(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2025000062
(43)【公開日】2025-01-06
(54)【発明の名称】動物の尿漏れ防止具
(51)【国際特許分類】
A01K 23/00 20060101AFI20241223BHJP
【FI】
A01K23/00 S
【審査請求】有
【請求項の数】1
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023099707
(22)【出願日】2023-06-18
(71)【出願人】
【識別番号】398069296
【氏名又は名称】村岡 登
(74)【代理人】
【識別番号】100190230
【弁理士】
【氏名又は名称】荒井 良吉
(72)【発明者】
【氏名】村岡 登
(57)【要約】
【課題】動物のおむつに関わる飼い主の費用負担を劇的に減らすことができ、しかも、動物への装着が簡単で、かつ動物にとって尿を吸い取るパッドの装着による不快感を軽減でき、外見上目立たず見た目も良く、パッドを付けたままでも散歩し易い動物の尿漏れ防止具を提供する。
【解決手段】
雄の動物2の尿を吸収するパッド3と、動物2の腹部2bにパッド3を保持するパッド保持手段4とから成り、パッド保持手段4は、動物2の背中2cおよび胴側部2dを囲む本体部5と、該本体部の左右端とパッド3を着脱自在に接続し、パッド3を動物の腹部に保持するパッド接続部7とから成る構成としている。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
雄の動物の尿を吸収するパッドと、前記動物の腹部に前記パッドを保持するパッド保持手段とから成り、
前記パッド保持手段は、前記動物の背中および胴側部を囲む本体部と、該本体部の左右端と前記パッドを着脱自在に接続し、前記動物の腹部であって前記動物の陰部の近傍で前記パッドを保持するパッド接続部とから成ることを特徴とする動物の尿漏れ防止具。
【請求項2】
前記パッド保持手段の本体部は、互いに前後に離されて前記動物の背中および胴側部にかけられる一対の紐状体を備えていることを特徴とする請求項1に記載の動物の尿漏れ防止具。
【請求項3】
前記一対の紐状体は前記パッドを前記動物の腹部側へ付勢させる力を調整する付勢力調整機構を備え、該付勢力調整機構によって前記パッドを前記動物の腹部に密着させるようにしたことを特徴とする請求項2に記載の動物の尿漏れ防止具。
【請求項4】
前記一対の紐状体は少なくともコイル状のスプリングによって形成され、該紐状体の一部を輪にして捻ることにより前記付勢力調整機構を構成したことを特徴とする請求項3に記載の動物の尿漏れ防止具。
【請求項5】
前記一対の紐状体は、表面が凹凸を連続的に形成されたものであり、該紐状体の一部を輪にして捻ることにより前記付勢力調整機構を構成したことを特徴とする請求項3に記載の動物の尿漏れ防止具。
【請求項6】
前記一対の紐状体は、該紐状体の長さを調節するストッパを備え、該ストッパによって前記付勢力調整機構を構成したことを特徴とする請求項3に記載の動物の尿漏れ防止具。
【請求項7】
前記一対の紐状体は背中の毛にからむ素材により形成されたものであることを特徴とする請求項4~6のいずれかに記載の動物の尿漏れ防止具。
【請求項8】
前記パッド接続部は、前記パッドの左右端を着脱自在に把持する把持手段であることを特徴とする請求項1に記載の動物の尿漏れ防止具。
【請求項9】
前記パッドは、略矩形状、略台形状または略三角形状にカットされたものであることを特徴とする請求項1に記載の動物の尿漏れ防止具。
【請求項10】
前記パッドは、その前方寄りの略中央部分の一部を下方に突出させて、上方に開口する凹部空間を設けたものとし、該凹部空間内に前記動物の陰部を収められるようにしたことを特徴とする請求項1に記載の動物の尿漏れ防止具。
【請求項11】
前記パッド接続部は、前記本体部の両側に差し渡されて配置された袋体であり、該袋体は、前記動物の前方に開口し、前記動物の腹部に接する上面部は網状材によって形成されたものであり、前記開口を通じて前記パッドを出し入れできるようにしたことを特徴とする請求項1に記載の動物の尿漏れ防止具。
【請求項12】
前記パッド保持手段の本体部は、互いに前後に離されて前記動物の背中にかけられる一対の紐状体と、これら一対の紐状体を連絡する網状体とからなり、それぞれの紐状体の左右端にはそれぞれ前記パッド接続部を備えたものであることを特徴とする請求項1に記載の動物の尿漏れ防止具。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ペット、例えば犬や猫などの動物、特に雄の動物の尿漏れを防止する動物の尿漏れ防止具に係る。
【背景技術】
【0002】
犬や猫等の動物は古くから人間のペットとして飼われているが、これらの動物を室内で飼うことが多くなっている。室内で動物を飼うと、生まれてから間もない子犬等は勿論、老犬等は、室内で所構わず放尿したり、失禁したりすることが多い。このような場合、飼い主の手間が増える上、家の中で悪臭が生じる原因にもなる。
【0003】
飼い主にとっては尿漏れの後始末が大変なので、従来より、動物用の紙おむつが種々考案され、広く普及している。
動物の尿などを吸収するおむつとしては、後足を通してはかせるパンツ型のおむつ、あるいは、おなかから背中までぐるっと巻く、いわゆる腹巻型のおむつ(特許文献1参照)、あるいは、紐でおむつを腹部に縛るもの(特許文献2参照)が提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2006-217907号公報
【特許文献2】実用新案登録3186304号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
従来のパンツ型のおしめや腹巻型は、いずれも、動物の腹部と背中の周囲を広く覆うので、後ろ足の動きの邪魔になったり、動物の種類によっては、とくに比較的大きめの動物の場合は、おしめをはかせたりあるいは装着したりするのに手間がかかる欠点があった。
具体的には、特許文献1に開示されているような腹巻型のおしめの場合は、動物の腹部をぐるっと広く覆うために腹部を圧迫するので、動物にとってはかなり装着感が悪く、動くとおむつの位置がずれたり、緩んだりする欠点もあり、しかも、動物にとっては動きずらく窮屈であるとともに、動物におむつをしている様子が外見上目立って大変見た目が悪いという欠点があった。
また、従来の腹巻型のおしめの場合は、その市販されているものは値段がかなり高価である。それ故、1日に何度も失禁する場合は何回もおむつを交換しなければならず、交換回数が増えれば飼い主の負担もかなり大きくなる欠点もあった。
さらに、特許文献2に開示されているようなおしめの場合は、おしめを紐で縛って動物への装着するので、その装着作業が煩雑であり、大変手間がかかる欠点があった。しかも、おしめの構造が紐とおしめを一体にしたものとなっているため、構造も複雑になり、製作費用が嵩み、結局、おしめの値段が高価になる欠点もあった。さらにまた、このようなおしめの場合には、動物に装着した後に動物の動きによっては紐がずれたり緩んだりし、おしめの位置がずれたりする。このため、改めて、該紐を結び直したり、おしめを装着し直す必要もあり、装着後においても手間がかかる欠点もあった。しかも、このおしめの場合、ずれることも予め考慮しておしめを大きめに形成しておく必要があるので、その分おしめが高価になり、また、おしめが腹部を大きく覆うため動物にとっては動きずらく窮屈であるとともに、動物におむつをしている様子が外見上目立って大変見た目が悪いという欠点があった。
さらにまた、特許文献1に開示されているような腹巻型のおしめの場合は、動物の腹部をぐるっと広く覆う構成のため、動物におむつをしている様子が外見上目立って大変見た目が悪い上に、おしめの交換ときには、一方の胴側部で前記パッドの一方側を前記本体部の一方側に接続した後、他方の胴側部で前記パッドの他方側を前記本体部の他方側に接続しなければならなかったので、おしめを確実に所定の場所に装着するには、該おしめの一方側と他方側の接続を動物の向きを変えてそれぞれ行わなければならず、おしめの交換に手間がかかった。
【0006】
本発明は、前記実情に鑑みてなされたもので、本発明の目的は、動物への装着が簡単で、おむつの装着による不快感を大きく軽減でき、装着しても緩んだりずれたりせず、緩んだとしても簡単に修正でき、さらには、外見上も目立たず見た目も良く、動物のおむつの交換回数が増えても飼い主の経済的負担を劇的に減らすことができ、さらには、おしめの交換を楽に行うことができる動物の尿漏れ防止具を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明に係る動物の尿漏れ防止具は、上記実情に鑑みてなされたもので、以下のような構成としている。
請求項1に記載の動物の尿漏れ防止具では、雄の動物の尿を吸収するパッドと、前記動物の腹部に前記パッドを保持するパッド保持手段とから成り、前記パッド保持手段は、前記動物の背中および胴側部を囲む本体部と、該本体部の左右端と前記パッドを着脱自在に接続し、前記動物の腹部であって前記動物の陰部の近傍で前記パッドを保持するパッド接続部とから成る構成としている。
請求項2に記載の動物の尿漏れ防止具では、前記パッド保持手段の本体部は、互いに前後に離されて前記動物の背中および胴側部にかけられる一対の紐状体を備えている構成としている。
請求項3に記載の動物の尿漏れ防止具では、前記一対の紐状体は前記パッドを前記動物の腹部側へ付勢させる力を調整する付勢力調整機構を備え、該付勢力調整機構によって前記パッドを前記動物の腹部に密着させるようにした構成としている。
請求項4に記載の動物の尿漏れ防止具では、前記一対の紐状体は少なくともコイル状のスプリングによって形成され、該紐状体の一部を輪にして捻ることにより、すなわち、スプリング自体が前記付勢力調整機構を構成した構成としている。
請求項5に記載の動物の尿漏れ防止具では、前記一対の紐状体は、表面が凹凸を連続的に形成されたものであり、該紐状体の一部を輪にして捻ることにより、すなわち、紐状体の凹凸によって前記付勢力調整機構を構成した構成としている。
請求項6に記載の動物の尿漏れ防止具では、前記一対の紐状体は、該紐状体の長さを調節するストッパを備え、該ストッパによって前記付勢力調整機構を構成した構成としている。
請求項7に記載の動物の尿漏れ防止具では、前記一対の紐状体は背中の毛にからむ素材により形成されたものである構成としている。
請求項8に記載の動物の尿漏れ防止具では、前記パッド接続部は、前記パッドの左右端を着脱自在に把持する把持手段である構成としている。
請求項9に記載の動物の尿漏れ防止具では、前記パッドは、略矩形状、略台形状または略三角形状にカットされたものである構成としている。
請求項10に記載の動物の尿漏れ防止具では、前記パッドは、その前方寄りの略中央部分の一部を下方に突出させて、上方に開口する凹部空間を設けたものとし、該凹部空間内に前記動物の陰部を収められるようにした構成としている。
請求項11に記載の動物の尿漏れ防止具では、前記パッド接続部は、前記本体部の両側に差し渡されて配置された袋体であり、該袋体は、前記動物の前方に開口し、前記動物の腹部に接する上面部は網状材によって形成されたものであり、前記開口を通じて前記パッドを出し入れできるようにした構成としている。
請求項12に記載の動物の尿漏れ防止具では、前記パッド保持手段の本体部は、互いに前後に離されて前記動物の背中にかけられる一対の紐状体と、これら一対の紐状体を連絡する網状体とからなり、それぞれの紐状体の左右端にはそれぞれ前記パッド接続部を備えたものである構成としている。
【発明の効果】
【0008】
請求項1に記載の動物の尿漏れ防止具では、雄の動物の尿を吸収するパッドと、前記動物の腹部に前記パッドを保持するパッド保持手段とから成り、前記パッド保持手段は、前記動物の背中および胴側部を囲む本体部と、該本体部の左右端と前記パッドを着脱自在に接続し、前記動物の腹部であって前記動物の陰部の近傍で前記パッドを保持するパッド接続部とから成る構成としているので、前記パッドを前記パッド接続部で前記本体部に取り付けるだけでよいので、動物への装着が簡単である。また、前記パッドは動物の陰部を覆うだけの十分に小さく形成したものでよいので、おむつの装着による不快感を大きく軽減できる。さらに、前記パッド接続部でパッドを何度も取り付け取り外しが容易なことから、パッドを緩みなく装着でき、緩んだとしても簡単に修正できる。さらには、前記パッドは小さく形成できるので、外見上も目立たず見た目も良く、動物のおむつの交換回数が増えても飼い主の経済的負担を劇的に減らすことができる。これらの点についてさらに詳述する。
すなわち、請求項1に係る尿漏れ防止具では、前記パッドを前記動物の腹部を覆うだけの小さいサイズで形成でき、しかも、例えば四角形のような単純で量産に向いた形状で良いので、安価に製造でき、これにより、1日に何度もパッドを交換しても安価で済み、動物のおむつに関わる飼い主の経済的負担を劇的に減らすことができる。しかも、パッドは動物の陰部を覆うだけの大きさで十分なので可及的に小さく形成でき、従来のような動物の腹部の周囲を大きく覆ってしまうこともないので、動物が楽に走ったりすることができ、動きずらいこともなくなり、動物にとってのパッドの装着による不快感もなく、パッド(おしめ)を腹部に付けたままでも外見上もパッドが目立たず、見た目も良いので、そのままパッドを装着したまま散歩に出ることもできる。さらに、パッドをパッド保持手段の本体部に着脱自在に簡単に保持することができるので、パッドを動物に装着したり、取替えたりする作業がとても簡単である。また、前記パッドを小さく形成できるので、前記パッド(おしめ)の中で蒸れたりすることもないので、暑い日に前記パッドを装着したままでも蒸れに起因する苦痛も可能な限りなくすことができる。前記パッドを前記動物の腹部を覆うだけの小さいサイズで形成できることから、前記パッドの把持手段による把持は、前記動物の陰部の近傍で行える。このため、前記パッドの装着は、前記動物を例えば立ったままの姿勢で、あるいはひっくり返して仰向けにした姿勢のまま、把持の作業を一気に行うことができる。これにより、従来のように動物の向きを変えたりせずに前記パッドの装着・交換作業を行うことができ、その作業が簡単である。また、装着中の前記パッドがずれた場合でも、前記パッドが小さく、前記陰部の近くで前記本体部に保持される構成としているので、前記動物の姿勢や向きを変えることなく前記パッドのずれの修正が行うことができ、そのずれの修正作業が楽である。
さらに、雄の動物の陰部から漏れる尿を吸い取るためのパッドを雄の動物の陰部およびその周辺部を効果的に最小限の大きさで覆うことができ、動物の陰部とそのわずかな周辺のみを覆うだけなので、動物にとってもパッドが邪魔にならず、パッドの装着による不快感もなく、外部から見ても装着したパッドが目立たず、外見上の見た目が良い。このように、大きさが小さい前記パッドにより動物の尿を効果的に確実に吸い取ることができ、尿漏れを簡単に防止することができ、おしっこ撒き散らしを防止することができ、飼い主による動物の尿の後始末が簡単になる。
しかも、請求項1のパッドは、動物の陰部とそのわずかな周辺を覆うほどの小さい大きさに形成すればよいので、従来の動物の腹部の周囲を全部覆うおしめに比べて、そのパッドの製作費を従来より大きく低減できる。そのため、その販売価格も大きく低減でき、飼い主の負担を大きく低減することができる。このように、前記パッドは前記動物の陰部を囲むだけの大きさで済み、しかも、パッドを使いきった場合は、緊急に市販の尿とりシートを小さく切断したものや、その他各種の吸湿または吸水作用のあるシートで代用できる。このように、請求項1の尿漏れ防止具は簡易な構造で安価に製造でき、しかも、前記バッド購入費用を大幅に低減でき、飼い主の費用負担を劇的に減らることができる。この点でも、従来のような犬の腹部と背中に巻くように装着する従来のおしめ、あるいは、犬の後足部分を包むように覆う従来のおしめに比して、おしめに係る費用の出費を大幅に抑えることができる。
また、請求項1の尿漏れ防止具は、前記動物の陰部とそのわずかな周辺を覆うだけなので、パッドも小さくて済み、腹部を圧迫しないで装着でき、従来の腹部をぐるっと巻くおしめに比べて、装着してないような開放感が得られ、睡眠や横寝の邪魔にならず、装着による不快感を大きく低減することができる。とくに、犬が歩き回ったり、横になって寝たりしたときにはとくに動物にとってその装着による邪魔がなく、その際の装着に起因する不快感を大きく低減することができる。
さらにまた、パッドが小さく、パッドで動物の腹部を覆う面積も最小限で済むので、夏の暑い日等でも蒸れたりすることを極力低減でき、動物が横になって寝ているときにもパッドが邪魔にならず、寝ているときでも装着感が良好で、楽に寝転がることもできる。
さらにまた、請求項1の尿漏れ防止具は構造が簡単なので、そのパッド保持手段の本体部も安価であり、パッド保持手段の本体部が劣化したら、その劣化したパッド保持手段の本体部だけ新しいものへ交換すれば良く、その交換も容易である。
また、請求項1のパッドは、小さく形成できるので、小さいが故に尿が吸収されている程度を簡単に確認でき、目視でき、おしめの交換のタイミングを容易に知ることができる。
【0009】
請求項2に記載の動物の尿漏れ防止具では、前記パッド保持手段の本体部は、互いに前後に離されて前記動物の背中および胴側部にかけられる一対の紐状体を備えている構成としているので、構成が簡単であり、比較的安価に製作でき、外部から目立たず、見た目が良い。
請求項3に記載の動物の尿漏れ防止具では、前記一対の紐状体は前記パッドを前記動物の腹部側へ付勢させる力を調整する付勢力調整機構を備え、該付勢力調整機構によって前記パッドを前記動物の腹部に密着させるようにした構成としているので、前記動物に装着する際、あるいは装着した後に、緩みや引張り具合を簡単に調整することができ、前記パッドを前記動物の腹部に適宜な心地よい圧をもって密着させることができる。なお、前記付勢力調整機構は、前記本体部が一対の紐状体である場合は、その紐状体の張力を調整して前記パッドの動物の腹部への付勢力を調整することができる。
【0010】
請求項4に記載の動物の尿漏れ防止具では、前記一対の紐状体は少なくともコイル状のスプリングによって形成され、該スプリング自体が前記付勢力調整機構を構成した構成としているので、前記動物に装着した際には、前記動物の背中に掛けられる本体部の伸縮性によって、前記パッドを前記動物の腹部に適宜な心地よい圧をもって密着させることができる。これにより、前記パッドで尿を確実に吸い取ることができ、尿漏れを確実に防止することができる。さらに、前記パッド保持手段を動物に装着した際には、前記パッド保持手段の本体部がそのスプリング形状に起因して動物の背中の毛にからむので、パッド保持手段が動物の背中でずれたりすることを防止することができ、安定して動物の背中に装着することができる。また、前記パッド保持手段による前記パッドの保持が緩んだりしら際には、例えばスプリング状の紐状体の一部を輪にして捻ることによりこの輪が自ら維持固定されて張力調整機構を形成できる。これにより、スプリング状の紐状体を実質的に短くすることによってその張力を調整することができ、それにより紐状体の張力を回復させることができ、パッド3の付勢力を調整することができる。すなわち、このようなスプリング自体の有する張力調整機構により、前記紐状体が伸びたり緩んだりしても、前記パッドをずれたりすることなく、安定して前記動物の腹部に適宜な圧で装着することができ、またこのような状態を維持することもできる。また、前記パッド保持手段の本体部を、スプリング状の紐体で形成した場合は、スプリング形状部分が上術したように張力調整機構の役目をしつつ背中の毛にも絡むので、これにより紐状体のずれを防止することができるとともに、紐状体の張力を調整することができる。さらに、紐状体が伸縮性の紐であるか、あるいはコイル状のスプリングである場合は、紐状体が伸び縮みするので、紐状体をサイズフリーとすることができる。しかも、表面が凹凸の紐あるいはスプリング状の紐体の一部、例えば動物の背中に相当する頂上部分を捻ることにより、紐状体の長さ調整、紐状体が伸びて緩んだときの引張力の調整などを簡単に行うことができる。紐状体が伸び縮みしない場合は、例えば、後述するストッパのような付勢力調整機構を備えることにより、同様な効果を得ることができる。
請求項5に記載の動物の尿漏れ防止具では、前記一対の紐状体は、表面が凹凸に形成されたものであり、該紐状体の一部を輪にして捻ることにより、すなわち、表面の凹凸の紐体の一部、例えば動物の背中に相当する頂上部分を捻ることにより、紐状体の長さ調整、紐状体が伸びて緩んだときの引張力の調整などを簡単に行うことができ、紐状体の凹凸によって前記付勢力調整機構を構成することができる。このような構成としているので、前記紐状体の表面の凹凸が上術したような張力調整機構の役目をし、該紐状体の張力を調整することができる。さらに、この紐状体の凹凸が背中の毛にも絡むので、これにより紐状体のずれを防止することができる。さらに、紐状体が伸縮性の紐である合は、紐状体が伸び縮みするので、紐状体をサイズフリーとすることができる。紐状体が伸び縮みしない場合は、例えば、後述するストッパのような付勢力調整機構を備えることにより、同様な効果を得ることができる。その他、請求項4の尿漏れ防止具の場合のような効果、例えば、前記パッドを前記動物の腹部に適宜な心地よい圧をもって密着させることができ、前記パッドで尿を確実に吸い取ることができ、尿漏れを確実に防止できる等の効果も得ることができることは勿論である。
請求項6に記載の動物の尿漏れ防止具では、前記一対の紐状体は、該紐状体の長さを調節するストッパを備え、該ストッパによって前記付勢力調整機構を構成した構成としているので、前記ストッパの紐状体上での位置を変更することにより、紐状体の長さ調整、紐状体が伸びて緩んだときの引張力の調整などを簡単に行うことができ、紐状体をサイズフリーとすることができる。加えて、上術したような張力調整機構の役目をしつつ紐自体が背中の毛にも絡むので、これにより紐状体のずれを防止することができる。その他、請求項4の尿漏れ防止具の場合のような効果、例えば、前記パッドを前記動物の腹部に適宜な心地よい圧をもって密着させることができ、前記パッドで尿を確実に吸い取ることができ、尿漏れを確実に防止できる等の効果も得ることができることは勿論である。
請求項7に記載の動物の尿漏れ防止具では、前記一対の紐状体は背中の毛にからむ素材により形成された構成としているので、前記パッド保持手段を動物に装着した際には、パッド保持手段の本体部が動物の背中の毛にからむので、パッド保持手段が動物の背中でずれたりすることを防止することができ、安定して動物の背中に装着することができ、パッドの取り付け取外しも容易である。
請求項8に記載の動物の尿漏れ防止具では、前記パッド接続部は、前記パッドの左右端を着脱自在に把持する把持手段である構成としているので、前記パッドの動物への装着・取外しを簡単に行うことができ、前記パッドの交換作業を簡単に迅速に行うことができる。把持手段として例えばクリップ等を使用することにより、前記したように、本願発明のパッドの交換を容易に行うことができる。
【0011】
請求項9に記載の動物の尿漏れ防止具では、前記パッドは、略矩形状、略台形状または略三角形状にカットされたものである構成としているので、尿漏れるところを広くとれるので、確実に尿を吸収させることができ、また、後足の間の狭い箇所では小さく形成しているので、このため、前記パッド装着による不快感を大きく軽減でき、後足の動きの邪魔にならず、運動し易い。また、このような形状にすることにより、最小の形状で最大の尿を吸い取る効果を得ることができるとともに、可能な限り、前記パッドを最小に形成することができるので、経済的なメリットも大きい。しかも、このような小さなパッドであることから、前記パッドの動物への装着・取外しを簡単に行うことができ、前記パッドの交換作業が簡単に迅速に行うことができる。さらには、パッドを可能な限り小さく形成できるので、外見上も目立たず見た目も良い。前記パッドは、略矩形状、略台形状または略三角形状にカットされたものとしているので、余分に動物の腹部を覆うことがなく、暑い日でも蒸れることなく、しかも、小さく無駄なく作成できるので、前記したように装着感も良い。その他の効果は前記したものと同様であるので、記載を省略する。
【0012】
請求項10に記載の動物の尿漏れ防止具では、前記パッドは、その前方寄りの略中央部分の一部を下方に突出させて、上方に開口する凹部空間を設けたものとし、該凹部空間内に前記動物の陰部を収められるようにした構成としているので、漏れる尿を確実に吸収することができ、また、動物の陰部を前記凹部空間内に収めることにより前記パッドのずれも無くすことができる。すなわち、前記パッドは、その前方寄りの略中央部分を下方に突出させて上方に開口する凹部空間を設けたものとし、該凹部空間内に前記動物の陰部を収めるようにしているので、尿漏れを極力防ぐことができ、確実に尿を吸い取ることができる。前記凹部空間を形成するには、例えば、前記パッドの前方端側部分の略中央に切込み入れて、該切込みの両側部分を互いに上下に重ねて接続するか、あるいは、前記パッドの前方端側部分の略中央部分を幅方向に寄せて互いに重ね合わせることより形成することができる。この方法によれば、前記凹部空間を簡単に形成でき、その深さも動物のサイズや必要に応じて調整することも可能である。
請求項11に記載の動物の尿漏れ防止具では、前記パッド接続部は、前記本体部の両側に差し渡されて配置された袋体であり、該袋体は、前記動物の前方に開口し、前記動物の腹部に接する上面部は網状材によって形成されたものであり、前記開口を通じて前記パッドを出し入れできるようにした構成としているので、前記袋体にパッドを収納させたり、前記袋体からパッドを取り出したり等、前記袋体に収めたパッドの交換が簡単である。また、前記パッドは、トレットペーパーや、キッチンペーパー、ティッシュペーパー、その他の紙、不織布などの各種布等を適宜形状に折ったりカットしたりして簡単に形成でき、尿を吸収できるものであればなんでもパッドまたはパッド代用することができ、経済的である。
請求項12に記載の動物の尿漏れ防止具では、前記パッド保持手段の本体部は、互いに前後に離されて前記動物の背中にかけられる一対の紐状体と、これら一対の紐状体を連絡する網状体とからなり、それぞれの紐状体の左右端にはそれぞれ前記パッド接続部を備えたものである構成としているので、前記紐状体がとくに動物の毛にからみ難い場合でも、代わりに前記網状体が動物の背中の毛にからむので、これによっても、本体部やパッドのずれを防止することができる。その他の作用効果は前記と同様である。なお、一対の紐状体は、伸縮性があってもなくとも良い。このような紐状体についての説明は前述した紐状体のものを援用する。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下に本発明に係る動物の尿漏れ防止具の実施形態について、図面を参照しながら説明する。
本実施形態の動物の尿漏れ防止具1は、
図1に示すように、雄犬などの動物2の陰部2aから漏れる尿を吸い取るためのパッド3と、パッド3を動物2の腹部2b側に保持するためのパッド保持手段4とから構成され、該パッド保持手段は、動物2の背中2cおよび胴側部2dを囲む本体部5と、該本体部の左右端とパッド3を着脱自在に接続し、動物2の腹部2bであって動物2の陰部2aの近傍でパッド3を保持するパッド接続部4とから成る。以下詳述する。
パッド3は、尿を吸い取るように形成されたもので、従来より周知でいずれの構成でもよいので、その素材や構成の説明は後述する。パッド3は、動物の大きさに応じてサイズが決められるが、パッド3は、陰部2aの近傍で接続するため、少なくとも陰部2aを覆うサイズで十分であり、故に、従来のおしめに比べて格段に小さく形成することができる。小さいが故の効果は、すでに前述した作用効果の説明の欄に記載のとおりで、安価で外観上の見栄えもよく、その他の作用効果を援用する。
パッド3の形状は、
図2(a)に示すような矩形状のもの、あるいは、
図2(b)に示すような台形状、あるいは略三角形状であっても良い。パッド3は、前方が幅広く、後方に向かって幅が狭く形成するのが好ましく、このように形成すれば、パッド3の幅広の前方部分で腹部2bを後部よりも広めに覆うことができ、幅の狭い後方部分は後足の間に邪魔にならずに位置させることができ、動物にとっては装着感が向上する。パッド3を具体的に作成するには、市販の矩形状の尿取りパッドを複数に小さく裁断して簡易に作成するのがコスト上有利である。なお、パッド3の形状は限定されず、多角形状、8の字形状(前側と後ろ側が幅広)でも、いずれの形状でも良い。なお、パッド3の4角には、把持手段7によって咥えられる、あるいは接続される引っ掛かり部3eを設けても良い。これにより、把持手段7とパッド3との接続が確実に行うことができる。引っかかり部3eは、例えば、突起、肉厚にする、あるいは、硬くするなど、要は、把持手段7によって咥えがしっかりできるようであれば良い。また、パッド3は、勿論、トレットペーパーや、キッチンペーパー、ティッシュペーパー、その他の紙、不織布などの各種布等を適宜形状に折ったりカットしたりして簡単に形成したもので代用しても良く、尿を吸収できるものであって代用できるものであればなんでもよく、経済的である。
【0014】
パッド保持手段4は、該尿漏れ防止具の装着に際して動物2の背中2cと胴側部2dにかけられる本体部5と、該本体部の左右端で着脱自在にパッド3を保持するパッド接続部7とから構成されている。本実施形態のパッド保持手段4の本体部5は、該尿漏れ防止具の装着に際して、互いに前後に離されて動物2の背中2cおよび胴側部2dに掛けられる一対の紐状体5a,5aを備えている。一対の紐状体5a,5aは、伸縮性を有するとともに動物2に装着した際には動物2の背中2cと胴側部2dにかけられて動物2(とくに背中2c)の毛にからむ素材により形成されるのが好ましい。
本体部5の一例としては、少なくとも一部あるいは全部がコイル状のスプリングで構成された一対の紐状体5a,5aである。本体部5の一部をスプリングで構成した場合は、他は通常の紐状体あるいは別の後述する紐状体であっても良く、この場合は、いずれかの位置に、あるいはそれ自体が、後述する付勢力調整機構8を備えれば良い。
本実施形態では、一対の紐状体5a,5aは、その全部がスプリングであり、スプリング故の伸縮性もあり、その両端でパッド接続部7を支えている。パッド接続部7は、前述したように小さく形成されたパッド3を保持できるように、とくに動物2の陰部2aの近傍に位置されている。この例では、パッド接続部7は、一対の紐状体5a,5aの両端にそれぞれ設置した把持手段である。紐状体5aとしては、
図3(a)に示すような例えば樹脂製のスプリング状の紐材(紐状体)5aが好ましいがこれに限定されず、表面が凸凹に加工された伸縮性のある紐状体、例えば、紐状体5aの表面、あるいは少なくとも背中2cに当たる側の面に、背中2cの毛にからむような加工、例えば毛羽立てるとか、多数の突起、櫛状の突起を設けるとか、一例を挙げれば、紐状体5aを、小さい多数の略球状部状の突起を数珠繋ぎのように連続して形成したものとするか(
図3(b)参照)、あるいは略円柱状部状の突起を数珠繋ぎのように連続して形成したものとするか(
図3(c)参照)、あるいは、多数のフック状の突起等を連続して設けるなど凸凹を連続に形成したものでも良い。凸凹の他の例としては、紐の幅方向の断面が円や矩形に限らず、楕円、多角形など、あらゆる形状が含まれる。同様に、紐の長さ方向の断面も円や矩形に限らず、楕円、多角形など、あらゆる形状が含まれる。紐状体5aは、伸縮性があるものが好ましいが、とくにこれに限定されない。なお、紐状体5aが伸縮性を備えるためには、例えばゴムなどの伸縮性のある樹脂で一体成形することが好ましいが、勿論これに限定されない。
一対の紐状体5a,5aは、前後に適宜間隔離して動物2の背中2cにかけられる。この適宜間隔は、動物2の後足から前足までの途中までの距離で、動物2のサイズによって決定され、要は、陰部2aとその周辺を効果的に覆うように決定されれば良い。なお、一対のスプリングの紐状体5a,5aは、それ自体、パッド3を動物2の腹部2b側へ付勢させる力を調整する付勢力調整機構8を備え、該付勢力調整機構によってパッド3を動物2の腹部2bに密着させる構成としているので、動物2に装着する際、あるいは装着した後に、緩みや引張り具合を簡単に調整することができ、パッド3を動物2の腹部2bに適宜な心地よい圧をもって密着させることができる。付勢力調整機構8は、後述するように、一対の紐状体5a,5aの張力を調整してパッド3の動物2の腹部2bへの付勢力を調整する張力調整機構8のことである。
【0015】
パッド接続部7をなす把持手段としては、なるべく小型で厚みがなく、簡単に開いたり閉じたりできる樹脂製の軽量なクリップが好ましく、具体的には、
図4(a)、(b)、(c)に示すような、いわゆるワニ口クリップあるいはワンタッチクリップ(その他、キーパークリップ、フィッシュクリップ、マスククリップ、帽子クリップ、ナスクリップ等(呼び方に係わらず、開閉自在であればいずれのクリップでも良い。))等が好ましいが、開いたり閉じたりできてパッド3を挟んで保持することができるものであれば他のどのようなクリップでも良い。
図4(a)、(b)、(c)に示すクリップ(把持手段)7は、開いたり閉じたりしてパッド3の左右端あるいは角部を咥えて保持する口7aと、口7aの開閉しつつその状態を保持するハンドル7bを有している。クリップ7を開くときは、ハンドル7bを起こす(
図3(a)の左側のクリップ7、
図4(a)(c)のクリップ7参照)。クリップ7を閉じるときは、口7aにパッドの端あるいは角を入れてハンドル7bを倒す(
図3(a)の右側のクリップ7、
図4(b)のクリップ7参照)ことで、パッド3と本体部5の接続が完了する。把持手段7は、適宜な従来方法で紐状体5aの端に接続されており、その方法はとくに限定されず、説明を省略する。なお、パッド接続部7は、パッド3を把持する把持手段に限らず、パッド3の左右端3a,3a,3b,3bに着脱自在に接続するマジックテープ(登録商標)であっても良い。パッド接続部7がマジックテープ(登録商標)である場合は、該テープの一方の要素を紐状体5aに設置し、他方の要素をパッド3の左右端あるいは角部に予め設置しておけば良い。
【0016】
次に、尿漏れ防止具1の作用効果について説明し、併せて、尿漏れ防止具1の構成をより明らかにする。
尿漏れ防止具1を動物2に装着するには、まず、パッド保持手段4の本体部5の一対の紐状体5a,5aを動物2の背中2cに前後に適宜間隔あけてかける。次いで、本体部5の端部に設置されたパッド接続部7である把持手段で、例えば矩形状のパッド3の前後左右端3a,3a,3b,3bを把持させて、パッド3で動物2の腹部2bの陰部2aおよびその周辺を覆う。このとき、パッド3の把持手段による把持は、動物2の陰部2aの近傍で行える。このため、パッド3の装着は、動物2を例えば立ったままの姿勢で、あるいはひっくり返して仰向けにした姿勢のまま、把持の作業を一気に行うことができる。これにより、従来のように動物2の向きを変えたりせずに、パッド3の装着・交換作業を行うことができ、その作業が簡単である。また、装着中のパッド3がずれた場合でも、パッド3が小さく、陰部2aの近くで本体部5に保持される構成となっているので、動物2の姿勢や向きを変えることなくパッド3のずれの修正が行え、そのずれの修正作業が楽である。
パッド3が装着されると、パッド3は、紐状体5a,5aの収縮力に起因する引張力によって腹部2bに適宜な圧で密着される。これにより、安定してパッド3で陰部2aを覆っておくことが可能なので、動物2の尿を確実に吸収させることができ、尿漏れを確実に防止することができる。パッド3が尿をたくさん吸収して交換したい場合には、パッド3をそれぞれの把持手段7の口7aを開いて本体部5から外し、新たなパッド3を前記したように再び装着すれば良い。
本実施形態では、前記したことからも明らかなように、陰部2aとその付近の小さい領域を覆うだけ良いので、パッド3を可及的に小さく形成できる。これにより、外見上目立たないパッド保持手段4によって動物2の腹部2bの陰部2aとその周辺部をパッド3で覆うので、該パッド(おしめ)を腹部2bに付けたままでも目立たず、そのままパッド3を付けて散歩に出かけることができ、散歩のマナーをさらに向上させることができる。
【0017】
パッド3の本体部5による引張力が弱まったときは、紐状体5aの一部、例えば頂上部5bを輪状にして捻ることにより実質的な紐状体5aの張力調整機構8を構成することができ(
図1参照)、これにより、紐状体5aが実質的に短くして簡単に引張力を増すことができる。これは、前後両方の紐状体5a,5aに適用することができる。表面が凹凸に形成した紐状体5a(
図3(b)(c)参照)あるいはスプリングの紐状体5a(
図3(a)参照)は、それ自体張力調整機構8を構成することができる。すなわち、紐状体5aの一部を輪状にして捻ると、輪状のまま自動的に固定できるので、簡単に引張力を調整することができる(
図1参照)。
図3(b)に示すように、紐状体5aが、小さい多数の略球状部5cあるいは小さい多数の略円柱状部を数珠繋ぎのように連続して形成したものである場合、各略球状部5cを繋いでいる紐状の連絡部5dのいずれかの任意の連絡部5d,5dのところでクロスさせて紐状体5aの一部を輪5bにして捻ると、この連絡部5d,5dの両隣の略球状部5c、5c,5c,5cが互いに押し合いつつ引っかかって輪5bが維持され固定されるので、紐状体5aの張力を調整することができる張力調整機構8を構成することができる。略球状部や略円柱状部5c、5c同志が互いに引っかかるには、表面に適宜な摩擦力を有する素材で紐状体5aが形成されるのが好ましい。なお、略球状部状部材5cに代えて略円柱状部等の突起5cである場合も同様であり、その説明を援用する。
また、パッド3は、
図2(a)に示すような矩形状に限らす、
図2(b)に示すように、例えば前方側の左右幅を長く、後方側の左右幅を短くして、いわゆる台形状としても良い。この場合、パッド3の幅広の前方部分で、動物2の陰部2aの前方であって後足の邪魔にならないところで、腹部2bを少し広めに覆うことができ、尿漏れをより確実防止することが可能である。また、パッド3の幅狭い後方部分で、動物2の陰部2aの後方であって後足の間の狭い腹部に後足の邪魔にならないように腹部2bを覆うことができるので、動物2にとっては、後足を動かし易く、装着の不快感をできる限り少なくすることができる。
【0018】
説明を繰り返すが、一対の紐状体5aは、スプリング材に限らず、伸縮性がある紐状体が好ましい。また、表面がつるっとした紐、例えばゴム紐等のようなものである場合は、その表面が毛毛羽立たせるか、動物2の背中2cの毛に絡む突起など、凸凹に形成するのが好ましい。この場合、一部を輪状にして捻ったときにその状態がスプリングや連続する突起の場合のように自動的に勝手に固定保持されるようにするのが好ましい。
なお、紐状体5aは、伸縮性のある紐は勿論、伸縮性のない通常の紐でも良い。通常の紐としては、特に、繊維を編んで形成した紐等、表面が平坦でないものが好ましいが、これに限らず、どんな紐でも良い。伸縮性がない紐の場合は、
図5および
図6に示すようなストッパ8aを用いた張力調整機構8を設置し、該張力調整機構8を用いて紐の長さを調整することにより張力を調整することができる。すなわち、ストッパ8aは、一対の紐状体5a,5aの該ストッパの位置からパッド接続部7までの長さを調整することにより、パッド3の動物2の腹部2b側へ付勢させる力を調整するすることができる。付勢力調整機構8によって一対の紐状体5a,5aの緩みや引張り具合を簡単に調整することができ、パッド3を動物2の腹部2bに適宜な心地よい圧をもって密着させることができる。繰り返すが、付勢力調整機構8は、一対の紐状体5a,5aの張力を調整してパッド3の動物2の腹部2bへの付勢力を調整する張力調整機構8のことである。ここで、ストッパ8aの構成について簡単に説明する。ストッパ8aは、その円筒状のボディ8bに横に貫通する孔8cを有し、該孔に紐5aの輪5bを通し、その輪5bを適当な長さとしたところでボタン8dを離すと紐5aが固定され、ストッパ8aからパッドパッド接続部7までの紐5aの長さを調節することができる構成となっており、これにより、紐5aによる張力を調整することができる。
他方、本体部5の一対の紐状体5a,5aが、伸縮可能なスプリング状の紐である場合は、動物2に装着してその背中2cに掛けた際、スプリングのコイル部分が背中2cの毛を挟むようにからんむので、掛けた位置からずれたりすることが防止され、安定して装着することができる。
【0019】
さらに、パッド3は、その前方寄りの略中央部分の一部を下方に突出させて、上方に開口する凹部空間3dを設けたものとし、該凹部空間内に動物2の陰部2aを収められるようにしても良い。
図7を参照しながら、具体的に説明すると、例えば、
図7(a)、(b)に示すように、パッド3の前方側の左右幅を長く、後方側の左右幅を短く形成して、前方側の中央付近に前後方向の切り込み3cを入れて、切り込み3cを挟んで両側に形成される前方に広がる三角の部分3f,3fを上下に重ねて互いに固定して、前方寄りの略中央部分に下方に突出する凹部空間3dを形成するようにしても良い。これにより、パッド3を動物2に装着した際に、空間3d内に動物2の陰部2aを収容させるようにすることができ、尿漏れ防止をさらに確実することができる。また、例えば、
図7(c)、(b)に示すように、パッド3の前方側の左右幅を長く、後方側の左右幅を短く形成して、前方側の中央付近に前後方向の谷折り線3gと、該谷折り線を挟んで両側に前方に広がる三角の部分3fが形成される山折り線3h、3hとを設けている。谷折り線3gと山折り線3h、3hをそれぞれ谷側と山側に折ると、三角の部分3f,3fが該パッドの幅方向に互いに重ね合わされ、このまま三角の部分3f,3fを互いに固定することにより、前方寄りの略中央部分に下方に突出し、上方に開口する凹部空間3dを形成するようにしても良い。これにより、パッド3を動物2に装着した際に、空間3d内に動物2の陰部2aを収容させるようにすることができ、尿漏れ防止およびずれ防止をさらに確実することができる。なお、谷折り線3gのところは、切り込み3cとしてもよい。この場合は、切り込み3cで切断された端部を下方に向くように三角の部分3f,3fを山折り線3h、3hのところから下方に折り、三角の部分3f,3fを互いに対峙させて重ね合わせて接続固定すればよい。
【0020】
図8は、尿漏れ防止具1の他の実施形態を示す。本実施形態の特徴的なところは、パッド3のパッド接続部7は、尿漏れ防止具の装着に際して、動物2の腹部を覆うように、本体部5の両側に差し渡された袋体6であり、該袋体は、例えば前方に開口し、動物2の腹部2bに接する上面部6aは尿を透過するとともに動物2にとって肌触りの良いシート、例えば、メッシュ材シート、不織布シート等によって形成された構成となっている。
本実施形態では、パッド3は、その開口6bを通して袋体内に挿入設置すれば良い。パッド3の交換は、この開口6cを通して出し入れでき、いつでも簡単に可能である。なお、袋体の開口方向はとくに限定されず、いずれでも良い。
【0021】
図9は、尿漏れ防止具1のさらに他の実施形態を示す。本実施形態は、パッド保持手段4の本体部5の網状体9が動物2の背中2cの毛にからんで固定されるように構成したものである。本実施形態の特徴的なところは、パッド保持手段4の本体部5が、一対の紐状体5a,5aと、これらの紐状体5a,5aを連絡する略矩形状の網状体9とから成る。一対の紐状体5a,5aは、必ずしも前記実施態様で説明した各種紐状体のような伸縮性のある紐状体gが好ましいが、必ずしも伸縮性のない通常の紐状体でも良く、しかも、表面が動物2の背中2cの毛に絡む紐状体でなくても良く、網状体9に近い太さの目立たない紐が好ましいが、勿論これに限定されない。パッド保持手段4の本体部5は、動物2に装着したときには、前記実施形態と同様に動物2の背中2cにかけられる。このとき、一対の紐状体5a,5aは、前記実施形態と同様に適宜間隔離されている。網状体9は、例えば
図10に示すような比較的大きな目のネット状に編んだものが好ましい。一対の紐状体5a,5aと網状体9は、一体に形成されるのが好ましいが、一体でなくともどちらでも良い。網状体9のメッシュの大きさと繊維の太さは、動物2の背中2cの毛に絡みやすいように適宜決定すれば良い。要は、背中2cの毛にからんで、本体部5がずれないように、適宜な網目の大きさや材質を選択するのが好ましい。網状体9のパッド3を引っ張る力を調整する場合、あるいは、網状体9が伸びてこの引っ張る力が弱くなった場合は、その網状体9の前端側と後端側でそれそれその幅方向に位置する網目間に紐や金具や樹脂の引っ掛けリブを掛けてその幅方法の長さを短く調整すれば良い(付勢力調整機構(張力調整機構)8に相当する。)。
なお、網状体8の大きさや形状は、動物2の後足から前足までの途中までの距離で、動物2のサイズによって決定され、要は、陰部2aとその周辺を効果的に覆うように決定されれば良い。
本実施形態においても、前記実施形態の場合と同様な作用効果を得ることができ、パッド3の装着・交換も容易で、パッド3も安価で済み、動物2にとっても良好な装着感を得ることができる等、前記実施形態の場合と同様な作用効果を奏する。
【0022】
最後に、本発明で使用する用語について補足する。
一対の紐状体は、必ずしも伸縮性は必須ではないが、少なくとも、付勢力調整手段を備えたものであれば良い。
前記付勢力調整手段は、前記紐状体が伸縮性を有しない場合は、前述したように、該紐状体の長さを調整する長さ調整機能を備えれば良い。
前記付勢力調整手段は、前記紐状体が伸縮性を有するスプリング状のものである場合は、該紐状体自身であり、該紐状体を捻って前記紐状体の長さを調整して前記パッドの付勢力を調整することができる。
スプリング状紐状体は、伸縮コイル状紐状体であっても良く、同義である。ストッパ8aのような紐状体の長さを調整する機能を有するものの他の例としては、コードストッパ、紐ストッパ、コードロック等、呼び方は違って、同様に採用できることは言うまでもない。
一対の紐状体が伸縮性を有する素材により形成されたものである場合は、その素材としては、例えば、ゴム紐のようなものであって、その表面に紐自体を捻ると互いにからんで固定するように表面を加工するのが良い。
パッド保持手段の本体部は、互いに前後に離されて前記動物の背中および胴側部にかけられる一対の紐状体からなるものであることが好ましいが、必ずしも一対の紐状体でなくともよい。一対の紐状体でない例としては、例えば、好ましくは伸縮性があって、動物2の背中2cの毛にからむ布状体、例えば、網状体等を採用することができる。網状体の場合は、伸縮性がある場合にはそれ自体で付勢力調整機構(張力調整機構)を構成することができ、その機能を発揮できる。
本発明では、パッド保持手段の本体部の色、例えば紐状体や網状体の色を、動物の少なくとも背中の毛の色に合わせることにより、目立たず、見た目もよく、装着したまま外出したり散歩したりすることができ、散歩のマナーを向上させることができる。
さらになお、前記パッド接続部が前記パッドの左右端に着脱自在に接続するマジックテープ(登録商標)である場合、該マジックテープ(登録商標)の一方を前記パッドに設置し、該マジックテープ(登録商標)の他方を前記本体部に設置しすれば良い。これにより、前記パッドの動物への装着・取外しが簡単に行うことができ、前記パッドの交換作業を簡単に迅速に行うことができる。把持手段として、マジックテープ(登録商標)を使用することにより、前記したように、本願発明のパッドの交換を容易に行うことができる。
【産業上の利用可能性】
【0023】
本発明に係る動物の尿漏れ防止具は、おしめ等を製造する産業分野を活性化でき、ペット業界において広く利用されることが期待され、ペットの飼い主に使用を広く薦めることができるものである。本願発明に係るペットとしては、犬に限らず、猫、兎、豚など、その他の4足走行動物であってペットとして飼える動物であればどのような動物でも良い。
また、本願発明に係る動物の尿漏れ防止具は、サイズフリーであり、いろんなサイズの動物に適用できる。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【
図1】本発明に係る動物の尿漏れ防止具の一実施形態を示す斜視図である。
【
図2】本発明に係る動物の尿漏れ防止具のパッドの一実施形態を示すもので、(a)は略矩形状に形成されたものを示す平面図であり、(b)は略台形状に形成されたものを示す平面図である。
【
図3】本発明に係る動物の尿漏れ防止具のパッド保持手段の本体部が紐状体であり、その把持手段がワニ口クリップである場合の一例を示し、(a)は紐状体がコイル状のスプリングである場合を示す正面図、(b)は紐状体が多数の略球状部を連結して表面に凹凸を形成したものである場合を示す正面図、(c)は紐状体が多数の立方体状あるいは円柱状の突起を連結して表面に凹凸を形成したものである場合を示す正面図である。
【
図4】本発明に係る動物の尿漏れ防止具のパッド保持手段の本体部がスプリング状の紐状体であり、その把持手段がワニ口クリップである場合の一例を示し、(a)はワニ口クリップの開いた様子を示す正面図、(b)はワニ口クリップの閉じた様子を示す正面図、(c)はワニ口クリップの開いた様子を示す斜視図である。
【
図5】本発明に係る動物の尿漏れ防止具のパッド保持手段の本体部が伸縮性のない通常の紐であって、該紐の張力を調整する張力調整機構(ストッパ)を備えた様子を示す正面図である。
【
図6】本発明に係る動物の尿漏れ防止具のパッド保持手段の本体部が伸縮性のない通常の紐であって、該紐の張力を調整する張力調整機構(ストッパ)を備えた様子を示し、とくにその要部を拡大して示す斜視図である。
【
図7】本発明に係る動物の尿漏れ防止具のパッドの他の実施形態を示すもので、(a)と(c)は凹部空間を作る前のパッドを展開している平面図、(b)と(d)は凹部空間を作ったときのパッドの斜視図である。
【
図8】本発明に係る動物の尿漏れ防止具の他の実施形態を示す斜視図である。
【
図9】本発明に係る動物の尿漏れ防止具のさらに他の実施形態を示す斜視図である。
【
図10】本発明に係る動物の尿漏れ防止具のさらに他の実施形態のパッド保持手段の本体部が略矩形状の網状体によって構成された例を示す平面図である。
【符号の説明】
【0025】
1 尿漏れ防止具
2 動物
2a 陰部
2b 腹部(お腹)
2c 背中
2d 胴側部
3 パッド
3a 前方側の左右端
3b 後方側の左右端
3c 切り込み
3d 凹部空間
3e 引っかかり部
3f 三角の部分
3g 谷折り線
3h 山折り線
4 パッド保持手段
5 本体部
5a 紐状体(紐材)
5b 頂上部(輪)
5c 略球状部、略円柱状部、突起等
5d 連絡部
6 保持部(袋体)
6a 上面部
6b 開口
7 パッド接続部(把持手段、クリップ等)
7a 口
7b ハンドル
8 付勢力調整機構(張力調整機構)
8a ストッパ
8b ボディ
8c 孔
8d ノブ
9 網状体
【手続補正書】
【提出日】2024-12-14
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
雄の動物の尿を吸収するパッドと、前記動物の腹部に前記パッドを保持するパッド保持手段とから成り、
前記パッド保持手段は、互いに前後に離されて前記動物の背中および胴側部にかけられる一対の紐状体を備えた本体部と、該本体部の左右端と前記パッドを着脱自在に接続し、前記動物の腹部であって前記動物の陰部の近傍で前記パッドを保持するパッド接続部とから成り、
前記一対の紐状体は、伸縮性があり、その伸縮性により前記パッドを前記動物の腹部に密着させるようにした動物の尿漏れ防止具において、
前記一対の紐状体は、該一対の紐状体自体の一部を輪にして捻ることにより輪状のまま自動的に固定されるべく、コイル状のスプリング又は表面に凹凸を連続的に形成したものによって形成され、一対の紐状体のそれぞれを捻ってそれぞれの長さを変えることによって該紐状体の張力を変える張力調整機構を構成し、
前記パッド接続部は、前記パッドの左右端を着脱自在に把持する把持手段であり、
前記パッドは、略矩形状、略台形状または略三角形状にカットされたものであり、
もって、前記一対の紐状体の一部を輪にして捻ることにより前記パッドを動物に適宜圧で装着したことを特徴とする動物の尿漏れ防止具。