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<図1>
  • 特開-詰替装置および詰替方法 図1
  • 特開-詰替装置および詰替方法 図2
  • 特開-詰替装置および詰替方法 図3
  • 特開-詰替装置および詰替方法 図4
  • 特開-詰替装置および詰替方法 図5A
  • 特開-詰替装置および詰替方法 図5B
  • 特開-詰替装置および詰替方法 図5C
  • 特開-詰替装置および詰替方法 図6A
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  • 特開-詰替装置および詰替方法 図7B
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2025006083
(43)【公開日】2025-01-17
(54)【発明の名称】詰替装置および詰替方法
(51)【国際特許分類】
   A01G 9/00 20180101AFI20250109BHJP
   A01G 9/08 20060101ALI20250109BHJP
【FI】
A01G9/00 N
A01G9/08 605Q
【審査請求】未請求
【請求項の数】12
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023106650
(22)【出願日】2023-06-29
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第2項適用申請有り 展示日 :令和5年5月23日から令和5年5月25日 展示会名:パックトライアル2023春
(71)【出願人】
【識別番号】593049914
【氏名又は名称】株式会社東海化成
(74)【代理人】
【識別番号】110000659
【氏名又は名称】弁理士法人広江アソシエイツ特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】長沼 有亮
【テーマコード(参考)】
2B327
【Fターム(参考)】
2B327ND03
2B327TA27
2B327TC05
2B327TC25
(57)【要約】
【課題】育苗ポット内にスムーズに挿入でき、かつ、育苗ポット内からスムーズに引き抜くことができる保持部材を備えた詰替装置を提供する。
【解決手段】詰替装置100は、弾性変形可能でかつ前記育苗ポットを保持可能な保持部材15と、保持部材15を弾性変形させる変形付与部材14と、を備える。保持部材15は、育苗ポット200内に挿入されたときに育苗ポット200の側壁202の内面に密着可能な複数の対向部15aを有する。保持部材15の弾性変形によって、対向部15aは、側壁202の内面に密着する保持位置と保持位置よりも内方に位置する非保持位置との間で位置変更可能である。
【選択図】図5A
【特許請求の範囲】
【請求項1】
底壁および前記底壁から立ち上がる側壁を備える育苗ポットを容器に詰め替えるための詰替装置であって、
弾性変形可能でかつ前記育苗ポットを保持可能な保持部材と、
前記保持部材を弾性変形させる変形付与部材と、
を備え、
前記保持部材は、前記育苗ポット内に挿入されたときに前記側壁の内面に密着可能な複数の対向部を有しており、
前記保持部材の弾性変形によって、前記対向部は、前記側壁の内面に密着する保持位置と前記保持位置よりも内方に位置する非保持位置との間で位置変更可能である、
詰替装置。
【請求項2】
前記変形付与部材は、前記保持部材に直接または間接的に接触し、前記保持部材に力を加えることによって前記保持部材を弾性変形させる、
請求項1に記載の詰替装置。
【請求項3】
前記保持部材に前記変形付与部材からの力が加えられているときに、前記対向部は、前記非保持位置を取り、
前記保持部材に前記変形付与部材からの力が加えられていないときに、または、前記対向部が前記非保持位置を取るときよりも弱い力が前記変形付与部材から前記保持部材に加えられているときに、前記対向部は、前記保持位置を取る、
請求項2に記載の詰替装置。
【請求項4】
前記変形付与部材のうち前記保持部材に接触する部分は丸くなっている、または、前記変形付与部材のうち前記保持部材に接触する部分にキャップが取り付けられている、
請求項2に記載の詰替装置。
【請求項5】
前記保持部材のうち前記変形付与部材が接触する部分の幅は広くなっている、
請求項2に記載の詰替装置。
【請求項6】
前記変形付与部材は、前記保持部材に接近するように、および前記保持部材から離れるように移動可能である、
請求項1から5のいずれか1項に記載の詰替装置。
【請求項7】
前記保持部材が回転したときに、前記保持部材を元の位置に戻す復元部材をさらに備える、
請求項1から5のいずれか1項に記載の詰替装置。
【請求項8】
前記復元部材は、弾性変形可能であり、
前記保持部材が回転したときに前記復元部材は弾性変形し、前記保持部材は前記復元部材の復元力により元の位置に戻される、
請求項7に記載の詰替装置。
【請求項9】
前記側壁は、平面視で4つの丸い角部を有する四角形であり、
前記保持部材は、4つの前記対向部を含み、
前記4つの対向部は、前記4つの丸い角部にそれぞれ対向する、
請求項1から5のいずれか1項に記載の詰替装置。
【請求項10】
上側支持部材と、
前記上側支持部材よりも下方に配置された下側支持部材と、
前記上側支持部材と前記下側支持部材との間に配置された弾性部材と、
をさらに備え、
前記変形付与部材は、前記上側支持部材に取り付けられており、
前記保持部材の一部は、前記変形付与部材よりも下方に配置されており、
前記上側支持部材を前記下側支持部材に向けて移動させると、前記上側支持部材と前記下側支持部材との間で前記弾性部材が圧縮され、さらに、前記上側支持部材に取り付けられた前記変形付与部材も下方に移動して、前記保持部材を押して弾性変形させ、
前記上側支持部材を前記下側支持部材に向けて移動させる力が除荷されると、前記弾性部材の復元力によって、前記上側支持部材は前記下側支持部材から離れるように上方に移動すると共に、前記変形付与部材も上方に移動し、これにより、前記変形付与部材による前記保持部材の押圧が解除される、
請求項1から5のいずれか1項に記載の詰替装置。
【請求項11】
底壁および前記底壁から立ち上がる側壁を備える育苗ポットを容器に詰め替える詰替方法であって、
前記保持部材が前記育苗ポット内に挿入されたときに前記側壁の内面に密着可能な複数の対向部を有する弾性変形可能な保持部材であって、前記保持部材の弾性変形によって、前記対向部が、前記側壁の内面に密着する保持位置と前記保持位置よりも内方に位置する非保持位置との間で位置変更可能である保持部材を準備する工程と、
前記保持部材を弾性変形させて前記対向部を前記非保持位置に移動させ、前記保持部材を前記育苗ポット内に挿入する工程と、
前記保持部材の弾性変形を解除して、前記対向部を前記保持位置に移動させ前記側壁の内面に密着させる工程と、
前記対向部が前記側壁の内面に密着した状態で、前記保持部材を上方に移動させ、前記保持部材と共に前記育苗ポットを持ち上げる工程と、
を含む詰替方法。
【請求項12】
前記保持部材によって保持された前記育苗ポットの少なくとも一部が前記容器内に挿入された状態で、前記保持部材を弾性変形させて前記対向部を前記非保持位置に移動させる工程をさらに含む、
請求項11に記載の詰替方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、育苗ポットを容器に詰め替える詰替装置に関する。また、本発明は、育苗ポットを容器に詰め替える詰替方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、空の育苗ポットを容器に詰め替える詰替装置が知られている。
【0003】
特許文献1は、苗を育苗する育苗ポットの内側に圧入される弾性材料からなる複数の把持部材と、その複数の把持部材を等間隔位置に支持する把持部支持体と、前記各把持部材の下方に配置され把持部材に対して下方に変位して把持部材に把持されている育苗ポットを押出す複数の押出部材と、その複数の押出部材を支持する押出部支持体とを備え、前記把持部支持体又は押出部支持体を上下方向に相対的に移動可能に組付けて構成されるポット詰替装置を開示している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2006-094764号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
引用文献1に記載のポット詰替装置では、把持部材が育苗ポット内に圧入される。把持部材は育苗ポットの内面に密着するように寸法決めされているため、把持部材を育苗ポット内に挿入するときに、把持部材が育苗ポットの上端に引っ掛かるおそれがある。また、把持部材が育苗ポット内に圧入される際に、把持部材が育苗ポットの内面と強く擦れるため、把持部材が劣化したり、育苗ポットの内面に傷が付いたりするおそれがある。
【0006】
本発明は、育苗ポット内にスムーズに挿入でき、かつ、育苗ポット内からスムーズに引き抜くことができる保持部材を備えた詰替装置を提供することを目的とする。
【0007】
本発明は、育苗ポット内にスムーズに挿入でき、かつ、育苗ポット内からスムーズに引き抜くことができる保持部材を使用して育苗ポットを容器に詰め替えることができる詰替方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は以下に掲げる態様の発明を提供する。
(項1)
底壁および前記底壁から立ち上がる側壁を備える育苗ポットを容器に詰め替えるための詰替装置であって、
弾性変形可能でかつ前記育苗ポットを保持可能な保持部材と、
前記保持部材を弾性変形させる変形付与部材と、
を備え、
前記保持部材は、前記育苗ポット内に挿入されたときに前記側壁の内面に密着可能な複数の対向部を有しており、
前記保持部材の弾性変形によって、前記対向部は、前記側壁の内面に密着する保持位置と前記保持位置よりも内方に位置する非保持位置との間で位置変更可能である、
詰替装置。
【0009】
(項2)
前記変形付与部材は、前記保持部材に直接または間接的に接触し、前記保持部材に力を加えることによって前記保持部材を弾性変形させる、
項1に記載の詰替装置。
【0010】
(項3)
前記保持部材に前記変形付与部材からの力が加えられているときに、前記対向部は、前記非保持位置を取り、
前記保持部材に前記変形付与部材からの力が加えられていないときに、または、前記対向部が前記非保持位置を取るときよりも弱い力が前記変形付与部材から前記保持部材に加えられているときに、前記対向部は、前記保持位置を取る、
項2に記載の詰替装置。
【0011】
(項4)
前記変形付与部材のうち前記保持部材に接触する部分は丸くなっている、または、前記変形付与部材のうち前記保持部材に接触する部分にキャップが取り付けられている、
項1から3のいずれか1項に記載の詰替装置。
【0012】
(項5)
前記保持部材のうち前記変形付与部材が接触する部分の幅は広くなっている、
項1から4のいずれか1項に記載の詰替装置。
【0013】
(項6)
前記変形付与部材は、前記保持部材に接近するように、および前記保持部材から離れるように移動可能である、
項1から5のいずれか1項に記載の詰替装置。
【0014】
(項7)
前記保持部材が回転したときに、前記保持部材を元の位置に戻す復元部材をさらに備える、
項1から6のいずれか1項に記載の詰替装置。
【0015】
(項8)
前記復元部材は、弾性変形可能であり、
前記保持部材が回転したときに前記復元部材は弾性変形し、前記保持部材は前記復元部材の復元力により元の位置に戻される、
項7に記載の詰替装置。
【0016】
(項9)
前記側壁は、平面視で4つの丸い角部を有する四角形であり、
前記保持部材は、4つの前記対向部を含み、
前記4つの対向部は、前記4つの丸い角部にそれぞれ対向する、
項1から8のいずれか1項に記載の詰替装置。
【0017】
(項10)
上側支持部材と、
前記上側支持部材よりも下方に配置された下側支持部材と、
前記上側支持部材と前記下側支持部材との間に配置された弾性部材と、
をさらに備え、
前記変形付与部材は、前記上側支持部材に取り付けられており、
前記保持部材の一部は、前記変形付与部材よりも下方に配置されており、
前記上側支持部材を前記下側支持部材に向けて移動させると、前記上側支持部材と前記下側支持部材との間で前記弾性部材が圧縮され、さらに、前記上側支持部材に取り付けられた前記変形付与部材も下方に移動して、前記保持部材を押して弾性変形させ、
前記上側支持部材を前記下側支持部材に向けて移動させる力が除荷されると、前記弾性部材の復元力によって、前記上側支持部材は前記下側支持部材から離れるように上方に移動すると共に、前記変形付与部材も上方に移動し、これにより、前記変形付与部材による前記保持部材の押圧が解除される、
項1から9のいずれか1項に記載の詰替装置。
【0018】
(項11)
底壁および前記底壁から立ち上がる側壁を備える育苗ポットを容器に詰め替える詰替方法であって、
前記保持部材が前記育苗ポット内に挿入されたときに前記側壁の内面に密着可能な複数の対向部を有する弾性変形可能な保持部材であって、前記保持部材の弾性変形によって、前記対向部が、前記側壁の内面に密着する保持位置と前記保持位置よりも内方に位置する非保持位置との間で位置変更可能である保持部材を準備する工程と、
前記保持部材を弾性変形させて前記対向部を前記非保持位置に移動させ、前記保持部材を前記育苗ポット内に挿入する工程と、
前記保持部材の弾性変形を解除して、前記対向部を前記保持位置に移動させ前記側壁の内面に密着させる工程と、
前記対向部が前記側壁の内面に密着した状態で、前記保持部材を上方に移動させ、前記保持部材と共に前記育苗ポットを持ち上げる工程と、
を含む詰替方法。
【0019】
(項12)
前記保持部材によって保持された前記育苗ポットの少なくとも一部が前記容器内に挿入された状態で、前記保持部材を弾性変形させて前記対向部を前記非保持位置に移動させる工程をさらに含む、
項11に記載の詰替方法。
【発明の効果】
【0020】
本発明の詰替装置および詰替方法では、保持部材を育苗ポット内にスムーズに挿入できる。また、保持部材を育苗ポット内からスムーズに引き抜くことができる。これにより、育苗ポットを効率的に容器に詰め替えることができる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
図1】複数の育苗ポットの斜視図である。
図2】容器の斜視図である。
図3】詰替装置の正面図である。
図4】詰替装置の平面図である。
図5A】保持部材を弾性変形させる前の保持装置の正面図である。
図5B】保持部材を弾性変形させる前の保持装置の平面図である。
図5C】保持部材を弾性変形させる前の斜め下方から見た保持装置の斜視図である。
図6A】保持部材を弾性変形させた後の保持装置の正面図である。
図6B】保持部材を弾性変形させた後の保持装置の平面図である。
図7A】詰替装置を使用して育苗ポットを容器に詰め替える手順を示す図である。
図7B】詰替装置を使用して育苗ポットを容器に詰め替える手順を示す図である。
図7C】詰替装置を使用して育苗ポットを容器に詰め替える手順を示す図である。
図7D】詰替装置を使用して育苗ポットを容器に詰め替える手順を示す図である。
図7E】詰替装置を使用して育苗ポットを容器に詰め替える手順を示す図である。
図7F】詰替装置を使用して育苗ポットを容器に詰め替える手順を示す図である。
図7G】詰替装置を使用して育苗ポットを容器に詰め替える手順を示す図である。
図7H】詰替装置を使用して育苗ポットを容器に詰め替える手順を示す図である。
図8】保持部材を弾性変形させる前の斜め下方から見た変形例に係る保持装置の斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
本発明の詰替装置100を説明する前に、図1および図2を参照して、育苗ポット200および容器300について簡潔に説明する。なお、同一の構成要素が複数存在する場合、図面を見やすくするために、すべての同一の構成要素に符号を付しているわけではない。
【0023】
<1.育苗トレイおよび容器>
図1は、5行×8列に整列された合計40個の育苗ポット200を示している。育苗ポット200は、その内部に、土および苗を収容できる。各育苗ポット200は、底壁201と、底壁201から立ち上がる側壁202と、を備える。各育苗ポット200は、例えば、樹脂製であり、柔軟性を有する。
【0024】
底壁201は、平面視で、円形であってもよく、4つの丸い角部を有する四角形であってもよい。また、側壁202は、平面視で円形であってもよく、4つの丸い角部を有する四角形であってもよい。一般的な育苗ポット200の側壁202は、上方に向かうにしたがい外方に広がっている。したがって、一般的な育苗ポット200の上部の空間は、育苗ポット200の下部の空間に比べて広くなっている。
【0025】
容器300は、育苗ポット200を収容するための容器である。図2に示すように、容器300は、底壁301と、複数の枠部302と、を備える。容器300の内側空間は、互いに交差した複数の枠部302によって、複数の収容空間に区画されている。収容空間内には、育苗ポット200が収容される。
【0026】
<2.詰替装置の概要>
図3から図6Bを参照して、詰替装置100について説明する。説明の便宜上、図3および図4に示す「横方向」、「縦方向」および「上下方向(鉛直方向)」をそれぞれ詰替装置100の「横方向」、「縦方向」および「上下方向(鉛直方向)」として説明する。
【0027】
詰替装置100は、空の育苗ポット200を持ち上げ、容器300に詰め替えるための装置である。詰替装置100は、上下に積層された複数の育苗ポット200のうちの最上段の育苗ポット200を持ち上げ、順次容器300に詰め替える。また、詰替装置100は、縦および横にそれぞれ複数個並んだ育苗ポット200を、一度に、容器300に詰め替えることができる。
【0028】
図3および図4に示すように、詰替装置100は、主に、複数の保持装置10と、下側支持部材20と、複数の持ち手部材30と、複数の被固定部材40と、上側支持部材50と、複数の外力作用部材60と、複数のガイド70と、複数の弾性部材80と、を備える。
【0029】
<2-1.保持装置>
複数の保持装置10は、育苗ポット200を保持して持ち上げ、容器300内で育苗ポット200を保持装置10から離脱させる装置である。
【0030】
複数の保持装置10は、縦および横に整列して配置されている。本実施形態では、詰替装置100は、5行×8列に整列された合計40個の保持装置10を備える。
【0031】
図5Aに示すように、各保持装置10は、主に、第1復元部材11と、第2復元部材12と、外筒13と、変形付与部材14と、保持部材15と、を備える。
【0032】
保持部材15は、育苗ポット200を保持して、保持部材15と一緒に持ち上げるための部材である。保持部材15は、保持部材15が育苗ポット200内に挿入されたときに、側壁202の内面に対向する複数の対向部15aを有する。保持部材15は、育苗ポット200内に挿入される前に、変形付与部材14によって下方に押され延伸される(図6A参照)。これにより、保持部材15は、育苗ポット200の側壁202の内面に密着することなく、育苗ポット200内に挿入される。保持部材15が育苗ポット200内に挿入された後、変形付与部材14が保持部材15を押す力を除荷することにより、保持部材15はその復元力により元の形状に戻ろうとする。これにより、対向部15aが側壁202の内面に密着する。対向部15aが側壁202の内面に密着した状態で詰替装置100を上方に移動させることにより、育苗ポット200を持ち上げることができる。
【0033】
また、保持部材15に保持された状態の育苗ポット200を容器300内に入れた後、変形付与部材14によって保持部材15を下方に押して延伸させることにより、対向部15aが側壁202の内面に密着しなくなる。対向部15aが側壁202の内面に密着していない状態で、詰替装置100を上方に移動させることにより、保持部材15を育苗ポット200から引き抜くことができる。
【0034】
以下、各構成要素の詳細な構造について説明する。
【0035】
<2-1-1.第1復元部材および第2復元部材>
第1復元部材11および第2復元部材12は、保持部材15が外筒13の中心軸周りで回転したときに、その回転した保持部材15を自動的に元の位置(初期位置)に戻すための部材である。これにより、保持部材15を常に同じ姿勢に維持できる。また、第1復元部材11および第2復元部材12は、外筒13が上方に移動した際に、外筒13を元の位置に戻す(すなわち、下方に移動させる)ための部材である。
【0036】
図5Aおよび図5Cに示すように、第1復元部材11は、第1基部111と、第1弾性部112と、を含む。第1復元部材11は、例えば樹脂製のシートなど、弾性変形可能な材料から成る。第1基部111は、円形の板材から成る。第1基部111の中央には、外筒13が挿入されている。第1弾性部112は、帯状である。第1弾性部112は、第1基部111の外縁に一体化されており、第1基部111の外縁から上方に延びている。図3に示すように、第1弾性部112の上部は、下側支持部材20の下面に取り付けられている。
【0037】
図5Aおよび図5Cに示すように、第2復元部材12は、第2基部121と、第2弾性部122と、を含む。第2復元部材12は、例えば樹脂製のシートなど、弾性変形可能な材料から成る。第2基部121は、第1基部111と略同一の直径を有する円形の板材から成る。第2基部121は、第1基部111よりも下方に、かつ第1基部111と同心状に配置されている。第1基部111と第2基部121との間には、保持部材15の一部が挟まれて、固定されている。第2基部121の中央には、外筒13が挿入されている。
【0038】
図5Bに示すように、第2弾性部122は、第1弾性部112から、第1基部111および第2基部121の周方向に180度離れている。図5Aおよび図5Cに示すように、第2弾性部122は、帯状である。第2弾性部122は、第2基部121の外縁に一体化されており、第2基部121の外縁から上方に延びている。図3に示すように、第2弾性部122の上部は、下側支持部材20の下面に取り付けられている。
【0039】
育苗ポット200が歪んでいると、保持部材15の対向部15aが側壁202の内面に密着した際に、保持部材15は、育苗ポット200の歪みに追従するように外筒13の中心軸周りで回転する。保持部材15が回転すると、第1弾性部112および第2弾性部122が捻れるように弾性変形する。保持部材15が育苗ポット200内から引き抜かれると、捻れた第1弾性部112および第2弾性部122の復元力により、保持部材15は、自動的に元の位置に戻る。
【0040】
なお、外筒13が上方に移動した際に、第1復元部材11および第2復元部材12によって、外筒13が元の位置に戻されるメカニズムについては後述する。
【0041】
<2-1-2.外筒>
図5Aおよび図5Cに示すように、外筒13は、上下方向に延びる円筒部材から成る。外筒13の下部は、第1基部111および第2基部121の中央の貫通穴内に挿入されている。外筒13の下部には、2つの規制部材16が固定されている。規制部材16は、例えば、スナップリングである。2つの規制部材16は、上下に間隔をあけて外筒13に取り付けられている。第1基部111および第2基部121は、2つの規制部材16の間に挟まれている。したがって、外筒13が第1基部111および第2基部121に対して上下動しようとしても、規制部材16が第1基部111および第2基部121に引っ掛かるため、外筒13は、第1基部111および第2基部121に対して上下動できない。よって、外筒13が上下動すると、第1基部111および第2基部121も一緒に上下動する。
【0042】
外筒13の上部は、下側支持部材20の貫通穴内に挿入されている。外筒13の上部には、上側ストッパ17が取り付けられている。上側ストッパ17は、例えばスナップリングである。上側ストッパ17は、下側支持部材20の上面に接触している。上側ストッパ17が下側支持部材20の上面に引っ掛かることにより、外筒13は、下側支持部材20から下方に抜けないようになっている。外筒13のうち、下側支持部材20の下面よりも下方で、かつ第1基部111よりも上方の部分には、下側ストッパ18が取り付けられている。下側ストッパ18は、例えばスナップリングである。外筒13は、上側ストッパ17と下側ストッパ18との間で上下動可能である。
【0043】
複数の育苗ポット200が上下に積層されている場合、育苗ポット200同士の密着度合いに応じて、最上段の育苗ポット200の高さがまちまちになることがある。つまり、ある位置(例えば、1行1列目)の最上段の育苗ポット200の高さが、別の位置(例えば、1行2列目)の最上段の育苗ポット200の高さよりも高いまたは低いことがある。外筒13が上方に移動可能であることにより、保持部材15が育苗ポット200の底壁201に接触した際に、最上段の育苗ポット200の高さに合わせて外筒13が上方に動くことができる。外筒13が上方に移動すると、第1基部111および第2基部121も一緒に上方に移動する。これにより、第1弾性部112は、第1基部111と下側支持部材20との間で撓むように弾性変形する。また、第2弾性部122は、第2基部121と下側支持部材20との間で撓むように弾性変形する。詰替装置100が上方に移動すると、外筒13は、外筒13の自重ならびに第1弾性部112および第2弾性部122の復元力により、元の位置に戻る。
【0044】
<2-1-3.変形付与部材>
変形付与部材14は、保持部材15を弾性変形させるための部材である。本実施形態では、変形付与部材14は、保持部材15を押すことによって、保持部材15を弾性変形させる。
【0045】
図5Aおよび図5Cに示すように、変形付与部材14は、例えば、上下方向に延びる円筒部材または上下方向に延びる円柱部材である。変形付与部材14は、外筒13内に挿入されており、外筒13と同軸に配置されている。変形付与部材14は、外筒13内を上下動する。
【0046】
変形付与部材14の上部は、外筒13の上端よりも上方に延出しており、上側支持部材50に取り付けられている。変形付与部材14は、上側支持部材50に対して上下動できないようになっている。上側支持部材50が上下動すると、変形付与部材14も上側支持部材50と一緒に上下動する。
【0047】
変形付与部材14の下端には、変形付与部材14の下端を覆うキャップ19が取り付けられている。変形付与部材14は、キャップ19を介して保持部材15と接触する。変形付与部材14にキャップ19が取り付けられていることにより、変形付与部材14が保持部材15を押す際に、保持部材15を傷付けることを防止できる。キャップ19の下端は、尖っておらず、丸くなっている。キャップ19は、例えば、柔軟な樹脂製である。
【0048】
変形付与部材14の下端にキャップ19を取り付けず、変形付与部材14が保持部材15に直接接触するようにしてもよい。この場合、変形付与部材14の下端を丸くして、保持部材15を傷付けないようにすることが好ましい。
【0049】
<2-1-4.保持部材>
保持部材15は、育苗ポット200を保持して、保持部材15と一緒に持ち上げるための部材である。保持部材15は、2つの帯材151から成る。各帯材151は、ゴム等の伸縮自在な材料から成る。各帯材151の材料としては、スチレンブタジエンゴム、アクリロニトリルゴム、またはシリコーンゴムなどが挙げられるが、これらに限定されない。
【0050】
図5Aから図5Cに示すように、各帯材151の長手方向の両端部は、第1基部111と第2基部121との間に挟まれると共に、第1基部111および第2基部121に固定されている。2つの帯材151は、第1基部111および第2基部121の周方向に互いに90度離れている。各帯材151は、第1基部111および第2基部121よりも外方に膨らむと共に、第2基部121の下を通って、下方に凸となるように湾曲している。そして、2つの帯材151は、それらの底部で90度の角度で互いに交差している。
【0051】
保持部材15のうち、最も外方に膨らんだ部分の周辺の面が、育苗ポット200の側壁202の内面に密着し得る対向部15aとなる。本実施形態では、対向部15aは、側壁202の内面に面接触し得る。保持部材15は、4つの対向部15aを有する。各対向部15aは、隣接する対向部15aと90度離れている。育苗ポット200の側壁202が、平面視で角が丸くなった四角形である場合、4つの対向部15aは、側壁202の4つの角部にそれぞれ対向する。
【0052】
図5Cに示すように、保持部材15の底部は、底部以外の部分に比べて幅が広くなった幅広部15bを有する。保持部材15の底部は、変形付与部材14よりも下方に位置している。保持部材15の底部は、変形付与部材14によって下方に押される部分である。保持部材15の底部が幅広になっていることにより、変形付与部材14が当たる面積が大きくなる。したがって、例えば、変形付与部材14の中心軸が上下方向に対して多少傾いていたとしても、また、帯材151が多少ずれていたとしても、変形付与部材14によって確実に保持部材15を押すことができる。
【0053】
図6Aに示すように、保持部材15は、変形付与部材14によって下方に押されることにより下方に伸びる。保持部材15に作用する変形付与部材14からの力が除荷されると、保持部材15の復元力により、保持部材15は、図5Aに示す元の状態に戻る。
【0054】
保持部材15を育苗ポット200内に挿入する際には、変形付与部材14によって保持部材15を下方に押して、保持部材15を下方に引き伸ばす。図5A図6Aとの対比および図5B図6Bとの対比から明らかなように、弾性変形後の対向部15aは、弾性変形前の対向部15aよりも内方(すなわち、変形付与部材14の中心軸に近づく方向)に位置し、非保持位置を取る。弾性変形後の保持部材15を育苗ポット200内に挿入したとき、非保持位置の対向部15aは、側壁202の内面に全く接触しないか、または緩くしか接触しない。ここで、対向部15aが側壁202の内面に「緩く接触する」状態とは、対向部15aが側壁202の内面に接触しているものの、その接触状態は軽い接触であり、保持部材15を上方に移動させても、育苗ポット200が保持部材15と一緒に上方に持ち上がらないほど、対向部15aと側壁202の内面との間の全摩擦力が小さい状態を意味する。
【0055】
保持部材15が育苗ポット200内に挿入されており、かつ変形付与部材14からの力が除荷されると、保持部材15は、その復元力により、図5Aおよび図5Bに示す元の形状に戻ろうとする。したがって、対向部15aは、弾性変形後の対向部15aよりも外方に位置し、育苗ポット200の側壁202に内面に密着する保持位置を取る。既に述べた通り、対向部15aが側壁202の内面に密着した状態で詰替装置100を上方に移動させると、対向部15aと側壁202の内面との間の摩擦力により、育苗ポット200も保持部材15と一緒に持ち上がる。
【0056】
なお、本実施形態では、対向部15aは、側壁202の高さ方向の中間位置から中間位置よりもやや下の位置で側壁202の内面に密着することになる。しかしながら、対向部15aが密着する位置はこれに限定されず、対向部15aは側壁202の上部内面または下部内面に密着してもよい。また、対向部15aは、側壁202の角部以外の内面に密着してもよい。保持部材15の寸法は、対向部15aが密着する位置に合わせて適宜決定される。
【0057】
<2-2.下側支持部材、持ち手部材および被固定部材>
下側支持部材20は、平面視で四角形の部材から成る。下側支持部材20は、外筒13を挿入するための複数の貫通穴を有する。
【0058】
図3および図4に示すように、複数(本実施形態では、2つ)の持ち手部材30は、逆U字型に曲げられたパイプから成る。各持ち手部材30は、作業者が詰替装置100を手動で操作する場合に、作業者が手で持つ部材である。また、各持ち手部材30は、被固定部材40を取り付けるための部材でもある。
【0059】
各持ち手部材30の下部は、下側支持部材20に固定されている。各持ち手部材30は、下側支持部材20から、上側支持部材50を貫通し、上側支持部材50よりも上方まで延びている。
【0060】
複数(本実施形態では、2つ)の被固定部材40は、各持ち手部材30に取り付けられている。被固定部材40は、詰替装置100を駆動装置400(図7A参照)に取り付けて使用する場合に、駆動装置400の固定部402(図7A参照)に固定される部材である。なお、詰替装置100が作業者によって手動で操作される場合、被固定部材40は必ずしも必要ではないため、被固定部材40を持ち手部材30から取り外して、詰替装置100を使用してもよい。
【0061】
各被固定部材40は、板材から成る。各被固定部材40は、持ち手部材30から横方向外方に延出している。
【0062】
<2-3.上側支持部材および外力作用部材>
図3および図4に示すように、上側支持部材50は、平面視で四角形の部材から成る。上側支持部材50は、下側支持部材20よりも上方に、下側支持部材20と間隔をあけて配置されている。後述するように、上側支持部材50は、下側支持部材20に接近および下側支持部材20から離隔するように上下動可能である。
【0063】
複数(本実施形態では、2つ)の外力作用部材60は、上側支持部材50を下側支持部材20に向けて移動させる際に、駆動装置400のプレス部403(図7A参照)または作業者の手によって押される部材である。
【0064】
各外力作用部材60は、逆U字型に曲げられたパイプから成る。各外力作用部材60の下部は、上側支持部材50に固定されている。各外力作用部材60は、上側支持部材50から上方に延びている。2つの外力作用部材60は、横方向に互いに間隔をあけて配置されている。また、2つの外力作用部材60は、持ち手部材30よりも横方向内方に配置されている。
【0065】
<2-4.ガイドおよび弾性部材>
ガイド70は、上側支持部材50を下側支持部材20に対して上下動させる際に、上側支持部材50が真っ直ぐに上下動するように上側支持部材50を案内するための部材である。
【0066】
ガイド70は、例えば、上下方向に延びる円筒部材または上下方向に延びる円柱部材である。本実施形態では、4つのガイド70が、上側支持部材50および下側支持部材20の4つの角部の近くにそれぞれ配置されている。各ガイド70の下部は、下側支持部材20に固定されている。そして、各ガイド70は、下側支持部材20から、上側支持部材50を貫通して、上側支持部材50よりも上方まで延びている。
【0067】
弾性部材80は、各ガイド70のうち、上側支持部材50と下側支持部材20との間の部分に装着されている。本実施形態では、弾性部材80はコイルバネであり、コイルバネの螺旋の内部にガイド70が挿入されている。外力作用部材60を押すと、上側支持部材50と下側支持部材20との間で、弾性部材80が圧縮される。外力作用部材60を押す力を除荷すると、弾性部材80の復元力より、上側支持部材50は弾性部材80によって上方に押され、元の位置に戻る。
【0068】
<3.詰替装置の使用方法>
図7Aから図7Hを参照しつつ、詰替装置100を使用して、育苗ポット200を容器300に詰め替える方法について説明する。
【0069】
まず、図7Aに示すように、駆動装置400に詰替装置100を取り付ける。駆動装置400は、昇降部401と、固定部402と、プレス部403と、制御部(不図示)と、を備える。固定部402およびプレス部403は、昇降部401に取り付けられており、昇降部401と共に上下動する。制御部は、昇降部401およびプレス部403の上下動を制御する。詰替装置100の被固定部材40は、固定部402にネジなどによって固定される。
【0070】
図7Bに示すように、昇降部401を下方に移動させながら、保持部材15が育苗ポット200内に挿入される前に、プレス部403によって外力作用部材60を下方に押す。なお、外力作用部材60は、保持部材15が育苗ポット200内に挿入されるまで、プレス部403によって押されたままである。外力作用部材60が下方に押されることにより、上側支持部材50は、下側支持部材20に向けて移動する。その結果、上側支持部材50と下側支持部材20との間に挟まれた弾性部材80が圧縮される。また、上側支持部材50に取り付けられた変形付与部材14は、上側支持部材50と一緒に下方に移動する。変形付与部材14が下方に移動することにより、変形付与部材14は、保持部材15の底部を下方に押す。下方に押された保持部材15は、下方に引き伸ばされるように弾性変形する。これにより、保持部材15の対向部15aは、弾性変形前よりも内方に移動する。
【0071】
図7Cに示すように、昇降部401をさらに下方に移動させ、弾性変形した状態の保持部材15を育苗ポット200内に挿入する。保持部材15は、対向部15aが側壁202の内面に密着することなく、育苗ポット200内に挿入される。
【0072】
図7Dに示すように、保持部材15を育苗ポット200内に挿入した後、プレス部403を上方に移動させ、プレス部403によって外力作用部材60を押圧しないようにする。本実施形態では、駆動装置400は力覚センサーを備えており、保持部材15の底部が育苗ポット200の底壁201に接触したことを力覚センサーによって感知し、力覚センサーからの出力に基づいて制御部がプレス部403を上方に移動させる。プレス部403による外力作用部材60の押圧が解除されると、弾性部材80の復元力により、上側支持部材50が下側支持部材20から離れるように上方に移動する。そして、上側支持部材50と一緒に変形付与部材14も上方に移動するため、保持部材15は変形付与部材14によって押されなくなる。その結果、保持部材15は、その復元力により、弾性変形前の状態に戻ろうとする。これにより、保持部材15の対向部15aは外方に膨らみ、育苗ポット200の側壁202の内面に密着する。
【0073】
図7Eに示すように、昇降部401によって詰替装置100を上方に移動させる。育苗ポット200は、側壁202の内面と対向部15aとの間の摩擦力により、保持部材15と一緒に持ち上げられる。持ち上げられた育苗ポット200の下に、容器300を設置する。
【0074】
図7Fに示すように、昇降部401によって詰替装置100を下方に移動させ、容器300内に育苗ポット200を入れる。
【0075】
図7Gに示すように、プレス部403によって外力作用部材60を押圧する。プレス部403による外力作用部材60の押圧は、育苗ポット200が容器300内に完全に収容された後(すなわち、育苗ポット200の底壁201が容器300の底壁301に接触した後)に行ってもよく、育苗ポット200の下部が容器300内に挿入された時点(すなわち、育苗ポット200の下部は容器300内に挿入されているが、底壁201が底壁301から浮いている状態)で行ってもよい。既に述べたように、外力作用部材60を下方に押すことにより、変形付与部材14によって保持部材15が下方に押されて弾性変形し、対向部15aは側壁202の内面から離れる方向に移動する。プレス部403によって外力作用部材60を押したままの状態で、昇降部401によって詰替装置100を上方に移動させ、保持部材15を育苗ポット200内から引き抜く。
【0076】
図7Hに示すように、保持部材15を育苗ポット200内から引き抜いた後、プレス部403による外力作用部材60の押圧を解除する。既に述べたように、プレス部403から外力作用部材60に作用していた力を除荷すると、弾性部材80の復元力により、上側支持部材50が下側支持部材20から離れるように上方に移動する。また、保持部材15は、弾性変形前の形状に戻る。
【0077】
このような手順により、育苗ポット200を容器300に詰め替えることができる。
【0078】
なお、詰替装置100は、駆動装置400ではなく、作業者によって手動で操作されてもよい。すなわち、作業者が持ち手部材30を手で持ち、外力作用部材60を手で操作しながら、詰替装置100を上下動させることでも、詰替作業を行うことができる。
【0079】
<3.効果>
本発明の詰替装置100では、変形付与部材14によって保持部材15を弾性変形させることができる。弾性変形後の対向部15aは、弾性変形前の対向部15aよりも内方に位置する。これにより、対向部15aを育苗ポット200の側壁202の内面に密着しないようにすることができるため、保持部材15を育苗ポット200内にスムーズに挿入することができる。保持部材15が育苗ポット200内に挿入された後、保持部材15に作用している変形付与部材14からの力を除荷すると、保持部材15が弾性変形前の状態の戻ろうとするため、対向部15aを、側壁202の内面に密着させることができる。そして、詰替装置100を持ち上げると、保持部材15と共に育苗ポット200も持ち上げることができる。
【0080】
容器300内に育苗ポット200を入れた後、変形付与部材14によって保持部材15を弾性変形させることにより、対向部15aが側壁202の内面に密着しなくなる。そのため、詰替装置100を持ち上げたとしても、育苗ポット200が保持部材15と一緒に持ち上がることはなく、保持部材15を育苗ポット200内からスムーズに引き抜くことができる。
【0081】
本発明では、従来技術と異なり、保持部材15が育苗ポット200内に圧入されないため、保持部材15を育苗ポット200内に挿入する際、および保持部材15を育苗ポット200から引き抜く際に、保持部材15は側壁202の内面と強く擦れない。したがって、保持部材15の劣化を防止できると共に、側壁202の内面の損傷を防止できる。
【0082】
変形付与部材14の下方への移動量を変えることにより、保持部材15の弾性変形量(すなわち、下方に引き延ばされる量)も変化させることができ、これにより、対向部15aの位置も変化させることができる。したがって、変形付与部材14の下方への移動量を大きくすることによって、対向部15aをより内方に位置させることができるため、より小さな内径を有する育苗ポット200内にも保持部材15をスムーズに挿入できる。
【0083】
保持部材15が外筒13の中心軸周りで回転したとしても、第1復元部材11および第2復元部材12によって、保持部材15を元の位置に自動的に戻すことができる。
【0084】
変形付与部材14の下端にキャップ19が取り付けられているか、または、変形付与部材14の下端が丸くなっていることにより、変形付与部材14によって保持部材15を押す際に、保持部材15が傷つくことを防止できる。
【0085】
保持部材15が幅広部15bを有していることにより、変形付与部材14によって押すことができる部分の面積が大きくなる。これにより、変形付与部材14によって保持部材15を確実に押すことができる。
【0086】
育苗ポット200の側壁202が平面視で4つの丸い角部を有する場合、4つの対向部15aをそれぞれ4つの丸い角部に対向させることができる。これにより、育苗ポット200に対し対向部15aが均等に密着することになるため、安定して育苗ポット200を持ち上げることができる。
【0087】
<4.変形例>
本発明は、上記実施形態に限定されず、本発明の要旨を逸脱しない範囲で種々の変更が可能である。以下に、本発明の変形例を説明する。以下で説明する変形例は、本発明の要旨を逸脱しない範囲で、単独でまたは適宜組み合わせて、上記実施形態に適用できる。
【0088】
(4-1)保持部材15は、2つの分離した帯材151を組み合わせることによって構成するのではなく、例えば1つのシート状材料を切り抜くことにより、1つの部材から構成されていてもよい。
【0089】
(4-2)対向部15aの数は4つに限定されず、対向部15aと側壁202の内面との間の摩擦力の大きさを考慮し、適宜決定できる。
【0090】
(4-3)対向部15aには、側壁202の内面との間の摩擦力を高めるための摩擦体が設けられていてもよい。摩擦体は、例えば、対向部15aに貼り付けられた微粒子である。微粒子としては、紙やすりに使用される砥石を使用できる。微粒子は、接着剤または両面テープなどによって対向部15aに貼り付けることができる。あるいは、微粒子が付着したシートまたは微粒子が付着したクッション材(例えば、スポンジ)を対向部15aに接着剤または両面テープなどによって貼り付けてもよい。
【0091】
(4-4)より大きな育苗ポット200の側壁202の内面に対しても対向部15aが密着できるようにするために、保持装置10は、対向部15aをより外方に位置させるための延長部123を備えていてもよい。
【0092】
図8に示す実施形態では、4つの延長部123が、第2復元部材12に設けられている。各延長部123は、第2基部121と一体化されており、第2基部121から、第2基部121の径方向外方に延びている。4つの延長部123は、第2基部121の周方向に90度ずつ離れている。各帯材151は、各延長部123上に載っており、各延長部123が存在しないときよりも外方に張り出している。延長部123を設けることにより、対向部15aをより外方に配置することができるため、側壁202の内径の大きい育苗ポット200に対しても対向部15aを密着させることができる。
【0093】
なお、延長部123は、第2復元部材12とは別部材に設けられていてもよい。例えば、第2復元部材12と保持部材15との間または第2復元部材12の下に、延長部123を有する別部材を取り付けるようにしてもよい。
【0094】
(4-5)上記では、保持部材15が変形付与部材14によって押されていないときに(すなわち、変形付与部材14が保持部材15から離れたときに)、対向部15aが側壁202の内面に密着する実施形態について説明した。しかしながら、保持部材15が変形付与部材14によって多少押されているときに(すなわち、保持部材15が変形付与部材14によって押されて多少弾性変形しているものの、保持部材15が育苗ポット200内に挿入されるとき、および育苗ポット200内から引き抜かれるときほど強くは押されていない状態)、対向部15aが側壁202の内面に密着してもよい。
【0095】
(4-6)変形付与部材14は、保持部材15を弾性変形させることができれば、保持部材15を押圧する部材に限定されない。
【0096】
(4-7)変形付与部材14と保持部材15とは互いに結合されていてもよく、これにより、保持部材15が、変形付与部材14の上下動に合わせて伸び縮みしてもよい。
【0097】
(4-8)対向部15aは、側壁202の内面と面接触するのではなく、側壁202の内面と点接触または線接触してもよい。例えば、保持部材15は複数の突起を有し、複数の突起の先端が側壁202の内面に点接触するようにしてもよい。1つ1つの突起と側壁202の内面との間の摩擦力が育苗ポット200を持ち上げることができるほど大きくなかったとしても、複数の突起と側壁202の内面との間の全摩擦力により、育苗ポット200を持ち上げることができればよい。
【0098】
(4-9)上側支持部材50を下側支持部材20に向けて移動させるのではなく、下側支持部材20を押し上げるまたは引き上げることによって上側支持部材50に向けて移動させるようにしてもよい。この場合、保持部材15が、変形付与部材14に近づくように、および変形付与部材14から離れるように移動することになる。
【符号の説明】
【0099】
100 詰替装置
11 第1復元部材
12 第2復元部材
14 変形付与部材
15 保持部材
15a 対向部
15b 幅広部
19 キャップ
20 下側支持部材
40 上側支持部材
60 外力作用部材
80 弾性部材
200 育苗ポット
201 底壁
202 側壁
300 容器
図1
図2
図3
図4
図5A
図5B
図5C
図6A
図6B
図7A
図7B
図7C
図7D
図7E
図7F
図7G
図7H
図8