(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2025006076
(43)【公開日】2025-01-17
(54)【発明の名称】貯留排出装置
(51)【国際特許分類】
B65G 65/46 20060101AFI20250109BHJP
【FI】
B65G65/46 E
B65G65/46 C
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023106639
(22)【出願日】2023-06-29
(71)【出願人】
【識別番号】517306640
【氏名又は名称】株式会社下瀬微生物研究所
(74)【代理人】
【識別番号】100130199
【弁理士】
【氏名又は名称】松永 充弘
(72)【発明者】
【氏名】下瀬 眞一
【テーマコード(参考)】
3F075
【Fターム(参考)】
3F075AA10
3F075BA01
3F075CA06
3F075CA09
3F075CC05
3F075DA03
3F075DA06
(57)【要約】
【課題】貯留槽全体に亘って容易にブリッジ防止効果を発揮させることが可能な貯留排出装置を提供する。
【解決手段】上部に設けられる被処理物の投入口2aと底部の一端側に設けられる被処理物の排出口2bとを有する貯留槽2と、貯留槽2の底部の被処理物を排出口2bに向けて移送するスクリューコンベア3と、ブリッジ防止装置4と、を備える。ブリッジ防止装置4は、上下方向に延びる回転軸心まわりに回転自在な攪拌スクリュー部42と、攪拌スクリュー部42を回転駆動させる攪拌用回転駆動部43と、攪拌スクリュー部42を水平方向に移動させる水平移動機構44と、を備える。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
上部に設けられる被処理物の投入口と底部の一端側に設けられる前記被処理物の排出口とを有する貯留槽と、
前記貯留槽の前記底部の被処理物を前記排出口に向けて移送するスクリューコンベアと、
ブリッジ防止装置と、を備え、
前記ブリッジ防止装置は、
上下方向に延びる回転軸心まわりに回転自在な攪拌スクリュー部と、
前記攪拌スクリュー部を回転駆動させる攪拌用回転駆動部と、
前記攪拌スクリュー部を水平方向に移動させる水平移動機構と、を備える、
ことを特徴とする貯留排出装置。
【請求項2】
前記攪拌用回転駆動部は、前記投入口の上方位置に配設され、
前記攪拌スクリュー部は、基端部が前記攪拌用回転駆動部に接続され、先端部が前記スクリューコンベアの上端近傍に配設される、
ことを特徴とする請求項1に記載の貯留排出装置。
【請求項3】
前記スクリューコンベアは、前記貯留槽の底部に水平方向に並列となるように複数設けられ、
前記攪拌スクリュー部の第1スクリュー径は、前記スクリューコンベアの第2スクリュー径よりも大きく形成され、
前記攪拌スクリュー部は、隣り合う2つ以上の前記スクリューコンベアと平面視において常時重なり合うように構成されている、
ことを特徴とする請求項2に記載の貯留排出装置。
【請求項4】
前記水平移動機構は、
前記スクリューコンベアの移送方向に沿う第1方向に前記攪拌スクリュー部を移動させる第1水平移動機構と、
前記スクリューコンベアの移送方向に交差する第2方向に前記攪拌スクリュー部を移動させる第2水平移動機構と、を備える、
ことを特徴とする請求項3に記載の貯留排出装置。
【請求項5】
前記スクリューコンベアは、
第1スクリューコンベアと、
前記排出口に対して前記第1スクリューコンベアよりも離隔した位置に配置される第2スクリューコンベアと、を有し、
前記第1スクリューコンベアおよび前記第2スクリューコンベアは、同心状に配置されるとともに、対向する端部が相互に近接するように配置されており、
前記第1スクリューコンベアおよび前記第2スクリューコンベアは、それぞれ独立して駆動されるように構成されている、
ことを特徴とする請求項4に記載の貯留排出装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、汚泥、家畜の排泄物、生ごみ等の被処理物の貯留と排出とを行う貯留排出装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、汚泥や生ごみ等の被処理物の貯留と排出に使用される処理装置が知られている。処理装置のホッパ内において被処理物のブリッジが発生すると処理や取り出しが困難になる。このため、ブリッジの発生を防止する機能を設けたホッパ装置(貯留排出装置)が提案されている(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
特許文献1では、被処理物を貯留する貯留槽と、貯留槽の汚泥を搬出するスクリューコンベアと、貯留槽に揺動可能に固定されるブリッジ防止板とを備えたホッパ装置が開示されている。ブリッジ防止板は、チェーン等により、スクリューコンベアの搬送方向に沿うように、2列に吊るされる。ブリッジ防止板によって、ホッパ装置下部へと圧密しようとする被処理物の力を分散させ、スムーズに下部のスクリューコンベアへ落下させるようにしている。
【0004】
また、特許文献1では、複数のブリッジ防止板の間に、スクリューコンベアの搬送方向に沿うように、拡散スクリューを備える例も開示されている。これにより、被処理物の流動性を向上させて、被処理物の溜まりや付着を抑制するようにしている。また、特許文献1では、貯留槽に送気口を設けて送気を行うことも開示されている。この送気で被処理物の調湿が行われることによって、臭気の発生低減が図られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、特許文献1のホッパ装置のブリッジ防止板は、重力によって吊り下げられているだけで積極的に動くものではない。このため、狙い通りにブリッジ防止効果を発揮しにくいという問題があった。また、特許文献1の拡散スクリューは、スクリューコンベアの長手方向に延びるとともに同じ位置で回転を行うようにされている。そのため、拡散スクリューの上方に多くの被処理物が貯留された場合、貯留槽に貯留された被処理物の上層に拡散スクリューの回転の影響を及ぼしにくいという問題があった。また、特許文献1の送気方法において、貯留槽の壁面に送気口を設けた場合には、貯留槽の中央部の被処理物まで送気が届きくいという問題があった。
【0007】
本発明は、上記実情を考慮してなされたものであり、その目的は、貯留槽全体に亘って容易にブリッジ防止効果を発揮させることが可能な貯留排出装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上述の課題を解決するために本明細書に開示する発明は、以下のように構成されている。すなわち、第1の発明は、上部に設けられる被処理物の投入口と底部の一端側に設けられる前記被処理物の排出口とを有する貯留槽と、前記貯留槽の前記底部の被処理物を前記排出口に向けて移送するスクリューコンベアと、ブリッジ防止装置と、を備え、前記ブリッジ防止装置は、上下方向に延びる回転軸心まわりに回転自在な攪拌スクリュー部と、前記攪拌スクリュー部を回転駆動させる攪拌用回転駆動部と、前記攪拌スクリュー部を水平方向に移動させる水平移動機構と、を備える。
【0009】
第1の発明によれば、上下に延びる回転軸心まわりに回転自在な攪拌スクリュー部が攪拌用回転駆動部により回転駆動されるので、貯留槽に貯留された被処理物を、強制的に貯留槽の上下方向に移動させることができる。また、攪拌スクリュー部は、水平移動機構によって水平方向に移動されるので、1箇所だけでなく水平方向の複数箇所において、貯留槽に貯留された被処理物を、強制的に貯留槽の上下方向に移動させることができる。つまり、ブリッジ防止装置により、貯留槽に貯留された被処理物を、上下方向と水平方向に広い領域で強制的に攪拌することができる。これにより貯留槽全体に亘ってブリッジ現象が発生することを予防することができる。また、ブリッジ現象が発生したとしても、攪拌スクリュー部の動きによって速やかにブリッジ部分を破壊することができる。これにより、貯留槽全体に亘って容易にブリッジ防止効果を発揮させることができる。
【0010】
第2の発明では、第1の発明において、前記攪拌用回転駆動部は、前記投入口の上方位置に配設され、前記攪拌スクリュー部は、基端部が前記攪拌用回転駆動部に接続され、先端部が前記スクリューコンベアの上端近傍に配設される。
【0011】
第2の発明によれば、ブリッジ防止装置の攪拌用回転駆動部を貯留槽の被処理物の投入口よりも上方位置に配設するので、攪拌用回転駆動部が投入口から投入される被処理物によって埋まることを防ぐことができる。これにより、攪拌用回転駆動部の故障を抑制することができる。また、このような位置の攪拌用回転駆動部に攪拌スクリュー部の基端部を接続する一方、攪拌スクリュー部の先端部をスクリューコンベアの上端近傍に配設することによって、攪拌スクリュー部の上下方向の長さが貯留槽の投入口から底部までの全体に亘るようにできる。これにより、貯留槽に貯留された被処理物に対し、上側表面から底部までの全体に亘って攪拌スクリュー部で攪拌することができる。これにより、ブリッジ防止効果をより一層発揮させることができる。
【0012】
第3の発明では、第2の発明において、前記スクリューコンベアは、前記貯留槽の底部に水平方向に並列となるように複数設けられ、前記攪拌スクリュー部の第1スクリュー径は、前記スクリューコンベアの第2スクリュー径よりも大きく形成され、前記攪拌スクリュー部は、隣り合う2つ以上の前記スクリューコンベアと平面視において常時重なり合うように構成されている。
【0013】
第3の発明によれば、攪拌スクリュー部が、常時、隣り合う2つ以上のスクリューコンベアの上方に位置するようにできるので、貯留槽内の隣り合うスクリューコンベアの間の空間に被処理物の滞留部が発生しないようにできる。
【0014】
第4の発明では、第3の発明において、前記水平移動機構は、前記スクリューコンベアの移送方向に沿う第1方向に前記攪拌スクリュー部を移動させる第1水平移動機構と、前記スクリューコンベアの移送方向に交差する第2方向に前記攪拌スクリュー部を移動させる第2水平移動機構と、を備える。
【0015】
第4の発明によれば、第1水平移動機構と第2水平移動機構は互いに水平面上の交差する2方向に攪拌スクリュー部を移動させることができるので、貯留槽の水平面全体に攪拌スクリュー部を容易に移動させることができる。これにより、攪拌スクリュー部のブリッジ防止効果をより確実に発揮させることができる。また、攪拌スクリュー部は、スクリューコンベアの移送方向に沿ってまたは当該移送方向と交差して移動可能に構成されているので、攪拌スクリュー部とスクリューコンベアとの連携による、被処理物の排出口への移送とブリッジ防止効果とをバランスよく発揮させることができる。
【0016】
第5の発明では、第4の発明において、前記スクリューコンベアは、第1スクリューコンベアと、前記排出口に対して前記第1スクリューコンベアよりも離隔した位置に配置される第2スクリューコンベアと、を有し、前記第1スクリューコンベアおよび前記第2スクリューコンベアは、同心状に配置されるとともに、対向する端部が相互に近接するように配置されており、前記第1スクリューコンベアおよび前記第2スクリューコンベアは、それぞれ独立して駆動されるように構成されている。
【0017】
第5の発明によれば、第1スクリューコンベアと第2スクリューコンベアとを連携させることにより、被処理物を排出口へ移動させるためだけでなく、被処理物を貯留槽内に留まらせて攪拌を効率良く行うためにも使用することができる。
【発明の効果】
【0018】
本発明に係る貯留排出装置によれば、貯留槽全体に亘って容易にブリッジ防止効果を発揮させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【
図1】本発明の一実施形態に係る貯留排出装置を備えた廃棄物処理システムの全体構成図である。
【
図2】本実施形態に係る貯留排出装置の斜視図である。
【
図3】本実施形態に係る貯留排出装置の平面図である。
【
図4】本実施形態に係る貯留排出装置の断面側面図である。
【
図5】本実施形態に係る貯留排出装置のブリッジ防止装置を示す要部斜視図である。
【
図6】本実施形態に係るブリッジ防止装置の側面図である。
【
図7】本実施形態に係るブリッジ装置における攪拌スクリュー部の第1スクリュー径と、スクリューコンベアの第2スクリュー径との関係を示す側面図である。
【
図8】本実施形態に係る貯留排出装置の制御部と駆動部との電気的接続を示す概略図である。
【
図9】本実施形態に係る貯留排出装置のスクリューコンベアの動作パターンを説明するための模式図である。
【
図10】本実施形態に係るブリッジ防止装置の攪拌スクリュー部の動作パターンを説明するための模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、本発明の実施の形態について、図面を参照しつつ説明する。
【0021】
図1は、本発明の一実施形態に係る貯留排出装置1を備えた廃棄物処理システム100の全体構成図である。
【0022】
図1の廃棄物処理システム100は、例えば、牛、豚、羊、鶏等の家畜の排泄物(糞尿)を被処理物とするシステムである。廃棄物処理システム100は、家畜の排泄物から成る被処理物を発酵乾燥処理する。廃棄物処理システム100は、
図1に示すように、貯留排出装置1と、発酵乾燥装置10と、ボイラー装置110と、蒸気制御装置120と、蒸気発電機130とを備えている。
【0023】
貯留排出装置1は、貯留槽2を備えている。貯留槽2は、上部に設けられる被処理物の投入口2aと底部の一端側に設けられる被処理物の排出口2bとを有している。ダンプトラックや吸引車等の運搬車両Tによって運搬されてきた被処理物は、投入口2aから貯留槽2内へ投入される。また、貯留排出装置1は、貯留槽2の底部の被処理物を排出口2bに向けて移送する複数のスクリューコンベア3を備えている。貯留槽2の被処理物は、スクリューコンベア3の駆動により排出口2bから外部へ排出される。
【0024】
貯留槽2の排出口2bから排出された被処理物は、スクリューコンベア等により発酵乾燥装置10に移送される。発酵乾燥装置10では、被処理物の発酵乾燥処理が行われる。発酵乾燥装置10は、密閉容器11と、攪拌装置12と、加熱ジャケット13とを備えている。密閉容器11は、内部を大気圧以下に保持するように気密に形成されている。密閉容器11の内部には、被処理物を収容するための収容部11aが形成されている。密閉容器11の上部には、被処理物の投入口11bが設けられている。攪拌装置12は、収容部11aで被処理物を攪拌するために設けられている。
【0025】
攪拌装置12は、攪拌シャフト12aと、複数の攪拌羽根12bと、シャフト回転モータ12cとを有している。攪拌シャフト12aの両端部は、密閉容器11の一対の端壁部に支持されている。これら一対の端壁部の一方側には、発酵乾燥物の排出口11cが設けられている。攪拌羽根12bは、攪拌シャフト12aの軸方向に所定間隔をもって、かつ、攪拌シャフト12aから放射状に延びるように、攪拌シャフト12aに複数取り付けられている。シャフト回転モータ12cは、攪拌シャフト12aを回転させる。加熱ジャケット13は、密閉容器11の周壁部の周囲を包囲するように設けられている。加熱ジャケット13は、収容部11aを加熱するために設けられている。密閉容器11の投入口11bから投入された被処理物は、加熱ジャケット13によって加熱されながら、攪拌装置12の攪拌羽根12bの回転によって攪拌される。そして、所定時間経過した後、発酵乾燥物は、排出口11cから排出される。
【0026】
発酵乾燥装置10で生成された発酵乾燥物は、スクリューコンベア等により、ボイラー装置110に移送される。ボイラー装置110は、この発酵乾燥物を燃料として使用する。ボイラー装置110は、発酵乾燥物の燃焼による熱エネルギーによって水を加熱して高温の蒸気を発生させる。ボイラー装置110で発生した蒸気は、加熱用蒸気として蒸気通路を経て蒸気制御装置120に供給される。蒸気制御装置120では、蒸気制御装置120の下流側への加熱用蒸気の供給量が調整される。蒸気制御装置120は、発酵乾燥装置10の加熱ジャケット13と蒸気通路によって接続されている。蒸気制御装置120から加熱ジャケット13には、蒸気通路を通じて加熱用蒸気が供給される。
【0027】
蒸気制御装置120は、蒸気発電機130と蒸気通路によって接続されている。蒸気発電機130では、蒸気制御装置120から供給された蒸気により発電が行われる。蒸気発電機130で発電された電力は、攪拌装置12のシャフト回転モータ12cの回転駆動用の電力として利用される。
【0028】
次に、上記廃棄物処理システム100で使用される貯留排出装置1の詳細構造について説明する。
図2は、本実施形態に係る貯留排出装置1の斜視図である。
図3は、本実施形態に係る貯留排出装置1の平面図である。
【0029】
図2および
図3に示すように、貯留排出装置1の貯留槽2は、平面視略長方形状の主貯留槽21と、平面視略長方形状の副貯留槽22とを有している。副貯留槽22は、平面視において、主貯留槽21の4分の1よりも小さい大きさに形成されている。主貯留槽21の平面視短手方向の一端の側面と、副貯留槽22の平面視長手方向の一端の側面とは、連設されている。主貯留槽21と副貯留槽22は、同じ高さ位置の底壁部を有している。主貯留槽21と副貯留槽22との接続面は、底壁部まで達する大きな開口部を有している。当該開口部により、主貯留槽21と副貯留槽22との間で被処理物がスムーズに移動可能である。主貯留槽21の上端は全体的に開口しており、その開口が投入口2aとなっている。また、副貯留槽22の底壁部には、排出口2bが形成されている。主貯留槽21および副貯留槽22は、複数本の脚部5によって支持されている。以後、貯留槽2の長手方向をX方向とし、貯留槽2の短手方向をY方向と定義する。
【0030】
主貯留槽21の上端には、カバー部6が取り付けられている。カバー部6は、主貯留槽21をX方向から見て略直角三角形の形状をしている。略直角三角形状のカバー部6の底辺部は開口して主貯留槽21の投入口2aに接続されている。また略直角三角形状のカバー部6の斜辺部は開口して運搬車両Tから投入される被処理物の受け入れが可能となっている。
【0031】
副貯留槽22の上端には、天板部22aが取り付けられている。天板部22aには、窓部22bが設けられており、窓部22bから副貯留槽22の内部を確認できるようになっている。
【0032】
スクリューコンベア3は、主貯留槽21および副貯留槽22の底壁部に沿って配置されている。スクリューコンベア3は、第1スクリューコンベア31、および第2スクリューコンベア32を有している。第1スクリューコンベア31は、排出口2bを基準として手前側(排出口2bに近い位置)に配置されている。第2スクリューコンベア32は、排出口2bを基準として第1スクリューコンベア31よりも奥側(排出口2bに対して第1スクリューコンベア31よりも離隔した位置)に配置されている。
【0033】
第1スクリューコンベア31、および第2スクリューコンベア32は、それぞれ4本のスクリューコンベアがY方向に沿って平行となるように配置されている。第1スクリューコンベア31を構成する4本のスクリューコンベア(第1Aスクリューコンベア311、第1Bスクリューコンベア312、第1Cスクリューコンベア313および第1Dスクリューコンベア314)は、それぞれ、第2スクリューコンベア32を構成する4本のスクリューコンベア(第2Aスクリューコンベア321、第2Bスクリューコンベア322、第2Cスクリューコンベア323および第2Dスクリューコンベア324)と同心状に配置されている。
【0034】
また、第1スクリューコンベア31を構成する4本のスクリューコンベア311,312,313,314の端部と、第2スクリューコンベア32を構成する4本のスクリューコンベア321,322,323,324の端部は、それぞれ近接して対向するように配置されている。第1スクリューコンベア31を構成する4本のスクリューコンベア311,312,313,314と、第2スクリューコンベア32を構成する4本のスクリューコンベア321,322,323,324は、それぞれ独立して駆動されるように構成されている。
【0035】
主貯留槽21および副貯留槽22の底壁部には、第1スクリューコンベア31、および第2スクリューコンベア32に対応するように、X方向に沿う曲面溝部21aが複数形成されている。曲面溝部21aは、Y方向に4本並んで設けられている。
【0036】
主貯留槽21と反対側の副貯留槽22の側壁部には、4本の第1スクリューコンベア31が取り付けられている。各第1スクリューコンベア31は、スクリュー本体31aと、コンベア用減速機31cを介してスクリュー本体31aの基端部に接続される第1モータ31bとを有している。第1モータ31bおよびコンベア用減速機31cは、副貯留槽22の外側に露出している。また、各第1スクリューコンベア31のスクリュー本体31aは、各曲面溝部21aに下半分が嵌め込まれて、曲面溝部21aに沿って延びるように配置されている。スクリュー本体31aの基端部は、排出口2bの真上に位置している。また、スクリュー本体31aの先端部は、主貯留槽21のX方向中央部まで延びている。
【0037】
また、副貯留槽22と反対側の主貯留槽21の側壁部には、4本の第2スクリューコンベア32が取り付けられている。各第2スクリューコンベア32は、スクリュー本体32aと、コンベア用減速機32cを介してスクリュー本体32aの基端部に接続される第2モータ32bとを有している。第2モータ32bおよびコンベア用減速機32cは、主貯留槽21の外側に露出している。また、各第2スクリューコンベア32のスクリュー本体32aは、各曲面溝部21aに下半分が嵌め込まれて、曲面溝部21aに沿って延びるように配置されている。スクリュー本体32aの先端部は、主貯留槽21のX方向中央部まで延びている。同じ曲面溝部21aに嵌め込まれている、第1スクリューコンベア31のスクリュー本体31aと第2スクリューコンベア32のスクリュー本体32aの2つの対向端部は、相互に近接して配置されている。
【0038】
図4は、本実施形態に係る貯留排出装置1の断面側面図である。副貯留槽22には、
図3および
図4に示すように、Y方向に延びる排出口押出回転体7が設けられている。排出口押出回転体7は、排出口2bの真上、かつ、4本の第1スクリューコンベア31の上方の近傍位置に配設されている。排出口押出回転体7は、4本の第1スクリューコンベア31によって排出口2bの方に移送されてきた被処理物が貯留槽2(副貯留槽22)の上方に逃げずに排出口2bから排出されるように、被処理物を押し出す。排出口押出回転体7は、回転軸7aと複数の羽根部7bとを有している。回転軸7aの両端部は、副貯留槽22の側壁に支持されている。羽根部7bは、回転軸7aの長手方向に所定間隔をあけて回転軸7aに複数取り付けられている。回転軸7aの一端部は、副貯留槽22の側壁を貫通して副貯留槽22の外側の押出用回転駆動部8に接続されている。押出用回転駆動部8は、押出回転体用モータ8aと押出回転体用減速機8bとを有している。押出回転体用モータ8aの駆動によって排出口押出回転体7が回転駆動される。
【0039】
図5は、本実施形態に係る貯留排出装置1のブリッジ防止装置4を示す要部斜視図である。
図6は、本実施形態に係るブリッジ防止装置4の側面図である。
図3~
図6に示すように、貯留排出装置1は、貯留槽2内に貯留された被処理物のブリッジ現象を発生させないようにするため、または発生したブリッジ現象を消滅させるためのブリッジ防止装置4を備えている。ブリッジ防止装置4は、上下方向に延びる回転軸心まわりに回転自在な攪拌スクリュー部42と、攪拌スクリュー部42を回転駆動させる攪拌用回転駆動部43と、本体フレーム部41と、攪拌スクリュー部42を水平方向に移動させる水平移動機構44と、を備えている。なお、ブリッジ防止装置4には、カバー部6のケーブル吊り下げ部6aによって吊り下げられた電力供給ケーブル4aから電力が供給される(
図2および
図4参照)。
【0040】
攪拌用回転駆動部43は、投入口2aの上方位置に配設される。本実施形態では、攪拌スクリュー部42の中心軸は、鉛直方向に延びている。攪拌スクリュー部42の基端部は、攪拌用回転駆動部43に接続される。また、攪拌スクリュー部42の先端部は、スクリューコンベア3の上端近傍に配設される。攪拌用回転駆動部43は、攪拌用モータ431と攪拌用減速機432とを有している。
【0041】
本体フレーム部41は、一対の短手方向部材411,411と連結部材412とローラ軸取付ブラケット413とピニオン軸軸受部414とを有している。短手方向部材411は、コの字状断面のチャンネル材である。短手方向部材411は、Y方向に水平に延びるとともにX方向に所定の間隔を隔てて一対配置されている。一対の短手方向部材411,411は、主貯留槽21のY方向に対向する側壁間に架け渡される長さに形成されている。一対の短手方向部材411,411は、コの字状断面の凹部同士が対向するように配置されている。連結部材412は、一対の短手方向部材411,411同士を連結する帯板状の部材であり、X方向に水平に延びている。連結部材412は、一対の短手方向部材411,411同士の間隔がずれないように、複数設けられている。
【0042】
ローラ軸取付ブラケット413は、各短手方向部材411における、貯留槽2のX方向の側壁と対向する側面に、複数取り付けられている。また、ローラ軸取付ブラケット413は、短手方向部材411のY方向の両端部の位置に取り付けられている。ピニオン軸軸受部414は、短手方向部材411における、貯留槽2のX方向の側壁と対向する側面に、複数取り付けられている。また、ピニオン軸軸受部414は、短手方向部材411のY方向の両端部と中央部の三箇所に取り付けられている。ローラ軸取付ブラケット413の先端部の位置とピニオン軸軸受部414の先端部の位置とを比較した場合、ローラ軸取付ブラケット413の先端部の位置の方がピニオン軸軸受部414の先端部の位置よりも大きくX方向外方へ突出している。
【0043】
水平移動機構44は、スクリューコンベア3の移送方向に沿う第1方向(X方向)に攪拌スクリュー部42を移動させる第1水平移動機構45と、スクリューコンベア3の移送方向に直交する第2方向(Y方向)に攪拌スクリュー部42を移動させる第2水平移動機構46と、を備える。
【0044】
第1水平移動機構45は、一対のレール部材451,451と、一対の第1ラック部材452,452と、一対の第1ローラ軸453,453と、一対の第1ピニオン軸454,454と、長手方向移動用モータ455と、第1減速機456とを有している。一対のレール部材451,451は、コの字状断面のチャンネル材であり、X方向に延びる主貯留槽21の2つの側壁のそれぞれの内面上端部に取り付けられている。一対のレール部材451,451は、主貯留槽21の上端縁に沿って水平に延びるように取り付けられている。また、一対のレール部材451,451は、コの字状断面の凹部同士が対向するように取り付けられている。一対の第1ラック部材452,452は、それぞれ、レール部材451の上側内壁面に、レール部材451に沿って延びるように取り付けられている。
【0045】
一対の第1ピニオン軸454,454のうちの一方側は、一対の短手方向部材411,411のうちの一方側に取り付けられたピニオン軸軸受部414によって、回転自在に支持されている。一方側の第1ピニオン軸454は、一方側の短手方向部材411に隣接し、かつ、一方側の短手方向部材411に沿って延びるように配設されている。一対の第1ピニオン軸454,454のうちの他方側は、一対の短手方向部材411,411のうちの他方側に取り付けられたピニオン軸軸受部414によって、回転自在に支持されている。他方側の第1ピニオン軸454は、他方側の短手方向部材411に隣接し、かつ、他方側の短手方向部材411に沿って延びるように配設されている。各第1ピニオン軸454は、ピニオン軸軸受部414によって回転自在に支持される軸本体454aと、軸本体454aの両端部に取り付けられた第1ピニオン部454b,454bとを有している。両端部の第1ピニオン部454b,454bのそれぞれは、対応する第1ラック部材452と噛み合うように構成されている。一対の第1ピニオン軸454,454のうちの一方側には、第1ピニオン軸側スプロケット454cが取り付けられている。
【0046】
長手方向移動用モータ455は、本体フレーム部41の短手方向部材411に、ブラケットを介して取り付けている。長手方向移動用モータ455には、第1減速機456が接続されている。第1減速機456の出力軸には、第1減速機側スプロケット456aが取り付けられている。第1減速機側スプロケット456aと第1ピニオン軸454の第1ピニオン軸側スプロケット454cとの間には、第1チェーン457が掛け渡されている。第1チェーン457は、第1チェーンケース458によって覆われている。
【0047】
一対の第1ローラ軸453,453のうちの一方側は、一対の短手方向部材411,411のうちの一方側に取り付けられたローラ軸取付ブラケット413の先端部を支持している。一方側の第1ローラ軸453は、一方側の第1ピニオン軸454に隣接し、かつ、一方側の第1ピニオン軸454に沿って延びるように配設されている。一方側の第1ローラ軸453は、一方側の短手方向部材411に対して一方側の第1ピニオン軸454よりも外側に配設されている。一対の第1ローラ軸453,453のうちの他方側は、一対の短手方向部材411,411のうちの他方側に取り付けられたローラ軸取付ブラケット413の先端部を支持している。他方側の第1ローラ軸453は、他方側の第1ピニオン軸454に隣接し、かつ、他方側の第1ピニオン軸454に沿って延びるように配設されている。他方側の第1ローラ軸453は、他方側の短手方向部材411に対して他方側の第1ピニオン軸454よりも外側に配設されている。
【0048】
各第1ローラ軸453は、ローラ軸取付ブラケット413の先端部を支持する軸本体453aと、軸本体453aの両端部に回転自在に取り付けられた第1ローラ部453bとを有している。両端部の第1ローラ部453b,453bのそれぞれは、対応するレール部材451の下側内壁面に当接している。すなわち、一対の第1ローラ軸453,453が一対のレール部材451,451によって支持されている。これにより、ブリッジ防止装置4のうち、一対のレール部材451,451および一対の第1ラック部材452,452を除いた部分の重量が、一対のレール部材451,451によって支えられている。
【0049】
第2水平移動機構46は、ベース部材461と、一対の第2ラック部材462,462と、一対の第2ローラ軸463,463と、一対の第2ピニオン軸464,464と、短手方向移動用モータ465と、第2減速機466とを有する。ベース部材461は、金属板を組み合わせて形成されている。ベース部材461は、略直方体状の箱部461aと、複数の支持ブラケット461bとを有する。支持ブラケット461bは、箱部461aのうちY方向の一対の側壁のそれぞれに、Y方向外方に向けて突出するように設けられている。箱部461aの上壁には、攪拌用回転駆動部43の攪拌用減速機432が取り付けられている。攪拌用回転駆動部43の攪拌用減速機432の出力軸は、箱部461aの上下貫通孔の位置に設けられる。攪拌用減速機432の出力軸には、攪拌スクリュー部42の基端部が取り付けられている。
【0050】
箱部461aは、
図6に示すように、Y方向に並んだ一対の第2ピニオン軸464,464を支持する。具体的には、一対の第2ピニオン軸464,464は、X方向に延びるとともに、箱部461aの側壁を貫通している。各第2ピニオン軸464の両端部には、第2ピニオン部464bが設けられている。一対の第2ピニオン軸464,464の一方には、
図5および
図6に示すように、第2ピニオン軸側スプロケット464cが、箱部461aの内部の位置に取り付けられている。箱部461aの上壁には、窓部461cが、第2ピニオン軸側スプロケット464cの真上の位置に設けられている。また、箱部461aの上壁における窓部461cに隣接する位置には、第2減速機466が取り付けられている。第2減速機466には、短手方向移動用モータ465が接続されている。第2減速機466の出力軸には、第2減速機側スプロケット466aが取り付けられている。第2減速機側スプロケット466aと第2ピニオン軸側スプロケット464cとの間には、窓部461cを介して第2チェーン467が掛け渡されている。第2チェーン467は、第2チェーンケース468によって覆われている。
【0051】
一対の第2ラック部材462,462は、それぞれ、コの字状断面の短手方向部材411の上側内壁面に、短手方向部材411に沿って延びるように取り付けられている。一対の第2ピニオン軸464,464は、それぞれ、両端部の第2ピニオン部464bが対応する第2ラック部材462に噛み合うように構成されている。
【0052】
一対の第2ローラ軸463,463のそれぞれは、箱部461aのY方向の側壁に隣接するとともにX方向に延びるように、支持ブラケット461bに支持されている。より具体的には、第2ローラ軸463は、軸本体463aと軸本体463aの両端部に回転自在に取り付けられた第2ローラ部463bとを有している。支持ブラケット461bは、第2ローラ軸463の軸本体463aを支持している。第2ローラ軸463の両端部の第2ローラ部463b,463bのそれぞれは、対応する短手方向部材411の下側内壁面に当接している。第2ローラ軸463は、短手方向部材411によって支持されている。これにより、ベース部材461、攪拌用回転駆動部43、攪拌スクリュー部42、短手方向移動用モータ465および第2減速機466等の重量は、短手方向部材411によって支えられている。
【0053】
上述の構成のブリッジ防止装置4では、攪拌用モータ431が回転駆動されると、攪拌スクリュー部42が回転駆動される。攪拌用モータ431の回転方向を切り替えることにより、攪拌スクリュー部42は、貯留槽2内に貯留された被処理物に対し、上方への移動を発生させる場合(
図6のZ1方向)と、下方への移動を発生させる場合(
図6のZ2方向)のいずれも行うことができる。また、第1水平移動機構45の長手方向移動用モータ455が回転駆動されると、一方の第1ピニオン軸454が回転駆動されて、その回転駆動力が第1ピニオン部454bを介して第1ラック部材452に伝達される。これにより、本体フレーム部41および第2水平移動機構46が攪拌スクリュー部42とともにX方向に移動される。また、第2水平移動機構46の短手方向移動用モータ465が回転駆動されると、一方の第2ピニオン軸464が回転駆動されて、その回転駆動力が第2ピニオン部464bを介して第2ラック部材462に伝達される。これにより、ベース部材461が攪拌スクリュー部42とともにY方向に移動される。
【0054】
図7は、本実施形態に係るブリッジ防止装置4における攪拌スクリュー部42の第1スクリュー径D1と、スクリューコンベア3の第2スクリュー径D2との関係を示す側面図である。
図7に示すように、本実施形態の攪拌スクリュー部42の第1スクリュー径D1は、スクリューコンベア3の第2スクリュー径D2よりも大きく形成されている。より具体的には、本実施形態の攪拌スクリュー部42の第1スクリュー径D1は、スクリューコンベア3の第2スクリュー径D2の1.8倍程度の大きさに設定されている。また、攪拌スクリュー部42は、隣り合う2つ以上のスクリューコンベア3と平面視において常時重なり合うように構成されている(
図3参照)。これにより、攪拌スクリュー部42をY方向に移動させる場合、攪拌スクリュー部42がどの位置にあってもいずれかのスクリューコンベア3の真上に攪拌スクリュー部42の羽根部が位置するように設定されている。
【0055】
図8は、本実施形態に係る貯留排出装置1の制御部9と駆動部との電気的接続を示す概略図である。
図8に示すように、本実施形態の貯留排出装置1は、各駆動部の動作制御を行うための制御部9を備えている。制御部9は、第1Aスクリューコンベア311を駆動させる第1Aモータ311b、第1Bスクリューコンベア312を駆動させる第1Bモータ312b、第1Cスクリューコンベア313を駆動させる第1Cモータ313bおよび第1Dスクリューコンベア314を駆動させる第1Dモータ314bと電気的に接続されている。また、制御部9は、第2Aスクリューコンベア321を駆動させる第2Aモータ321b、第2Bスクリューコンベア322を駆動させる第2Bモータ322b、第2Cスクリューコンベア323を駆動させる第2Cモータ323bおよび第2Dスクリューコンベア324を駆動させる第2Dモータ324bと電気的に接続されている。
【0056】
また、制御部9は、排出口押出回転体7を回転駆動させる押出回転体用モータ8aと電気的に接続されている。また、制御部9は、ブリッジ防止装置4の攪拌スクリュー部42を回転駆動させる攪拌用モータ431、ブリッジ防止装置4の第1水平移動機構45を駆動させる長手方向移動用モータ455およびブリッジ防止装置4の第2水平移動機構46を駆動させる短手方向移動用モータ465と電気的に接続されている。制御部9は、予めプログラムされた内容に基づいて、各モータのシーケンス制御を行う。
【0057】
図9は、本実施形態に係る貯留排出装置1のスクリューコンベア3の動作パターンを説明するための模式図である。本実施形態の貯留排出装置1は、第1スクリューコンベア31として、第1Aスクリューコンベア311、第1Bスクリューコンベア312、第1Cスクリューコンベア313および第1Dスクリューコンベア314を備えている。また、貯留排出装置1は、第2スクリューコンベア32として、第2Aスクリューコンベア321、第2Bスクリューコンベア322、第2Cスクリューコンベア323および第2Dスクリューコンベア324を備えている。これらの最も基本的な機能は、貯留槽2内の被処理物を排出口2bの方へ移送し、被処理物が全て排出口2bから排出されるようにする機能である。この場合、
図9(a)に示すように、制御部9は、第1Aモータ311b、第1Bモータ312b、第1Cモータ313b、第1Dモータ314b、第2Aモータ321b、第2Bモータ322b、第2Cモータ323bおよび第2Dモータ324bの回転について、被処理物の移送方向が全てX1方向になるように制御する。
【0058】
しかし、被処理物は、貯留槽2に投入後すぐに排出されるのではなく、しばらく貯留槽2に貯留された状態が続くこともある。その場合、ブリッジ現象が発生しやすくなる。また、被処理物内部が嫌気性状態となって臭気を強める原因にもなる。そこで、本実施形態では、制御部9は、貯留槽2に貯留されている被処理物を攪拌するために、第1スクリューコンベア311,312,313,314および第2スクリューコンベア321,322,323,324の移送方向を制御することができる。例えば、
図9(b)に示すように、制御部9は、第1Bモータ312b、第1Dモータ314b、第2Bモータ322bおよび第2Dモータ324bの回転について、被処理物の移送方向がX1方向になるように制御する。一方、制御部9は、第1Aモータ311b、第1Cモータ313b、第2Aモータ321bおよび第2Cモータ323bの回転について、被処理物の移送方向がX2方向になるように制御する。この制御によって、貯留槽2の底部近傍の被処理物が攪拌される。
【0059】
また、制御部9は、状況に応じて、
図9(b)以外の制御を行うこともできる。例えば、
図9(c)に示すように、制御部9は、第1Aモータ311b、第1Bモータ312b、第1Cモータ313bおよび第1Dモータ314bの回転について、被処理物の移送方向がX1方向になるように制御する。一方、制御部9は、第2Aモータ321b、第2Bモータ322b、第2Cモータ323bおよび第2Dモータ324bの回転について、被処理物の移送方向がX2方向になるように制御する。
【0060】
図10は、本実施形態に係るブリッジ防止装置4の攪拌スクリュー部42の動作パターンを説明するための模式図である。上述の第1スクリューコンベア311,312,313,314および第2スクリューコンベア321,322,323,324による被処理物の攪拌のための制御では、貯留槽2の底部近傍の攪拌を行うことができる。しかし、この制御では、貯留槽2における中層や上層の被処理物は攪拌されず、ブリッジ現象の発生を抑えたり、ブリッジ現象を消滅させたりすることが不十分である。そこで、本実施形態では、制御部9が主貯留槽21の中においてブリッジ防止装置4の攪拌スクリュー部42を所定の動作パターンで移動させることにより、主貯留槽21全体に亘って中層や上層の被処理物の攪拌を行うことが可能である。
【0061】
具体的には、例えば
図10(a)に示すように、制御部9は、攪拌スクリュー部42についてY方向に移動させることを主体とする制御を行う。制御部9は、攪拌スクリュー部42について、Y方向の一端まで移動させたら少しX方向に移動させ、次にY方向の他端まで移動させるような、ジグザグの動作パターンで制御する。また、例えば
図10(b)に示すように、制御部9は、攪拌スクリュー部42についてX方向に移動させることを主体とする制御を行う。制御部9は、攪拌スクリュー部42について、X方向の一端まで移動させたら少しY方向に移動させ、次にX方向の他端まで移動させるような、ジグザグの動作パターンで制御する。上述の第1スクリューコンベア311,312,313,314および第2スクリューコンベア321,322,323,324の駆動制御と攪拌スクリュー部42の移動制御とを組み合わせ連携させることにより、貯留槽2に貯留された被処理物全体の攪拌を行うことができ、ブリッジ現象の発生を抑えたり、ブリッジ現象を消滅させたりすることができる。
【0062】
以上のとおり、上記実施形態に係る貯留排出装置1は、上部に設けられる被処理物の投入口2aと底部の一端側に設けられる被処理物の排出口2bとを有する貯留槽2と、貯留槽2の底部の被処理物を排出口2bに向けて移送するスクリューコンベア3と、ブリッジ防止装置4と、を備える。ブリッジ防止装置4は、上下方向に延びる回転軸心まわりに回転自在な攪拌スクリュー部42と、攪拌スクリュー部42を回転駆動させる攪拌用回転駆動部43と、攪拌スクリュー部42を水平方向に移動させる水平移動機構44と、を備える。
【0063】
上記構成によれば、上下に延びる回転軸心まわりに回転自在な攪拌スクリュー部42が攪拌用回転駆動部43により回転駆動されるので、貯留槽2に貯留された被処理物を、強制的に貯留槽2の上下方向に移動させることができる。また、攪拌スクリュー部42は、水平移動機構44によって水平方向に移動されるので、1箇所だけでなく水平方向の複数箇所において、貯留槽2に貯留された被処理物を、強制的に貯留槽2の上下方向に移動させることができる。つまり、ブリッジ防止装置4により、貯留槽2に貯留された被処理物を、上下方向と水平方向に広い領域で強制的に攪拌することができる。これにより貯留槽2全体に亘ってブリッジ現象が発生することを予防することができる。またブリッジ現象が発生したとしても、攪拌スクリュー部42の動きによって速やかにブリッジ部分を破壊することができる。これにより、貯留槽2全体に亘って容易にブリッジ防止効果を発揮させることができる。
【0064】
また、攪拌用回転駆動部43は、投入口2aの上方位置に配設される。攪拌スクリュー部42は、基端部が攪拌用回転駆動部43に接続され、先端部がスクリューコンベア3の上端近傍に配設される。
【0065】
上記構成によれば、ブリッジ防止装置4の攪拌用回転駆動部43を貯留槽2被処理物の投入口2aよりも上方位置に配置するので、攪拌用回転駆動部43が投入口2aから投入される被処理物によって埋まることを防ぐことができる。これにより、攪拌用回転駆動部43の故障を抑制することができる。また、このような位置の攪拌用回転駆動部43に攪拌スクリュー部42の基端部を接続する一方、攪拌スクリュー部42の先端部をスクリューコンベア3の上端近傍に配設することによって、攪拌スクリュー部42の上下方向の長さが貯留槽2の投入口2aから底部までの全体に亘るようにできる。これにより、貯留槽2に貯留された被処理物に対し、上側表面から底部までの全体に亘って攪拌スクリュー部42で攪拌することができる。これにより、ブリッジ防止効果をより一層発揮させることができる。
【0066】
また、スクリューコンベア3は、貯留槽2の底部に水平方向に並列となるように複数設けられる。攪拌スクリュー部42の第1スクリュー径D1は、スクリューコンベア3の第2スクリュー径D2よりも大きく形成されている。攪拌スクリュー部42は、隣り合う2つ以上のスクリューコンベア3と平面視において常時重なり合うように構成されている。
【0067】
上記構成によれば、攪拌スクリュー部42が、常時、隣り合う2つ以上のスクリューコンベア3の上方に位置するようにできるので、貯留槽2内の隣り合うスクリューコンベア3の間の空間に被処理物の滞留部が発生しないようにできる。
【0068】
また、水平移動機構44は、スクリューコンベア3の移送方向に沿う第1方向に攪拌スクリュー部42を移動させる第1水平移動機構45と、スクリューコンベア3の移送方向に直交する第2方向に攪拌スクリュー部42を移動させる第2水平移動機構46と、を備える。
【0069】
上記構成によれば、第1水平移動機構45と第2水平移動機構46は互いに水平面上の直交する2方向に攪拌スクリュー部42を移動させることができるので、貯留槽2の水平面全体に攪拌スクリュー部42を容易に移動させることができる。これにより、攪拌スクリュー部42のブリッジ防止効果をより確実に発揮させることができる。また、攪拌スクリュー部42は、スクリューコンベア3の移送方向に沿ってまたは当該移送方向と直交して移動可能に構成されているので、攪拌スクリュー部42とスクリューコンベア3との連携による、被処理物の排出口2bへの移送とブリッジ防止効果とをバランスよく発揮させることができる。
【0070】
また、スクリューコンベア3は、第1スクリューコンベア31と、排出口2bに対して第1スクリューコンベア31よりも離隔した位置に配置される第2スクリューコンベア32とを有している。第1スクリューコンベア31および第2スクリューコンベア32は、同心円状に配置されるとともに、対向する端部が相互に近接するように配設されている。第1スクリューコンベア31および第2スクリューコンベア32は、それぞれ独立して駆動されるように構成されている。
【0071】
上記構成によれば、第1スクリューコンベア31と第2スクリューコンベア32とを連携させることにより、被処理物を排出口2bへ移動させるためだけでなく、被処理物を貯留槽2内に留まらせて攪拌を効率よく行うためにも使用することができる。
【0072】
今回、開示した実施形態は全ての点で例示であって、限定的な解釈の根拠となるものではない。本発明の技術的範囲は、上述した実施形態のみによって解釈されるものではなく、特許請求の範囲の記載に基づいて画定される。また、本発明の技術的範囲には、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内での全ての変更が含まれる。
【0073】
例えば、上記実施形態では、攪拌スクリュー部42の中心軸は鉛直方向に延びるように構成されていた。本発明はこれに限らず、攪拌スクリュー部の中心軸は傾斜して上下方向に延びるように構成してもよい。
【0074】
また、上記実施形態では、水平移動機構44は、スクリューコンベア3の移送方向に沿う第1方向に攪拌スクリュー部42を移動させる第1水平移動機構45と、スクリューコンベア3の移送方向に直交する第2方向に攪拌スクリュー部42を移動させる第2水平移動機構46とを備えていた。本発明はこれに限らず、第1水平移動機構と第2水平移動機構は、直交ではない、交差する2方向へ攪拌スクリュー部を移動させるように構成してもよい。
【符号の説明】
【0075】
1 貯留排出装置
2 貯留槽
2a 投入口
2b 排出口
3 スクリューコンベア
4 ブリッジ防止装置
42 攪拌スクリュー部
43 攪拌用回転駆動部
44 水平移動機構
45 第1水平移動機構
46 第2水平移動機構
31 第1スクリューコンベア
32 第2スクリューコンベア
D1 第1スクリュー径
D2 第2スクリュー径