(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2025006034
(43)【公開日】2025-01-17
(54)【発明の名称】囲い部材
(51)【国際特許分類】
E04H 1/12 20060101AFI20250109BHJP
B65D 6/08 20060101ALI20250109BHJP
【FI】
E04H1/12 A
B65D6/08 C
E04H1/12 307
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023106570
(22)【出願日】2023-06-29
(71)【出願人】
【識別番号】304022115
【氏名又は名称】株式会社アイベックス
(74)【代理人】
【識別番号】110000659
【氏名又は名称】弁理士法人広江アソシエイツ特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】松本 好明
【テーマコード(参考)】
2E025
3E061
【Fターム(参考)】
2E025CA02
2E025CB01
2E025CC01
2E025CC04
3E061AA30
3E061AB09
3E061CA25
3E061DA05
3E061DB20
(57)【要約】
【課題】底面が設けられていないにもかかわらず、外力が加わっても自立した状態で物品を収容でき、使用しないときには折り畳んで小型化できる囲い部材を提供することである。
【解決手段】囲い部材1は、対向する二つの面からなる第1側面部2および対向する二つの面からなる第2側面部3と、側面部2,3の隣り合う端部と端部とを連結する連結部4と、を備えている。側面部2,3は網状またはシート状の矩形の素材で形成されている。側面部2,3の左右両側の端部に、端部に対して平行に延びる板状補強材11がそれぞれ配置されており、側面部2,3の上下両側の端部に、棒状補強材12,13が袋体5に収容されて配置されており、棒状補強材12,13と板状補強材11とは、互いが接触しないように隔てられている。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
相対向する二つの面からなる第1側面部および相対向する二つの面からなる第2側面部を備えた側面部と、前記第1側面部および前記第2側面部の隣り合う端部と端部とを連結する連結部と、を備え、使用時には上部と下部が開口した角柱形の囲いを構成することができ、非使用時には折り畳むことができる囲い部材であって、
前記側面部が網状またはシート状の矩形の素材で形成されており、
前記側面部の左右両側の端部に、前記端部に対して平行に延びる板状補強材がそれぞれ配置されており、
前記側面部の上下両側の端部に、棒状補強材が袋体に収容されて配置されており、
前記棒状補強材と前記板状補強材とは、前記連結部と前記袋体とによって互いが接触しないように隔てられていることを特徴とする囲い部材。
【請求項2】
前記板状補強材は、所定間隔をあけて配置された二枚の長尺な平板と、前記二枚の長尺な平板を接続する複数の隔壁とを備えたプラスチック製の板状部と、
前記二枚の長尺な平板と前記隔壁との間に形成された中空内部に挿通される補助棒からなることを特徴とする請求項1に記載の囲い部材。
【請求項3】
前記第1側面部の下側の端部と前記第2側面部の下側の端部とを接続して、使用時の角柱形の形状を安定させる紐部を一つ以上備えることを特徴とする請求項1に記載の囲い部材。
【請求項4】
外部の構造物へ着脱可能に取り付けるための着脱補助部をさらに備えることを特徴とする請求項1に記載の囲い部材。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は囲い部材に関する。特に、非使用時には折り畳み可能で、使用時には自立して角柱形の囲いを形成する、囲い部材に関する。
【背景技術】
【0002】
物品の一時保管場所やごみ集積場所に置いて、物品を一時的に収容する容器が用いられている。このような容器は、物品をある程度まとまった状態で収容し、また収容する物品がない場合には小型化して保管可能であることが望ましい。
【0003】
発明者は、使用時に自立可能で、非使用時には折り畳んで保管可能な折り畳み容器を発明し、特許文献1に開示している。特許文献1の折り畳み容器1は、矩形状の底面部と、相対向する二つの第1側面部と、相対向する二つの第2側面部とを備え、自立時には箱型容器体を構成する。二つの第1側面部には、左右の各辺に沿って延びる一対の板状補強材34が設けられている。一方で、二つの第2側面部には、かかる板状補強材は設けられていない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1の折り畳み容器は、矩形状の底面部を備えていることによって、使用時の箱形の形状が維持しやすいという特徴を有する。一方で、折り畳み時に底面がうまく畳めず、底面が嵩張った状態となる可能性があった。また、収容したごみ等で底面が汚れた場合に、保管前の手入れが必要となる場合があった。
【0006】
本発明はかかる実情に鑑みてなされものであり、その目的は、底面が設けられていないにもかかわらず、外力が加わっても自立した状態で物品を収容でき、使用しないときには折り畳んで小型化できる囲い部材を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
請求項1記載の発明は、囲い部材に関する。本発明の囲い部材は、相対向する二つの面からなる第1側面部および相対向する二つの面からなるの第2側面部を備えた側面部と、第1側面部および第2側面部の隣り合う端部と端部とを連結する連結部と、を備え、使用時には上部と下部が開口した角柱形の囲いを構成することができ、非使用時には折り畳むことができる囲い部材である。本発明の囲い部材は、側面部が網状またはシート状の矩形の素材で形成されており、側面部の左右両側の端部に、この端部に対して平行に延びる板状補強材がそれぞれ配置されており、且つ側面部の上下両側の端部に、棒状補強材が袋体に収容されて配置されており、棒状補強材と板状補強材とが、連結部と袋体とによって互いが接触しないように隔てられていることを特徴とする。
【0008】
請求項2記載の囲い部材の板状補強材は、所定間隔をあけて配置された二枚の長尺な平板と、二枚の長尺な平板を接続する複数の隔壁とを備えたプラスチック製の板状部と、二枚の長尺な平板と隔壁との間に形成された中空内部に挿通される補助棒からなることを特徴とする。
【0009】
請求項3記載の囲い部材は、紐部を備えていることを特徴とする。紐部は、第1側面部の下側の端部と第2側面部の下側の端部とを接続して、使用時の自立状態の形状を安定させる。
【0010】
請求項4記載の囲い部材は、外部の構造物へ着脱可能に取り付けるための着脱補助部をさらに備えることを特徴とする。
【発明の効果】
【0011】
本発明の囲い部材は、側面部の左右両側の端部に、この端部に対して平行に延びる板状補強材を設けることによって、十分な剛性を確保してを自立させることができる。さらに、本発明による囲い部材は、側面部の上下両側の端部に棒状補強材が配置されていることによって、その形状が安定する。
【0012】
本発明の囲い部材は、板状補強材を、プラスチック製の板状部と、板状部の中空内部に挿通される補助棒で構成することによって、板状補強材が強度や弾性係数の異なる複数の材料で形成されることになる。この結果、本発明の囲い部材は、たとえば物品を上方から投げ入れる時などの予期せぬ外力に対しても十分な強度を有することになり、耐久性に優れている。
【0013】
本発明の囲い部材は、第1側面部の下側の端部と第2側面部の下側の端部とを接続する紐部を備えることによって、底面となる面状の部材を設けることなく、使用時の自立状態の形状を安定させることができる。また、紐部は、通常の底面部よりも非使用時の片付けが容易である。
【0014】
本発明の囲い部材は、外部の構造物へ着脱可能に取り付けるための着脱補助部によって、例えば外部の建造物や支柱に取り付けることができる。他の構造物に固定することで、外力によって倒れたり移動したりする事態を更に確実に防止することができる。他の構造物に固定することを考慮すると、囲い部材単独の強度は必要条件を満たすだけでよく、従来よりも軽量化が可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【
図1】
図1は、囲い部材を自立させた角柱形の囲い(一部破断して示す)の斜視図である。
【
図2】
図2は、
図1の囲い部材の稜角付近を破断して示す部分拡大斜視図である。
【
図3】
図3は、囲い部材の側面部と両側の連結部の高さ方向中程位置での概略横断面図である。
【
図4】
図4(a)は板状補強材の平面図(上端面図)であり、
図4(b)は板状補強材の部分正面図である。
【
図5】
図5は、蓋と着脱補助部を備えた囲い部材の変形例の斜視図である。
【
図6】
図6は、囲い部材の折り畳み手順を示す斜視図である。
【
図7】
図7は、囲い部材の折り畳み完了状態を示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本発明の囲い部材の一実施形態について図面を参照しつつ説明する。本実施形態で説明した囲い部材1は、4つの全ての側面部が正方形である形態を示しているが、この形状は特許請求の範囲の限定を意図したものではなく、実際には、高さ方向と幅方向の寸法の異なる側面部や、第1側面部と第2側面部とで寸法の異なる側面部を適用することができる。また、本実施形態では、それぞれの側面部が、一枚(単一)の部材で形成されている形態を説明しているが、複数の部材の端部を結合部で結合して一つの側面とすることも可能である。
【0017】
図1に、それぞれの側面部が隣り合う側面部に対して直角となる状態で自立させた囲い部材1の斜視図を示す。以下においては、説明の便宜上、囲い部材1を自立させたときに生じる上端部の4つの稜角に対して、a,b,c,dの符号を付す。同様に、囲い部材1を自立させたときに生じる下端部の4つの稜角に対してe,f,g,hの符号を付して説明する。
図2に、
図1の囲い部材1の稜角c,g付近を破断して示す部分拡大斜視図を示す。
【0018】
以下の説明において用いる「稜線」との用語は、隣り合う二つの稜角を水平方向又は垂直方向に結ぶことで規定される、囲い部材の輪郭線のことを指す。また、稜線のうち、隣り合う二つの稜角を垂直方向に結ぶことで規定される囲い部材の輪郭線のことを、「側辺」とも称する。
【0019】
図1に示すように、本実施形態の囲い部材1は、略正方形の相対向する二つの第1側面部2と、相対向する二つの第2側面部3とを備えている。以下、第1側面部2と第2側面部3をまとめて、側面部2,3と総称することもある。側面部2,3は、網状(即ちネット状又はメッシュ状)の柔軟な材料で形成することができる。また、側面部2,3の一部又は全部をシート状の素材で置き換えることも可能である。側面部2,3には、ポリエステルにポリ塩化ビニルをコーティングしたエステルターポリンが好適に使用される。
【0020】
第1側面部2の左右両側の端部は、隣に位置する第2側面部3の端部と接した状態か、もしくは端部とと端部とが側辺を隔ててわずかな距離をあけた状態のいずれかで、連結部4を介して連結されている。
【0021】
連結部4について説明する。連結部4には、ポリエチレンのシートが好適に使用される。連結部4は、外側面連結シート41と内側面連結シート42の二つのシートからなる。外側面連結シート41と内側面連結シート42は、折り曲げ可能な材料で形成されており、側面部2,3の一辺を連続して覆うことのできる長さを有するシートである。外側面連結シート41は、側面部2,3の外側となる面に接して配置される。内側面連結シート42は、側面部2,3の内側となる面に接して配置される内側面連結シート42とを備えている。第1側面部2と第2側面部3の隣り合う端部は、外側面連結シート41と内側面連結シート42の両方に、それぞれが異なる位置で結合されている。最も処理が容易で且つ確実に結合できる結合方法は糸による縫合である。縫合を行った場合、囲い部材1には、それぞれの結合位置に、縫合線S1が形成される。縫合以外にも、溶着や、接着剤を用いた接着も可能である。
【0022】
連結部4の外側面連結シート41と内側面連結シート42は、側面部2,3の左右の端部との結合に加えて、囲い部材1の折り畳み位置となる稜線に沿った位置もまた、結合されていることが好ましい。縫合による結合を行った場合は、それぞれの連結部4ごとに、稜線に沿って縫合線S2が形成される。
図2および
図3に示すように、連結部4の外側面連結シート41と内側面連結シート42の間には、板状補強材11を収容するための袋状の閉空間が設けられる。閉空間は、折り畳み位置となる稜線から所定間隔W(例えばW=5~30mm)を隔てるように設けられている。閉空間に収容される板状補強材11は、側面部2,3の左右両側に一つずつ、折り畳み位置から所定間隔Wを隔てた位置に、側面部2,3の側端部に対して平行となるあように配置される。上端部の4つの稜角a,b,c,dは、実質的に、重ね合わされた外側面連結シート41と内側面連結シート42で形成されている。同様に、下端部の4つの稜角e,f,c,hは、実質的に、重ね合わされた外側面連結シート41と内側面連結シート42で形成されている。
【0023】
板状補強材11は、プラスチック製の板状部111と、板状部111の中空内部に挿通される補助棒112からなる。
図4(a)および
図4(b)を参照して、板状補強材11の詳細な構造を説明する。
図4(a)は板状補強材11の平面図であり、
図4(b)は板状補強材11の正面図である。板状補強材11は、長尺な中空内部を有する板状部111と、中空内部に挿入される棒状または筒状の補助棒112とから構成されている。本実施形態では、補助棒112は、断面円形の中実部材からなる。
【0024】
板状部111は、所定間隔をあけて配置された二枚の長尺な平板111aと、二枚の平板111aの間に配置され、二枚の平板111aを接続する複数の隔壁111bとを備える。複数の隔壁111bは、平板111aの短手方向に所定間隔をあけて配置されており、それぞれの隔壁111bは平板111aの長手方向略全長に亘って延びている。平板111aおよび隔壁111bは一体形成されており、例えばプラスチック材料から成る。二枚の平板111aおよび二枚の隔壁111bによって画定される空間が中空内部となる。
【0025】
補助棒112は例えばプラスチック材料から成り、板状部111の長手方向略全長にわたって延びている。なお、補助棒112は断面円形の中実部材に限定されず、例えば、円筒部材、角柱部材、角筒部材などであってもよい。板状部111と補助棒112に弾性係数や降伏応力の異なる材料を適用することで、上下方向や側面方向から加えられる外力に抗することのできる、丈夫な囲い部材を得ることができる。
【0026】
再び、
図1および
図2を参照し、側面部2,3のそれぞれの上端部に沿った位置に配置されている上側棒状補強材12について説明する。側面部2,3の上端部には、それぞれ帯状の上側袋体5が設けられている。上側袋体5の好適な素材は、連結部4と同じポリエチレンのシートである。上側袋体5は、例えば縫合により側面部2,3の上端部に固着されている。上側袋体5の内部には、繊維強化プラスチック製の上側棒状補強材12が挿入されている。合計四つの上側棒状補強材12は、自立状態とした時に、囲い部材1の上端部の稜線に剛性を付与し、囲い部材1の上側の形状を正方形もしくは菱形を保つように機能する。
【0027】
同様に、四つの側面部2,3のそれぞれの下端部に沿った位置には、帯状の下側袋体6が設けられている。下側袋体6の好適な素材は、上側袋体5および連結部4と同じポリエチレンのシートである。以下、上側袋体5と下側袋体6とを合わせて、袋体5,6とも称する。下側袋体6は、それぞれが例えば縫合により側面部2,3の下端部に固着されている。下側袋体6の内部には、上側棒状補強材12と同様の、繊維強化プラスチック製の下側棒状補強材13が挿入されている。合計四つの下側棒状補強材13は、自立状態とした時に、囲い部材1の下端部の稜線に剛性を付与し、囲い部材1の下側の形状を正方形もしくは菱形を保つように機能する。
【0028】
上側棒状補強材12のそれぞれの端部は、稜角a,b,c,dの近傍において、隣り合う上側棒状補強材12との間で互いに間隔を空けて直接接触しないように、上側袋体5の内部に収容されている。同様に、下側棒状補強材13のそれぞれの端部は、稜角e,f,g,hの近傍において、隣り合う下側棒状補強材13との間で互いに間隔を空けて直接接触しないように、下側袋体6の内部に収容されている。このため、囲い部材1を折り畳むときには、全ての稜角の周辺が嵩張ることなく、自在に屈曲させることができる。
【0029】
以上説明したように、板状補強材11が連結部4の外側面連結シート41と内側面連結シート42の間に収容されており、上側棒状補強材12が上側袋体5の内部に挿入されており、下側棒状補強材13が下側袋体6の内部に挿入されている。この結果、板状補強材11,上側棒状補強材12、下側棒状補強材13は、連結部4と袋体5,6によって隔てられており、互いが接触することがない。このような構造は、外部から想定外の力が加わった場合でも、補強材同士の衝突が避けられ、囲い部材1の破損の恐れが予め回避されている。
【0030】
好適には、囲い部材1は、第1側面部2の下側の端部と、第2側面部3の下側の端部とを接続する紐部21を一つ以上備えることができる。紐部21の長さは、第1側面部2と第2側面部3とが互いに対して垂直となるように配置したときに、第1側面部2側の取付位置と、第2側面部3側の取付位置とを直線で結ぶ長さに設定されている。紐部21を直線状に張った状態とすることで、第1側面部2と第2側面部3との間の角度を規定することができ、使用時の囲い部材1の自立状態の形状を安定させることができる。
【0031】
図1および
図2に示すように、第1側面部2に、表示部7を設けることができる。表示部7は、例えば、矩形の柔軟な透明プラスチックシートを底及び左右の三辺に沿って第1側面部2に対して取り付けることで形成される。表示部7に、文字や図形が描かれた紙を収容することにより、その文字や図形を第1側面部2の外面側に表示することができる。
【0032】
図1に示すように、二つの第2側面部3の各々の上端部付近の外面側において取っ手8を設けることができる。好ましくは、取っ手8は上側袋体5に固定されており、例えば布製又はプラスチック製のバンド又は紐で形成されている。取っ手8は、囲い部材1の折り畳み時、展開時、運搬時に使用される。
【0033】
以下、蓋部と着脱補助部とを備える囲い部材の変形例について説明する。
図5に、囲い部材31の斜視図を示す。囲い部材1と同一の構成を備えた部分については、同一符号を付して説明を割愛
する。
【0034】
蓋部9は、囲い部材31の側面部2,3の上端部によって形成される開口全体を覆うように開口よりも若干大きく形成されていることが好ましい。蓋部9は、側面部2,3と同様の網状またはシート状の長方形または正方形の柔軟な材料で形成されており、第1側面部2の一方の上端部に、連結部91を介して結合される。連結部91は、連結部4と同一の素材で形成することができる。連結部91と結合されていない蓋部9の三つの端部には、側面部2,3と同様に棒状補強材が袋体92に収容されて配置されている。また、この蓋部9には、面ファスナー93の一方が設けられている。蓋部9が連結されていない第1側面部2には、蓋部9が囲い部材31の開口を閉鎖したときに面ファスナー93と対向する位置に、面ファスナー93と対をなす他方の面ファスナー94が設けられている。蓋部9側の面ファスナー93が第1側面部2側の面ファスナー94と結合するように蓋部9を回動操作することで、囲い部材31の上面開口部を蓋部9で閉じることができる。
【0035】
好適には、囲い部材31は、支柱やフェンスといった外部の構造物へ着脱可能に取り付けるための着脱補助部14を備えることができる。着脱補助部14は、囲い部材31の側辺から突出するように固定されたシート状の部材であって、紐を用いて外部の構造物に結合できるように、ハトメ孔などの開口部14aを備えている。囲い部材31は、外部の構造物に固定して支持されることにより、形状の安定に必要な強度を下げることができ、一層の軽量化が可能となる。
【0036】
囲い部材1,31は、以下に説明する折り畳み手順を実行することによって、非使用時には、側面部2,3が重ね合わされた状態となり、小型化することができる。折り畳み状態を維持する手段として、囲い部材1,31に、留め具15を設けることができる。留め具15には、好ましくは、一対の面ファスナーが適用される。一つの側辺に一方の留め具15が取り付けられ、他方の留め具15は、一方の留め具15が取り付けられた側辺の対角に位置する側辺に取り付けられる。
【0037】
囲い部材1、31を
図1、5に示すような自立した状態から、
図7に示すような非使用時の折り畳み形態に移行させる手順の一例を説明する。以下の工程の説明は、囲い部材31について、一対の留め具15が、稜角aと稜角eを含む側辺および稜角cと稜角gを含む側辺に取り付けられている場合についておこなっている。囲い部材1も、蓋部を折り畳む第一工程を省略した方法で、折り畳むことができる。
【0038】
図5の自立状態から囲い部材31を折り畳む際には、第一工程で、蓋部9を回動させ、蓋部9が接続されている第1側面部2と面接触するように重ね合わせる。第二工程で、囲い部材31の上側の二つの稜角b,dを相互接近させ、同時に囲い部材31の下側の二つの稜角f,hを相互接近させる。第二工程によって、囲い部材31は、
図6に示すように、隣り合う第1側面部2と第2側面部3が重ね合わされて、側面部2,3が全体としてV字型をなすように折り畳まれる。第三工程として、上側の二つの稜角a,cを相互接近させ、同時に下側の二つの稜角e,gを相互接近させる。第三工程の終了後、留め具15を重ね合わせることで、
図7に示すように、側面部2,3と蓋部9が重ね合わされた折り畳み状態となる。
【0039】
このように、本実施形態の囲い部材1,31によれば、側面部2,3の左右両側の端部に、この端部に対して平行に延びる板状補強材11を備えており、板状補強材11が、プラスチック製の板状部111と、板状部111の中空内部に挿通される補助棒112から構成されていることで、十分な剛性を確保して囲い部材1,31を自立させることができる。さらに、本発明による囲い部材1,31は、側面部2,3の上下両側の端部に棒状補強材12,13が配置されていることによって、その形状が安定する。
【0040】
しかも、板状補強材11と棒状補強材12,13は、連結部4と袋体5,6とのそれぞれのシートによって隔てられており、互いが接触することがない。このような構造は、外部から想定外の力が加わった場合でも、補強材同士の衝突が避けられ、囲い部材1、31の破損の恐れが回避されている。
【実施例0041】
[実施例1]
本発明の囲い部材を具現化した実施例について、説明する。実施例1の第1側面部2は、幅70cm、高さ70cmのエステルターポリンからなる網状の材料で形成されている。第2側面部3は、幅70cm、高さ70cmのエステルターポリンからなる網状の材料で形成されている。連結部4と袋体5,6は、エチレンシートで形成されている。板状補強材11の板状部111は、繊維強化プラスチックで形成されており、補助棒112は、プラスチックで形成されている。また、棒状補強材12,13は繊維強化プラスチックで形成されている。実施例1の囲い部材1は、約340リットルの内容量を有する。
【0042】
[実施例2]
実施例2の第1側面部は、幅90cm、高さ70cmのエステルターポリンからなる網状材料で形成されている。第2側面部は、幅60cm、高さ70cmのエステルターポリンからなる網状の材料で形成されている。連結部と袋体は、ポリエステルで形成されている。板状補強材の板状部は、繊維強化プラスチックで形成されており、補助棒は、プラスチックで形成されている。また、棒状補強材は繊維強化プラスチックで形成されている。
【0043】
本実施例では、第1側面部が、幅45cm、高さ70cmの2枚の同一形状の網状部材で形成されている。第1側面部の中央部には、第1側面部と第2側面部を結合するために用いられているものと同じ結合部が追加で配置されており、結合部の左右にそれぞれ2枚の枚のメッシュ材を平行に並べて端部を結合することで、第1側面部が形成されている。第1側面部の中央の連結部には、外側面連結シートと内側面連結シートによって形成される空間の内部に、板状補強材が配置されることが好ましい。また、第一側面部と第二側面部の上側端部と下側端部には、連結部と同一素材のシートによって袋体を形成し、棒状補強材を配置することができる。第1側面部に配置する棒状補強材は1本であってもよく、代替的には、中央部に配置された追加の結合部の左右両側に、それぞれ別部材の棒状補強材を配置することもできる。実施例2の囲い部材は、第1側面部と第2側面部の幅が異なるため、非使用時は二つ折りの状態で保管することが好ましい。実施例2の囲い部材1は、約380リットルの内容量を有する。
【0044】
以上、本発明の囲い部材について例を挙げて説明したが、本発明には、明細書記載の実施形態および実施例の囲い部材以外の様々な囲い部材が含まれる。たとえば、実施例では、側面部2,3が正方形の囲い部材、および第1側面部2と第2側面部3の大きさの異なる囲い部材を示したが、本発明には、第1側面部2と第2側面部3が同一の形状であって、幅と高さの寸法の異なる囲い部材でも実施可能である。また、実施形態では、連結部4と袋体5,6が一つのシート材で形成されている場合について説明したが、連結部4と袋体5,6の端部に補強のための部品を適宜追加することも可能である。特に、下側の稜角e,f,g,hには、補強のための部材を適宜追加することができる。