(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2025062135
(43)【公開日】2025-04-11
(54)【発明の名称】プログラム、銀行API接続方法、及びユーザ端末
(51)【国際特許分類】
G06Q 20/10 20120101AFI20250404BHJP
【FI】
G06Q20/10
【審査請求】有
【請求項の数】3
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2025018610
(22)【出願日】2025-02-06
(62)【分割の表示】P 2022025989の分割
【原出願日】2022-02-22
(71)【出願人】
【識別番号】000102717
【氏名又は名称】NTTテクノクロス株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110004381
【氏名又は名称】弁理士法人ITOH
(72)【発明者】
【氏名】佐々木 千裕
(72)【発明者】
【氏名】滝江 勇介
(72)【発明者】
【氏名】黒川 素次
(57)【要約】
【課題】本開示は、複数の銀行を使用するユーザが各銀行APIを意識せずに振込依頼を実行できることを目的とする。
【解決手段】本開示は、コンピュータに、各銀行において振込依頼に対する処理に必要である各銀行APIを網羅する共通APIに係る各項目のうち、所定のフォーマット形式で作成された振込依頼案件に不足している項目のパラメータの入力に基づき、所定の銀行の銀行基幹システムに対して、前記共通APIに係る全項目のうち、前記所定の銀行が前記振込依頼に対する処理に必要な銀行APIに係る所定の項目のパラメータを含んだ振込依頼情報を送信する送信部(51)を実現させるプログラムである。
【選択図】
図12
【特許請求の範囲】
【請求項1】
コンピュータに、
各銀行において振込依頼に対する処理に必要である各銀行APIを網羅する共通APIに係る各項目のうち、所定のフォーマット形式で作成された振込依頼案件に不足している項目のパラメータの入力に基づき、所定の銀行の銀行基幹システムに対して、前記共通APIに係る全項目のうち、前記所定の銀行が前記振込依頼に対する処理に必要な銀行APIに係る所定の項目のパラメータを含んだ振込依頼情報を送信する送信部を実現させるプログラム。
【請求項2】
コンピュータが、
各銀行において振込依頼に対する処理に必要である各銀行APIを網羅する共通APIに係る各項目のうち、所定のフォーマット形式で作成された振込依頼案件に不足している項目のパラメータの入力に基づき、所定の銀行の銀行基幹システムに対して、前記共通APIに係る全項目のうち、前記所定の銀行が前記振込依頼に対する処理に必要な銀行APIに係る所定の項目のパラメータを含んだ振込依頼情報を送信する送信処理を実行する銀行API接続方法。
【請求項3】
通信ネットワークを介して銀行の銀行基幹システムと通信するユーザ端末であって、
各銀行において振込依頼に対する処理に必要である各銀行APIを網羅する共通APIに係る各項目のうち、所定のフォーマット形式で作成された振込依頼案件に不足している項目のパラメータの入力に基づき、所定の銀行の銀行基幹システムに対して、前記共通APIに係る全項目のうち、前記所定の銀行が前記振込依頼に対する処理に必要な銀行APIに係る所定の項目のパラメータを含んだ振込依頼情報を送信する送信部と、
を有するユーザ端末。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示内容は、プログラム、銀行API接続方法、及びユーザ端末に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、ソフトウェアの一部を公開して、他のソフトウェアと機能をつなぐことができるようにした仕組みであるAPI(Application Programming Interface)を、銀行業務に適用した銀行APIが提案されている。銀行が銀行APIを通じてインターネットバンキングの機能を提供することで、企業はインターネット回線を利用して、業務システム(会計ソフトウェア)と銀行口座のデータを連携することができる。ところが、実際に企業が連携システムを導入するには、様々な課題が生じてしまう。
【0003】
例えば、銀行APIの仕様は公開されているケースが多いが、その複雑な仕様理解に加えて、企業の担当者は銀行業務の特性を把握する必要があり、企業の担当者の負担となる。また、既存の業務システムそのままでは、銀行APIを実行することができないため、新しく各銀行との連携用のプログラムを開発する必要がある。更に、認可情報の管理、銀行口座の運用方法の検討、及び障害時のリカバリ対策等、運用面でも多くの検討が必要となる。
【0004】
そこで、企業の業務システムと銀行APIの連携を行うソフトウェアが提供されている(非特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0005】
【非特許文献1】銀行API接続ソフトウェア「BankingGate API-X」<https://www.nikkei.com/article/DGXLRSP510864_Q9A530C1000000/>
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、従来の方法では、ユーザ(企業等)が自己の銀行口座が開設されている銀行に対して振込依頼を行う際、各銀行から提供されている銀行基幹システムの銀行APIを利用していた。この際、各銀行が提供する銀行APIは各銀行で仕様が異なるため、ユーザは各銀行APIを意識して、銀行毎の仕様に併せてユーザ側のシステムを構築する必要があり、このシステム構築のための手間と費用が掛かっていた。
【0007】
本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであって、複数の銀行を使用するユーザが各銀行APIを意識せずに振込依頼を実行できることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
請求項1に係る発明は、コンピュータに、各銀行において振込依頼に対する処理に必要である各銀行APIを網羅する共通APIに係る各項目のうち、所定のフォーマット形式で作成された振込依頼案件に不足している項目のパラメータの入力に基づき、所定の銀行の銀行基幹システムに対して、前記共通APIに係る全項目のうち、前記所定の銀行が前記振込依頼に対する処理に必要な銀行APIに係る所定の項目のパラメータを含んだ振込依頼情報を送信する送信部を実現させるプログラムである。
【発明の効果】
【0009】
以上説明したように本発明によれば、ユーザは、各銀行APIを意識せずに振込依頼を実行することができるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】本発明の実施形態に係る振込システムの全体構成図を示す図である。
【
図2】本実施形態に係るユーザ端末及び銀行基幹システムのハードウェア構成図である。
【
図5】本実施形態に係り、一括振込の依頼処理を示したシーケンス図である。
【
図6】(a)は全銀フォーマット形式の入力項目のパラメータの概念図、(b)は共通APIの管理項目のパラメータの概念図、(c)はX銀行に固有のAPIの必要項目のパラメータの概念図、(d)はY銀行に固有のAPIの必須項目のパラメータの概念図である。
【
図7】本実施形態に係り、(a)は一括振込用明細ファイルの概念図、(b)全振込依頼結果ファイルの概念図である。
【
図8】銀行固有の振込依頼の必要項目の特定処理を示すフローチャートである。
【
図9】振込登録依頼及び振込承認依頼の処理を示すシーケンス図である。
【
図10】各振込結果の記憶及び読出の処理を示すフローチャートである。
【
図11】振込実行依頼の処理を示すシーケンス図である。
【
図12】その他の実施形態に係り、振込依頼案件に共通APIの読み出しを行う場合のシーケンス図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、図面を用いて、本発明の実施形態を説明する。
【0012】
〔システム構成〕
まず、
図1を用いて、本実施形態の振込システム1の全体構成について説明する。
図1は、本発明の実施形態に係る振込システムの全体構成図を示す図である。
【0013】
図1に示されているように、本実施形態の振込システム1は、ユーザ端末2、銀行基幹システム7x、及び銀行基幹システム7yによって構築されている。ユーザ端末2、銀行基幹システム7x、及び銀行基幹システム7yは、それぞれ、インターネット等の通信ネットワーク100によって通信可能である。なお、通信は、有線であってもよいし、無線であってもよい。
【0014】
図1において、ユーザ端末2は、ユーザである振込依頼者(A社)に設置されたユーザのコンピュータである。ユーザ端末2には、会計ソフトウェア3、及び銀行API(Application Programming Interface)接続ソフトウェア5がインストールされている。会計ソフトウェア3及び銀行API接続ソフトウェアは、コンピュータに各機能を実行させるプログラムである。
【0015】
銀行基幹システム7xは、X銀行に設置されたコンピュータであり、振込等の処理を行う。同じく、銀行基幹システム7yは、Y銀行に設置されたコンピュータであり、振込等の処理を行う。なお、
図1では、ユーザ端末2が1台だけ示されているが複数台であってもよい。また、振込依頼者は、A社だけでなく複数社であってもよい。更に、銀行は2行だけでなく、3行以上でもよく、この場合もそれぞれの銀行に銀行基幹システムが設置されている。
【0016】
また、以降、銀行基幹システム7x、及び銀行基幹システム7yの総称を「銀行基幹システム7」と示す。
【0017】
A社は、A社の銀行口座が開設されているX銀行又はY銀行を介して、所定の銀行に対する振込依頼を行う。この際に、銀行API接続ソフトウェア5は、A社がX銀行及びY銀行の提供する各銀行APIを意識せずに振込依頼を実行することを可能とする。銀行API接続ソフトウェア5については、後ほど詳細に説明する。
【0018】
〔本実施形態のハードウェア構成〕
次に、
図2を用いて、ユーザ端末2及び銀行基幹システム7のハードウェア構成を説明する。
図2は、ユーザ端末及び銀行基幹システムのハードウェア構成図である。
【0019】
図2に示されているように、ユーザ端末2は、プロセッサ201、メモリ202、補助記憶装置203、接続装置204、通信装置205、ドライブ装置206を有する。なお、ユーザ端末2を構成する各ハードウェアは、バス207を介して相互に接続される。
【0020】
プロセッサ201は、ユーザ端末2全体の制御を行う制御部の役割を果たし、CPU(Central Processing Unit)等の各種演算デバイスを有する。プロセッサ201は、会計ソフトウェア3及び銀行API接続ソフトウェア5に係る各種プログラムをメモリ202上に読み出して実行する。なお、プロセッサ201には、GPGPU(General-purpose computing on graphics processing units)が含まれていてもよい。
【0021】
メモリ202は、ROM(Read Only Memory)、RAM(Random Access Memory)等の主記憶デバイスを有する。プロセッサ201とメモリ202とは、いわゆるコンピュータを形成し、プロセッサ201が、メモリ202上に読み出した各種プログラムを実行することで、当該コンピュータは各種機能を実現する。
【0022】
補助記憶装置203は、各種プログラムや、各種プログラムがプロセッサ201によって実行される際に用いられる各種情報を格納する。
【0023】
接続装置204は、外部装置(例えば、表示装置210、操作装置211)とユーザ端末2とを接続する接続デバイスである。
【0024】
通信装置205は、他の装置との間で各種情報を送受信するための通信デバイスである。
【0025】
ドライブ装置206は記録媒体230をセットするためのデバイスである。ここでいう記録媒体230には、CD-ROM(Compact Disc Read-Only Memory)、フレキシブルディスク、光磁気ディスク等のように情報を光学的、電気的あるいは磁気的に記録する媒体が含まれる。また、記録媒体230には、ROM(Read Only Memory)、フラッシュメモリ等のように情報を電気的に記録する半導体メモリ等が含まれていてもよい。
【0026】
なお、補助記憶装置203にインストールされる各種プログラムは、例えば、配布された記録媒体230がドライブ装置206にセットされ、該記録媒体230に記録された各種プログラムがドライブ装置206により読み出されることでインストールされる。あるいは、補助記憶装置203にインストールされる各種プログラムは、通信装置205を介してネットワークからダウンロードされることで、インストールされてもよい。
【0027】
また、
図2には、銀行基幹システム7のハードウェア構成が示されているが、符号が200番台から700番台に変わっただけで、各構成は同様であるため、これらの説明を省略する。
【0028】
〔本実施形態の機能構成〕
続いて、
図3を用いて、A社におけるユーザ端末2の機能構成について説明する。
図3は、ユーザ端末の機能構成図である。
【0029】
ユーザ端末2には、上述のように、会計ソフトウェア3、及び銀行API接続ソフトウェア5がインストールされている。
【0030】
銀行API接続ソフトウェア5は、ユーザ端末2の機能として、送受信部51、分割部52、特定部53、判断部55、補完部56、出力部58、及び記憶・読出部59を実現することができる。
【0031】
更に、ユーザ端末2は、記憶部5000を有している。記憶部5000は、メモリ502又は補助記憶装置503によって実現される。記憶部5000には、監視フォルダF1,F2及び出力フォルダF30が記憶され、振込方法管理DB(Data Base)5001及び一時記憶部5002が構築されている。なお、
図3では、2つの監視フォルダが示されているが、3つ以上であってもよい。また、以降、管理フォルダF1,F2の総称を「監視フォルダF」と示す。
【0032】
監視フォルダFは、会計ソフトウェア3が、日本の全国銀行協会連合会がデータ伝送を行うために定めたフォーマット形式(以降、「全銀フォーマット形式」と示す)で作成された一括振込用明細ファイル(
図7(a))を保存するためのフォルダである。監視フォルダFは、記憶部5000に記憶されていなくてもよく、銀行API接続ソフトウェア5がアクセスできれば、ユーザ端末2以外のコンピュータに記憶されていてもよい。
【0033】
また、監視フォルダFは、振込方法管理DB5001(
図4)に対して接続コードによって関連付けられている。全銀フォーマット形式は、
図6(a)に示されているように、全国銀行協会連合会によって定められた振込依頼のための必要項目(パラメータ)によって示されている。なお、
図6(a)は全銀フォーマット形式の入力項目のパラメータの概念図、(b)は共通APIの管理項目のパラメータの概念図、(c)はX銀行に固有のAPIの必要項目のパラメータの概念図、(d)はY銀行に固有のAPIの必須項目のパラメータの概念図である。共通APIは、各銀行において振込依頼に対する処理に必要である各銀行APIに係る各項目を全て網羅するAPIである。
【0034】
出力フォルダF30は、最終的に全ての振込依頼結果(
図7(b))を保存するためのフォルダである。
【0035】
振込方法管理DB5001は、振込方法を管理するためのDBである。振込方法管理DB5001は、
図4に示されているように、接続コード、テナント名、テナント側の振込元銀行名、振込依頼方法、及び振込元銀行の固有APIに係る補完項目のパラメータが関連付けられて管理されている。これらのうち、接続コードは、振込依頼元であるテナント(ユーザであるA社等)及びこのテナント側の振込元銀行である前記所定の銀行の組を示すコードである。接続コードは、テナント(名)とテナント側の振込元銀行(名)の組を特定するための特定情報の一例である。なお、接続コードは、テナントIDと示しても良い。
【0036】
また、振込依頼方法は、各銀行固有の振込依頼方法を示す。「登録・承認」は、例えば、ユーザ端末2から
図1のX銀行に対して振込依頼を行う方法であり、ユーザ端末2からすると、振込依頼の登録と振込依頼の承認のために2回の振込依頼を行う必要がある方法である。
【0037】
更に、「実行」は、例えば、ユーザ端末2から
図1のY銀行に対して振込依頼を行う方法であり、ユーザ端末2からすると、振込依頼の登録と振込依頼の承認のために1回の振込依頼だけで済む方法である。この場合、Y銀行の銀行基幹システム7yは、振込依頼の登録と承認を同じタイミングで行う。
【0038】
更に、振込元銀行の固有APIに係る補完項目は、全銀フォーマット形式の必要項目だけでは、振込元銀行の固有APIに対応できないために補完する項目を示しており、後述の補完部56によって補完されるパラメータが管理されている。
【0039】
<各機能構成>
続いて、各機能構成について説明する。
【0040】
送受信部51は、銀行基幹システム7に対してデータ(情報)を送信したり、銀行基幹システム7からデータ(情報)を受信したりする。例えば、送受信部51は、所定の銀行の銀行基幹システム7に対して、補完部56によって補完された後の共通APIに係る全項目のうち、所定の銀行が振込依頼に対する処理に必要な銀行APIに係る所定の項目のパラメータを含んだ振込依頼情報を送信する。
【0041】
分割部52は、所定の監視フォルダに保存された一括振込用明細ファイルを、振込依頼案件毎に分割して、振込依頼案件毎のファイルを作成する。
【0042】
特定部53は、格納された監視フォルダFの接続コードに基づき振込方法管理DB5001(
図4)を参照し、振込依頼案件毎に、対応する振込依頼方法及び振込元銀行の固有APIに係る補完項目を特定する。なお、監視フォルダFにファイルが保存されることで、監視フォルダFに関連付けられた接続コードが指定される。
【0043】
判断部55は、分割部52によって分割された全ての振込依頼の処理が終了したか等の各種判断を行う。
【0044】
補完部56は、特定部53によって特定された振込元銀行の固有APIに係る補完項目のパラメータを補完する。例えば、補完部56は、各銀行において振込依頼に対する処理に必要である各銀行APIを網羅する共通APIに係る各項目のうち、所定のフォーマット形式(ここでは、全銀フォーマット形式)で作成された振込依頼案件に不足している項目のパラメータを補完する。
【0045】
出力部58は、会計ソフトウェア3から監視フォルダFへの一括振込用明細ファイルへの保存に対する応答として、会計ソフトウェア3に対し、全ての振込依頼結果のデータ(情報)を出力する。
【0046】
記憶・読出部59は、一時記憶部5002に対して、データ(情報)を記憶したり、一時記憶部5002からデータを読み出したりする。
【0047】
〔実施形態の処理又は動作〕
続いて、
図5乃至
図11を用いて、本実施形態の処理又は動作について説明する。
図5は、本実施形態に係り、一括振込の依頼処理を示したシーケンス図である。
【0048】
図5に示されているように、会計ソフトウェア3から所定の監視フォルダFに対して、全銀フォーマット形式(
図6(a))で作成された一括振込用明細ファイル(
図7(a))を保存する(S11)。これにより、分割部52は、所定の監視フォルダに保存された一括振込用明細ファイルを、振込依頼案件毎に分割して、振込依頼案件毎のファイルを作成する(S12)。
【0049】
次に、送受信部51が分割部52によって分割された振込依頼案件毎に共通API(
図6(b))を呼び出す(S13)。
【0050】
次に、銀行API接続ソフトウェア5は、銀行固有の振込依頼の必要項目の特定処理を行う(S14)。ここで、
図8を用いて、処理(S14)について詳細に説明する。
【0051】
図8に示されているように、特定部53は、格納された監視フォルダFの接続コードに基づいて振込方法管理DB5001(
図4)を参照し、振込依頼案件毎に、対応する振込依頼方法及び振込元銀行の固有APIに係る補完項目のパラメータを特定する(S101)。これにより、分割された振込依頼案件の振り分け先が決定される。なお、同じ監視フォルダに保存されたファイルに係る振込依頼案件は、分割されても振り分け先は全て同じである。
【0052】
次に、補完部56は、処理S101によって特定された振込元銀行の固有APIに係る補完項目のパラメータを補完する(S102)。
【0053】
ここで、振込依頼方法が、「登録・承認」の場合と「実行」の場合について分けて説明すする。
【0054】
<登録・承認の場合>
まずは、
図9及び
図10を用いて、振込依頼方法が「登録・承認」の場合の処理について説明する。
図9は、振込登録依頼及び振込承認依頼の処理を示すフローチャートである。
図10は、各振込結果の記憶及び読出の処理を示すフローチャートである。
図9の処理は、
図5の処理(S11)において、会計ソフトウェア3が、監視フォルダF1(接続コードc1)に一括振込用明細ファイルが保存された場合の処理である。
【0055】
まず、送受信部51は、銀行API接続ソフトウェア5自身から、振込元銀行の固有API(登録・承認API)を呼び出す(S31)。この固有APIでは、例えば、全銀フォーマット形式の各項目に加え、「二重振込チェック」項目が必要とされている(
図6(c))。二重振込チェックは、同一振込指定日の振込データで振込先口座と振込金額が同じ振込が他にあるかをチェックすることを示す。
【0056】
次に、
図9に示されているように、送受信部51は、銀行基幹システム7xに対して、振込依頼登録情報(
図6(c))を送信する(S32)。これにより、銀行基幹システム7xは、振込依頼の登録を行う(S33)。そして、銀行基幹システム7xは、送受信部51に対して、登録結果を送信する(S34)。これにより、送受信部51は、登録結果を受信する。
【0057】
次に、送受信部51は、承認のために、銀行基幹システム7xに対して、振込依頼承認情報(
図6(c))を送信する(S35)。これにより、銀行基幹システム7xは、振込依頼の承認を行う(S36)。そして、銀行基幹システム7xは、送受信部51に対して、承認結果を送信する(S37)。これにより、送受信部51は、承認結果を受信する。
【0058】
続いて、銀行API接続ソフトウェア5は、各振込結果の記憶及び読出の処理を行う(S38)。
【0059】
ここで、
図10を用いて、各振込結果の記憶及び読出の処理を説明する。
図10に示されているように、記憶・読出部59は、一時記憶部5002に、処理S37で受信された振込依頼結果を一時的に記憶(保存)する(S121)。
【0060】
次に、判断部55は、分割部52によって分割された全ての振込依頼の処理が終了したかを判断する(S122)。そして、全ての振込依頼の処理が終了した場合には(S122;YES)、記憶・読出部59が、一時記憶部5002の全ての振込依頼結果を読み出す(S123)。一方、全ての振込依頼の処理が終了していない場合には(S122;NO)、処理S13へ戻り、次の振込依頼案件に対する共通APIの呼出が行われ、その後の処理が続けられる。これにより、
図10の説明は終了する。
【0061】
続いて、
図9に戻り、記憶・読出部59が、一時記憶部5002の全ての振込依頼結果を読み出だした後、全ての振込依頼結果(
図7(b))を出力フォルダF30に出力(保存)する(S39)。全ての振込依頼結果は、
図7(b)に示されているように、
図7(a)の一括振込用明細ファイルに対して、振込依頼案件毎に振込依頼結果(ここでは、「OK」又は「NG」)が追加されている。このように、会計ソフトウェア3が、処理S11で一括振込用明細ファイルを監視フォルダF1に保存したことに対応して、全ての振込依頼結果を一括して出力することができる。以上により、振込依頼方法が「登録・承認」の場合の処理が終了する。
【0062】
<実行の場合>
続いて、
図11を用いて、振込依頼方法が「実行」の場合の処理について説明する。
図11は、振込実行依頼の処理を示すフローチャートである。
図11の処理は、
図5の処理S11において、会計ソフトウェア3が、監視フォルダF2(接続コードc2)に一括振込用明細ファイルが保存された場合の処理である。
【0063】
まず、送受信部51は、銀行API接続ソフトウェア5自身から、振込元銀行の固有API(実行API)を呼び出す(S51)。この固有APIでは、例えば、全銀フォーマット形式の各項目に加え、「振込取消フラグ」項目が必要とされている(
図6(d))。振込取消フラグは、振込を取り消したいときにセットされるフラグである。
【0064】
次に、
図11に示されているように、送受信部51は、銀行基幹システム7yに対して、振込依頼情報(
図6(d))を送信する(S52)。これにより、銀行基幹システム7yは、振込依頼の実行として、登録及び承認をまとめて行う(S53)。そして、銀行基幹システム7yは、送受信部51に対して、実行結果を送信する(S54)。これにより、送受信部51は、実行結果を受信する。
【0065】
続いて、銀行API接続ソフトウェア5は、各振込結果の記憶及び読出の処理を行う(55)。この処理S55は、上述の処理S38と同様であり、
図10にて説明したため、その説明を省略する。
【0066】
続いて、記憶・読出部59が、一時記憶部5002の全ての振込依頼結果を読み出した後、出力部58は、全ての振込依頼結果(
図7(b))を出力フォルダF30に出力(保存)する(S56)。このように、会計ソフトウェア3が、処理S11で一括振込用明細ファイルを監視フォルダF2に保存したことに対応して、全ての振込依頼結果を一括して出力することができる。以上により、振込依頼方法が「実行」の場合の処理が終了する。
【0067】
〔実施形態の主な効果〕
以上説明したように本実施形態によれば、会計ソフトウェア3が監視フォルダFに全銀フォーマット形式の一括振込用明細ファイルを保存するだけで、銀行API接続ソフトウェア5の補完部56が共通APIの各項目のパラメータを補完するための処理を行う。これにより、どの銀行基幹システム7の銀行APIにも対応できるようにした後(S103参照)、送受信部51は所定の銀行基幹システム7に対して、振込元銀行の固有APIで必要な項目の情報を含む振込依頼情報を送信する(S32,S52参照)。よって、ユーザ(企業)は、各銀行のAPIを意識しないで、各銀行への振込依頼処理を行うことができるため、各企業で利用する銀行毎の仕様に併せて企業側のシステムを構築する必要がなくなり、システムの構築による費用の発生を抑制することができると共に銀行毎に振込依頼を変更する手間を省くことが可能となる。
【0068】
また、分割部52が、一括振込用明細ファイルを、振込依頼案件毎に分割するため(S12参照)、複数の振込依頼を含む一括振込依頼を受け付けることが可能な銀行と、1件の振込依頼毎でなければ受け付けることができない銀行のいずれにも対応することができるという効果を奏する。この分割により、いずれの銀行にも対応することができるため、共通APIによる上述の効果に寄与しているとも言える。
【0069】
〔その他の実施形態〕
続いて、
図12を用いて、その他の実施形態(共通API直接呼出し方式)について説明する。
図12は、その他の実施形態に係り、振込依頼案件に共通APIの読み出しを行う場合のシーケンス図である。なお、その他の実施形態は、
図5の処理の変形例である。
【0070】
まず、
図12に示されているように、会計ソフトウェア3から銀行API接続ソフトウェア5に対して、振込依頼案件毎に共通APIを呼び出す(S21)。ここでは、
図5の処理S11と異なり、1件の振込依頼案件毎に処理される。
【0071】
次に、ユーザによる入力により、会計ソフトウェア3から共通APIで固有の銀行に必要な項目にパラメータを入力する(S22)。この場合、ユーザはユーザ端末2を操作して、APIの項目を表示した画面にパラメータを入力してもよいし、プログラムのコードでパラメータを入力してもよい。
【0072】
次に、銀行API接続ソフトウェア5は、接続コードに基づき、振込方法管理DB5001(
図4)を参照し、振込依頼案件毎に、対応する振込依頼方法を特定する(S23)。なお、この場合の接続コードは、ユーザによってAPIのリクエストURLで指定される。
【0073】
その後の処理は、
図9又は
図11に示されている処理と同様であるため、その説明を省略する。但し、その他の実施形態では、元々、1件の振込依頼案件毎に振込依頼が行われるため、
図9の処理(S38,S39)及び
図11の処理(S55,S56)のように、全ての振込結果がまとめて会計ソフトウェア3に応答されず、1件の振込依頼案件毎に振込結果が応答される。
【0074】
以上説明したように、その他の実施形態によれば、共通APIの項目への入力作業の手間が生じるが、上述の実施形態のように、分割(S12参照)や補完(S103)等の処理がないため、振込依頼をより迅速に行うことができるという効果を奏する。
【0075】
〔補足〕
本発明は上述の実施形態に限定されるものではなく、以下に示すような構成又は処理(動作)であってもよい。
【0076】
銀行API接続ソフトウェア5に係るプログラムは、(非一時的な)記録媒体に記録して提供することも、インターネット等のネットワークを通して提供することも可能である。
【符号の説明】
【0077】
1 振込システム
2 ユーザ端末
3 会計ソフトウェア
5 銀行API接続ソフトウェア
7x 銀行基幹システム
7y 銀行基幹システム
51 送受信部(送信部の一例、受信部の一例)
52 分割部
53 特定部
55 判断部
56 補完部
59 記憶・読出部
100 通信ネットワーク
5000 記憶部
5001 振込方法管理DB(振込方法管理部の一例)
5002 一時記憶部