(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2025006229
(43)【公開日】2025-01-17
(54)【発明の名称】波形測定器、プログラム、及び、波形測定器の制御方法
(51)【国際特許分類】
G01D 9/00 20060101AFI20250109BHJP
G06F 16/14 20190101ALI20250109BHJP
【FI】
G01D9/00 A
G06F16/14 100
【審査請求】未請求
【請求項の数】11
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023106897
(22)【出願日】2023-06-29
(71)【出願人】
【識別番号】000006507
【氏名又は名称】横河電機株式会社
(71)【出願人】
【識別番号】596157780
【氏名又は名称】横河計測株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100147485
【弁理士】
【氏名又は名称】杉村 憲司
(74)【代理人】
【識別番号】230118913
【弁護士】
【氏名又は名称】杉村 光嗣
(74)【代理人】
【識別番号】100169823
【弁理士】
【氏名又は名称】吉澤 雄郎
(74)【代理人】
【識別番号】230128026
【弁護士】
【氏名又は名称】駒木 寛隆
(72)【発明者】
【氏名】黒川 智大
【テーマコード(参考)】
2F070
【Fターム(参考)】
2F070AA01
2F070BB02
2F070CC06
2F070CC11
2F070DD12
2F070FF12
2F070FF13
2F070GG07
2F070GG08
(57)【要約】
【課題】波形測定器において、簡易な操作で、測定データに所望のファイル名を付して保存可能にする。
【解決手段】電気信号として入力された測定値の波形を表示する波形測定器10は、前記測定値の取得に関する前記波形測定器10の設定を示す設定情報を取得し、前記設定情報に基づき文字列を生成し、前記設定情報に基づき生成した前記文字列をユーザが選択可能に表示部15に表示させ、前記ユーザにより選択された前記文字列を含むファイル名で、前記測定値を示す測定データを記憶部14に記憶させる、制御部11を備える。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
電気信号として入力された測定値の波形を表示する波形測定器であって、
前記測定値の取得に関する前記波形測定器の設定を示す設定情報を取得し、
前記設定情報に基づき文字列を生成し、
前記設定情報に基づき生成した前記文字列をユーザが選択可能に表示部に表示させ、
前記ユーザにより選択された前記文字列を含むファイル名で、前記測定値を示す測定データを記憶部に記憶させる、
制御部を備える、波形測定器。
【請求項2】
前記制御部は、
前記設定情報に基づき複数の前記文字列を生成し、
前記複数の文字列をユーザが選択可能に表示部に一覧表示させ、
前記複数の文字列の中から前記ユーザにより選択された前記文字列を含むファイル名で、前記測定データを前記記憶部に記憶させる、
請求項1に記載の波形測定器。
【請求項3】
前記制御部は、前記波形測定器の識別情報、ユーザ名、測定日時、測定条件、測定項目、前記測定値の波形のスケール、レコード長、及び、使用したチャンネルの少なくともいずれかに関する情報を前記設定情報として取得する、請求項1に記載の波形測定器。
【請求項4】
前記制御部は、
予め登録された単語を示す単語情報を更に取得し、
前記設定情報に基づき生成した前記文字列に加えて、前記単語情報により示される前記単語の文字列を選択可能に前記表示部に更に表示させる、
請求項1に記載の波形測定器。
【請求項5】
前記制御部は、
前記ユーザから文字列の入力を受け付け、
前記ユーザから入力を受け付けた前記文字列からなる単語を前記単語情報に追加する、
請求項4に記載の波形測定器。
【請求項6】
電気信号として入力された測定値の波形を表示する波形測定器に、
前記測定値の取得に関する前記波形測定器の設定を示す設定情報を取得する処理と、
前記設定情報に基づき文字列を生成する処理と、
前記設定情報に基づき生成した前記文字列をユーザが選択可能に表示部に表示させる処理と、
前記ユーザにより選択された前記文字列を含むファイル名で、前記測定値を示す測定データを記憶部に記憶させる処理と、
を実行させる、プログラム。
【請求項7】
前記波形測定器に、
前記設定情報に基づき複数の前記文字列を生成する処理と、
前記複数の文字列をユーザが選択可能に表示部に一覧表示させる処理と、
前記複数の文字列の中から前記ユーザにより選択された前記文字列を含むファイル名で、前記測定データを前記記憶部に記憶させる処理と、
を実行させる、請求項6に記載のプログラム。
【請求項8】
前記波形測定器に、
前記波形測定器の識別情報、ユーザ名、測定日時、測定条件、測定項目、前記測定値の波形のスケール、レコード長、及び、使用したチャンネルの少なくともいずれかに関する情報を前記設定情報として取得する処理を実行させる、請求項6に記載のプログラム。
【請求項9】
前記波形測定器に、
予め登録された単語を示す単語情報を更に取得する処理と、
前記設定情報に基づき生成した前記文字列に加えて、前記単語情報により示される前記単語の文字列を選択可能に前記表示部に更に表示させる処理と、
を実行させる、請求項6に記載のプログラム。
【請求項10】
前記波形測定器に、
前記ユーザから文字列の入力を受け付ける処理と、
前記ユーザから入力を受け付けた前記文字列からなる単語を前記単語情報に追加する処理と、
を実行させる、請求項9に記載のプログラム。
【請求項11】
電気信号として入力された測定値の波形を表示する、制御部を備える波形測定器の制御方法であって、
前記制御部が、
前記測定値の取得に関する前記波形測定器の設定を示す設定情報を取得する工程と、
前記設定情報に基づき文字列を生成する工程と、
前記設定情報に基づき生成した前記文字列をユーザが選択可能に表示部に表示させる工程と、
前記ユーザにより選択された前記文字列を含むファイル名で、前記測定値を示す測定データを記憶部に記憶させる工程と、
を含む、波形測定器の制御方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、波形測定器、プログラム、及び、波形測定器の制御方法に関する。
【背景技術】
【0002】
波形測定器は、物理量の測定値等を示す電気信号を取得し、その測定値の波形を表示する装置である。例えば、波形測定器は、オシロスコープ、スコープコーダ、及び、電力計である。波形測定器には、測定値の測定データをファイルとして保存することができるものが知られている。
【0003】
特許文献1には、画像処理装置において、画像情報にファイル名を付して保存することに関する技術が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、従来の波形測定器は、測定データに所望のファイル名を付して保存する操作の煩雑さという点で改善の余地があった。
【0006】
そこで、本開示は、波形測定器において、簡易な操作で、測定データに所望のファイル名を付して保存可能にすることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
幾つかの実施形態に係る波形測定器は、
(1)電気信号として入力された測定値の波形を表示する波形測定器であって、
前記測定値の取得に関する前記波形測定器の設定を示す設定情報を取得し、
前記設定情報に基づき文字列を生成し、
前記設定情報に基づき生成した前記文字列をユーザが選択可能に表示部に表示させ、
前記ユーザにより選択された前記文字列を含むファイル名で、前記測定値を示す測定データを記憶部に記憶させる、
制御部を備える。
【0008】
このように、波形測定器は、測定値の取得に関する波形測定器の設定を示す設定情報に基づき生成された文字列を選択可能に表示してファイル名の入力を受け付けるため、ユーザは、簡易な操作で、測定データに所望のファイル名を付して保存することができる。
【0009】
一実施形態において、
(2)(1)の波形測定器において、
前記制御部は、
前記設定情報に基づき複数の前記文字列を生成し、
前記複数の文字列をユーザが選択可能に表示部に一覧表示させ、
前記複数の文字列の中から前記ユーザにより選択された前記文字列を含むファイル名で、前記測定データを前記記憶部に記憶させてもよい。
【0010】
このように、波形測定器は、設定情報に基づき生成された複数の文字列をファイル名の候補として一覧表示するため、ユーザは、簡易な操作で、測定データに所望のファイル名を付して保存することができる。
【0011】
一実施形態において、
(3)(1)又は(2)の波形測定器において、
前記制御部は、前記波形測定器の識別情報、ユーザ名、測定日時、測定条件、測定項目、前記測定値の波形のスケール、レコード長、及び、使用したチャンネルの少なくともいずれかに関する情報を前記設定情報として取得してもよい。
【0012】
このように、波形測定器によれば、ユーザは、波形測定器の設定に関する様々な情報から所望の文字列を選択してファイル名を入力することが可能である。
【0013】
一実施形態において、
(4)(1)から(3)のいずれかの波形測定器において、
前記制御部は、
予め登録された単語を示す単語情報を更に取得し、
前記設定情報に基づき生成した前記文字列に加えて、前記単語情報により示される前記単語の文字列を選択可能に前記表示部に更に表示させてもよい。
【0014】
このように、波形測定器は、予め登録された単語の文字列を、ファイル名を構成する文字列の候補として表示するため、ユーザは、簡易な操作で、測定データに所望のファイル名を付して保存することができる。
【0015】
一実施形態において、
(5)(4)の波形測定器において、
前記制御部は、
前記ユーザから文字列の入力を受け付け、
前記ユーザから入力を受け付けた前記文字列からなる単語を前記単語情報に追加してもよい。
【0016】
したがって、ユーザは、所望の文字列を、ファイル名を構成する文字列の候補に追加することが可能である。
【0017】
幾つかの実施形態に係るプログラムは、
(6)電気信号として入力された測定値の波形を表示する波形測定器に、
前記測定値の取得に関する前記波形測定器の設定を示す設定情報を取得する処理と、
前記設定情報に基づき文字列を生成する処理と、
前記設定情報に基づき生成した前記文字列をユーザが選択可能に表示部に表示させる処理と、
前記ユーザにより選択された前記文字列を含むファイル名で、前記測定値を示す測定データを記憶部に記憶させる処理と、
を実行させる。
【0018】
このように、プログラムに基づき動作する波形測定器は、測定値の取得に関する波形測定器の設定を示す設定情報に基づき生成された文字列を選択可能に表示してファイル名の入力を受け付ける。したがって、ユーザは、簡易な操作で、測定データに所望のファイル名を付して保存することができる。
【0019】
一実施形態において、
(7)(6)のプログラムにおいて、
前記波形測定器に、
前記設定情報に基づき複数の前記文字列を生成する処理と、
前記複数の文字列をユーザが選択可能に表示部に一覧表示させる処理と、
前記複数の文字列の中から前記ユーザにより選択された前記文字列を含むファイル名で、前記測定データを前記記憶部に記憶させる処理と、
を実行させてもよい。
【0020】
このように、プログラムに基づき動作する波形測定器は、設定情報に基づき生成された複数の文字列をファイル名の候補として一覧表示するため、ユーザは、簡易な操作で、測定データに所望のファイル名を付して保存することができる。
【0021】
一実施形態において、
(8)(6)又は(7)のプログラムにおいて、
前記波形測定器に、
前記波形測定器の識別情報、ユーザ名、測定日時、測定条件、測定項目、前記測定値の波形のスケール、レコード長、及び、使用したチャンネルの少なくともいずれかに関する情報を前記設定情報として取得する処理を実行させてもよい。
【0022】
このように、プログラムに基づき動作する波形測定器によれば、ユーザは、波形測定器の設定に関する様々な情報から所望の文字列を選択してファイル名を入力することが可能である。
【0023】
一実施形態において、
(9)(6)から(8)のいずれかのプログラムにおいて、
前記波形測定器に、
予め登録された単語を示す単語情報を更に取得する処理と、
前記設定情報に基づき生成した前記文字列に加えて、前記単語情報により示される前記単語の文字列を選択可能に前記表示部に更に表示させる処理と、
を実行させてもよい。
【0024】
このように、プログラムに基づき動作する波形測定器は、予め登録された単語の文字列を、ファイル名を構成する文字列の候補として表示するため、ユーザは、簡易な操作で、測定データに所望のファイル名を付して保存することができる。
【0025】
一実施形態において、
(10)(9)のプログラムにおいて、
前記波形測定器に、
前記ユーザから文字列の入力を受け付ける処理と、
前記ユーザから入力を受け付けた前記文字列からなる単語を前記単語情報に追加する処理と、
を実行させてもよい。
【0026】
したがって、ユーザは、所望の文字列を、ファイル名を構成する文字列の候補に追加することが可能である。
【0027】
幾つかの実施形態に係る波形測定器の制御方法は、
(11)電気信号として入力された測定値の波形を表示する、制御部を備える波形測定器の制御方法であって、
前記制御部が、
前記測定値の取得に関する前記波形測定器の設定を示す設定情報を取得する工程と、
前記設定情報に基づき文字列を生成する工程と、
前記設定情報に基づき生成した前記文字列をユーザが選択可能に表示部に表示させる工程と、
前記ユーザにより選択された前記文字列を含むファイル名で、前記測定値を示す測定データを記憶部に記憶させる工程と、
を含む。
【0028】
このように、波形測定器は、測定値の取得に関する波形測定器の設定を示す設定情報に基づき生成された文字列を選択可能に表示してファイル名の入力を受け付ける。したがって、ユーザは、簡易な操作で、測定データに所望のファイル名を付して保存することができる。
【発明の効果】
【0029】
本開示の一実施形態によれば、波形測定器において、簡易な操作で、測定データに所望のファイル名を付して保存することが可能である。
【図面の簡単な説明】
【0030】
【
図1】比較例に係る波形測定器におけるファイル名の入力を説明する模式図である。
【
図2】一実施形態に係る波形測定器の構成例を示す図である。
【
図3】一実施形態に係る波形測定器の動作例を示すフローチャートである。
【
図4】設定情報及び単語情報から文字列を生成する処理を説明する図である。
【
図5】一実施形態に係る波形測定器におけるファイル名の入力画面の一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0031】
<比較例>
比較例に係る波形測定器は、測定値を示す電気信号の波形を取得した後に、測定データに対してデータにファイル名を付けて、測定データをファイルとして保存する。ファイル名などの文字列入力の際、ユーザは、自ら入力する文字列を考え、ソフトキーボード又は外付けのキーボード等から、波形測定器の入力画面に対して1文字ずつ直接入力する。
【0032】
図1は、比較例に係る波形測定器におけるファイル名の入力を説明する模式図である。
図1は、比較例に係る波形測定器に表示されるソフトキーボードの画面90を示している。画面90は、文字列の入力域91、キーボード領域92、「保存」のボタン94、及び、「キャンセル」のボタン95を備える。キーボード領域92は、文字が割り当てられたキー93を含む。ユーザは、キーボード領域92から所望の文字に対応するキー93を順に選択していく。これに応じて、比較例に係る波形測定器は、選択されたキー93に対応する文字を順に入力域91に表示していく。ユーザは、このようにして所望の文字列を入力した後、ボタン94を選択して、波形測定器に測定データを入力域91に表示されたファイル名で保存させる。ユーザは、測定データの保存を行わない場合、ボタン95を選択する。
【0033】
このように、比較例に係る波形測定器においては、ユーザは、ファイル名など、設定する文字列を自分で考え、直接1文字ずつ入力しなければならない。そのため、ユーザは、設定するファイル名を考えなければならなかったり、機器の設定からファイル名を決定する場合には、機器の設定を見返したりしなければならず、各操作に煩わしさがある。また、ユーザは、ファイル名を入力する際に1文字ずつしか入力できないため、文字列の入力に時間がかかる。さらに、人間が手入力するためにファイル名の誤設定なども発生する可能性がある。したがって、比較例に係る波形測定器は、測定データに所望のファイル名を付して保存する操作の煩雑さという点で改善の余地がある。
【0034】
<実施形態>
以下、本開示の一実施形態について、図面を参照して説明する。各図面中、同一の構成又は機能を有する部分には、同一の符号を付している。本実施形態の説明において、同一の部分については、重複する説明を適宜省略又は簡略化する場合がある。
【0035】
図2は、一実施形態に係る波形測定器10の構成例を示す図である。波形測定器10は、電気信号として入力された測定値の波形を表示する装置である。例えば、波形測定器10は、オシロスコープ、スコープコーダ、及び、電力計である。
図2に示すように、波形測定器10は、制御部11、信号入力部12、記憶部13、ファイル保存部14、表示部15、及び、タッチパネル16を備える。
【0036】
制御部11は、1つ以上のプロセッサを含む。一実施形態において「プロセッサ」は、汎用のプロセッサ、又は特定の処理に特化した専用のプロセッサであるが、これらに限定されない。制御部11は、波形測定器10を構成する各構成部と通信可能に接続され、波形測定器10全体の動作を制御する。
【0037】
信号入力部12は、物理量の測定値等を示す電気信号を入力する。信号入力部12は、物理量を測定するセンサから、予め定められたインターフェースを介して電気信号を入力してもよい。
【0038】
記憶部13は、測定値の取得に関する波形測定器10の設定を示す設定情報、及び、予め登録された単語を示す単語情報等を記憶する。ファイル保存部14は、測定値を示す測定データ等を記憶する。本実施形態において、記憶部13及びファイル保存部14は、記憶対象に応じて別のブロックにより示されるが、同一の装置により実現してもよい。記憶部13及びファイル保存部14は、例えば、HDD(Hard Disk Drive)、SSD(Solid State Drive)、ROM(Read-Only Memory)、及びRAM(Random Access Memory)等の任意の記憶モジュールを含む。記憶部13及びファイル保存部14は、例えば、主記憶装置、補助記憶装置、又はキャッシュメモリとして機能してもよい。記憶部13及びファイル保存部14は、波形測定器10に内蔵されているものに限定されず、外付けのデータベース又は外付け型の記憶モジュールであってもよい。
【0039】
表示部15は、ユーザに対して情報を画像として出力するディスプレイである。このようなディスプレイは、例えば、液晶パネルディスプレイ又は有機EL(Electro Luminescence)ディスプレイ等としてもよい。
【0040】
タッチパネル16は、ユーザから入力操作を受け付けて、ユーザの操作に基づく入力情報を取得する。タッチパネル16は、表示部15と一体的に設けられる。波形測定器10は、ユーザからの入力インターフェースとしてタッチパネル16を備えるが、これに代えて、又は、これとともに、物理キー、静電容量キー、ポインティングディバイス、及び、音声入力を受け付けるマイク等の少なくともいずれかを備えてもよい。
【0041】
波形測定器10の機能は、本実施形態に係るコンピュータプログラム(プログラム)を、制御部11に含まれるプロセッサで実行することにより実現されうる。すなわち、波形測定器10の機能は、ソフトウェアにより実現されうる。コンピュータプログラムは、波形測定器10の動作に含まれるステップの処理をコンピュータに実行させることで、各ステップの処理に対応する機能をコンピュータに実現させる。すなわち、コンピュータプログラムは、コンピュータを本実施形態に係る波形測定器10として機能させるためのプログラムである。コンピュータプログラムは、コンピュータで読み取り可能な記録媒体に記録してもよい。プログラムには、電子計算機による処理の用に供する情報であってプログラムに準ずるものが含まれる。例えば、コンピュータに対する直接の指令ではないがコンピュータの処理を規定する性質を有するデータは、「プログラムに準ずるもの」に該当する。
【0042】
上記のような構成において、波形測定器10は、測定データの保存に際してファイル名を決定するときに、その時点で波形測定器10の各設定を示す設定情報を取得する。このような波形測定器10の設定には、波形測定器10の識別情報、ユーザ名、測定日時、測定条件(例えば、サンプルレート)、測定項目、測定値の波形のスケール(例えば、V/div、T/div)、レコード長(メモリ長)、及び、使用したチャンネル(CH)が含まれ得る。波形測定器10は、このような設定情報に基づき文字列を生成し、ユーザが選択し得るファイル名の候補単語として選択可能に一覧表示する。ユーザは、表示された単語のリストの中からファイル名に使用したい文字列を選択することで、即座にファイル名を入力することができる。また、波形測定器10は、ユーザがファイル名などによく使う単語などを事前に登録可能とし、このように予め登録された単語の文字列もファイル名に使用する文字列の候補として選択可能に表示する。したがって、ユーザは、ファイル名を考えたり、1文字ずつ入力したりする必要がなく、スムースにファイル名などを設定することができる。その結果、ファイル保存の作業時間の短縮、簡略化が実現される。よって、波形測定器10によれば、簡易な操作で、測定データに所望のファイル名を付して保存することが可能である。
【0043】
波形測定器10の動作の詳細について、
図3を参照して説明する。
図3は、一実施形態に係る波形測定器10の動作例を示すフローチャートである。
図3を参照して説明する波形測定器10の動作は波形測定器10の制御方法の一つに相当してもよい。
図3の各ステップの動作は、波形測定器10の制御部11による制御に基づき実行されてもよい。
【0044】
ステップS1において、制御部11は、測定データを取得する。例えば、制御部11は、信号入力部12を介して、物理量等の測定値を示す電気信号を取得する。制御部11は、取得した電気信号の波形を表示部15に表示してもよい。
【0045】
ステップS2において、制御部11は、測定値の取得に関する波形測定器10の設定を示す設定情報を取得する。このような設定情報は、例えば、波形測定器10の識別情報、ユーザ名、測定日時、測定条件、測定項目、測定値の波形のスケール、レコード長、及び、使用したチャンネルの少なくともいずれかに関する情報であるが、これらに限られない。
【0046】
ステップS3において、制御部11は、ステップS2で取得した設定情報に基づき文字列を生成する。例えば、制御部11は、設定情報により示される、波形測定器10の識別情報、ユーザ名、測定日時、測定条件、測定項目、測定値の波形のスケール、レコード長、及び、使用したチャンネルの各々について、その内容を示す文字列を生成してもよい。
【0047】
ステップS4において、制御部11は、記憶部13に予め登録された単語を示す単語情報を取得する。例えば、制御部11は、ユーザが事前に波形測定器10に登録した単語、又は、波形測定器10のメーカーが製造時に登録した単語を示す単語情報を取得してもよい。
【0048】
波形測定器10の制御部11は、ステップS3で生成した文字列、及び、ステップS4で取得した単語情報により示される単語の文字列を、ユーザがファイル名を設定するための文字列の候補として一覧表示する。
図4は、設定情報及び単語情報から文字列を生成する処理を説明する図である。
【0049】
図4において、機器の設定51は、測定値の取得に関する波形測定器10の設定を示す設定情報を示す。
図4の例において、機器の設定51には、ユーザ名、設定パラメータ1、設定パラメータ2、日付、及び、日時が含まれる。ユーザ辞書52は、記憶部13に予め登録された単語を示す単語情報を示す。
図4の例において、ユーザ辞書52には、登録された単語1が含まれる。波形測定器10は、機器の設定51及びユーザ辞書52の文字列を統合して、名前候補53を生成する。波形測定器10は、名前候補53の文字列をユーザがファイル名を入力する際の選択肢として選択可能に一覧表示する。
【0050】
図3の説明に戻る。ステップS5において、制御部11は、ファイル名の入力画面を表示部15に表示する。
図5は、一実施形態に係る波形測定器10におけるファイル名の入力画面の一例を示す図である。
【0051】
図5は、波形測定器10に表示されるソフトキーボードの画面60を示している。画面60は、文字列の入力域61、キーボード領域62、「名前候補」のボタン64、「保存」のボタン67、及び、「キャンセル」のボタン68を含む。
【0052】
図5において、キーボード領域62は、文字が割り当てられたキー63を含む。
図1を参照して説明した比較例と同様に、ユーザは、キーボード領域62から所望の文字に対応するキー63を順に選択していく。これに応じて、波形測定器10は、選択されたキー63に対応する文字を順に入力域61に表示していく。波形測定器10は、これらに加えて「名前候補」のボタン64も表示する。ユーザがボタン64を選択すると、これに応じて、制御部11は、文字列の候補を一覧表示する表示域65を表示する。表示域65は、ステップS3で設定情報に基づき生成した文字列、及び、ステップS4で取得した単語情報により示される単語の文字列を、文字列候補66としてユーザが選択可能に表示する。ユーザは、表示域65に表示された文字列候補66から所望の文字列を選択して入力域61にファイル名を入力することができる。ユーザは、このようにして所望の文字列を入力した後、ボタン67を選択して、波形測定器10に測定データを入力域61に表示されたファイル名で保存させる。ユーザは、測定データの保存を行わない場合、ボタン68を選択する。
【0053】
図3の説明に戻る。ステップS6において、制御部11は、「名前候補」のボタン64がユーザにより選択されたか否かを判定する。制御部11は、「名前候補」のボタン64が選択された場合(ステップS6でYES)はステップS8へ進み、そうでない場合(ステップS6でNO)はステップS7へ進む。
【0054】
ステップS7において、制御部11は、キーボード領域62を介してユーザから文字の入力を受け付ける。制御部11は、キーボード領域62で選択されたキー63に対応する文字を入力域61に表示していく。なお、
図5の例において、キーボード領域62は、ひらがな、及び、小文字の英文字に対応付けられたキー63を含むが、キー63に対応付けられる文字の種類はこれらに限られない。キー63は、例えば、カタカナ、大文字の英文字、数字、及び、記号等の、ファイル名として使用可能な任意の文字列と対応付けられてもよい。
【0055】
ステップS8において、制御部11は、文字列候補66を一覧表示する表示域65を表示して、文字列の選択をユーザから受け付ける。表示域65に表示される文字列候補66には、ステップS3で設定情報に基づき生成した文字列、及び、ステップS4で取得した単語情報により示される単語の文字列が含まれてもよい。制御部11は、表示域65で文字列候補66がユーザにより選択されると、その選択された文字列候補66の文字列を入力域61に表示していく。
【0056】
ステップS9において、制御部11は、ファイル名の入力を終了するか否かを判定する。例えば、制御部11は、「保存」のボタン67が選択されると、ファイル名の入力を終了すると判定してもよい。制御部11は、「保存」のボタン67が選択された場合(ステップS9でYES)はステップS10へ進み、そうでない場合(ステップS9でNO)はステップS6に戻る。なお、制御部11は、「キャンセル」のボタン68が選択された場合、測定データのファイルを保存せずに、フローチャートの処理を終了してもよい。
【0057】
ステップS10において、制御部11は、「保存」のボタン67が選択されるまでの間に入力された文字列のファイル名を付して、ステップS1で取得した測定データのファイルをファイル保存部14に記憶する。そして、制御部11は、フローチャートの処理を終了する。
【0058】
以上のように、波形測定器10は、電気信号として入力された測定値の波形を表示する。波形測定器10は、測定値の取得に関する波形測定器10の設定を示す設定情報を取得し、設定情報に基づき文字列を生成し、生成した文字列をユーザが選択可能に表示部15に表示させる。波形測定器10は、選択された文字列を含むファイル名で、測定値を示す測定データを記憶部(ファイル保存部14)に記憶させる。
【0059】
比較例に係る波形測定器において、ユーザは、測定時の条件及び機器の設定などを自分で確認し、ファイル名を手作業で入力する。これに対して、波形測定器10は、波形測定器10の各設定情報からファイル名に使うであろう文字列の候補が表示する。そのため、ユーザは、自分で1文字ずつファイル名を入力する必要がない。
【0060】
また、波形測定器10は、設定情報に基づき複数の文字列を生成し、複数の文字列をユーザが選択可能に表示部15に一覧表示させ、複数の文字列の中からユーザにより選択された文字列を含むファイル名で、測定データをファイル保存部14に記憶させる。したがって、ファイル名として適切な文字列が候補一覧にある場合、ユーザは、候補一覧から選択するだけでファイル名の入力ができ、ファイル名の入力時間を短縮することができる。さらに、機器の設定をファイル名として入力する場合、波形測定器10が設定をリストとして一覧表示するため、ファイル名の誤入力を減らすことができる。
【0061】
また、波形測定器10は、波形測定器10の識別情報、ユーザ名、測定日時、測定条件、測定項目、測定値の波形のスケール、レコード長、及び、使用したチャンネルの少なくともいずれかに関する情報を設定情報として取得する。したがって、ユーザは、これらの情報を用いたファイル名を容易に設定することが可能である。
【0062】
また、波形測定器10は、予め登録された単語を示す単語情報を更に取得し、設定情報に基づき生成した文字列に加えて、単語情報により示される単語の文字列を選択可能に表示部15に更に表示させる。したがって、ユーザは、自身がよく使う単語を登録し、波形測定器10から呼び出してファイル名を入力することが可能である。
【0063】
また、波形測定器10は、ユーザから文字列の入力を受け付け、ユーザから入力を受け付けた文字列からなる単語を単語情報に追加してもよい。したがって、ユーザは、自身がよく使う単語を登録することが可能である。
【0064】
本実施形態に係る波形測定器10によれば、ユーザは、ファイル名の入力時に必要な情報の入力のし忘れを防ぐことができる。例えば、測定ファイル名に”振幅_周波数_作業者_日付”というフォーマットで書くこととしている場合を考える。波形測定器10は、各設定を文字列としてリストとして表示する。そのため、ユーザは、本来、入力しなければならない機器の設定を目視で確認でき、ファイル名への入力のし忘れが防止される。本実施形態に係る波形測定器10の効果は、制御部11がプログラムに基づき波形測定器10を制御することにより実現しても同様にもたらされることは明らかである。
【0065】
本開示は上述の実施形態に限定されるものではない。例えば、ブロック図に記載の複数のブロックは統合されてもよいし、又は1つのブロックは分割されてもよい。フローチャートに記載の複数のステップは、記述に従って時系列に実行する代わりに、各ステップを実行する装置の処理能力に応じて、又は必要に応じて、並列的に又は異なる順序で実行されてもよい。その他、本開示の趣旨を逸脱しない範囲での変更が可能である。
【符号の説明】
【0066】
10 波形測定器
11 制御部
12 信号入力部
13 記憶部
14 ファイル保存部
15 表示部
16 タッチパネル
51 機器の設定
52 ユーザ辞書
53 名前情報
60 画面
61 入力域
62 キーボード領域
63 キー
64 ボタン
65 表示域
66 文字列候補
67,68 ボタン
90 画面
91 入力域
92 キーボード領域
93 キー
94,95 ボタン