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特開2025-6090勤務表作成装置、および制御プログラム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2025006090
(43)【公開日】2025-01-17
(54)【発明の名称】勤務表作成装置、および制御プログラム
(51)【国際特許分類】
   G16H 40/20 20180101AFI20250109BHJP
【FI】
G16H40/20
【審査請求】未請求
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023106658
(22)【出願日】2023-06-29
(71)【出願人】
【識別番号】000001270
【氏名又は名称】コニカミノルタ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000671
【氏名又は名称】IBC一番町弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】巽 和基
【テーマコード(参考)】
5L099
【Fターム(参考)】
5L099AA01
(57)【要約】
【課題】勤務表への影響が少ない体制加算を容易に把握することを目的とする。
【解決手段】勤務表作成装置10は、職員情報データ、希望条件データ、シフト条件データ、および加算要件データに基づいて、複数の体制加算のうち1つ以上の体制加算を適用した場合の導入後勤務表を複数作成する勤務表作成部112と、取得した現行の勤務表と、勤務表作成部が作成した複数の導入後勤務表とをそれぞれ比較し、差分を算出するとともに、差分が最も少ない導入後勤務表を選定する勤務表比較部113と、選定した導入後勤務表に適用した1つまたは複数の体制加算を出力する出力部114と、を備える。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
看介護施設における、複数の職員が従事するシフト勤務の勤務表を作成する勤務表作成装置であって、
前記複数の職員の職員情報データ、前記職員毎のシフト勤務に関する希望条件データ、シフト枠を含むシフト条件データ、および複数の体制加算に関する加算要件データを取得する取得部と、
前記職員情報データ、前記希望条件データ、前記シフト条件データ、および前記加算要件データに基づいて、複数の体制加算のうち1つ以上の前記体制加算を適用した場合の導入後勤務表を複数作成する勤務表作成部と、
取得した現行の勤務表と、前記勤務表作成部が作成した複数の前記導入後勤務表とをそれぞれ比較し、差分を算出するとともに、差分が最も少ない導入後勤務表を選定する勤務表比較部と、
選定した前記導入後勤務表に適用した1つまたは複数の体制加算を出力する出力部と、を備える勤務表作成装置。
【請求項2】
前記出力部は、選定した前記導入後勤務表、および、該導入後勤務表の前記現行の勤務表に対する前記差分を出力する、請求項1に記載の勤務表作成装置。
【請求項3】
前記勤務表作成部は、前記複数の体制加算の全ての可能な組み合わせそれぞれにおける、前記体制加算を適用した場合の導入後勤務表を複数作成する、請求項1に記載の勤務表作成装置。
【請求項4】
前記勤務表比較部は、前記現行の勤務表に対して、前記導入後勤務表で追加される職員の人数、および、変更となるシフト枠の数により差分スコアを算出するとともに、
差分スコアが最も小さい前記導入後勤務表を選定する、請求項1に記載の勤務表作成装置。
【請求項5】
前記勤務表作成部は、前記職員情報データ、前記希望条件データ、および前記シフト条件データ、または、前記職員情報データ、前記希望条件データ、前記シフト条件データ、および、現在適用している前記体制加算に関する加算要件データに基づいて、前記現行の勤務表を作成し、
前記勤務表比較部は、前記勤務表作成部が作成した前記現行の勤務表を取得する、請求項1に記載の勤務表作成装置。
【請求項6】
看介護施設における、複数の職員が従事するシフト勤務の勤務表を作成する勤務表作成装置で動作する制御プログラムであって、
前記複数の職員の職員情報データ、前記職員毎のシフト勤務に関する希望条件データ、シフト枠を含むシフト条件データ、および複数種類の体制加算に関する加算要件データを取得するステップ(a)と、
前記職員情報データ、前記希望条件データ、前記シフト条件データ、および前記加算要件データに基づいて、複数の体制加算のうち1つ以上の前記体制加算を適用した場合の導入後勤務表を複数作成するステップ(b)と、
取得した現行の勤務表と、前記ステップ(b)で作成した複数の前記導入後勤務表とをそれぞれ比較し、差分を算出するとともに、差分が最も少ない導入後勤務表を選定する、ステップ(c)と、
選定した前記導入後勤務表に適用した1つまたは複数の体制加算を出力するステップ(d)と、を含む処理をコンピューターで実行させるための制御プログラム。
【請求項7】
前記ステップ(d)では、選定した前記導入後勤務表、および、該導入後勤務表の前記現行の勤務表に対する前記差分を出力する、請求項6に記載の制御プログラム。
【請求項8】
前記ステップ(b)では、前記複数の体制加算の全ての可能な組み合わせそれぞれにおける、前記体制加算を適用した場合の導入後勤務表を複数作成する、請求項6に記載の制御プログラム。
【請求項9】
前記ステップ(c)では、前記現行の勤務表に対して、前記導入後勤務表で追加される職員の人数、および、変更となるシフト枠の数により差分スコアを算出するとともに、差分スコアが最も小さい前記導入後勤務表を選定する、請求項6に記載の制御プログラム。
【請求項10】
前記職員情報データ、前記希望条件データ、および前記シフト条件データ、または、前記職員情報データ、前記希望条件データ、前記シフト条件データ、および、現在適用している前記体制加算に関する加算要件データに基づいて、前記現行の勤務表を作成するステップ(e)をさらに含み、
前記ステップ(c)では、ステップ(e)で作成した現行の勤務表を取得する、請求項6に記載の制御プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、勤務表作成装置、および制御プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
介護老人福祉施設、介護老人保健施設、その他の看介護施設においては、利用者や介護保険から得る基本報酬だけでなく、施設の体制などを整えることによって、厚生労働省の介護報酬に関する加算の報酬を得ることができる。加算の報酬を得るためには、看介護施設では、利用者数(入居者数)、勤務する職員数、職種、勤務状況、夜勤体制、医師や衛生士の診断実施状況、等の様々な観点で、加算の要件を満たす必要がある。
【0003】
そのため、看介護施設においては、介護や看護等を行う職員(介護士、看護師等)のシフト勤務の勤務表を作成する際には、職員の個別の要望を加味しつつ、加算に関する各種の要件を満たすかどうか確認しながら行う必要がある。そのため時間と手間が非常にかかる。
【0004】
特許文献1には、報酬単価の算定要件を満たしているか否かを容易に確認することを目的とした福祉施設の運営支援システムが開示されている。この運営システムでは、作成した勤務予定表に基づいて、サービス提供職員欠如減算、職員加配加算、福祉専門職員等配置加算、定員超過減算等の各種の加算に関する加算要件の有無が自動で確認される。また、その結果がエラー内容として表示される。ユーザーは、その内容に従って勤務予定表を修正等することにより、算定要件を満たした施設運営を行う。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2021-089540号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、特許文献1の運営支援システムでは、各種の加算を適用する際に、加算要件を満たしていない場合にエラー内容として表示するものであり、エラー内容への対応をするに際し、勤務表の変更がどの程度になるかは、実際に変更しないと分からない。
【0007】
本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであり、勤務表への影響が少ない体制加算を容易に把握することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の上記目的は、下記の手段によって達成される。
【0009】
(1)看介護施設における、複数の職員が従事するシフト勤務の勤務表を作成する勤務表作成装置であって、
前記複数の職員の職員情報データ、前記職員毎のシフト勤務に関する希望条件データ、シフト枠を含むシフト条件データ、および複数の体制加算に関する加算要件データを取得する取得部と、
前記職員情報データ、前記希望条件データ、前記シフト条件データ、および前記加算要件データに基づいて、複数の体制加算のうち1つ以上の前記体制加算を適用した場合の導入後勤務表を複数作成する勤務表作成部と、
取得した現行の勤務表と、前記勤務表作成部が作成した複数の前記導入後勤務表とをそれぞれ比較し、差分を算出するとともに、差分が最も少ない導入後勤務表を選定する勤務表比較部と、
選定した前記導入後勤務表に適用した1つまたは複数の体制加算を出力する出力部と、を備える勤務表作成装置。
【0010】
(2)前記出力部は、選定した前記導入後勤務表、および、該導入後勤務表の前記現行の勤務表との前記差分を出力する、上記(1)に記載の勤務表作成装置。
【0011】
(3)前記勤務表作成部は、前記複数の体制加算の全ての可能な組み合わせそれぞれにおける、前記体制加算を適用した場合の導入後勤務表を複数作成する、上記(1)に記載の勤務表作成装置。
【0012】
(4)前記勤務表比較部は、前記現行の勤務表に対して、前記導入後勤務表で追加される職員の人数、および、変更となるシフト枠の数により差分スコアを算出するとともに、
差分スコアが最も小さい前記導入後勤務表を選定する、上記(1)に記載の勤務表作成装置。
【0013】
(5)前記勤務表作成部は、前記職員情報データ、前記希望条件データ、および前記シフト条件データ、または、前記職員情報データ、前記希望条件データ、前記シフト条件データ、および、現在適用している前記体制加算に関する加算要件データに基づいて、前記現行の勤務表を作成し、
前記勤務表比較部は、前記勤務表作成部が作成した前記現行の勤務表を取得する、上記(1)に記載の勤務表作成装置。
【0014】
(6)看介護施設における、複数の職員が従事するシフト勤務の勤務表を作成する勤務表作成装置で動作する制御プログラムであって、
前記複数の職員の職員情報データ、前記職員毎のシフト勤務に関する希望条件データ、シフト枠を含むシフト条件データ、および複数種類の体制加算に関する加算要件データを取得するステップ(a)と、
前記職員情報データ、前記希望条件データ、前記シフト条件データ、および前記加算要件データに基づいて、複数の体制加算のうち1つ以上の前記体制加算を適用した場合の導入後勤務表を複数作成するステップ(b)と、
取得した現行の勤務表と、前記ステップ(b)で作成した複数の前記導入後勤務表とをそれぞれ比較し、差分を算出するとともに、差分が最も少ない導入後勤務表を選定する、ステップ(c)と、
選定した前記導入後勤務表に適用した1つまたは複数の体制加算を出力するステップ(d)と、を含む処理をコンピューターで実行させるための制御プログラム。
【0015】
(7)前記ステップ(d)では、選定した前記導入後勤務表、および、該導入後勤務表の前記現行の勤務表との前記差分を出力する、上記(6)に記載の制御プログラム。
【0016】
(8)前記ステップ(b)では、前記複数の体制加算の全ての可能な組み合わせそれぞれにおける、前記体制加算を適用した場合の導入後勤務表を複数作成する、上記(6)に記載の制御プログラム。
【0017】
(9)前記ステップ(c)では、前記現行の勤務表に対して、前記導入後勤務表で追加される職員の人数、および、変更となるシフト枠の数により差分スコアを算出するとともに、差分スコアが最も小さい前記導入後勤務表を選定する、上記(6)に記載の制御プログラム。
【0018】
(10)前記職員情報データ、前記希望条件データ、および前記シフト条件データ、または、前記職員情報データ、前記希望条件データ、前記シフト条件データ、および、現在適用している前記体制加算に関する加算要件データに基づいて、前記現行の勤務表を作成するステップ(e)をさらに含み、
前記ステップ(c)では、ステップ(e)で作成した現行の勤務表を取得する、上記(6)に記載の制御プログラム。
【発明の効果】
【0019】
本発明に係る勤務表作成装置は、複数の職員の職員情報データ、職員毎のシフト勤務に関する希望条件データ、シフト枠を含むシフト条件データ、および複数の体制加算に関する加算要件データを取得する取得部と、前記職員情報データ、前記希望条件データ、前記シフト条件データ、および前記加算要件データに基づいて、複数の体制加算のうち1つ以上の前記体制加算を適用した場合の導入後勤務表を複数作成する勤務表作成部と、取得した現行の勤務表と、前記勤務表作成部が作成した複数の前記導入後勤務表とをそれぞれ比較し、差分を算出するとともに、差分が最も少ない導入後勤務表を選定する勤務表比較部と、選定した前記導入後勤務表に適用した1つまたは複数の体制加算を出力する出力部と、を備える。これにより勤務表への影響が少ない体制加算を容易に把握できる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
図1】本実施形態に係る情報処理システムを示す模式図である。
図2】勤務表作成装置の構成を示すブロック図である。
図3】シフト条件DBに登録されているシフト条件データの例である。
図4】職員情報DBに登録されている職員情報の例である。
図5】シフト希望条件DBに登録されている各職員の希望条件データの例である。
図6】体制加算情報DBに登録されている各種の体制加算とその要件とを示す加算要件データの例である。
図7】現行の勤務表の作成処理を示すフローチャートである。
図8】現行の勤務表の出力例である。
図9】体制加算を適用した導入勤務表の作成処理、および現行勤務表との比較処理を示すフローチャートである。
図10】比較結果の出力例である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、添付した図面を参照して、本発明の実施形態を説明する。しかしながら、本発明の範囲は、開示される実施形態に限定されない。なお、図面の説明において同一の要素には同一の符号を付し、重複する説明を省略する。また、図面の寸法比率は、説明の都合上誇張されており、実際の比率とは異なる場合がある。
【0022】
図1は、本実施形態に係る情報処理システム1を示す模式図である。情報処理システム1は、勤務表作成装置10、および端末装置30を含み、各装置は、ネットワーク50を介して相互に通信接続する。勤務表作成装置10は、サーバー、またはPC(パーソナルコンピューター)である。また、勤務表作成装置10をサーバーとして構成する場合においては、看介護施設内に設けられたオンプレミスサーバーであってもよく、あるいは商用のクラウドサービスを利用したクラウドサーバーであってもよい。端末装置30は、ディスプレイ等の表示部を備えたPCであり看介護施設の看介護スタッフ、管理者、等のユーザーにより操作される。勤務表作成装置10は、複数の施設の装置(端末装置30)と接続されてもよい。看介護施設は、施設の入居者(利用者ともいう)に対して看介護のサービスを行う施設であり、例えば、介護老人福祉施設、介護老人保健施設、特別養護老人ホーム、住宅型有料老人ホーム、グループホームである。勤務表作成装置10は、看介護の業務に従事する職員には、介護職員(有資格者、無資格者含む)、栄養士、看護師、および医師が含まれる。
【0023】
以下においては、勤務表作成装置10は、1つの看介護施設の端末装置と接続されていて、当該施設で看介護の業務に従事する職員のシフト勤務の勤務表を作成する場合を例として説明する。また、勤務表は、24時間のシフト勤務について所定期間(例えば、翌1月分)の勤務表を作成するものとして説明する。なお、これらはあくまでも例示であり、端末装置30および勤務表作成装置10は、看介護施設以外の施設で用いられてもよい。また、勤務表作成装置10は、看介護施設の勤務表に限定されず、飲食店、生産工場等の24時間、または日中の所定時間のシフト勤務の勤務表を作成してもよい。
【0024】
(勤務表作成装置10)
図2は、勤務表作成装置10の構成を示すブロック図である。勤務表作成装置10は、制御部110、記憶部120、および通信部130を有する。制御部110は、CPU、RAM、ROM、等で構成され、プログラムに従って勤務表作成装置10の各部の制御および演算処理を行う。制御部110は、単独で、または通信部130と協働することで、取得部111、勤務表作成部112、勤務表比較部113、および出力部114として機能する。記憶部120には、シフト条件DB(データベース)、職員情報DB、希望条件DB、および体制加算情報DBが記憶されている。各種DBの内部データについては、後述する。通信部130は、ネットワーク50を介して、他の装置と通信するためのインターフェース回路(例えばLANカード等)である。勤務表作成装置10の各種DBは、記憶部120ではなく、他の装置、例えば、看介護施設の内部に配置されたファイルサーバー、または、看介護施設内のPCに保存されてもよい。
【0025】
(シフト条件DB)
図3は、希望条件DBに登録されているシフト条件データの例である。シフト条件データは、シフト勤務の勤務表の作成に用いられるデータである。シフト条件データには、(1)ユニットフロア情報、(2)入居者情報、(3)基準勤務時間、(4)夜勤職員数、(5)休日日数等の情報が含まれる。(1)ユニットフロア情報は、施設形態が、ユニット型またはフロア型かを示す情報である。また、ユニットフロア情報には、担当ユニットとよばれる施設内の同じフロア等、共通するエリア内に居る複数の入居者、およびこの入居者へのケアを担当する複数の職員のグループの情報が含まれる。(2)入居者情報は、入居者に関する性別、年齢、要介護度、部屋番号、等の情報である。入居者情報には、入居者(利用者)の人数の情報が含まれる。また、担当ユニット別、介護度別の入居者の人数も含まれる。(3)基準勤務時間は、職員の月、または週の勤務時間である。例えば40時間/週である。(4)夜勤職員数は、1日当たりの夜勤時間帯に勤務する職員の数である。(5)休日日数は、施設で設定した各職員の休日日数である。また、シフト条件データには、これらの他に、勤務時間帯情報(早出、日勤、遅出、夜勤等の各シフト枠(時間枠ともいう)の時間帯)が含まれる。
【0026】
図4は、職員情報DBに登録されている職員情報の例である。職員情報には、職員毎に、氏名の他に(1)介護職員、看護師、医師、栄養士等の職種、(2)専従/兼務、(3)正規、非正規の雇用体系、(4)介護士、看護師、医師、等の資格、(5)勤続年数の情報が含まれる。また、その他として、職員情報には担当ユニットの情報が含まれる。
【0027】
図5は、希望条件DBに登録されている各職員のシフト希望条件データの例である。シフト希望条件(以下、単に希望条件ともいう)には、職員毎の夜勤不可、日勤のみ可、その他のシフト枠の希望条件、休み(曜日)の希望が含まれる。希望条件は、職員によっては、毎月等、高頻度に変更される場合もある。
【0028】
図6は、体制加算情報DBに登録されている各種の加算とその要件とを示す加算要件データの例である。体制加算情報DBに登録されている加算は、厚生労働省の介護報酬に関する複数の加算のうち、体制加算とも称される、看介護施設の職員の勤務体制が所定の要件を満たすことにより得られる加算である。体制加算には、(A)日常生活継続支援加算、(B)看護体制加算、(C)夜勤職員配置加算、(D)個別機能訓練加算、(E)専従常勤医師配置加算等が含まれる。加算要件データには、これらの各種加算の種別と、その要件定義(特に体制に関する一部の要件)が記録されている。例えば、「日常生活継続支援加算」であれば、「介護職員のうち介護福祉士が利用者6人に対して1人以上。」の加算要件が記述されている。
【0029】
(取得部111)
取得部111は、記憶部120の各種DBから、職員の職員情報データ、職員毎のシフト勤務に関する希望条件データ、シフト枠を含むシフト条件データ、および複数種類の体制加算に関する加算要件データを取得する。
【0030】
(勤務表作成部112)
勤務表作成部112は、シフト条件、職員情報、および希望条件に基づいて、遺伝的アルゴリズム等の公知のアルゴリズムを用いて、シフト勤務の勤務表(以下、現行勤務表ともいう)を作成する。
【0031】
また、勤務表作成部112は、シフト条件、職員情報、希望条件、および1つ以上の体制加算に関する加算要件データに基づいて、遺伝的アルゴリズム等の公知のアルゴリズムを用いて、勤務表(以下、導入後勤務表ともいう)を作成する。例えば、体制加算として、n種類の加算を用いる場合には、勤務表作成部112は、複数種類の体制加算それぞれ、または全ての可能な組み合わせそれぞれにおける、体制加算を適用した場合の勤務表を複数作成する。例えば、勤務表作成部112は、n種類の体制加算を用いる場合においては、2^-1個の導入後勤務表を作成する。例えば図6に示すように体制加算A~FのうちA~Cの3種類を用いる場合には、勤務表作成部112は、A、B、C、AB、AC、BC、ABCの7通り(=2^-1)の導入後勤務表を作成する。あるいはA~Dの4種類であれば、A~Dの4種類、AB~CDの6種類、ABC~BCDの4種類、ABCDの1種類の計15通り(=2^-1)である。このn種類の体制加算は、加算要件DBに記憶されている全ての体制加算が用いられてもよく、または、このうち、ユーザーにより選択されたn種類の体制加算が用いられてもよい。
【0032】
(勤務表比較部113)
勤務表比較部113は、現行勤務表と、複数個(2^-1個)の導入後勤務表とをそれぞれ比較し、差分を導出する。そして、最も現行勤務表との差分が少ない、導入後勤務表を選定し、およびこの導入後勤務表に適用した1つ、または複数の加算を特定する。
【0033】
勤務表比較部113は、このような比較処理することで、比較結果として、選定した導入後勤務表、この導入後勤務表に適用した加算の種類、および現行勤務表と導入後勤務表との差を導出する。
【0034】
(出力部114)
出力部114は、勤務表作成部112が作成した勤務表、および/または、勤務表比較部113が導出した比較結果を出力する。例えば、出力部114は、管理者の端末装置30に勤務表、または比較結果の情報を送信したり、表示したりする。
【0035】
(現行の勤務表作成処理)
次に、図7図8を参照し、勤務表作成処理について説明する。図7は、主に勤務表作成装置10によって実行される勤務表作成処理を示すフローチャートである。以下においては、暦月毎に、看介護施設の管理者が、施設の介護業務に従事する介護職員の24時間のシフト勤務の勤務表を作成するものとして説明する。
【0036】
(ステップS11)
所定タイミング、例えば翌月の勤務表を作成する場合に前月の下旬、または、管理者による、端末装置30を通じた作成指示の要求の入力があれば、制御部110は、処理を次のステップS12に進める。
【0037】
(ステップS12)
取得部111は、記憶部120の各種DBから、対象の施設のシフト条件、職員情報、および希望条件を取得する。
【0038】
(ステップS13)
勤務表作成部112は、ステップS12で取得した各情報から、シフト勤務に関する現行の勤務表(以下、現行の勤務表x0と表記する)を作成する。
【0039】
(ステップS14)
出力部114は、ステップS13で作成された現行の勤務表x0を出力する。具体的には、記憶部120に記憶させ、また、ステップS11の作成要求を指示した、管理者等のユーザーが使用する端末装置30に出力する。図8は、端末装置30のディスプレイに表示された現行の勤務表x0の出力例である。勤務表では、各職員の1月間(1~30日)の早出、遅出、夜勤、休みの勤務状況が示されている。
【0040】
(体制加算を適用した導入後勤務表の作成処理、および現行の勤務表との比較処理)
次に、図9図10を参照し、本実施形態の勤務表作成装置10により実行される、体制加算を適用した導入勤務表の作成処理、および現行の勤務表との比較処理について説明する。図9の処理は、図7の処理に続いて、連続して行われてもよい。
【0041】
(ステップS21)
管理者による、端末装置30を通じた作成指示の要求の入力があれば、制御部110は、処理を次のステップS22に進める。
【0042】
(ステップS22)
取得部111は、記憶部120の各種DBから、対象の施設のシフト条件、職員情報、および希望条件を取得する。ここで得られるデータは、図7のステップS12の処理で得られたデータと同じである。
【0043】
(ステップS23)
取得部111は、図7の処理により作成された現行の勤務表x0を取得する。この現行の勤務表x0は、ステップS22で取得された各種データと同じデータにより生成されたものである。
【0044】
(ステップS24)
取得部111は、記憶部120の体制加算情報DBから、複数(n種類)の体制加算に関する加算要件1~nを取得する。例えば、取得部111は、体制加算情報DBにある、対象となる施設に適用でき得る全ての体制加算に関するそれぞれの加算要件を取得する。または、管理者等のユーザーによりこのタイミングで選択された、または、取得部111は、あらかじめ選択されていた複数種類の体制加算に関する加算要件(例えば3種類の加算要件1~3)を取得する。
【0045】
(ループ処理:ステップS25~S28)
ステップS25~S28では、勤務表作成部112は、複数の体制加算1~nの全ての可能な組み合わせそれぞれにおける、体制加算1~nを適用した場合の導入後勤務表xmを複数作成する(ステップS26)。例えば、体制加算A~C(図6参照)の3種類(n=3)であれば、ステップS26では、勤務表作成部112は、以下の(1)~(7)の7個の導入後勤務表xmを順に作成する。
(1)シフト条件、職員情報、希望条件、および体制加算Aの加算要件データを適用した場合の導入後勤務表x1、
(2)シフト条件、職員情報、希望条件、および体制加算Bの加算要件データを適用した場合の導入後勤務表x2、
(3)シフト条件、職員情報、希望条件、および体制加算Cの加算要件データを適用した場合の導入後勤務表x3、
(4)シフト条件、職員情報、希望条件、および体制加算A、Bの2つの加算要件データを適用した場合の導入後勤務表x4、
(5)シフト条件、職員情報、希望条件、および体制加算A、Cの2つの加算要件データを適用した場合の導入後勤務表x5、
(6)シフト条件、職員情報、希望条件、および体制加算B、Cの2つの加算要件データを適用した場合の導入後勤務表x6、
(7)シフト条件、職員情報、希望条件、および体制加算A、B、Cの3つの加算要件データを適用した場合の導入後勤務表x7。
【0046】
そして、勤務表比較部113は、導入後勤務表xm(x1~x7)と、現行の勤務表x0との差分を取り、差分を抽出する(ステップS27)。また、勤務表比較部113は、差分スコアを算出する。差分スコアは、職員人数の変更(増加)については係数z1を乗じ、シフト枠の変更について係数z2を乗じ、これを合計することにより算出する。例えば、1ケ月の勤務表において、職員の増加人数が1人で、シフト枠の変更が2コマであれば、差分スコア=1×z1+2×z2である。例えば、係数z1は20であり、係数z2は1である。この場合、差分スコアは22(=1×20+2×1)になる。
【0047】
(ステップS29)
勤務表比較部113は、最も差分スコアが小さい導入後勤務表xmを選定するとともに、この導入後勤務表xmに適用した体制加算を特定し、また、現行勤務表x0との差分を抽出する。例えば、上記の(4)導入後勤務表x4が選定された場合には、体制加算A、Bが、最も勤務表への影響が少ない推奨の体制加算として特定される。また、職員Aの5日(金)、職員Cの1日(月)のシフト枠、および職員1名追加が差分として抽出される(図10参照)。
【0048】
(ステップS30)
出力部114は、ステップS29で導出された比較結果を出力する。図10は、端末装置30のディスプレイに表示された比較結果の出力例である。図10に示す例では、最も勤務表への影響が少ない体制加算A、Bが推奨の体制加算として提示される。また、体制加算A、Bを適用した場合の導入後勤務表x4が示されるとともに、現行勤務表x0との差分箇所が、色分けまたは網掛け等で変化がないシフト枠と区別できる態様で示されている。また、図10に示すように差分スコアも併せて表示するようにしてもよい。
【0049】
このように、本実施形態に係る勤務表作成装置は、職員情報データ、希望条件データ、シフト条件データ、および加算要件データに基づいて、複数の体制加算のうち1つ以上の体制加算を適用した場合の導入後勤務表を複数作成する勤務表作成部と、取得した現行の勤務表と、複数の導入後勤務表とをそれぞれ比較し、差分を算出するとともに、差分が最も少ない導入後勤務表を選定する勤務表比較部と、選定した導入後勤務表に適用した1つまたは複数の体制加算を出力する出力部とを備える。これにより、ユーザーは、影響が少なく、最も勤務表への変更が小さい体制加算を把握することができる。
【0050】
また、さらに勤務表作成装置の出力部は、図10に示すように選定した導入後勤務表、および、該導入後勤務表の現行の勤務表に対する差分(差分箇所)を出力する。これにより、管理者等のユーザーは、体制加算を適用した場合の勤務表への影響を把握できる。
【0051】
以上に説明した勤務表作成装置10の構成は、上述の実施形態の特徴を説明するにあたって主要構成を説明したのであって、上述の構成に限られず、特許請求の範囲内において、種種改変することができる。また、一般的な勤務表作成装置10が備える構成を排除するものではない。
【0052】
例えば、ステップS23で取得した現行の勤務表x0は、職員情報データ、希望条件データ、およびシフト条件データを用いて、勤務表作成部112が作成したものである。すなわち、現行の勤務表x0は、何ら体制加算を適用しない条件で作成されたものである。しかしながら、現時点で適用している体制加算があれば、勤務表作成部112は、その体制加算の加算要件を加味して、現行の勤務表x0を作成してもよい。また、別の例として、現行の勤務表x0は、他の装置、または、表計算ソフト等を用いて管理者等によりマニュアルで作成された勤務表であってもよい。
【0053】
上述した実施形態に係る勤務表作成装置10における各種処理を行う手段および方法は、専用のハードウェア回路、またはプログラムされたコンピューターのいずれによっても実現することが可能である。上記プログラムは、例えば、USBメモリやDVD(Digital Versatile Disc)-ROM等のコンピューター読み取り可能な記録媒体によって提供されてもよいし、インターネット等のネットワークを介してオンラインで提供されてもよい。この場合、コンピューター読み取り可能な記録媒体に記録されたプログラムは、通常、ハードディスク等の記憶部に転送され記憶される。また、上記プログラムは、単独のアプリケーションソフトとして提供されてもよいし、装置の一機能としてその装置のソフトウェアに組み込まれてもよい。
【符号の説明】
【0054】
1 情報処理システム
10 勤務表作成装置
110 制御部
111 取得部
112 勤務表作成部
113 勤務表比較部
114 出力部
120 記憶部
130 通信部
図1
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図10