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特開2025-6088給湯器の製造方法及び給湯器における中和器の取付構造
<図1>
  • 特開-給湯器の製造方法及び給湯器における中和器の取付構造 図1
  • 特開-給湯器の製造方法及び給湯器における中和器の取付構造 図2
  • 特開-給湯器の製造方法及び給湯器における中和器の取付構造 図3
  • 特開-給湯器の製造方法及び給湯器における中和器の取付構造 図4
  • 特開-給湯器の製造方法及び給湯器における中和器の取付構造 図5
  • 特開-給湯器の製造方法及び給湯器における中和器の取付構造 図6
  • 特開-給湯器の製造方法及び給湯器における中和器の取付構造 図7
  • 特開-給湯器の製造方法及び給湯器における中和器の取付構造 図8
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2025006088
(43)【公開日】2025-01-17
(54)【発明の名称】給湯器の製造方法及び給湯器における中和器の取付構造
(51)【国際特許分類】
   F24H 9/00 20220101AFI20250109BHJP
【FI】
F24H9/00 B
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023106655
(22)【出願日】2023-06-29
(71)【出願人】
【識別番号】000112015
【氏名又は名称】株式会社パロマ
(74)【代理人】
【識別番号】100166017
【弁理士】
【氏名又は名称】鈴木 和政
(72)【発明者】
【氏名】柿崎 友助
【テーマコード(参考)】
3L036
【Fターム(参考)】
3L036AA13
3L036AA14
(57)【要約】
【課題】高さの異なる筐体に中和器を取り付ける場合に、中和器以外の構成を大きく変更しすぎることなく、筐体底板と中和器との距離の適切化を図りやすい技術を提供する。
【解決手段】筐体として第1筐体100及び第2筐体180が候補とされ、いずれが採用される場合でも、筐体の天板を基準とした分配器70の高さが同一とされ且つ分配器70に対する取付具80の取付位置も同一とされる。この製造方法では、筐体として第1筐体100が用いられる場合に、第1取付孔91に対して被固定部148が取り付けられ、中和器55が第1筐体100の天板に対して第1の距離で配置される。筐体として第2筐体180が用いられる場合には、第2取付孔92に対して被固定部148が取り付けられ、中和器55が第2筐体180の天板に対して第1の距離L1よりも小さい第2の距離L2で配置される。
【選択図】図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ガスバーナを有する燃焼装置と、前記燃焼装置に対してガスを分配する分配器と、中和器と、前記中和器を取り付ける取付具と、筐体と、を有する給湯器の製造方法であって、
前記筐体の候補として、第1筐体と、前記第1筐体よりも高さが小さい第2筐体と、が含まれ、
前記取付具は、前記分配器に対して固定されるものであり、第1取付孔と、前記第1取付孔よりも上位置に配置される第2取付孔と、を備え、
前記中和器は、1以上の被固定部を備え、
前記筐体として前記第1筐体を用いる場合には、前記第1取付孔に対して前記被固定部を取り付け、前記中和器を前記第1筐体の天板に対して第1の距離で配置し、
前記筐体として前記第2筐体を用いる場合には、前記第2取付孔に対して前記被固定部を取り付け、前記中和器を前記第2筐体の天板に対して前記第1の距離よりも小さい第2の距離で配置する
給湯器の製造方法。
【請求項2】
前記筐体として前記第1筐体及び前記第2筐体のいずれを用いる場合でも、前記筐体の底板を基準とした前記分配器の高さを同一とし且つ前記分配器に対する前記取付具の取付位置を同一とする
請求項1に記載の給湯器の製造方法。
【請求項3】
中和剤の収容空間の前後左右を囲む周壁部を有するように前記中和器を構成し、
前記周壁部における一の壁部から突出するように前記被固定部を構成し、
前記周壁部における前記被固定部よりも上位置に、外側に張り出す張出部を設け、
前記取付具の側部において前記第1取付孔よりも上位置に凹部を設け、
前記筐体として前記第1筐体を用いる場合、前記被固定部を前記取付具側に突出させ、前記張出部を前記凹部内に入り込ませ、前記側部における前記第1取付孔よりも上方且つ前記凹部よりも下方の部分を前記一の壁部における前記被固定部よりも上方の部分に対向させるように、前記中和器を前記取付具に取り付け、
前記筐体として前記第2筐体を用いる場合、前記被固定部を前記取付具側に突出させ、前記張出部を前記取付具の上端よりも上方に配置し、前記側部における前記第1取付孔よりも上方且つ前記凹部よりも下方の部分を前記一の壁部における前記被固定部よりも下方の部分に対向させるように、前記中和器を前記取付具に取り付ける
請求項1又は請求項2に記載の給湯器の製造方法。
【請求項4】
前記中和器は、前記中和剤を収容するケース本体部と、前記ケース本体部を閉塞する蓋部と、を有するケース体を備え、
前記ケース本体部の上端側には、開口部と、前記開口部の周囲に配置されるとともに環状に張り出す第1フランジ部と、が設けられ、
前記一の壁部は、前記第1フランジ部の下方側に配置されるとともに平坦な外面を有する対向壁を備え、
前記対向壁は、前記被固定部の上方側及び下方側のいずれにも前記平坦な外面が設けられ、
前記蓋部には、環状に構成されるとともに前記第1フランジ部と重なるように配置される第2フランジ部が設けられ、
前記張出部は、前記第1フランジ部と前記第2フランジ部とが重なって構成され、
前記側部における前記第1取付孔よりも上方且つ前記凹部よりも下方には、直線状に延びる直線状側部が設けられ、
前記筐体として前記第1筐体を用いる場合、前記被固定部を前記取付具側に突出させ、前記第1フランジ部及び前記第2フランジ部を前記凹部内に入り込ませ、前記直線状側部を前記一の壁部において前記被固定部よりも上方に配置された前記平坦な外面に対向させるように、前記中和器を前記取付具に取り付け、
前記筐体として前記第2筐体を用いる場合、前記被固定部を前記取付具側に突出させ、前記第1フランジ部及び前記第2フランジ部を前記取付具の上端よりも上方に配置し、前記直線状側部を前記一の壁部において前記被固定部よりも下方に配置された前記平坦な外面に対向させるように、前記中和器を前記取付具に取り付ける
請求項3に記載の給湯器の製造方法。
【請求項5】
ガスバーナを有する燃焼装置と、前記燃焼装置に対してガスを分配する分配器と、中和器と、前記中和器を取り付ける取付具と、筐体と、を有する給湯器における中和器の取付構造であって、
前記筐体の候補として、第1筐体と、前記第1筐体よりも高さが小さい第2筐体と、が含まれ、
前記取付具は、前記分配器に対して固定されるものであり、第1取付孔と、前記第1取付孔よりも上位置に配置される第2取付孔と、を備え、
前記中和器は、1以上の被固定部を備え、
前記筐体として前記第1筐体及び前記第2筐体のいずれを用いる場合でも、前記筐体の天板を基準とした前記分配器の高さが同一とされ且つ前記分配器に対する前記取付具の取付位置が同一とされ、
前記筐体として前記第1筐体を用いる場合には、前記第1取付孔に対して前記被固定部を取り付け、前記中和器を前記第1筐体の天板に対して第1の距離で配置し、
前記筐体として前記第2筐体を用いる場合には、前記第2取付孔に対して前記被固定部を取り付け、前記中和器を前記第2筐体の天板に対して前記第1の距離よりも小さい第2の距離で配置する
給湯器における中和器の取付構造。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、給湯器の製造方法及び給湯器における中和器の取付構造に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1に開示される給湯器は、バーナの燃焼排ガスから潜熱を回収する潜熱熱交換器と、潜熱熱交換器で発生するドレンを中和する中和器と、中和器で中和されたドレンを熱源機の外部に排出するドレン排出路と、を備える。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2017-215052号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
中和器を備える給湯器では、筐体内の余剰空間に中和器を配置するように中和器が固定され、中和器内にドレンを導くように導入路が構成されるとともに、中和器で中和されたドレンを排出するように排出路が構成される。この種の給湯器では、筐体のサイズが常に一定とは限らず、中和器の取付対象として、上下が高く構成された筐体と低く構成された筐体とが想定される場合がある。しかし、何ら対策を講じることなく両種の筐体に中和器を同様に取り付けるようにすると、低く構成された筐体に中和器を取り付けた場合に、中和器が筐体底板に近づきすぎたり、筐体底板に干渉してしまったりする虞がある。
【0005】
本開示の目的の一つは、高さの異なる筐体に中和器を取り付ける場合に、中和器以外の構成を大きく変更しすぎることなく、筐体底板と中和器との距離の適切化を図りやすい技術を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示の一つである給湯器の製造方法は、
ガスバーナを有する燃焼装置と、前記燃焼装置に対してガスを分配する分配器と、中和器と、前記中和器を取り付ける取付具と、筐体と、を有する給湯器の製造方法であって、
前記筐体の候補として、第1筐体と、前記第1筐体よりも高さが小さい第2筐体と、が含まれ、
前記取付具は、前記分配器に対して固定されるものであり、第1取付孔と、前記第1取付孔よりも上位置に配置される第2取付孔と、を備え、
前記中和器は、1以上の被固定部を備え、
前記筐体として前記第1筐体を用いる場合には、前記第1取付孔に対して前記被固定部を取り付け、前記中和器を前記第1筐体の天板に対して第1の距離で配置し、
前記筐体として前記第2筐体を用いる場合には、前記第2取付孔に対して前記被固定部を取り付け、前記中和器を前記第2筐体の天板に対して前記第1の距離よりも小さい第2の距離で配置する
給湯器の製造方法。
【0007】
本開示の一つである中和器の取付構造は、
ガスバーナを有する燃焼装置と、前記燃焼装置に対してガスを分配する分配器と、中和器と、前記中和器を取り付ける取付具と、筐体と、を有する給湯器における中和器の取付構造であって、
前記筐体の候補として、第1筐体と、前記第1筐体よりも高さが小さい第2筐体と、が含まれ、
前記取付具は、前記分配器に対して固定されるものであり、第1取付孔と、前記第1取付孔よりも上位置に配置される第2取付孔と、を備え、
前記中和器は、1以上の被固定部を備え、
前記筐体として前記第1筐体及び前記第2筐体のいずれを用いる場合でも、前記筐体の天板を基準とした前記分配器の高さが同一とされ且つ前記分配器に対する前記取付具の取付位置が同一とされ、
前記筐体として前記第1筐体を用いる場合には、前記第1取付孔に対して前記被固定部を取り付け、前記中和器を前記第1筐体の天板に対して第1の距離で配置し、
前記筐体として前記第2筐体を用いる場合には、前記第2取付孔に対して前記被固定部を取り付け、前記中和器を前記第2筐体の天板に対して前記第1の距離よりも小さい第2の距離で配置する
給湯器における中和器の取付構造。
【発明の効果】
【0008】
本開示に係る技術によれば、高さの異なる筐体に中和器を取り付ける場合に、中和器以外の構成を大きく変更しすぎることなく、筐体底板と中和器との距離の適切化を図りやすい。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1図1は、第1実施形態に係る給湯器の内部構成を概念的に例示する給湯回路図である。
図2図2は、図1の給湯器の正面図である。
図3図3は、図2の給湯器から前カバーを省略した構成を概略的に示す正面図である。
図4図4は、図2の給湯器から前カバー及び一部の内部部品を省略した構成を概略的に示す正面図である。
図5図5は、図4の一部を拡大して概略的に示す拡大図である。
図6図6は、図2の給湯器に用いられる中和器を所定位置で切断した構造を概略的に示す斜視図である。
図7図7は、図1の給湯器の筐体とは異なる筐体を用いて製造された給湯器から前カバー及び一部の内部部品を省略した構成を概略的に示す正面図である。
図8図8は、図7の一部を拡大して概略的に示す拡大図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下の〔1〕~〔5〕の各々は、本開示に含まれる特徴的技術の一例である。
【0011】
〔1〕ガスバーナを有する燃焼装置と、前記燃焼装置に対してガスを分配する分配器と、中和器と、前記中和器を取り付ける取付具と、筐体と、を有する給湯器の製造方法であって、
前記筐体の候補として、第1筐体と、前記第1筐体よりも高さが小さい第2筐体と、が含まれ、
前記取付具は、前記分配器に対して固定されるものであり、第1取付孔と、前記第1取付孔よりも上位置に配置される第2取付孔と、を備え、
前記中和器は、1以上の被固定部を備え、
前記筐体として前記第1筐体を用いる場合には、前記第1取付孔に対して前記被固定部を取り付け、前記中和器を前記第1筐体の天板に対して第1の距離で配置し、
前記筐体として前記第2筐体を用いる場合には、前記第2取付孔に対して前記被固定部を取り付け、前記中和器を前記第2筐体の天板に対して前記第1の距離よりも小さい第2の距離で配置する
給湯器の製造方法。
【0012】
上記〔1〕の給湯器の製造方法は、第1筐体を用いる場合でも、第2筐体を用いる場合でも、燃焼装置、分配器、取付具の配置を大きく変更せずに、筐体底板と中和器との距離の適切化を図りやすい。例えば、高さが低い第2筐体を用いる場合には、第1取付孔よりも上位置にある第2取付孔に対して被固定部を取り付け、中和器をより天板に近づけて配置することができるため、高さが低い第2筐体において、中和器が筐体底板に近づきすぎてしまうこと或いは干渉してしまうことを抑えることができる。
【0013】
〔2〕前記筐体として前記第1筐体及び前記第2筐体のいずれを用いる場合でも、前記筐体の底板を基準とした前記分配器の高さを同一とし且つ前記分配器に対する前記取付具の取付位置を同一とする
〔1〕に記載の給湯器の製造方法。
【0014】
上記〔2〕の給湯器の製造方法は、第1筐体を用いる場合でも、第2筐体を用いる場合でも分配器の高さ及び取付具の位置を揃えることができ、これらのレイアウトを共通化することができる。その上で、高さが小さい第2筐体を用いる場合でも、中和器の下方のスペースを、第1筐体を用いる場合に近づけたサイズとすることができる。
【0015】
〔3〕中和剤の収容空間の前後左右を囲む周壁部を有するように前記中和器を構成し、
前記周壁部における一の壁部から突出するように前記被固定部を構成し、
前記周壁部における前記被固定部よりも上位置に、外側に張り出す張出部を設け、
前記取付具の側部において前記第1取付孔よりも上位置に凹部を設け、
前記筐体として前記第1筐体を用いる場合、前記被固定部を前記取付具側に突出させ、前記張出部を前記凹部内に入り込ませ、前記側部における前記第1取付孔よりも上方且つ前記凹部よりも下方の部分を前記一の壁部における前記被固定部よりも上方の部分に対向させるように、前記中和器を前記取付具に取り付け、
前記筐体として前記第2筐体を用いる場合、前記被固定部を前記取付具側に突出させ、前記張出部を前記取付具の上端よりも上方に配置し、前記側部における前記第1取付孔よりも上方且つ前記凹部よりも下方の部分を前記一の壁部における前記被固定部よりも下方の部分に対向させるように、前記中和器を前記取付具に取り付ける
〔1〕又は〔2〕に記載の給湯器の製造方法。
【0016】
上記〔3〕の給湯器の製造方法は、中和器の周壁部に張出部が設けられるような構成が採用される場合において、第1筐体及び第2筐体のいずれを用いる場合でも中和器を取付具により近づけた形でコンパクトに配置することができる。
【0017】
〔4〕前記中和器は、前記中和剤を収容するケース本体部と、前記ケース本体部を閉塞する蓋部と、を有するケース体を備え、
前記ケース本体部の上端側には、開口部と、前記開口部の周囲に配置されるとともに環状に張り出す第1フランジ部と、が設けられ、
前記一の壁部は、前記第1フランジ部の下方側に配置されるとともに平坦な外面を有する対向壁を備え、
前記対向壁は、前記被固定部の上方側及び下方側のいずれにも前記平坦な外面が設けられ、
前記蓋部には、環状に構成されるとともに前記第1フランジ部と重なるように配置される第2フランジ部が設けられ、
前記張出部は、前記第1フランジ部と前記第2フランジ部とが重なって構成され、
前記側部における前記第1取付孔よりも上方且つ前記凹部よりも下方には、直線状に延びる直線状側部が設けられ、
前記筐体として前記第1筐体を用いる場合、前記被固定部を前記取付具側に突出させ、前記第1フランジ部及び前記第2フランジ部を前記凹部内に入り込ませ、前記直線状側部を前記一の壁部において前記被固定部よりも上方に配置された前記平坦な外面に対向させるように、前記中和器を前記取付具に取り付け、
前記筐体として前記第2筐体を用いる場合、前記被固定部を前記取付具側に突出させ、前記第1フランジ部及び前記第2フランジ部を前記取付具の上端よりも上方に配置し、前記直線状側部を前記一の壁部において前記被固定部よりも下方に配置された前記平坦な外面に対向させるように、前記中和器を前記取付具に取り付ける
〔3〕に記載の給湯器の製造方法。
【0018】
上記〔4〕の給湯器の製造方法は、蓋部付近にフランジ構造が設けられた中和器が採用される場合において、第1筐体及び第2筐体のいずれを用いる場合でも中和器を取付具により近づけた形でコンパクトに配置することができ。また、第1筐体を用いる場合の中和器の配置でも、第2筐体を用いる場合の中和器の配置でも、中和器の平坦な外面に対して取付具の直線状側部を対向させて取り付けを行うことができるため、いずれの筐体の場合でも取付具に対して中和器の位置を定める作業又は中和器に対して取付具の位置を定める作業を行いやすく、取付具と中和器をより接近させて固定した後において、取付具と中和器の間が安定的に保持されやすい。
【0019】
〔5〕ガスバーナを有する燃焼装置と、前記燃焼装置に対してガスを分配する分配器と、中和器と、前記中和器を取り付ける取付具と、筐体と、を有する給湯器における中和器の取付構造であって、
前記筐体の候補として、第1筐体と、前記第1筐体よりも高さが小さい第2筐体と、が含まれ、
前記取付具は、前記分配器に対して固定されるものであり、第1取付孔と、前記第1取付孔よりも上位置に配置される第2取付孔と、を備え、
前記中和器は、1以上の被固定部を備え、
前記筐体として前記第1筐体及び前記第2筐体のいずれを用いる場合でも、前記筐体の天板を基準とした前記分配器の高さが同一とされ且つ前記分配器に対する前記取付具の取付位置が同一とされ、
前記筐体として前記第1筐体を用いる場合には、前記第1取付孔に対して前記被固定部を取り付け、前記中和器を前記第1筐体の天板に対して第1の距離で配置し、
前記筐体として前記第2筐体を用いる場合には、前記第2取付孔に対して前記被固定部を取り付け、前記中和器を前記第2筐体の天板に対して前記第1の距離よりも小さい第2の距離で配置する
給湯器における中和器の取付構造。
【0020】
上記〔5〕の給湯器における中和器の取付構造は、上記〔1〕の技術と同様の効果を奏する。
【0021】
<第1実施形態>
以下の説明は、第1実施形態に関する。
1-1.給湯器1の基本構成
図1は、給湯器1の概略回路図である。図1は、後述される製造方法により第1筐体100を用いて製造された給湯器である。
【0022】
図1に例示される給湯器1は、潜熱回収型の給湯器であり、浴槽への給湯や追い炊き機能を備えたふろ給湯器である。給湯器1は、第1筐体100(図2)内に収容される内胴2内において給湯燃焼室4と風呂燃焼室5とが設けられ、給湯燃焼室4と風呂燃焼室5とが仕切部材3によって仕切られた構成をなす。図2図3のように、第1筐体100は、前側に開口部102Aが設けられた筐体本体部102と、筐体本体部102の開口部102Aを閉塞する前パネル部101を備えた箱状の形態をなす。なお、図3では、第1筐体100の前面カバーが省略して示されている。
【0023】
筐体本体部102は、左右両側の端部に側面壁としての側面板102D,102Eが設けられ、上端部に上面壁としての天板102Cが設けられ、下端部には底面壁としての底板102Bが設けられ、後端部に背面壁としての背面板102Fが設けられた、箱状の形態をなす。側面板102D,102Eの各々は、板状に構成され、側面部として機能する。筐体本体部102は、左右両側の側面壁(側面板102D,102E)の前端部、上面壁(天板102C)の前端部、及び底面壁(底板102B)の前端部によって開口部102Aが構成され、前方側が開放した形態をなす。燃焼装置120、分配器70、中和器55などの部品を収容する収容空間の上下左右が天板102C、底板102B、側面板102D,102Eによって囲まれ、背面板102Fによって上記収容空間が後方側から覆われた構成をなす。天板102Cは、例えば当該天板102Cの過半領域以上の大部分の領域が一定の厚さの平坦な板部によって構成されている。本実施形態では、例えば、天板102Cの過半領域を占める上記板部の厚さ方向が給湯器1の上下方向である。底板102Bは、例えば当該底板102Bのある程度の領域が上記上下方向を厚さ方向とする所定厚さの平坦な板部によって構成されている。側面板102Dは、例えば当該側面板102Dの過半領域以上の大部分の領域が一定の厚さの平坦な板部によって構成されている。本実施形態では、例えば、側面板102Dの過半領域を占める上記板部の厚さ方向が給湯器1の左右方向である。そして、天板102C及び底板102Bは、上記左右方向に沿って延びている。側面板102D,102Eは、上記上下方向に沿って延びている。
【0024】
図3のように、第1筐体100内に設けられた燃焼装置120は、ケース122、バーナユニット群(図示省略)などを備える。ケース122は、第1筐体100内に収まる角箱状のケースである。ケース122は、第1筐体100に対して直接又は他部材を介して間接的に固定され、第1筐体100内の所定位置に保持される。ケース122内には、給湯バーナ6や風呂バーナ7を構成する扁平状のガスバーナ(図示省略)を左右方向に並設した構成でバーナユニット群が設けられている。図1のように、燃焼装置120内には燃焼室4,5が構成される。各燃焼室4,5の下部には、複数のバーナからなる給湯バーナ6,6・・と風呂バーナ7とが設けられ、これらによって上記バーナユニット群が構成されている。各燃焼室4,5には、点火プラグ8とフレームロッド9とがそれぞれ設けられている。内胴2の下部には、各バーナ6,7へ燃焼用空気を供給する燃焼ファン10が設けられている。給湯燃焼室4内の上部には、給湯バーナ6の燃焼排気が通過する給湯一次熱交換器11と給湯二次熱交換器12とが設けられている。風呂燃焼室5の上部には、風呂バーナ7の燃焼排気が通過する風呂一次熱交換器13と風呂二次熱交換器14とが設けられる。各二次熱交換器12,14は、内胴2の上部に設けられた排気フード15内に収容されている。排気フード15には、各二次熱交換器12,14を通過した燃焼排気を排出する排気口16が形成されている。
【0025】
図3に示される分配器70は、燃料ガスを分流させて燃焼装置120に対して燃料ガスを分配する装置である。分配器70は、ケース122の前面に設けられた開口を塞ぐ構成で、ケース122の前面部下側に組み付けられる。分配器70は、燃焼装置120の一部を前側から部分的に覆う構成で配置される。分配器70は、複数の板状の部材が前後に重ねられて構成され、全体的に扁平状をなす。分配器70の内部には、燃料ガスが流れるガス流路が構成される。図3の例では、分配器70の前面部を構成する第1金属板部と分配器70の後面部を構成する第2金属板部とが前後に重ねられた構成をなし、第1金属板部と第2金属板部との間に燃料ガスが流れる流路が構成される。分配器70の内部を通った燃料ガスは、分配器70の後方側に放出されて燃焼装置120に供給されるようになっている。
【0026】
図1のように、給湯器1には、外部からのガス配管が接続されるガス管17が設けられている。各給湯バーナ6と風呂バーナ7とには、ガス管17から分岐するガス分岐管18,18・・がそれぞれ接続されると共に、各ガス分岐管18には、ガス流路を開閉するガス電磁弁19がそれぞれ設けられている。分岐前のガス管17には、上流側から元ガス電磁弁20、ガス比例弁21がそれぞれ設けられている。
【0027】
図1に示される給湯二次熱交換器12の吸熱管の入口には、給水管22が接続される。給水管22には、上流側から、水抜き栓を備えたストレーナ23と、給水管22を流れる水量を検出する給湯水量センサ24と、入水温度を検出する給湯入水サーミスタ25と、水量制御モータ26とが設けられている。吸熱管の出口は、給湯一次熱交換器11の伝熱管の入口に接続され、伝熱管の出口には、筐体底面の湯出口に接続される出湯管27が接続される。出湯管27には、給湯一次熱交換器11からの出口温度を検出する給湯熱交換器サーミスタ28が設けられ、その下流側で器具からの出湯温度を検出する給湯出湯サーミスタ29とが設けられる。出湯管27における給湯出湯サーミスタ29の上流側と、給水管22における水量制御モータ26の下流側との間には、給湯一次熱交換器11及び給湯二次熱交換器12をバイパスするバイパス管30が接続され、バイパス管30には、バイパス流量を制御する水分配弁31が設けられている。第1筐体100(図2)内には、図1のように、給水管22からの水が給湯二次熱交換器12、給湯一次熱交換器11の順に通過して給湯バーナ6の燃焼排気と熱交換して加熱された後、出湯管27から出湯されるように給湯回路Aが形成される。
【0028】
風呂二次熱交換器14の吸熱管の入口には、戻り管35が接続される。また、戻り管35の下流側にはポンプ38が設けられ、ポンプ38の上流側には、風呂戻り温度を検出する風呂戻りサーミスタ39が設けられて、ポンプ38の下流側には、風呂水流スイッチ40と水位センサ41とが設けられる。風呂二次熱交換器14の吸熱管の出口は、風呂一次熱交換器13の伝熱管の入口に接続され、伝熱管の出口には往き管42が接続される。往き管42には、風呂往き温度を検出する風呂往きサーミスタ44が設けられている。第1筐体100(図2)内には、図1のように、ポンプ38の運転によって浴槽37の湯水が戻り管35から風呂二次熱交換器14、風呂一次熱交換器13の順に通過して風呂バーナ7の燃焼排気と熱交換して加熱された後、往き管42から浴槽37に戻るように風呂回路B(循環回路)が形成される。
【0029】
出湯管27におけるバイパス管30より下流側と、戻り管35におけるポンプ38よりも上流側との間には、落とし込み管45が接続される。落とし込み管45には、落とし込み水電磁弁46及び風呂水量センサ47がそれぞれ設けられている。風呂水量センサ47の上流側と下流側とには、2つの逆止弁48,48がそれぞれ設けられ、上流側の逆止弁48と風呂水量センサ47との間には、縁切弁49が接続されている。縁切弁49は、第1筐体100(図2)の底面に設けられたオーバーフロー口に接続される排水管50と、給水管22におけるストレーナ23の下流側と接続された導入管51とが接続されて、戻り管35からの逆流で高まった落とし込み管45内の湯水の内圧が導入管51から加わる背圧より高くなると、落とし込み管45から逆流した湯水を、排水管50を介してオーバーフロー口へ排出するものである。
【0030】
図2のように、第1筐体100内には、図1に示される給湯二次熱交換器12及び風呂二次熱交換器14で生じたドレンを中和するための中和器55が設けられている。中和器55は、ドレン導入管57に接続され、ドレン導入管57によって案内されたドレンを中和する。ドレン導入管57は、排気フード15の底面に設けられたドレン受け56から流れ出たドレンを中和器55に誘導する。中和器55の詳細は後述される。
【0031】
コントローラ65は、各種情報処理や各種制御を行う制御装置である。コントローラ65は、例えば、各サーミスタやセンサ等の検出信号を受けて各弁等を動作させ、出湯温制御や浴槽37への湯張り制御等を行う。給湯リモコン66、風呂リモコン67は、給湯器本体(給湯器1から給湯リモコン66及び風呂リモコン67を除いた部分)を遠隔操作するための操作装置である。
【0032】
1-2.中和器55の構成
図6のように、中和器55は、内部に空間が構成されるケース体55Aを備える。ケース体55Aは、中和剤を収容するケース本体部140と、ケース本体部140を閉塞する蓋部150と、を有する。ケース本体部140は、上端部が開放した箱状の形態をなす。ケース本体部140は、中和剤の収容空間の前後左右を囲む周壁部142と周壁部142の下端側に連結される板状の底部143とを備える。底部143には、ドレンを排出する排出口が設けられ、この排出口にはホース等として構成された排出管が連通した構成で接続されている。図5図6のように、周壁部142は、前壁部142Aと後壁部142Bと側壁部142Dと側壁部142Dとは反対側の側壁部とを備える。前壁部142Aと後壁部142Bとが前後に対向して配置され、側壁部142Dと上記反対側の側壁部とが左右に対向して配置される。前壁部142Aは、底部143の前端部側の部分から上方に立ち上がる。前壁部142Aは、給湯器1に用いられる場合でも、給湯器170に用いられる場合でも、給湯器の上下方向に沿って延びる。後壁部142Bは、底部143の後端部側の部分から上方に立ち上がる。後壁部142Bは、給湯器1に用いられる場合でも、給湯器170に用いられる場合でも、給湯器の上下方向に沿って延びる。上記反対側の側壁部は、底部143の左右方向一方側の部分から上方に立ち上がる。給湯器の上下方向に沿って配置される。側壁部142Dは、底部143の左右方向他方側の部分から上方に立ち上がる。側壁部142D及び上記反対側の側壁部は、給湯器1に用いられる場合でも、給湯器170に用いられる場合でも、給湯器の上下方向に沿って延びる。前壁部142Aは、中和剤の収容空間を前側から覆い、後壁部142Bは、中和剤の収容空間を後方側から覆い、側壁部142D及び上記反対側の側壁部は、中和剤の収容空間を左右両側から覆い、底部143(底壁部)は、中和剤の収容空間から下側から覆う。
【0033】
ケース本体部140の上端側には、開口部140Aと、開口部140Aの周囲に配置されるとともに環状に張り出す第1フランジ部140Bと、が設けられる。開口部140Aは、周壁部142の上端部における内縁部によって構成され、上側に開放した形態をなす。第1フランジ部140Bは、凸部143A,143B,143C,143Dを備え、開口部140Aの周りに環状に張り出すように配置されている。凸部143Dは、側壁部142Dの上端部において当該凸部143Dの下方に設けられた外壁面よりも左右方向他方側(左方側)に張り出すように左右方向に突出する。
【0034】
側壁部142Dは、一の壁部の一例に相当する。側壁部142Dは、対向壁145を有する。対向壁145は、側壁部142D(一の壁部)における凸部143D以外且つ被固定部148以外の部分である。対向壁145は、平坦な外面145Dを有する。平坦な外面145Dは、第1フランジ部140Bの下方側(具体的には、凸部143Dの下方側)に配置される。対向壁145において平坦な外面145Dは、被固定部148の上方側及び下方側のいずれにも設けられる。平坦な外面145Dは、左右方向と直交する方向の平坦面である。なお、平坦な外面145Dは、左右方向と直交する平面に対して僅かに傾いていてもよい。
【0035】
被固定部148は、側壁部142D(一の壁部)から左右方向他方側(図4の例では左方側)に突出するように構成される。被固定部148は、張出部55Bよりも下の位置に配置される。張出部55Bは、被固定部148よりも上位置において外側に張り出すように設けられている。図5の例では、張出部55Bは、蓋部150の位置において、左右方向他方側(図5の例では左方側)に張り出すように突出している。より具体的には、第1フランジ部140Bの一部をなす凸部143Dが被固定部148よりも上位置且つ対向壁145よりも上位置に設けられる。上下方向において凸部143Dと被固定部148の間の領域には、平坦な外面145Dが配置されている。凸部143D及び被固定部148はいずれも、平坦な外面145Dから当該平坦な外面145Dよりも左右方向他方側(図5の例では左方側)に突出している。図5の例では、被固定部148は、後述の取付具80と前後に重なるように配置される。被固定部148は取付具80と重なった状態で、ネジ等の連結部材108Aによって取付具80に固定されている。
【0036】
蓋部150は、ケース本体部140の上端側に設けられた開口部140Aを閉塞する蓋形状をなす。蓋部150は、板状に構成された板部152と板部152から上方側に膨れ出た形状で膨出する膨出部154とを備える。蓋部150には、ドレンを導入する導入口が設けられ、この導入口には、ホース等として構成された導入管が連通する構成で接続されている。
【0037】
蓋部150には、第2フランジ部150Bが設けられる。第2フランジ部150Bは、環状に構成されるとともに第1フランジ部140Bと重なるように配置される。図6の例では、第2フランジ部150Bは、蓋部150の外縁部として構成され、より具体的には、板部152の外縁部として構成される。張出部55Bは、第1フランジ部140Bと第2フランジ部150Bとが重なって構成され、ケース体55Aの上端側の一部として外側に張り出した構成をなす。具体的には、張出部55Bは、前側、後ろ側、左方側、右方側に張り出した構成をなす。第2フランジ部150Bにおいて凸部143Dに重なる重なり部分も、外面145Dよりも左右方向他方側(左方側)に位置している。張出部55Bにおいて左右方向他方側に張り出す部分は、凸部143Dと第2フランジ部150Bにおける凸部143Dの上方に重なる部分とによって構成される。
【0038】
1-3.給湯器1における中和器55の配置
図4図5のように、給湯器1では、中和器55は、後述される取付具80と第1筐体100の側面板102Dとの間に挟まれた位置に配置される。図4の例では、中和器55の上端は、分配器70の上端よりも下の位置に配置されるとともに燃焼装置120の上端よりも下の位置に配置される、中和器55の下端は、分配器70の下端よりも下の位置に配置されるとともに燃焼装置120の下端よりも下の位置に配置される。更に、中和器55の左右方向他端(図4の例では左端)は、分配器70の左右方向一端(具体的には右端)よりも左右方向一方側(図4の例では右方側)に配置されるとともに燃焼装置120の左右方向一端(図4の例では右端)よりも左右方向一方側(図4の例では右方側)に配置される。図4の例では、中和器55の上端と第1筐体100の天板102Cとの距離よりも、中和器55の下端と第1筐体100の底板102Bとの距離のほうが小さくなっている。中和器55は、側面板102D寄りに近接し、側面板102Dに沿って配置される。具体的には、上記反対側の側壁部が側面板102Dに近接しつつ側面板102Dに沿って配置される。
【0039】
1-4.取付具80の構成
取付具80は、中和器55を取り付ける部品であり、分配器70に対して固定されるものである。取付具80は、板状に構成され、例えば金属板として構成される。図5図8のように、取付具80は、第1取付孔91と、第1取付孔91よりも上位置に配置される第2取付孔92と、を備える。第1取付孔91及び第2取付孔92のいずれも、取付具80の左右方向他方側の端部(図4の例では取付具80の左端)との左右方向の距離よりも、取付具80の左右方向一方側の端部(図4の例では取付具80の右端)との左右方向の距離のほうが小さくなるように取付具80において左右方向一方側(図4の例では右方側)に寄った位置に配置される。第1取付孔91は、上下方向において取付具80の下端寄りに配置され、第2取付孔92は、上下方向において取付具80の上端寄りに配置される。第1取付孔91及び第2取付孔92は、内周部にねじ溝が設けられていてもよい。この場合、ネジ等によって構成された連結部材108Aや連結部材108Bが挿入される場合に、これらと噛み合うように連結され得る。
【0040】
取付具80における左右方向片側(図5の例では、左右方向一方側である右側)の側部84において第1取付孔91よりも上位置且つ第2取付孔92よりも下位置には、凹部86が設けられる。凹部86は、取付具80の板面方向に沿って凹むように構成された部分であり、具体的には、左右方向他方側に凹むように構成されている。図5の例では、側部84における凹部の上側の部分及び凹部86の下側の部分がいずれも、上下方向に沿って直線状に延びる直線状側部88として構成されており、凹部86は、これらの直線状側部88よりも左右方向他方側(図5では左側)に凹むように構成されている。
【0041】
取付具80の側部84において、凹部86以外の大部分は、直線状側部88として構成される。直線状側部88は、上下方向一方側から他方側に直線状に延びる側部である。直線状側部88が延びる方向は、上下方向と平行であってもよく、上下方向に対して僅かに傾斜していてもよい。側部84において凹部86よりも下方側の領域の大部分は、直線状側部88として構成されている。側部84において凹部86よりも上方側の領域の大部分も、直線状側部88として構成されている。凹部86よりも上側及び下側の直線状側部88のいずれも、凹部86の内縁部における最も左右方向他方側の端部(図5の例では左端部)よりも左右方向一方側に位置しており、図5の例では、下側の直線状側部88の左右方向の位置と、上側の直線状側部88の左右方向の位置とが略同一となっている。
【0042】
1-5.給湯器1における取付構造
図4のように、筐体として第1筐体100が用いられる構成では、図5のように被固定部148が取付具80側に突出した状態で配置され、被固定部148が第1取付孔91の前側又は後ろ側(図5の例では前側)に配置されるように被固定部148と取付具80とが前後に重なった状態で、被固定部148に形成された孔部及び第1取付孔91に対して連結部材108Aが挿入されて固定される。第1取付孔91(図8参照)は、内周部にねじ溝が設けられていてもよく、この場合、ネジ等によって構成された連結部材108Aが挿入されることで、連結部材108Aと第1取付孔91とが連結し、被固定部148が取付具80に密着するように押し当てられつつ固定される。なお、この固定方法はあくまで一例であり、第1取付孔91付近と被固定部148とを前後に重ねつつ、何らかの連結部材を被固定部148と第1取付孔91とに挿入した状態で保持できる固定構造であれば、他の固定構造を採用してもよい。
【0043】
図5の例では、張出部55Bの一部(具体的には、第1フランジ部140B及び第2フランジ部150Bのそれぞれの一部)が凹部86内に入り込み、直線状側部88が側壁部142D(一の壁部)において被固定部148よりも上方に配置された平坦な外面145Dに対向して配置された状態で、中和器55が取付具80に取り付けられている。
【0044】
図5の例では、上記重なり部分(第2フランジ部150Bにおいて凸部143Dに重なる部分)と凸部143Dによって構成される突出部分(張出部55Bにおいて左右方向他方側に突出する部分)が、取付具80に設けられた凹部86内に入り込んだ構成で配置される。図5の状態では、張出部55Bの左右方向他方側の端部(図5の例では左端部)は、凹部86の左右方向一方側の端部(図5の例では右端部)よりも左右方向他方側に位置するとともに、凹部86の上側の直線状側部88よりも左右方向他方側に位置し且つ凹部86の下側の直線状側部88よりも左右方向他方側に位置している。
【0045】
図5の例では、凹部86の下側の直線状側部88が、張出部55Bの下側に配置された平坦な外面145Dと接触又は接触せずに近接(具体的には、互いに平行又は略平行に近接)して配置される。
【0046】
2-1.給湯器170の基本構成
図7に示される給湯器170は、図3に示される給湯器1の第1筐体100に代えて第2筐体180が用いられた給湯器である。給湯器170は、図1に示される上述の構成を含み、第2筐体180内のレイアウトや一部の部品の構成などを図3とは異ならせた構成をなす。但し、給湯器170でも、燃焼装置120、分配器70、取付具80の各々は、図3の給湯器1における燃焼装置120、分配器70、取付具80の各々と同一の構成をなし、同一の機能を有する。例えば、図7に示される給湯器170に用いられる取付具80は、上述の「1-4.取付具80の構成」で説明された取付具80と同一であり、給湯器1で用いられる取付具80の全ての特徴を有している。そして、図3図4の給湯器1と図7の給湯器170とでは、燃焼装置120と分配器70と取付具80とが一体的に組み合わさってなる組み立て体の構造が同一となっている。
【0047】
図3図4の給湯器1と図7の給湯器170とは、筐体の底板を基準とした分配器70の高さが同一であり且つ分配器70に対する取付具80の取付位置も同一である。具体的には、図4に示される給湯器1における底板102Bを基準とした分配器70の高さは、図4における底板102Bから分配器70までの最短距離であり、底板102Bと分配器70との間の最も狭い間隔である。一方で、図7に示される給湯器170における底板182Bを基準とした分配器70の高さは、図7における底板182Bから分配器70までの最短距離であり、底板182Bと分配器70との間の最も狭い間隔である。
【0048】
そして、給湯器170でも、給湯器1と同一の中和器55が用いられる。つまり、図7図8に示される中和器55は、上述の「1-2.中和器55の構成」で説明された中和器55と同一であり、給湯器1に用いられる中和器55の全ての特徴を有している。
【0049】
図7のように、第2筐体180は、前側に開口部182Aが設けられた筐体本体部182と、筐体本体部182の開口部182Aを閉塞する前パネル部(図示省略)を備えた箱状の形態をなす。なお、図7では、第2筐体180の前面カバーが省略して示されている。筐体本体部182は、左右両側に側面壁としての側面板が設けられ、上端部に上面壁としての天板182Cが設けられ、下端部には底面壁としての底板182Bが設けられ、後端部に背面壁としての背面板182Fが設けられた、箱状の形態をなす。
【0050】
筐体本体部182は、左右両側の端部に側面壁としての側面板182D,182Eが設けられ、上端部に上面壁としての天板182Cが設けられ、下端部には底面壁としての底板182Bが設けられ、後端部に背面壁としての背面板182Fが設けられた、箱状の形態をなす。側面板182D,182Eの各々は、板状に構成され、側面部として機能する。筐体本体部182は、左右両側の側面壁(側面板182D,182E)の前端部、上面壁(天板182C)の前端部、及び底面壁(底板182B)の前端部によって開口部182Aが構成され、前方側が開放した形態をなす。燃焼装置120、分配器70、中和器55などの部品を収容する収容空間の上下左右が天板182C、底板182B、側面板182D,182Eによって囲まれ、背面板182Fによって上記収容空間が後方側から覆われた構成をなす。天板182Cは、例えば当該天板182Cの過半領域以上の大部分の領域が一定の厚さの平坦な板部によって構成されている。本実施形態では、例えば、天板182Cの過半領域を占める上記板部の厚さ方向が給湯器170の上下方向である。底板182Bは、例えば当該底板182Bのある程度の領域が上記上下方向を厚さ方向とする所定厚さの平坦な板部によって構成されている。側面板182Dは、例えば当該側面板182Dの過半領域以上の大部分の領域が一定の厚さの平坦な板部によって構成されている。本実施形態では、例えば、側面板182Dの過半領域を占める上記板部の厚さ方向が給湯器170の左右方向である。そして、天板182C及び底板182Bは、上記左右方向に沿って延びている。側面板182D,182Eは、上記上下方向に沿って延びている。
【0051】
2-2.給湯器170における中和器55の配置
図7図8のように、給湯器170では、中和器55は、取付具80と第2筐体180の側面板182Dとの間に挟まれた位置に配置される。図7の例では、中和器55の上端は、分配器70の上端よりも上の位置に配置されるとともに燃焼装置120の上端よりも上の位置に配置される、中和器55の下端は、分配器70の下端よりも上の位置に配置されるとともに燃焼装置120の下端よりも下の位置に配置される。更に、中和器55の左右方向他端(図7の例では左端)は、分配器70の左右方向一端(具体的には右端)よりも左右方向一方側(図7の例では右方側)に配置されるとともに燃焼装置120の左右方向一端(図7の例では右端)よりも左右方向一方側(図7の例では右方側)に配置される。図7の例では、中和器55の上端と第2筐体180の天板182Cとの距離よりも、中和器55の下端と第2筐体180の底板182Bとの距離のほうが大きくなっている。中和器55は、側面板182D寄りに近接し、側面板182Dに沿って配置される。具体的には、上述の「反対側の側壁部」が側面板182Dに近接しつつ側面板182Dに沿って配置される。
【0052】
2-3.給湯器170における取付構造
図7図8の例でも、図4図5と同一の取付具80が用いられる。そして、分配器70に対する取付具80の取付位置や取付姿勢は図4図5の例と図7図8の例とで同一である。
【0053】
図7ように、筐体として第2筐体180が用いられる構成では、図8のように被固定部148が取付具80側に突出した状態で配置され、被固定部148が第2取付孔92の前側又は後ろ側(図8の例では前側)に配置されるように被固定部148と取付具80とが前後に重なった状態で、被固定部148に形成された孔部及び第2取付孔92に対して連結部材108Bが挿入されて固定される。第2取付孔92(図5参照)は、内周部にねじ溝が設けられていてもよく、この場合、ネジ等によって構成された連結部材108Bが挿入されることで、連結部材108Bと第2取付孔92とが連結し、被固定部148が取付具80に密着するように押し当てられつつ固定される。なお、この固定方法はあくまで一例であり、第2取付孔92付近と被固定部148とを前後に重ねつつ、何らかの連結部材を被固定部148と第2取付孔92とに挿入した状態で保持できる固定構造であれば、他の固定構造を採用してもよい。
【0054】
図8の例では、上述の張出部55Bが凹部86内に入り込んでおらず、第1フランジ部140B及び第2フランジ部150Bのいずれも、凹部86よりも上方位置に配置される。より具体的には、上記重なり部分(第2フランジ部150Bにおいて凸部143Dに重なる部分)と凸部143Dによって構成される突出部分(張出部55Bにおいて左右方向他方側に突出する部分)が、取付具80に設けられた凹部86内に入り込んでおらず、取付具80の上端よりも上の位置に配置される。そして、直線状側部88が側壁部142D(一の壁部)において被固定部148よりも下方に配置された平坦な外面145Dに対向して配置された状態で、中和器55が取付具80に取り付けられている。
【0055】
図8の状態では、張出部55Bの左右方向他方側の端部(図8の例では左端部)は、凹部86の左右方向一方側の端部(図5の例では右端部)よりも左右方向他方側に位置するとともに、凹部86の上側の直線状側部88よりも左右方向他方側に位置し且つ凹部86の下側の直線状側部88よりも左右方向他方側に位置している。
【0056】
図8の例では、凹部86の上側及び下側の直線状側部88が、被固定部148の下側に配置された平坦な外面145Dと接触せずに近接(具体的には、互いに平行又は略平行に近接)して配置される。なお、図8の例において、被固定部148の下側に配置された平坦な外面145Dが直線状側部88と接触するように配置されてもよい。
【0057】
3-1.製造方法
給湯器1又は給湯器170を製造する場合、以下のような製造方法が採用され得る。
この製造方法では、筐体の候補として、第1筐体100と、第1筐体100よりも高さが小さい第2筐体180と、が含まれており、第1筐体100及び第2筐体180のうちからいずれかを選択するように選択工程を行う。なお、選択工程によっていずれかの筐体を選択してから選択された筐体を製造してもよく、あらかじめ両筐体を製造しておいてから、選択された筐体を後工程に用いてもよい。
【0058】
本製造方法では、選択工程よりも前、又は後、若しくは同時期に、筐体以外の部品を製造し、準備する準備工程を行う。例えば、上述の燃焼装置120、分配器70、取付具80、中和器55、その他の部品などを準備する。燃焼装置120、分配器70、取付具80、中和器55、その他の部品についての個別の製造は、公知の方法を用いることができる。
【0059】
選択工程の後には、取付工程を行う。この取付工程では、選択工程で選択された筐体に対して燃焼装置120、分配器70、取付具80、中和器55、その他の部品を取り付ける。取付工程では、筐体として第1筐体100及び第2筐体180のいずれを用いる場合でも、筐体の底板を基準とした分配器70の高さを同一とし且つ分配器70に対する取付具80の取付位置を同一とすることが望ましい。
【0060】
取付工程では、筐体として第1筐体100を用いる場合、図5のように第1取付孔91(図8参照)に対して被固定部148を取り付け、中和器55を第1筐体100の天板102Cに対して「第1の距離L1」で配置することで、図5のような構成を得る。この場合、中和器55と天板102Cとの距離は、図6に示される中和器55の上端から天板102Cまでの最短距離であり、図4図5の例ではこの最短距離がL1である。具体的には、中和器55と天板102Cの間の最も狭い間隔が距離L1である。具体的には、図5のように、被固定部148を取付具80側に突出させ、張出部55Bを凹部86内に入り込ませ、側部84における第1取付孔91よりも上方且つ凹部86よりも下方の部分を側壁部142D(一の壁部)における被固定部148よりも上方の部分に対向させるように、中和器55を取付具80に取り付ける。より具体的には、図5のように、被固定部148を取付具80側に突出させ、第1フランジ部140B及び第2フランジ部150Bを凹部86内に入り込ませ、直線状側部88を側壁部142D(一の壁部)における平坦な外面145Dに対向させるように、中和器55を取付具80に取り付ける。図5の例では、直線状側部88を平坦な外面145Dにおける被固定部148よりも上方の部分に対向させるように中和器55を取付具80に取り付ける。
【0061】
取付工程では、筐体として第2筐体180を用いる場合、図8のように第2取付孔92(図5参照)に対して被固定部148を取り付け、中和器55を第2筐体180の天板182Cに対して上記第1の距離L1よりも小さい「第2の距離L2」で配置することで、図8のような構成を得る。中和器55と天板182Cとの距離は、図7に示される中和器55の上端から天板182Cまでの最短距離であり、図7の例ではこの最短距離がL2である。具体的には、中和器55と天板182Cの間の最も狭い間隔が距離L1である。具体的には、図8のように、被固定部148を取付具80側に突出させ、張出部55Bを取付具80の上端よりも上方に配置し、側部84における第1取付孔91よりも上方且つ凹部86よりも下方の部分を側壁部142D(一の壁部)における被固定部148よりも下方の部分に対向させるように、中和器55を取付具80に取り付ける。より具体的には、被固定部148を取付具80側に突出させ、第1フランジ部140B及び第2フランジ部150Bを取付具80の上端よりも上方に配置し、直線状側部88を側壁部142D(一の壁部)における平坦な外面145Dに対向させるように、中和器55を取付具80に取り付ける。図8の例では、直線状側部88を平坦な外面145Dにおける被固定部148よりも下方に配置された部分に対向させるように中和器55を取付具80に取り付ける。
【0062】
4-1.効果の例
上述された製造方法は、図4のように第1筐体100を用いる場合でも、図7のように第2筐体180を用いる場合でも、燃焼装置120、分配器70、取付具80の配置を大きく変更せずに、筐体底板と中和器55との距離の適切化を図りやすい。例えば、図7のように高さが低い第2筐体180を用いる場合には、第1取付孔91よりも上位置にある第2取付孔92に対して被固定部148を取り付け、中和器55をより天板182Cに近づけて配置することができるため、高さが低い第2筐体180において、中和器55が筐体底板(底板182B)に近づきすぎてしまうこと或いは干渉してしまうことを抑えることができる。
【0063】
上述の製造方法は、第1筐体100を用いる場合でも、第2筐体180を用いる場合でも分配器70の高さ及び取付具80の位置を揃えることができ、これらのレイアウトを共通化することができる。その上で、高さが小さい第2筐体180を用いる場合でも、中和器55の下方のスペースを、第1筐体100を用いる場合に近づけたサイズとすることができる。
【0064】
上述の製造方法は、中和器55の周壁部142に張出部55Bが設けられるような構成が採用される場合において、第1筐体100及び第2筐体180のいずれを用いる場合でも中和器55を取付具80により近づけた形でコンパクトに配置することができる。
【0065】
具体的には、第1筐体100を用いる場合の中和器55の配置でも、第2筐体180を用いる場合の中和器55の配置でも、中和器55の平坦な外面に対して取付具80の直線状側部88を対向させて取り付けを行うことができるため、いずれの筐体の場合でも取付具80に対して中和器55の位置を定める作業又は中和器55に対して取付具80の位置を定める作業を行いやすく、取付具80と中和器55をより接近させて固定した後において、取付具80と中和器55の間が安定的に保持されやすい。
【0066】
<他の実施形態>
本発明は、上記記述及び図面によって説明された実施形態に限定されるものではない。例えば、上述又は後述の実施形態の特徴は、矛盾しない範囲であらゆる組み合わせが可能である。また、上述又は後述の実施形態のいずれの特徴も、必須のものとして明示されていなければ省略することもできる。さらに、上述された実施形態は、次のように変更されてもよい。
【0067】
上述された実施形態では、中和器55において1つの被固定部148が設けられるが、取付具に固定される被固定部の数は2以上であってもよい。
【0068】
上述された製造方法では、取付工程において、筐体として第1筐体100及び第2筐体180のいずれを用いる場合でも、筐体の底板を基準とした分配器70の高さを同一とし且つ分配器70に対する取付具80の取付位置を同一としたが、第1筐体100及び第2筐体180のいずれを用いるかで、底板を基準とした高さ、或いは分配器70に対する取付具80の取付位置を若干異ならせてもよい。
【0069】
上述された製造方法では、筐体として第1筐体100及び第2筐体180のいずれを用いる場合でも、燃焼装置120、分配器70、取付具80のそれぞれについて同一構成としたが、第1筐体100及び第2筐体180のいずれを用いるかで、燃焼装置120、分配器70、取付具80のいずれか1以上のものを、若干異ならせてもよい。例えば、筐体として第1筐体100を用いる場合には、燃焼装置120、分配器70、取付具80のそれぞれを用い、筐体として第2筐体180を用いる場合には燃焼装置120、分配器70、取付具80のいずれか1以上のものにおいて、部品を削減して用いてもよく、部品を追加して用いてもよい。
【0070】
なお、今回開示された実施の形態は全ての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は、今回開示された実施の形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲によって示された範囲内又は特許請求の範囲と均等の範囲内での全ての変更が含まれることが意図される。
【符号の説明】
【0071】
1 :給湯器
6 :給湯バーナ(ガスバーナ)
7 :風呂バーナ(ガスバーナ)
55 :中和器
55B :張出部
70 :分配器
80 :取付具
84 :側部
86 :凹部
88 :直線状側部
91 :第1取付孔
92 :第2取付孔
100 :第1筐体
102B :底板
102C :天板
120 :燃焼装置
140B :第1フランジ部
142D :側壁部(一の壁部)
143 :底部
143D :凸部
145 :対向壁
145D :平坦な外面
148 :被固定部
150B :第2フランジ部
170 :給湯器
180 :第2筐体
182B :底板
182C :天板
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8