IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 未来工業株式会社の特許一覧

(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2025006213
(43)【公開日】2025-01-17
(54)【発明の名称】管接続部構造および管接続装置
(51)【国際特許分類】
   F16L 37/248 20060101AFI20250109BHJP
   F16L 37/133 20060101ALI20250109BHJP
【FI】
F16L37/248
F16L37/133
【審査請求】未請求
【請求項の数】12
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023106876
(22)【出願日】2023-06-29
(71)【出願人】
【識別番号】000243803
【氏名又は名称】未来工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000659
【氏名又は名称】弁理士法人広江アソシエイツ特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】信田 貴康
【テーマコード(参考)】
3J106
【Fターム(参考)】
3J106AB01
3J106BA01
3J106BB01
3J106BC04
3J106BD01
3J106EA01
3J106ED03
3J106EE18
3J106EF13
(57)【要約】
【課題】直感的な操作によって管の接続解除操作を可能とし、管の接続解除における作業性を改善した管接続部構造を提供する。
【解決手段】管接続部構造は、管が内挿される中空筒状の筒部と、筒部内に配置され、係止部が管の外面に近接した係止位置にあるときに管を係止可能に構成された、係止体と、筒部に対して相対移動可能に筒部に装着された操作リング体と、を備える。操作リング体が、接続位置に相対移動したときに管の接続状態を維持可能とし、接続位置よりも軸方向先端側に位置する解除位置に相対移動したときに管を接続解除可能とする。操作リング体の筒部に対する相対移動を制御する制御路、および、制御路内に移動が制御された被制御部が設けられている。制御路は、操作リング体を接続位置に配置する接続領域と、操作リング体を解除位置に配置する解除領域とを備える。制御路の少なくとも一部を成す、接続領域と解除領域との間の移動経路が軸方向に延びている。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
管が接続される管接続部構造であって、
軸方向基端から軸方向先端に延伸し、軸方向先端に前記管を受け入れる挿入開口を有し、前記挿入開口を介して前記管が内挿される中空筒状の筒部と、
前記筒部内に配置される基部と、前記基部から延出し、前記筒部に内挿された前記管の径方向外側に配置されるとともに径方向に変位可能である係止部と、を有し、前記係止部は、前記管の外面に近接した係止位置で前記管を係止可能に構成された、係止体と、
前記筒部に対して相対移動可能に前記筒部の軸方向先端に装着された操作リング体と、を備え、
前記操作リング体は、前記筒部に対する相対位置に応じて、前記係止部に当接して前記係止部を前記係止位置に配置する当接部を有し、前記操作リング体が、接続位置に相対移動したときに前記管の接続状態を維持可能とし、前記操作リング体が、前記接続位置よりも軸方向先端側に位置する解除位置に相対移動したときに前記管を接続解除可能とし、
前記筒部および前記操作リング体の一方には、前記操作リング体の前記筒部に対する相対移動を制御する制御路が設けられ、前記筒部および前記操作リング体の他方には、前記制御路内に移動が制御された被制御部が設けられ、
前記制御路は、前記被制御部が配置されたときに前記操作リング体を前記接続位置に配置する接続領域と、前記被制御部が配置されたときに前記操作リング体を前記解除位置に配置する解除領域とを備え、前記制御路の少なくとも一部を成す、前記接続領域と前記解除領域との間の移動経路が軸方向に延びていることを特徴とする管接続部構造。
【請求項2】
前記接続領域は、少なくとも前記被制御部の軸方向への移動が規制された接続区域と、前記解除領域に対して軸方向に連通し、前記被制御部の前記接続区域および前記解除領域の両方への移動を許容する移行可能区域とを備えることを特徴とする請求項1に記載の管接続部構造。
【請求項3】
前記制御路における前記移行可能区域と前記解除領域との間に中間領域が形成され、前記中間領域が、前記筒部および前記操作リング体の軸方向への相対移動を許容するように、前記管の抜き出し方向に沿って連続的に延びていることを特徴とする請求項2に記載の管接続部構造。
【請求項4】
前記接続領域は、前記制御路において、前記解除領域と軸方向の異なる位置で周方向に延在する領域であり、前記被制御部が前記移行可能区域に配置されたときに前記接続区域に周方向に沿って移動すべく、前記筒部を軸とした前記操作リング体の相対回動が許容されることを特徴とする請求項2または3に記載の管接続部構造。
【請求項5】
前記被制御部が前記移行可能区域と前記接続区域との間を移動するのに必要な前記操作リング体の相対回動量が半回転以内であることを特徴とする請求項4に記載の管接続部構造。
【請求項6】
前記解除領域には、前記移行可能区域と軸方向に並んで配置された解除区域と、前記解除区域に周方向に連設された拡張区域が設けられ、前記被制御部が前記解除区域から前記拡張区域へと移動する際の前記操作リング体の回動方向と、前記被制御部が前記移行可能区域から前記接続区域へ移動する際の前記操作リング体の回動方向とが同じであることを特徴とする請求項4に記載の管接続部構造。
【請求項7】
前記接続領域は、少なくとも前記被制御部の軸方向への移動が規制された接続区域と、前記解除領域に対して軸方向に連通し、前記被制御部の前記接続区域および前記解除領域の両方への移動を許容する移行可能区域とを備え
前記制御路は、周方向一方側に前記接続区域を含むとともに周方向他方側に前記移行可能区域を含む周方向領域と、軸方向一方側に前記移行可能区域を含むとともに軸方向他方側に前記解除領域の少なくとも一部を含む軸方向領域と備え、
前記周方向領域は、前記操作リング体の軸方向の相対移動を必要とすることなく、前記操作リング体の前記筒部を軸とした相対回動を許容し、
前記軸方向領域は、前記操作リング体の周方向の相対回動(回転操作)を必要とすることなく、前記操作リング体の前記筒部に対する軸方向の相対移動を許容することを特徴とする請求項1に記載の管接続部構造。
【請求項8】
前記解除領域には、前記移行可能区域と軸方向に並んで配置された解除区域と、前記操作リング体の回動操作によって前記被制御部が前記解除区域から進入するように前記解除区域に連設された拡張区域が設けられていることを特徴とする請求項1または7に記載の管接続部構造。
【請求項9】
前記接続領域は、前記操作リング体の強制的な操作を許容するが、前記被制御部の前記接続領域から前記解除領域への自由移動を規制する移動規制部を備えることを特徴とする請求項1から3、7のいずれか一項に記載の管接続部構造。
【請求項10】
前記移動規制部は、前記接続領域に配置された前記被制御部の周方向の自由移動を規制し、前記操作リング体の前記筒部を軸とした強制的な回動操作によって、前記被制御部が前記移動規制部を乗り越えるように構成され、
前記接続領域内の前記移動規制部よりも前記解除領域に近い箇所には、前記操作リング体の周方向の遊動域を確保するように周方向に延びる延長回動路が設けられていることを特徴とする請求項9に記載の管接続部構造。
【請求項11】
前記係止部は、前記基部から軸方向先端側に延在し、前記筒部に内挿された前記管の接離方向に変位可能な接離片と、前記接離片から前記管の外面に向けて突出する係止突片と、を備え、
前記筒部は、前記管を内挿する中空筒状の外筒部と、前記外筒部に内挿された前記管の管内に挿入される中空筒状の内筒部とを備え、
前記係止部が前記係止位置に配置された状態で、前記内筒部の先端が、前記係止突片の位置よりも軸方向先端側に延びていることを特徴とする請求項1から3、7のいずれか一項に記載の管接続部構造。
【請求項12】
請求項1から3、7のいずれか一項に記載の管接続部構造が1または複数設けられた接続体と、
前記管接続部構造を介して前記接続体に接続される1または複数の管と、を備えることを特徴とする管接続装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、管を接続するための管接続部構造、および管接続装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、管の端部を端末処理したり、管をボックスなどの配設体に接続したり、2以上の管を相互に接続したりするために、管を接続する種々の管接続部構造が用いられている。
【0003】
例えば、特許文献1は、波付管を接続するための波付管接続継手を開示する。以下、当該段落において、()内に特許文献1の符号を示す。特許文献1において、波付管用継手は、筒状の継手本体(10)と、継手本体(10)よりも径が大きく短い筒状のナット(20)とからなる。ナット(20)の内面には、一方の端部を基点にして軸方向にナット(20)の中央付近までつづく細片状の爪片(22)が、周方向に等間隔で多数並べて設けられている。爪片(22)の先端近くには、波付管(30)の谷部(32)に嵌まり込む、中心に向かって突出する突起状の爪部(24)が設けられている。ナット(20)の内面で、前記爪片(22)を形成した側とは反対側の位置に係合凸部(28)が形成されている。継手本体(10)は、一端にナット連結部(12)を備える。ナット連結部(12)の端縁には、押動部(14)が設けられている。また、ナット連結部(12)には、外周面に沿って浅い係合溝(50)が設けられている。係合溝(50)は、導入部(52)、固定部(54)、解除部(56)および移動部(54a)からなり、継手本体(10)にナット(20)を嵌めたときに、ナット(20)の係合凸部(28)が係合溝(50)に嵌まり込んで前記各部(52~56)に沿って自由に摺動できるようになっている。係合溝(50)のうち、導入部(52)は継手本体(10)の端縁から軸方向に沿って短くつづいており、導入部(52)の端部で左右に固定部(54)と解除部(56)がつながっている。固定部(54)は、軸方向と直交する周方向に延びている。解除部(56)は、周方向、すなわち固定部(54)の形成方向に対して傾斜して延びている。したがって、解除部(56)は先端側ほど継手本体(10)の奥側へと進んでいることになる。波付管(30)をナット(20)から取り外すには、ナット(20)全体を継手本体(10)の奥側に向かって移動させ、ナット(20)の係合凸部(28)を解除部(56)または移動部(54a)に移動させる。ナット(20)の内面では、爪片(22)の先端が、継手本体(10)の押動部(14)に向かって移動するので、操作部(26)が押動部(14)の傾斜に沿って乗り上げ、爪片(22)全体が外周側に向かって旋回することになる。爪片(22)が外周側に旋回すると、爪片(22)が波付管(30)の谷部(32)から外れて外周側に移動する。この状態で、波付管(30)をナット(20)から引き抜けば、波付管(30)をナット(20)から取り外すことができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平5-272677号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1の波付管用継手(管接続部構造)は、管を継手から引き抜く際、ナットを管の引き抜き方向の反対側に押し付けるように操作することを必要とする。ナットの操作方向と管の引き抜き方向が逆方向であることから、作業者が直感的な操作をできずに操作に混乱をきたすとともに、ナットおよび管に対して逆向きの力をかけにくいことから、作業性が悪いことが問題として挙げられる。さらに、管に張力がかかった接続状態では、ナットとともに管を引き抜き方向の反対側に強引に移動させる操作が必要となる。このような操作には、強い力が必要となることから、接続解除における作業性が悪いことが問題であった。
【0006】
本発明は、上記課題を解決するためになされたものであり、その目的は、直感的な操作によって管の接続解除操作を可能とし、管の接続解除における作業性を改善した管接続部構造を提供することにある。さらに、本発明の目的は、該管接続部構造を備える接続体と、管とから構成される管接続装置をも提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
請求項1に記載の管接続部構造は、管が接続される管接続部構造であって、
軸方向基端から軸方向先端に延伸し、軸方向先端に前記管を受け入れる挿入開口を有し、前記挿入開口を介して前記管が内挿される中空筒状の筒部と、
前記筒部内に配置される基部と、前記基部から延出し、前記筒部に内挿された前記管の径方向外側に配置されるとともに径方向に変位可能である係止部と、を有し、前記係止部は、前記管の外面に近接した係止位置で前記管を係止可能に構成された、係止体と、
前記筒部に対して相対移動可能に前記筒部の軸方向先端に装着された操作リング体と、を備え、
前記操作リング体は、前記筒部に対する相対位置に応じて、前記係止部に当接して前記係止部を前記係止位置に配置する当接部を有し、前記操作リング体が、接続位置に相対移動したときに前記管の接続状態を維持可能とし、前記操作リング体が、前記接続位置よりも軸方向先端側に位置する解除位置に相対移動したときに前記管を接続解除可能とし、
前記筒部および前記操作リング体の一方には、前記操作リング体の前記筒部に対する相対移動を制御する制御路が設けられ、前記筒部および前記操作リング体の他方には、前記制御路内に移動が制御された被制御部が設けられ、
前記制御路は、前記被制御部が配置されたときに前記操作リング体を前記接続位置に配置する接続領域と、前記被制御部が配置されたときに前記操作リング体を前記解除位置に配置する解除領域とを備え、前記制御路の少なくとも一部を成す、前記接続領域と前記解除領域との間の移動経路が軸方向に延びていることを特徴とする。
【0008】
請求項2に記載の管接続部構造は、請求項1に記載の管接続部構造において、前記接続領域は、少なくとも前記被制御部の軸方向への移動が規制された接続区域と、前記解除領域に対して軸方向に連通し、前記被制御部の前記接続区域および前記解除領域の両方への移動を許容する移行可能区域とを備えることを特徴とする。
【0009】
請求項3に記載の管接続部構造は、請求項2に記載の管接続部構造において、前記制御路における前記移行可能区域と前記解除領域との間に中間領域が形成され、前記中間領域が、前記筒部および前記操作リング体の軸方向への相対移動を許容するように、前記管の抜き出し方向に沿って連続的に延びていることを特徴とする。
【0010】
請求項4に記載の管接続部構造は、請求項2または3に記載の管接続部構造において、前記接続領域は、前記制御路において、前記解除領域と軸方向の異なる位置で周方向に延在する領域であり、前記被制御部が前記移行可能区域に配置されたときに前記接続区域に周方向に沿って移動すべく、前記筒部を軸とした前記操作リング体の相対回動が許容されることを特徴とする
【0011】
請求項5に記載の管接続部構造は、請求項4に記載の管接続部構造において、前記被制御部が前記移行可能区域と前記接続区域との間を移動するのに必要な前記操作リング体の相対回動量が半回転以内であることを特徴とする。
【0012】
請求項6に記載の管接続部構造は、請求項4に記載の管接続部構造において、前記解除領域には、前記移行可能区域と軸方向に並んで配置された解除区域と、前記解除区域に周方向に連設された拡張区域が設けられ、前記被制御部が前記解除区域から前記拡張区域へと移動する際の前記操作リング体の回動方向と、前記被制御部が前記移行可能区域から前記接続区域へ移動する際の前記操作リング体の回動方向とが同じであることを特徴とする。
【0013】
請求項7に記載の管接続部構造は、請求項1に記載の管接続部構造において、前記接続領域は、少なくとも前記被制御部の軸方向への移動が規制された接続区域と、前記解除領域に対して軸方向に連通し、前記被制御部の前記接続区域および前記解除領域の両方への移動を許容する移行可能区域とを備え
前記制御路は、周方向一方側に前記接続区域を含むとともに周方向他方側に前記移行可能区域を含む周方向領域と、軸方向一方側に前記移行可能区域を含むとともに軸方向他方側に前記解除領域の少なくとも一部を含む軸方向領域と備え、
前記周方向領域は、前記操作リング体の軸方向の相対移動を必要とすることなく、前記操作リング体の前記筒部を軸とした相対回動を許容し、
前記軸方向領域は、前記操作リング体の周方向の相対回動を必要とすることなく、前記操作リング体の前記筒部に対する軸方向の相対移動を許容することを特徴とする。
【0014】
請求項8に記載の管接続部構造は、請求項1または7に記載の管接続部構造において、前記解除領域には、前記移行可能区域と軸方向に並んで配置された解除区域と、前記操作リング体の回動操作によって前記被制御部が前記解除区域から進入するように前記解除区域に連設された拡張区域が設けられていることを特徴とする。
【0015】
請求項9に記載の管接続部構造は、請求項1から3、7のいずれか一項に記載の管接続部構造において、前記接続領域は、前記操作リング体の強制的な操作を許容するが、前記被制御部の前記接続領域から前記解除領域への自由移動を規制する移動規制部を備えることを特徴とする。
【0016】
請求項10に記載の管接続部構造は、請求項9に記載の管接続部構造において、前記移動規制部は、前記接続領域に配置された前記被制御部の周方向の自由移動を規制し、前記操作リング体の前記筒部を軸とした強制的な回動操作によって、前記被制御部が前記移動規制部を乗り越えるように構成され、
前記接続領域内の前記移動規制部よりも前記解除領域に近い箇所には、前記操作リング体の周方向の遊動域を確保するように周方向に延びる延長回動路が設けられていることを特徴とする。
【0017】
請求項11に記載の管接続部構造は、請求項1から3、7のいずれか一項に記載の管接続部構造において、前記係止部は、前記基部から軸方向先端側に延在し、前記筒部に内挿された前記管の接離方向に変位可能な接離片と、前記接離片から前記管の外面に向けて突出する係止突片と、を備え、
前記筒部は、前記管を内挿する中空筒状の外筒部と、前記外筒部に内挿された前記管の管内に挿入される中空筒状の内筒部とを備え、
前記係止部が前記係止位置に配置された状態で、前記内筒部の先端が、前記係止突片の位置よりも軸方向先端側に延びていることを特徴とする。
【0018】
請求項12に記載の管接続装置は、請求項1から3、7のいずれか一項に記載の管接続部構造が1または複数設けられた接続体と、
前記管接続部構造を介して前記接続体に接続される1または複数の管と、を備えることを特徴とする。
【発明の効果】
【0019】
請求項1に記載の管接続部構造によれば、操作リング体が、接続位置に相対移動したときに、係止体が管外面を係止することで管の接続状態を維持し、且つ、接続位置よりも軸方向先端側に位置する解除位置に相対移動したときに、係止体が管外面を係止せずに管を接続解除可能とする。管接続部構造の制御路および被制御部は、作業者の操作方向を定めるべく、操作リング体の筒部に対する相対移動の経路を制御する。制御路は、被制御部が配置されたときに操作リング体を接続位置に配置する接続領域と、被制御部が配置されたときに操作リング体を解除位置に配置する解除領域とを備える。そして、制御路の少なくとも一部を成す、解除領域と接続領域との間の移動経路が軸方向に延びている。すなわち、作業者が、管の接続を解除する際、管の抜き出し方向と同じ方向に向けて、操作リング体を軸方向先端側に引き付けるように操作することによって、被制御部を接続領域から解除領域へと軸方向に移動させ、係止体による管の係止を解除することができる。このとき、管の抜き出し方向と操作リング体の操作方向とが同じであり、且つ、係止体と操作リング体とが独立しているので、操作リング体の操作において、接続状態の管の張力の影響を受けることが抑えられる。したがって、本発明の管接続部構造は、直感的な操作によって管の接続解除操作を可能とし、管の接続解除における作業性を改善するものである。
【0020】
請求項2に記載の管接続部構造によれば、請求項1の発明の効果に加えて、被制御部を接続領域の接続区域に配置することによって、被制御部が解除領域に意図せず容易に移動することを防止し、操作リング体を接続位置に安定的に維持することができる。一方で、被制御部を接続領域の移行可能区域に配置することによって、被制御部が解除領域に簡単に移動することが可能となり、操作リング体を接続位置から解除位置へと簡単に移行させることができる。
【0021】
請求項3に記載の管接続部構造によれば、請求項2の発明の効果に加えて、移行可能区域と解除領域との間の中間領域が、管の抜き出し方向に沿って連続的に延びていることによって、筒部および操作リング体の軸方向への相対移動が許容され、管の解除操作が容易となる。
【0022】
請求項4に記載の管接続部構造によれば、請求項2または3の発明の効果に加えて、筒部を軸とした操作リング体の回動操作によって、被制御部が接続区域と移行可能区域との間で周方向に沿って移動する。すなわち、操作リングの操作の向きが、管の抜き出し方向と異なるため、管に抜け張力がかかったとしても、当該抜け張力によって被制御部が接続区域から移行可能区域へと移動することはない。よって、被制御部が接続領域内の接続区域に安定して維持され、管の接続状態をより確実に維持することが可能である。
【0023】
請求項5に記載の管接続部構造によれば、請求項4の発明の効果に加えて、被制御部が移行可能区域と接続区域との間を移動するのに必要な操作リング体の相対回動量が半回転以内であることから、作業者が操作リング体を手で持ち替えることなく操作可能である。
【0024】
請求項6に記載の管接続部構造によれば、請求項4の発明の効果に加えて、被制御部を、解除区域に周方向に連設された拡張区域に配置することで、操作リング体が解除位置から接続位置へと意図せず容易に移動することを防止し、操作リング体を解除位置に安定的に維持することができる。さらに、被制御部が解除区域から拡張区域へと移動する際の操作リング体の回動方向と、被制御部が移行可能区域から接続区域へ移動する際の操作リング体の回動方向とが同じであることから、操作リング体の回動操作を周方向の一定の範囲内に収め、操作性が悪くなることが抑えられる。
【0025】
請求項7に記載の管接続部構造によれば、請求項1の発明の効果に加えて、被制御部を接続領域の接続区域に配置することによって、被制御部が解除領域に意図せず容易に移動することを防止し、操作リング体を接続位置に安定的に維持することができる。一方で、被制御部を接続領域の移行可能区域に配置することによって、被制御部が解除領域に簡単に移動することが可能となり、操作リング体を接続位置から解除位置へと簡単に移行させることができる。また、制御路は、周方向一方側に接続区域を含むとともに周方向他方側に移行可能区域を含む周方向領域と、軸方向一方側に移行可能区域を含むとともに軸方向他方側に解除領域の少なくとも一部を含む軸方向領域とを備える。被制御部が接続区域に配置された管の接続状態から接続解除操作する際、操作リング体の筒部を軸とした回動操作によって、操作リング体の軸方向への操作を必要とすることなく、被制御部を周方向領域内で接続区域から移行可能区域へと容易に移動させることができる。次いで、操作リング体の筒部に対する軸方向先端側への操作によって、操作リング体の周方向の回動または回転操作を必要とすることなく、被制御部を軸方向領域内で移行可能区域から解除領域へと容易に移動させることができる。すなわち、管接続部構造は、螺回動などの複雑な操作を要求することなく、管の接続状態を直感的且つ簡単な操作で解除することを可能とする。
【0026】
請求項8に記載の管接続部構造によれば、請求項1または7の発明の効果に加えて、被制御部を、解除区域に周方向に連設された拡張区域に配置することで、操作リング体が解除位置から接続位置へと意図せず容易に移動することを防止し、操作リング体を解除位置に安定的に維持することができる。
【0027】
請求項9に記載の管接続部構造によれば、請求項1から3、7のいずれかの発明の効果に加えて、接続領域に設けられた移動規制部が被制御部の接続領域から解除領域への自由移動を規制することによって、意図せずに、操作リング体が接続位置から解除位置に移動し、管が抜け出ることをより確実に防止することができる。一方で、管の接続解除の操作の際、操作リング体を強制的に操作することによって、被制御部が移動規制部を乗り越えることが可能である。
【0028】
請求項10に記載の管接続部構造によれば、請求項9の発明の効果に加えて、移動規制部が被制御部の接続領域内における解除領域側への自由移動を規制することによって、意図せずに、被制御部が接続領域から離脱することをより確実に防止することができる。さらに、接続領域内の移動規制部よりも解除領域に近い箇所で周方向に延びる延長回動路が、操作リング体の周方向の遊動域を確保している。すなわち、操作リング体の回動操作に余分なストロークを形成することによって、作業者が、移動規制部の乗り越え操作時の抵抗感を感知できなかった場合であっても、その回動操作量に基づいて移動規制部の乗り越えの有無を判断することを可能とする。
【0029】
請求項11に記載の管接続部構造によれば、請求項1から3、7のいずれかの発明の効果に加えて、筒部の外筒部に内挿された管の管内に内筒部が挿入されるとともに、内筒部が少なくとも係止突片の軸方向先端側に延びていることによって、係止突片が管の外面に当接した際に、管が径方向内側に大きく変形することが抑えられ、管を安定的に接続することが可能である。
【0030】
請求項12に記載の管接続装置は、請求項1から3、7のいずれかの管接続部構造の効果を、該管接続部構造を備えた接続体と、該管接続部構造を介して接続体に接続される管とを備える管接続装置として発揮することが可能である。
【図面の簡単な説明】
【0031】
図1】本発明の一実施形態(第1実施形態)の管接続部構造を備えた接続体の分解斜視図。
図2図1の管接続部構造の筒部を備える接続体本体の概略斜視図。
図3図2の接続体本体の(a)正面図、(b)側面図および(c)平面図。
図4図3の接続体本体の(a)A-A縦断面図および(b)B-B横断面図。
図5図3の筒部の制御路を示す概略図。
図6図1の管接続部構造の係止体の(a)前方から見た斜視図、および(b)後方から見た斜視図。
図7図6の係止体の(a)正面図、(b)側面図、(c)背面図および(d)C-C断面図。
図8図1の管接続部構造の操作リング体の(a)前方から見た斜視図、および(b)後方から見た斜視図。
図9図8の操作リング体の(a)正面図、(b)側面図および(c)背面図。
図10図9の操作リング体の(a)D-D縦断面図および(b)E-E横断面図。
図11図1の管接続部構造において、操作リング体が筒部に対して接続位置にある接続体を示す概略斜視図。
図12図11の接続体の(a)正面図、(b)側面図および(c)平面図。
図13図12の接続体の(a)F-F縦断面図、(b)G-G縦断面図および(c)H-H横断面図。
図14図1の管接続部構造において、操作リング体が筒部に対して解除位置にある接続体を示す概略斜視図。
図15図14の接続体の(a)正面図、(b)側面図および(c)平面図。
図16図15の接続体のF’-F’縦断面図、(b)G’-G’縦断面図および(c)H’-H’横断面図。
図17図1の管接続部構造において、操作リング体が接続位置から解除位置に移動する際の被制御部の制御路内における移動経路を示す模式図。
図18】本発明の一実施形態の管接続部構造を介して管を接続している接続状態の管接続装置を示す概略縦断面図。
図19】本発明の一実施形態の管接続部構造において、管の接続を解除可能な解除状態の管接続装置を示す概略断面図。
図20】本発明の別実施形態(第2実施形態)の管接続部構造を備えた接続体の分解斜視図。
図21図20の管接続部構造の筒部を備える接続体の概略斜視図。
図22図21の接続体の(a)正面図、(b)側面図および(c)平面図。
図23図22の接続体の(a)K-K縦断面図および(b)L-L横断面図。
図24】本発明の別実施形態(第2実施形態)の管接続部構造を介して管を接続している接続状態の管接続装置を示す概略縦断面図。
図25】本発明の別実施形態(第2実施形態)の管接続部構造において、管の接続を解除可能な解除状態の管接続装置を示す概略断面図。
図26】本発明の別実施形態(第3実施形態)の管接続部構造を介して管を接続している接続状態の管接続装置を示す概略縦断面図。
図27】本発明の別実施形態(第3実施形態)の管接続部構造において、管の接続を解除可能な解除状態の管接続装置を示す概略断面図。
図28】本発明の変形例の管接続部構造の制御路の模式図。
図29】本発明の変形例の管接続部構造の制御路の模式図。
図30】本発明の変形例の管接続部構造の制御路の模式図。
図31】本発明の変形例の管接続部構造の制御路の模式図。
図32】本発明の管接続部構造の応用例のボックスを示す模式図。
【発明を実施するための形態】
【0032】
以下、本発明の一実施形態について図面を参照しつつ説明する。なお、以下の説明において参照する各図の形状は、好適な形状寸法を説明する上での概念図又は概略図であり、寸法比率等は実際の寸法比率とは必ずしも一致しない。つまり、本発明は、図面における寸法比率に限定されるものではない。また、本発明における上下左右の方向は、相対的な位置を示す概念にすぎず、これらを入れ替えて適用可能であることは言うまでもない。
【0033】
[第1実施形態]
本発明の一実施形態の管接続部構造100は、管の端部を着脱自在に接続する構造として接続体11に設けられている。本実施形態では、接続体11は、2本の管を軸方向(長尺方向)に接続する管継手から構成されている。また、管は、外面に凹部および凸部が軸方向に交互に連続する波付管15として例示される。そして、管接続装置10は、1または複数の管接続部構造100を備えた接続体11と、軸方向外面に凹部が形成された1または複数の波付管15から構成された装置である。しかしながら、本発明の管接続部構造および管接続装置は、波付管同士を接続する管継手の用途に限定されることなく、例えば、キャップやベルマウスなどの端末処理用途や、配線ボックスなどの配設体への接続用途など、管を接続するあらゆる用途に適用され得る。また、本実施形態の波付管15は、小径の凹部および大径の凸部が長尺方向に交互に連続する一般的な可撓管であり、内部に線材等を収容して保護するものである。
【0034】
図1は、本発明の一実施形態の管接続部構造100を両端部に備えた接続体11の分解斜視図である。図1に示すように、接続体11は、軸方向の両端部にそれぞれ管を挿入して接続可能とする一対の管接続部構造100を備え、軸方向中心に線対称の構造を成している。そして、接続体11は、別体として、一対の筒部110が設けられた接続体本体13、係止体130、および、操作リング体150が組み付けられて構成された。なお、本実施形態では、各部材は、硬質な合成樹脂材料からなるが、任意の材料で形成されてもよい。また、本実施形態の接続体11は、両端に管接続部構造100が設けられた直線状の管継手として例示されたが、本発明はこれに限定されず、接続体はL字継手や三方継手であってもよい。また、継手の一方の接続口のみに、管接続部構造が設けられてもよい。
【0035】
管接続部構造100は、図1に示すとおり、軸方向基端から軸方向先端に延伸し、軸方向先端に管を受け入れる挿入開口112を有し、該挿入開口112を介して管が内挿される中空筒状の筒部110と、該筒部110内に配置され、筒部110に内挿された管の外面を係止するための係止体130と、筒部110に対して相対移動可能に筒部110の軸方向先端に装着され、係止体130の管の外面への係止状態を制御する操作リング体150と、を備える。操作リング体150は、筒部110に対する相対位置に応じて係止体130による管外面への係止の有無を制御するように構成されている。特には、操作リング体150は、筒部110に対する(軸方向の)相対位置に応じて、係止部132に当接して係止部132を係止位置に配置する当接面157(当接部)を有する。そして、管接続部構造100は、操作リング体150が接続位置に相対移動したときに、当接面157と係止部132との第1の相対位置関係に基づいて管の接続状態を維持し、他方、操作リング体150が、接続位置よりも軸方向先端側に位置する解除位置に相対移動したときに当接面157と係止部132との第2の相対位置関係に基づいて管を接続解除可能とするように構成されている。さらに、管接続部構造100には、操作リング体150の筒部110に対する相対移動を制御するための制御路120および被制御部155が設けられている。以下、管接続部構造100の各構成要素について詳細に説明する。
【0036】
まず、図2乃至図5を参照して、一実施形態の管接続部構造100の筒部110の構成について説明する。図2は筒部110を備える接続体本体13の概略斜視図である。図3(a)~(c)は、接続体本体13および筒部110の正面図、側面図および平面図である。図4(a)、(b)は、接続体本体13および筒部110のA-A断面図、およびB-B断面図である。図5は、筒部110の制御路120を示す概略図である。
【0037】
筒部110は、図2および図3に示すように、中空筒状の接続体本体13の端部に一体的に形成されている。筒部110は、接続体本体13の端部において、軸方向基端から軸方向先端に延在する中空の筒状部分である。また、筒部110は、外壁を成す略円筒形状の筒壁111を備え、該筒壁111の内部に管を内挿して保持するための空間が定められる。そして、筒壁111は、操作リング体150を外挿して装着する先端側部位111aと、該先端側部位111aの基端側の(操作リング体150が移動しない)基端側部位111bとに区分けされ得る。
【0038】
筒部110は、軸方向両端において開放されている。特には、筒部110には、軸方向先端に管を受け入れる挿入開口112、および、軸方向基端に管の先端を所定の対象(ここでは別の管)に接続するための接続口113が設けられている。筒壁111内周および挿入開口112は、管を内挿可能な径を有するが、図4(a)に示すように、筒壁111の内径が基端側から先端側に向かうにつれて僅かに縮径している。一方、筒部110の基端には、筒壁111から径方向内側に張り出す規制壁114が設けられ、該規制壁114の内側に接続口113が形成されている。接続口113は、内挿する管の外径よりも小さい径を有している。つまり、規制壁114は、筒壁111内部に差し込まれた管を軸方向に係止するように機能する。なお、本実施形態では、接続体本体13の軸方向両端に2つの管接続部構造100が隣接して形成され、一方の管接続部構造100の規制壁114と他方の管接続部構造100の規制壁114とが一体化されている。
【0039】
筒部110の筒壁111の先端縁には、係止体130を内部に保持するための係止体保持部115が形成されている。係止体保持部115は、筒壁111の先端縁に等間隔に複数箇所(本実施形態では4箇所)設けられている。係止体保持部115は、図4(a)に示すように、(径方向内側に強制的に弾性変位させた)係止体130の突起状の被保持部136を導入するために筒壁111の内周面から凹設された導入凹部115aと、該導入凹部115aの基端側に連設されたスライド溝115bとからなる。スライド溝115bは、(導入凹部115aを通過して弾性復帰した)被保持部136をその内部に保持し、係止体130の筒部110内での軸方向のスライド移動を許容するように、軸方向に延在している。本実施形態では、スライド溝115bは、被保持部136よりも大きい貫通溝として形成されたが、導入凹部115aよりも深い(非貫通の)凹溝であってもよい。
【0040】
また、筒部110の筒壁111の外周には、フランジ116が径方向外側に張り出している。フランジ116は、筒部110の軸方向の先端から基端側に後退した位置に形成され、筒壁111の先端側部位111aと基端側部位111bとの境界を定める。そして、フランジ116は、その先端側に、操作リング体150の周壁部151の基端面を受けるための係合面を成している。
【0041】
そして、筒壁111外面のフランジ116の先端側に隣接する領域には、操作リング体150の筒部110に対する操作方向または移動経路を制御するための制御路120が設けられている。本実施形態では、制御路120は、筒壁111の直径方向の両側の2箇所に同形状の構成が形成されているが、その数は任意に増減され得る。制御路120は、筒壁111の先端側部位111aの外面から径方向外方に凸設された凸壁120aと、フランジ116とにその外周が縁取られることによって形成されている。制御路120は、その内部に操作リング体150の突片状の被制御部155を配置し、被制御部155の制御路120からの離脱を規制するように構成されている。つまり、被制御部155の移動経路が制御路120内に限定されることから、制御路120は、その形状に従って被制御部155の動作(移動経路)を制御することができる。その結果、操作リング体150の筒部110に対する操作方向が制御路120および被制御部155を介して制御され得る。
【0042】
制御路120は、図5に示すように、略コ字形状を成している。制御路120には、管の接続状態および解除状態を決定するための複数の領域および区域が定められている。具体的には、制御路120は、図5に示すように、被制御部155が配置されたときに操作リング体150を接続位置に配置する接続領域121と、被制御部155が配置されたときに操作リング体150を解除位置に配置する解除領域123と、接続状態および解除状態との間の遷移状態を形成する中間領域125とを備える。接続領域121は、制御路120において、解除領域123と軸方向の異なる位置で周方向に延在する領域であり、接続領域121が解除領域123よりも基端側に位置している。そして、接続領域121および解除領域123は、その間に位置する中間領域125を介して軸方向に互いに連通するように配置されている。すなわち、制御路120の少なくとも一部を成す、接続領域121と解除領域123との間の移動経路が軸方向に沿って略直線状に延びている。そして、接続領域121の少なくとも一部と解除領域123の少なくとも一部とが、周方向位置において重合し、軸方向に沿って互い対向(または連通)している。換言すると、中間領域125が、筒部110および操作リング体150の軸方向への相対移動を許容するように、管の抜き出し方向に沿って連続的に延びている。この中間領域125の周方向幅は、被制御部155の周方向幅と同じか、それよりも僅かに大きい。この中間領域125(つまり、制御路120における移行可能区域121bおよび解除領域123の間の移動経路)は、筒部110を軸とした操作リング体150の正逆いずれの回動も規制するように構成されている。しかしながら、この中間領域125は、操作リング体150(または被制御部155)の周方向の揺動を可能であるように被制御部155よりも幅広であってもよく、管の接続解除に伴って軸方向に対する角度を変位させつつ、被制御部155を接続領域121から解除領域123へと移動させてもよい。
【0043】
接続領域121は、その接続状態に応じた複数の区域によって、周方向に区分けされる。接続領域121は、少なくとも被制御部155の軸方向への移動が規制された接続区域121aと、解除領域123に対して軸方向に連通し、被制御部155の接続区域121aおよび解除領域123の両方への移動を許容する移行可能区域121bとを備える。接続区域121aは、接続領域121における解除領域123から相対的に離隔した一端側の部位に形成され、移行可能区域121bは、解除領域123に相対的に近接した他端側の部位に形成されている。
【0044】
また、接続領域121には、操作リング体150の強制的な操作を許容するが、被制御部155の接続領域121から解除領域123への自由移動を規制する移動規制部122が設けられている。移動規制部122は、図4(b)に示すように、凸壁120aよりも低い軸方向に延びる凸条として形成され、被制御部155の乗り越えを完全には規制せずに、その乗り越えに抵抗を付与するように構成されている。つまり、操作リング体150に一定以上の力を付与して回動操作することで、被制御部155に(径方向外方の弾性変位により)移動規制部122を乗り越えさせることが可能である。この移動規制部122は、接続領域121内で移行可能区域121bから周方向に離間した位置に形成されている。本実施形態では、移動規制部122よりも奥側(解除領域123の遠位側)が接続区域121aと定められた。
【0045】
そして、移動規制部122と移行可能区域121bとの間には、周方向に所定の長さで延びる延長回動路121cが設けられている。延長回動路121cの周方向長さは、少なくとも被制御部155の周方向の幅よりも大きいことが好ましく、接続区域121aおよび/または移行可能区域121bの周方向長さよりも大きいことがより好ましい。そして、延長回動路121cは、接続領域121内の移動規制部122よりも解除領域123に近い箇所に形成され、操作リング体150の周方向の遊動域を確保するように構成されている。後述するとおり、延長回動路121cは、操作リング体150の回動操作のストロークを確保し、その使用感を改善するためのものである。なお、本発明において、移行可能区域121bに隣接する、(延長回動路121cを含めた)軸方向の移動が規制された領域全体が接続区域と解釈されてもよく、移動規制部122が省略されてもよいことは言うまでもない。
【0046】
解除領域123は、制御路120において、周方向に延在する領域である。解除領域123は、その解除状態に応じた複数の区域によって周方向に区分けされる。解除領域123には、接続領域121の移行可能区域121bと軸方向に並んで配置された解除区域123aと、操作リング体150の回動操作によって被制御部155が解除区域123aから進入するように解除区域123aに連設された拡張区域123bとが設けられている。また、解除区域123aから拡張区域123bまでの延在方向と、移行可能区域121bから接続区域121aまでの延在方向とが同一である。換言すると、被制御部155が解除区域123aから拡張区域123bへと移動する際の操作リング体150の回動方向と、被制御部155が移行可能区域121bから接続区域121aへ移動する際の操作リング体150の回動方向とが同じである。被制御部155を拡張区域123bに退避させると、被制御部155の軸方向の移動が規制されることから、被制御部155を解除領域123内に安定して維持することが可能である。なお、解除区域123aと拡張区域123bとの間に、第2の移動規制部が設けられてもよい。
【0047】
さらに、制御路120において、周方向に延びる接続領域121を周方向領域と定め、接続領域121、中間領域125および解除領域123が軸方向に並ぶ領域を軸方向領域と定めた。すなわち、制御路120は、周方向一方側に接続区域121aを含むとともに周方向他方側に移行可能区域121bを含む周方向領域と、軸方向一方側に移行可能区域121bを含むとともに軸方向他方側に解除領域123の少なくとも一部(解除区域123a)を含む軸方向領域とを備える。周方向領域および軸方向領域はL字状に交差し、作業者の操作リング体150の操作方向を案内する。特には、周方向領域は、操作リング体150の軸方向の相対移動(軸方向の牽引または押込操作)を必要とすることなく、操作リング体150の筒部110を軸とした相対回動を許容し得る。軸方向領域は、操作リング体150の周方向の相対回動(回転操作)を必要とすることなく、操作リング体150の筒部110に対する軸方向の相対移動を許容し得る。
【0048】
そして、制御路120の基端側に隣接して位置する基端側部位111bの外面には、作業者に、操作リング体150の操作方向とともに、接続状態(ロック状態)および解除状態を示す操作指示部118が表示されている。操作指示部118は、操作リング体150の被制御部155の位置を示す位置表示部156と協働して、作業者が操作リング体150の操作方法を視覚的且つ直感的に把握することを補助する。
【0049】
次に、図6および図7を参照して、一実施形態の管接続部構造100の係止体130の構成について説明する。図6(a)、(b)は係止体130の前方および後方から見た概略斜視図である。図7(a)~(d)は、係止体130の正面図、側面図、背面図およびC-C断面図である。
【0050】
係止体130は、筒部110内に配置され、筒部110に内挿された管の外面を係止するように構成された環状の帯体からなる。係止体130は、筒部110内に配置される円環状の基部131と、該基部131から軸方向先端側に延出し、筒部110に内挿された管の径方向外側に配置されるとともに径方向に変位可能である係止部132と、を有する。
【0051】
基部131は、管を内挿可能な内径を有するとともに、筒部110に収容され得る外径を有している。基部131の外周面には、筒部110の先端に形成された係止体保持部115によって保持される被保持部136が設けられている。被保持部136は、基部131の外周面に凸設された矩形状の突起である。被保持部136は、係止体保持部115に対応するように基部131外周面の複数箇所(本実施形態では4箇所)に周方向に等間隔に形成されている。各被保持部136は、係止体130が筒部110に挿入開口112から挿入される際、径方向内側へと弾性変形しながら導入凹部115aを通過し、スライド溝115bへと配置される。係止体130が筒部110内に組み付けられた状態で、各被保持部136がスライド溝115b内を軸方向にスライド可能である。よって、係止体130は、係止体保持部115および被保持部136を介して、筒部110に対して軸方向に相対移動可能に保持される。
【0052】
また、係止体130は、係止部132が管の外面に近接した状態で管を係止することで、管接続部構造100への管の接続状態を維持可能に構成されている。係止部132は、基部131の先端縁から軸方向先端側に延びる複数の接離片133と、各接離片133の先端で筒部110に内挿された管の外面に向けて(径方向内方に)突出する複数の係止突片134とを備える。接離片133は、板形状を成し、径方向内外へと弾性変形可能である。つまり、接離片133は、管の外面に対して接離方向に変形可能である。そして、各係止突片134は、図7(d)に示すように、各接離片133の内面から径方向内方へと鋸歯に突出している。各係止突片134は、その先端側に傾斜面を形成し、係止体130の内側への管の接続方向へと進行を許容するように構成されている。他方、各係止突片134の基端側を向く面は、軸方向と略垂直な平面を成し、管の抜け出しを係止するように構成されている。係止突片134は、管が図18に示すような波付管15である場合、その凹部に入り込み、波付管15を係止し得る。一方で、管が波付管15でない場合であっても、その外面に食い込むことによって、管を係止可能である。また、係止部132の各接離片133先端の径方向外面(係止突片134の反対側の面)には、係止部132を係止位置に配置するために、後述する操作リング体150の当接面157に作用(または案内)される被当接部135が形成されている。
【0053】
次いで、図8乃至図10を参照して、一実施形態の管接続部構造100の係止体130の構成について説明する。図8(a)、(b)は操作リング体150の前方および後方から見た概略斜視図である。図9(a)~(c)は、操作リング体150の正面図、側面図、および背面図である。図10(a)、(b)は、操作リング体150のD-D断面図およびE-E断面図である。
【0054】
操作リング体150は、筒部110に対して相対移動可能に筒部110の軸方向先端に装着されるように構成されている。操作リング体150は、図8および図9に示すように、軸方向先端側および軸方向基端側の両方に開放されたリング体であり、筒部110の先端側部位111aに外嵌または外挿されるように形成されている。また、操作リング体150は、係止体130を径方向内側に配置可能に構成されている。そして、操作リング体150は、その外周面を成す環状の周壁部151を備える。周壁部151の外面には、作業者が把持や回動操作し易いように、複数の凹凸が施されている。また、周壁部151は、先端側開口部152および基端側開口部153を有する。先端側開口部152は管の端部を内挿可能な内径を有する。他方、基端側開口部153は筒部110の先端側部位111aを内挿可能な内径を有している。また、基端側開口部153の内径は、筒部110のフランジ116の外径よりも小さい。これにより、操作リング体150の基端面がフランジ116に係合可能である。
【0055】
図10(a)に示すように、操作リング体150の周壁部151の内面は、その先端部位(先端縁近傍)において、先端に向かうにつれて縮径する傾斜面を成している。この傾斜面は、係止体130の被当接部135に径方向外側から作用し、係止部132を管の近接方向に案内または維持する当接面157(当接部)として機能する。当接面157の最小の内径(先端の内径)よりも被当接部135の外径が大きいことから、被当接部135が当接面157に当接または近接するように軸方向先端に相対移動することによって、接離片133を径方向内方へと弾性変形させ、あるいは、接離片133の径方向外方への弾性変形を規制することが可能である。
【0056】
また、図10(a)、(b)に示すように、操作リング体150の周壁部151の内面には、その基端部位(基端縁近傍)において、筒部110の制御路120(凸壁120a)を収容するために凹設された収容凹部154と、該収容凹部154の外面から径方向外方に突出形成された被制御部155とが設けられている。被制御部155は、矩形状の突起であり、収容凹部154に収容される制御路120の内部に配置され、その移動が制御路120内に制限される。また、被制御部155は、周壁部151の基端に配置され、周壁部151の基端面と共通する基端側の底面を有する。換言すると、被制御部155の底面と周壁部151の端面とが同一平面上にある。本実施形態では、収容凹部154および被制御部155は、筒壁111の2箇所に形成された制御路120に対応するように、周壁部151の周方向の2箇所に形成されている。また、周壁部151の外面には、被制御部155の位置を示す位置表示部156が表示されている。
【0057】
以上の各構成要素の説明を踏まえて、図11乃至図13を参照して、操作リング体150が筒部110に対して接続位置にある管接続部構造100について説明する。図11は、管接続部構造100を備える接続体11の概略斜視図である。図12(a)~(c)は、接続体11の正面図、側面図、および平面図である。図13(a)~(c)は、管接続部構造100のF-F縦断面図、G-G縦断面図およびH-H横断面図である。
【0058】
操作リング体150が筒部110に対して接続位置にある場合、図11図13に示すとおり、操作リング体150が筒部110の基端側に移動し、管接続部構造100が軸方向に縮退した形態を取っている。このとき、筒部110の筒壁111内の先端側に係止体130が収容されているとともに、筒部110の先端側部位111aおよび係止体130先端部位を覆うように操作リング体150が筒壁111に外嵌されている。
【0059】
図13(a)に示すように、係止体130の係止部132(接離片133および係止突片134)の先端が、筒壁111先端の挿入開口112から突出している一方で、操作リング体150の周壁部151によって径方向外側から包囲されている。係止体130の被保持部136が、筒壁111の係止体保持部115のスライド溝115b内に配置されることで、係止体130が筒部110に保持されている。この被保持部136がスライド溝115b内で移動することで、係止体130は筒部110および操作リング体150に対して軸方向に相対移動可能である。図13(a)、(b)では、実線が、係止体130がスライド溝115b内で基端側に後退している状態を示し、仮想線が、係止体130がスライド溝115b内で先端側に前進している状態を示している。
【0060】
図13(b)、(c)に示すように、操作リング体150の被制御部155が制御路120内に配置されることで、操作リング体150が筒部110に保持されている。また、操作リング体150の基端面が筒部110のフランジ116に係合することで、操作リング体150が接続位置に配置されている。同時に、被制御部155が制御路120内の接続領域121に配置されている。図13(c)に示すように、被制御部155が接続区域121aに配置されている場合、被制御部155の軸方向の移動が規制されるとともに、被制御部155の移行可能区域121bへの自由移動が規制されることから、操作リング体150が当該接続位置に安定して維持される。
【0061】
ここで、図13で示した管接続部構造100では、操作リング体150が接続位置に配置されているが、係止体130が基端側に位置するとき(図13の実線で示される)には、係止体130の被当接部135が操作リング体150の当接面157と離隔している。一方で、管の抜き出し操作に従動して係止体130が軸方向先端側に移動すると(図13の仮想線で示される)、被当接部135が当接面157に径方向外側から作用されて、係止部132が径方向内側の係止位置へと配置され得る(図18参照)。換言すると、少なくとも被当接部135が当接面157に当接した状態では、係止部132の径方向外側へと変位が規制され、係止部132の係止位置への配置が維持される。すなわち、管接続部構造100は、操作リング体150が接続位置に相対移動したときに、係止体130の係止部132を制御して、管の接続状態を維持可能とするものである。
【0062】
次に、図14乃至図16を参照して、操作リング体150が筒部110に対して解除位置にある管接続部構造100について説明する。図14は、管接続部構造100を備える接続体11の概略斜視図である。図15(a)~(c)は、接続体11の正面図、側面図、および平面図である。図16(a)~(c)は、管接続部構造100のF’-F’縦断面図、G’-G’縦断面図およびH’-H’横断面図である。
【0063】
操作リング体150が筒部110に対して解除位置にある場合、図14図16に示すとおり、操作リング体150が筒部110の先端側に移動し、管接続部構造100が軸方向に伸長した形態を取っている。このとき、筒部110の筒壁111内の先端側に係止体130が収容されているとともに、筒部110の先端側部位111aの一部および係止体130先端部位を覆うように操作リング体150が筒壁111に外嵌されている。
【0064】
図16(a)に示すように、係止体130の係止部132(接離片133および係止突片134)の先端が、筒壁111先端の挿入開口112から突出している一方で、操作リング体150の周壁部151によって径方向外側から包囲されている。解除状態においても同様に、係止体130の被保持部136が筒部110のスライド溝115b内で移動することで、係止体130が筒部110および操作リング体150に対して軸方向に相対移動可能である。図16(a)、(b)では、実線が、係止体130がスライド溝115b内で基端側に後退している状態を示し、仮想線が、係止体130がスライド溝115b内で先端側に前進している状態を示している。
【0065】
図16(b)、(c)に示すように、操作リング体150の被制御部155が制御路120内に配置されることで、操作リング体150が筒部110に保持されている。また、操作リング体150の基端面が筒部110のフランジ116から離間するように、操作リング体150が解除位置に配置されている。同時に、被制御部155が制御路120内の解除領域123に配置されている。図16(c)に示すように、被制御部155が拡張区域123bに配置されている場合、被制御部155の軸方向の移動が規制されることから、操作リング体150が当該解除位置に安定して維持される。
【0066】
ここで、図16で示した管接続部構造100では、操作リング体150が解除位置に配置されることで、係止体130の軸方向の移動の有無に関わらず、係止体130の被当接部135が操作リング体150の当接面157と定常的に離隔している。つまり、管の抜き出し操作に従動して係止体130が軸方向先端側に移動したとしても、少なくとも係止部132の径方向外側への変位が許容され、係止部132が係止位置に維持されることはない(図19参照)。すなわち、管接続部構造100は、操作リング体150が接続位置よりも軸方向先端側に位置する解除位置に相対移動したときに、係止体130の係止部132を制御して、管を接続解除可能とするものである。
【0067】
続いて、図17を参照して、制御路120および被制御部155の関係に基づいて、管の接続状態および解除状態を切り替えるために操作リング体150を筒部110に対して操作する方法を説明する。初期状態として管の接続状態が維持されていると仮定する。この第1の接続状態では、被制御部155が制御路120内の接続領域121の接続区域121aに位置し、管の接続状態が安定的に維持される。つまり、第1の接続状態は、管接続部構造100と管との接続状態がロックされたロック状態を指している。
【0068】
当該接続状態から解除状態に切り替えるには以下の手順に従う。操作リング体150を、筒部110を軸として一方向に回動操作することによって、被制御部155が移動規制部122を強制的に乗り越えて、延長回動路121cへと移動する。被制御部155による移動規制部122の乗り越え操作は、作業者に対して抵抗感やカチリとした触感を与える。
【0069】
操作リング体150をさらに回動操作することによって、被制御部155が延長回動路121cから移行可能区域121bへと移動して、凸壁120aによって係止される。このとき、周方向に長さを有する延長回動路121cによって、操作リング体150の回動操作に敢えて余分なストロークが形成される。このストロークによって、作業者が、移動規制部122の乗り越え操作時の抵抗感を感知できなかった場合であっても、その回動操作量に基づいて移動規制部122の乗り越えの有無を判断することが可能である。また、被制御部155が移行可能区域121bと接続区域121aとの間を移動するのに必要な操作リング体150の相対回動量が半回転以内であることから、作業者が操作リング体150を手で持ち替えることなく操作可能である。
【0070】
被制御部155が移行可能区域121bに配置されたときも、操作リング体150は依然として接続位置にある。この第2の接続状態では、被制御部155が制御路120内で接続区域121aおよび解除領域123の両方への移動が許容される。つまり、第2の接続状態は、接続状態から解除状態への移行直前(または解除状態から接続状態への移行直後)の仮接続状態を指している。この仮接続状態は、管への抜き出し方向の力の付与によって強制的に解除され得る。なお、操作リング体150の接続位置は、ロック状態および仮接続状態の両方を含むものであるが、必要に応じて、ロック位置および仮接続位置とも称される。
【0071】
次いで、操作リング体150を軸方向先端側に引っ張ることによって、被制御部155が、移行可能区域121bから中間領域125を介して解除領域123の解除区域123aへと移動する。移行可能区域121b、中間領域125および解除区域123aが軸方向に略直線的に並んでいることから、作業者は、螺回動などの複雑な操作が要求されることなく、操作リング体150を軸方向に牽引操作して、被制御部155を接続領域121から解除領域123に移動させ、結果として、操作リング体150を接続位置から解除位置へと変位させることができる。操作リング体150を接続位置から解除位置に操作する方向は、管の抜き出し方向と同じであるので、作業者が直感的に解除操作可能である。また、管を抜き出す際、操作リング体150を直接操作せずに、管に抜き出し方向の強い力を加えて、係止体130とともに操作リング体150を強制的に連れ移動させて、被制御部155を移行可能区域121bから解除領域123に移動させてもよい。
【0072】
管接続部構造100は、被制御部155が解除区域123aに配置されたときに第1の解除状態を形成する。少なくとも被制御部155が解除区域123aに配置されると、係止体130によって係止されることなく、管を管接続部構造100から抜き出すことが可能となる。この第1の解除状態では、被制御部155が制御路120内で接続領域121および拡張区域123bの両方への移動が許容される。つまり、第1の解除状態は、接続状態から解除状態への移行直後(または解除状態から接続状態への移行直前)の解除状態を指している。
【0073】
そして、操作リング体150を(最初の回動操作と反対の)他方向に回動操作することによって、被制御部155が、解除区域123aから拡張区域123bへと移動する。第2の解除状態では、被制御部155が制御路120内の解除領域123の拡張区域123bに位置することで、操作リング体150が解除位置から接続位置へと意図せず容易に移動することが防止され、管の解除状態が安定的に維持される。
【0074】
当該接続状態から解除状態に切り替えるには上記手順と反対の手順に従えばよい。なお、操作リング体150を解除位置から接続位置に操作する方向は、管の差し込み方向と同じであるので、作業者が直感的に接続操作可能である。
【0075】
すなわち、作業者は、図17の矢印で示した略コ字状の移動経路に従って、操作リング体150を回動操作および軸方向操作することによって、管接続部構造100の接続状態および解除状態を相互に簡単に切り替えることが可能である。なお、一連の操作において、被制御部155が解除区域123aから拡張区域123bへと移動する際の操作リング体150の回動方向と、被制御部155が移行可能区域121bから接続区域121aへ移動する際の操作リング体の回動方向とが同じであることから、操作リング体150の回動操作を周方向の一定の範囲内に収め、操作性が悪くなることが抑えられている。この回動操作の範囲は、制御路120における接続領域121および/または解除区域123aの周方向長さによって定められる。この回動操作の範囲は、好ましくは1回転未満であり、より好ましくは1/4回転以下であり、さらに好ましくは1/6回転以下である。
【0076】
図18は、管接続部構造100を介して波付管15を接続している接続状態(ロック状態)の管接続装置10を示す概略断面図である。図18に示すように、波付管15が挿入開口112から筒部110の内部に内挿されている。当該接続状態の管接続装置10を構築するには、波付管15の先端部を挿入開口112から強引に差し込むことによって、波付管15を管接続部構造100に接続することができる。ここで、管接続部構造100は、操作リング体150を接続位置(ロック位置および仮接続位置)に配置した状態のままで波付管15を接続することが可能である。特には、操作リング体150をロック位置に配置した状態で管接続部構造100に波付管15を接続すると、図18の接続状態(ロック状態)の管接続装置10を迅速に構築することができる。一方で、操作リング体150を解除位置に配置した状態で管接続部構造100に波付管15を差し込んで、その後に、操作リング体150を解除位置から接続位置へと操作することによって、管接続部構造100に波付管15を接続してもよい。
【0077】
当該管接続装置10では、操作リング体150が筒部110に対して接続位置に位置しているとともに、波付管15の凹部に係止体130の係止突片134が深く入り込んでいる。この管接続装置10では、波付管15には引き抜き方向の張力がかかっており、係止体130が筒部110内の先端側に連れ移動している。そして、操作リング体150が筒部110の基端側の接続位置に位置することによって、操作リング体150の当接面157が係止体130の被当接部135に当接し、または、当接面157が被当接部135を径方向内側に押圧している。これにより、係止部132が波付管15の外面に近接した係止位置に配置され、波付管15を係止している。換言すると、接離片133が当接面157によって径方向外側に弾性変形することが規制されることで、係止突片134が波付管15の凹部から径方向外方に離脱することが防止されている。その結果、波付管15と管接続部構造100との接続状態が維持されている。
【0078】
なお、本発明の別形態において、係止体130が先端側に配置された状態で、被当接部135および当接面157とが離間していてもよい。つまり、被当接部135が径方向外側に弾性変位したときに当接面157に当接し、係止部132の径方向外側への変位量を制限することで、係止部132の係止位置への配置を維持して、係止突片134が波付管12の凸部を乗り越えることが防止されてもよい。
【0079】
図19は、管接続部構造100から波付管15の接続を解除可能な解除状態の管接続装置10を示す概略断面図である。図18の接続状態の管接続装置10の操作リング体150を操作して接続位置から解除位置へと移動させることによって、図19の解除状態の管接続装置10を形成することができる。操作リング体150の軸方向操作は、波付管15の抜き出し方向と同じであることから、作業者が直感的に操作を行うことができる。また、選択的に、被制御部155を解除領域123の拡張区域123bに配置することで、波付管15の抜き出し作業中に、操作リング体150が接続位置へと意図せずに戻ることが防止される。
【0080】
図19に示すように、操作リング体150が筒部110に対して解除位置に位置しているとともに、波付管15の凹部に係止体130の係止突片134が入り込んでいる。この管接続装置10では、波付管15には引き抜き方向の張力がかかっており、係止体130が筒部110内の先端側に連れ移動している。そして、操作リング体150が筒部110の先端側の解除位置に位置することによって、係止体130の被当接部135と操作リング体150の当接面157とが離間している。このとき、係止体130の係止部132は、径方向外方へ弾性変位可能であり、少なくとも係止位置への配置が維持されることはない。この解除状態で、波付管15に抜き出し方向の力を加えると、係止体130の係止部132が拡径方向に弾性変形しつつ、波付管15の凸部を乗り越えていき、最終的に、波付管15を管接続部構造100から引き抜くことが可能である。
【0081】
以下、本発明の一実施形態の管接続部構造100および管接続装置10における作用効果について説明する。
【0082】
本実施形態の管接続部構造100(または管接続装置10)によれば、操作リング体150が、接続位置に相対移動したときに、当接面157と係止部132との第1の相対位置関係に基づいて係止体130が管外面を係止することで管の接続状態を維持し、且つ、接続位置よりも軸方向先端側に位置する解除位置に相対移動したときに、当接面157と係止部132との第2の相対位置関係に基づいて係止体130が管外面を係止せずに管を接続解除可能とする。管接続部構造100の制御路120および被制御部155が、作業者の操作方向を定めるべく、操作リング体150の筒部110に対する相対移動の経路を制御する。制御路120は、被制御部155が配置されたときに操作リング体150を接続位置に配置する接続領域121と、被制御部155が配置されたときに操作リング体150を解除位置に配置する解除領域123とを備える。そして、制御路120の少なくとも一部を成す、接続領域121と解除領域123との間の移動経路が軸方向に延びている。すなわち、作業者が、管の接続を解除する際、管の抜き出し方向と同じ方向に向けて、操作リング体150を軸方向先端側に引き付けるように操作することによって、被制御部155を接続領域121から解除領域123へと軸方向に沿って移動させ、係止体130による管の係止を解除することができる。このとき、管の抜き出し方向と操作リング体150の操作方向とが同じであり、且つ、係止体130と操作リング体150とが独立しているので、操作リング体150の操作において、管の張力の影響を受けることが抑えられる。したがって、本実施形態の管接続部構造100は、直感的な操作によって管の接続解除操作を可能とし、管の接続解除における作業性を改善するものである。
【0083】
本発明は、上記実施形態に限定されず、種々の別実施形態を取り得る。以下、本発明の別実施形態について説明する。なお、別実施形態において、三桁で示される構成要素において下二桁が共通する構成要素は、説明がない限り、同一又は類似の特徴を有し、その説明を一部省略する。
【0084】
[第2実施形態]
図20乃至図25は、本発明の別実施形態(第2実施形態)の管接続部構造200および管接続装置20を示している。図20は、管接続部構造200を両端部に備えた接続体21の分解斜視図である。図20に示すように、接続体21は、軸方向の両端部にそれぞれ管を挿入して接続可能とする一対の管接続部構造200を備え、軸方向中心に線対称の構造を成している。そして、接続体21は、別体として、一対の筒部210が設けられた接続体本体23、係止体230、操作リング体250およびパッキン270が組み付けられて構成された。ここで、係止体230および操作リング体250の構成は、第1実施形態の係止体130および操作リング体150と同様であるため、その説明を省略する。
【0085】
管接続部構造200は、図20に示すとおり、軸方向基端から軸方向先端に延伸し、軸方向先端に管を受け入れる挿入開口212を有し、該挿入開口212を介して管が内挿される中空筒状の筒部210と、該筒部210内に配置され、筒部210に内挿された管の外面を係止するための係止体230と、筒部210に対して相対移動可能に筒部210の軸方向先端に装着され、係止体230の管の外面への係止状態を制御する操作リング体250と、筒部210の係止体230よりも基端側に内挿されるゴム製のパッキン270と、を備える。操作リング体250は、筒部210に対する相対位置に応じて係止体230による管外面への係止の有無を制御するように構成されている。特には、操作リング体250は、筒部210に対する相対位置に応じて、係止部232に当接して係止部232を係止位置に配置する当接面257(当接部)を有する。そして、管接続部構造200は、操作リング体250が、接続位置に相対移動したときに管の接続状態を維持し、操作リング体250が、接続位置よりも軸方向先端側に位置する解除位置に相対移動したときに管を接続解除可能とするように構成されている。そして、管接続部構造200は、操作リング体250の筒部210に対する相対移動を制御するための制御路220および被制御部255が設けられている。
【0086】
図21は筒部210を備える接続体本体23の概略斜視図である。図22(a)~(c)は、接続体本体23および筒部210の正面図、側面図および平面図である。図23(a)、(b)は、接続体本体23および筒部210のK-K断面図、およびL-L断面図である。
【0087】
筒部210は、図21および図22に示すように、中空筒状の接続体本体23の端部に一体的に形成されている。筒部210は、接続体本体23の端部において、軸方向基端から軸方向先端に延在する中空の筒状部分である。また、筒部210は、管を内挿する中空筒状の外筒部211と、該外筒部211に内挿された管の管内に挿入される中空筒状の内筒部217とを備える。該外筒部211の内部に管を内挿して保持するための空間が定められる。そして、外筒部211は、操作リング体250を外挿して装着する先端側部位211aと、該先端側部位211aの基端側の(操作リング体250が移動しない)基端側部位211bとに区分けされ得る。
【0088】
筒部210は、軸方向両端において開放されている。特には、筒部210には、軸方向先端に管を受け入れる挿入開口212、および、軸方向基端に管の先端を所定の対象(ここでは別の管)に接続するための接続口213が設けられている。外筒部211内周および挿入開口212は、管を内挿可能な径を有するが、図23(a)に示すように、外筒部211の内径が基端側から先端側に向かうにつれて僅かに縮径している。一方、筒部210の基端には、外筒部211から径方向内側に張り出す規制壁214が設けられ、該規制壁214の内側に接続口213が形成されている。この規制壁214は、筒部210の基端で外筒部211と内筒部217とを径方向に接続している。接続口213は、内筒部217の内径と同様に、内挿する管の外径よりも小さい径を有している。つまり、規制壁214は、外筒部211内部に差し込まれた管を軸方向に係止するように機能する。なお、本実施形態では、接続体本体23の軸方向両端に2つの管接続部構造200が隣接して形成され、一方の管接続部構造200の規制壁214と他方の管接続部構造200の規制壁214とが一体化されている。
【0089】
第1実施形態の管接続部構造100と同様に、筒部210の外筒部211の先端縁には、係止体230を内部に保持するための係止体保持部215が形成されて、筒部210の外筒部211の外周には、フランジ216が径方向外側に張り出している。そして、外筒部211外面のフランジ216の先端側に隣接する領域には、操作リング体250の筒部210に対する操作方向または移動経路を制御するための制御路220が設けられている。この制御路220の構成は、第1実施形態の管接続部構造100と同様である。
【0090】
図24は、管接続部構造200を介して波付管25を接続している接続状態の管接続装置20を示す概略断面図である。図24に示すように、波付管25が挿入開口212から筒部210の外筒部211内部に内挿されているとともに、内筒部217が波付管25内に挿入されている。また、パッキン270が、波付管25の外面と外筒部211の内面との間に配置され、波付管25の先端を封止している。そして、波付管25の凹部に係止体230の係止突片234が深く入り込んでいる。この管接続装置20では、波付管25には引き抜き方向の張力がかかっており、係止体230が筒部210内の先端側に連れ移動している。そして、操作リング体250が筒部210の基端側の接続位置に位置することによって、操作リング体250の当接面257が係止体230の被当接部236に当接し、または、当接面257が被当接部236を径方向内側に押圧している。これにより、係止部232が波付管25の外面に近接した係止位置に配置され、波付管25を係止している。換言すると、接離片233が当接面257によって径方向外側に弾性変形することが規制されることで、係止突片234が波付管25の凹部から径方向外方に離脱することが防止されている。その結果、波付管25と管接続部構造200との接続状態が維持されている。なお、本実施形態では、筒部210の外筒部211に内挿された波付管25の管内に内筒部217が挿入されるとともに、内筒部217が、係止位置にある少なくとも係止突片234の軸方向先端側に延びていることによって、係止突片234が波付管25の外面に当接した際に、波付管25が径方向内側に大きく変形することが抑えられ、波付管25を安定的に接続することが可能である。
【0091】
図25は、管接続部構造200から波付管25の接続を解除可能な解除状態の管接続装置20を示す概略断面図である。図25に示すように、操作リング体250が筒部210に対して解除位置に位置しているとともに、波付管25の凹部に係止体230の係止突片234が入り込んでいる。この管接続装置20では、波付管25には引き抜き方向の張力がかかっており、係止体230が筒部210内の先端側に連れ移動している。そして、操作リング体250が筒部210の先端側の解除位置に位置することによって、係止体230の被当接部236と操作リング体250の当接面257とが離間している。このとき、係止体230の係止部232は、径方向外方へ弾性変位可能であり、少なくとも係止位置への配置が維持されることはない。この解除状態で、波付管25に抜き出し方向の力を加えると、係止体230の係止部232が拡径方向に弾性変形しつつ、波付管25の凸部を乗り越えていき、最終的に、波付管25を管接続部構造200から引き抜くことが可能である。
【0092】
したがって、本実施形態の管接続部構造200は、直感的な操作によって管の接続解除操作を可能とし、管の接続解除における作業性を改善するものである。
【0093】
[第3実施形態]
図26および図27は、本発明の別実施形態(第3実施形態)の管接続部構造300および管接続装置30を示している。図26は、管接続部構造300を介して管35を接続している接続状態の管接続装置30を示す概略断面図である。ここで、管35は、波付管ではなくゴム管が採用された。管接続部構造300では、係止体330および操作リング体350が、第1実施形態の係止体130および操作リング体150と同様であるが、筒部310の一部の構成が相違する。
【0094】
すなわち、管接続部構造300は、軸方向基端から軸方向先端に延伸し、軸方向先端に管を受け入れる挿入開口313を有し、該挿入開口313を介して管35が内挿される中空筒状の筒部310と、該筒部310内に配置され、筒部310に内挿された管の外面を係止するための係止体330と、筒部310に対して相対移動可能に筒部310の軸方向先端に装着され、係止体330の管の外面への係止状態を制御する操作リング体350と、を備える。操作リング体350は、筒部310に対する相対位置に応じて係止体330による管外面への係止の有無を制御するように構成されている。特には、操作リング体350は、筒部310に対する相対位置に応じて、係止部332に当接して係止部332を係止位置に配置する当接面357(当接部)を有する。そして、管接続部構造300は、操作リング体350が、接続位置に相対移動したときに管の接続状態を維持し、操作リング体350が、接続位置よりも軸方向先端側に位置する解除位置に相対移動したときに管35を接続解除可能とするように構成されている。そして、管接続部構造300は、操作リング体350の筒部310に対する相対移動を制御するための制御路320および被制御部355が設けられている。この制御路320および被制御部355の構成は、第1実施形態の管接続部構造100と同様である。
【0095】
本実施形態では、筒部310に設けられた係止体保持部315は、係止体330をスライド可能に保持するのではなく、軸方向に固定して保持するように構成されている。つまり、係止体保持部315は、係止体330の被保持部336を導入するための導入凹部315aと、被保持部336が嵌合する固定孔315bとからなる。また、本実施形態では、筒部310に保持された係止体330および操作リング体350の軸方向の相対位置が、第1実施形態の筒部110と相違している。
【0096】
図26に示すように、操作リング体350が筒部310の基端側の接続位置に配置されたとき、操作リング体350の当接面357(当接部)が、係止体330の係止部332の被当接部335に当接し、被当接部335を径方向内側へと押圧することで、接離片333が管35の近接方向に弾性変形し、係止突片334が管35の外面に食い込んでいる。つまり、係止部332は、管35の外面に近接した係止位置で管35を係止している。すなわち、管接続部構造300は、係止部332を径方向内側に弾性変位させて管35の外面に圧接させることによって、管35の接続状態を維持するように構成されている。
【0097】
図27に示すように、操作リング体350が筒部310の先端側の解除位置に配置されたとき、操作リング体350の当接面357が、係止体330の係止部332の被当接部335から離間し、接離片333が管35の離隔方向に弾性復帰することで、係止突片334が管35から離間している。つまり、係止部332は、管35の外面から離隔した非係止位置に配置される。すなわち、管接続部構造300は、係止部332を径方向外側に弾性変位させて管35から離間させることによって、管35の接続状態を解除するように構成されている。
【0098】
したがって、本実施形態の管接続部構造300は、直感的な操作によって管の接続解除操作を可能とし、管の接続解除における作業性を改善するものである。
【0099】
本発明は、上記実施形態に限定されず、種々の変形例を取り得る。以下、本発明の変形例を説明する。なお、各変形例において、三桁で示される構成要素において下二桁が共通する構成要素は、説明がない限り、同一又は類似の特徴を有し、その説明を一部省略する。
【0100】
(1)本発明の管接続部構造は、上記実施形態の構成に限定されない。本発明の制御路は、種々の形態を取り得る。図28は、本発明の第1の変形例の制御路120Aを示している。制御路120Aは、図28に示すように、軸方向先端側が開放された略コ字形状を成している。制御路120Aは、被制御部155が配置されたときに操作リング体150を接続位置に配置する接続領域121Aと、被制御部155が配置されたときに操作リング体150を解除位置に配置する解除領域123Aと、接続状態および解除状態との間の遷移状態を形成する中間領域125Aとを備える。
【0101】
接続領域121Aは、少なくとも被制御部155の軸方向への移動が規制された接続区域121Aaと、解除領域123Aに対して軸方向に連通し、被制御部155の接続区域121Aaおよび解除領域123Aの両方への移動を許容する移行可能区域121Abとを備える。本形態では、接続領域121Aの周方向中央に接続区域121Aaが設けられ、その両側に2つの移行可能区域121Abがそれぞれ設けられている。そして、1つの接続区域121Aaと、隣接する2つの移行可能区域121Abの間には、2つの移動規制部122Aがそれぞれ設けられている。
【0102】
解除領域123Aは、接続領域121Aの2箇所の移行可能区域121Abとそれぞれ軸方向に並んで配置されるように、2箇所に設けられている。各解除領域123Aと各移行可能区域121Abとの間には、中間領域125Aが配置されている。そして、各解除領域123Aと各移行可能区域121Abとが軸方向に直線的に並んでいる。すなわち、制御路120Aの少なくとも一部を成す、接続領域121Aと解除領域123Aとの間の移動経路が軸方向に延びている。なお、解除領域123Aには、周方向に延在する拡張区域が省略されている。
【0103】
(2)本発明の管接続部構造は、上記実施形態の構成に限定されない。本発明の制御路は、種々の形態を取り得る。図29は、本発明の第2の変形例の制御路120Bを示している。制御路120Bは、図29に示すように、略T字形状を成している。制御路120Bは、被制御部155が配置されたときに操作リング体150を接続位置に配置する接続領域121Bと、被制御部155が配置されたときに操作リング体150を解除位置に配置する解除領域123Bと、接続状態および解除状態との間の遷移状態を形成する中間領域125Bとを備える。
【0104】
接続領域121Bは、少なくとも被制御部155の軸方向への移動が規制された接続区域121Baと、解除領域123Bに対して軸方向に連通し、被制御部155の接続区域121Baおよび解除領域123Bの両方への移動を許容する移行可能区域121Bbとを備える。本形態では、接続領域121Bの周方向中央に移行可能区域121Bbが設けられ、その両側に2つの接続区域121Baがそれぞれ設けられている。そして、2つの接続区域121Baと、隣接する1つの移行可能区域121Bbの間には、2つの移動規制部122Bがそれぞれ設けられている。
【0105】
解除領域123Bは、接続領域121Bの移行可能区域121Bbと軸方向に並んで配置されるように、1箇所に設けられている。解除領域123Bと移行可能区域121Bbとの間には、中間領域125Bが配置されている。そして、解除領域123Bと移行可能区域121Bbとが軸方向に直線的に並んでいる。すなわち、制御路120Bの少なくとも一部を成す、接続領域121Bと解除領域123Bとの間の移動経路が軸方向に延びている。なお、解除領域123Bには、周方向に延在する拡張区域が省略されている。
【0106】
(3)本発明の管接続部構造は、上記実施形態の構成に限定されない。本発明の制御路は、種々の形態を取り得る。図30は、本発明の第3の変形例の制御路120Cを示している。制御路120Cは、図30に示すように、より簡易な構成として直線状を成している。制御路120Cは、被制御部155が配置されたときに操作リング体150を接続位置に配置する接続領域121Cと、被制御部155が配置されたときに操作リング体150を解除位置に配置する解除領域123Cとを備える。
【0107】
接続領域121Cおよび解除領域123Cは、接続領域121Cと軸方向に直線的に並んで配置されている。すなわち、制御路120Cを成す、接続領域121Cと解除領域123Cとの間の移動経路が軸方向に延びている。ここで、接続領域121Cと、解除領域123Cの間には、移動規制部122Cが設けられている。なお、本発明において、移動規制部が省略されてもよい。
【0108】
(4)本発明の管接続部構造は、上記実施形態の構成に限定されない。本発明の制御路は、種々の形態を取り得る。図31は、本発明の第2の変形例の制御路120Dを示している。制御路120Dは、被制御部155が配置されたときに操作リング体150を接続位置に配置する接続領域121Dと、被制御部155が配置されたときに操作リング体150を解除位置に配置する解除領域123Dと、接続状態および解除状態との間の遷移状態を形成する中間領域125Dとを備える。
【0109】
接続領域121Dは、少なくとも被制御部155の軸方向への移動が規制された接続区域121Daと、解除領域123Dに対して軸方向に連通し、被制御部155の接続区域121Daおよび解除領域123Dの両方への移動を許容する移行可能区域121Dbとを備える。そして、接続区域121Daと、隣接する移行可能区域121Dbとの間には、移動規制部122Dが設けられている。
【0110】
解除領域123Dは、接続領域121Dの移行可能区域121Dbと軸方向に並んで配置された解除区域123Daと、操作リング体150Dの回動操作によって被制御部155が解除区域123Daから進入するように解除区域123Daに連設された拡張区域123Dbとを備える。そして、解除区域123Daと、隣接する拡張区域123Dbとの間には、第2の移動規制部122Dが設けられている。
【0111】
接続領域121Dの移行可能区域121Dbと、解除領域123Dの解除区域123Daとの間には、中間領域125Dが配置されている。ここで、中間領域125Dは、管の抜き出し方向に対して傾斜しつつ連続的に延びる、軸方向に対して所定の角度で傾斜した傾斜路を成している。中間領域125Dは、上述した実施形態と同様に、被制御部155の軸方向移動(操作リング体150の軸方向操作)を許容するものである。すなわち、本変形例においても、制御路120Dの少なくとも一部を成す、接続領域121Dと解除領域123Dとの間の移動経路が軸方向に延びている。特には、接続領域121Dの少なくとも一部(移行可能区域121Db)と解除領域123Dの少なくとも一部(解除区域123Da)とが、周方向位置において部分的に重合し、軸方向に沿って互い対向(または連通)している。また、本例では、中間領域125Dの軸方向に対する傾斜角は45度以下である。よって、本発明において、操作リング体150の接続位置から解除位置への軸方向操作が阻害されない限りにおいて、接続領域と解除領域との間の移動経路が軸方向から傾斜していてもよい。
【0112】
(5)本発明の管接続部構造は、管継手としての筒状の接続体の両端部に設けられたが、本発明はこれに限定されない。図32は、本発明の管接続部構造500を備えるボックス51を示している。ボックス51は、その側壁に形成された貫通孔を介して、管接続部構造500を備える筒体を装着することが可能である。すなわち、本発明の管接続構造は、種々の形態に応用され得る。
【0113】
(6)本発明の管接続部構造の構成は、上記実施形態の構成に限定されない。上記実施形態では、制御路が筒部の外面に形成され、対応する被制御部が操作リング体の内面に形成された。しかしながら、本発明はこれに限定されず、制御路が操作リング体の内面に形成され、対応する被制御部が筒部の外面に形成されてもよいことは言うまでもない。また、上記実施形態では、制御路の周縁は、径方向外方に突出する凸壁およびフランジによって包囲されたが、本発明はこれに限定されず、制御路が外面に凹設された凹溝や貫通溝であってもよい
【0114】
(7)本発明の管接続部構造および管接続装置は、上記実施形態の構成に限定されない。上記実施形態では、管接続部構造は、断面円形状の波付管を接続するように構成されたが、本発明はこれに限定されない。例えば、管は、矩形、多角形、長円形、楕円形などの任意の断面形状であってもよい。この場合、筒部の形状も、波付管の断面形状に合わせて変更され得る。
【0115】
本発明は上述した実施形態や変形例に限定されるものではなく、本発明の技術的範囲に属する限りにおいて種々の態様で実施しうるものである。すなわち、本発明の技術的範囲の下で、本実施形態の一部の構成が省略又は修正されてもよく、あるいは、他の構成が追加されてもよい。
【符号の説明】
【0116】
10 管接続装置
11 接続体
13 接続体本体
15 波付管(管)
100 管接続部構造
110 筒部
111 筒壁
111a 先端側部位
111b 基端側部位
112 挿入開口
113 接続口
114 規制壁
115 係止体保持部
115a 導入凹部
115b スライド溝
116 フランジ
118 操作指示部
120 制御路
120a 凸壁
121 接続領域
121a 接続区域
121b 移行可能区域
121c 延長回動路
122 移動規制部
123 解除領域
123a 解除区域
123b 拡張区域
125 中間領域
130 係止体
131 基部
132 係止部
133 接離片
134 係止突片
135 被当接部
136 被保持部
150 操作リング体
151 周壁部
152 先端側開口部
153 基端側開口部
154 収容凹部
155 被制御部
156 位置表示部
157 当接面(当接部)
211 外筒部
217 内筒部
270 封止体
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18
図19
図20
図21
図22
図23
図24
図25
図26
図27
図28
図29
図30
図31
図32