(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2025006186
(43)【公開日】2025-01-17
(54)【発明の名称】シート後処理装置およびそれを備えた画像形成システム
(51)【国際特許分類】
B65H 9/00 20060101AFI20250109BHJP
B65H 31/38 20060101ALI20250109BHJP
B65H 37/04 20060101ALI20250109BHJP
B65H 5/06 20060101ALI20250109BHJP
G03G 15/00 20060101ALI20250109BHJP
【FI】
B65H9/00 B
B65H31/38
B65H37/04 D
B65H5/06 M
G03G15/00 432
【審査請求】未請求
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023106827
(22)【出願日】2023-06-29
(71)【出願人】
【識別番号】000006150
【氏名又は名称】京セラドキュメントソリューションズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001933
【氏名又は名称】弁理士法人 佐野特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】西村 拓哉
(72)【発明者】
【氏名】頴川 圭介
(72)【発明者】
【氏名】能宗 輝光
(72)【発明者】
【氏名】岡田 武彦
(72)【発明者】
【氏名】上野 康則
(72)【発明者】
【氏名】白▲崎▼ 晴一
(72)【発明者】
【氏名】▲高▼野 悠介
(72)【発明者】
【氏名】青野 信也
【テーマコード(参考)】
2H072
3F049
3F054
3F102
3F108
【Fターム(参考)】
2H072AA17
2H072AA24
2H072AB09
2H072CA01
2H072GA08
2H072HB07
2H072JA02
3F049AA01
3F049AA02
3F049EA10
3F049EA22
3F049EA24
3F049EA27
3F049LA01
3F049LA14
3F049LB03
3F054AA01
3F054AC01
3F054BA02
3F054BH03
3F054CA07
3F054CA23
3F054CA35
3F054DA01
3F054DA11
3F102AA01
3F102AB01
3F102BB03
3F102CA03
3F102CB01
3F102EA01
3F102FA04
3F102FA08
3F108GA01
3F108GB01
3F108HA02
3F108HA43
(57)【要約】
【課題】処理トレイ上に搬入されるシートの後端と整合部材との接触を回避し、シートの整合性を向上可能なシート後処理装置およびそれを備えた画像形成システムを提供する。
【解決手段】シート後処理装置は、第1搬送部材と、処理トレイと、第1処理部と、基準板と、整合部材と、ホームポジション検知部と、制御部と、を備える。整合部材は、駆動部に連結されて回転するシャフトと、シャフトの径方向に突出し、処理トレイ上へ搬入されたシートに接触する1つ以上の整合パドルと、を有する。制御部は、シートの後端が整合パドルに接触する可能性のある接触想定区間と、整合パドルがシートの搬入経路と干渉する干渉タイミングとを算出する。制御部は、干渉タイミングが接触想定区間内である場合、整合部材の回転速度を基準速度から一時的に変更して、干渉タイミングが接触想定区間外となるように整合パドルの位相を変化させる。
【選択図】
図11
【特許請求の範囲】
【請求項1】
シートを搬送する第1搬送部材と、
前記第1搬送部材により所定の搬入方向に沿って搬入される複数の前記シートが積載される処理トレイと、
前記処理トレイ上に積載される前記シートに対して所定の後処理を施す第1処理部と、
前記処理トレイ上に搬入される前記シートの前記搬入方向と反対方向である整合方向下流側の端縁に当接して前記シートを前記搬入方向に整合する基準板と、
前記処理トレイの上方に配置され、駆動部に連結されて回転するシャフトと、
前記シャフトの径方向に突出し、前記処理トレイ上へ搬入された前記シートに接触する1つ以上の整合パドルと、
を有し、前記処理トレイとの対向面において前記整合方向に回転することにより、前記処理トレイ上に搬入される前記シートを前記整合方向に移動させて前記シートの整合を補助する整合部材と、
前記整合パドルが基準位置にあることを検知するホームポジション検知部と、
前記駆動部を制御する制御部と、
を備えたシート後処理装置において、
前記制御部は、
前記シートの出力情報に基づいて、前記搬入方向に沿って搬入される前記シートの後端が前記整合パドルに接触する可能性のある接触想定区間を算出し、
前記ホームポジション検知部の検知結果に基づいて、前記整合パドルが前記シートの搬入経路と干渉する干渉タイミングを算出し、
前記干渉タイミングが前記接触想定区間内である場合、前記整合部材の回転速度を基準速度から一時的に変更して、前記干渉タイミングが前記接触想定区間外となるように前記整合パドルの位相を変化させることを特徴とするシート後処理装置。
【請求項2】
前記整合部材と前記第1搬送部材を回転駆動する一つの前記駆動部を備え、
前記制御部は、前記整合部材の回転速度を前記基準速度から一時的に変更した後、前記シートが前記第1搬送部材に到達するまでに、前記整合部材を再び前記基準速度に戻すことを特徴とする請求項1に記載のシート後処理装置。
【請求項3】
前記シートの出力情報は、前記シートの前記搬送方向のサイズ、搬送速度、搬送距離を含むことを特徴とする請求項1に記載のシート後処理装置。
【請求項4】
前記シートの搬送方向に対して前記処理トレイの上流側に、前記シートに対して所定の後処理を施す1つ以上の第2処理部を備え、
前記シートの出力情報は、前記第2処理部における後処理に必要な時間を含むことを特徴とする請求項1に記載のシート後処理装置。
【請求項5】
前記シートの搬送方向に対し前記第1搬送部材の上流側に配置され、前記シートの通過を検知するシート検知部を備え、
前記制御部は、前記シート検知部によって前記シートの通過が検知された後、前記干渉タイミングを算出することを特徴とする請求項1に記載のシート後処理装置。
【請求項6】
前記搬送方向に対し前記シート検知部の下流側、且つ前記第1搬送部材の上流側に配置され、前記シートを前記搬送方向に搬送する第2搬送部材を備え、
前記制御部は、前記シート検知部によって前記シートの先端が検知された後、前記シートの先端が前記第2搬送部材に到達するまでの区間において、前記干渉タイミングが前記接触想定区間内であるか否かの判定を行うことを特徴とする請求項5に記載のシート後処理装置。
【請求項7】
前記制御部は、前記シートの先端が前記第2搬送部材を通過した後、前記整合部材の回転速度を前記基準速度から変更し、前記シートが前記第1搬送部材に到達するまでに、前記整合部材を再び前記基準速度に戻すことを特徴とする請求項6に記載のシート後処理装置。
【請求項8】
前記制御部は、予め設定された演算式によって前記接触想定区間を算出し、
前記演算式のパラメーターを変更することにより、算出される前記接触想定区間の長さを調整可能であることを特徴とする請求項1に記載のシート後処理装置。
【請求項9】
シートに画像を形成する画像形成装置と、
前記画像形成装置により画像形成された前記シートに所定の後処理を施す請求項1乃至請求項8のいずれかに記載のシート後処理装置と、
を備えた画像形成システム。
【請求項10】
前記シートの出力情報は、前記画像形成装置における前記シートの搬送速度を含むことを特徴とする請求項9に記載の画像形成システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像形成装置によって画像形成された後のシートに所定の後処理を施すシート後処理装置およびそれを備えた画像形成システムに関する。
【背景技術】
【0002】
複写機やプリンター等の画像形成装置によって画像形成された後のシートを複数枚スタックして、スタックされたシート束をまとめてステープルで綴じる綴じ処理、パンチ穴形成装置でパンチ穴(穿孔)を空けるパンチ穴形成処理、シートに折り目を形成する折り処理等を施すシート後処理装置が知られている。
【0003】
このようなシート後処理装置では、画像形成されたシートが所定枚数積載される処理トレイが設けられている。そして、処理トレイ上に積載された複数枚のシートに対して綴じ処理やシフト排出処理(ソート処理)等が行われる。また、綴じ処理およびシフト排出処理等を円滑に行うために、整合パドル等の整合部材を用いて処理トレイ上のシートを整合することも行われている。
【0004】
特許文献1には、搬送されるシートを受け入れてスタックする傾斜トレイと、傾斜トレイに対してスタックされるシートの後端を揃えてシートの整合を行うストッパーと、傾斜トレイに順次供給されるシートに対して所定の搬送力を付与してシートをストッパーに押し当てる整合回転体と を含むシート処理装置が開示されている。
【0005】
特許文献1のシート処理装置では、穿孔加工を受ける位置のシート材が第1搬送ローラーと第2搬送ローラーとに亘る引き継ぎ位置に達しているか否かを判定する。そして、シート材が未だ引き継ぎ位置に達していないと判定された場合には第2モーターを継続して動作させ、シート材が引き継ぎ位置に達していると判定された場合には第2モーターを一時停止させる。
【0006】
特許文献1の構成によれば、第2搬送ローラーおよび整合回転体の駆動源としてモーターを共用する際に、先行するシート材が傾斜トレイ上の整合回転体の位置に達していない場合は整合回転体が停止しない。そのため、整合回転体が停止状態から再回転する際にシート材を斜め上方へ弾いたり、或いは堰き止めたりするおそれがなく、シート材の整合不良を抑制することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
ところで、整合部材の回転軌道と搬送ローラー対によって搬送されるシートの搬送軌道が重なる場合、整合部材の位相(回転位置)によっては整合部材が搬送中のシートの後端に接触し、シートを搬送方向に押し出してしまうことがある。その結果、シートが所定の搬送位置に搬送されず、結果的に処理トレイへの引き込み不良や整合不良が発生するという問題点があった。
【0009】
本発明は、上記問題点に鑑み、処理トレイ上に搬入されるシートの後端と整合部材との接触を回避することにより、シートの整合性を向上可能なシート後処理装置およびそれを備えた画像形成システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記目的を達成するために本発明の第1の構成は、第1搬送部材と、処理トレイと、第1処理部と、基準板と、整合部材と、ホームポジション検知部と、制御部と、を備えたシート後処理装置である。第1搬送部材は、シートを搬送する。処理トレイは、第1搬送部材により所定の搬入方向に沿って搬入される複数のシートが積載される。第1処理部は、処理トレイ上に積載されるシートに対して所定の後処理を施す。基準板は、処理トレイ上に搬入されるシートの搬入方向と反対方向である整合方向下流側の端縁に当接してシートを搬入方向に整合する。整合部材は、処理トレイの上方に配置され、駆動部に連結されて回転するシャフトと、シャフトの径方向に突出し、処理トレイ上へ搬入されたシートに接触する1つ以上の整合パドルと、を有し、処理トレイとの対向面において整合方向に回転することにより、処理トレイ上に搬入されるシートを整合方向に移動させてシートの整合を補助する。ホームポジション検知部は、整合パドルが基準位置にあることを検知する。制御部は、駆動部を制御する。制御部は、シートの出力情報に基づいて、搬入方向に沿って搬入されるシートの後端が整合パドルに接触する可能性のある接触想定区間を算出する。制御部は、ホームポジション検知部の検知結果に基づいて、整合パドルがシートの搬入経路と干渉する干渉タイミングを算出する。制御部は、干渉タイミングが接触想定区間内である場合、整合部材の回転速度を基準速度から一時的に変更して、干渉タイミングが接触想定区間外となるように整合パドルの位相を変化させる。
【発明の効果】
【0011】
本発明の第1の構成によれば、シートの出力情報に基づいて算出される接触想定区間と整合パドルの干渉タイミングとが重なるとき、整合パドルの位相が適正に補正される。これにより、整合パドルによるシートの押し出しを抑制することができ、シートを安定して搬送し、処理トレイ上に整合することができる。また、整合部材の回転を停止する必要がないため、処理トレイに積載されるシートの整合性への影響を低減することができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【
図1】本発明の一実施形態に係るシート後処理装置1、およびシート後処理装置1が連結される画像形成装置200から構成される画像形成システムの構成を示す概略図
【
図2】本実施形態のシート後処理装置1の構成を概略的に示す側面断面図
【
図3】本実施形態のシート後処理装置1に搭載されるシート綴じユニット92の斜視図
【
図5】シート後処理装置1のシート搬入口2から第1シート排出部4までの第1シート搬送路3の構成を示す側面断面図
【
図6】中間搬送ローラー対54および整合部材55の斜視図
【
図7】
図6におけるホームポジション検知部58付近の拡大図
【
図8】整合部材55周辺の構造を示す側面断面図であって、整合パドル552がホームポジションにある状態を示す図
【
図9】処理トレイ521および整合部材55周辺の構造を示す側面断面図であって、整合パドル552がシートSの後端に接触した状態を示す図
【
図10】処理トレイ521および整合部材55周辺の構造を示す側面断面図であって、整合パドル552の位相をずらすことによりシートSの後端との接触を回避した状態を示す図
【
図11】本実施形態のシート後処理装置1における整合部材55の位相調整制御例を示すフローチャート
【発明を実施するための形態】
【0013】
[1.画像形成システムの構成]
以下、図面を参照しながら本発明の実施形態を詳細に説明する。
図1は、本発明の一実施形態に係るシート後処理装置1、およびシート後処理装置1が連結される画像形成装置200で構成される画像形成システムの構成を示す概略図である。
【0014】
図1に示すように、画像形成装置200は、不図示のネットワーク通信部を介して外部から入力された画像データや、画像形成装置200の上部に配置された画像読取部201によって読み取られた画像データに基づいて、シート(用紙)に画像を印刷する。本実施形態では、画像形成装置200は、シートにインクを吐出する多数のノズル孔が設けられた記録ヘッド(図示せず)を色毎に備えたインクジェット記録装置である。
【0015】
画像読取部201の前方には操作パネル202が配置されている。操作パネル202は、各種の設定入力を受け付けるための操作部である。例えば、ユーザーは、操作パネル202を操作してシートのサイズ情報を入力することができる。また、操作パネル202を操作して、印刷するシートの枚数の入力や、印刷ジョブの開始を指示することもできる。本体制御部203は、画像形成装置200全体の動作を統括し、画像形成装置200の各部を制御する。
【0016】
シート後処理装置1は、画像形成装置200の側面に対して着脱可能に連結される。シート後処理装置1は、画像形成装置200によって画像形成(印刷)された後のシートに対して穿孔(パンチ穴形成)処理や綴じ処理等の後処理を行う。なお、シート後処理装置1は、画像形成装置200から自動搬送されたシートに後処理を行うものに限られず、ユーザーによって不図示のトレイにセットされたシートを自ら後処理可能な位置まで搬送して、当該シートに後処理を行うものであってもかまわない。
【0017】
[2.シート後処理装置の構成]
図2は、本実施形態のシート後処理装置1の構成を概略的に示す側面断面図である。
図2に示すように、シート後処理装置1は、シート搬入口2と、第1シート搬送路3と、第1シート排出部4と、第2シート搬送路5と、第2シート排出部6と、第3シート搬送路7と、第3シート排出部8と、穿孔部91と、シート綴じユニット92と、製本部94と、後処理制御部(制御部)10と、を備える。
【0018】
シート搬入口2は、シート後処理装置1の、画像形成装置200と対向する側面に設けられる開口である。画像形成装置200からシート後処理装置1に向けて搬送されたシートは、シート搬入口2を通過してシート後処理装置1の内部に搬入される。
【0019】
第1シート搬送路3は、シート搬入口2から第1シート排出部4まで、画像形成装置200から離れる方向(
図2における左方向)に略水平方向に延びる。なお、シート搬入口2から第1シート排出部4に向かう方向を、第1シート搬送路3におけるシート搬送方向と呼ぶ。シート搬入口2は、第1シート搬送路3のシート搬送方向の上流端に位置する。第1シート搬送路3は、上流側搬送ローラー対31、中間搬送ローラー対54を有し、シート搬入口2からシート後処理装置1内に搬入されたシートを、シート搬送方向の下流側に向けて搬送する。
【0020】
第1シート搬送路3には、2つの切替ガイド32が配置されている。第1シート搬送路3におけるシート搬送方向に対して上流側(
図1の右側)の切替ガイド32は、第2シート搬送路5の分岐部に配置され、シート搬入口2側から第1シート搬送路3上を搬送されるシートを、第1シート搬送路3に沿って第1シート排出部4に導く位置と、第1シート搬送路3から分岐させて第2シート搬送路5に導く位置と、に回動する。
【0021】
第1シート搬送路3におけるシート搬送方向に対して下流側(
図1の左側)の切替ガイド32は、第3シート搬送路7の分岐部に配置され、シート搬入口2側から第1シート搬送路3上を搬送されるシートを、第1シート搬送路3に沿って第1シート排出部4に導く位置と、第1シート搬送路3から分岐させて第3シート搬送路7に導く位置と、に回動する。切替ガイド32は、駆動機構(不図示)に接続され、後処理制御部10によってその動作が制御される。
【0022】
第1シート搬送路3の下方には退避ローラー33が配置されている。先行するシートに所定の後処理を施している間、後続のシートを退避ローラー33の外周面に沿って退避させておく。これにより、シートに連続して後処理を行う場合の処理効率が向上する。
【0023】
第1シート排出部4は、シート後処理装置1の、画像形成装置200と対向する側面に対して反対側の側面に設けられる。第1シート排出部4は、第1排出ローラー対42と、第1排出トレイ43と、を有する。
【0024】
第1排出ローラー対42は、第1シート搬送路3のシート搬送方向の下流端に配置される。第1排出トレイ43は、第1排出ローラー対42のシート搬送方向の下流側に位置する。第1シート搬送路3を搬送され、第1シート搬送路3のシート搬送方向の下流端に到達したシートは、第1排出ローラー対42によって第1排出トレイ43上に排出される。第1排出トレイ43は、シート後処理装置1によって後処理が施されたシートの最終的な排出場所の1つである。
【0025】
第2シート搬送路5は、第1シート搬送路3から上方に分岐して第2シート排出部6まで、画像形成装置200から離れる方向(
図2における左方向)に斜め上方向に延びる。第2シート搬送路5は、第1シート搬送路3におけるシート搬送方向に対して上流側搬送ローラー対31の下流側直近において分岐する。なお、上流側搬送ローラー対31から第2シート排出部6に向かう方向を、第2シート搬送路5におけるシート搬送方向と呼ぶ。第2シート搬送路5は、複数の搬送ローラー対を有し、第1シート搬送路3を搬送されるシートを分岐させて第2シート排出部6に向けて搬送する。
【0026】
第2シート排出部6は、シート後処理装置1の、画像形成装置200と対向する側面に対して反対側の側面であって、第1シート排出部4の上方に設けられる。第2シート排出部6は、第2排出ローラー対62と、第2排出トレイ63と、を有する。
【0027】
第2排出ローラー対62は、第2シート搬送路5のシート搬送方向の下流端に配置される。第2排出トレイ63は、第2排出ローラー対62のシート搬送方向の下流側に位置する。第2シート搬送路5を搬送され、第2シート搬送路5のシート搬送方向の下流端に到達したシートは、第2排出ローラー対62によって第2排出トレイ63上に排出される。第2排出トレイ63は、シート後処理装置1によって後処理が施されたシートの最終的な排出場所の1つである。また、第2排出トレイ63には、後処理が施されないシートや小サイズのシート等も排出される。
【0028】
第3シート搬送路7は、第1シート搬送路3から下方に分岐して第3シート排出部8まで、下方向に延びる。第3シート搬送路7は、第1シート搬送路3におけるシート搬送方向に対して第2シート搬送路5の分岐部よりも下流側において分岐する。なお、第1シート搬送路3の分岐部から第3シート排出部8に向かう方向を、第3シート搬送路7におけるシート搬送方向と呼ぶ。第3シート搬送路7は、複数の搬送ローラー対を有し、第1シート搬送路3を搬送されるシートを分岐させて製本部94および第3シート排出部8に向けて搬送する。
【0029】
第3シート排出部8は、シート後処理装置1の、画像形成装置200と対向する側面に対して反対側の側面であって、第1シート排出部4の下方(シート後処理装置1の下端部付近)に設けられる。第3シート排出部8は、第3排出ローラー対(図示せず)と、第3排出トレイ83と、を有する。
【0030】
第3シート搬送路7を搬送され、第3シート搬送路7のシート搬送方向の下流端に到達したシートは、第3排出ローラー対によって第3排出トレイ83上に排出される。第3排出トレイ83は、シート後処理装置1によって後処理が施されたシートの最終的な排出場所の1つである。
【0031】
穿孔部91は、第1シート搬送路3の、シート搬入口2の下流側直近に配置される。穿孔部91は、第1シート搬送路3上を搬送されるシートに対して穿孔処理を施し、パンチ穴を形成する。穿孔部91の下方には回収容器911が配置されている。穿孔部91の穿孔処理によって生じるシート片は、第1シート搬送路3から落下して回収容器911に回収される。回収容器911は、シート後処理装置1に対して着脱可能である。
【0032】
シート綴じユニット92は、第1シート搬送路3のシート搬送方向に対し、第1シート排出部4の上流側直近に配置される。シート綴じユニット92は、複数枚のシートをスタックして形成したシート束に対してステープル処理(綴じ処理)を施し、シート束を綴じる。シート綴じユニット92の詳細な構成については後述する。
【0033】
製本部94は、第3シート搬送路7のシート搬送方向に対し、第3シート排出部8の上流側直近に配置される。製本部94は、複数枚のシートをスタックして形成したシート束に対し、シート搬送方向の略中央部を折り曲げて綴じる中折り処理および中綴じ処理を施し、冊子を形成する。
【0034】
穿孔部91、シート綴じユニット92、製本部94は、画像形成装置200によって画像形成され、シート後処理装置1内に搬入されたシートに対して所定の後処理を施す後処理部である。
【0035】
後処理制御部(制御部)10は、CPU、記憶部、並びにその他の電子回路および電子部品(いずれも不図示)を含む。後処理制御部10は、画像形成装置200の本体制御部203(
図1参照)と通信可能に接続される。後処理制御部10は、本体制御部203から指令を受け、CPUを用いて記憶部に記憶された制御用のプログラムやデータに基づき、シート後処理装置1に設けられた各構成要素の動作を制御してシート後処理装置1の機能に係る処理を行う。第1シート搬送路3、第1シート排出部4、第2シート搬送路5、第2シート排出部6、第3シート搬送路7、第3シート排出部8、穿孔部91、シート綴じユニット92、製本部94のそれぞれは、後処理制御部10から個別に指令を受け、連動してシートに後処理を施す。なお、後処理制御部10の機能は、画像形成装置200の本体制御部203が兼ねることにしてもよい。
【0036】
[3.シート綴じユニットの構成]
次に、シート綴じユニット92の構成について説明する。
図3は、シート後処理装置1に搭載されるシート綴じユニット92の斜視図である。
図4は、シート綴じユニット92の側面図である。
【0037】
図3に示すように、シート綴じユニット92は、処理トレイ521と、ステープル部71と、基準板73とを備える。
【0038】
処理トレイ521は、シート幅方向(矢印AA′方向)および搬入方向に延びる矩形状のトレイである。処理トレイ521には、ステープル処理が施される複数のシート(シート束)が積載される。この際、シートは、
図4の右下方向(矢印B方向)に向かう整合方向(搬入方向と反対方向)に沿って処理トレイ521に搬入される。ステープル処理が施されたシート束は、最終的に、第1排出ローラー対42(
図2参照)によって、上記の整合方向とは反対方向(
図4の左上方向)に向かって送出され、第1排出トレイ43(
図2参照)に排出される。処理トレイ521の搬入方向下流側(
図3の左下側)には、第1排出ローラー対42を構成する排出下ローラー421が支持されている。
【0039】
処理トレイ521は、トレイ中央部522と、幅規制部材523とを備える。トレイ中央部522は、処理トレイ521の上面部において、シート幅方向の中央部に配置される。トレイ中央部522は、僅かな高さをもって処理トレイ521上に固定される薄板状の部材である。
【0040】
幅規制部材523は、シート幅方向においてトレイ中央部522を挟むように一対配置される。幅規制部材523は、処理トレイ521に搬入されるシートのシート幅方向の位置を規制する。幅規制部材523は、トレイ中央部522と同様に薄板状の部材からなり、シート幅方向の端部には上方に向かって立設された側壁を有している。処理トレイ521には、シート幅方向に沿って延びるガイド溝524が形成されている。幅規制部材523は、ラックおよびピニオンギア等の駆動機構(図示せず)を介して、ガイド溝524に沿ってシート幅方向に往復移動可能である。本実施形態では、処理トレイ521にシートが搬入される毎に、幅規制部材523が駆動機構によって往復移動される。その結果、処理トレイ521に積載されたシートがシート幅方向において整合される。
【0041】
ステープル部71は、シートの整合方向先端側(
図4の右側)の端縁に対向して配置される。ステープル部71は、ステープル部駆動モーターM1の駆動力によってシートの端縁に沿って搬入方向と直交するシート幅方向(矢印AA′方向)に移動可能であり、シートの束にステープル処理を施す。
【0042】
図4に示すように、ステープル部71は、ステープル本体部711と、ステープル可動部712とを備える。ステープル本体部711は、ステープル部71の本体部分であり、内部に複数のステープル針(図示せず)を収容する。ステープル可動部712は、上下に移動可能とされ、シートにステープル針を打ち込む。ステープル本体部711とステープル可動部712との間には、シートの端縁が進入する凹部713が形成される。
【0043】
基準板73は、処理トレイ521の整合方向下流側(
図3の右上側、
図4の右下側)の端部に対向するように、シート幅方向に間隔を隔てた3箇所に固定されている。基準板73は、シート幅方向と直交する断面視において整合方向上流側(
図4の左上側)が開放された略U字形状である。基準板73は、処理トレイ521に搬入されるシートの端縁に当接し、シートを搬入方向において整合する。
【0044】
[4.シート搬入口から第1シート排出部までの第1シート搬送路の構成]
図5は、シート後処理装置1のシート搬入口2から第1シート排出部4までの第1シート搬送路3の構成を示す側面断面図である。
図5を参照しながら、シート搬入口2から搬入されたシートSが穿孔部91、シート綴じユニット92を経由して第1シート排出部4から排出されるまでの動作について説明する。
【0045】
図5に示すように、シート搬入口2の近傍にはシート検知センサー53が配置されている。シート検知センサー53は、シートSがシート搬入口2を通過したタイミングを検知する。シート検知センサー53としては、例えば発光部と受光部からなる検知部を有するPI(フォトインタラプター)センサーが用いられる。
【0046】
処理トレイ521の上方には中間搬送ローラー対54が配置されている。中間搬送ローラー対54は、搬送上ローラー54aと搬送下ローラー54bとで構成される。中間搬送ローラー対54の下方には整合部材55が設けられている。
【0047】
図6は、中間搬送ローラー対54および整合部材55の斜視図である。中間搬送ローラー対54は、シート幅方向に沿って複数箇所(本実施形態では2箇所)に配置されている。搬送上ローラー54aの回転軸541には駆動入力ギア542が固定されている。駆動入力ギア542にローラー駆動モーターM2(
図5参照)の回転駆動力が入力されることにより、搬送上ローラー54aが回転駆動される。そして、搬送上ローラー54aに圧接された搬送下ローラー64bが搬送上ローラー54aに従動して回転する。
【0048】
整合部材55は、処理トレイ521(
図5参照)上に搬入されるシートSを基準板73に近づく整合方向に移動(スイッチバック)させてシートSの整合を補助する。整合部材55は、シャフト551と整合パドル552とを有する。
【0049】
シャフト551は、搬送上ローラー54aの回転軸541と平行に配置される。整合パドル552は、シャフト551の複数箇所(本実施形態では2箇所)に固定されている。整合パドル552はゴム製のシートであり、シャフト551の周方向において同位相の位置から接線方向に突出する。
【0050】
シャフト551には駆動入力ギア542と噛み合う位置に駆動伝達ギア553が固定されている。これにより、ローラー駆動モーターM2の回転駆動力が駆動入力ギア542、駆動伝達ギア553を介してシャフト551に伝達され、整合パドル552が回転する。より詳細には、整合パドル552には、ローラー駆動モーターM2によってシートSを整合方向に送り出す方向(
図5の反時計回り方向)に回転する。整合パドル552が処理トレイ521に搬入されるシートSの上面に接触して回転することで、シートSを整合方向に移動させ、シートSの端縁を基準板73に突き当てて整合する。
【0051】
ローラー駆動モーターM2としては、パルス制御により回転方向および回転量(回転角)を精度良く制御可能なステッピングモーターが用いられる。
【0052】
また、整合部材55(整合パドル552)の基準位置(ホームポジション)を検知するホームポジション検知部58が設けられている。ホームポジション検知部58は、センサー部56と、検知板57と、を有する。
【0053】
図7は、
図6におけるホームポジション検知部58付近の拡大図である。センサー部56は透過型のPI(フォトインタラプター)センサーであり、発光部と受光部とが対向配置された検知部56aを有する。検知板57は、シャフト551の端部に固定される。センサー部56は、検知部56aが検知板57の外周縁を挟むように配置される。
【0054】
検知板57の外周縁には切り欠き57aが形成されている。切り欠き57aは、シャフト551の回転角度が基準角度になったとき、センサー部56の出力が変化する位置に形成されている。検知板57が回転するときの検知部56aの出力がホームポジション検知部58の出力である。検知部56aの出力は、検知信号として後処理制御部10に送信される。後処理制御部10は、ホームポジション検知部58の出力に基づいて、整合パドル552の位相(回転位置)がホームポジションにあることを検知する。
【0055】
図8は、整合部材55周辺の構造を示す側面断面図であって、整合パドル552がホームポジションにある状態を示す図である。本実施形態では、
図8に示すように整合パドル552が第1シート搬送路3から退避した位置、より詳細には、第1シート搬送路3のシート搬送方向に対し上流側(
図8の右側)に向かって、第1シート搬送路3と略平行に突出した位置が整合パドル552のホームポジションとされる。
【0056】
なお、ホームポジション検知部58は、整合パドル552の位相(回転位置)を検知可能であれば、
図7に示したようなセンサー部56と検知板57とを有する構成に限られず、他の構成であってもよい。
【0057】
[5.整合パドルの位相調整制御]
次に、整合パドル552の位相調整制御について説明する。
図6に示したように、本実施形態の構成では整合部材55が中間搬送ローラー対54の下方に近接して配置されている。そのため、整合パドル552の回転軌道が第1シート搬送路3(中間搬送ローラー対54を通過するシートSの搬送軌道)と重なる。
【0058】
図9は、整合パドル552がシートSの後端に接触した状態を示す図である。
図9に示すように、整合パドル552の位相(回転位置)によっては、整合パドル552が第1シート搬送路3を搬送中のシートSの後端に接触し、シートSを搬送方向に押し出してしまうことがある。その結果、シートSを処理トレイ521上に引き込む際に所望の位置まで引き込まれず、シートSの安定した搬送および整合が困難となるおそれがあった。
【0059】
そこで、本実施形態では、第1シート搬送路3を搬送中のシートSと整合パドル552とが接触する可能性が高い場合は、整合パドル552の位相をずらすことによってシートSとの接触を回避させる。
【0060】
具体的には、後処理制御部10は、シートSの後端が整合パドル552に接触する可能性のある区間(以下、接触想定区間という)を算出する。そして、整合部材55の回転によって整合パドル552が第1シート搬送路3と干渉する(重なる)タイミング(以下、干渉タイミングという)が接触想定区間内である場合、後処理制御部10は、ローラー駆動モーターM2に制御信号を送信して、整合部材55(シャフト551)の回転速度を一時的に減速(または加速)する。
【0061】
図10は、整合パドル552の位相をずらした状態を示す図である。整合部材55の回転速度を一時的に減速(または加速)することで、
図10に示すように、整合パドル552の位相が減速(または加速)前の位置(破線位置)から所定角度だけずれた位置(実線位置)となる。このように、整合パドル552の干渉タイミングが接触想定区間と重なる場合、干渉タイミングが接触想定区間外となるように整合パドル552の位相をずらすことにより、整合パドル552とシートSの後端との接触を回避することができる。
【0062】
整合パドル552の干渉タイミングは、ホームポジション検知部58の出力によって算出することができる。具体的には、ホームポジション検知部58の出力によって整合パドル552がホームポジション(
図8参照)となるタイミングを検知できるため、ホームポジションから第1シート搬送路3と干渉する位置(
図9参照)までのローラー駆動モーターM2の駆動パルスによって干渉タイミングを算出する。
【0063】
接触想定区間は、画像形成装置200およびシート後処理装置1におけるシートSの搬送速度、シートSの搬送方向のサイズ、搬送距離に基づいて、予め後処理制御部10の記憶部に記憶された演算式により算出することができる。接触想定区間は、画像形成装置200やシート後処理装置1の搬送速度等の条件にもよるが、距離[mm]で表すと数mm~十数mm程度である。なお、接触想定区間は時間[sec]で表すこともできる。
【0064】
また、穿孔部91でシートSに穿孔処理を行う場合や、シートSの先端を上流側搬送ローラー対31に突き当ててシートSを撓ませるレジスト補正(スキュー補正)を行う場合は、穿孔処理に必要な時間、および撓み形成、撓み解消に必要な時間を考慮する必要がある。即ち、整合パドル552の上流側において所定の後処理が実行される場合は、後処理に必要な時間(後処理時間)を考慮して接触想定区間を算出する必要がある。
【0065】
なお、シート後処理装置1の設計時に演算式のパラメーターを変更することにより、産出される接触想定区間の長さを変更することもできる。例えば、整合パドル522とシートSの後端との接触をより確実に防止したい場合は、算出される接触想定区間が延長されるように演算式のパラメーターを変更する。一方、整合パドル522の位相調整制御が頻繁に入らないようにしたい場合は、算出される接触想定区間が短縮されるように演算式のパラメーターを変更する。
【0066】
図11は、本実施形態のシート後処理装置1において実行される整合パドル552の位相調整制御例を示すフローチャートである。必要に応じて
図1~
図10を参照しながら、
図11のステップに沿って整合パドル552の位相調整手順について説明する。なお、以下の説明では、シートSのサイズや搬送速度、シートSに対して行う後処理に関する情報を、単にシートの出力情報という。
【0067】
画像形成装置200の本体制御部からシートSの綴じ処理コマンドが入力されると、綴じ処理コマンドと共にシートSの出力情報が入力される(ステップS1)。シートSの出力情報のうち、シートSのサイズに関する情報は、画像形成装置200の操作パネル202から入力される。例えば、シートSのメーカー、商品名、品番等を、対応するシートSの種類に関する情報と関連付けて予め本体制御部203に記憶しておいてもよい。これにより、ユーザーが操作パネル202からシートSのメーカー、商品名、品番等を選択するだけで、本体制御部203は、使用するシートSのサイズに関する情報を認識できる。
【0068】
画像形成装置200におけるシートSの搬送速度に関する情報は、パソコン等の上位機器、または操作パネル202から入力される印刷モード(写真印刷モード、文字印刷モード、両面印刷モード等)に基づいて、本体制御部203から送信される。
【0069】
シートSに対する後処理に関する情報は、パソコン等の上位機器、または操作パネル202から入力される後処理の内容(綴じ処理、穿孔処理、レジスト補正等)に基づいて、本体制御部203から送信される。
【0070】
後処理制御部10は、入力されたシートSの出力情報に基づいて、シートSに対する整合パドル522の接触想定区間を算出する(ステップS2)。その後、シートSの搬送を開始する(ステップS3)。
【0071】
次に、後処理制御部10は、整合パドル522のホームポジションを検知する(ステップS4)。具体的には、シート検知センサー53によりシートSの搬入が検知されると、後処理制御部10は、ローラー駆動モーターM2に制御信号を送信して中間搬送ローラー対54および整合部材55を基準速度で回転させる。そして、ホームポジション検知部58の出力に基づいて整合パドル522がホームポジションとなるタイミングを検知する。
【0072】
次に、後処理制御部10は、整合パドル552の位相(回転位置)の補正が必要であるか否かを判定する(ステップS5)。具体的には、ステップS2で算出された接触想定区間と、ステップS4で検知された整合パドル522のホームポジションとに基づいて、中間搬送ローラー対54および整合部材55を基準速度で回転させた場合に整合パドル552の干渉タイミングと接触想定区間とが重なるか否かを判定する。
【0073】
そして、整合パドル552の干渉タイミングと接触想定区間とが重なるとき、整合パドル552の位相の補正が必要であると判定する。整合パドル552の位相の補正が必要であるか否かの判定は、シート検知センサー53によってシートSの先端が検知された後、上流側搬送ローラー対31に到達するまでの区間(
図5のR1)で行われる。
【0074】
整合パドル552の位相の補正が必要であると判定した場合は(ステップS5でYes)、後処理制御部10はローラー駆動モーターM2に制御信号を送信してローラー駆動モーターM2の回転速度を減速することにより整合部材55を基準速度から減速する(ステップS6)。その後、再び整合部材55を基準速度に戻す(ステップS7)。
【0075】
本実施形態では、ローラー駆動モーターM2は中間搬送ローラー対54と整合部材55の共用の駆動源として用いられる。そのため、ローラー駆動モーターM2を減速すると整合部材55のみでなく中間搬送ローラー対54も減速する。そこで、整合部材55を基準速度から減速し、再び基準速度に戻す動作は、シートSの先端が上流側搬送ローラー対31を通過した後、中間搬送ローラー対54に到達するまでの区間(
図5のR2)で行う。
【0076】
一方、整合パドル552の位相の補正が必要でないと判定した場合は(ステップS5でNo)、ローラー駆動モーターM2の回転速度を変化させずに整合部材55を基準速度で継続して回転させる(ステップS8)。
【0077】
中間搬送ローラー対54を通過したシートSは、叩き部材(図示せず)によって後端が下向きに叩かれて処理トレイ521上に落下する。処理トレイ521上に落下したシートSは、回転する整合パドル522によって処理トレイ521に沿って整合方向(
図3、
図4の矢印B方向)に引き込まれ、幅規制部材523(
図3参照)によってシート幅方向に整合され、基準板73(
図3参照)によって搬入方向に整合されて積載される。
【0078】
次に、後処理制御部10は、所定枚数のシートSが処理トレイ521に搬入されたか否かを判定する(ステップS9)。所定枚数のシートSが搬入されていない場合は(ステップS8でNo)、ステップS2に戻り、上記の手順(ステップS2~S8)を繰り返す。
【0079】
所定枚数のシートSが搬入された場合は(ステップS9でYes)、後処理制御部10はステープル部駆動モーターM1(
図3参照)に制御信号を送信してステープル部71を所定のステープル位置に移動させる。ステープル部71が所定のステープル位置に移動した後、後処理制御部10はステープル部71に制御信号を送信し、基準板73によって整合された複数のシートSにステープル処理を実行し(ステップS10)、整合パドル552の位相調整制御を終了する。
【0080】
図11に示した制御例によれば、シートSの出力情報に基づいて算出される接触想定区間と整合パドル552の干渉タイミングとが重なるとき、整合パドル522の位相が適正に補正される。これにより、整合パドル522によるシートSの押し出しを抑制することができ、シートSを安定して搬送し、処理トレイ521上に整合することができる。
【0081】
また、整合部材55の回転を停止する必要がないため、処理トレイ521に積載されるシートSの整合性への影響を低減することができる。
【0082】
また、整合部材55と中間搬送ローラー対54を同一の駆動源(ローラー駆動モーターM2)で駆動することにより、製造コストを低減するとともに装置を小型化することができる。
【0083】
また、シートSが中間搬送ローラー対54に到達するまでに、整合部材55の減速(または加速)によって整合パドル552の位相を補正し、整合部材55を再び基準速度に戻す動作を終了する。これにより、ローラー駆動モーターM2を中間搬送ローラー対54と整合部材55の駆動源として共用する場合に、中間搬送ローラー対54の回転速度変化によるシートSの搬送への影響を防止することができる。
【0084】
また、シートSの出力情報に、穿孔部91による穿孔処理やレジスト補正等の後処理の内容を含めることにより、シート綴じユニット92の上流側で実行される後処理の内容を加味した適正な接触想定区間を算出することができる。そのため、シートSの後端と整合パドル522との接触をより確実に回避することができる。
【0085】
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明の範囲はこれに限定されるものではなく、発明の趣旨を逸脱しない範囲で種々の変更を加えて実施することができる。例えば、上記実施形態では、整合部材55を中間搬送ローラー対54の下方に設けているが、中間搬送ローラー対54の搬送下ローラー54bの回転軸に整合パドル552を取り付けて、中間搬送ローラー対54と整合部材55を一体に構成してもよい。
【0086】
また、上記実施形態では、整合パドル552はシャフト551の周方向の1箇所のみに固定されているが、整合パドル552をシャフト551の周方向の複数箇所に等間隔で固定してもよい。
【0087】
また、上記実施形態では、ローラー駆動モーターM2を中間搬送ローラー対54と整合部材55の共用の駆動源として用いているが、本発明は、中間搬送ローラー対54と整合部材55を別々の駆動源で駆動させる構成にも適用可能である。その場合、整合部材55を基準速度から減速し、再び基準速度に戻す動作は、シートSの先端が中間搬送ローラー対54に到達した後であってもよい。
【0088】
また、上記実施形態では、処理トレイ521上に積載されたシートSにシート綴じユニット92により綴じ処理を行う例について示したが、本発明はこれに限らず、処理トレイ521上に積載されたシートSにシフト排出処理や折り処理を行う構成であってもよい。
【0089】
また、上記実施形態では、シートSの特性に関する出力情報を画像形成装置200の操作パネル202から入力しているが、シートSの出力情報を自動的に取得するようにしてもよい。例えば、画像形成装置200からシート後処理装置1までのシート搬送路の任意の位置にメディアセンサーを配置して、メディアセンサーによって、画像形成装置200からシート後処理装置1に搬入されるシートSのサイズを検知することができる。
【0090】
また、上記実施形態では、画像形成装置200としてインクジェット記録装置を例示したが、画像形成装置200として電子写真方式のプリンター、複写機を用いることもできる。
【産業上の利用可能性】
【0091】
本発明は、複数のシートに所定の後処理を施すシート後処理装置に利用可能である。
【符号の説明】
【0092】
1 シート後処理装置
2 シート搬入口
3 第1シート搬送路
4 第1シート排出部
5 第2シート搬送路
6 第2シート排出部
10 後処理制御部(制御部)
31 上流側搬送ローラー対(第2搬送部材)
42 第1排出ローラー対
521 処理トレイ
53 シート検知センサー(シート検知部)
54 中間搬送ローラー対(第1搬送部材)
55 整合部材
551 シャフト
552 整合パドル
56 センサー部
57 検知板
58 ホームポジション検知部
71 ステープル部(第1処理部)
73 基準板
91 穿孔部(第2処理部)
92 シート綴じユニット
200 画像形成装置
202 操作パネル
203 本体制御部
M2 ローラー駆動モーター(駆動部)
S シート