(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2025006336
(43)【公開日】2025-01-17
(54)【発明の名称】歩行器
(51)【国際特許分類】
A61H 3/00 20060101AFI20250109BHJP
【FI】
A61H3/00 A
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023107064
(22)【出願日】2023-06-29
(71)【出願人】
【識別番号】390039985
【氏名又は名称】パラマウントベッド株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100112335
【弁理士】
【氏名又は名称】藤本 英介
(74)【代理人】
【識別番号】100101144
【弁理士】
【氏名又は名称】神田 正義
(74)【代理人】
【識別番号】100101694
【弁理士】
【氏名又は名称】宮尾 明茂
(74)【代理人】
【識別番号】100124774
【弁理士】
【氏名又は名称】馬場 信幸
(72)【発明者】
【氏名】永野 豊
【テーマコード(参考)】
4C046
【Fターム(参考)】
4C046AA24
4C046AA52
4C046BB07
4C046CC01
4C046DD33
4C046EE04
4C046EE05
4C046EE07
4C046EE10
4C046EE17
4C046EE24
4C046EE26
4C046EE27
4C046EE32
4C046EE33
4C046FF13
(57)【要約】 (修正有)
【課題】ユーザにとって適切に利用可能な又は利便性の高い歩行器等に関する技術を提供する。
【解決手段】左右の側面フレームを連結部材で連結する歩行器であって、前記側面フレームは、前側フレームと、後側フレームと、前側フレーム及び後側フレームの上端でつなぐ上部フレームとを有し、前記後側フレームと、前記上部フレームとがなす第2の角度は、前記前側フレームと、前記上部フレームとがなす第1の角度より小さい。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
左右の側面フレームを連結部材で連結する歩行器であって、
前記側面フレームは、前側フレームと、後側フレームと、前側フレーム及び後側フレームの上端でつなぐ上部フレームとを有し、
前記後側フレームと、前記上部フレームとがなす第2の角度は、前記前側フレームと、前記上部フレームとがなす第1の角度より小さい
歩行器。
【請求項2】
前記第1の角度と、前記第2の角度との角度の差は3度以上であり、かつ、当該角度の差が第1の角度から90度を減じた角度となるように、前記側面フレームが構成されている請求項1に記載の歩行器。
【請求項3】
前記歩行器を設置面に設置したときに、
前記後側フレームと、前記設置面とがなす角度は略90度であり、前記前側フレームと、前記設置面とがなす角度は90度より小さくなるように、前記側面フレームが構成されている請求項1に記載の歩行器。
【請求項4】
前記上部フレームは、前記後側フレーム側から前記前側フレーム側に向かって上昇するように傾斜する
請求項1に記載の歩行器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、歩行器に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば、特許文献1に開示されているように、利用者自身が歩行器本体を持ち上げて前に進むタイプの歩行器が知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本開示は、例えば、ユーザにとって適切に利用可能な又は利便性の高い歩行器等に関する技術を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本開示歩行器は、左右の側面フレームを連結部材で連結する歩行器であって、前記側面フレームは、前側フレームと、後側フレームと、前側フレーム及び後側フレームの上端でつなぐ上部フレームとを有し、前記後側フレームと、前記上部フレームとがなす第2の角度は、前記前側フレームと、前記上部フレームとがなす第1の角度より小さい。
【発明の効果】
【0006】
本開示によれば、例えば、ユーザにとって適切に利用可能な又は利便性の高い歩行器等に関する技術を提供することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【
図1】第1実施形態における歩行器の斜視外観図である。
【
図2】第1実施形態における歩行器の側面外観図である。
【
図3】第1実施形態における歩行器について説明を行うための模式図である。
【
図4】第1実施形態おける歩行器と足の位置との関係を説明する図である。
【
図5】第2実施形態におけるシステム全体を説明する図である。
【
図6】第2実施形態における機能構成を説明する図である。
【
図7】第2実施形態におけるセンサの位置の一例を説明する図である。
【
図8】第2実施形態におけるソフトウェアの構成を説明する図である。
【
図9】第2実施形態におけるデータ構成の一例を示す図である。
【
図10】第2実施形態における第1処理例のフロー図である。
【
図11】第2実施形態における第2処理例のフロー図である。
【
図12】第2実施形態における画面例を示す図である。
【
図13】第2実施形態における第3処理例のフロー図である。
【
図14】第2実施形態における画面例を示す図である。
【
図15】第2実施形態における画面例を示す図である。
【
図16】第3実施形態におけるシステム全体を説明する図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、図面を参照して本開示を実施するための形態について説明する。なお、以下に示す実施形態は、本開示を提供した一つの実施形態であり、以下の記載に基づいて本開示の内容が限定して解釈されるものではない。
【0009】
利用者の歩行を補助する装置の一つとして歩行器が知られている。歩行器には複数の種類があるが、その中でも、利用者自身が歩行器本体を持ち上げて前に進むタイプのピックアップ型歩行器(固定型歩行器)が知られている。なお、以下、ピックアップ型歩行器のことを単に歩行器という。
【0010】
利用者が歩行器を使用して歩行をする方法は、一般的には利用者が真っ直ぐ足を踏み出すことを前提として説明されることが多かった。しかし、このような歩行器を例えば、片麻痺の利用者が利用したときは、単に真っ直ぐ前に足を踏み出すことができない。また、同様に、このような歩行器を、関節が硬くなった高齢の利用者や、何らかの疾病がある利用者が利用したときに、同様に足を真っ直ぐに踏み出すことができなかった。
【0011】
そこで、片麻痺等の利用者が利用するときは、体を歩行器で支持し、体を使って麻痺側を回すようにして前に踏み出すことが多い。このとき、利用者は、体から外側に向かって足を回すように動かすが、通常の歩き方を想定した歩行器では、歩行器を支える脚(後ろ脚)に、回す足がぶつかりやすくなってしまうという問題が生じていた。
【0012】
これは、一般的に歩行器は、通常の歩き方を前提に、なるべく利用者の足回りのスペースを確保するように配慮されている。しかし、ピックアップ型の歩行器は特に屋内で使われることが多い。そこで、外寸は寄り小さい方が取り回しがよいため、必要以上に幅を広げない設計となっている。
【0013】
そのため、上述したように、片麻痺の利用者の場合、体から外側に向かって回すように動かして歩行する側の足が、歩行器の脚にぶつかりやすくなってしまい、使用しづらい歩行器となっていた。
【0014】
このように、以下の実施形態では、片麻痺の利用者にとっても、使い勝手のよい歩行器を提案するという従来になかった着想に基づく歩行器について説明する。
【0015】
なお、以下、歩行器を利用する利用者の前側を「前」、後側を「後」、右側を「右」、左側を「左」として説明する。
【0016】
また、利用者は、歩行器を利用する者である。利用者は、病人、要介護者に限られず、健常者を含むものである。また、利用者は、大人、老人だけでなく、子供等も含むものである。なお、本実施形態における歩行器は、片麻痺が生じている利用者等、足を外側に回して歩く利用者が利用するときに、最も効果を有するものである。なお、利用者は片足を怪我しているときも、効果を有する。
【0017】
また、スタッフ等は、利用者が入院する病院の医療従事者や、利用者が入居する施設の職員等を含む。また、スタッフ等は、自宅の場合、利用者の看病や介護をする家族を含むものである。
【0018】
[1.第1実施形態]
[1.1 全体構成]
図1は、歩行器1の全体を示す斜視外観図である。
図2は、歩行器1を左から見た側面外観図であり、左側の側面フレーム10を示している。
【0019】
側面フレーム10は、左右一対に配置されており、利用者が体を支えるものである。側面フレーム10は、歩行器1の前面側で1又は複数の連結部材で連結されている。本実施形態では、折り畳み可能な第1の連結部材32と、第2の連結部材34とにより連結されている。
【0020】
側面フレーム10は、上下方向に延びる歩行器1の前脚となる前側フレーム12と、歩行器1の後脚となる後側フレーム14と、前側フレーム12の上端と、後側フレーム14の上端とをつなぐ上部フレーム16とを有する。
【0021】
また、側面フレーム10は、側面フレーム10を補強するために、上部フレーム16と略並行になるように1又は複数のフレームを配置してもよい。本実施形態では、側面フレーム10の上下方向の中間位置に、第1の横フレーム22と、第2の横フレーム24とを有している。
【0022】
前側フレーム12と、後側フレーム14とは、上端側は上部フレーム16で連結されている。また、本実施形態では、前側フレーム12と、上部フレーム16と、後側フレーム14とは、断面が略円形状のパイプが曲げられ、一体的に形成されていてもよい。パイプの材料は、例えば、アルミニウム、鉄、ステンレス、チタンといった金属であってもよいし、強化プラスチック等の合成樹脂、木材等であってもよい。
【0023】
また、前側フレーム12と上部フレーム16との接続部分は、
図1、
図2に示すように孤を描くように曲げられていてもよい。また、前側フレーム12と上部フレーム16との接続部分は角になるように接続されてもよいし、真っ直ぐな部材同士が接続されてもよい。
【0024】
上部フレーム16は、把持部20を有していてもよい。把持部20は、例えばプラスチック等の合成樹脂、ゴム、クッション等で構成されていてもよい。把持部20は、利用者が歩行器1を利用して歩行するときに把持する部分である。把持部20は、利用者が上部フレーム16を握りやすくするための形状であることが好ましい。把持部20は、上部フレーム16に巻き付けるように設けられてもよい。また、把持部20の代わりに、上部フレーム16を、利用者が握りやすい形状とするようにしてもよい。
【0025】
第1の横フレーム22は、前側フレーム12及び後側フレーム14に固着されている。第1の横フレーム22は、例えば、前側フレーム12及び後側フレーム14と溶接により接続されてもよいし、ネジ等の固定部材により固定されてもよい。また、第1の横フレーム22は、前側フレーム12と、後側フレーム14と一体に形成されてもよい。
【0026】
また、第1の横フレーム22は、前側フレーム12及び後側フレーム14と略直角に接続すると好ましい。そのため、第1の横フレーム22は、前側フレーム12及び後側フレーム14との傾きに合わせるために、中央部近傍付近でくの字状に緩く曲げられていてもよい。第1の横フレーム22は、側面フレーム10の上下方向の上側寄りに設けられていてもよい。
【0027】
また、第2の横フレーム24は、側面フレーム10を補強するために、第1の横フレーム22より下方の前側フレーム12及び後側フレーム14との間に設けられている。
【0028】
第2の横フレーム24は、前側フレーム12と、後側フレーム14と何れかの方法で固定されればよい。本実施形態では、例えば、第2の横フレーム24の端部を湾曲させることで、前側フレーム12及び後側フレーム14と平行となるような形状とする。例えば、第2の横フレーム24は、側面視で略コの字の形状となる。
【0029】
そして、第2の横フレーム24は、前側フレーム12及び後側フレーム14と、例えばネジ等の固定部材を利用して固定してもよい。また、第2の横フレーム24は、前側フレーム12及び後側フレーム14と溶接して固定してもよいし、一体形成としてもよい。
【0030】
第1の連結部材32及び第2の連結部材34は、左右の側面フレーム10を連結するための部材である。例えば、第1の連結部材32及び第2の連結部材34は、側面フレーム10と同じように、パイプで構成されてもよい。また、第1の連結部材32及び第2の連結部材34は、側面フレーム10とは異なる部材で構成されていてもよい。
【0031】
第1の連結部材32及び第2の連結部材34は、折り畳み可能な構成となっていてもよい。例えば、第1の連結部材32及び第2の連結部材34は、中央近傍が折り畳み可能な構成となっており、利用者が歩行器1を折り畳むことができる。
【0032】
また、第1の連結部材32は、ロック機構を有していてもよい。例えば、利用者は、使用時には、第1の連結部材32が折り畳まれていない状態(直線状となっている状態)でロックする。また、利用者は、折り畳む時は、ロック機構を解除することで、第1の連結部材32が折り畳み可能な状態となる。
【0033】
第2の連結部材34は、折り畳み可能な構成であるが、ロック機構を有していなくてもよい。例えば、第1の連結部材32のロック機構により第1の連結部材32がロックされると、第2の連結部材34は、折り畳まれていない状態(直線状の状態)が維持される。また、第1の連結部材32のロック機構が解除されると、第2の連結部材34も第1の連結部材32と併せて折り畳み可能な状態となる。
【0034】
また、側面フレーム10は、下端にゴム等で構成された滑り止めを設けてもよい。例えば、前側フレーム12は下端に滑り止め12A、後側フレーム14は下端に滑り止め14Aを設けてもよい。
【0035】
また、側面フレーム10は、上下方向に伸縮自在に調整するための調整機構を有していてもよい。例えば、前側フレーム12は調整機構12B、後側フレーム14は調整機構14Bを有していてもよい。例えば、調整機構12B及び調整機構14Bを利用することで、前側フレーム12、後側フレーム14の長さを変えることができてもよい。
【0036】
[1.2 位置関係]
ここで、前側フレーム12、後側フレーム14、上部フレーム16との位置関係について、
図3を参照して説明する。
【0037】
図3(a)は、本実施形態の後側フレーム14の位置について説明する。本実施形態の歩行器1は、後側フレーム14が、従来の歩行器と比較して下端が前側に位置することが特徴である。
【0038】
図3(a)の破線で示した仮想線18は、従来の後側フレームの位置を示している仮想線である。それに対して、本実施形態における歩行器1の後側フレーム14は、下端が従来の位置に比べて前方にあることが特徴である。
【0039】
これにより、前側フレーム12と、上部フレーム16とが成す第1の角度である角度R1と、後側フレーム14と、上部フレーム16とが成す第2の角度である角度R2とを比較すると、角度R1の方が角度R2よりも大きくなる。
【0040】
また、歩行器1を水平面FLに配置したとき、前側フレーム12と、水平面FLとが成す角度R3と、後側フレーム14と、水平面FLとが成す角度R4とを比較すると、R4の方が大きくなる。
【0041】
従来の歩行器1では、後側フレーム14の位置が仮想線18の位置となる。例えば、従来の歩行器1は、側面視で等脚台形の形状となり、上部フレーム16と、前側フレーム12とが成す角度と、上部フレーム16と、後側フレーム14とが成す角度とは同じになっている。したがって、水平面FLと、前側フレーム12とが成す角度と、水平面FLと、後側フレーム14とが成す角度も同じになっている。
【0042】
そうすると、利用者が歩行器1を利用して歩行をするときに、足が後側フレームに当たってしまうという課題が生じていた。本実施形態の歩行器1は、後側フレーム14の下端の位置P1が、従来の後側フレームの仮想線18の下端の位置P2より前方よりに移動した。P2よりP1が前方に移動したことにより、利用者が歩行器1を利用して歩行するときでも、足が後側フレーム14に当たってしまうということを防ぐことが可能となる。
【0043】
なお、
図3(b)に示すように、後側フレーム14を、水平面FLと略直角となるように構成してもよい。
【0044】
説明の一例として、
図3(b)の歩行器1について、具体的な数値を使って説明する。例えば、
図3(b)では、角度R4は、従来品が84度であったところ90度とした。また、例えば、角度R2は、従来品が96度であったところ92.5度とした。これにより、本実施形態の後側フレーム14の下端が位置するP1と、従来の後側フレームを示す仮想線18の下端の位置P2の間の距離W1は、およそ6cmとなる。すなわち、本実施形態の歩行器1は、従来の歩行器より距離W1の分、後側フレーム14の下端が前側に寄って位置することになる。
【0045】
また、このときR1は従来品の角度(96度)のままとし、上部フレーム16に傾斜を設けてもよい。例えば、従来品の上部フレームは、水平面FLに平行となっていたが、本実施形態の上部フレーム16は、後方から前方に向かって2.5度(
図3(b)の角度R5)上昇する傾斜がついている。
【0046】
なお、これらの数値は一例であり、当該数値に限定されるものではない。例えば角度R4は、以下の関係を満たしていればよい。
R3 < R4 ≦ 90度
【0047】
また、角度R2は、角度R1より小さい角度となればよい。例えば、角度R1と角度R2との差は、好ましくは3度以上6度以下となるとよい。また、角度R1と角度R2の角度との差は、所定の角度から角度R1-90度の範囲になることが好ましい。例えば、所定の角度が3度であれば、角度R1と、角度R2との差は、3度以上角度R1-90度以下となることが好ましい。すなわち、角度R1、角度R2は、所定の角度が3度であれば、以下のような関係式となる。
3度≦R1-R2≦R1-90度
【0048】
このように、角度R2の最小角度は、後側フレーム14が設置面に対して垂直(例えば、ほぼ90度)となるような角度としてもよい。例えば、いくつか具体的な角度について記載すると、
・角度R1が96度の場合、角度R1と角度R2との角度差は3度から6度となり、角度R2は、90度から93度となる。
・角度R1が100度の場合、角度R1と角度R2との角度差は3度から10度となり、角度R2は、90度から97度となる。
・角度R1が105度の場合、角度R1と角度R2との角度差は3度から15度となり、角度R2は、90度から102度となる。
【0049】
また、上部フレーム16を水平にしたときに、R1の角度によらず、R2の最小角度として、後側フレーム14が、設置面に対して垂直(例えば、ほぼ90度)となるような角度となるようにしてもよい。
【0050】
また、後側フレーム14の下端の位置P1は、従来の位置P2より前方にあればよい。すなわち、P1は、上部フレーム16の後端の位置から設置面である水平面FLに対してほぼ垂直となる位置から、従来の後側フレームの下端の位置であるP2の間にあればよい。なお、歩行器1を設置する場所である設置面に対して垂直とは、好ましくは90度であるが、完全に90度に限るものではなく、製造誤差、組立て誤差等の範囲を含んでいてもよい。
【0051】
本実施形態では、距離W1を6cmとしているが、好ましくは2cm~6cmの範囲で後側フレーム14の下端の位置が前方寄りに位置することになればよい。
【0052】
また、本実施形態では、上部フレーム16の傾斜は、後方から前方に向かって角度R5として2.5度上昇するとして説明したが、好ましくは角度R5は、1.5度~6度の範囲に含まれていればよい。
【0053】
また、上述した例では、角度R1と、角度R2との差を設けて後側フレーム14の位置を前方にしたが、他の方法で実現してもよい。
図3(c)は、前側フレーム12の長さを伸ばした状態を示す図である。
【0054】
例えば、
図3(c)に示すように、前側フレーム12を、後側フレーム14より長い構成としてもよい。前側フレーム12を予め後側フレーム14より長くしてもよいし、
図3(c)に示すようにアタッチメント12Eを設けてもよい。
【0055】
これにより、歩行器1の後側フレーム14の下端は、従来の歩行器と比較して前方に位置することになる。また、上部フレーム16は、後方から前方に向かった上昇する傾斜する状態となる。
【0056】
[1.3 動作例]
図4は、足の位置と、歩行器1の位置について説明した模式図である。本実施形態の歩行器1が位置する場所として、位置PF1、位置PF2、位置PR1、位置PR2が示されている。ここで、位置PF1は左側の前側フレーム12の位置、位置PF2は右側の前側フレーム12の位置、位置PR1は左側の後側フレーム14の位置、位置PR2は右側の後側フレーム14の位置である。また、従来の歩行器1の後側フレームの位置として左側を位置PR3、右側を位置PR4で示している。
【0057】
ここで、利用者は左足が位置F10、右足が位置F12にいる。利用者は、歩行器1により体重を支持した後、一方の足を前に出す。
図4では、右足を前にだすことで、位置F12から位置F14に移動する。
【0058】
ここで、利用者の右足は、破線V10で示した軌跡で移動する。このとき、従来の歩行器は、後側フレームが位置PR4あることから、利用者の右足が当たってしまった。それに対して、本実施形態では、後側フレーム14が位置PR2にあることから、利用者の右足が当たらずに移動することが可能である。
【0059】
[1.4 効果]
このように、本実施形態の歩行器1によれば、従前の歩行器と比較して、後側フレームの下端位置が、前方に位置することになる。これにより、利用者は、歩行器1を使って歩行するときでも、足が後側フレーム14に当たることなく、快適に移動することが可能となる。また、利用者は、歩行器1から他の装置(例えば、ベッド、椅子、トイレの便座、リフト等)に移るときに、足が後側フレーム14に当たることなく、移ることが可能となる。また、利用者は他の装置から歩行器1に移るときも、同様に足が後側フレーム14に当たることなく、移ることが可能となる。
【0060】
また、本実施形態の歩行器1によれば、上部フレーム16は、後方から前方に向かって上昇するゆるやかな傾斜を有している。利用者は、傾斜があることで、利用者の体をより支えやすくなる。
【0061】
[2.第2実施形態]
第2実施形態は、第1実施形態で説明した歩行器1を利用したシステムSについて説明する。
【0062】
歩行器は、利用者の移動時に利用されていたが、単に移動を補助するだけの機能だけであった。ここで、歩行器は、毎日利用されることから、単に移動の道具という枠組みを超えて、利用者の状態を取得装置としての機能が望まれている。
【0063】
また、歩行器を利用する利用者は、利用しない人に比べると、転倒リスクが高いことが知られている。そのため、利用者の転倒リスクを低減したり、仮に利用者が転倒したときには、迅速にスタッフ等に通知したりすることが望まれている。
【0064】
このような、課題を解決するため、歩行器1と、歩行器1と通信をすることができる端末装置2とを利用したシステムSについて、以下の実施形態で説明する。
【0065】
[2.1 全体構成]
図5は、歩行器1と、端末装置2とを含むシステムSの概要を示した図である。歩行器1と、端末装置2とは、例えば無線通信により通信を行ってもよい。端末装置2は、例えば、利用者が利用する端末装置であって、例えば、スマートフォン、タブレット、コンピュータ等の情報処理装置であればよい。
【0066】
[2.2 ハードウェア構成]
図6は、歩行器1、端末装置2の機能構成を説明する図である。歩行器1は、
図6で示した機能を有する制御装置を有してもよい。制御装置は、歩行器1に内蔵されていたり、外付けされたりする装置である。以下、
図6の制御装置は、歩行器1の機能として説明する。
【0067】
[2.2.1 共通の構成]
各装置のうち、制御部、ストレージ、ROM、RAM、通信部について以下説明する。
【0068】
制御部(例えば、制御部100、制御部200)は、各装置の全体を制御するための機能部である。制御部は、ストレージや、ROMに記憶されている各種プログラムを読み出して実行することにより各種機能を実現している。制御部は、1又は複数の制御装置/演算装置(CPU(Central Processing Unit)、SoC(System on a Chip))により実現されてもよい。
【0069】
ストレージ(例えば、ストレージ110、ストレージ210)は、プログラムや、データを記憶可能な不揮発性の記憶装置である。例えば、HDD(Hard Disk Drive)や、半導体メモリを利用した記憶装置で構成されてもよい。また、ストレージは、外部に接続可能な記憶装置、記憶媒体であってもよく、USBメモリや、CD-ROMドライブ、BD-ドライブといった構成でもよい。また、ストレージは、例えばクラウド上にある記憶領域であってもよい。
【0070】
ROM(例えば、ROM120、ROM220)は、電源を切ってもプログラムやデータを保持することが可能な不揮発性のメモリである。ROMは、例えば、各装置のファームウェアや、初期アプリケーション等が記憶されていてもよい。
【0071】
RAM(例えば、RAM130、RAM230)は、主に各装置の制御部が処理を実行時に利用するメインメモリである。RAMは、各装置のストレージや、各装置のROMから読み出したプログラムや、実行時の結果を含むデータを一時的に保持する書換え可能なメモリである。
【0072】
通信部(例えば、通信部170、通信部270)は、他の装置と通信をする通信インタフェースである。例えば、有線接続や無線接続が提供可能なネットワークインタフェースであってもよい。本実施形態においては、ネットワークNWを介して他の装置と通信可能となっている。また、通信部は、モバイルネットワーク(LTE(Long Term Evolution)/4G/5G/6G)に接続可能な機能を提供してもよい。
【0073】
[2.2.2 歩行器]
歩行器1は、
図6に示すように、制御部100と、記憶部としてストレージ110、ROM120及びRAM130と、報知部150と、センサ部160と、通信部170とを有している。
【0074】
センサ部160は、利用者の状態、動作を取得可能なセンサである。センサ部160は、例えば、荷重センサにより荷重を検出したり、電位センサにより電位を検出したり、光学センサにより血流を検出したりすることが可能である。
【0075】
センサ部160は、歩行器1に内蔵する装置でもよいし、外付けする装置でもよい。例えば、センサ部160は、
図7に示すように、上部フレーム16に設けられた把持部20に、センサ部160を設けてもよい。
【0076】
利用者は、歩行器1を利用するときに、センサ部160を覆うように把持部20を握る。それにより、センサ部160は、センサ装置の種類から利用者からの振動、電位差、水分(汗)を検出することができる。
【0077】
センサ部160が検出した値(センサ値)は、制御部100に出力される。制御部100は、センサ値に基づいて、利用者の動作、生体情報を取得することができる。
【0078】
また、センサ部160は、他に設けられてもよい。例えば、側面フレーム10は、何れかの位置に、加速度センサ、衝撃センサを内蔵してもよい。例えば、後側フレーム14に加速度センサ(衝撃センサ)を内蔵する。仮に利用者の足が後側フレーム14にぶつかったときは、ぶつかったことを検出することができる。
【0079】
また、センサ部160は、他の装置により構成されてもよい。例えば、歩行器1にオプションとしてセンサ装置を接続してもよい。例えば、歩行器1に、心拍センサを別に設けてもよい。
【0080】
また、センサ部160は、歩行器1の状態を検出してもよい。例えば、歩行器1に1又は複数の加速度センサを内蔵する。制御部100は、加速度センサから出力されたセンサ値を制御部100に出力する。制御部100は、受信したセンサ値に基づいて、利用者の歩き方、転倒回数等を求めてもよい。
【0081】
また、センサ部160は、通信部170を介して接続した端末装置2からセンサ値を取得してもよい。また、歩行器1は、他の装置(例えば、睡眠判定装置)から、睡眠状態を取得してもよい。
【0082】
報知部150は、利用者に対して各種情報を報知する。報知部150は、例えば、警告音や、確認音等を出力するための音出力装置(例えば、圧電ブザー)であってもよいし、スピーカ等の音声出力装置であってもよい。
【0083】
また、報知部150は、音以外にも光、振動等によって報知をおこなってもよい。また、報知部150は、他の装置に対して報知を行ってもよい。例えば、報知部150は、利用者に問題が生じた場合には、端末装置2に対して通知を行ってもよい。また、報知部150は、例えば歩行器1の状態(例えば、電源状態や、利用者が歩行器1を正しく利用しているかを示す状態)等を報知してもよい。
【0084】
[2.2.3 端末装置]
端末装置2は、
図6に示すように、制御部200と、記憶部としてストレージ210、ROM220及びRAM230と、操作部240と、表示部250と、通信部270とを有している。
【0085】
操作部240は、端末装置2に対してユーザが操作を行う装置である。操作部240は、ハードウェアスイッチや、ソフトウェアスイッチにより実現してもよい。例えば、表示装置と一体となったタッチパネルを利用して、ソフトウェアキーを操作部として実現してもよい。また、操作部240は、外部の装置により構成されていてもよい。例えば、端末装置2は、USB等のインタフェースに接続された操作装置(例えば、キーボード等)を利用してもよい。
【0086】
表示部250は、各種情報や、実行画面を表示可能な装置である。表示部250は、液晶ディスプレイや、有機ELディスプレイのような情報を表示可能な装置であってもよいし、例えば、LED等の発光素子を利用してもよい。例えば、LEDの点灯状態により、表示部250は、端末装置2の電源の状態や、エラーの状態を表示してもよい。また、表示部250は、外部の装置により構成されていてもよい。例えば、端末装置2は、HDMI(登録商標)や、DVIといった映像を出力可能な端子に接続された表示装置を利用してもよい。
【0087】
上述した機能構成は一例であり、必要に応じて図にない機能を備えてもよいし、省略してもよい。例えば、歩行器1において、操作部、表示部を有していてもよい。また、歩行器1は、端末装置2を介して操作を行ったり、必要な情報の通知を受けたりしてもよい。
【0088】
また、端末装置2は、他の装置に対して通知や表示を行ってもよい。例えば、端末装置2は、必要な情報について通信部270を介して他の装置にメール等を送信してもよい。
【0089】
[2.3 ソフトウェア構成]
つづいて、ソフトウェアの構成について
図8を参照して説明する。歩行器1は、制御部100が記憶部に記憶されたプログラムを実行することで、センサ値取得部102、生体情報算出部104、状態判定部106が実現する。
【0090】
センサ値取得部102は、センサ部160が出力したセンサ値を取得する。センサ値取得部102は、取得したセンサ値を、通信部170を介して端末装置2に送信してもよい。
【0091】
生体情報算出部104は、センサ値取得部102が取得したセンサ値に基づいて、利用者の生体情報に関する値として生体情報値を算出する。ここで、生体情報算出部104が算出する生体情報は、例えば、利用者の心拍、体温、発汗量、SpO2、血圧、血糖等に関する値を算出する。生体情報算出部104は、生体情報を算出可能なセンサ部160から取得したセンサ値を利用する。例えば、生体情報算出部104が利用者の心拍数を算出するときは、センサ部160は、電位センサの機能として動作するセンサである。また、生体情報算出部104が、利用者の発汗を算出するときは、センサ部160は、水分量を検出可能なセンサである。
【0092】
生体情報算出部104が、センサ部160が出力したセンサ値に基づいて生体情報を算出する仕組みは、何れかの出願時にある公知技術を利用すればよく、詳細な説明は省略する。
【0093】
また、生体情報算出部104は、算出した生体情報や、生体情報値を、通信部170を介して端末装置2に送信する。
【0094】
状態判定部106は、センサ部160が出力するセンサ値から、利用者に関する生体情報以外の状態を判定する。例えば、状態判定部106は、利用者の荷重の移動を判定することができる。また、状態判定部106は、例えば、歩行器1が使用を開始された時刻や、使用を終了した時刻を判定してもよい。また、状態判定部106は、例えば、センサ部160からの出力される荷重値の変化に基づき、利用者が転倒したことを判定してもよい。
【0095】
状態判定部106が判定した利用者の状態は、通信部170を介して端末装置2に送信する。
【0096】
端末装置2は、制御部200が記憶部に記憶されたプログラムを実行することで、情報取得部202、イベント判定部204、レコメンド部206、通知部208が実現する。
【0097】
情報取得部202は、通信部270を介して歩行器1から情報を取得する。情報取得部202は、取得した情報に基づいて、利用者に関する状態を判定したり、取得した情報を記憶したりする。例えば、情報取得部202は、通信部270を介して、歩行器1から、生体情報、生体情報値、センサ部160が出力したセンサ値、利用者の状態を取得することができる。
【0098】
また、情報取得部202は、他の情報を取得してもよい。例えば、歩行器1から、利用している利用者の情報(例えば、利用者ID、利用者名、疾病情報等)を取得したり、歩行器1の位置を取得したりしてもよい。
【0099】
そして、情報取得部202は、取得したセンサ値をセンサ値記憶領域212に時系列に記憶する。また、情報取得部202は、受信した生体情報を生体情報記憶領域214に記憶する。
【0100】
図9(a)は、利用者の生体情報記憶領域214に記憶される生体情報の一例である。
図9(a)を参照すると、生体情報記憶領域214は、利用者毎に、日時(例えば、「2022/06/15 09:40:00」)と、生体情報として心拍数(例えば、「80」bpm)と、体温(例えば、「36.2」℃)と、SpO2(例えば、「99」%)と記憶している。
【0101】
ここで、生体情報は、所定時間毎に算出したり、取得したりすることができる。また、生体情報を算出するタイミングは、生体情報の種類によって異なっていてもよい。例えば、
図9(a)では、心拍数は20秒毎に算出されているが、体温、SpO2は1分毎に算出されている。
【0102】
これらの生体情報を算出するタイミングは設定可能であってもよいし、事前に定められていてもよい。
【0103】
イベント判定部204は、利用者に発生したイベントを判定し、イベント記憶領域218に記憶する。
【0104】
図9(b)は、イベント記憶領域218に記憶されているイベントのデータ構成の一例を示したものである。イベントは、イベントの発生日時と、イベントの種類(内容)とが対応付けて記憶されている。
【0105】
例えば、イベント判定部204が判定するイベントの一例としては、以下のようなイベントが考えられる。
【0106】
・衝突。利用者の足が、歩行器1の後側フレーム14に当たったときに発生するイベントである。イベント判定部204は、イベントが発生した場所を更に記憶してもよい。例えば、利用者の足がぶつかった後側フレーム14が「右」側か「左」側かを更に記憶してもよい。また、イベント判定部204は、後側フレーム14における更に細かい位置や、足がぶつかった衝撃の強さを併せて記憶してもよい。
【0107】
・荷重偏り。利用者の荷重が所定の閾値以上に偏っているときに発生するイベントである。例えば、左右の把持部20に係る荷重値の差が所定以上開いたときはそのことをイベントとして記憶する。
【0108】
・生体情報値異常。生体情報値について、それぞれ上限値となる第1の閾値と、下限値となる第2の閾値とを予め設定する。そして、生体情報値が、所定の閾値以上(以下)となったときに、イベントとして記憶する。例えば、利用者が、心拍数について、第1の閾値として「130」、第2の閾値として「50」とを設定する。イベント判定部204は、心拍数が130以上となったときに、イベントとして判定して記憶する。
【0109】
また、これらのイベントの種類は、レベルや数値を合わせて記憶してもよい。例えば、イベント判定部204は、衝突の大きさ、荷重偏りの大きさに基づいてレベルを記憶してもよい。また、例えば、イベント判定部204は、心拍数が高いときは「心拍数(高)」と記憶するのと併せて、心拍数を記憶してもよい。
【0110】
レコメンド部206は、情報取得部202が取得した情報や、イベント判定部204が判定したイベントに基づいてレコメンドを行う。例えば、レコメンド部206は、適切な歩行器(製品)をレコメンドしたり、医療機関を受診することを勧めたりするレコメンドを行うことができる。
【0111】
通知部208は、情報取得部202が取得した情報や、イベント判定部204が判定したイベントに基づいて通知を行う。通知部208は、例えば、端末装置2の表示部250に通知に相当する表示(例えば、イベント画面の表示や、ポップアップ画面の表示等)を行ってもよい。また、通知部208は、利用者が身につけているウェアラブル端末装置に通知を送信してもよい。また、通知部208は、必要に応じて、医療機関、学校、職場、公共サービス等に通知を行ってもよい。
【0112】
また、情報取得部202は、その他の利用者の状態を取得し、状態記憶領域216に記憶してもよい。
【0113】
状態記憶領域216は、利用者の状態として、例えば以下のような情報を記憶することができる。
【0114】
・歩行器1に対する利用者の荷重の変化。荷重の変化は、荷重値の変化をそのまま記憶してもよいし、例えば荷重の重心の変化を記憶してもよい。
【0115】
・利用者の睡眠状態、覚醒状態。例えば、利用者が、歩行器1を利用しているとき眠気がある状態であるかを記憶してもよい。また、利用者が入眠、起床したときの睡眠に関する情報を取得してもよい。利用者の入眠、起床といった睡眠に関する情報は、例えば、歩行器1とは異なる睡眠判定装置から取得してもよい。
【0116】
なお、上述した各処理は、どの装置で実行してもよいし、サーバ装置で実行してもよい。例えば、歩行器1は、センサ値取得部102が実行できればよい。例えば、制御部100は、センサ値取得部102が取得したセンサ値を、端末装置2に送信する。そして、生体情報算出部104、状態判定部106は、端末装置2で実行されてもよい。
【0117】
また、イベント判定部204、レコメンド部206、通知部208を歩行器1で実現してもよい。この場合、歩行器1単体で、
図8にある機能を実行可能である。歩行器1単体で
図8を実現するときは、ストレージ210に記憶される情報、データは歩行器1のストレージ110に記憶されればよい。
【0118】
また、生体情報算出部104、状態判定部106、イベント判定部204、レコメンド部206、通知部208は、サーバ装置で実現してもよい。例えば、歩行器1は、センサ値をサーバ装置に送信する。サーバ装置は、受信したセンサ値に基づいて、各処理を実行する。そして、端末装置2は、例えば、WEBブラウザや、専用アプリを利用してサーバ装置と通信を行うことで、例えば、レコメンドを受け取ったり、通知を受け取ったりすることができる。
【0119】
[2.4 処理の例]
以下、本実施形態の処理の例について、いくつか説明する。
【0120】
[2.4.1 第1処理例]
第1処理例として、端末装置2が情報を取得する処理について説明する。制御部200は、歩行器1から衝撃を検出する(ステップS102;Yes)。衝撃は、例えば歩行器1が、所定の衝撃を検出(例えば、後側フレーム14に設けられた加速度センサが所定の閾値以上の加速度を検出)すると、その都度通知を行ってもよい。また、制御部200が、歩行器1から取得したセンサ値を解析し、衝撃があったことを検出してもよい。
【0121】
制御部200は、所定の衝撃を検出すると、衝撃が検出されたことをイベントとしてイベント記憶領域218に記憶する(ステップS102;Yes→ステップS104)。
【0122】
つづいて、制御部200は、荷重の変化があったことを検出すると(ステップS106;Yes)、荷重の変化を記憶する(ステップS108)。荷重の変化があるということは、利用者が歩行器1を利用している状態である。制御部200は、利用者が歩行器1を利用しているときの動き、荷重の変化を状態記憶領域216に記憶する。また、制御部200は、荷重の変化として、荷重の重心の移動を検出し、状態記憶領域216に記憶してもよい。
【0123】
また、制御部200は、荷重の変化が偏っていたり、荷重の変化が所定の閾値より大きかったりしたときは、荷重の変化をイベントとしてイベント記憶領域218に記憶してもよい。
【0124】
つづいて、制御部200は、生体情報を取得したときは、生体情報を記憶する(ステップS110;Yes→ステップS112)。制御部200は、歩行器1から生体情報を取得して記憶するが、他の装置から生体情報を取得してもよい。例えば、利用者が装着してるウェアラブル端末装置から、生体情報を生体情報記憶領域214に記憶してもよい。
【0125】
また、制御部200は、生体情報が第1の閾値以上となったとき、又は、第2の閾値以下となったときは、生体情報値に基づくイベントとしてイベント記憶領域218に記憶してもよい。
【0126】
また、制御部200は、その他の利用者の状態を取得したときは、利用者の状態として状態記憶領域216に記憶する(ステップS114;Yes→ステップS116)。
【0127】
また、制御部200は、処理が終了するまで、ステップS102から処理を繰り返し実行してもよい(ステップS118;No→ステップS102)。
【0128】
このように、第1処理例によれば、必要な情報を端末装置2は歩行器1から取得し、必要に応じて記憶することができる。
【0129】
[2.4.2 第2処理例]
第2処理例について説明する。第2処理例は、必要に応じてレコメンドを行う処理について説明する。
【0130】
まず、制御部200は、大きな衝撃が検出されたときは、緊急通知先に通知を行ってもよい(ステップS202;Yes→S204)。例えば、端末装置2は、予め緊急時の通知先を記憶する。緊急時の通知先は、例えば、家族の連絡先(電話番号、メールアドレス等)、医師の連絡先、病院、消防、警察等の通知先である。また、歩行器1が施設や病院で使用しているときは、看護師、医師、介助者等のスタッフの端末装置を通知先としてもよいし、ナースステーション(待機所)に設けられた管理装置を通知先としてもよい。
【0131】
例えば、大きな衝撃が検出されたということは、利用者が転倒した可能性があるため、制御部200は、スタッフ等が速やかに対応できるよう、迅速に通知を行う。
【0132】
また、制御部200は、大きな衝撃が検出された後に、センサ部160から利用者が検出できないときに、ステップS204を実行してもよい。例えば、制御部200は、大きな衝撃が検出された後、センサ部160から利用者の荷重が検出されなくなったときは、利用者の手が歩行器から離れた又は利用者が転倒したと判定し、緊急通知先に通知してもよい。
【0133】
また、制御部200は、大きな衝撃が検出された後に、センサ部160から利用者の荷重に所定時間変化がない又は歩行器1が所定時間移動しないときに、ステップS204を実行してもよい。例えば、利用者が何らかにぶつかり、動けなくなっている可能性があるため、制御部200は、緊急通知先に通知を行う。
【0134】
このように、制御部200が、2段階に分けて通知をすることで、スタッフ等に対してより正しい通知を行うことが可能となる。例えば、利用者が移動中に単に歩行器1をぶつけただけの場合、制御部200は通知を行わない。これにより、制御部200は、過剰な通知を抑制することができる。
【0135】
また、制御部200は、2段階の検出で、通知する先を変えてもよい。例えば、制御部200は、大きな衝撃を検出したときは、歩行器1の報知部150から報知を行ってもよい。また、大きな衝撃が検出された後に、利用者の荷重が検出されなかったり、利用者の荷重に変化がなくなったりしたとき、制御部200は、他の装置(例えば、スタッフ等の端末装置、家族の端末装置、ナースステーションの装置等)に対して通知を行ってもよい。
【0136】
また、ステップS202、S204の通知は、歩行器1が実行してもよい。例えば、歩行器1のセンサ部160が取得したセンサ値に基づいて、大きな衝撃を検出したときは、報知部150から報知をしたり、通信部170を介して他の装置に通知をしたりしてもよい。例えば、歩行器1は、端末装置2の電源が入っていなかったり、歩行器1が端末装置2と通信が行えなかったりした状態であっても、ステップS204の通知を行うことが可能となる。
【0137】
つづいて、所定の期間内に、所定回数以上衝撃が検出されたかを判定する(ステップS206)。例えば、
図11では、制御部200は、一例として、3日以内に、5回異常の衝撃が検出されたかを判定する。すなわち、利用者が短い期間で歩行器1の後側フレーム14と接触しているかを検出する。なお、3日以内に5回以上の衝撃が検出は、一例であり、異なる日数であってもよい。制御部200は、第1の日数の間に、第1の閾値以上となる回数の衝撃が検出されたことを判定する。
【0138】
制御部200は、3日以内に5回以上の衝撃が検出されたときは、利用者が歩行器1を使ってバランスを崩していないかを判定する。例えば、
図11では、制御部200は、荷重の移動が安定しない(例えば、荷重中心が所定以上の大きさ動いてしまう、荷重量の変位が所定の大きさ以上となってしまう)ときは、バランスを崩しており、歩き方に問題があると判定する。そこで、制御部200は、「歩き方」のポイントを選択する(ステップS208;Yes→ステップS210)。
【0139】
つづいて、制御部200は、生体情報に異常があるか判定する(ステップS212)。ここで、制御部200は、生体情報に異常がある(例えば、心拍数、血圧、血糖値等が所定の閾値異常高くなっている、SpO2が所定の閾値より低くなっている等)と判定したときは、疾病に原因があると判定する。そこで、制御部200は、「診察」のポイントを選択する(ステップS212;Yes→ステップS214)。
【0140】
つづいて、制御部200は、衝撃が累計して第2の閾値以上あるかを判定する(ステップS216)。制御部200は、短期間ではないにせよ、利用者が一定回数以上ぶつかっていると判定したときは、歩行器1が利用者にあっていない可能性があると判定する。そこで、制御部200は、「製品」のポイントを選択する(ステップS216;Yes→ステップS218)。
【0141】
そして、制御部200(レコメンド部206)は、選択したポイントに基づいて、レコメンド表示を行う(ステップS220)。レコメンド部206は、例えば、サーバ装置から適切と思われる情報を取得し、提示してもよい。また、レコメンド部206は、必要に応じたサイトが表示されるようなレコメンドを行ってもよい。
【0142】
ここで、レコメンド部206がポイントにおけるレコメンドとしては、以下のようなものが考えられる。
【0143】
(1)歩き方
制御部200は、利用者に対して、正しい歩き方をレコメンドする。例えば、制御部200は、利用者に対して姿勢の傾きを指示したり、力を入れる方向を指示したり、歩く速度を指示したりしてもよい。また、制御部200は、利用者の歩き方を動画で説明したり、正しい歩き方が書いてあるWEBページを紹介したりしてもよい。
【0144】
(2)診察
制御部200は、利用者に対して、診察を促すアドバイスを行う。例えば、制御部200は、利用者に対して、病院の情報を表示したり、病院の予約のページを表示したりしてもよい。また、制御部200は、判定された情報に基づいて適切な診療科についてレコメンドをしてもおい。また、制御部200は、他の装置の利用や、サプリメントの利用についてレコメンドをしてもよい。
【0145】
(3)製品
制御部200は、利用者に対して、適切な歩行器1についてアドバイスを行う。例えば、制御部200は、現在使用している歩行器1と異なるサイズの歩行器(例えば、より大きいサイズの歩行器)や、他の種類の歩行器のレコメンドをしてもよい。
【0146】
(4)習慣
制御部200は、利用者に対して習慣に関するアドバイスを行ってもよい。例えば、制御部200は、利用者の入眠時刻、起床時刻を適切な時刻をレコメンドしてもよい。また、制御部200は、利用者の住環境についてレコメンドをしてもよい。例えば、制御部200は、エアコンの使用をアドバイスしたり、カーテンの開閉をしたりすることをアドバイスしてもよい。なお、習慣については、
図13のステップS244、S246で説明をしているが、
図11のS220の前に実行してもよい。すなわち、制御部200は、利用者の習慣に基づいてレコメンドをしてもよい。
【0147】
続いて、端末装置2において表示される表示画面を使って動作例を説明する。
図12(a)は、ポイントとして「歩き方」「製品」が選択されたときのレコメンドを表示した表示画面W100の一例である。制御部200は、表示画面W100に、レコメンド表示として、メッセージを領域R100に表示している。また、制御部200は、「歩き方」に対するレコメンドとして、例えば歩き方の動画を見せるボタンB100と、お薦めの歩行器を紹介するサイトに移動するボタンB102を表示している。
【0148】
利用者は、領域R100に表示されたメッセージを確認し、レコメンドにしたがって適切な対応をすることが可能となる。
【0149】
また、
図12(b)は、ポイントとして「歩き方」「診察」が選択されたときのレコメンドを表示した表示画面W110の一例である。制御部200は、表示画面W110に、レコメンド表示として、メッセージを領域R110に表示している。また、制御部200は、「歩き方」に対応するレコメンドを表示するボタンB110と、病院の診察が予約できたり、医療情報を提供したりするサイトに移動するボタンB112を表示している。
【0150】
このように、本処理によれば、利用者が、歩行器1にぶつかることをトリガーに、適切なレコメンドをすることが可能となる。
【0151】
[2.4.3 第3処理例]
つづいて第3処理例について説明する。
図13の第3処理例は、
図11の第2処理例を置き換えたものであり、同一の処理には同一の符号を付している。
【0152】
ここで、第2処理例は、利用者が歩行器1にぶつかったことをトリガーとしていたが、第3処理例は、歩行器1が取得した情報がそれぞれトリガーになる実施形態である。すなわち、第3処理例は、制御部200は、イベント情報に基づいてレコメンドを行う処理である。
【0153】
制御部200は、利用者の荷重の移動が判定しないことをトリガーに、「歩き方」のポイントを選択する(ステップS208;Yes→ステップS210)。例えば、制御部200は、所定期間に含まれるイベント情報から、「荷重値偏り」や、「重心の偏り」といったイベントがあるときは、「歩き方」を選択する。
【0154】
ここで、制御部200は、所定期間として予め定められた期間において、所定回数以上荷重や重心に関するイベントがあるときに「歩き方」を選択するとしてもよい。また、制御部200は、例えば、前日に1つでも荷重や重心に関するイベントがあるときに「歩き方」を選択するとしてもよい。
【0155】
同様に、制御部200は、利用者の生体情報に異常があるときは、「診察」のポイントを選択する(ステップS212;Yes→ステップS214)。また、制御部200は、利用者の荷重の移動(重心の移動)等から、利用者に適切な製品が他にあるかを判定する。そして、制御部200は、利用者の状態の情報や、生体情報等から、他に適切な製品があると判定したときは、「製品」のポイントを選択する(ステップS242;Yes→ステップS218)。
【0156】
また、制御部200は、利用者の状態を参照し、利用者の生活習慣等に問題があると判定したときは、「習慣」のポイントが選択される(ステップS244;Yes→ステップS246)。そして、制御部200は、選択されたポイントに基づいて、レコメンド表示を行う(ステップS220)。
【0157】
ここで、制御部200が、生活習慣等に問題があると判定する条件としては、例えば以下の第1の条件が考えられる。そして、制御部200は、第1の条件に基づいて、ステップS220においてレコメンド表示をしてもよい。
【0158】
(1)制御部200は、第1の条件として利用者の睡眠時間に基づいて判定する。例えば、利用者の睡眠時間が短い(例えば、前日の睡眠時間が5時間未満等)ときは、制御部200は、「もう少し早く眠りましょう」とレコメンドを表示してもよい。
(2)制御部200は、第1の条件として入眠時刻、起床時刻等の生活リズムに基づいて判定する。例えば、利用者の入眠時刻が遅い、起床時刻が遅いときは、制御部200は、「もう少し早く寝ましょう」とレコメンド表示してもよい。また、利用者の入眠時刻や、起床時刻にばらつきがあるときは、制御部200は、「決まった時間に眠りましょう」「決まった時間に起きましょう」とレコメンド表示をしてもよい。
(3)第1の条件として、睡眠中の離床回数(中途覚醒回数)に基づいて判定する。例えば、利用者の離床回数(中途覚醒回数)が一晩に3回以上あるときは、制御部200は、「寝る前の水分を控えましょう」といったレコメンドを表示してもよい。また、制御部200は、利用者の部屋の環境に基づいて「気温を適切にしましょう」「眠りやすい布団にしましょう」といったレコメンド表示をしてもよい。
(4)第1の条件として歩行器1の使用状態に基づいて判定する。例えば、利用者が歩行器1を使用する時間が少ない(例えば、一日10分以下しか利用していない)ときは、制御部200は、「もう少し動きましょう」といったレコメンド表示をしてもよい。
【0159】
このように、制御部200は、第1の条件に基づいて、利用者の生活習慣、生活リズムに問題があるかを判定しレコメンドを表示することができる。
【0160】
なお、制御部200は、複数の条件を組み合わせてレコメンド表示を行ってもよい。例えば、制御部200は、第1の条件と、第2の条件とを組み合わせてレコメンド表示を行ってもよい。
【0161】
また、制御部200は複数の条件を組み合わせて、利用者にレコメンドを行ってもよい。例えば、制御部200は、第1の条件として睡眠時間、第2の条件として、歩行器1の使用状況に基づいてレコメンドを表示してもよい。
【0162】
例えば、第1の条件として利用者の睡眠時間が所定時間より短く、第2の条件として、歩行器1の移動距離が長かったり、歩行器1の使用時間が長時間に及んだりするときに、制御部200は「こまめに休憩を取りましょう」と注意喚起のレコメンドを表示してもよい。制御部200は、この条件下では、利用者の転倒リスクが高まると判定するためである。
【0163】
また、制御部200は、第1の条件として利用者の投薬状況、第2の条件として、歩行器1の移動距離が長かったり、歩行器1の使用時間が長時間に及んだりするときに、同様に注意喚起のレコメンドを表示してもよい。例えば、利用者にとって眠気やふらつきが生じる薬を服薬しているとき、制御部200は、歩行器1の利用により転倒するリスクが高まると判定するためである。
【0164】
このように、第3処理例は、最初に利用者が歩行器1に衝突したか否かに関わらず、イベント情報に基づいて、レコメンドを行うことが可能である。
【0165】
図14(a)は、端末装置2の表示部250に、制御部200(レコメンド部206)がレコメンド表示を行った表示画面W200の一例である。制御部200は、表示画面W200の領域R200に、メッセージを表示している。また、表示画面W200は、生活習慣の改善のための情報を表示するページに遷移するためのボタンB200と、診察を促すために、診察の予約又は診療情報を提供するページに移動可能なボタンB202が表示されている。
【0166】
また、
図14(b)は、端末装置2の表示部250に、生体情報に基づくレコメンドを制御部200が行った表示画面W210の一例を示す図である。制御部200は、表示画面W210の領域R210にメッセージを表示している。また、制御部200は、表示画面W210の領域R220に、生体情報(例えば心拍)の遷移を示すグラフを表示している。グラフは、例えば、過去1日間の遷移を示している。また、グラフは、例えば過去の平均を示してもよいし、他の生体情報を重ねて表示してもよい。
【0167】
図15は、歩行器1が、強い衝撃を検知したときの通知が表示される表示画面W220の一例である。表示画面W220は、利用者が利用する端末装置2であってもよいし、例えばスタッフ等、家族が利用する端末装置であってもよい。
【0168】
表示画面W220の、最前面にポップアップ表示が領域R220に表示されている。このように、制御部200は、端末装置2を利用中又は待機中であっても、ポップアップ表示で強い衝撃が検出されたことを利用者、スタッフ等に通知することができる。また、ポップアップ表示には、例えば通話ボタンB222を表示してもよい。通話ボタンB222は、歩行器1の利用者の電話番号を登録してもよい。これにより、スタッフ等は、通話ボタンB222を選択することで、利用者の状態を直ちに確認することができる。
【0169】
[2.5 効果]
このように、本実施形態によれば、歩行器1を利用することで、利用者に対して適切な歩行器を提案することができる。また、本実施形態によれば、歩行器1を介して取得した情報により、利用者の状態を適切に把握することができる。
【0170】
例えば、歩行器1のグリップである把持部20の両側にセンサ部(例えば、圧電センサ)を配置し、取得したデータを端末装置2がソフトウェアにより分析することで、心拍、血圧、血糖値などの生体情報を取得することができる。
【0171】
これにより、例えば、歩行器1を使用して歩行した場合に、心拍や血圧の変化を利用者にフィードバックすることで、負荷がかかった歩き方か、負荷のない適切な歩き方なのか判定できる。
【0172】
また、歩行器1は、利用者は毎日継続的に使用するため、より長いスパンでの生体情報の変化把握することができる。例えば、毎日継続的に取得された生体情報は、健康診断の生体情報の数値と比較することで、利用者の健康維持を促すことが可能となる。
【0173】
[3.第3実施形態]
第3実施形態について説明する。第3実施形態のシステムTを
図16に示す。システムTは、第2実施形態のシステムSに対して、複数の歩行器1及び/又は端末装置2がネットワークNWを介してサーバ装置3に接続する実施形態である。
【0174】
サーバ装置3は、通信可能な端末装置2や、歩行器1から各種情報を取得する。サーバ装置3は、例えば、以下のようなサーバ装置である。
【0175】
・医院、クリニック、病院、薬局等の医療機関に接続される医療情報を管理するサーバ装置
・地方自治体等において市民の情報を管理するサーバ装置
【0176】
サーバ装置3は、歩行器1又は端末装置2を介して、利用者の情報を取得する。利用者の情報としては、
図8で記憶可能な情報であり、例えば、利用者のセンサ値、生体情報、その他利用者の状態を示す情報(例えば、睡眠に関する情報、生活リズムに関する情報等)を受信し、管理する。
【0177】
また、サーバ装置3は、歩行器1以外の装置から情報を取得してもよい。例えば、サーバ装置は、装置単体又は端末装置2を介して、体温計、体重計、血圧計、睡眠測定器等の各装置から、生体情報、利用者の状態を受信する。
【0178】
サーバ装置3は、生体情報及び他の装置(センサ)で取得した情報を、更にネットワークNWを介して医師に提供することができる。医師は、サーバ装置3から、利用者に関する情報を確認することが可能となり、在宅医療に活用することができる。
【0179】
また、サーバ装置3が、自治体などに情報を提供することで、地方自治体は福祉用具の使用頻度や、負荷のかかる使用方法でないか等の使用状態を把握することができ、適切な福祉用具の活用に寄与することができる。
【0180】
[4.第4実施形態]
第4実施形態について説明する。第4実施形態は、歩行器1と、端末装置2とが、オプションとなる外部装置や、外部サービスと連携して、利用者に対して様々な通知をしたり、利用方法を提供したりするものである。なお、本実施形態は、例えば、第2実施形態で説明した歩行器1にオプションである外部装置が接続されたり、通信可能な外部サービスと連携したりする実施形態である。第1実施形態、第2実施形態の構成と相違する点だけを以下説明する。
【0181】
[4.1 第1処理例]
第1処理例は、歩行器1に外部装置が接続された場合の処理である。例えば、外部装置の一例として、歩行器1の第2の横フレーム24や、第2の連結部材34の下面にLEDライト等を接続してもよい。なお、LEDライトは、後付けでもよいし、予め内蔵していてもよい。
【0182】
制御部200は、例えば照度センサ(例えば、歩行器1に設けられてもよいし、端末装置2に設けられてもよい。また、利用者のいる場所の照度センサと接続し利用してもよい)から、照度を取得する。そして、照度が所定の閾値以下となり、周囲の環境が暗いと制御部200が判定したときは、制御部200は、表示部250に「ライトを付けてください」と通知を表示してもよい。また、制御部100又は制御部200は、歩行器1の設けられているLEDライトを点灯する処理を行ってもよい。
【0183】
とくに、利用者が、ベッドから起き上がり、歩行器1を利用するときに、部屋の明るさに応じてLEDライトが点灯する。これにより、利用者は、歩行器1を利用して、部屋全体の電気のスイッチを安全につけに行くことが可能となる。
【0184】
また、歩行器1は、外部装置として歩行器1の前に人感センサを設けていてもよい。制御部200は、人感センサにより人が近くにいると判定したときは、注意喚起を報知部150から行ってもよい。制御部200は、例えば、人感センサにより、人が近づいてきたときに、音楽や警告音を報知部150から出力してもよい。
【0185】
また、歩行器1は、外部装置としてカメラ装置を設けてもよい。カメラ装置は、例えば、歩行器1を利用する利用者の歩き方、動き方を撮影してもよい。制御部200は、カメラ装置が撮影した画像に基づいて、利用者の歩き方が適切な否かを解析し、アドバイスを報知部150から出力してもよい。例えば、制御部200は、利用者の体が左右に傾いているときは「体が傾いています。真っ直ぐにしましょう」と報知をしてもよい。
【0186】
また、歩行器1は、更にスマート家電に接続してもよい。例えば、利用者が歩行器1を利用するとき、上述した歩行器1に設けられている照度センサによって検出された照度が所定の閾値以下となり、周囲の環境が暗いと制御部200が判定したとき、歩行器1の設けられているLEDライトを点灯する処理を行ってもよい。また、更に制御部200は、歩行器1のLEDライトを点灯した後に、さらに部屋全体を照らす照明を点灯してもよい。歩行器1と、スマート家電(例えば、照明装置、エアコン、トイレ等)を連携させることで、利用者が次に行う行動を援助することが可能となる。例えば、利用者が歩行器1を利用してトレイに移動したとき、歩行器1又は端末装置2は、トイレの便座の蓋を自動的に開ける制御信号を送信してもよい。利用者は、わざわざ便座の蓋を開けずに、歩行器1からトレイの便座にそのまま移動することができるため、利便性が向上するだけでなく、利用者の転倒を防止するといった安全面にも貢献することになる。
【0187】
[4.2 第2処理例]
第2処理例は、歩行器1又は端末装置2が外部サービスと通信をして情報を取得する処理である。例えば、制御部100は、通信部170を介して時刻サーバから時刻を取得してもよい。このとき、夜遅い時間であれば、制御部100は、「そろそろお休みになりませんか?」と報知をしてもよい。また、第1処理例で説明したLEDライトを設けているとき、制御部100は、夜の時刻になると自動的にライトを点灯してもよい。
【0188】
また、歩行器1は、天気予報を提供するサーバから、天候に関する情報を取得してもよい。例えば、制御部100は、歩行器1の位置と時刻情報から、サーバから現在値の天候に関する情報として天気予報を取得してもよい。そして、制御部100は、例えば、雨等の予報であれば「滑り止めのゴムがすり減っていないか確認しましょう」の注意喚起をしてもよい。
【0189】
なお、これらの処理は、歩行器1で実現してもよいし、端末装置2で実現してもよい。端末装置2で実現するときは、制御部200がそれぞれの処理を実行し、必要に応じて制御信号を歩行器1に送信すればよい。
【0190】
このように、本実施形態によれば、歩行器1に外部装置を接続したときに、歩行器1の利便性をより高めることができる。また、歩行器1又は端末装置2が、サーバが提供する外部サービスから情報を取得することで、利用者に対して適切なレコメンドを行うことが可能となる。
【0191】
[5.変形例]
本開示は上述した各実施の形態に限定されるものではなく、種々の変更が可能である。
すなわち、本開示の要旨を逸脱しない範囲内において適宜変更した技術的手段を組み合わせて得られる実施の形態についても本開示の技術的範囲に含まれる。
【0192】
また、上述した実施形態は、説明の都合上、各実施形態を分けて説明しているが、可能な範囲で組み合わせて実行することが可能である。また、明細書に記載したいずれの技術についても、補正又は分割出願等において権利取得する意思を有する。
【0193】
また、各実施形態において各装置で動作するプログラムは、上述した実施形態の機能を実現するように、CPU等を制御するプログラム(コンピュータを機能させるプログラム)である。そして、これら装置で取り扱われる情報は、その処理時に一時的に一時記憶装置(例えば、RAM)に蓄積され、その後、各種ROMやHDDの記憶装置に格納され、必要に応じてCPUによって読み出し、修正・書き込みが行われる。
【0194】
ここで、プログラムを格納する記録媒体としては、半導体媒体(例えば、ROMや、不揮発性のメモリカード等)、光記録媒体・光磁気記録媒体(例えば、DVD(Digital Versatile Disc)、CD(Compact Disc)、BD等)、磁気記録媒体(例えば、磁気テープ、フレキシブルディスク等)等の何れであってもよい。
【0195】
また、市場に流通させる場合には、可搬型の記録媒体にプログラムを格納して流通させたり、インターネット等のネットワークを介して接続されたサーバコンピュータに転送したりすることができる。この場合、サーバ装置の記憶装置も本開示に含まれるのは勿論である。
【0196】
また、上述したデータは、装置内に記憶されるものではなく、外部の装置に記憶されて、適宜呼び出されてもよい。例えば、データをNAS(Network Attached Storage)に記憶したり、クラウド上に記憶したりしてもよい。
【0197】
なお、本開示の範囲は、明細書に明示的に説明された構成や限定されるものではなく、本明細書に開示される技術の組み合わせも、その範囲に含むものである。本開示のうち、特許を受けようとする構成を、添付の特許請求の範囲に記載しているが、特許請求の範囲に記載されていないことを理由として技術的範囲から排除する意思ではない。
【0198】
また、上述した明細書において、「~の場合」「~のとき」という記載については、一つの例として説明しているものであり、記載した内容に限られる構成としているものではない。これらの場合やときでない構成についても、当業者であれば自明である範囲についても開示しているものであり、権利取得する意思を有する。
【0199】
また、明細書に記載した処理や、データの流れについて順番を伴った記載について、記載している順番に限られない。例えば、処理の一部の箇所を削除したり、順番を入れ替えたりした構成についても開示しているものであり、権利取得する意思を有している。
【符号の説明】
【0200】
1 歩行器
10 側面フレーム
12 前側フレーム
14 後側フレーム
16 上部フレーム
20 把持部
22 第1の横フレーム
24 第2の横フレーム
32 第1の連結部材
34 第2の連結部材