装置。
【請求項3】
集計定義データは、集計結果の属性として、控除合計額を含み、金額項目の属性として、社会保険料、労働保険料および所得税を含むこと、
を特徴とする請求項2に記載の給与計算装置。
【請求項4】
集計定義データにおいて、総支給額、課税総額、報酬総額および賃金総額に対しては、基本給、役職手当および1段階目または2段階目の計算で得られた調整手当が集計対象となるようにフラグが設定されており、残業基準賃金に対しては、基本給、役職手当および1段階目の計算で得られた調整手当が集計対象となるようにフラグが設定されており、控除合計額に対しては、社会保険料、労働保険料および所得税が集計対象となるようにフラグが設定されていること、
を特徴とする請求項3に記載の給与計算装置。
【請求項5】
給与計算部が3段階の計算を実行する給与計算ステップを含み、
前記給与計算部は、集計結果の属性ごとに集計対象の金額項目の属性をフラグで管理している集計定義データであって、集計結果の属性として、総支給額、課税総額、報酬総額および賃金総額のうちの少なくとも一つの属性と残業基準賃金とを含み、且つ、金額項目の属性として、基本給、役職手当、1段階目の計算で得られた調整手当および1段階目または2段階目の計算で得られた調整手当を含むものにアクセス可能であり、
調整手当は、公務員を出向者として受け入れている企業が出向者に支払う、「(社会保険料+労働保険料-共済金額)×所定の率」という式で定義される金額の属性であり、
前記給与計算ステップにおいて、前記給与計算部が、(1)1段階目の計算では、調整手当が未計算の状態で前記集計定義データに従って各集計結果の属性について所要のデータを基に集計計算を実行し、その後、所要のデータを基に調整手当を計算して金額を仮決めし、(2)2段階目の計算では、前記集計定義データに従って前記少なくとも一つの属性について前記1段階目の計算で得られた仮決めの調整手当を含む所要のデータを基に集計計算を実行し、その後、所要のデータを基に調整手当を計算して金額を確定し、(3)3段階目の計算では、前記集計定義データに従って残業基準賃金について前記1段階目の計算で得られた仮決めの調整手当を含む所要のデータを基に集計計算を実行し、且つ、前記集計定義データに従って前記少なくとも一つの属性について前記2段階目の計算で得られた確定した調整手当を含む所要のデータを基に集計計算を実行すること、
を特徴とする給与計算方法。
【請求項6】
情報処理装置を3段階の計算を実行する給与計算手段として機能させるための給与計算プログラムであって、
前記情報処理装置は、集計結果の属性ごとに集計対象の金額項目の属性をフラグで管理している集計定義データであって、集計結果の属性として、総支給額、課税総額、報酬総額および賃金総額のうちの少なくとも一つの属性と残業基準賃金とを含み、且つ、金額項目の属性として、基本給、役職手当、1段階目の計算で得られた調整手当および1段階目または2段階目の計算で得られた調整手当を含むものにアクセス可能であり、
調整手当は、公務員を出向者として受け入れている企業が出向者に支払う、「(社会保険料+労働保険料-共済金額)×所定の率」という式で定義される金額の属性であり、
前記給与計算手段は、(1)1段階目の計算では、調整手当が未計算の状態で前記集計定義データに従って各集計結果の属性について所要のデータを基に集計計算を実行し、その後、所要のデータを基に調整手当を計算して金額を仮決めし、(2)2段階目の計算では、前記集計定義データに従って前記少なくとも一つの属性について前記1段階目の計算で得られた仮決めの調整手当を含む所要のデータを基に集計計算を実行し、その後、所要のデータを基に調整手当を計算して金額を確定し、(3)3段階目の計算では、前記集計定義データに従って残業基準賃金について前記1段階目の計算で得られた仮決めの調整手当を含む所要のデータを基に集計計算を実行し、且つ、前記集計定義データに従って前記少なくとも一つの属性について前記2段階目の計算で得られた確定した調整手当を含む所要のデータを基に集計計算を実行すること、
を特徴とする給与計算プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、給与計算装置、給与計算方法および給与計算プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、給与を構成する複数の支給項目等に対する給与計算の支援および作業動線管理を実現する給与計算作業動線管理システムが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ここで、鉄道や水道保守などの第3セクターに該当する企業は、都道府県庁から出向者を受け入れている。出向者はもともと公務員であるため共済に加入しているが、出向期間中は、民間企業に勤務することになる為、社会保険に加入することになる。出向者の等級や料率によって異なるものの、ほとんどの場合は共済よりも社会保険料の個人負担額が高くなる。このような経緯から出向者を受入れている企業は共済と社会保険料の差額(以下、「派遣調整手当」と記す場合がある。)を出向者に支払うことになっている。
【0005】
派遣調整手当の算出は、共済と社会保険料の差額となるのが基本的な考え方であるが、社会保険料は前月分控除となるが共済は当月分控除となる。また、派遣調整手当は、その性質上、社会保険料の算出基準となる報酬総額に該当し、労働保険や所得税の対象でもある。
【0006】
そのため、社会保険料を算出した後に派遣調整手当が仮決めされるが、その仮決めされた派遣調整手当を報酬総額や賃金総額に加算して法定控除を計算する必要がある。さらに、仮決めの派遣調整手当は残業基準賃金の算出元となるため、合計3回の給与計算が必要となる。各回の給与計算結果の確認を含め、給与担当者にとって複雑な業務となっていた。それゆえに、計算ミスが発生しやすく、計算ミスや勤怠の修正が発生した場合、その都度、給与担当者は給与計算をはじめからやり直す必要があり業務負担が増大していた。一方で計算ミスが発覚しなかった場合は、誤支給が発生していた。
【0007】
本発明は、上記事項に鑑みてなされたものであって、公務員を出向者として受け入れている企業(例えば鉄道や水道保守などの第3セクターに該当する企業など)における給与計算業務の効率化に寄与する給与計算装置、給与計算方法および給与計算プログラムを提供できることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上述した課題を解決し、目的を達成するために、本発明に係る給与計算装置は、集計結果の属性ごとに集計対象の金額項目の属性をフラグで管理している集計定義データであって、集計結果の属性として、総支給額、課税総額、報酬総額および賃金総額のうちの少なくとも一つの属性と残業基準賃金とを含み、且つ、金額項目の属性として、基本給、役職手当、1段階目の計算で得られた調整手当および1段階目または2段階目の計算で得られた調整手当を含むものにアクセス可能であり、調整手当は、公務員を出向者として受け入れている企業が出向者に支払う、「(社会保険料+労働保険料-共済金額)×所定の率」という式で定義される金額の属性であり、3段階の計算を実行する給与計算部を備え、前記給与計算部は、(1)1段階目の計算では、調整手当が未計算の状態で前記集計定義データに従って各集計結果の属性について所要のデータを基に集計計算を実行し、その後、所要のデータを基に調整手当を計算して金額を仮決めし、(2)2段階目の計算では、前記集計定義データに従って前記少なくとも一つの属性について前記1段階目の計算で得られた仮決めの調整手当を含む所要のデータを基に集計計算を実行し、その後、所要のデータを基に調整手当を計算して金額を確定し、(3)3段階目の計算では、前記集計定義データに従って残業基準賃金について前記1段階目の計算で得られた仮決めの調整手当を含む所要のデータを基に集計計算を実行し、且つ、前記集計定義データに従って前記少なくとも一つの属性について前記2段階目の計算で得られた確定した調整手当を含む所要のデータを基に集計計算を実行すること、を特徴とする。
【0009】
なお、集計定義データは、集計結果の属性として、総支給額、課税総額、報酬総額、賃金総額および残業基準賃金を含んでもよい。
【0010】
また、集計定義データは、集計結果の属性として、控除合計額を含んでもよく、金額項目の属性として、社会保険料、労働保険料および所得税を含んでもよい。
【0011】
また、集計定義データにおいて、総支給額、課税総額、報酬総額および賃金総額に対しては、基本給、役職手当および1段階目または2段階目の計算で得られた調整手当が集計対象となるようにフラグが設定されてもよく、残業基準賃金に対しては、基本給、役職手当および1段階目の計算で得られた調整手当が集計対象となるようにフラグが設定されてもよく、控除合計額に対しては、社会保険料、労働保険料および所得税が集計対象となるようにフラグが設定されてもよい。
【0012】
また、本発明に係る給与計算方法は、給与計算部が3段階の計算を実行する給与計算ステップを含み、前記給与計算部は、集計結果の属性ごとに集計対象の金額項目の属性をフラグで管理している集計定義データであって、集計結果の属性として、総支給額、課税総額、報酬総額および賃金総額のうちの少なくとも一つの属性と残業基準賃金とを含み、且つ、金額項目の属性として、基本給、役職手当、1段階目の計算で得られた調整手当および1段階目または2段階目の計算で得られた調整手当を含むものにアクセス可能であり、調整手当は、公務員を出向者として受け入れている企業が出向者に支払う、「(社会保険料+労働保険料-共済金額)×所定の率」という式で定義される金額の属性であり、前記給与計算ステップにおいて、前記給与計算部が、(1)1段階目の計算では、調整手当が未計算の状態で前記集計定義データに従って各集計結果の属性について所要のデータを基に集計計算を実行し、その後、所要のデータを基に調整手当を計算して金額を仮決めし、(2)2段階目の計算では、前記集計定義データに従って前記少なくとも一つの属性について前記1段階目の計算で得られた仮決めの調整手当を含む所要のデータを基に集計計算を実行し、その後、所要のデータを基に調整手当を計算して金額を確定し、(3)3段階目の計算では、前記集計定義データに従って残業基準賃金について前記1段階目の計算で得られた仮決めの調整手当を含む所要のデータを基に集計計算を実行し、且つ、前記集計定義データに従って前記少なくとも一つの属性について前記2段階目の計算で得られた確定した調整手当を含む所要のデータを基に集計計算を実行すること、を特徴とする。
【0013】
また、本発明に係る給与計算プログラムは、情報処理装置を3段階の計算を実行する給与計算手段として機能させるための給与計算プログラムであって、前記情報処理装置は、集計結果の属性ごとに集計対象の金額項目の属性をフラグで管理している集計定義データであって、集計結果の属性として、総支給額、課税総額、報酬総額および賃金総額のうちの少なくとも一つの属性と残業基準賃金とを含み、且つ、金額項目の属性として、基本給、役職手当、1段階目の計算で得られた調整手当および1段階目または2段階目の計算で得られた調整手当を含むものにアクセス可能であり、調整手当は、公務員を出向者として受け入れている企業が出向者に支払う、「(社会保険料+労働保険料-共済金額)×所定の率」という式で定義される金額の属性であり、前記給与計算手段は、(1)1段階目の計算では、調整手当が未計算の状態で前記集計定義データに従って各集計結果の属性について所要のデータを基に集計計算を実行し、その後、所要のデータを基に調整手当を計算して金額を仮決めし、(2)2段階目の計算では、前記集計定義データに従って前記少なくとも一つの属性について前記1段階目の計算で得られた仮決めの調整手当を含む所要のデータを基に集計計算を実行し、その後、所要のデータを基に調整手当を計算して金額を確定し、(3)3段階目の計算では、前記集計定義データに従って残業基準賃金について前記1段階目の計算で得られた仮決めの調整手当を含む所要のデータを基に集計計算を実行し、且つ、前記集計定義データに従って前記少なくとも一つの属性について前記2段階目の計算で得られた確定した調整手当を含む所要のデータを基に集計計算を実行すること、を特徴とする。
【発明の効果】
【0014】
本発明は、公務員を出向者として受け入れている企業(例えば鉄道や水道保守などの第3セクターに該当する企業など)における給与計算業務の効率化に寄与するという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【
図1】
図1は、本実施形態に係る業務支援装置の構成の一例を示すブロック図である。
【
図2】
図2は、本実施形態に係る項目定義マスタの一例を示す図である。
【
図3】
図3は、本実施形態に係る計算定義マスタの一例を示す図である。
【
図4】
図4は、本実施形態に係る社員属性データの一例を示す図である。
【
図5】
図5は、本実施形態に係る社員勤怠データの一例を示す図である。
【
図6】
図6は、本実施形態に係る社員支給データの一例を示す図である。
【
図7】
図7は、本実施形態に係る社員控除データの一例を示す図である。
【
図8】
図8は、本実施形態に係る社員情報登録処理および関連するデータの一例を示す図である。
【
図9】
図9は、本実施形態に係る給与変動入力処理および関連するデータの一例を示す図である。
【
図10】
図10は、本実施形態に係る給与計算処理における参照するデータ等の一例および関数一覧表を示す図である。
【
図11】
図11は、本実施形態に係る給与計算処理における計算順序の概要を示す図である。
【
図12】
図12は、本実施形態に係る給与計算処理における1回目の計算の詳細について示す図である。
【
図13】
図13は、本実施形態に係る給与計算処理における2回目の計算の詳細について示す図である。
【
図14】
図14は、本実施形態に係る給与計算処理における3回目の計算の詳細について示す図である。
【
図15】
図15は、本実施形態に係る給与計算処理における計算結果を格納した各データの一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下に、本発明に係る給与計算装置、給与計算方法および給与計算プログラムの実施形態を、図面に基づいて詳細に説明する。なお、本実施形態により本発明が限定されるものではない。
【0017】
[1.構成]
本実施形態に係る業務支援装置100(本発明に係る給与計算装置を含む)の構成の一例について、
図1等を参照して説明する。
図1は、業務支援装置100の構成の一例を示すブロック図である。
【0018】
業務支援装置100は、市販のデスクトップ型パーソナルコンピュータを基に構築したものである。なお、業務支援装置100は、デスクトップ型パーソナルコンピュータのような据置型情報処理装置を基に構築したものに限らず、市販のノート型パーソナルコンピュータ、PDA(Personal Digital Assistants)、スマートフォンまたはタブレット型パーソナルコンピュータなどの携帯型情報処理装置を基に構築したものであってもよい。
【0019】
業務支援装置100は、制御部102と通信インターフェース部104と記憶部106と入出力インターフェース部108と、を備えている。業務支援装置100が備えている各部は、任意の通信路を介して通信可能に接続されている。
【0020】
通信インターフェース部104は、ルータ等の通信装置および専用線等の有線または無線の通信回線を介して、業務支援装置100をネットワーク300に通信可能に接続する。通信インターフェース部104は、他の装置と通信回線を介してデータを通信する機能を有する。ここで、ネットワーク300は、業務支援装置100とサーバ200とを相互に通信可能に接続する機能を有し、例えばインターネットやLAN(Local Area Network)等である。なお、記憶部106に格納されるデータは、例えばサーバ200に格納されてもよい。
【0021】
入出力インターフェース部108には、入力装置112および出力装置114が接続されている。出力装置114には、モニタ(家庭用テレビを含む)の他、スピーカやプリンタを用いることができる。入力装置112には、キーボード、マウス、及びマイクの他、マウスと協働してポインティングデバイス機能を実現するモニタを用いることができる。なお、以下では、出力装置114をモニタ114とし、入力装置112をキーボード112またはマウス112として記載する場合がある。
【0022】
記憶部106には、各種のデータベース、テーブルおよびファイルなどが格納される。記憶部106には、OS(Operating System)と協働してCPU(Central Processing Unit)に命令を与えて各種処理を行うためのコンピュータプログラムが記録される。記憶部106として、例えば、RAM(Random Access Memory)・ROM(Read Only Memory)等のメモリ装置、ハードディスクのような固定ディスク装置、フレキシブルディスク、および光ディスク等を用いることができる。
【0023】
記憶部106は、項目定義マスタ106a(本発明の集計定義データに相当)、計算定義マスタ106b、社員属性データ106c、社員勤怠データ106d、社員支給データ106eおよび社員控除データ106f等を格納する。なお、業務支援装置100は、記憶部106に格納されている各種マスタをメンテナンス(新規登録、修正、または削除)する機能を備えてもよい。
【0024】
図2には、項目定義マスタ106aに格納される情報の一例が示されている。項目定義マスタ106aは、計算定義マスタ106bにて更新項目・関数に格納されている関数化された「@総支給額」や「@課税総額」などの集計項目を管理するためのものである。項目定義マスタ106aは、
図2で示すように、集計するための数値の取得対象である社員支給データ106eに対応する項目名(例えば項目名等)、取得対象である項目の数値を取得するか否かを設定する区分(例えば、総支給FLG、課税総額FLG、社会保険FLG、労働保険FLG、残業基準FLG、控除合計FLG等)等を格納する。なお、計算定義マスタ106bの設定および項目定義マスタ106aでフラグ(FLG)をTRUEまたはFALSEの設定することで、手当が増えた場合や変更があった場合に対応でき、漏れなく金額が集計されて正しく計算される。項目定義マスタ106aは、集計結果の属性ごとに集計対象の金額項目の属性をフラグで管理している集計定義データであって、(A)集計結果の属性として、総支給額、課税総額、報酬総額、賃金総額、残業基準賃金および控除合計額を含み、且つ、(B)金額項目の属性として、基本給、役職手当、1段階目の計算で得られた調整手当、1段階目または2段階目の計算で得られた調整手当、社会保険料、労働保険料および所得税を含み、且つ、(C)総支給額、課税総額、報酬総額および賃金総額に対しては、基本給、役職手当および1段階目または2段階目の計算で得られた調整手当が集計対象となるようにフラグが設定されており、残業基準賃金に対しては、基本給、役職手当および1段階目の計算で得られた調整手当が集計対象となるようにフラグが設定されており、控除合計額に対しては、社会保険料、労働保険料および所得税が集計対象となるようにフラグが設定されているものに相当する。
【0025】
図3には、計算定義マスタ106bに格納される情報の一例が示されている。計算定義マスタ106bは、給与計算を管理するためのものである。計算定義マスタ106bは、
図3で示すように、計算順序、更新項目・関数、計算内容を格納する。更新項目・関数に「@」を含む場合の詳細は、給与計算部102cの説明にて後述する。なお、計算定義マスタ106bの計算順序の番号の若い順に計算を実施する。
【0026】
図4には、社員属性データ106cに格納される情報の一例が示されている。社員属性データ106cは、社員の属性を管理するためのものである。社員属性データ106cは、
図4で示すように、対象年月、社員識別情報(例えば、社員コード等)、社員区分(例えば、一般社員、都道府県庁からの出向等)等を格納する。
【0027】
図5には、社員勤怠データ106dに格納される情報の一例が示されている。社員勤怠データ106dは、社員の勤怠に関する情報を管理するためのものである。社員勤怠データ106dは、
図5で示すように、対象年月、社員識別情報、普通残業時間、深夜残業時間および休日出勤時間等を格納する。
【0028】
図6には、社員支給データ106eに格納される情報の一例が示されている。社員支給データ106eは、社員の支給に関する情報を管理するためのものである。社員支給データ106eは、
図6で示すように、対象年月、社員識別情報、基本給、役職手当、派遣調整手当、残業基準賃金、普通残業手当、深夜手当、休日出勤手当、派遣調整1回目、総支給額、課税総額、報酬総額および賃金総額等を格納する。なお、社員支給データ106eは、トランザクションデータであり、算出された金額に上書きされ、更新される。
【0029】
図7には、社員控除データ106fに格納される情報の一例が示されている。社員控除データ106fは、社員の控除に関する情報を管理するためのものである。社員控除データ106fは、
図7で示すように、対象年月、社員識別情報、法定控除(例えば、所得税、社会保険料、労働保険料等)、控除合計および差引支給額等を格納する。なお、社員控除データ106fは、トランザクションデータであり、算出された金額に上書きされ、更新される。
【0030】
図1に戻り、制御部102は、業務支援装置100を統括的に制御するCPU等である。制御部102は、OS等の制御プログラム・各種の処理手順等を規定したプログラム・所要データなどを格納するための内部メモリを有し、格納されているこれらのプログラムに基づいて種々の情報処理を実行する。
【0031】
制御部102は、機能概念的に、社員情報登録部102a、給与変動入力部102bおよび給与計算部102c(本発明の給与計算部に相当)などを備える。
【0032】
社員情報登録部102aは、社員情報登録画面(図示せず)を表示させ、社員支給データ106eおよび社員控除データ106fに社員情報登録画面にて担当者によって設定された値を格納し、担当者によって設定されなかった項目については「0」を格納し更新する(
図8参照)。
【0033】
給与変動入力部102bは、給与変動入力画面(図示せず)を表示させ、社員勤怠データ106dに給与変動入力画面にて担当者によって設定された値を格納する。(
図9参照)。
【0034】
給与計算部102cは、3段階の計算を実行するものであり、(X)1段階目の計算では、調整手当(公務員を出向者として受け入れている企業が出向者に支払う、「(社会保険料+労働保険料-共済金額)×所定の率」という式で定義される金額)が未計算の状態で項目定義マスタ106aに従って総支給額、課税総額、報酬総額、賃金総額および残業基準賃金について所要のデータを基に集計計算を実行し、その後、所要のデータを基に調整手当を計算して金額を仮決めし、(Y)2段階目の計算では、項目定義マスタ106aに従って、総支給額、課税総額、報酬総額および賃金総額について1段階目の計算で得られた仮決めの調整手当を含む所要のデータを基に集計計算を実行し、その後、所要のデータを基に調整手当を計算して金額を確定し、(Z)3段階目の計算では、項目定義マスタ106aに従って残業基準賃金について1段階目の計算で得られた仮決めの調整手当を含む所要のデータを基に集計計算を実行し、且つ、項目定義マスタ106aに従って、総支給額、課税総額、報酬総額および賃金総額について2段階目の計算で得られた確定した調整手当を含む所要のデータを基に集計計算を実行し、且つ、項目定義マスタ106aに従って、控除合計額について所要のデータを基に集計計算を実行する。
【0035】
給与計算部102cは、具体的には、以下の(1)から(3)の処理を実行する。なお、以下の(2)で参照した「更新項目・関数」に「@総支給額」のように「@」が格納されている場合、関数が格納されていることを示している。
(1)社員属性データ106cを参照し、条件式が「社員区分=都道府県庁からの出向」に該当する社員識別情報を抽出する。
(2)計算定義マスタ106bを参照し、計算順序の若い順に計算内容を実施する。その際に、社員勤怠データ106d、社員支給データ106eおよび社員控除データ106fを参照し、(1)で抽出した社員識別情報に紐づけられたレコードを取得し、計算定義マスタ106bの「計算順序」に関連する「更新項目・関数」を参照し、参照した「更新項目・関数」に紐づく「計算内容」を参照し、参照した「計算内容」にセットされた計算等を実施し、算出結果を参照した更新項目・関数に対応する社員支給データ106eおよび社員控除データ106fの項目に格納し更新する。
(3)(3-1)参照した「更新項目・関数」に紐づく「計算内容」を確認し、フラグ情報を取得し、項目定義マスタ106aを参照し、取得したフラグ情報に対応するカラムの「TRUE」が格納されている項目名を取得し、(3-2)社員支給データ106eまたは社員控除データ106fを参照し、(3-1)で取得した項目名に対応する項目に格納された数値を取得し、取得した数値を基に(3-1)で確認した「計算内容」に設定された計算方法を実施し、(3-3)(3-2)で計算した結果を(3-1)で参照した「更新項目・関数」の@に続く項目名(例えば、「@総支給額」であれば「総支給額」)に対応する社員支給データ106eまたは社員控除データ106fの項目に格納し更新する。
【0036】
計算定義マスタ106bの「更新項目・関数」に関数が格納されている場合の、関数名、社員支給データ106eまたは社員控除データ106fの更新先の項目(更新項目)および処理内容は、
図10の関数一覧表に示す通りである。
【0037】
[2.処理]
上述のように構成された業務支援装置100が実行する処理の具体例を、
図8等を参照して詳細に説明する。
【0038】
[2-1.社員情報登録にて固定給を登録する(
図8、ステップS1)]
まず、担当者等は、社員情報登録画面(図示せず)を表示するよう指示する。
【0039】
すると、社員情報登録部102aは、社員情報登録画面をモニタ114に表示させる。
【0040】
担当者は、社員情報登録画面に基本給、役職手当を設定し登録する。
【0041】
すると、社員情報登録部102aは、社員支給データ106eの該当する項目「基本給」「役職手当」に社員情報登録画面にて設定された数値を格納する(
図8参照)。社員情報登録画面にて担当者にて数値が設定されていない社員支給データ106eおよび社員控除データ106fの項目には「0」を格納する(
図8参照)。なお、「0」が格納された項目も給与計算の際に、算出結果が格納され、その都度、値が更新される。
【0042】
[2-2.給与変動入力にて勤怠を登録する(
図9、ステップS2)]
まず、担当者等は、給与変動入力画面(図示せず)を表示するよう指示する。
【0043】
すると、給与変動入力部102bは、給与変動入力画面をモニタ114に表示させる。
【0044】
担当者は、給与変動入力画面に普通残業時間、深夜時間、休日出勤時間を設定し登録する。
【0045】
すると、給与変動入力部102bは、社員勤怠データ106dの該当する項目「普通残業時間」、「深夜時間」、「休日出勤時間」に給与変動入力画面にて設定された数値を格納する(
図9参照)。
【0046】
[2-3.給与計算を実行する(
図10から
図15、ステップS3)]
担当者等は、社員情報登録画面にて、給与計算を実行するように指示する。
【0047】
すると、給与計算部102cは、社員属性データ106cを参照し、給与計算の対象である「条件式:社員区分=都道府県庁からの出向」に該当する社員番号「100003」を取得する(
図10参照)。なお、固有社員(第3セクター企業に雇用される社員)は共済に加入しないので、派遣調整手当の支給対象外となるため、派遣調整手当の支給対象である社員区分が「都道府県庁からの出向」が条件となる。
【0048】
給与計算部102cは、計算定義マスタ106bを参照し、計算順序に従って1回目から3回目までの計算を実施する。
図11は、計算定義マスタ106bを抜粋し、計算のイメージの一例を示したものである。給与計算部102cは、まず前提として計算順序「1010」から「1030」の値が設定されていることを確認し(当該値の設定は、上述した[2-1.社員情報登録にて固定給を登録する(
図8、ステップS1)]において社員情報登録部102aが、社員支給データ106eに格納した値である)、1回目の計算として計算順序「2010」から「4060」を実施し、2回目として、計算順序「5010」から「6040」を実施し、3回目の計算として、計算順序「7010」から「9050」を実施する。給与計算部102cは、
図11に示すように計算を実施し、算出結果である金額を社員支給データ106eまたは社員控除データ106fの該当する項目に、順次上書きし、テータ更新を行う。
【0049】
まず、給与計算部102cは、計算定義マスタ106bの計算順序「1010」から「1030」の値が、社員情報登録部102aによって社員支給データ106eに格納されていることを確認する。前提となる基本給や役職手当などの各支給項目から金額が計算されるためである。
【0050】
次に、1回目の計算について、
図12を参照して説明する。なお、
図12は計算定義マスタ106bの1回目の計算に該当する部分を抜粋したものである。
【0051】
計算定義マスタ106bの計算順序「2010」は、更新項目・関数「@残業基準賃金」となっており、計算定義マスタ106bにおける「@」は、(1)計算内容に従い項目定義マスタ106aを参照し、指定されたフラグ(FLG)を取得し、「TRUE」が格納されている社員支給データ106eの項目の値を取得すること、(2)(1)で取得した値で計算内容の計算方法を実施すること、(3)@が付帯する項目名に対応する社員支給データ106eまたは社員控除データ106fの項目に(2)で算出した値を格納することを意味する。
【0052】
給与計算部102cは、計算順序「2010」の更新項目・関数「@残業基準賃金」について、計算内容に「残業基準FLGがTRUEの項目の金額を集計する」とあるので、まず、
図10に示す項目定義マスタ106aを参照し、項目名「残業基準FLG」において「TRUE」が格納されている「基本給」「役職手当」「派遣調整1回目」を取得し、
図8に示す社員支給データ106eを参照し、社員番号「100003」の基本給「310,000」、役職手当「50,000」、派遣調整1回目「0」を取得し、取得した社員番号「100003」の基本給「310,000」、役職手当「50,000」、派遣調整1回目「0」を集計し、「360,000」を社員支給データ106eの「残業基準賃金」に格納し更新する。なお、この段階では、社員支給データ106eの「派遣調整1回目」は算出されておらず「0」であり、派遣調整1回目が加味された値ではない。
【0053】
給与計算部102cは、計算順序「2010」で算出した残業基準賃金を基に、
図9の社員勤怠データ106dを参照し、計算順序「2020」から「2040」までの項目に対応する「計算内容」を実施し、算出結果を社員支給データ106eの対応する項目に格納し更新する。
【0054】
給与計算部102cは、計算順序「3010」の更新項目・関数「@総支給額」について、計算内容「総支給FLGがTRUEの項目の金額を集計する」とあるので、まず、
図10に示す項目定義マスタ106aを参照し、項目名「総支給FLG」において「TRUE」が格納されている「基本給」「役職手当」「派遣調整手当」を取得し、社員支給データ106eを参照し、社員番号「100003」の基本給、役職手当、派遣調整手当を取得し、取得した社員番号「100003」に紐づく基本給、役職手当、派遣調整手当を集計し、集計結果を社員支給データ106eの「総支給額」に格納し更新する。なお、この段階では、社員支給データ106eの「派遣調整手当」は算出されておらず「0」であり、派遣調整手当が加味された値ではない。
【0055】
給与計算部102cは、計算順序「3020」の更新項目・関数「@課税総額」について、計算内容「課税総額FLGがTRUEの項目の金額を集計する」とあるので、まず、
図10に示す項目定義マスタ106aを参照し、項目名「課税総額FLG」において「TRUE」が格納されている「基本給」「役職手当」「派遣調整手当」を取得し、社員支給データ106eを参照し、社員番号「100003」の基本給、役職手当、派遣調整手当を取得し、取得した社員番号「100003」に紐づく基本給、役職手当、派遣調整手当を集計し、集計結果を社員支給データ106eの「課税総額」に格納し更新する。なお、この段階では、社員支給データ106eの「派遣調整手当」は算出されておらず「0」であり、派遣調整手当が加味された値ではない。
【0056】
給与計算部102cは、計算順序「3030」の更新項目・関数「@報酬総額」について、計算内容「社会保険FLGがTRUEの項目の金額を集計する」とあるので、まず、
図10に示す項目定義マスタ106aを参照し、項目名「社会保険FLG」において「TRUE」が格納されている「基本給」「役職手当」「派遣調整手当」を取得し、社員支給データ106eを参照し、社員番号「100003」の基本給、役職手当、派遣調整手当を取得し、取得した社員番号「100003」に紐づく基本給、役職手当、派遣調整手当を集計し、集計結果を社員支給データ106eの「報酬総額」に格納し更新する。なお、この段階では、社員支給データ106eの「派遣調整手当」は算出されておらず「0」であり、派遣調整手当が加味された値ではない。
【0057】
給与計算部102cは、計算順序「3040」の更新項目・関数「@賃金総額」について、計算内容「労働保険FLGがTRUEの項目の金額を集計する」とあるので、まず、
図10に示す項目定義マスタ106aを参照し、項目名「労働保険FLG」において「TRUE」が格納されている「基本給」「役職手当」「派遣調整手当」を取得し、社員支給データ106eを参照し、社員番号「100003」の基本給、役職手当、派遣調整手当を取得し、取得した社員番号「100003」に紐づく基本給、役職手当、派遣調整手当を集計し、集計結果を社員支給データ106eの「賃金総額」に格納し更新する。なお、この段階では、社員支給データ106eの「派遣調整手当」は算出されておらず「0」であり、派遣調整手当が加味された値ではない。
【0058】
給与計算部102cは、計算順序「3010」から「3040」で算出した値を基に、計算順序「4010」から「4030」までを各「計算内容」を実施し、算出した値を各「更新項目・関数」の項目名「社会保険料」、「労働保険料」、「所得税」に対応する社員控除データ106fに格納し更新する。
【0059】
給与計算部102cは、計算順序「4040」、更新項目・関数「共済」の「計算内容」を実施し、算出した共済の値と計算順序「4010」で算出した社会保険料と計算順序「4020」で算出した労働保険料を基に、計算順序「4050」、更新項目・関数「派遣調整手当」の計算内容の計算式「(社会保険料+労働保険料-共済)×派遣調整手当率」を実施し、仮決めの派遣調整手当(派遣調整1回目)を算出し、社員支給データ106eの項目名「派遣調整手当」に格納し更新する。
【0060】
給与計算部102cは、計算順序「4060」更新項目・関数「派遣調整1回目」の計算内容「派遣調整手当の金額を退避させる」となっているので、計算順序「4050」で算出した仮決めの派遣調整手当を社員支給データ106eの項目名「派遣調整1回目」に格納し更新する。なお、計算順序「4060」の処理を実施するのは、仮決めの派遣調整手当(派遣調整1回目)は残業基準賃金に含める必要があるためである。
【0061】
次に、2回目の計算について、
図13を参照して説明する。なお、
図13は計算定義マスタ106bの2回目の計算に該当する部分を抜粋したものである。
【0062】
給与計算部102cは、計算順序「5010」から「5040」までの処理は、上記計算順序「3010」から「3040」と同様の処理を実施し、集計した値を社員支給データ106eに格納し更新する。なお、この段階では、社員支給データ106eの「派遣調整手当」には、計算順序「4050」で算出された仮決めの派遣調整手当(派遣調整1回目)が格納されており、仮決めの派遣調整手当が加味された値が算出される。
【0063】
給与計算部102cは、計算順序「5010」から「5040」で算出された結果を基に、計算順序「6010」から「6030」について、各「計算内容」を実施し、算出した値を各「更新項目・関数」の項目名「社会保険料」、「労働保険料」、「所得税」に対応する社員控除データ106fに格納し更新する。
【0064】
給与計算部102cは、計算順序「4040」で算出した共済の値と計算順序「6010」で算出した社会保険料と計算順序「6020」で算出した労働保険料を基に、計算順序「6040」、更新項目・関数「派遣調整手当」の計算内容の計算式「(社会保険料+労働保険料-共済)×派遣調整手当率」に利用し、確定した派遣調整手当を算出し、社員支給データ106eの項目名「派遣調整手当」に格納し更新する。これにより、正確な派遣調整手当が算出される。
【0065】
最後に、3回目の計算について、
図14を参照して説明する。なお、
図14は計算定義マスタ106bの3回目の計算に該当する部分を抜粋したものである。
【0066】
給与計算部102cは、計算順序「7010」について、計算順序「2010」と同様の処理を行う、その際に、計算順序「4060」において退避しておいた仮決めの派遣調整手当の値が社員支給データ106eの項目名「派遣調整1回目」に格納されており、派遣調整1回目の値が加味された残業基準賃金が算出される。
【0067】
給与計算部102cは、計算順序「7010」の残業基準賃金を基に、計算順序「7020」から「7040」までの項目に対応する「計算内容」を実施し、算出結果を社員支給データ106eの対応する項目に格納し更新する。これにより、正確な残業代が算出される。
【0068】
給与計算部102cは、計算順序「8010」から「8040」までの処理は、上記計算順序「3010」から「3040」と同様の処理を実施し、集計した値を社員支給データ106eに格納し更新する。なお、この段階では、社員支給データ106eの「派遣調整手当」には、計算順序「6040」で算出した確定した派遣調整手当が格納されており、確定した派遣調整手当が加味された値が算出される。
【0069】
給与計算部102cは、計算順序「8010」から「8040」で算出された結果を基に、計算順序「9010」から「9030」について、各「計算内容」を実施し、算出した値を各「更新項目・関数」の項目名「社会保険料」、「労働保険料」、「所得税」に対応する社員控除データ106fに格納し更新する。これにより正確な法定控除が算出される。
【0070】
給与計算部102cは、計算順序「9040」の更新項目・関数「@控除合計額」について、計算内容「控除合計FLGがTRUEの項目の金額を集計する」とあるので、まず、
図10に示す項目定義マスタ106aを参照し、項目名「控除合計FLG」において「TRUE」が格納されている「社会保険料」、「労働保険料」、「所得税」を取得し、社員控除データ106fを参照し、社員番号「100003」の社会保険料、労働保険料、所得税を取得し、取得した社員番号「100003」に紐づく社会保険料、労働保険料、所得税を集計し、集計結果を社員控除データ106fの「控除合計額」に格納し更新する。
【0071】
給与計算部102cは、計算順序「9050」の更新項目・関数「差引支給額」について、計算内容「総支給額から控除合計額を減算する」となっているので、計算順序「8010」で算出した値から計算順序「9040」で算出した値を減算し、算出した値を社員控除データ106fの項目名「差引支給額」に格納し更新する。
【0072】
給与計算部102cが計算定義マスタ106bの設定に従い、1回目から3回目までの計算処理をした結果、
図15に示す社員支給データ106eおよび社員控除データ106fが作成される。なお、給与計算部102cは、
図15に示す社員支給データ106eおよび社員控除データ106fの内容を社員情報登録画面等に表示させてもよい。
【0073】
[3.まとめ]
給与計算の流れは、基本給や役職手当などの各支給項目から金額が計算される。その後、総支給額や課税総額、報酬総額や賃金総額が集計される。この集計金額から所得税や労働保険などの法定控除の金額が計算される。派遣調整手当は法定控除の対象になるため、1回目の仮決めの金額から最終的な派遣調整手当を求める必要がある。また、仮決めの派遣調整手当は残業基準賃金に含められる必要がある。そのため、業務支援装置100では、派遣調整手当を1回目の仮決めの金額で1項目(社員支給データ106eの項目名「派遣調整1回目」)、最終的な金額で1項目(社員支給データ106eの項目名「派遣調整手当」)、合計2項目で管理する。
【0074】
また、総支給額や課税総額などの集計金額の算出を関数化し、項目定義マスタ106aおよび計算定義マスタ106bの設定に応じて算出するようにする。具体的には、項目定義マスタ106aに総支給FLG、課税総額FLG等を設け、TRUEの項目の金額を集計するようにし、この関数を複数回呼び出すことで派遣調整手当を正しく算出し、その値を加味し正しい法定控除、残業代を算出する。
【0075】
これによって、担当者は、業務支援装置100に、給与計算を指示するだけで、自動で、1回目の計算(派遣調整手当を加味しない各値を算出し、その値を基に仮の派遣調整手当を算出)、2回目の計算(1回目の計算で算出した仮の派遣調整手当で各値を算出し、その値を基に確定した派遣調整手当を算出)、続いて3回目の計算(確定した派遣調整手当を加味して、確実な残業代、法定控除等を算出)が実施され、正確な派遣調整手当、法定控除、残業代が算出されることになり、業務負担の軽減および効率化が可能となった。また、勤怠の修正が発生した場合も、担当者は、社員支給データ106eおよび社員控除データ106fの値を修正し、再度、給与計算を指示するだけで確実な値が算出されるため迅速に勤怠の修正にも対応可能となった。
【0076】
さらに、従来は、給与規定の変更等が発生し、手当等が増えた場合等、複数箇所の計算ロジックを修正する作業が必要であり、その際に、修正の漏れが発生した場合、誤支給が発生していた。しかし、業務支援装置100では、計算定義マスタ106bにおいて計算内容を設定し、項目定義マスタ106aで計算内容に対応したFLGを作成し、集計したい項目名に「TRUE」を設定することにより、手当等が増えた場合も迅速かつ確実に対応可能となった。
【0077】
[4.国連が主導する持続可能な開発目標(SDGs)への貢献]
本実施形態により、業務効率化や企業の適切な経営判断を推進することに寄与することができるので、SDGsの目標8および9に貢献することが可能となる。
【0078】
また、本実施形態により、廃棄ロス削減や、ペーパレス・電子化を推進することに寄与することができるので、SDGsの目標12、13および15に貢献することが可能となる。
【0079】
また、本実施形態により、統制、ガバナンス強化に寄与することができるので、SDGsの目標16に貢献することが可能となる。
【0080】
[5.他の実施形態]
本発明は、上述した実施形態以外にも、特許請求の範囲に記載した技術的思想の範囲内において種々の異なる実施形態にて実施されてよいものである。
【0081】
例えば、実施形態において説明した各処理のうち、自動的に行われるものとして説明した処理の全部または一部を手動的に行うこともでき、あるいは、手動的に行われるものとして説明した処理の全部または一部を公知の方法で自動的に行うこともできる。
【0082】
また、本明細書中や図面中で示した処理手順、制御手順、具体的名称、各処理の登録データや検索条件等のパラメータを含む情報、画面例、データベース構成については、特記する場合を除いて任意に変更することができる。
【0083】
また、業務支援装置100に関して、図示の各構成要素は機能概念的なものであり、必ずしも物理的に図示の如く構成されていることを要しない。
【0084】
例えば、業務支援装置100が備える処理機能、特に制御部にて行われる各処理機能については、その全部または任意の一部を、CPUおよび当該CPUにて解釈実行されるプログラムにて実現してもよく、また、ワイヤードロジックによるハードウェアとして実現してもよい。尚、プログラムは、本実施形態で説明した処理を情報処理装置に実行させるためのプログラム化された命令を含む一時的でないコンピュータ読み取り可能な記録媒体に記録されており、必要に応じて業務支援装置100に機械的に読み取られる。すなわち、ROMまたはHDD(Hard Disk Drive)などの記憶部などには、OSと協働してCPUに命令を与え、各種処理を行うためのコンピュータプログラムが記録されている。このコンピュータプログラムは、RAMにロードされることによって実行され、CPUと協働して制御部を構成する。
【0085】
また、このコンピュータプログラムは、業務支援装置100に対して任意のネットワークを介して接続されたアプリケーションプログラムサーバに記憶されていてもよく、必要に応じてその全部または一部をダウンロードすることも可能である。
【0086】
また、本実施形態で説明した処理を実行するためのプログラムを、一時的でないコンピュータ読み取り可能な記録媒体に格納してもよく、また、プログラム製品として構成することもできる。ここで、この「記録媒体」とは、メモリーカード、USB(Universal Serial Bus)メモリ、SD(Secure Digital)カード、フレキシブルディスク、光磁気ディスク、ROM、EPROM(Erasable Programmable Read Only Memory)、EEPROM(登録商標)(Electrically Erasable and Programmable Read Only Memory)、CD-ROM(Compact Disk Read Only Memory)、MO(Magneto-Optical disk)、DVD(Digital Versatile Disk)、および、Blu-ray(登録商標) Disc等の任意の「可搬用の物理媒体」を含むものとする。
【0087】
また、「プログラム」とは、任意の言語または記述方法にて記述されたデータ処理方法であり、ソースコードまたはバイナリコード等の形式を問わない。なお、「プログラム」は必ずしも単一的に構成されるものに限られず、複数のモジュールやライブラリとして分散構成されるものや、OSに代表される別個のプログラムと協働してその機能を達成するものをも含む。なお、実施形態に示した各装置において記録媒体を読み取るための具体的な構成および読み取り手順ならびに読み取り後のインストール手順等については、周知の構成や手順を用いることができる。
【0088】
記憶部に格納される各種のデータベース等は、RAM、ROM等のメモリ装置、ハードディスク等の固定ディスク装置、フレキシブルディスク、および、光ディスク等のストレージ手段であり、各種処理やウェブサイト提供に用いる各種のプログラム、テーブル、データベース、および、ウェブページ用ファイル等を格納する。
【0089】
また、業務支援装置100は、既知のパーソナルコンピュータまたはワークステーション等の情報処理装置として構成してもよく、また、任意の周辺装置が接続された当該情報処理装置として構成してもよい。また、業務支援装置100は、当該装置に本実施形態で説明した処理を実現させるソフトウェア(プログラムまたはデータ等を含む)を実装することにより実現してもよい。
【0090】
更に、装置の分散・統合の具体的形態は図示するものに限られず、その全部または一部を、各種の付加等に応じてまたは機能負荷に応じて、任意の単位で機能的または物理的に分散・統合して構成することができる。すなわち、上述した実施形態を任意に組み合わせて実施してもよく、実施形態を選択的に実施してもよい。
【産業上の利用可能性】
【0091】
本発明は、インフラ、鉄道、水道等の保守を行う第3セクター企業の他に複数の雇用形態を有し給与計算業務を行う様々な業界において有用である。
【符号の説明】
【0092】
100 業務支援装置
102 制御部
102a 社員情報登録部
102b 給与変動入力部
102c 給与計算部
104 通信インターフェース部
106 記憶部
106a 項目定義マスタ
106b 計算定義マスタ
106c 社員属性データ
106d 社員勤怠データ
106e 社員支給データ
106f 社員控除データ
108 入出力インターフェース部
112 入力装置
114 出力装置
200 サーバ
300 ネットワーク