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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2025006182
(43)【公開日】2025-01-17
(54)【発明の名称】ハリセン
(51)【国際特許分類】
   G10K 3/00 20060101AFI20250109BHJP
   G09F 1/04 20060101ALI20250109BHJP
【FI】
G10K3/00
G09F1/04 A
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023106821
(22)【出願日】2023-06-29
(71)【出願人】
【識別番号】523231037
【氏名又は名称】下山 拓也
(74)【代理人】
【識別番号】100187838
【弁理士】
【氏名又は名称】黒住 智彦
(74)【代理人】
【識別番号】100220892
【弁理士】
【氏名又は名称】舘 佳耶
(74)【代理人】
【識別番号】100205589
【弁理士】
【氏名又は名称】日野 和将
(72)【発明者】
【氏名】下山 拓也
(57)【要約】
【課題】
優れた耐久性と耐水性を有し、長期間にわたって使用できるだけでなく、大きく迫力のある音を鳴らすことができるハリセンを提供する。
【解決手段】
本体シート11に複数本の折り目Lを付けて蛇腹状に形成され、蛇腹状に折り曲げられた本体シート11の基端縁側が、手で掴むためのグリップ部10aとされ、蛇腹状に折り曲げられた本体シート11の先端縁側が、打ち付けることで音を鳴らす打ち付け部10bとされたハリセン10において、本体シート11を、本体シート11のオモテ面を形成する樹脂製のオモテ側シート11aと、本体シート11のウラ面を形成する樹脂製のウラ側シート11bとを重ねた構造とし、オモテ側シート11aとウラ側シート11bとを、折り目Lに重なる第一溶着部αで線状に溶着した。
【選択図】 図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
本体シートに複数本の折り目を付けて蛇腹状に形成され、
蛇腹状に折り曲げられた本体シートの基端縁側が、手で掴むためのグリップ部とされ、
蛇腹状に折り曲げられた本体シートの先端縁側が、打ち付けることで音を鳴らす打ち付け部とされたハリセンであって、
本体シートが、
本体シートのオモテ面を形成する樹脂製のオモテ側シートと、
本体シートのウラ面を形成する樹脂製のウラ側シートと
を重ねた構造とされ、
オモテ側シートとウラ側シートとが、前記折り目に重なる第一溶着部で線状に溶着された
ことを特徴とするハリセン。
【請求項2】
前記折り目の両端区間が、第一溶着部が設けられない空白区間とされた請求項1記載のハリセン。
【請求項3】
オモテ側シートとウラ側シートとが、本体シートの外周縁に重なる第二溶着部でも線状に溶着された請求項2記載のハリセン。
【請求項4】
オモテ側シート又はウラ側シートのうち少なくとも一方の外面に、印刷層が設けられた請求項3記載のハリセン。
【請求項5】
オモテ側シートとウラ側シートとの隙間空間にカードを挿入するためのカード挿入口が、本体シートに設けられた請求項3記載のハリセン。
【請求項6】
打ち付け部に、本体シートの基端縁側から先端縁側に向かって帯状に延びる発光体収容領域が設けられ、
オモテ側シートとウラ側シートとが、発光体収容領域の外周縁に重なる第三溶着部でも線状に溶着され、
発光体収容領域におけるオモテ側シートとウラ側シートとの隙間空間に、棒状発光体を収容できるようにした
請求項3記載のハリセン。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、イベント会場での使用に適したハリセンに関する。
【背景技術】
【0002】
野球やバスケットボール等のスポーツ観戦時には、ハリセン(「張り扇」とも表記する。)を手に握り、それを反対側の手に打ち付けて音を鳴らすことで、選手やチームを応援することが行われている。この種のハリセンは、特許文献1に示すように、応援メッセージ等が印刷された厚紙を折り曲げることによって形成されるものが多く、会場で無料で配られていることが多い。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】実登第3022916号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、厚紙製のハリセンは、耐久性がないため、その場限りで使い捨てされることが多い。特に、雨天時の屋外イベントで厚紙製のハリセンを使用すると、そのハリセンは、水を吸って容易に破れてしまう。このため、試合やコンサートが終わった後の会場では、使用済みのハリセンが投げ捨てられることもある。そのハリセンの回収や処分には、手間やコストが掛かる。そもそも、試合等のイベントごとに大量のハリセンが廃棄されるのは、環境面でも好ましくない。加えて、厚紙製のハリセンは、打ち付けたときの音が軽くなり勝ちで、迫力のある音を鳴らしにくいという問題もある。
【0005】
本発明は、上記課題を解決するために為されたものであり、優れた耐久性と耐水性を有し、長期間にわたって使用できるだけでなく、大きく迫力のある音を鳴らすことができるハリセンを提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題は、
本体シートに複数本の折り目を付けて蛇腹状に形成され、
蛇腹状に折り曲げられた本体シートの基端縁側が、手で掴むためのグリップ部とされ、
蛇腹状に折り曲げられた本体シートの先端縁側が、打ち付けることで音を鳴らす打ち付け部とされたハリセンであって、
本体シートが、
本体シートのオモテ面を形成する樹脂製のオモテ側シートと、
本体シートのウラ面を形成する樹脂製のウラ側シートと
を重ねた構造とされ、
オモテ側シートとウラ側シートとが、前記折り目に重なる第一溶着部で線状に溶着された
ことを特徴とするハリセン
を提供することによって解決される。
【0007】
このように、ハリセンの本体シートを樹脂製とすることによって、ハリセンの耐久性と耐水性を高めることができる。また、本体シートを樹脂製とすると、ハリセンにコシが出にくくなる(ハリセンが撓みやすくなりすぎる)ところ、本体シートをオモテ側シートとウラ側シートとを重ね合わせた構造とすることによって、ハリセンにコシを出す(ハリセンにある程度の剛性を付与する)ことができる。さらに、オモテ側シートとウラ側シートとの隙間空間でも音を響かせることができるため、大きく迫力のある音を鳴らすことも可能になる。
【0008】
ただし、本体シートを、オモテ側シートとウラ側シートとを重ねた構造とすると、オモテ側シートとウラ側シートとが折り目付近でばらけ、本体シートが、綺麗な蛇腹状に折れ曲がりにくくなる。この点、本体シートの折り目に重なる箇所(第一溶着部)で、オモテ側シートとウラ側シートとを線状に溶着することによって、オモテ側シートとウラ側シートとが折り目付近でばらけにくくすることができる。また、本体シートにおけるオモテ側シート及びウラ側シートを互いに溶着した部分(第一溶着部)は、その周辺(互いに溶着していない部分)よりも厚みが小さくなる(薄くなる)。このため、本体シートに敢えて折り目を付けなくても、第一溶着部を折り目として本体シートが自然と折れ曲がるようになる。第一溶着部は、一部の折り目だけに設けてもよいが、全ての折り目に設けると、本体シートが、より綺麗な蛇腹状になりやすくなる。
【0009】
本発明のハリセンにおいては、本体シートの折り目の両端区間(先端区間(上端区間)及び基端区間(下端区間))を、第一溶着部が設けられない空白区間とすることが好ましい。換言すると、第一溶着部は、折り目の中間区間(先端区間及び基端区間を除いた区間)のみに設けることが好ましい。というのも、本体シートは、線状の第一溶着部が形成された部分でその周囲よりも薄くなる。このため、折り目の全区間にわたって第一溶着部が設けられている(第一溶着部の先端(上端)が本体シートの先端縁(上端縁)に達し、第一溶着部の基端(下端)が本体シートの基端縁(下端縁)に達している)と、ハリセンを打ち付けた際に、本体シートが、第一溶着部の先端や基端を起点として線状に破断(第一溶着部に沿って破断)しやすくなるおそれがある。この点、上記の空白区間を設けて、第一溶着部が本体シートの先端縁や基端縁まで達しないようにすることによって、本体シートが第一溶着部に沿って破断しにくくできるからである。また、上記の空白区間を本体シートの先端区間(上端区間)に設けると、ハリセンを手に持った際に打ち付け部が綺麗な扇状に開きやすくなるというメリットもある。
【0010】
本発明のハリセンにおいて、オモテ側シートとウラ側シートは、本体シートの外周縁(先端縁(上端縁)及び基端縁(下端縁)、並びに、左右一対の側端縁)に重なる第二溶着部でも線状に溶着することが好ましい。これにより、オモテ側シートとウラ側シートとの一体性を高め、本体シートの耐久性をさらに高めることができる。
【0011】
本発明のハリセンにおける本体シート(オモテ側シート及びウラ側シート)の外面には、文字、図形若しくは記号又はこれらの組み合わせを表すことができる。例えば、応援メッセージや、応援する選手の写真やチームキャラクターのイラスト等を表すことができる。これらの文字や図形等の表し方としては、例えば、オモテ側シート又はウラ側シートのうち少なくとも一方の外面に印刷層を設ける(印刷を施す)方法が挙げられる。
【0012】
このほか、上記の文字や図形等を印刷等したカードを、本体シートの内部に収容することで、そのカードに表された文字や図形等が本体シートの外面に表れるようにする方法も挙げられる。具体的には、カード挿入口を本体シートに設け、そのカード挿入口を通じて、オモテ側シートとウラ側シートとの隙間空間にカードを挿入することもできる。この場合、オモテ側シートとウラ側シートのうち少なくともその一方(通常、オモテ側シート)には、透明部分を設け、その透明部分を通じて、カードに表された文字や図形等が見えるようにする。透明部分は、オモテ側シートとウラ側シートの両方に設けることもできる。また、透明部分は、オモテ側シートやウラ側シートの全体に設ける(オモテ側シートの全体を透明にしたり、ウラ側シートの全体を透明にしたりする)こともできる。
【0013】
本発明のハリセンにおいては、
打ち付け部に、本体シートの基端縁側から先端縁側に向かって帯状に延びる発光体収容領域を設け、
オモテ側シートとウラ側シートとを、発光体収容領域の外周縁に重なる第三溶着部でも線状に溶着し、
発光体収容領域におけるオモテ側シートとウラ側シートとの隙間空間に、棒状発光体を収容できるようにする
ことも好ましい。
【0014】
これにより、ハリセンを発光させることが可能になる。このため、より効果的な応援を行ったり、会場の雰囲気をより盛り上げたりすることができる。例えば、プロ野球のナイトゲームでは、選手の登場時等に、ナイター照明を落とし、スポットライトやプロジェクションマッピングを用いた演出を行うことがある。このようなときにハリセンを打ち鳴らすと、棒状発光体からの光が揺れているように見え、会場の雰囲気を盛り上げることができる。
【発明の効果】
【0015】
以上のように、本発明によって、優れた耐久性と耐水性を有し、長期間にわたって使用できるだけでなく、大きく迫力のある音を鳴らすことができるハリセンを提供することが可能になる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
図1】第一実施形態のハリセンを示した斜視図である。
図2】第一実施形態のハリセンを展開してオモテ側から見た状態を示した図である。
図3】第一実施形態のハリセンにおける図2の丸囲み部分をY-Y面で切断した断面図である。
図4】第二実施形態のハリセンを展開してオモテ側から見た状態を示した図である。
図5】第二実施形態のハリセンを展開してウラ側から見た状態を示した図である。
図6】第三実施形態のハリセンを展開してオモテ側から見た状態を示した図である。
図7】第三実施形態のハリセンを展開してウラ側から見た状態を示した図である。
図8】第四実施形態のハリセンを示した斜視図である。
図9】第四実施形態のハリセンを展開してオモテ側から見た状態を示した図である。
図10】第四実施形態のハリセンにおける図9の丸囲み部分をY-Y面で切断した断面図である。
図11】第四実施形態のハリセンで用いる棒状発光体の一例を示した断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
本発明のハリセンについて、図面を用いてより具体的に説明する。以下では、4つの実施形態(第一実施形態、第二実施形態、第三実施形態及び第四実施形態)を例に挙げて、本発明のハリセンを説明する。しかし、本発明の技術的範囲は、これらの実施形態に限定されない。本発明のハリセンには、発明の趣旨を損なわない範囲で適宜変更を施すことができる。
【0018】
1.第一実施形態のハリセン
まず、第一実施形態のハリセンについて説明する。図1は、第一実施形態のハリセン10を示した斜視図である。このハリセン10は、図1に示すように、本体シート11を複数の折り目Lで蛇腹状に折り曲げることによって形成している。蛇腹状に折り曲げられた本体シート11の基端縁側(図1の下端縁側)は、グリップ部10aとなっており、その本体シート11の先端縁側(図1の上端縁側)は、打ち付け部10bとなっている。
【0019】
グリップ部10aを手(持ち手)で掴むことでハリセン10を持ち、そのハリセン10における打ち付け部10bを、持ち手とは反対側の手等に打ち付けることで、扇状に開いていた打ち付け部10bが閉じる。その際、打ち付け部10bの本体シート11における折り目Lの間に位置する面状の部分(例えば、折り目Lと折り目Lとの間の面状の部分)がそれに重なる隣の面状の部分(例えば、折り目Lと折り目Lとの間の面状の部分)に接触することによって、「バン!」という音が鳴る。打ち付け部10bを繰り返し手等に打ち付けることで、その音が繰り返し鳴る。これにより、スポーツ観戦やライブ鑑賞の際等に、拍手や手拍子よりも迫力のある音を鳴らしながら、応援を行ったり、会場の雰囲気を盛り上げたりすることが可能になる。
【0020】
図2に、第一実施形態のハリセン10を蛇腹状に折り曲げる前の状態(第一実施形態のハリセン10を展開してオモテ側から見た状態)を示す。本体シート11を、図2の折り目L,L,L,L,Lで山折りし、折り目L,L,L,Lで谷折りすることで、図1のハリセン10が得られる。第一実施形態のハリセン10においては、本体シート11を矩形状としている。また、複数本の折り目Lは、互いに平行としている。さらに、隣り合う折り目Lの間隔を、折り目Lに依らず一定としている。すなわち、折り目Lと折り目Lの間隔、折り目Lと折り目Lの間隔、折り目Lと折り目Lの間隔、折り目Lと折り目Lの間隔、折り目Lと折り目Lの間隔、折り目Lと折り目Lの間隔、折り目Lと折り目Lの間隔、及び、折り目Lと折り目Lの間隔を、全て同じ値に揃えている。
【0021】
しかし、本体シート11の形状や、折り目Lの配置等は、上記のものに限定されない。本体シート11は、三角形状等の多角形状としてもよいし、楕円形状の曲線を有する形状としてもよい。また、隣り合う折り目Lの間隔は、場所によって変えてもよい。例えば、折り目Lと折り目Lの間隔、折り目Lと折り目Lの間隔、折り目Lと折り目Lの間隔、折り目Lと折り目Lの間隔、及び、折り目Lと折り目Lの間隔をSとし、折り目Lと折り目Lの間隔、折り目Lと折り目Lの間隔折り目Lと折り目Lの間隔、及び、折り目Lと折り目Lの間隔をS’(<S)とすることができる。さらに、隣り合う折り目Lを非平行としてもよい。例えば、折り目Lと折り目Lとを「八」の字状に配置し、折り目Lと折り目Lとを逆「八」の字状に配置し、以降の折り目も、「八」の字状の配置と、逆「八」の字状の配置とを交互に繰り返すように配置することができる。
【0022】
本体シート11の寸法(展開時の寸法)も、特に限定されない。しかし、ハリセン10としての使用しやすさ等を考慮すると、本体シート11の縦長(基端縁から先端縁に向かう方向(上下方向)の長さ)が、通常、20~50cmとされ、好ましくは、25~40cmとされる。また、本体シート11の横長(左端縁から右端縁に向かう方向(左右方向)の長さ)が、通常、30~100cmとされ、好ましくは、35~60cmとされる。第一実施形態のハリセン10においては、本体シート11の縦長が約30cmで横長が約42cmとなっている。
【0023】
折り目Lの間隔(後掲する図3の間隔Wを参照。)も、特に限定されない。しかし、折り目Lの間隔Wが狭すぎると、ハリセン10を打ち付けても音が鳴りにくくなる。また、折り目Lの数が多くなりすぎてしまう(折り目Lの本数は、好ましくは、4~20本の範囲とされ、より好ましくは、5~15本、さらに好ましくは、7~12本とされる。)。その一方で、折り目Lの間隔Wが広すぎると、グリップ部10aを握りにくくなるだけでなく、打ち付け部10bが綺麗な扇状になりにくくなる。このため、折り目Lの間隔Wは、通常、20~70mmとされ、好ましくは、30~50mmとされる。第一実施形態のハリセン10においては、折り目Lの間隔Wを約42mmに設定している。
【0024】
図3に、第一実施形態のハリセン10における図2の丸囲み部分をY-Y面で切断した断面図を示す。図3に示すように、本体シート11は、オモテ側シート11aとウラ側シート11bとを重ね合わせた構造となっている。オモテ側シート11a及びウラ側シート11bは、いずれも樹脂製(樹脂シート)となっている。オモテ側シート11aとウラ側シート11bは、図2に示す溶着部α(同図で網掛けハッチングで示した線状の部分)で互いに溶着することで一体化している。このように、本体シート11を樹脂製としたことによって、本体シート11の耐久性及び耐水性が高くなっている。このため、ハリセン10を繰り返し使用する(ハリセン10が使い捨てされないようにする)ことができる。
【0025】
また、2枚の樹脂シート(オモテ側シート11a及びウラ側シート11b)を重ねたことによって、本体シート11にコシが出ている(容易に撓まない程度の剛性が本体シート11に付与されている)。本体シート11にコシがあることで、打ち付け部10bを打ち付けた際に「バン!」という音が出やすくなっている。加えて、図3に示すように、本体シート11におけるオモテ側シート11aとウラ側シート11bとが溶着されていない領域には、オモテ側シート11aとウラ側シート11bとの間に隙間空間εが形成されるところ、この隙間空間εで音を響かせることが可能となっている。このため、上記の「バン!」という音を大きく響かせることも可能となっている。
【0026】
オモテ側シート11a及びウラ側シート11bに使用する樹脂の種類は、溶着可能なもの(熱可塑性樹脂)であれば、特に限定されない。熱可塑性樹脂としては、ポリ塩化ビニル(PVC)や、ポリエチレン(PE)や、ポリプロピレン(PP)や、ポリスチレン(PS)や、アクリロ二トリル・ブタジエン・スチレン(ABS)や、アクリル(PMMA)や、ポリブチレンテレフタレート(PBT)や、ポリエチレンテレフタラート(PET)や、ポリカーボネート(PC)等が挙げられる。これらの中でも、ポリ塩化ビニル(PVC)や、アクリル(PMMA)や、アクリロ二トリル・ブタジエン・スチレン(ABS)や、ポリカーボネート(PC)等の非結晶性樹脂は、耐衝撃性に優れるため、オモテ側シート11a及びウラ側シート11bとして好適に採用することができる。加えて、非結晶性樹脂は、透明性が高いという特徴も有している。第一実施形態のハリセン10においては、オモテ側シート11a及びウラ側シート11bとして、ポリ塩化ビニル(PVC)製のシートを用いている。
【0027】
オモテ側シート11a及びウラ側シート11bの厚さも、特に限定されない。しかし、オモテ側シート11aやウラ側シート11bが薄すぎると、オモテ側シート11aやウラ側シート11bが破れやすくなるだけでなく、上述したコシが本体シート11に出にくくなる。このため、オモテ側シート11a及びウラ側シート11bの厚さは、それぞれ、0.1mm以上とすることが好ましい。オモテ側シート11a及びウラ側シート11bの厚さは、それぞれ、0.2mm以上とすることがより好ましく、0.25mm以上とすることがさらに好ましい。ただし、オモテ側シート11aやウラ側シート11bを厚くしすぎると、本体シート11が重くなるだけでなく、オモテ側シート11a及びウラ側シート11bを溶着しにくくなるおそれもある。このため、オモテ側シート11a及びウラ側シート11bの厚さは、それぞれ、1mm以下とすることが好ましい。オモテ側シート11a及びウラ側シート11bの厚さは、それぞれ、0.7mm以下とすることがより好ましく、0.5mm以下とすることがさらに好ましい。第一実施形態のハリセン10において、オモテ側シート11a及びウラ側シート11bの厚さは、それぞれ、0.3mmとしている。
【0028】
既に述べたように、オモテ側シート11aとウラ側シート11bは、溶着部αで局所的(線状)に溶着しているところ、第一実施形態のハリセン10では、溶着部αとして、第一溶着部αと第二溶着部αとを設けている。
【0029】
第一溶着部αは、オモテ側シート11aとウラ側シート11bとを折り目Lに重なる箇所で線状に溶着する部分となっている。この第一溶着部αによって、本体シート11に折り目Lをわざわざ付けなくても、本体シート11が折り目Lで折れ曲がりやすくすることができる。というのも、第一溶着部α等の溶着部αは、その箇所に溶着ホーン(超音波ホーン)を押し当て、その箇所の樹脂シート(オモテ側シート11a及びウラ側シート11b)を溶融させた後、再び固化させた箇所であるところ、溶着ホーンが押し当てられた溶着部αでは、本体シート11がプレスされた状態となり、本体シート11の厚みがその周囲よりも小さくなる(第一溶着部α等の溶着部αが線状の薄肉部となる)からである。第一溶着部αは、折り目L~Lのうち一部のみに設けてもよいが、全ての折り目L~Lに設けることが好ましい。
【0030】
それぞれの第一溶着部αは、それぞれの折り目Lの全区間にわたって設けてもよいが、第一実施形態のハリセン10においては、図2に示すように、それぞれの折り目Lの両端区間に、第一溶着部αが設けられていない空白区間γ,γを設けている。空白区間γは、本体シート11の先端縁側に設けており、空白区間γは、本体シート11の基端縁側に設けている。既に述べたように、第一溶着部αは、線状の薄肉部となるところ、この第一溶着部αが、本体シートの先端縁(上端縁)や基端縁(下端縁)にまで達していると、ハリセン10を打ち付けた際に、本体シート11が、第一溶着部αの先端(上端)や基端(下端)を起点として線状に破断するおそれがある。この点、空白区間γ,γを設けたことで、本体シート11が、第一溶着部αの先端(上端)や基端(下端)を起点として破断しにくくなっている。また、空白区間γ,γにおける本体シート11は、厚みがある分、折り目Lに逆らって広がろうとするため、グリップ部10aを握った際に、打ち付け部10bが図1に示すような綺麗な扇状に開きやすくなるというメリットもある。
【0031】
空白区間γ,γの幅(折り目Lに沿った方向の長さ。以下同じ。)は、特に限定されない。しかし、空白区間γ,γを狭くしすぎると、空白区間γ,γを設ける意義が低下する。このため、空白区間γ,γの幅は、それぞれ、5mm以上とすることが好ましい。空白区間γ,γの幅は、それぞれ、8mm以上とすることがより好ましく、10mm以上とすることがさらに好ましい。ただし、空白区間γ,γを広くしすぎると、それぞれの第一溶着部αが短くなり、本体シート11が折り目Lで折れ曲がりにくくなるおそれがある。このため、空白区間γ,γの幅は、それぞれ、50mm以下とすることが好ましい。空白区間γ,γの幅は、それぞれ、40mm以下とすることがより好ましく、30mm以下とすることがさらに好ましい。第一実施形態のハリセン10においては、空白区間γ,γの幅を、それぞれ、15mmに設定している。
【0032】
第二溶着部αは、オモテ側シート11aとウラ側シート11bとを本体シート11の外周縁に重なる箇所で線状に溶着する部分となっている。第一実施形態のハリセン10において、第二溶着部αは、本体シート11の先端縁(上端縁)と、基端縁(下端縁)と、一対の側端縁(左端縁及び右端縁)とに重なる箇所に設けている。このように、本体シート11の外周縁でもオモテ側シート11aとウラ側シート11bとを溶着することによって、オモテ側シート11aとウラ側シート11bとの一体性を高め、オモテ側シート11aやウラ側シート11bがめくれにくくすることができる。このため、本体シート11の強度を高めることができる。
【0033】
上述した第一溶着部αや第二溶着部α等の線状の溶着部αは、それぞれを断続的に形成(例えば破線状乃至はミシン目状に形成)してもよい。線状の溶着部αを断続的に形成すると、溶着部αにおける溶着強度が若干低下するものの、本体シート11が溶着部αで破断しにくくなるというメリットがある。ただし、第一実施形態のハリセン10においては、溶着強度を重視し、溶着部αのそれぞれを連続的(連続線状)に形成している。
【0034】
図3に示すように、オモテ側シート11aやウラ側シート11bの外面には、印刷層δ(印刷層δ,δ)を設けることができる。印刷層δは、オモテ側シート11aの外面(本体シート11のオモテ面)に設け、印刷層δは、ウラ側シート11bの外面(本体シート11のウラ面)に設けている。これにより、後述する第二実施形態のハリセン10(図4)のように、本体シート11の外面(オモテ面又はウラ面)に、文字、図形若しくは記号又はこれらの組み合わせ(図1,2では図示省略。)を表すことができる。例えば、応援メッセージや、応援する選手の写真やチームキャラクターのイラスト等を表すことができる。印刷層δの表面には、ニス塗り等の表面処理を施すこともできる。これにより、印刷が落ちにくくすることができる。
【0035】
この印刷層δ(印刷層δ,δ)は、白色等の単色で印刷することもできる。この場合には、その面を、ホワイトボードのように、水性マジック等でメッセージ等を記入可能なものとすることができる。スポーツ観戦の際には、全ての選手名や応援メッセージを予め用意するのは大変であるところ、本体シート11の外面を、ホワイトボードのように利用することができれば、そのときに考え付いたメッセージ等をその場で記入することが可能になる。
【0036】
ただし、印刷層δを設けた領域では、オモテ側シート11aとウラ側シート11bとを溶着しにくくなる。この問題は、オモテ側シート11aとウラ側シート11bとを溶着した後に、印刷層δを設けるようにすることで、解決することができる。しかし、その場合には、印刷層δが歪むおそれがある。この点、オモテ側シート11a及びウラ側シート11bの外面における、溶着部αとなる箇所を除いた領域に印刷層δを設けた後、溶着部αでオモテ側シート11aとウラ側シート11bとを溶着するようにすれば、印刷層δを綺麗に設けることができるし、オモテ側シート11aとウラ側シート11bとを溶着部αでしっかりと溶着することもできる。
【0037】
2.第二実施形態のハリセン
続いて、第二実施形態のハリセンについて説明する。図4及び図5は、第二実施形態のハリセン10を展開した図であって、図4は、オモテ側から見た状態を、図5は、ウラ側から見た状態を示している。第二実施形態のハリセン10では、図4に示すように、本体シート11のオモテ側の印刷層δで、「VICTORY!」の文字と、5人の選手の写真を印刷している。また、図5に示すように、本体シート11のウラ側の印刷層δでは、白色単色を印刷している。このため、本体シート11のウラ面をホワイトボードのように利用できるようになっている。第二実施形態のハリセン10で特に言及しない構成については、第一実施形態のハリセン10で述べたものと同様の構成を採用することができる。
【0038】
3.第三実施形態のハリセン
続いて、第三実施形態のハリセンについて説明する。図6及び図7は、第三実施形態のハリセン10を展開した図であって、図6は、オモテ側から見た状態を、図7は、ウラ側から見た状態を示している。上述した第二実施形態のハリセン10(図4)では、オモテ側シート11aの外面に印刷する(印刷層δを設けること)によって、本体シート11のオモテ側に文字や写真を表していた。これに対し、第三実施形態のハリセン10(図6)では、オモテ側シート11aに印刷を施すことなく、同様の文字や写真を表している。
【0039】
具体的には、図7に示すように、本体シート11のウラ側の基端縁(下端縁)付近に、カード挿入口12を設けており、このカード挿入口12を通じて、オモテ側シート11aとウラ側シート12bとの隙間空間ε(図3を参照)にカード13を挿入することで、図6に示すように、そのカード13のオモテ面に印刷された文字や写真を、本体シート11のオモテ側から見えるようにしている。オモテ側シート11aがカード13を隠さないように、オモテ側シート11aは、透明のまま(印刷層を施さない状態)としている。
【0040】
カード13は、複数枚(本例では合計10枚)用意しており、それらのカード13を並べると、それぞれのカード13の文字や図柄が連続するようになっている。これらのカード13は、隣り合う第一溶着部αの間の領域(8箇所)と、最も左側に位置する第一溶着部αと本体シート11の左端縁に沿う第二溶着部αとの間の領域(1箇所)と、最も右側に位置する第一溶着部αと本体シート11の右端縁に沿う第二溶着部αとの間の領域(1箇所)とに挿入される。このため、上記のカード挿入口12は、それぞれの領域に対応する箇所に設けている。
【0041】
第三実施形態のハリセン10において、カード挿入口12は、ウラ側シート11bにスリット状の切り込みを設けることによって形成しているが、オモテ側シート11aに同様の切り込みを設けることによって形成することもできる。また、カード挿入口12は、切り込みという形態ではなく、本体シート11の基端縁(下端縁)に第二溶着部αが存在しない区間を設けることによって形成することもできる。さらに、カード挿入口12は、本体シート11の基端縁(下端縁)付近ではなく、先端縁(上端縁)付近に形成することもできる。
【0042】
第三実施形態のハリセン10では、オモテ側シート11aだけでなく、ウラ側シート11bも透明としている。このため、本体シート11のウラ側からは、カード13のウラ面が見えるようになっている。カード13のウラ面は、単一色(本例では白色1色)としている。このため、本体シート11のウラ面をホワイトボードとして利用できるようになっている。この点、カード13のウラ面にも、文字や図形等を表して、その文字や図形等が本体シート11のウラ側から見えるようにしてもよい。
【0043】
このように、オモテ側シート11aやウラ側シート11bを透明とし、カード挿入口12を通じて、オモテ側シート11aとウラ側シート11bとの隙間空間εにカード13を挿入できるようにすることで、カード13を交換することで、本体シート11のオモテ側やウラ側に表示する文字や図形等を切り替えることが可能になる。このため、複数組のカード13を用意しておけば、1つの本体シート11を、様々な場面で使用することが可能になる。例えば、野球チームを応援するときには、本体シート11にその野球チーム用のカード13を挿入し、サッカーチームを応援するときには、本体シート11にそのサッカーチーム用のカード13を挿入するといったことが可能になる。
【0044】
また、カード13は、本体シート11の芯材としても機能するため、本体シート11のコシをさらに強くすることもできる。カード13は、印刷等を施すことなく、専ら芯材用とすることもできる。この場合には、本体シート11の文字や図形等は、オモテ側シート11aやウラ側シート11bの外面に施した印刷で表すことになる。
【0045】
第三実施形態のハリセン10で特に言及しない構成については、上述した第一実施形態のハリセン10や第二実施形態のハリセン10で述べたものと同様の構成を採用することができる。
【0046】
4.第四実施形態のハリセン
続いて、第四実施形態のハリセンについて説明する。図8は、第四実施形態のハリセン10を示した斜視図である。図9は、第四実施形態のハリセン10を展開してオモテ側から見た状態を示した図である。図10は、第四実施形態のハリセン10における図9の丸囲み部分をY-Y面で切断した断面図である。第四実施形態のハリセン10は、図8~10に示すように、打ち付け部10bに発光体収容領域ζが設けられており、この発光体収容領域ζにおけるオモテ側シート11aとウラ側シート11bとの隙間空間ε(図10)に、棒状発光体15を収容できるようにしている。
【0047】
発光体収容領域ζにおけるオモテ側シート11a及びウラ側シート11bは、少なくともその一方の一部の領域は、印刷等が施さず、透明な状態とされ、その透明な領域を通じて、棒状発光体15の光が出射できるようにされる。これにより、棒状発光体15によってハリセン10を発光させて、より効果的な応援を行ったり、会場の雰囲気をより盛り上げたりすることができる。
【0048】
発光体収容領域ζは、本体シート11の基端縁(下端縁)側から先端縁(上端縁)側に向かって帯状に延びるように設けており、オモテ側シート11aとウラ側シート11cとを、発光体収容領域ζの外周縁(先端縁(上端縁)及び基端縁(下端縁)並びに一方の側端縁(左端縁)及び他方の側端縁(右端縁))に重なる第三溶着部αでも線状に溶着している。発光体収容領域ζには、発光体挿入口14(図9)を設けており、この発光体挿入口14を通じて、発光体収容領域ζにおける隙間空間ε内に、棒状発光体15を挿入することができるようにしている。第四実施形態のハリセン10では、発光体収容領域ζの基端(下端)付近にスリット状の切り込みを設けることで、発光体挿入口14を形成している。発光体挿入口14(スリット)は、一直線状に設けてもよいが、円弧状に形成することが好ましい。これにより、発光体挿入口14から棒状発光体15を挿入したり、引き抜いたりする際に、発光体挿入口(スリット)14の両端部付近が破断しにくくすることができる。
【0049】
発光体収容領域ζは、折り目Lから離隔して設けてもよい。しかし、その場合には、棒状発光体15が、打ち付け部10bにおける隣り合う折り目Lの間の面状の部分の左右方向中央部分に位置するようになり、打ち付け部10bにおける隣り合う面状の部分の接触を棒状発光体15が邪魔しやすくなるため、打ち付け部10bを打ち付けた際の音が鳴りにくくなるおそれがある。また、棒状発光体15が奥まった位置となり、棒状発光体15の光が見えにくくなるおそれもある。
【0050】
このため、第四実施形態のハリセン10においては、発光体収容領域ζを折り目Lに沿うように設けている。上述したように、発光体収容領域ζの外周縁(先端縁(上端縁)及び基端縁(下端縁)並びに一方の側端縁(左端縁)及び他方の側端縁(右端縁))におけるオモテ側シート11aとウラ側シート11bは、第三溶着部αで溶着されているところ、この第三溶着部αのうち、発光体収容領域ζの一方の側端縁(左端縁)を溶着する部分(以下、「第三溶着部αの左端縁」という。)が、折り目Lに重なるようにしており、第三溶着部αの左端縁が、上述した第一溶着部αと同様の機能(本体シート11が折り目Lで折れ曲がりやすくする機能)を発揮するようになっている。
【0051】
発光体収容領域ζは、全ての折り目L(折り目L~L)に沿って設けてもよいが、この場合には、必要な棒状発光体15の本数が多くなり、ハリセン10が重くなってしまう。また、棒状発光体15が邪魔をして音が鳴りにくくなるおそれもある。このため、第四実施形態のハリセン10においては、折り目L,L,Lのみに発光体収容領域ζを設けている。換言すると、本体シート11の左右方向中央部の折り目Lに、1つ飛ばしで発光体収容領域ζを設けている。また、発光体収容領域ζは、本体シート11の先端縁(上端縁)に達する状態で設けてもよいが、第四実施形態のハリセン10では、本体シート11の先端縁(上端縁)に達しない状態で設けている。その理由は、第一溶着部αに空白区間γ図2)を設けたのと同様である。
【0052】
発光体収容領域ζの縦長は、特に限定されない。しかし、発光体収容領域ζの縦長が短すぎると、その発光体収容領域ζに、長めの棒状発光体15を収容できなくなる。このため、発光体収容領域ζの縦長は、100mm以上とすることが好ましい。発光体収容領域ζの縦長は、150mm以上とすることがより好ましく、200mm以上とすることがさらに好ましい。ただし、発光体収容領域ζの縦長を長くしすぎると、必然的に、本体シート11の寸法が大きくなり、ハリセン10を振りにくくなる。このため、発光体収容領域ζの縦長は、300mm以下とすることが好ましい。第四実施形態のハリセン10においては、発光体収容領域ζの縦長を210mmとしている。
【0053】
本体シート11における隣り合う折り目Lの間隔W図10)に対する、発光体収容領域ζの横幅W図10)の比W/Wも、特に限定されない。しかし、比W/Wを大きくしすぎると、打ち付け部10bを打ち付けた際に大きな音が鳴りにくくなる。このため、比W/Wは、0.5以下とすることが好ましい。比W/Wは、0.45以下とすることがより好ましく、0.4以下とすることがさらに好ましい。比W/Wに特に下限はないが、通常、0.05よりも大きく設定される。第四実施形態のハリセン10においては、横幅Wが42mmで横幅Wが15mmとなっており、比W/Wが約0.36となっている。
【0054】
発光体収容領域ζに収容する棒状発光体15の種類は、特に限定されず、発光ダイオード(LED)等を用いることもできる。しかし、棒状発光体15として発光ダイオードを用いると、ハリセン10に、電源や配線を設ける必要が生ずる。このため、第四実施形態のハリセン10においては、棒状発光体15として、電源や配線が不要な化学発光体を用いている。図11に、第四実施形態のハリセン10で用いた棒状発光体15(化学発光体)の断面図を示す。この棒状発光体15は、外筒15aと、外筒15a内に収容された内筒15bと、内筒15b内に入れられた第一液15cと、外筒15aと内筒15bとの隙間に入れられた第二液15dとで構成されている。この棒状発光体15は、外筒15aを折り曲げる等して外筒15aに衝撃を加えると、内筒15bが破れ、第一液15cと第二液15dとが接触して化学反応することによって発光するものとなっている。
【0055】
外筒15aは、ポリエチレンやポリプロピレン等の熱可塑性樹脂によって形成された可撓性チューブとなっている。内筒15bは、硼珪酸ガラス等のガラスによって形成された脆弱性チューブ(ガラスアンプル)となっている。第一液15c及び第二液15dは、いずれか一方が酸化液とされ、他方が蛍光液とされる。第四実施形態のハリセン10では、酸化液として、エステル系溶剤に、アルコール類と過酸化水素とサリチル酸塩とを混合した液体を用いており、蛍光液として、エステル系溶剤に、シュウ酸エステルと蛍光色素とを混合した液体を用いている。
【0056】
棒状発光体15として、上記の化学発光体を用いることで、棒状発光体15を積極的に折り曲げなくても、その棒状発光体15を発光体収容領域ζに収容して、ハリセン10を使用しているうち(打ち付け部10bを打ち付けているうち)に、内筒15bが割れ、第一液15cと第二液15dとが化学反応して棒状発光体15が発光するようになる。所定時間(一般的には、数十分から数時間程度)が経過すると、棒状発光体15が発光しなくなる。発光しなくなった棒状発光体15は、発光体挿入口14(図9)を通じて、新しい棒状発光体15に交換すると、ハリセン10を再び発光させることが可能になる。棒状発光体15は、ハリセン10の本体部分(ハリセン部分)とは別売りする(逆に言うと、ハリセン10の本体部分(ハリセン部分)だけを購入可能とする)こともできる。
【0057】
以上で述べた第四実施形態のハリセン10は、音による演出だけでなく、光による演出も可能であるため、各種イベント(スポーツ観戦や、ライブ鑑賞や、祭り等)で好適に用いることができる。特に、屋外で夜間に開催されるスポーツの試合やライブを観戦又は鑑賞する際や、屋外で夜間に開催される祭りに参加する際や、屋内で開催される試合やライブ等を観戦又は鑑賞等する際に、好適に携帯することができる。これにより、効果的な応援を行ったり、試合会場の雰囲気を効果的に盛り上げたりすることができる。
【0058】
第四実施形態のハリセン10で特に言及しない構成については、上述した第一実施形態のハリセン10や第二実施形態のハリセン10や第三実施形態のハリセン10で述べたものと同様の構成を採用することができる。
【符号の説明】
【0059】
10 ハリセン
10a グリップ部
10b 打ち付け部
11 本体シート
11a オモテ側シート
11b ウラ側シート
12 カード挿入口
13 カード
14 発光体挿入口
15 棒状発光体
15a 外筒
15b 内筒
15c 第一液
15d 第二液
~L 折り目
折り目の間隔
発光体収容部の横幅
α 溶着部
α 第一溶着部
α 第二溶着部
α 第三溶着部
γ 空白区間(先端縁側)
γ 空白区間(基端縁側)
δ 印刷層
δ 印刷層(オモテ側)
δ 印刷層(ウラ側)
ε 隙間空間
ζ 発光体収容領域
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11