(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2025060293
(43)【公開日】2025-04-10
(54)【発明の名称】車両構造及びベントダクト
(51)【国際特許分類】
B60H 1/26 20060101AFI20250403BHJP
B62D 25/02 20060101ALI20250403BHJP
【FI】
B60H1/26 611Z
B62D25/02 C
B60H1/26 671Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023170954
(22)【出願日】2023-09-29
(71)【出願人】
【識別番号】000119232
【氏名又は名称】株式会社イノアックコーポレーション
(74)【代理人】
【識別番号】100112472
【弁理士】
【氏名又は名称】松浦 弘
(74)【代理人】
【識別番号】100202223
【弁理士】
【氏名又は名称】軸見 可奈子
(72)【発明者】
【氏名】丹下 勝博
(72)【発明者】
【氏名】山口 貴史
【テーマコード(参考)】
3D203
3L211
【Fターム(参考)】
3D203AA02
3D203BB72
3D203DA18
3L211AA10
3L211AA11
3L211BA12
3L211BA14
3L211BA54
3L211DA17
(57)【要約】
【課題】従来の車両構造に対し、車室内に入る騒音を低減可能な技術の開発が求められている。
【解決手段】本開示の車両構造の一態様は、車両側部のベント口を覆うフード部のうち前記ベント口を囲む囲み部を少なくとも含む車両構造であって、前記囲み部は、前記フード部が後方に向かって開口するように前記ベント口を上下及び前側の三方から囲むことを特徴とする車両構造である。
【選択図】
図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両側部のベント口を覆うフード部のうち前記ベント口を囲む囲み部を少なくとも含む 車両構造であって、
前記囲み部は、前記フード部が後方に向かって開口するように前記ベント口を上下及び前側の三方から囲むことを特徴とする車両構造。
【請求項2】
車両側部にベント口が設けられたベントダクトと、前記ベント口を覆うフード部と、を備える車両構造であって、
前記フード部は、後方が開口するように前記ベント口を上下及び前側の三方から囲むことを特徴とする車両構造。
【請求項3】
車両側部に開閉弁で開閉可能なベント口が配置されるベントダクトであって、
前記ベントダクトは、後方が開口するように前記ベント口を上下及び前側の三方から囲んで、該ベント口と対向する対向部に当接する囲み部を備えることを特徴とするベントダクト。
【請求項4】
車両側部に開閉弁で開閉可能なベント口が配置されるベントダクトであって、
前記ベントダクトは、後方が開口するように前記ベント口を上下及び前側の三方から囲む囲み部と、前記囲み部に連なり前記ベント口と対向する対向壁と、を備えることを特徴とするベントダクト。
【請求項5】
前記囲み部のうち前記ベント口の前側に配置される壁部は、前記ベント口から離れた位置に配置されることを特徴とする請求項3または4に記載のベントダクト。
【請求項6】
前記ベント口が前記囲み部のうち後方に開口する後方開口側に寄るように該囲み部が配置されることを特徴とする請求項5に記載のベントダクト。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、車両構造に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、車室内の圧力を逃がすベント口を備えた車両構造が知られている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2000-127750(段落[0020]~[0022]、[0025]、[0037]、
図1~
図3等)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
従来の車両構造に対し、車室内に入る騒音を低減可能な技術の開発が求められている。
【課題を解決するための手段】
【0005】
発明の一態様は、車両側部のベント口を覆うフード部のうち前記ベント口を囲む囲み部を少なくとも含む 車両構造であって、前記囲み部は、前記フード部が後方に向かって開口するように前記ベント口を上下及び前側の三方から囲むことを特徴とする車両構造である。
【図面の簡単な説明】
【0006】
【
図1】
図1は、第1実施形態の車両構造が備えられた車両の平面図
【
図3】
図3は、第1実施形態の車両構造の囲み部の斜視図
【
図4】
図4は、第1実施形態の車両構造の囲み部の一部破断斜視図
【
図6】
図6は、第2実施形態の車両構造の囲み部の斜視図
【
図7】
図7は、第2実施形態の車両構造の囲み部の一部破断斜視図
【
図8】
図8は、第3実施形態の車両構造の囲み部の斜視図
【
図12】
図12は、実施例1及び比較例1における周波数と騒音レベルの関係を示すグラフ
【
図13】
図13は、各実施例における周波数と騒音レベルの関係を示すグラフ
【発明を実施するための形態】
【0007】
[第1実施形態]
図1及び
図2に示すように、発明の第1実施形態の例では、車両構造10は、車両90の側部に配置される。車両90の側部には、車室内の空気を車外に排出するためのベントダクト20のベント口21(末端の排出口)が配置されている(
図2参照)。例えば、ベント口21は、車両90の左右両側の側部に設けられる。以下では、車両90の左側の側部に設けられるベント口21と車両構造10について説明するが、車両90の右側の側部に設けられるベント口21と車両構造10についても同様である。なお、車両90としては、例えば、電気自動車、プラグインハイブリッド自動車、ハイブリッド自動車、燃料電池車等が挙げられる。
【0008】
本実施形態の例では、ベント口21は、車両90の側部の車体パネル91の側面のうち後輪より後側の部分で、リアバンパー92に覆われる部分に開口している。なお、ベントダクト20の末端部は、車体パネル91の側面に形成された側面開口91Kに嵌合されて固定されている。
【0009】
図3及び
図4に示すように、ベントダクト20には、ベント口21を開閉する開閉弁22が設けられている。そして、ドアが閉められた時やカーエアコンの作動時等に、車室内の圧力が高まると、開閉弁22が開放されてベント口21から車室内の圧力を逃がすことができる。なお、開閉弁22は、車外側の圧力に対する車室側の圧力の相対的な上昇により、ベント口21を閉じた閉状態から、ベント口21を開く開状態(
図3及び
図4参照)へと変化する。本実施形態の例では、開閉弁22は、
図4に示すように、上端部を回動中心として回動するフラップ22Aを有している。例えば、ベント口21は、フラップ22Aの外縁部の車室側が当接するストッパ部を備え、車外側に対して車室側が負圧になったときには開状態とならず、閉状態となっている。
【0010】
図3に示すように、本実施形態の例では、ベント口21を覆うフード部30が設けられている。フード部30は、車両90後方に開口する後方開口31を有し、ベント口21からの空気を、後方開口31から車外へと排出する。本実施形態の例では、フード部30には、ベント口21からの空気を排気するための開口が、後方開口31のみ設けられ、前方、上方、下方及び側方には開口していない。従って、ベント口21からの空気は、実質的に後方開口31のみから車外へと排出される。
【0011】
フード部30は、ベント口21を囲む囲み部32を有している。本実施形態の車両構造10に備えられる囲み部32は、後方開口31が後方に開口するようにベント口21を上下及び前側の三方から囲む。本実施形態の例では、フード部30は、リアバンパー92より内側に配置される。
【0012】
本実施形態の例では、フード部30は、箱形構造をなし、囲み部32は、互いに上下に対向する上側壁部32Aと下側壁部32Bとの前端部同士を、前側壁部32Cで連絡した囲壁部になっている。また、本実施形態の例では、フード部30には、ベント口21と対向して囲み部32と一体になった対向部33が設けられている。対向部33は、囲み部32のうちリアバンパー92側の端部に連絡され、本実施形態の例では、板状なしている。なお、本実施形態の例では、フード部30には、車体パネル91の側面開口91Kの開口縁に重ねられるベース壁部34が設けられている。ベース壁部34は、ベント口21を露出させる貫通孔34Kを有する。ベース壁部34は、対向部33と対向して囲み部32と一体化している。なお、例えば、囲み部32やフード部30は、一体成形品(例えば、樹脂製又は金属製のもの)になっていてもよい。また、例えば、車両構造10は、フード部30を一体に備えたベントダクト20を有するものであってもよい。この場合、ベース壁部34がベントダクト20に一体成形されていてもよいし、ベース壁部34がベントダクト20の末端部に溶着や接着により一体化されていてもよい。また、例えば、車両構造10は、ベントダクト20と別体になったフード部30を有するものであってもよい。
【0013】
なお、フード部30の内側に形成される内側空間Rは、ベント口21の位置から後方開口31の位置まで前後方向で断面積が略一定になっていてもよい。
図2~
図4に示す本実施形態の例では、内側空間Rは、平断面において長方形状をなし、前側壁部32Cから後方開口31まで断面積が略一定になっている。なお、内側空間Rが、少なくともベント口21の位置から(例えば前側壁部32Cの位置から)後方開口31の位置に向かうにつれて、断面積が大きくなるか又は小さくなる構成であってもよい。内側空間Rが、ベント口21の位置から後方開口31の位置に向かって、略一定であるか又は大きくなる構成となっていることで、ベント口21を通って来た空気を後方開口31からスムーズに排出することが可能となる。
【0014】
図2に示すように、本実施形態の例では、囲み部32の前側壁部32Cは、ベント口21から離れた位置に配置されている。具体的には、ベント口21(前側ベント口21開口縁)と前側壁部32Cとの間隔Yよりも、ベント口21(後側ベント口21開口縁)と後方開口31との間隔Xの方が、短くなっている(即ち、ベント口21が後方開口31寄りになるように囲み部32が配置されている。
【0015】
本実施形態では、ベント口21がフード部30で覆われるので、ベント口21から車室内へ入る騒音を低減することが可能となる。また、フード部30においてベント口21からの空気を排出する開口が、後方に開口する後方開口31であるので、前方や側方に開口する場合に比べて、車室内へ入る騒音を低減可能となる。また、後方開口31と対向する位置に前側壁部32Cが設けられるので、後方開口31から内側空間Rに進入した騒音を、前側壁部32Cで反射された騒音と重ね合わせて消音させることが可能となる。また、上述のように、囲み部32が、ベント口21が後方開口31寄りになるように配置されることで、ベント口21が前側壁部32C寄りになるように配置される場合に比べて、車室内への騒音の低減を図ることが可能となる(詳細は後述の[実施例]参照)。また、ベント口21と後方開口31が近くなることで、車室内からの空気をスムーズに排出することが可能となると共に、ベント口21や開閉弁22のメンテナンス(掃除や交換等)を容易にすることが可能となる。
【0016】
[第2実施形態]
第2実施形態は、
図5~
図7に示すように、フード部30にベース壁部34が設けられていない点で、上記第1実施形態とは異なる。具体的には、フード部30の囲み部32が、車体パネル91に直に固定されている。本実施形態の例では、囲み部32は、車体パネル91と隙間なく固定される。なお、例えば、フード部30が、囲み部32と対向部33を一体に備えて(例えば、樹脂等で一体成形されて)いてもよい。本実施形態のそれ以外の構成は、上記第1実施形態の構成と同様である。本実施形態の車両構造10によっても、上記第1実施形態の車両構造10と同様の効果を奏することが可能となる。
【0017】
[第3実施形態]
第3実施形態は、
図8及び
図9に示すように、囲み部32と一体になった対向部33が設けられていない点で、上記第1実施形態とは異なる。具体的には、上記第1実施形態の対向部33の代わりに、リアバンパー92に、ベント口21と対向して囲み部32と当接する対向部33が設けられる。そして、リアバンパー92の対向部33と、囲み部32と、ベース壁部34とにより、ベント口21を覆いかつ後方開口31を有するフード部30が形成される。例えば、
図8及び
図9に示すように、囲み部32のうちリアバンパー92側の端部に、リアバンパー92と囲み部32を密着させるシール部材39が設けられていてもよい。このように、弾性を有するシール部材39が設けられることで密着性を確保できるので、例えば、囲み部32うちシール部材39以外の部分やベース壁部34を、剛性のある薄い部材で構成することも可能となり、コンパクト化を図ることが可能となる。なお、例えば、囲み部32とベース壁部34が、ベントダクト20に一体に備えられて(例えば、樹脂等で一体成形されて)いてもよい。本実施形態のそれ以外の構成は、上記第1実施形態の構成と同様である。本実施形態の車両構造10によっても、上記第1実施形態の車両構造10と同様の効果を奏することが可能となる。
【0018】
[第4実施形態]
第4実施形態は、
図10及び
図11に示すように、囲み部32と一体になった対向部33が設けられていない点で、上記第2実施形態とは異なる。具体的には、上記第2実施形態の対向部33の代わりに、リアバンパー92に、ベント口21と対向して囲み部32と当接する対向部33が設けられる(なお、本実施形態の例では、上記第2実施形態と同様に、上記第1実施形態のベース壁部34が設けられていない)。そして、リアバンパー92の対向部33と、囲み部32とにより、ベント口21を覆いかつ後方開口31を有するフード部30が形成される。例えば、囲み部32は、弾性体で形成されていてもよい。これにより、リアバンパー92と囲み部を密着させることが可能となる。囲み部32を形成する弾性体としては、例えば、樹脂の発泡体やゴム等が挙げられる。この発泡体としては、独立気泡構造のもののように通気し難いものの方が、車室側への騒音の低減の観点から好ましい。なお、例えば、囲み部32は、リアバンパー92と当接する部分が少なくとも弾性体で形成されていればよい。なお、例えば、囲み部32が、ベントダクト20に一体に備えられて(例えば、樹脂等で一体成形されて)いてもよい。本実施形態のそれ以外の構成は、上記第2実施形態の構成と同様である。本実施形態の車両構造10によっても、上記第1及び第2実施形態の車両構造10と同様の効果を奏することが可能となる。
【0019】
[他の実施形態]
フード部30が、上記第1実施形態では箱形構造であったが、他の形状であってもよく、例えば、ベント口21から離れるように膨出したドーム状の構造を有していてもよい。また、囲み部32は、ベント口21を囲む構成のものであればよく、壁状となったもの(囲壁部)に限定されるものではない。
【0020】
例えば、第4実施形態において、囲み部32がリアバンパー92に一体に備えられていてもよい(一体成形されていてもよい)。この場合、車両構造10を、リアバンパー92が含む構造としてもよい。
【0021】
ベントダクト20は、上記実施形態では開閉弁を備えていたが、開閉弁22を備えていなくてもよく、ベント口21を常時開放されたものとすることもできる。この場合でも、囲み部32やフード部30が設けられることで、車室内への騒音の低減を図ることが可能となる。
【0022】
なお、フード部30を、後方開口31の代わりに、例えば、下方に開口する開口を有する構成とすることもできる。この構成によっても、この場合でも、囲み部32やフード部30が設けられることで、車室内への騒音の低減を図ることが可能となる。
【実施例0023】
以下、実施例及び比較例によって上記実施形態をさらに具体的に説明するが、本開示の防音構造は、以下の実施例に限定されるものではない。実施例及び比較例の車両構造について、騒音低減の効果を評価した。
【0024】
(1)実施例及び比較例の車両構造
<実施例1~5>
実施例1~5の車両構造は、
図1~4に示す上記第1実施形態の車両構造10である。フード部30は、内側空間Rが直方体状となる箱形構造をなしている。フード部30は、ベント口21が内側空間Rの上下方向の中央部に位置するように配置され、非通気性の部材で形成されている。内側空間Rについて、
図4に示す上下方向の大きさ(高さ)Hは300mmであり、
図2に示す左右方向(車幅方向)の大きさ(幅)Wは60mmである(即ち、このサイズが後方開口31のサイズである)。内側空間Rの前後方向の大きさZ(
図4参照)は各実施例により異なる。また、ベント口21は、長方形状をなし、上下方向の大きさ(高さ)Mが104mm、前後方向の大きさLが100mmになっている(
図4参照)。
【0025】
実施例1~5では、前側壁部32Cとベント口21との間隔Yは60mmで一定であるが、後方開口31とベント口21との間隔X(
図2及び
図4参照)が異なっている。その他の点については、実施例1~5で同様である。
【0026】
実施例1では、間隔Xが、15mmである。
実施例2では、間隔Xが、30mmである。
実施例3では、間隔Xが、60mmである。
実施例4では、間隔Xが、90mmである。
実施例5では、間隔Xが、105mmである。
【0027】
<比較例1>
比較例1の車両構造は、従来の車両構造であり、フード部30を備えていない(詳細には、囲み部32と対向部33とベース壁部34を備えていない)。それ以外の構成(ベントダクト20等)は実施例1と同様である。
【0028】
(2)評価方法
<騒音測定>
実施例1及び比較例1の車両構造に対して、車室内で騒音を測定し、評価した。具体的には、車両90の左側の側部のベント口21に対応する車両構造について、車室内の助手席に座る乗員の耳の高さとなるような位置P(
図1参照)にマイクを配置し、車両90を60km/hで前方に走行させた状態で騒音レベル(dB(A))を測定した。このように車両90を走行させることで、騒音の測定時にベントダクト20の開閉弁22(即ち、フラップ22A)が開状態となってベント口21を開放させることが可能となる。位置Pは、ベント口21の中心に対して、前側に2300mm離れていて、600mm高い位置である。
【0029】
<シミュレーションによる騒音解析>
実施例1~5の車両構造について、車室内における騒音のシミュレーションを行った。具体的には、車両90の左側の側部のベント口21に対応する車両構造として、ベント口を境に車室と車外を分ける壁を前後上下方向に無限に延在させたモデルにおいて、後方開口31の後方でベント口21の中心から230mm離れた位置Q(
図2参照)にホワイトノイズの音源を配置し、車室内の助手席に座る乗員の耳の高さとなるような上記位置P(
図1参照)における騒音レベル(dB(A))を計算した。なお、シミュレーションでは、開閉弁22(即ちフラップ22A)が設けられておらずベント口21が常に開放されている設定とした。
【0030】
(3)評価結果
<騒音測定>
図12に示すように、125Hz~10000Hzの周波数の範囲において、フード部30が設けられた実施例1の車両構造10は、フード部30が設けられていない車両構造10に比べて、車室内への騒音レベル(dB(A))が低減されていることが確認できた。この低減効果は、特に、上記周波数の範囲のうち、180Hz~300Hz、560Hz~1900Hz、3150Hz~10000Hzの範囲で顕著である。
【0031】
<シミュレーションによる騒音解析>
図13に示すように、後方開口31とベント口21との間隔Xが、前側壁部32Cとベント口21との間隔Y(60mm)以上になると(実施例3~5)、車室内への騒音レベル(dB(A))が、悪化する傾向があることがわかる。これは、乗員にとって気になる騒音の周波数の範囲でもある、400Hz~630Hz、800Hz~1200Hzの周波数の範囲において特に顕著である。
【0032】
以上により、実施例1~5の車両構造10は、比較例1の従来の車両構造に比べて、車室内への騒音を低減可能であり、特に、前側壁部32Cとベント口21との間隔Y(60mm)に対して、後方開口31とベント口21との間隔Xが小さい実施例1,2の車両構造10では、車室内への騒音を顕著に低減可能となることが確認された。
【0033】
<付記>
以下、上記実施形態及び実施例から抽出される特徴群について、必要に応じて効果等を示しつつ説明する。なお、以下では、理解の容易のため、上記実施形態において対応する構成を括弧書き等で適宜示すが、これら特徴群は、この括弧書き等で示した具体的構成に限定されるものではない。
【0034】
例えば、以下の特徴群は、車両構造に関し、「従来から、車室内の圧力を逃がすベント口を備えた車両構造が知られている(例えば、特開2000-127750(段落[0020]~[0022]、[0025]、[0037]、
図1~
図3等)参照)。」という背景技術について、「従来の車両構造に対し、車室内に入る騒音を低減可能な技術の開発が求められている。」という課題をもって想到されたものと考えることができる。また、従来から、新規な車両構造や新規な車両部品が求められている。
【0035】
[特徴1]
車両側部のベント口を覆うフード部のうち前記ベント口を囲む囲み部を少なくとも含む車両構造であって、
前記囲み部は、前記フード部が後方に向かって開口するように前記ベント口を上下及び前側の三方から囲むことを特徴とする車両構造。
【0036】
[特徴2]
車両側部にベント口が設けられたベントダクトと、前記ベント口を覆うフード部と、を備える車両構造であって、
前記フード部は、後方が開口するように前記ベント口を上下及び前側の三方から囲むことを特徴とする車両構造。
【0037】
[特徴3]
車両側部に開閉弁で開閉可能なベント口が配置されるベントダクトであって、
前記ベントダクトは、後方が開口するように前記ベント口を上下及び前側の三方から囲んで、該ベント口と対向する対向部に当接する囲み部を備えることを特徴とするベントダクト。
【0038】
[特徴4]
車両側部に開閉弁で開閉可能なベント口が配置されるベントダクトであって、
前記ベントダクトは、後方が開口するように前記ベント口を上下及び前側の三方から囲む囲み部と、前記囲み部に連なり前記ベント口と対向する対向壁(対向部33)と、を備えることを特徴とするベントダクト。
【0039】
[特徴5]
前記囲み部のうち前記ベント口の前側に配置される壁部(前側壁部32C)は、前記ベント口から離れた位置に配置されることを特徴とする特徴3または4に記載のベントダクト。
【0040】
[特徴6]
前記ベント口が前記囲み部のうち後方に開口する後方開口側に寄るように該囲み部が配置されることを特徴とする特徴5に記載のベントダクト。
【0041】
[特徴7]
前記フード部のうち前記ベント口と対向する対向部を備え、
前記対向部は、リアバンパーに含まれて前記囲み部に当接することを特徴とする特徴6に記載の車両構造。
【0042】
[特徴8]
車両側部のベント口を覆うフード部のうち、前記ベント口を囲む囲み部と、前記ベント口と対向して前記囲み部と一体になった対向部と、を備えるリアバンパーであって、
前記囲み部は、前記フード部が後方に向かって開口するように前記ベント口を上下及び前側の三方から囲むことを特徴とするリアバンパー。
【0043】
上記特徴1~8によれば、車室内に入る騒音の低減を図ることが可能となる。上記特徴群の記載において、「車両構造」を、「車両部品」に置き換えてもよく、これら車両部品も上記実施形態や上記実施例の構成に含まれている。
【0044】
なお、本明細書及び図面には、特許請求の範囲に含まれる技術の具体例が開示されているが、特許請求の範囲に記載の技術は、これら具体例に限定されるものではなく、具体例を様々に変形、変更したものも含み、また、具体例から一部を単独で取り出したものも含む。