(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2025006244
(43)【公開日】2025-01-17
(54)【発明の名称】連携システムおよび連携制御方法
(51)【国際特許分類】
H04L 67/12 20220101AFI20250109BHJP
G06Q 50/10 20120101ALN20250109BHJP
【FI】
H04L67/12
G06Q50/10
【審査請求】有
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023106914
(22)【出願日】2023-06-29
(71)【出願人】
【識別番号】000236056
【氏名又は名称】三菱電機ビルソリューションズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001195
【氏名又は名称】弁理士法人深見特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】三輪 剛久
(72)【発明者】
【氏名】横田 守真
(72)【発明者】
【氏名】富田 智子
(72)【発明者】
【氏名】蓮田 悠真
【テーマコード(参考)】
5L049
【Fターム(参考)】
5L049AA21
(57)【要約】
【課題】連携を要求するコマンドで使用される機器表現が互いに異なる2つのシステム間の連携を容易に実現する。
【解決手段】第1システムは、複数の第1の機器を管理する少なくとも1つの第1コンピュータと、少なくとも1つの第1コンピュータと複数の第1の機器との関係性を定義した第1モデルとを含む。第2システムは、複数の第2の機器を管理する少なくとも1つの第2コンピュータと、少なくとも1つの第2コンピュータと複数の第2の機器との関係性を定義した第2モデルとを含む。少なくとも1つの第1コンピュータは、第2システムから第2モデルを取得し、取得した第2モデルと第1モデルとを統合することにより、第1モデルを更新する。少なくとも1つの第1コンピュータは、第2システムと連携するときには、更新された第1モデルにおける定義に従ってコマンドを記述し、コマンドを少なくとも1つの第2コンピュータに送信する。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1システムと、
前記第1システムと連携して管理対象を管理する第2システムとを備え、
前記管理対象は、複数の第1の機器と、複数の第2の機器とを含み、
前記第1システムは、
前記複数の第1の機器に通信接続され、前記複数の第1の機器を管理する少なくとも1つの第1コンピュータと、
前記少なくとも1つの第1コンピュータと前記複数の第1の機器との関係性を定義した第1モデルとを含み、
前記第2システムは、
前記複数の第2の機器に通信接続され、前記複数の第2の機器を管理する少なくとも1つの第2コンピュータと、
前記少なくとも1つの第2コンピュータと前記複数の第2の機器との関係性を定義した第2モデルとを含み、
前記少なくとも1つの第1コンピュータは、
前記第2システムから前記第2モデルを取得し、取得した前記第2モデルと前記第1モデルとを統合することにより、前記第1モデルを更新し、
前記第2システムと連携するときには、更新された前記第1モデルにおける定義に従ってコマンドを記述し、前記コマンドを前記少なくとも1つの第2コンピュータに送信する、連携システム。
【請求項2】
前記少なくとも1つの第2コンピュータは、
前記第1システムから前記第1モデルを取得し、取得した前記第2モデルと前記第1モデルとを統合することにより、前記第2モデルを更新し、
前記第1システムから前記コマンドを受信したときには、更新された前記第2モデルを参照して前記コマンドを解釈し、解釈された前記コマンドに従って前記複数の第2の機器を管理する、請求項1に記載の連携システム。
【請求項3】
前記少なくとも1つの第1コンピュータは、
前記第1モデルに存在しない要素を前記第2モデルから抽出し、
抽出された前記要素を前記第1モデルに結合することにより、前記第1モデルを更新する、請求項1に記載の連携システム。
【請求項4】
前記第1モデルは、前記少なくとも1つの第1コンピュータと前記複数の第1の機器との関係性を、オントロジーを用いて定義し、
前記第2モデルは、前記少なくとも1つの第2コンピュータと前記複数の第2の機器との関係性を、オントロジーを用いて定義する、請求項1に記載の連携システム。
【請求項5】
前記第1モデルは、前記少なくとも1つの第1コンピュータおよび前記複数の第1の機器のネットワーク上の構成を、オントロジーを用いて定義した第1ネットワーク情報を含み、
前記第2モデルは、前記少なくとも1つの第2コンピュータおよび前記複数の第2の機器のネットワーク上の構成を、オントロジーを用いて定義した第2ネットワーク情報を含み、
前記少なくとも1つの第1コンピュータは、
前記第2システムから取得した前記第2モデルにおける前記第2ネットワーク情報と、前記第1モデルにおける前記第1ネットワーク情報とを統合することにより、前記第1モデルを更新する、請求項4に記載の連携システム。
【請求項6】
前記少なくとも1つの第1コンピュータは、
前記第2システムと連携するときには、更新された前記第1モデルにおける前記第2ネットワーク情報に基づいて、前記コマンドを記述する、請求項5に記載の連携システム。
【請求項7】
前記第1システムおよび前記第2システムは、ビル内に設置される複数の機器を前記管理対象として連携するように構成され、
前記第1モデルおよび前記第2モデルには、BACnetにおけるオブジェクト定義、Brick Schemaにおけるオントロジー定義、またはBIMにおける図面定義が利用される、請求項1に記載の連携システム。
【請求項8】
第1システムと第2システムとを連携して管理対象を管理する連携制御方法であって、
前記管理対象は、複数の第1の機器と、複数の第2の機器とを含み、
前記第1システムは、
前記複数の第1の機器に通信接続され、前記複数の第1の機器を管理する少なくとも1つの第1コンピュータと、
前記少なくとも1つの第1コンピュータと前記複数の第1の機器との関係性を定義する第1モデルとを含み、
前記第2システムは、
前記複数の第2の機器に通信接続され、前記複数の第2の機器を管理する少なくとも1つの第2コンピュータと、
前記少なくとも1つの第2コンピュータと前記複数の第2の機器との関係性を定義する第2モデルとを含み、
前記連携制御方法は、
前記少なくとも1つの第1コンピュータが、前記第2システムから前記第2モデルを取得し、取得した前記第2モデルと前記第1モデルとを統合することにより、前記第1モデルを更新するステップと、
前記第1システムが前記第2システムと連携するときには、前記少なくとも1つの第1コンピュータが、更新された前記第1モデルにおける定義に従ってコマンドを記述し、前記コマンドを前記少なくとも1つの第2コンピュータに送信するステップとを備える、連携制御方法。
【請求項9】
前記少なくとも1つの第2コンピュータが、前記第1システムから前記第1モデルを取得し、取得した前記第2モデルと前記第1モデルとを統合することにより、前記第2モデルを更新するステップと、
前記第1システムから前記コマンドを受信したときには、前記少なくとも1つの第2コンピュータが、更新された前記第2モデルを参照して前記コマンドを解釈し、解釈された前記コマンドに従って前記複数の第2の機器を管理するステップとをさらに備える、請求項8に記載の連携制御方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、複数のシステムを連携する連携システムおよび連携制御方法に関する。
【背景技術】
【0002】
特開2021-152860号公報(特許文献1)には、建物管理者が建物の管理に用いる建物管理システムと一般ユーザに提供される一般IoT(Internet of Things)環境とを含む建物環境における連携システムが開示されている。
【0003】
この連携システムは、建物管理システムに備えられる設備対応デバイスと、一般IoT環境におけるデバイスとを含むデバイス群の間で所定の機能の連携が実現されるように連携制御を実行する連携制御装置を備える。建物管理システムのデバイスと一般IoT環境のデバイスとの間でのアプリケーション連携の一態様として、建物管理システムのデバイスから送信する連携コマンドをトリガとして、当該建物管理システムのデバイスと、一般IoT環境における1以上の所定のデバイスを連携先とするアプリケーション連携が可能である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
2つのシステムを連携するときには、一方のシステムから他方のシステムに対して、連携を要求するコマンドが送信され、コマンドを受信した他方のシステムがコマンドに従った処理を実行する。このようにして2つのシステム間の連携が行われる。
【0006】
しかしながら、2つのシステムの間で、システムの開発、構築および運用を担うベンダーが異なる場合には、連携を要求するコマンドで使用される機器の表現(例えば、ID(識別子)、機器名称、ネットワークアドレス、および機能名等)が互いに異なることがある。そのため、一方のシステムが、対象の機器を指定したコマンドを他方のシステムへ送信したときに、当該コマンドを受信した他方のシステムが、コマンドに使用されている表現を解釈することができず、結果的にコマンドに従った処理を実行できないという問題が生じる。
【0007】
本開示は、上記の問題に鑑みてなされたものであり、その目的は、連携を要求するコマンドで使用される機器表現が互いに異なる2つのシステム間の連携を容易に実現できる連携システムおよび連携制御方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本開示の一態様によれば、連携システムは、第1システムと、第1システムと連携して管理対象を管理する第2システムとを備える。管理対象は、複数の第1の機器と、複数の第2の機器とを含む。第1システムは、複数の第1の機器に通信接続され、複数の第1の機器を管理する少なくとも1つの第1コンピュータと、少なくとも1つの第1コンピュータと複数の第1の機器との関係性を定義した第1モデルとを含む。第2システムは、複数の第2の機器に通信接続され、複数の第2の機器を管理する少なくとも1つの第2コンピュータと、少なくとも1つの第2コンピュータと複数の第2の機器との関係性を定義した第2モデルとを含む。少なくとも1つの第1コンピュータは、第2システムから第2モデルを取得し、取得した第2モデルと第1モデルとを統合することにより、第1モデルを更新する。少なくとも1つの第1コンピュータは、第2システムと連携するときには、更新された第1モデルにおける定義に従ってコマンドを記述し、コマンドを少なくとも1つの第2コンピュータに送信する。
【0009】
本開示の別の態様によれば、第1システムと第2システムとを連携して管理対象を管理する連携制御方法である。管理対象は、複数の第1の機器と、複数の第2の機器とを含む。第1システムは、複数の第1の機器に通信接続され、複数の第1の機器を管理する少なくとも1つの第1コンピュータと、少なくとも1つの第1コンピュータと複数の第1の機器との関係性を定義する第1モデルとを含む。第2システムは、複数の第2の機器に通信接続され、複数の第2の機器を管理する少なくとも1つの第2コンピュータと、少なくとも1つの第2コンピュータと複数の第2の機器との関係性を定義する第2モデルとを含む。連携制御方法は、少なくとも1つの第1コンピュータが、第2システムから第2モデルを取得し、取得した第2モデルと第1モデルとを統合することにより、第1モデルを更新するステップと、第1システムが第2システムと連携するときには、少なくとも1つの第1コンピュータが、更新された第1モデルにおける定義に従ってコマンドを記述し、コマンドを少なくとも1つの第2コンピュータに送信するステップとを備える。
【発明の効果】
【0010】
本開示によれば、連携を要求するコマンドに使用される機器表現が異なる複数のシステム間の連携を容易に実現することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図1】実施の形態1に係る連携システムが適用されるビル管理システムの一例を模式的に示す図である。
【
図2】中央監視システムおよび照明システムの機能構成の一例を示すブロック図である。
【
図3】中央監視システムにおける語彙リストの一例を示す図である。
【
図4】照明システムにおける語彙リストの一例を示す図である。
【
図5】中央監視システムを定義した共通モデルの一例を示す図である。
【
図6】照明システムを定義した共通モデルの一例を示す図である。
【
図7】共通モデル交換部における処理の流れを説明する図である。
【
図8】中央監視システムにおける結合後の共通モデルの一例を示す図である。
【
図9】連携要求部および連携応答部における処理の一例を説明する図である。
【
図10】連携要求部および連携応答部における処理の他の例を説明する図である。
【
図11】中央監視システムを定義した共通モデルの一例を示す図である。
【
図12】照明システムを定義した共通モデルの一例を示す図である。
【
図13】中央監視システムにおける結合後の共通モデルの一例を示す図である。
【
図14】連携要求部および連携応答部における処理の一例を説明する図である。
【
図15】連携要求部および連携応答部における処理の他の例を説明する図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
本開示の実施の形態について、図面を参照しながら詳細に説明する。なお、図中の同一または相当部分については、同一符号を付してその説明は繰返さない。
【0013】
実施の形態1.
<連携システムの適用例>
図1は、実施の形態1に係る連携システムが適用されるビル管理システムの一例を模式的に示す図である。
図1に示すように、ビル管理システムは、管理対象のビル内に設置された複数の機器(設備機器および計測機器)を管理するためのシステムである。ビル管理システムは、中央監視システム100と、照明システム200と、ネットワーク300とを備える。本実施の形態に係る連携システムは、中央監視システム100と照明システム200との連携を実現する。
【0014】
中央監視システム100は、ビル内に設置された設備機器の運転状態の監視および制御を行うシステムであり、管理サーバ110と、空調コントローラ120と、電力計測コントローラ130と、複数の温度センサ140_1~140_4と、室内機150と、電力量計160とを含む。中央監視システム100は「第1システム」の一実施例に対応する。
【0015】
管理サーバ110は、ネットワーク300に接続されている。ネットワーク300は、例えば、BACnet(Building Automation and Control Networking)プロトコルに準拠した通信を実現する通信媒体である。管理サーバ110は、例えば、B-OWS(BACnet Operator Workstation)と呼ばれる、BACnetシステムの状態を管理および監視するための中央監視装置である。
【0016】
空調コントローラ120および電力計測コントローラ130は、例えば、B-BC(BACnet Building Controller)と呼ばれる、BACnetシステムの下位側として、BACnetシステムの入出力を提供するコントローラである。管理サーバ110、空調コントローラ120および電力計測コントローラ130は「少なくとも1つの第1コンピュータ」の一実施例に対応する。
【0017】
空調コントローラ120は、ネットワーク300を介して、管理サーバ110に接続されている。室内機150および温度センサ140_1~140_3は、ビル内に設置されている。空調コントローラ120は、温度センサ140_1~140_3および室内機150と通信可能に接続されており、温度センサ140_1~140_3の計測値を管理するとともに、室内機150の運転を制御する。
【0018】
電力計測コントローラ130は、ネットワーク300を介して、管理サーバ110に接続されている。電力量計160は、ビル内に設置されている。電力計測コントローラ130は、電力量計160と通信可能に接続されており、電力量計160の計測値を管理する。
【0019】
管理サーバ110は、空調コントローラ120から温度センサ140_1~140_4の計測値のデータを受信する。また、管理サーバ110は、電力計測コントローラ130から電力量計160の計測値のデータを受信する。管理サーバ110は、これらの受信データに基づいて、室内機150の運転を制御するための制御指令を生成し、生成した制御指令を空調コントローラ120に送信する。空調コントローラ120は、管理サーバ110からの制御指令に従って、室内機150の運転を制御する。複数の温度センサ140_1~140_4、室内機150および電力量計160は「複数の第1の機器」の一実施例に対応する。
【0020】
照明システム200は、ビル内に設置された照明器具の運転状態の監視および制御を行うシステムであり、管理サーバ210と、照明コントローラ220と、照度センサ230と、照明器具240とを含む。照明システム200は「第2システム」の一実施例に対応する。
【0021】
管理サーバ210は、ネットワーク300に接続されている。管理サーバ210は、例えば、B-OWSと呼ばれる中央監視装置である。
【0022】
照明コントローラ220は、ネットワーク300を介して、管理サーバ210に接続されている。管理サーバ210および照明コントローラ220は「少なくとも1つの第2コントローラ」の一実施例に対応する。
【0023】
照度センサ230および照明器具240は、ビル内に設置されている。照明コントローラ220は、照度センサ230および照明器具240と通信可能に接続されており、照度センサ230の計測値を管理するとともに、照明器具240の運転を制御する。
【0024】
管理サーバ210は、照明コントローラ220から照度センサ230の計測値のデータを受信する。管理サーバ210は、受信データに基づいて、照明器具240の運転を制御するための制御指令を生成し、生成した制御指令を照明コントローラ220に送信する。照明コントローラ220は、管理サーバ210からの制御指令に従って、照明器具240の運転を制御する。照度センサ230および照明器具240は「複数の第2の機器」の一実施例に対応する。
【0025】
図1に示すビル管理システムにおいて、室内機150および照明器具240は、ビル内に設置される「設備機器」の一実施例に対応し、温度センサ140_1~140_4、電力量計160および照度センサ230は、ビル内に設置される「計測機器」の一実施例に対応する。ビル内に設置される設備機器はこれに限らず、室内機以外の空調機器、昇降機、給排水設備、衛生機器、防災機器、および防犯機器等を含んでいてもよい。また、計測機器はこれに限らず、監視カメラ、監視モニタ等を含んでいてもよい。そして、これらの設備機器および計測機器を管理するためのコントローラがネットワーク300を介して、管理サーバ110または管理サーバ210に接続されてもよい。
【0026】
<管理サーバおよびコントローラのハードウェア構成>
図1に示したビル管理システムにおいて、管理サーバ110、空調コントローラ120、電力計測コントローラ130、および照明コントローラ220は、コンピュータを主体として構成される。
【0027】
管理サーバ110は、CPU(Central Processing Unit)101、RAM(Random Access Memory)102、ROM(Read Only Memory)103、通信IF(インターフェイス)104、および記憶装置105を備える。これらは、バスを介して相互に通信可能に接続されている。
【0028】
CPU101は、ROM103に保存されているプログラムをRAM102に読み込んで実行することにより、管理サーバ110の各種機能を実現する。ROM103は、管理サーバ110の処理手順が記述されたプログラムを格納する。
【0029】
RAM102は、CPU101がプログラムを実行する際の作業領域となるものであり、プログラムおよびプログラムを実行する際のデータ等を一時的に記憶する。
【0030】
記憶装置105は、各種情報を記憶するストレージであって、ビル内に設置される設備機器および計測機器の情報等を記憶する。また、記憶装置105には、中央監視システム100における共通モデルを記憶している。共通モデルについては、後ほど詳しく説明する。記憶装置は、例えばHDD(Hard Disk Drive)またはSDD(Solid State Drive)等である。
【0031】
管理サーバ110は、通信IF104を介して、空調コントローラ120および電力計測コントローラ130と信号およびデータを遣り取りする。また、中央監視システム100と照明システム200とを連携させる場合に、管理サーバ110は、通信IF101を介して、照明システム200の管理サーバ210と信号およびデータを遣り取りする。
【0032】
図示は省略するが、管理サーバ210も管理サーバ110と同様の構成を有している。
【0033】
空調コントローラ120は、CPU121、RAM122、ROM123、通信IF124、およびI/O(入出力)インターフェイス125を備える。これらは、バスを介して相互に通信可能に接続されている。
【0034】
CPU121は、ROM123に保存されているプログラムをRAM122に読み込んで実行することにより、空調コントローラ120の各種機能を実現する。ROM123は、空調コントローラ120の処理手順が記述されたプログラムを格納する。
【0035】
RAM122は、CPU121がプログラムを実行する際の作業領域となるものであり、プログラムおよびプログラムを実行する際のデータ等を一時的に記憶する。また、空調コントローラ120は、不揮発性の記憶装置を備えてもよい。記憶装置は、例えばHDDまたはSDD等である。
【0036】
空調コントローラ120は、通信IF124を介して、管理サーバ110と通信する。空調コントローラ120には、I/Oインターフェイス125を介して、温度センサ140_1~140_4の計測値のデータが入力される。空調コントローラ120は、I/Oインターフェイス125を介して、室内機150の運転を制御するための制御信号を室内機150へ出力する。
【0037】
図示は省略するが、電力計測コントローラ130および照明コントローラ220も空調コントローラ120と同様の構成を有している。
【0038】
<連携システムの機能構成>
本実施の形態に係る連携システムは、
図1に示したビル管理システムにおいて、中央監視システム100と照明システム200との連携を実現するためのシステムである。中央監視システム100および照明システム200が連携して、ビル内の複数の設備機器(室内機150および照明器具240等)を総合的に管理することにより、複数の設備機器を効率的に運転させるとともに、快適な居住環境を実現することができる。
【0039】
これら2つのシステムを連携するときには、一方のシステムから他方のシステムに対して、連携を要求するコマンドが送信される。このコマンドは、例えば、他方のシステムに含まれる計測機器の計測値のデータを要求するコマンドや、他方のシステムに含まれる設備機器の設定値を指示するコマンド等である。
【0040】
コマンドを受信した他方のシステムは、コマンドに従った処理を実行する。例えば、他方のシステムは、コマンドで指定された計測機器の計測値のデータを一方のシステムへ送信する。または、他方のシステムは、コマンドで指定された設定値に従って設備機器を運転させる。このようにして2つのシステム間の連携が行われる。
【0041】
しかしながら、中央監視システム100と照明システム200との間で、システムの開発、構築および運用を担うベンダーが異なる場合には、コマンドで使用される設備機器および計測機器の表現(例えば、ID(識別子)、機器名称、ネットワークアドレス、および機能名等)が互いに異なることがある。そのため、一方のシステムが、対象の設備機器または計測機器を指定したコマンドを他方のシステムへ送信したときに、コマンドを受信した他方のシステムが、コマンドに使用されている表現を解釈することができず、結果的にコマンドに従った処理を実行できないという問題が生じる。
【0042】
このような問題を解決するために、本実施の形態に係る連携システムは、各システムが、自己のシステムの管理対象となる機器を表現する共通モデルを定義しておき、連携先となるシステムとの間で、この共通モデルを事前に交換する構成とする。
【0043】
上記構成では、各システムは、連携先となるシステムから共通モデルを受け取ると、自己のシステムの共通モデルと、連携先のシステムの共通モデルとを統合することによって、自己のシステムの共通モデルを更新する。そして、連携先のシステムと連携するときには、更新された共通モデルにおける定義に従ってコマンドを記述し、コマンドを連携先のシステムに送信する。コマンドを受信した連携先のシステムは、更新された自己のシステムの共通モデルを参照して、コマンドを解釈することができる。その結果、解釈されたコマンドに従った処理を実行することが可能となる。
【0044】
図2は、中央監視システム100および照明システム200の機能構成の一例を示すブロック図である。
図2には、中央監視システム100および照明システム200の各々における、連携処理に関する部分の機能構成が示されている。当該機能構成は、中央監視システム100と照明システム200とで同じである。当該機能構成は、中央監視システム100の管理サーバ110および照明システム200の管理サーバ210の各々がプログラムを実行することにより実現される。
【0045】
図2に示すように、中央監視システム100および照明システム200の各々は、共通モデル蓄積部10と、共通モデル交換部20と、連携要求部30と、連携応答部40と、通信IF部50とを備える。以下では、中央監視システム100から照明システム200に向けて、連携を要求するコマンドを送信する場合を想定して、各部の構成を説明する。
【0046】
(共通モデル蓄積部10)
共通モデル蓄積部10は、自己のシステムにおける共通モデルを蓄積する。本明細書において「共通モデル」とは、少なくとも1つのコンピュータと複数の機器との関係性を定義したものである。共通モデルは、例えば、システムの開発、構築および運用を担うベンダーによって生成される。
【0047】
ある局面では、共通モデルに、BACnetにおけるオブジェクト定義を利用することができる。BACnetは、ビルディングネットワークのためのオープンな通信プロトコル規格であり、ビル内の様々な設備機器を統合的に監視、制御、保安および保守するための通信規格として普及している。BACnetでは、各種機器間の通信で使われるサービス、およびそのサービスを使って動作するオブジェクトが定義されている。オブジェクトとは、BACnet対応装置が持っている入出力および内部状態に関する情報である。オブジェクトは、各種プロパティ(属性)によって構成されている。具体的には、アナログ入力、アナログ出力、デジタル入力、デジタル出力、積算値、スケジュール等の信号および機能の各々についてオブジェクトが定義されている。
【0048】
別の局面では、共通モデルに、Brick Schema等のオントロジー定義を利用することができる。Brick Schemaは、ビル関連の統一メタデータのスキーマであり、ビル内の物理的、論理的および仮想的な資産、ならびにそれらの関係性をセマンティックに表現するオープンな仕様である。オントロジーとは、対象世界をどのように捉えたか(概念化したか)を記述するものである。
【0049】
さらに別の局面では、BIM(Building Information Modelling)等の建築物の図面定義を共通モデルに利用することができる。BIMは、建物に関する情報のモデリング手法であり、形状も含む建物の総合データベースである。
【0050】
例えば、共通モデルにオントロジー定義を利用する場合には、最初に、システム毎に、管理対象のビル内で使用される用語をまとめた語彙リストが定義される。この語彙リストには、
図1に示される管理サーバ、コントローラ、設備機器および計測機器の各々を表現する用語と、その意味とが記述されている。なお、各用語の意味は、そのシステム内でコマンドおよびデータを遣り取りするために使用される言語で説明されている。
【0051】
図3は、中央監視システム100における語彙リストの一例を示す図である。例えば、中央監視システム100内においてコマンドおよびデータが日本語で記述される場合には、語彙リストでは、各用語の意味が日本語で記述される。例えば、語彙リストの一行目について説明すると、「B-OWS」は「管理サーバ」を意味することが示されている。また、語彙リストの二行目について説明すると、「B-BC」は「コントローラ」を意味することが示されている。
【0052】
図4は、照明システム200における語彙リストの一例を示す図である。例えば、照明システム200内においてコマンドおよびデータが英語で記述される場合には、語彙リストでは、各用語の意味が英語で記述される。例えば、語彙リストの一行目について説明すると、「B-OWS」は「management server」を意味することが示されている。また、語彙リストの二行目について説明すると、「B-BC」は「controller」を意味することが示されている。
【0053】
語彙リストが定義されると、続いて、自己のシステムに含まれる、少なくとも1つのコンピュータおよび複数の機器の関係性を表現した共通モデルが生成される。共通モデルにおいて、各コンピュータおよび各機器の表現には、語彙リストで定義された用語が用いられる。共通モデルでは、少なくとも1つのコンピュータおよび複数の機器間の関係性が階層構造で表現される。共通モデルは、例えばツリー構造を有するが、これに限定されない。共通モデルは、システム毎に生成されて管理サーバの記憶装置105(
図1)に格納される。
【0054】
図5は、中央監視システム100を定義した共通モデルの一例を示す図である。
図5(A)に示すように、共通モデルでは、管理サーバ110と、空調コントローラ120および電力計測コントローラ130と、室内機150と、温度センサ140_1~140_4および電力量計160との関係性が、語彙リスト(
図3)で定義された用語を用いて、ツリー構造で記述されている。
図5(A)に示す共通モデルは「第1モデル」の一実施例に対応する。
【0055】
具体的には、「B-OWS」に「管理」で「B-BC」を接続することにより、「B-OWSはB-BCを管理する」という関係性を表現している。また、「B-BC」に「AI」で「T-Sensor」を接続することにより、「T-SensorはB-BCのAIである」という関係性を表現している。「B-BC」に「DO」で「PAC-IC」を接続することにより、「PAC-ICはB-BCのDOである」という関係性を表現している。「B-BC」に「PI」で「P-Meter」を接続することにより、「P-MeterはB-BCのPIである」という関係性を表現している。
【0056】
図5(B)は、
図5(A)に示した共通モデルをテーブルで表現したものである。テーブルでは、共通モデルの各要素について、他の要素との関係性が記述されている。なお、「管理(X)」は、Xを管理することを意味する単語である。「AI(X)」は、Xからのアナログ入力を持つことを意味する単語である。「AO(X)」はXへのアナログ出力を持つことを意味する単語である。「DO(X)」はXへのデジタル出力を持つことを意味する単語である。「PI(X)」は、Xからのパルス入力を持つことを意味する単語である。
図5(A)に示す共通モデルは、中央監視システム100の共通モデル蓄積部10に格納される。
【0057】
図6は、照明システム200を定義した共通モデルの一例を示す図である。
図6(A)に示すように、共通モデルでは、管理サーバ210、照明コントローラ220、照度センサ230、および照明器具240の関係性が、語彙リスト(
図4)で定義された用語を用いて、ツリー構造で記述されている。
図6(A)に示す共通モデルは「第2モデル」の一実施例に対応する。
【0058】
具体的には、「B-OWS」に「管理」で「B-BC」を接続することにより、「B-OWSはB-BCを管理する」という関係性を表現している。また、「B-BC」に「AI」で「I-Sensor」を接続することにより、「I-SensorはB-BCのAIである」という関係性を表現している。「B-BC」に「AO」で「Lighing」を接続することにより、「LightingはB-BCのAOである」という関係性を表現している。
【0059】
図6(B)は、
図6(A)に示した共通モデルをテーブルで表現したものである。テーブルでは、共通モデルの各要素について、他の要素との関係性が記述されている。
図6(A)に示す共通モデルは、照明システム200の共通モデル蓄積部10に格納される。
【0060】
(共通モデル交換部20)
図2に戻って、共通モデル交換部20は、連携先となるシステムとの間で共通モデルを交換する。そして、共通モデル交換部20は、連携先となるシステムから共通モデルを受け取ると、共通モデル蓄積部10に蓄積される自己のシステムの共通モデルと、連携先のシステムの共通モデルとを統合することによって、自己の共通モデルを更新する。
【0061】
具体的には、共通モデル交換部20は、取得部21と、送信部22と、受信部23と、抽出部24と、結合部25と、更新部26とを含む。
【0062】
取得部21は、共通モデル蓄積部10から自己のシステムの共通モデルを取得する。
【0063】
送信部22は、取得部21により取得された自己のシステムの共通モデルを、通信IF部50を介して、連携先となるシステムへ送信する。
【0064】
受信部23は、連携先となるシステムの共通モデルを、通信IF部50を介して受信する。
【0065】
抽出部24は、取得部21から自己のシステムの共通モデルを受け、受信部23から連携先となるシステムの共通モデルを受ける。抽出部24は、自己のシステムの共通モデルと、連携先となるシステムの共通モデルとを比較する。抽出部24は、連携先となるシステムの共通モデルに存在するが、自己のシステムの共通モデルには存在しない要素を抽出する。
【0066】
結合部25は、抽出部24により抽出された要素を、自己のシステムの共通モデルに結合することにより、自己のシステムの共通モデルと、連携先となるシステムの共通モデルとを統合する。
【0067】
更新部26は、結合後の自己のシステムの共通モデルに基づいて、共通モデル蓄積部10に保存されている共通モデルを更新する。
【0068】
図7は、共通モデル交換部20における処理の流れを説明する図である。
図7には、中央監視システム100の共通モデル交換部20における処理の流れが示されている。したがって、
図7の左上に示される中央監視システム100の共通モデルが「自己のシステムの共通モデル」に該当する。また、
図7の右上に示される照明システム200の共通モデルが「連携先となるシステムの共通モデル」に該当する。なお、2つの共通モデルは何れもテーブルで表現されている。
【0069】
中央監視システム100の共通モデル交換部20において、抽出部24は、照明システム200の共通モデルに存在するが、中央監視システム100の共通モデルに存在しない要素として、「I-Sensor」および「Lighting」を抽出する。
【0070】
結合部25は、抽出した要素を中央監視システム100の共通モデルに結合する。具体的には、「I-SensorはB-BCのAIである」という関係性に基づいて、「I-Sensor」は「AI」で「B-BC」に接続される。「LightingはB-BCのAOである」という関係性に基づいて、「Lighting」は「AO」で「B-BC」に接続される。
【0071】
図8は、中央監視システム100における結合後の共通モデルの一例を示す図である。
図8に示すように、B-BCにはI-SensorおよびLightingが新たに接続されている。結合後の共通モデルは、更新部26によって、共通モデル蓄積部10に格納される。このようにして中央監視システム100の共通モデルが更新される。
【0072】
なお、図示は省略するが、照明システム200の共通モデル交換部20においても、
図7と同様の処理が実行される。すなわち、照明システム200の共通モデルと中央監視システム100の共通モデルとが統合されることにより、照明システム200の共通モデルが更新される。
【0073】
(連携要求部30)
図2に戻って、連携要求部30は、連携先となるシステムに向けて、連携を要求するコマンドを送信する。中央監視システム100から照明システム200に向けて、連携を要求するコマンドを送信する場合には、中央監視システム100の連携要求部30は、共通モデル蓄積部10に蓄積される共通モデルにおける定義に従ってコマンドを記述し、生成したコマンドを照明システム200に送信する。
【0074】
具体的には、連携要求部30は、連携処理決定部31と、送信時共通モデル取得部32と、共通モデル対応付け処理部33と、要求コマンド送信部34と、要求コマンド応答受信部35とを含む。
【0075】
連携処理決定部31は、照明システム200と連携する処理を決定し、照明システム200に対して決定した処理を要求するためのコマンドを生成する。具体的には、中央監視システム100が照明システム200と連携して照明器具240の制御を行う場合には、連携処理決定部31は、照明システム200に対し、照度センサ230の計測値を要求するコマンドを生成する。あるいは、連携処理決定部31は、照明システム200に対し、照明器具240の照度を設定するコマンドを生成する。
【0076】
送信時共通モデル取得部32は、共通モデル蓄積部10から共通モデルを取得する。共通モデルは、共通モデル交換部20により更新されたものである。
【0077】
共通モデル対応付け処理部33は、連携処理決定部31により生成されたコマンドで使用されている用語を共通モデル(
図8)における定義と対応付けることにより、当該コマンドを照明システム200が解釈可能なコマンドに変換する。
【0078】
一例として、
図9に示すように、連携処理決定部31により、照度センサ230の計測値を要求するコマンド「照度センサの計測値を取得する」が生成された場合を想定する。
【0079】
この場合には、共通モデル対応付け処理部33は、共通モデルにて定義されている「I-SensorはB-BCのAIである」という関係性、および「B-OWSはB-BCを管理する」という関係性を用いて、当該コマンドを、「GET http://<ip-address>/b-ows/b-bc/i-sensor HTTP/1.1」というコマンドに変換する。なお、<ip-address>/b-ows/b-bc/i-sensorは、照明システム200における照度センサ230の場所を表している。コマンドは、共通モデルで定義されている、B-OWS、B-BCおよびI-Sensorの関係性に従って記述される。
【0080】
他の例として、
図10に示すように、連携処理決定部31により、照明器具240の照度を所定値(例えば80lx)に設定するコマンド「照明器具の照度を80lxに設定する」が生成された場合を想定する。
【0081】
この場合には、共通モデル対応付け処理部33は、共通モデルに定義されている「LightingはB-BCのAOである」という関係性、および「B-OWSはB-BCを管理する」という関係性を用いて、当該コマンドを「POST http://<ip-address>/b-ows/b-bc/lighting HTTP/1.1 {"value":80}」というコマンドに変換する。<ip-address>/b-ows/b-bc/lightingは、照明システム200における照明器具240の場所を示している。コマンドは、共通モデルで定義されている、B-OWS、B-BCおよびLightingの関係性に従って記述される。
【0082】
要求コマンド送信部34は、共通モデル対応付け処理部33により生成されたコマンドを、通信IF部50を介して照明システム200の管理サーバ210へ送信する。
【0083】
要求コマンド応答受信部35は、送信したコマンドに対する応答を照明システム200の要求コマンド応答送信部45から受信する。
【0084】
(連携応答部40)
図2に戻って、連携応答部40は、連携元となるシステムから連携を要求するコマンドを受信する。中央監視システム100の連携要求部30から照明システム200に向けて、連携を要求するコマンドが送信された場合には、照明システム200の連携応答部40が当該コマンドを受信する。連携応答部40は、共通モデル蓄積部10に蓄積されている共通モデルを参照してコマンドを解釈し、解釈されたコマンドに従って照度センサ230および照明器具240を管理する。
【0085】
具体的には、連携応答部40は、連携処理受信部41と、受信時共通モデル取得部42と、変換処理部43と、要求コマンド実行部44と、要求コマンド応答送信部45とを含む。
【0086】
連携処理受信部41は、通信IF部50を介して、中央監視システム100からのコマンドを受信する。
【0087】
受信時共通モデル取得部42は、共通モデル蓄積部10から共通モデルを取得する。共通モデルは、共通モデル交換部20により更新されたものである。
【0088】
変換処理部43は、共通モデルを参照して、コマンドで使用されている用語を自己のシステム内で使用される用語に変換する。一例として、
図8に示すように、「GET http://<ip-address>/b-ows/b-bc/i-sensor HTTP/1.1」というコマンドを受信した場合には、変換処理部43は、共通モデルに定義されている「I-SensorはB-BCのAIである」という関係性、および「B-OWSはB-BCを管理する」という関係性に基づいて、「i-sensor」が「the illumination sensor」であり、当該コマンドが「the illumination sensorからのアナログ入力を取得する」の意味であると解釈する。したがって、変換処理部43は、当該コマンドを「get the measured value of the illuminance sensor」というコマンドに変換する。
【0089】
他の例として、
図9に示すように、「POST http://<ip-address>/b-ows/b-bc/lighting HTTP/1.1 {"value":80}」というコマンドを受信した場合には、変換処理部43は、共通モデルに定義されている「LightingはB-BCのAOである」という関係性、および「B-OWSはB-BCを管理する」という関係性に基づいて、「lighting」が「the lighting equipment」であり、当該コマンドが「the lighting equipmentに対するアナログ出力を80に設定する」の意味であると解釈する。したがって、変換処理部43は、当該コマンドを「set the illumination of the lighting equipment to 80」というコマンドに変換する。
【0090】
図2に戻って、要求コマンド実行部44は、変換処理部43により変換されたコマンドに従って、照度センサ230および照明器具240を管理する。具体的には、要求コマンド実行部44は、「get the measured value of the illuminance sensor」というコマンドに従って、照度センサ230の計測値を取得する。または、要求コマンド実行部44は、「set the illumination of the lighting equipment to 80」というコマンドに従って、照明器具240の照度を80lxに設定し、設定照度になるように照明器具240の運転を制御する。
【0091】
要求コマンド応答送信部45は、受信したコマンドへの応答を、通信IF部50を介して、連携元となるシステムへ送信する。具体的には、要求コマンド応答送信部45は、「get the measured value of the illuminance sensor」というコマンドに従って取得した照度センサ230の計測値を中央監視システム100へ送信する。
【0092】
または、要求コマンド応答送信部45は、「set the illumination of the lighting equipment to 80」というコマンドに従って照明器具240の照度が設定されたという情報を中央監視システム100へ送信する。
【0093】
中央監視システム100の要求コマンド応答受信部35は、通信IF部50を介して、照明システム200の要求コマンド応答送信部45からの応答を受信する。
【0094】
なお、図示は省略するが、照明システム200から中央監視システム100に連携を要求する場合には、照明システム200の連携要求部30が中央監視システム100に向けて、連携を要求するコマンドを送信する。このとき、連携要求部30は、コマンドで使用されている用語を共通モデルにおける定義と対応付けることにより、当該コマンドを中央監視システム100が解釈可能なコマンドに変換する。
【0095】
そして、中央監視システム100の連携応答部40は、照明システム200からコマンドを受信すると、共通モデルを参照して当該コマンドを解釈し、当該コマンドに従って室内機150、温度センサ140_1~140_4および電力量計160を管理する。そして、連携応答部40は、受信したコマンドへの応答を照明システム200へ送信する。
【0096】
以上説明したように、実施の形態1に係る連携システムによれば、各システムが、自己のシステムにおける、少なくとも1つのコンピュータおよび複数の機器の関係性を表現する共通モデルを定義し、連携先となるシステムとの間で、この共通モデルを事前に交換しておくことにより、第1のシステムと第2のシステムとが連携する場面において、第1のシステムは、第2のシステムとの連携を要求するコマンドを共通モデルと対応付けて生成し、生成したコマンドを第2のシステムへ送信することができる。そして、第2のシステムは、第1のシステムから受信したコマンドを、共通モデルを参照して解釈し、当該コマンドに従った処理を実行することができる。これによると、第1および第2のシステムの間でコマンドの表現が互いに異なる場合であっても、各システムは、相手のシステムからのコマンドが示している機器、当該機器と他の機器との接続関係、および要求する処理内容を理解することができる。その結果、第1のシステムと第2のシステムとの連携を容易に実現することができる。
【0097】
実施の形態2.
実施の形態1では、各システムに含まれる複数の機器の関係性をオントロジーで定義した共通モデルを生成して、複数のシステム間で事前に交換する構成について説明した。
【0098】
実施の形態2では、オントロジーにそのシステムに特有のネットワーク情報(インスタンス)を追加した共通モデルを生成して、複数のシステム間で事前に交換する構成について説明する。なお、実施の形態2に係る連携システムの構成は、共通モデルの構成を除いて、実施の形態1に係る連携システム(
図1および
図2)と同じであるため、説明を省略する。
【0099】
(共通モデル)
図11は、中央監視システム100を定義した共通モデルの一例を示す図である。
図11(A)に示すように、共通モデルでは、管理サーバ110と、空調コントローラ120および電力計測コントローラ130と、室内機150と、温度センサ140_1~140_4および電力量計160との関係性が、語彙リスト(
図3)で定義された用語を用いて、ツリー構造で記述されている。
【0100】
図11(A)に示す共通モデルは、
図5(A)に示した共通モデルとは、各要素のネットワーク上の構成を示す情報を含んでいる点が異なる。
図1に示したように、中央監視システム100は、1台の管理サーバ110と、2台のコントローラ120,130と、4台の温度センサ140_1~140_4と、1台の室内機150と、1台の電力量計160とを含んで構成される。共通モデルでは、オントロジーを使用して、これらの機器の繋がりが記述されている。
【0101】
具体的には、共通モデルでは、管理サーバ110は「B-OWS1」と記され、2台のコントローラ120,130はそれぞれ「B-BC1」、「B-BC2」と記される。4台の温度センサ140_1~14_4はそれぞれ、「T-Sensor1」、「T-Sensor2」、「T-Sensor3」、「T-Sensor4」と記される。室内機150は「PAC-IC1」と記され、電力量計160は「P-Meter1」と記される。
【0102】
そして、「B-OWS1」に「管理」で「B-BC1」および「B-BC2」を接続することにより、「B-OWS1はB-BC1およびB-BC2を管理する」という関係性を表現している。また、「B-BC1」に「AI」で「T-Sensor1」、「T-Sensor2」および「T-Sensor3」を接続することにより、「T-Sensor1、T-Sensor2およびT-Sensor3はB-BC1のAIである」という関係性を表現している。「B-BC1」に「DO」で「PAC-IC1」を接続することにより、「PAC-IC1は、B-BC1のDOである」という関係性を表現している。「B-BC2」に「PI」で「P-Meter1」を接続することにより、「P-Meter1はB-BC2のPIである」という関係性を表現している。
【0103】
図11(B)は、
図11(A)に示した共通モデルをテーブルで表現したものである。テーブルでは、共通モデルの各要素について、他の要素との関係性が記述されている。共通モデルは、中央監視システム100の共通モデル蓄積部10に格納される。
【0104】
図12は、照明システム200を定義した共通モデルの一例を示す図である。
図12(A)に示すように、共通モデルでは、管理サーバ210と、照明コントローラ220と、照度センサ230と、照明器具240との関係性が、語彙リスト(
図4)で定義された用語を用いて、ツリー構造で記述されている。
【0105】
図12(A)に示す共通モデルは、
図6(A)に示した共通モデルとは、各要素のネットワーク上の構成を示す情報を含んでいる点が異なる。具体的には、共通モデルでは、管理サーバ210は「B-OWS2」と記され、照明コントローラ220は「B-BC3」と記される。照度センサ230は「I-Sensor1」と記される、照明器具240は「Lighting1」と記される。そして、「B-OWS2」に「管理」で「B-BC3」を接続することにより、「B-OWS2はB-BC3を管理する」という関係性を表現している。また、「B-BC3」に「AI」で「I-Sensor1」を接続することにより、「I-Sensor1はB-BC3のAIである」という関係性を表現している。「B-BC3」に「AO」で「Lighting1」を接続することにより、「Lighting1はB-BC3のAOである」という関係性を表現している。
【0106】
図12(B)は、
図12(A)に示した共通モデルをテーブルで表現したものである。テーブルでは、共通モデルの各要素について、他の要素との関係性が記述されている。共通モデルは、照明システム200の共通モデル蓄積部10に格納される。
【0107】
このように共通モデルは、1つのシステムを構成する複数の機器を体系的に連結し、グラフ構造で表した知識のネットワーク(知識グラフ)に相当する。オントロジーを使用するため、各機器の表現をシステムによらず共通にすることができる。
【0108】
各システムの共通モデル交換部20は、連携先となるシステムとの間で共通モデルを交換する。
図7に示したように、中央監視システム100の共通モデル交換部20は、照明システム200から共通モデル(
図12(A))を受け取ると、共通モデル蓄積部10に蓄積される自己のシステムの共通モデル(
図11(A))と、照明システム200の共通モデルとを統合することによって、自己の共通モデルを更新する。
【0109】
図13は、中央監視システム100における結合後の共通モデルの一例を示す図である。
図13に示すように、結合後の共通モデルは、
図11(A)に示す共通モデルに、
図12(A)に示す共通モデルを連結したものである。結合後の共通モデルによれば、連携先のシステムのネットワークを知ることができる。結合後の共通モデルは、更新部26によって、共通モデル蓄積部10に格納される。このようにして中央監視システム100の共通モデルが更新される。
【0110】
なお、図示は省略するが、照明システム200の共通モデル交換部20においても、
図7と同様の処理が実行される。すなわち、照明システム200の共通モデルと中央監視システム100の共通モデルとが統合されることにより、照明システム200の共通モデルが更新される。
【0111】
実施の形態2においても、実施の形態1と同様に、連携要求部30は、共通モデル蓄積部10に蓄積される共通モデルを用いて、連携を要求するコマンドを生成し、生成したコマンドを連携先となるシステムに向けて送信する。連携応答部40は、連携元となるシステムから連携を要求するコマンドを受信すると、共通モデル蓄積部10に蓄積されている共通モデルを参照してコマンドを解釈し、解釈されたコマンドに従って設備機器および計測機器を管理する。したがって、実施の形態2でも、実施の形態1と同じ効果が得られる。
【0112】
一例として、
図14に示すように、中央監視システム100の連携処理決定部31により、照度センサ230の計測値を要求するコマンド「照度センサの計測値を取得する」が生成された場合を想定する。
【0113】
この場合には、共通モデル対応付け処理部33は、共通モデル(
図13)にて定義されている「I-Sensor1はB-BC3のAIである」という関係性、および「B-OWS2はB-BC3を管理する」という関係性を用いて、当該コマンドを、「GET http://<ip-address>/v1/b-ows2/b-bc3/i-sensor1 HTTP/1.1」というコマンドに変換する。なお、<ip-address>/b-ows/v1/b-ows2/b-bc3/i-sensor1は、照明システム200における照度センサ230の場所を表している。コマンドは、共通モデルで定義されている、B-OWS2、B-BC3およびI-Sensor1の関係性に従って記述される。
【0114】
他の例として、
図15に示すように、中央監視システム100の連携処理決定部31により、照明器具240の照度を所定値(例えば80lx)に設定するコマンド「照明器具の照度を80lxに設定する」が生成された場合を想定する。
【0115】
この場合には、共通モデル対応付け処理部33は、共通モデル(
図13)に定義されている「Lighting1はB-BC3のAOである」という関係性、および「B-OWS2はB-BC3を管理する」という関係性を用いて、当該コマンドを「POST http://<ip-address>/b-ows/v1/b-ows2/b-bc3/lighting1 HTTP/1.1 {"value":80}」というコマンドに変換する。<ip-address>/b-ows/v1/b-ows2/b-bc3/lighting1は、照明システム200における照明器具240の場所を示している。コマンドは、共通モデルで定義されている、B-OWS2、B-BC3およびLighting1の関係性に従って記述される。
【0116】
このように実施の形態2では、中央監視システム100の連携要求部30は、連携先となる照明システム200の設備機器や計測機器を指定してコマンドを送信することができる。照明システム200の連携応答部40は、共通モデルを参照することにより、受信したコマンドが指定する設備機器や計測機器を直ちに知ることができる。
【0117】
[付記]
上述した実施形態は、以下の付記の具体例である。
【0118】
(付記1)
第1システムと、
前記第1システムと連携して管理対象を管理する第2システムとを備え、
前記管理対象は、複数の第1の機器と、複数の第2の機器とを含み、
前記第1システムは、
前記複数の第1の機器に通信接続され、前記複数の第1の機器を管理する少なくとも1つの第1コンピュータと、
前記少なくとも1つの第1コンピュータと前記複数の第1の機器との関係性を定義した第1モデルとを含み、
前記第2システムは、
前記複数の第2の機器に通信接続され、前記複数の第2の機器を管理する少なくとも1つの第2コンピュータと、
前記少なくとも1つの第2コンピュータと前記複数の第2の機器との関係性を定義した第2モデルとを含み、
前記少なくとも1つの第1コンピュータは、
前記第2システムから前記第2モデルを取得し、取得した前記第2モデルと前記第1モデルとを統合することにより、前記第1モデルを更新し、
前記第2システムと連携するときには、更新された前記第1モデルにおける定義に従ってコマンドを記述し、前記コマンドを前記少なくとも1つの第2コンピュータに送信する、連携システム。
【0119】
(付記2)
前記少なくとも1つの第2コンピュータは、
前記第1システムから前記第1モデルを取得し、取得した前記第2モデルと前記第1モデルとを統合することにより、前記第2モデルを更新し、
前記第1システムから前記コマンドを受信したときには、更新された前記第2モデルを参照して前記コマンドを解釈し、解釈された前記コマンドに従って前記複数の第2の機器を管理する、付記1に記載の連携システム。
【0120】
(付記3)
前記少なくとも1つの第1コンピュータは、
前記第1モデルに存在しない要素を前記第2モデルから抽出し、
抽出された前記要素を前記第1モデルに結合することにより、前記第1モデルを更新する、付記1または付記2に記載の連携システム。
【0121】
(付記4)
前記第1モデルは、前記少なくとも1つの第1コンピュータと前記複数の第1の機器との関係性を、オントロジーを用いて定義し、
前記第2モデルは、前記少なくとも1つの第2コンピュータと前記複数の第2の機器との関係性を、オントロジーを用いて定義する、付記1から付記3のいずれか1項に記載の連携システム。
【0122】
(付記5)
前記第1モデルは、前記少なくとも1つの第1コンピュータおよび前記複数の第1の機器のネットワーク上の構成を、オントロジーを用いて定義した第1ネットワーク情報を含み、
前記第2モデルは、前記少なくとも1つの第2コンピュータおよび前記複数の第2の機器のネットワーク上の構成を、オントロジーを用いて定義した第2ネットワーク情報を含み、
前記少なくとも1つの第1コンピュータは、
前記第2システムから取得した前記第2モデルにおける前記第2ネットワーク情報と、前記第1モデルにおける前記第1ネットワーク情報とを統合することにより、前記第1モデルを更新する、付記4に記載の連携システム。
【0123】
(付記6)
前記少なくとも1つの第1コンピュータは、
前記第2システムと連携するときには、更新された前記第1モデルにおける前記第2ネットワーク情報に基づいて、前記コマンドを記述する、付記5に記載の連携システム。
【0124】
(付記7)
前記第1システムおよび前記第2システムは、ビル内に設置される複数の機器を前記管理対象として連携するように構成され、
前記第1モデルおよび前記第2モデルには、BACnetにおけるオブジェクト定義、Brick Schemaにおけるオントロジー定義、またはBIMにおける図面定義が利用される、付記1から付記6のいずれか1項に記載の連携システム。
【0125】
(付記8)
第1システムと第2システムとを連携して管理対象を管理する連携制御方法であって、
前記管理対象は、複数の第1の機器と、複数の第2の機器とを含み、
前記第1システムは、
前記複数の第1の機器に通信接続され、前記複数の第1の機器を管理する少なくとも1つの第1コンピュータと、
前記少なくとも1つの第1コンピュータと前記複数の第1の機器との関係性を定義する第1モデルとを含み、
前記第2システムは、
前記複数の第2の機器に通信接続され、前記複数の第2の機器を管理する少なくとも1つの第2コンピュータと、
前記少なくとも1つの第2コンピュータと前記複数の第2の機器との関係性を定義する第2モデルとを含み、
前記連携制御方法は、
前記少なくとも1つの第1コンピュータが、前記第2システムから前記第2モデルを取得し、取得した前記第2モデルと前記第1モデルとを統合することにより、前記第1モデルを更新するステップと、
前記第1システムが前記第2システムと連携するときには、前記少なくとも1つの第1コンピュータが、更新された前記第1モデルにおける定義に従ってコマンドを記述し、前記コマンドを前記少なくとも1つの第2コンピュータに送信するステップとを備える、連携制御方法。
【0126】
(付記9)
前記少なくとも1つの第2コンピュータが、前記第1システムから前記第1モデルを取得し、取得した前記第2モデルと前記第1モデルとを統合することにより、前記第2モデルを更新するステップと、
前記第1システムから前記コマンドを受信したときには、前記少なくとも1つの第2コンピュータが、更新された前記第2モデルを参照して前記コマンドを解釈し、解釈された前記コマンドに従って前記複数の第2の機器を管理するステップとをさらに備える、付記8に記載の連携制御方法。
【0127】
本開示の実施の形態について説明したが、今回開示された実施の形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本開示の範囲は特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
【符号の説明】
【0128】
10 共通モデル蓄積部、20 共通モデル交換部、21 取得部、22 送信部、23 受信部、24 抽出部、25 結合部、26 更新部、30 連携要求部、31 連携処理決定部、32 送信時共通モデル取得部、33 共通モデル対応付け処理部、34 要求コマンド送信部、35 要求コマンド応答受信部、40 連携応答部、41 連携処理受信部、42 受信時共通モデル取得部、43 変換処理部、44 要求コマンド実行部、45 要求コマンド応答送信部、50 通信IF部、100 中央監視システム、101,121 CPU、102,122 RAM、103,123 ROM、104,124 通信IF、105 記憶装置、110,210 管理サーバ、120 空調コントローラ、125 I/O、130 電力計測コントローラ、140_1~140_4 温度センサ、150 室内機、160 電力量計、200 照明システム、220 照明コントローラ、230 照度センサ、240 照明器具、300 ネットワーク。