(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2025006041
(43)【公開日】2025-01-17
(54)【発明の名称】列車停止検知装置
(51)【国際特許分類】
B61L 25/02 20060101AFI20250109BHJP
B61L 23/00 20060101ALI20250109BHJP
B61B 1/02 20060101ALI20250109BHJP
G01C 3/06 20060101ALI20250109BHJP
【FI】
B61L25/02 G
B61L23/00 Z
B61B1/02
G01C3/06 110V
G01C3/06 140
G01C3/06 130
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023106588
(22)【出願日】2023-06-29
(71)【出願人】
【識別番号】000143396
【氏名又は名称】株式会社高見沢サイバネティックス
(74)【代理人】
【識別番号】100088155
【弁理士】
【氏名又は名称】長谷川 芳樹
(74)【代理人】
【識別番号】100113435
【弁理士】
【氏名又は名称】黒木 義樹
(74)【代理人】
【識別番号】100174399
【弁理士】
【氏名又は名称】寺澤 正太郎
(72)【発明者】
【氏名】蒔田 健志
(72)【発明者】
【氏名】白石 幸一
【テーマコード(参考)】
2F112
3D101
5H161
【Fターム(参考)】
2F112AC03
2F112AC06
2F112BA06
2F112CA05
2F112DA28
2F112FA35
2F112FA45
2F112GA01
3D101AD11
5H161AA01
5H161BB02
5H161DD20
5H161DD21
5H161DD43
(57)【要約】
【課題】列車が停止したこと及び列車の停止位置の検知精度を高めることができる列車停止検知装置を提供する。
【解決手段】列車停止検知装置1は、鉄道駅のプラットホーム3上に設置され、複数の鉄道車両101が連結された列車100が停止したこと及び列車100の停止位置を検知する。列車停止検知装置1は、第1のレーダセンサ11と、第2のレーダセンサ12と、第1のステレオカメラ21と、第2のステレオカメラ22と、を備える。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
鉄道駅のプラットホーム上に設置され、複数の鉄道車両が連結された列車が停止したこと及び前記列車の停止位置を検知する装置であって、
少なくとも1両の前記鉄道車両の所定部位を撮像して第1視差データを出力する第1のステレオカメラと、
少なくとも1両の前記鉄道車両の前記所定部位を撮像して第2視差データを出力する第2のステレオカメラと、
前記第1視差データに基づいて生成される、前記列車の停止の有無及び前記列車の停止位置に関する第1情報、及び、前記第2視差データに基づいて生成される、前記列車の停止の有無及び前記列車の停止位置に関する第2情報、のうち一方又は双方の情報に基づいて、前記列車が停止したか否かを判定し、且つ前記列車の停止位置に関する情報を生成する処理部と、
を備える、列車停止検知装置。
【請求項2】
前記プラットホームを基準とする前記第1のステレオカメラの設置高さと、前記プラットホームを基準とする前記第2のステレオカメラの設置高さとが互いに異なる、請求項1に記載の列車停止検知装置。
【請求項3】
前記処理部は、第1の時間帯においては前記第1情報に基づいて、前記列車が停止したか否かの判定、及び前記列車の停止位置に関する情報の生成を行い、前記第1の時間帯とは異なる第2の時間帯においては前記第2情報に基づいて、前記列車が停止したか否かの判定、及び前記列車の停止位置に関する情報の生成を行う、請求項2に記載の列車停止検知装置。
【請求項4】
前記第1のステレオカメラを構成する2個のカメラを結ぶ軸線、及び前記第2のステレオカメラを構成する2個のカメラを結ぶ軸線のうち少なくとも一方の軸線が、前記プラットホームに対して平行である、請求項1~3のいずれか1項に記載の列車停止検知装置。
【請求項5】
前記第1のステレオカメラを構成する2個のカメラを結ぶ軸線、及び前記第2のステレオカメラを構成する2個のカメラを結ぶ軸線のうち少なくとも一方の軸線が、前記プラットホームに対して傾斜している、請求項1~3のいずれか1項に記載の列車停止検知装置。
【請求項6】
前記所定部位は、
互いに連結された2両の前記鉄道車両のうち前方の前記鉄道車両における後方寄りの側面の一部と、
前記2両の鉄道車両のうち後方の前記鉄道車両における前方寄りの側面の一部と、
前記2両の鉄道車両同士を繋ぐ貫通幌の側面の少なくとも一部と、
を含む、請求項1~3のいずれか1項に記載の列車停止検知装置。
【請求項7】
前記第1のステレオカメラ及び前記第2のステレオカメラの一方または双方は、斜め下方を向くように設置される、請求項1~3のいずれか1項に記載の列車停止検知装置。
【請求項8】
前記処理部は、前記列車が停止したと判定した際に、前記列車の停止位置が所定の範囲内であるか否かを判定する、請求項1~3のいずれか1項に記載の列車停止検知装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、列車停止検知装置に関する。本開示は、特に、ホームドアの付帯機器として、列車の停止、及び列車の停止位置を検知する列車停止検知装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、鉄道駅のプラットホームにホームドアが多く設置されている。安全のため、列車が予め定められた位置範囲に停止したときにのみ、ホームドアを開くことが望まれる。そのため、プラットホーム上に設置され、列車が停止したこと及び列車の停止位置を検知する装置が知られている。例えば、特許文献1,3に記載された装置では、列車の車両連結部に向けてレーザ光を走査して車両端までの距離を計測し、該距離に基づいて、車両連結部と予め定められた定位置範囲との位置関係を判定する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特許第6000488号公報
【特許文献2】特許第6081549号公報
【特許文献3】特開2012-046123号公報
【特許文献4】特開2015-147481号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
前述した特許文献1,3に記載された装置のように、列車に向けてレーザ光を走査して列車の停止位置を検知する構成には、いくつかの問題がある。まず、車両の表面色が黒色といった暗系の色である場合、車両表面からの反射光の強度が小さく、そのため距離の計測精度が低下する。その結果、列車が停止したこと及び列車の停止位置の検知精度が低下するおそれがある。また、車両の表面の光反射率が鏡面仕上げ等により高くなっている場合には、照射したレーザ光が計測装置とは全く異なる方向に反射してしまい、そのため距離の計測ができないことがある。それらの結果、列車が停止したこと及び列車の停止位置を検知することが不可能となるおそれがある。
【0005】
本開示は、上記のような問題点に鑑みてなされたものであり、列車が停止したこと及び列車の停止位置の検知精度を高めることができる列車停止検知装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上述した課題を解決するために、[1]本開示による列車停止検知装置は、鉄道駅のプラットホーム上に設置され、複数の鉄道車両が連結された列車が停止したこと及び列車の停止位置を検知する装置であって、少なくとも1両の鉄道車両の所定部位を撮像して第1視差データを出力する第1のステレオカメラと、少なくとも1両の鉄道車両の所定部位を撮像して第2視差データを出力する第2のステレオカメラと、第1視差データに基づいて生成される、列車の停止の有無及び列車の停止位置に関する第1情報、及び、第2視差データに基づいて生成される、列車の停止の有無及び列車の停止位置に関する第2情報、のうち一方又は双方の情報に基づいて、列車が停止したか否かを判定し、且つ列車の停止位置に関する情報を生成する処理部と、を備える。
【0007】
上記[1]の列車停止検知装置は、ステレオカメラ(第1のステレオカメラ及び第2のステレオカメラ)を備えている。ステレオカメラはレーザ光を照射しないので、車両の表面色や車両の表面の光反射率に影響されにくい。従って、前述したレーザ光による測距の欠点を克服することができる。また、ステレオカメラは、太陽光などの外乱光の影響によって、計測が不安定となることがある。そこで、上記[1]の列車停止検知装置では、処理部が、第1のステレオカメラ及び第2のステレオカメラといった2台のステレオカメラの一方又は双方からの情報に基づいて、列車が停止したか否かを判定し、且つ列車の停止位置に関する情報を生成する。これにより、太陽光などの外乱光の影響を抑制しつつ、列車が停止したこと及び列車の停止位置を精度良く検知することができる。
【0008】
[2]上記[1]の列車停止検知装置において、プラットホームを基準とする第1のステレオカメラの設置高さと、プラットホームを基準とする第2のステレオカメラの設置高さとが互いに異なってもよい。その場合、同じ所定部位を撮影するために、第1のステレオカメラのレンズの光軸と、第2のステレオカメラのレンズの光軸との傾斜角が互いに異なることとなる。よって、第1のステレオカメラ及び第2のステレオカメラが太陽光などの外乱光の影響を同時に受けることを抑制できる。
【0009】
[3]上記[2]の列車停止検知装置において、処理部は、第1の時間帯においては第1情報に基づいて、列車が停止したか否かの判定、及び列車の停止位置に関する情報の生成を行い、第1の時間帯とは異なる第2の時間帯においては第2情報に基づいて、列車が停止したか否かの判定、及び列車の停止位置に関する情報の生成を行ってもよい。その場合、時間帯に応じて変化する外乱光(例えば太陽光)の影響を回避しつつ、列車の停止判定及び停止位置の計測を好適に行うことができる。
【0010】
[4]上記[1]~[3]のいずれか1つの列車停止検知装置において、第1のステレオカメラを構成する2個のカメラを結ぶ軸線、及び第2のステレオカメラを構成する2個のカメラを結ぶ軸線のうち少なくとも一方の軸線が、プラットホームに対して平行であってもよい。その場合、第1のステレオカメラ及び第2のステレオカメラの設置作業を容易にできる。
【0011】
[5]上記[1]~[3]のいずれか1つの列車停止検知装置において、第1のステレオカメラを構成する2個のカメラを結ぶ軸線、及び第2のステレオカメラを構成する2個のカメラを結ぶ軸線のうち少なくとも一方の軸線が、プラットホームに対して傾斜していてもよい。その場合、水平方向の画素の明暗差が増し、視差データの検出数が増加する。よって、第1情報及び第2情報の少なくとも一方をより精度良く生成することができ、列車が停止したこと及び列車の停止位置の検知精度をより高めることができる。
【0012】
[6]上記[1]~[5]のいずれか1つの列車停止検知装置において、所定部位は、互いに連結された2両の鉄道車両のうち前方の鉄道車両における後方寄りの側面の一部と、2両の鉄道車両のうち後方の鉄道車両における前方寄りの側面の一部と、2両の鉄道車両同士を繋ぐ貫通幌の側面の少なくとも一部と、を含んでもよい。ステレオ画像において、前方及び後方の鉄道車両における側面までの距離と貫通幌の側面までの距離との違いは、列車の位置の判断に利用され得る最も特徴的な部分の一つである。従って、上記[6]の列車停止検知装置によれば、列車が停止したこと及び列車の停止位置の検知精度をより高めることができる。
【0013】
[7]上記[1]~[6]のいずれか1つの列車停止検知装置において、第1のステレオカメラ及び第2のステレオカメラの一方または双方は、斜め下方を向くように設置されてもよい。その場合、太陽光などの外乱光の影響を低減することができる。
【0014】
[8]上記[1]~[7]のいずれか1つの列車停止検知装置において、処理部は、列車が停止したと判定した際に、列車の停止位置が所定の範囲内であるか否かを判定してもよい。その場合、例えばホームドアの開閉を制御する装置が、列車の停止位置が所定の範囲内であるか否かに関する信号を処理部から受け取り、ホームドアの開閉を判断することができる。
【発明の効果】
【0015】
本開示による列車停止検知装置によれば、列車が停止したこと及び列車の停止位置の検知精度を高めることができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【
図1】
図1は、本開示の一実施形態による列車停止検知装置が鉄道駅のプラットホーム上に設置された様子を示す図である。
【
図3】
図3は、第1のレーダセンサ及び第2のレーダセンサから列車に向けて電波を発射する様子を示す平面図である。
【
図4】
図4は、第1のレーダセンサの計測対象部位を示す図である。
【
図5】
図5は、第2のレーダセンサの計測対象部位を示す図である。
【
図6】
図6は、第1のステレオカメラ及び第2のステレオカメラの撮影範囲を示す平面図である。
【
図7】
図7は、第1のステレオカメラ及び第2のステレオカメラの撮像対象部位を示す斜視図である。
【
図8】
図8は、第1のステレオカメラ及び第2のステレオカメラの撮像対象部位を示す側面図である。
【
図9】
図9は、第1のステレオカメラ及び第2のステレオカメラを示す正面図である。
【
図10】
図10は、第1のステレオカメラ及び第2のステレオカメラを示す正面図である。
【
図11】
図11は、第1のステレオカメラ及び第2のステレオカメラを示す側面図である。
【
図12】
図12は、列車停止検知装置のシステム構成を示すブロック図である。
【
図13】
図13は、第1のレーダセンサ、第2のレーダセンサ、及び演算部の動作を示すフローチャートである。
【
図14】
図14は、第1のステレオカメラ(または第2のステレオカメラ)及び演算部の動作を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、添付図面を参照しながら本開示による列車停止検知装置の実施の形態を詳細に説明する。なお、図面の説明において同一の要素には同一の符号を付し、重複する説明を省略する。図中には、必要に応じてXYZ直交座標系が示されている。下記の説明において、列車の進行方向をX方向と定義し、鉛直上方をZ方向と定義する。
【0018】
図1は、本開示の一実施形態による列車停止検知装置1が鉄道駅のプラットホーム3上に設置された様子を示す図である。
図2は、列車停止検知装置1の正面図である。列車停止検知装置1は、複数の鉄道車両101が連結された列車100が停止したこと及び列車100の停止位置を検知するための装置である。列車停止検知装置1は、例えばプラットホーム3に設置された屋根4等の建造物に固定される。プラットホーム3を基準とする列車停止検知装置1の設置高さは、例えば鉄道車両101のドアの上端の高さよりも高い。列車停止検知装置1は、第1のレーダセンサ11と、第2のレーダセンサ12と、第1のステレオカメラ21と、第2のステレオカメラ22と、を備える。
【0019】
第1のレーダセンサ11及び第2のレーダセンサ12は、それぞれ取付け機構11b,12bにより屋根4等の建造物に固定されている。第1のレーダセンサ11及び第2のレーダセンサ12は、鉄道車両101に向けて電波を発射し、その反射波を測定することにより、鉄道車両101までの距離や方向を計測する。
図2に示されるように、第1のレーダセンサ11及び第2のレーダセンサ12は、列車100の進行方向(X方向)に沿って並んで配置されている。第1のレーダセンサ11の送信機11a及び第2のレーダセンサ12の送信機12aの電波の発射方向は、互いに交差する。言い換えると、第1のレーダセンサ11の送信機11aは斜め前方を向いており、第2のレーダセンサ12の送信機12aは斜め後方を向いている。一例では、プラットホーム3を基準とする送信機11a及び12aの設置高さは互いに等しい。第1のレーダセンサ11及び第2のレーダセンサ12は、設置される位置及び向きを除いて、互いに同一の構成を有してもよい。列車100の進行方向(X方向)において、第1のレーダセンサ11は、第2のレーダセンサ12に対して後方に配置されている。
【0020】
図3は、第1のレーダセンサ11及び第2のレーダセンサ12から列車100に向けて電波RWを発射する様子を示す平面図である。
図3は、列車100が規定の停止位置に停止した状態を示し、その列車100における隣り合う2両の鉄道車両101A,101Bを示している。
図3に示されるように、第1のレーダセンサ11及び第2のレーダセンサ12は、列車100が規定の停止位置に停止した際に隣り合う2両の鉄道車両101A,101Bの車両連結部102に電波RWが当たる位置に配置される。図示例のように、列車100の進行方向(X方向)における第1のレーダセンサ11と第2のレーダセンサ12との間隔W1は、前方の鉄道車両101Aにおける後方の鉄道車両101Bと対向する妻面(すなわち後側の妻面)103と、後方の鉄道車両101Bにおける前方の鉄道車両101Aと対向する妻面(すなわち前側の妻面)104との間隔W2よりも大きいことが好ましい。また、第1のレーダセンサ11及び第2のレーダセンサ12は、列車100が規定の停止位置に停止した状態において、前方の鉄道車両101Aの妻面103と、後方の鉄道車両101Bの妻面104との双方から等距離にある仮想平面H1が、第1のレーダセンサ11及び第2のレーダセンサ12の双方から等距離にある仮想平面H2と一致するように配置されていることが好ましい。
【0021】
図4は、第1のレーダセンサ11の計測対象部位121を示す図である。第1のレーダセンサ11の計測対象部位121には、互いに連結された2両の鉄道車両101A,101Bのうち前方の鉄道車両101Aの妻面103と、妻面103と前方の鉄道車両101Aの側面105との間のエッジ(辺)106のうち少なくとも一方が含まれる。なお、本明細書において計測対象部位が妻面を含むとは、計測対象部位が、妻面の全体を含むことを必ずしも意味するものではなく、妻面の全体のうち少なくとも一部を含むことを意味する。
図4は、計測対象部位121が、妻面103の全体のうち屋根寄り且つエッジ106寄りの一部の領域103aを含む場合を例示している。第1のレーダセンサ11は、計測対象部位121までの距離に関する測距信号(第1測距信号)を出力する。
【0022】
図5は、第2のレーダセンサ12の計測対象部位122を示す図である。第2のレーダセンサ12の計測対象部位122には、互いに連結された2両の鉄道車両101A,101Bのうち後方の鉄道車両101Bの妻面104と、妻面104と後方の鉄道車両101Bの側面107との間のエッジ(辺)108のうち少なくとも一方が含まれる。
図5は、計測対象部位122が、妻面104の全体のうち屋根寄り且つエッジ108寄りの一部の領域104aを含む場合を例示している。第2のレーダセンサ12は、計測対象部位122までの距離に関する測距信号(第2測距信号)を出力する。
【0023】
再び
図1及び
図2を参照する。第1のステレオカメラ21は、2つのカメラを有し、鉄道車両101A,101Bを互いに異なる方向から同時に撮影することにより、2つのカメラの視差の違いに基づき、画像の奥行き方向の位置に関する視差データを出力する。第2のステレオカメラ22も同様に、2つのカメラを有し、鉄道車両101A,101Bを互いに異なる方向から同時に撮影することにより、2つのカメラの視差の違いに基づき、画像の奥行き方向の位置に関する視差データを出力する。第1のステレオカメラ21及び第2のステレオカメラ22は、光を照射せずに、自然光や周囲の明かりを利用して撮影を行う。従って、車両の表面色が黒色といった暗系の色である場合や、車両の表面の光反射率が鏡面仕上げ等により高くなっている場合等であっても、十分な精度での距離計測が可能である。
図2に示されるように、列車100の進行方向(X方向)において、第1のステレオカメラ21及び第2のステレオカメラ22は、第1のレーダセンサ11と第2のレーダセンサ12との間に位置する。また、第1のステレオカメラ21及び第2のステレオカメラ22は、Z軸方向に沿って並んで配置されている。プラットホーム3を基準とする第1のステレオカメラ21の設置高さと、プラットホーム3を基準とする第2のステレオカメラ22の設置高さとは互いに異なる。
【0024】
図6は、第1のステレオカメラ21及び第2のステレオカメラ22の撮影範囲Qを示す平面図である。
図6は、列車100が規定の停止位置に停止した状態を示し、その列車100における隣り合う2両の鉄道車両101A,101Bを示している。
図6に示されるように、第1のステレオカメラ21及び第2のステレオカメラ22は、列車100が規定の停止位置に停止した際に隣り合う2両の鉄道車両101A,101Bの車両連結部102及びその付近が撮影範囲に含まれる位置に配置される。また、図示例のように、第1のステレオカメラ21及び第2のステレオカメラ22は、列車100が規定の停止位置に停止した状態において、前方の鉄道車両101Aの妻面103と、後方の鉄道車両101Bの妻面104との双方から等距離にある仮想平面H1と重なる位置に配置されていることが好ましい。
【0025】
図7及び
図8は、第1のステレオカメラ21及び第2のステレオカメラ22の撮像対象部位(所定部位)130を示す斜視図及び側面図である。第1のステレオカメラ21及び第2のステレオカメラ22の撮像対象部位130には、部分105aと、部分107aと、部分111aとが含まれる。部分105aは、互いに連結された2両の鉄道車両101A,101Bのうち前方の鉄道車両101Aの側面105における後方寄りの一部である。部分105aは、側面105における後方寄り且つ屋根寄りの一部であってもよい。部分107aは、後方の鉄道車両101Bの側面107における前方寄りの一部である。部分107aは、側面107における前方寄り且つ屋根寄りの一部であってもよい。部分111aは、2両の鉄道車両101A,101B同士を繋ぐ貫通幌110の側面111の少なくとも一部である。部分111aは、側面111における屋根寄りの一部であってもよい。部分105a、部分107a、及び部分111aのうち少なくとも一つは、進行方向を長手方向とする長方形状の領域であってもよい。
図8に示されるように、部分105aはエッジ106に達していてもよく、部分107aはエッジ108に達していてもよく、部分111aは進行方向における貫通幌110の両端に達していてもよい。
【0026】
第1のステレオカメラ21は、2台の鉄道車両101A,101Bにわたる撮像対象部位130を撮像して、視差データ(第1視差データ)を出力する。同様に、第2のステレオカメラ22は、2台の鉄道車両101A,101Bにわたる撮像対象部位130を撮像して、視差データ(第2視差データ)を出力する。
【0027】
図9及び
図10は、第1のステレオカメラ21及び第2のステレオカメラ22を示す正面図である。これらの図には、第1のステレオカメラ21を構成する2個のカメラ211,212を結ぶ軸線AX1と、第2のステレオカメラ22を構成する2個のカメラ221,222を結ぶ軸線AX2とが示されている。これらの軸線AX1及び軸線AX2のうち少なくとも一方の軸線は、プラットホーム3に対して平行であってもよい。
図9には、軸線AX1及び軸線AX2の双方がプラットホーム3に対して平行である例が示されている。この場合、軸線AX1及び軸線AX2は互いに平行となる。或いは、軸線AX1及び軸線AX2のうち少なくとも一方の軸線は、プラットホーム3に対して傾斜していてもよい。言い換えると、第1のステレオカメラ21及び第2のステレオカメラ22のうち少なくとも一方は、Y軸周りにロール角を有してもよい。
図10には、軸線AX1及び軸線AX2の双方がプラットホーム3に対して傾斜している例が示されている。プラットホーム3に対する軸線AX1の傾斜角θ1は、プラットホーム3に対する軸線AX2の傾斜角θ2と同じであってもよく、異なってもよい。傾斜角θ1の正負の符号は、傾斜角θ2の正負の符号と同じであってもよく、異なってもよい。傾斜角θ1の正負の符号が傾斜角θ2と逆であり、且つ傾斜角θ1の絶対値が傾斜角θ2の絶対値と等しい場合、Y軸方向から見た軸線AX1及び軸線AX2は、Z軸方向に沿った直線に関して互いに線対称となる。また、X軸方向における第1のステレオカメラ21の位置と、X軸方向における第2のステレオカメラ22の位置とは、
図10に示されるように互いに異なってもよい。
【0028】
図11は、第1のステレオカメラ21及び第2のステレオカメラ22を示す側面図である。これらの図には、第1のステレオカメラ21のレンズの光軸AX3と、第2のステレオカメラ22のレンズの光軸AX4とが示されている。これらの光軸AX3及び光軸AX4は、プラットホーム3に対してそれぞれ傾斜角α1及び傾斜角α2を有する。第1のステレオカメラ21及び第2のステレオカメラ22が斜め下方を向くときの傾斜角α1及び傾斜角α2の符号を正とする。このとき、α1>0,α2>0である。すなわち、本実施形態では、第1のステレオカメラ21及び第2のステレオカメラ22は、斜め下方を向くように設置されている。なお、これに限られず、第1のステレオカメラ21及び第2のステレオカメラ22のうち一方が、斜め下方を向くように設置されてもよい。また、傾斜角α1の大きさと、傾斜角α2の大きさとは互いに異なる。一例では、設置高さの異なる第1のステレオカメラ21及び第2のステレオカメラ22が同一の撮像対象部位130の方を向くように、傾斜角α1及び傾斜角α2が調整されている。
【0029】
図12は、列車停止検知装置1のシステム構成を示すブロック図である。
図12に示されるように、列車停止検知装置1は、測距部10と、処理部30とを備える。測距部10は、前述した第1のレーダセンサ11、第2のレーダセンサ12、第1のステレオカメラ21及び第2のステレオカメラ22を有する。図示例では、処理部30は3つの演算部31、32及び33を有する。演算部31、32及び33は、例えばCPU、RAMといった揮発性記憶部、及びROMまたはハードディスクといった不揮発性記憶部を含むコンピュータによって構成され得る。
【0030】
演算部33は、第1のレーダセンサ11及び第2のレーダセンサ12と通信線を介して接続されており、計測対象部位121までの距離に関する測距信号S1を第1のレーダセンサ11から受信するとともに、計測対象部位122までの距離に関する測距信号S2を第2のレーダセンサ12から受信する。演算部33は、測距信号S1及び測距信号S2に基づいて、列車100が停止したこと及び列車100の停止位置に関する情報A1を生成する。演算部31~33は通信線34を介して互いに接続されており、演算部33は、生成した情報A1を、演算部31及び32のそれぞれへ送信する。
【0031】
図13は、第1のレーダセンサ11、第2のレーダセンサ12、及び演算部33の動作を示すフローチャートである。
図13に示されるように、まず、第1のレーダセンサ11が計測を行い、測距信号S1を生成する(ステップST11)。同時に、第2のレーダセンサ12が計測を行い、測距信号S2を生成する(ステップST12)。次に、演算部33は、測距信号S1に示される計測対象部位121までの距離と、測距信号S2に示される計測対象部位122までの距離とを合成して合成データを生成する(ステップST13)。続いて、演算部33は、合成データの中に、計測対象部位121,122(すなわち、妻面103の領域103a、妻面104の領域104a、エッジ106、及びエッジ108)が含まれているか否かを判断する(ステップST14)。合成データの中に計測対象部位121,122が含まれていない場合(ステップST15:NO)、演算部33は、ステップST11~ST15を再び繰り返す。合成データの中に計測対象部位121,122が含まれている場合(ステップST15:YES)、演算部33は、鉄道車両101A,101Bが停止したか否かを判断する(ステップST17)。鉄道車両101A,101Bが停止していないと判断した場合(ステップST17:NO)、演算部33は、ステップST11~ST17を再び繰り返す。鉄道車両101A,101Bが停止したと判断した場合(ステップST17:YES)、演算部33は、第1のレーダセンサ11及び第2のレーダセンサ12の設置位置と、計測対象部位121,122までの距離データとに基づいて、列車100の停止位置を算出する。そして、演算部33は、列車100が停止したこと及び列車100の停止位置に関する情報A1を生成する(ステップST18)。
【0032】
再び
図12を参照する。演算部31は、第1のステレオカメラ21と通信線を介して接続されており、撮像対象部位130を第1のステレオカメラ21が撮像して得られた視差データD1を、第1のステレオカメラ21から受信する。演算部31は、視差データD1に基づいて、列車100が停止したこと及び列車100の停止位置に関する情報(第1情報)A21を生成する。演算部31は、情報A21を演算部32へ送信する。演算部32は、第2のステレオカメラ22と通信線を介して接続されており、撮像対象部位130を第2のステレオカメラ22が撮像して得られた視差データD2を、第2のステレオカメラ22から受信する。演算部32は、視差データD2に基づいて、列車100が停止したこと及び列車100の停止位置に関する情報(第2情報)A22を生成する。演算部32は、情報A22を演算部31へ送信する。
【0033】
図14は、第1のステレオカメラ21(または第2のステレオカメラ22)と、演算部31(または演算部32)の動作を示すフローチャートである。以下では第1のステレオカメラ21及び演算部31の動作について主に説明するが、第2のステレオカメラ22及び演算部32の動作もこれと同様である。
【0034】
図14に示されるように、まず、第1のステレオカメラ21が撮影を行い、視差データD1を生成する(ステップST21)。次に、演算部31は、視差データD1を距離データに変換し、撮像対象部位130のうち前方の鉄道車両101Aの側面105の部分105aと、後方の鉄道車両101Bの側面107の部分107aとが該距離データに含まれているか否かを判断する。部分105a及び部分107aが距離データに含まれていない場合(ステップST22:NO)、演算部31はステップST21,ST22を再び繰り返す。部分105a及び部分107aが距離データに含まれている場合(ステップST22:YES)、演算部31は、エッジ106及びエッジ108が距離データに含まれているか否かを判断する(ステップST23)。エッジ106及びエッジ108が距離データに含まれていない場合(ステップST24:NO)、演算部31はステップST21~ST24を再び繰り返す。エッジ106及びエッジ108が距離データに含まれている場合(ステップST24:NO)、演算部31は、撮像対象部位130のうち貫通幌110の側面111の部分111aが距離データに含まれていることを確認する(ステップST25)。なお、部分111aが距離データに含まれていない場合であっても、後のステップへ移行してもよい。そして、演算部31は、距離データから、鉄道車両101A,101Bが停止したか否かを判断する(ステップST26)。鉄道車両101A,101Bが停止していないと判断した場合(ステップST26:NO)、演算部31は、ステップST21~ST27を再び繰り返す。鉄道車両101A,101Bが停止したと判断した場合(ステップST27:YES)、演算部31は、第1のステレオカメラ21の設置位置と、部分105a、部分107a、及び部分111aまでの距離データとに基づいて、列車100の停止位置を算出する。そして、演算部31は、列車100が停止したこと及び列車100の停止位置に関する情報A21を生成する(ステップST28)。
【0035】
なお、軸線AX1及び軸線AX2のうち少なくとも一方の軸線がプラットホーム3に対して傾斜している場合(
図10を参照)、後の計算を容易にするため、演算部31は、その傾斜角の分だけ視差データを補正してから距離データを算出してもよい。
【0036】
ここで、車両定位置状態総合判定(以下、総合判定)について説明する。
図15は、総合判定を概念的に示す図である。前述したように、第1のレーダセンサ11からの測距信号S1と第2のレーダセンサ12からの測距信号S2とが合成されて、その合成データDAから、列車100の停止の有無及び停止位置に関する情報A1が生成される。また、第1のステレオカメラ21からの視差データD1から、列車100の停止の有無及び停止位置に関する情報A21が生成される。また、第2のステレオカメラ22からの視差データD2から、列車100の停止の有無及び停止位置に関する情報A22が生成される。総合判定とは、情報A1と、情報A21と、情報A22と、のうち少なくとも一つの情報に基づいて、列車100が停止したか否かを最終的に判定し、且つ列車100の停止位置に関する最終的な情報を生成することである。本実施形態では、総合判定は、演算部31及び演算部32のそれぞれにおいて個別に行われる。
【0037】
図12に示されるように、演算部31は、情報A1と、情報A21と、情報A22と、のうち少なくとも一つの情報に基づいて、列車100が停止したか否かを最終的に判定し、列車100の停止位置に関する最終的な情報を生成する。そして、演算部31は、列車100が停止したと判定した際に、列車100の停止位置が所定の範囲内であるか否かを判定する。演算部31は、列車100の停止位置が所定の範囲内であると判断した場合、車両定位置停止信号SA1を上位装置40に送信する。
【0038】
演算部31の上記動作と並行して、演算部32もまた、情報A1と、情報A21と、情報A22と、のうち少なくとも一つの情報に基づいて、列車100が停止したか否かを最終的に判定し、列車100の停止位置に関する最終的な情報を生成する。そして、演算部32は、列車100が停止したと判定した際に、列車100の停止位置が所定の範囲内であるか否かを判定する。演算部32は、列車100の停止位置が所定の範囲内であると判断した場合、車両定位置停止信号SA2を上位装置40に送信する。このように、演算部31及び32の二者が車両定位置停止信号を出力するのは、ホームドアを開く際に、列車100が定位置に停止していることの確実性を高めるためである。
【0039】
一例では、演算部31,32は、天気、季節、および太陽光の影響によって、第1のステレオカメラ21による視差データおよび第2のステレオカメラ22による視差データの双方が不安定となる時間帯には、レーダセンサに基づく情報A1を主な判断材料として、最終的な停止判定及び停止位置の情報生成をしてもよい。また、演算部31,32は、天気、季節、および太陽光などの外乱光の影響によって、第2のステレオカメラ22による視差データが不安定となる時間帯(第1の時間帯)においては、情報A1及び情報A21に基づいて、最終的な停止判定及び停止位置の情報生成をしてもよい。そして、演算部31,32は、天気、季節、および太陽光などの外乱光の影響によって、第1のステレオカメラ21による視差データが不安定となる時間帯(第2の時間帯)においては、情報A1及び情報A22に基づいて、最終的な停止判定及び停止位置の情報生成をしてもよい。或いは、プラットホーム3の延在する方角及び周囲の構造物等に起因して、第1のステレオカメラ21及び第2のステレオカメラ22による視差データが常に不安定となるような鉄道駅においては、演算部31,32は常に、レーダセンサに基づく情報A1を主な判断材料として、最終的な停止判定及び停止位置の情報生成をしてもよい。このように、演算部31,32が情報A1、情報A21、及び情報A22のうちいずれの情報を用いるかは、様々な状況により決定され得る。
【0040】
上位装置40は、例えばホームドアの開閉を制御する装置である。上位装置40は、演算部31からの車両定位置停止信号SA1、及び演算部32からの車両定位置停止信号SA2の片方または双方が、列車100の停止位置が所定の範囲内であることを示す場合に限り、ホームドアを開閉する。
【0041】
以上に説明した本実施形態の列車停止検知装置1によって得られる効果について説明する。本実施形態の列車停止検知装置1は、ステレオカメラ(第1のステレオカメラ21及び第2のステレオカメラ22)を備えている。ステレオカメラはレーザ光を照射しないので、鉄道車両101の表面色や鉄道車両101の表面の光反射率に影響されにくい。従って、前述したレーザ光による測距の欠点を克服することができる。また、ステレオカメラは、太陽光などの外乱光の影響によって、計測が不安定となることがある。そこで、本実施形態の列車停止検知装置1では、処理部30が、第1のステレオカメラ21及び第2のステレオカメラ22といった2台のステレオカメラの一方又は双方からの情報に基づいて、列車100が停止したか否かを判定し、且つ列車100の停止位置に関する情報を生成する。これにより、太陽光などの外乱光の影響を抑制しつつ、列車100が停止したこと及び列車100の停止位置を精度良く検知することができる。
【0042】
本実施形態のように、プラットホーム3を基準とする第1のステレオカメラ21の設置高さと、プラットホーム3を基準とする第2のステレオカメラ22の設置高さとが互いに異なってもよい。その場合、同じ撮像対象部位130を撮影するために、
図11のように、第1のステレオカメラ21のレンズの光軸AX3の傾斜角α1と、第2のステレオカメラ22のレンズの光軸AX4の傾斜角α2とが互いに異なることとなる。よって、第1のステレオカメラ21及び第2のステレオカメラ22が太陽光などの外乱光の影響を同時に受けることを抑制できる。
【0043】
本実施形態のように、処理部30は、第1の時間帯においては情報A21に基づいて、列車100が停止したか否かの判定、及び列車100の停止位置に関する情報の生成を行い、第1の時間帯とは異なる第2の時間帯においては情報A22に基づいて、列車100が停止したか否かの判定、及び列車100の停止位置に関する情報の生成を行ってもよい。その場合、時間帯に応じて変化する外乱光(例えば太陽光)の影響を回避しつつ、列車100の停止判定及び停止位置の計測を好適に行うことができる。
【0044】
図9に示されたように、第1のステレオカメラ21を構成する2個のカメラ211,212を結ぶ軸線AX1、及び第2のステレオカメラ22を構成する2個のカメラ221,222を結ぶ軸線AX2のうち少なくとも一方の軸線は、プラットホーム3に対して平行であってもよい。その場合、第1のステレオカメラ21及び第2のステレオカメラ22の設置作業を容易にできる。
【0045】
図10に示されたように、第1のステレオカメラ21を構成する2個のカメラ211,212を結ぶ軸線AX1、及び第2のステレオカメラ22を構成する2個のカメラ221,222を結ぶ軸線AX2のうち少なくとも一方の軸線は、プラットホーム3に対して傾斜していてもよい。その場合、水平方向の画素の明暗差が増し、視差データの検出数が増加する。よって、情報A21及び情報A22の少なくとも一方をより精度良く生成することができ、列車100が停止したこと及び列車100の停止位置の検知精度をより高めることができる。
【0046】
本実施形態のように、撮像対象部位130は、互いに連結された2両の鉄道車両101A,101Bのうち前方の鉄道車両101Aの側面105における後方寄りの部分105aと、後方の鉄道車両101Bの側面107における前方寄りの部分107aと、貫通幌110の側面111の部分111aと、を含んでもよい。ステレオ画像において、前方及び後方の鉄道車両における側面までの距離と貫通幌の側面までの距離との違いは、列車の位置の判断に利用され得る最も特徴的な部分の一つである。従って、本実施形態の列車停止検知装置1によれば、列車100が停止したこと及び列車100の停止位置の検知精度をより高めることができる。
【0047】
本実施形態のように、第1のステレオカメラ21及び第2のステレオカメラ22の一方または双方は、斜め下方を向くように設置されてもよい。その場合、太陽光などの外乱光の影響をより低減し、列車100が停止したこと及び列車100の停止位置の検知精度をより高めることができる。
【0048】
本実施形態のように、処理部30は、列車100が停止したと判定した際に、列車100の停止位置が所定の範囲内であるか否かを判定してもよい。その場合、例えばホームドアの開閉を制御する上位装置40が、列車100の停止位置が所定の範囲内であるか否かに関する車両定位置停止信号SA1,SA2を処理部30から受け取り、ホームドアの開閉を判断することができる。
【0049】
本開示による列車停止検知装置は、上述した実施形態に限られるものではなく、他に様々な変形が可能である。例えば、処理部30は、上述した機能のほかに、測距部10及び処理部30の異常や故障を検出する機能、列車停止検知装置の状態の表示(例えばLEDの点灯)を行う機能、総合判断に用いるパラメータの設定機能、判定結果や測距部10の情報などのログの記録を行う機能、の少なくとも一つを更に有してもよい。また、上記実施形態では第1のステレオカメラ21及び第2のステレオカメラ22といった2つのステレオカメラが設けられているが、ステレオカメラはいずれか一方のみ設けられてもよい。また、上記実施形態では撮像対象部位130が2両の鉄道車両101A,101Bの部位を含んでいるが、撮像対象部位は1両のみ、または3両以上の鉄道車両101の部位を含んでもよい。
【符号の説明】
【0050】
1…列車停止検知装置、3…プラットホーム、10…測距部、11…第1のレーダセンサ、11a…送信機、11b…取付け機構、12…第2のレーダセンサ、12a…送信機、12b…取付け機構、21…第1のステレオカメラ、22…第2のステレオカメラ、30…処理部、31~33…演算部、34…通信線、40…上位装置、100…列車、101,101A,101B…鉄道車両、102…車両連結部、103,104…妻面、103a,104a…領域、105,107…側面、105a,107a…部分、106,108…エッジ、110…貫通幌、111…側面、111a…部分、121,122…計測対象部位、130…撮像対象部位、211,212,221,222…カメラ、A1,A21,A22…情報、AX1,AX2…軸線、AX3,AX4…光軸、D1,D2…視差データ、DA…合成データ、H1,H2…仮想平面、Q…撮影範囲、RW…電波、S1,S2…測距信号、SA1,SA2…車両定位置停止信号、W1,W2…間隔、α1,α2…傾斜角、θ1,θ2…傾斜角。