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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2025006099
(43)【公開日】2025-01-17
(54)【発明の名称】無菌成形方法および無菌成形装置
(51)【国際特許分類】
B65B 55/04 20060101AFI20250109BHJP
B65B 55/10 20060101ALI20250109BHJP
B29C 49/64 20060101ALI20250109BHJP
A61L 2/18 20060101ALI20250109BHJP
【ＦＩ】
B65B55/04 Z
B65B55/10 A
B65B55/10
B29C49/64
A61L2/18 102
【審査請求】未請求
【請求項の数】17
【出願形態】ＯＬ
(21)【出願番号】P 2023106688
(22)【出願日】2023-06-29
(71)【出願人】
【識別番号】313005282
【氏名又は名称】東洋製罐株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002354
【氏名又は名称】弁理士法人平和国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】岩下 健
(72)【発明者】
【氏名】岡部 良紀
(72)【発明者】
【氏名】原田 天章
(72)【発明者】
【氏名】大頭 貢
【テーマコード（参考）】
4C058
4F208
【Ｆターム（参考）】
4C058AA25
4C058BB07
4C058CC03
4C058CC05
4C058JJ07
4C058JJ08
4F208AG07
4F208AH55
4F208AK01
4F208AK05
4F208LA09
4F208LB01
4F208LG03
4F208LG28
4F208LH01
4F208LH02
4F208LH06
4F208LH23
4F208LJ15
(57)【要約】
【課題】簡素な構成で、効率的な殺菌を実現する無菌成形方法および無菌成形装置を提供すること。
【解決手段】殺菌処理を施した殺菌済みの容器を無菌成形する無菌成形方法であって、殺菌処理は、無菌ブロー成形によって容器を成形する前のプリフォーム段階でのプリフォーム殺菌処理のみで容器の殺菌を完了させ、プリフォーム殺菌処理では、少なくともプリフォームＰの口部Ｐ２の内表面に殺菌流体を供給し、口部Ｐ２の内表面に供給された殺菌流体の少なくとも一部をプリフォームＰの内表面伝いにプリフォームＰの胴部Ｐ１の内表面に供給し、胴部Ｐ１の内表面に供給された殺菌流体を胴部Ｐ１の内表面との接触によって加熱して気化させる無菌成形方法。
【選択図】図２
【解決手段】殺菌処理を施した殺菌済みの容器を無菌成形する無菌成形方法であって、殺菌処理は、無菌ブロー成形によって容器を成形する前のプリフォーム段階でのプリフォーム殺菌処理のみで容器の殺菌を完了させ、プリフォーム殺菌処理では、少なくともプリフォームＰの口部Ｐ２の内表面に殺菌流体を供給し、口部Ｐ２の内表面に供給された殺菌流体の少なくとも一部をプリフォームＰの内表面伝いにプリフォームＰの胴部Ｐ１の内表面に供給し、胴部Ｐ１の内表面に供給された殺菌流体を胴部Ｐ１の内表面との接触によって加熱して気化させる無菌成形方法。
【選択図】図２
【特許請求の範囲】
【請求項1】
殺菌処理を施した殺菌済みの容器を無菌成形する無菌成形方法であって、
前記殺菌処理は、無菌ブロー成形によって容器を成形する前のプリフォーム段階でのプリフォーム殺菌処理のみで容器の殺菌を完了させ、
前記プリフォーム殺菌処理では、少なくともプリフォームの口部内表面に殺菌流体を供給し、前記口部内表面に供給された前記殺菌流体の少なくとも一部を前記プリフォームの内表面伝いに前記プリフォームの胴部内表面に供給し、前記胴部内表面に供給された前記殺菌流体を前記胴部内表面との接触によって加熱して気化させることを特徴とする無菌成形方法。
前記殺菌処理は、無菌ブロー成形によって容器を成形する前のプリフォーム段階でのプリフォーム殺菌処理のみで容器の殺菌を完了させ、
前記プリフォーム殺菌処理では、少なくともプリフォームの口部内表面に殺菌流体を供給し、前記口部内表面に供給された前記殺菌流体の少なくとも一部を前記プリフォームの内表面伝いに前記プリフォームの胴部内表面に供給し、前記胴部内表面に供給された前記殺菌流体を前記胴部内表面との接触によって加熱して気化させることを特徴とする無菌成形方法。
【請求項2】
前記口部内表面に供給される前記殺菌流体は、蒸気成分を含むものであり、
前記プリフォーム殺菌処理では、前記口部内表面との接触によって前記殺菌流体の蒸気成分を冷やして液化させ、液化した前記殺菌流体の液体成分の少なくとも一部を前記プリフォームの内表面伝いに前記胴部内表面に供給し、前記胴部内表面との接触によって前記殺菌流体の液体成分を加熱して気化させることを特徴とする請求項１に記載の無菌成形方法。
前記プリフォーム殺菌処理では、前記口部内表面との接触によって前記殺菌流体の蒸気成分を冷やして液化させ、液化した前記殺菌流体の液体成分の少なくとも一部を前記プリフォームの内表面伝いに前記胴部内表面に供給し、前記胴部内表面との接触によって前記殺菌流体の液体成分を加熱して気化させることを特徴とする請求項１に記載の無菌成形方法。
【請求項3】
前記プリフォーム殺菌処理では、殺菌流体供給直後において、前記口部内表面に前記殺菌流体の液体成分が付着し、無菌ブロー成形開始時において、前記胴部内表面に前記殺菌流体の液体成分が付着していない状態になるようにすることを特徴とする請求項１に記載の無菌成形方法。
【請求項4】
前記プリフォーム殺菌処理中またはプリフォーム殺菌処理後では、前記殺菌流体供給後であって前記無菌ブロー成形開始時までに前記口部内表面に乾燥処理を施すことで、前記口部内表面に前記殺菌流体の液体成分が付着していない状態になるようにすることを特徴とする請求項３に記載の無菌成形方法。
【請求項5】
前記プリフォーム殺菌処理では、少なくとも前記プリフォームの口部外表面に殺菌流体を供給し、前記口部外表面に供給された前記殺菌流体の少なくとも一部を前記プリフォームの外表面伝いに前記プリフォームの胴部外表面に供給し、前記胴部外表面に供給された前記殺菌流体を前記胴部外表面との接触によって加熱して気化させることを特徴とする請求項１に記載の無菌成形方法。
【請求項6】
前記口部外表面に供給される前記殺菌流体は、蒸気成分を含むものであり、
前記プリフォーム殺菌処理では、前記口部外表面との接触によって前記殺菌流体の蒸気成分を冷やして液化させ、液化した前記殺菌流体の液体成分の少なくとも一部を前記プリフォームの外表面伝いに前記胴部外表面に供給し、前記胴部外表面との接触によって前記殺菌流体の液体成分を加熱して気化させることを特徴とする請求項５に記載の無菌成形方法。
前記プリフォーム殺菌処理では、前記口部外表面との接触によって前記殺菌流体の蒸気成分を冷やして液化させ、液化した前記殺菌流体の液体成分の少なくとも一部を前記プリフォームの外表面伝いに前記胴部外表面に供給し、前記胴部外表面との接触によって前記殺菌流体の液体成分を加熱して気化させることを特徴とする請求項５に記載の無菌成形方法。
【請求項7】
前記プリフォームの表面に到達した時の前記殺菌流体の温度は、前記口部内表面の表面温度よりも高く設定されていることを特徴とする請求項１に記載の無菌成形方法。
【請求項8】
前記プリフォーム殺菌処理では、オーブン機構によるプリフォーム加熱を行う前にも、前記プリフォームに殺菌を施すことを特徴とする請求項１に記載の無菌成形方法。
【請求項9】
前記殺菌流体は、過酸化水素、過酢酸、または、水のいずれかであることを特徴とする請求項１に記載の無菌成形方法。
【請求項10】
前記殺菌流体は、濃度が０．２５ｗｔ％以上の過酢酸であることを特徴とする請求項９に記載の無菌成形方法。
【請求項11】
前記殺菌流体は、過酸化水素または過酢酸または水であり、
前記殺菌流体を少なくとも前記口部内表面に供給する時における、前記殺菌流体の供給量は、５０μｌ以上かつ、２２５μｌ以下であることを特徴とする請求項９に記載の無菌成形方法。
前記殺菌流体を少なくとも前記口部内表面に供給する時における、前記殺菌流体の供給量は、５０μｌ以上かつ、２２５μｌ以下であることを特徴とする請求項９に記載の無菌成形方法。
【請求項12】
前記プリフォーム殺菌処理では、その噴出口の中心軸線が前記口部内表面に向かうように配置された噴出ノズルから前記殺菌流体を噴出して前記口部内表面に供給することを特徴とする請求項１に記載の無菌成形方法。
【請求項13】
前記プリフォーム殺菌処理では、前記プリフォームの外側に配置された前記噴出ノズルから、前記プリフォームの軸線に対して斜めに前記殺菌流体を噴出して前記口部内表面に供給することを特徴とする請求項１２に記載の無菌成形方法。
【請求項14】
前記プリフォーム殺菌処理では、前記口部内表面に付着した前記殺菌流体の温度が５５℃以上になるように、前記口部内表面に前記殺菌流体を供給する、または、前記口部内表面に前記殺菌流体を供給した後に前記口部内表面に加熱処理を施すことを特徴とする請求項１に記載の無菌成形方法。
【請求項15】
殺菌処理を施した殺菌済みの容器を無菌成形する無菌成形方法であって、
前記殺菌処理は、無菌ブロー成形によって容器を成形する前のプリフォーム段階でのプリフォーム殺菌処理のみで容器の殺菌を完了させ、
前記プリフォーム殺菌処理では、少なくともプリフォームの口部内表面に殺菌流体を供給し、殺菌流体供給直後において前記口部内表面に前記殺菌流体の液体成分が付着した状態にするとともに、前記プリフォームの胴部内表面との接触によって前記殺菌流体を加熱して気化させ、無菌ブロー成形開始時において前記胴部内表面に前記殺菌流体の液体成分が付着していない状態になるようにすることを特徴とする無菌成形方法。
前記殺菌処理は、無菌ブロー成形によって容器を成形する前のプリフォーム段階でのプリフォーム殺菌処理のみで容器の殺菌を完了させ、
前記プリフォーム殺菌処理では、少なくともプリフォームの口部内表面に殺菌流体を供給し、殺菌流体供給直後において前記口部内表面に前記殺菌流体の液体成分が付着した状態にするとともに、前記プリフォームの胴部内表面との接触によって前記殺菌流体を加熱して気化させ、無菌ブロー成形開始時において前記胴部内表面に前記殺菌流体の液体成分が付着していない状態になるようにすることを特徴とする無菌成形方法。
【請求項16】
殺菌済みの容器を無菌成形する無菌成形装置であって、
ブロー成形ターレットと、殺菌処理機構とを備え、
前記無菌成形装置は、無菌ブロー成形によって容器を成形する前のプリフォーム段階でのプリフォーム殺菌処理のみで容器の殺菌を完了させるように構成され、
前記無菌成形装置は、少なくともプリフォームの口部内表面に殺菌流体を供給し、前記口部内表面に供給された前記殺菌流体の少なくとも一部を前記プリフォームの内表面伝いに前記プリフォームの胴部内表面に供給し、前記胴部内表面に供給された前記殺菌流体を前記胴部内表面との接触によって加熱して気化させるように構成されていることを特徴とする無菌成形装置。
ブロー成形ターレットと、殺菌処理機構とを備え、
前記無菌成形装置は、無菌ブロー成形によって容器を成形する前のプリフォーム段階でのプリフォーム殺菌処理のみで容器の殺菌を完了させるように構成され、
前記無菌成形装置は、少なくともプリフォームの口部内表面に殺菌流体を供給し、前記口部内表面に供給された前記殺菌流体の少なくとも一部を前記プリフォームの内表面伝いに前記プリフォームの胴部内表面に供給し、前記胴部内表面に供給された前記殺菌流体を前記胴部内表面との接触によって加熱して気化させるように構成されていることを特徴とする無菌成形装置。
【請求項17】
殺菌済みの容器を無菌成形する無菌成形装置であって、
ブロー成形ターレットと、殺菌処理機構とを備え、
前記無菌成形装置は、無菌ブロー成形によって容器を成形する前のプリフォーム段階でのプリフォーム殺菌処理のみで容器の殺菌を完了させるように構成され、
前記無菌成形装置は、少なくともプリフォームの口部内表面に殺菌流体を供給し、殺菌流体供給直後において前記口部内表面に前記殺菌流体の液体成分が付着した状態にするとともに、前記プリフォームの胴部内表面との接触によって前記殺菌流体を加熱して気化させ、無菌ブロー成形開始時において前記胴部内表面に前記殺菌流体の液体成分が付着していない状態になるようにするように構成されていることを特徴とする無菌成形装置。
ブロー成形ターレットと、殺菌処理機構とを備え、
前記無菌成形装置は、無菌ブロー成形によって容器を成形する前のプリフォーム段階でのプリフォーム殺菌処理のみで容器の殺菌を完了させるように構成され、
前記無菌成形装置は、少なくともプリフォームの口部内表面に殺菌流体を供給し、殺菌流体供給直後において前記口部内表面に前記殺菌流体の液体成分が付着した状態にするとともに、前記プリフォームの胴部内表面との接触によって前記殺菌流体を加熱して気化させ、無菌ブロー成形開始時において前記胴部内表面に前記殺菌流体の液体成分が付着していない状態になるようにするように構成されていることを特徴とする無菌成形装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、殺菌処理を施した殺菌済みの容器を無菌成形する無菌成形方法および無菌成形装置に関し、特に、容器成形から内容物の充填・密封までを一貫して行うインラインブロー式の無菌充填システムに組み込まれる無菌成形装置および無菌成形方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、同一工場内において、ブロー成形による容器成形から、内容物の充填・密封までを一貫して行うインラインブロー式の充填システムが知られている（例えば、特許文献１を参照）。
【0003】
このような充填システムでは、無菌環境に維持された充填装置に容器を搬送する前に、容器を充分に殺菌する必要があり、特許文献１に記載される充填システムでは、ブロー成形によって容器を成形する前のプリフォーム段階での殺菌処理に加えて、ブロー成形後における容器段階における殺菌処理を行っている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開２０１０－２０２２８４号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところが、容器段階における殺菌処理を行う場合、殺菌処理機構が大型化するという問題や、プリフォームと比較して容器はその表面積が大きいことから必要とされる殺菌剤の量等が多くなるといった問題や、殺菌時間についても長くなるといった問題があることから、本出願人は、無菌ブロー成形によって容器を成形する前のプリフォーム段階での殺菌処理のみで容器の殺菌を完了させる無菌成形装置を開発しようとしており、そのために、殺菌効率に関する更なる改良が要求されている。
【0006】
そこで、本発明は、これらの問題点を解決するものであり、簡素な構成で、効率的な殺菌を実現する無菌成形方法および無菌成形装置を提供することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の無菌成形方法の一態様は、殺菌処理を施した殺菌済みの容器を無菌成形する無菌成形方法であって、前記殺菌処理は、無菌ブロー成形によって容器を成形する前のプリフォーム段階でのプリフォーム殺菌処理のみで容器の殺菌を完了させ、前記プリフォーム殺菌処理では、少なくともプリフォームの口部内表面に殺菌流体を供給し、前記口部内表面に供給された前記殺菌流体の少なくとも一部を前記プリフォームの内表面伝いに前記プリフォームの胴部内表面に供給し、前記胴部内表面に供給された前記殺菌流体を前記胴部内表面との接触によって加熱して気化させることにより、前記課題を解決するものである。
本発明の無菌成形方法の他の態様は、殺菌処理を施した殺菌済みの容器を無菌成形する無菌成形方法であって、前記殺菌処理は、無菌ブロー成形によって容器を成形する前のプリフォーム段階でのプリフォーム殺菌処理のみで容器の殺菌を完了させ、前記プリフォーム殺菌処理では、少なくともプリフォームの口部内表面に殺菌流体を供給し、殺菌流体供給直後において前記口部内表面に前記殺菌流体の液体成分が付着した状態にするとともに、前記プリフォームの胴部内表面との接触によって前記殺菌流体を加熱して気化させ、無菌ブロー成形開始時において前記胴部内表面に前記殺菌流体の液体成分が付着していない状態になるようにすることにより、前記課題を解決するものである。
本発明の無菌成形装置の一態様は、殺菌済みの容器を無菌成形する無菌成形装置であって、ブロー成形ターレットと、殺菌処理機構とを備え、前記無菌成形装置は、無菌ブロー成形によって容器を成形する前のプリフォーム段階でのプリフォーム殺菌処理のみで容器の殺菌を完了させるように構成され、前記無菌成形装置は、少なくともプリフォームの口部内表面に殺菌流体を供給し、前記口部内表面に供給された前記殺菌流体の少なくとも一部を前記プリフォームの内表面伝いに前記プリフォームの胴部内表面に供給し、前記胴部内表面に供給された前記殺菌流体を前記胴部内表面との接触によって加熱して気化させるように構成されていることにより、前記課題を解決するものである。
本発明の無菌成形装置の他の態様は、殺菌済みの容器を無菌成形する無菌成形装置であって、ブロー成形ターレットと、殺菌処理機構とを備え、前記無菌成形装置は、無菌ブロー成形によって容器を成形する前のプリフォーム段階でのプリフォーム殺菌処理のみで容器の殺菌を完了させるように構成され、前記無菌成形装置は、少なくともプリフォームの口部内表面に殺菌流体を供給し、殺菌流体供給直後において前記口部内表面に前記殺菌流体の液体成分が付着した状態にするとともに、前記プリフォームの胴部内表面との接触によって前記殺菌流体を加熱して気化させ、無菌ブロー成形開始時において前記胴部内表面に前記殺菌流体の液体成分が付着していない状態になるようにするように構成されていることにより、前記課題を解決するものである。
上記いずれかの無菌成形方法または無菌成形装置では、前記プリフォーム殺菌処理では、少なくともプリフォームの口部内表面に殺菌流体を供給し、前記口部内表面に供給された前記殺菌流体の少なくとも一部を前記プリフォームの内表面伝いに前記プリフォームの胴部内表面に供給し、前記胴部内表面に供給された前記殺菌流体を前記胴部内表面との接触によって加熱して気化させるようにしてもよい。
上記いずれかの無菌成形方法または無菌成形装置では、前記口部内表面に供給される前記殺菌流体は、蒸気成分を含むものであり、前記プリフォーム殺菌処理では、前記口部内表面との接触によって前記殺菌流体の蒸気成分を冷やして液化させ、液化した前記殺菌流体の液体成分の少なくとも一部を前記プリフォームの内表面伝いに前記胴部内表面に供給し、前記胴部内表面との接触によって前記殺菌流体の液体成分を加熱して気化させるようにしてもよい。
上記いずれかの無菌成形方法または無菌成形装置では、前記プリフォーム殺菌処理では、殺菌流体供給直後において、前記口部内表面に前記殺菌流体の液体成分が付着し、無菌ブロー成形開始時において、前記胴部内表面に前記殺菌流体の液体成分が付着していない状態になるようにしてもよい。
上記いずれかの無菌成形方法または無菌成形装置では、前記プリフォーム殺菌処理中またはプリフォーム殺菌処理後では、前記殺菌流体供給後であって前記無菌ブロー成形開始時までに前記口部内表面に乾燥処理を施すことで、前記口部内表面に前記殺菌流体の液体成分が付着していない状態になるようにしてもよい。
上記いずれかの無菌成形方法または無菌成形装置では、前記プリフォーム殺菌処理では、少なくとも前記プリフォームの口部外表面に殺菌流体を供給し、前記口部外表面に供給された前記殺菌流体の少なくとも一部を前記プリフォームの外表面伝いに前記プリフォームの胴部外表面に供給し、前記胴部外表面に供給された前記殺菌流体を前記胴部外表面との接触によって加熱して気化させるようにしてもよい。
上記いずれかの無菌成形方法または無菌成形装置では、前記口部外表面に供給される前記殺菌流体は、蒸気成分を含むものであり、前記プリフォーム殺菌処理では、前記口部外表面との接触によって前記殺菌流体の蒸気成分を冷やして液化させ、液化した前記殺菌流体の液体成分の少なくとも一部を前記プリフォームの外表面伝いに前記胴部外表面に供給し、前記胴部外表面との接触によって前記殺菌流体の液体成分を加熱して気化させるようにしてもよい。
上記いずれかの無菌成形方法または無菌成形装置では、前記プリフォームの表面に到達した時の前記殺菌流体の温度は、前記口部内表面の表面温度よりも高く設定されてもよい。
上記いずれかの無菌成形方法または無菌成形装置では、前記プリフォーム殺菌処理では、オーブン機構によるプリフォーム加熱を行う前にも、前記プリフォームに殺菌を施してもよい。
上記いずれかの無菌成形方法または無菌成形装置では、前記殺菌流体は、過酸化水素、過酢酸、または、水のいずれかであってもよい。
上記いずれかの無菌成形方法または無菌成形装置では、前記殺菌流体は、濃度が０．２５ｗｔ％以上の過酢酸であってもよい。
上記いずれかの無菌成形方法または無菌成形装置では、前記殺菌流体は、過酸化水素または過酢酸または水であり、前記殺菌流体を少なくとも前記口部内表面に供給する時における、前記殺菌流体の供給量は、５０μｌ以上かつ、２２５μｌ以下であってもよい。
上記いずれかの無菌成形方法または無菌成形装置では、前記プリフォーム殺菌処理では、その噴出口の中心軸線が前記口部内表面に向かうように配置された噴出ノズルから前記殺菌流体を噴出して前記口部内表面に供給してもよい。
上記いずれかの無菌成形方法または無菌成形装置では、前記プリフォーム殺菌処理では、前記プリフォームの外側に配置された前記噴出ノズルから、前記プリフォームの軸線に対して斜めに前記殺菌流体を噴出して前記口部内表面に供給してもよい。
上記いずれかの無菌成形方法または無菌成形装置では、前記プリフォーム殺菌処理では、前記口部内表面に付着した前記殺菌流体の温度が５５℃以上になるように、前記口部内表面に前記殺菌流体を供給する、または、前記口部内表面に前記殺菌流体を供給した後に前記口部内表面に加熱処理を施してもよい。
本発明の無菌成形方法の他の態様は、殺菌処理を施した殺菌済みの容器を無菌成形する無菌成形方法であって、前記殺菌処理は、無菌ブロー成形によって容器を成形する前のプリフォーム段階でのプリフォーム殺菌処理のみで容器の殺菌を完了させ、前記プリフォーム殺菌処理では、少なくともプリフォームの口部内表面に殺菌流体を供給し、殺菌流体供給直後において前記口部内表面に前記殺菌流体の液体成分が付着した状態にするとともに、前記プリフォームの胴部内表面との接触によって前記殺菌流体を加熱して気化させ、無菌ブロー成形開始時において前記胴部内表面に前記殺菌流体の液体成分が付着していない状態になるようにすることにより、前記課題を解決するものである。
本発明の無菌成形装置の一態様は、殺菌済みの容器を無菌成形する無菌成形装置であって、ブロー成形ターレットと、殺菌処理機構とを備え、前記無菌成形装置は、無菌ブロー成形によって容器を成形する前のプリフォーム段階でのプリフォーム殺菌処理のみで容器の殺菌を完了させるように構成され、前記無菌成形装置は、少なくともプリフォームの口部内表面に殺菌流体を供給し、前記口部内表面に供給された前記殺菌流体の少なくとも一部を前記プリフォームの内表面伝いに前記プリフォームの胴部内表面に供給し、前記胴部内表面に供給された前記殺菌流体を前記胴部内表面との接触によって加熱して気化させるように構成されていることにより、前記課題を解決するものである。
本発明の無菌成形装置の他の態様は、殺菌済みの容器を無菌成形する無菌成形装置であって、ブロー成形ターレットと、殺菌処理機構とを備え、前記無菌成形装置は、無菌ブロー成形によって容器を成形する前のプリフォーム段階でのプリフォーム殺菌処理のみで容器の殺菌を完了させるように構成され、前記無菌成形装置は、少なくともプリフォームの口部内表面に殺菌流体を供給し、殺菌流体供給直後において前記口部内表面に前記殺菌流体の液体成分が付着した状態にするとともに、前記プリフォームの胴部内表面との接触によって前記殺菌流体を加熱して気化させ、無菌ブロー成形開始時において前記胴部内表面に前記殺菌流体の液体成分が付着していない状態になるようにするように構成されていることにより、前記課題を解決するものである。
上記いずれかの無菌成形方法または無菌成形装置では、前記プリフォーム殺菌処理では、少なくともプリフォームの口部内表面に殺菌流体を供給し、前記口部内表面に供給された前記殺菌流体の少なくとも一部を前記プリフォームの内表面伝いに前記プリフォームの胴部内表面に供給し、前記胴部内表面に供給された前記殺菌流体を前記胴部内表面との接触によって加熱して気化させるようにしてもよい。
上記いずれかの無菌成形方法または無菌成形装置では、前記口部内表面に供給される前記殺菌流体は、蒸気成分を含むものであり、前記プリフォーム殺菌処理では、前記口部内表面との接触によって前記殺菌流体の蒸気成分を冷やして液化させ、液化した前記殺菌流体の液体成分の少なくとも一部を前記プリフォームの内表面伝いに前記胴部内表面に供給し、前記胴部内表面との接触によって前記殺菌流体の液体成分を加熱して気化させるようにしてもよい。
上記いずれかの無菌成形方法または無菌成形装置では、前記プリフォーム殺菌処理では、殺菌流体供給直後において、前記口部内表面に前記殺菌流体の液体成分が付着し、無菌ブロー成形開始時において、前記胴部内表面に前記殺菌流体の液体成分が付着していない状態になるようにしてもよい。
上記いずれかの無菌成形方法または無菌成形装置では、前記プリフォーム殺菌処理中またはプリフォーム殺菌処理後では、前記殺菌流体供給後であって前記無菌ブロー成形開始時までに前記口部内表面に乾燥処理を施すことで、前記口部内表面に前記殺菌流体の液体成分が付着していない状態になるようにしてもよい。
上記いずれかの無菌成形方法または無菌成形装置では、前記プリフォーム殺菌処理では、少なくとも前記プリフォームの口部外表面に殺菌流体を供給し、前記口部外表面に供給された前記殺菌流体の少なくとも一部を前記プリフォームの外表面伝いに前記プリフォームの胴部外表面に供給し、前記胴部外表面に供給された前記殺菌流体を前記胴部外表面との接触によって加熱して気化させるようにしてもよい。
上記いずれかの無菌成形方法または無菌成形装置では、前記口部外表面に供給される前記殺菌流体は、蒸気成分を含むものであり、前記プリフォーム殺菌処理では、前記口部外表面との接触によって前記殺菌流体の蒸気成分を冷やして液化させ、液化した前記殺菌流体の液体成分の少なくとも一部を前記プリフォームの外表面伝いに前記胴部外表面に供給し、前記胴部外表面との接触によって前記殺菌流体の液体成分を加熱して気化させるようにしてもよい。
上記いずれかの無菌成形方法または無菌成形装置では、前記プリフォームの表面に到達した時の前記殺菌流体の温度は、前記口部内表面の表面温度よりも高く設定されてもよい。
上記いずれかの無菌成形方法または無菌成形装置では、前記プリフォーム殺菌処理では、オーブン機構によるプリフォーム加熱を行う前にも、前記プリフォームに殺菌を施してもよい。
上記いずれかの無菌成形方法または無菌成形装置では、前記殺菌流体は、過酸化水素、過酢酸、または、水のいずれかであってもよい。
上記いずれかの無菌成形方法または無菌成形装置では、前記殺菌流体は、濃度が０．２５ｗｔ％以上の過酢酸であってもよい。
上記いずれかの無菌成形方法または無菌成形装置では、前記殺菌流体は、過酸化水素または過酢酸または水であり、前記殺菌流体を少なくとも前記口部内表面に供給する時における、前記殺菌流体の供給量は、５０μｌ以上かつ、２２５μｌ以下であってもよい。
上記いずれかの無菌成形方法または無菌成形装置では、前記プリフォーム殺菌処理では、その噴出口の中心軸線が前記口部内表面に向かうように配置された噴出ノズルから前記殺菌流体を噴出して前記口部内表面に供給してもよい。
上記いずれかの無菌成形方法または無菌成形装置では、前記プリフォーム殺菌処理では、前記プリフォームの外側に配置された前記噴出ノズルから、前記プリフォームの軸線に対して斜めに前記殺菌流体を噴出して前記口部内表面に供給してもよい。
上記いずれかの無菌成形方法または無菌成形装置では、前記プリフォーム殺菌処理では、前記口部内表面に付着した前記殺菌流体の温度が５５℃以上になるように、前記口部内表面に前記殺菌流体を供給する、または、前記口部内表面に前記殺菌流体を供給した後に前記口部内表面に加熱処理を施してもよい。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、簡素な構成で、効率的な殺菌を実現できる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】本発明の一実施形態に係る無菌成形装置を備えた無菌充填システムを示す説明図。
【図2】プリフォームの内表面の殺菌方法の一例を示す説明図。
【図3】プリフォームの外表面の殺菌方法の一例を示す説明図。
【図4】試験結果を示す説明図。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下に、本発明の一実施形態に係る無菌充填システム１０について、図面に基づいて説明する。
なお、本明細書で使用する「上流」「下流」の用語は、プリフォームＰまたは容器の搬送方向における上流または下流を意味する。
なお、本明細書で使用する「上流」「下流」の用語は、プリフォームＰまたは容器の搬送方向における上流または下流を意味する。
【0011】
まず、無菌充填システム１０は、殺菌済みの容器に殺菌された内容物（特に内容液）を無菌充填する所謂インラインブロー式の充填システムとして構成されたものであり、図１に示すように、容器を無菌成形する無菌成形装置２０と、容器内に内容物を無菌充填する充填装置６０とを備えている。
【0012】
以下に、無菌充填システム１０の各構成要素について、図面に基づいて説明する。
【0013】
まず、無菌成形装置２０は、殺菌処理を施した殺菌済みの容器を無菌成形するものであり、図１に示すように、プリフォームＰを投入する入口部２１と、ブロー成形ターレット２２と、入口部２１の下流側に設定されたオーブンエリアＡ１においてプリフォームＰに昇温処理を施すオーブン機構３０と、プリフォームＰを搬送するプリフォーム搬送機構４０と、プリフォームＰを殺菌する殺菌処理機構５０とを備えている。
【0014】
入口部２１は、図１に示すように、無菌成形装置２０（無菌充填システム１０）に対してプリフォームＰを投入するための部位である。
【0015】
ブロー成形ターレット２２は、図１に示すように、オーブンエリアＡ１の下流側に配置され、プリフォームＰに無菌ブロー成形を施すものである。
具体的には、ブロー成形ターレット２２は、無菌ブロー成形時の成形温度にまで昇温されたプリフォームＰ内に無菌エアーを吹き込むことでＰＥＴボトル等の容器を二軸延伸ブロー成形するブロー機（図示しない）を備えたターレットとして構成されている。
具体的には、ブロー成形ターレット２２は、無菌ブロー成形時の成形温度にまで昇温されたプリフォームＰ内に無菌エアーを吹き込むことでＰＥＴボトル等の容器を二軸延伸ブロー成形するブロー機（図示しない）を備えたターレットとして構成されている。
【0016】
ブロー成形ターレット２２が設置される成形エリアＡ３は、チャンバーによって覆われ、ＨＥＰＡフィルタを通した無菌エアーをＦＦＵ（Ｆａｎ Ｆｉｌｔｅｒ Ｕｎｉｔ）により上部から吹き込むことで無菌雰囲気かつ陽圧に保たれている。
また、成形エリアＡ３に設置されるブロー成形ターレット２２やブロー機等の各設備は、ブロー配管末端まで滅菌されている。
成形エリアＡ３に、プリフォーム段階での殺菌処理のみで容器の殺菌を完了したプリフォームＰが搬送され、無菌ブロー成形される。
これにより、成形エリアＡ３では、無菌状態でブロー成形を行う無菌ブロー成形が行われる。よって、成形エリアＡ３内でのプリフォームＰやブロー成形後のボトルの搬送において搬送経路近傍を局所的に無菌エアーや殺菌ガス雰囲気化することが不要となり、また、ブロー成形後のボトルに対しての殺菌は不要となる。
また、成形エリアＡ３に設置されるブロー成形ターレット２２やブロー機等の各設備は、ブロー配管末端まで滅菌されている。
成形エリアＡ３に、プリフォーム段階での殺菌処理のみで容器の殺菌を完了したプリフォームＰが搬送され、無菌ブロー成形される。
これにより、成形エリアＡ３では、無菌状態でブロー成形を行う無菌ブロー成形が行われる。よって、成形エリアＡ３内でのプリフォームＰやブロー成形後のボトルの搬送において搬送経路近傍を局所的に無菌エアーや殺菌ガス雰囲気化することが不要となり、また、ブロー成形後のボトルに対しての殺菌は不要となる。
【0017】
オーブン機構３０は、ブロー成形ターレット２２における無菌ブロー成形時の成形温度にまでプリフォームＰの温度を昇温させる昇温処理を施すものであり、オーブンエリアＡ１をその内側に有したオーブンチャンバー３１と、プリフォームＰを昇温させる赤外線ヒーターとして構成された複数の昇温ヒーター３２とを有している。
なお、オーブン機構３０は、オーブンチャンバー３１の代わりにオーブンの周囲を囲う簡易的なカバーを設けてもよく、また、オーブンチャンバー３１を設けなくともよい。
なお、オーブン機構３０は、オーブンチャンバー３１の代わりにオーブンの周囲を囲う簡易的なカバーを設けてもよく、また、オーブンチャンバー３１を設けなくともよい。
【0018】
また、オーブンエリアＡ１には、昇温ヒーター３２による加熱によってプリフォームＰの口部Ｐ２の温度が上昇し過ぎることを抑制し、プリフォームＰの口部Ｐ２に熱による変形が生じることを防止するように、無菌化されていないエアーを導入してプリフォームＰの口部Ｐ２に向けて複数の噴出するエアー噴出器（図示しない）、または、昇温ヒーター３２の熱を遮蔽して口部Ｐ２の加熱を防ぐ遮蔽板が設置されている。
エアー噴出器（図示しない）は、無菌化されていないエアーを導入して噴出するものであることから、オーブンエリアＡ１は、エアー噴出器（図示しない）によって導入される外部の菌等によってその雰囲気が汚染されるエリアとなり、オーブンエリアＡ１内の雰囲気は、オーブンエリアＡ１の下流側の移送エリアＡ２内の雰囲気と比較して汚染度合いが高い。また、エアー噴出器が設置されていない場合であっても、生産前の環境殺菌行われないため、オーブンエリアＡ１は汚染されたエリアとなる。
また、昇温ヒーター３２は、プリフォームＰの口部Ｐ２の昇温を避けつつ、プリフォームＰの胴部Ｐ１を昇温させるように、プリフォームＰの口部Ｐ２の側方位置には設置されず、プリフォームＰの胴部Ｐ１の側方位置に設置される。
エアー噴出器（図示しない）は、無菌化されていないエアーを導入して噴出するものであることから、オーブンエリアＡ１は、エアー噴出器（図示しない）によって導入される外部の菌等によってその雰囲気が汚染されるエリアとなり、オーブンエリアＡ１内の雰囲気は、オーブンエリアＡ１の下流側の移送エリアＡ２内の雰囲気と比較して汚染度合いが高い。また、エアー噴出器が設置されていない場合であっても、生産前の環境殺菌行われないため、オーブンエリアＡ１は汚染されたエリアとなる。
また、昇温ヒーター３２は、プリフォームＰの口部Ｐ２の昇温を避けつつ、プリフォームＰの胴部Ｐ１を昇温させるように、プリフォームＰの口部Ｐ２の側方位置には設置されず、プリフォームＰの胴部Ｐ１の側方位置に設置される。
【0019】
なお、プリフォームＰの胴部Ｐ１は、無菌ブロー成形時に金型内に配置され金型内で膨張させる部位であり、プリフォームＰの口部Ｐ２は、無菌ブロー成形時に金型外に配置され膨張させない部位である。
【0020】
また、移送エリアＡ２は、図１に示すように、オーブンエリアＡ１の下流側かつ成形エリアＡ３の上流側のエリアであり、成形エリアＡ３よりは汚染度が高いが、オーブンエリアＡ１よりは汚染度が低いエリアである。
【0021】
プリフォーム搬送機構４０は、入口部２１から投入されたプリフォームＰをブロー成形ターレット２２に搬送するものであり、図１に示すように、主にオーブンエリアＡ１においてプリフォームＰを搬送する搬送機４１と、オーブンエリアＡ１から搬出されたプリフォームＰをブロー成形ターレット２２に向けて搬送する複数のターレット４２とを備えている。
【0022】
ターレット４２は、移送エリアＡ２や成形エリアＡ３においてプリフォームＰを搬送するものであり、これらターレット４２は、図２や図３に示すように、プリフォームＰを外周側から把持する複数のグリッパー４２ａを有している。前記グリッパー４２ａは、ＵＶ照射あるいは殺菌剤にて把持部を殺菌しておくことが望ましい。
【0023】
なお、プリフォーム搬送機構４０によるプリフォームＰの搬送姿勢については、正立状態や、倒立状態（すなわち、プリフォームＰの口部Ｐ２側を下方に向けた下向き状態）や、横向き状態（すなわち、プリフォームＰの口部Ｐ２側を側方に向けた横向き状態）等、如何なるものでもよい。
【0024】
無菌成形装置２０は、充填装置６０における内容物の充填時において、容器が商業的無菌状態（すなわち、通常の非冷蔵貯蔵・流通条件下で当該飲料に発育しうる公衆衛生上有害なすべての微生物を死滅させた状態）となるように、殺菌処理機構５０等による殺菌処理を施すように構成されている。
【0025】
本実施形態では、殺菌処理機構５０等による殺菌処理は、無菌ブロー成形後における容器段階での殺菌処理を施すことなく（容器段階での殺菌処理を必要とすることなく）、無菌ブロー成形によって容器を成形する前のプリフォーム段階でのプリフォーム殺菌処理のみで容器の殺菌を完了させる（更に具体的には、本実施形態では、移送エリアＡ２までに殺菌を完了させ、殺菌が完了したプリフォームＰを成形エリアＡ３に搬入する）ように構成され、言い換えると、プリフォーム段階でのプリフォーム殺菌処理のみで容器が商業的無菌状態になるように構成され、更に言い換えると、プリフォーム段階でのプリフォーム殺菌処理のみで、（プリフォームＰの内表面および外表面を含む全外面について、）殺菌対象となる菌（容器内に充填する内容物内で増殖し得る菌であり、カビ、一般細菌、芽胞菌、等）について殺菌効果５Ｄ以上を得るように構成されている。
なお、殺菌効果（Ｄ）は、殺菌効果（Ｄ）＝ＬＯＧ（（初発菌数）／（生残菌数））の式で表されるものであり、例えば、１００個の菌数が１０個に減少した場合、ＬＯＧ（１００／１０）＝１Ｄとなる。
また、充填する内容物が低酸性飲料である場合には、カビ、一般細菌、芽胞菌に対して５～６Ｄ以上の殺菌効果が必要であり、充填する内容物がミネラルウォーターや緑茶等である場合には、カビに対して５～６Ｄ以上の殺菌効果が必要となる。
なお、殺菌効果（Ｄ）は、殺菌効果（Ｄ）＝ＬＯＧ（（初発菌数）／（生残菌数））の式で表されるものであり、例えば、１００個の菌数が１０個に減少した場合、ＬＯＧ（１００／１０）＝１Ｄとなる。
また、充填する内容物が低酸性飲料である場合には、カビ、一般細菌、芽胞菌に対して５～６Ｄ以上の殺菌効果が必要であり、充填する内容物がミネラルウォーターや緑茶等である場合には、カビに対して５～６Ｄ以上の殺菌効果が必要となる。
【0026】
殺菌処理機構５０は、オーブンエリアＡ１よりも下流側であってブロー成形ターレット２２よりも上流側のエリア（本実施形態では、移送エリアＡ２）において、プリフォームＰの内表面（胴部Ｐ１および口部Ｐ２の内表面）および外表面（胴部Ｐ１および口部Ｐ２の外表面）の殺菌を行うように構成されており、図１に示すように、プリフォームＰの内表面に殺菌流体を供給して殺菌を行う殺菌処理器５１と、プリフォームＰの外表面に殺菌流体を供給して殺菌を行う殺菌処理器５２とを備えている。
【0027】
殺菌処理器５１は、図１に示すように、オーブンエリアＡ１よりも下流側であってブロー成形ターレット２２よりも上流側のエリア（本実施形態では、移送エリアＡ２）において、ターレット４２によって搬送される途中のプリフォームＰの内表面に対して殺菌流体を供給することで、プリフォームＰの内表面に殺菌を施すものである。
【0028】
殺菌処理器５１は、殺菌流体を噴出する噴出ノズル５１ａを有し、この噴出ノズル５１ａは、図２（ｂ）（ｃ）に示すように、殺菌流体供給時（殺菌処理器５１によってプリフォームＰに殺菌流体を供給する時）に、その噴出口の中心軸線Ｌが口部Ｐ２の内表面に向かうように配置されるのが好ましい。
【0029】
本実施形態では、図２（ｂ）に示すように、噴出ノズル５１ａが、殺菌流体供給時に、プリフォームＰの外側において、プリフォームＰの軸線Ｘに対して斜めに殺菌流体を噴出して口部Ｐ２の内表面に供給するように配置され、言い換えると、その噴出口の中心軸線ＬがプリフォームＰの軸線Ｘに対して斜めになるように、口部Ｐ２の内表面に対して斜め上方から殺菌流体を噴出するように配置される。
【0030】
なお、本実施形態では、噴出ノズル５１ａから噴出された殺菌流体が、口部Ｐ２の内表面のみに直接的に吹き付けられるように、噴出ノズル５１ａから殺菌流体を噴出するが、噴出ノズル５１ａから噴出された殺菌流体が、口部Ｐ２の内表面に加えて、胴部Ｐ１の内表面にも直接的に吹き付けられるように、噴出ノズル５１ａから殺菌流体を噴出するようにしてもよい。
【0031】
また、上記では、噴出ノズル５１ａが、図２（ｂ）に示すように、殺菌流体供給時に、プリフォームＰの外側に配置されるものとして説明したが、殺菌流体供給時における噴出ノズル５１ａの配置はこれに限定されず、例えば、図２（ｃ）に示すように、殺菌流体供給時に、プリフォームＰ内に噴出ノズル５１ａを挿入し、噴出ノズル５１ａから殺菌流体を噴出するようにしてもよい。なお、いずれの場合にも、噴出ノズル５１ａが、その噴出口の中心軸線Ｌが口部Ｐ２の内表面に向かうように配置されるのが望ましい。また、図２（ｄ）に示すように、殺菌流体をホローコーン（円環形）状に噴出するように噴出ノズル５１ａを構成し、当該噴出ノズル５１ａを、噴出された殺菌流体が口部Ｐ２の内表面のみ（または口部Ｐ２の内表面および胴部Ｐ１の内表面）に向かうように配置してもよい。また、胴部Ｐ１の内表面に直接殺菌流体を噴出する噴出ノズルを更に設けてもよい。また、胴部Ｐ１の内表面に直接殺菌流体を噴出する噴出ノズルを更に設けたり、フルコーン（円錐形）状に噴出する噴出ノズルを設けて口部Ｐ２と胴部Ｐ１の内表面に同時に殺菌流体を噴出するようにしてもよい。
【0032】
殺菌処理器５２は、図１に示すように、オーブンエリアＡ１よりも下流側であってブロー成形ターレット２２よりも上流側のエリア（本実施形態では、移送エリアＡ２）において、ターレット４２によって搬送される途中のプリフォームＰの外表面に対して殺菌流体を供給することで、プリフォームＰの外表面に殺菌を施すものである。
【0033】
殺菌処理器５２は、殺菌流体を噴出する噴出ノズル５２ａを有し、この噴出ノズル５２ａは、図３（ａ）（ｂ）に示すように、殺菌流体供給時（殺菌処理器５２によってプリフォームＰに殺菌流体を供給する時）に、その噴出口の中心軸線Ｌが口部Ｐ２の外表面に向かうように配置されるのが好ましい。
【0034】
本実施形態では、図３（ａ）に示すように、噴出ノズル５２ａが、殺菌流体供給時に、プリフォームＰの外側において、プリフォームＰの軸線Ｘに対して斜めに殺菌流体を噴出して口部Ｐ２の外表面に供給するように配置され、言い換えると、その噴出口の中心軸線ＬがプリフォームＰの軸線Ｘに対して斜めになるように、口部Ｐ２の外表面に対して斜め上方から殺菌流体を噴出するように配置される。
【0035】
なお、本実施形態では、噴出ノズル５２ａから噴出された殺菌流体が、口部Ｐ２の外表面のみに直接的に吹き付けられるように、噴出ノズル５２ａから殺菌流体を噴出するが、噴出ノズル５２ａから噴出された殺菌流体が、口部Ｐ２の外表面に加えて、胴部Ｐ１の外表面にも直接的に吹き付けられるように、噴出ノズル５２ａから殺菌流体を噴出するようにしてもよい。
【0036】
また、上記では、噴出ノズル５２ａが、図３（ａ）に示すように、口部Ｐ２の外表面に対して斜めから殺菌流体を噴出するように配置されるものとして説明したが、殺菌流体供給時における噴出ノズル５２ａの配置はこれに限定されず、例えば、図３（ｂ）に示すように、その噴出口の中心軸線ＬがプリフォームＰの軸線Ｘに対して垂直になるように、プリフォームＰに対して横向きに殺菌流体を噴出するようにしてもよい。また、胴部Ｐ１の外表面に直接殺菌流体を噴出する噴出ノズルを設けてもよい。
【0037】
なお、本実施形態では、殺菌処理器５１、５２によってプリフォームＰに殺菌流体を供給する時に、図２や図３に示すように、プリフォームＰが、ターレット４２のグリッパー４２ａによって外周側から把持された状態、かつ、正立状態（図２や図３に示すように、プリフォームＰの口部Ｐ２側を上方に向けた上向き状態）となっている。
しかしながら、殺菌処理器５１、５２によってプリフォームＰに殺菌流体を供給する時のプリフォームＰの姿勢については、上記に限定されず、例えば、斜め状態（プリフォームＰの軸線を上下方向に対して斜めに向けた状態）であってもよい。
また、詳しくは後述するように、殺菌処理器５１、５２によってプリフォームＰに殺菌流体を供給する時に、口部Ｐ２の内表面（または口部Ｐ２の外表面）に供給された殺菌流体の少なくとも一部をプリフォームの内表面（または外表面）伝いに胴部Ｐ１の内表面（または胴部外表面）に重力を利用して良好に供給するために、胴部Ｐ１よりも口部Ｐ２の方が高い位置に位置するように、プリフォームＰの姿勢を設定するのが好ましい。
しかしながら、殺菌処理器５１、５２によってプリフォームＰに殺菌流体を供給する時のプリフォームＰの姿勢については、上記に限定されず、例えば、斜め状態（プリフォームＰの軸線を上下方向に対して斜めに向けた状態）であってもよい。
また、詳しくは後述するように、殺菌処理器５１、５２によってプリフォームＰに殺菌流体を供給する時に、口部Ｐ２の内表面（または口部Ｐ２の外表面）に供給された殺菌流体の少なくとも一部をプリフォームの内表面（または外表面）伝いに胴部Ｐ１の内表面（または胴部外表面）に重力を利用して良好に供給するために、胴部Ｐ１よりも口部Ｐ２の方が高い位置に位置するように、プリフォームＰの姿勢を設定するのが好ましい。
【0038】
また、上記では、殺菌処理器５２が、殺菌処理器５１の上流側に設置されるものとして説明したが、反対に、殺菌処理器５２を殺菌処理器５１の下流側に設置してもよく、また、殺菌処理器５１と殺菌処理器５２を同じターレットに配置して、殺菌処理器５１による処理と殺菌処理器５２による処理とが同じタイミングで行われるようにしてもよい。
【0039】
充填装置６０は、無菌成形装置２０の下流側に設置され、図１に示すように、容器内に内容物を充填する充填部６１と、充填部６１の下流側に配置され容器の口部に殺菌済みのキャップを装着するキャッピング部６２とを備えている。
【0040】
充填装置６０における各工程は、その内部が無菌状態に維持されたチャンバー内で行われる。
また、無菌成形装置２０と充填装置６０との間で容器を搬送する区間においても、容器の無菌状態が維持され、言い換えると、ブロー成形ターレット２２によって容器を無菌ブロー成形した後から充填部６１において容器内に内容物を無菌充填するまでの全区間において容器の無菌状態が維持され、本実施形態では、上記全区間をチャンバーによって覆うことによって、当該区間において容器の無菌状態を維持している。
また、無菌成形装置２０と充填装置６０との間で容器を搬送する区間においても、容器の無菌状態が維持され、言い換えると、ブロー成形ターレット２２によって容器を無菌ブロー成形した後から充填部６１において容器内に内容物を無菌充填するまでの全区間において容器の無菌状態が維持され、本実施形態では、上記全区間をチャンバーによって覆うことによって、当該区間において容器の無菌状態を維持している。
【0041】
次に、本実施形態の無菌成形方法に含まれる殺菌処理について、以下に説明する。
【0042】
まず、本実施形態における殺菌処理は、詳しくは上述したように、無菌ブロー成形によって容器を成形する前のプリフォーム段階でのプリフォーム殺菌処理のみで容器の殺菌を完了させるものである。
【0043】
以下に、まず、液体成分を含む殺菌流体（例えば、ミスト状の殺菌流体）を用いる場合における、プリフォームＰの殺菌方法（プリフォーム殺菌処理）について説明する。
【0044】
プリフォームＰの内表面の殺菌については、以下の通りである。
【0045】
まず、オーブン機構３０によるプリフォーム加熱によって、殺菌処理器５１によってプリフォームＰに対して殺菌流体を供給する時点で、プリフォームＰの胴部Ｐ１の内表面の表面温度が殺菌流体の沸点以上になるようにする。
また、プリフォームＰの口部Ｐ２の内表面については、殺菌処理器５１によってプリフォームＰに対して殺菌流体を供給する時点で、殺菌流体の沸点よりも低い温度になるようにする。
また、プリフォームＰの口部Ｐ２の内表面については、殺菌処理器５１によってプリフォームＰに対して殺菌流体を供給する時点で、殺菌流体の沸点よりも低い温度になるようにする。
【0046】
ここで、殺菌流体の沸点は、プリフォームＰに対して殺菌流体が供給される環境（本実施形態では、移送エリアＡ２）における気圧を考慮した、殺菌流体の気化（蒸発）が生じる温度のことである。
なお、本実施形態における、殺菌流体が供給される環境（本実施形態では、移送エリアＡ２）の気圧は、上述したように無菌エアーが供給されることで陽圧に保たれている（大気圧よりも僅かに気圧が高い）ものの、沸点（および後述する露点温度）を決定する観点からすると大気圧にほぼ等しい。
なお、本実施形態における、殺菌流体が供給される環境（本実施形態では、移送エリアＡ２）の気圧は、上述したように無菌エアーが供給されることで陽圧に保たれている（大気圧よりも僅かに気圧が高い）ものの、沸点（および後述する露点温度）を決定する観点からすると大気圧にほぼ等しい。
【0047】
次に、上述したように胴部Ｐ１および口部Ｐ２の表面温度を設定した状態で、液体成分を含む殺菌流体を少なくとも口部Ｐ２の内表面に供給し、口部Ｐ２の内表面に供給された殺菌流体の液体成分の少なくとも一部をプリフォームＰの内表面伝いに胴部Ｐ１の内表面に供給し、胴部Ｐ１の内表面に供給された殺菌流体の液体成分を胴部Ｐ１の内表面との接触によって加熱して気化させて、口部Ｐ２および胴部Ｐ１の内表面を殺菌する。
【0048】
具体的に説明すると、まず、液体成分を含む殺菌流体を口部Ｐ２の内表面に供給して、口部Ｐ２の内表面に殺菌流体の液体成分が付着した状態にし、これにより、当該殺菌流体の液体成分によって口部Ｐ２の内表面を殺菌（ウェット殺菌）する。
【0049】
また、この際、口部Ｐ２の内表面に供給された殺菌流体の液体成分の少なくとも一部をプリフォームＰの内表面伝いに重力（および、噴出された殺菌流体自体の勢い）によって胴部Ｐ１の内表面に移動させて（すなわち、殺菌流体の液体成分の少なくとも一部をプリフォームＰの内表面伝いに垂らして胴部Ｐ１の内表面に移動させて）、当該殺菌流体の液体成分を胴部Ｐ１の内表面において気化させ、これにより、当該気化した殺菌流体の蒸気成分によって胴部Ｐ１の内表面を殺菌（ドライ殺菌）する。この際、上記に加えて、液体成分を含む殺菌流体の一部が直接胴部Ｐ１の内表面に接触して気化され、当該気化した殺菌流体の蒸気成分によって胴部Ｐ１の内表面を殺菌（ドライ殺菌）してもよい。
【0050】
そして、本実施形態のプリフォーム殺菌処理では、少なくとも殺菌流体供給直後において（もしくは、無菌ブロー成形開始時において）口部Ｐ２の内表面に殺菌流体の液体成分が付着した状態になるとともに、上述したように胴部Ｐ１の内表面との接触によって殺菌流体の液体成分を加熱して気化させ、無菌ブロー成形開始時において胴部Ｐ１の内表面に殺菌流体の液体成分が付着していない状態になるようにしている。
このようにすることにより、液体状の殺菌流体によって口部Ｐ２の内表面を殺菌（ウェット殺菌）することで殺菌時間の短縮を図りつつ、無菌ブロー成形開始時において胴部Ｐ１の内表面に殺菌流体の液体成分が付着していない状態とすることで、胴部Ｐ１の内表面に殺菌流体の液体成分が付着することに起因してプリフォームＰの胴部Ｐ１に成形不良が生じることを防止できる。
このようにすることにより、液体状の殺菌流体によって口部Ｐ２の内表面を殺菌（ウェット殺菌）することで殺菌時間の短縮を図りつつ、無菌ブロー成形開始時において胴部Ｐ１の内表面に殺菌流体の液体成分が付着していない状態とすることで、胴部Ｐ１の内表面に殺菌流体の液体成分が付着することに起因してプリフォームＰの胴部Ｐ１に成形不良が生じることを防止できる。
【0051】
また、プリフォーム殺菌処理中またはプリフォーム殺菌処理後では、殺菌流体供給後であって無菌ブロー成形開始時までに口部Ｐ２の内表面に、例えば常温エアやホットエアを吹き付ける等の乾燥処理を施すことで、口部Ｐ２の内表面に殺菌流体の液体成分が付着していない状態になるようにしてもよい。
このようにすることにより、無菌ブロー成形時に口部Ｐ２の内表面に殺菌流体の液体成分（液滴）が残っている場合に、成形後の口部Ｐ２の内表面に形成されることのある液滴跡が発生することを回避できる。
このようにすることにより、無菌ブロー成形時に口部Ｐ２の内表面に殺菌流体の液体成分（液滴）が残っている場合に、成形後の口部Ｐ２の内表面に形成されることのある液滴跡が発生することを回避できる。
【0052】
次に、液体成分を含む殺菌流体（例えば、ミスト状の殺菌流体）を用いる場合における、プリフォームＰの外表面の殺菌については、以下の通りである。
【0053】
まず、オーブン機構３０によるプリフォーム加熱によって、殺菌処理器５２によってプリフォームＰに対して殺菌流体を供給する時点で、プリフォームＰの胴部Ｐ１の外表面の表面温度が殺菌流体の沸点以上になるようにする。
また、プリフォームＰの口部Ｐ２の外表面については、殺菌処理器５２によってプリフォームＰに対して殺菌流体を供給する時点で、殺菌流体の沸点よりも低い温度になるようにする。
また、プリフォームＰの口部Ｐ２の外表面については、殺菌処理器５２によってプリフォームＰに対して殺菌流体を供給する時点で、殺菌流体の沸点よりも低い温度になるようにする。
【0054】
次に、上述したように胴部Ｐ１および口部Ｐ２の表面温度を設定した状態で、液体成分を含む殺菌流体を少なくとも口部Ｐ２の外表面に供給して、口部Ｐ２の外表面に供給された殺菌流体の液体成分の少なくとも一部をプリフォームＰの外表面伝いに胴部Ｐ１の外表面に供給し、胴部Ｐ１の外表面に供給された殺菌流体の液体成分を胴部Ｐ１の外表面との接触によって加熱して気化させて、口部Ｐ２および胴部Ｐ１の外表面を殺菌する。
【0055】
具体的に説明すると、まず、液体成分を含む殺菌流体を口部Ｐ２の外表面に供給することで、口部Ｐ２の外表面に殺菌流体の液体成分が付着した状態にし、これにより、当該殺菌流体の液体成分によって口部Ｐ２の外表面を殺菌（ウェット殺菌）する。
【0056】
また、この際、口部Ｐ２の外表面に供給された殺菌流体の液体成分の少なくとも一部をプリフォームＰの外表面伝いに重力（および、噴出された殺菌流体自体の勢い）によって胴部Ｐ１の外表面に移動させて（すなわち、殺菌流体の液体成分の少なくとも一部をプリフォームＰの外表面伝いに垂らして胴部Ｐ１の外表面に移動させて）、当該殺菌流体の液体成分を胴部Ｐ１の外表面において気化させ、これにより、当該気化した殺菌流体の蒸気成分によって胴部Ｐ１の外表面を殺菌（ドライ殺菌）する。この際、上記に加えて、液体成分を含む殺菌流体の一部が直接胴部Ｐ１の外表面に接触して気化され、当該気化した殺菌流体の蒸気成分によって胴部Ｐ１の外表面を殺菌（ドライ殺菌）してもよい。
【0057】
そして、本実施形態のプリフォーム殺菌処理では、少なくとも殺菌流体供給直後において（もしくは、無菌ブロー成形開始時において）口部Ｐ２の外表面に殺菌流体の液体成分が付着した状態になるとともに、上述したように胴部Ｐ１の外表面との接触によって殺菌流体の液体成分を加熱して気化させ、無菌ブロー成形開始時において胴部Ｐ１の外表面に殺菌流体の液体成分が付着していない状態になるようにしている。
このようにすることにより、液体状の殺菌流体によって口部Ｐ２の外表面を殺菌（ウェット殺菌）することで殺菌時間の短縮を図りつつ、無菌ブロー成形開始時において胴部Ｐ１の外表面に殺菌流体の液体成分が付着していない状態とすることで、胴部Ｐ１の外表面に殺菌流体の液体成分が付着することに起因してプリフォームＰの胴部Ｐ１に成形不良が生じることを防止できる。
このようにすることにより、液体状の殺菌流体によって口部Ｐ２の外表面を殺菌（ウェット殺菌）することで殺菌時間の短縮を図りつつ、無菌ブロー成形開始時において胴部Ｐ１の外表面に殺菌流体の液体成分が付着していない状態とすることで、胴部Ｐ１の外表面に殺菌流体の液体成分が付着することに起因してプリフォームＰの胴部Ｐ１に成形不良が生じることを防止できる。
【0058】
また、プリフォーム殺菌処理中またはプリフォーム殺菌処理後では、殺菌流体供給後であって無菌ブロー成形開始時までに口部Ｐ２の外表面に、例えばホットエアを吹き付ける等の乾燥処理を施すことで、口部Ｐ２の外表面に殺菌流体の液体成分が付着していない状態になるようにしてもよい。
このようにすることにより、無菌ブロー成形時に口部Ｐ２の外表面に殺菌流体の液体成分（液滴）が残っている場合に、成形後の口部Ｐ２の外表面に形成されることのある液滴跡が発生することを回避できる。
このようにすることにより、無菌ブロー成形時に口部Ｐ２の外表面に殺菌流体の液体成分（液滴）が残っている場合に、成形後の口部Ｐ２の外表面に形成されることのある液滴跡が発生することを回避できる。
【0059】
次に、蒸気成分を含む殺菌流体（例えば、ガス状の殺菌流体）を用いる場合における、プリフォームＰの殺菌方法（プリフォーム殺菌処理）について説明する。
【0060】
プリフォームＰの内表面の殺菌については、以下の通りである。
【0061】
まず、オーブン機構３０によるプリフォーム加熱によって、殺菌処理器５１によってプリフォームＰに対して殺菌流体を供給する時点で、プリフォームＰの胴部Ｐ１の内表面の表面温度が殺菌流体の沸点以上になるようにする。
また、プリフォームＰの口部Ｐ２の内表面については、殺菌処理器５１によってプリフォームＰに対して殺菌流体を供給する時点で、殺菌流体の露点温度以下の温度になるようにする。
また、プリフォームＰの口部Ｐ２の内表面については、殺菌処理器５１によってプリフォームＰに対して殺菌流体を供給する時点で、殺菌流体の露点温度以下の温度になるようにする。
【0062】
ここで、殺菌流体の露点温度は、プリフォームＰに対して殺菌流体が供給される環境における気圧を考慮した、殺菌流体の液化（凝縮）が生じる温度のことである。
【0063】
次に、上述したように胴部Ｐ１および口部Ｐ２の表面温度を設定した状態で、蒸気成分を含む殺菌流体を少なくとも口部Ｐ２の内表面に供給して、口部Ｐ２の内表面との接触によって殺菌流体の蒸気成分の少なくとも一部を冷やして液化させ、液化した殺菌流体の液体成分の少なくとも一部をプリフォームＰの内表面伝いに胴部Ｐ１の内表面に供給し、胴部Ｐ１の内表面との接触によって殺菌流体の液体成分を加熱して気化させて、口部Ｐ２および胴部Ｐ１の内表面を殺菌する。
【0064】
具体的に説明すると、まず、蒸気成分を含む殺菌流体を口部Ｐ２の内表面に供給することで、口部Ｐ２の内表面に供給された殺菌流体の蒸気成分の少なくとも一部を口部Ｐ２の内表面において液化させて、口部Ｐ２の内表面に殺菌流体の液体成分が付着した状態にし、これにより、当該殺菌流体の液体成分によって口部Ｐ２の内表面を殺菌（ウェット殺菌）する。
【0065】
また、この際、口部Ｐ２の内表面に供給された殺菌流体の液体成分の少なくとも一部をプリフォームＰの内表面伝いに重力（および、噴出された殺菌流体自体の勢い）によって胴部Ｐ１の内表面に移動させて（すなわち、殺菌流体の液体成分の少なくとも一部をプリフォームＰの内表面伝いに垂らして胴部Ｐ１の内表面に移動させて）、当該殺菌流体の液体成分を胴部Ｐ１の内表面において気化させ、これにより、当該気化した殺菌流体の蒸気成分によって胴部Ｐ１の内表面を殺菌（ドライ殺菌）する。この際、上記に加えて、蒸気成分を含む殺菌流体の一部が直接胴部Ｐ１の内表面に接触して、当該殺菌流体の蒸気成分によって胴部Ｐ１の内表面を殺菌（ドライ殺菌）してもよい。
【0066】
そして、本実施形態のプリフォーム殺菌処理では、少なくとも殺菌流体供給直後において（もしくは、無菌ブロー成形開始時において）口部Ｐ２の内表面に殺菌流体の液体成分が付着した状態になるとともに、上述したように胴部Ｐ１の内表面との接触によって殺菌流体の液体成分を加熱して気化させ、無菌ブロー成形開始時において胴部Ｐ１の内表面に殺菌流体の液体成分が付着していない状態になるようにしている。
【0067】
また、プリフォーム殺菌処理中またはプリフォーム殺菌処理後では、殺菌流体供給後であって無菌ブロー成形開始時までに口部Ｐ２の内表面に、例えばホットエアを吹き付ける等の乾燥処理を施すことで、口部Ｐ２の内表面に殺菌流体の液体成分が付着していない状態になるようにしてもよい。
このようにすることにより、無菌ブロー成形時に口部Ｐ２の内表面に殺菌流体の液体成分（液滴）が残っている場合に、成形後の口部Ｐ２の内表面に形成されることのある液滴跡が発生することを回避できる。
このようにすることにより、無菌ブロー成形時に口部Ｐ２の内表面に殺菌流体の液体成分（液滴）が残っている場合に、成形後の口部Ｐ２の内表面に形成されることのある液滴跡が発生することを回避できる。
【0068】
次に、蒸気成分を含む殺菌流体（例えば、ガス状の殺菌流体）を用いる場合における、プリフォームＰの外表面の殺菌については、以下の通りである。
【0069】
まず、オーブン機構３０によるプリフォーム加熱によって、殺菌処理器５２によってプリフォームＰに対して殺菌流体を供給する時点で、プリフォームＰの胴部Ｐ１の外表面の表面温度が殺菌流体の沸点以上になるようにする。
また、プリフォームＰの口部Ｐ２の外表面については、殺菌処理器５２によってプリフォームＰに対して殺菌流体を供給する時点で、露点温度以下の温度になるようにする。
また、プリフォームＰの口部Ｐ２の外表面については、殺菌処理器５２によってプリフォームＰに対して殺菌流体を供給する時点で、露点温度以下の温度になるようにする。
【0070】
次に、上述したように胴部Ｐ１および口部Ｐ２の表面温度を設定した状態で、蒸気成分を含む殺菌流体を少なくとも口部Ｐ２の外表面に供給して、口部Ｐ２の外表面との接触によって殺菌流体の蒸気成分の少なくとも一部を冷やして液化させ、液化した殺菌流体の液体成分の少なくとも一部をプリフォームＰの外表面伝いに胴部Ｐ１の外表面に供給し、胴部Ｐ１の外表面との接触によって殺菌流体の液体成分を加熱して気化させて、口部Ｐ２および胴部Ｐ１の外表面を殺菌する。
【0071】
具体的に説明すると、まず、蒸気成分を含む殺菌流体を口部Ｐ２の外表面に供給することで、口部Ｐ２の外表面に供給された殺菌流体の蒸気成分の少なくとも一部を口部Ｐ２の外表面において液化させて、口部Ｐ２の外表面に殺菌流体の液体成分が付着した状態にし、これにより、当該殺菌流体の液体成分によって口部Ｐ２の外表面を殺菌（ウェット殺菌）する。
【0072】
また、この際、口部Ｐ２の外表面に供給された殺菌流体の液体成分の少なくとも一部をプリフォームＰの外表面伝いに重力（および、噴出された殺菌流体自体の勢い）によって胴部Ｐ１の外表面に移動させて（すなわち、殺菌流体の液体成分の少なくとも一部をプリフォームＰの外表面伝いに垂らして胴部Ｐ１の外表面に移動させて）、当該殺菌流体の液体成分を胴部Ｐ１の外表面において気化させ、これにより、当該気化した殺菌流体の蒸気成分によって胴部Ｐ１の外表面を殺菌（ドライ殺菌）する。この際、上記に加えて、蒸気成分を含む殺菌流体の一部が直接胴部Ｐ１の外表面に接触して、当該殺菌流体の蒸気成分によって胴部Ｐ１の内表面を殺菌（ドライ殺菌）してもよい。
【0073】
そして、本実施形態のプリフォーム殺菌処理では、少なくとも殺菌流体供給直後において（もしくは、無菌ブロー成形開始時において）口部Ｐ２の外表面に殺菌流体の液体成分が付着した状態になるとともに、上述したように胴部Ｐ１の外表面との接触によって殺菌流体の液体成分を加熱して気化させ、無菌ブロー成形開始時において胴部Ｐ１の外表面に殺菌流体の液体成分が付着していない状態になるようにしている。
【0074】
また、プリフォーム殺菌処理中またはプリフォーム殺菌処理後では、殺菌流体供給後であって無菌ブロー成形開始時までに口部Ｐ２の外表面に、例えばホットエアを吹き付ける等の乾燥処理を施すことで、口部Ｐ２の外表面に殺菌流体の液体成分が付着していない状態になるようにしてもよい。
このようにすることにより、無菌ブロー成形時に口部Ｐ２の外表面に殺菌流体の液体成分（液滴）が残っている場合に、成形後の口部Ｐ２の外表面に形成されることのある液滴跡が発生することを回避できる。
このようにすることにより、無菌ブロー成形時に口部Ｐ２の外表面に殺菌流体の液体成分（液滴）が残っている場合に、成形後の口部Ｐ２の外表面に形成されることのある液滴跡が発生することを回避できる。
【0075】
なお、上述した液体成分を含む殺菌流体を用いる場合および蒸気成分を含む殺菌流体を用いる場合に共通して、殺菌流体として、過酸化水素（過酸化水素水溶液）、過酢酸（過酢酸水溶液）、等を用いることが考えられ、また、殺菌対象がカビのみの場合には、水（温水、水蒸気）等を用いることも考えられる。
【0076】
また、上述した液体成分を含む殺菌流体を用いる場合および蒸気成分を含む殺菌流体を用いる場合に共通して、上述した殺菌流体の各挙動は、上述したプリフォームＰの各部（胴部Ｐ１、口部Ｐ２）の表面温度の設定に加えて、プリフォームＰのサイズ、殺菌流体の供給量、温度、殺菌流体を供給する環境の気圧、殺菌流体供給時から無菌ブロー成形開始時までの時間（すなわち、殺菌流体供給の位置から無菌ブロー成形開始の位置までの距離、および、プリフォームＰの搬送速度）等を設定することで実現できる。
【0077】
また、上述した液体成分を含む殺菌流体を用いる場合および蒸気成分を含む殺菌流体を用いる場合に共通して、殺菌処理器５１、５２の噴出ノズル５１ａ、５２ａから噴出する時の（プリフォームＰの表面に到達した時の）殺菌流体の温度は、当該殺菌流体を供給する口部Ｐ２の内表面（または外表面）の表面温度よりも高く設定するのが好ましく、また、更に具体的には、口部Ｐ２の内表面（または外表面）に付着している殺菌流体の温度が５５℃以上、より好ましくは６５℃以上になるように、殺菌処理器５１の噴出ノズル５１ａから噴出する時の殺菌流体の温度を設定して口部Ｐ２の内表面（または外表面）に供給することが好ましい。前記内表面（または外表面）に付着している殺菌流体の温度とはプリフォームＰの表面に熱電対を張り付けて測定した温度である。
加熱された殺菌媒体は、液体状の殺菌媒体を加熱して、蒸気化またはミスト化して作製しても良く、または、常温の殺菌媒体に高温のエアを混合して、蒸気化またはミスト化して作成しても良い。
または、液体成分を含む殺菌流体を用いる場合、常温の殺菌流体を口部Ｐ２の内表面（または外表面）に噴射し、その後、口部Ｐ２の内表面（または外表面）にホットエア等の供給やヒーター加熱等の加熱処理を施して、口部Ｐ２の内表面（または外表面）に付着した殺菌流体の温度が５５℃以上、より好ましくは６５℃以上になるようにしても良い。
このように殺菌流体の温度を設定することで、口部Ｐ２の表面について高い殺菌効果を得ることができる。
加熱された殺菌媒体は、液体状の殺菌媒体を加熱して、蒸気化またはミスト化して作製しても良く、または、常温の殺菌媒体に高温のエアを混合して、蒸気化またはミスト化して作成しても良い。
または、液体成分を含む殺菌流体を用いる場合、常温の殺菌流体を口部Ｐ２の内表面（または外表面）に噴射し、その後、口部Ｐ２の内表面（または外表面）にホットエア等の供給やヒーター加熱等の加熱処理を施して、口部Ｐ２の内表面（または外表面）に付着した殺菌流体の温度が５５℃以上、より好ましくは６５℃以上になるようにしても良い。
このように殺菌流体の温度を設定することで、口部Ｐ２の表面について高い殺菌効果を得ることができる。
【0078】
また、上述した液体成分を含む殺菌流体を用いる場合および蒸気成分を含む殺菌流体を用いる場合に共通して、殺菌流体として過酸化水素または過酢酸または水を用いる場合、殺菌流体の噴出量は、１０μｌ以上かつ１０００μｌ以下に設定するのが好ましく、また、５０μｌ以上かつ２２５μｌ以下に設定するのが更に好ましい。
【0079】
また、上述した液体成分を含む殺菌流体を用いる場合および蒸気成分を含む殺菌流体を用いる場合に共通して、殺菌流体として過酢酸（すなわち、過酢酸水溶液）を用いる場合、過酢酸の濃度が０．２５ｗｔ％（言い換えると、過酢酸水溶液内に含まれる過酢酸の濃度が０．２５ｗｔ％）以上、かつ、上述したように過酢酸の温度（プリフォームＰの表面に付着した後の温度）が５５℃以上、より好ましくは６５℃以上（かつ９０℃以下）であるのが好ましい。
【0080】
次に、プリフォームＰの表面温度、殺菌流体の濃度および温度と、殺菌効果との関係を確認するために行った試験について、図４に基づいて説明する。
【0081】
本試験では、まず、プリフォームＰの胴部Ｐ１の内表面および口部Ｐ２の内表面における１０カ所の測定ポイントのそれぞれに、芽胞菌（Ｂ．ａｔｒｏｐｈａｅｕｓ胞子）を５．８×１０２ｃｆｕ付着させた後、クリーンルーム内で乾燥させることで、植菌したプリフォームＰを用意した。
【0082】
次に、実施例１として、まず、３０本の上記条件の植菌したプリフォームＰについて、プリフォームＰの胴部Ｐ１の内表面の表面温度が１１７℃程度、プリフォームＰの口部Ｐ２の内表面の表面温度が４５℃程度になるように（すなわち、プリフォームＰの口部Ｐ２の昇温を避けつつ、プリフォームＰの胴部Ｐ１を昇温させるように）、赤外線ヒーターによる昇温処理を（１５秒間）施した。
その後、様々な過酢酸濃度（０ｗｔ％、０．１０ｗｔ％、０．２５ｗｔ％、０．５０ｗｔ％、１．００ｗｔ％、２．００ｗｔ％）、かつ、２２℃（加熱していない常温）の過酢酸（すなわち、過酢酸水溶液）のミストを図２（ｄ）のようにプリフォームＰの口部Ｐ２の内表面に供給（噴霧）して殺菌処理を行い、その後、無菌環境でプリフォームＰを冷却させ、胴部Ｐ１および口部Ｐ２の内表面における生残菌数を以下の定法で計測した。
すなわち、プリフォームに、滅菌済みの界面活性剤水溶液と滅菌済みのビーズを入れた後、滅菌済みのキャップでプリフォームを密封し、当該プリフォームを振ることで当該界面活性剤水溶液中に生残した菌を抽出し、滅菌希釈液に懸濁し、希釈倍率毎に標準寒天培地上でメンブランフィルター法にて菌数計測した。培地培養条件は３５℃で１週間保管し、希釈倍率に応じて出現したコロニー数を計測することで生残菌数とした。
なお、口部Ｐ２の内表面に計１００μｌの過酢酸を直接的に吹き付けることで、口部Ｐ２の内表面に対する過酢酸の供給を行った。
また、噴出した過酢酸の一部がプリフォームＰの胴部Ｐ１の内表面にも供給される（付着する）ように、ミスト状の過酢酸を噴出するようにした。
その後、様々な過酢酸濃度（０ｗｔ％、０．１０ｗｔ％、０．２５ｗｔ％、０．５０ｗｔ％、１．００ｗｔ％、２．００ｗｔ％）、かつ、２２℃（加熱していない常温）の過酢酸（すなわち、過酢酸水溶液）のミストを図２（ｄ）のようにプリフォームＰの口部Ｐ２の内表面に供給（噴霧）して殺菌処理を行い、その後、無菌環境でプリフォームＰを冷却させ、胴部Ｐ１および口部Ｐ２の内表面における生残菌数を以下の定法で計測した。
すなわち、プリフォームに、滅菌済みの界面活性剤水溶液と滅菌済みのビーズを入れた後、滅菌済みのキャップでプリフォームを密封し、当該プリフォームを振ることで当該界面活性剤水溶液中に生残した菌を抽出し、滅菌希釈液に懸濁し、希釈倍率毎に標準寒天培地上でメンブランフィルター法にて菌数計測した。培地培養条件は３５℃で１週間保管し、希釈倍率に応じて出現したコロニー数を計測することで生残菌数とした。
なお、口部Ｐ２の内表面に計１００μｌの過酢酸を直接的に吹き付けることで、口部Ｐ２の内表面に対する過酢酸の供給を行った。
また、噴出した過酢酸の一部がプリフォームＰの胴部Ｐ１の内表面にも供給される（付着する）ように、ミスト状の過酢酸を噴出するようにした。
【0083】
また、実施例２では、実施例１とは温度条件を変えた過酢酸を用いて試験を行った。
具体的には、実施例２では、プリフォームＰの口部Ｐ２の表面に付着した殺菌流体の温度が５５℃になるように、過酢酸のミストをプリフォームＰの口部Ｐ２の内表面に供給した。
実施例２の実験条件は、殺菌時に実施例１とは異なる温度の過酢酸をプリフォームＰに供給する点を除いて、実施例１と全く同じである。
具体的には、実施例２では、プリフォームＰの口部Ｐ２の表面に付着した殺菌流体の温度が５５℃になるように、過酢酸のミストをプリフォームＰの口部Ｐ２の内表面に供給した。
実施例２の実験条件は、殺菌時に実施例１とは異なる温度の過酢酸をプリフォームＰに供給する点を除いて、実施例１と全く同じである。
【0084】
実施例３では、口部Ｐ２の内表面に殺菌流体（過酢酸）を供給した後に、口部Ｐ２の内表面に加熱処理を施した。
具体的には、実施例３では、２２℃（常温）の過酢酸のミストをプリフォームＰの内表面に供給した後に、口部Ｐ２の内表面に、リフォームＰの口部Ｐ２の表面に付着した殺菌流体の温度が５５℃になるように、１２０℃のホットエアを供給することで加熱処理を施した。
実施例３の実験条件は、殺菌時にホットエアによる加熱を行った点を除いて、実施例１と全く同じである。
具体的には、実施例３では、２２℃（常温）の過酢酸のミストをプリフォームＰの内表面に供給した後に、口部Ｐ２の内表面に、リフォームＰの口部Ｐ２の表面に付着した殺菌流体の温度が５５℃になるように、１２０℃のホットエアを供給することで加熱処理を施した。
実施例３の実験条件は、殺菌時にホットエアによる加熱を行った点を除いて、実施例１と全く同じである。
【0085】
また、比較例として、過酢酸の供給を行うことなく、プリフォームＰに対して昇温処理のみを施して試験を行った。比較例の実験条件は、過酢酸の供給の有無を除いて、実施例１と全く同じである。
【0086】
上記の試験の結果から、過酢酸の濃度が０．２５ｗｔ％以上であり、かつ、過酢酸の温度が５５℃（以上）である場合（すなわち、プリフォームＰの表面に付着した過酢酸の温度が５５℃以上である場合）、胴部Ｐ１の内表面および口部Ｐ２の内表面のいずれにおいても良好な殺菌効果（５Ｄ以上の殺菌効果）を得ることができることが分かった。
【0087】
また、上記の試験の結果から、プリフォームＰの口部Ｐ２の内表面に付着した過酢酸の温度が２２℃（常温）である場合であっても、過酢酸の濃度が０．５０ｗｔ％以上である場合に、胴部Ｐ１の内表面および口部Ｐ２の内表面のいずれにおいても良好な殺菌効果（５Ｄ以上の殺菌効果）を得ることができることが分かった。
【0088】
このようにして得られた本実施形態では、物理的な制約等によってプリフォームＰの胴部Ｐ１の内表面に直接的に殺菌流体を供給することが難しい場合であっても、胴部Ｐ１の内表面よりも殺菌流体を供給し易いプリフォームＰの口部Ｐ２の内表面に殺菌流体を供給することで、殺菌流体をプリフォームＰの内表面伝いに胴部Ｐ１の内表面に供給して気化させることが可能であるため、プリフォームＰの内部で気化させた殺菌流体によってプリフォームＰの内表面を効率的に殺菌することができ、必要とされる殺菌流体の使用量を低減することができる。
【0089】
また、同様に、物理的な制約等によってプリフォームＰの胴部Ｐ１の外表面に直接的に殺菌流体を供給することが難しい場合であっても、プリフォームＰの口部Ｐ２の外表面に殺菌流体を供給することで、殺菌流体をプリフォームＰの外表面伝いに胴部Ｐ１の外表面に供給して気化させることが可能であるため、気化させた殺菌流体によってプリフォームＰの外表面を効率的に殺菌することができ、必要とされる殺菌流体の使用量を低減することができる。
【0090】
以上、本発明の実施形態を詳述したが、本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載された本発明を逸脱することなく種々の設計変更を行なうことが可能である。また、上述した実施形態や後述する変形例の各構成を、任意に組み合わせて無菌充填システム１０（無菌成形装置２０）を構成しても何ら構わない。
【0091】
例えば、殺菌処理機構５０（による殺菌処理）の具体的態様については、上記に限定されず、少なくともプリフォームＰの内表面の殺菌を殺菌流体供給により行うものであれば、如何なるものでもよく、例えば、オーブンエリアＡ１でプリフォーム加熱を行う前にも（すなわち、オーブンエリアＡ１よりも上流側のエリアにおいても）、任意の方法（プリフォームＰに対する、殺菌流体供給、ＵＶランプ（ＵＶ－ＬＥＤ含む）によるＵＶ光やキセノンランプによるキセノン光の照射、電子線の照射、等）でプリフォームＰの任意の箇所に殺菌を施してもよい。
具体的に説明すると、まず、プリフォームＰの内表面の殺菌については、上記の殺菌（オーブンエリアＡ１よりも下流側であってブロー成形ターレット２２よりも上流側のエリアにおける殺菌流体供給による殺菌）に加えて、任意のエリア（オーブンエリアＡ１よりも下流側のエリア、オーブンエリアＡ１よりも上流側のエリア、オーブンエリアＡ１内、等）において、任意の方法（プリフォームＰに対する、殺菌流体供給、ＵＶランプによるＵＶ光やキセノンランプによるキセノン光の照射、電子線の照射、等）で、任意の回数（１回または複数回）で、追加の殺菌を実施してもよい。
また、プリフォームＰの外表面の殺菌については、上記の実施形態で説明したものに替えてまたは加えて、任意のエリア（オーブンエリアＡ１よりも下流側のエリア、オーブンエリアＡ１よりも上流側のエリア、オーブンエリアＡ１内、等）において、任意の方法（プリフォームＰに対する、殺菌流体供給、ＵＶ光やキセノン光の照射、電子線の照射、等）で、任意の回数（１回または複数回）で、実施してもよい。
なお、ＵＶ光やキセノン光等の光照射による殺菌を採用した場合、光照射によって芽胞菌を殺菌することが可能であるため、無菌成形装置２０の使用範囲を緑茶や水以外の内容物にも広げることができるばかりでなく、光照射によって、カビや酵母菌についても殺菌することが可能であるため、これらカビや酵母菌の付着数を一定値以下に抑えるための殺菌剤の量等を低減することができ、その結果、成形される容器に殺菌剤が残留してしまうリスクを低減できる。
また、殺菌流体として、水（温水、水蒸気）を用いた場合には、成形される容器に殺菌剤が残留してしまうリスクを排除できる。
また、上述した以外の各種処理器を殺菌処理機構５０の構成要素として設置してもよく、例えば、プリフォームＰに付着した塵埃を除去する除塵器等を設置してもよい。
具体的に説明すると、まず、プリフォームＰの内表面の殺菌については、上記の殺菌（オーブンエリアＡ１よりも下流側であってブロー成形ターレット２２よりも上流側のエリアにおける殺菌流体供給による殺菌）に加えて、任意のエリア（オーブンエリアＡ１よりも下流側のエリア、オーブンエリアＡ１よりも上流側のエリア、オーブンエリアＡ１内、等）において、任意の方法（プリフォームＰに対する、殺菌流体供給、ＵＶランプによるＵＶ光やキセノンランプによるキセノン光の照射、電子線の照射、等）で、任意の回数（１回または複数回）で、追加の殺菌を実施してもよい。
また、プリフォームＰの外表面の殺菌については、上記の実施形態で説明したものに替えてまたは加えて、任意のエリア（オーブンエリアＡ１よりも下流側のエリア、オーブンエリアＡ１よりも上流側のエリア、オーブンエリアＡ１内、等）において、任意の方法（プリフォームＰに対する、殺菌流体供給、ＵＶ光やキセノン光の照射、電子線の照射、等）で、任意の回数（１回または複数回）で、実施してもよい。
なお、ＵＶ光やキセノン光等の光照射による殺菌を採用した場合、光照射によって芽胞菌を殺菌することが可能であるため、無菌成形装置２０の使用範囲を緑茶や水以外の内容物にも広げることができるばかりでなく、光照射によって、カビや酵母菌についても殺菌することが可能であるため、これらカビや酵母菌の付着数を一定値以下に抑えるための殺菌剤の量等を低減することができ、その結果、成形される容器に殺菌剤が残留してしまうリスクを低減できる。
また、殺菌流体として、水（温水、水蒸気）を用いた場合には、成形される容器に殺菌剤が残留してしまうリスクを排除できる。
また、上述した以外の各種処理器を殺菌処理機構５０の構成要素として設置してもよく、例えば、プリフォームＰに付着した塵埃を除去する除塵器等を設置してもよい。
【符号の説明】
【0092】
１０ ・・・ 無菌充填システム
２０ ・・・ 無菌成形装置
２１ ・・・ 入口部
２２ ・・・ ブロー成形ターレット
３０ ・・・ オーブン機構
３１ ・・・ オーブンチャンバー
３２ ・・・ 昇温ヒーター
４０ ・・・ プリフォーム搬送機構
４１ ・・・ 搬送機
４２ ・・・ ターレット
４２ａ ・・・ グリッパー
５０ ・・・ 殺菌処理機構
５１ ・・・ 殺菌処理器
５１ａ ・・・ 噴出ノズル
５２ ・・・ 殺菌処理器
５２ａ ・・・ 噴出ノズル
６０ ・・・ 充填装置
６１ ・・・ 充填部
６２ ・・・ キャッピング部
Ｐ ・・・ プリフォーム
Ｐ１ ・・・ プリフォームの胴部
Ｐ２ ・・・ プリフォームの口部
Ａ１ ・・・ オーブンエリア
Ａ２ ・・・ 移送エリア
Ａ３ ・・・ 成形エリア
２０ ・・・ 無菌成形装置
２１ ・・・ 入口部
２２ ・・・ ブロー成形ターレット
３０ ・・・ オーブン機構
３１ ・・・ オーブンチャンバー
３２ ・・・ 昇温ヒーター
４０ ・・・ プリフォーム搬送機構
４１ ・・・ 搬送機
４２ ・・・ ターレット
４２ａ ・・・ グリッパー
５０ ・・・ 殺菌処理機構
５１ ・・・ 殺菌処理器
５１ａ ・・・ 噴出ノズル
５２ ・・・ 殺菌処理器
５２ａ ・・・ 噴出ノズル
６０ ・・・ 充填装置
６１ ・・・ 充填部
６２ ・・・ キャッピング部
Ｐ ・・・ プリフォーム
Ｐ１ ・・・ プリフォームの胴部
Ｐ２ ・・・ プリフォームの口部
Ａ１ ・・・ オーブンエリア
Ａ２ ・・・ 移送エリア
Ａ３ ・・・ 成形エリア
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】