(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2025060031
(43)【公開日】2025-04-10
(54)【発明の名称】中後半の味厚みが増強されたビールテイスト飲料
(51)【国際特許分類】
C12G 3/04 20190101AFI20250403BHJP
C12C 5/02 20060101ALI20250403BHJP
C12G 3/06 20060101ALI20250403BHJP
A23L 2/00 20060101ALI20250403BHJP
A23L 2/56 20060101ALI20250403BHJP
【FI】
C12G3/04
C12C5/02
C12G3/06
A23L2/00 B
A23L2/56
【審査請求】未請求
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023170515
(22)【出願日】2023-09-29
(71)【出願人】
【識別番号】000253503
【氏名又は名称】キリンホールディングス株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100120031
【弁理士】
【氏名又は名称】宮嶋 学
(74)【代理人】
【識別番号】100126099
【弁理士】
【氏名又は名称】反町 洋
(72)【発明者】
【氏名】三▲吉▼ 惟道
(72)【発明者】
【氏名】田中 美佐
(72)【発明者】
【氏名】山本 貴之
【テーマコード(参考)】
4B115
4B117
4B128
【Fターム(参考)】
4B115LG03
4B115LH11
4B115LP02
4B115MA03
4B117LC03
4B117LG16
4B117LK06
4B117LL01
4B128CP16
4B128CP35
(57)【要約】
【課題】中後半の味厚みが増強された、苦味の少ないビールテイスト飲料の提供。
【解決手段】苦味価が10未満のビールテイスト飲料であって、以下の条件:(a)イソアミルアルコールの含有量が0.1ppm以上;および(b)2-メチル-1-ブタノールの含有量が0.1ppm以上のいずれかを充足する、ビールテイスト飲料。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
苦味価が10未満のビールテイスト飲料であって、以下の条件:
(a)イソアミルアルコールの含有量が0.1ppm以上;および
(b)2-メチル-1-ブタノールの含有量が0.1ppm以上
のいずれかを充足する、ビールテイスト飲料。
【請求項2】
原料にホップを含まない、請求項1に記載のビールテイスト飲料。
【請求項3】
原料に麦芽を含まない、請求項1に記載のビールテイスト飲料。
【請求項4】
苦味価が5未満である、請求項1~3のいずれか一項に記載のビールテイスト飲料。
【請求項5】
アルコール(エタノール)濃度が0v/v%以上10v/v%以下である、請求項1~3のいずれか一項に記載のビールテイスト飲料。
【請求項6】
イソアミルアルコールの含有量が40ppm以上であり、2-メチル-1-ブタノールの含有量が16ppm以上であり、アルコール(エタノール)濃度が1v/v%以上10v/v%未満である、請求項1に記載のビールテイスト飲料。
【請求項7】
苦味価が10未満のビールテイスト飲料を製造する方法であって、以下の条件:
(a)イソアミルアルコールの含有量が0.1ppm以上;および
(b)2-メチル-1-ブタノールの含有量が0.1ppm以上
のいずれかを充足するように、イソアミルアルコールおよび/または2-メチル-1-ブタノールの含有量を調整する工程を含んでなる、方法。
【請求項8】
苦味価が10未満のビールテイスト飲料における中後半の味厚みを増強する方法であって、以下の条件:
(a)イソアミルアルコールの含有量が0.1ppm以上;および
(b)2-メチル-1-ブタノールの含有量が0.1ppm以上
のいずれかを充足するように、イソアミルアルコールおよび/または2-メチル-1-ブタノールの含有量を調整する工程を含んでなる、方法。
【請求項9】
苦味価が10未満のビールテイスト飲料における重厚な味わいを増強する方法であって、以下の条件:
(a)イソアミルアルコールの含有量が0.1ppm以上;および
(b)2-メチル-1-ブタノールの含有量が0.1ppm以上
のいずれかを充足するように、イソアミルアルコールおよび/または2-メチル-1-ブタノールの含有量を調整する工程を含んでなる、方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、中後半の味厚みが増強されたビールテイスト飲料に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、嗜好トレンドの変化を背景として、若者を中心に苦味を忌避する消費者が増加している。このような消費者のニーズに即した商品開発を進める中で、苦味の少ないビールテイスト飲料は、苦味を抑えるその特殊な製造方法のため、通常のビールと比較してビールらしい飲み応えや、味厚み、重厚な味わいなどが不足してしまうという問題が見出されている。
【発明の概要】
【0003】
本発明者らは、苦味の少ないビールテイスト飲料において、イソアミルアルコールまたは2-メチル-1-ブタノールの含有量を調整することにより、飲用時の中後半の味厚みを増強できることを見出した。本発明は、この知見に基づくものである。
【0004】
従って、本発明は、中後半の味厚みが増強された、苦味の少ないビールテイスト飲料を提供する。
【0005】
すなわち、本発明によれば以下の発明が提供される。
(1)苦味価が10未満のビールテイスト飲料であって、以下の条件:
(a)イソアミルアルコールの含有量が0.1ppm以上(好ましくは0.1ppm以上200ppm以下);および
(b)2-メチル-1-ブタノールの含有量が0.1ppm以上(好ましくは0.1ppm以上80ppm以下)
のいずれかを充足する、ビールテイスト飲料。
(2)原料にホップを含まない、前記(1)に記載のビールテイスト飲料。
(3)原料に麦芽を含まない、前記(1)または(2)に記載のビールテイスト飲料。
(4)苦味価が5未満である、前記(1)~(3)のいずれかに記載のビールテイスト飲料。
(5)アルコール(エタノール)濃度が0v/v%以上10v/v%以下である、前記(1)~(4)のいずれかに記載のビールテイスト飲料。
(6)イソアミルアルコールの含有量が40ppm以上であり、2-メチル-1-ブタノールの含有量が16ppm以上であり、アルコール(エタノール)濃度が1v/v%以上10v/v%未満である、前記(1)~(5)のいずれかに記載のビールテイスト飲料。
(7)苦味価が10未満のビールテイスト飲料を製造する方法であって、以下の条件:
(a)イソアミルアルコールの含有量が0.1ppm以上(好ましくは0.1ppm以上200ppm以下);および
(b)2-メチル-1-ブタノールの含有量が0.1ppm以上(好ましくは0.1ppm以上80ppm以下)
のいずれかを充足するように、イソアミルアルコールおよび/または2-メチル-1-ブタノールの含有量を調整する工程を含んでなる、方法。
(8)苦味価が10未満のビールテイスト飲料における中後半の味厚みを増強する方法であって、以下の条件:
(a)イソアミルアルコールの含有量が0.1ppm以上(好ましくは0.1ppm以上200ppm以下);および
(b)2-メチル-1-ブタノールの含有量が0.1ppm以上(好ましくは0.1ppm以上80ppm以下)
のいずれかを充足するように、イソアミルアルコールおよび/または2-メチル-1-ブタノールの含有量を調整する工程を含んでなる、方法。
(9)苦味価が10未満のビールテイスト飲料における重厚な味わいを増強する方法であって、以下の条件:
(a)イソアミルアルコールの含有量が0.1ppm以上(好ましくは0.1ppm以上200ppm以下);および
(b)2-メチル-1-ブタノールの含有量が0.1ppm以上(好ましくは0.1ppm以上80ppm以下)
のいずれかを充足するように、イソアミルアルコールおよび/または2-メチル-1-ブタノールの含有量を調整する工程を含んでなる、方法。
【0006】
本発明によれば、苦味価が10未満のビールテイスト飲料において、中後半の味厚みを増強することができる。さらに、本発明によれば、苦味価が10未満のビールテイスト飲料において、重厚な味わいを増強することも可能である。
【発明の具体的説明】
【0007】
本発明において「ビールテイスト飲料」とは、ビール様の風味をもつ飲料をいう。「ビール様の風味」とは、通常のビールを製造した場合、すなわち、酵母等による発酵に基づいてビールを製造した場合に得られるビール特有の味わいや香りを、その飲料が呈することを意味する。本発明のビールテイスト飲料は、特に断りがない場合、酵母による発酵工程の有無や麦芽の有無にかかわらず、いずれの飲料をも包含する。ここで「発酵工程」とは、酵母等の微生物が有機物を分解することによってアルコール等の代謝産物を生成する工程をいう。
【0008】
本発明において、「ppm」という単位は「mg/L」と同義であり、「ppb」という単位は「μg/L」と同義である。
【0009】
本発明のビールテイスト飲料は苦味価が10未満のビールテイスト飲料である。苦味価が10未満であることにより、一般的なビール(苦味価が18から25程度)の苦味を忌避する消費者にも受け入れ可能な程度に、ビールテイスト飲料の苦味を低減することができる。本発明のビールテイスト飲料の苦味価は、好ましくは10未満、好ましくは9.9未満、好ましくは9.8未満、好ましくは9.7未満、好ましくは9.6未満、好ましくは9.5未満、好ましくは9.4未満、好ましくは9.3未満、好ましくは9.2未満、好ましくは9.1未満、好ましくは9未満、好ましくは8.9未満、好ましくは8.8未満、好ましくは8.7未満、好ましくは8.6未満、好ましくは8.5未満、好ましくは8.4未満、好ましくは8.3未満、好ましくは8.2未満、好ましくは8.1未満、好ましくは8.0未満、好ましくは7.9未満、好ましくは7.8未満、好ましくは7.7未満、好ましくは7.6未満、好ましくは7.5未満、好ましくは7.4未満、好ましくは7.3未満、好ましくは7.2未満、好ましく7.1満、好ましくは7未満、好ましくは6.9未満、好ましくは6.8未満、好ましくは6.7未満、好ましくは6.6未満、好ましくは6.5未満、好ましくは6.4未満、好ましくは6.3未満、好ましくは6.2未満、好ましくは6.1未満、好ましくは6未満、好ましくは5.9未満、好ましくは5.8未満、好ましくは5.7未満、好ましくは5.6未満、好ましくは5.5未満、好ましくは5.4未満、好ましくは5.3未満、好ましくは5.2未満、より好ましくは5.1未満、さらに好ましくは5未満とされる。飲料の苦味価は、例えば、EBC法(ビール酒造組合:「ビール分析法」8.15 1990年)により測定することができる。具体的には、サンプルに酸を加えた後にイソオクタンで抽出し、遠心分離処理後に得られたイソオクタン層の、純粋なイソオクタンを対照に測定した275nmにおける吸光度に定数(50)を乗じた値(B.U.)である。苦味価は、ホップもしくはホップ加工品(ホップエキスやホップペレットなど)等のホップ由来成分の添加量を変えることによって調整することができる。すなわち、ビールテイスト飲料には、苦味価が10未満になる範囲において、ホップ由来成分が含まれていてもよい。但し、ホップ由来成分が含まれていなくてもよい。
【0010】
本発明のビールテイスト飲料は、以下の条件:
(a)イソアミルアルコールの含有量が0.1ppm以上;および
(b)2-メチル-1-ブタノールの含有量が0.1ppm以上
のいずれか一方または両方を充足する。このようなビールテイスト飲料は、例えば、ビールテイスト飲料の製造過程におけるいずれかの段階で、これらの成分を添加することにより製造することができ、あるいは、これらの成分を含有する原料を配合することによって製造してもよい。
【0011】
条件(a)におけるイソアミルアルコールの含有量は、好ましくは0.1ppm以上、好ましくは0.2ppm以上、好ましくは0.3ppm以上、好ましくは0.4ppm以上、好ましくは0.5ppm以上、好ましくは0.6ppm以上、好ましくは0.7ppm以上、好ましくは0.8ppm以上、好ましくは0.9ppm以上、好ましくは1ppm以上、好ましくは1.5ppm以上、好ましくは2ppm以上、好ましくは2.5ppm以上、好ましくは3ppm以上、好ましくは3.5ppm以上、好ましくは4.0ppm以上、好ましくは4.5ppm以上、好ましくは5ppm以上、好ましくは5.5ppm以上、好ましくは6ppm以上、好ましくは6.5ppm以上、好ましくは7ppm以上、好ましくは7.5ppm以上、好ましくは8ppm以上、好ましくは8.5ppm以上、好ましくは9ppm以上、より好ましくは9.5ppm以上、さらに好ましくは10ppm以上とされる。イソアミルアルコールの含有量の上限値は特に限定されるものではないが、好ましくは200ppm、好ましくは150ppm、好ましくは140ppm、好ましくは130ppm、好ましくは120ppm、好ましくは110ppm、好ましくは109ppm、好ましくは108ppm、好ましくは107ppm、好ましくは106ppm、好ましくは105ppm、好ましくは104ppm、好ましくは103ppm、好ましくは102ppm、より好ましくは101ppm、さらに好ましくは100ppmとされる。
【0012】
条件(b)における2-メチル-1-ブタノールの含有量は、好ましくは0.1ppm以上、好ましくは0.2ppm以上、好ましくは0.3ppm以上、好ましくは0.4ppm以上、好ましくは0.5ppm以上、好ましくは0.6ppm以上、好ましくは0.7ppm以上、好ましくは0.8ppm以上、好ましくは0.9ppm以上、好ましくは1ppm以上、好ましくは1.5ppm以上、好ましくは2ppm以上、好ましくは2.5ppm以上、好ましくは3ppm以上、好ましくは3.5ppm以上、好ましくは4.0ppm以上、好ましくは4.5ppm以上、好ましくは5ppm以上、好ましくは5.5ppm以上、好ましくは6ppm以上、好ましくは6.5ppm以上、好ましくは7ppm以上、好ましくは7.5ppm以上、好ましくは8ppm以上、好ましくは8.5ppm以上、好ましくは9ppm以上、より好ましくは9.5ppm以上、さらに好ましくは10ppm以上とされる。2-メチル-1-ブタノールの含有量の上限値は特に限定されるものではないが、好ましくは80ppm、好ましくは70ppm、好ましくは60ppm、好ましくは50ppm、好ましくは49ppm、好ましくは48ppm、好ましくは47ppm、好ましくは46ppm、好ましくは45ppm、好ましくは44ppmより好ましくは43ppm、好ましくは42ppm、より好ましくは41ppm、さらに好ましくは40ppmとされる。
【0013】
飲料中のイソアミルアルコール濃度および2-メチル-1-ブタノール濃度は、当業者に広く知られている方法、例えば、BCOJビール分析法(ビール酒造組合、2013年増補改訂、8.22 低沸点香気成分)に記載の方法に従って測定することができる。より正確な濃度測定のためには、既知の濃度を有する幾つかの対照サンプルの測定値に基づいて作成した検量線を用いることが望ましい。
【0014】
本発明の好ましい実施態様によれば、本発明のビールテイスト飲料は、原料としてホップ(ホップペレットなどのホップの加工品を含む)を使用せずに製造されたものとされる。このようなビールテイスト飲料は、苦味価が低く抑えられるため、本発明の効果がより明確に顕れる。
【0015】
本発明の好ましい実施態様によれば、本発明のビールテイスト飲料は、原料として麦芽を使用せずに製造されたものとされる。
【0016】
本発明の一つの実施態様によれば、本発明のビールテイスト飲料は、原料として麦芽およびホップを使用せず、麦汁の発酵工程を行わずに製造されるものとされる。
【0017】
本発明の他の一つの実施態様によれば、本発明のビールテイスト飲料は、原料としてホップを使用せず、麦芽を使用し、麦汁の発酵工程を経て製造されるものとされる。この実施態様では、条件(a)におけるイソアミルアルコールの含有量は、6ppm以上とすることが好ましい。また、条件(b)における2-メチル-1-ブタノールの含有量は、3ppm以上とすることが好ましい。
【0018】
本発明の他の一つの実施態様によれば、本発明のビールテイスト飲料は、原料として麦芽およびホップを使用せず、発酵工程を経て製造されるものとされる。この実施態様では、条件(a)におけるイソアミルアルコールの含有量は、6ppm以上とすることが好ましい。また、条件(b)における2-メチル-1-ブタノールの含有量は、3ppm以上とすることが好ましい。
【0019】
本発明の好ましい実施態様によれば、本発明のビールテイスト飲料におけるイソアミルアルコールの含有量は40ppm以上、より好ましくは50ppm以上とされ、かつ、2-メチル-1-ブタノールの含有量は16ppm以上、より好ましくは20ppm以上とされ、かつ、アルコール(エタノール)濃度は1v/v%以上10v/v%未満とされる。
【0020】
本発明のビールテイスト飲料のアルコール濃度は特に制限されるものではないが、好ましくは0.000v/v%以上、好ましくは0.001v/v%以上、好ましくは0.002v/v%以上、好ましくは0.003v/v%以上、好ましくは0.004v/v%以上、好ましくは0.005v/v%以上、好ましくは0.006v/v%以上、好ましくは0.007v/v%以上、好ましくは0.008v/v%以上、好ましくは0.009v/v%以上、好ましくは0.01v/v%以上、好ましくは0.02v/v%以上、好ましくは0.03v/v%以上、好ましくは0.04v/v%以上、好ましくは0.05v/v%以上、好ましくは0.06v/v%以上、好ましくは0.07v/v%以上、好ましくは0.08v/v%以上、好ましくは0.09v/v%以上、好ましくは0.1v/v%以上、好ましくは0.2v/v%以上、好ましくは0.3v/v%以上、好ましくは0.4v/v%以上、好ましくは0.5v/v%以上、好ましくは0.6v/v%以上、好ましくは0.7v/v%以上、好ましくは0.8v/v%以上、好ましくは0.9v/v%以上、好ましくは1v/v%以上、好ましくは1.25v/v%以上、好ましくは1.5v/v%以上、好ましくは1.75v/v%以上、好ましくは2v/v%以上、好ましくは2.25v/v%以上、好ましくは2.5v/v%以上、好ましくは2.75v/v%以上、好ましくは3v/v%以上、好ましくは3.25v/v%以上、好ましくは3.5v/v%以上、好ましくは3.75v/v%以上、さらに好ましくは4v/v%以上とされる。アルコール濃度の上限値は特に限定されるものではないが、好ましくは10v/v%以下、好ましくは9.75v/v%以下、好ましくは9.5v/v%以下、好ましくは9.25v/v%以下、好ましくは9v/v%以下、好ましくは8.75v/v%以下、好ましくは8.5v/v%以下、好ましくは8.25v/v%以下、好ましくは8v/v%以下、好ましくは7.75v/v%以下、好ましくは7.5v/v%以下、好ましくは7.25v/v%以下、好ましくは7v/v%以下、好ましくは6.9v/v%以下、好ましくは6.8v/v%以下、好ましくは6.7v/v%以下、好ましくは6.6v/v%以下、好ましくは6.5v/v%以下、好ましくは6.4v/v%以下、好ましくは6.3v/v%以下、好ましくは6.2v/v%以下、より好ましくは6.1v/v%以下、さらに好ましくは6v/v%以下とされる。
【0021】
本発明の他の態様によれば、苦味価が10未満のビールテイスト飲料における中後半の味厚みを増強する方法が提供され、該方法は、以下の条件:(a)イソアミルアルコールの含有量が0.1ppm以上(好ましくは0.1ppm以上~200ppm以下);および(b)2-メチル-1-ブタノールの含有量が0.1ppm以上(好ましくは0.1以上80ppm以下)のいずれかを充足するように、イソアミルアルコールおよび/または2-メチル-1-ブタノールの含有量を調整する工程を含んでなる。
【0022】
本発明の他の態様によれば、苦味価が10未満のビールテイスト飲料における重厚な味わいを増強する方法が提供され、該方法は、以下の条件:(a)イソアミルアルコールの含有量が0.1ppm以上(好ましくは0.1ppm以上200ppm以下);および(b)2-メチル-1-ブタノールの含有量が0.1ppm以上(好ましくは0.1ppm以上80ppm以下)のいずれかを充足するように、イソアミルアルコールおよび/または2-メチル-1-ブタノールの含有量を調整する工程を含んでなる。
【実施例0023】
以下の実施例に基づいて本発明を具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
【0024】
実施例1:苦味の少ないビールテイスト飲料の中後半の味厚みまたは重厚な味わいを増強するための条件の検討
苦味価が10未満のビールテイスト飲料のサンプルを製造し、各種成分の添加試験を行い、飲料サンプルの香味に対する影響を検討した。
【0025】
試飲サンプル
(1)麦を使用し、発酵工程を経たビールテイスト飲料
酵素を用いて麦芽を糖化し、濾過することにより麦汁を得た。得られた麦汁に資化性糖を主体として含む液糖を添加し、100℃で煮沸した。次いで、麦汁を静置して凝固したタンパク質(トリューブ)を分離した後、冷却して発酵前液を得た。得られた発酵前液に発酵酵母を添加し、主発酵および後発酵を行い、発酵液を得た。得られた発酵液を低温で貯蔵して発酵を停止させ、濾過することにより、清澄なビールテイスト発酵麦芽アルコール飲料(麦芽使用比率は44%)を得た。そして、このビールテイスト発酵麦芽アルコール飲料を希釈してベース飲料とし、ベース飲料に醸造用エタノール(95%)を添加することにより所定のアルコール濃度を有する各試験サンプルを調製した。
【0026】
(2)麦を使用するが、発酵工程を経ないビールテイスト飲料
酵素を用いて麦芽を糖化し、濾過することにより麦汁を得た。得た麦汁は100℃で煮沸した。次いで、麦汁を静置して凝固したタンパク質(トリューブ)を分離した後、冷却した麦汁(麦芽使用比率は100%)を得た。得られた冷却麦汁を希釈してベース飲料とし、ベース飲料に醸造用エタノール(95%)を添加することにより所定のアルコール濃度を有する各試験サンプルを調製した。
【0027】
(3)麦を使用せず、発酵工程を経たビールテイスト飲料
酵素を用いて大豆たんぱく質・酵母エキス・液糖を混合したのち糖化し、濾過することにより溶液を得た。得られた溶液に資化性糖を主体として含む液糖を添加し、100℃で煮沸した。次いで、溶液を静置して凝固したタンパク質(トリューブ)を分離した後、冷却して発酵前液を得た。得られた発酵前液に発酵酵母を添加し、主発酵および後発酵を行い、発酵液を得た。得られた発酵液を低温で貯蔵して発酵を停止させ、濾過することにより、清澄なビールテイスト発酵麦芽アルコール飲料を得た。そして、このビールテイスト発酵麦芽アルコール飲料を希釈してベース飲料とし、ベース飲料に醸造用エタノール(95%)を添加することにより所定のアルコール濃度を有する各試験サンプルを調製した。
【0028】
(4)麦を使用せず、発酵工程を経ないビールテイスト飲料
酵素を用いて大豆たんぱく質・酵母エキス・液糖を混合したのち糖化し、濾過することにより溶液を得た。得た溶液は100℃で煮沸した。次いで、溶液を静置して凝固したタンパク質(トリューブ)を分離した後、冷却した溶液を得た。得られた冷却溶液を希釈してベース飲料とし、ベース飲料に醸造用エタノール(95%)を添加することにより所定のアルコール濃度を有する各試験サンプルを調製した。
【0029】
上記の試飲サンプルはいずれも、ホップを使用していないため、苦味価(BU)が5未満であった。
【0030】
官能評価
試飲サンプルの官能評価を行った。官能評価は十分に訓練された5名のパネラーにより、中後半の味厚み(飲用時の中盤から後半の味厚み)、重厚な味わい、および香味のバランスの3項目について実施した。官能評価は、1~5の評価スコアを用い、0.5刻みで行った。この官能評価においては、上記(1)~(4)の4種類の試飲サンプルのそれぞれについて、評価スコアが1.5のサンプルと4.5のサンプルを1つずつ特定し(標準偏差が0のサンプル)、各パネラー間での基準の統一を図った。各項目の具体的な評価基準は、以下の通りとした。
【0031】
中後半の味厚みおよび重厚な味わいの評価基準
・5:とても強い
・4:強い
・3:やや強い
・2:やや弱い
・1:弱い
【0032】
香味のバランスの評価基準
・5:香味のバランスがとても優れており、嗜好飲料として適している。
・4:香味のバランスが優れており、嗜好飲料として適している。
・3:香味のバランスがとれており、嗜好飲料として適している。
・2:香味のバランスがとれているとはいえず、嗜好飲料として適していない。
・1:香味のバランスが悪く、嗜好飲料として適していない。
【0033】
【0034】
【0035】
【0036】
【0037】
上記の表から、表に記載の各成分は、いずれも、用量依存的に中後半の味厚みの増強効果を示すことが分かった。また、これらの成分は、いずれも、重厚な味わいの増強効果を示すことも分かった。また、これらの成分は、いずれも、香味のバランスを整えることができることも分かった。