(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2025006078
(43)【公開日】2025-01-17
(54)【発明の名称】吸着剤再生装置および除去システム
(51)【国際特許分類】
B01D 53/04 20060101AFI20250109BHJP
B01D 53/26 20060101ALI20250109BHJP
F25B 1/00 20060101ALI20250109BHJP
B01J 20/34 20060101ALI20250109BHJP
【FI】
B01D53/04 230
B01D53/26 200
F25B1/00 399Y
B01J20/34 F
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023106642
(22)【出願日】2023-06-29
(71)【出願人】
【識別番号】000103921
【氏名又は名称】オリオン機械株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100104787
【弁理士】
【氏名又は名称】酒井 伸司
(72)【発明者】
【氏名】片桐 智美
(72)【発明者】
【氏名】丸山 強志
(72)【発明者】
【氏名】高牟禮 英治
(72)【発明者】
【氏名】中根 孝浩
【テーマコード(参考)】
4D012
4D052
4G066
【Fターム(参考)】
4D012BA02
4D012CA01
4D012CB16
4D012CD01
4D012CE01
4D012CF02
4D012CF10
4D012CG01
4D012CH06
4D012CK01
4D052AA02
4D052CD01
4D052DA02
4D052DB01
4D052GA01
4D052GB00
4D052GB01
4D052HA03
4G066AA61B
4G066CA01
4G066CA43
4G066DA01
4G066GA04
(57)【要約】
【課題】吸着能力再生処理を単独で実行することができ、かつ再生に要する時間を充分に短縮可能とする。
【解決手段】熱交換器22、吸着塔2a,2bのいずれか、熱交換器24および気液分離槽12をこの順で通過して熱交換器22に再び流入するように水素ガスを送風する送風機11を備え、吸着能力再生処理を開始するときに、熱交換器22を再生対象の吸着塔2bにおける気体入出口に対して接続させ、熱交換器24を吸着塔2bにおける気体入出口に対して接続させ、かつ送風機11を制御して予め規定された「第1の送風能力」で水素ガスを送風させると共に、冷凍サイクル10を制御して熱交換器22における水素ガスの加熱および熱交換器24における水素ガスの冷却を実行させ、吸着能力再生処理の実行中に予め規定された条件が満たされたときに、送風機11を制御して「第1の送風能力」よりも低い予め規定された「第2の送風能力」で水素ガスを送風させる。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
気体に含まれている除去対象を吸着塔内の吸着剤に吸着させて当該気体から除去する吸着除去処理を実行可能な除去システムにおける当該吸着剤を加熱再生方式の吸着能力再生処理によって再生可能に構成された吸着剤再生装置であって、
前記吸着能力再生処理を行う前記吸着塔に流入させる前記気体を冷媒との熱交換によって加熱する第1の熱交換器、前記吸着能力再生処理を行う前記吸着塔を通過させられた前記気体を前記冷媒との熱交換によって冷却する第2の熱交換器、前記第2の熱交換器において前記気体と熱交換させられた前記冷媒を前記第1の熱交換器に圧送する圧縮機、および前記第1の熱交換器と前記第2の熱交換器との間に配設された膨張弁を備えた冷凍サイクルと、
前記第2の熱交換器を通過させられた前記気体から前記除去対象を分離させる分離装置と、
前記第1の熱交換器、前記吸着塔、前記第2の熱交換器および前記分離装置をこの順で通過して当該第1の熱交換器に再び流入するように前記気体を送風する第1の送風機と、
気体導入用配管および気体排出用配管のうちのいずれか一方の配管と前記第1の熱交換器とのいずれかを前記吸着塔における一対の気体入出口のうちの一方に対して選択的に接続する第1の流路切替部と、
前記気体導入用配管および前記気体排出用配管のうちの他方の配管と前記第2の熱交換器とのいずれかを前記一対の気体入出口のうちの他方に対して選択的に接続する第2の流路切替部と、
前記冷凍サイクル、前記第1の送風機、前記第1の流路切替部および前記第2の流路切替部の動作を制御する制御部とを備え、
前記制御部は、
前記吸着能力再生処理を開始するときに、前記第1の流路切替え部を制御して前記第1の熱交換器を前記一対の気体入出口のうちの一方に対して接続させ、前記第2の流路切替え部を制御して前記第2の熱交換器を前記一対の気体入出口のうちの他方に対して接続させ、かつ前記第1の送風機を制御して予め規定された第1の送風能力で前記気体を送風させると共に、前記冷凍サイクルを制御して前記第1の熱交換器における前記気体の加熱および前記第2の熱交換器における当該気体の冷却を実行させ、
前記吸着能力再生処理の実行中に予め規定された第1の条件が満たされたときに、前記第1の送風機を制御して前記第1の送風能力よりも低い予め規定された第2の送風能力で前記気体を送風させる吸着剤再生装置。
【請求項2】
前記分離装置を通過させられた前記気体を、前記第1の熱交換器を通過させずに前記吸着塔に流入させるバイパス用配管と、
前記分離装置から前記第1の熱交換器を通過して前記吸着塔に流入する前記気体の第1の流量、および前記分離装置から前記バイパス用配管を通過して前記吸着塔に流入する前記気体の第2の流量を調整する流量調整部とを備え、
前記制御部は、吸着能力再生処理において、当該吸着能力再生処理を終了する予め規定された第2の条件が満たされるまで前記流量調整部に前記第2の流量よりも前記第1の流量の方が多くなるように前記気体の流量を調整させると共に、前記第2の条件が満たされたときに前記流量調整部に前記第1の流量よりも前記第2の流量の方が多くなるように前記気体の流量を調整させる請求項1記載の吸着剤再生装置。
【請求項3】
前記冷凍サイクルは、前記冷媒を凝縮させる凝縮器と、当該凝縮器に大気を送風する第2の送風機とを備え、
前記制御部は、前記第2の条件が満たされたときに、前記第2の送風機を制御して前記大気の送風量を増加させる請求項2記載の吸着剤再生装置。
【請求項4】
前記気体としての水素ガスから前記除去対象としての水分を除去可能に構成された前記除去システムにおける前記吸着剤の吸着能力を再生可能に構成されている請求項1記載の吸着剤再生装置。
【請求項5】
請求項1から4のいずれかに記載の吸着剤再生装置と前記吸着塔とを備えて前記気体から前記除去対象を除去可能に構成されている除去システム。
【請求項6】
複数の前記吸着塔を備えて当該各吸着塔の一部を対象とする前記吸着除去処理と当該各吸着塔の他の一部を対象とする前記吸着能力再生処理とを実行可能に構成され、
前記制御部は、前記各吸着塔の一部を対象とする前記吸着除去処理と当該各吸着塔の他の一部を対象とする前記吸着能力再生処理とを並行して実行するときに、前記第1の流路切替え部を制御して、当該各吸着塔の一部における前記一対の気体入出口のうちの一方を前記気体導入用配管および前記気体排出用配管のうちのいずれか一方の配管に対して接続させ、かつ当該各吸着塔の他の一部における前記一対の気体入出口のうちの一方に対して前記第1の熱交換器を接続させると共に、前記第2の流路切替え部を制御して、当該各吸着塔の一部における前記一対の気体入出口のうちの他方を前記気体導入用配管および前記気体排出用配管のうちの他方の配管に対して接続させ、かつ当該各吸着塔の他の一部における前記一対の気体入出口のうちの他方に対して前記第2の熱交換器を接続させる請求項5記載の除去システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、気体に含まれている除去対象を吸着塔内の吸着剤に吸着させて除去する吸着除去処理を実行可能な除去システムにおける吸着剤を加熱再生方式の吸着能力再生処理によって再生可能に構成された吸着剤再生装置、並びにそのような吸着剤再生装置を備えて吸着除去処理および吸着能力再生処理を実行可能に構成された除去システムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
例えば、水素ガスに含まれている水分を水素ガスから除去するときに、水素ガスを吸着塔に流入させて吸着塔内の吸着剤に水分を吸着させることによってこれを除去する吸着除去処理が広く実施されている。また、このような吸着除去処理に用いられる吸着剤のなかには、吸着能力を復元可能なものが存在し、そのような吸着剤を使用したときには、水分を吸着した吸着剤を加熱して吸着剤から水分を離脱させる加熱再生方式の吸着能力再生処理も広く実施されている。
【0003】
この場合、吸着能力再生処理において過度な加熱によって吸着剤を変質させることなく吸着能力を充分に復元する(吸着剤から水分を充分に離脱させる)には、ある程度長い時間に亘って適度な温度範囲内で吸着剤を加熱し続ける必要がある。このため、吸着能力再生処理に要する時間が長くなっている。また、吸着能力再生処理では、吸着剤を加熱するための熱源として電気ヒータ等が使用されている。このため、加熱のために電気ヒータ等によって消費されるエネルギーの分だけ、水素ガスからの水素の除去に要するコストが高騰している。
【0004】
一方、出願人は、複数の吸着塔およびヒートポンプユニットを備えて吸着除去処理および吸着能力再生処理を実行可能な除去システムを下記の先行出願において開示している。この場合、出願人が開示している除去システムでは、吸着能力再生処理を行う吸着塔に流入させる水素ガス(吸着剤を加熱するための水素ガス)が、ヒートポンプユニットを温熱源として温度上昇させられると共に、吸着剤から離脱させられた水分を含む水素ガスが、ヒートポンプユニットを冷熱源として冷却されて水素ガスから水分が分離される構成が採用されている。また、出願人が開示している除去システムでは、吸着除去処理を行う吸着塔に流入させる水素ガス(水分を含んだ水素ガス)が、ヒートポンプユニットを冷熱源として冷却され、これにより、水素ガスに含まれる水分の一部が吸着除去処理を行う吸着塔に流入させられる前に水素ガスから分離される構成が採用されている。
【0005】
これにより、出願人が開示している除去システムによれば、各吸着塔のうちの一部において吸着除去処理を実行しているときに、他の一部の吸着塔についての吸着能力再生処理を並行して実行して吸着能力を再生することができるため、システム全体として、吸着除去処理を継続して実行することが可能となっている。また、出願人が開示している除去システムによれば、水素ガスに含まれる水分の一部が吸着除去処理を行う吸着塔に流入させられる前に水素ガスから分離されることで、吸着除去処理を行う吸着塔における吸着剤の吸着能力が短時間で低下する事態が回避され、これにより、他の吸着塔についての吸着能力再生処理に必要な充分な時間を確保することが可能となっている。
【0006】
さらに、出願人が開示している除去システムによれば、上記のように、ヒートポンプユニットを温熱源および冷熱源として水素ガスの加熱や冷却を行う構成を採用している。これにより、水素ガスの冷却のための冷熱源(例えば、冷凍サイクル)とは別個に、水素ガスの加熱のための温熱源として電気ヒータを使用する構成と比較して、消費エネルギーを充分に低減することができ、水素ガスからの水素の除去に要するコストを充分に低減することが可能となっている。
【先行出願1】
【0007】
特願2022-025415
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
ところが、出願人が開示している除去システムには、以下のような改善すべき課題が存在する。
【0009】
具体的には、出願人が開示している除去システムでは、ヒートポンプユニットを温熱源および冷熱源として使用して水素ガスを加熱したり冷却したりする構成が採用されている。この場合、ヒートポンプユニットでは、冷凍サイクルにおける凝縮器を温熱源とし、かつ蒸発器を冷熱源として使用している。また、凝縮器を温熱源として使用するには、圧縮機において充分な量の冷媒を圧縮する必要があり、そのためには、冷熱源として使用される蒸発器において充分な量の冷媒を気化させる必要がある。つまり、凝縮器における放熱量と蒸発器における吸熱量とを均衡させるのが前提のヒートポンプユニット(冷凍サイクル)を温熱源および冷熱源として使用する構成では、水素ガスの加熱に必要な熱量を蒸発器において吸熱する必要がある。
【0010】
しかしながら、吸着除去処理および吸着能力再生処理を開始した直後においては、吸着能力再生処理を行う吸着塔に流入させる水素ガスの温度が充分に高い温度とはなっていない。このため、この吸着塔を通過させられた水素ガスの温度も低い状態であり、蒸発器から充分な熱量を吸熱するのが困難となっている。この場合、出願人が開示している除去システムでは、前述したように、吸着除去処理を行う吸着塔に流入させる水素ガスを、ヒートポンプユニットを冷熱源として冷却することにより、水素ガスに含まれる水分の一部を吸着塔に流入させる前に水素ガスから分離する構成が採用されている。これにより、処理を開始した直後においても、水素ガスの冷却によって吸熱した熱を蒸発器から吸熱させることができるものの、水素ガスの温度がそれほど高くない環境においては、依然として、蒸発器から充分な熱量を吸熱するのが困難となっている。
【0011】
したがって、出願人が開示している除去システムでは、吸着除去処理および吸着能力再生処理を開始してから、吸着能力再生処理を行う吸着塔に流入させる水素ガスを充分に高い温度まで加熱し得る状態となるまでに要する時間が長くなっている現状がある。このため、吸着能力再生処理に要する時間を一層短縮するのが困難となっており、この点を改善するのが好ましい。
【0012】
また、出願人が開示している除去システムでは、吸着能力再生処理を行う吸着塔に流入させる水素ガスを加熱するために水素ガスに加えられる熱量よりも、吸着剤から離脱させられた水分を含む水素ガスを冷却することで水素ガスから吸熱される熱量の方が、吸着剤からの水分の離脱によって失われる熱量の分だけ少量となる傾向がある。このため、出願人が開示している除去システムでは、吸着除去処理を行う吸着塔に流入させる水素ガスを吸着塔に流入させる前に冷却することにより、水素ガスから吸熱した熱を蒸発器において吸熱させて、凝縮器における放熱量と蒸発器における吸熱量とを均衡させ、吸着除去処理と吸着能力再生処理とを並行して実行することが可能となっている。
【0013】
したがって、出願人が開示している除去システムでは、吸着除去処理を行う吸着塔に流入させる水素ガスを吸着塔に流入させる前に冷却せずに吸着能力再生処理を実行すること、すなわち、吸着除去処理を実行せずに吸着能力再生処理だけを単独で実行することが困難となっている。このため、この点も改善するのが好ましい。
【0014】
本発明は、かかる改善すべき課題に鑑みてなされたものであり、吸着除去処理を実行せずに吸着能力再生処理を実行することができ、しかも、吸着能力再生処理に要する時間を充分に短縮し得る吸着剤再生装置および除去システムを提供することを主目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0015】
上記目的を達成すべく、請求項1記載の吸着剤再生装置は、気体に含まれている除去対象を吸着塔内の吸着剤に吸着させて当該気体から除去する吸着除去処理を実行可能な除去システムにおける当該吸着剤を加熱再生方式の吸着能力再生処理によって再生可能に構成された吸着剤再生装置であって、前記吸着能力再生処理を行う前記吸着塔に流入させる前記気体を冷媒との熱交換によって加熱する第1の熱交換器、前記吸着能力再生処理を行う前記吸着塔を通過させられた前記気体を前記冷媒との熱交換によって冷却する第2の熱交換器、前記第2の熱交換器において前記気体と熱交換させられた前記冷媒を前記第1の熱交換器に圧送する圧縮機、および前記第1の熱交換器と前記第2の熱交換器との間に配設された膨張弁を備えた冷凍サイクルと、前記第2の熱交換器を通過させられた前記気体から前記除去対象を分離させる分離装置と、前記第1の熱交換器、前記吸着塔、前記第2の熱交換器および前記分離装置をこの順で通過して当該第1の熱交換器に再び流入するように前記気体を送風する第1の送風機と、気体導入用配管および気体排出用配管のうちのいずれか一方の配管と前記第1の熱交換器とのいずれかを前記吸着塔における一対の気体入出口のうちの一方に対して選択的に接続する第1の流路切替部と、前記気体導入用配管および前記気体排出用配管のうちの他方の配管と前記第2の熱交換器とのいずれかを前記一対の気体入出口のうちの他方に対して選択的に接続する第2の流路切替部と、前記冷凍サイクル、前記第1の送風機、前記第1の流路切替部および前記第2の流路切替部の動作を制御する制御部とを備え、前記制御部は、前記吸着能力再生処理を開始するときに、前記第1の流路切替え部を制御して前記第1の熱交換器を前記一対の気体入出口のうちの一方に対して接続させ、前記第2の流路切替え部を制御して前記第2の熱交換器を前記一対の気体入出口のうちの他方に対して接続させ、かつ前記第1の送風機を制御して予め規定された第1の送風能力で前記気体を送風させると共に、前記冷凍サイクルを制御して前記第1の熱交換器における前記気体の加熱および前記第2の熱交換器における当該気体の冷却を実行させ、前記吸着能力再生処理の実行中に予め規定された第1の条件が満たされたときに、前記第1の送風機を制御して前記第1の送風能力よりも低い予め規定された第2の送風能力で前記気体を送風させる。
【0016】
請求項2記載の吸着剤再生装置は、請求項1記載の吸着剤再生装置において、前記分離装置を通過させられた前記気体を、前記第1の熱交換器を通過させずに前記吸着塔に流入させるバイパス用配管と、前記分離装置から前記第1の熱交換器を通過して前記吸着塔に流入する前記気体の第1の流量、および前記分離装置から前記バイパス用配管を通過して前記吸着塔に流入する前記気体の第2の流量を調整する流量調整部とを備え、前記制御部は、吸着能力再生処理において、当該吸着能力再生処理を終了する予め規定された第2の条件が満たされるまで前記流量調整部に前記第2の流量よりも前記第1の流量の方が多くなるように前記気体の流量を調整させると共に、前記第2の条件が満たされたときに前記流量調整部に前記第1の流量よりも前記第2の流量の方が多くなるように前記気体の流量を調整させる。
【0017】
請求項3記載の吸着剤再生装置は、請求項2記載の吸着剤再生装置において、前記冷凍サイクルは、前記冷媒を凝縮させる凝縮器と、当該凝縮器に大気を送風する第2の送風機とを備え、前記制御部は、前記第2の条件が満たされたときに、前記第2の送風機を制御して前記大気の送風量を増加させる。
【0018】
請求項4記載の吸着剤再生装置は、請求項1記載の吸着剤再生装置において、前記気体としての水素ガスから前記除去対象としての水分を除去可能に構成された前記除去システムにおける前記吸着剤の吸着能力を再生可能に構成されている。
【0019】
請求項5記載の除去システムは、請求項1から4のいずれかに記載の吸着剤再生装置と前記吸着塔とを備えて前記気体から前記除去対象を除去可能に構成されている。
【0020】
請求項6記載の除去システムは、請求項5記載の除去システムにおいて、複数の前記吸着塔を備えて当該各吸着塔の一部を対象とする前記吸着除去処理と当該各吸着塔の他の一部を対象とする前記吸着能力再生処理とを実行可能に構成され、前記制御部は、前記各吸着塔の一部を対象とする前記吸着除去処理と当該各吸着塔の他の一部を対象とする前記吸着能力再生処理とを並行して実行するときに、前記第1の流路切替え部を制御して、当該各吸着塔の一部における前記一対の気体入出口のうちの一方を前記気体導入用配管および前記気体排出用配管のうちのいずれか一方の配管に対して接続させ、かつ当該各吸着塔の他の一部における前記一対の気体入出口のうちの一方に対して前記第1の熱交換器を接続させると共に、前記第2の流路切替え部を制御して、当該各吸着塔の一部における前記一対の気体入出口のうちの他方を前記気体導入用配管および前記気体排出用配管のうちの他方の配管に対して接続させ、かつ当該各吸着塔の他の一部における前記一対の気体入出口のうちの他方に対して前記第2の熱交換器を接続させる。
【発明の効果】
【0021】
請求項1記載の吸着剤再生装置では、制御部が、吸着能力再生処理を開始するときに、第1の流路切替え部を制御して第1の熱交換器を吸着塔における一対の気体入出口のうちの一方に対して接続させ、第2の流路切替え部を制御して第2の熱交換器を吸着塔における一対の気体入出口のうちの他方に対して接続させ、かつ第1の送風機を制御して予め規定された第1の送風能力で気体を送風させると共に、冷凍サイクルを制御して第1の熱交換器における気体の加熱および第2の熱交換器における気体の冷却を実行させ、吸着能力再生処理の実行中に予め規定された第1の条件が満たされたときに、第1の送風機を制御して第1の送風能力よりも低い予め規定された第2の送風能力で気体を送風させる。また、請求項5記載の除去システムでは、上記の吸着剤再生装置と吸着塔とを備えて気体から除去対象を除去可能に構成されている。
【0022】
したがって、請求項1記載の吸着剤再生装置、および請求項5記載の除去システムによれば、吸着能力再生処理の開始直後であることで、第1の熱交換器によって気体を充分に加熱するのが困難な状態においても、第1の送風機による第1の送風能力での送風時に気体の温度が上昇するため、電気ヒータなどの外部熱源を使用することなく、吸着能力再生処理を行う吸着塔に対して充分に温度上昇した気体を流入させることができる。これにより、吸着能力再生処理の開始直後から吸着剤を加熱して除去対象を離脱させることができるため、吸着能力の復元(再生)に要する時間を短縮することができると共に、吸着塔を通過させられて第2の熱交換器に到達する気体の温度も短時間で上昇するため、第2の熱交換器において充分な量の冷媒を気化させて、冷媒流路内における単位時間あたりの冷媒の循環量を短時間で増加させることができる。この結果、第1の熱交換器において気体を充分に加熱できる状態となるまでに要する時間を短縮することができ、吸着能力の復元(再生)に要する時間を一層短縮することができる。また、吸着除去処理を実行することなく吸着能力再生処理だけを実行することができ、これにより、除去システムを様々な運用形態で動作させることができる。
【0023】
また、請求項2記載の吸着剤再生装置では、制御部が、吸着能力再生処理において、吸着能力再生処理を終了する予め規定された第2の条件が満たされるまで流量調整部にバイパス用配管を通過する第2の流量よりも第1の熱交換器を通過する第1の流量の方が多くなるように気体の流量を調整させると共に、第2の条件が満たされたときに流量調整部に第1の流量よりも第2の流量の方が多くなるように気体の流量を調整させる。
【0024】
したがって、請求項2記載の吸着剤再生装置、およびそのような吸着剤再生装置を備えた除去システムによれば、吸着能力再生処理を終了するときに、第1の熱交換器によって加熱された気体が吸着塔に流入する量を少量とすることで、吸着能力再生処理によって温度上昇した吸着塔(吸着剤)を短時間で温度低下させることができる。これにより、吸着能力再生処理を終了した吸着塔を使用して吸着除去処理を直ちに開始したとしても、その吸着塔内の吸着剤に除去対象を好適に吸着させることができる。
【0025】
また、請求項3記載の吸着剤再生装置では、制御部が、第2の条件が満たされたときに、第2の送風機を制御して凝縮器に対する大気の送風量を増加させる。したがって、請求項3記載の吸着剤再生装置、およびそのような吸着剤再生装置を備えた除去システムによれば、第1の熱交換器における気体との熱交換が行われずに第1の熱交換器において冷媒が凝縮されない状態においても凝縮器において充分な量の冷媒を凝縮させることができ、これにより、第2の熱交換器において気体を充分に冷却することができる。したがって、第2の熱交換器からバイパス用配管を介して吸着塔に流入させる気体の温度を充分に低下させることができ、吸着能力再生処理によって温度上昇した吸着塔(吸着剤)を一層短時間で温度低下させることができる。
【0026】
また、請求項4記載の吸着剤再生装置では、気体としての水素ガスから除去対象としての水分を除去可能に構成された除去システムにおける吸着剤の吸着能力を再生可能に構成されている。したがって、請求項4記載の吸着剤再生装置、およびそのような吸着剤再生装置を備えた除去システムによれば、吸着塔の吸着能力再生処理に要する時間を充分に短縮し、そのコストを低減できるため、水素ガスからの水分の除去に要する時間を充分に短縮し、そのコストを低減することができる。
【0027】
請求項6記載の除去システムでは、制御部が、各吸着塔の一部を対象とする吸着除去処理と各吸着塔の他の一部を対象とする吸着能力再生処理とを並行して実行するときに、第1の流路切替え部を制御して、各吸着塔の一部における一対の気体入出口のうちの一方を気体導入用配管および気体排出用配管のうちのいずれか一方の配管に対して接続させ、かつ各吸着塔の他の一部における一対の気体入出口のうちの一方に対して第1の熱交換器を接続させると共に、第2の流路切替え部を制御して、各吸着塔の一部における一対の気体入出口のうちの他方を気体導入用配管および気体排出用配管のうちの他方の配管に対して接続させ、かつ各吸着塔の他の一部における一対の気体入出口のうちの他方に対して第2の熱交換器を接続させる。したがって、請求項6記載の除去システムによれば、複数の吸着塔を交互に使用して吸着除去処理を継続して実行することができる。
【図面の簡単な説明】
【0028】
【
図1】吸着塔2aを対象とする吸着除去処理、および吸着塔2bを対象とする吸着能力再生処理を行っている状態における除去システム1の構成図である。
【
図2】吸着塔2bを対象とする吸着除去処理、および吸着塔2aを対象とする吸着能力再生処理を行っている状態における除去システム1の構成図である。
【発明を実施するための形態】
【0029】
以下、添付図面を参照して、吸着剤再生装置および除去システムの実施の形態について説明する。
【0030】
最初に、除去システム1の構成について、添付図面を参照して説明する。
【0031】
図1,2に示す除去システム1は、「除去システム」の一例であって、吸着塔2a,2bおよび再生装置3を備えている。
【0032】
この除去システム1は、後述するように、水素発生装置や水素貯蔵タンクなどの水素ガス供給源(図示せず)から導入用配管Pi(「気体導入用配管」の一例)を介して導入される水素ガス(「気体」の一例)を処理対象として、この水素ガスに含まれている水分(「除去対象」の一例)を吸着塔2a,2b内の吸着剤に吸着させて水素ガスから除去する(水素ガスの湿度を低下させる)と共に、水分を除去した水素ガスを各種の水素ガス使用機器や上記の水素貯蔵タンクとは異なる水素貯蔵タンクなどの水素ガス供給対象(図示せず)に排出用配管Po(「気体排出用配管」の一例)を介して供給する(排出する)吸着除去処理を実行することができるように構成されている。
【0033】
また、除去システム1は、吸着塔2a,2b内の吸着剤を加熱再生方式の吸着能力再生処理によって再生する(水分を吸着する吸着能力を復元する)ことができるように構成さている(「複数の吸着塔を備えて各吸着塔の一部を対象とする吸着除去処理と各吸着塔の他の一部を対象とする吸着能力再生処理とを実行可能に構成され」との構成の一例)。
【0034】
吸着塔2a,2b(以下、区別しないときには、単に「吸着塔2」ともいう)は、「吸着塔」の一例であって、水素ガスの導入/排出が可能な2つの入出口(「一対の気体入出口」の一例)が設けられた耐圧容器で構成されると共に、両入出口の間に水素ガスの通過が可能な吸着剤の層が設けられている。この場合、「気体」としての水素ガスから「除去対象」としての水分を吸着除去する本例の除去システム1では、ゼオライト(合成ゼオライト)などの吸着剤が耐圧容器内に収容されて吸着塔2が構成されている。
【0035】
再生装置3は、「吸着剤再生装置」の一例であって、冷凍サイクル10、送風機11、気液分離槽12、流路切替弁13a,13b、流量調整弁14a,14b、制御部15およびバイパス用配管Pbなどを備えている。この場合、本例の再生装置3では、吸着塔2における2つの入出口のうちの一方に流路切替弁13aが配設され、この流路切替弁13aに導入用配管Piが接続されると共に、吸着塔2における2つの入出口のうちの他方に流路切替弁13bが配設され、この流路切替弁13bに排出用配管Poが接続されている。
【0036】
また、本例の再生装置3では、吸着能力再生処理に際して、処理対象の吸着塔2、流路切替弁13a、熱交換器24、気液分離槽12、送風機11、流量調整弁14aおよび熱交換器22を経て、再び処理対象の吸着塔2に水素ガスが流入する水素ガス循環路を形成することができるように水素ガス配管が配設されている。さらに、本例の再生装置3では、後述するように、送風機11によって送風する水素ガスの一部、またはすべてを、流量調整弁14aおよび熱交換器22を通過させずに流路切替弁13bから吸着塔2に流入させるようにバイパス用配管Pb(「分離装置を通過させられた気体を、第1の熱交換器を通過させずに吸着塔に流入させるバイパス用配管」の一例)が並設されている。
【0037】
なお、除去システム1の設置完了直後や、各種メンテナンス作業に際してすべての水素ガスをシステム内から取り除いた状態においては、上記の水素ガス循環路を構成する水素ガス配管内(バイパス用配管Pb内を含む)に水素ガスが存在しない状態となっている。このため、吸着能力再生処理を開始するときには、水素ガス循環路を構成する水素ガス配管内(バイパス用配管Pb内を含む)に水素ガスを充填させる作業が必要となるが、配管内の空気等を脱気して水素ガスを充填する作業については公知のため、この充填の作業に関する説明を省略する。
【0038】
冷凍サイクル10は、「冷凍サイクル」の一例であって、圧縮機21、熱交換器22、膨張弁23、熱交換器24、凝縮器25およびファン25aを備えている。この場合、熱交換器22は、「第1の熱交換器」の一例であって、冷凍サイクル10における「凝縮器」として機能するように配設されて、後述するように吸着能力再生処理を行う吸着塔2に流入させる水素ガスを冷媒との熱交換によって加熱可能に構成されている。また、熱交換器24は、「第2の熱交換器」の一例であって、冷凍サイクル10における「蒸発器」として機能するように配設されて、吸着能力再生処理を行う吸着塔2を通過させられた水素ガスを冷媒との熱交換によって冷却可能に構成されている。
【0039】
また、凝縮器25は、「凝縮器」の一例であって、後述するように熱交換器22における冷媒の凝縮量が不足する状態となったときに、この凝縮器25において必要量の冷媒を凝縮させることができるように配設されている。なお、この凝縮器25の冷凍サイクル10内における配置については、両図に示すような熱交換器22(第1の熱交換器)の下流側に限定されず、圧縮機21と熱交換器22との間(熱交換器22の上流側)にこれを配置することもできる。また、ファン25aは、「第2の送風機」の一例であって、上記のように凝縮器25において必要量の冷媒を凝縮させるときに制御部15の制御に従って凝縮器25に大気を送風する。
【0040】
送風機11は、「第1の送風機」の一例であって、熱交換器22、吸着塔2、熱交換器24および気液分離槽12をこの順で通過して熱交換器22に再び流入するように水素ガスを送風する。なお、この送風機11の水素ガス循環路内における配置については、両図に示すような気液分離槽12と熱交換器22(第1の熱交換器)との間に限定されず、熱交換器22およびバイパス用配管Pbと流路切替弁13bとの間、流路切替弁13aと熱交換器24との間、並びに熱交換器24と気液分離槽12との間にこれを配置することもできる。気液分離槽12は、「分離装置」の一例であって、熱交換器24を通過させられた水素ガスから水分を分離させる。
【0041】
流路切替弁13aは、「第2の流路切替部」の一例であって、制御部15の制御に従い、導入用配管Piと熱交換器24とのいずれかを吸着塔2における2つの気体入出口のうちの1つに対して選択的に接続する(「気体導入用配管および気体排出用配管のうちの他方」が「気体導入用配管」である構成の例)。流路切替弁13bは、「第1の流路切替部」の一例であって、制御部15の制御に従い、排出用配管Poと熱交換器22とのいずれかを吸着塔2における2つの気体入出口のうちの1つに対して選択的に接続する(「気体導入用配管および気体排出用配管のうちのいずれか一方」が「気体排出用配管」である構成の例)。
【0042】
流量調整弁14a,14bは、「流量調整部」の一例であって、制御部15の制御に従い、流量調整弁14aが、気液分離槽12から熱交換器22を通過して吸着塔2に流入する水素ガスの流量(「第1の流量」の一例)を調整すると共に、流量調整弁14bが、気液分離槽12からバイパス用配管Pbを通過して吸着塔2に流入する水素ガスの流量(熱交換器22を通過せずに吸着塔2に流入する水素ガスの流量:「第2の流量」の一例)を調整する。なお、「流量調整部」については、上記の流量調整弁14a,14bに代えて、バイパス用配管Pbの上流側端部および下流側端部のいずれかに三方弁を配設し、この三方弁を「流量調整部」として機能させて、熱交換器22およびバイパス用配管Pbのいずれかに水素ガスを選択的に通過させる構成を採用することもできる。
【0043】
制御部15は、「制御部」の一例であって、除去システム1(再生装置3)を総括的に制御する。具体的には、制御部15は、流路切替弁13a,13bを制御して水素ガスの流路を切り替えさせると共に、送風機11を制御して水素ガスを送風(圧送)させ、かつ、流量調整弁14a,14bを制御して熱交換器22およびバイパス用配管Pbを通過させる水素ガスの流量を調整させる。また、制御部15は、冷凍サイクル10を制御して熱交換器22における水素ガスの加熱、および熱交換器24における水素ガスの冷却や、凝縮器25における冷媒の凝縮(ファン25aによる大気の送風)などを実行させる。なお、制御部15による各部の制御態様については、後に具体的な例を挙げて詳細に説明する。
【0044】
次に、除去システム1による吸着除去処理および吸着能力再生処理について説明する。
【0045】
本例の除去システム1では、吸着除去処理および吸着能力再生処理を並行して実行する動作モードに加え、吸着除去処理だけを単独で実行する動作モード、および吸着能力再生処理だけを単独で実行する動作モードで動作することができるように構成されている。
【0046】
まず、吸着除去処理だけを単独で実行するときに、制御部15は、冷凍サイクル10や送風機11を停止させた状態において、流路切替弁13a,13bを制御することにより、導入用配管Piを介して導入される水素ガスが、吸着塔2aを通過して排出用配管Poを介して排出される状態(
図1に示す状態)、および導入用配管Piを介して導入される水素ガスが吸着塔2bを通過して排出用配管Poを介して排出される状態(
図2に示す状態)のいずれかに切り替えさせる。
【0047】
この場合、
図1に示すように、流路切替弁13a,13bによって導入用配管Piおよび排出用配管Poに吸着塔2aが接続されたときには、同図に矢印Aaで示すように導入用配管Piを介して導入された水素ガスが吸着塔2aを通過させられて排出用配管Poから排出される。この際には、導入された水素ガスに含まれている水分が吸着塔2a内の吸着剤に吸着されて除去される。なお、同図および
図2では、流路切替弁13a,13bにおける4つのポートのうちの黒色で図示されているポート同士が連通させられ、かつ白色で図示されているポート同士が連通させられた状態を示している。
【0048】
また、
図2に示すように、流路切替弁13a,13bによって導入用配管Piおよび排出用配管Poに吸着塔2bが接続されたときには、同図に矢印Abで示すように導入用配管Piを介して導入された水素ガスが吸着塔2bを通過させられて排出用配管Poから排出される。この際には、導入された水素ガスに含まれている水分が吸着塔2b内の吸着剤に吸着されて除去される。これにより、水分を除去された水素ガスが、水素ガス供給対象に供給される。この場合、上記のいずれの状態においても、吸着塔2内の吸着剤は、水素ガスに含まれていた水分の吸着により、その吸着能力が徐々に低下する。したがって、吸着塔2内の処理対象の水素ガスから水分を好適に除去するのが困難な程度まで吸着剤の吸着能力が低下する前に、吸着能力再生処理を実行して吸着能力を再生する必要がある。
【0049】
一方、吸着能力再生処理だけを単独で実行するときに、制御部15は、冷凍サイクル10を制御して冷媒流路内における冷媒の循環を開始させる。また、制御部15は、流路切替弁13a,13bを制御することにより、上記の水素ガス循環路内を水素ガスが循環するように流路を切り替えさせる。さらに、制御部15は、送風機11を制御して水素ガス循環路内における水素ガスの循環を開始させる。なお、吸着能力再生処理を開始したこの時点において、制御部15は、一例として、流量調整弁14aを開状態に制御すると共に、流量調整弁14bを閉状態に制御することにより、送風機11によって送風される水素ガスのすべてがバイパス用配管Pbを通過せずに熱交換器22を通過する状態とする(「吸着能力再生処理を終了する予め規定された第2の条件が満たされるまで流量調整部に第2の流量よりも第1の流量の方が多くなるように気体の流量を調整させる」との制御の一例)。また、制御部15は、ファン25aを停止させた状態(凝縮器25における冷媒の凝縮量が最も少量となる状態)を維持する。
【0050】
この場合、吸着塔2bを対象とする吸着能力再生処理を開始するときに、制御部15は、
図1に示すように、流路切替弁13aを制御して吸着塔2bにおける両入出口の一方に熱交換器24を接続させると共に(「第2の流路切替え部を制御して第2の熱交換器を一対の気体入出口のうちの他方に対して接続させ」との制御の一例)、流路切替弁13bを制御して吸着塔2bにおける両入出口の他方に熱交換器22を接続させる(「第1の流路切替え部を制御して第1の熱交換器を一対の気体入出口のうちの一方に対して接続させ」との制御の一例)。この際には、同図に矢印Baで示すように、送風機11によって送風される水素ガスが、流量調整弁14a、熱交換器22、流路切替弁13b、吸着塔2b、流路切替弁13a、熱交換器24および気液分離槽12をこの順で通過して、送風機11によって再び熱交換器22に向かって送風される状態となる。
【0051】
また、吸着塔2aを対象とする吸着能力再生処理を開始するときに、制御部15は、
図2に示すように、流路切替弁13aを制御して吸着塔2aにおける両入出口の一方に熱交換器24を接続させると共に(「第2の流路切替え部を制御して第2の熱交換器を一対の気体入出口のうちの他方に対して接続させ」との制御の他の一例)、流路切替弁13bを制御して吸着塔2aにおける両入出口の他方に熱交換器22を接続させる(「第1の流路切替え部を制御して第1の熱交換器を一対の気体入出口のうちの一方に対して接続させ」との制御の他の一例)。この際には、同図に矢印Bbで示すように、送風機11によって送風される水素ガスが、流量調整弁14a、熱交換器22、流路切替弁13b、吸着塔2a、流路切替弁13a、熱交換器24および気液分離槽12をこの順で通過して、送風機11によって再び熱交換器22に向かって送風される状態となる。
【0052】
これにより、熱交換器22において冷媒との熱交換によって加熱された水素ガス(相対湿度が低下した水素ガス)が、吸着塔2に流入させられ、この水素ガスによって吸着塔2内の吸着剤が加熱される。また、吸着剤の温度上昇に伴い、吸着されていた水分が吸着剤から離脱させられ(気化させられ)、水素ガスと共に吸着塔2から排出される。さらに、吸着塔2から排出された水素ガスは、熱交換器24において冷媒との熱交換によって冷却されることで相対湿度が上昇して気相の水分が液相に変化する。また、熱交換器24から排出される液相の水分(水滴)および水素ガスは、気液分離槽12内において気液分離され、液相の水分が気液分離槽12内に貯留されると共に、水分を分離された水素ガスは、送風機11によって再び熱交換器22に向かって送風される。これにより、この吸着能力再生処理を継続することにより、吸着塔2内の吸着剤が再生されて吸着能力が復元される。なお、気液分離槽12において分離された水分は、一例として、気液分離槽12内への貯水量が規定量に達したときに気液分離槽12から排水される。
【0053】
この場合、吸着能力再生処理の開始直後、すなわち、冷凍サイクル10の冷媒流路内で冷媒の循環が開始された直後は、圧縮機21によって圧縮されて熱交換器22に圧送される冷媒の温度が充分に高い温度まで上昇していない。このため、吸着塔2に流入させる水素ガスを熱交換器22において充分に高い温度まで上昇させるのが困難となっている。また、吸着塔2を通過して熱交換器24に流入する水素ガスの温度も充分に高い温度まで上昇していないため、熱交換器24において充分な量の冷媒を気化させるのも困難となっている。この結果、圧縮機21によって充分な量の冷媒を圧縮して熱交換器22に供給することができないため、熱交換器22において水素ガスを充分に高い温度まで加熱することが可能な状態となるまでに長い時間を要することとなる。
【0054】
したがって、本例の除去システム1(再生装置3)では、吸着能力再生処理の開始時点において、制御部15が、送風機11を制御することにより、最も高い送風能力(除去システム1の稼働中に変化させられる送風機11の送風能力のなかで最も高い送風能力:一例として、送風機11に採用されている電動機の定格での運転:「予め規定された第1の送風能力」の一例)で水素ガスを送風させる。この際には、送風機11の動力源(電動機)が高速回転させられることで送風機11の発熱量が増加するため、この温熱により、送風機11によって送風される水素ガスが過熱(温度上昇)させられる。したがって、上記のように吸着能力再生処理の開始直後であることで熱交換器22において水素ガスを充分に加熱するのが困難な状態であるにも拘わらず、「第1の送風能力」で動作中の送風機11によって送風される水素ガスの温度が上昇させられる分だけ、吸着塔2に流入させる水素ガスの温度を上昇させることができる。これにより、処理対象の吸着塔2内の吸着剤を短時間で充分に温度上昇させることができる。
【0055】
また、送風機11に「第1の送風能力」で水素ガスを送風させて吸着塔2に流入させる水素ガスの温度を上昇させることにより、送風機11を低い送風能力(送風機11の発熱量が少量の状態)で動作させた場合と比較し、吸着塔2から排出される水素ガスの温度も短時間で上昇する。これにより、熱交換器24において充分な量の冷媒を気化させることが可能となり、圧縮機21によって充分な量の冷媒を圧縮して熱交換器22に供給することが可能となる。したがって、冷凍サイクル10が熱交換器22において水素ガスを充分に高い温度まで加熱することが可能な状態となるまでに要する時間を短縮することができ、吸着塔2に流入させる水素ガスの温度を短時間で上昇させることができる。この結果、処理対象の吸着塔2内の吸着剤を短時間で充分に温度上昇させることができる。
【0056】
また、制御部15は、一例として、吸着能力再生処理を開始してから予め規定された時間が経過したとき(「吸着能力再生処理の実行中に予め規定された第1の条件が満たされたとき」の一例)に、送風機11を制御して、上記の「第1の送風能力」よりも低い予め規定された「第2の送風能力」で水素ガスを送風させる。この場合、送風機11によって「第1の送風能力」で水素ガスを送風させることによって送風する水素ガスの温度が上昇するため、冷媒流路内で充分な量の冷媒を循環させて熱交換器22において水素ガスを充分に加熱することができる状態となる。したがって、そのような状態となったときには、送風機11において水素ガスを温度上昇させなくても、吸着塔2に高温の水素ガスを流入させることができるため、本例の除去システム1では、送風機11の消費電力量を低減すべく、「第1の条件」が満たされたときに送風機11の送風能力を低下させる(「第2の送風能力」での送風に移行させる)構成が採用されている。
【0057】
なお、上記の「予め規定された時間」は、冷凍サイクル10における冷媒の単位時間あたりの循環量が充分な量に達して、熱交換器22において水素ガスを充分に高い温度まで加熱することができるようになるまでに要する時間である。したがって、「第1の条件」については、上記の「吸着能力再生処理を開始してから予め規定された時間が経過したとき」との条件に代えて、「吸着塔2に流入させる水素ガスの温度が予め規定された温度(水分を離脱させるのに充分な温度まで吸着剤を加熱可能な温度)まで上昇したとき」との条件や、「熱交換器22の温度が予め規定された温度(水素ガスを充分に加熱し得る温度)まで上昇したとき」との条件などを採用することもできる。
【0058】
一方、吸着能力再生処理を継続することにより、吸着塔2内の吸着剤から充分な量の水分が離脱させられて、吸着塔2の吸着能力が充分に復元(再生)される。この場合、吸着能力再生処理によって吸着能力が復元された吸着塔2を使用して吸着除去処理を直ちに実行するときには、その吸着塔2の流入させられた水素ガス(水分を除去すべき水素ガス)の温度が上昇して相対湿度が低い状態(すなわち、水分を除去し難い状態)となり、水分が吸着剤に吸着され難くなる。したがって、これを回避するために、吸着能力再生処理によって温度上昇させられた吸着塔2(吸着剤)を充分に温度低下させる必要がある。また、吸着塔2の吸着能力が充分に復元(再生)された状態において吸着能力再生処理を継続したときには、冷凍サイクル10や送風機11による消費電力が無駄となる。
【0059】
したがって、制御部15は、一例として、再生中の吸着塔2の流入させる水素ガスの温度と、その吸着塔2から排出された水素ガスの温度との温度差(再生中の吸着塔2内において吸着剤からの水分の揮発によって失われる熱量)が規定温度を下回ったとき(「吸着能力再生処理を終了する予め規定された第2の条件が満たされたとき」の一例)に、流量調整弁14aを閉状態に制御すると共に、流量調整弁14bを開状態に制御することにより、送風機11によって送風される水素ガスのすべてが熱交換器22を通過せずにバイパス用配管Pbを通過する状態とする(「第2の条件が満たされたときに流量調整部に第1の流量よりも第2の流量の方が多くなるように気体の流量を調整させる」との制御の一例)。また、制御部15は、ファン25aを制御して凝縮器25に向けて大気を送風させる(「第2の条件が満たされたときに、第2の送風機を制御して大気の送風量を増加させる」との制御の一例)。
【0060】
この際には、吸着能力再生処理を行っている吸着塔2に対して、熱交換器22を通過せずバイパス用配管Pbを通過させられた水素ガス(すなわち、熱交換器22において加熱されない水素ガス)が流入するため、吸着塔2内の吸着剤がそれ以上加熱されるのが回避される。また、ファン25aによる凝縮器25への大気の送風が開始される(凝縮器25に対する送風量が増加させられる)ことで、熱交換器22において水素との熱交換によって冷媒が凝縮されない状態においても、凝縮器25において大気との熱交換によって充分な量の冷媒を凝縮させることができる。これにより、冷凍サイクル10を継続して動作させることができる。また、この際に吸着塔2内に流入する水素ガスは、熱交換器24において冷媒との熱交換によって冷却され、その後に、気液分離槽12およびバイパス用配管Pbを通過して吸着塔2内に流入させられるため、その温度が充分に低くなっている。したがって、そのような水素ガスが吸着塔2内に流入させられることで、吸着塔2内の吸着剤が短時間で充分に冷却される。
【0061】
なお、上記の「再生中の吸着塔2の流入させる水素ガスの温度と、その吸着塔2から排出された水素ガスの温度との温度差が規定温度を下回ったとき」との条件は、吸着能力再生処理によって吸着塔2内の吸着剤から水分が充分に離脱させられて吸着剤の吸着能力が充分に復元された(再生された)ときに満たされる事象の1つである。したがって、「第2の条件が満たされたとき」については、上記の条件に代えて、「気液分離槽12において分離される(貯留される)単位時間当りの水分量(吸着剤からの単位時間あたりの水分の離脱量)が予め規定した水分量を下回ったとき」との条件や、「再生中の吸着塔2から排出される水素ガスの湿度が予め規定された湿度を下回ったとき」との条件を採用することもできる。また、吸着塔2から排出される水素ガスに含まれる水分量に応じて変化する「冷凍サイクル10の動作状態」、例えば、「圧縮機21に加わっている負荷量が規定量を下回ったとき」や、「冷凍サイクル10内の冷媒圧力の高低差が規定量を下回ったとき」などに「第2の条件」が満たされとする構成を採用することもできる。
【0062】
この後、制御部15は、一例として、上記の「第2の条件」が満たされたと判別して流量調整弁14aを閉状態に制御し、かつ流量調整弁14bを開状態に制御してから予め規定された時間(吸着塔2の温度が充分に低下した状態となるのに要する時間)が経過したときに、冷凍サイクル10および送風機11を停止させて吸着能力再生処理を終了する。なお、この際には、吸着塔2、或いは、吸着塔2から排出される水素ガスの温度が予め規定された温度まで低下したとき(すなわち、吸着塔2内の吸着剤が充分に冷却されたとき)に、冷凍サイクル10および送風機11を停止させて吸着能力再生処理を終了することもできる。
【0063】
この場合、吸着能力再生処理を実行せずに吸着除去処理だけを単独で実行したり、吸着除去処理を実行せずに吸着能力再生処理だけを単独で実行したりすることが可能な本例の除去システム1では、例えば、冷凍サイクル10や送風機11の動作を控えたいときや、吸着除去処理による吸着剤の吸着能力が短時間で低下しないとき(水分を除去すべき水素ガスの単位時間あたりの流量が少量であったり、水素ガスに含まれる水分の量が少量であったりしたとき)に、吸着除去処理を単独で実行し、水素ガスからの水分の除去が不要なとき(例えば、供給対象に対する水素ガスの供給が不要なとき)に、吸着能力再生処理を単独で実行して、後に吸着除去処理を実行することができるように吸着塔2(吸着剤)の吸着能力を復元する(再生する)といった運用形態でこれを使用することができる。
【0064】
また、本例の除去システム1では、出願人が開示している前述の除去システムと同様にして、一方の吸着塔2を使用した吸着除去処理と、他方の吸着塔2を対象とする吸着能力再生処理とを並行して実行することができるように構成されている。
【0065】
具体的には、一例として、吸着塔2a(「各吸着塔の一部」の一例)を対象とする吸着除去処理と、吸着塔2b(「各吸着塔の他の一部」の一例)を対象とする吸着能力再生処理とを並行して実行するときに、制御部15は、
図1に示すように、流路切替弁13aを制御して、吸着塔2aにおける両入出口の一方に導入用配管Piを接続させ、かつ吸着塔2bにおける両入出口の一方に熱交換器24を接続させる(「第2の流路切替え部を制御して、各吸着塔の一部における一対の気体入出口のうちの他方を気体導入用配管および気体排出用配管のうちの他方の配管に対して接続させ、かつ各吸着塔の他の一部における一対の気体入出口のうちの他方に対して第2の熱交換器を接続させる」との制御の一例であって、「他方の配管」が「気体導入用配管」である例)。また、制御部15は、流路切替弁13bを制御して、吸着塔2aにおける両入出口の他方に排出用配管Poを接続させ、かつ吸着塔2bにおける両入出口の他方に熱交換器22を接続させる(「第1の流路切替え部を制御して、各吸着塔の一部における一対の気体入出口のうちの一方を気体導入用配管および気体排出用配管のうちのいずれか一方の配管に対して接続させ、かつ各吸着塔の他の一部における一対の気体入出口のうちの一方に対して第1の熱交換器を接続させ」との制御の一例であって、「一方の配管」が「気体排出用配管」である例)。
【0066】
この際には、同図に矢印Aaで示すように導入用配管Piを介して導入された水素ガスが吸着塔2aを通過させられて排出用配管Poから排出され、その際に、水素ガスに含まれている水分が吸着塔2a内の吸着剤によって吸着されて除去される。また、同図に矢印Baで示すように、送風機11によって送風される水素ガスが、流量調整弁14a、熱交換器22、流路切替弁13b、吸着塔2b、流路切替弁13a、熱交換器24および気液分離槽12をこの順で通過して、送風機11によって再び熱交換器22に向かって送風される状態となり、送風機11や熱交換器22において加熱された水素ガスによって吸着塔2b内の吸着剤から水分が離脱させられて、吸着塔2b内の吸着剤の吸着能力が復元される(再生される)。
【0067】
また、吸着塔2b(「各吸着塔の一部」の他の一例)を対象とする吸着除去処理と、吸着塔2a(「各吸着塔の他の一部」の他の一例)を対象とする吸着能力再生処理とを並行して実行するときに、制御部15は、
図2に示すように、流路切替弁13aを制御して、吸着塔2bにおける両入出口の一方に導入用配管Piを接続させ、かつ吸着塔2aにおける両入出口の一方に熱交換器24を接続させる(「第2の流路切替え部を制御して、各吸着塔の一部における一対の気体入出口のうちの他方を気体導入用配管および気体排出用配管のうちの他方の配管に対して接続させ、かつ各吸着塔の他の一部における一対の気体入出口のうちの他方に対して第2の熱交換器を接続させる」との制御の他の一例であって、「他方の配管」が「気体導入用配管」である例)。また、制御部15は、流路切替弁13bを制御して、吸着塔2bにおける両入出口の他方に排出用配管Poを接続させ、かつ吸着塔2aにおける両入出口の他方に熱交換器22を接続させる(「第1の流路切替え部を制御して、各吸着塔の一部における一対の気体入出口のうちの一方を気体導入用配管および気体排出用配管のうちのいずれか一方の配管に対して接続させ、かつ各吸着塔の他の一部における一対の気体入出口のうちの一方に対して第1の熱交換器を接続させ」との制御の他の一例であって、「一方の配管」が「気体排出用配管」である例)。
【0068】
この際には、同図に矢印Abで示すように導入用配管Piを介して導入された水素ガスが吸着塔2bを通過させられて排出用配管Poから排出され、その際に、水素ガスに含まれている水分が吸着塔2b内の吸着剤によって吸着されて除去される。また、同図に矢印Bbで示すように、送風機11によって送風される水素ガスが、流量調整弁14a、熱交換器22、流路切替弁13b、吸着塔2a、流路切替弁13a、熱交換器24および気液分離槽12をこの順で通過して、送風機11によって再び熱交換器22に向かって送風される状態となり、送風機11や熱交換器22において加熱された水素ガスによって吸着塔2a内の吸着剤から水分が離脱させられて、吸着塔2b内の吸着剤の吸着能力が復元される(再生される)。
【0069】
したがって、本例の除去システム1では、
図1,2に示す状態を交互に切り替えて動作させることにより、両吸着塔2a,2bを使用して吸着除去処理を連続して実行し続けることが可能となっている。
【0070】
このように、この再生装置3では、制御部15が、吸着能力再生処理を開始するときに、流路切替弁13bを制御して熱交換器22を吸着塔2における一対の水素ガス入出口のうちの一方に対して接続させ、流路切替弁13aを制御して熱交換器24を吸着塔2における一対の水素ガス入出口のうちの他方に対して接続させ、かつ送風機11を制御して予め規定された「第1の送風能力」で水素ガスを送風させると共に、冷凍サイクル10を制御して熱交換器22における水素ガスの加熱および熱交換器24における水素ガスの冷却を実行させ、吸着能力再生処理の実行中に予め規定された「第1の条件」が満たされたときに、送風機11を制御して「第1の送風能力」よりも低い予め規定された「第2の送風能力」で水素ガスを送風させる。また、この除去システム1では、上記の再生装置3と吸着塔2とを備えて水素ガスから水分を除去可能に構成されている。
【0071】
したがって、この再生装置3および除去システム1によれば、吸着能力再生処理の開始直後であることで、熱交換器22によって水素ガスを充分に加熱するのが困難な状態においても、送風機11による「第1の送風能力」での送風時に水素ガスの温度が上昇するため、電気ヒータなどの外部熱源を使用することなく、吸着能力再生処理を行う吸着塔2に対して充分に温度上昇した水素ガスを流入させることができる。これにより、吸着能力再生処理の開始直後から吸着剤を加熱して水分を離脱させることができるため、吸着能力の復元(再生)に要する時間を短縮することができると共に、吸着塔2を通過させられて熱交換器24に到達する水素ガスの温度も短時間で上昇するため、熱交換器24において充分な量の冷媒を気化させて、冷媒流路内における単位時間あたりの冷媒の循環量を短時間で増加させることができる。この結果、熱交換器22において水素ガスを充分に加熱できる状態となるまでに要する時間を短縮することができ、吸着能力の復元(再生)に要する時間を一層短縮することができる。また、吸着除去処理を実行することなく吸着能力再生処理だけを実行することができ、これにより、除去システム1を様々な運用形態で動作させることができる。
【0072】
また、この再生装置3では、制御部15が、吸着能力再生処理において、吸着能力再生処理を終了する予め規定された「第2の条件」が満たされるまで流量調整弁14a,14bにバイパス用配管Pbを通過する「第2の流量」よりも熱交換器22を通過する「第1の流量」の方が多くなるように水素ガスの流量を調整させると共に、「第2の条件」が満たされたときに流量調整弁14a,14bに「第1の流量」よりも「第2の流量」の方が多くなるように水素ガスの流量を調整させる。
【0073】
したがって、この再生装置3および除去システム1によれば、吸着能力再生処理を終了するときに、熱交換器22によって加熱された水素ガスが吸着塔2に流入する量を少量とする(本例では、熱交換器22によって加熱された水素ガスが吸着塔2に流入しないようにする)ことで、吸着能力再生処理によって温度上昇した吸着塔2(吸着剤)を短時間で温度低下させることができる。これにより、吸着能力再生処理を終了した吸着塔2を使用して吸着除去処理を直ちに開始したとしても、その吸着塔2内の吸着剤に水分を好適に吸着させることができる。
【0074】
また、この再生装置3では、制御部15が、「第2の条件」が満たされたときに、ファン25aを制御して凝縮器25に対する大気の送風量を増加させる。したがって、この再生装置3および除去システム1によれば、熱交換器22における水素ガスとの熱交換が行われずに熱交換器22において冷媒が凝縮されない状態においても凝縮器25において充分な量の冷媒を凝縮させることができ、これにより、熱交換器24において水素ガスを充分に冷却することができる。したがって、熱交換器24からバイパス用配管Pbを介して吸着塔2に流入させる水素ガスの温度を充分に低下させることができ、吸着能力再生処理によって温度上昇した吸着塔2(吸着剤)を一層短時間で温度低下させることができる。
【0075】
また、この再生装置3では、「気体」としての水素ガスから「除去対象」としての水分を除去可能に構成された除去システム1における吸着剤の吸着能力を再生可能に構成されている。したがって、この再生装置3および除去システム1によれば、吸着塔2の吸着能力再生処理に要する時間を充分に短縮し、そのコストを低減できるため、水素ガスからの水分の除去に要する時間を充分に短縮し、そのコストを低減することができる。
【0076】
また、この除去システム1では、制御部15が、各吸着塔2の一部を対象とする吸着除去処理と各吸着塔2の他の一部を対象とする吸着能力再生処理とを並行して実行するときに、流路切替弁13bを制御して、各吸着塔2の一部における一対の水素ガス入出口のうちの一方を排出用配管Poに対して接続させ、かつ各吸着塔2の他の一部における一対の水素ガス入出口のうちの一方に対して熱交換器22を接続させると共に、流路切替弁13aを制御して、各吸着塔2の一部における一対の水素ガス入出口のうちの他方を導入用配管Piに対して接続させ、かつ各吸着塔2の他の一部における一対の水素ガス入出口のうちの他方に対して熱交換器24を接続させる。したがって、この除去システム1によれば、複数の吸着塔2を交互に使用して吸着除去処理を継続して実行することができる。
【0077】
なお、「吸着剤再生装置」および「除去システム」の構成は、上記の再生装置3および除去システム1の構成の例に限定されない。
【0078】
例えば、「複数の吸着塔」の一例として2つの吸着塔2を備えた構成を例に挙げて説明したが、3つ以上の複数の吸着塔2を備えて「除去システム」およびその「吸着剤再生装置」を構成することもできる。具体的には、吸着除去処理を行う吸着塔2内の吸着剤が好適に水分を吸着するのが困難となるまでの時間よりも、吸着能力再生処理を行う吸着塔2内の吸着剤から水分を好適に離脱させるのに要する時間が長いときには、一例として、3つの吸着塔2を備え、そのうちの1つにおいて吸着除去処理を行いつつ、他の2つにおいて吸着能力再生処理を行うことで、吸着除去処理を継続的に行うことが可能となる。また、吸着能力再生処理を行う吸着塔2内の吸着剤から水分を好適に離脱させるのに要する時間よりも、吸着除去処理を行う吸着塔2内の吸着剤が好適に水分を吸着するのが困難となるまでの時間が長いときには、一例として、3つの吸着塔2を備え、そのうちの1つにおいて吸着能力再生処理を順次行いつつ、他の2つにおいて吸着除去処理を行うことで、吸着除去処理および吸着能力除去処理を効率よく行うことが可能となる。
【0079】
また、「気体」の一例である水素ガスから「吸着剤」としてのゼオライト(合成ゼオライト)等を用いて「除去対象」の一例である水分を除去可能な構成を例に挙げて説明したが、「気体」、「吸着剤」および「除去対象」はこの例に限定されない。例えば、「気体」としての「酸素」から「吸着剤」としてのゼオライト(合成ゼオライト)等を用いて「除去対象」としての水分等を吸着除去する「除去システム」およびその「吸着剤再生装置」において本願発明の構成を採用することができる。また、「気体」としての排気ガス(内燃機関等における燃焼によって排出される気体)から「吸着剤」としての活性炭等を用いて「除去対象」としての揮発性有機化合物(VOC)等を吸着除去する「除去システム」およびその「吸着剤再生装置」において本願発明の構成を採用することができる。さらに、「気体」としての大気(外気)から「吸着剤」としてのゼオライト(合成ゼオライト)等を用いて「除去対象」としての水分等を吸着除去する「除去システム」およびその「吸着剤再生装置」において本願発明の構成を採用することができる。
【符号の説明】
【0080】
1 除去システム
2a,2b 吸着塔
3 再生装置
10 冷凍サイクル
11 送風機
12 気液分離槽
13a,13b 流路切替弁
14a,14b 流量調整弁
15 制御部
21 圧縮機
22 熱交換器
23 膨張弁
24 熱交換器
25 凝縮器
25a ファン
Pb バイパス用配管
Pi 導入用配管
Po 排出用配管