IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 日本省力機械株式会社の特許一覧

<>
  • 特開-コンベヤチェーンの付着防止装置 図1
  • 特開-コンベヤチェーンの付着防止装置 図2
  • 特開-コンベヤチェーンの付着防止装置 図3
  • 特開-コンベヤチェーンの付着防止装置 図4
  • 特開-コンベヤチェーンの付着防止装置 図5
  • 特開-コンベヤチェーンの付着防止装置 図6
  • 特開-コンベヤチェーンの付着防止装置 図7
  • 特開-コンベヤチェーンの付着防止装置 図8
  • 特開-コンベヤチェーンの付着防止装置 図9
  • 特開-コンベヤチェーンの付着防止装置 図10
  • 特開-コンベヤチェーンの付着防止装置 図11
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2025006144
(43)【公開日】2025-01-17
(54)【発明の名称】コンベヤチェーンの付着防止装置
(51)【国際特許分類】
   B65G 17/30 20060101AFI20250109BHJP
   F16H 7/06 20060101ALI20250109BHJP
【FI】
B65G17/30 A
F16H7/06
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023106761
(22)【出願日】2023-06-29
(71)【出願人】
【識別番号】592028031
【氏名又は名称】日本省力機械株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110003465
【氏名又は名称】弁理士法人OHSHIMA&ASSOCIATES
(72)【発明者】
【氏名】辰村 周平
(72)【発明者】
【氏名】辰村 創平
(72)【発明者】
【氏名】春田 三博
【テーマコード(参考)】
3J049
【Fターム(参考)】
3J049AA08
3J049CA10
(57)【要約】
【課題】 本発明は、コンベヤチェーンの隙間に入り込んでいる灰等を振るい落とし、屈曲不良を生じないようにするためのコンベヤチェーンの付着防止装置を提供する。
【解決手段】 軸保持部2と、軸保持部2を貫通した軸3と、軸3に摺動可能なアーム5と、アーム5の先端部に取り付けたハンマー6と、軸3に摺動可能で、コンベヤチェーンのプレート間に挿入可能なカム4とからなり、コンベヤチェーンの動きに合わせて、カム4がコンベヤチェーンのローラ9と接触することで、カム4が軸3を中心として回転し、アーム5の先端に取り付けたハンマー6を持ち上げ、カム4がコンベヤチェーンのローラ9との接触が外れるとハンマー6がコンベヤチェーンのローラ9を打撃する電気的な制御や外的な力を不要とした簡易かつシンプルな構造のコンベヤチェーンの付着防止装置とした。
【選択図】 図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
軸保持部と、
前記軸保持部を貫通した軸と、
前記軸に摺動可能なアームと、
前記アームの先端部に取り付けたハンマーと、
前記軸に摺動可能で、コンベヤチェーンのプレート間に挿入可能なカムとからなり、
コンベヤチェーンの動きに合わせて、前記カムの先端がコンベヤチェーンのローラと接触することで、前記カムが前記軸を中心として回転し、前記カムが前記アームを押し上げ、前記アームの先端に取り付けたハンマーが持ち上がり、
前記カムの先端が前記コンベヤチェーンの前記ローラとの接触が外れると前記カムが元の位置に戻るとともに、前記ハンマーがコンベヤチェーンの前記ローラを打撃することを特徴とするコンベヤチェーンの付着防止装置。
【請求項2】
前記カムの側面を前記アームに当接させて、前記アームを押し上げ、前記アームの先端に取り付けたハンマーを持ち上げることを特徴とする請求項1記載のコンベヤチェーンの付着防止装置。
【請求項3】
前記カムの側面に引掛部を設け、前記引掛部により前記アームを押し上げ、前記アームの先端に取り付けたハンマーを持ち上げることを特徴とする請求項1記載のコンベヤチェーンの付着防止装置。
【請求項4】
前記アームの先端に取り付けた前記ハンマーを円柱形とし、前記円柱の中心を中心として回転できるようにしたことを特徴とする請求項1から請求項3のいずれか1項に記載のコンベヤチェーンの付着防止装置。
【請求項5】
前記アームの先端に取り付けた前記ハンマーを円柱形とし、前記円柱形の大きさ又は幅を調整することができることを特徴とする請求項1から請求項3のいずれか1項に記載のコンベヤチェーンの付着防止装置。
【請求項6】
前記ハンマーが前記コンベヤチェーンに当接しないように前記アームを上部に固定させることができることを特徴とする請求項1から請求項3のいずれか1項に記載のコンベヤチェーンの付着防止装置。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、粉体、湿気のある灰等が混じった焼却灰等の搬送物を搬送するフライトコンベヤ等のコンベヤ装置において、コンベヤチェーンの動きを妨げるような固着を未然に防止するためのコンベヤチェーンの付着防止装置に関するものである。
【0002】
特に、コンベヤチェーンの付着を防止するために、ハンマーを持ち上げる際に、ハンマーを取り付けるアームを回転させる中心となる軸に過大なトルク(負荷)がかからないように、カムを軸に摺動可能としているコンベヤチェーンの付着防止装置に関する。
【0003】
水分、湿気を含む焼却灰等を搬送する場合、スクレーパコンベヤを用いて、スクレーパで搬送物を掃き取るように移動させる。この場合、スクレーパの駆動をスクレーパに取り付けるコンベヤチェーンにより行っている。
【0004】
このコンベヤチェーンは、ピン、ブッシュ、ローラ及びプレートとから構成されており、それぞれの接続又は摺動する箇所の間に焼却灰等が入り込むことがあり、入り込んだ焼却灰の水分が蒸発して、焼却灰が固化し、それぞれの接続又は摺動する箇所の動きが悪くなり、ローラが円滑に回転しなくなることがあった。
【0005】
ローラが回転しない場合、ローラとガイドレールとの間で滑り抵抗が生じ、運転するためのエネルギーが増大し、電気消費が増えることがあった。
【0006】
また、回転しないローラは、ガイドレール上を滑り、ローラの摩耗、ガイドレールの摩耗を起こし、コンベヤチェーンに過大な負荷をかけることになり、コンベヤチェーンの寿命及びレールの寿命が短くなるなどの問題があった。
【0007】
このため、コンベヤチェーンのピン、ローラ及びプレートの間に入り込んだ焼却灰等を取り除くことが望まれ、長期間取り除かれない場合やメンテナンスが行われていない場合には、コンベヤチェーンが固着してしまうこととなり、この固着を未然に防ぐことが望まれていた。
【背景技術】
【0008】
従来、コンベヤにより焼却灰等を搬送する場合、ケーシングタイプのコンベヤが多いため、コンベヤの内部を見ることができず、搬送されている焼却灰等の量、搬送状態、コンベヤの駆動状態等を直接見ることができず、コンベヤの運転を把握することが難しかった。
【0009】
このため、コンベヤ内部の状態を把握するため、コンベヤチェーンの張力を測ることにより、コンベヤ内での運転の見える化を図り、コンベヤチェーンの摩耗、ガイドレールの変形等も予測でき、部品の取替え時期の計画等もできるようにすることが望まれている。
【0010】
しかし、コンベヤ内のコンベヤチェーンの張力を計測するにあたっては、コンベヤチェーン自体が正常に駆動していることが前提となる。
【0011】
即ち、コンベヤチェーンが正常に駆動しているとは、コンベヤチェーンを構成するピン、ブッシュ、ローラ及びプレートのそれぞれの間に焼却灰等が詰まっておらず、コンベヤチェーンが屈曲固着しておらず、チェーンを構成するローラがガイドレール上を円滑に回る状態であることが必要となる。
【0012】
コンベヤチェーンを構成するプレートの間に水分を含む灰が入り込み、水分が蒸発して灰が固着した場合、本来ならばガイドレール上を滑らかにコンベヤチェーンの摺動を行えるはずのところ、プレートが円滑に屈曲し難くなり、曲がった状態で固まる屈曲不良を起こすこともあった。
【0013】
また、このようにプレートが屈曲して固着すると、左右のコンベヤチェーンの全長が各々変わり、左右コンベヤチェーンの長さが異なることになり、正確なコンベヤチェーンの張力を測定できず、また、左右コンベヤチェーンの長さが異なることから、テークアップ作業によるチェーンの適度な張り調整をすることが難しくなっていた。
【0014】
さらに、屈曲不良のコンベヤチェーンがガイドレールに接触してコンベヤチェーンが切断してしまうことがあり、コンベヤの運転を停止せざるを得ない場合があった。
【0015】
このため、現状では、屈曲不良を起こしている箇所を1ヶ月に1回程度ハンマー等で、チェーンやローラの不回転部を叩いて固着している箇所を解消することとしている。
【0016】
この作業は、屈曲不良の固着を解消する点においては有効であるが、コンベヤを稼働しながらの作業となり危険がともなっていた。また、定期的にコンベヤ装置を長時間停止させるためには、焼却炉も停止させなければならず、システムの運転維持にも影響を与えることになり、効率的ではなかった。また、定期的な作業を怠ると、チェーンの固着や屈曲不良が原因でコンベヤ全体が停止すると共に、焼却炉も停止してしまう事態も生じていた。
【0017】
また、コンベヤチェーンが正常の状態であっても、チェーンの張力を測定するのが難しかったことに加えて、チェーンが屈曲不良を起こしている場合は、なおさら正確な張力を測定することができなかった。
【0018】
また、コンベヤのスクレーパと底板との間に硬く大きな焼却灰等が詰まった場合、コンベヤの正転・逆転させることで、詰まりを解決することがあるが、その運転を自動で行うことは難しかった。その理由として、チェーンに屈曲不良がある場合に、逆転運動をすると、コンベヤ自体を破損してしまう事故が発生する可能性があるからである。
【0019】
このため、屈曲不良が発生するのを未然に防止できれば、コンベヤチェーンの正転・逆転運動を自動化でき、非常に有効である。
【0020】
そこで、本発明では、コンベヤチェーンに定期的に衝撃を加えることで、ピン、ブッシュ、ローラ及びプレートの間などに入り込んだ固着の原因となる灰等を取り除くと共に、入り込んだものが固着しないように未然に防ぐためのコンベヤチェーンの付着防止装置を提供することを目的としている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0021】
【特許文献1】特開2021-141052 チェーン掃除機構 この文献には、回転ブラシによってチェーンを掃除する機構が開示されているが、回転ブラシによる掃除では、チェーンのピン及びローラの僅かな隙間に入った灰等を取り除くことが困難であり、また、既にローラとプレートとの間で固着が発生してしまっている場合の対応が出来なかった。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0022】
コンベヤによる焼却灰等を搬送する場合、搬送物の量、搬送状態、コンベヤの駆動状態等を見ることができるようにし、コンベヤの運転を把握できるようにするため、チェーン張力を測ることにより、コンベヤ内での運転の見える化を図り、チェーンの摩耗、レールの変形等も予測でき、部品の取替え時期の計画等もできるようにする。
【0023】
このため、コンベヤチェーンが円滑に駆動するために、コンベヤチェーンを構成するピン、ローラ及びプレート等の隙間に入り込んだ灰等を衝撃により付着しているものを取り除き、また、付着物が固着してしまうことを未然に防止するようにする。
【0024】
また、左右のコンベヤチェーンに掛かる張力の変化を把握することで、コンベヤチェーンのたるみを把握し、コンベヤチェーンの張力を適切にするため、従動軸のテークアップ作業でチェーンへ適切な張りを調整することを容易にできるようにする。
【0025】
さらに、コンベヤチェーンの摩耗をより少なくし、コンベヤチェーンの寿命を長くし、省エネルギー化を図り、ガイドレール、スプロケット等の摩耗をも少なくすることができ、ランニングコストを下げ、脱炭素に寄与することができるようにする。
【0026】
また、従来、チェーンの灰等の付着の度合いによってコンベヤを作動させる時間(期間)を決めており、作業員は、1ヶ月に1~2回ハンマーで打撃を与えていたが、コンベヤを停止してコンベヤ内を点検し、固着しているチェーンを作業員がハンマー等を用いて解消するなどの作業を行う必要が無くなり、安全面と人件費の削減の面でも優れたコンベヤチェーンの付着防止装置を提供する。
【0027】
本発明は、このような灰等が固着して、ローラの回転が悪くなったり、コンベヤチェーンが屈曲不良になるのを防止し、詰まりがあってもコンベヤを自動化して駆動させることを可能とするため、コンベヤの正回転、逆回転のいずれの場合であっても対応できるコンベヤチェーンの付着防止装置を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0028】
第1発明として、軸保持部と、前記軸保持部を貫通した軸と、前記軸に摺動可能なアームと、前記アームの先端部に取り付けたハンマーと、前記軸に摺動可能で、コンベヤチェーンのプレート間に挿入可能なカムとからなり、コンベヤチェーンの動きに合わせて、前記カムの先端がコンベヤチェーンのローラと接触することで、前記カムが前記軸を中心として回転し、前記カムが前記アームを押し上げ、前記アームの先端に取り付けたハンマーが持ち上がり、前記カムの先端が前記コンベヤチェーンの前記ローラとの接触が外れると前記カムが元の位置に戻るとともに、前記ハンマーがコンベヤチェーンの前記ローラを打撃するコンベヤチェーンの付着防止装置とした。
【0029】
第2発明として、前記カムの側面を前記アームに当接させて、前記アームを押し上げ、前記アームの先端に取り付けたハンマーを持ち上げるコンベヤチェーンの付着防止装置とした。
【0030】
第3発明として、前記カムの側面に引掛部を設け、前記引掛部により前記アームを押し上げ、前記アームの先端に取り付けたハンマーを持ち上げるコンベヤチェーンの付着防止装置とした。
【0031】
第4発明として、前記アームの先端に取り付けた前記ハンマーを円柱形とし、前記円柱の中心を中心として回転できるようにしたコンベヤチェーンの付着防止装置とした。
【0032】
第5発明として、前記アームの先端に取り付けた前記ハンマーを円柱形とし、前記円柱形の大きさ又は幅を調整することができるコンベヤチェーンの付着防止装置とした。
【0033】
第6発明として、前記ハンマーが前記コンベヤチェーンに当接しないように前記アームを上部に固定させることができるコンベヤチェーンの付着防止装置とした。
【発明の効果】
【0034】
本発明により、コンベヤチェーンの隙間に灰等が入り込んでも、付着防止装置によりコンベヤチェーンに衝撃を与えて、灰等を振るい落し、チェーンの付着、また、定着した固着を防止することができる。
【0035】
また、ハンマーを取り付けたアームを常に軸に摺動可能としていることから、カムがコンベヤチェーンのローラと接触するときでも、軸に過大なトルク(負荷)が掛かることがない。
【0036】
また、カムの先端がコンベヤチェーンのローラ間を常に入り込んでいることから、コンベヤチェーンのプレート間の付着物も取り除ける効果を有している。
【0037】
また、アームの先端に取り付けたハンマーを円柱形とし、円柱の中心を中心として回転できるようにしたことにより、ハンマーがコンベヤチェーン上を円滑に移動することができる。また、コンベヤチェーンが逆回転した場合であっても、ハンマーがコンベヤチェーンに嵌まり込むことがない。
【0038】
また、アームの先端に取り付けたハンマーを円柱形とし、円柱形の大きさ又は幅を調整することができるようにしたことから、コンベヤチェーンの付着状況に合わせたハンマーとすることができるようになっている。
【0039】
また、付着防止装置を常に作動させる必要がない場合や、コンベヤの逆回転をする場合には、ハンマーをコンベヤチェーンに当たらないように、アームを上部で固定することができる。また、コンベヤの自動化に伴い、逆回転する場合であっても、ハンマーを支えるアームが軸に対して摺動できるようになっていることから、ハンマーがコンベヤチェーン上を円滑に上下できるようになっている。
【0040】
このため、コンベヤチェーンを円滑に駆動させることができることから、コンベヤチェーンの張力の測定値データに基づき、搬送物の有無、量等を正確に計測できることで、「運転の見える化」を実現することができる。
【0041】
また、張力の測定値データに基づき、スクレーパコンベヤの動きを間欠運転や速度を遅くした運転が自動で制御でき、省エネルギー化を図れる。
【0042】
さらに、コンベヤチェーン、ガイドレール、スプロケットの摩耗を少なくすることができ、部品の取替え回数が減り、部品の長寿命により、製作する部品の数を減らすことでき、脱炭素が図れる。
【0043】
また、本発明により、コンベヤチェーンを円滑に駆動させることができることから、スクレーパコンベヤのチェーンに掛かる張力を測定し、その張力を記録し、張力の数値に基づき、張力のデータを解析することで、スクレーパコンベヤのスクレーパと底板との噛み込みを正確に把握でき、正常な運転ができるよう運転支援が図れて働き方改革にも貢献できるようになる。
【0044】
さらに、本発明により、コンベヤチェーンを円滑に駆動させることができることから、スクレーパコンベヤのチェーンに掛かる張力を測定し、その張力を記録し、張力の数値に基づき、張力のデータを解析し、コンベヤの左右の変化やチェーンの取換時期、チェーンの状態を把握することができるようになる。
【0045】
例えば、左側のチェーン張力が大きい傾向があれば、左側のコンベヤのレール等に摩耗などで欠損している等が推定され、点検を早め致命的なトラブルを事前に防ぐことが可能である。
【0046】
また、コンベヤチェーンに屈曲不良が生じないようにすることで、コンベヤチェーンの正転・逆転運動を自動化できることとなり、コンベヤの運転をより効率的に行えるようになる。
【図面の簡単な説明】
【0047】
図1】本発明のコンベヤチェーンの付着防止装置の平面図
図2】本発明のコンベヤチェーンの付着防止装置の側面図
図3】本発明のコンベヤチェーンの付着防止装置の正面図
図4】本発明の他実施例を示すコンベヤチェーンの付着防止装置の平面図
図5】本発明の他実施例を示すコンベヤチェーンの付着防止装置の側面図
図6】本発明の他実施例を示すコンベヤチェーンの付着防止装置の正面図
図7】本発明のコンベヤチェーンの付着防止装置を取り付けた状態を説明する全体図
図8】本発明のコンベヤチェーンの付着防止装置のハンマーの厚みを細くした場合の説明側面図
図9】本発明のコンベヤチェーンの付着防止装置のハンマーの厚みを細くした場合の説明正面図
図10】本発明のコンベヤチェーンの付着防止装置のハンマーの厚みを太くした場合の説明側面図
図11】本発明のコンベヤチェーンの付着防止装置のハンマーの厚みを太くした場合の説明正面図
【発明を実施するための最良の形態】
【0048】
(実施例1)
図1は、本発明のコンベヤチェーンの付着防止装置の平面図であり、図2は、本発明のコンベヤチェーンの付着防止装置の側面図であり、図3は、本発明のコンベヤチェーンの付着防止装置の正面図である。
【0049】
本発明はスクレーパコンベヤの他に、エプロンコンベヤ、バケットエレベーター、スラットコンベヤ等の左右の二条のコンベヤチェーンによって駆動するコンベヤにも対応することができ、コンベヤチェーンの付着防止装置となっている。また、スクレーパコンベヤとして、上部リターン式のもののみならず、その他のスクレーパコンベヤにもコンベヤチェーンの付着防止装置として対応することができるようになっている。
【0050】
更に、一条のコンベヤチェーンによるフローコンベヤについて適用可能である。
【0051】
図1から図3において、1は台座であり、二条のコンベヤチェーンの両側に設ける。2は軸保持部であり、台座1に取り付けられる。また、軸保持部2は台座1の取り付け位置によって調整することが出来るようになっている。
【0052】
3は軸であり、軸保持部2を貫通するように設け、軸保持部2に保持されている。軸3は、軸保持部2に固定されている場合に限らず、軸保持部2内で回転可能となっている場合もある。
【0053】
4はカムであり、軸3に摺動可能に設けている。カム4を軸3に摺動可能とすることで、カム4にかかるトルク(負荷)を直接軸3に及ぼすことがない。
【0054】
カム4を軸3に摺動させるために、カム4の内側にベアリングを取り付けることも有効である。また、摺動を円滑に行えるように、オイル等の潤滑剤を用いることも有効である。
【0055】
5はアームであり、軸3に摺動可能に設けられている。アーム5の長さ、形状、強度等は適宜調整可能である。また、アーム5を軸3に摺動可能とされていることで、アーム5にかかる負荷を直接軸3に及ぼすことがない。
【0056】
カム4とアーム5とは、共に軸3を摺動する構成にしており、それぞれが別々に軸3を中心として回転することができるようになっている。
【0057】
6はハンマーであり、アーム5の先端部に取り付ける。ハンマー6の重さ、大きさ、材質等は、適宜調整可能である。また、ハンマー6の取り付け位置は、アーム5の先端部で適宜調整可能である。
【0058】
ハンマー6の形状は、円柱状に限らず、適宜形状を選択できる。また、ハンマー6を円柱状とした場合に、円柱の中心をアーム5の先端に設けた軸を中心として回転できるようにすることで、コンベヤチェーンの上を回転しながらハンマーを移動させることができる。
【0059】
ハンマー6の大きさ、幅、等は適宜調整することができるようになっている。
【0060】
ここで、ハンマー6の厚みに関して説明する。
【0061】
図8は、本発明のコンベヤチェーンの付着防止装置のハンマーの厚みを細くした場合の説明側面図、図9は、本発明のコンベヤチェーンの付着防止装置のハンマーの厚みを細くした場合の説明正面図である。
【0062】
また、図10は、本発明のコンベヤチェーンの付着防止装置のハンマーの厚みを太くした場合の説明側面図、図11は、本発明のコンベヤチェーンの付着防止装置のハンマーの厚みを太くした場合の説明正面図である。
【0063】
図8及び図9に示すように、ハンマー6の厚みをプレート8の間隔よりも細くした場合、ハンマー6は、プレート8の間に挿入されることになるので、プレート間に詰まった焼却灰等を押し出すことができるようになる。
【0064】
また、ハンマー6の幅をコンベヤチェーンのプレート間の間隔よりも細くすることで、軽微な付着を防止する付着防止装置とすることができる。
【0065】
一方、図10及び図11に示すように、ハンマー6の厚みをプレート8の間隔よりも厚くした場合、ハンマー6がコンベヤチェーンのプレート間に入り込むことなく、また、コンベヤチェーンのローラに引っ掛かることもなくなる。
【0066】
この場合、特にコンベヤチェーンを逆回転させる時にプレート間に入り込まないので有効である。
【0067】
7がコンベヤチェーン全体を示している。
【0068】
8はプレートであり、コンベヤチェーン7を構成し、外プレート、内プレートとからなる。
【0069】
9はローラであり、コンベヤチェーン7を構成し、プレートとピンで固定されている。
【0070】
10はストッパーであり、アーム5が下がり過ぎないように支えるものであり、アーム5の先端のハンマー6が幅の小さいものであってもコンベヤチェーンのプレート間に入り込まないようにすると共に、コンベヤチェーンが逆運転した場合にあっても、ハンマー6がコンベヤチェーンのローラ8間に嵌まり込むことがないようにするためのものである。
【0071】
コンベヤチェーン7とカム4及びアーム5の動作について説明する。
【0072】
コンベヤチェーン7が右方向に移動すると、ローラ9がカム4の先端11に当接し、カム4が反時計回りに軸3を中心として回転し、カムの側面12がアーム5に接触して、カム4の回転と共にアーム5を持ち上げ、アーム5の先端に取り付けているハンマー6を持ち上げることになる。
【0073】
コンベヤチェーン7が引き続き右に移動することで、ローラ9に当接していたカム4の先端11がローラ9から接触がなくなると、カム4が元の位置に戻ると共に、アーム5も下がり、アーム5の先端のハンマー6がローラ9を打撃し、コンベヤチェーンに付着しているものを落とすことができるようになる。
【0074】
この動作をコンベヤチェーンの移動に伴い繰り返し行える。
【0075】
特に、ハンマー6がローラ8を打撃する位置を底板にあたるガイドレールがない位置にすることで、ハンマー6のより強い衝撃をローラ8に与えることができ、コンベヤチェーンの付着防止効果が優れたものとなる。
【0076】
この打撃で、ローラ9に付着している灰等を払い落すことが出来るようになる。また、ローラ9が既に固着している場合又はチェーンの屈曲不良が生じている場合にあっては、打撃により固着を解消させることができる。また、チェーンに取り付けられているスクレーパに付着した搬送物もハンマーがローラを打撃することで、同時に払い落とせる。
【0077】
また、アーム5が軸3を摺動するようにしていることから、コンベヤチェーン7を逆方向に動かした場合であっても、ハンマー6がコンベヤチェーン7の上を円滑に上下に動くことができるようになっている。
【0078】
本発明のコンベヤチェーンの付着防止装置を停止させる場合を説明する。
【0079】
13はピンである。コンベヤチェーンの付着防止装置を使用しないときに、ピン13にアーム5を固定することで、カム4の回転に伴うアーム5の持ち上げを中止でき、付着防止装置の運転を停止させることができる。
【0080】
付着防止装置の稼働を1週間に数時間程度で足りる場合には、手動又は自動でハンマー6を持ち上げておくことによって解決することができる。また、ハンマー6を自動で持ち上げる手段として、定期的にシリンダー等を用いて自動的に作動させることもできる。また、定期的にハンマー6を持ち上げておくことで、コンベヤチェーンのプレート8、ローラ9、ハンマー6の摩耗を少なくすることもできる。
【0081】
本実施例では、ピン13にアーム5を固定する一例を示している。係止方法は、ピンに限らず、引っ掛ける方法でも可能である。
【0082】
また、本発明のコンベヤチェーンの付着防止装置は、常に運転させておく必要なく、コンベヤチェーンに付着物が多くなった時に作動するようにすることができる。例えば、使用しない時は、ピン13にアーム5を固定して、付着防止装置を動作しないようにすることができ、無駄なカム、ハンマーの摩耗及び騒音の防止を図れる。
【0083】
本発明は、このような灰等が固着して、ローラの回転が悪くなったり、コンベヤチェーンが屈曲不良になるのを防止するコンベヤチェーンの付着防止装置を提供するものである。
【0084】
(実施例2)
実施例2は、カム4がアーム5を押し上げる機構を引掛部としたものである。
【0085】
図4図6において、14は引掛部であり、カム4に設ける。
【0086】
引掛部14がアーム5と当接することで、アーム5を押し上げ、ハンマー6を持ち上げることができるようになっている。
【0087】
引掛部14とすることで、軸3を支点として、てこの原理により、よりハンマー6をトルク(負荷)なく持ち上げることができるようになっている。
【0088】
また、左右のコンベヤチェーンのそれぞれに付着防止装置を設けることができる。左右別々に設けることも、また、左右を連動させて設けることもできる。
【0089】
左右別々に付着防止装置を分けて設置した場合、左右のカムがローラに接触する位置を調節して同時にハンマーがローラを叩くように調整する。
【0090】
チェーンコンベヤの運転が進み、仮にチェーンの屈曲不良などが発生し、左右のチェーンの長さに差が出たときには、ハンマーがローラを同時に叩くことができず、音の具合で異常を確認できることになる。
【0091】
また、音を光の信号に変換し、遠隔操作でもチェーンの長さに差が生じていることを確認できる。例えば、ハンマーの音をマイクで拾い、電気信号に変え、ランプを点灯させるようにすれば、左右のチェーンの長さの差を把握することができる。
【0092】
また、この左右のチェーンの長さの差が生じる理由が、左右いずれかのチェーンに原因がある場合には、左右のいずれかのチェーンのみを集中的に付着防止装置を駆動させることによって、解決することができる。
【0093】
チェーンの正常な状態を長く維持できることで、メンテナンス時間が少なくなり、また、チェーンの部品が長持ちさせることができるようになった。
【0094】
また、屈曲固着がなくなることで、ローラの回転自体も円滑に行え、回転不良によるレールとの摩擦がなくなると共に摩擦による減りも少なくなる。
【0095】
また、チェーンが正常であることから、チェーン張力の監視ができ、正確な張力を図ることが出来て、コンベヤチェーンの動作状態の「見える化」の精度が上がり、コンベヤの経年変化や故障の予知がより正確に行える装置となっている。
【0096】
更に、コンベヤチェーンに屈曲不良が生じないようにすることで、コンベヤチェーンの正転・逆転運動を自動化できることができ、コンベヤの運転をより効率的に行えるようになる。
【0097】
ここで、本発明のコンベヤチェーンの付着防止装置の取り付け状態の一例を示す。
【0098】
図7は、スクレーパコンベヤの全体側面説明図であり、本発明のコンベヤチェーンの付着防止装置の取り付け状態の一例を説明する図である。図7に示したスクレーパコンベヤは、上部リターン式のものであるが、その他のスクレーパコンベヤ等にも対応することができるようになっている。
【0099】
図7おいて、15は、ケーシングであり、搬送物の搬送路である。16は駆動軸であり、ケーシング15内に設けている。17は、従動軸であり、駆動軸16からの駆動にしたがってコンベヤチェーンを介して回転する軸である。この従動軸17は、駆動軸16からの駆動を受けて従動して回転する。18は、ヘッドスプロケットであり、駆動軸16の回転を伝える。19は、モータであり、ヘッドスプロケット18を駆動させる。20は、テールスプロケットであり、ヘッドスプロット18に対応し、駆動軸16の駆動を従動軸17に伝える役割をする。
【0100】
21はガイドレールであり、22はコンベヤチェーンが通る軌跡を示している。コンベヤチェーンは、ガイドレール21に沿って動かすことができるようになっている。
【0101】
7は、コンベヤチェーン、9はローラである。コンベヤチェーン7及びローラ9が複数個繋がってチェーンを構成している。図7には、一部のコンベヤチェーン、ローラのみを示している。
【0102】
23は、スクレーパであり、コンベヤチェーン7に取り付けられており、搬送物を搬送するものである。このスクレーパ23は一定間隔で複数個設けられている。コンベヤチェーン7は、スクレーパ23を動かす駆動軸16の回転を従動軸17に伝える役割をする。
【0103】
24は焼却灰の投入口である。25は焼却灰の投入口24から投入された焼却灰を示している。焼却灰25は、スクレーパ23によって搬送され、排出口26まで運ばれる。焼却灰には、水分を含んでいる灰も含まれている。
【0104】
図7に示したスクレーパコンベヤは、上部リターン式と言われるコンベヤであり、図示しているように、矢印A方向に上部を通るスクレーパ23を移動させて、下部を通る時に焼却灰の投入口24から投入された焼却灰をスクレーパ23で搬送して排出口26まで移動させるようになっている。
【0105】
上部リターン式のスクレーパコンベヤの場合、矢印A方向の上部を移動しているスクレーパ23は搬送物を運んでおらず、矢印B方向の下部を移動しているスクレーパ23は搬送物を運んでいる。
【0106】
図7に示すように、本発明のコンベヤチェーンの付着防止装置を装着することで、コンベヤチェーンの動きに合わせて付着防止装置によって、コンベヤチェーンのローラを打撃することができる。
【産業上の利用可能性】
【0107】
本発明は、コンベヤチェーンの隙間に入り込んでいる灰等の付着を防止するための装置であり、ハンマーにより衝撃を与えることにより、コンベヤチェーンの屈曲不良を起こすことなく、コンベヤチェーンの摩耗を減らすことができる装置を提供する。
【0108】
また、本発明では、カム及びアームが軸に摺動可能としていることから、軸に過大なトルク(負担)が掛からないようになっている。また、コンベヤチェーンの動きに同調して動くため、機械的な構造であり、付着防止装置を既存のコンベヤに設置することも容易である。さらに、電気的な信号や制御を必要としない装置であることから、省エネにもなる。
【0109】
コンベヤチェーンが円滑に駆動することにより、コンベヤチェーンに掛かる張力を測定することで、どのような状態で運転、運搬されているかが判る「運転の見える化」、「故障の予知」、「運転の支援」、「省力化」、「脱炭素」に対応できるものである。
【0110】
更に、コンベヤチェーンに屈曲不良が生じないようにすることで、コンベヤチェーンの正転・逆転運動を自動化できることができ、コンベヤの運転をより効率的に行えるようになる。
【符号の説明】
【0111】
1 台座
2 軸保持部
3 軸
4 カム
5 アーム
6 ハンマー
7 コンベヤチェーン
8 プレート
9 ローラ
10 ストッパー
11 カムの先端
12 カムの側面
13 ピン
14 引掛部
15 ケーシング
16 駆動軸
17 従動軸
18 ヘッドスプロケット
19 モータ
20 テールスプロケット
21 ガイドレール
22 コンベヤチェーンが通る軌跡
23 スクレーパ
24 投入口
25 焼却灰
26 排出口
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11