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特開2025-5994水底地盤孔の施工方法、及び水底配管構造
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2025005994
(43)【公開日】2025-01-17
(54)【発明の名称】水底地盤孔の施工方法、及び水底配管構造
(51)【国際特許分類】
   E02D 29/07 20060101AFI20250109BHJP
   E21D 9/06 20060101ALI20250109BHJP
   E21D 5/10 20060101ALI20250109BHJP
【FI】
E02D29/07
E21D9/06 311Z
E21D5/10
E21D9/06 301E
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023106490
(22)【出願日】2023-06-28
(71)【出願人】
【識別番号】000003621
【氏名又は名称】株式会社竹中工務店
(71)【出願人】
【識別番号】000151449
【氏名又は名称】株式会社東京久栄
(74)【代理人】
【識別番号】110001519
【氏名又は名称】弁理士法人太陽国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】尾崎 文彦
(72)【発明者】
【氏名】浜口 邦夫
(72)【発明者】
【氏名】田中 信弥
(72)【発明者】
【氏名】黒河 勝之
(72)【発明者】
【氏名】坂本 馨
(72)【発明者】
【氏名】高橋 雅史
(72)【発明者】
【氏名】白石 秀行
(72)【発明者】
【氏名】長尾 匠
【テーマコード(参考)】
2D054
【Fターム(参考)】
2D054AA07
2D054AC18
2D054EA07
(57)【要約】
【課題】水底地盤を山留めしつつ、工期を短縮することを目的とする。
【解決手段】水底地盤孔の施工方法は、海底地盤20Gを掘削する水底掘削工程と、平面視にて枠状に形成されるとともに側壁部50Sに開口52を有する山留め枠体50を海20に沈め、海底地盤20Gの掘削底20Lに設置する山留め枠体設置工程と、開口52を閉塞した状態で、山留め枠体50の周囲を埋戻し土60によって埋め戻す周囲埋戻し工程と、開口52を開放し、山留め枠体50に向かって埋戻し土60を掘削する掘進機40を、開口52から山留め枠体50の内側へ進入させる進入工程と、を備える。
【選択図】図6
【特許請求の範囲】
【請求項1】
水底地盤を掘削する水底掘削工程と、
平面視にて枠状に形成されるとともに側壁部に開口を有する山留め枠体を水中に沈め、前記水底地盤の掘削底に設置する山留め枠体設置工程と、
前記開口を閉塞した状態で、前記山留め枠体の周囲を埋戻し土によって埋め戻す周囲埋戻し工程と、
前記開口を開放し、前記山留め枠体に向かって前記埋戻し土を掘削する掘進機を、前記開口から前記山留め枠体の内側へ進入させる進入工程と、
を備える水底地盤孔の施工方法。
【請求項2】
前記進入工程において、前記開口を閉塞する閉塞板を引き上げることにより、前記開口を開放する、
請求項1に記載の水底地盤孔の施工方法。
【請求項3】
前記掘進機には、推進管が接続され、
前記進入工程の後の配管工程において、前記山留め枠体の内側において、前記推進管から前記掘進機を取り外すとともに、該推進管に取水管又は排水管を取り付ける、
請求項1又は請求項2に記載の水底地盤孔の施工方法。
【請求項4】
平面視にて枠状に形成されるとともに側壁部に開口を有し、水底地盤に埋設された山留め枠体と、
前記水底地盤に埋設されるとともに、先端部が前記開口を介して前記山留め枠体の内側に挿入された推進管と、
前記山留め枠体の内側に設置され、前記推進管の前記先端部と接続された取水管又は排水管と、
を備える水底配管構造。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、水底地盤孔の施工方法、及び水底配管構造に関する。
【背景技術】
【0002】
海や河川等の水中にトンネルを到達させるトンネル貫通工法が知られている(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
また、発進立坑から地盤を横方向に掘削するとともに、掘削された掘削孔に複数の敷設管を順次継ぎ足しながら挿入し、到達立坑に到達させる推進工法が知られている(例えば、特許文献2参照)
【0004】
さらに、シールド掘削機によって地下鉄用のトンネルを掘削する掘削方法が知られている(例えば、特許文献3参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開平8-193489号公報
【特許文献2】特開平6-212891号公報
【特許文献3】特開2002-21466号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところで、海や河川等の水底地盤にシートパイルを打設して山留めし、シートパイルの内側を掘削することにより、掘進機を回収する到達立坑を形成することが考えられる。
【0007】
しかしながら、水底地盤に対するシートパイルの打設作業には手間がかかるため、工期が長期化する可能性がある。
【0008】
本発明は、上記の事実を考慮し、水底地盤を山留めしつつ、工期を短縮することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
請求項1に記載の水底地盤孔の施工方法は、水底地盤を掘削する水底掘削工程と、平面視にて枠状に形成されるとともに側壁部に開口を有する山留め枠体を水中に沈め、前記水底地盤の掘削底に設置する山留め枠体設置工程と、前記開口を閉塞した状態で、前記山留め枠体の周囲を埋戻し土によって埋め戻す周囲埋戻し工程と、前記開口を開放し、前記山留め枠体に向かって前記埋戻し土を掘削する掘進機を、前記開口から前記山留め枠体の内側へ進入させる進入工程と、を備える。
【0010】
請求項1に係る水底地盤孔の施工方法によれば、先ず、水底掘削工程において、水底地盤を掘削する。次に、山留め枠体設置工程において、平面視にて枠状に形成されるとともに側壁部に開口を有する山留め枠体を水中に沈め、水底地盤の掘削底に設置する。
【0011】
次に、周囲埋戻し工程において、開口を閉塞した状態で、山留め枠体の周囲を埋戻し土によって埋め戻す。次に、進入工程において、開口を開放し、山留め枠体に向かって埋戻し土を掘進する掘進機を、開口から山留め枠体の内側へ進入させる。
【0012】
このように本発明では、山留め枠体設置工程において、山留め枠体を水中に沈めて水底地盤の掘削底に設置することにより、例えば、水底地盤にシートパイルを打設して山留めする場合と比較して、工期を短縮することができる。
【0013】
また、本発明では、例えば、水底地盤にシートパイルを打設する場合と比較して、振動や騒音等を抑制することができる。
【0014】
さらに、シートパイルによって水底地盤を山留めする場合、例えば、水中においてシートパイルを溶断して掘進機を通す開口を形成する必要がある。
【0015】
これに対して本発明では、山留め枠体の側壁部に開口を予め形成しておくことにより、工期をさらに短縮することができる。
【0016】
請求項2に記載の水底地盤孔の施工方法は、請求項1に記載の水底地盤孔の施工方法において、前記進入工程において、前記開口を閉塞する閉塞板を引き上げることにより、前記開口を開放する。
【0017】
請求項2に係る水底地盤孔の施工方法によれば、進入工程において、山留め枠体の開口を閉塞する閉塞板を引き上げることにより、開口を容易に開放することができる。したがって、工期をさらに短縮することができる。
【0018】
請求項3に記載の水底地盤孔の施工方法は、請求項1又は請求項2に記載の水底地盤孔の施工方法において、前記掘進機には、推進管が接続され、前記進入工程の後の配管工程において、前記山留め枠体の内側において、前記推進管から前記掘進機を取り外すとともに、該推進管に取水管又は排水管を取り付ける。
【0019】
請求項3に係る水底地盤孔の施工方法によれば、進入工程の後の配管工程において、山留め枠体の内側において、推進管から掘進機を取り外すとともに、推進管に取水管又は排水管を取り付ける。
【0020】
このように山留め枠体によって水底地盤に施工スペースを確保することにより、掘進機を容易に回収することができるとともに、推進管に取水管又は排水管を容易に取り付けることができる。
【0021】
請求項4に記載の水底地盤孔の水底配管構造は、平面視にて枠状に形成されるとともに側壁部に開口を有し、水底地盤に埋設された山留め枠体と、前記水底地盤に埋設されるとともに、先端部が前記開口を介して前記山留め枠体の内側に挿入された推進管と、前記山留め枠体の内側に設置され、前記推進管の前記先端部と接続された取水管又は排水管と、を備える。
【0022】
請求項4に係る水底配管構造によれば、山留め枠体は、平面視にて枠状に形成されるとともに側壁部に開口を有する。この山留め枠体は、水底地盤に埋設される。また、水底地盤には、推進管が埋設される。推進管の先端部は、山留め枠体の側壁部の開口を介して、当該山留め枠体の内側に挿入される。この推進管の先端部は、山留め枠体の内側に設置された取水管又は排水管と接続される。
【0023】
このように本発明では、水底地盤に山留め枠体を埋設することにより、水底地盤にシートパイルを打設して山留めする場合と比較して、工期を短縮することができる。
【0024】
また、本発明では、例えば、水底地盤にシートパイルを打設する場合と比較して、振動や騒音等を抑制することができる。
【0025】
さらに、シートパイルによって水底地盤を山留めする場合、例えば、水中においてシートパイルを溶断して掘進機を通す開口を形成する必要がある。
【0026】
これに対して本発明では、山留め枠体の側壁部に開口を予め形成しておくことにより、工期をさらに短縮することができる。
【発明の効果】
【0027】
以上説明したように、本発明によれば、水底地盤を山留めしつつ、工期を短縮することができる。
【図面の簡単な説明】
【0028】
図1】一実施形態に係る水底地盤孔の施工方法によって施工された導水管、及び水底配管構造を示す立断面図である。
図2】一実施形態に係る水底地盤孔の施工方法の施工過程を示す縦断面図である。
図3】一実施形態に係る水底地盤孔の施工方法の施工過程を示す縦断面図である。
図4図3に示される山留め枠体を示す斜視図である。
図5】一実施形態に係る水底地盤孔の施工方法の施工過程を示す縦断面図である。
図6】一実施形態に係る水底地盤孔の施工方法の施工過程を示す縦断面図である。
図7】一実施形態に係る水底地盤孔の施工方法の施工過程を示す縦断面図である。
図8】一実施形態に係る水底地盤孔の施工方法の施工過程を示す縦断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0029】
以下、図面を参照しながら、一実施形態について説明する。
【0030】
図1には、本実施形態に係る水底地盤孔の施工方法によって施工された導水管30、及び水底配管構造が示されている。導水管30は、一例として、陸地10側に設置された水槽等の貯水槽12に海水を給水する供給管とされており、貯水槽12と海20とを接続している。
【0031】
導水管30は、一例として、推進工法によって施工されており、複数の推進管32により構成されている。具体的には、発進立坑としての貯水槽12の施工位置から、陸地10の地盤10Gを海20に向かって掘進機40(図6参照)で横方向に掘削するとともに、掘削された掘削孔に推進管32を順次継ぎ足しながら挿入する。そして、海底地盤20Gに形成された到達立坑Hにおいて、掘進機40(図7参照)を回収するとともに、推進管32の先端部32Tに取水管34を取り付ける。
【0032】
なお、本実施形態では、取水管34の連結口34U(図8参照)に、取水口を構成する図示しないベロシティキャップが連結されている。このベロシティキャップには、底引き網引掛り防止板等のカバー体36が取り付けられている。カバー体36の外周部は、袋型根固め38によって固定されている。また、海底地盤20Gは、水底地盤の一例である。
【0033】
本実施形態に係る水底配管構造は、導水管30の先端側(海20側)に適用されている。この水底配管構造は、山留め枠体50と、山留め枠体50の開口52を介して先端部が山留め枠体50の内側に挿入された推進管32と、推進管32の先端部に接続された取水管34とを備えている。
【0034】
ここで、本実施形態に係る水底地盤孔の施工方法は、到達立坑H、海底地盤20Gに埋設される導水管30、及び取水管34の施工に適用されている。以下、本実施形態に係る水底地盤孔の施工方法について具体的に説明する。
【0035】
(水底掘削工程)
先ず、図2に示されるように、水底掘削工程において、図示しないクレーン台船の船上クレーン等によって、到達立坑Hの施工領域、及びその周辺の海底地盤20Gを掘削する。この際、海底地盤20Gの掘削領域の周囲に、例えば、シート状の汚濁防止枠22を適宜設置する。なお、汚濁防止枠22は、必要に応じて設ければよく、適宜省略可能である。
【0036】
(水底基礎施工工程)
次に、水底基礎施工工程において、海底地盤20Gの掘削底20Lに水底基礎24を施工する。具体的には、船上クレーン等によって海20に所定量の石を投入し、海底地盤20Gの掘削底20Lに敷き詰めて水底基礎(海底基礎)24を形成する。なお、水底基礎24は、必要に応じて設ければよく、適宜省略可能である。
【0037】
(山留め枠体設置工程)
次に、図3に示されるように、山留め枠体設置工程において、船上クレーン14によって、山留め枠体50を海20に沈め、水底基礎24上に設置する。この際、山留め枠体50は、後述する開口52が陸地10側(推進管32の接続側)に向くように設置する。この山留め枠体50の内側が、到達立坑Hとなる。
【0038】
ここで、山留め枠体50について補足すると、図4に示されるように、山留め枠体50は、鋼板や鉄骨等によって、平面視にて矩形枠状に形成されている。つまり、山留め枠体50は、上下が開口された断面矩形状の中空状に形成されている。この山留め枠体50は、4つの側壁部50Sを有している。また、山留め枠体50における陸地10(図1参照)側の側壁部50Sには、開口52が形成されている。
【0039】
開口52は、山留め枠体50の側壁部50Sを厚み方向に貫通する円形状の貫通孔とされている。また、開口52には、後述する掘進機40、ロックドア42、及び推進管32が貫通可能とされている。この開口52は、閉塞板54によって開閉可能とされている。
【0040】
閉塞板54は、山留め枠体50における陸地10(図1参照)側の側壁部50Sに、上下方向にスライド可能に取り付けられている。また、閉塞板54は、鋼板等によって矩形状に形成されており、その上端部に一対の吊り部54Aが設けられている。この閉塞板54は、開口52を閉塞した状態で、山留め枠体50の側壁部50Sの外面に沿って配置されている。また、山留め枠体50の側壁部50Sには、閉塞板54を開閉可能に支持する複数のガイド部56が設けられている。
【0041】
ガイド部56は、L字形状に形成されている。また、複数のガイド部56は、開口52を閉塞した状態の閉塞板54の両側の側端部及び下端部に沿って配置されており、これらの側端部及び下端部を支持している。この状態から、閉塞板54を上方へ引き上げることにより、開口52が開放可能とされている。
【0042】
なお、閉塞板54及びガイド部56は、山留め枠体50の外側に限らず、山留め枠体50の内側に設けられてもよい。また、ガイド部56の形状や配置は、適宜変更可能である。さらに、ガイド部56は、閉塞板54を開閉可能に支持する支持部の一例である。
【0043】
(周囲埋戻し工程)
次に、図5に示されるように、周囲埋戻し工程において、閉塞板54によって山留め枠体50の開口52を閉塞した状態で、船上クレーン等によって、山留め枠体50の周囲の掘削領域を全周に亘って埋戻し土60で埋め戻す。これにより、閉塞板54によって、開口52から山留め枠体50の内側に埋戻し土60が流入することが抑制される。なお、埋戻し領域の周囲には、例えば、図示しない汚濁防止枠を適宜設置する。
【0044】
また、山留め枠体50に対する陸地10(図1参照)側の埋戻し土60、すなわち掘進機40によって掘削される埋戻し土60上に複数の土嚢62を設置し、当該埋戻し土60を締め固める。この状態で、掘進機40によって埋戻し土60を掘削する。
【0045】
なお、埋戻し土60上には、土嚢62に限らず、コンクリートブロック等の他の錘体を設置してもよい。また、土嚢62は、錘体の一例である。さらに、土嚢62は、必要に応じて設ければよく、適宜省略可能である。
【0046】
(進入工程)
次に、図6に示されるように、先ず、進入工程の事前準備として、図示しない船上クレーン等によって、掘進機40を支持する架台44を海20に沈め、山留め枠体50の内側の水底基礎24上に仮設する。また、架台44は、図示しないジャッキ等によって山留め枠体50に固定する。
【0047】
進入工程は、例えば、掘進機40から山留め枠体50までの距離Dが所定値に達した場合に実施される。この進入工程では、先ず、船上クレーン14によって閉塞板54を引き上げ、山留め枠体50の側壁部50Sの開口52を開放する。この状態で、掘進機40を作動し、山留め枠体50の開口52に向かって埋戻し土60を掘削させ、当該開口52から山留め枠体50の内側へ掘進機40全体を進入させる。
【0048】
ここで、掘進機40の後端部には、ロックドア42を介して推進管32の先端部32Tが連結されている。これらのロックドア42及び推進管32の先端部32Tも、掘進機40と共に山留め枠体50の内側に進入させる。そして、山留め枠体50の内側に進入した掘進機40及びロックドア42等は、山留め枠体50の内側に仮設された架台44によって支持する。
【0049】
(配管工程)
次に、図7に示されるように、配管工程において、到達立坑H内から掘進機40及びロックドア42を回収し、図8に示されるように、推進管32の先端部32Tに取水管34を連結する。
【0050】
具体的には、先ず、図7に示されるように、掘進機40とロックドア42との連結を解除し、船上クレーン等によって掘進機40を引き上げて回収する。
【0051】
次に、ロックドア42の図示しないバルブを開放し、推進管32内に海水を注入する。次に、ロックドア42と推進管32との連結を解除し、船上クレーン等によってロックドア42を引き上げて回収する。また、船上クレーン等によって架台44を引き上げて回収する。
【0052】
次に、図8に示されるように、船上クレーン等によって取水管34を海20に沈め、水底基礎24上に設置する。取水管34は、一例として、T字状に形成されており、連結口34Uを上にして水底基礎24上に設置される。また、取水管34の連結部を推進管32の先端部32Tにボルト等によって連結する。
【0053】
(内部埋戻し工程)
次に、図1に示されるように、内部埋戻し工程において、船上クレーン等によって、山留め枠体50の内部を埋戻し土64によって埋め戻す。この際、埋戻し領域の周囲には、汚濁防止枠22を適宜設置する。その後、取水管34の連結口34Uに、取水口を構成する図示しないベロシティキャップを連結するとともに、当該ベロシティキャップに、例えば、底引き網引掛り防止板等のカバー体36を設置する。
【0054】
なお、カバー体36の構成は、適宜変更可能である。また、カバー体36は、必要に応じて設ければよく、適宜省略可能である。
【0055】
(作用及び効果)
次に、本実施形態の作用及び効果について説明する。
【0056】
図3に示されるように、本実施形態によれば、前述したように、山留め枠体設置工程において、平面視にて枠状に形成されるとともに側壁部50Sに開口52を有する山留め枠体50を海20に沈め、海底地盤20Gの掘削底20Lに設置する。
【0057】
次に、図5に示されるように、周囲埋戻し工程において、閉塞板54によって開口52を閉塞した状態で、山留め枠体50の周囲を埋戻し土60によって埋め戻す。
【0058】
次に、図6に示されるように、進入工程において、閉塞板54を引き上げて開口52を開放し、山留め枠体50に向かって埋戻し土60を掘進する掘進機40を、開口52から山留め枠体50の内側へ進入させる。
【0059】
このように本実施形態では、山留め枠体設置工程において、山留め枠体50を海20に沈めて海底地盤20Gの掘削底20Lに設置することにより、例えば、海底地盤20Gにシートパイルを打設して山留めする場合と比較して、工期を短縮することができる。
【0060】
また、本実施形態では、例えば、海底地盤20Gにシートパイルを打設する場合と比較して、振動や騒音等を抑制することができる。さらに、汚濁防止枠22を使用することにより、海20の汚濁を抑制することができる。
【0061】
また、シートパイルによって海底地盤20Gを山留めする場合、例えば、水中においてシートパイルを溶断して掘進機40を通す開口52を形成する必要がある。
【0062】
これに対して本実施形態では、山留め枠体50の側壁部50Sに開口52を予め形成しておくことにより、工期をさらに短縮することができる。
【0063】
また、進入工程において、山留め枠体50の開口52を閉塞する閉塞板54を引き上げることにより、開口52を容易に開放することができる。したがって、工期をさらに短縮することができる。
【0064】
さらに、図7及び図8に示されるように、配管工程において、山留め枠体50の内側において、推進管32から掘進機40及びロックドア42を取り外すとともに、推進管32の先端部32Tに取水管34を取り付ける。
【0065】
このように山留め枠体50によって海底地盤20Gに施工スペースを確保することにより、掘進機40を容易に回収することができるとともに、推進管32に取水管34を容易に取り付けることができる。
【0066】
(変形例)
次に、上記実施形態の変形例について説明する。
【0067】
上記実施形態では、山留め枠体50に閉塞板54が上下方向に開閉可能(スライド可能)に取り付けられている。しかし、閉塞板54は、例えば、山留め枠体50に横方向に開閉可能(スライド可能)に取り付けられても良い。この場合、進入工程において、閉塞板54を横方向にスライドさせることにより、山留め枠体50の開口52が開放される。
【0068】
また、閉塞板54は、山留め枠体50の側壁部50Sにボルト等によって着脱可能に取り付けられてもよい。この場合、進入工程において、閉塞板54及び山留め枠体50の側壁部50Sからボルト等を取り外し、閉塞板54を撤去することにより、山留め枠体50の開口52が開放される。
【0069】
また、上記実施形態では、導水管30が、海水を貯水槽12に供給する供給管とされている。しかし、導水管30は、供給管に限らず、例えば、貯水槽12に貯水された水を海20に排出する排出管とされてもよい。この場合、推進管32の先端部32Tには、取水管34に換えて、例えば、排水管が接続される。
【0070】
また、上記実施形態では、導水管30が海20に接続されている。しかし、導水管30は、海20に限らず、例えば、河川や湖に接続されてもよい。この場合、山留め枠体50は、河底や湖底等の水底地盤を掘削した掘削底に設置される。
【0071】
以上、本発明の一実施形態について説明したが、本発明はこうした実施形態に限定されるものでなく、一実施形態及び各種の変形例を適宜組み合わせて用いても良いし、本発明の要旨を逸脱しない範囲において、種々なる態様で実施し得ることは勿論である。
【符号の説明】
【0072】
20 海(水中)
20G 海底地盤(水底地盤)
20L 掘削底
32 推進管
32T 先端部
34 取水管
40 掘進機
50 山留め枠体
50S 側壁部
52 開口
54 閉塞板
60 埋戻し土
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8