(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2025060318
(43)【公開日】2025-04-10
(54)【発明の名称】食品搬送装置
(51)【国際特許分類】
G01G 13/08 20060101AFI20250403BHJP
B65G 65/30 20060101ALI20250403BHJP
【FI】
G01G13/08 Z
B65G65/30 C
【審査請求】未請求
【請求項の数】3
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023170990
(22)【出願日】2023-09-30
(71)【出願人】
【識別番号】501489018
【氏名又は名称】株式会社 キョーワ
(74)【代理人】
【識別番号】100188248
【弁理士】
【氏名又は名称】丹生 哲治
(72)【発明者】
【氏名】井手上 清治
(72)【発明者】
【氏名】松▲崎▼ 信孝
(72)【発明者】
【氏名】井手上 慎司
【テーマコード(参考)】
2F046
3F075
【Fターム(参考)】
2F046AA01
2F046CA01
2F046DA06
3F075BA01
3F075BB01
3F075CA01
3F075CA02
3F075CB01
3F075CB12
3F075CC05
3F075CD02
3F075CD12
3F075DA03
3F075DA17
(57)【要約】
【課題】従来装置に比べて正確な食品の切り出しを、短時間で行える食品搬送装置を提供する。
【解決手段】ホッパ14の第1の排出部12から排出された米11を、傾斜した搬送面に沿って大量かつ高速で滑落させるシュート15を用いて、目標重量の付近(調整開始重量)まで計量バケット20に連続投入する。その後、パイプフィーダ19を用いて、目標重量に達するまで少量の米を徐々に計量バケット20に投入するようにした。これにより、大量の米11であっても従来装置に比べてより高精度な米11の切り出しを行うことができる。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
食品を貯留して、下部に第1の排出部及び第2の排出部が配設されたホッパと、
前記第1の排出部から排出された前記食品を、傾斜した搬送面に沿って滑落させるシュートと、
該シュートの傾斜角度を変更する角度変更手段と、
前記第2の排出部から少量の前記食品を切り出す筒体、及び該筒体を周方向に回転させる回転手段を有したパイプフィーダと、
排出口に開閉蓋が設けられて、前記シュート及び前記パイプフィーダの各先端からそれぞれ投下された前記食品を受ける計量バケットと、
該計量バケットの開閉蓋を開閉する開閉手段と、
前記計量バケットが受けた前記食品を秤量する秤量器と、
該秤量器からの秤量データに基づいて、前記角度変更手段、前記回転手段及び前記開閉手段をそれぞれ制御する制御部とを備え、
前記制御部は、前記秤量器からの計量データに基づき、予め設定された目標重量の付近までは、前記シュートを介して、前記第1の排出部から排出された前記食品を前記計量バケットに投入し、その後、前記パイプフィーダを介して、前記第2の排出部から切り出された少量の食品を、前記目標重量に達するまで前記計量バケットに投入することを特徴とする食品搬送装置。
【請求項2】
前記ホッパの第1の排出部付近には、前記食品を切り出す切り出し手段が設けられたことを特徴とする請求項1に記載の食品搬送装置。
【請求項3】
前記ホッパの下部には、前記第1の排出部及び前記第2の排出部が並列状態で複数対配置され、
前記各第1の排出部及び前記各第2の排出部には、対応するシュート又は対応するパイプフィーダがそれぞれ配置され、
対配置される前記シュート及び前記パイプフィーダの各先端の下方には、それぞれ対応する計量バケット及び秤量器が配置され、
前記制御部は、前記各計量バケットに投入された前記目標重量の食品のうち、予め設定された合計目標重量に最も近い組み合わせのものを選択する選択プログラムと、該選択プログラムにより選択された前記各計量バケットの開閉蓋のみを、対応する開閉手段により開いて前記食品を排出する蓋開閉プログラムとを有したことを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の食品搬送装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ホッパから切り出された米等の食品を、秤量して搬送するための食品搬送装置に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば、米(ライス、食品)は、食品搬送装置により秤量され、設定量(目標重量)が袋詰めされた状態で流通される。一般的な食品搬送装置によれば、ホッパの下部(排出部)からパイプフィーダにより米が連続して切り出され、秤量用の計量バケットへと投入される。計量バケットでは、ロードセル(秤量器)により米が秤量される。その重さが設定量に達した時、計量バケットの排出口の蓋が開き、米が計量バケットから排出シュートを介して袋詰め装置へと搬出されて行く。この袋詰め装置では、予め袋が開口状態でセットされており、これに米が袋詰めされるように構成されている。
【0003】
ところで、パイプフィーダの切り出し制御にあっては、大径な切り出しパイプ(筒体)を減速機付きの電動モータにより回転し、ホッパの下部に溜まった米を撹拌しながら、徐々にパイプ排出口へ押し出すように切り出している。このとき、高速でかつ正確な切り出しができるように、ロードセルによる米の計量を行いながら目標重量の90%までは、切り出しパイプを高速回転(100~150rpm)し、目標重量の90%に達した時点で、切り出しパイプを低速回転(10~15rpm)するようにした従来技術が知られている(例えば、特許文献1など)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1のパイプフィーダ方式の食品搬送装置は、1本の大径な切り出しパイプの回転速度を、目標重量の90%までは高速回転させ、その後は低速回転させるものであった。
しかしながら、この従来方式の食品搬送装置では、例えば500g~1000gの米に対して、高速でかつ正確な切り出しを求められた際には限界があった。
【0006】
そこで、発明者は鋭意研究の結果、パイプフィーダに比べて、傾斜した搬送面に沿って大量かつ高速で滑落させるシュートを用いて、米を目標重量の付近(調整開始重量)まで計量バケットに連続投入し、その後、パイプフィーダを用いて、目標重量に達するまで少量の米を徐々に計量バケットに投入するように構成すれば、上述した課題は解消できることを知見し、この発明を完成させた。
【0007】
本発明は、このような問題点に鑑みなされたもので、大量の食品であっても従来装置に比べて正確な食品の切り出しを、短時間で行うことができる食品搬送装置を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0008】
請求項1に記載の発明は、食品を貯留して、下部に第1の排出部及び第2の排出部が配設されたホッパと、前記第1の排出部から排出された前記食品を、傾斜した搬送面に沿って滑落させるシュートと、該シュートの傾斜角度を変更する角度変更手段と、前記第2の排出部から少量の前記食品を切り出す筒体、及び該筒体を周方向に回転させる回転手段を有したパイプフィーダと、排出口に開閉蓋が設けられて、前記シュート及び前記パイプフィーダの各先端からそれぞれ投下された前記食品を受ける計量バケットと、該計量バケットの開閉蓋を開閉する開閉手段と、前記計量バケットが受けた前記食品を秤量する秤量器と、該秤量器からの秤量データに基づいて、前記角度変更手段、前記回転手段及び前記開閉手段をそれぞれ制御する制御部とを備え、前記制御部は、前記秤量器からの計量データに基づき、予め設定された目標重量の付近までは、前記シュートを介して、前記第1の排出部から排出された前記食品を前記計量バケットに投入し、その後、前記パイプフィーダを介して、前記第2の排出部から切り出された少量の食品を、前記目標重量に達するまで前記計量バケットに投入することを特徴とする食品搬送装置である。
【0009】
食品搬送装置の構造としては、ホッパからの食品の切り出しおよび秤量を行い、目標重量の食品を計量バケットから搬出するものであれば、限定されない。目標重量は限定されない。例えば、500g~1000gでもよい。
食品の種類は任意である。例えば、米、麦等の穀物が挙げられる。その他、乾燥野菜、粉末等でもよい。
ホッパの形状やサイズは任意である。ホッパの下部に、食品を排出する第1の排出部と第2の排出部とがそれぞれ形成されている。第1、2の排出部は、例えば複数対配置してもよい。
【0010】
シュートは、食品を傾斜した搬送面に沿って滑落できればどのような構造のものでもよい。例えば、食品を円滑に滑落させるため、搬送面をバイブレータで振動させてもよい。
角度変更手段の構造は、シュートの傾斜角度を変更できれば任意である。例えば、エアシリンダ、液体シリンダ等のロッドの先端部をシュートに連結し、このロッドを上下に突没させることで、シュートの傾斜角度を変更してもよい。
シュートの傾斜角度は、食品の供給時間、供給精度に影響があることから、食品に応じて適宜変更される。例えば、その傾斜角度は15°~25°でもよい。
【0011】
パイプフィーダとしては、電動モータ等の回転手段により筒体を周方向に回転させて、ホッパの下部から少量の食品を切り出しできる構造のものであれば任意である。
パイプフィーダは、一般的に軸線が下方傾斜しているが、水平配置されてもよい。
パイプフィーダの直径は任意であるものの、目標重量付近での少量な食品の切り出しが可能なように、例えば、30mm~40mmが好ましい。もちろん、一般的な孔径(大径)60mm~100mmでもよい。
【0012】
計量バケットの形状は、切り出された食品の投入口と、秤量後の食品を排出する排出口に開閉蓋が設けられたものであれば任意である。
また、計量バケットのサイズも任意である。
1つの計量バケットに配されるシュートとパイプフィーダとは、通常1本ずつであるがこれに限定されない。例えば、シュートが2本、パイプフィーダが1本でもよい。
計量バケットの個数は任意である。1つでも複数でもよい。複数の場合には、各計量バケットにシュートとパイプフィーダとが少なくとも1つずつ配されることになる。
【0013】
開閉蓋の開閉手段は任意である。例えば、ソレノイド、エアシリンダなどを採用することができる。
秤量器の種類は任意である。例えば、ロードセルなどを採用することができる。
秤量器の使用数は、計量バケットの使用数に応じて増減する。
【0014】
請求項2に記載の発明は、前記ホッパの第1の排出部付近には、前記食品を切り出す切り出し手段が設けられたことを特徴とする請求項1に記載の食品搬送装置である。
【0015】
切り出し手段種類は、ホッパの第1の排出部付近に配されて、ここから食品を切り出せれば任意である。例えば、切り出し羽根をモータ回転させるものや、スクリューを回転させて食品を切り出すものでもよい。
【0016】
請求項3に記載の発明は、前記ホッパの下部には、前記第1の排出部及び前記第2の排出部が並列状態で複数対配置され、前記各第1の排出部及び前記各第2の排出部には、対応するシュート又は対応するパイプフィーダがそれぞれ配置され、対配置される前記シュート及び前記パイプフィーダの各先端の下方には、それぞれ対応する計量バケット及び秤量器が配置され、前記制御部は、前記各計量バケットに投入された前記目標重量の食品のうち、予め設定された合計目標重量に最も近い組み合わせのものを選択する選択プログラムと、該選択プログラムにより選択された前記各計量バケットの開閉蓋のみを、対応する開閉手段により開いて前記食品を排出する蓋開閉プログラムとを有したことを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の食品搬送装置である。
【0017】
ホッパの下部に並列状態で対配置される第1,2の排出部の数は、2対以上であれば任意である。
シュート及びパイプフィーダの使用本数は、対応する第1,2の排出部の数に応じて変更される。同じように、計量バケット及び秤量器の使用本数も、対応する第1,2の排出部の数に応じて変更される。
【0018】
合計目標重量に最も近い組み合わせとなる、計量バケットに投入された目標重量の食品の数は任意である。例えば、2つでも3つ以上でもよい。
選択プログラムは、各目標重量の食品のうち、合計目標重量に最も近い組み合わせのものを選択するロジックであれば、どのようなものでもよい。
また、蓋開閉プログラムは、選択された各計量バケットの開閉蓋のみを、対応する開閉手段により開いて、選択された目標重量の食品をそれぞれ排出できれば、どのようなものでもよい。
【発明の効果】
【0019】
本発明によれば、ホッパの下部内の食品は、まず第1の排出部から連続してシュートに排出されて、その傾斜した搬送面を滑落して行き、シュートの先端から計量バケットに投下されて秤量器により秤量される。その後は、秤量器からの計量データに基づき、秤量器の測定値(実測値)が目標重量付近に達するまで、このシュートによる食品の投入が継続される。
【0020】
その後、秤量器の測定値が目標重量付近に到達したなら、パイプフィーダのみを作動させて、測定値が目標重量に達するまで、食品の少量切り出しを行う。具体的には、回転手段により筒体を周方向に回転させることで、ホッパの下部内の食品を、秤量器の測定値が目標重量に達するまで、第2の排出部から徐々に切り出す。
そして、測定値が目標重量に到達後は、開閉手段により計量バケットの開閉蓋を開き、このバケットから食品を排出する。
【0021】
このように、ホッパからの食品の排出において、目標重量付近までをシュートにより速度重視で粗く切り出し、残量が少なくなったならパイプフィーダを使用して高精度に切り出すように構成したため、従来装置に比べて正確な食品の切り出しを、短時間で行うことができる。
【0022】
特に、請求項2に記載の発明によれば、ホッパの第1の排出部付近に、食品を切り出す切り出し手段を設けたため、ホッパの下部内にある食品を、第1の排出部から円滑に排出することができる。
【0023】
また、請求項3に記載の発明によれば、選択ロジックにより、各計量バケットに投入された目標重量の食品のうち、合計目標重量に最も近い組み合わせのものを選択し、その後、選択された各計量バケットの排出口を、対応する開閉手段により開いて排出する。
その結果、大量の食品であっても、より高精度な食品の切り出しを行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【
図1】本発明の実施例1に係る食品搬送装置の側面図である。
【
図2】本発明の実施例1に係る食品搬送装置の一部を構成する第1の排出部の要部拡大側面図である。
【
図3】本発明の実施例1に係る食品搬送装置の電気系統を示すブロック図である。
【
図4】本発明の実施例1に係る食品搬送装置の電気系統の制御方法を示すフローシートである。
【
図5】本発明の実施例1に係る食品搬送装置の全体側面図である。
【
図6】本発明の実施例1に係る食品搬送装置の全体正面図である。
【
図7】本発明の実施例2に係る食品搬送装置の電気系統を示すブロック図である。
【
図8】本発明の実施例2に係る食品搬送装置の電気系統の制御方法を示すフローシートである。
【発明を実施するための形態】
【0025】
以下、本発明の実施例を具体的に説明する。ここでは目標重量が500gの米を秤量して、袋詰め装置へ搬送する食品搬送装置を例にとる。なお、説明の都合上、装置前方をX1方向、装置後方をX2方向、装置左方向をY1方向、装置右方向をY2方向、上方向をZ1方向、下方向をZ2方向とする。
【実施例0026】
図1及び
図2において、10は本発明の実施例1に係る食品搬送装置で、この食品搬送装置10は、米(食品)11を貯留して、下部に第1の排出部12及び第2の排出部13が配設されたホッパ14と、第1の排出部12から排出された米11を、先端へ向かって下方傾斜した搬送面に沿って滑落させるシュート15と、シュート15の傾斜角度を変更する角度変更モータ(角度変更手段)60と、第2の排出部13から少量の米11を切り出す筒体17、及びこの筒体17を周方向に回転させる電動モータ(回転手段)18を有したパイプフィーダ19と、排出口に開閉蓋41が設けられて、シュート15及びパイプフィーダ19の各先端からそれぞれ投下された米11を受ける計量バケット20と、計量バケット20の開閉蓋41を開閉するソレノイド(開閉手段)21と、計量バケット20が受けた米11を秤量するロードセル(秤量器)22と、ロードセル22からの秤量データに基づいて、エアシリンダ16、電動モータ18及びソレノイド21をそれぞれ制御する制御部とを備えている。
【0027】
以下、これらの構成体を具体的に説明する。
図1及び
図2に示すように、ホッパ14は、下部がX1-X2方向へ二股状に下窄みした矩形容器で、基台ケース23の上板23aに立設された本体ケース24の上部に固定されている。基台ケース23は4本の支柱25を有した架台テーブル26の天板27に搭載されている。また、ホッパ14の下部には、そのX1側に第1の排出部12が形成され、そのX2側に第2の排出部13が形成されている。
【0028】
ホッパ14内の第1の排出部12の近くには、米11を第1の排出部12へと切り出す電動式のスクリュー(切り出し手段)28が収納されている。
また、第1の排出部12の下端開口12aには、蓋用エアシリンダ29のロッド29aの突没により開閉される蓋体30が設けられている(
図2を参照)。
【0029】
シュート15は、上面が搬送面となった下板31の搬送面がX1-X2方向へ延びた角形樋状の部材である。シュート15が水平状態となった際には、ソレノイド22による計量バケット20内の米11の計量が完了して、蓋体30によって第1の排出部12の下端開口12aが閉じるように構成されている。ここでの装置運転時(第1の排出部12からの米排出時)のシュート15の傾斜角度は、20°である。
【0030】
また、シュート15の下板31の長さ方向の中間部付近には、縦長なスライドガイド32から上方へ突出した昇降ロッド32aの先端部が当接されている。スライドガイド32の下端部のX1側には、角度変更モータ60が連結され、その出力軸はスライドガイド32内に配置されている。この出力軸の先端部にはカム61が固定され、このカム61が出力軸と共に垂直回転することにより、カム61の外周面に下端面が当接した昇降ロッド32aが昇降して、シュート15の傾斜角度が変更される。
また、スライドガイド32の上部のX1側には、シュート15の下板31の中間部にカムフロアを介して当接されるロッド16aを有した縦長なエアシリンダ16が固定されている。このロッド16aを突没させることで、シュート15が上下方向に移動される。
【0031】
パイプフィーダ19は、基台ケース23の上板23aのX2側の部分に立設された支柱33を有している。支柱25の上端部には、Y1-Y2方向へ延びた別のピン軸を介して、垂直回動可能なようにフィーダ取り付け板34が連結されている。フィーダ取り付け板34のX2側の端部には、第2の排出部13の一部を構成する下側ホッパ部35が立設されている。フィーダ取り付け板34のX1側部には、筒体17を周方向へ回転させる電動モータ18の収納ケース36が突設されている。
【0032】
筒体17はX1-X2方向へ延びる直径50mmの長尺な円筒体17で、ここでは軸線方向が水平となっている。筒体17は、X1-X2方向へ離間した前後一対の軸受37を介して、フィーダ取り付け板34に軸支されている。
【0033】
電動モータ18は、フィーダ取り付け板34に立設された門型のモータ固定ブラケット(図示せず)を介して、筒体17の長さ方向の中間部の直上に配置されている。電動モータ18の出力軸には駆動ギヤ38が固定され、これに噛合する従動ギヤ39が、筒体17のX2側の端部付近に外嵌されている。電動モータ18の出力軸が回転すると、その回転力は駆動ギヤ38から従動ギヤ39へと伝達され、一対の軸受37を介して筒体17が周方向に回転する。
【0034】
筒体17のX2側の端部は、下側ホッパ部35の下部内に挿入されている。この挿入部分には、下側ホッパ部35内の米11を掻き出す爪部を有した円環状のアタッチメントが装着されている(図示せず)。また、筒体17のX1側の端部(先端部)は、シュート15のX2側の端部(先端部)と、所定間隔をあけて対峙している。これらのシュート15と筒体17との先端同士の隙間の直下には、計量バケット20が配されている。
【0035】
計量バケット20は、下窄み状の略矩形箱である。これは、基台ケース23の上板23aに固定された小型のバケッド台40に、ロードセル22を介して、片持ち支持されている。計量バケット20は、その上面に米11の投入口が形成されている一方、そのX1―Z2側の端面に、傾斜した排出口20aが形成されている。
この排出口20aは、平面視して略門形の開閉蓋41によって開閉自在に閉蓋されている。開閉蓋41は、その先細り化したY1-Y2側の各側板の端部付近が、左右一対の回動ピンを介して、計量バケット20の左右の側板にそれぞれ軸支されている。
【0036】
また、開閉蓋41のY1-Y2側の各側板の先端部は、計量バケット20のX2方向の側板より外方へ突出している。また、これらの突出部には、Y1-Y2方向に延びる操作ロッド42が横架されている。
縦長なソレノイド21は、基台ケース23の上板23aのうち、計量バケット20のX2側付近の部分に立設されている。ソレノイド21から上方へ突出するロッド21aの先端部には、操作ロッド42の一部に掛止されて、開閉蓋41を開閉操作する操作部材43が固定されている。
【0037】
ソレノイド21を作動すると、ロッド21aが降下して操作ロッド42を押し下げ、開閉蓋41が各回動ピンを中心にして上方回動する。これにより、計量バケット20の排出口20aが所定時間開いて米11が排出される。その後は、ソレノイド21のロッド21aが元に戻ることで排出口20aが閉じる。
計量バケット20から排出された米11は、基台ケース23のX1側に固定された排出シュート50を介して、図示しない梱包装置に移送される。
【0038】
次に、
図3のブロック図を参照して、食品搬送装置10の電気系統を説明する。
食品搬送装置10の電気系統は、基台ケース23に収納されて、CPU(中央演算装置)を搭載した制御部42を有している。制御部42の入力側には、ロードセル22と、米11の調整開始重量(目標重量の90%)及び米11の目標重量がそれぞれ記憶された記憶部(RAM)43とが接続されている。一方、制御部42の出力側には、電動モータ18、ソレノイド21、エアシリンダ16、角度変更モータ60がそれぞれ接続されている。
【0039】
次に、
図1~
図4に基づき、本発明の実施例1に係る食品搬送装置10の運転方法を説明する。
図4のフローシートに示すように、まず食品搬送装置10の電源を入れて、制御を開始する。すなわち、制御部42からの指令に基づき、ロードセル22をONにする一方、スクリュー28を回転させてホッパ14の下部内の米11を第1の排出部12に連続的に切り出す(S101)。
【0040】
その後、蓋用エアシリンダ29のロッド29aを引き込ませて蓋体30を回動することで、第1の排出部12の下端開口12aが開く。また、角度変更モータ60の出力軸をカム61と共に所定方向に垂直回転させることにより、カム61の外周面に下端面が当接した昇降ロッド32aを下降させて、シュート15を20°だけ下方傾斜させる。(S102)。
これにより、第1の排出部12の開いた下端開口12aから、ホッパ14の下部内の米11がシュート15の搬送面のX1側の端部の上に連続投下される。投下された米11は、搬送面を滑落してシュート15の下端から計量バケット20へと投入されて行く。
【0041】
計量バケット20では、ロードセル22による米11の秤量が行われる。秤量時、秤量開始から目標重量付近(調整開始重量、ここでは目標重量の90%)までは、シュート15による米11の高速切り出しが行われる(S103)。
その後、ロードセル22の測定値が調整開始重量に達したなら、制御部42からの指令に基づき、蓋用エアシリンダ29のロッド29aを突出させて蓋体30により第1の排出部12の下端開口12aを閉じる。また、角度変更モータ60の出力軸をカム61と共に先ほどとは反対方向に垂直回転させることにより、カム61の外周面に下端面が当接した昇降ロッド32aを上昇させて、シュート15を水平状態に戻す。なお、シュート15を上下方向に移動させる場合には、エアシリンダ16のロッド16aを突没させる。
【0042】
次いで、制御部42によりパイプフィーダ19を作動させる。具体的には、電動モータ18により筒体17を周方向に回転させて(S105)、下側ホッパ部35の下部内の米11を測定値が目標重量に達するまで、米11の少量切り出しを連続的に行う(S106)。
【0043】
ロードセル22の測定値が目標重量に到達した時、制御部42からの指令に基づき、電動モータ18による筒体17の回転を停止し(S107)、ソレノイド21のロッド21aを所定時間だけ引き込ませる(S108)。これにより、開閉蓋41が両回動ピンを中心にして短時間だけ上方回動し、計量バケット20の排出口20aが開いて米11が排出される。排出された米11は、排出シュート50を介して、後工程の米11の袋詰め装置へと搬出されて行く。
その後は、上述した制御操作を、定量の米11が、予め設定された袋詰め分だけ得られるまで繰り返す(S109)。設定分を得た後は、ロードセル22及びスクリュー28を各OFFにして、米11の秤量搬送の制御を終了する(S110)。
【0044】
このように、ホッパ14からの米11の切り出しに際して、調整開始重量まではシュート15により速度重視で粗く切り出し、調整開始重量に達して残量が少なくなったならパイプフィーダ19により高精度に切り出すようにしたため、例えば1000gという大量の米11の秤量搬送であっても、従来のパイプフィーダ19の大径な筒体17を高速回転して粗搬送し、調整開始重量に到達後はこの筒体17を低速回転して少量調整するものに比べて、正確な米11の切り出しを短時間で行うことができる。
【0045】
次に、
図5~
図8を参照して、本発明の実施例2に係る食品搬送装置について説明する。
図5~
図7に示すように、実施例2の食品搬送装置10Aの特長は、ホッパ14の下部に第1の排出部12及び第2の排出部13がY1-Y2方向へ並列状態で4対配置され、各第1の排出部12には対応するシュート(第1~4のエアシリンダ16及び第1~4の角度変更モータ60を含む)15が配置される一方、各第2の排出部13には対応するパイプフィーダ(第1~4の電動モータ18を含む)19が配置され、また互いに対配置されるシュート15及びパイプフィーダ19の筒体17の各先端間の隙間の下方には、4つの計量バケット20(第1~4のソレノイド21を含む)及び第1~4のロードセル22が配置される一方、制御部42は、4つの計量バケット20に投入された各目標重量(1000g)の米11のうち、予め設定された合計目標重量(2000g)に最も近い組み合わせのもの(ここでは2つ)を選択する選択プログラム51と、選択された計量バケット20の開閉蓋41のみを対応するソレノイド21によって開いて、これらに収納された米11をそれぞれ排出シュート50に排出する蓋開閉プログラム52とを有した点である。
【0046】
なお、
図5及び
図6において、53はホッパ14に米11を供給する大型の米供給装置、54はシャッタ用エアシリンダ、55はシャッタ用エアシリンダ54のロッド54aを突没することで、排出シュート50の下端開口を開閉する開閉シャッタ部と、56は排出シュート50から排出された米11を図示しない袋詰め装置に搬送するX1-X2方向へ延びたバケットコンベアである。
【0047】
以下、
図7のフローシートに基づいて、実施例2の食品搬送装置10Aの運転方法を説明する。なお、実施例2の食品搬送装置10Aの制御にあたって、S101~S107、S111及びS112の各工程は、
図4に示す実施例1の対応する工程と略同様であるため、説明を省略する。
実施例2の制御フローの特長であるS108では、全ての計量バケット20において、目標重量の米11の投入が完了したかを確認する。投入が完了していればS109へ進み、未完であればS101に戻って、対配置されたそれぞれの次のシュート15及びパイプフィーダ19について、S101~S107の操作が順次繰り返される。
【0048】
S109では、選択ロジックにより、各計量バケット20に投入された目標重量の米11のうち、合計目標重量(ここでは2000g)に最も近い組み合わせのものを2つ選択し、その後、選択された各計量バケット20内の排出口20aを、対応するソレノイド21によりそれぞれ開くことで、それらに収納された米11を排出シュート50に投下して1つにまとめる(S110)。次に、シャッタ用エアシリンダ54のロッドを突出して開閉シャッタ部56を開き、排出シュート50の下端開口から米11をベルトコンベア55に投下して図示しない袋詰め装置に搬送する。
その結果、大量の食品であっても、より高精度な食品の切り出しを行うことができる。
その他の構成、作用及び効果は実施例1から推測可能であるため、説明を省略する。