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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2025006301
(43)【公開日】2025-01-17
(54)【発明の名称】車両用照明装置、および車両用灯具
(51)【国際特許分類】
   F21S 43/37 20180101AFI20250109BHJP
   F21S 43/14 20180101ALI20250109BHJP
   F21S 43/145 20180101ALI20250109BHJP
   F21Y 115/10 20160101ALN20250109BHJP
   F21Y 115/15 20160101ALN20250109BHJP
   F21Y 115/30 20160101ALN20250109BHJP
   F21W 103/00 20180101ALN20250109BHJP
   F21W 103/10 20180101ALN20250109BHJP
   F21W 103/20 20180101ALN20250109BHJP
   F21W 103/35 20180101ALN20250109BHJP
   F21W 103/45 20180101ALN20250109BHJP
   F21W 103/40 20180101ALN20250109BHJP
【FI】
F21S43/37
F21S43/14
F21S43/145
F21Y115:10
F21Y115:15
F21Y115:30
F21W103:00
F21W103:10
F21W103:20
F21W103:35
F21W103:45
F21W103:40
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023107008
(22)【出願日】2023-06-29
(71)【出願人】
【識別番号】000003757
【氏名又は名称】東芝ライテック株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100146592
【弁理士】
【氏名又は名称】市川 浩
(74)【代理人】
【識別番号】100196999
【弁理士】
【氏名又は名称】岡本 和之
(72)【発明者】
【氏名】越智 統彦
(57)【要約】
【課題】枠部を基板の上に接合する際に、枠部と、発光素子との間の相対的な位置が変化するのを抑制することができる車両用照明装置、および車両用灯具を提供することである。
【解決手段】実施形態に係る車両用照明装置は、ソケットと;前記ソケットの一方の端部側に設けられた基板と;前記基板の上に設けられた発光素子と;前記基板の上に設けられ、前記発光素子を囲む枠部と;前記基板と、前記枠部と、の間に設けられ、第1の金属を含む接合部と;前記基板と、前記接合部と、の間に設けられ、前記基板、および前記接合部と接合され、第2の金属を含む第1の接合層と;前記枠部と、前記接合部と、の間に設けられ、前記枠部、および前記接合部と接合され、第3の金属を含む第2の接合層と;を具備している。前記第1の金属の融点は、前記第2の金属の融点、および前記第3の金属の融点よりも低い。
【選択図】図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ソケットと;
前記ソケットの一方の端部側に設けられた基板と;
前記基板の上に設けられた発光素子と;
前記基板の上に設けられ、前記発光素子を囲む枠部と;
前記基板と、前記枠部と、の間に設けられ、第1の金属を含む接合部と;
前記基板と、前記接合部と、の間に設けられ、前記基板、および前記接合部と接合され、第2の金属を含む第1の接合層と;
前記枠部と、前記接合部と、の間に設けられ、前記枠部、および前記接合部と接合され、第3の金属を含む第2の接合層と;
を具備し、
前記第1の金属の融点は、前記第2の金属の融点、および前記第3の金属の融点よりも低い車両用照明装置。
【請求項2】
前記枠部は、前記基板側の端部と、外側面と、に開口する凹部を有し、
前記第2の接合層は、前記凹部の、前記基板と対向する面に設けられ、
前記枠部の前記基板側の端部の、前記内側面の近傍は、前記第1の接合層と接触している請求項1記載の車両用照明装置。
【請求項3】
前記基板は、前記発光素子と電気的に接続された配線パターンを有し、
前記枠部は、前記基板側の端部に設けられた凸部を有し、
前記車両用照明装置の中心軸に沿った方向から見た場合に、前記凸部は、前記枠部の、前記配線パターンと重なる領域に設けられている請求項1または2に記載の車両用照明装置。
【請求項4】
前記第1の金属は、半田である請求項1または2に記載の車両用照明装置。
【請求項5】
請求項1記載の車両用照明装置と;
前記車両用照明装置が取り付けられる筐体と;
を具備した車両用灯具。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、車両用照明装置、および車両用灯具に関する。
【背景技術】
【0002】
省エネルギー化や長寿命化などの観点から、フィラメントを有するランプを備えた車両用照明装置に代えて、発光ダイオードなどの発光素子を備えた車両用照明装置の普及が進んでいる。この様な車両用照明装置は、ソケットと、ソケットの一方の端部側に設けられた発光モジュールと、を備えている。発光モジュールは、例えば、基板と、基板の上に設けられたチップ状の発光素子と、チップ状の発光素子を囲み、基板の上に接着された枠部と、を有している。
【0003】
ここで、枠部を接着する接着剤は、硬化が完了するまでに所定の時間を要する。そのため、接着剤が硬化するまでの間に、基板や枠部に振動などの外力が加わると、枠部と、発光素子との間の相対的な位置が変化する場合がある。この場合、枠部は、発光素子から照射された光を反射させるリフレクタの機能を有しているので、枠部と、発光素子との間の相対的な位置が変化すると、所定の配光特性や、配光パターンなどが得られなくなるおそれがある。
【0004】
そこで、枠部を基板の上に接合する際に、枠部と、発光素子との間の相対的な位置が変化するのを抑制することができる技術の開発が望まれていた。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2013-247061号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明が解決しようとする課題は、枠部を基板の上に接合する際に、枠部と、発光素子との間の相対的な位置が変化するのを抑制することができる車両用照明装置、および車両用灯具を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
実施形態に係る車両用照明装置は、ソケットと;前記ソケットの一方の端部側に設けられた基板と;前記基板の上に設けられた発光素子と;前記基板の上に設けられ、前記発光素子を囲む枠部と;前記基板と、前記枠部と、の間に設けられ、第1の金属を含む接合部と;前記基板と、前記接合部と、の間に設けられ、前記基板、および前記接合部と接合され、第2の金属を含む第1の接合層と;前記枠部と、前記接合部と、の間に設けられ、前記枠部、および前記接合部と接合され、第3の金属を含む第2の接合層と;を具備している。前記第1の金属の融点は、前記第2の金属の融点、および前記第3の金属の融点よりも低い。
【発明の効果】
【0008】
本発明の実施形態によれば、枠部を基板の上に接合する際に、枠部と、発光素子との間の相対的な位置が変化するのを抑制することができる車両用照明装置、および車両用灯具を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】本実施の形態に係る車両用照明装置を例示するための模式分解図である。
図2図1における車両用照明装置のA-A線断面図である。
図3】枠部23と、基板21との接合部分を例示するための模式断面図である。
図4】他の実施形態に係る枠部と、基板との接合部分を例示するための模式断面図である。
図5】他の実施形態に係る枠部を例示するための模式部分側面図である。
図6】車両用灯具を例示するための模式部分断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、図面を参照しつつ、実施の形態について例示をする。なお、各図面中、同様の構成要素には同一の符号を付して詳細な説明は適宜省略する。
【0011】
(車両用照明装置)
本実施の形態に係る車両用照明装置1は、例えば、自動車や鉄道車両などに設けることができる。自動車に設けられる車両用照明装置1としては、例えば、フロントコンビネーションライト(例えば、デイタイムランニングランプ(DRL:Daytime Running Lamp)、ポジションランプ、ターンシグナルランプなどが適宜組み合わされたもの)や、リアコンビネーションライト(例えば、ストップランプ、テールランプ、ターンシグナルランプ、バックランプ、フォグランプなどが適宜組み合わされたもの)などに用いられるものを例示することができる。ただし、車両用照明装置1の用途は、これらに限定されるわけではない。
【0012】
図1は、本実施の形態に係る車両用照明装置1を例示するための模式分解図である。
図2は、図1における車両用照明装置1のA-A線断面図である。
図1、および図2に示すように、車両用照明装置1には、例えば、ソケット10、発光モジュール20、給電部30、および伝熱部40が設けられている。
【0013】
ソケット10は、例えば、装着部11、バヨネット12、フランジ13、放熱フィン14、およびコネクタホルダ15を有する。
装着部11は、フランジ13の、放熱フィン14が設けられる側とは反対側の面に設けられている。装着部11の外形形状は、柱状とすることができる。装着部11の外形形状は、例えば、円柱状である。装着部11は、例えば、フランジ13側とは反対側の端部に開口する凹部11aを有する。
【0014】
バヨネット12は、例えば、装着部11の側面に設けられる。バヨネット12は、車両用照明装置1の外側に向けて突出している。バヨネット12は、フランジ13と対向している。バヨネット12は、複数設けることができる。バヨネット12は、車両用照明装置1を、例えば、後述する車両用灯具100の筐体101に装着する際に用いられる。バヨネット12は、ツイストロックに用いることができる。
【0015】
フランジ13は、板状を呈している。フランジ13は、例えば、略円板状を呈している。フランジ13の側面は、バヨネット12の側面よりも車両用照明装置1の外方に位置している。
【0016】
放熱フィン14は、フランジ13の、装着部11側とは反対側に設けられる。放熱フィン14は、少なくとも1つ設けることができる。例えば、図1、および図2に示すように、ソケット10には複数の放熱フィン14を設けることができる。複数の放熱フィン14は、所定の方向に並べて設けることができる。放熱フィン14は、例えば、板状、または筒状を呈している。
【0017】
コネクタホルダ15は、フランジ13の、装着部11側とは反対側に設けられている。コネクタホルダ15は、放熱フィン14と並べて設けることができる。コネクタホルダ15は、筒状を呈し、内部にシール部材105aを有するコネクタ105が挿入される。
【0018】
ソケット10は、発光モジュール20、および給電部30を保持する機能と、発光モジュール20において発生した熱を外部に伝える機能を有する。そのため、ソケット10は、熱伝導率の高い材料から形成するのが好ましい。ソケット10は、例えば、アルミニウム合金などの金属から形成することができる。
【0019】
また、ソケット10は、例えば、高熱伝導性樹脂から形成することもできる。高熱伝導性樹脂は、例えば、PET(Polyethylene terephthalate)やナイロン(Nylon)などの樹脂に、炭素や酸化アルミニウムなどを用いたフィラーを混合させたものである。高熱伝導性樹脂を含むソケット10とすれば、発光モジュール20において発生した熱を効率よく放熱することができる。また、ソケット10の重量を軽くすることができる。
【0020】
給電部30は、例えば、複数の給電端子31、および保持部32を有する。
複数の給電端子31は、棒状体とすることができる。複数の給電端子31の一方の端部は、凹部11aの底面11a1から突出している。複数の給電端子31の一方の端部は、基板21に設けられた配線パターン21aと半田付けされる。複数の給電端子31の他方の端部は、コネクタホルダ15の孔の内部に露出している。コネクタホルダ15の孔の内部に露出する複数の給電端子31には、コネクタ105が嵌め合わされる。複数の給電端子31は、例えば、銅合金などの金属から形成される。なお、複数の給電端子31の形状、配置、材料などは例示をしたものに限定されるわけではなく、適宜変更することができる。
【0021】
ソケット10が、例えば、炭素を用いたフィラーを含む高熱伝導性樹脂や、金属などを用いて形成される場合には、導電性を有するソケット10となる。そのため、保持部32は、複数の給電端子31と、導電性を有するソケット10との間を絶縁するために設けられている。なお、ソケット10が、絶縁性を有する高熱伝導性樹脂(例えば、酸化アルミニウムを用いたフィラーを含む高熱伝導性樹脂など)を用いて形成される場合には、保持部32を省くことができる。保持部32は、例えば、ソケット10に設けられた孔に圧入したり、孔の内壁に接着したりすることができる。
【0022】
伝熱部40は、板状を呈し、ソケット10と、発光モジュール20(基板21)との間に設けられている。図1、および図2に示すように、伝熱部40は、例えば、凹部11aの底面11a1に接着することができる。また、凹部11aの底面11a1に設けられた凹部の内部に、伝熱部40を接着したり、凹部の内部に熱伝導グリス(放熱グリス)を介して取り付けたり、インサート成形法により凹部の内部に埋め込んだりすることができる。
【0023】
伝熱部40は、熱伝導率の高い材料から形成される。例えば、伝熱部40は、アルミニウム、アルミニウム合金、銅、銅合金などの金属から形成される。なお、ソケット10が金属から形成されたり、発光モジュール20において発生する熱が少ない場合には、伝熱部40を省くこともできる。
【0024】
発光モジュール20(基板21)は、ソケット10の一方の端部側に設けられる。例えば、発光モジュール20は、伝熱部40の上に設けられる。
図1、および図2に示すように、発光モジュール20は、例えば、基板21、発光素子22、枠部23、封止部24、回路素子25、および接合部26を有する。
【0025】
基板21は、例えば、伝熱部40の上に接着される。伝熱部40が省かれる場合には、例えば、基板21は、凹部11aの底面11a1に接着される。基板21を接着する接着剤は、熱伝導率の高い接着剤とすることが好ましい。例えば、接着剤は、導電性材料や無機材料を用いたフィラーが混合された接着剤とすることができる。
【0026】
基板21は、板状を呈している。基板21の平面形状(車両用照明装置1の中心軸1aに沿った方向から見た場合の形状)は、例えば、略四角形である。基板21は、例えば、セラミックス(例えば、酸化アルミニウムや窒化アルミニウム)などの無機材料、紙フェノールやガラスエポキシなどの有機材料などから形成することができる。また、基板21は、金属板の表面を絶縁性材料で被覆したメタルコア基板であってもよい。また、基板21は、単層構造を有するものであってもよいし、多層構造を有するものであってもよい。
【0027】
また、基板21の表面には、配線パターン21aが設けられている。配線パターン21aは、例えば、銀を主成分とする材料や、銅を主成分とする材料などから形成される。
また、配線パターン21aや、後述する膜状の抵抗器などを覆う被覆部を設けることもできる。被覆部は、例えば、ガラス材料を含むことができる。
【0028】
発光素子22は、基板21の上(基板21のソケット10側とは反対側の面)に設けられている。発光素子22は、配線パターン21aと電気的に接続される。発光素子22は、少なくとも1つ設けることができる。図1、および図2に例示をした車両用照明装置1(発光モジュール20)には、複数の発光素子22が設けられている。複数の発光素子22を設ける場合には、複数の発光素子22を直列接続することができる。
【0029】
発光素子22は、例えば、発光ダイオード、有機発光ダイオード、レーザダイオードなどとすることができる。
【0030】
発光素子22は、チップ状の発光素子とすることができる。チップ状の発光素子とすれば、発光モジュール20の小型化、ひいては車両用照明装置1の小型化を図ることができる。
【0031】
チップ状の発光素子22は、COB(Chip On Board)により配線パターン21aに実装することができる。チップ状の発光素子22は、上部電極型の発光素子、上下電極型の発光素子、フリップチップ型の発光素子のいずれであってもよい。
【0032】
枠部23は、基板21の上に設けられている。枠部23は、接合部26を介して基板21に接合されている。なお、接合部26による枠部23と基板21との接合については後述する。
枠部23は、枠状を呈し、発光素子22を囲んでいる。枠部23の平面形状(車両用照明装置1の中心軸1aに沿った方向から見た場合の形状)の輪郭は、要求される配光特性や輝度分布などに応じて適宜変更することができる。例えば、枠部23の平面形状の輪郭は、円、四角形、楕円などとすることができる。
【0033】
枠部23は、例えば、樹脂から形成される。樹脂は、例えば、PBT(polybutylene terephthalate)、PC(polycarbonate)、PET、ナイロン、PP(polypropylene)、PE(polyethylene)、PS(polystyrene)などの熱可塑性樹脂とすることができる。
【0034】
枠部23は、封止部24の形成範囲を規定する機能と、リフレクタの機能とを有する。そのため、枠部23は、反射率を向上させるために、酸化チタンの粒子などを含んでいたり、白色の樹脂を含んでいたりすることができる。枠部23が設けられていれば、発光素子22から照射された光の利用効率を向上させることができる。また、封止部24が形成される範囲を小さくすることができるので、発光モジュール20の小型化、ひいては車両用照明装置1の小型化を図ることができる。
【0035】
封止部24は、枠部23の内側に設けられる。封止部24は、枠部23により囲まれた領域を覆うように設けられる。封止部24は、発光素子22を覆うように設けられる。封止部24は、透光性を有する樹脂を含んでいる。封止部24は、例えば、枠部23の内側に樹脂を充填することで形成される。樹脂の充填は、例えば、ディスペンサなどを用いて行われる。充填する樹脂は、例えば、シリコーン樹脂などである。また、封止部24には蛍光体を含めることもできる。
【0036】
その他、必要に応じて、光学要素などを設けることもできる。光学要素は、例えば、凸レンズ、凹レンズ、導光体などである。光学要素は、例えば、封止部24の上に設けることができる。
【0037】
回路素子25は、発光素子22を有する発光回路を構成するために用いられる受動素子または能動素子とすることができる。回路素子25は、基板21の上に設けられている。回路素子25は、例えば、枠部23の周辺に設けられ、配線パターン21aと電気的に接続される。回路素子25は、配線パターン21aを介して、発光素子22と電気的に接続されている。
【0038】
図1に例示をした回路素子25は、保護素子25a、抵抗25b、および制御素子25cである。
ただし、回路素子25の種類は例示をしたものに限定されるわけではなく、発光素子22を有する発光回路の構成に応じて適宜変更することができる。例えば、回路素子25は、前述したものの他に、コンデンサ、正特性サーミスタ、負特性サーミスタ、インダクタ、サージアブソーバ、バリスタ、トランジスタ、集積回路、演算素子などであってもよい。
【0039】
保護素子25aは、例えば、逆方向電圧が発光素子22に印加されないようにするため、および、逆方向からのパルスノイズが発光素子22に印加されないようにするために設けられる。保護素子25aは、例えば、ダイオードとすることができる。図1に例示をした保護素子25aは、表面実装型のダイオードである。
【0040】
抵抗25bは、例えば、表面実装型の抵抗器、リード線を有する抵抗器(酸化金属皮膜抵抗器)、スクリーン印刷法などを用いて形成された膜状の抵抗器などとすることができる。なお、図1に例示をした抵抗25bは、膜状の抵抗器である。
【0041】
ここで、発光素子22の順方向電圧特性には、ばらつきがあるので、アノード端子とグランド端子との間の印加電圧を一定にすると、発光素子22から照射される光の明るさ(光束、輝度、光度、照度)にばらつきが生じる。そのため、発光素子22から照射される光の明るさが所定の範囲内に収まるように、発光素子22に直列接続された抵抗25bにより、発光素子22に流れる電流の値が所定の範囲内となるようにする。この場合、抵抗25bの抵抗値を変化させることで、発光素子22に流れる電流の値が所定の範囲内となるようにする。
【0042】
抵抗25bが表面実装型の抵抗器やリード線を有する抵抗器などの場合には、発光素子22の順方向電圧特性に応じて適切な抵抗値を有する抵抗25bを選択する。抵抗25bが膜状の抵抗器の場合には、抵抗25bの一部を除去すれば、抵抗値を増加させることができる。例えば、膜状の抵抗器にレーザ光を照射すれば、膜状の抵抗器の一部を容易に除去することができる。なお、抵抗25bの数、配置、大きさなどは、例示をしたものに限定されるわけではなく、発光素子22の数や仕様などに応じて適宜変更することができる。
【0043】
制御素子25cは、例えば、発光素子22に印加する電圧を切り替えたり、温度ディレーティングを実行したりするために設けられる。ただし、制御素子25cの機能や用途は例示をしたものに限定されるわけではない。制御素子25cは、例えば、トランジスタや集積回路とすることができる。なお、図1に例示をした制御素子25cは、表面実装型の集積回路である。
【0044】
次に、接合部26による枠部23と基板21との接合について説明する。
一般的には、枠部23は、基板21の上に接着される。この場合、接着剤は硬化するのに所定の時間を要する。そのため、接着剤が硬化するまでの間に、基板21に対する枠部23の位置、ひいては発光素子22に対する枠部23の位置が変化する場合がある。例えば、硬化前の接着剤にはある程度の流動性があるので、接着剤が硬化するまでの間に、振動や、加熱硬化を行う際の空気の流動などによる外力が、基板21や枠部23に加わると、枠部23と発光素子22との間の相対的な位置が変化する場合がある。
【0045】
前述した様に、枠部23は発光素子22から照射された光を反射させるリフレクタの機能を有している。そのため、枠部23と発光素子22との間の相対的な位置が変化すると、所定の配光特性や、配光パターンなどが得られなくなるおそれがある。また、複数の車両用照明装置ごとに配光特性や、配光パターンなどがばらつくおそれがある。
【0046】
そこで、本実施の形態に係る車両用照明装置1においては、基板21と、枠部23との間に設けられ、金属(第1の金属の一例に相当する)を含む接合部26により、枠部23と、基板21とを接合している。この場合、接合部26に含まれる金属の融点は、例えば、後述する接合層21b(第1の接合層の一例に相当する)に含まれる金属(第2の金属の一例に相当する)の融点、および、接合層23a(第2の接合層の一例に相当する)に含まれる金属(第3の金属の一例に相当する)の融点よりも低い。また、接合部26に含まれる金属の融点は、配線パターン21aに含まれる金属の融点よりも低くすることもできる。
【0047】
接合部26に含まれる金属は、例えば、融点が217℃程度の鉛フリーハンダ(無鉛ハンダ)、融点が183℃程度の共晶ハンダ(有鉛ハンダ)、融点が240℃~300℃程度のスズ-鉛-アンチモン合金、融点が130℃~170℃程度のビスマス-スズ合金などである。
【0048】
接合部26を形成する際に溶融させた金属が凝固するまでの時間は、例えば、熱硬化性接着剤が硬化するまでの時間に比べてかなり短くすることができる。そのため、接合部26により、枠部23と、基板21とを接合すれば、枠部23と発光素子22との間の相対的な位置が変化するのを抑制することができる。
【0049】
ところが、前述した様に、基板21の材料は、セラミックスなどの無機材料、ガラスエポキシなどの有機材料、メタルコア基板などである。また、枠部23の材料は、熱可塑性樹脂などの樹脂である。そのため、金属を含む接合部26を用いて、枠部23と、基板21とを直接接合することができない。
そこで、基板21と、接合部26との間に接合層21bを設けている。接合層21bは、基板21、および接合部26と接合されている。
また、枠部23と、接合部26との間に接合層23aを設けている。接合層23aは、枠部23、および接合部26と接合されている。
【0050】
図3は、枠部23と、基板21との接合部分を例示するための模式断面図である。
なお、図3は、図2におけるB部の模式拡大図である。
図3に示すように、基板21の表面の、枠部23が設けられる領域には、接合層21bを設けることができる。接合層21bは、膜状を呈し、金属を含んでいる。接合層21bは、例えば、銅、ニッケル、錫などを含むことができる。
【0051】
ここで、前述した様に、基板21の表面には、金属を含む配線パターン21aが設けられている。そのため、接合層21bと、配線パターン21aとが同じ金属を含むものとすれば、接合層21bと、配線パターン21aとを同じ製造工程で形成することができる。また、配線パターン21aの材料は、鉛フリーハンダや共晶ハンダに対する親和性(濡れ性)が高い。そのため、接合部26が鉛フリーハンダや共晶ハンダを含む場合に、接合層21bが、配線パターン21aと同じ金属を含んでいれば、凝固前の接合部26の接合層21bに対する親和性を向上させることができる。そのため、製造コストの低減や、製造時間の短縮を図ることができる。
【0052】
図3に示すように、枠部23の、基板21側の端部には、接合層23aを設けることができる。接合層23aは、膜状を呈し、金属を含んでいる。接合層23aは、例えば、銅、ニッケル、錫などを含むことができる。この場合、接合層23aの材料は、凝固前の接合部26との親和性が高いものとすることが好ましい。例えば、接合層23a、接合層21b、および配線パターン21aが同じ金属を含むものとすることができる。これらの材料が同じであれば、製造コストの低減や、管理コストの低減を図ることができる。
【0053】
ここで、接合部26を形成する際には、溶融した接合部26の材料が接合層21bおよび接合層23aに接触する。そのため、接合層21bの表面に有る材料が溶け出して、溶融した接合部26の材料の中に拡散する場合がある。同様に、接合層23aの表面に有る材料が溶け出して、溶融した接合部26の材料の中に拡散する場合がある。すなわち、接合部26を形成する際に、接合層21bの厚みT1、および接合層23aの厚みT2が減少する場合がある。
【0054】
この場合、厚みT1が薄くなり過ぎると、接合層21bと基板21との間の接合強度が小さくなり過ぎて、接合層21bが基板21から剥離するおそれがある。厚みT2が薄くなり過ぎると、接合層23aと枠部23との間の接合強度が小さくなり過ぎて、接合層23aが枠部23から剥離するおそれがある。すなわち、枠部23が基板21から脱離するおそれがある。
【0055】
本発明者の得た知見によれば、接合層21bの厚みT1、および接合層23aの厚みT2は、10μm以上とすることが好ましい。この様にすれば、接合部26を形成する際に厚みT1、T2が減少したとしても、接合層21bと基板21との間の接合強度、および接合層23aと枠部23との間の接合強度が適切な範囲に収まるようにすることができる。そのため、枠部23が基板21から脱離するのを抑制することができる。
この場合、接合部26の厚みT3は、例えば、10μm以上、25μm以下とすることができる。
【0056】
図4は、他の実施形態に係る枠部23bと、基板21との接合部分を例示するための模式断面図である。
枠部23bは、前述した枠部23の基板21側の端部に凹部23b1をさらに設けたものである。
【0057】
図4に示すように、凹部23b1は、枠部23bの基板21側の端部と、枠部23bの外側面23b2とに開口している。この場合、凹部23b1は、枠部23bの内側面23b3には開口していなくてもよい。枠部23bの基板21側の端部の、内側面23b3の近傍は、接合層21bと接触している。
また、接合層23aは、凹部23b1の、基板21と対向する面に設けられている。接合層23aは、枠部23bの内側面23b3の近傍の、基板21と対向する面には設けなくてもよい。接合部26は、凹部23b1の内部であって、接合層23aと、接合層21bとの間の空間に設けられている。
【0058】
図1、および図2に示すように、枠部23bの内側には、発光素子22と、発光素子22が実装される配線パターン21aが設けられている。そのため、接合部26の、枠部23bの内側へのはみ出しが大きくなると、接合部26と、配線パターン21aなどとが短絡するおそれがある。
【0059】
この場合、図4に示すように、凹部23b1が設けられていれば、接合部26を形成する際に、溶融させた接合部26の材料が、枠部23bの内側に漏れ出すのを抑制することができる。そのため、接合部26と、配線パターン21aなどとが短絡するのを抑制することができる。また、接合部26を形成する作業が容易となる。
【0060】
図5は、他の実施形態に係る枠部23cを例示するための模式部分側面図である。
図5は、車両用照明装置1の中心軸1aに直交する方向から枠部23cを見た場合の模式部分側面図である。
【0061】
図1に示すように、発光素子22は枠部23cの内側に設けられ、回路素子25は枠部23cの外側に設けられる。そのため、配線パターン21aの一部が、枠部23cの下方に設けられる場合がある。この場合、形成された接合部26が、枠部23cの下方にある配線パターン21aに接触すると、発光回路において短絡などが生じるおそれがある。
【0062】
前述した様に、配線パターン21aは、ガラス材料を含む被覆部により覆われているので、発光回路において短絡などが生じるおそれは少ない。しかしながら、車両用照明装置1の用途、使用環境、経年劣化などにより短絡などが生じ易くなる場合がある。
【0063】
そこで、図5に示すように、枠部23cは、基板21側の端部に設けられた凸部23c1を有している。凸部23c1は、枠部23cの外側面23c2と、内側面23c3との間を延びている。凸部23c1の先端は、配線パターン21a(ガラス材料を含む被覆部が設けられている場合には被覆部)に接触している。
車両用照明装置1の中心軸1aに沿った方向から見た場合に、凸部23c1は、枠部23cの、配線パターン21aと重なる領域に設けることができる。この場合、凸部23c1が、枠部23cと重なる配線パターン21aの全体と重なる様にすることが好ましい。また、凸部23c1の基板21側の端部には、接合層23aを設けなくてもよい。
なお、凸部23c1の先端と基板21との間に隙間が生じた場合には、封止部24を形成する際に、隙間が樹脂で充填される。
【0064】
凸部23c1が設けられていれば、形成された接合部26が、枠部23cと基板21との間にある配線パターン21aに接触するのを、より効果的に抑制することができる。
なお、凸部23c1は、前述した枠部23、および枠部23bのいずれに設けてもよい。
【0065】
(車両用灯具)
本発明の1つの実施形態において、車両用照明装置1を具備した車両用灯具100を提供することができる。前述した車両用照明装置1に関する説明、および車両用照明装置1の変形例(例えば、枠部23b、枠部23c、および当業者が適宜、構成要素の追加、削除若しくは設計変更を行ったもので、本発明の特徴を備えているもの)は、いずれも車両用灯具100に適用することができる。
【0066】
なお、以下においては、一例として、車両用灯具100が自動車に設けられるリアコンビネーションライトである場合を説明する。ただし、車両用灯具100は、自動車に設けられるリアコンビネーションライトに限定されるわけではない。車両用灯具100は、自動車や鉄道車両などに設けられる車両用灯具であればよい。
【0067】
図6は、車両用灯具100を例示するための模式部分断面図である。
図6に示すように、車両用灯具100は、例えば、車両用照明装置1、筐体101、カバー102、光学要素103、シール部材104、およびコネクタ105を有する。
【0068】
筐体101には、車両用照明装置1が取り付けられる。筐体101は、装着部11を保持する。筐体101は、一方の端部側が開口した箱状を呈している。筐体101は、例えば、光を透過しない樹脂などから形成される。筐体101の底面には、装着部11の、バヨネット12が設けられた部分が挿入される取付孔101aが設けられる。取付孔101aの周縁には、装着部11に設けられたバヨネット12が挿入される凹部が設けられる。なお、筐体101に取付孔101aが直接設けられる場合を例示したが、取付孔101aを有する取付部材が筐体101に設けられていてもよい。
【0069】
車両用照明装置1を車両用灯具100に取り付ける際には、装着部11のバヨネット12が設けられた部分を取付孔101aに挿入し、車両用照明装置1を回転させる。すると、例えば、取付孔101aの周縁に設けられた嵌合部にバヨネット12が保持される。この様な取り付け方法は、ツイストロックと呼ばれている。
【0070】
カバー102は、筐体101の開口を塞ぐように設けられる。カバー102は、透光性樹脂などから形成される。カバー102は、レンズなどの機能を有することもできる。
【0071】
光学要素103には、車両用照明装置1から出射した光が入射する。光学要素103は、車両用照明装置1から出射した光の反射、拡散、導光、集光、所定の配光パターンの形成などを行う。例えば、図6に例示をした光学要素103はリフレクタである。この場合、光学要素103は、車両用照明装置1から出射した光を反射して、所定の配光パターンを形成する。
【0072】
シール部材104は、フランジ13と筐体101の間に設けられる。シール部材104は、環状を呈し、ゴムやシリコーン樹脂などの弾性を有する材料から形成される。
【0073】
車両用照明装置1が車両用灯具100に取り付けられた際には、シール部材104は、フランジ13と筐体101との間に挟まれる。そのため、シール部材104により、筐体101の内部空間を密閉することができる。また、シール部材104の弾性力により、バヨネット12が筐体101に押し付けられる。そのため、車両用照明装置1が、筐体101から脱離するのを抑制することができる。
【0074】
コネクタ105は、コネクタホルダ15の内部に露出している複数の給電端子31の端部に嵌め合わされる。コネクタ105には、車両用灯具100の外部に設けられた点灯回路などが電気的に接続される。そのため、コネクタ105を複数の給電端子31の端部に嵌め合わせることで、点灯回路などと、発光素子22とを電気的に接続することができる。
【0075】
また、コネクタ105には、シール部材105aが設けられている。シール部材105aを有するコネクタ105が、コネクタホルダ15の内部に挿入された際には、コネクタホルダ15の内部が水密となるように密閉される。
【0076】
以上、本発明のいくつかの実施形態を例示したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更などを行うことができる。これら実施形態やその変形例は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。また、前述の各実施形態は、相互に組み合わせて実施することができる。
【0077】
以下、前述した実施形態に関する付記を示す。
【0078】
(付記1)
ソケットと;
前記ソケットの一方の端部側に設けられた基板と;
前記基板の上に設けられた発光素子と;
前記基板の上に設けられ、前記発光素子を囲む枠部と;
前記基板と、前記枠部と、の間に設けられ、第1の金属を含む接合部と;
前記基板と、前記接合部と、の間に設けられ、前記基板、および前記接合部と接合され、第2の金属を含む第1の接合層と;
前記枠部と、前記接合部と、の間に設けられ、前記枠部、および前記接合部と接合され、第3の金属を含む第2の接合層と;
を具備し、
前記第1の金属の融点は、前記第2の金属の融点、および前記第3の金属の融点よりも低い車両用照明装置。
【0079】
(付記2)
前記枠部は、前記基板側の端部と、外側面と、に開口する凹部を有し、
前記第2の接合層は、前記凹部の、前記基板と対向する面に設けられ、
前記枠部の前記基板側の端部の、前記内側面の近傍は、前記第1の接合層と接触している付記1記載の車両用照明装置。
【0080】
(付記3)
前記基板は、前記発光素子と電気的に接続された配線パターンを有し、
前記枠部は、前記基板側の端部に設けられた凸部を有し、
前記車両用照明装置の中心軸に沿った方向から見た場合に、前記凸部は、前記枠部の、前記配線パターンと重なる領域に設けられている付記1または2に記載の車両用照明装置。
【0081】
(付記4)
前記第1の金属は、半田である付記1~3のいずれか1つに記載の車両用照明装置。
【0082】
(付記5)
付記1~4のいずれか1つに記載の車両用照明装置と;
前記車両用照明装置が取り付けられる筐体と;
を具備した車両用灯具。
【符号の説明】
【0083】
1 車両用照明装置、1a 中心軸、10 ソケット、11 装着部、20 発光モジュール、21 基板、21a 配線パターン、21b 接合層、22 発光素子、23 枠部、23a 接合層、23b 枠部、23b1 凹部、23b2 外側面、23b3 内側面、23c 枠部、23c1 凸部、23c2 外側面、23c3 内側面、25 回路素子、26 接合部、100 車両用灯具、101 筐体
図1
図2
図3
図4
図5
図6