(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2025006280
(43)【公開日】2025-01-17
(54)【発明の名称】検査装置
(51)【国際特許分類】
G01N 21/90 20060101AFI20250109BHJP
【FI】
G01N21/90 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023106974
(22)【出願日】2023-06-29
(71)【出願人】
【識別番号】000106760
【氏名又は名称】CKD株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100111095
【弁理士】
【氏名又は名称】川口 光男
(72)【発明者】
【氏名】大谷 剛将
(72)【発明者】
【氏名】今泉 汐理
(72)【発明者】
【氏名】古田 貴弘
【テーマコード(参考)】
2G051
【Fターム(参考)】
2G051AA28
2G051AB15
2G051BA05
2G051CA03
2G051CA04
2G051CB01
2G051CC09
2G051DA06
2G051DA13
(57)【要約】
【課題】生産性の向上などを図ることができる検査装置を提供する。
【解決手段】チューブ容器2のうちの少なくともシール領域2xを含む内面は、紫外光に対し蛍光を生じない材料によって形成され、内容物Sはワセリンを有するものとされる。検査装置70は、チューブ容器2に内容物Sを充填した後かつチューブ容器2の開口部を封止する前に、チューブ容器2の内面に紫外光を照射し、アキシコンレンズ72を介して内容物Sを反射した紫外光を撮像する。そして、撮像により得られる画像に基づき、内容物Sの付着に係るシール領域2xの良否を判定する。内容物Sの漏出が生じやすい開口部の封止時よりも前の段階で検査を行うため、漏出した内容物Sを除去するための清掃をほぼ行わずに済み、生産性を高めることができる。また、画像において、シール領域2xと内容物Sとがより明確に区別可能となり、良好な検査能力を得ることができる。
【選択図】
図6
【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数のチューブ容器を並べて搬送しつつ、前記チューブ容器における端部の開口部を通して前記チューブ容器に内容物を充填する充填工程と、前記開口部をシールする封止工程とを行うことにより、前記チューブ容器に内容物が充填されてなるチューブ製品を製造するときに用いられ、前記チューブ容器の内面のうち前記封止工程にてシールされる予定の領域であるシール領域を検査可能な検査装置であって、
前記チューブ容器のうちの少なくとも前記シール領域を含む内面は、紫外光に対し蛍光を生じない材料によって形成されるとともに、
前記内容物は、ワセリンを有するものであり、
前記充填工程後かつ前記封止工程前に、少なくとも前記シール領域を含む前記チューブ容器の内面に対し紫外光を照射する照射手段と、
前記照射手段から照射された紫外光を撮像可能な撮像素子と、
前記照射手段から照射されて内容物を反射した紫外光を前記撮像素子に結像させる結像レンズと、
前記チューブ容器の前記開口部の鉛直上方において該チューブ容器と前記結像レンズとの間に配置され、前記照射手段から照射されて内容物を反射した紫外光の光路を前記結像レンズの光軸方向に沿った光路に変換させるように構成されたアキシコンレンズと、
前記撮像素子の撮像により得られる画像に基づき、内容物の付着に係る前記シール領域の良否を判定可能なシール領域良否判定手段とを備えることを特徴とする検査装置。
【請求項2】
前記アキシコンレンズは、内周面が該アキシコンレンズの光軸方向に延びる円筒面をなす一方、外周面が前記チューブ容器から遠ざかるにつれて外径が徐々に増大し該アキシコンレンズの光軸を中心軸とする円錐台面をなす中心穴円錐台部を備え、
前記チューブ容器に対する内容物の充填量が適正である場合、前記撮像素子によって、外側から内側に向けて、内容物の上面における外縁側部分に対応する外縁側領域、前記シール領域に対応するシール対応領域、及び、内容物の上面における中央側部分に対応する中央側領域がこの順序で存在する画像が得られるように構成されており、
前記画像における前記外縁側領域に基づき、前記チューブ容器に対する内容物の充填量を判定可能な充填量判定手段を備えることを特徴とする請求項1に記載の検査装置。
【請求項3】
前記画像における前記外縁側領域及び前記中央側領域のうちの少なくとも一方に基づき、前記チューブ容器に対する内容物の充填の有無に係る良否を判定可能な充填有無判定手段を備えることを特徴とする請求項2に記載の検査装置。
【請求項4】
前記画像における前記中央側領域の輝度を監視する輝度監視手段を備えることを特徴とする請求項2又は3に記載の検査装置。
【請求項5】
前記輝度監視手段により監視される輝度に異常が生じた場合に、該異常を修正するための対応を自動的に行う異常対応手段を備えることを特徴とする請求項4に記載の検査装置。
【請求項6】
前記結像レンズは、物体側テレセントリックレンズであることを特徴とする請求項1に記載の検査装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、チューブ容器に係る検査を行うための検査装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、半固体状の内容物(例えば、練り歯磨き、化粧品、食品など)を収容するための容器としてチューブ容器が知られている。チューブ容器の一端側には、チューブ容器を平らに押し潰した状態で封止すること等により形成されたシール部が設けられている。
【0003】
ところで、シール部の形成時においてチューブ容器の一端側内面(封止予定の領域)に内容物が付着している等の場合には、シール部における封止状態が不適切なものとなり、その結果、内容物の品質保持などの点で問題が生じ得る。そこで、シール部における封止状態を検査すべく、チューブ容器に係る検査装置を用いることがある。
【0004】
このような検査装置としては、チューブ容器を押圧する押圧機構と、押圧後のチューブ容器を撮影する撮影機構と、該撮影機構により得られた画像に基づきシール部の状態を判定する判定機構とを備えたものが提案されている(例えば、特許文献1等参照)。判定機構は、シール部における内容物の漏出の有無に基づき、シール部の良否を判定する。
【0005】
また、チューブ容器(被検査物体)に対し赤外光を放出する赤外光ヒータと、チューブ容器を透過した赤外光を撮像する赤外光カメラと、該赤外光カメラにより得られた透視画像に基づきシール部の状態を判定する画像処理装置とを備えた検査装置も知られている(例えば、特許文献2等参照)。画像処理装置は、内容物が存在する箇所と内容物が存在しない箇所とにおける赤外光の透過率の相違を利用して、シール部の良否を判定する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2010-78453号公報
【特許文献2】特開2006-64389号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、特許文献1に係る検査装置では、チューブ容器を押圧し、シール部から内容物が漏れるか否かに基づきシール部の良否を判定するため、シール部が不良である場合には、漏出した内容物による装置の汚損が生じ得る。そのため、シール部の不良が発生する都度、漏出した内容物を除去するための清掃が必要となり、生産性(生産能力)を高めることが難しい。尚、漏出した内容物の除去を行わない場合には、漏出した内容物を原因とする誤判定が生じるおそれがある。
【0008】
また、特許文献2に係る検査装置では、チューブ容器の押圧は行われないが、そもそもシール部からの内容物の漏出はシール部の形成時に生じやすいから、特許文献1に係る検査装置と同様に、漏出した内容物による装置の汚損が生じ得る。従って、特許文献2に係る検査装置においても、特許文献1に係る検査装置と同様の不具合が生じるおそれがある。
【0009】
本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであり、その目的は、生産性の向上などを図ることができる検査装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
以下、上記目的を解決するのに適した各手段につき、項分けして説明する。なお、必要に応じて対応する手段に特有の作用効果を付記する。
【0011】
手段1.複数のチューブ容器を並べて搬送しつつ、前記チューブ容器における端部の開口部を通して前記チューブ容器に内容物を充填する充填工程と、前記開口部をシールする封止工程とを行うことにより、前記チューブ容器に内容物が充填されてなるチューブ製品を製造するときに用いられ、前記チューブ容器の内面のうち前記封止工程にてシールされる予定の領域であるシール領域を検査可能な検査装置であって、
前記チューブ容器のうちの少なくとも前記シール領域を含む内面は、紫外光に対し蛍光を生じない材料によって形成されるとともに、
前記内容物は、ワセリンを有するものであり、
前記充填工程後かつ前記封止工程前に、少なくとも前記シール領域を含む前記チューブ容器の内面に対し紫外光を照射する照射手段と、
前記照射手段から照射された紫外光を撮像可能な撮像素子と、
前記照射手段から照射されて内容物を反射した紫外光を前記撮像素子に結像させる結像レンズと、
前記チューブ容器の前記開口部の鉛直上方において該チューブ容器と前記結像レンズとの間に配置され、前記照射手段から照射されて内容物を反射した紫外光の光路を前記結像レンズの光軸方向に沿った光路に変換させるように構成されたアキシコンレンズと、
前記撮像素子の撮像により得られる画像に基づき、内容物の付着に係る前記シール領域の良否を判定可能なシール領域良否判定手段とを備えることを特徴とする検査装置。
【0012】
上記手段1によれば、充填工程後かつ封止工程前に、照射手段によって、少なくともシール領域を含むチューブ容器の内面に対し紫外光が照射されるとともに、撮像素子によって、内容物を反射した紫外光に基づく画像が得られる。そして、シール領域良否判定手段によって、得られた画像に基づき、内容物の付着に係るシール領域の良否が判定される。従って、チューブ容器の開口部を封止してシール部を形成する前の段階、つまり、内容物の漏出が生じやすいシール部の形成時よりも前の段階で検査が行われるから、漏出した内容物による装置の汚損をより生じにくくすることができる。これにより、漏出した内容物を除去するための清掃をほぼ行わずに済み、生産性(生産能力)を高めることができる。
【0013】
また、上記手段1によれば、内容物はワセリンを有するものであるため、照射手段から照射される紫外光によって、内容物に蛍光を生じさせることができる。一方、チューブ容器の内面は、紫外光に対し蛍光を生じない材料によって形成されているため、シール領域に蛍光を生じさせないようにすることができる。これにより、撮像素子により得られた画像において、シール領域と該シール領域に付着した内容物とをより明確に区別可能な状態とすることができる。その結果、シール領域に付着した内容物をより確実に検出することができ、良好な検査能力を得ることができる。
【0014】
加えて、上記手段1によれば、アキシコンレンズを利用することによって、撮像素子によって得られる1枚の画像の中に、シール領域の全周を含ませることができる。従って、1回の撮像によって得られた1枚の画像によりシール領域の全周を検査することができ、検査効率を向上させることができる。また、検査効率の向上により、生産性(生産能力)をより高めることも可能となる。
【0015】
さらに、アキシコンレンズを利用することで、チューブ容器内に検査装置を挿入することなく、シール領域全周の検査を行うことが可能となるから、検査装置と内容物とが接触することを防止できる。これにより、検査装置の汚損及び汚損に伴う検査能力の低下をより確実に防止することができ、また、チューブ製品における良好な品質の確保を図ることができる。
【0016】
手段2.前記アキシコンレンズは、内周面が該アキシコンレンズの光軸方向に延びる円筒面をなす一方、外周面が前記チューブ容器から遠ざかるにつれて外径が徐々に増大し該アキシコンレンズの光軸を中心軸とする円錐台面をなす中心穴円錐台部を備え、
前記チューブ容器に対する内容物の充填量が適正である場合、前記撮像素子によって、外側から内側に向けて、内容物の上面における外縁側部分に対応する外縁側領域、前記シール領域に対応するシール対応領域、及び、内容物の上面における中央側部分に対応する中央側領域がこの順序で存在する画像が得られるように構成されており、
前記画像における前記外縁側領域に基づき、前記チューブ容器に対する内容物の充填量を判定可能な充填量判定手段を備えることを特徴とする手段1に記載の検査装置。
【0017】
上記手段2によれば、撮像素子により得られる画像を用いて、充填量判定手段により、チューブ容器に対する内容物の充填量に係る良否を判定することができる。例えば、外縁側領域に位置する内容物における幅や面積、基準位置からの距離などに基づき、内容物の充填量が適切であるか否かを判定することができる。従って、1枚の画像によって、シール領域の検査のみならず、充填量に関する検査をも行うことができるため、検査に係る効率性をより高めることができる。
【0018】
また、シール領域の検査を行うための検査装置と、内容物の充填量に係る検査を行うための検査装置とを別々に設ける場合と比べて、装置をより簡素化させることができる。これにより、製造コストの低減などを図ることができる。
【0019】
手段3.前記画像における前記外縁側領域及び前記中央側領域のうちの少なくとも一方に基づき、前記チューブ容器に対する内容物の充填の有無に係る良否を判定可能な充填有無判定手段を備えることを特徴とする手段2に記載の検査装置。
【0020】
上記手段3によれば、撮像素子により得られる画像を用いて、充填有無判定手段により、チューブ容器に対する内容物の充填の有無に係る良否を判定することができる。例えば、外縁側領域又は中央側領域に蛍光を生じる部分(すなわち内容物)が存在するか否かに基づき、内容物の充填の有無を判定することができる。従って、シール領域の検査と、内容物の充填の有無に係る検査とを1枚の画像によって一度に行うことができ、両検査に係る効率性を高めることができる。
【0021】
また、内容物の充填の有無に係る検査を行うための検査装置を別途設ける場合と比べて、装置を一層簡素化させることができ、製造コストの低減などをより効果的に図ることができる。
【0022】
手段4.前記画像における前記中央側領域の輝度を監視する輝度監視手段を備えることを特徴とする手段2又は3に記載の検査装置。
【0023】
上記手段4によれば、輝度監視手段によって、画像における中央側領域の輝度が監視される。ここで、通常(検査装置や内容物の異常等がない限り)、画像における中央側領域の輝度がほとんど変化しないため、中央側領域の輝度を監視することで、検査装置等における異常を早期に検知することができる。これにより、異常への対応(例えば、照射手段などの調節や修理など)をより早期に行うことが可能となる。
【0024】
手段5.前記輝度監視手段により監視される輝度に異常が生じた場合に、該異常を修正するための対応を自動的に行う異常対応手段を備えることを特徴とする手段4に記載の検査装置。
【0025】
上記手段5によれば、中央側領域の輝度に異常が生じた場合には、異常対応手段によって、該異常を修正するための対応が自動的に行われる。例えば、中央側領域の輝度が所定の輝度閾値よりも低下した場合には、画像における輝度の正常化を図るべく、カメラゲインやシャッタースピード、照明パワーなどを調整することが自動的に行われる。従って、異常の発生による検査能力の低下を抑えることができ、優れた検査能力をより確実に維持することができる。また、異常の修正が自動的に行われるから、異常対応のための時間や労力を低減させることができる。
【0026】
手段6.前記結像レンズは、物体側テレセントリックレンズであることを特徴とする手段1に記載の検査装置。
【0027】
上記手段6によれば、得られた画像において、チューブ容器の奥行方向における分解能を一定とすることができ、検査能力(検査精度)をより高めることができる。
【0028】
尚、上記各手段に係る技術事項を適宜組み合わせてもよい。従って、例えば、上記手段2又は3に係る技術事項に対し、上記手段6に係る技術事項を組み合わせてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0029】
【
図2】チューブ容器及びキャップを分離した状態のチューブ製品の斜視図である。
【
図4】検査装置の概略構成を示すブロック図である。
【
図5】検査装置の概略構成を示す斜視模式図である。
【
図6】検査装置の概略構成を示す一部破断正面模式図である。
【
図7】内容物の上面における外縁側部分に対応する紫外光と、該上面における中央側部分に対応する紫外光と、チューブ容器の内面に対応する紫外光とについて、アキシコンレンズにおける通過位置を示すための断面模式図である。
【
図8】画像における中央側領域、シール対応領域及び外縁側領域を示すための模式図である。
【
図9】シール領域や内容物に問題がない場合の画像を示す模式図である。
【
図10】内容物の充填量が不足している場合の画像を示す模式図である。
【
図11】内容物の充填量が過大である場合の画像を示す模式図である。
【
図12】シール領域に内容物が付着している場合の画像を示す模式図である。
【
図13】内容物が充填されていない場合の画像を示す模式図である。
【
図14】別の実施形態におけるチューブ製品の斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0030】
以下に、一実施形態について図面を参照しつつ説明する。まず、チューブ容器を有するチューブ製品について説明する。
【0031】
図1,2に示すように、チューブ製品1は、所定の内容物S(
図5,6等参照)が充填されてなるものであり、チューブ容器2及びキャップ3を備えている。尚、内容物Sは、外用医薬品や化粧用クリームなどの半固体状(ゲル状)のものであって、ワセリンを含有するものである。本実施形態において、ワセリンは、内容物Sにおける基材として用いられている。
【0032】
チューブ容器2は、一端部が閉塞した筒状をなしており、シール部21、肩部22及び出口部23を備えている。
【0033】
シール部21は、チューブ容器2の一端側開口部を閉塞して封止する部位である。シール部21は、例えば高温エアによる熱圧着を用いて、チューブ容器2の一端側開口部を平らに押し潰した状態で封止することにより形成されている。
【0034】
肩部22は、チューブ容器2の他端側に設けられており、チューブ容器2の他端に向けて外径が徐々に減少するテーパ状をなす部位である。肩部22は、チューブ容器2の側面が押圧されたときに、出口部23側へと内容物Sを案内可能に構成されている。
【0035】
出口部23は、肩部22の他端部に連続する筒状をなしており、チューブ容器2に収容された内容物Sの吐出口を構成するとともに、キャップ3の装着対象として機能する。本実施形態では、出口部23の外周に螺旋状の雄ねじ部23aが形成されており、この雄ねじ部23aを利用した螺合によって、出口部23へとキャップ3が装着されるようになっている。尚、キャップ3の装着手法として、螺合以外の手法(例えば、出口部23にキャップ3を外嵌めする手法など)を採用してもよい。
【0036】
本実施形態におけるチューブ容器2は、いわゆるラミネートチューブである。すなわち、チューブ容器2は、ガスバリア性や水蒸気バリア性などを有するラミネート多層シートを所定の大きさに切断し、その両側端を重ね合わせて接合することにより筒状体に形成した上で、該筒状体へと肩部22及び出口部23を構成する部品を熱融着させてなるものである。尚、チューブ容器2として、ラミネートチューブ以外の容器を用いてもよい。例えば、チューブ容器2として、射出成形等により、前記筒状体、肩部22及び出口部23を一体に成形してなる樹脂製チューブを用いてもよい。
【0037】
また、チューブ容器2のうちの少なくとも後述するシール領域2x(
図5,6における散点模様を付した領域)を含む内面は、紫外光に対し蛍光を生じない材料(例えば、ポリエチレンなど)によって形成されている。本実施形態では、チューブ容器2の内面全域が、紫外光に対し蛍光を生じない材料によって形成されている。
【0038】
次いで、上記チューブ製品1を製造するための製造装置40について説明する。
図3に示すように、製造装置40は、搬送装置50、充填装置60、検査装置70、排出装置80、加熱装置90、封止装置100及びトリミング装置110を備えている。
【0039】
搬送装置50は、出口部23にキャップ3が取付けられたチューブ容器2を、各装置60,70,80,90,100,110へと順次搬送する。搬送装置50は、一端側が上方に向く状態でチューブ容器2を保持可能な複数のホルダ51と、これらホルダ51を一定経路で移動させるための駆動装置(不図示)とを備えている。該駆動装置によりホルダ51を移動させることで、ホルダ51にセットされた複数のチューブ容器2が1列に並べられた状態で各装置60,70,80,90,100,110へと間欠的に搬送される。また、前記駆動装置は、所定位置にてホルダ51を上下動させる機能を備えており、この機能により、チューブ容器2は充填装置60や加熱装置90等の配置位置にて昇降する。尚、最上流部にてホルダ51により保持されるチューブ容器2は、未だシール部21が形成されておらず、一端側部分が上方に向けて開口しているものである。
【0040】
充填装置60は、チューブ容器2に対しその一端側開口部を通して内容物Sを充填する。充填装置60は、先端部から内容物Sが吐出可能な注入管61を備えている。充填装置60においては、ホルダ51の上昇により注入管61をチューブ容器2に挿入した状態とした上で、注入管61からチューブ容器2内へと内容物Sを注入しながらホルダ51を下降させることによって、チューブ容器2の一端側開口部から注入管61を引き抜きつつ、所定量の内容物Sがチューブ容器2に充填される。本実施形態では、充填装置60によりチューブ容器2に内容物Sを充填する工程が「充填工程」に相当する。尚、内容物Sの充填時には、チューブ容器2の次述するシール領域2xに対し内容物Sが付着することがあり得る。
【0041】
検査装置70は、チューブ容器2の内面のうち特にシール領域2xに対する内容物Sの付着に係る検査や、内容物Sの有無や充填量に係る検査を行う。シール領域2xとは、チューブ容器2の内面のうち、封止装置100によって該チューブ容器2の一端側開口部を封止してシール部21を形成するときに融着される領域、すなわち、シールされる予定の領域をいう。検査装置70の詳細については後述する。
【0042】
排出装置80は、検査装置70による不良判定に係るチューブ容器2を系外(搬送経路外)へと排出する。排出装置80を設けることで、該排出装置80よりも下流に位置する装置(加熱装置90など)に対し不良判定に係るチューブ容器2が送られることによる悪影響(例えば、不良判定に係るチューブ容器2から漏出した内容物Sが加熱装置90等に付着すること等)をより確実に防止可能である。
【0043】
加熱装置90は、例えば高温エアを用いることで、チューブ容器2における少なくともシール領域2xを加熱する。加熱装置90は、高温エア(
図3にて黒塗り矢印で示す)を側面から噴出可能な加熱部91を有しており、ホルダ51の上昇により、該加熱部91がチューブ容器2内に配置されるようになっている。そして、加熱部91がチューブ容器2内に配置された状態で、加熱部91から高温エアが噴出されることにより、少なくともシール領域2xの樹脂が加熱されて溶融される。シール領域2xの加熱溶融後には、ホルダ51の下降により、チューブ容器2から加熱部91が引き抜かれる。
【0044】
封止装置100は、チューブ容器2の一端部にシール部21を形成して、チューブ容器2の一端側開口部をシールする。封止装置100は、チューブ容器2の一端部を挟み込み可能な押圧部101を備えている。そして、該押圧部101により、加熱溶融したシール領域2xを挟み込んで平らに押し潰し、シール領域2xの内面同士を圧着させることでシール部21が形成される。尚、封止装置100に、加熱機能を設けることとしてもよい。本実施形態では、封止装置100によってチューブ容器2の一端側開口部をシールする工程が「封止工程」に相当する。
【0045】
トリミング装置110は、形成されたシール部21における余計な部分をカットするためのトリミング処理を行う。トリミング処理を行うことで最終的に得られたチューブ製品1は、個包装箱やシュリンクフィルムなどで包装された後、段ボール等に箱詰めされて出荷される。
【0046】
次いで、検査装置70について説明する。検査装置70は、充填装置60による内容物Sの充填後かつ封止装置100によるシール部21の形成前に、シール領域2xに対する内容物Sの付着に係る検査などを行う。検査装置70は、
図4~6に示すように、照明装置71、アキシコンレンズ72、結像レンズ73、カメラ74及び画像処理装置75を備えている。本実施形態では、照明装置71が「照射手段」を構成する。
【0047】
照明装置71は、シール領域2xを含むチューブ容器2の内面や充填された内容物Sの上面に対し紫外光を照射するためのものである。照明装置71は、平面視円環状のリング照明によって構成されており、チューブ容器2の上方であって、かつ、平面視したときに該チューブ容器2における一端側開口部を取り囲む位置に配置されている。そして、チューブ容器2に対する内容物Sの充填量が適正である限り、照明装置71によって、チューブ容器2における一端側(上端側)の内周面全域と内容物Sの上面全域とに対し、チューブ容器2の斜め上方から紫外光が照射されるようになっている。尚、紫外光としては、例えば、300nm~400nmの範囲にピーク波長を有する光を用いることができる。
【0048】
アキシコンレンズ72は、チューブ容器2の一端側開口部の鉛直上方において該チューブ容器2と結像レンズ73との間に配置されており、照明装置71から照射されて内容物Sを反射した紫外光の光路を結像レンズ73の光軸OA2方向に沿った光路に変換させる。アキシコンレンズ72は、チューブ容器2の一端側開口部の外径よりも大きな外径を有しており、該一端側開口部を上方から覆うようにして設けられている。また、アキシコンレンズ72は、チューブ容器2の直近傍位置(例えば、チューブ容器2の上端から15~30mm以内の位置)に設けられている。さらに、アキシコンレンズ72は、チューブ容器2側に、中心穴円錐台部72aを備えている。
【0049】
中心穴円錐台部72aは、内周面が該アキシコンレンズ72の光軸OA1方向に延びる円筒面をなす一方、外周面がチューブ容器2から遠ざかるにつれて外径が徐々に増大し前記光軸OA1を中心軸とする円錐台面をなすものである。より簡単に言えば、中心穴円錐台部72aは、円錐の中心部に平面視円形の穴を設けた形状をなすものである。中心穴円錐台部72aの内径(中心部に設けられた穴の内径)は、チューブ容器2の一端側開口部の内径よりも小さなものとなるように構成されている。
【0050】
そして、チューブ容器2との関係でアキシコンレンズ72を上記のように構成するとともに、光軸OA1に対する前記円錐台面の傾斜角度を適切に設定すること等によって、チューブ容器2に対する内容物Sの充填量が適正である場合、内容物Sの上面における外縁側部分に対応する紫外光などが、次のようにしてカメラ74(後述する撮像素子74a)へと到達するようになっている。すなわち、内容物Sの上面における外縁側部分に対応する紫外光は中心穴円錐台部72aにおける前記円錐台面の外周側を、シール領域2xを含むチューブ容器2の内面に対応する紫外光は前記円錐台面の内周側を、内容物Sの上面における中央側部分に対応する紫外光は中心穴円錐台部72aにおける中央の穴部分を、それぞれ通ってカメラ74(後述する撮像素子74a)に到達するようになっている(
図7参照)。
【0051】
その結果、カメラ74(後述する撮像素子74a)によって得られる画像には、外側から内側に向けて、外縁側領域AS1、シール対応領域Ax及び中央側領域AS2がこの順序で存在するようになっている(
図8参照)。
【0052】
外縁側領域AS1は、チューブ容器2に充填された内容物Sの上面における外縁側部分に対応する領域(
図8にて格子模様を付した領域)である。外縁側領域AS1は、チューブ容器2に対する内容物Sの充填量に係る良否を判定するために利用される。
【0053】
シール対応領域Axは、チューブ容器2におけるシール領域2xに対応する領域(
図8にて散点模様を付した領域)である。シール対応領域Axは、シール領域2xに対する内容物Sの付着に係る良否を判定するために利用される。
【0054】
中央側領域AS2は、チューブ容器2に充填された内容物Sの上面における中央側部分に対応する領域(
図8にて斜線を付した領域)である。中央側領域AS2は、チューブ容器2に対する内容物Sの充填の有無に係る良否を判定するために利用される。
【0055】
このように、アキシコンレンズ72を利用することで、カメラ74(後述する撮像素子74a)により得られる1枚の画像の中に、チューブ容器2や内容物Sの検査に利用される複数の領域が含まれるようになっている。
【0056】
結像レンズ73は、照明装置71から照射されて内容物Sを反射し、アキシコンレンズ72を透過した紫外光をカメラ74の後述する撮像素子74aに結像させるためのものである。結像レンズ73は、アキシコンレンズ72及びカメラ74間に配置されており、結像レンズ73の光軸OA2は、アキシコンレンズ72の光軸OA1と一致した状態となっている。
【0057】
また、結像レンズ73は、物体側テレセントリック光学系となるように構成されている。つまり、結像レンズ73は、チューブ容器2側において光軸OA2と主光線とが平行となるように構成されている。
【0058】
カメラ74は、結像レンズ73の鉛直上方に配置されており、少なくとも照明装置71から照射される紫外光に感度のあるカメラ(例えばCCDカメラやCMOSカメラ等)によって構成されている。カメラ74は、シャッタースピードやカメラゲインを遠隔制御可能に構成されている。また、カメラ74は、撮像素子74aを備えている。尚、カメラ74は、結像レンズ73から撮像素子74aに入る紫外光の量を制限することで、撮像素子74aに結像される紫外光を調節するための絞りを有するものであってもよい。
【0059】
撮像素子74aは、例えばCCDエリアセンサやCMOSセンサなどによって構成されており、照明装置71から照射された紫外光を撮像する。撮像素子74aは、複数の受光素子が行列状に二次元配列された受光面を有しており、該受光面は光軸OA2と直交した状態となるように設定されている。カメラ74による撮像処理が行われることで、撮像素子74aによって画像(画像データ)が取得される。取得された画像(画像データ)は、画像処理装置75へと送られる。
【0060】
カメラ74(撮像素子74a)により得られる画像(画像データ)は、各画素の輝度についての情報を有する輝度画像データである。ここで、上記の通り、内容物Sはワセリンを含むため、内容物Sは紫外光に対し蛍光を生じる。一方、シール領域2xを含むチューブ容器2の内面は紫外光に対し蛍光を生じない材料によって形成されているから、該内面は紫外光に対し蛍光を生じない。
【0061】
そのため、内容物Sの充填量に問題がない場合、得られる輝度画像データの外縁側領域AS1には、内容物Sの上面外縁側に生じた蛍光により、所定値以上の輝度を有する高輝度部分BA1が存在することとなる(
図9参照。
図9では、高輝度部分BA1を白塗りで、低輝度部分を散点模様で、それぞれ示す)。そして、この高輝度部分BA1は、所定の基準位置(例えば、中央側領域AS2の中心など)からの距離K1が所定範囲内に収まるものとなる。
【0062】
また、シール領域2xに内容物Sが付着していない等、シール領域2xに対する内容物Sの付着に関し問題がない場合、輝度画像データのシール対応領域Axには、所定面積以上の高輝度部分が存在せず、低輝度部分Dxがほぼ全域に広がる状態となる(
図9参照。)。
【0063】
さらに、内容物Sが充填されている場合、輝度画像データの中央側領域AS2には、内容物Sの上面中央側に生じた蛍光により、所定値以上の輝度を有する略円形の高輝度部分BA2が存在することとなる(
図9参照)。
【0064】
一方、内容物Sの充填量が過度に少ない又は多い場合、つまり、内容物Sの充填量に問題がある場合、輝度画像データの外縁側領域AS1においては、所定の基準位置(例えば、中央側領域AS2の中心など)から高輝度部分BA1までの距離K1が過度に大きなもの又は小さなものとなる(
図10,11参照)。尚、基準位置から高輝度部分BA1までの距離K1が過度に大きなものとなっている状態(
図10に示す状態)は、チューブ容器2の一端側開口部に対し内容物Sが過度に離れている状態であり、内容物Sの充填量が不足している状態である。一方、基準位置から高輝度部分BA1までの距離が過度に小さなものとなっている状態(
図11に示す状態)は、チューブ容器2の一端側開口部に対し内容物Sが過度に接近している状態であり、内容物Sの充填量が過大となっている状態である。
【0065】
さらに、シール領域2xに対する内容物Sの付着が生じている場合、輝度画像データのシール対応領域Axには、付着した内容物Sに生じた蛍光により、低輝度部分Dxの中に、所定面積以上の高輝度部分Bxが浮かび上がるような状態となる(
図12参照)。
【0066】
加えて、内容物Sが充填されていない場合、輝度画像データの中央側領域AS2には、高輝度部分BA2が存在せず、中央側領域AS2の全域が低輝度となる(
図13参照)。
【0067】
尚、本実施形態において、チューブ容器2には、ラミネート多層シートの両側端を重ね合わせて接合することにより形成された張り合わせ線2h(
図5参照)が存在しているが、チューブ容器2の内面は紫外光に対し蛍光を生じない材料によって形成されているため、この張り合わせ線2hは画像内に全く又はほとんど表れない。従って、チューブ容器2の内面を紫外光に対し蛍光を生じない材料によって形成することは、張り合わせ線2hによる検査精度の低下を防止するという点でも有効である。
【0068】
画像処理装置75は、所定の演算処理を実行するCPU(Central Processing Unit)、各種プログラムや固定値データ等を記憶するROM(Read Only Memory)、各種演算処理の実行に際して各種データが一時的に記憶されるRAM(Random Access Memory)及びこれらの周辺回路等を含んだコンピュータなどからなる。
【0069】
画像処理装置75は、
図4に示すように、CPUが各種プログラムに従って動作することで、後述するメイン制御部751、照明制御部752、カメラ制御部753、表示制御部754、画像取得部755、判定部756、輝度監視部757、異常対応部758などの各種機能部として機能する。本実施形態では、輝度監視部757が「輝度監視手段」を構成し、異常対応部758が「異常対応手段」を構成する。
【0070】
但し、上記各種機能部は、上記CPU、ROM、RAMなどの各種ハードウェアが協働することで実現されるものであり、ハード的又はソフト的に実現される機能を明確に区別する必要はなく、これらの機能の一部又は全てがICなどのハードウェア回路により実現されてもよい。
【0071】
さらに、画像処理装置75には、キーボードやマウス、タッチパネル等で構成される入力部75a、液晶ディスプレイ等で構成され、各種情報を表示可能な表示画面を備えた表示部75b、各種データやプログラム、演算結果、検査結果等を記憶可能な記憶部75c、外部と各種データを送受信可能な通信部75dなどが設けられている。
【0072】
まず、画像処理装置75を構成する上記各種機能部に先立って、表示部75b、記憶部75c及び通信部75dについて説明する。
【0073】
表示部75bは、記憶部75cに記憶された各種情報を表示可能に構成されている。従って、表示部75bでは、カメラ74により得られた画像や良否判定に用いられる閾値(例えば、後述する閾値L1,S1,D1など)、良否判定結果などを表示可能である。
【0074】
記憶部75cは、HDD(Hard Disk Drive)やSSD(Solid State Drive)等で構成されており、例えば、画像(画像データ)や良否判定結果を記憶する。また、記憶部75cには、良否判定に用いられる閾値である輝度閾値L1,L2、面積閾値S1及び距離閾値D1,D2並びに上記各領域AS1,AS2,Axを特定するための情報なども記憶されている。尚、L1<L2であり、D1<D2である。
【0075】
通信部75dは、例えば有線LAN(Local Area Network)や無線LAN等の通信規格に準じた無線通信インターフェースなどを備え、外部と各種データを送受信可能に構成されている。例えば後述するシール領域良否判定部756aにより行われた良否判定結果などが通信部75dを介して外部(例えば排出装置80)に出力される。
【0076】
次いで、画像処理装置75を構成する上記各種機能部についてより詳しく説明する。
【0077】
メイン制御部751は、検査装置70全体の制御を司る機能部であり、照明制御部752やカメラ制御部753など他の機能部と各種信号を送受信可能に構成されている。
【0078】
照明制御部752は、メイン制御部751からの指令信号に基づき、照明装置71を制御する機能部である。
【0079】
カメラ制御部753は、カメラ74を制御する機能部であり、メイン制御部751からの指令信号に基づき、カメラ74による撮像タイミング、カメラゲイン及びシャッタースピードなどを制御する。
【0080】
表示制御部754は、記憶部75cに記憶された情報に基づき、表示部75bにおける表示内容を制御する。
【0081】
画像取得部755は、カメラ74により撮像され取得された画像(輝度画像データ)を取り込むための機能部である。
【0082】
判定部756は、カメラ74により得られた輝度画像データに基づき、シール領域2xに対する内容物Sの付着、並びに、内容物Sの充填量及び有無について、これらの良否を判定する機能部である。判定部756は、シール領域良否判定部756a、充填量判定部756b及び充填有無判定部756cを備えている。本実施形態では、シール領域良否判定部756aが「シール領域良否判定手段」を構成し、同様に、充填量判定部756bが「充填量判定手段」を、充填有無判定部756cが「充填有無判定手段」を、それぞれ構成する。
【0083】
シール領域良否判定部756aは、カメラ74(撮像素子74a)の撮像により得られる画像に基づき、内容物Sの付着に係るシール領域2xの良否を判定する。より詳しくは、シール領域良否判定部756aは、記憶部75cに記憶された情報に基づき、画像におけるシール対応領域Axを特定するとともに、該シール対応領域Ax内における輝度閾値L1よりも高い輝度を有する高輝度部分Bx(つまり、付着した内容物Sに対応する部分)を特定する。その上で、シール領域良否判定部756aは、特定した高輝度部分Bxの面積(画素数)が面積閾値S1未満である場合に、シール領域2xに対する内容物Sの付着に係る問題はないとして、シール領域2xを「良」と判定する。一方、シール領域良否判定部756aは、高輝度部分Bxの面積(画素数)が面積閾値S1以上である場合に、シール領域2xに対し内容物Sが付着しているとして、シール領域2xを「不良」と判定する。
【0084】
シール領域2xが「不良」と判定された場合、通信部75dを介して画像処理装置75から排出装置80へと不良判定がなされた旨の信号が送られる。この信号を受信することにより、排出装置80は、不良判定に係るチューブ容器2を系外へと排出する。
【0085】
充填量判定部756bは、画像における外縁側領域AS1に基づき、チューブ容器2に対する内容物Sの充填量を判定する。より詳しくは、充填量判定部756bは、記憶部75cに記憶された情報に基づき、画像における外縁側領域AS1を特定するとともに、該外縁側領域AS1内における輝度閾値L1よりも高い輝度を有する高輝度部分BA1(つまり、内容物Sに対応する部分)を特定する。その上で、充填量判定部756bは、所定の基準位置(例えば、中央側領域AS2の中心など)から高輝度部分BA1までの距離K1に対応する値(距離対応値)を算出する。本実施形態では、距離対応値として、距離K1の平均距離が算出される。尚、距離対応値として、前記基準位置から高輝度部分BA1までの最大距離や最小距離などを算出してもよい。勿論、距離対応値として、高輝度部分BA1の面積や幅に係る値を算出してもよい。また、前記基準位置として、チューブ容器2の一端側開口部を用いてもよい。
【0086】
その上で、充填量判定部756bは、算出した距離対応値が距離閾値D1以上かつ距離閾値D2以下である場合、内容物Sの充填量は適切であるとして、内容物Sの充填量を「良」と判定する。
【0087】
一方、充填量判定部756bは、算出した距離対応値が距離閾値D1未満である場合、内容物Sの充填量が過大であるとして、内容物Sの充填量を「不良」と判定する。また、充填量判定部756bは、算出した距離対応値が距離閾値D2超である場合、内容物Sの充填量が不足しているとして、内容物Sの充填量を「不良」と判定する。内容物Sの充填量が「不良」と判定された場合、画像処理装置75から排出装置80へと不良判定がなされた旨の信号が送られることで、排出装置80によって、不良判定に係るチューブ容器2が系外へと排出される。
【0088】
充填有無判定部756cは、画像における中央側領域AS2に基づき、チューブ容器2に対する内容物Sの充填の有無を判定する。より詳しくは、充填有無判定部756cは、記憶部75cに記憶された情報に基づき、画像における中央側領域AS2を特定するとともに、該中央側領域AS2内に輝度閾値L1よりも高い輝度を有する高輝度部分BA2(つまり、内容物Sに対応する部分)が存在するか否かを判定する。
【0089】
そして、充填有無判定部756cは、中央側領域AS2内に高輝度部分BA2が存在している場合、内容物Sが充填されているとして、内容物Sの充填の有無に関し「良」と判定する。一方、充填有無判定部756cは、中央側領域AS2内に高輝度部分BA2が存在していない場合、内容物Sが充填されていないとして、内容物Sの充填の有無に関し「不良」と判定する。内容物Sの充填の有無に関し「不良」と判定された場合、画像処理装置75から排出装置80へと不良判定がなされた旨の信号が送られることで、排出装置80によって、不良判定に係るチューブ容器2が系外へと排出される。
【0090】
尚、不良判定の種別に応じて(つまり、不良判定が、シール領域2xに対する内容物Sの付着に係るものか、内容物Sの充填量に係るものか、又は、内容物Sの充填の有無に係るものかに応じて)、排出装置80によるチューブ容器2の排出先が異なるものとなるように構成してもよい。また、不良判定が、シール領域2xに対する内容物Sの付着に係るもの又は内容物Sの充填量に係るものである場合に、排出されたチューブ容器2が一端側開口部を上方に向けて立った状態で保持される(つまり、チューブ容器2が検査時と同様の状態で維持される)ように構成してもよい。
【0091】
輝度監視部757は、画像における中央側領域AS2の輝度を監視する。本実施形態において、輝度監視部757は、画像における中央側領域AS2(つまり高輝度部分BA2)の輝度(最高輝度)を計測するとともに、計測した輝度が輝度閾値L2以上であるか否かを判定する。そして、輝度監視部757は、計測した輝度が輝度閾値L2以上である場合、輝度に異常はないと判定する。
【0092】
一方、輝度監視部757は、計測した輝度が輝度閾値L2未満であることが所定数のチューブ容器2において連続して生じた場合、例えば照明装置71の出力低下等により、輝度に異常があると判定する。そして、輝度監視部757は、輝度に異常があると判定した場合、その旨の信号(輝度異常信号)を異常対応部758へと送る。ここで、上記の通り、輝度閾値L2は輝度閾値L1よりも大きなものとされているから、計測した輝度が輝度閾値L2未満を若干下回ったとしても、基本的には各判定部756a,756b,756cによる良否判定に支障は生じない。
【0093】
尚、輝度監視部757は、輝度に異常があると判定した場合、例えば表示部75bなどを用いてその旨を外部に報知可能に構成されていてもよい。このように構成する場合には、必ずしも異常対応部758を設ける必要はなく、輝度監視部757から異常対応部758へと輝度異常信号を送る必要もない。
【0094】
異常対応部758は、輝度監視部757により監視される輝度に異常が生じた場合(本実施形態では、輝度異常信号を受信した場合)に、該異常を修正するための対応を自動的に行うものである。本実施形態において、異常対応部758は、輝度異常信号を受信すると、所定の異常対応処理を行う。異常対応処理としては、メイン制御部751や照明制御部752を介して照明装置71における出力(照明パワー)を増大させる処理、メイン制御部751やカメラ制御部753を介してカメラ74におけるカメラゲインの増大やシャッタースピードの低速化を図る処理などを挙げることができる。
【0095】
以上詳述したように、本実施形態によれば、チューブ容器2の一端側開口部を封止してシール部21を形成する前の段階、つまり、内容物Sの漏出が生じやすいシール部21の形成時よりも前の段階で検査が行われるから、漏出した内容物Sによる検査装置70の汚損をより生じにくくすることができる。これにより、漏出した内容物Sを除去するための清掃をほぼ行わずに済み、生産性(生産能力)を高めることができる。
【0096】
また、内容物Sはワセリンを有するものである一方、チューブ容器2の内面は紫外光に対し蛍光を生じない材料によって形成されている。そのため、照明装置71から照射される紫外光によって内容物Sに蛍光を生じさせることができる一方、シール領域2xに蛍光を生じさせないようにすることができる。これにより、撮像素子74aにより得られた画像において、シール領域2xと内容物Sとをより明確に区別可能な状態とすることができる。その結果、シール領域2xに付着した内容物Sをより確実に検出することができ、良好な検査能力を得ることができる。
【0097】
加えて、アキシコンレンズ72を利用することによって、撮像素子74aによって得られる1枚の画像の中に、シール領域2xの全周を含ませることができる。従って、1回の撮像によって得られた1枚の画像によりシール領域2xの全周を検査することができ、検査効率を向上させることができる。また、検査効率の向上により、生産性(生産能力)をより高めることも可能となる。
【0098】
さらに、アキシコンレンズ72を利用することで、チューブ容器2内に検査装置70を挿入することなく、シール領域2x全周の検査を行うことが可能となるから、検査装置70と内容物Sとが接触することを防止できる。これにより、検査装置70の汚損及び汚損に伴う検査能力の低下をより確実に防止することができ、また、チューブ製品1における良好な品質確保を図ることができる。
【0099】
併せて、撮像素子74aにより得られる画像を用いて、充填量判定部756bにより、チューブ容器2に対する内容物Sの充填量に係る良否を判定することができる。従って、1枚の画像によって、シール領域2xの検査のみならず、充填量に関する検査をも行うことができるため、検査に係る効率性をより高めることができる。
【0100】
加えて、撮像素子74aにより得られる画像を用いて、充填有無判定部756cにより、チューブ容器2に対する内容物Sの充填の有無に係る良否を判定することができる。従って、シール領域2xの検査と、内容物Sの充填の有無に係る検査とを1枚の画像によって一度に行うことができ、両検査に係る効率性を高めることができる。
【0101】
さらに、シール領域2xの検査を行うための検査装置と、内容物Sの充填量に係る検査を行うための検査装置と、内容物Sの充填の有無に係る検査を行うための検査装置とを別々に設ける場合と比べて、装置(製造装置40)をより簡素化させることができる。これにより、製造コストの低減などを効果的に図ることができる。
【0102】
また、輝度監視部757によって、画像における中央側領域AS2の輝度が監視される。ここで、通常(検査装置70や内容物Sの異常等がない限り)、中央側領域AS2の輝度がほとんど変化しないため、中央側領域AS2の輝度を監視することで、検査装置70等における異常を早期に検知することができる。これにより、異常への対応(例えば、照明装置71などの調節や修理など)をより早期に行うことが可能となる。
【0103】
加えて、本実施形態では、中央側領域AS2の輝度に異常が生じた場合には、異常対応部758によって、該異常を修正するための対応が自動的に行われる。従って、異常の発生による検査能力の低下を抑えることができ、優れた検査能力をより確実に維持することができる。また、異常の修正が自動的に行われるから、異常対応のための時間や労力を低減させることができる。
【0104】
さらに、結像レンズ73は物体側テレセントリックレンズであるため、得られた画像において、チューブ容器2の奥行方向における分解能を一定とすることができる。その結果、検査能力(検査精度)をより高めることができる。
【0105】
尚、上記実施形態の記載内容に限定されず、例えば次のように実施してもよい。勿論、以下において例示しない他の応用例、変更例も当然可能である。
【0106】
(a)上記実施形態において、充填有無判定部756cは、中央側領域AS2に基づき、チューブ容器2に対する内容物Sの充填の有無を判定しているが、外縁側領域AS1に基づき、チューブ容器2に対する内容物Sの充填の有無を判定するものであってもよい。例えば、充填有無判定部756cは、外縁側領域AS1内に輝度閾値L1よりも高輝度の領域が存在するか否かに基づき、内容物Sの充填の有無を判定するものであってもよい。勿論、充填有無判定部756cは、中央側領域AS2及び外縁側領域AS1の双方に基づき、内容物Sの充填の有無を判定するものであってもよい。
【0107】
(b)上記実施形態において、チューブ容器2のシール部21は、チューブ容器2の一端側開口端を平らに押し潰した状態で封止することにより形成されている。これに対し、
図14に示すように、チューブ容器2のシール部21は、チューブ容器2の一端側開口部を折り曲げることによって形成されたものであってもよい。
【0108】
(c)上記実施形態において、加熱装置90は、高温エアによりチューブ容器2の加熱溶融を行うように構成されているが、高温エア以外によって、チューブ容器2の加熱溶融を行うものであってもよい。従って、加熱装置90は、例えば超音波などを用いて、チューブ容器2の加熱溶融を行うものであってもよい。
【0109】
(d)上記実施形態において、判定部756は、充填量判定部756b及び充填有無判定部756cを備えているが、両判定部756b,756cのうちの一方のみを備えるものであってもよい。また、判定部756は、両判定部756b,756cを備えず、シール領域良否判定部756aのみを備えるものであってもよい。
【0110】
(e)上記実施形態において、判定部756は、内容物Sの充填量や充填の有無についての検査を行うための判定部756b,756cを備えているが、これらに加えて、撮像素子74aの撮像により得られた画像に基づき、内容物Sの上面に対する異物(特に紫外光に対し蛍光を生じないもの)の付着に係る良否判定を行う異物付着判定部を備えていてもよい。この場合、1枚の画像に基づき、シール領域2xや内容物Sに係る検査とともに、異物の付着に関する検査をも行うことができる。これにより、検査効率の向上や製造装置40の簡素化をより図ることができる。尚、判定部756b,756cのうちの少なくとも一方に代えて、異物付着判定部を設けてもよい。
【0111】
(f)上記実施形態において、内容物Sは半固体状とされているが、内容物Sを液体状としてもよい。
【0112】
(g)検査装置70は、充填装置60による内容物Sの充填後かつカメラ74(撮像素子74a)による撮像前に、シール部21の形成時と同様にチューブ容器2の一端部を挟み込み可能な事前押圧部を備えるものであってもよい。そして、事前押圧部によりチューブ容器2の一端部を一時的に挟み込んだ後、チューブ容器2の一端部を再度開口させた状態で、カメラ74(撮像素子74a)による撮像を行うように構成してもよい。
【0113】
事前押圧部によりチューブ容器2を挟み込むことで、シール部21を形成する際における内容物Sの広がり(移動)を考慮した、シール領域2xに対する内容物Sの付着に係る検査を行うことが可能となる。これにより、検査精度をより高めることができる。
【符号の説明】
【0114】
1…チューブ製品、2…チューブ容器、2x…シール領域、21…シール部、70…検査装置、71…照明装置(照射手段)、72…アキシコンレンズ、72a…中心穴円錐台部、73…結像レンズ、74a…撮像素子、756a…シール領域良否判定部(シール領域良否判定手段)、756b…充填量判定部(充填量判定手段)、756c…充填有無判定部(充填有無判定手段)、757…輝度監視部(輝度監視手段)、758…異常対応部(異常対応手段)、AS1…外縁側領域、AS2…中心側領域、Ax…シール対応領域、S…内容物。