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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2025006113
(43)【公開日】2025-01-17
(54)【発明の名称】電力供給装置
(51)【国際特許分類】
   H02J 1/00 20060101AFI20250109BHJP
   H02J 3/04 20060101ALI20250109BHJP
【FI】
H02J1/00 304E
H02J3/04
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023106707
(22)【出願日】2023-06-29
(71)【出願人】
【識別番号】000004606
【氏名又は名称】ニチコン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001841
【氏名又は名称】弁理士法人ATEN
(72)【発明者】
【氏名】倉田 和磨
【テーマコード(参考)】
5G066
5G165
【Fターム(参考)】
5G066AE11
5G066CA06
5G165DA02
5G165EA07
5G165GA09
5G165LA03
(57)【要約】
【課題】電力供給経路に異常があった場合でも正常に外部へ電力供給することが可能な電力供給装置を提供する。
【解決手段】電力供給装置1は、商用電源20a・20bからの電力供給を受ける主ブレーカ10a・10b、各々が主ブレーカ10a・10bと接続される複数のAC/DC変換器11a~11dと、主ブレーカ10a・10bとAC/DC変換器11a~11dとの接続経路15a~15hのそれぞれに設けられ、各AC/DC変換器11a~11dへの電力供給のON/OFFを切り替える切替用ブレーカ12a~12hと、AC/DC変換器11a~11dから出力される電力の外部への供給を制御する出力制御部13と、を有している。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
電源からの電力供給を受ける複数の入力部と、
各々が、前記複数の入力部のうちの少なくとも2つ以上の入力部と接続可能とされる複数の電力変換器と、
前記複数の入力部と前記複数の電力変換器との接続経路にそれぞれ設けられ、各電力変換器への電力供給のON/OFFを切り替える複数の切替部と、
前記複数の電力変換器から出力される電力の外部への供給を制御する出力制御部と、
を有していることを特徴とする電力供給装置。
【請求項2】
前記複数の入力部は、それぞれ異なる電源からの電力供給を受けることを特徴とする請求項1に記載の電力供給装置。
【請求項3】
前記電源のいずれかからの電力供給が停止した場合、電力供給を停止した電源と接続される接続経路の前記切替部をOFFに制御する切替制御部をさらに有していることを特徴とする請求項2に記載の電力供給装置。
【請求項4】
前記複数の電力変換器の各々は、前記複数の入力部のすべてと接続可能とされることを特徴とする請求項1に記載の電力供給装置。
【請求項5】
前記複数の電力変換器から出力される電力を外部へ供給する複数の出力部を有していることを特徴とする請求項1に記載の電力供給装置。
【請求項6】
前記出力制御部は、前記複数の電力変換器から出力される電力について、前記複数の出力部のいずれへ供給するかを切り替え可能となっていることを特徴とする請求項5に記載の電力供給装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電力供給装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、電力供給装置として、例えば、ショッピングセンター、レストランおよびコンビニエンスストア等の駐車場に設置された、電気自動車用のスタンド型の充電装置などがある。
【0003】
例えば、特許文献1では、AC/DC変換部を介して1つの電源(商用電源)に接続された複数の電力供給ユニットから、複数の充電口のいずれかに供給するように、出力先を切り替える制御を行う充電装置が開示されている。このように、電源からの電力をAC/DC変換部により直流電力に変換してから当該直流電力に基づいて所定の直流電圧に変換するDC/DCコンバータ等を備えた電力供給ユニットを複数設けることが一般的である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2022-037286号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1では、例えば、電源から各電力供給ユニットへの電力供給経路は1つに限定されており、当該経路およびAC/DC変換部において何らかの異常があった場合には、たとえ後段のすべての電力供給ユニットに異常がなかったとしても出力先(充電口)への電力供給ができないという問題があった。
【0006】
特に、電気自動車用に用いられるスタンド型の急速充電装置の場合には、使用する電流の値が大きいため、例えばリレーの接点の溶着等、上記経路における異常が通常よりも生じやすいという事情あり、今後益々の需要が高まる電気自動車の交通インフラとしての側面からも充電装置の充電機能をなるべく維持させることの要求が高まってきている。
【0007】
そこで、本発明の目的は、電力供給経路に異常があった場合でも正常に外部へ電力供給することが可能な電力供給装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の電力供給装置は、
電源からの電力供給を受ける複数の入力部と、
各々が、前記複数の入力部のうちの少なくとも2つ以上の入力部と接続可能とされる複数の電力変換器と、
前記複数の入力部と前記複数の電力変換器との接続経路にそれぞれ設けられ、各電力変換器への電力供給のON/OFFを切り替える複数の切替部と、
前記複数の電力変換器から出力される電力の外部への供給を制御する出力制御部と、
を有していることを特徴とする。
【0009】
上記構成によれば、各電力変換器は2以上の入力部と接続可能とされており、それぞれの電力変換器に対していずれの入力部からの電力が供給されるのかを切替部によって選択可能となっている。これにより、1つの入力部からの接続経路や、この接続経路における切替部に異常が生じた場合であっても、電力変換器は他の接続経路および当該接続経路における切替器を介して、異なる入力部からの電力供給を受けることができる。その結果、複数の電力変換器からの出力電力を制御して正常に外部へ電力を供給することができる。
【0010】
また、本発明の電力供給装置において、前記複数の入力部は、それぞれ異なる電源からの電力供給を受けてもよい。
【0011】
また、本発明の電力供給装置において、前記電源のいずれかからの電力供給が停止した場合、電力供給を停止した電源と接続される接続経路の前記切替部をOFFに制御する切替制御部をさらに有していてもよい。
【0012】
また、本発明の電力供給装置において、前記複数の電力変換器の各々は、前記複数の入力部のすべてと接続可能とされてもよい。
【0013】
また、本発明の電力供給装置において、前記複数の電力変換器から出力される電力を外部へ供給する複数の出力部を有していてもよい。
【0014】
また、本発明の電力供給装置において、前記出力制御部は、前記複数の電力変換器から出力される電力について、前記複数の出力部のいずれへ供給するかを切り替え可能となっていてもよい。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、電力供給経路に異常があった場合でも正常に外部へ電力供給することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
図1】本発明が適用される第1実施形態の電力供給装置1のブロック図である。
図2】本発明が適用される第2実施形態の電力供給装置201のブロック図である。
図3図2に示す電力供給装置201における出力制御部213のブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
[第1実施形態]
以下、添付図面を参照しながら、本発明に係る第1実施形態の電力供給装置について説明する。
【0018】
第1実施形態に係る電力供給装置1は、図1に示すように、複数の入力部としての主ブレーカ10と、複数の電力変換器としてのAC/DC変換器11と、複数の切替部としての切替用ブレーカ12と、出力制御部13と、充電口30と、切替制御部40と、を有している。なお、第1実施形態の電力供給装置1は、電気自動車用に用いられるスタンド型の急速充電装置であるが、これに限定されない。
【0019】
(入力部:主ブレーカ10)
複数の主ブレーカ10(主ブレーカ10a・10b)の各々は、電源からの電力供給を受けるように構成されている。複数の主ブレーカ10のそれぞれは、各主ブレーカ10に接続された切替用ブレーカ12へ電力を供給する。第1実施形態において、複数の入力部としてブレーカを用いているがこれに限定されない。例えば、複数の入力部としては、リレー回路を用いてもよい。また、第1実施形態では、電力供給装置1は、2つの主ブレーカ10を有しているがこれに限定されない。例えば、電力供給装置1は、3つ以上の入力部を有していてもよい。また、第1実施形態では、電力供給装置1は電源として2つの商用電源20(商用電源20a・20b)に接続されており、商用電源20a・20bのそれぞれが主ブレーカ10へ電力を供給する。すなわち、複数の主ブレーカ10は、それぞれ異なる商用電源20からの電力供給を受けるように構成されている。なお、これに限定されず、例えば、1つの商用電源から複数の入力部へ電力を供給するように構成されていてもよいし、複数の商用電源のそれぞれから、1以上の入力部へ電力を供給するように構成されていてもよい。
【0020】
なお、第1実施形態の商用電源20a・20bは、それぞれ異なる低圧配電線を介して低圧受電(契約電力が50kW未満)される別の商用電源であるがこれに限定されない。また、電力供給装置を電気自動車用の急速充電装置として用いる場合には、大きな電力を供給するために、商用電源20は、高圧(契約電力が50kW以上)の三相交流電源であってもよい。
【0021】
(電力変換器:AC/DC変換器11)
複数のAC/DC変換器11(AC/DC変換器11a・11b・11c・11d)の各々は、複数の主ブレーカ10のうちの少なくとも2つ以上の主ブレーカ10と接続可能とされている。第1実施形態において、4個のAC/DC変換器11は、2つの主ブレーカ10のすべてと接続され、その接続経路15(接続経路15a・15b・15c・15d・15e・15f・15g・15h)を有するものであるがこれに限定されない。例えば、電力供給装置が3個以上の入力部を有している場合には、複数の電力変換器は、複数の入力部のうちの少なくとも2つの入力部と接続可能とされていてもよい。
【0022】
また、第1実施形態において、電力変換器として、AC/DC変換器を用いているがこれに限定されない。例えば、電力変換器として、DC/DC変換器を用いてもよい。この場合、入力部は、直流電力を受けるものであってもよいし、入力部としてAC/DC変換器を有するものであってもよい。
【0023】
(切替部:切替用ブレーカ12)
複数の切替用ブレーカ12(切替用ブレーカ12a・12b・12c・12d・12e・12f・12g・12h)は、主ブレーカ10a・10bとAC/DC変換器11a~11dの接続経路15a~15hにそれぞれ設けられる。複数の切替用ブレーカ12は、各AC/DC変換器11への電力供給のON/OFFを切り替える。
【0024】
具体的に、主ブレーカ10aからAC/DC変換器11aへの接続経路15aと、主ブレーカ10bからAC/DC変換器11aへの接続経路15eと、のそれぞれに、切替用ブレーカ12a・12eが設けられている。この切替用ブレーカ12a・12eの一方をONとし他方をOFFとすることで、AC/DC変換器11aへ電力を供給する接続経路を接続経路15aおよび接続経路15eのいずれにするかを選択することが可能となる。
【0025】
また、主ブレーカ10aからAC/DC変換器11bへの接続経路15bと、主ブレーカ10bからAC/DC変換器11bへの接続経路15fと、のそれぞれに、切替用ブレーカ12b・12fが設けられている。この切替用ブレーカ12b・12fの一方をONとし他方をOFFとすることで、AC/DC変換器11bへ電力を供給する接続経路を接続経路15bおよび接続経路15fのいずれにするかを選択することが可能となる。
【0026】
また、主ブレーカ10aからAC/DC変換器11cへの接続経路15cと、主ブレーカ10bからAC/DC変換器11cへの接続経路15gと、のそれぞれに、切替用ブレーカ12c・12gが設けられている。この切替用ブレーカ12c・12gの一方をONとし他方をOFFとすることで、AC/DC変換器11cへ電力を供給する接続経路を接続経路15cおよび接続経路15gのいずれにするかを選択することが可能となる。
【0027】
また、主ブレーカ10aからAC/DC変換器11dへの接続経路15dと、主ブレーカ10bからAC/DC変換器11dへの接続経路15hと、のそれぞれに、切替用ブレーカ12d・12hが設けられている。この切替用ブレーカ12d・12hの一方をONとし他方をOFFとすることで、AC/DC変換器11dへ電力を供給する接続経路を接続経路15dおよび接続経路15hのいずれにするかを選択することが可能となる。
【0028】
切替制御部40は、切替用ブレーカ12a~12hのON/OFFを制御する。例えば、切替用ブレーカ12a~12hに電磁式の切替機能を設け、切替制御部40は、これらの切替用ブレーカ12a~12hのON/OFFを制御することが可能に構成される。図示しないが、切替制御部40は、各切替用ブレーカ12a~12hに対して制御信号を出力可能に接続されている。また、切替制御部40は、商用電源20a・20bのいずれかからの電力供給が停止した場合、電力供給を停止した商用電源20と接続される接続経路15の切替用ブレーカ12をOFFに制御する。なお、切替制御部40を設けずに、切替用ブレーカ12a~12hのON/OFF切替は手動で行うものであってもよい。
【0029】
出力制御部13は、AC/DC変換器11a~11dから出力される電力の外部への供給を制御する。出力制御部13は、AC/DC変換器11の出力に接続される。出力制御部13は、AC/DC変換器11の出力電力を、2つの充電口30(充電口30a・30b)のいずれへ供給するかを制御するように構成される。このように、複数のAC/DC変換器11から出力される電力を外部へ供給する複数の出力部として充電口30を有している。例えば、出力制御部13は、図示しないが、AC/DC変換器11から充電口30への各接続経路に設けられた複数のリレー回路と、複数のリレー回路のON/OFFを制御するリレー制御基板と、いずれのリレー回路をON/OFFするかを決定する出力制御基板と、を有している。
【0030】
このように、第1実施形態の電力供給装置1は、商用電源20a・20bからの電力供給を受ける主ブレーカ10a・10b、各々が主ブレーカ10a・10bと接続される複数のAC/DC変換器11a~11dと、主ブレーカ10a・10bとAC/DC変換器11a~11dとの接続経路15a~15hのそれぞれに設けられ、各AC/DC変換器11a~11dへの電力供給のON/OFFを切り替える切替用ブレーカ12a~12hと、AC/DC変換器11a~11dから出力される電力の外部への供給を制御する出力制御部13と、を有している。
【0031】
これにより、各AC/DC変換器11a~11dは複数(本実施形態では2つ)の主ブレーカ10a・10bと接続可能とされており、それぞれのAC/DC変換器11a~11dに対していずれの主ブレーカ10a・10bからの電力が供給されるのかを切替用ブレーカ12a~12hによって選択可能となっている。これにより、主ブレーカ10a・10bに接続される、いずれかの接続経路15や、この接続経路15における切替用ブレーカ12に異常が生じた場合であっても、AC/DC変換器11a~11dは他の接続経路15および当該接続経路15における切替用ブレーカ12を介して、主ブレーカ10からの電力供給を受けることができる。その結果、複数のAC/DC変換器11a~11dからの出力電力を制御して正常に外部へ電力を供給することができる。
【0032】
例えば、主ブレーカ10a(商用電源20a)からAC/DC変換器11a・11bに電力が供給され、主ブレーカ10b(商用電源20b)からAC/DC変換器11c・11dに電力が供給されているとする。すなわち、切替用ブレーカ12a・12b・12g・12hがONであり、切替用ブレーカ12c・12d・12e・12fがOFFの状態であるとする。第1実施形態の商用電源20は低圧受電(契約電力が50kW未満)であり、1つの商用電源20に基づく供給電力の上限が50kW未満である場合、AC/DC変換器11a~11dからそれぞれ25kW未満の電力が供給される状態となる。例えば、AC/DC変換器11a~11dから1つの充電口30へ電力を供給する場合、1つの充電対象に50kWを超える高圧電力(最大100kW近く)の電力を供給することができる。例えば、1つの充電口30に接続された電気自動車のバッテリへ100kW近くの電力を供給することで急速充電が可能となる。
【0033】
この状態において、何らかの異常により主ブレーカ10a(商用電源20a)からの正常な電力供給が不能になった場合、AC/DC変換器11a・11bは故障していないにも関わらず、AC/DC変換器11a・11bが充電口30へ電力を供給することができなくなる。そこで、切替用ブレーカ12a・12bをOFFに切り替え、切替用ブレーカ12e・12fをONに切り替えることで、各AC/DC変換器11a~11dの供給電力は半減するが、AC/DC変換器11a・11bから充電口30への電力供給を継続することが可能となる。
【0034】
また、例えば、AC/DC変換器11a~11dのいずれかが故障した場合には、切替用ブレーカ12を切り替えて、故障していないAC/DC変換器11へ、故障したAC/DC変換器11へ供給していた電力を供給することにより、正常なAC/DC変換器11を有効に作動させることが可能であるとともに、電源リソースを有効に利用することが可能となる。具体的に、上記と同様の状態において、AC/DC変換器11aが故障した場合、切替用ブレーカ12aをOFFに切り替えることで、AC/DC変換器11aへ供給していた分の電力をAC/DC変換器11bへ供給することができる。また、上記と同様の場合において、AC/DC変換器11a・11dが故障した場合、切替用ブレーカ12a・12hをOFFに切り替えることで、AC/DC変換器11a・11dへ供給していた分の電力をAC/DC変換器11b・11cのそれぞれへ供給することができる。また、ブレーカを用いることで、ON・OFFを容易に操作することが可能となり、故障に対する迅速な対応を可能にすることができる。
【0035】
[第2実施形態]
次に、添付図面を参照しながら、本発明に係る第2実施形態の電力供給装置について説明する。図2に示すように、第2実施形態の電力供給装置201は、第1実施形態と同様に、複数の入力部としての主ブレーカ10と、複数の電力変換器としてのAC/DC変換器11と、充電口30と、を有している。また、第1実施形態の電力供給装置1が切替部として切替用ブレーカ12を有していたのに対して、第2実施形態の電力供給装置201は、切替部として入力用リレー回路212(入力用リレー回路212a・212b・212c・212d・212e・212f・212g・212h)を有している。なお、第2実施形態においても、商用電源20(20a・20b)は、それぞれ異なる低圧配電線を介して低圧受電される別の商用電源であるとする。
【0036】
(切替部:入力用リレー回路212)
複数の入力用リレー回路212(入力用リレー回路212a・212b・212c・212d・212e・212f・212g・212h)は、主ブレーカ10a・10bとAC/DC変換器11a~11dの接続経路15a~15hにそれぞれ設けられる。複数の入力用リレー回路212は、各AC/DC変換器11への電力供給のON/OFFを切り替える。各AC/DC変換器11に接続される2つの入力用リレー回路212の一方をON、他方をOFFすることで、AC/DC変換器11へ電力を供給する接続経路を選択可能であることは第1実施形態と同様である。
【0037】
(出力制御部213)
また、図3に示すように、第2実施形態の出力制御部213は、メイン制御基板2131と、入力切替用リレー基板2133と、出力切替用リレー基板2134と、複数の出力用リレー回路2135を有している。
【0038】
複数の出力用リレー回路2135(出力用リレー回路2135a・2135b・2135c・2135d・2135e・2135f・2135g・2135h)は、AC/DC変換器11a~11dと充電口30a・30bとの接続経路216a~216hにそれぞれ設けられる。
【0039】
具体的に、AC/DC変換器11aから充電口30aへの接続経路216aと、AC/DC変換器11aから充電口30bへの接続経路216bと、のそれぞれに、出力用リレー回路2135a・2135bが設けられている。この出力用リレー回路2135a・2135bの一方をONとし他方をOFFとすることで、AC/DC変換器11aが充電口30aおよび充電口30bのいずれに電力を供給するのかを選択することが可能となる。
【0040】
また、AC/DC変換器11bから充電口30aへの接続経路216cと、AC/DC変換器11bから充電口30bへの接続経路216dと、のそれぞれに、出力用リレー回路2135c・2135dが設けられている。この出力用リレー回路2135c・2135dの一方をONとし他方をOFFとすることで、AC/DC変換器11bが充電口30aおよび充電口30bのいずれに電力を供給するのかを選択することが可能となる。
【0041】
また、AC/DC変換器11cから充電口30aへの接続経路216eと、AC/DC変換器11cから充電口30bへの接続経路216fと、のそれぞれに、出力用リレー回路2135e・2135fが設けられている。この出力用リレー回路2135e・2135fの一方をONとし他方をOFFとすることで、AC/DC変換器11cが充電口30aおよび充電口30bのいずれに電力を供給するのかを選択することが可能となる。
【0042】
また、AC/DC変換器11dから充電口30aへの接続経路216gと、AC/DC変換器11dから充電口30bへの接続経路216hと、のそれぞれに、出力用リレー回路2135g・2135hが設けられている。この出力用リレー回路2135g・2135hの一方をONとし他方をOFFとすることで、AC/DC変換器11dが充電口30aおよび充電口30bのいずれに電力を供給するのかを選択することが可能となる。
【0043】
メイン制御基板2131は、電力供給装置201の状態や、充電口30a・30bへの充電対象の接続状態に応じて、入力用リレー回路212a~212hや出力用リレー回路2135a~2135hのON/OFFの状態を決定する。入力切替用リレー基板2133は、メイン制御基板2131からの制御信号に基づき、入力用リレー回路212a~212hのON/OFFを制御する。出力切替用リレー基板2134は、メイン制御基板2131からの制御信号に基づき、出力用リレー回路2135a~2135hのON/OFFを制御する。このように、出力制御部213は、複数のAC/DC変換器11から出力される電力について、充電口30a・30bのいずれへ供給するかを切り替え可能となっている。
【0044】
このように、第2実施形態の電力供給装置201は、商用電源20a・20bからの電力供給を受ける主ブレーカ10a・10b、各々が主ブレーカ10a・10bと接続可能とされる複数のAC/DC変換器11a~11dと、主ブレーカ10a・10bとAC/DC変換器11a~11dとの接続経路15a~15hのそれぞれに設けられ、各AC/DC変換器11a~11dへの電力供給のON/OFFを切り替える入力用リレー回路212a~212hと、AC/DC変換器11a~11dから出力される電力の外部への供給を制御する出力制御部213と、を有している。
【0045】
これにより、各AC/DC変換器11a~11dは複数(本実施形態では2つ)の主ブレーカ10a・10bと接続可能とされており、それぞれのAC/DC変換器11a~11dに対していずれの主ブレーカ10a・10bからの電力が供給されるのかを入力用リレー回路212a~212hによって選択可能となっている。これにより、主ブレーカ10a・10bに接続される、いずれかの接続経路15や、この接続経路15における入力用リレー回路212に異常が生じた場合であっても、AC/DC変換器11a~11dは他の接続経路15および当該接続経路15における入力用リレー回路212を介して、主ブレーカ10からの電力供給を受けることができる。その結果、複数のAC/DC変換器11a~11dからの出力電力を制御して正常に外部へ電力を供給することができる。
【0046】
例えば、主ブレーカ10a(商用電源20a)からAC/DC変換器11a・11bに電力が供給され、主ブレーカ10b(商用電源20b)からAC/DC変換器11c・11dに電力が供給されているとする。すなわち、入力用リレー回路212a・212b・212g・212hがONであり、入力用リレー回路212c・212d・212e・212fがOFFの状態であるとする。第2実施形態の商用電源20は低圧受電(契約電力が50kW未満)であり、1つの商用電源20に基づく供給電力の上限が50kW未満である場合、AC/DC変換器11a~11dからそれぞれ25kW未満の電力が供給される状態となる。
【0047】
この状態において、何らかの異常により主ブレーカ10a(商用電源20a)からの正常な電力供給が不能になった場合、AC/DC変換器11a・11bは故障していないにも関わらず、AC/DC変換器11a・11bが充電口30へ電力を供給することができなくなる。そこで、入力用リレー回路212a・212bをOFFに切り替え、入力用リレー回路212e・212fをONに切り替えることで、各AC/DC変換器11a~11dの供給電力は半減するが、AC/DC変換器11a・11bから充電口30への電力供給を継続することが可能となる。
【0048】
また、上記の状態において、例えば、断線や接点不良、制御線の不具合、溶着等により、いずれかの出力用リレー回路2135が不能となった場合、出力用リレー回路2135と接続するAC/DC変換器11へ至る接続経路15の入力用リレー回路212をOFFとする制御を行ってもよい。具体的に、出力用リレー回路2135aが断線や接点不良、制御線の不具合、溶着等により不能となった場合、出力用リレー回路2135aと接続するAC/DC変換器11aへ至る接続経路15a・15eに設けられる入力用リレー回路212a・212eをOFFとする制御を行ってもよい。これにより、異常が発生した場合に、異常箇所周辺のAC/DC変換器11を出力ルートから切り離すことができ、AC/DC変換器11が異常の原因である場合に、さらなる異常の発生を防止することが可能となる。また、異常箇所周辺のAC/DC変換器11aを出力ルートから切り離すことで、供給電力は減少するが、他の正常状態であるAC/DC変換器11b、11c、11dによって正常に外部へ電力を供給することができる。
【0049】
また、上記の状態において、例えば、断線や接点不良、制御線の不具合等により、いずれかの出力用リレー回路2135がOFF状態のままとなった場合、このOFF状態のままとなった出力用リレー回路2135と接続するAC/DC変換器11からの別の接続経路216に設けられた別の出力用リレー回路2135をONとする制御を行ってもよい。具体的に、出力用リレー回路2135aが断線や接点不良、接続線の不具合等により、OFF状態のままとなった場合、出力用リレー回路2135aと接続するAC/DC変換器11aからの別の接続経路216bに設けられた別の出力用リレー回路2135bをONとする制御を行ってもよい。これにより、リレー回路に断線や接点不良、接続線の不具合等の異常が発生し、OFF状態のままとなった場合であっても、正常なAC/DC変換器11aを稼働させ続けることが可能となる。
【0050】
また、上記の状態において、例えば、断線や接点不良、接続線の不具合等により、いずれかの入力用リレー回路212がOFF状態のままとなった場合、OFF状態のままとなった入力用リレー回路212が接続するAC/DC変換器11に電力を供給するために、当該AC/DC変換器11と接続する別の入力用リレー回路212をONとする制御をおこなってもよい。具体的に、入力用リレー回路212aが断線や接点不良、接続線の不具合等により、OFF状態のままとなった場合、この入力用リレー回路212aと接続するAC/DC変換器11aに対し、接続する別の接続経路15eに設けられた入力用リレー回路212eをONとする制御を行ってもよい。これにより、AC/DC変換器11aへの電力供給を継続させることができる。
【0051】
この場合、ONとした入力用リレー回路212と同じ供給元の商用電源20に接続された別の入力用リレー回路212をOFFとし、このOFFとした入力用リレー回路212が接続するAC/DC変換器11と接続する別の入力用リレー回路212をONとする制御をおこなってもよい。例えば、商用電源20aから入力用リレー回路212a、212bを介してAC/DC変換器11a、11bに電力を供給するとともに、商用電源20bから入力用リレー回路212g、212hを介してAC/DC変換器11c、11dに電力を供給している状態において、不具合等により入力用リレー回路212aがOFF状態のままとなった場合、AC/DC変換器11aには入力用リレー回路212aに代えて入力用リレー回路212eを介して電力を供給する。このとき、商用電源20bは入力用リレー回路212e、212g、212hを介してAC/DC変換器11a、11c、11dに電力を供給することになるので、商用電源20a、20bが低圧受電(契約電力が50kW未満)の場合、3つのAC/DC変換器11a、11c、11dに十分な電力を供給することができなくなる。そのため、3つのAC/DC変換器11a、11c、11dのうち、AC/DC変換器11cについては商用電源20bではなく商用電源20aから電力を供給する。すなわち、商用電源20bに接続された入力用リレー回路212gをOFFし、商用電源20aに接続された入力用リレー回路212cをONにする。これにより、商用電源20a、20bが低圧受電(契約電力が50kW未満)の場合であっても、商用電源20a、20bから各AC/DC変換器11a~11dに電力を供給することができる。なお、商用電源20a、20bが高圧受電(契約電力が50kW以上)の場合は、次のようにして制御してもよい。すなわち、上記と同様に、入力用リレー回路212aがOFF状態のままとなり、入力用リレー回路212aに代えて入力用リレー回路212eを介してAC/DC変換器11aに電力を供給する際に、入力用リレー回路212eへ電力を供給する商用電源20bに接続された別の入力用リレー回路212f~212hをOFFとし、この入力用リレー回路212f~212hが接続するAC/DC変換器11b~11dの他方の入力用リレー回路212b~212dをONとする制御を行う。これにより、入力用リレー回路212aが断線や接点不良等により、OFF状態のままとなった場合でも、入力を切り替えればAC/DC変換器11aを介して充電出力を落とすことなくフルパワーでの充電を継続することが可能となる。
【0052】
また、上記の状態において、例えば、断線や接点不良、制御線の不具合、溶着等により、いずれかの入力用リレー回路212が不能となった場合、入力用リレー回路212と接続する主ブレーカ10をOFFとする制御を行ってもよい。具体的には、入力用リレー回路212aが断線や接点不良、制御線の不具合、溶着等により不能となった場合、入力用リレー回路212aと接続する主ブレーカ10aをOFFとする制御を行ってもよい。これにより、異常が発生した場合に、入力用リレー回路212aと接続されるAC/DC変換器11aを出力ルートから切り離すことができる。すなわち、AC/DC変換器11aが原因となって入力用リレー回路212aが不能となった場合に、さらなる異常の発生を防止することが可能となる。また、異常箇所周辺のAC/DC変換器11aを出力ルートから切り離すことで、供給電力は減少するが、他の正常状態であるAC/DC変換器11b、11c、11dによって正常に外部へ電力を供給することができる。
【0053】
以上、本発明の好適な第1実施形態および第2実施形態について説明したが、本発明は上述の第1実施形態および第2実施形態には限られず、特許請求の範囲に記載の限りにおいて様々な変更が可能である。
【符号の説明】
【0054】
1 電力供給装置
10 主ブレーカ
11 AC/DC変換器
12 切替用ブレーカ
13 出力制御部
15 接続経路
20 商用電源
30 充電口
40 切替制御部
201 電力供給装置
212 入力用リレー回路
213 出力制御部
216 接続経路
2131 メイン制御基板
2133 入力切替用リレー基板
2134 出力切替用リレー基板
2135 出力用リレー回路
図1
図2
図3