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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2025006331
(43)【公開日】2025-01-17
(54)【発明の名称】陳列什器
(51)【国際特許分類】
   A47F 5/10 20060101AFI20250109BHJP
   A47F 5/11 20060101ALI20250109BHJP
   A47F 5/12 20060101ALI20250109BHJP
【FI】
A47F5/10 D
A47F5/11
A47F5/12
【審査請求】未請求
【請求項の数】12
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023107055
(22)【出願日】2023-06-29
【新規性喪失の例外の表示】新規性喪失の例外適用申請有り
(71)【出願人】
【識別番号】000003193
【氏名又は名称】TOPPANホールディングス株式会社
(71)【出願人】
【識別番号】593065235
【氏名又は名称】株式会社リンクス
(74)【代理人】
【識別番号】100105957
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 誠
(74)【代理人】
【識別番号】100068755
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 博宣
(72)【発明者】
【氏名】岡田 恭平
(72)【発明者】
【氏名】佐々木 啓彰
【テーマコード(参考)】
3B118
【Fターム(参考)】
3B118AA21
3B118CA12
3B118DA24
3B118DA32
3B118GA09
3B118GA12
(57)【要約】
【課題】梱包材を削減可能な陳列什器を提供する。
【解決手段】陳列什器100は、閉蓋された箱状を有する箱台60と、箱台60の上面に載置される支持部30と、箱台60の上方にて支持部30に支持されるトレイ10とを備える。陳列什器100は、箱台60に支持部30が組み付けられ、かつ、支持部30にトレイ10が組み付けられることによって組み立てられる。支持部30およびトレイ10は、箱台60の内部に収納可能に構成されている。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
閉蓋された箱状を有する箱台と、
前記箱台の上面に載置される支持部と、
前記箱台の上方にて前記支持部に支持されるトレイと、
を備え、前記箱台に前記支持部が組み付けられ、かつ、前記支持部に前記トレイが組み付けられることによって組み立てられる陳列什器であって、
前記支持部および前記トレイが前記箱台の内部に収納可能に構成されている
陳列什器。
【請求項2】
前記支持部は、前記トレイにおける互いに異なる面を支持する前支持部と後支持部とを備え、前記後支持部は、前記箱台上において前記前支持部よりも後方に位置する
請求項1に記載の陳列什器。
【請求項3】
前記トレイは、前記箱台の内部に収納可能な大きさを有し、
前記支持部は、前記箱台の内部に収納可能な大きさに折り畳み可能に構成されている
請求項1に記載の陳列什器。
【請求項4】
前記トレイは、前記トレイの底を構成する主壁部と、前記主壁部の外縁から立ち上がる側壁部と、を備え、
前記支持部は、上下方向における前記主壁部の位置が当該主壁部の前端から後端にむけて高くなるように、前記主壁部を傾斜させて前記トレイを支持する
請求項1に記載の陳列什器。
【請求項5】
前記トレイは、前記トレイの底を構成する主壁部と、前記主壁部の外縁から立ち上がる側壁部と、を備え、
前記主壁部を底としたときの前記トレイの高さは、前記主壁部の前端から後端に向かう方向に沿って小さくなる
請求項1に記載の陳列什器。
【請求項6】
前記箱台が載置される載置面を有する底板部をさらに備え、
前記載置面は、前記箱台の下面よりも大きく、
前記底板部は、前記箱台の内部に収納可能な大きさに折り畳み可能に構成されている
請求項1に記載の陳列什器。
【請求項7】
前記箱台の内部に配置されて、前記上面を有する蓋部を下方から支持する芯状部をさらに備え、
前記芯状部は、折り畳み可能に構成されている
請求項1に記載の陳列什器。
【請求項8】
前記支持部は、上下方向に延びる筒状部であって、前支持板と、左右一対の横支持板と、後支持板とから構成される前記筒状部を備え、
前記横支持板は、上下方向に延びる折り曲げ線を有し、前記横支持板を前記折り曲げ線で折ることによって前記筒状部の折り畳みが可能であり、
前記筒状部上に前記トレイが配置される
請求項1に記載の陳列什器。
【請求項9】
前記トレイは、前記トレイの底を構成する主壁部と、前記主壁部の外縁から立ち上がる側壁部と、を備え、
前記側壁部は、第1側壁部と、前後方向において前記第1側壁部の後方に位置し、前記第1側壁部と向かい合う第2側壁部と、を含み、
前記横支持板は、前記第1側壁部と前記主壁部とが構成する角部に対応するV字状の上端を有し、前記V字の頂点と重ならない位置に前記折り曲げ線を有する
請求項8に記載の陳列什器。
【請求項10】
前記トレイは、
前記トレイの底を構成する主壁部と、
前記主壁部の外縁から立ち上がる側壁部と、を備え、
前記側壁部は、第1側壁部と、前後方向において前記第1側壁部の後方に位置し、前記第1側壁部と向かい合う第2側壁部と、を含み、
前記支持部は、
上下方向に延びる筒状部であって、前支持板と、左右一対の横支持板と、後支持板とから構成される前記筒状部と、
前記後支持板から前記筒状部上に延びる背面支持板と、を備え、
前記横支持板は、前記第1側壁部と前記主壁部とが構成する角部に対応するV字状の上端を有し、前記V字状の上端は、前記V字の頂点よりも前方に位置する上前端と、前記V字の頂点よりも後方に位置する上後端とを含み、
前記背面支持板は、前記一対の横支持板における前記上後端に沿って配置され、
前記前支持板と前記一対の横支持板における前記上前端とが前記第1側壁部を支持し、
前記背面支持板が前記主壁部を支持する
請求項1に記載の陳列什器。
【請求項11】
前記背面支持板における前記後支持板と反対側には、左右方向に延びる差込板が延設されており、
前記横支持板は、前記V字の頂点から前記横支持板の下端に向けて延びる溝を有し、
前記差込板が、前記一対の横支持板における前記溝に差し込まれている
請求項10に記載の陳列什器。
【請求項12】
前記支持部と前記箱台との少なくとも一方は、前記箱台に前記支持部を固定するための構造を有する
請求項1に記載の陳列什器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、組立式の陳列什器に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、商品の陳列に用いられる棚や台である陳列什器として、組立式の什器が提案されている。例えば、特許文献1に記載の陳列什器は、商品が収容されるトレイと、トレイに接続された折り畳み可能な支持台とを備えている。陳列什器の保管時や運搬時には、支持台は折り畳まれている。折り畳まれた状態の支持台を直立した状態に変形させることにより、陳列什器の使用が可能となる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】実開平7-25868号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、組立式の陳列什器には、組み立ての過程で発生する廃棄物が少ないことが望まれる。特許文献1に記載の陳列什器の保管時や運搬時には、折り畳まれた支持台およびトレイを収納する箱等の梱包材が必要である。そして、この梱包材は、陳列什器の組立後には不要となるため、廃棄物の発生が避けられない。それゆえ、梱包材の削減が可能な陳列什器が求められている。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記課題を解決するための陳列什器の各態様を記載する。
[態様1]閉蓋された箱状を有する箱台と、前記箱台の上面に載置される支持部と、前記箱台の上方にて前記支持部に支持されるトレイと、を備え、前記箱台に前記支持部が組み付けられ、かつ、前記支持部に前記トレイが組み付けられることによって組み立てられる陳列什器であって、前記支持部および前記トレイが前記箱台の内部に収納可能に構成されている、陳列什器。
【0006】
上記構成によれば、陳列什器の構成部材の収納箱として機能する箱台が、陳列什器の組立後には支持部およびトレイの土台として機能する。このように、陳列什器の一部が収納箱として用いられることから、陳列什器とは別に用意される梱包材の削減が可能である。
【0007】
[態様2]前記支持部は、前記トレイにおける互いに異なる面を支持する前支持部と後支持部とを備え、前記後支持部は、前記箱台上において前記前支持部よりも後方に位置する、[態様1]に記載の陳列什器。
上記構成によれば、箱台上の前部と後部にてトレイの2つの面が支持部に支持される。したがって、トレイの支持の安定性が高められる。
【0008】
[態様3]前記トレイは、前記箱台の内部に収納可能な大きさを有し、前記支持部は、前記箱台の内部に収納可能な大きさに折り畳み可能に構成されている、[態様1]または[態様2]に記載の陳列什器。
【0009】
上記構成によれば、トレイは収納のために折り畳まれたり分解されたりしないため、トレイの構造として強度の高い構造を採用できる。したがって、陳列対象物の荷重によってトレイが変形することを抑えることができる。一方で、支持部は折り畳まれて収納されるため、箱台にて陳列什器の構成部材の収納に要するスペースの削減が可能である。
【0010】
[態様4]前記トレイは、前記トレイの底を構成する主壁部と、前記主壁部の外縁から立ち上がる側壁部と、を備え、前記支持部は、上下方向における前記主壁部の位置が当該主壁部の前端から後端にむけて高くなるように、前記主壁部を傾斜させて前記トレイを支持する、[態様1]~[態様3]のいずれか1つに記載の陳列什器。
上記構成によれば、トレイに配置される陳列対象物が広い範囲から見えやすくなる。したがって、陳列の訴求力が高められる。
【0011】
[態様5]前記トレイは、前記トレイの底を構成する主壁部と、前記主壁部の外縁から立ち上がる側壁部と、を備え、前記主壁部を底としたときの前記トレイの高さは、前記主壁部の前端から後端に向かう方向に沿って小さくなる、[態様1]~[態様4]のいずれか1つに記載の陳列什器。
【0012】
上記構成によれば、トレイ内での陳列対象物の位置が主壁部の後端に近づくほど、トレイからの陳列対象物の露出部分が多くなる。したがって、陳列対象物が広い範囲から見えやすくなるため、訴求力が高められる。
【0013】
[態様6]前記箱台が載置される載置面を有する底板部をさらに備え、前記載置面は、前記箱台の下面よりも大きく、前記底板部は、前記箱台の内部に収納可能な大きさに折り畳み可能に構成されている、[態様1]~[態様5]のいずれか1つに記載の陳列什器。
【0014】
上記構成によれば、箱台の転倒が抑えられるとともに、陳列什器の意匠性の向上が可能である。また、底板部を折り畳んで箱台に収納することができるため、収納に要するスペースの削減が可能である。
【0015】
[態様7]前記箱台の内部に配置されて、前記上面を有する蓋部を下方から支持する芯状部をさらに備え、前記芯状部は、折り畳み可能に構成されている、[態様1]~[態様6]のいずれか1つに記載の陳列什器。
【0016】
上記構成によれば、陳列対象物の荷重によって箱台が変形することを抑えることができる。また、芯状部を折り畳んで箱台に収納することができるため、収納に要するスペースの削減が可能である。
【0017】
[態様8]前記支持部は、上下方向に延びる筒状部であって、前支持板と、左右一対の横支持板と、後支持板とから構成される前記筒状部を備え、前記横支持板は、上下方向に延びる折り曲げ線を有し、前記横支持板を前記折り曲げ線で折ることによって前記筒状部の折り畳みが可能であり、前記筒状部上に前記トレイが配置される、[態様1]~[態様7]のいずれか1つに記載の陳列什器。
【0018】
上記構成によれば、支持部を折り畳んで箱台に収納することができるため、収納に要するスペースの削減が可能である。そして、トレイを支持する構造が筒状の構造を含むため、支持部を折り畳み可能に構成することが容易である。
【0019】
[態様9]前記トレイは、前記トレイの底を構成する主壁部と、前記主壁部の外縁から立ち上がる側壁部と、を備え、前記側壁部は、第1側壁部と、前後方向において前記第1側壁部の後方に位置し、前記第1側壁部と向かい合う第2側壁部と、を含み、前記横支持板は、前記第1側壁部と前記主壁部とが構成する角部に対応するV字状の上端を有し、前記V字の頂点と重ならない位置に前記折り曲げ線を有する、[態様8]に記載の陳列什器。
【0020】
上記構成によれば、応力が集中しやすいV字の頂点と異なる位置に折り曲げ線が配置されるため、陳列什器の使用中に折り曲げ線で横支持板が折れて筒状部が崩れることを抑えることができる。
【0021】
[態様10]前記トレイは、前記トレイの底を構成する主壁部と、前記主壁部の外縁から立ち上がる側壁部と、を備え、前記側壁部は、第1側壁部と、前後方向において前記第1側壁部の後方に位置し、前記第1側壁部と向かい合う第2側壁部と、を含み、前記支持部は、上下方向に延びる筒状部であって、前支持板と、左右一対の横支持板と、後支持板とから構成される前記筒状部と、前記後支持板から前記筒状部上に延びる背面支持板と、を備え、前記横支持板は、前記第1側壁部と前記主壁部とが構成する角部に対応するV字状の上端を有し、前記V字状の上端は、前記V字の頂点よりも前方に位置する上前端と、前記V字の頂点よりも後方に位置する上後端とを含み、前記背面支持板は、前記一対の横支持板における前記上後端に沿って配置され、前記前支持板と前記一対の横支持板における前記上前端とが前記第1側壁部を支持し、前記背面支持板が前記主壁部を支持する、[態様1]~[態様9]のいずれか1つに記載の陳列什器。
【0022】
上記構成によれば、主壁部が背面支持板によって面で支持されるため、トレイの支持の安定性が高められる。一方、トレイの支持構造が筒状の構造体を含むため、支持部を折り畳み可能に構成することが容易である。
【0023】
[態様11]前記背面支持板における前記後支持板と反対側には、左右方向に延びる差込板が延設されており、前記横支持板は、前記V字の頂点から前記横支持板の下端に向けて延びる溝を有し、前記差込板が、前記一対の横支持板における前記溝に差し込まれている、[態様10]に記載の陳列什器。
上記構成によれば、差込板が溝に係止されることにより背面支持板の位置が規定されるため、背面支持板の位置の安定性が高められる。
【0024】
[態様12]前記支持部と前記箱台との少なくとも一方は、前記箱台に前記支持部を固定するための構造を有する、[態様1]~[態様11]のいずれか1つに記載の陳列什器。
上記構成によれば、支持部が箱台に固定されるため、箱台に対する支持部の位置の安定性が高められる。
【発明の効果】
【0025】
本発明によれば、陳列什器に要する梱包材を削減することができる。
【図面の簡単な説明】
【0026】
図1図1は、一実施形態の陳列什器の斜視構造を示す図である。
図2図2は、一実施形態の陳列什器における箱台の斜視構造を示す図である。
図3図3は、一実施形態の陳列什器について、収納状態の各構成部材を分離して示す図である。
図4図4は、一実施形態の陳列什器におけるトレイの斜視構造を示す図である。
図5図5は、一実施形態の陳列什器におけるトレイの斜視構造を示す図である。
図6図6は、一実施形態の陳列什器における収納状態の支持部の斜視構造を示す図である。
図7図7は、一実施形態の陳列什器における組立途中の支持部の斜視構造を示す図である。
図8図8は、一実施形態の陳列什器における支持部の斜視構造を示す図である。
図9図9は、一実施形態の陳列什器における支持部の斜視構造を示す図である。
図10図10は、一実施形態の陳列什器における箱台部および芯状部の斜視構造を示す図である。
図11図11は、一実施形態の陳列什器における底板部の斜視構造を示す図である。
図12図12は、一実施形態の陳列什器における各構成部材を分離して示す図である。
図13図13は、一実施形態の陳列什器の斜視構造を示す図である。
図14図14は、一実施形態の陳列什器の側面構造を示す図である。
図15図14は、一実施形態の陳列什器の使用状態を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0027】
図面を参照して、陳列什器の一実施形態を説明する。以下の説明において、上下、前後、左右の各方向は、組立後の陳列什器を水平面に静置した状態での方向に対応する。
【0028】
[陳列什器の全体構造]
図1は、組立後の陳列什器100の斜視構造を示す。陳列什器100は、商品等の陳列対象物が置かれるトレイ10と、トレイ10を支持する支持部30と、支持部30が載せられた箱台60と、箱台60が載せられた底板部70とを備える。
【0029】
陳列什器100の保管時や運搬時には、箱台60以外の陳列什器100の構成部材のすべてが箱台60に収納される。箱台60は、A式段ボール箱状の箱である。図2は、陳列什器100の構成部材が箱台60に収納された状態を示す。このように、箱台60は、陳列什器100の構成部材の収納箱として機能するとともに、組立後の陳列什器100においては、トレイ10および支持部30の支持台として機能する。
【0030】
図3は、箱台60に収納されている状態の陳列什器100の構成部材を、収納順に上下方向に並べて示す。
箱台60に収納される陳列什器100の構成部材には、上述したトレイ10、支持部30、および、底板部70に加えて、芯状部80が含まれる。芯状部80は、組立後の陳列什器100において、箱台60の内部に配置され、箱台60の芯のように機能する。これらの構成部材のうち、支持部30、底板部70、および、芯状部80は、折り畳まれた状態で、箱台60に収納される。トレイ10は、折り畳みや分解等はされず、組立後の陳列什器100で用いられる形状のまま、箱台60に収納される。
【0031】
箱台60には、例えば、下から芯状部80、底板部70、トレイ10、支持部30の順に積み上げられるように、各構成部材が入れられる。ただし、箱台60に上記構成部材がすべて収納可能であれば、各構成部材の収納順や収納の向き、言い換えれば、収納状態における箱台60内での各構成部材の並びや向きは、限定されない。
【0032】
陳列什器100の構成部材の各々は、例えば、段ボール等の紙製である。各構成部材が紙製であることにより、陳列什器100の軽量化が可能であるため、陳列什器100の運搬や組み立てに要する負担が軽減される。
【0033】
[箱台の構成]
陳列什器100の構成部材の詳細な構成を順に説明する。まず、先の図2を参照して、箱台60の構成について説明する。
【0034】
箱台60は、上述したようにA式段ボール箱状の箱である。箱台60が有する2つの外フラップ61は、箱台60に支持部30を組み付ける際に使用される挿入片65を有している。
【0035】
詳細には、各外フラップ61における箱台60の側面板62と繋がっている基部に、2つの挿入片65が位置する。2つの挿入片65は、外フラップ61の基端に沿って並ぶ。挿入片65の基端は、側面板62に繋がっており、挿入片65における基端以外の外縁は、外フラップ61における挿入片65以外の部分であるフラップ本体63から切り離されている。これにより、箱台60の蓋部として機能する外フラップ61を閉じた状態、すなわちフラップ本体63を水平に寝かせた状態で、挿入片65を上下方向に沿って立たせることができる。
【0036】
外フラップ61は、挿入片65の先端付近に、挿入片65の引き起こしを補助するための補助部66を有していてもよい。補助部66は、外縁の一部が周囲から切り離されていることにより、箱台60の内部に押し込み可能となっている。補助部66を押し込みつつ、挿入片65を引き起こすことで、外フラップ61を閉じた状態で挿入片65を容易に引き起こすことができる。なお、補助部66は、切り欠き等であってもよい。
【0037】
[トレイの構成]
次に、図4を参照して、トレイ10の構成について説明する。トレイ10は、第1側壁部11、第2側壁部12、第3側壁部13、および、第4側壁部14の4つの側壁部と、トレイ10の底を構成する主壁部15とを備える。主壁部15は矩形形状を有し、主壁部15の外縁である4つの辺から4つの側壁部11~14が立ち上がっている。4つの側壁部11~14と主壁部15とによって囲まれる空間が、陳列対象物を置くための空間である。
【0038】
第1側壁部11と第2側壁部12とは、互いに向かい合い、主壁部15の長辺から立ち上がっている。第3側壁部13と第4側壁部14とは、互いに向かい合い、主壁部15の短辺から立ち上がっている。
【0039】
第1側壁部11は矩形形状を有する。第2側壁部12は、主壁部15と反対側の縁に窪み12aを有する略矩形形状を有する。窪み12aが設けられていることにより、第2側壁部12の長辺方向の端部、すなわち側壁部13,14付近よりも、第2側壁部12の長辺方向の中央部の方が、第2側壁部12の幅が小さくなっている。
【0040】
第3側壁部13と第4側壁部14との各々は、第1側壁部11と繋がる端を下底、第2側壁部12と繋がる端を上底とする台形形状を有する。
こうした構成において、主壁部15を底としたときのトレイ10の高さは、第1側壁部11から第2側壁部12に向かって徐々に小さくなる。
【0041】
トレイ10は、例えば、1枚あるいは複数枚の板状部材の折り曲げによって形成されている。各側壁部11~14および主壁部15は、複数の板状体が重ねられた構造を有していてもよい。例えば、主壁部15は、図5に示すように複数のフラップの係合により形成された地獄底状の裏側部分と、図4に示した1枚の板状の表側部分とが重ねられた構造を有していてもよい。
【0042】
トレイ10が箱台60に収納されるときには、図3に示したように、主壁部15を底として、主壁部15が略水平となるように、トレイ10が箱台60に入れられる。トレイ10は、主壁部15を底とした場合に箱台60に収納可能な大きさを有している。具体的には、主壁部15の大きさは、箱台60内の底面と同等、もしくは、底面よりも小さい。そして、主壁部15を底としたときのトレイ10の高さの最大値は、箱台60の高さよりも小さい。
【0043】
[支持部の構成]
次に、支持部30の構成について説明する。図6は折り畳まれた状態の支持部30を示し、図7は組立途中の支持部30を示し、図8および図9は組立後の支持部30を示す。
【0044】
図6に示すように、箱台60に収納されるときの支持部30は、支持部30が有する筒状の部分である筒状部35が扁平に畳まれるとともに、筒状部35から延設されている板状の部分が折り返されることにより、折り畳まれている。図7は、折り畳まれた支持部30から、筒状部35を引き起こし、さらに、折り返されていた板状の部分を伸ばした状態を示す。
【0045】
図7に示すように、支持部30は、上記伸ばされた板状の部分に対応する第1構成板31と、主として筒状部35を構成する第2構成板32とから構成されている。
第1構成板31は、背面支持板40と、後支持板41と、下部板42とがこの順に繋がった構造を有している。これらの板40,41,42の各々は略矩形形状を有し、これらの板40,41,42の長辺方向の長さは互いに一致している。短辺方向の長さについては、背面支持板40が最も大きく、背面支持板40、後支持板41、下部板42の順に小さくなる。
【0046】
さらに、第1構成板31にて、背面支持板40における後支持板41と反対側には、帯状の上差込板43が繋がっており、下部板42における後支持板41と反対側には、帯状の下差込板44が繋がっている。
【0047】
背面支持板40の長辺方向の中央部かつ後支持板41の付近には、後支持板41に沿って延びる細長い背面貼付片45が設けられている。背面支持板40と背面貼付片45とから1つの矩形が構成される。背面貼付片45は後支持板41に繋がる一方で、背面支持板40からは切り離されている。
下部板42は、下部板42と後支持板41との境界近傍に、当該境界に沿って間をあけて並ぶ2つの切り込み42aを有している。
【0048】
上差込板43は、当該上差込板43における背面支持板40と反対側の縁に、2つの差込溝43aを有している。2つの差込溝43aは、上差込板43の延びる方向に沿って間をあけて並ぶ。同様に、下差込板44は、当該下差込板44における下部板42と反対側の縁に、2つの差込溝44aを有している。2つの差込溝44aは、下差込板44の延びる方向に沿って間をあけて並ぶ。
【0049】
第2構成板32は、第1構成板31の後支持板41に固定されている。詳細には、第2構成板32は、第1貼付板53、第1横支持板51、前支持板50、第2横支持板52、第2貼付板54がこの順に繋がった構造を有し、第2構成板32の両端部に位置する第1貼付板53と第2貼付板54とが、後支持板41の長辺方向の両端部に貼り付けられている。
【0050】
これにより、第1横支持板51、前支持板50、第2横支持板52、後支持板41から筒状部35が構成されている。第1横支持板51と第2横支持板52とは、後支持板41に対して垂直に延びて互いに向かい合い、前支持板50は後支持板41と向かい合う。
【0051】
筒状部35が構成する筒の延びる方向、換言すれば当該筒の開口方向が、組立後の陳列什器100の上下方向に対応する。後支持板41における下部板42が繋がっている端から背面支持板40が繋がっている端に向かう方向が、下から上に向かう方向である。すなわち、後支持板41の下端に下部板42が繋がり、後支持板41の上端に背面支持板40が繋がっている。
【0052】
前支持板50は矩形形状を有し、前支持板50の上端には、当該上端に沿って延びる帯状の上貼付片55が繋がっている。また、前支持板50の下端には、当該下端に沿って延びる帯状の下貼付片56が繋がっている。
【0053】
第1横支持板51は、直線状の下端と、V字状の折れ線状の上端とを有する。詳細には、第1横支持板51の上端は、前支持板50の付近から延びる斜線状の上前端51Eaと、後支持板41の付近から延びる斜線状の上後端51Ebとからなる。言い換えれば、上前端51EaはV字の頂点よりも前方に位置する部分であり、上後端51EbはV字の頂点よりも後方に位置する部分である。そして、上後端51Ebには、第1補助支持板57が繋がっている。第1補助支持板57は、上後端51Ebを底辺とし頂角部分が丸められた略三角形形状を有する。
【0054】
第1横支持板51の長辺方向である前後方向の中央部には、折り曲げ線51Lが設けられている。折り曲げ線51Lは、第1横支持板51および第1補助支持板57を縦断して上下方向に延びる。折り曲げ線51Lの位置には、第1横支持板51および第1補助支持板57が折れやすいように、第1横支持板51および第1補助支持板57の厚さを薄くする加工やミシン目を形成する加工が施されている。なお、こうした加工は各部材間の境界部分にも施されている。
【0055】
第1横支持板51は、上前端51Eaと上後端51Ebとの交わる部分、すなわち、第1横支持板51の上端におけるV字の頂点部分に、上差込溝51aを有している。上差込溝51aは、第1横支持板51の下端に向けて延びる。上前端51Eaは、上後端51Ebよりも短く、上差込溝51aは、折り曲げ線51Lに対して前支持板50の位置する側、言い換えれば折り曲げ線51Lの前方に位置している。
【0056】
さらに、第1横支持板51は、当該第1横支持板51の下端に、下差込溝51bを有している。下差込溝51bは、第1横支持板51の上端に向けて延びる。下差込溝51bは、折り曲げ線51Lに対して後支持板41の位置する側、言い換えれば折り曲げ線51Lの後方に位置している。
【0057】
第2横支持板52は、第1横支持板51と同一の形状を有している。すなわち、第2横支持板52は、上前端52Eaと上後端52EbとからなるV字状の上端を有し、上後端52Ebには、第2補助支持板58が繋がっている。第2横支持板52の前後方向の中央部には、第2横支持板52および第2補助支持板58を縦断する折り曲げ線52Lが設けられている。第2横支持板52は、上前端52Eaと上後端52Ebとの交わる部分に上差込溝52aを有し、下端に下差込溝52bを有している。上差込溝52aは折り曲げ線52Lの前方に位置し、下差込溝52bは折り曲げ線52Lの後方に位置する。
【0058】
支持部30が箱台60に収納されるときには、折り曲げ線51L,52Lが、筒状部35の外周面が谷となるように谷折りされることにより、筒状部35が畳まれる。そして、背面支持板40および上差込板43と、下部板42および下差込板44とが、後支持板41に対して筒状部35と反対側に折り返される。これにより、陳列什器100の収納状態において支持部30が要するスペースを小さく抑えることができる。
なお、箱台60に収納可能であれば、第1構成板31における各部の折り返しの態様は上述と異なっていてもよい。
【0059】
支持部30の組み立てに際しては、図8に示すように、第1横支持板51と第1補助支持板57との境界部分、および、第2横支持板52と第2補助支持板58との境界部分が折られることにより、補助支持板57,58が、筒状部35の内側に向けて倒される。
【0060】
そして、後支持板41と背面支持板40との境界部分、および、背面支持板40と上差込板43との境界部分が折られ、上差込板43が、横支持板51,52の上差込溝51a、52aに差し込まれる。この際、上差込板43の2つの差込溝43aが、上差込溝51a、52aにかみ合わせられる。
【0061】
また、後支持板41と下部板42との境界部分、および、下部板42と下差込板44との境界部分が折られ、下差込板44が、横支持板51,52の下差込溝51b、52bに差し込まれる。この際、下差込板44の2つの差込溝44aが、下差込溝51b、52bにかみ合わせられる。
【0062】
これにより、支持部30の組み立てが完了する。組立後の陳列什器100においては、図9に示すように、筒状部35の下端および下部板42が下方に向けられる向きで、支持部30が用いられる。
【0063】
組立後の支持部30では、背面支持板40の下面が、補助支持板57,58、および、横支持板51,52の上後端51Eb,52Ebに接する。すなわち、背面支持板40は、補助支持板57,58および上後端51Eb,52Ebに沿って筒状部35上に配置される。そして、上差込板43が横支持板51,52の上差込溝51a、52aに係止されていることにより、背面支持板40の傾斜角度は、上後端51Eb,52Ebの傾斜角度に一致する角度に保持される。背面貼付片45は、背面支持板40に対して引き起こされて、背面支持板40および後支持板41の上方に突出する。
【0064】
また、下部板42の上面は、横支持板51,52の下端後部に接する。そして、下差込板44が横支持板51,52の下差込溝51b、52bに係止されていることにより、筒状部35の筒構造が安定する。
【0065】
上記構成においては、背面支持板40が、補助支持板57,58により面で支持されているため、補助支持板57,58が設けられずに上後端51Eb,52Ebのみによって線で支持される場合と比較して、背面支持板40の支持構造が強固になる。
【0066】
[芯状部の構成]
次に、芯状部80の構成について説明する。図10は、箱台60内に組み付けられた状態の芯状部80を示す。図10では、芯状部80の構造を理解しやすくするために、箱台60における手前の外フラップを割愛して示している。
【0067】
芯状部80は、第1柱板81と第2柱板82との2つの矩形形状の板状部材から構成される。各柱板81,82の短辺方向は上下方向であって、各柱板81,82における短辺方向の長さは箱台60の高さとほぼ一致する。各柱板81,82の長辺方向の長さは、箱台60の底面の矩形の対角線の長さとほぼ一致する。
【0068】
第1柱板81は、長辺方向の中央部に、上端から上下方向の中央部まで延びるスリット81aを有している。第2柱板82は、長辺方向の中央部に、下端から上下方向の中央部まで延びるスリット82aを有している。
【0069】
スリット81a,82a同士がかみ合わせられることにより、第1柱板81における長辺方向の中央下部が、第2柱板82のスリット82aに通され、第2柱板82における長辺方向の中央上部が、第1柱板81のスリット81aに通されている。これにより、第1柱板81と第2柱板82とが互いに組み付けられている。
【0070】
そして、箱台60の内部において、第1柱板81が箱台60の底面の対角線の一方に沿って立設し、第2柱板82が箱台60の底面の対角線の他方に沿って立設するように、芯状部80が配置されている。
【0071】
箱台60の底面と対向する位置から見て、箱台60内に配置された芯状部80は、第1柱板81と第2柱板82とが交差するX字状を有する。箱台60の蓋部が閉じられている状態において、芯状部80は蓋部を下方から支持する。
【0072】
箱台60内に芯状部80が配置されることにより、陳列什器100に陳列対象物が陳列されて箱台60に荷重がかかった場合でも、箱台60の形状が崩れることを抑えることができる。特に、芯状部80は蓋部を下方から支持するため、飲料のように陳列対象物の重量が大きい場合でも、荷重が大きくかかる蓋部の変形を抑えることができる。
【0073】
芯状部80が箱台60に収納されるときには、第1柱板81と第2柱板82とが互いに組み付けられた状態で重ねられ、各柱板81,82が長辺方向の中央部で二つ折りされる。これにより、芯状部80は、4枚の板状体が重ねられた構造状に折り畳まれる。このように芯状部80を折り畳んで収納することで、陳列什器100の収納状態において芯状部80が要するスペースを小さく抑えることができる。
【0074】
[底板部の構成]
次に、図11を参照して、底板部70の構成について説明する。底板部70は、箱台60の下面よりも大きい上面である載置面71Sを有する底板71を備えている。底板71は、載置面71Sから立ち上がる2つの固定片72を備えている。各固定片72は、載置面71Sに沿って前後方向に帯状に延び、2つの固定片72は、左右方向に、箱台60の下面の長辺方向の長さに相当する間隔をあけて配置されている。
【0075】
固定片72は、基部以外の外縁が載置面71Sを構成する周囲から切り離されて、載置面71Sに対して引き起こされた構成を有する。固定片72の引き起こしによって形成される孔は、底板71の下面に貼り付けられた補強板73によって塞がれていることが好ましい。これによって、底板部70の強度を高めることができる。
【0076】
底板71は、左右方向の中央部にて前後方向に延びる折り曲げ線71Lを有している。箱台60に収納されるときには、底板部70は、折り曲げ線71Lで二つ折りにされる。二つ折りされることにより、底板部70は、箱台60に収納可能な大きさとなる。この際、各固定片72は、載置面71Sに沿って倒される。これにより、陳列什器100の収納状態において底板部70が要するスペースを小さく抑えることができる。
【0077】
[陳列什器の組立]
図12を参照して、陳列什器100の各部の組み付けについて説明する。図12は、陳列什器100の構成部材を互いに離して示す。組立後の陳列什器100を前方から見た斜視図が図1であり、組立後の陳列什器100を後方から見た斜視図が図13である。
【0078】
図12に示すように、底板部70には、箱台60が組み付けられる。詳細には、底板部70の載置面71Sに、内部に芯状部80が配置された箱台60が載置される。箱台60の蓋部は閉じられ、2つの外フラップ61が前後に並ぶ向き、すなわち、箱台60の上面の短辺方向が前後方向となる向きに、箱台60が配置される。そして、箱台60における前後方向に沿った2つの側面の下部のそれぞれに、固定片72が貼り付けられる(図1参照)。これにより、底板部70に箱台60が固定される。
【0079】
箱台60では、後方の外フラップ61における2つの挿入片65が引き起こされる。箱台60の上面を構成する2つの外フラップ61の双方が挿入片65を備えていることにより、2つの外フラップ61のいずれを前方としても、陳列什器100の組み立てが可能である。
【0080】
箱台60には、支持部30が組み付けられる。詳細には、支持部30は、筒状部35の下端および下部板42が箱台60の上面に接するように、箱台60の上面に載置される。支持部30は、前支持板50が正面に位置する向きに配置される。
【0081】
支持部30における下貼付片56は、箱台60における正面に位置する側面の上部に貼り付けられる(図1参照)。また、箱台60にて引き起こされている挿入片65は、支持部30の後部下端に位置する切り込み42aに挿入される(図13参照)。これにより、支持部30が箱台60に固定される。
【0082】
支持部30には、トレイ10が組み付けられる。具体的には、トレイ10は、支持部30における筒状部35上に置かれる。このとき、トレイ10の第1側壁部11の外側面が、支持部30における前支持板50の上端および横支持板51,52の上前端51Ea,52Eaに接し、トレイ10の主壁部15の外側面が、支持部30における背面支持板40の上面に接する。
【0083】
支持部30における上貼付片55は、第1側壁部11の外側面上部に貼り付けられる(図1参照)。また、背面貼付片45は、主壁部15の外側面上部に貼り付けられる(図13参照)。これにより、箱台60の上方にてトレイ10が支持部30に固定される。
以上により、陳列什器100の組み立てが完了する。なお、各部材の貼り付けには、両面テープや接着剤が用いられればよい。
【0084】
図14を参照して、組立後の陳列什器100におけるトレイ10と支持部30との位置関係についてさらに説明する。図14は、組立後の陳列什器100におけるトレイ10、支持部30、および、箱台60の側面構造を示す。
【0085】
図14に示すように、トレイ10の第1側壁部11は、支持部30における前支持板50の上端、上前端51Ea、および、図示しない上前端52Eaに支持される。また、主壁部15は、背面支持板40に支持される。
【0086】
上記構成において、横支持板51,52の上端は、第1側壁部11と主壁部15とが構成する角部に対応するV字状を有している。具体的には、上前端51Eaと上後端51Ebとのなす角、および、図示しない上前端52Eaと上後端52Ebとのなす角の各々は、直角である。そして、上前端51Ea,52Eaは、背面支持板40に対して直交する方向に延びる。
【0087】
これにより、トレイ10は、水平方向に対して第1側壁部11および主壁部15が傾斜した状態に保持される。詳細には、トレイ10は、上下方向における主壁部15の位置が当該主壁部15の前端から後端にむけて高くなるように、傾斜している。主壁部15の前端は第1側壁部11に繋がっており、主壁部15の後端は第2側壁部12に繋がっている。トレイ10の傾斜によって、第2側壁部12は、第1側壁部11の後方かつ上方に配置される。
【0088】
このように、支持部30は、トレイ10における第1側壁部11の外側面と主壁部15の外側面との2つの面を支持する。第1側壁部11の外側面を支持する部分が前支持部であり、前支持部は、前支持板50および横支持板51,52の上前端51Ea,52Eaを有する部分から構成される。主壁部15の外側面を支持する部分が後支持部であり、後支持部は、背面支持板40と後支持板41と横支持板51,52の上後端51Eb,52Ebを有する部分と補助支持板57,58とから構成される。後支持部は、箱台60上において前支持部よりも後方に位置する。
【0089】
横支持板51における折り曲げ線51Lは、上前端51Eaと上後端51Ebとの交わる部分、すなわち、第1横支持板51の上端におけるV字の頂点部分と重ならない位置に配置されている。図示しない横支持板52の折り曲げ線52Lも同様である。
【0090】
横支持板51,52におけるV字の頂点部分には、応力がかかりやすいため、V字の頂点部分とは異なる位置に折り曲げ線51L,52Lを配置することで、陳列什器100の使用時に折り曲げ線51L,52Lが曲がって筒状部35が崩れることが抑えられる。
【0091】
なお、横支持板51,52が、中芯を有する段ボール製である場合、横支持板51,51が、折り曲げ線51L,52Lとは異なる位置で折れることを抑える観点では、上下方向に沿った断面にて中芯の波形状が観察可能な向きで横支持板51,52が形成されていることが好ましい。こうした構成においては、後支持板41が、左右方向に沿った断面にて中芯の波形状が観察可能な向きで形成されていると、上方向からの荷重に対する筒状部35の強度を高められるため好ましい。すなわち、筒状部35において、横支持板51,52および前支持板50と、後支持板41とで、中芯の向きは異なっている。
【0092】
[陳列什器の使用状態]
図15は、陳列什器100の使用状態を示す。陳列什器100のトレイ10には、陳列対象物200が並べられる。陳列什器100は、例えば、陳列対象物200が500mLのペットボトル飲料である場合に好適に用いられる。
【0093】
本実施形態では、陳列什器100の構成部材の収納箱として機能する箱台60が、陳列什器100の組立後には、トレイ10および支持部30を支持する土台として機能する。このように、陳列什器100の一部が収納箱として用いられることから、陳列什器100とは別に用意される梱包材の削減が可能である。また、収納状態において陳列什器100が1つの箱状であるため、陳列什器100の保管や輸送が容易である。そして、箱台60は、組み立て不要な安定性の高い直方体状を有しているため、土台としての安定性が高く得られる。
【0094】
本実施形態の陳列什器100では、トレイ10が傾斜した状態に保持されるため、陳列対象物200が広い範囲から見えやすくなる。さらに、主壁部15を底としたときのトレイ10の高さが、第1側壁部11から第2側壁部12に向かって、言い換えれば主壁部15の前端から後端に向かう方向に沿って、小さくなる。そのため、第2側壁部12に近いほど、トレイ10からの陳列対象物200の露出部分が多くなる。それゆえ、陳列対象物200がより広い範囲から見えやすくなる。また、第2側壁部12の幅が窪み12aによって狭まっていることによっても、陳列対象物200が見えやすくなる。そして、これらの特徴的な構造は、陳列什器100の付近を通る消費者の注目を集めやすい。したがって、高い訴求力が得られる。
【0095】
一方で、トレイ10が傾斜することで、トレイ10の2つの面が支持部30に支持されるため、例えば、第1側壁部11のみが支持される形態と比較して、訴求力の向上と同時にトレイ10の支持の安定性も高められる。また、第2側壁部12に対して下方の第1側壁部11の幅が大きくなっているため、陳列対象物200露出部分を増やしつつも、トレイ10の支持の安定性の低下を抑えることができる。さらに、トレイ10が傾斜していることにより、トレイ10からの陳列対象物200の露出部分が多くとも、陳列対象物200の保持の安定性が高められる。
【0096】
また、支持部30の前支持板50が正面に位置することにより、陳列対象物200の情報等の印刷に用いることができる領域を正面に広く確保できる。一方で、左右方向において、前支持板50の幅、すなわち支持部30の筒状部35の幅が、箱台60の幅およびトレイ10の幅のそれぞれよりも小さいため、陳列什器100が支持部30で括れるような形状となり、意匠性が高められる。そして、筒状部35の幅が小さくされていても、背面支持板40の幅は筒状部35の幅よりも大きくトレイ10と同程度であるため、トレイ10の安定した支持が可能である。
【0097】
さらに、箱台60の下面よりも大きい底板部70が設けられることにより、箱台60の転倒が抑えられるとともに、陳列什器100の見栄えも良くなる。また、載置面71Sが箱台60の外側にまで広がっているため、陳列対象物200の情報等の印刷に用いることができる領域の拡大が可能である。
【0098】
なお、図15では、陳列対象物200であるペットボトル飲料が、ペットボトルの底を主壁部15に接触させる向きで並べられた例を示しているが、これに限らず、ペットボトル飲料は、ペットボトルの底を第1側壁部11に接触させる向きに並べられてもよい。また、陳列什器100は、ペットボトル飲料とは異なる陳列対象物の陳列に用いられてもよい。
【0099】
また、陳列什器100は、箱台60に直接にトレイ10を載置する態様で用いられてもよい。すなわち、支持部30の組み付けが割愛されてもよい。こうした構成によれば、より自由度の高い陳列什器100の利用が可能である。この場合、水平にされた主壁部15が箱台60の上面に接し、第2側壁部12が正面に位置する向きに、トレイ10が配置される。この際、第1側壁部11および第2側壁部12の下端の各々に2つの差込孔が設けられ、箱台60の一方の外フラップ61の挿入片65が第1側壁部11の下端の差込孔に挿入され、他方の外フラップ61の挿入片65が第2側壁部12の下端の差込孔に挿入されることで、箱台60にトレイ10が固定されてもよい。
【0100】
以上、本実施形態によれば、以下に列挙する効果を得ることができる。
(1)陳列什器100の一部である箱台60が、陳列什器100の他の構成部材の収納箱として用いられることから、陳列什器100とは別に用意される梱包材の削減が可能である。
【0101】
(2)組み立ての前後で箱台60が折り畳まれたり分解されたりしないため、土台としての安定性が高く得られる。
(3)トレイ10は折り畳まれずに箱台60に収納されるため、トレイ10の構造として強度の高い構造を採用できる。したがって、陳列対象物200の荷重によってトレイ10が変形することを抑えることができる。一方で、支持部30は折り畳まれて収納されるため、箱台60にて陳列什器100の構成部材の収納に要するスペースの削減が可能である。
【0102】
(4)陳列什器100が底板部70を備えるため、箱台60の転倒が抑えられるとともに、陳列什器100の意匠性の向上が可能である。また、底板部70を折り畳んで箱台60に収納することができるため、収納に要するスペースの削減が可能である。
【0103】
(5)箱台60の内部に芯状部80が配置されるため、陳列対象物200の荷重によって箱台60が変形することを抑えることができる。また、芯状部80を折り畳んで箱台60に収納することができるため、収納に要するスペースの削減が可能である。
【0104】
(6)支持部30は、箱台60上の前部と後部にてトレイ10の2つの面を支持する。したがって、トレイ10の支持の安定性が高められる。
(7)トレイ10が、前部から後部に向けて高くなるように傾斜した状態に支持される。これにより、トレイ10に配置される陳列対象物200が広い範囲から見えやすくなる。したがって、陳列の訴求力が高められる。
【0105】
(8)主壁部15を底としたときのトレイ10の高さが、主壁部15の前端から後端に向かう方向に沿って小さくなる。こうした構成によれば、トレイ10内での陳列対象物200の位置が主壁部15の後端に近づくほど、トレイ10からの陳列対象物200の露出部分が多くなる。したがって、陳列対象物200が広い範囲から見えやすくなるため、陳列の訴求力が高められる。
【0106】
また、上記構成において、トレイ10が傾斜していれば、トレイ10からの陳列対象物200の露出部分が多くとも、陳列対象物200の保持の安定性が高められる。そして、トレイ10における2つの面が支持されることで、トレイ10および陳列対象物200の支持の安定性が高められる。
【0107】
(9)支持部30におけるトレイ10の支持構造が、筒状の構造体である筒状部35を含むため、支持部30を折り畳み可能に構成することが容易である。
(10)左右一対の横支持板51,52を折り曲げ線51L,52Lで折ることによって筒状部35の折り畳みが可能である。これにより、筒状部35の折り畳み構造が好適に実現される。そして、横支持板51,52の上端において、応力が集中しやすいV字の頂点と異なる位置に折り曲げ線51L,52Lが配置されるため、陳列什器100の使用中に折り曲げ線51L.52Lで横支持板51,52が折れて筒状部35が崩れることを抑えることができる。
【0108】
(11)トレイ10の主壁部15が背面支持板40によって面で支持されるため、トレイ10の支持の安定性が高められる。
(12)背面支持板40から延設された左右方向に延びる上差込板43が、左右一対の横支持板51,52の上差込溝51a,52aに挿入されることにより、背面支持板40が係止される。これにより、背面支持板40の位置の安定性が高められる。
【0109】
(13)支持部30を箱台60に固定するための構造として、支持部30は下貼付片56を備え、箱台60は挿入片65を備えている。これらの構造によって支持部30が箱台60に固定されるため、箱台60に対する支持部30の位置の安定性が高められる。
【0110】
[変形例]
上記実施形態は、以下のように変更して実施してもよい。また、以下の変形例は互いに組み合わせて実施してもよい。
【0111】
陳列什器100の構成部材が箱台60に収納可能に構成されていれば、各部の構造は上記実施形態と異なっていてもよい。
例えば、トレイ10における主壁部15を底としたときの高さは一定であってもよいし、支持部30に支持されている状態において、トレイ10は傾斜していなくてもよい。また、トレイ10の傾斜角度が可変であってもよい。また、支持部30は、トレイ10における1つの面のみを支持してもよいし、筒状部35や背面支持板40とは異なる支持構造を有していてもよい。また、箱台60への収納に際して、トレイ10が畳まれてもよいし、支持部30、底板部70、芯状部80のうち、折り畳まれずに収納される部材があってもよい。さらに、陳列什器100は、少なくとも箱台60と支持部30とトレイ10とを備えていればよく、底板部70および芯状部80の少なくとも一方を備えていなくてもよい。また、支持部30を箱台60に固定するための構造は、下貼付片56や挿入片65とは異なっていてもよいし、これらの少なくとも一方が割愛されてもよい。
【符号の説明】
【0112】
10…トレイ
11,12,13,14…側壁部
15…主壁部
30…支持部
35…筒状部
40…背面支持板
41…後支持板
42…下部板
43,44…差込板
50…前支持板
51,52…横支持板
51a,52a…上差込溝
51b,52b…下差込溝
51Ea,52Ea…上前端
51Eb,52Eb…上後端
51L,52L…折り曲げ線
57,58…補助支持板
60…箱台
61…外フラップ
65…挿入片
70…底板部
71S…載置面
80…芯状部
100…陳列什器
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