(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2025062166
(43)【公開日】2025-04-14
(54)【発明の名称】流路継手構造
(51)【国際特許分類】
F16L 23/04 20060101AFI20250407BHJP
【FI】
F16L23/04
【審査請求】未請求
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023171050
(22)【出願日】2023-10-02
(71)【出願人】
【識別番号】000229737
【氏名又は名称】株式会社PILLAR
(74)【代理人】
【識別番号】110000280
【氏名又は名称】弁理士法人サンクレスト国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】大前 清敬
(72)【発明者】
【氏名】湯浅 翔平
【テーマコード(参考)】
3H016
【Fターム(参考)】
3H016AA05
3H016AB06
3H016AB08
3H016AC04
3H016AC05
3H016AD06
3H016AD15
3H016CA02
3H016CA03
(57)【要約】
【課題】シール部材と、第一フランジ及び第二フランジのうちの一方又は双方との間で滑りが生じない流路継手構造を提供する。
【解決手段】流路継手構造10は、第一継手11が有する第一フランジ113と第二継手12が有する第二フランジ123とを連結する筒状の締め付け部材(クランプ13)と、第一フランジ113が有する第一流路孔114と第二フランジ123が有する第二流路孔124とに跨って取り付けられる筒状のシール部材(ガスケット14)とを有する。流路継手構造10は、第一フランジ113と第二フランジ123との相対回転を阻止する回り止め部30を有する。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第一流体デバイスが有する第一フランジと第二流体デバイスが有する第二フランジとを連結する筒状の締め付け部材と、
前記第一フランジが有する第一流路孔と前記第二フランジが有する第二流路孔とに跨って取り付けられる筒状のシール部材と、
を有し、
前記第一フランジと前記第二フランジとの相対回転を阻止する回り止め部を、
有する、流路継手構造。
【請求項2】
前記回り止め部は、前記第一フランジの一部及び前記第二フランジの一部に対して、周方向から接触する接触面を有する、請求項1に記載の流路継手構造。
【請求項3】
前記第一フランジ及び前記第二フランジそれぞれは、外側凹凸部を有し、
前記締め付け部材は、前記回り止め部として、前記外側凹凸部に嵌合する内側凹凸部を有する、請求項1又は請求項2に記載の流路継手構造。
【請求項4】
前記外側凹凸部は、前記第一フランジの外周面及び前記第二フランジの外周面に設けられていて、
前記内側凹凸部は、前記締め付け部材の内周面に設けられている、
請求項3に記載の流路継手構造。
【請求項5】
前記内側凹凸部は、前記シール部材と非接触である、
請求項3に記載の流路継手構造。
【請求項6】
前記第一フランジ及び前記第二フランジそれぞれは、フランジ合わせ面に端面凹凸部を有し、
前記シール部材は、前記回り止め部として、前記端面凹凸部に嵌合する横凹凸部を有する、
請求項1又は請求項2に記載の流路継手構造。
【請求項7】
前記第一フランジと前記二フランジとは、前記フランジ合わせ面同士で非接触の状態にある、
請求項6に記載の流路継手構造。
【請求項8】
前記第一フランジは、外周に第一凹部を有し、前記第二フランジは、外周に第二凹部を有し、
前記回り止め部として、前記第一凹部及び前記第二凹部の双方に嵌合する連結部材を有する、
請求項1又は請求項2に記載の流路継手構造。
【請求項9】
前記連結部材は、前記シール部材と非接触である、
請求項8に記載の流路継手構造。
【請求項10】
前記シール部材は、前記第一流路孔と前記第二流路孔とを繋げる連通孔を有する筒状部と、前記筒状部から径方向外側に延びる円環部とを有し、
前記締め付け部材は、半円の第一部材と、前記第一部材と分離結合可能である半円の第二部材と、を有し、
前記第一部材は、前記第一部材の内周側に、前記円環部の一部が嵌る第一溝を有し、
前記第二部材は、前記第二部材の内周側に、前記円環部の他部が嵌る第二溝を有する、
請求項1又は請求項2に記載の流路継手構造。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示の発明は、流路継手構造に関する。
【背景技術】
【0002】
半導体、液晶パネル、有機ELパネル等の製造装置は、薬液又は超純水等の流体が流れる配管経路を有する。その配管経路の一部に、ポンプ、バルブ、フィルタ、センサ、継手、又は、流路ブロック等の流体デバイスが存在する。配管経路において、複数の流体デバイス同士を接続するために、ガスケットを含む流路継手構造が用いられる(特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
図14は、従来の流路継手構造90を示す斜視図であり、流路継手構造90は、2つの流体デバイスを接続する。
図14に示す流体デバイスは、チューブ95を接続するための継手である。つまり、流路継手構造90は、第一継手91と第二継手92とを接続する。流路継手構造90は、クランプ(締め付け部材)93と、ガスケット(シール部材)94とを有する。
【0005】
クランプ93は、第一継手91が有する第一フランジ96と第二継手92が有する第二フランジ98とを軸方向に挟んで連結する。
ガスケット94は、第一フランジ96が有する第一流路孔97と第二フランジ98が有する第二流路孔99とに跨って取り付けられる。ガスケット94は、第一フランジ96及び第二フランジ98に圧入によって取り付けられ、第一フランジ96と第二フランジ98との間をシールする。
【0006】
第一継手91は、継手本体911と、ナット912とを有する。継手本体911の外周面に設けられている雄ねじ部911aに、ナット912を締め付けることで、チューブ95が第一継手91に接続される。チューブ95の接続作業は、ガスケット94が第一フランジ96と第二フランジ98との間に装着され、第一継手91と第二継手92とがクランプ93によって接続された状態で行われる。
【0007】
チューブ95の接続のために、ナット912を回転させると、そのナット912と同方向の回転力が継手本体911に生じ、やがて、継手本体911は、ナット912と供回りしようとする。
第二継手92は、例えば別の流体デバイスと連結されていて回転不能である場合がある。このため、ナット912の回転により継手本体911が供回りすると、ガスケット94と、第一フランジ96及び第二フランジ98の一方又は双方との間で、滑りが生じる。
【0008】
その滑りにより、ガスケット94に傷が付いたり、摩耗粉が生じたりする。ガスケット94に傷が付くとシール性能が低下する。摩耗粉はパーティクルとなり、例えば、半導体の製造の場合、その品質に悪影響を及ぼす可能性がある。
そこで、本開示は、シール部材と、第一フランジ及び第二フランジのうちの一方又は双方との間で滑りが生じない流路継手構造を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本開示の流路継手構造は、第一流体デバイスが有する第一フランジと第二流体デバイスが有する第二フランジとを連結する筒状の締め付け部材と、前記第一フランジが有する第一流路孔と前記第二フランジが有する第二流路孔とに跨って取り付けられる筒状のシール部材と、を有し、前記第一フランジと前記第二フランジとの相対回転を阻止する回り止め部を、有する。
【発明の効果】
【0010】
本開示の流路継手構造によれば、シール部材と、第一フランジ及び第二フランジのうちの一方又は双方との間で滑りが生じることを防ぐことが可能となる。よって、シール部材は、滑りにより傷付かず、また、滑りによる摩耗粉の発生が防止される。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図1】
図1は、流路継手構造の一例を示す斜視図である。
【
図3】
図3は、クランプによる第一継手と第二継手との接続部を示す断面図である。
【
図4】
図4は、第二継手と連結状態にある第一継手、クランプ、及び、ガスケットの斜視図である。
【
図5】
図5は、流路継手構造の第二形態を説明する斜視図である。
【
図6】
図6は、流路継手構造の第二形態を説明する斜視図である。
【
図7】
図7は、ガスケットの変形例を示す斜視図である。
【
図8】
図8は、流路継手構造の第三形態を説明する斜視図である。
【
図9】
図9は、流路継手構造の第三形態を説明する斜視図である。
【
図13】
図13は、継手以外である流体デバイスを接続対象とする流路継手構造の説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
<本開示の発明の実施形態の概要>
以下、本開示の発明の実施形態の概要を列記して説明する。
(1)本開示の流路継手構造は、第一流体デバイスが有する第一フランジと第二流体デバイスが有する第二フランジとを連結する筒状の締め付け部材と、前記第一フランジが有する第一流路孔と前記第二フランジが有する第二流路孔とに跨って取り付けられる筒状のシール部材と、を有し、前記第一フランジと前記第二フランジとの相対回転を阻止する回り止め部を有する。
【0013】
前記構成を有する流路継手構造によれば、第一フランジに回転力が付与されても、その第一フランジは、回り止め部により、第二フランジに対して回転しない。このため、シール部材は、第一フランジ及び第二フランジのうちの一方又は双方との間で滑りが生じない。
【0014】
(2)好ましくは、前記回り止め部は、前記第一フランジの一部及び前記第二フランジの一部に対して、周方向から接触する接触面を有する。
前記構成により、回り止め部の接触面が、第一フランジの一部及び第二フランジの一部に対して周方向から接触することで、第一フランジに回転力が付与されても、その第一フランジは、第二フランジに対して回転しない構成が得られる。
【0015】
(3)前記(1)又は(2)の流体継手構造において、好ましくは、前記第一フランジ及び前記第二フランジそれぞれは、外側凹凸部を有し、前記締め付け部材は、前記回り止め部として、前記外側凹凸部に嵌合する内側凹凸部を有する。
前記構成によれば、第一フランジに回転力が付与されても、その回転力は、締め付け部材を通じて第二フランジに伝わり、第一フランジと第二フランジとの相対回転は阻止される。よって、第一フランジと第二フランジとの間のシール部材に滑りが生じない。
【0016】
(4)前記(3)の流路継手構造において、好ましくは、前記外側凹凸部は、前記第一フランジの外周面及び前記第二フランジの外周面に設けられていて、前記内側凹凸部は、前記締め付け部材の内周面に設けられている。
前記構成によれば、締め付け部材を、第一フランジ及び第二フランジの外周側から取り付けることで、内側凹凸部と外側凹凸部とが嵌合する構成が得られる。
【0017】
(5)前記(3)又は(4)の流路継手構造において、好ましくは、前記内側凹凸部は、前記シール部材と非接触である。
前記構成によれば、第一フランジに回転力が付与されると、その回転力は、締め付け部材を通じて第二フランジに伝わるが、シール部材に伝わり難い。つまり、シール部材に負荷がかからない。
【0018】
(6)前記(1)又は(2)の流路継手構造において、好ましくは、前記第一フランジ及び前記第二フランジそれぞれは、フランジ合わせ面に端面凹凸部を有し、前記シール部材は、前記回り止め部として、前記端面凹凸部に嵌合する横凹凸部を有する。
前記構成によれば、第一フランジに回転力が付与されても、その回転力は、シール部材を通じて第二フランジに伝わり、第一フランジと第二フランジとの相対回転は阻止される。よって、第一フランジと第二フランジとの間のシール部材に滑りが生じない。
【0019】
(7)前記(6)の流路継手構造において、好ましくは、前記第一フランジと前記二フランジとは、前記フランジ合わせ面同士で非接触の状態にある。
前記構成によれば、第一フランジと第二フランジとが不要に干渉して連結不良となることを防ぐことが可能となる。
【0020】
(8)前記(1)又は(2)の流路継手構造において、好ましくは、前記第一フランジは、外周に第一凹部を有し、前記第二フランジは、外周に第二凹部を有し、前記流路継手構造は、前記回り止め部として、前記第一凹部及び前記第二凹部の双方に嵌合する連結部材を有する。
前記構成によれば、第一フランジに回転力が付与されても、その回転力は、締め付け部材及びシール部材と別である連結部材を通じて、第二フランジに伝わり、第一フランジと第二フランジとの相対回転は阻止される。よって、第一フランジと第二フランジとの間のシール部材に滑りが生じない。
【0021】
(9)前記(8)の流路継手構造において、好ましくは、前記連結部材は、前記シール部材と非接触である。
前記構成によれば、第一フランジに回転力が付与されると、その回転力は、連結部材を通じて第二フランジに伝わるが、シール部材に伝わり難い。つまり、シール部材に負荷がかからない。
【0022】
(10)前記(1)から(9)の流路継手構造において、前記シール部材は、前記第一流路孔と前記第二流路孔とを繋げる連通孔を有する筒状部と、前記筒状部から径方向外側に延びる円環部とを有し、前記締め付け部材は、半円の第一部材と、前記第一部材と分離結合可能である半円の第二部材と、を有し、前記第一部材は、前記第一部材の内周側に、前記円環部の一部が嵌る第一溝を有し、前記第二部材は、前記第二部材の内周側に、前記円環部の他部が嵌る第二溝を有する。
【0023】
前記構成によれば、締め付け部材は、シール部材を第一フランジ又は第二フランジから取り外すための治具として機能することが可能となる。つまり、締め付け部材を外して第一フランジと第二フランジとを分離させると、シール部材は、第一フランジと第二フランジとのうちの一方に残された状態となる場合がある。そのシール部材の円環部に対して、締め付け部材が有する第一溝及び第二溝を嵌め、その締め付け部材を引っ張ることで、シール部材を取り外すことが可能となる。
【0024】
<本開示の発明の実施形態の詳細>
以下、図面を参照して、本開示の発明の実施形態の詳細を説明する。なお、以下に記載する実施形態の少なくとも一部を任意に組み合わせてもよい。
【0025】
〔流体継手構造の全体構成〕
図1は、流路継手構造の一例を示す斜視図である。
図2は、
図1に示す流体継手構造の分解斜視図である。流路継手構造10は、2つの流体デバイスを接続する。
図1及び
図2に示す流体デバイスは、チューブ7を接続するための継手である。流路継手構造10は、第一継手11と第二継手12とを接続する。
【0026】
流路継手構造10は、第一継手11と第二継手12とを接続すると共に、これら第一継手11と第二継手12との間をシール(密封)する。このため、流路継手構造10は、締め付け部材としてのクランプ13と、シール部材としてのガスケット14とを有する。クランプ13によって、第一継手11と第二継手12とは接続される。ガスケット14によって、第一継手11と第二継手12との間がシールされる。クランプ13及びガスケット14の具体的構成について、後に説明する。
【0027】
〔第一継手11及び第二継手12〕
第一継手11は、第一継手本体111と、第一ナット112とを有する。第一ナット112が、第一継手本体111の外周面に設けられている雄ねじ部111aに締め付けられる。これにより、
図1において左の第一チューブ7が、第一継手本体111に挿し入れられた状態で第一継手11に接続される。第一継手本体111は、その端部に第一フランジ113を有する(
図3参照)。
図3は、クランプ13による第一継手11と第二継手12との接続部を示す断面図である。
第一継手本体111は、その内部に第一流路孔114を有する。第一フランジ113は、その内部に流路孔113aを有する。その流路孔113aは第一流路孔114の一部である。
【0028】
図1及び
図2に示す第一継手11は、T字継手である。第一継手11は、第一継手本体111と交差する第一分岐部115と、第一分岐ナット116とを有する。第一分岐ナット116が、第一分岐部115の外周面に設けられている雄ねじ部115aに締め付けられる。これにより、
図1において左上の第一分岐チューブ8が、第一分岐部115に挿し入れられた状態で第一継手11に接続される。
【0029】
第二継手12は、第二継手本体121と、第二ナット122とを有する。第二ナット122が、第二継手本体121の外周面に設けられている雄ねじ部121aに締め付けられる。これにより、
図1において右の第二チューブ7が、第二継手本体121に挿し入れられた状態で第二継手12に接続される。第二継手本体121は、その端部に第二フランジ123を有する(
図3参照)。
第二継手本体121は、その内部に第二流路孔124を有する。第二フランジ123は、その内部に流路孔123aを有し、その流路孔123aは第二流路孔124の一部である。
【0030】
図1及び
図2に示す第二継手12は、T字継手である。第二継手12は、第二継手本体121と交差する第二分岐部125と、第二分岐ナット126とを有する。第二分岐ナット126が、第二分岐部125の外周面に設けられている雄ねじ部125aに締め付けられる。これにより、
図1において右上の第二分岐チューブ8が、第二分岐部125に挿し入れられた状態で第二継手12に接続される。
【0031】
第一継手11と第一チューブ7との接続作業は、ガスケット14が第一フランジ113と第二フランジ123との間に装着され、第一継手11と第二継手12とがクランプ13によって接続された状態で行われる場合がある。
第二継手12と第二チューブ7との接続作業、及び、第二分岐チューブ8それぞれの接続作業は、第一継手11と第一チューブ7との接続作業の前であってもよく、後であってもよい。
【0032】
ここで、本開示の流路継手構造10の方向について定義する。
第一流路孔114及び第二流路孔124それぞれは、直線状の孔である。
図3に示すように、第一継手11と第二継手12との接続状態で、第一流路孔114の中心軸線と第二流路孔124の中心軸線とは、共通する中心軸線Cに一致する。
その中心軸線Cに沿った方向が流路継手構造10の「軸方向」と定義される。この軸方向に、中心軸線Cに平行な方向も含まれる。中心軸線Cに直交する方向が流路継手構造10の「径方向」と定義される。中心軸線Cを中心とする円に沿った方向が流路継手構造10の「周方向」と定義される。
第一継手11と第二継手12とは、軸方向に並んで同軸状となって位置する(
図1参照)。
【0033】
第一フランジ113は(
図3参照)、第一継手本体111の軸方向の端部から径方向外側に延びて設けられている円環状の部分である。第一フランジ113のうち、第二フランジ123側の端面は、中心軸線Cに直交する面に沿って設けられている合わせ面113bである。合わせ面113bは、フランジ合わせ面とも呼ばれる。
【0034】
第一フランジ113は、一次シール溝171と、二次シール溝172とを有する。一次シール溝171は、第一流路孔114の軸方向の端部に位置し、第二フランジ123側に向かうに従って拡径する傾斜形状を有する。二次シール溝172は、第一フランジ113の合わせ面113bから、軸方向に凹んでいる環状の溝である。
【0035】
第二フランジ123は、第二継手本体121の軸方向の端部から径方向外側に延びて設けられている円環状の部分である。第二フランジ123のうち、第一フランジ113側の端面は、中心軸線Cに直交する面に沿って設けられている合わせ面123bである。合わせ面123bは、フランジ合わせ面とも呼ばれる。
【0036】
第二フランジ123は、一次シール溝171と、二次シール溝172とを有する。一次シール溝171は、第二流路孔124の軸方向の端部に位置し、第一フランジ113側に向かうに従って拡径する傾斜形状を有する。二次シール溝172は、第二フランジ123の合わせ面123bから、軸方向に凹んでいる環状の溝である。
本実施形態の場合、第一フランジ113と第二フランジ123とは同じ形状を有する。
【0037】
〔ガスケット14〕
ガスケット14は、筒形状である筒状部15と、円環形状である円環部17とを有する。筒状部15は、その内周に、第一流路孔114と第二流路孔124とを繋げる円筒状の連通孔16を有する。円環部17は、筒状部15から径方向外側に延びる部分である。円環部17は、第一フランジ113の合わせ面113bと第二フランジ123の合わせ面123bとの間に介在する。
【0038】
筒状部15は、軸方向の両側それぞれに一次シール部18を有する。一次シール部18は、筒状部15の軸方向の端に向かって突出し、全体として円環形状を有する。一次シール部18は、
図3に示すように中心軸線Cを含む断面において、軸方向の端に向かって先細る形状を有する。一次シール部18の外周面181は、一次シール溝171の形状に合わせた形状であり、軸方向の端に向かって徐々に縮径する傾斜形状を有する。
【0039】
図3に示すガスケット14は、二次シール部19を有する。二次シール部19は、筒状部15の一部15aから軸方向両側それぞれに延びる筒状の部分である。
一次シール部18を一次シール溝171に圧入すると共に、二次シール部19を二次シール溝172に圧入することで、ガスケット14は第一フランジ113及び第二フランジ123それぞれに取り付けられる。軸方向両側の一次シール部18は、軸方向両側の一次シール溝171に密着する。一方の二次シール部19が、一方の二次シール溝172に嵌まり、他方の二次シール部19が、他方の二次シール溝172に嵌まる。
【0040】
以上のように、ガスケット14は、筒状のシール部材であり、第一フランジ113における第一流路孔114と第二フランジ123における第二流路孔124とに跨って取り付けられる。ガスケット14は、第一フランジ113及び第二フランジ123に圧入により取り付けられ、第一フランジ113と第二フランジ123との間をシールする。
【0041】
〔クランプ13〕
クランプ13は、第一フランジ113と第二フランジ123とを外周側から覆うと共に軸方向について挟み、第一継手11と第二継手12とを連結する。クランプ13は、後述の係合状態で、筒状となる本体部131と、環状となる突部132とを有する。突部132は、本体部131の軸方向の両側から径方向の内側に突出する。本体部131は、第一フランジ113及び第二フランジ123を径方向外側から覆う。一対の突部132は、第一フランジ113及び第二フランジ123を軸方向に挟んで締め付ける。クランプ13により、第一フランジ113と第二フランジ123とは、径方向及び軸方向に分離不能となる。
【0042】
本実施形態のクランプ13は(
図2参照)、半円の第一部材21と、半円の第二部材22とを有する。第一部材21と第二部材22とは、分離結合可能である。第一部材21と第二部材22とは、ヒンジ23により連結されていて、第一部材21の端部211と第二部材22の端部221とは分離可能である。第一部材21の端部211は、第一係合部212を有し、第二部材22の端部221は、第一係合部212と係合する第二係合部222を有する。第一係合部212と第二係合部222とが係合する状態(以下「係合状態」という。
図1参照)で、第一部材21の端部211と第二部材22の端部221とは分離不能となり、クランプ13は筒形状を成す。
【0043】
第一係合部212と第二係合部222との係合が解除された状態(以下「解除状態」という。
図2参照)で、第一部材21の端部211と第二部材22の端部221とは分離可能となる。解除状態で、クランプ13は、ガスケット14が介在する第一フランジ113と第二フランジ123とに装着される。クランプ13が前記係合状態になることで、第一フランジ113と第二フランジ123とは連結され(
図1参照)、径方向及び軸方向に分離不能となる。この状態を、以下「連結状態」という。
【0044】
このように、クランプ13は、筒状となることが可能であり、第一継手11が有する第一フランジ113と第二継手12が有する第二フランジ123とを連結する。本実施形態のクランプ13は、第一フランジ113と第二フランジ123とを、軸方向に挟んで締め付けた状態とする締め付け部材である。
【0045】
〔回り止め部30〕
流路継手構造10は、前記連結状態で、第一フランジ113と第二フランジ123との相対回転を阻止する回り止め部30を有する(
図4参照)。
図4は、第二継手12と連結状態にある第一継手11、クランプ13、及び、ガスケット14の斜視図である。
図4は、クランプ13を断面として示し、第一継手11側を示す。
【0046】
図2に示すように、第一フランジ113は、外側凹凸部41を有し、第二フランジ123は、外側凹凸部41を有する。
図2に示す形態(第一形態)の場合、第一フランジ113の外側凹凸部41は、その外周面113cに設けられている凹溝411により構成される。凹溝411の溝長手方向は、軸方向であり、凹溝411は、第一フランジ113の外周部を軸方向に貫通している。
第二フランジ123の外側凹凸部41は、その外周面123cに設けられている凹溝411により構成される。凹溝411の溝長手方向は、軸方向であり、凹溝411は、第二フランジ123の外周部を軸方向に貫通している。
【0047】
第一フランジ113及び第二フランジ123それぞれにおいて、凹溝411は、周方向に沿って複数設けられている。本実施形態の場合、複数(4つ)の凹溝411が等間隔となって設けられている。
【0048】
クランプ13は、前記回り止め部30として、凹溝411(外側凹凸部41)に嵌合する内側凹凸部42を有する。
図2及び
図4に示す形態の場合、内側凹凸部42は、クランプ13の内周面13cに設けられている凸条421により構成される。凸条421は(
図2参照)、筒状となる本体部131の内周面13cに設けられていて、2つの突部132の間に位置する。凸条421は、周方向に沿って複数設けられている。本実施形態の場合、凸条421と凹溝411とは同数である。複数(4つ)の凸条421は、周方向に等間隔となって設けられている。
【0049】
凸条421の数と凹溝411の数とは同じであってもよいが、凹溝411の数が、凸条421の数よりも多くてもよい。例えば、凸条421は1つであり、凹溝411が複数(4つ)であってもよい。この構成の場合、又は、凸条421と凹溝411とが同数であって同じ配置である場合、第一継手11と第二継手12との周方向の位置が、例えば90度について変更されても、凸条421は凹溝411に嵌ることができる。
【0050】
前記構成を有する回り止め部30により、前記連結状態で、凸条421は、第一フランジ113の凹溝411と第二フランジ123の凹溝411とに跨って位置して嵌合した状態となる。なお、凸条421と凹溝411との間に隙間が設けられていてよい。
周方向について回転不能な状態にある第二フランジ123に対して、第一フランジ113に周方向の回転力が付与されると、その回転力は、凸条421を有するクランプ13を通じて第二フランジ123に伝わる。このため、第一フランジ113と第二フランジ123との相対回転は阻止される。よって、第一フランジ113と第二フランジ123との間のガスケット14に滑りが生じない。
【0051】
本実施形態の凸条421は、直方体形状を有し、凹溝411は、断面矩形状を有する。凸条421は、その周方向両側に接触面31を有する。接触面31は、第一フランジ113の一部である凹溝411の溝側面32、及び、第二フランジ123の一部である凹溝411の溝側面32それぞれに対して、周方向から接触する。このような接触面31を有する凸条421により、第一フランジ113に回転力が付与されても、その第一フランジ113は、第二フランジ123に対して回転しない構成が得られる。
また、これとは反対に、第二フランジ123に回転力が付与された場合、接触面31を有する凸条421により、第二フランジ123は、第一フランジ113に対して回転しない。
つまり、凸条421によれば、第一継手11と第二継手12とは相対回転不能となる。
【0052】
図4に示すように、前記連結状態で、クランプ13が有する凸条421(内側凹凸部42)は、ガスケット14よりも径方向の外側に位置する。このため、凸条421は、ガスケット14と非接触である。
前記のとおり、第一フランジ113に回転力が付与されると、その回転力は、クランプ13を通じて第二フランジ123に伝わるが、凸条421はガスケット14と非接触であるため、前記回転力は、ガスケット14に伝わり難い。つまり、ガスケット14に負荷がかからない。
【0053】
図2に示すように、クランプ13は、第一フランジ113及び第二フランジ123の外周側から取り付け可能である。第一フランジ113及び第二フランジ123の外周側からクランプ13を取り付けると、凸条421と凹溝411とは嵌合することが可能である。
【0054】
なお、凸条421と凹溝411との配置は反対であってもよい。つまり、図示しないが、第一フランジ113及び第二フランジ123それぞれが、外側凹凸部41として、凸条を有し、クランプ13が、内側凹凸部42として、前記凸条が嵌る凹溝を有していてもよい。
【0055】
〔第二形態〕
図5及び
図6は、流路継手構造10の第二形態を説明する斜視図である。
図5は、ガスケット14が第一継手11から外された状態を示す。
図6は、ガスケット14は第一継手11に装着されているが、クランプ13は外された状態を示す。なお、
図5及び
図6では、回り止め部30の説明のために、第一継手11に接続される第二継手12が省略されている。
【0056】
図6に示すように、クランプ13は、半円の第一部材21と、半円の第二部材22とを有する。第一部材21と第二部材22とは、ヒンジ23により、分離結合可能である。クランプ13は、筒状となることが可能であり、第一継手11が有する第一フランジ113と第二継手12(図示省略)が有する第二フランジ123とを連結する。クランプ13は、第一フランジ113と第二フランジ123とを、軸方向に挟んで締め付けた状態とする締め付け部材である。この点、第二形態のクランプ13は、
図1から
図4に示す第一形態のクランプ13と同じである。
【0057】
第二形態のクランプ13は、凸条421を有していない点で、第一形態(
図2参照)のクランプ13と相違する。その他について、第二形態の構成と第一形態の構成とは同じである。第二形態のクランプ13は、凸条421を有していないことから、その内周面13cは、平滑な面となる。
【0058】
第二形態の第一フランジ113は、第一形態の第一フランジ113と比較して、外側凹凸部41の代わりに、端面凹凸部51を合わせ面113bに有し、この点で相違する。その他について、第二形態の構成と第一形態の構成とは同じである。
図5及び
図6に示す第二形態の場合、第一フランジ113の端面凹凸部51は、その合わせ面113bに設けられている凹溝511により構成される。凹溝511の溝長手方向は、径方向であり、凹溝511は、合わせ面113bを含む環状の端部113eを径方向に貫通している。
【0059】
第二形態において、第一フランジ113の構成と第二フランジ123の構成とは同じである。つまり、図示していないが、第二フランジ123は、その合わせ面123bに端面凹凸部51を有する。第一フランジ113と同様に、図示しないが、第二フランジ123の端面凹凸部51は、その合わせ面に設けられている凹溝により構成される。
第一フランジ113及び第二フランジ123それぞれにおいて、凹溝511は、周方向に沿って複数設けられている。本実施形態の場合、複数(4つ)の凹溝511が等間隔となって設けられている。
【0060】
第二形態におけるガスケット14は、第一形態(
図2参照)におけるガスケット14と比較して、円環部17が異なる。その他について、第二形態の構成と第一形態の構成とは同じである。
ガスケット14の具体的構成を、
図3を参考にして説明すると、第二形態のガスケット14は、第一フランジ113における第一流路孔114と第二フランジ123における第二流路孔124とに跨って取り付けられる筒状のシール部材である。
【0061】
第二形態の場合、ガスケット14は、回り止め部30として、凹溝511(端面凹凸部51)に嵌合する横凹凸部52を有する。
図5及び
図6に示す形態の場合、横凹凸部52は、ガスケット14が有する筒状部15の外周面15bから径方向外側に突出する突部(突片)521により構成される。
突部521は、周方向に沿って複数設けられている。本実施形態の場合、突部521と凹溝511とは同数である。複数(4つ)の突部521は、周方向に等間隔となって設けられている。
【0062】
図5に示す第二形態の場合、突部521により構成される横凹凸部52は、
図2に示す円環部17が周方向に間欠的となった構成に相当すると言える。
図5に示す第二形態の場合、複数の突部521は、周方向について離れて位置し、それぞれが独立している。しかし、図示しないが、複数の突部521は一部において繋がっていてもよい。ただし、この場合、凹溝511は、その突部521の形状に合わせた形状を有する。
【0063】
また、回り止め部30となるガスケット14の横凹凸部52の変形例として、
図7に示すように、円環部17が有する軸方向に臨む環状側面173に、軸方向に突出して突部521が設けられた構成であってもよい。この突部521は、凹溝511(
図5参照)に嵌る。突部521は、円環部17の環状側面173から軸方向に突出して設けられていて、その突部521により横凹凸部52が構成されていてもよい。
【0064】
図5から
図7に示す第二形態の場合、第一フランジ113は、その合わせ面113bに端面凹凸部51(凹溝511)を有し、第二フランジ123は、その合わせ面123bに端面凹凸部51(凹溝511)を有する。ガスケット14は、回り止め部30として、横凹凸部52(突部521)を有する。横凹凸部52(突部521)は、第一フランジ113及び第二フランジ123の双方の端面凹凸部51(凹溝511)に嵌合する。突部521と凹溝511との間に隙間が設けられていてよい。
【0065】
前記構成を有する回り止め部30により、前記連結状態において、周方向について回転不能な状態にある第二フランジ123に対して、第一フランジ113に回転力が付与されると、その回転力は、突部521を有するガスケット14を通じて第二フランジ123に伝わる。このため、第一フランジ113と第二フランジ123との相対回転は阻止される。よって、第一フランジ113と第二フランジ123との間のガスケット14に滑りが生じない。
【0066】
突部521は、その周方向両側に接触面31を有する。接触面31は、第一フランジ113の一部である凹溝511の溝側面512、及び、第二フランジ123の一部である凹溝511の溝側面512それぞれに対して、周方向から接触する。このような接触面31を有する突部521により、第一フランジ113に回転力が付与されても、その第一フランジ113は、第二フランジ123に対して回転しない構成が得られる。
また、これとは反対に、第二フランジ123に回転力が付与された場合、接触面31を有する突部521により、第二フランジ123は、第一フランジ113に対して回転しない。
つまり、突部521によれば、第一継手11と第二継手12とは相対回転不能となる。
【0067】
第二形態の場合、
図3に示す第一の形態と同様、第一フランジ113と第二フランジ123とは、合わせ面113b及び合わせ面123b同士で、全周にわたって非接触の状態にある。周方向で隣り合う2つの突部521の間においても(
図5及び
図6参照)、第一フランジ113と二フランジ123とは、非接触の状態にある。この構成により、第一フランジ113と第二フランジ123とが不要に干渉して、クランプ13による連結が不良となることを防ぐことが可能となる。
【0068】
なお、ガスケット14が円環部17を有し(
図7参照)、その円環部17に横凹凸部52として突部521が設けられる場合、その突部521と、第一フランジ113及び第二フランジ123側の凹溝511との配置は反対であってもよい。つまり、第一フランジ113及び第二フランジ123それぞれが、端面凹凸部51として、突部を有し、ガスケット14(
図7の形態の場合、円環部17)が、横凹凸部52として、前記突部が嵌る凹溝を有していてもよい。
【0069】
〔第三形態〕
図8及び
図9は、流路継手構造10の第三形態を説明する斜視図である。
図8は、分解斜視図であり、
図9は、ガスケット14は第一フランジ113及び第二フランジ123の間に装着されているが、クランプ13は外された状態を示す。
第三形態のクランプ13は、
図6に示す第二形態のクランプ13と同じである。
図8に示すクランプ13と
図6に示すクランプ13とで同じ構成については、同じ符号を付している。クランプ13の説明をここでは省略する。
【0070】
図8に示すように、第一フランジ113は、外周に第一凹部61を有し、第二フランジ123は、外周に第二凹部62を有する。第三形態の場合、第一凹部61は、第一フランジ113の外周面113cに設けられている凹溝により構成される。その凹溝の溝長手方向は、軸方向であり、その凹溝は、第一フランジ113の外周部を軸方向に貫通している。第二凹部62は、第二フランジ123の外周面123cに設けられている凹溝により構成される。その凹溝の溝長手方向は、軸方向であり、その凹溝は、第二フランジ123の外周部を軸方向に貫通している。
第一フランジ113及び第二フランジ123の構成は、
図2に示す第一形態の第一フランジ113及び第二フランジ123の構成と同じである。
【0071】
第三形態の場合、流路継手構造10は、回り止め部30として、第一凹部61及び第二凹部62の双方に嵌合する連結部材63を有する。流路継手構造10は、クランプ13及びガスケット14と別である連結部材63を有する。連結部材63は、柱型の部材であり、
図8に示す第三形態の場合、直方体形状を有する。連結部材63の数は、第一凹部61の数と同じであるが、第一凹部61よりも少なくてもよい。
【0072】
前記構成を有する回り止め部30により、前記連結状態で、連結部材63は、第一フランジ113の第一凹部61と第二フランジ123の第二凹部62とに跨って位置して嵌合した状態となる。なお、連結部材63と第一凹部61及び第二凹部62との間に隙間が設けられていてよい。連結部材63は、クランプ13により径方向及び軸方向両側から覆われ、脱落しない。
【0073】
周方向について回転不能な状態にある第二フランジ123に対して、第一フランジ113に周方向の回転力が付与されると、その回転力は、連結部材63を通じて、第二フランジ123に伝わる。このため、第一フランジ113と第二フランジ123との相対回転は阻止される。よって、第一フランジ113と第二フランジ123との間のガスケット14に滑りが生じない。
【0074】
連結部材63は、その周方向両側に接触面31を有する。接触面31は、第一フランジ113の一部である第一凹部61の溝側面32、及び、第二フランジ123の一部である第二凹部62の溝側面32それぞれに対して、周方向から接触する。このような接触面31を有する連結部材63により、第一フランジ113に回転力が付与されても、その第一フランジ113は、第二フランジ123に対して回転しない構成が得られる。
また、これとは反対に、第二フランジ123に回転力が付与された場合、接触面31を有する連結部材63により、第二フランジ123は、第一フランジ113に対して回転しない。
つまり、連結部材63によれば、第一継手11と第二継手12とは相対回転不能となる。
【0075】
前記連結状態で、連結部材63は、ガスケット14よりも径方向の外側に位置する。このため、連結部材63は、ガスケット14と非接触である。
前記のとおり、第一フランジ113に回転力が付与されると、その回転力は、連結部材63を通じて第二フランジ123に伝わるが、連結部材63はガスケット14と非接触であるため、前記回転力は、ガスケット14に伝わり難い。つまり、ガスケット14に負荷がかからない。
【0076】
〔ガスケット14の取り外し〕
前記各形態のクランプ13は、前記のとおり(
図2、
図6、
図8参照)、第一部材21と第二部材22とを有し、第一部材21と第二部材22とは分離結合可能である。クランプ13は、この構成により、ガスケット14を第一フランジ113又は第二フランジ123から取り外すための治具として機能する。
そのために、
図10に示すように、第一部材21は、その内周側に第一溝21rを有し、第二部材22は、その内周側に第二溝22rを有する。
図11に示すように、第一溝21rに、ガスケット14の円環部17の一部が嵌ることができ、第二溝22rに、その円環部17の他部が嵌ることができる。
【0077】
第一部材21及び第二部材22それぞれは、軸方向両側に半円弧状となる突部132を有する。第一部材21が有する一対の突部132それぞれに第一溝21rが設けられ、第二部材22が有する一対の突部132それぞれに第二溝22rが設けられる。ただし、
図11に示すように、ガスケット14の取り外しに用いられる溝は、2つの第一溝21rのうちの一方であり、2つの第二溝22rのうちの一方である。
【0078】
第一溝21r及び第二溝22rは、周方向に連続する溝でなくてもよい。第一部材21のうち、第二部材22との合わせ面部となる端部211に、第一溝21rが、部分的となって設けられている。第二部材22のうち、第一部材21との合わせ面部となる端部221に、第二溝22rが、部分的となって設けられている。
【0079】
クランプ13の前記治具として機能について説明する。流路継手構造10、第一継手11、又は第二継手12の例えばメンテナンスのため、これらを分解する場合がある。
その分解のため、前記連結状態(
図1参照)から、クランプ13を外して、第一フランジ113と第二フランジ123とを分離させる。すると、ガスケット14は、第一フランジ113と第二フランジ123とのうちの一方に残された状態となる場合がある。
図10は、ガスケット14が第二フランジ123に残された状態を示す。
【0080】
第一部材21と第二部材22とは、ヒンジ23により連結されていて、第一部材21の端部211と第二部材22の端部221との間隔は、変更自在である。取り外したクランプ13の第一溝21r及び第二溝22rを、ガスケット14の円環部17に対して嵌める(
図11参照)。第一部材21と第二部材22とが縮径する方向に、これらを押しながら、そのクランプ13を、軸方向の成分を有して引っ張ることで(
図12参照)、ガスケット14を、第二継手12(第二フランジ123)から取り外すことが可能となる。
【0081】
この際、クランプ13の側面のうち、ヒンジ23側に位置する一部24は、第二フランジ123の合わせ面123bに接触する。その接触する位置(一部24)が支点となって、クランプ13は、ガスケット14を第二フランジ123から容易に引き出すことが可能となる。
【0082】
なお、以上のとおり、クランプ13が、ガスケット14を第一フランジ113又は第二フランジ123から取り外すための治具として機能するための構成は、前記第一形態から前記第三形態について説明した回り止め部30を必須としなくてもよい。つまり、回り止め部30を有さない、参考して開示する発明(参考発明)に係る流路継手構造10は、次のとおりである。
【0083】
つまり、参考発明に係る流路継手構造10は、第一流体デバイスが有する第一フランジ113と第二流体デバイスが有する第二フランジ123とを連結する筒状の締め付け部材(クランプ13)と、第一フランジ113が有する第一流路孔114と第二フランジ123が有する第二流路孔124とに跨って取り付けられる筒状のシール部材(ガスケット14)と、を有し、
前記シール部材(ガスケット14)は、第一流路孔114と第二流路孔124とを繋げる連通孔16を有する筒状部15と、筒状部15から径方向外側に延びる円環部17とを有し、
前記締め付け部材(クランプ13)は、半円の第一部材21と、第一部材21と分離結合可能である半円の第二部材22と、を有し、
第一部材21は、第一部材21の内周側に、円環部17の一部が嵌る第一溝21rを有し、
第二部材22は、第二部材22の内周側に、円環部17の他部が嵌る第二溝22rを有する。
【0084】
〔他の形態の流路継手構造10〕
前記第一形態、前記第二形態、及び前記第三形態の場合、流路継手構造10による接続対象となる流体デバイスは、継手(第一継手11、第二継手12)である。接続対象となる流体デバイスは、継手以外であってもよく、ポンプ、バルブ、フィルタ、センサ、又は、流路ブロック等であってもよい。
図13は、継手以外である流体デバイスを接続対象とする流路継手構造10の説明図である。
図13に示す流体デバイスは、バルブであり、流路継手構造10は、第一バルブ81と第二バルブ82とを接続する。
【0085】
第一バルブ81は、
図3に示す形態と同じ第一フランジ113を有し、第二バルブは、
図3に示す形態と同じ第二フランジ123を有する。これら第一フランジ113と第二フランジ123とが、ガスケット14、クランプ13、及び回り止め部30を有する流路継手構造10によって連結される。回り止め部30は、第一フランジ113と第二フランジ123との相対回転を阻止する。この場合においても、ガスケット14、クランプ13、及び回り止め部30は、前記第一形態、前記第二形態、又は前記第三形態の構成を有する。
【0086】
〔各形態の流路継手構造10〕
以上のように、前記各形態の流路継手構造10は、クランプ13と、ガスケット14と、回り止め部30とを有する。
クランプ13は、第一流体デバイス(第一継手11又は第一バルブ81)が有する第一フランジ113と、第二流体デバイス(第二継手12又は第二バルブ82)が有する第二フランジ123とを連結する筒状の締め付け部材である。
ガスケット14は、第一フランジ113が有する第一流路孔114と第二フランジ123が有する第二流路孔124とに跨って取り付けられる筒状のシール部材である。
回り止め部30は、第一フランジ113と第二フランジ123との相対回転を阻止する。
【0087】
前記構成を有する流路継手構造10によれば、第一フランジ113に回転力が付与されても、その第一フランジ113は、回り止め部30により、第二フランジ123に対して回転しない。このため、ガスケット14は、第一フランジ113及び第二フランジ123のうちの一方又は双方との間で滑りが生じない。よって、ガスケット14は、滑りにより傷付かず、また、滑りによる摩耗粉の発生が防止される。
【0088】
〔その他〕
図2に示す形態の場合、第一フランジ113は、外側凹凸部41を、外周面113cに有し、第二フランジ123は、外側凹凸部41を、外周面123cに有する。図示しないが、外側凹凸部41は、外周面113cでなく、合わせ面113bと反対側の側面113fに設けられていてもよく、外周面123cでなく、合わせ面123bと反対側の側面123fに設けられていてもよい。この場合、クランプ13は、内側凹凸部42を、本体部131の内周面13cでなく、両側の突部132の側面それぞれに有する。
【0089】
前記各形態において、第一フランジ113と第二フランジ123とを連結する締め付け部材は、半円の第一部材21と、第一部材21と分離結合可能である半円の第二部材22とを有するクランプ13である場合について説明した。しかし、その締め付け部材は、その他の形態であってもよい。第一部材21と第二部材22とは、その一部でヒンジ23により繋がっていて、その他部で分離可能であるが、クランプ13は、図示した構成以外であってもよい。
【0090】
前記各形態において、第一フランジ113が有する第一流路孔114と第二フランジ123が有する第二流路孔124とに跨って取り付けられるシール部材は、筒状部15と円環部17とを有するガスケット14である場合について説明したが、そのシール部材は、その他の形態であってもよい。
【0091】
前記実施形態は、すべての点で例示であって制限的なものではない。本発明の権利範囲は、前記実施形態ではなく特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲に記載された構成と均等の範囲内でのすべての変更を含む。
【符号の説明】
【0092】
10 流路継手構造
11 第一継手
12 第二継手
13 クランプ(締め付け部材)
13c 内周面
14 ガスケット(シール部材)
15 筒状部
16 連通孔
17 円環部
21 第一部材
21r 第一溝
22 第二部材
22r 第二溝
30 回り止め部
31 接触面
41 外側凹凸部
42 内側凹凸部
51 端面凹凸部
52 横凹凸部
61 第一凹部
62 第二凹部
63 連結部材
113 第一フランジ
113b 合わせ面(フランジ合わせ面)
113c 外周面
114 第一流路孔
123 第二フランジ
123b 合わせ面(フランジ合わせ面)
123c 外周面
124 第二流路孔