(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2025006328
(43)【公開日】2025-01-17
(54)【発明の名称】伝熱ユニット
(51)【国際特許分類】
F28F 21/04 20060101AFI20250109BHJP
F28F 21/08 20060101ALI20250109BHJP
【FI】
F28F21/04
F28F21/08 A
【審査請求】未請求
【請求項の数】12
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023107048
(22)【出願日】2023-06-29
(71)【出願人】
【識別番号】000153591
【氏名又は名称】株式会社巴川コーポレーション
(74)【代理人】
【識別番号】100131842
【弁理士】
【氏名又は名称】加島 広基
(74)【代理人】
【識別番号】100215267
【弁理士】
【氏名又は名称】古屋 秀人
(74)【代理人】
【識別番号】100215555
【弁理士】
【氏名又は名称】今井 貴裕
(72)【発明者】
【氏名】森内 英輝
(72)【発明者】
【氏名】川島 宏介
(72)【発明者】
【氏名】金 奎奉
(57)【要約】
【課題】優れた物性を有する新たな伝熱ユニットを提供する。
【解決手段】伝熱ユニット1は、流体の流入口10および流出口11を有し、セラミックス材料から形成される筐体3と、を備える伝熱ユニット1であって、伝熱体2が、貫通孔40を備え、かつ、筐体3に収容されており、伝熱体2が、流入口10および流出口11の間に配置され、貫通孔40を介して流入口10および流出口11は連通している。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
伝熱体と、
流体の流入口および流出口を有し、セラミックス材料から形成される筐体と、を備える伝熱ユニットであって、
前記伝熱体が、貫通孔を備え、かつ、前記筐体に収容されており、
前記伝熱体が、前記流入口および前記流出口の間に配置され、前記貫通孔を介して前記流入口および前記流出口は連通している、伝熱ユニット。
【請求項2】
前記貫通孔と前記伝熱体の接する面および前記伝熱体の表面に、セラミックス層が形成されている、請求項1に記載の伝熱ユニット。
【請求項3】
前記伝熱ユニットが、セラミックス材料を含む接合層を備え、
前記筐体および前記伝熱体が前記接合層を介して接合している、請求項1に記載の伝熱ユニット。
【請求項4】
前記伝熱体が、金属構造体が積層されてなる、請求項1に記載の伝熱ユニット。
【請求項5】
前記金属構造体が、同一面に並べられた長手軸を有する複数の金属部材から構成され、
前記貫通孔が、前記金属部材間に形成されてなる、請求項4に記載の伝熱ユニット。
【請求項6】
前記接合層が、アルミナを含む、請求項3に記載の伝熱ユニット。
【請求項7】
前記金属構造体が、アルミニウムを含む、請求項4または5に記載の伝熱ユニット。
【請求項8】
前記セラミックス層が、アルミナを含む、請求項2に記載の伝熱ユニット。
【請求項9】
前記セラミックス層の厚みが、1~100μmである、請求項2または8に記載の伝熱ユニット。
【請求項10】
前記金属部材の各角部が、湾曲している、請求項5に記載の伝熱ユニット。
【請求項11】
前記金属構造体が、長手軸の延びる方向が略同一の方向に金属部材が並んでなる配列構造を有する、請求項5または10に記載の伝熱ユニット。
【請求項12】
前記伝熱体の占積率が30~80%である、請求項1~5のいずれか1項に記載の伝熱ユニット。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、伝熱ユニットに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、熱交換器において伝熱を行う媒体が知られている。例えば、特許文献1には、複数のアルミニウム基材が焼結されて一体化された多孔質焼結体が示されている。また、特許文献2には、セラミック製の構造体からなる熱交換器に関する技術が示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】国際公開第2022/190611号
【特許文献2】特開2015-140972号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1における多孔質焼結体はアルミニウム又はアルミニウム合金で構成されていることから、軽量であり、かつ、熱伝導性に優れているものの耐熱性は低いため、伝熱部材の製造過程において破損するおそれがある。また、特許文献2における熱交換器はセラミック製であることから、脆く、熱伝導性も低くなる。
【0005】
本開示は、このような点を考慮してなされたものであり、優れた物性を有する新たな伝熱ユニットを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示の伝熱ユニットは、
伝熱体と、
流体の流入口および流出口を有し、セラミックス材料から形成される筐体と、を備える伝熱ユニットであって、
前記伝熱体が、貫通孔を備え、かつ、前記筐体に収容されており、
前記伝熱体が、前記流入口および前記流出口の間に配置され、前記貫通孔を介して前記流入口および前記流出口は連通している。
【0007】
本開示の伝熱ユニットにおいては、
前記貫通孔と前記伝熱体の接する面および前記伝熱体の表面に、セラミックス層が形成されていてもよい。
【0008】
本開示の伝熱ユニットにおいては、
前記伝熱ユニットが、セラミックス材料を含む接合層を備え、
前記筐体および前記伝熱体が前記接合層を介して接合していてもよい。
【0009】
本開示の伝熱ユニットにおいては、
前記伝熱体が、金属構造体が積層されてなっていてもよい。
【0010】
本開示の伝熱ユニットにおいては、
前記金属構造体が、同一面に並べられた長手軸を有する複数の金属部材から構成され、
前記貫通孔が、前記金属部材間に形成されてなっていてもよい。
【0011】
本開示の伝熱ユニットにおいては、
前記接合層が、アルミナを含んでいてもよい。
【0012】
本開示の伝熱ユニットにおいては、
前記金属構造体が、アルミニウムを含んでいてもよい。
【0013】
本開示の伝熱ユニットにおいては、
前記セラミックス層が、アルミナを含んでいてもよい。
【0014】
本開示の伝熱ユニットにおいては、
前記セラミックス層の厚みが、1~100μmであってもよい。
【0015】
本開示の伝熱ユニットにおいては、
前記金属部材の各角部が、湾曲していてもよい。
【0016】
本開示の伝熱ユニットにおいては、
前記金属構造体が、長手軸の延びる方向が略同一の方向に金属部材が並んでなる配列構造を有していてもよい。
【0017】
本開示の伝熱ユニットにおいては、
前記伝熱体の占積率が30~80%であってよい。
【発明の効果】
【0018】
本開示の伝熱ユニットによれば、優れた物性を有する新たな伝熱ユニットを得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【
図1】本開示の実施の形態による伝熱ユニットの構成を示す断面の概略図である。
【
図2】本開示の実施の形態による金属構造体全体の一部の側面図である。
【
図3】本開示の実施の形態に係る金属構造体の変形例において、配列構造を含む金属構造体全体の一部の構成を示す平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、図面を参照して本開示の実施の形態について説明する。
図1乃至
図3は、本開示の実施の形態による伝熱ユニットの一部を示す図である。このうち、
図1は、本実施の形態による伝熱ユニットの構成を示す断面の概略図であり、
図2は、
図1に示す金属構造体全体の一部の側面図である。
図3は本実施の形態に係る金属構造体の変形例において、配列構造を含む金属構造体全体の一部の構成を示す平面図である。
【0021】
―伝熱ユニット1―
図1に示すように、本実施の形態による伝熱ユニット1は、伝熱体2と、流体の流入口10および流出口11を有し、セラミックス材料から形成される筐体3と、を備える。なお、
図1においては、実線の矢印は伝熱体2を通過する流体の軌跡を表し、中抜き矢印は筐体3に流入出する流体の流れ方向を表す。
【0022】
筐体3は、中空の直方体状の部材であり、筐体3には、流体が筐体3に流入するための開口である流入口10と、流体が筐体3から流出するための開口である流出口11と、が形成されている。流入口10から筐体3の内部に流入した流体は、流出口11から筐体3の外部に流出する。
【0023】
伝熱体2は、貫通孔40を備え、かつ、筐体3に収容される部材であり、隣接する複数の金属構造体6間で金属部材6a同士が接点または当接面で結着している。換言すれば、伝熱体2は、複数の金属構造体6が積層されて形成される。なお、本実施の形態では、伝熱体2を6層として例示して説明する。
【0024】
また、伝熱体2は、筐体3の流入口10および流出口11の間に配置される部材である。伝熱体2は、貫通孔40を介して筐体3の流入口10および流出口11と連通している。伝熱体2は、金属構造体6における面方向の端部において、筐体3の内面と接触し、接合層5を介して接合する。
【0025】
伝熱体2において、本開示の機能を損なわない範囲において、金属構造体6間を跨いで存在する他の金属部材6aの数は、1つの金属構造体6(1cm2)当たり2.0本以下であってもよい。この場合、流体は伝熱体2の貫通孔40を効率よく通過することができ、金属構造体6および伝熱体2は、流体の圧力損失を小さくすることができる。
【0026】
また、伝熱体2を任意の箇所で面方向に沿って切断したときの断面における占積率は30%~80%である。この場合、伝熱体2の流体の圧力損失を小さく維持しつつ、流体拡散性を両立することができる。ここで、占積率は、伝熱体2の面方向に沿って切断したときの金属部材6aが占める面積/(金属部材6aが占める面積+貫通孔40の面積)×100(%)により計算される。
【0027】
金属構造体6は、長手軸を有する金属部材6aが、同一面に並んで他の複数の金属部材6aと接点または当接面で結着してなる。ここで、「複数」とは特に限定されないが、10~20000であってもよい。
【0028】
金属部材6aは長手軸および短手軸を有する部材であり、矩形、略矩形、円柱形、楕円柱形等の形状を有する部材である。そのため、金属部材6aが矩形、略矩形等である場合、金属部材6aの長手軸に直交する断面は、長方形、正方形、円形等として表される。なお、金属部材6aは円柱形、楕円柱等の形状を有する部材であることがより好ましい。この場合、金属構造体6の表面に凹凸が生じ、流体が流れた際に、金属構造体6の表面に渦が発生する。その結果、金属構造体6の流体の圧力損失を小さく維持しつつ、流体拡散性を高めることができる。また、この場合、金属部材6aの長手軸に直交する断面は、円形、楕円形等として表される。
【0029】
金属構造体6は、金属部材6aの長手軸に直交する金属部材6aの断面における長さと、金属構造体6の面方向に直交する長さが、略同一であってもよい。この場合、金属構造体6の均質性が向上し、金属構造体6および伝熱体2の圧力損失および流体拡散性が安定する。
【0030】
また、金属構造体6は、平板状であってもよいし、立体的な形状であってもよい。また、金属構造体6の面方向に直交する長さ(金属構造体6の厚さ)が、金属部材6aの長手軸に直交する断面における長さと同一または略同一であってもよい。この場合、金属構造体6の均質性が向上し、金属構造体6および伝熱体2の圧力損失および流体拡散性が安定する。ここで、金属部材6aの長手軸に直交する断面における長さは円相当径として表されてよい。本明細書において、「円相当径」とは、金属部材6aの長手軸に直交する断面の面積と同じ面積を持つ円の直径のことをいう。
【0031】
また、金属部材6aの短手軸方向の長さ(金属部材6aの長手軸に直交する金属部材6aの断面における長さ)に対する長手軸方向の長さの割合は1~13であってもよい。この場合、流体は伝熱体2の貫通孔40を効率よく通過することができる。その結果、金属構造体6および伝熱体2の圧力損失を小さく維持しつつ、流体拡散性を向上させることができる。
【0032】
ここで、金属部材6aの短手軸方向の長さは0.1mm~4.0mmであってもよい。金属部材6aの短手軸方向の長さが0.1mm~4.0mmであることにより、流体は伝熱体2の貫通孔40を効率よく通過することができる。その結果、金属構造体6および伝熱体2の流体の圧力損失を小さく維持しつつ、流体拡散性を高めることができる。
【0033】
また、金属部材6aは、アルミニウムまたはアルミニウム合金から形成される。アルミニウム合金としては、例えば、アルミニウム、銅、マンガン、ケイ素、マグネシウム、亜鉛、ニッケルまたはこれらのうち少なくとも1種の金属を含む合金が挙げられる。
【0034】
また金属部材6aの角は丸みを帯びていることが好ましい。換言すれば、金属部材6aの各角部は湾曲して形成されている。金属部材6aの角が丸みを帯びていることにより、金属構造体6の表面に凹凸が生じ、流体が流れた際に、金属構造体6の表面に渦が発生する。その結果、金属構造体6および伝熱体2の流体の圧力損失を小さく維持しつつ、流体拡散性を高めることができる。
【0035】
また、金属部材6aの表面は凹凸を有していてもよい。金属部材6aの表面の凹凸により、伝熱体2に小さな貫通孔40が生じる。この場合、金属構造体6および伝熱体2の流体の圧力損失を小さく維持しつつ、流体拡散性を高めることができる。
【0036】
貫通孔40は、伝熱体2の積層方向に形成された孔であり、伝熱体2の積層方向において直線または蛇行して形成された貫通孔である。伝熱体2が筐体3の内部に収容されて伝熱ユニット1を形成する場合、貫通孔40の一方端側の開口(第1開口)は、流入口10または流出口11に向かって開口している。一方、貫通孔40の他方端側の開口(第2開口)は、第1開口とは反対側に向かって開口することで、流入口10または流出口11に向かって開口している。
【0037】
貫通孔40は、伝熱体2において複数形成されている。また、各貫通孔40を形成する伝熱体2の壁面の凹凸は、同一ではない。そのため、各貫通孔40を通過する流体は、貫通孔40毎に異なる軌跡を辿りながら第1開口から第2開口に向かって移動する。
【0038】
セラミックス層4は、固体材料のうち、シリコン、ダイヤモンド等の非金属元素からなる材料と、金属元素と非金属元素の組み合わせである酸化物、炭化物、窒化物等の無機化合物材料からなるセラミックス材料を含む層であり、伝熱体2の外表面および貫通孔40を形成する伝熱体2の壁面の凹凸面(貫通孔40と伝熱体2の接する面)に形成される層である。また、セラミックス層4は、特に限定されないが、アルミナ(酸化アルミニウム)を含むことが好ましい。
【0039】
セラミックス層4の厚みは1~100μmであって、1~80μm、5~60μm、10~50μm、20~40μmであってもよい。セラミックス層4が伝熱体2の外表面および貫通孔40を形成する伝熱体2の壁面の凹凸面に形成された場合であっても、貫通孔40を塞がない。なお、セラミックス層4の厚みは一定である必要はない。
【0040】
接合層5は、セラミックス層4の一部の層であり、伝熱体2の面方向の端部の一部と筐体3の内面の一部とを接合する部分に形成された層である。接合層5は、伝熱体2および筐体3を、アルミナを介して熱接合する。その結果、接合層5を介して筐体3に接合された伝熱体2は、筐体3の所定の位置に固定される。
【0041】
また、伝熱体2を任意の箇所で面方向に沿って切断したときの接合層5の断面におけるアルミナの比率は50~100%であり、70~100%であってもよい。この場合、伝熱体2の良好な熱伝導性を実現できるとともに、高温流体の熱交換にも耐え得る。ここで、アルミナの比率は、伝熱体2の面方向に沿って切断したときの接合層5の占積率に対するアルミナの占積率により表される。
【0042】
以上のような構成からなる本実施の形態の伝熱ユニット1によれば、伝熱体2と、流体の流入口10および流出口11を有し、セラミックス材料から形成される筐体3と、を備える伝熱ユニット1であって、伝熱体2が、貫通孔40を備え、かつ、筐体3に収容されており、伝熱体2が、流入口10および流出口11の間に配置され、貫通孔40を介して流入口10および流出口11は連通している伝熱ユニット1を形成することができる。より詳細に説明すると、従来技術では、多孔質焼結体はアルミニウム又はアルミニウム合金で構成されていることから、軽量であり、かつ、熱伝導性に優れているものの耐熱性は低い。そのため、伝熱部材の製造過程において破損するおそれがある。また、単にセラミック製の熱交換器は脆く、熱伝導性も低くなる。これに対し、本実施の形態の伝熱ユニット1では、伝熱体2と、流体の流入口10および流出口11を有し、セラミックス材料から形成される筐体3と、を備え、伝熱体2が、貫通孔40を備え、かつ、筐体3に収容されており、伝熱体2が、流入口10および流出口11の間に配置され、貫通孔40を介して流入口10および流出口11は連通していることにより、筐体3に流入した流体は伝熱ユニット1の貫通孔40を効率よく通過することができ、伝熱ユニット1は、流体の圧力損失を小さくすることができる。また、筐体3がセラミックス材料から形成されることにより、高い耐熱性を獲得でき、製造過程において伝熱ユニット1の破損を低減することができるとともに、筐体3は高温流体の熱交換にも耐え得る。
【0043】
また、本実施の形態の伝熱ユニット1においては、上述したように、貫通孔40と伝熱体2の接する面および伝熱体2の表面に、セラミックス層4が形成されていてもよい。セラミックスの融点は高いため、製造時の加熱過程において伝熱ユニット1の破損を低減することができるとともに、伝熱体2は高温流体の熱交換にも耐え得る。
【0044】
また、本実施の形態の伝熱ユニット1においては、上述したように、伝熱ユニット1が、セラミックス材料を含む接合層5を備え、筐体3および伝熱体2が接合層5を介して接合していてもよい。この場合、接合層5がセラミックス材料を含むため、製造過程において接合層5の高温による破損を低減することができる。
【0045】
また、本実施の形態の伝熱ユニット1においては、上述したように、伝熱体2は、金属構造体6が積層されてなっていてもよい。この場合、筐体3がセラミックス材料から形成されていることに加えて、伝熱体2が金属構造体6から形成されるため、セラミックス材料による耐熱性と金属の熱伝導性とを両立することができ、高温流体の熱交換にも耐え得る。また、伝熱体2は、金属構造体6の積層方向(流体の流れ方向)において、流体の熱交換を効率的に行うことができる。
【0046】
また、本実施の形態の伝熱ユニット1においては、上述したように、金属構造体6が、同一面に並べられた長手軸を有する複数の金属部材6aから構成され、貫通孔40が、金属部材6a間に形成されてなっていてもよい。この場合、流体が貫通孔40を通過することができるため、流体を筐体3の流入口10から流出口11に向けて効率的に移動させることができる。
【0047】
また、本実施の形態の伝熱ユニット1においては、上述したように、接合層5が、アルミナを含んでいてもよい。この場合、接合層5の耐熱性が向上するため、伝熱体2は高温流体の熱交換にも耐え得る。
【0048】
また、本実施の形態の伝熱ユニット1においては、上述したように、金属構造体6が、アルミニウムを含んでいてもよい。この場合、アルミニウムは熱伝導性が高いため、金属構造体6の流体の圧力損失を小さくしながら、熱交換性を高めることができる。その結果、熱交換部材等に好適に利用することができる。なお、このような機能を奏するのであれば、金属部材6aはアルミニウム以外の金属でもよい。
【0049】
また、本実施の形態の伝熱ユニット1においては、上述したように、セラミックス層4が、アルミナを含んでいてもよい。この場合、セラミックス層4の耐熱性が向上するため、伝熱体2は高温流体の熱交換にも耐え得る。
【0050】
また、本実施の形態の伝熱ユニット1においては、上述したように、セラミックス層4の厚みが、1~100μmであってもよく、5~80μm、10~60μmであってもよい。この場合、伝熱体2の熱伝導性を維持しながら、高温流体の熱交換にも耐え得ることができる。
【0051】
また、本実施の形態の伝熱ユニット1においては、上述したように、金属部材6aの各角部が、湾曲していてもよい。この場合、金属構造体6の表面に凹凸が生じ、流体が流れた際に、金属構造体6の表面に渦が発生する。その結果、金属構造体6の流体の圧力損失を小さく維持しつつ、流体拡散性を高めることができる。
【0052】
また、本実施の形態の伝熱ユニット1においては、上述したように、金属構造体6が、長手軸の延びる方向が略同一の方向に金属部材6aが並んでなる配列構造7を有していてもよい。この場合、複数の金属部材6aの配列方向が揃って結着しているため、金属構造体6および伝熱体2の表面に均質な凹凸が生じ、流体が流れた際に、金属構造体6および伝熱体2の表面に渦が発生する。その結果、金属構造体6および伝熱体2の流体の圧力損失を小さく維持しつつ、流体拡散性を高めることができる。
【0053】
また、本実施の形態の伝熱ユニット1においては、上述したように、伝熱体2の占積率が30~80%であってよい。この場合、流体は金属構造体6および伝熱体2の貫通孔40を効率よく通過することができる。その結果、金属構造体6および伝熱体2の圧力損失は小さく維持しつつ、流体拡散性を高めることができる。
【0054】
また、本実施の形態の伝熱ユニット1においては、上述したように、接合層5に含まれる前記アルミナの比率が50~100%であってよく、70~100%であってもよい。この場合、接合層5において所望の耐熱性を実現できるため、伝熱体2は高温流体の熱交換にも適宜耐え得る。
【0055】
なお、本実施の形態による伝熱ユニット1は上述した態様のものに限定されることはない。
【0056】
例えば、本実施の形態では、筐体3において、流入口10および流出口11は対向する位置に形成されている形態を例示して説明したが、これに限定されない。例えば、筐体3において、対角線上に形成されていてもよい。
【0057】
また、本実施の形態において、複数の金属部材6aの配列方向は限定されるものではない。例えば
図3に示すように、変形例に係る金属構造体6は、複数の金属部材6aが同一面(長手軸の延びる方向が略同一の方向)に並んで他の複数の金属部材6aと当接面で結着した配列構造7を含んでもよい。このとき、複数の配列構造7は、同一面に並んで接点で結着してもよい。また、複数の配列構造7は、同一面に並んで他の複数の配列構造7と接点で結着してもよい。この場合は、複数の金属部材6aの配列方向が揃って結着しているため、金属構造体6および伝熱体2の表面に均質な凹凸が生じ、流体が流れた際に、金属構造体6および伝熱体2の表面に渦が発生する。その結果、金属構造体6および伝熱体2の流体の圧力損失を小さく維持しつつ、流体拡散性を高めることができる。
【0058】
また、本実施の形態において、伝熱体2は、筐体3の流入口10および流出口11の間に配置される部材であって、金属構造体6における面方向の端部において、筐体3の内面と接触し、接合層5を介して接合する形態を例示して説明したが、これに限定されるものではない。例えば、伝熱体2は、金属構造体6における面方向の端部においてのみならず、金属構造体6の積層方向における端部においても、筐体3の内面と接触していてもよい。この場合、例えば、金属構造体6の積層方向における両端部においても筐体3の内面と接触する場合、筐体3の両端内面および内側面の少なくとも3面が、伝熱部2と接することとなる。また、金属構造体6の積層方向における一方の端部において筐体3の内面と接触する場合には、筐体3の一方端の内面および内側面の少なくとも2面が、伝熱部2と接することとなる。
【0059】
また、本実施の形態において、一つの伝熱体2が筐体3の内部に配置される形態を例示して説明したが、これに限定されない。例えば、複数の伝熱体2が筐体3の内部に配置されていてもよい。
【0060】
また、本実施の形態における伝熱ユニット1における伝熱体2および筐体3の内面の接触する形態について、流入口10方向から流出口11方向を見た場合において、中空の直方体状の筐体3における対向する2つの内側面、対向する2つの内側面および対向する2つの内側面に隣接する1つの内側面の計3つの内側面、中空の直方体状の筐体3の全4つの内側面が伝熱体2と接触する形態であってもよい。
【0061】
また、本実施の形態において、直方体状の部材として筐体3を例示して説明したが、これに限定されるものではない。例えば、筐体3は筒状の形態であってもよい。この場合、例えば、筐体3の内部に配置される伝熱体2は、筐体3の内周面の少なくとも一部と接触している。
【0062】
本実施の形態における製造方法としては、限定されるものではない。例えば、複数の金属部材6aを平面状に並べ、900℃に加熱された焼結設備を用いて金属部材6a同士をを焼結し、金属構造体6を得ることができる。
【0063】
例えば、複数の金属構造体6を積層し、900℃に加熱された焼結設備を用いて金属構造体6間を焼結し、伝熱体2を得ることができる。
【0064】
例えば、貫通孔40と伝熱体2の接する面および伝熱体2の表面にアルマイト処理(陽極酸化処理)を行い、伝熱体2にセラミックス層を形成することができる。
【0065】
例えば、筺体3の内部に伝熱体2を封入した後、900℃に加熱された焼結設備を用いて、筺体3の焼結および接合層5の熱接合を行い、伝熱ユニット1を得ることができる。
【0066】
また、金属部材6aはその一部または全部が中空または筒状であってもよい。
【符号の説明】
【0067】
1 伝熱ユニット
2 伝熱体
3 筐体
4 セラミックス層
40 貫通孔
5 接合層
6 金属構造体
6a 金属部材
7 配列構造
10 流入口
11 流出口