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特開2025-6092勤務表作成装置、および制御プログラム
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2025006092
(43)【公開日】2025-01-17
(54)【発明の名称】勤務表作成装置、および制御プログラム
(51)【国際特許分類】
   G06Q 10/1093 20230101AFI20250109BHJP
   G06Q 50/10 20120101ALI20250109BHJP
【FI】
G06Q10/1093
G06Q50/10
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023106661
(22)【出願日】2023-06-29
(71)【出願人】
【識別番号】000001270
【氏名又は名称】コニカミノルタ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000671
【氏名又は名称】IBC一番町弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】田代 航一
【テーマコード(参考)】
5L010
5L049
5L050
【Fターム(参考)】
5L010AA13
5L049AA13
5L049CC11
5L050CC11
(57)【要約】
【課題】職員の要望を反映した精度の高い勤務表を作成することを目的とする。
【解決手段】勤務表作成装置10は、職員属性、ならびに、希望条件および該希望条件の優先度に基づいて、第1の勤務表を作成する勤務表作成部112と、ユーザーによる複数の職員のうちの第1の職員について、該第1の職員の希望条件の優先度の変更を受け付ける変更受付部113と、職員属性に基づいて、複数の職員の中から、第1の職員と属性情報が同一の職員を第2の職員として抽出する抽出部114と、変更受付部113が受け付けた第1の職員の希望条件について第1の変更量で優先度を変更するとともに、第2の職員の同じ希望条件について第1の変更量よりも小さい第2の変更量で優先度を変更する優先度設定部115と、を備え、勤務表作成部112は、希望条件、および優先度設定部115が変更した希望条件の優先度に基づいて、第1の勤務表を修正した第2の勤務表を作成する。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の職員が従事するシフト勤務の勤務表を作成する勤務表作成装置であって、
前記複数の職員の職員属性、および前記職員毎のシフト勤務に関する希望条件と該希望条件の優先度を取得する取得部と、
前記職員属性、ならびに、前記希望条件および該希望条件の前記優先度に基づいて、第1の勤務表を作成する勤務表作成部と、
ユーザーから、前記複数の職員のうちの第1の職員について、該第1の職員の前記希望条件の優先度の変更を受け付ける変更受付部と、
前記職員属性に基づいて、前記複数の職員の中から、前記第1の職員と属性情報が同一の職員、または前記属性情報の一部が同一の職員を、第2の職員として抽出する抽出部と、
前記変更受付部が受け付けた前記第1の職員の前記希望条件について第1の変更量で優先度を変更するとともに、前記第2の職員の同じ前記希望条件について前記第1の変更量よりも小さい第2の変更量で優先度を変更する優先度設定部と、を備え、
前記勤務表作成部は、前記希望条件、および前記優先度設定部が変更した前記希望条件の前記優先度に基づいて、前記第1の勤務表を修正した第2の勤務表を作成する、勤務表作成装置。
【請求項2】
前記職員属性には、職種、雇用形態、経験年数、および特定の事情が含まれる、請求項1に記載の勤務表作成装置。
【請求項3】
前記希望条件は、希望種類として勤務形態、休日、および同じシフト枠に2人以上の職員で従事するペア勤務、ならびに前記希望種類の内容で構成される、請求項1に記載の勤務表作成装置。
【請求項4】
前記変更受付部は、ユーザーによる優先度の上限および下限の設定変更を受け付け、
前記優先度は、前記設定変更を受け付けることにより、前記希望条件ごとに上限および下限が変更可能である、請求項1に記載の勤務表作成装置。
【請求項5】
前記変更受付部は、ユーザーによる、前記第1の変更量および/または前記第2の変更量の設定変更を受け付け、
前記優先度設定部は、前記設定変更された後の前記第1の変更量および/または前記第2の変更量で、前記優先度を変更する、請求項1に記載の勤務表作成装置。
【請求項6】
前記優先度設定部は、前記第1の職員の前記希望条件が、前記第2の職員の前記希望条件が同一か否かの判定は、前記希望条件の内容の一部、または全部が一致するかにより判定する、請求項1に記載の勤務表作成装置。
【請求項7】
前記職員は、看介護施設での看介護に従事する職員であり、
前記取得部は、前記看介護施設が公的な補助を受けるために満たさなくてはならない施設全体のシフト勤務に関する必須条件であって、前記希望条件よりも優先して適用される必須条件を取得し、
前記勤務表作成部は、前記職員属性、前記必須条件、ならびに、前記希望条件および該希望条件の前記優先度に基づいて、前記第1、第2の勤務表を作成する、請求項1に記載の勤務表作成装置。
【請求項8】
複数の職員が従事するシフト勤務の勤務表を作成する勤務表作成装置で動作する制御プログラムであって、
前記複数の職員の職員属性、および前記職員毎のシフト勤務に関する希望条件と該希望条件の優先度を取得するステップ(a)と、
前記職員属性、ならびに、前記希望条件および該希望条件の前記優先度に基づいて、第1の勤務表を作成するステップ(b)と、
ユーザーから、前記複数の職員のうちの第1の職員について、該第1の職員の前記希望条件の優先度の変更を受け付けるステップ(c)と、
前記職員属性に基づいて、前記複数の職員の中から、前記第1の職員と属性情報が同一の職員、または前記属性情報の一部が同一の職員を、第2の職員として抽出するステップ(d)と、
前記ステップ(c)で受け付けた前記第1の職員の前記希望条件について第1の変更量で優先度を変更するとともに、前記第2の職員の同じ前記希望条件について前記第1の変更量よりも小さい第2の変更量で優先度を変更するステップ(e)と、
前記希望条件、および前記ステップ(e)で変更された前記希望条件の前記優先度に基づいて、前記第1の勤務表を修正した第2の勤務表を作成するステップ(f)と、を含む処理をコンピュターに実行させるための制御プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、勤務表作成装置、および制御プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
看介護施設等では24時間体制のサービスを提供するためシフト勤務の勤務表を作成する必要がある。この勤務表の作成する際は、管理者は、職員の希望条件を加味して、調整する必要がある。しかしながら、職員の希望条件はその数が多く、すべての希望条件を満たすように勤務表を作成することは困難である。
【0003】
特許文献1に開示されたシフト決定方法では、勤務表を作成する際に、必須条件、希望条件、およびこの希望条件の優先度を設定する。そして、必須条件を満たしつつ、希望条件を満たす度合いが高くなるように、シフト勤務の組み合わせを変更することを、所定回数繰り返すことによって、シフト勤務の最適解を探索している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2019-101551号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、シフト勤務での希望条件は職員毎に異なり、また、その希望条件の数が多く、優先度の設定も煩雑であり、管理者は、これらの設定に時間と手間が非常にかかる。
【0006】
本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであり、職員の要望を反映した精度の高い勤務表を作成することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の上記目的は、下記の手段によって達成される。
【0008】
(1)複数の職員が従事するシフト勤務の勤務表を作成する勤務表作成装置であって、
前記複数の職員の職員属性、および前記職員毎のシフト勤務に関する希望条件と該希望条件の優先度を取得する取得部と、
前記職員属性、ならびに、前記希望条件および該希望条件の前記優先度に基づいて、第1の勤務表を作成する勤務表作成部と、
ユーザーから、前記複数の職員のうちの第1の職員について、該第1の職員の前記希望条件の優先度の変更を受け付ける変更受付部と、
前記職員属性に基づいて、前記複数の職員の中から、前記第1の職員と属性情報が同一の職員、または前記属性情報の一部が同一の職員を、第2の職員として抽出する抽出部と、
前記変更受付部が受け付けた前記第1の職員の前記希望条件について第1の変更量で優先度を変更するとともに、前記第2の職員の同じ前記希望条件について前記第1の変更量よりも小さい第2の変更量で優先度を変更する優先度設定部と、を備え、
前記勤務表作成部は、前記希望条件、および前記優先度設定部が変更した前記希望条件の前記優先度に基づいて、前記第1の勤務表を修正した第2の勤務表を作成する、勤務表作成装置。
【0009】
(2)前記職員属性には、職種、雇用形態、経験年数、および特定の事情が含まれる、上記(1)に記載の勤務表作成装置。
【0010】
(3)前記希望条件は、希望種類として勤務形態、休日、および同じシフト枠に2人以上の職員で従事するペア勤務、ならびに前記希望種類の内容で構成される、上記(1)に記載の勤務表作成装置。
【0011】
(4)前記変更受付部は、ユーザーによる優先度の上限および下限の設定変更を受け付け、
前記優先度は、前記設定変更を受け付けることにより、前記希望条件ごとに上限および下限が変更可能である、上記(1)に記載の勤務表作成装置。
【0012】
(5)前記変更受付部は、ユーザーによる、前記第1の変更量および/または前記第2の変更量の設定変更を受け付け、
前記優先度設定部は、前記設定変更された後の前記第1の変更量および/または前記第2の変更量で、前記優先度を変更する、上記(1)に記載の勤務表作成装置。
【0013】
(6)前記優先度設定部は、前記第1の職員の前記希望条件が、前記第2の職員の前記希望条件が同一か否かの判定は、前記希望条件の内容の一部、または全部が一致するかにより判定する、上記(1)に記載の勤務表作成装置。
【0014】
(7)前記職員は、看介護施設での看介護に従事する職員であり、
前記取得部は、前記看介護施設が公的な補助を受けるために満たさなくてはならない施設全体のシフト勤務に関する必須条件であって、前記希望条件よりも優先して適用される必須条件を取得し、
前記勤務表作成部は、前記職員属性、前記必須条件、ならびに、前記希望条件および該希望条件の前記優先度に基づいて、前記第1、第2の勤務表を作成する、上記(1)に記載の勤務表作成装置。
【0015】
(8)複数の職員が従事するシフト勤務の勤務表を作成する勤務表作成装置で動作する制御プログラムであって、
前記複数の職員の職員属性、および前記職員毎のシフト勤務に関する希望条件と該希望条件の優先度を取得するステップ(a)と、
前記職員属性、ならびに、前記希望条件および該希望条件の前記優先度に基づいて、第1の勤務表を作成するステップ(b)と、
ユーザーから、前記複数の職員のうちの第1の職員について、該第1の職員の前記希望条件の優先度の変更を受け付けるステップ(c)と、
前記職員属性に基づいて、前記複数の職員の中から、前記第1の職員と属性情報が同一の職員、または前記属性情報の一部が同一の職員を、第2の職員として抽出するステップ(d)と、
前記ステップ(c)で受け付けた前記第1の職員の前記希望条件について第1の変更量で優先度を変更するとともに、前記第2の職員の同じ前記希望条件について前記第1の変更量よりも小さい第2の変更量で優先度を変更するステップ(e)と、
前記希望条件、および前記ステップ(e)で変更された前記希望条件の前記優先度に基づいて、前記第1の勤務表を修正した第2の勤務表を作成するステップ(f)と、を含む処理をコンピュターに実行させるための制御プログラム。
【発明の効果】
【0016】
本発明に係る勤務表作成装置は、前記複数の職員の職員属性、および前記職員毎のシフト勤務に関する希望条件と該希望条件の優先度を取得する取得部と、前記職員属性、ならびに、前記希望条件および該希望条件の前記優先度に基づいて、第1の勤務表を作成する勤務表作成部と、ユーザーによる前記複数の職員のうちの第1の職員について、該第1の職員の前記希望条件の優先度の変更を受け付ける変更受付部と、前記職員属性に基づいて、前記複数の職員の中から、前記第1の職員と属性情報が同一の職員、または前記属性情報の一部が同一の職員を、第2の職員として抽出する抽出部と、前記変更受付部が受け付けた前記第1の職員の前記希望条件について第1の変更量で優先度を変更するとともに、前記第2の職員の同じ前記希望条件について前記第1の変更量よりも小さい第2の変更量で優先度を変更する優先度設定部と、を備え、前記勤務表作成部は、前記希望条件、および前記優先度設定部が変更した前記希望条件の前記優先度に基づいて、前記第1の勤務表を修正した第2の勤務表を作成する。これにより、職員の要望を反映した精度の高い勤務表を作成できる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
図1】本実施形態に係る情報処理システムを示す模式図である。
図2】勤務表作成装置の構成を示すブロック図である。
図3A】条件定義DBへのデータ登録用の入力画面の例である。
図3B】条件定義データの例である。
図4A】条件定義DBへのデータ登録用の入力画面の例である。
図4B】条件定義データの例である。
図5A】職員属性DBへのデータ登録用の入力画面の例である。
図5B】職員属性データの例である。
図6A】希望条件DBへのデータ登録用の入力画面の例である。
図6B】希望条件データの例である。
図7】各種DBへの登録を行う事前設定処理を示すフローチャートである。
図8】勤務表作成処理を示すフローチャートである。
図9】生成された第1の勤務表の例である。
図10図8のステップS17の処理を示すサブルーチンフローチャートである。
図11】修正対応にともなう修正要望の入力画面の例である。
図12】第1の変更量による優先度の変更、および、希望条件が同一か否かの判定を説明するための図である。
図13】第2の職員の抽出処理を説明するための図である。
図14】第2の変更量による優先度の変更を説明するための図である。
図15】優先度の変更を説明するための図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、添付した図面を参照して、本発明の実施形態を説明する。しかしながら、本発明の範囲は、開示される実施形態に限定されない。なお、図面の説明において同一の要素には同一の符号を付し、重複する説明を省略する。また、図面の寸法比率は、説明の都合上誇張されており、実際の比率とは異なる場合がある。
【0019】
図1は、本実施形態に係る情報処理システム1を示す模式図である。情報処理システム1は、勤務表作成装置10、および端末装置30を含み、各装置は、ネットワーク50を介して相互に通信接続する。勤務表作成装置10は、サーバー、またはPC(パーソナルコンピューター)である。また、勤務表作成装置10をサーバーとして構成する場合においては、看介護施設内に設けられたオンプレミスサーバーであってもよく、あるいは商用のクラウドサービスを利用したクラウドサーバーであってもよい。端末装置30は、ディスプレイ等の表示部を備えたPCであり看介護施設の看介護スタッフ、管理者、等のユーザーにより操作される。勤務表作成装置10は、バックエンドとして機能し、端末装置30はフロントエンドとして機能する。また、勤務表作成装置10は、複数の施設の装置(端末装置30)と接続されてもよい。看介護施設は、施設の入居者に対して看介護のサービスを行う施設であり、例えば、特別養護老人ホーム、住宅型有料老人ホーム、グループホームである。また、看介護施設は、病院であってもよい。勤務表作成装置10は、看介護の業務に従事する職員には、介護職員(有資格者、無資格者含む)、栄養士、看護師、および医師が含まれる。
【0020】
以下においては、勤務表作成装置10は、1つの看介護施設(施設A)の端末装置と接続されていて、当該施設で看介護の業務に従事する職員のシフト勤務の勤務表を作成する場合を例として説明する。また、勤務表は、24時間のシフト勤務について所定期間(例えば、翌1月分)の勤務表を作成するものとして説明する。なお、これらはあくまでも例示であり、端末装置30および勤務表作成装置10は、看介護施設以外の施設で用いられてもよい。また、勤務表作成装置10は、看介護施設の勤務表に限定されず、飲食店、生産工場等の24時間、または日中の所定時間のシフト勤務の勤務表を作成してもよい。
【0021】
(勤務表作成装置10)
図2は、勤務表作成装置10の構成を示すブロック図である。勤務表作成装置10は、制御部110、記憶部120、および通信部130を有する。制御部110は、CPU、RAM、ROM、等で構成され、プログラムに従って勤務表作成装置10の各部の制御および演算処理を行う。制御部110は、単独で、または通信部130と協働することで、取得部111、勤務表作成部112、変更受付部113、抽出部114、優先度設定部115、および出力部116として機能する。記憶部120には、条件定義DB(データベース)、職員属性DB、希望条件DB、および必須条件DBが記憶されている。通信部130は、ネットワーク50を介して、他の装置と通信するためのインターフェース回路(例えばLANカード等)である。
【0022】
(取得部111)
取得部111は、職員の職員属性、および職員毎のシフト勤務に関する複数の希望条件と当該希望条件の優先度を取得する。取得部111は、これらの情報を後述するように端末装置30の入力画面(図5A図6A等)を通じて、取得する。また、取得したこれらの情報は、記憶部120の各種DBに記憶される。取得部111は、これらの職員属性、希望条件、およびその優先度を記憶部120から取得するようにしてもよい。
【0023】
(勤務表作成部112)
勤務表作成部112は、職員の希望条件、当該希望条件の優先度、その他の各種条件に基づいて、遺伝的アルゴリズム等の公知のアルゴリズムを用いて、シフト勤務の勤務表(以下、初回の勤務表、または第1の勤務表ともいう)を作成する。各種条件には、必須条件が含まれる。勤務作成に用いられる必須条件には、施設での職員の基準勤務時間、職員の休日日数、シフト枠設定(時間帯設定)、各シフト枠の職種毎の職員の人数が含まれる。勤務表作成部112は、職員属性データ(後述の図5B)から職員の職種を把握できる。各シフト枠の職員の人数は、管理者等のユーザーにより設定されてもよい。または、看介護施設であれば、後述する入力された他の必須条件、および施設の利用者(入居する被介護者)の人数により、制御部110により自動的に決定されてもよい。
【0024】
また、勤務表作成部112は、変更受付部113が優先度の変更を受け付けるに応じて、修正した勤務表(第2の勤務表)を作成する。この第2の勤務表は、勤務表作成部112が、職員の希望条件、各種条件、および以下の優先度設定部115が設定した変更後の優先度を用いて、作成したものである。
【0025】
(変更受付部113)
変更受付部113は、ユーザーによる複数の職員のうちの1人または複数の職員(以下、第1の職員ともいう)について、複数の希望条件のうち、1つ以上の希望条件の優先度の変更を受け付ける。
【0026】
(抽出部114)
抽出部114は、職員属性に基づいて、複数の職員の中から、第1の職員と属性情報が同一の職員、または属性情報が類似する、すなわち属性情報の一部が一致する職員を、第2の職員として抽出する。例えば、属性情報の一部として、職種、および特定の事情(後述の図5B)が同一の職員を第2の職員として抽出してもよい。
【0027】
(優先度設定部115)
優先度設定部115は、変更受付部113が希望条件の優先度の変更を受け付けるに応じて、当該優先度の設定を変更する。また、合わせて、優先度設定部115は、当該受け付けた希望条件に対応する他の希望条件の優先度の設定を自動的に変更する。より具体的には、優先度設定部115は、変更受付部が受け付けた第1の職員の希望条件xについて第1の変更量で優先度を変更する。また、さらに、優先度設定部115は、抽出部が抽出した第2の職員の同じ希望条件x、または希望条件xに類似する、すなわち、希望条件xに対して内容の一部が一致する希望条件x2について第1の変更量よりも小さい第2の変更量で優先度を変更する。「一部一致」の判定条件(後述の図4(b4))であれば、例えば希望条件x1の種類が勤務形態であれば、日勤・昼勤・夜勤の可能不可の一部が重複する場合である。種類が、その他(休日、ペア)であれば、休日が一部重複する場合、一緒に働くペアの人が一致するかである。
【0028】
第1の職員に変更要望(希望条件の優先度を変更する)がある場合には、職員属性が同一または類似する第2の職員も同じ変更要望がある場合が多い。そのため、この抽出部が抽出した第2の職員に対しても、同じ変更要望の対応を行い、希望条件の優先度を変更する。一方で、第1の職員と同じ変更量で優先度を上げるのは、リスクがあるため、第2の職員の希望条件に関しては、第1の変更量よりも少ない第2の変更量で優先度を上げる。
【0029】
(出力部116)
出力部116は、勤務表作成部112が作成した勤務表(第1、第2の勤務表)を出力する。例えば、出力部116は、管理者の端末装置30に勤務表データを送信したり、表示したりする。
【0030】
(各種データベースの記録データ)
以下、図3A図6Bを参照し、記憶部120に記憶されている条件定義DB、職員属性DB、希望条件DB、および必須条件DBのデータの取得手順、およびその内容について説明する。
【0031】
(条件定義データ)
図3Aは、端末装置30で動作するアプリ(webアプリ等)により表示される条件定義DBへのデータ登録用の入力画面の例である。施設の管理者等のユーザーは、図3Aの入力画面において、(a1)条件、(a2)種類、(a3)優先度下限、(a4)優先度上限をそれぞれ入力する。条件(a1)は、必須条件または希望条件をプルダウンメニューにより選択できる。必須条件は、上述のように、国等から課せられる要件を遵守するための条件である。ユーザーは、施設で適用する報酬単価乃至体系的加算に応じた要件を入力する。また種類(a2)は、条件(a1)で希望条件を選択した場合には、その条件に応じた種類(a2)を入力する。種類(a2)には、勤務体系、およびペアが含まれる。勤務体系、ペアの内容については後述する。
【0032】
優先度下限(a3)、優先度上限(a4)の各値は、プルダウンメニューから選択できる。なお、上限>下限の条件であり、また、必須条件の優先度の下限値>希望条件の優先度の上限の条件となるように設定される。この条件以外の設定は選択できないようになっている。図3Aの例では、希望条件の優先度の上限値は10、下限値に0が設定された例を示している。なお刻み幅は、デフォルトで0.5に設定される。図3Bは、図3Aのような設定内容で条件定義DBに登録された条件定義データの例である。同図にあるNo.は、システム側で自動付与されたユニークなID番号である(以下の図4B等も同様)。なお、図3Aの示す例では、ユーザーは、上限/下限値の設定範囲を希望条件毎(希望条件の種類毎)に設定できる例を示したが、図3Aのような入力画面により全種類の希望条件に一律の設定範囲を適用するようにしてもよい。
【0033】
図4Aは、条件定義DBへのデータ登録用の入力画面の例である。図4Aの入力画面では、希望条件の優先度の変更に関する条件定義を行う。
【0034】
施設の管理者等のユーザーは、図4Aの入力画面において、(b1)第1の変更量、(b2)第2の変更量、(b3)職員属性一致、(b4)希望条件一致をそれぞれプルダウンメニューより選択する。第1の変更量(b1)、第2の変更量(b2)については後述する。これらの変更量は、優先度の上げ幅を規定する。第1の変更量>第2の変更量となるように設定される(すなわちユーザーのこの大小関係の条件下でのみ選択可能である)。職員属性一致(b3)は、後述する職員属性の一致判定条件であり、ユーザーはプルダウンメニューにより「完全一致」または「種類一致」を選択できる。希望条件一致(b4)は、後述する希望条件の一致判定条件であり、ユーザーはプルダウンメニューにより、「完全一致」、「種類一致」、または「一部一致」を選択できる。
【0035】
図4Bは、図4Aのような設定内容で条件定義DBに登録された条件定義データの例である。
【0036】
(職員属性データ)
施設の管理者等のユーザーは、図5Aの入力画面において、(c1)職員名、(c2)職種、(c3)雇用形態、(c4)経験年数、(c5)特定の事情それぞれプルダウンメニューより選択する。職種(c2)には、介護職員、栄養士、看護師、医師等が含まれる。また介護職員では、介護福祉等の資格の有無で区別してもよい。雇用形態(c3)には、非正規、正規を選択できる。経験年数(c4)は、職員の当該職種の経験年数を選択する。特定の事情は、あらかじめ設定された複数の事情の中から選択できる。例えば、選択できる特定の事情には、「子供有り」、「家庭内に被介護者有り」、「特定の事情無し」がある。また子供有りは、その子供の年齢区分により乳児、幼児、小学生、中学生、等で細分化してもよい。
【0037】
図5Bは、図5Aのような入力画面を通じで職員属性DBに登録された職員属性データの例である。
【0038】
(希望条件データ)
施設の管理者等のユーザーは、図6Aの入力画面において、職員それぞれからの要望に基づいて、希望条件を入力する。ユーザーは、図6Aの入力画面において、(d1)条件、(d2)職員、(d3)条件種類、(d4)条件内容、(d5)優先度をそれぞれプルダウンメニューより選択し入力する。d2~d5は、条件(d1)で希望条件が選択された場合に表示されるメニューである。ユーザーは、条件種類(d3)では、「勤務形態」「休日」および「ペア」のいずれかを選択できる。条件内容(d4)では、条件種類(d3)で「勤務形態」が選択された場合には、夜勤不可、日勤のみ可能、等が選択できる。「休日」が選択された場合には、曜日、日付が選択できる。また条件内容(d4)では、条件種類(d3)でペアが選択された場合には、対象となるペアの相手を選択できる。優先度(d5)は、最初に設定される値であり、通常は、「0(ゼロ)」が選択される。
【0039】
図6Bは、図6Aのような入力画面を通じて希望条件DBに登録された希望条件データの例である。
【0040】
(必須条件データ)
必須条件DBには、勤務表を作成するための必須条件が登録されている。例えば、介護施設では、国、自治体(以下、国等という)から支払われる補助として、各種の報酬単価乃至体系的加算を決定するに際して、国等から課せられる要件を満たす必要がある。例えば、要件としては、介護福祉や看護師の有資格者の人数や、夜勤時間帯に働く職員の人数(被介護者に対する配置比率)等がある。必須条件DBに登録されている必須条件は、施設毎に規定されるこれらの要件である。
【0041】
(事前設定処理)
図7は、各種DBへの登録を行う事前設定処理を示すフローチャートである。
【0042】
(ステップS01~S03)
施設の管理者等のユーザーは、条件定義、職員の属性情報、必須条件、希望条件の入力を行う。例えば、上述の図3A図4A図5A図6Aに示したような入力画面を通じて、条件定義、職員の属性情報、必須条件、希望条件の入力を行う。入力されたこれらの情報は、図3B図4B図5B図6Bに示したような登録データとして、記憶部120の各種DBに記録される。
【0043】
(勤務表作成処理)
次に、図8から図13を参照し、本実施形態に係る勤務表作成処理について説明する。図8は、主に勤務表作成装置10によって実行される勤務表作成処理を示すフローチャートである。以下においては、暦月毎に、看介護施設の管理者が、施設の介護業務に従事する介護職員の24時間のシフト勤務の勤務表を作成するものとして説明する。
【0044】
(ステップS11)
所定タイミング、例えば翌月の勤務表を作成する場合に前月の下旬であれば、制御部110は、処理を次のステップS12に進める。
【0045】
(ステップS12、S13)
取得部111は、記憶部120の各種DBから、対象の施設の条件定義データ、職員属性データ、必須条件、職員の希望条件を取得する。各希望条件(図6B参照)には、条件定義データで定義された上下限の範囲内(図3A参照)で優先度の設定がされており、また必須条件の優先度は、希望条件の優先度の上限値よりも高く設定されている。
【0046】
(ステップS14)
制御部110の勤務表作成部112は、必須条件、職員の希望条件、当該希望条件の優先度に基づいて、シフト勤務に関する第1の勤務表を作成する。
【0047】
(ステップS15)
出力部116は、作成された第1の勤務表を、管理者等のユーザーが使用する端末装置30に出力する。図9は、生成された第1の勤務表の出力例である。
【0048】
(ステップS16)
管理者等のユーザー、および施設の各職員は、出力された第1の勤務表のシフト内容を確認する。勤務表の修正が必要なければ、第1の勤務表の内容で確定し、処理を終了する(エンド)。一方で、職員から勤務表の修正の要望があれば勤務表の修正が必要であり(YES)、処理をステップS17に進める。
【0049】
(ステップS17)
ここでは、変更受付部113、抽出部114、および優先度設定部115は、優先度変更処理を行う。図10は、ここでのステップS17の処理を示すサブルーチンフローチャートである。
【0050】
(ステップS201)
変更受付部113は、修正要望とその希望条件を受け付ける。図11は、端末装置30に表示される修正対応にともなう修正要望の入力画面の例である。管理者等のユーザーは、図11に示すような入力画面を通じて、修正要望のある職員、および希望条件の種類および希望条件の内容を入力する。図11に示す例では、修正要望1として、職員Aは、自身の希望条件の「勤務形態の夜勤不可」が、第1の勤務表に反映されていなかったため修正を依頼した。また、修正要望2として職員Bは、自身の希望条件である「ペア勤務で、職員Dと一緒のシフト勤務」が、第1の勤務表に反映されたいなかったため修正を依頼した。
【0051】
(ステップS202)
以下では、最初に(1巡目では)、修正要望1に関する職員Aを第1の職員、その希望条件(勤務形態夜勤不可)を希望条件xとして説明する。優先度設定部115は、希望条件xの優先度を第1の変更量で変更する。第1の変更量は、条件定義DBに記憶されており(図4B)、ここでは、「1」である。図12は、希望条件DBに記憶されている希望条件データのリストである。図12にあるように、修正要望1に応じて、職員Aの希望条件xである「COE-001」の優先度を0から1に変更する(高くする)。
【0052】
(ステップS203)
抽出部114は、職員属性DBの職員属性データ(職員リスト)を参照し、職員属性の全ての項目が同一の職員、または、職員属性の一部の項目が同一の職員を、第2の職員として抽出する。図13は、第2の職員の抽出処理を説明するための図である。図13の例では、抽出部114は、第1の職員(職員A)と職員属性の全ての項目が同一の職員B、Eを第2の職員として抽出する。なお、別の例としては、抽出部114は、一部の項目として、例えば、職種、および特定の事情が同一の職員を第2の職員として抽出してもよい。
【0053】
(ステップS204)
優先度設定部115は、抽出部114が抽出した第2の職員(職員B、E)の1つ、または複数の希望条件の中に、希望条件x(COE-001)と同じ希望条件があるか否かを判定する。図12に示す例では、職員Bの希望条件(COE-005)と、職員Eの希望条件(COE-011)が同じ希望条件xであることから(YES)、処理をステップS205に進める。一方で、いずれの第2の職員も同じ希望条件xがなければ(NO)、処理をステップS206に進める。
【0054】
(ステップS205)
優先度設定部115は、第2の職員(職員B、E)それぞれの希望条件x(COE-005、011)の優先度を、第1の変更量よりも小さい第2の変更量で変更する。第2の変更量は、条件定義DBに記憶されており(図4B)、ここでは、「0.5」である。図14に示すように、修正要望1に応じて、職員B、Eの希望条件xである「COE-005、011」の優先度を0から0.5に変更する(高くする)。
【0055】
(ステップS206)
制御部110は、全ての修正要望に関する優先度変更処理を実行されていなければ(NO)、処理をステップS202に戻す。例えば、修正要望2(図11)への対応として、2巡目では、修正要望2に関する職員Bを第1の職員、その希望条件(ペア、Dと一緒)を希望条件xとしてステップS202以下の処理が実行される。図15は、2巡目のステップS02~S205の処理による優先度の変更を説明するための図である。図15に示すように、第1の職員(職員B)の条件x(COE-006)は第1の変更量で、優先度が変更され、第2の職員(職員X)の条件x(COE-020)は第2の変更量で、優先度が変更される。一方で、制御部110は、全ての修正要望に関する優先度変更処理を実行済みであれば(YES)、図10のサブルーチン処理を終了し、図8に戻り、ステップS18以下の処理を実行する。
【0056】
(ステップS18、S19)
勤務表作成部112は、必須条件、職員の希望条件、当該希望条件の変更後の優先度に基づいて、シフト勤務に関する第2の勤務表を作成する。ここで用いられ優先度は、ステップS17の処理により変更された変更後の優先度である(図15参照)。
【0057】
また、出力部116は、作成された第2の勤務表を、管理者等のユーザーが使用する端末装置30に出力する。例えば、図9と同様に、生成された第2の勤務表を、端末装置30の表示部に表示させる。以降は、ステップS16の処理に戻り、管理者等のユーザー、および施設の各職員は、出力された第2の勤務表のシフト内容を再確認する。勤務表の修正が必要なければ、処理を終了する(エンド)。なお、このときに、管理者等のユーザーにより、マニュアルでの修正の要望があれば、端末装置30から、その修正を受け付け、修正を反映した勤務表(第3の勤務表)を最終の勤務表としてもよい。
【0058】
このように、本実施形態に係る勤務表作成装置は、前記複数の職員の職員属性、および前記職員毎のシフト勤務に関する複数の希望条件と該希望条件の優先度を取得する取得部と、前記職員属性、ならびに、前記希望条件および該希望条件の前記優先度に基づいて、第1の勤務表を作成する勤務表作成部とを備える。また、ユーザーによる前記複数の職員のうちの第1の職員について、該第1の職員の1つ以上の前記希望条件の優先度の変更を受け付ける変更受付部と、前記職員属性に基づいて、前記複数の職員の中から、前記第1の職員と属性情報が同一の職員、または前記属性情報の一部が同一の職員を、第2の職員として抽出する抽出部と、前記変更受付部が受け付けた前記第1の職員の前記希望条件について第1の変更量で優先度を変更するとともに、前記第2の職員の同じ前記希望条件について前記第1の変更量よりも小さい第2の変更量で優先度を変更する優先度設定部と、を備える。そして、前記勤務表作成部は、前記希望条件、および前記優先度設定部が変更した前記希望条件の前記優先度に基づいて、前記第1の勤務表を修正した第2の勤務表を作成する。これにより、管理者等のユーザーは、優先度設定の変更を容易に行え、また、職員の要望を反映した精度の高い勤務表を作成できる。
【0059】
以上に説明した勤務表作成装置10の構成は、上述の実施形態の特徴を説明するにあたって主要構成を説明したのであって、上述の構成に限られず、特許請求の範囲内において、種種改変することができる。また、一般的な勤務表作成装置10が備える構成を排除するものではない。
【0060】
例えば、ステップS17の処理で変更された希望条件の優先度は、翌月に実行される翌々月の勤務表を作成する際に、そのまま用いられてもよく、再度、デフォルト値(図3B)にリセットされてから、用いられてもよい。また、図10のステップS205で、第2の職員の希望条件xの優先度を、第2の変更量で変更するか否かを、管理者等のユーザーに確認する処理を追加してもよい。例えば、ステップS205の直前に、端末装置30に操作画面を表示し、ユーザーによる第2の変更量で変更する際の確認を求める。
【0061】
上述した実施形態に係る勤務表作成装置10における各種処理を行う手段および方法は、専用のハードウェア回路、またはプログラムされたコンピューターのいずれによっても実現することが可能である。上記プログラムは、例えば、USBメモリやDVD(Digital Versatile Disc)-ROM等のコンピューター読み取り可能な記録媒体によって提供されてもよいし、インターネット等のネットワークを介してオンラインで提供されてもよい。この場合、コンピューター読み取り可能な記録媒体に記録されたプログラムは、通常、ハードディスク等の記憶部に転送され記憶される。また、上記プログラムは、単独のアプリケーションソフトとして提供されてもよいし、装置の一機能としてその装置のソフトウェアに組み込まれてもよい。
【符号の説明】
【0062】
1 情報処理システム
10 勤務表作成装置
110 制御部
111 取得部
112 勤務表作成部
113 変更受付部
114 抽出部
115 優先度設定部
116 出力部
120 記憶部
130 通信部
図1
図2
図3A
図3B
図4A
図4B
図5A
図5B
図6A
図6B
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15