(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2025062418
(43)【公開日】2025-04-14
(54)【発明の名称】接触検出装置
(51)【国際特許分類】
B62D 1/06 20060101AFI20250407BHJP
H01H 36/00 20060101ALI20250407BHJP
【FI】
B62D1/06
H01H36/00 J
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023171479
(22)【出願日】2023-10-02
(71)【出願人】
【識別番号】000003551
【氏名又は名称】株式会社東海理化電機製作所
(74)【代理人】
【識別番号】110001519
【氏名又は名称】弁理士法人太陽国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】三宅 伸昭
(72)【発明者】
【氏名】大平 洋
(72)【発明者】
【氏名】近藤 康正
【テーマコード(参考)】
3D030
5G046
【Fターム(参考)】
3D030DB13
5G046AA11
5G046AB02
5G046AC24
5G046AD02
5G046AE05
(57)【要約】
【課題】検出電極を検出部に容易に接続する。
【解決手段】ステアリング10では、乗員がリム部を把持して、乗員とリム部の導電布20との間の静電容量が所定容量以上である際に、制御装置36が乗員のリム部に対する把持を検出する。ここで、端子部26が導電布20に裏側から導通されており、導電布20が端子部26を介して制御装置36に接続されている。このため、導電布20を制御装置36に容易に接続できる。
【選択図】
図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
乗員が接触して操作することで車両が操舵されるステアリングと、
前記ステアリングに設けられる検出電極と、
前記検出電極に裏側から導通される端子部と、
前記検出電極が前記端子部を介して接続され、前記ステアリングに接触する乗員と前記検出電極との間の静電容量に基づき前記ステアリングへの乗員の接触を検出する検出部と、
を備える接触検出装置。
【請求項2】
前記端子部が前記検出電極を挟む請求項1記載の接触検出装置。
【請求項3】
前記ステアリングの外周を構成する外周層と、
前記検出電極と前記外周層とを接着する接着層と、
前記検出電極の前記端子部配置位置に設けられ、前記接着層による前記検出電極と前記外周層との接着を制限する制限層と、
を備える請求項1記載の接触検出装置。
【請求項4】
前記ステアリングの外周を構成し、前記端子部が設けられない外周層を備える請求項1記載の接触検出装置。
【請求項5】
前記ステアリングの外周を構成し、複数の構成材が連結部において連結されて構成される外周層と、
前記ステアリングに設けられ、前記連結部に沿って前記検出電極が配置される状態で前記連結部及び前記検出電極が挿入される凹部と、
を備える請求項1記載の接触検出装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ステアリングへの乗員の接触を検出する接触検出装置に関する。
【背景技術】
【0002】
下記特許文献1に記載のステアリングホイールでは、リム部に接触する乗員とリム部の導電層との間の静電容量に基づき、検出基板においてリム部の乗員への接触が検出される。
【0003】
ここで、このステアリングホイールでは、導電層の端末部が検出基板に接続されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、上記事実を考慮し、検出電極を検出部に容易に接続できる接触検出装置を得ることが目的である。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の第1態様の接触検出装置は、乗員が接触して操作することで車両が操舵されるステアリングと、前記ステアリングに設けられる検出電極と、前記検出電極に裏側から導通される端子部と、前記検出電極が前記端子部を介して接続され、前記ステアリングに接触する乗員と前記検出電極との間の静電容量に基づき前記ステアリングへの乗員の接触を検出する検出部と、を備える。
【0007】
本発明の第2態様の接触検出装置は、本発明の第1態様の接触検出装置において、前記端子部が前記検出電極を挟む。
【0008】
本発明の第3態様の接触検出装置は、本発明の第1態様又は第2態様の接触検出装置において、前記ステアリングの外周を構成する外周層と、前記検出電極と前記外周層とを接着する接着層と、前記検出電極の前記端子部配置位置に設けられ、前記接着層による前記検出電極と前記外周層との接着を制限する制限層と、を備える。
【0009】
本発明の第4態様の接触検出装置は、本発明の第1態様~第3態様の何れか1つの接触検出装置において、前記ステアリングの外周を構成し、前記端子部が設けられない外周層を備える。
【0010】
本発明の第5態様の接触検出装置は、本発明の第1態様~第4態様の何れか1つの接触検出装置において、前記ステアリングの外周を構成し、複数の構成材が連結部において連結されて構成される外周層と、前記ステアリングに設けられ、前記連結部に沿って前記検出電極が配置される状態で前記連結部及び前記検出電極が挿入される凹部と、を備える。
【発明の効果】
【0011】
本発明の第1態様の接触検出装置では、乗員が、ステアリングに接触して、ステアリングを操作することで、車両が操舵される。また、ステアリングの検出電極が検出部に接続されており、検出部が、ステアリングに接触する乗員と検出電極との間の静電容量に基づき、ステアリングへの乗員の接触を検出する。
【0012】
ここで、端子部が検出電極に裏側から導通されており、検出電極が端子部を介して検出部に接続される。このため、検出電極を検出部に容易に接続できる。
【0013】
本発明の第2態様の接触検出装置では、端子部が検出電極を挟む。このため、端子部を検出電極に適切に導通できる。
【0014】
本発明の第3態様の接触検出装置では、ステアリングの外周を外周層が構成しており、検出電極と外周層とを接着層が接着する。
【0015】
ここで、検出電極の端子部配置位置の制限層が接着層による検出電極と外周層との接着を制限する。このため、検出電極の端子部配置位置における剛性を制限層によって高くできる。
【0016】
本発明の第4態様の接触検出装置では、ステアリングの外周を外周層が構成しており、外周層に端子部が設けられない。このため、外周層の組付けを端子部が阻害することを抑制できる。
【0017】
本発明の第5態様の接触検出装置では、ステアリングの外周を外周層が構成しており、複数の構成材が連結部において連結されて外周層が構成される。さらに、連結部に沿って検出電極が配置される状態で連結部及び検出電極がステアリングの凹部に挿入される。このため、連結部と検出電極との間に空気層が設けられることを抑制でき、外周層の連結部位置に接触する乗員と検出電極との間の静電容量の精度を高くできる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【
図1】本発明の第1実施形態に係るステアリングを示す前側から見た前面図である。
【
図2】(A)は、本発明の第1実施形態に係るステアリングのカバー体を示す裏側から見た展開図であり、(B)は、本発明の第1実施形態に係るステアリングの断面図(
図1の2B-2B線断面図)である。
【
図3】本発明の第1実施形態に係るステアリングのカバー体を示す断面図である。
【
図4】本発明の第1実施形態に係るステアリングの組付け状況を示す右斜め上方から見た斜視図である。
【
図5】本発明の第2実施形態に係るステアリングのカバー体を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
[第1実施形態]
図1には、本発明の接触検出装置が適用された第1実施形態に係るステアリング10が前側から見た前面図にて示されている。なお、図面では、ステアリング10の前方を矢印FRで示し、ステアリング10の上方を矢印UPで示し、ステアリング10の右方を矢印RHで示し、ステアリング10の周方向を矢印Cで示している。
【0020】
本実施形態に係るステアリング10(ステアリングホイール)は、車両の運転席の前側に対向されており、ステアリング10は、運転席に着座する乗員(運転者)の前側に配置される。ステアリング10の前方、上方及び右方は、それぞれ車両の後斜め上方、前斜め上方及び右方に向けられている。
【0021】
図1に示す如く、ステアリング10の中央部は、ボス部10Aにされており、ステアリング10の周部は、把持部としての前面視円環状かつ断面円状のリム部10Bにされている。ボス部10Aとリム部10Bとの間には、接続部としてのスポーク部10Cが3個設けられており、スポーク部10Cは、ボス部10Aから左方、右方及び下方に延出されて、リム部10Bと接続されている。
【0022】
ボス部10Aは、車両における支持部材としての円柱状のステアリングシャフト12の車両後側端(車両上側端)に固定されており、ステアリングシャフト12は、リム部10Bと同軸上に配置されている。ステアリング10は、ステアリングシャフト12に一体回転可能に支持されており、乗員がリム部10Bを把持してステアリング10を周方向に回転操作することで、ステアリングシャフト12が中心軸線周りに回転されて、車両が操舵される。
【0023】
リム部10Bの内部の外周は、リム基材14(
図4参照)が構成しており、リム基材14は、ポリウレタン製にされている。リム基材14の左斜め上方、左斜め下方、右斜め上方及び右斜め下方の部分における外周には、凹部としての断面矩形状のグルーブ14A(
図2(B)参照)が形成されており、グルーブ14Aは、リム基材14の外周外側に開放されると共に、リム部10Bの周方向(ステアリング10の周方向周りの方向)全体に配置されている。
【0024】
リム基材14の外周には、環状かつ帯状のカバー体16(
図2(A)、
図3及び
図4参照)が組付けられており、カバー体16は、リム基材14の外周を被覆している。
【0025】
カバー体16には、外周層としての環状かつ帯状の革18が設けられており、革18は、リム部10Bの外周を構成すると共に、絶縁体にされている。革18は、複数(本実施形態では4個)の構成材としての略矩形状のピース18Aによって構成されており、複数のピース18Aは、環状に連結されている。ピース18Aの端部とピース18Aの端部とは、革18の裏側に折曲げられると共に重合された状態で縫製により連結されており(
図2(B)参照)、ピース18Aとピース18Aとの連結部18Bは、一対のピース18Aの端部により構成されている。革18は、リム基材14にステアリング10の周方向及びリム部10Bの周方向において巻付けられた状態で、幅方向両端部(ステアリング10内周側の両端部)が縫製により結合されて、リム基材14に組付けられており、革18の連結部18Bは、リム基材14のグルーブ14Aに挿入されている。
【0026】
革18の裏側には、検出電極としての長尺矩形シート状の導電布20が複数(本実施形態では2個)設けられており、導電布20は、導電性を有する布(織物)にされている。導電布20は、革18の周方向に延在されており、導電布20は、ステアリング10の左側と右側とにおけるリム部10Bに配置されている。
【0027】
導電布20の表側には、接着層としての両面テープ22が接着されており、両面テープ22は、絶縁体にされている。両面テープ22の表側は、革18の裏側に接着されており、両面テープ22は、導電布20を革18に接着している。導電布20は、革18がリム基材14に組付けられる前に、両面テープ22によって革18に接着されており、革18の連結部18B位置では、導電布20が連結部18Bに沿って配置されている(
図2(B)参照)。導電布20は、革18と共にリム基材14に巻付けられて組付けられており、導電布20は、連結部18Bと共にリム基材14のグルーブ14Aに挿入されている。
【0028】
導電布20の長手方向一端部(ステアリング10の下側の端部)には、突出部20Aが設けられており、突出部20Aは、導電布20の幅方向一側(ステアリング10の後側)に突出されて、革18の幅方向一側に突出されている。突出部20Aの表側では、両面テープ22の表側における制限層としての離型紙22Aが残存されており、離型紙22Aは、突出部20Aの両面テープ22による革18への接着を制限すると共に、絶縁体にされている。突出部20Aには、円状の挿通孔24が貫通形成されており、挿通孔24は、両面テープ22及び離型紙22Aも貫通している。
【0029】
突出部20Aには、端子部26が設けられている。端子部26には、係合部材としての金属製のリベット28が設けられており、リベット28の脚部は、挿通孔24に挿通されると共に、リベット28の頭部は、離型紙22Aの表側に配置されている。突出部20Aの裏側には、端子としての金属製の丸型端子30が設けられており、丸型端子30の円環板状の先端部内には、リベット28の脚部が挿通されている。丸型端子30の突出部20Aとは反対側には、係止部材としての金属製で略円環板状のプッシュナット32が設けられており、プッシュナット32内には、リベット28の脚部が貫通されている。プッシュナット32は、リベット28の脚部に弾性係合されており、これにより、プッシュナット32の丸型端子30とは反対側への移動が係止されている。プッシュナット32とリベット28の頭部との間には、丸型端子30、突出部20A、両面テープ22及び離型紙22Aが挟持されており、丸型端子30は、突出部20Aに裏側から接触されて導通されている。
【0030】
丸型端子30の基端部には、ハーネス34が接続されており、ハーネス34は、検出部としての制御装置36(ECU)に接続されている。このため、導電布20が端子部26(丸型端子30)及びハーネス34を介して制御装置36に接続されている。また、導電布20の突出部20Aの部分(両面テープ22、離型紙22A、端子部26及びハーネス34を含む)は、保護テープ38によって被覆されて保護されている。
【0031】
次に、本実施形態の作用を説明する。
【0032】
以上の構成のステアリング10では、乗員がリム部10Bを把持して、乗員の手とリム部10Bにおけるカバー体16の導電布20との間の静電容量が所定容量以上である際に、制御装置36が乗員のリム部10Bに対する把持(接触)を検出する。
【0033】
ここで、端子部26の丸型端子30が導電布20の突出部20Aに裏側から導通されており、導電布20が端子部26及びハーネス34を介して制御装置36に接続されている。このため、導電布20を制御装置36に容易に接続できる。
【0034】
さらに、端子部26では、丸型端子30とリベット28の頭部との間に導電布20が挟まれている。このため、丸型端子30を導電布20に適切に導通できる。
【0035】
また、導電布20の突出部20A(端子部26配置位置)に離型紙22Aが残存されている。このため、導電布20の突出部20Aにおける剛性を離型紙22Aによって高くでき、突出部20Aへの端子部26(リベット28、丸型端子30及びプッシュナット32)の組付性を高くできる。
【0036】
さらに、カバー体16では、導電布20の裏側に他の導電布及び導電布間の絶縁体が設けられていない。このため、カバー体16を薄くできて、カバー体16の剛性を低くでき、カバー体16をリム部10Bのリム基材14に容易に巻付けて組付けることができる。
【0037】
また、カバー体16では、革18に端子部26が設けられていない。このため、革18のリム基材14への組付け(巻付け)を端子部26が阻害することを抑制できる。
【0038】
さらに、革18のピース18A間の連結部18Bに沿って導電布20が配置される状態で、連結部18B及び導電布20がリム基材14のグルーブ14Aに挿入されている。このため、連結部18Bと導電布20との間に空気層が設けられることを抑制でき、革18の連結部18B位置を把持する乗員と導電布20との間の静電容量の精度を高くできて、乗員のリム部10Bに対する把持の検出精度を高くできる。しかも、連結部18B及び導電布20をグルーブ14Aに適切に挿入でき、革18が連結部18B及び導電布20によって突出されて革18の外観が低下することを抑制できる。
【0039】
[第2実施形態]
図5には、本発明の接触検出装置が適用された第2実施形態に係るステアリング50のカバー体16が断面図にて示されている。
【0040】
本実施形態に係るステアリング50は、上記第1実施形態と、ほぼ同様の構成であるが、以下の点で異なる。
【0041】
図5に示す如く、本実施形態に係るステアリング50では、突出部20Aを除く導電布20の裏側に、加熱機構としての長尺矩形シート状のヒータ52が設けられており、ヒータ52は、革18の周方向に延在されると共に、電熱線(図示省略)が印刷により設けられている。
【0042】
ヒータ52の表側には、追加接着層としての両面テープ54が接着されており、両面テープ54は、絶縁体にされている。両面テープ54の表側は、導電布20の裏側に接着されており、両面テープ54は、ヒータ52を革18及び導電布20に接着している。ヒータ52は、革18及び導電布20がリム基材14に組付けられる前に、両面テープ54によって導電布20に接着されており、革18の連結部18B位置では、導電布20及びヒータ52が連結部18Bに沿って配置されている。ヒータ52は、革18及び導電布20と共にリム部10Bのリム基材14に巻付けられて組付けられており、ヒータ52は、連結部18B及び導電布20と共にリム基材14のグルーブ14Aに挿入されている。
【0043】
ヒータ52(電熱線)には、ハーネス56が接続されており、ハーネス56は、制御装置36に接続されている。このため、ヒータ52がハーネス56を介して制御装置36に接続されている。
【0044】
ここで、本実施形態でも、上記第1実施形態と同様の作用及び効果を奏することができる。
【0045】
さらに、制御装置36の制御によりヒータ52(電熱線)に電流が供給されて、ヒータ52(電熱線)が発熱する。このため、ヒータ52がリム部10Bを加熱できる。
【0046】
また、革18の連結部18Bに沿って導電布20及びヒータ52が配置されている。このため、連結部18B、導電布20及びヒータ52をリム基材14のグルーブ14Aに適切に挿入でき、革18が連結部18B、導電布20及びヒータ52によって突出されて革18の外観が低下することを抑制できる。
【0047】
なお、上記第1実施形態及び第2実施形態では、導電布20の突出部20Aに両面テープ22の離型紙22Aが残存される。しかしながら、導電布20の突出部20Aに両面テープ22の離型紙22Aが残存されなくてもよい。
【符号の説明】
【0048】
10・・・ステアリング、14A・・・グルーブ(凹部)、18・・・革(外周層)、18A・・・ピース(構成材)、18B・・・連結部、20・・・導電布(検出電極)、22・・・両面テープ(接着層)、22A・・・離型紙(制限層)、26・・・端子部、36・・・制御装置(検出部)、50・・・ステアリング