(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2025006223
(43)【公開日】2025-01-17
(54)【発明の名称】給湯システムおよび洗浄システム
(51)【国際特許分類】
F24H 15/14 20220101AFI20250109BHJP
F24H 1/54 20220101ALI20250109BHJP
F24H 15/238 20220101ALI20250109BHJP
F24H 15/269 20220101ALI20250109BHJP
F24H 15/32 20220101ALI20250109BHJP
F24H 15/31 20220101ALI20250109BHJP
A47K 3/00 20060101ALI20250109BHJP
【FI】
F24H15/14
F24H1/54 305
F24H15/238
F24H15/269
F24H15/32
F24H15/31
A47K3/00 M
【審査請求】未請求
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023106887
(22)【出願日】2023-06-29
(71)【出願人】
【識別番号】000004709
【氏名又は名称】株式会社ノーリツ
(74)【代理人】
【識別番号】110001195
【氏名又は名称】弁理士法人深見特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】弘中 睦己
(72)【発明者】
【氏名】岩澤 直人
(72)【発明者】
【氏名】五島 大輔
(72)【発明者】
【氏名】赤堀 由記
(72)【発明者】
【氏名】樫原 康司
(72)【発明者】
【氏名】森 健人
(72)【発明者】
【氏名】稲毛 孝晃
(57)【要約】
【課題】機能水による洗浄機能を有するシステムにおいて、簡易な制御により所望のCT値を維持する。
【解決手段】機能水生成装置35は、作動時に前記湯水から機能水を生成して配管へ出力する。コントローラ12は、機能水生成装置35の作動および非作動と開閉弁13の開閉とを制御する。コントローラ12は、機能水を用いた配管洗浄が開始されると、機能水生成装置35が非作動の状態で開閉弁13を開放するプレ運転の後に、機能水生成装置35を作動状態として開閉弁12を開放する機能水洗浄を実行する。コントローラ12は、機能水洗浄の運転時間を、プレ運転時での流量センサ16による検出流量に応じて、検出流量が大きいほど運転時間が長くなるように、検出流量に応じて設定する。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
湯水を供給する給湯回路と、
作動時に前記湯水から機能水を生成して配管へ出力する機能水生成装置と、
前記給湯回路と、前記機能水生成装置に前記湯水を導入する経路との間に配置された開閉弁と、
前記機能水生成装置に導入される流量を検出する流量検出器と、
前記機能水生成装置の作動および非作動と前記開閉弁の開閉とを制御する制御回路とを備え、
前記制御回路は、
前記機能水を用いて前記配管を洗浄するための配管洗浄が開始されると、前記機能水生成装置が非作動の状態で前記湯水を前記機能水生成装置に通流するために前記開閉弁を開放するプレ運転の後に、前記機能水生成装置を作動状態にするとともに前記湯水を前記機能水生成装置に通流するために前記開閉弁を開放する機能水洗浄を実行するとともに、
前記機能水洗浄の運転時間を、前記プレ運転時での前記流量検出器による検出流量に応じて、前記検出流量が大きいほど前記運転時間が長くなるように設定する、給湯システム。
【請求項2】
前記制御回路は、前記機能水洗浄の後に、前記機能水生成装置を非作動状態として前記開閉弁を開放するパージ洗浄を実行するとともに、
前記パージ洗浄の運転時間を、前記プレ運転時の前記検出流量に応じて、前記検出流量が小さいほど当該運転時間が長くなるように設定する、請求項1記載の給湯システム。
【請求項3】
前記機能水洗浄の運転時間は、当該機能水洗浄での予め定められた基準流量および基準運転時間の比と、前記検出流量及び前記運転時間の比が同等となるように、前記検出流量に基づいて算出される、請求項1記載の給湯システム。
【請求項4】
前記パージ洗浄の運転時間は、前記検出流量及び前記運転時間の積が、当該パージ洗浄での予め定められた基準流量および基準パージ時間の積以上となるように、前記検出流量に基づいて算出される、請求項2記載の給湯システム。
【請求項5】
前記制御回路は、前記機能水による配管洗浄毎の前記流量検出器の検出流量を監視して、当該検出流量が、固定値としてまたは過去の検出流量から設定された診断閾値よりも低下すると、前記機能水生成装置を含む流量の異常を検知する、請求項1記載の給湯システム。
【請求項6】
前記給湯システムは、給湯先に浴槽を含み、
前記給湯システムは、
前記浴槽内の浴槽水を循環加熱するための循環路をさらに備え、
前記開閉弁は、前記循環路を含んで構成された注湯経路に介挿接続されて配置され、
前記給湯システムは、
前記注湯経路内に配置されて、前記湯水が前記機能水生成装置を通過せずに前記循環路を構成する配管へ出力される第1経路と、前記湯水が前記機能水生成装置を通過して前記配管へ出力される第2経路とを選択するための切替弁をさらに備え、
前記制御回路は、前記プレ運転および前記機能水洗浄の各々において前記第2経路を選択するように前記切替弁を制御する一方で、前記浴槽へ前記湯水を供給するときには前記第1経路を選択するように前記切替弁を制御する、請求項1~5のいずれか1項に記載の給湯システム。
【請求項7】
前記機能水生成装置は、前記作動時には前記湯水を電気分解することによって機能水を生成するように構成される、請求項1~5のいずれか1項に記載の給湯システム。
【請求項8】
作動時に湯水から機能水を生成して洗浄対象の機器へ出力する機能水生成装置と、
前記湯水の供給回路と、前記機能水生成装置に前記湯水を導入する経路との間に配置された開閉弁と、
前記機能水生成装置に導入される流量を検出する流量検出器と、
前記機能水生成装置の作動および非作動と前記開閉弁の開閉とを制御する制御回路とを備え、
前記制御回路は、
前記機能水を用いて前記機器を洗浄するための機器洗浄が開始されると、前記機能水生成装置が非作動の状態で前記湯水を前記機能水生成装置に通流するために前記開閉弁を開放するプレ運転の後に、前記機能水生成装置を作動状態とするとともに前記湯水を前記機能水生成装置に通流するために前記開閉弁を開放する機能水洗浄運転を実行するとともに、
前記機能水洗浄運転の運転時間を、前記プレ運転時での前記流量検出器による検出流量に応じて、前記検出流量が大きいほど前記運転時間が長くなるように、前記検出流量に応じて設定する、洗浄システム。
【請求項9】
前記機能水洗浄運転の運転時間は、当該機能水洗浄運転での予め定められた基準流量および基準運転時間の比と、前記検出流量及び前記運転時間の比が同等となるように、前記検出流量に基づいて算出される、請求項8記載の洗浄システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、給湯システムおよび洗浄システムに関する。
【背景技術】
【0002】
銀イオンを混入させた湯または水を用いて配管洗浄を行うふろ給湯システムが、特許第4951495号公報(特許文献1)に記載されている。特許文献1には、浴槽内の浴槽水がすべて排水された後に実行される配管洗浄時に、銀イオン発生装置を稼働することで一定量の水または湯に高濃度の銀イオンを混入させて、追焚用の循環配管へ供給し、浴槽内へ排出させる配管洗浄運転が記載される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
銀イオンまたはオゾン等の除菌効果を有する物質を含む機能水を洗浄対象と接触させる際の除菌効果の定量評価指標として、当該機能水の濃度(例えば、銀イオン濃度またはオゾン濃度等)と、接触時間との積で示されるCT値(Concentration Time Value)が知られている。CT値が不足すると所望の除菌効果が得られないことが懸念される一方で、CT値が想定よりも大きいと洗浄対象となる配管等の腐食リスクが増大することが懸念される。
【0005】
これに対して、特許文献1に記載されたふろ給湯システムでは、配管洗浄運転に生じる湯水の流量は、水道水の元圧、浴槽の配設条件(配置高さ等)によって異なることが想定される。一方で、一定条件下で機能水を生成する下で流量が異なると、流量が大きくなるにつれて機能水の濃度が低下する等によって、CT値が変化する虞がある。
【0006】
これにより、ふろ給湯システムの配設先の違いに依存して、想定した洗浄効果を得るためのCT値の維持が困難となる虞がある。これに対して、機能水の濃度を一定に保つように機能水の生成条件を逐次調整することでCT値を一定に維持しようとすると、濃度計の配置および調整の複雑化による高コスト化が懸念される。
【0007】
本発明は、このような課題を解決するためになされたものであって、本発明の目的は、機能水による洗浄機能を有するシステムにおいて、簡易な制御により所望のCT値を維持することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明のある局面では、給湯システムが提供される。湯水を供給する給湯回路と、機能水生成装置と、開閉弁と、流量検出器と、制御回路とを備える。機能水生成装置は、作動時に湯水から機能水を生成して配管へ出力する。開閉弁は、給湯回路と、機能水生成装置に湯水を導入する経路との間に配置される。流量検出器は、機能水生成装置に導入される流量を検出する。制御回路は、機能水生成装置の作動および非作動と開閉弁の開閉とを制御する。さらに、制御回路は、機能水を用いて配管を洗浄するための配管洗浄が開始されると、機能水生成装置が非作動の状態で湯水を機能水生成装置に通流するために開閉弁を開放するプレ運転の後に、機能水生成装置を作動状態にするとともに湯水を機能水生成装置に通流するために開閉弁を開放する機能水洗浄を実行するとともに、機能水洗浄の運転時間を、プレ運転時での流量検出器による検出流量に応じて、検出流量が大きいほど運転時間が長くなるように、検出流量に応じて設定する。
【0009】
本発明の他のある局面では、洗浄システムが提供される。洗浄システムは、機能水生成装置と、開閉弁と、流量検出器と、制御回路とを備える。機能水生成装置は、作動時に湯水から機能水を生成して洗浄対象の機器へ出力する。開閉弁は、湯水の供給回路と、機能水生成装置に湯水を導入する経路との間に配置される。流量検出器は、機能水生成装置に導入される流量を検出する。制御回路は、機能水生成装置の作動および非作動と開閉弁の開閉とを制御する。さらに、制御回路は、機能水を用いて機器を洗浄するための機器洗浄が開始されると、機能水生成装置が非作動の状態で湯水を機能水生成装置に通流するために開閉弁を開放するプレ運転の後に、機能水生成装置を作動状態とするとともに湯水を機能水生成装置に通流するために開閉弁を開放する機能水洗浄運転を実行するとともに、機能水洗浄運転の運転時間を、プレ運転時での流量検出器による検出流量に応じて、検出流量が大きいほど運転時間が長くなるように、検出流量に応じて設定する。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、機能水による洗浄機能を有するシステムにおいて、システムの配設状況によるCT値の変化を、プレ運転での検出流量を用いた簡易な制御によって抑制して、所望のCT値を維持することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図1】本実施の形態に係る給湯システムの構成例を説明する概略図である。
【
図2】
図1の給湯システム中の配管洗浄運転に係る構成を説明するブロック図である。
【
図3】本実施の形態に係る配管洗浄運転を説明するフローチャートである。
【
図4】本実施の形態に係る設備診断処理を説明するフローチャートである。
【
図5】本実施の形態に係る洗浄システムの構成例を説明する概略ブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下に、本発明の実施の形態について図面を参照して詳細に説明する。なお以下では、図中の同一または相当部分には同一符号を付して、その説明は原則的に繰返さないものとする。
【0013】
図1は、本実施の形態に係る給湯装置の構成例を説明する概略図である。
【0014】
図1を参照して、本実施の形態に係る給湯システム100は、図示しない給湯栓等に加えて、浴室200に設置された浴槽20を給湯先に含む。
【0015】
給湯システム100は、筐体1、バーナ2、ファン3、熱交換器4、入水配管5、給湯配管6、バイパス弁7、バイパス配管7a、循環路8、温度センサ9,18,19、循環ポンプ10、水位センサ11、コントローラ12、ふろ注湯弁13、電気配線14、流量センサ15,16、リモコン40,50、三方弁32、機能水生成装置35、および、定流量弁36を備える。
【0016】
筐体1は、筐体1の内部および外部が連通するように設けられ、燃焼ガスを排気するための排気口1aを有している。筐体1は、バーナ2、ファン3、熱交換器4、入水配管5、給湯配管6、バイパス弁7、バイパス配管7a、温度センサ9,18,19、流量センサ15,16、循環ポンプ10、水位センサ11、コントローラ12、ふろ注湯弁13、三方弁32、機能水生成装置35、および、定流量弁36を収容可能に構成されている。又、筐体1は、追焚運転用の循環路8の一部を収容する。
【0017】
バーナ2は、図示しない燃料供給系から燃料ガスの供給を受けて燃焼動作するように構成される。バーナ2は、燃焼ガスを熱交換器4に供給する。バーナ2は、給湯用のバーナ2aと、追焚用のバーナ2bとを有する。
【0018】
ファン3は、バーナ2に燃焼用の空気を供給する。ファン3は、バーナ2aに燃焼用の空気を供給するファン3aと、バーナ2bに燃焼用の空気を供給するファン3bとを有する。ファン3a,3bの各々は、羽根と、羽根を回転させるためのモータとを有する。モータに電流が印加されることにより羽根が回転して燃焼用の空気を供給するように構成されている。ファン3a,3bは、それぞれ、給湯システム100の高さ方向においてバーナ2a,2bの下方に配置されている。尚、ファン3について、
図1では、バーナ2aおよび2bのそれぞれに1個ずつファン3aおよび3bを備える構成を例示したが、複数のバーナ2a,2bに対して、1個のファンを共通に備える構成とすることも可能である。
【0019】
熱交換器4は、給湯用の熱交換器4aと、追焚用の熱交換器4bとを有する。熱交換器4a,4bは、それぞれ、給湯システム100の高さ方向においてバーナ2a,2bよりも上方に配置されている。熱交換器4a,4bは、排気口1aの近傍に配置されている。
【0020】
熱交換器4aは、バーナ2aによって供給された燃焼ガスの熱を回収する。熱交換器4bは、バーナ2bによって供給された燃焼ガスの熱を回収する。熱交換器4a,4bの各々は、バーナ2の燃焼ガスの顕熱(燃焼熱)により入水を熱交換によって加熱する、一次熱交換器と、バーナ2からの燃焼排ガスの潜熱によって通流された水を熱交換によって加熱する、二次熱交換器とを含んでいてもよい。
【0021】
入水配管5は、入水口5aにおいて、水道配管と接続される。給湯栓の開栓時、および/または、ふろ注湯弁13の開放時に、水道水の供給圧力によって、入水口5aから給湯システム100へ低温水が導入される。入水配管5に設けられた温度センサ18は、入水口5aから導入された入水温度Twを検出する。
【0022】
入水配管5は、バイパス弁7を介して、缶体配管5bと、バイパス配管7aとに分岐される。缶体配管5bは、熱交換器4aの一方端と接続される。バイパス弁7の開度によって、入水配管5の全体流量に対する、バイパス配管7aおよび缶体配管5bの流量比が制御される。
【0023】
熱交換器4aの他方端は、給湯配管6の一方端と接続される。入水配管5から缶体配管5bに供給された低温水は、熱交換器4aによって所定温度まで加熱されて、給湯配管6へ出力される。缶体配管5bには、流量センサ15が配置される。流量センサ15により、熱交換器4aの流量(缶体流量)を検出することができる。
【0024】
一方で、バイパス配管7aは、熱交換器4aをバイパスして給湯配管6と接続される。したがって、入水配管5からバイパス配管7aへ供給された低温水は、熱交換器4aで加熱されることなく、給湯配管6へ出力される。このように、給湯システム100では、熱交換器4aから出力された高温水と、バイパス配管7aを通過した低温水とを混合して、設定温度に従った適温の湯を、給湯配管6から出力することができる。
【0025】
給湯配管6の他方端は、給湯栓(図示せず)等と接続された出湯口6aと接続される。したがって、給湯栓の開放に応じて、設定温度に制御された適温の湯が、出湯口6aを経由して、給湯システム100から給湯栓へ供給される。
【0026】
給湯配管6は、浴槽20へ至る注湯配管13aと更に接続される。給湯配管6および注湯配管13aの間には、ふろ注湯弁13が接続される。ふろ注湯弁13は、例えば、開閉制御可能な電磁弁によって構成することができる。ふろ注湯弁13を開放することにより、給湯配管6から浴槽20へ湯水が出力される経路を形成することができる。これにより、給湯システム100は、給湯栓等に加えて、給湯先に浴槽20を含むことができる。
【0027】
本明細書では、給湯システム100から浴槽20への給湯については「注湯」と称して、出湯口6a(給湯栓等)への給湯と区別することとする。注湯配管13aには、流量センサ16が設けられる。流量センサ16により、給湯システム100から浴槽20への注湯流量を検出することができる。尚、本実施の形態では、給湯配管6での出湯温度に関わらず、ふろ注湯弁13の開放により、湯または水が、注湯配管13aを経由して浴槽20へ供給される動作を「注湯」と称する。また、ふろ注湯弁13の開放によって形成される、給湯配管6から浴槽20へ湯水が出力される経路を「注湯経路」と称する。
【0028】
即ち、給湯システム100のうちの、バーナ2a、ファン3a、熱交換器4a、入水配管5、缶体配管5b、給湯配管6、バイパス弁7、および、バイパス配管7aによって、「給湯回路」の一実施例を構成することができる。また、ふろ注湯弁13は、上記給湯回路および後述する機能水生成装置35の間に配置された「開閉弁」に相当する。
【0029】
循環路8は、浴槽20の湯水21(以下、浴槽水21とも称する)を給湯システム100内で循環するためのものであり、戻り配管8aおよび往き配管8bと、循環ポンプ10とを有する。戻り配管8aの一方端は、浴槽20内の循環アダプタ25と接続され、他端は、熱交換器4bの入力側と接続される。往き配管8bの一端は、熱交換器4bの出力側と接続され、他端は循環アダプタ25と接続される。
【0030】
循環ポンプ10の作動により、循環アダプタ25から吸入された浴槽水21が、戻り配管8a、熱交換器4b、および、往き配管8bを経由して、循環アダプタ25から吐出される経路(追焚循環経路)が形成される。追焚循環経路の形成時に、バーナ2bの燃焼動作をオンすると、戻り配管8aから導入された浴槽水21を熱交換器4bで加熱するとともに、加熱後の浴槽水21が往き配管8bによって浴槽20へ供給されることにより、浴槽水21の温度を上昇する追焚運転を行うことができる。
【0031】
戻り配管8aには、温度センサ9および水位センサ11が接続されている。温度センサ9により、浴槽水21の温度(浴槽水温度Tbt)を検出することができる。水位センサ11は、例えば、圧力センサによって構成されて、浴槽水21の水圧に基づいて、浴槽20内での浴槽水21の水位(以下、単に「浴槽水位」とも称する)を検知する。温度センサ9および水位センサ11は、循環ポンプ10の停止時においても、戻り配管8a内で浴槽水21が浸入する領域に配置される。
【0032】
戻り配管8aは、更に、接続点8cにおいて、注湯配管13aと接続される。例えば、接続点8cは、循環ポンプ10に設けることができる。この結果、給湯システム100から注湯すると、注湯配管13aから、接続点8c(循環ポンプ10)および戻り配管8aを経由して浴槽20へ至る経路と、注湯配管13aから、接続点8c(循環ポンプ10)、戻り配管8a、熱交換器4b、および、往き配管8bを経由して浴槽20へ至る経路とを含んで注湯経路を形成することができる。これにより、給湯システム100からの注湯によるふろ湯張り運転を行うことができる。
【0033】
この様に、給湯システム100において、給湯回路からの湯水は、循環路8を含む注湯経路を介して、浴槽20へ供給される。浴槽20には、排水栓26が設けられる。排水栓26は、ユーザの手動操作によって開閉される「手動排水栓」、および、コントローラ12からの操作指令に応じた自動的な開閉操作についても可能な「自動排水栓」のいずれで構成することも可能である。
【0034】
図1に例示した排水構造では、排水栓26からの排水は、浴室200内の床面に設けられた排水口210からの排水と排水トラップで合流して、排水管220から排出される。浴室200には、ミストシャワー250がさらに配置されてもよい。
【0035】
本実施の形態に係る給湯システム100では、注湯経路内、より具体的には、ふろ注湯弁13および接続点8cとの間に、機能水による配管洗浄運転のための機器である、三方弁32、機能水生成装置35、および、定流量弁36が配置される。後程詳細に説明する様に、給湯回路からの湯水は、三方弁32によって、機能水生成装置35を経由する経路と、機能水生成装置35を経由しない経路とを選択して、接続点8cに対して供給される。
【0036】
コントローラ12は、例えば、マイクロコンピュータを含んで構成することができる。コントローラ12は、バーナ2a,2b、ファン3a,3b、温度センサ9,18,19、循環ポンプ10、水位センサ11、ふろ注湯弁13、電気配線14、三方弁32、および、機能水生成装置35と電気的に接続されている。電気配線14は、図示しない電源に接続されることにより、コントローラ12に電力を供給するように構成されている。コントローラ12は「制御回路」の一実施例に対応する。
【0037】
コントローラ12には、流量センサ15,16、温度センサ9,18,19による検出値が入力される。流量センサ15,16は、例えば、羽根車式の流量計によって構成されて、単位時間当たりの流量(例えば、リットル/分)を検出することができる。温度センサ9,18,19は、例えば、サーミスタによって構成されて、水温([℃])を検出する。
【0038】
コントローラ12は、温度センサ18の検出値から入水温度Twを取得し、温度センサ19の検出値から出湯温度Thを取得し、温度センサ9の検出値から浴槽水温度を取得することができる。又、コントローラ12は、流量センサ16によって検出された流量(注湯流量)の積算によって、浴槽20への注湯水量(体積)を算出することができる。
【0039】
更に、コントローラ12は、リモコン40およびリモコン50と通信可能に接続されている。尚、これらの機器間の通信は、公知のいかなる規格に従ったものであってもよく、又、有線であっても無線であってもよい。
【0040】
リモコン40は、浴室200の壁面に設置されており、給湯システム100を操作するためのものである。リモコン40は、情報を表示するための表示部41と、ユーザ或いは施行者等の入力設定操作を受け付けるための操作部42と、音声出力可能なスピーカ43とを含む。表示部41は、代表的には、液晶パネルによって構成されており、浴槽設定水位および、給湯設定温度、ふろ設定温度等を表示可能に構成されている。操作部42は、代表的には、プッシュボタンやタッチボタンによって構成されており、少なくとも、浴槽水位および温度に関する設定操作を受け付け可能に構成されている。
【0041】
リモコン50は、浴室200の外部に設置されており、給湯システム100を操作するためのものである。リモコン50は、代表的には台所の壁面に設置されている。リモコン50は、情報を表示するための表示部51と、ユーザ等の入力設定操作を受け付けるための操作部52と、音声出力可能なスピーカ53とを含む。
【0042】
表示部51は、代表的には、液晶パネルによって構成されており、給湯設定温度、および、ふろ設定温度等を表示可能に構成されている。操作部52は、代表的には、プッシュボタンやタッチボタンによって構成されており、給湯システム100の運転に関する設定操作を受け付け可能に構成されている。
【0043】
コントローラ12は、リモコン40,50からのユーザ等の入力設定操作に基づき、給湯システム100が入力された指示内容に従って運転されるように、給湯システム100の動作を制御する。
【0044】
当該制御の一例として、コントローラ12は、リモコン40,50の操作により、ふろ自動運転が指示されると、ふろ湯張り運転を実行する。ふろ湯張り運転は、給湯システム100からの注湯により、浴槽20において、浴槽水位が設定水位に達し、かつ、温度センサ9によって検出される浴槽水温度がふろ設定温度に達すると終了される。
【0045】
給湯システム100では、ふろ湯張り運転の終了後、浴槽水21の温度および水位を維持する自動モードを設定することが可能である。当該自動モードの選択時には、温度センサ9によって検出された浴槽水温度が、ふろ設定温度に対応されて設定された基準温度(例えば、ふろ設定温度よりも2~3℃低く設定)よりも低下すると、保温制御のために追焚運転が自動的に起動される。更に、水位センサ11によって検出された浴槽水位が設定水位よりも低下すると、給湯システム100から浴槽20へ追加的に注湯する足し湯運転が自動的に起動される。
【0046】
本実施の形態に係る給湯システムでは、浴槽20の排水後において、給湯システム100からの注湯による配管洗浄運転によって、循環路8を含む配管内を洗浄することができる。ユーザは、リモコン40,50の操作によって、浴槽20の排水に連動した自動的な配管洗浄運転のオン/オフを選択することができる。
【0047】
さらに、本実施の形態による配管洗浄運転は、除菌効果を有する機能水を循環路8へ供給する「機能水洗浄モード」を有する。例えば、機能水としては、給湯回路から供給された湯水を電気分解することで得られる、オゾンを混入した湯水(以下、「オゾン水」と称する)を用いることができる。以下では、オゾン水を機能水として用いる配管洗浄運転の例を説明するが、同様に電気分解で得られる次亜塩素酸等を混入した湯水を「機能水」とすることも可能である。
【0048】
図2は、
図1の給湯システム100中の配管洗浄運転に係る構成を説明するブロック図である。
【0049】
図2に示される様に、三方弁32は、ふろ注湯弁13(給湯回路)と接続点8c(循環ポンプ10)との間に配置される。
【0050】
三方弁32は、コントローラ12からの指令に応じて、ふろ注湯弁13の開放時に給湯回路からの湯水が接続点8cに至る経路を、機能水生成装置35を通過しない第1経路P1と、機能水生成装置35を通過する第2経路P2の一方に選択するように動作する。同様に、ふろ注湯弁13は、コントローラ12からの指令に応じて、開閉制御される。
【0051】
機能水生成装置35の作動および停止(非作動)は、電源基板38およびサブ基板39を介して、コントローラ12からの指令に従って制御される。サブ基板39は、コントローラ12から機能水生成装置35の作動指令が生成される期間において、電気分解のための電流を供給するように電源基板38を制御する。
【0052】
これにより、機能水生成装置35は、作動時(通電オン時)には、電源基板38からの電力によって、第2経路P2を通過する湯水に通電する。これによって、湯水が電気分解されることで、機能水生成装置35は、除菌効果を有するオゾン水を生成することができる。
【0053】
一方で、サブ基板39は、コントローラ12から機能水生成装置35の作動指令が生成されていない期間では、電気分解のための通電電流の供給を停止するように電源基板38を制御する。したがって、機能水生成装置35の非作動時(通電オフ時)にはオゾン水(機能水)は生成されず、機能水生成装置35は、給湯回路から供給された湯水をそのまま出力する。
【0054】
機能水生成装置35には、上記通電電流を検出するための電流センサ37が配置される。電流センサ37による通電電流の検出値Iozは、電源基板38およびサブ基板39を経由して、コントローラ12に入力される。電流センサ37は、電源基板38上に配置されて、機能水生成装置35へ供給される電流を測定することで、通電電流を検出してもよい。
【0055】
なお、機能水生成装置35では、湯水の温度が高いとオゾンの生成効率が低下する。このため、コントローラ12は、機能水生成装置35の通電時には、非加熱の水が給湯回路から機能水生成装置35へ供給されるように、バーナ2aの燃焼を停止することが好ましい。
【0056】
定流量弁36は、機能水生成装置35の流量調整手段として、第2経路P2に配置される。当該調整手段として定流量弁36を配置すると、機能水生成装置35を通過する流量Q2は、定流量弁36のスペックに依存して制限される。例えば、定流量弁36のスペックは、機能水生成装置35のスペック(電気分解の能力等)に対応させて、流量Q2がオゾン水中のオゾン濃度を確保可能な範囲内となるように定めることができる。
【0057】
なお、定流量弁36に代えてサーボ弁等を配置することで、流量Q2を可変に調整することも可能である。また、定流量弁36等の流量調整手段の配置を省略することも可能である。
【0058】
機能水生成装置35を通過しない第1経路P1の流量Q1は、ふろ注湯弁13を開放した際の、入水配管5への入水圧と、入水配管5から浴槽20までの経路の圧損とに依存して決まる。したがって、給湯システム100の配設先(入水圧、および、浴槽20の配置高さ等)に依存して、流量Q1は異なる。また、第2経路P2の流量Q2についても、定流量弁36等を配置しても、流量Q1の変化の影響を排除して、CT値を一定化できるレベルに流量Q2を一定とすることは困難である。なお、流量Q1,Q2の各々の実際の値は、
図1の流量センサ16によって検出することができる(流量検出値Q)。
【0059】
コントローラ12は、配管洗浄運転に関連する機能として、ふろ注湯弁13の開閉指令、三方弁32の指令(第1経路P1および第2経路P2の選択)、および、機能水生成装置35の作動指令(通電オンオフ指令)を生成する。コントローラ12は、タイマー12tを内蔵しており、任意のタイミングからの経過時間を計測可能である。また、コントローラ12には、流量センサ16の検出値(流量検出値Q)、温度センサ18の検出値(入水温度Tw)、および、温度センサ19の検出値(出湯温度Th)、電流センサ37による検出値Ioz(通電電流)等が入力される。
【0060】
本実施の形態に係る配管洗浄運転は、以下に説明する機能水洗浄およびパージ洗浄の組合せによって実行することができる。
【0061】
機能水洗浄では、三方弁32によって第2経路P2が選択された状態で、機能水生成装置35の通電がオンされる。これにより、給湯回路から供給された湯水が電気分解されることにより、規定濃度のオゾン水が、機能水生成装置35から出力される。機能水洗浄では、電気分解によるオゾン濃度の確保を容易にするために、定流量弁36によって流量Q2を制限するとともに、給湯回路からは非加熱の水(入水温度Tw)が出力される。
【0062】
機能水洗浄の後にパージ洗浄を行う場合には、三方弁32によって第2経路P2が選択された状態で、機能水生成装置35の通電がオフされる。これにより、給湯回路から供給された湯水が、機能水洗浄時と同じ経路を通過して、循環路8へ供給されることになる。この結果、定流量弁36の通過により、機能水洗浄での機能水の流量と、パージ洗浄での湯水の流量とは、特別な制御を行うことなく、同等の一定流量となる。なお、パージ洗浄時において、給湯回路からは、非加熱の水(入水温度Tw)または加熱後の湯のいずれが供給されてもよい。
【0063】
機能水洗浄のみで機能水による配管洗浄運転を実行してもよいが、機能水洗浄の後に、パージ洗浄を実行することにより、循環路8の容積よりも小さい体積のオゾン水(機能水)を発生させた場合にも、パージ洗浄で供給される湯水によってオゾン水(機能水)を押し出す態様で、循環路8の全域にて配管内をオゾン水と接触させることが可能となる。
【0064】
上述のように、配管内の除菌効果は、オゾン水のオゾン濃度、および、オゾン水との接触時間の積であるCT値によって定量的に示される。一方で、配管等の各機器では、オゾン水と過剰に接触することで腐食等の耐久性上の問題が生じることが懸念される。このため、配管等の各機器でのオゾン水との過剰な接触による腐食リスクの上昇、および、機能水生成装置35の寿命の面からも、オゾン水(機能水)の生成量は、除菌効果に照らした必要最小限とすることが好ましい。
【0065】
この点について、機能水洗浄後にパージ洗浄を実行することで、オゾン水(機能水)の生成量を最小限に止めても循環路8の全域にて配管内をオゾン水と接触させることが可能となるので、効率的な配管洗浄運転を実現可能となることが理解される。
【0066】
また、本実施の形態に係る給湯システムは、配管洗浄運転における機能水(オゾン水)によるCT値の一定化のために、以下に説明する制御処理を実行する。
【0067】
図3は、本実施の形態に係る配管洗浄運転を説明するフローチャートである。例えば、
図3に示された制御処理は、コントローラ12によって繰り返し実行される。
【0068】
図3を参照して、コントローラ12は、ステップ(以下、単に「S」と表記する)110により、機能水を用いた自動的な配管洗浄運転のモードが有効化されている下で浴槽20の排水が検出されると(S110のYES判定時)、機能水による配管洗浄運転を開始する。
【0069】
例えば、S110の判定では、ふろ湯張り運転の終了後、水位センサ11によって、循環アダプタ25が露出するレベルまで浴槽水位が低下したことが検出されると、排水を検知することができる。或いは、排水栓26が自動排水栓で構成される場合には、排水栓26の開放指令後に所定時間が経過したことに応じて、排水を検知することも可能である。この様に、浴槽20の排水検知については、特に限定されることなく任意の手法を用いることができる。また、上述の様に、機能水を用いた自動的な配管洗浄運転のモードのオンオフは、ユーザによって選択することができる。
【0070】
コントローラ12は、機能水による配管洗浄運転が開始されると、S120により、所望のCT値を得るための基準条件として設定された、基準流量Qrおよび機能水洗浄の基準運転時間Trと、パージ洗浄の基準運転時間(基準パージ時間)Tpを取得する。
【0071】
基準パージ時間Tpは、循環路8の配管内でのオゾン水(機能水)の残留を防止するために、循環路8からオゾン水(機能水)を排出できるように、基準流量Qrと基準パージ時間Tpとの積が、循環路8の容積以上に設定されることが好ましい。
【0072】
コントローラ12は、S130において、ふろ注湯弁13を閉止した状態で、第2経路P2(
図2)を選択する様に三方弁32を制御する。そして、S140では、給湯システム100での実際の流量Q2を把握するためのプレ運転が実行される。
【0073】
S140のプレ運転では、機能水生成装置35の通電オフが維持された状態でふろ注湯弁13を開放することにより、機能水生成装置35を通流する第2経路P2の流量Qpが、流量センサ16によって測定される。
【0074】
コントローラ12は、S150では、S140で測定された流量Qpに基づき、下記の式(1)によって、配管洗浄運転の運転時間Tzを算出する。
【0075】
Tz=(Qp/Qr)・Tr …(1)
例えば、流量Qpが基準流量Qrの2倍のとき((Qp/Qr)=2)には、機能水生成装置35から出力される機能水の濃度は、想定の(1/2)倍になることが予測される。このため、運転時間Tzを基準運転時間Trの2倍とすることで、機能水の濃度および接触時間の積であるCT値を想定した値に維持することができる。即ち、基準流量Qrおよび基準運転時間Trの比(Qr/Tr)と、プレ運転での流量Qpおよび運転時間Tzの比(Qp/Tz)が同等となるように、運転時間Tzは、流量Qpに応じて可変に設定される。
【0076】
さらに、S150では、コントローラ12は、下記の式(2)によって、パージ洗浄の運転時間(パージ時間)Tyを算出することができる。
【0077】
Ty≧(Qr/Qp)・Tp …(2)
例えば、流量Qpが基準流量Qrの(1/2)倍のとき((Qr/Qp)=2)には、機能水を排出するために出力される湯水の量は、想定の(1/2)倍になることが予測される。このため、パージ時間Tyを基準パージ時間Tpの2倍とすることで、流量Qpおよびパージ時間Tyの積を、循環路8の容積以上に維持することが可能となる。即ち、パージ時間Tyは、流量Qpに反比例して設定することができる。言い換えると、基準流量Qrおよび基準パージ時間Tpの積(Qr・Tp)が、プレ運転での流量Qpおよびパージ時間Tyの積(Qp/Tr)以上となるように、パージ時間Tyは、流量Qpに応じて可変に設定される。
【0078】
あるいは、循環路8の容積Vが既知であり、定数として記憶されている場合には、Ty=V/Qp・km(km:マージン係数、km≧1.0)として設定することも可能である。この場合にも、パージ時間Tyは、流量Qpに反比例して設定されることになる。
【0079】
コントローラ12は、S160では、機能水生成装置35に通電する。これにより、機能水生成装置35から機能水(オゾン水)が循環路(接続点8c)へ供給されることで、機能水洗浄が実行される。
【0080】
コントローラ12は、S170では、S160での通電オン、即ち、機能水の生成開始からのS150で設定された運転時間Tzが経過したか否かを判定し、経過するまでの間(S170のNO判定時)、機能水生成装置35での通電が維持される。
【0081】
コントローラ12は、機能水の生成開始から運転時間Tz(S150)が経過すると(S170のYES判定時)、S180により、機能水生成装置35の通電をオフする。これにより、機能水(オゾン水)の供給が停止されて、機能水洗浄は終了される。機能水洗浄が終了される際には、ふろ注湯弁13は一旦閉止されてもよい。
【0082】
コントローラ12は、機能水洗浄の終了(S180)後、S190に処理を進めて、パージ洗浄を開始する。機能水洗浄が終了時にふろ注湯弁13が閉止される場合には、S190において、ふろ注湯弁13が開放される。
【0083】
コントローラ12は、S200では、S190でのパージ洗浄開始から、S150で設定されたパージ時間Tyが経過したか否かを判定し、経過するまでの間(S200のNO判定時)、ふろ注湯弁13の開放を維持する。
【0084】
パージ洗浄の開始からパージ時間Ty(S150)が経過すると(S200のYES判定時)、S210により、ふろ注湯弁13が閉止されて、パージ洗浄が終了される。これにより、S110のYES判定によって開始された、機能水による配管洗浄運転が終了されて、処理はS110に戻される。これにより、コントローラ12は、機能水による配管洗浄運転の次の開始を待機する状態となる。
【0085】
このように、本実施の形態に係る給湯システムでは、機能水を用いた配管洗浄運転の際にプレ運転を設けて、実際の流量Q2の測定値(流量Qp)を得るとともに、測定された流量値に基づいて、機能水洗浄の運転時間Tz、即ち、機能水生成装置35の通電時間を調整することで、簡易な制御(たとえば、基準運転時間Trに対する比例演算)によってCT値を一定に維持することができる。なお、流量Qpに応じた運転時間Tzの設定については、例示した式(1)による演算に限定されず、CT値を維持するために、流量Qpが大きくなると運転時間Tzを長くする態様で任意に設定することができる。
【0086】
また、機能水洗浄およびパージ洗浄の組合せによって、機能水による配管洗浄運転を行う場合には、プレ運転で測定された流量Qpに基づいて、パージ時間Tyをさらに調整することで、流量Q2が異なっても、簡易な制御(たとえば、基準パージ時間Tpに対する反比例演算)循環路8からオゾン水(機能水)を確実に排出することができる。なお、流量Qpに応じたパージ時間Tyの設定についても、例示した式(2)による演算に限定されず、機能水を確実に排出するために、流量Qpが小さくなると運転時間Tzを長くする態様で任意に設定することができる。
【0087】
なお、
図3に示された機能水による配管洗浄の前および/または後において、三方弁32によって第1経路P1が選択された状態でふろ注湯弁13を開放することで、機能水を用いない湯水による配管洗浄(プレ洗浄またはポスト洗浄)をさらに実行してもよい。例えば、バーナ2aの燃焼オンによって加熱された湯を給湯回路から供給することで(例えば、Th=48℃)、機能水を用いないプレ洗浄を行うことで、機能水による除菌前に、配管内の油脂(皮脂等)を除去することによって洗浄効果を高めることができる。
【0088】
本実施の形態では、機能水による配管洗浄を実行する毎に、第2経路P2の実際の流量値が測定される。したがって、当該測定値を用いて、機能水生成装置35を含む第2経路P2の詰まりを検知する設備診断を行うことが可能である。
【0089】
図4には、本実施の形態に係る設備診断処理を説明するフローチャートが示される。
図4に示された制御処理は、コントローラ12によって繰り返し実行することができる。
【0090】
図4を参照して、コントローラ12は、S310により、機能水による配管洗浄の実行毎に第2経路P2の流量Qxをメモリする。例えば、プレ運転モードで測定された流量Qpを、S310での流量Qxとして記憶することができる。
【0091】
コントローラ12は、S320では、詰まり診断のための閾値Qthを設定する。閾値Qthは、予め定められた固定値でもよく、過去の測定流量値(例えば、配設工事の際に得られた初期値)に基づいて、過去の測定流量値(初期値)のk倍(k<1.0)に設定されてもよい。
【0092】
コントローラ12は、S330により、流量Qx(S310)と閾値Qth(S320)とを比較する。Qx<Qthのとき(S330のYES判定時)には、S340により、機能水を生成するための第2経路P2に異常(詰まり)が生じていることが検知される。一方で、Qx≧Qthのとき(S330のNO判定時)には、S350により、今回の機能水による配管洗浄では、異常検知することなく、診断処理は終了される。
【0093】
これにより、経年変化等による、機能水を生成するための第2経路P2の異常(詰まり)についても、流量測定値を用いて診断することができる。
【0094】
以上説明した、機能水による配管洗浄運転は、機能水の供給先を、給湯システム100での循環路8の配管以外とした、洗浄システムに対しても適用することができる。
【0095】
図5は、本実施の形態に係る洗浄システムの構成例を説明する概略ブロック図である。
【0096】
図5に示されるように、本実施の形態に係る洗浄システム100Xは、
図2と同様の、コントローラ12、開閉弁13X、流量センサ16、三方弁32,機能水生成装置35、定流量弁36、電流センサ37、電源基板38、および、サブ基板39を備える。洗浄システム100Xに対しても、
図1および
図2でのリモコン40,50と同様に、リモコン30Xを用いて、ユーザからの運転指令およびモード設定等を入力することができる。
【0097】
開閉弁13Xは、
図2のふろ注湯弁13と同様にコントローラ12によって開閉制御される。開閉弁13Xの開放時には、図示しない供給回路からの湯水を、洗浄のための第1経路P1または第2経路P2へ導入する。当該供給回路は、もっとも単純には、上水道の水道管とすることができる。導入される湯水の検出温度(Tw)がコントローラ12に入力されてもよい。
【0098】
洗浄システム100Xの各要素の動作は、
図2~
図4で説明したのと同様であり、洗浄システム100Xは、機能水生成装置35によって生成された機能水の出力先が、洗浄対象300である点が、給湯システム100(
図2)とは異なる。洗浄対象300は、例えば、浴室のミストシャワー250(
図1)の配管、または、洗面所、キッチン、トイレ等の住宅設備を含む。あるいは、
図2の給湯システム100において、給湯回路から導入された湯水を用いて、機能水の出力先を上述の住宅設備とすることも可能である。
【0099】
洗浄システム100Xにおいても、開閉弁13Xおよび三方弁32を同様に制御して、プレ運転、機能水洗浄、および、パージ洗浄を
図3と同様に実行できる。あるいは、パージ洗浄は省略して、プレ運転および機能水洗浄のみを実行してもよく、
図3の制御処理の前後に第1経路P1を選択した洗浄(機能水を用いない)が実行されてもよい。また、
図4で説明した設備診断についても、洗浄システム100Xに同様に適用することができる。
【0100】
なお、給湯システム100では、機能水生成装置35を注湯経路の組み込むため、機能水生成装置35を通流する第2経路P2と、バイパスする第1経路P1とを切替えるための切替弁として三方弁32を配置した。しかしながら、
図3で説明したように、プレ運転、機能水洗浄、および、パージ洗浄のいずれにおいても第2経路P2が選択されるので、洗浄に特化した洗浄システム100Xでは、三方弁32の配置を省略して、開閉弁13Xの開放時には、機能水生成装置35を通流する経路(
図2での第2経路P2相当)のみが形成されてもよい。また、洗浄システム100Xにおいても、定流量弁36等の流量調整手段の配置は省略されてもよい。
【0101】
今回開示された実施の形態は全ての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は上記した説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内での全ての変更が含まれることが意図される。
【符号の説明】
【0102】
1 筐体、1a 排気口、2,2a,2b バーナ、3,3a,3b ファン、4,4a,4b 熱交換器、5 入水配管、5a 入水口、5b 缶体配管、6 給湯配管、6a 出湯口、7 バイパス弁、7a バイパス配管、8 循環路、8a 戻り配管、8b 往き配管、8c 接続点、9,18,19 温度センサ、10 循環ポンプ、11 水位センサ、12 コントローラ、12t タイマー、13 湯弁、13X 開閉弁、13a 湯配管、14 電気配線、15,16 流量センサ、20 浴槽、21 浴槽水、25 循環アダプタ、26 排水栓、32 三方弁、35 機能水生成装置、36 定流量弁、37 電流センサ、38 電源基板、39 サブ基板、40,50 リモコン、41,51 表示部、42,52 操作部、43,53 スピーカ、100 給湯システム、100X 洗浄システム、200 浴室、210 排水口、220 排水管、250 ミストシャワー、300 洗浄対象、P1 第1経路、P2 第2経路、Q1 流量(第1経路)、Q1 流量(第2経路)、Qp 流量(プレ運転)、Qr 基準流量、qx 流量(異常診断)、Qth 閾値(異常診断)、Tbt 浴槽水温度、Th 出湯温度、Tp 基準パージ時間、Tr 基準運転時間、Tw 入水温度、Ty パージ時間、Tz 運転時間(機能水洗浄)。