(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2025060122
(43)【公開日】2025-04-10
(54)【発明の名称】測量方法、測量システム及び測量プログラム
(51)【国際特許分類】
G01C 15/00 20060101AFI20250403BHJP
【FI】
G01C15/00 102C
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023170658
(22)【出願日】2023-09-29
(71)【出願人】
【識別番号】000220343
【氏名又は名称】株式会社トプコン
(74)【代理人】
【識別番号】110004060
【氏名又は名称】弁理士法人あお葉国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】佐野 直樹
(72)【発明者】
【氏名】茂木 亨
(57)【要約】
【課題】スタティック解析におけるGNSS受信機からコンピュータへの測定データの取り込みにおいて、作業者の労力を提言した測量方法、測量システム及び測量プログラムの提供。
【解決手段】複数の測点の測定データを記憶したGNSS受信機21~26のスタティック観測によって測点座標の測定データを検出し、GNSS受信機からコンピュータ2の記憶部3に取り込んだ各測点の測定データからコンピュータ2の制御部4が基線ベクトル解析を行う測量方法において、制御部4は、近距離無線通信によって複数の前記GNSS受信機を検出して自動的に接続する接続ステップと、接続した前記GNSS受信機をリストアップするリストアップステップと、リストアップした前記各GNSS受信機から前記測定データをそれぞれ順に受信する測定データ受信ステップと、を実行するようにした。
【選択図】
図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の測点に測位対象としてそれぞれ設置されて測定データを記憶したGNSS受信機のスタティック観測による測点座標の測定データを検出し、GNSS受信機からコンピュータの記憶部に取り込んで行う測量方法において、
複数の前記GNSS受信機から前記コンピュータへの前記測定データの取り込みに際し、
前記制御部は、
近距離無線通信によって複数の前記GNSS受信機を検出して自動的に接続する接続ステップと、
接続した前記GNSS受信機をリストアップするリストアップステップと、
リストアップした前記各GNSS受信機から前記測定データをそれぞれ順に受信する測定データ受信ステップと、
を実行することを特徴とする測量方法。
【請求項2】
前記リストアップステップは、
前記GNSS受信機における測定データの存在の有無をチェックするステップと、
測定データが存在するGNSS受信機のみを選別してリストに含める選抜ステップと、
を有することを特徴とする、請求項1に記載の測量方法。
【請求項3】
前記測定データは、前記GNSS受信機による測定時刻を示すタイムスタンプを備え、
前記記憶部は、前記GNSS受信機から取り込む前記測定データの測定された時間帯を限定する、取得時間帯を記憶され、
前記測定データ受信ステップは、
GNSS受信機における測定データのタイムスタンプと、前記取得時間帯を比較する時間比較ステップと、
前記タイムスタンプが、前記取得時間帯と一致した測定データのみを選抜して受信する選抜受信ステップと、
を有することを特徴とする、請求項1に記載の測量方法。
【請求項4】
前記測定データは、複数のGNSS受信機が、いずれかのグループに属するかを示すグループスタンプを備え、
前記記憶部は、基線ベクトルの解析を行う解析グループを記憶され、
前記リストアップステップは、
GNSS受信機における測定データの前記グループスタンプと、前記解析グループを比較するグループ比較ステップと、
前記グループスタンプが、前記解析グループと一致したGNSS受信機のみを選抜してリストに含める選抜ステップと、
を有することを特徴とする、請求項1に記載の測量方法。
【請求項5】
前記近距離無線通信が、bluetooth(登録商標)による通信であることを特徴とする、請求項1に記載の測量方法。
【請求項6】
請求項1から5のうちいずれかに記載の測量方法を実施する測量システム。
【請求項7】
請求項1から5のうちいずれかに記載の測量方法をコンピュータに実行させる測量プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複数のGNSS受信機の測定データからコンピュータでスタティック解析を行う測量方法に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1の段落番号[0019]には、複数のGNSS(Global Navigation Satellite System)受信機を利用したスタティック観測によって座標を取得する測量方法が開示されている。この測量方法では、複数の測点に3以上のGNSS受信機を設置し、各測点の一定時間内における座標データをスタティック法に基づいてGNSS受信機に蓄積し、蓄積したデータをコンピュータに取り込んで測点間の基線ベクトルを算出、解析することによって測量を行っている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
スタティック法に基づく測量方法では、作業者が、座標データを蓄積したGNSS受信機を測点から解析用のコンピュータがある場所に持ち帰り、GNSS受信機をUSB等の有線接続によってコンピュータと接続し、必要な座標データを選択する手動操作をコンピュータに行った上で基線解析を行っていた。
【0005】
しかし、GNSS受信機とコンピュータとの有線接続は、ケーブル等を一々手動で接続しなければならない点で作業者の負担となり、必要な座標データを手動で選択する操作もまた、座標データの有無や内容等を一々モニタ等で確認し、必要なデータを判断した上で手動選択しなければならず、時間と手間がかかる点で作業者の負担となっていた。
【0006】
本願発明は、スタティック法におけるGNSS受信機からコンピュータへの測定データの取り込みにおいて、作業者の労力を無くした測量方法、測量システム及び測量プログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
複数の測点に測位対象としてそれぞれ設置されて測定データを記憶したGNSS受信機のスタティック観測による測点座標の測定データを検出し、GNSS受信機からコンピュータの記憶部に取り込んで行う測量方法において、複数の前記GNSS受信機から前記コンピュータへの前記測定データの取り込みに際し、前記制御部は、近距離無線通信によって複数の前記GNSS受信機を検出して自動的に接続する接続ステップと、接続した前記GNSS受信機をリストアップするリストアップステップと、リストアップした前記各GNSS受信機から前記測定データをそれぞれ順に受信する測定データ受信ステップと、を実行することが望ましい。
【0008】
また、前記測量方法において、前記リストアップステップは、前記GNSS受信機における測定データの存在の有無をチェックするステップと、測定データが存在するGNSS受信機のみを選別してリストに含める選抜ステップと、を有することがより望ましい。
【0009】
また、前記測量方法において、前記測定データは、前記GNSS受信機による測定時刻を示すタイムスタンプを備え、前記記憶部は、前記GNSS受信機から取り込む前記測定データの測定された時間帯を限定する、取得時間帯を記憶され、前記測定データ受信ステップは、GNSS受信機における測定データのタイムスタンプと、前記取得時間帯を比較する時間比較ステップと、前記タイムスタンプが、前記取得時間帯と一致した測定データのみを選抜して受信する選抜受信ステップと、を有することがより望ましい。
【0010】
また、前記測量方法において、前記測定データは、複数のGNSS受信機が、いずれかのグループに属するかを示すグループスタンプを備え、前記記憶部は、基線ベクトルの解析を行う解析グループを記憶され、前記リストアップステップは、GNSS受信機における測定データの前記グループスタンプと、前記解析グループを比較するグループ比較ステップと、前記グループスタンプが、前記解析グループと一致したGNSS受信機のみを選抜してリストに含める選抜ステップと、を有することがより望ましい。
【0011】
また、前記測量方法において、前記近距離無線通信は、bluetooth(登録商標)による通信であることがより望ましい。
【0012】
また、前記測量方法を実施する測量システムを構成し、前記測量方法をコンピュータに実行させる測量プログラムを構築することが望ましい。
【発明の効果】
【0013】
本発明の測量方法によれば、スタティック法に基づく基線解析に先立ち、測点から持ち帰った複数のGNSS受信機を作業者がコンピュータに取り込む際に、コンピュータに接近したGNSS受信機が近距離無線通信によってコンピュータに自動的に接続され、GNSS受信機に蓄積された測定データが自動的にコンピュータに取り込まれるため、作業者による取り込み作業が省略され、作業者の負担が低減される。
【0014】
また、本発明の測量方法によれば、測定データの存在するGNSS受信機のみから測定データがコンピュータに取り込まれることにより、測定データがより迅速に取り込まれる。
【0015】
また、本発明の測量方法によれば、基線解析に必要な時間帯で測定された測定データに絞ってGNSS受信機からコンピュータへの測定データの取り込みが行われることにより、測定データがより迅速に取り込まれると共に、取り込み後の基線解析前に不要な測定データを作業者が取捨選択する手間も省かれる。
【0016】
また、本発明の測量方法によれば、あるエリアでスタティック観測を行った一のGNSS受信機群と、他のエリアでスタティック観測を行った他のGNSS受信機群が、同時にコンピュータによる通信可能範囲に持ち込まれたとしても、基線解析を先に行うGNSS受信機群からの測定データのみがコンピュータに取り込まれ、他のエリアで測定を行った他のGNSS受信機群からの測定データが取り込まれず、測定エリアを跨いだ測定データの混在が防止される。従って、取り込み後の基線解析前に測定エリアを跨いで混在した測定データを作業者が精査して取捨する手間を省かれる。
【0017】
また、本発明の測量方法によれば、近距離無線通信にbluetooth(登録商標)を使用することで、GNSS受信機とコンピュータを迅速に自動接続し、迅速なデータ通信を行うことが出来る。
【0018】
また、本発明の測量システム及び測量プログラムによれば、本発明の測量方法を実現することで、GNSS受信機からコンピュータへの測定データの取り込みにおける作業者の負担を無くすことが出来る。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【
図1】本発明の測量方法を実施する測量システムの実施形態に関する全体構成図。
【
図2】測量方法に使用するGNSS受信機の構成説明図。
【発明を実施するための形態】
【0020】
次に、本発明の好適な実施形態及び実施例について、図面を参照して説明する。
【0021】
図1は、本発明の測量方法を実施する測量システム1の実施形態に係る全体構成図であり、
図2は、測量システム1で利用される各GNSS受信機21~26の構成説明図である。測量システム1は、コンピュータ2と、座標データを測定したい測定点毎にそれぞれ設置されたGNSS受信機21~26からなるGNSS受信機群A(符号20)と、GNSS受信機21~26と構成の同じGNSS受信機21’~26’からなるGNSS受信機群B(符号20’)によって構成される。尚、
図1のGNSS受信機群A(符号20)は、測定終了後にコンピュータ2と通信可能な近傍エリア内に持ち帰られた状態を示し、GNSS受信機群B(符号20‘)は、コンピュータ2の通信可能範囲の外で測定点の測定を続けている状態を示す。
【0022】
図1に示すように、コンピュータ2は、相互にデータ通信可能な状態に接続された記憶部3,制御部4及び通信部6を有する。
【0023】
図1の記憶部3は、データを記憶するメモリ等の記憶媒体から構成され、プログラム格納部3a、GNSS受信機リスト格納部3b、測定データ格納部3c取得時間帯データを格納する取得時間帯格納部3d、及び解析グループ格納部3eを有する。制御部4は、CPU等の演算処理装置から構成された演算制御部であって、通信検出及び制御部4a、リスト生成部4b、座標データの存在確認部4c、時間比較部4d、グループ比較部4e及び基線ベクトル生成部4fを有する。通信部6は、複数のGNSS受信機21~26に蓄積される測定データをbluetooth(登録商標)によって無線通信する近距離無線通信機である。また、通信部6は、通信可能範囲に持ち込まれたGNSS受信機群A(符号20)のGNSS受信機21~26と、GNSS受信機群B(符号20‘)のGNSS受信機21‘~26‘にそれぞれ接続される。尚、通信部6は、近距離無線通信機であれば、無線LAN(wifi)等としてもよい。
【0024】
図1に示すGNSS受信機群A(符号20)を構成するGNSS受信機21~26と、GNSS受信機群B(符号20‘)を構成するGNSS受信機21’~26’は、いずれも
図2に示す共通の構成を有し、いずれも4以上のGNSS衛星33から位置情報に関する衛星電波を受信する。GNSS受信機21~26は、いずれも本体部27とGNSS受信機を測点に設置するための支柱32を有する。本体部27は、GNSS受信部28,測定データ生成部29,GNSS記憶部30、通信部31及びタイマー34を有する。
【0025】
測定データ生成部29は、GNSS受信部28で受信された測点の座標データ、タイムスタンプ及びグループスタンプから測定データを生成してGNSS記憶部30に記憶する。タイムスタンプは、タイマー34によって計測されるGNSS受信機による座標データの受信時刻を示すもので、受信データ毎に付加される。また、グループスタンプは、GNSS受信機21~26がどのグループに属するかについてあらかじめ定められたスタンプであり、各GNSS受信機21~26にGNSS記憶部30に記憶されて、測定された座標データに付与される。
【0026】
図2のGNSS受信機21~26の通信部31と、GNSS受信機21’~26’の通信部(図示せず)は、bluetooth(登録商標)等の近距離無線通信によっていずれもコンピュータ2の通信部6に接続され、コンピュータとの間にデータの送受信を行う。
図1のコンピュータ2のプログラム格納部3aには、本発明の測量方法をコンピュータに実施させる実行プログラムが記憶され、
図2のGNSS記憶部30に蓄積された測定データは、前記実行プログラムに基づき、通信部31(及びGNSS受信機群B(符号20’)の図示しない通信部)と、通信部6を介してコンピュータ2に送信される。
【0027】
次に、
図3により、本測定方法の第1の実施例を説明する。第1の実施例においては、検出したGNSS受信機の全てから測定データを受信する。まず、コンピュータ2の制御部4は、通信検出及び制御部4aによって複数のGNSS受信機との接続ステップS101を実行する。具体的には、制御部4の通信検出及び制御部4aは、あらかじめ通信部6とあらかじめペアリングされた通信部31(及びGNSS受信機群B(符号20’)の図示しない通信部)を有するGNSS受信機21~26をAエリア内で検出し、通信部6と通信部31(及びGNSS受信機群B(符号20’)の図示しない通信部)との間にbluetooth通信を確立することで、GNSS受信機群A(符号20)群をコンピュータ2に自動接続させる。GNSS受信機群A(符号20)は、所定の測点に設定されてスタティック観測を終えており、GNSS受信機21~26のGNSS記憶部30には、測定データが蓄積されている。
【0028】
次に
図1に示すコンピュータ2の制御部4は、リスト生成部4bによって
図3に示す複数のGNSS受信機のリストアップステップS102を実行する。GNSS受信機21~26には、それぞれ自他を識別するID等の独自の識別標識があらかじめ付されている。制御部4のリスト生成部4bは、ステップS101で検出されたGNSS受信機群A(符号20)に属する全てのGNSS受信機21~26のそれぞれの識別標識を記憶部3のGNSS受信機リスト格納部3bに記憶された受信リストに書き込む。
【0029】
次にコンピュータ2の制御部4は、通信検出及び制御部4aによって
図3に示す測定データ受信ステップS103を実行し、リストアップされたGNSS受信機群A(符号20)の全てのGNSS受信機21~26から受信データをリスト順に受信し、記憶部3の測定データ格納部3cに記憶させる。
【0030】
測量作業後にコンピュータ2の制御部4は、
図3の基線ベクトル生成部4fによって基線ベクトル算出ステップS104を実行し、スタティック法に基づいてGNSS受信機21~26から得られた個々の受信データの解析を行い、測点間の所定の基線ベクトルを算出する。
【0031】
次に、
図4により、本測定方法の第2の実施例を説明する。第2の実施例においては、検出したGNSS受信機のうち、測定データが蓄積されたGNSS受信機のみから測定データを受信する。第2の実施例の測定方法は、リストアップステップS102’が、第1の実施例のリストアップステップS102と異なる他、第1の実施例と同じステップS101,S103,S104を実行する。
【0032】
まず、コンピュータ2の制御部4は、通信検出及び制御部4aによってステップS101を実行し、bluetooth通信によって通信可能範囲内に存在するGNSS受信機群A(符号20)群をコンピュータ2に自動接続する。GNSS受信機群A(符号20)は、所定の測点に設定されてスタティック観測を終えているが、GNSS受信機21~26の各GNSS記憶部30には、測定データが蓄積されているものと、蓄積されていないものがある。
【0033】
次に
図1に示すコンピュータ2の制御部4は、リストアップステップS102’において、サブステップS201からS203を実行する。具体的には、ステップS101の実行後、制御部4の測定データの存在確認部4cが、接続した各GNSS受信機21~26に測定データが蓄積されているか否かをGNSS受信機毎に確認する、測定データの存在確認ステップS201を実行する。次に
図1のリスト生成部4bは、選抜ステップS202を実行し、GNSS受信機21~26のうち、存在確認ステップS201で測定データの蓄積が確認されたGNSS受信機の識別標識のみを記憶部3のGNSS受信機リスト格納部3bに記憶された受信リストに書き込む。次に存在確認部4cは、受信機確認ステップS203を実行することで、検出した全てのGNSS受信機21~26における受信データの蓄積を確認したか否かを判定し、未確認のGNSS受信機があれば、制御部4が、未確認の次の検出済GNSS受信機について、再びステップS201及びS202を実行する。
【0034】
図4の受信機確認ステップS203を実行しても未確認のGNSSが無い場合、
図1の制御部4は、通信検出及び制御部4aによって
図4のステップS103を実行し、GNSS受信機21~26のうち、受信データの蓄積があるものから受信データをリスト順に受信し、記憶部3の測定データ格納部3cに記憶させる。最後にコンピュータ2の制御部4は、
図3の基線ベクトル生成部4fによって基線ベクトル算出ステップS104を実行し、スタティック法に基づいて個々の受信データの解析を行い、測点間の所定の基線ベクトルを算出する。第2の実施例の測量方法によれば、検出されたGNSS受信機21~26のうち、測定データの存在するGNSS受信機のみから測定データがコンピュータ2に取り込まれることにより、測定データがより迅速に取り込まれる。
【0035】
次に、
図5により、本測定方法の第3の実施例を説明する。第3の実施例においては、検出したGNSS受信機に蓄積された測定データのうち、所定の時間帯に計測された測定データをのみ受信する。第3の実施例の測定方法は、測定データ受信ステップS103’が、第1の実施例の測定データ受信ステップS103と異なる他、第1の実施例と同じステップS101,S102,S104を実行する。
【0036】
まず、コンピュータ2の制御部4は、通信検出及び制御部4aによってステップS101を実行し、bluetooth通信によって通信可能範囲内に存在するGNSS受信機群A(符号20)群をコンピュータ2に自動接続する。次に
図1に示すコンピュータ2の制御部4は、リスト生成部4bによって
図5に示す複数のGNSS受信機のリストアップステップS102を実行し、ステップS101で検出されたGNSS受信機群A(符号20)に属する全てのGNSS受信機21~26のそれぞれの識別標識を記憶部3のGNSS受信機リスト格納部3bに記憶された受信リストに書き込む。
【0037】
尚、GNSS受信機群A(符号20)は、所定の測点に設定されてスタティック観測を終えており、GNSS受信機21~26のGNSS記憶部30には、座標データの測定時刻を示すタイムスタンプを含む測定データが蓄積されている。また、コンピュータ2の記憶部3の取得時間帯格納部3dには、各GNSS受信機に蓄積された測定データにおいて、基線解析に利用したい所定の測定時間帯(例えば7時から17時等)を示す取得時間帯データがあらかじめ記憶されている。
【0038】
ステップS102の実行後、
図1に示すコンピュータ2の制御部4は、測定データ受信ステップS103’において、サブステップS301からS303を実行する。具体的には、ステップS102の実行後、制御部4の測定データの時間比較部4dが、時間比較ステップS301を実行し、GNSS受信機21~26のいずれかに蓄積された測定データのタイムスタンプと、取得時間帯格納部3dにデータとして記憶されている取得時間帯を順に比較する。次に
図1の制御部4の通信検出及び制御部4aは、記録ステップS302を実行し、蓄積された測定データのうち、タイムスタンプと取得時間帯の一致する測定データのみをGNSS受信機から受信して、測定データ格納部に書き込む。次に時間比較部4dは、受信機確認ステップS303を実行することで、検出した全てのGNSS受信機21~26における受信データの蓄積を確認したか否かを判定し、未確認のGNSS受信機があれば、制御部4が、未確認の次の検出済GNSS受信機について、再びステップS301及びS302を実行する。
【0039】
図4の受信機確認ステップS303を実行しても未確認のGNSSが無い場合、
図1の制御部4は、
図3の基線ベクトル生成部4fによって測量作業後の基線ベクトル算出ステップS104を実行し、スタティック法に基づいて個々の受信データの解析を行い、測点間の所定の基線ベクトルを算出する。第3の実施例の測量方法によれば、基線解析に必要な時間帯で測定された測定データに絞ってGNSS受信機21~26からコンピュータ2への測定データの取り込みが行われることにより、測定データがより迅速に取り込まれると共に、取り込み後の基線解析前に不要な測定データを作業者が取捨選択する手間も省かれる。
【0040】
次に、
図6により、本測定方法の第4の実施例を説明する。第4の実施例においては、検出した複数のGNSS受信機群のうち、解析に使用する特定のGNSS受信機群に含まれるGNSS受信機のみから測定データを受信する。第3の実施例の測定方法は、リストアップステップS102’’’が、第1の実施例のリストアップステップS102と異なる他、第1の実施例と同じステップS101,S103,S104を実行する。
【0041】
まず、コンピュータ2の制御部4は、通信検出及び制御部4aによって接続ステップS101を実行し、bluetooth通信によって通信可能範囲内に存在するGNSS受信機群A(符号20)群をコンピュータ2に自動接続する。
【0042】
また、
図1のBエリアに配置されたGNSS受信機群B(符号20’)がスタティック観測を終えてコンピュータ2との通信が可能な仮想線に示すB’エリアに持ち帰られた場合、GNSS受信機21’~26’もまた、接続ステップS101で検出されて、コンピュータ2に自動接続される。
【0043】
尚、
図1のGNSS受信機群A(符号20)は、
図1のAエリア内の測点に設定されてスタティック観測を終えており、GNSS受信機21~26のGNSS記憶部30には、GNSS受信機21~26が所属するグループAを示すグループスタンプを付与された測定データが蓄積されている。GNSS受信機21’~26’には、所属するグループBを示すループスタンプを付与された測定データが蓄積されている。また、コンピュータ2の記憶部3の解析グループ格納部3eには、解析に使用されるGNSS受信機21~26の解析グループAを示す解析グループデータがあらかじめ記憶されている。
【0044】
ステップS101の実行後、コンピュータ2の制御部4は、
図6のリストアップステップS102’’’において、サブステップS401からS403を実行する。具体的には、ステップS101の実行後、
図1に示す制御部4の測定データのグループ比較部4eが、時間比較ステップS301を実行し、GNSS受信機21~26及びGNSS受信機21’~26’のいずれかに蓄積された測定データのグループスタンプと、解析グループ格納部3eに記憶された解析グループAのデータを比較する。
【0045】
図1のリスト生成部4bは、選抜ステップS402を実行し、解析グループAのグループスタンプを含む測定データを蓄積した、グループAのGNSS受信機21~26の識別標識のみを記憶部3のGNSS受信機リスト格納部3bに記憶された受信リストに書き込む。
【0046】
次にリスト生成部4bは、受信機確認ステップS303を実行することで、検出した全てのGNSS受信機21~26及びGNSS受信機21’~26’の選抜を行った否かを判定し、未選抜のGNSS受信機があれば、制御部4が、未確認の次の検出済GNSS受信機について、再びステップS401及びS402を実行する。
【0047】
図6の受信機確認ステップS403を実行しても未確認のGNSSが無い場合、
図1の制御部4は、通信検出及び制御部4aによって
図6のステップS103を実行し、GNSS受信機21~26のみから受信データをリスト順に受信し、記憶部3の測定データ格納部3cに記憶させる。測量作業後にコンピュータ2の制御部4は、
図3の基線ベクトル生成部4fにより、スタティック法に基づいて個々の受信データの解析を行い、エリアの測点間の所定の基線ベクトルを算出する。
【0048】
尚、Bエリアの基線解析を行う場合には、解析グループ格納部3eに記憶された解析グループをAからBにあらかじめ書き換えておく。その場合、グループBに属するGNSS受信機21’~26’のみから測定データをコンピュータが自動受信して、Bエリアの測点間の所定の基線ベクトルを算出する。
【0049】
第4の実施例の測量方法によれば、あるAエリアでスタティック観測を行ったGNSS受信機群A(符号20)と、Bエリアでスタティック観測を行ったGNSS受信機群B(符号20’)が、同時にコンピュータ2による通信可能範囲に持ち込まれたとしても、Aエリアの基線解析を先に行うように記憶部に解析グループデータが書き込まれた場合、GNSS受信機群A(符号20)からの測定データのみがコンピュータ2に取り込まれ、Bエリアで測定を行ったGNSS受信機群B(符号20’)の測定データが取り込まれず、測定エリアをA、B間で跨いだ測定データの混在が防止される。従って、取り込み後の基線解析前に測定エリアを跨いで混在した測定データを作業者が精査して取捨する手間を省かれる。
【符号の説明】
【0050】
1 測量システム
2 コンピュータ
3 記憶部
4 制御部
6、31 近距離無線通信を行う通信部