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  • 特開-電池モジュールケース 図1
  • 特開-電池モジュールケース 図2
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2025006297
(43)【公開日】2025-01-17
(54)【発明の名称】電池モジュールケース
(51)【国際特許分類】
   H01M 50/271 20210101AFI20250109BHJP
   H01M 50/204 20210101ALI20250109BHJP
【FI】
H01M50/271 S
H01M50/204 401F
【審査請求】未請求
【請求項の数】1
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023107003
(22)【出願日】2023-06-29
(71)【出願人】
【識別番号】000003207
【氏名又は名称】トヨタ自動車株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110003199
【氏名又は名称】弁理士法人高田・高橋国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】村田 崇
(72)【発明者】
【氏名】薮田 裕己
【テーマコード(参考)】
5H040
【Fターム(参考)】
5H040AA37
5H040AY08
5H040NN03
(57)【要約】
【課題】内部で発生したガスがケース側面又はケース底面から隣接する電池モジュールの方に勢い良く放出されることを適切に抑制可能とする。
【解決手段】電池モジュールケースは、複数の電池セルを収容している。電池モジュールケースは、底板部と、天板部と、複数の壁部と、表面板とを備える。天板部は、複数の貫通孔を有する。複数の壁部は、底板部と天板部の間を接続している。表面板は、複数の貫通孔を覆うように天板部の上に配置され、天板部よりも低い強度を有するように構成されている。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の電池セルを収容する電池モジュールケースであって、
底板部と、
複数の貫通孔を有する天板部と、
前記底板部と前記天板部の間を接続する複数の壁部と、
前記複数の貫通孔を覆うように前記天板部の上に配置され、前記天板部よりも強度の低い表面板と、
を備えることを特徴とする電池モジュールケース。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、複数の電池セルを収容する電池モジュールケースに関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1は、内圧が設定圧力を越えると開弁する排出弁を有する電池セルと、電池セルを収納してなるケースと、を備えるパック電池を開示している。ケースは、樹脂製の多孔板で閉塞された開口部を有する。多孔板は、複数の貫通穴を有し、複数枚を積層して排出ガスの膨張隙間を形成している。また、多孔板に設けてなる貫通穴は、隣接する他の多孔板に設けてなる貫通穴と対向しない非対向位置に配置されている。多孔板に設けてなる貫通穴と膨張隙間とを通過して排出弁の排出ガスがケースの外部に排出される。
【0003】
また、特許文献2は、複数の電池セルを収容するケースとして、金属板材で形成された底壁及び側壁と、樹脂により形成された上面板とを有する外ケースを開示している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】国際公開第2020/153017号
【特許文献2】特開2012-022895号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
車両では、複数の電池セルを収容するケース(電池モジュールケース)を有する電池モジュールが複数搭載され得る。このように搭載された電池モジュールでは、ケース内部で発生したガスが当該ケースの側面又は底面から隣接する電池モジュールの方に勢い良く放出されることを適切に抑制できることが望まれる。
【0006】
本開示は、上述のような課題に鑑みてなされたものであり、内部で発生したガスがケース側面又はケース底面から隣接する電池モジュールの方に勢い良く放出されることを適切に抑制可能な電池モジュールケースを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本開示に係る電池モジュールケースは、複数の電池セルを収容している。電池モジュールケースは、底板部と、天板部と、複数の壁部と、表面板とを備える。天板部は、複数の貫通孔を有する。複数の壁部は、底板部と天板部の間を接続している。表面板は、複数の貫通孔を覆うように天板部の上に配置され、天板部よりも低い強度を有するように構成されている。
【発明の効果】
【0008】
本開示に係る電池モジュールケースによれば、天板部に形成された複数の貫通孔が、天板部よりも強度の低い表面板によって覆われている。このような構造によれば、電池モジュールから発生したガスを電池モジュールケースの側面又は底面からではなく上面から放出し易くすることができる。これにより、当該ガスが当該側面又は底面から隣接する電池モジュールの方に勢い良く放出されることを適切に抑制できるようになる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】実施の形態に係る電池モジュールケースの要部の構造を示す斜視図である。
図2】実施の形態に係る電池モジュールケースの要部の構造を示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
添付図面とともに本開示の実施の形態を説明する。
【0011】
1.電池モジュールケースの構成
図1及び図2は、それぞれ、実施の形態に係る電池モジュールケース1の要部の構造を示す斜視図である。電池モジュールケース1を有する電池モジュール100は、例えば、バッテリ電気自動車(BEV)又はハイブリッド電気自動車(HEV)等の車両に搭載されている。より詳細には、車両には、複数の電池モジュール100が並んで搭載されている。
【0012】
電池モジュールケース(又は、単にケース)1は、ケース本体10と表面板20とを含む。図1は、ケース本体10から表面板20が取り外されている状態を示し、図2は、ケース本体10に表面板20が取り付けられている状態を示している。ケース本体10の内部には、複数の電池セル(図示省略)が収容されている。なお、各電池セルは、内圧が上昇した際に開いてガスを逃す安全弁を備えている。
【0013】
ケース本体10は、底板部12と、天板部14と、複数の(例えば、4つの)壁部16と、からなる。4つの壁部16は、底板部12と天板部14との間を接続している。一例として、ケース本体10は直方体形状を有する。ケース本体10は、アルミニウム等の金属材料で形成されている。より詳細には、ケース本体10は、金属容器構造を有しており、底板部12及び4つの壁部16が一体的に形成されている。そして、天板部14は、一体的に形成された底板部12及び4つの壁部16に取り付けられている。
【0014】
図1に示すように、天板部14は、複数の貫通孔18を有する。複数の貫通孔18のそれぞれは、天板部14を貫通するように形成されている。より詳細には、各貫通孔18の形状は任意であるが、図1に示す一例では、各貫通孔18は、ケース本体10の長手方向に沿って延びる長孔として形成されている。
【0015】
上述のように、ケース本体10は、当該ケース本体10を構成する6面のうち、天面を構成する天板部14にのみ外殻を貫通する複数の貫通孔18が設けられており、残りの5面の何れにも貫通孔は設けられていない。
【0016】
表面板20は、複数の貫通孔18を覆う(換言すると、塞ぐ)ように天板部14の上に配置されている。そして、表面板20は、天板部14と比べて強度が低くなるように構成されている。
【0017】
具体的には、表面板20が天板部14と比べて低い強度を有するために、表面板20は、次のように構成されている。すなわち、表面板20は、天板部14よりも薄い厚みを有するように形成されている。また、表面板20は、ミシン目形状又はノッチ形状等の破壊の起点となり易い形状22を有している。当該形状は、図1及び図2から分かるように、個々の貫通孔18に対応して形成されている。さらに、表面板20は、電池モジュール100の内圧が上昇した際に天板部14から外れ易い構造で天板部14に固定されている。当該構造は、接着又はカシメ等の手法を用いて実現される。付け加えると、表面板20は、耐熱性の高い材料(例えば、金属又は樹脂)を用いて形成されている。
【0018】
2.効果
以上説明したように、本実施形態に係る電池モジュールケース1では、天板部14に形成された複数の貫通孔18が、天板部14よりも強度の低い表面板20によって覆われている。このような構造によれば、電池モジュール100から発生したガスを電池モジュールケース1の側面又は底面からではなく上面から放出し易くすることができる。これにより、当該ガスがケース1の側面又は底面から隣接する電池モジュール100の方に勢い良く放出されることを適切に抑制できるようになる。その結果、複数の電池モジュール100が並んで配置されている場合に、ある電池モジュール100から放出された高温のガスが、隣接する電池モジュール100に熱的な影響を及ぼすことを抑制できる。
【符号の説明】
【0019】
1 電池モジュールケース、 10 ケース本体、 12 底板部、 14 天板部、 16 複数の壁部、 18 複数の貫通孔、 20 表面板、 22 破壊の起点となり易い形状、 100 電池モジュール
図1
図2