(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2025006371
(43)【公開日】2025-01-17
(54)【発明の名称】打楽器およびロッドの締付方法
(51)【国際特許分類】
G10D 13/10 20200101AFI20250109BHJP
G10H 1/00 20060101ALI20250109BHJP
G10G 5/00 20060101ALI20250109BHJP
【FI】
G10D13/10 160
G10D13/10 140
G10H1/00 A
G10G5/00
【審査請求】未請求
【請求項の数】12
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023107123
(22)【出願日】2023-06-29
(71)【出願人】
【識別番号】000116068
【氏名又は名称】ローランド株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000534
【氏名又は名称】弁理士法人真明センチュリー
(72)【発明者】
【氏名】渡邊 亮賢
【テーマコード(参考)】
5D182
5D478
【Fターム(参考)】
5D182BB11
5D478NN11
(57)【要約】
【課題】汎用性を向上できる打楽器およびロッドの締付方法を提供すること。
【解決手段】ブラケット10は、水平ロッド100aを挿入可能な挿入孔11aと、水平ロッド100bを挿入可能な挿入孔11b,14aと、を備える。挿入孔11aに挿入された水平ロッド100aを第1締付部材30の第1締付部31で締め付け可能であり、且つ挿入孔11b,14aに挿入された水平ロッド100bを第2締付部材40の第2締付部42で締め付け可能である。よって、同一の方向(水平方向)に延び、且つ径の異なる2本の水平ロッド100a,100bに打楽器1を支持できるので、汎用性を向上できる。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1ロッドと、前記第1ロッドよりも直径が小さい第2ロッドとに支持可能な打楽器であって、
筐体と、前記筐体の外面に設けられるブラケットと、前記ブラケットの内部の空洞に向けて締結される締付ボルトと、前記締付ボルトの締結力によって前記ブラケットの内部で弾性変形またはスライド変位する締付部と、を備え、
前記ブラケットは、前記第1ロッドを挿入可能な第1挿入孔と、前記第1挿入孔に対する前記第1ロッドの挿入方向と同一の方向で前記第2ロッドを挿入可能な第2挿入孔と、を備え、
前記締付部は、前記第1挿入孔に挿入された前記第1ロッドを締め付け可能な第1締付部と、前記第2挿入孔に挿入された前記第2ロッドを締め付け可能な第2締付部と、から少なくとも構成されることを特徴とする打楽器。
【請求項2】
前記第1締付部は、前記第1挿入孔に繋がる内周面を有する筒状に形成され、
前記第1締付部には、その周方向の一部を分断するスリットが形成され、
前記第2締付部に向けた前記締付ボルトの締結力によって前記第1締付部を弾性変形させて前記第1ロッドを締め付けることを特徴とする請求項1記載の打楽器。
【請求項3】
前記第1締付部を有する第1締付部材と、前記第2締付部を有する第2締付部材とを備え、
前記締付ボルトの締結力による前記第2締付部材のスライド変位によって前記第1締付部を弾性変形させることを特徴とする請求項2記載の打楽器。
【請求項4】
前記締付ボルトの締結方向において、前記第2締付部が前記締付ボルトの軸部と重なる位置に形成されることを特徴とする請求項3記載の打楽器。
【請求項5】
前記第1締付部材は、前記第1締付部の外周面から突出する突出部を備え、
前記第2締付部材のスライド変位の変位軌跡上に設けられる前記突出部が前記第2締付部材によって押し込まれることを特徴とする請求項3記載の打楽器。
【請求項6】
前記突出部は、前記第1ロッドの挿入方向に並んで複数形成され、
前記第2締付部は、複数の前記突出部の間から突出して前記第2ロッドを締め付けることを特徴とする請求項5記載の打楽器。
【請求項7】
前記ブラケットは、前記第1挿入孔に対する前記第1ロッドの挿入方向とは異なる方向で第3ロッドを挿入可能な第3挿入孔を備え、
前記第2締付部は、前記第3挿入孔に挿入された前記第3ロッドを締め付け可能であることを特徴とする請求項1記載の打楽器。
【請求項8】
前記締付ボルトの締結方向において、前記第2締付部が前記締付ボルトの軸部と重なる位置に形成されることを特徴とする請求項7記載の打楽器。
【請求項9】
前記第2挿入孔の内周面と、前記第2締付部とによって前記第2ロッドが締め付けられることを特徴とする請求項1記載の打楽器。
【請求項10】
前記第1締付部と前記第2締付部とが一体に形成されることを特徴とする請求項1記載の打楽器。
【請求項11】
前記ブラケットは、その内部の空洞に前記第1締付部および前記第2締付部をスライド可能に保持し、
前記第1締付部および前記第2締付部のスライド変位によって前記第1ロッド及び前記第2ロッドを締め付けることを特徴とする請求項1記載の打楽器。
【請求項12】
第1ロッドと、前記第1ロッドよりも直径が小さい第2ロッドとに支持可能な打楽器であって、
筐体と、前記筐体の外面に設けられるブラケットと、前記ブラケットの内部の空洞に向けて締結される締付ボルトと、前記締付ボルトの締結力によって前記ブラケットの内部で弾性変形またはスライド変位する締付部と、を備え、
前記ブラケットは、前記第1ロッドを挿入可能な第1挿入孔と、前記第1挿入孔に対する前記第1ロッドの挿入方向と同一の方向で前記第2ロッドを挿入可能な第2挿入孔と、を備える打楽器におけるロッドの締付方法において、
前記締付部を第1締付部と第2締付部とから少なくとも構成し、
前記第1挿入孔に挿入された前記第1ロッドを前記第1締付部で締め付ける一方、前記第2挿入孔に挿入された前記第2ロッドを前記第2締付部で締め付けることを特徴とするロッドの締付方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、打楽器およびロッドの締付方法に関し、特に、汎用性を向上できる打楽器およびロッドの締付方法に関する。
【背景技術】
【0002】
筐体の外面に設けられたブラケットにロッドを固定することにより、そのロッドに打楽器を支持する技術が知られている。例えば特許文献1には、水平方向や鉛直方向に延びる大径支持棒2及び小径支持棒3(ロッド)を固定可能なドラム用ブラケット100が記載される。この技術によれば、直径や挿入方向が異なる支持棒2,3に打楽器を支持できる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2010-286622号公報(例えば、段落0020、
図1)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上述した従来の技術では、水平方向および鉛直方向のいずれの方向においても、ブラケットに対して1種類の直径のロッドしか固定できないので、汎用性が低いという問題点があった。
【0005】
本発明は、上述した問題点を解決するためになされたものであり、汎用性を向上できる打楽器およびロッドの締付方法を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
この目的を達成するために本発明の打楽器は、第1ロッドと、前記第1ロッドよりも直径が小さい第2ロッドとに支持可能なものであり、筐体と、前記筐体の外面に設けられるブラケットと、前記ブラケットの内部の空洞に向けて締結される締付ボルトと、前記締付ボルトの締結力によって前記ブラケットの内部で弾性変形またはスライド変位する締付部と、を備え、前記ブラケットは、前記第1ロッドを挿入可能な第1挿入孔と、前記第1挿入孔に対する前記第1ロッドの挿入方向と同一の方向で前記第2ロッドを挿入可能な第2挿入孔と、を備え、前記締付部は、前記第1挿入孔に挿入された前記第1ロッドを締め付け可能な第1締付部と、前記第2挿入孔に挿入された前記第2ロッドを締め付け可能な第2締付部と、から少なくとも構成される。
【0007】
本発明のロッドの締付方法は、第1ロッドと、前記第1ロッドよりも直径が小さい第2ロッドとに支持可能な打楽器であって、筐体と、前記筐体の外面に設けられるブラケットと、前記ブラケットの内部の空洞に向けて締結される締付ボルトと、前記締付ボルトの締結力によって前記ブラケットの内部で弾性変形またはスライド変位する締付部と、を備え、前記ブラケットは、前記第1ロッドを挿入可能な第1挿入孔と、前記第1挿入孔に対する前記第1ロッドの挿入方向と同一の方向で前記第2ロッドを挿入可能な第2挿入孔と、を備える打楽器におけるものであり、前記締付部を第1締付部と第2締付部とから少なくとも構成し、前記第1挿入孔に挿入された前記第1ロッドを前記第1締付部で締め付ける一方、前記第2挿入孔に挿入された前記第2ロッドを前記第2締付部で締め付ける。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】(a)は、第1実施形態の打楽器の斜視図であり、(b)は、打楽器の部分拡大斜視図である。
【
図3】(a)は、打楽器の部分拡大断面図であり、(b)は、第1締付部で水平ロッドを締め付けた状態を示す打楽器の部分拡大断面図である。
【
図4】(a)は、第2締付部で水平ロッドを締め付けた状態を示す打楽器の部分拡大断面図であり、(b)は、第2締付部で鉛直ロッドを締め付けた状態を示す打楽器の部分拡大断面図である。
【
図5】(a)は、
図3(b)のVa部分における打楽器の部分拡大断面図であり、(b)は、
図4(a)のVb部分における打楽器の部分拡大断面図である。
【
図6】(a)は、第2実施形態の締付部材の斜視図であり、(b)は、第2実施形態の打楽器の部分拡大断面図である。
【
図7】(a)は、第1締付部で水平ロッドを締め付けた状態を示す打楽器の部分拡大断面図であり、(b)は、第2締付部で水平ロッドを締め付けた状態を示す打楽器の部分拡大断面図である。
【
図8】(a)は、第3実施形態のブラケットの背面斜視図であり、(b)は、ブラケットの断面図である。
【
図9】(a)は、第1締付部で水平ロッドを締め付けた状態を示すブラケットの断面図であり、(b)は、第2締付部で水平ロッドを締め付けた状態を示すブラケットの断面図である。
【
図10】(a)は、第4実施形態のブラケットの断面図であり、(b)は、第1締付部および第2締付部で水平ロッドを締め付けた状態を示すブラケットの断面図である。
【
図11】(a)は、第5実施形態のブラケットの断面図であり、(b)は、第1締付部および第2締付部で水平ロッドを締め付けた状態を示すブラケットの断面図である。
【
図12】(a)は、第6実施形態のブラケットの断面図であり、(b)は、第1締付部および第2締付部で水平ロッドを締め付けた状態を示すブラケットの断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、好ましい実施の形態について、添付図面を参照して説明する。まず、
図1及び
図2を参照して、第1実施形態の打楽器1の全体構成について説明する。
図1(a)は、第1実施形態の打楽器1の斜視図であり、
図1(b)は、打楽器1の部分拡大斜視図であり、
図2は、打楽器1の分解斜視図である。
【0010】
図1に示すように、打楽器1は、アコースティックのドラムを模す電子打楽器である。打楽器1は、その底面を構成する略円盤状のボトムフレーム2と、そのボトムフレーム2に重ねられてボトムフレーム2と共に打楽器1(筐体)の外周面を構成するトップフレーム3と、を備える。図示は省略するが、トップフレーム3は筒状に形成されており、トップフレーム3の上端側の開口部分が膜状のヘッド4で覆われる。
【0011】
ヘッド4は、合成繊維を編み上げたメッシュ用いて円盤状に形成され、円環状のフープ5によって打楽器1に取り付けられる。フープ5には、その周方向の複数箇所に貫通孔(図示せず)が形成され、この貫通孔にテンションボルト6が挿入される。ボトムフレーム2の外周面には複数のラグ7が設けられており、ヘッド4の外縁をフープ5に引っ掛けた状態で、テンションボルト6をラグ7に締結する(ねじ込む)ことによってヘッド4に張力が付与される。
【0012】
トップフレーム3の内周側(ボトムフレーム2及びトップフレーム3からなる筐体の内部)には、ヘッド4の下面に接触するヘッドセンサ(図示せず)が取り付けられており、ヘッド4(打面)への打撃時の振動がヘッドセンサで検出されると、その検出結果に基づく楽音信号が音源(図示せず)により生成される。この楽音信号がアンプやスピーカ(共に図示せず)に出力されることにより、電子楽音がスピーカから放音される。
【0013】
ボトムフレーム2及びトップフレーム3の間には、金属板を用いて円環状に形成された補強フレーム8が挟まれており、補強フレーム8には、ボトムフレーム2やトップフレーム3よりも外周側に突出する突出部8aが一体に形成される。
【0014】
突出部8aの下面には、周方向に並ぶ2本の固定ボルト9によってブラケット10が固定(ねじ止め)される。ブラケット10の外周面を構成する外周壁11には、水平ロッド100aを挿入するための円形の挿入孔11aと、水平ロッド100aよりも直径が小さい水平ロッド100bを挿入するための多角形(本実施形態では、正六角形)状の挿入孔11bと、が上下に並んで形成される。
【0015】
水平ロッド100aの断面形状は円形であり、水平ロッド100bの断面形状は多角形(正六角形)である。水平ロッド100bの直径(多角形状の水平ロッド100bに外接する円の直径)は、水平ロッド100aの直径よりも小さく形成される。これと同様に、挿入孔11bの直径(多角形状の挿入孔11bの各頂点に外接する円の直径)は、挿入孔11aの直径よりも小さく形成される。
【0016】
補強フレーム8の突出部8aには、上下に貫通する挿入孔8bが形成され、この挿入孔8bは、鉛直方向に延びる鉛直ロッド100c(
図4(b)参照)を挿入するための孔である。
【0017】
これらの水平ロッド100a,100b及び鉛直ロッド100cは、いずれもドラムセット(ドラムスタンド)の一部を構成して打楽器1を支持するための棒である。打楽器1を支持するドラムセットの種類に応じて、水平ロッド100a、水平ロッド100b、又は鉛直ロッド100cのいずれかが(選択的に)ブラケット10に固定される。
【0018】
このブラケット10に対する各ロッド100a~100cの固定は、締付ボルト20によって行われる。締付ボルト20は、挿入孔11bへの水平ロッド100bの挿入方向と、挿入孔8bへの鉛直ロッド100cの挿入方向とに直交する水平方向(以下「締付ボルト20の締結方向という。)でブラケット10に締結される。
【0019】
図1及び
図2に示すように、ブラケット10は、外周壁11の下端からボトムフレーム2側(打楽器1の内周側)に延びる底壁12(
図2参照)を備え、締付ボルト20の締結方向における底壁12の両端部からは、一対の側壁13が上方に立ち上がっている。一対の側壁13は、締付ボルト20の締結方向で内周壁14によって接続され、これらのブラケット10の各壁11~14は、金属を用いて一体に形成される。
【0020】
ブラケット10には、各壁11~14によって取り囲まれる空洞Sが形成され、この空洞Sの上方側の開口部分から第1締付部材30及び第2締付部材40が収容される。各締付部材30,40を収容した状態のブラケット10を、固定ボルト9(
図1参照)によって補強フレーム8の突出部8aにねじ止めすることにより、ブラケット10や各締付部材30,40が打楽器1に組み付けられる。
【0021】
第1締付部材30は、水平ロッド100a(
図1(a)参照)を締め付けるための樹脂製の部品であり、第2締付部材40は、水平ロッド100b(
図1(b)参照)を締め付けるための金属製の部品である。
【0022】
第1締付部材30は、断面円形の内周面31aを有する筒状の第1締付部31を備え、第1締付部31の軸方向における端面には、円環部32が一体に形成される。円環部32は、第1締付部31の内周面31aと同一の内径を有する円環状の突起であり、円環部32の外径は、挿入孔11aの内径と同一(又は僅かに小さく)形成される。円環部32がブラケット10の挿入孔11aに嵌め込まれることにより、第1締付部31の内周面31aが挿入孔11aに連通する。
【0023】
よって、挿入孔11aから水平ロッド100aが挿入された場合には、第1締付部31の内周面31aに水平ロッド100aが保持される。なお、図示は省略するが、第1締付部31の内周面31aに向けた水平ロッド100aの挿入は、ボトムフレーム2の規制壁2b(
図4(b)参照)との接触によって停止するようになっている。
【0024】
まず、この水平ロッド100aを第1締付部31で締め付ける構成について、
図2及び
図3を参照して説明する。
図3(a)は、打楽器1の部分拡大断面図であり、
図3(b)は、第1締付部31で水平ロッド100aを締め付けた状態を示す打楽器1の部分拡大断面図である。なお、
図3では、水平ロッド100aの挿入方向と直交する平面で切断した断面であって、第1締付部材30の一対の突出部33(
図2参照)のうち、挿入孔11a側に位置する突出部33を含む断面を図示している。
【0025】
図2及び
図3に示すように、第1締付部31の下端部には、その周方向(内周面31a回りの方向)の一部を分断するスリット31bが形成される。スリット31bは、第1締付部31の内周面31aの軸方向両端にわたって延びる割れ目であり、スリット31bの長手方向の一端(挿入孔11a側の端部)には、スリット32a(
図1参照)が接続される。スリット32aは、円環部32の根元部分(第1締付部31との接続部分)を略半周にわたって切除するように形成される。これらのスリット31b,32aが形成されることにより、略C字状に形成された第1締付部31の弾性的な変形(スリット31bの幅を狭める変形)が可能となっている。
【0026】
締付ボルト20側(
図3の左側)を向く第1締付部31の側面31cは、第1締付部31の内周面31aに対応する(内周面31aの中心軸を中心にした)円弧状に形成され、第1締付部31の側面31cの下端部(スリット31bの近傍)には、突出部33が一体に形成される。
【0027】
突出部33の根元と第1締付部31の側面31cとの接続部分には凹部34(
図3参照)が形成され、凹部34は、水平ロッド100aの挿入方向(
図3の紙面垂直方向)において、突出部33の両端にわたって延びる溝状に形成される。凹部34の底面(締付ボルト20側を向く面)は、締付ボルト20側とは反対側(
図3の右側)に凸の湾曲形状になっており、この凹部34に第2締付部材40の凸部41が嵌め込まれる。凸部41は、凹部34に沿う(凹部34側に凸の)湾曲形状である。
【0028】
各締付部材30,40は、凹部34に凸部41を嵌め込んだ状態で、ブラケット10の空洞S内に収容される。この収容状態では、第1締付部材30の各方向への変位がボトムフレーム2やブラケット10によって規制される。
【0029】
具体的には、水平ロッド100aの挿入方向(
図3の紙面垂直方向)における第1締付部材30の変位は、ブラケット10の外周壁11(
図2参照)と、上述したボトムフレーム2の規制壁2b(
図4(c)参照)とによって規制されている。
【0030】
また、締付ボルト20側とは反対側(
図3の右側)を向く第1締付部31の側面31dには、その側面31dに連なる脚部34が一体に形成され、この脚部34がスリット31bよりも下方に突出してブラケット10の底壁12に支持される。また、ボトムフレーム2は、補強フレーム8(突出部8a)とブラケット10との間に挟まれる突出部2aを備え、この突出部2aによって第1締付部材30が上方から覆われる。よって、第1締付部材30の上下の変位は、ボトムフレーム2の突出部2aとブラケット10の底壁12とによって規制される。
【0031】
ブラケット10の一対の側壁13のうち、脚部34とは反対側の側壁13にはめねじ孔13a(
図2参照)が形成され、このめねじ孔13aに締付ボルト20の軸部21が締結される。この締付ボルト20の軸部21の先端側に第2締付部材40が配置されるので、締付ボルト20が締結される際の締結力が第2締付部材40に作用する。
【0032】
締付ボルト20の締結力により、第2締付部材40が締付ボルト20の締結方向に沿ってスライド変位し、このスライド変位に伴い、第1締付部材30の突出部33(凹部34)が第2締付部材40の凸部41によって押し込まれる(
図3(b)参照)。第1締付部材30の突出部33が押し込まれることにより、第1締付部31がその内周面31aの直径を縮小させる(スリット31bの幅を狭める)ように弾性変形し、水平ロッド100aが締め付けられる。これにより、ブラケット10に水平ロッド100aが固定される。
【0033】
次いで、
図2及び
図4を参照して、水平ロッド100b及び鉛直ロッド100cを締め付ける構成について説明する。
図4(a)は、第2締付部材40の第2締付部42で水平ロッド100bを締め付けた状態を示す打楽器1の部分拡大断面図であり、
図4(b)は、第2締付部材40の第2締付部42で鉛直ロッド100cを締め付けた状態を示す打楽器1の部分拡大断面図である。なお、
図4(b)は、
図4(a)のIVb-IVb線で切断した断面に対応している。まず、
図2及び
図4(a)を参照して、水平ロッド100bを締め付ける構成を説明する。
【0034】
図2及び
図4(a)に示すように、ブラケット10の内周壁14には挿入孔14aが形成され、この挿入孔14aは、水平ロッド100bの挿入方向で挿入孔11b(
図2参照)と対面する。また、第1締付部材30の突出部33及び脚部34は、水平ロッド100bの挿入方向視において挿入孔14aを挟んだ両側(挿入孔14aを避けた位置)に形成される(
図4(a)参照)。よって、挿入孔11b(
図2参照)から挿入される水平ロッド100bは、第1締付部材30の突出部33及び脚部34の間を通して挿入孔14aに挿入される。
【0035】
突出部33は、水平ロッド100aの挿入方向(
図4(a)の紙面垂直方向)に並んで一対に形成され(
図2参照)、この一対の突出部33の間には、第2締付部材40の第2締付部42が挿入される。第2締付部42は、第2締付部材40の凸部41と一体に形成される突起であり、水平ロッド100aの挿入方向における凸部41の略中央部分に第2締付部42が形成される(
図2参照)。
【0036】
第2締付部42の先端(
図4(a)の右側の端部)には、水平ロッド100bを締め付けるための溝42aが形成される。溝42aは、水平ロッド100bの挿入方向視において、挿入孔14aの中心軸から離れる方向に凹むV字状に形成される。
【0037】
溝42aは、水平ロッド100bの挿入方向視において、突出部33よりも挿入孔14aの中心側に張り出した位置に形成される(
図4(a)参照)。よって、水平ロッド100bを挿入孔14aに挿入した状態で締付ボルト20を締結することにより、第2締付部42の溝42aによって水平ロッド100bが挿入孔14aの内周面に押し付けられる。この時、図示は省略するが、水平ロッド100bは挿入孔11b(
図2参照)の内周面にも押し付けられる。即ち、水平ロッド100bは、第2締付部42の溝42aと、挿入孔11b,14aとに挟まれるようにしてブラケット10に固定される。
【0038】
次いで、
図2及び
図4(a)を参照して、鉛直ロッド100cを締め付ける構成を説明する。ブラケット10の底壁12(
図2参照)には、鉛直ロッド100cを挿入するための挿入孔12aが形成され、第1締付部材30の第1締付部31には、挿入孔12aと上下方向で重なる位置に一対の貫通孔31e,31fが形成される。貫通孔31eは、第1締付部31の下面を内周面31aに繋ぐ孔であり、貫通孔31fは、第1締付部31の上面を内周面31aに繋ぐ孔である。
【0039】
なお、図示は省略するが、第1締付部31を上方から覆うボトムフレーム2の突出部2aにも貫通孔2cが形成されている(
図6(b)参照)。よって、挿入孔12aの下方から挿入される鉛直ロッド100c(
図4(b)参照)は、第1締付部材30の各貫通孔31e,31f(
図2参照)を通して補強フレーム8の挿入孔8bに挿入される。この鉛直ロッド100cの挿入状態も第2締付部材40によって固定される。
【0040】
第2締付部材40の第2締付部42の先端には、鉛直ロッド100cを締め付けるための溝42bが形成される。溝42bは、鉛直ロッド100cの挿入方向視において、挿入孔12aの中心軸から離れる方向に凹むV字状に形成される(
図4(b)参照)。なお、第2締付部42の先端からの溝42bの深さは、溝42aよりも深く形成されており(
図2参照)、溝42aは、溝42bを挟んだ両側に(水平ロッド100bの挿入方向に間隔を隔てて)一対に形成される。
【0041】
第2締付部42の溝42bは、鉛直ロッド100cの挿入方向視において、第1締付部31の貫通孔31eよりも挿入孔12aの中心側に張り出した位置に形成される(
図4(b)参照)。よって、鉛直ロッド100cを各挿入孔8b,12a(貫通孔31e,31f)に挿入した状態で締付ボルト20を締結することにより、第2締付部42の溝42bによって鉛直ロッド100cが挿入孔12aの内周面に押し付けられる。この時、図示は省略するが、鉛直ロッド100cは挿入孔8b(
図2参照)の内周面にも押し付けられる。即ち、鉛直ロッド100cは、第2締付部42の溝42bと、挿入孔8b,12aとに挟まれるようにしてブラケット10に固定される。
【0042】
このように、本実施形態では、挿入孔11a(第1締付部31)に挿入された水平ロッド100aを第1締付部材30の第1締付部31で締め付け可能であり(
図3(b)参照)、且つ挿入孔11b,14aに挿入された水平ロッド100bを第2締付部材40の第2締付部42(溝42a)で締め付け可能である(
図4(a)参照)。これにより、同一の方向(水平方向)に延び、且つ径の異なる2本の水平ロッド100a,100bに打楽器1を支持できるので、汎用性を向上できる。
【0043】
更に、水平ロッド100a,100bとは異なる方向に延びる鉛直ロッド100cも第2締付部42の溝42bによって締め付け可能である。よって、打楽器1の汎用性をより向上できる。
【0044】
また、第1締付部31の弾性変形を利用して水平ロッド100aを締め付ける構成であるため、締付ボルト20を緩めることにより、第1締付部31の弾性回復力を利用して各締付部材30,40を初期位置(締付ボルト20の締結前の状態)に戻すことができる。よって、各ロッド100a~100cの挿入に各締付部31,42が干渉する(引っ掛かる)ことを抑制できるので、ロッド100a~100cに打楽器1を支持させる際の作業性を向上できる。
【0045】
ここで、後述する第2実施形態のように(
図6参照)、締付部材230に第2締付部242を一体に形成する構成を採用することも可能である。しかし、このような構成であると、締付ボルト20によって第2締付部242が押し込まれた場合に、第1締付部31の上端側の部位を中心に第2締付部242を回転させるようにして第1締付部31が変形する。よって、締付ボルト20の締結方向に沿って第2締付部242を変位させることができない。
【0046】
これに対して本実施形態では、第1締付部31を有する第1締付部材30と、第2締付部42を有する第2締付部材40とが別部品であり、締付ボルト20の締結力による第2締付部材40のスライド変位を利用して第1締付部31を弾性変形させる構成である。
【0047】
このような構成であれば、上記の第2実施形態のように締付部材230に第2締付部242を一体に形成する場合とは異なり、第1締付部31の弾性変形に第2締付部42が追従することを抑制できる。これにより、第2締付部42(第2締付部材40)が締付ボルト20の締結方向に沿って変位し易くなるので、締付ボルト20の締結力が水平ロッド100bや鉛直ロッド100cに伝達され易くなる。よって、それらの各ロッド100b,100cとブラケット10に強固に固定できる。
【0048】
また、締付ボルト20の締結方向において、第2締付部42の溝42a,42bが締付ボルト20の軸部21と重なる位置に形成されるので、締付ボルト20の締結力が水平ロッド100bや鉛直ロッド100cに伝達され易くなる。よって、各ロッド100b,100cをブラケット10に強固に固定できる。
【0049】
また、第1締付部31の外周面(スリット31bの近傍)から突出部33が突出し、第2締付部材40の変位軌跡上に形成された突出部33が第2締付部材40によって押し込まれるため、第1締付部31が弾性変形し易くなる。これは、第1締付部31がその上端側の部位を起点にして弾性変形するところ、その弾性変形の起点から離れた位置で第1締付部31を押し込むことができるためである。
【0050】
また、突出部33が水平ロッド100b(水平ロッド100a)の挿入方向に並んで一対に形成され、第2締付部42は、一対の突出部33の間から突出する第2締付部42によって水平ロッド100bを締め付ける構成である。これにより、第1締付部31による水平ロッド100aの締付位置と、第2締付部42による締付位置とを近付けることができる。よって、各挿入孔11a,11b(
図2参照)同士の間隔を小さくできるので、ブラケット10を小型化できる。
【0051】
ここで、本実施形態では、第1締付部31から下方に延びる脚部34が形成され、締付ボルト20の締結方向で第2締付部42(溝42a,42b)と脚部34が対面している。よって、例えば第2締付部42と脚部34とによって各ロッド100b,100cを締め付けることも可能である。しかしながら、そのような構成であると、各ロッド100b,100cがその長手方向における1箇所(ほぼ1点)で締め付けられることになるため、各ロッド100b,100cをブラケット10に強固に固定することができない。
【0052】
これに対して本実施形態では、水平ロッド100bは、第2締付部42の溝42aと、2つの挿入孔11b,14aの縁との複数箇所で挟まれることによってブラケット10に固定される。また、鉛直ロッド100cも同様に、第2締付部42の溝42bと、2つの挿入孔8b,12aの縁との複数箇所で挟まれることによってブラケット10に固定される。このように、各ロッド100b,100cの長手方向の複数箇所を締め付けることにより、ブラケット10に各ロッド100b,100cを強固に固定できる。
【0053】
次いで、
図5を参照して第2締付部材40の構成について更に説明する。
図5(a)は、
図3(b)のVa部分における打楽器1の部分拡大断面図であり、
図5(b)は、
図4(a)のVb部分における打楽器1の部分拡大断面図である。
【0054】
図5(a)に示すように、第1締付部31に水平ロッド100aが挿入された状態で突出部33が凸部41によって押し込まれた場合、第1締付部31の弾性変形がある程度進んだ後、その弾性変形が水平ロッド100aとの接触によって規制される。つまり、第1締付部31で水平ロッド100aを締め付ける際には、第1締付部31の内周面31aがほぼ円形の状態を保つことになる。
【0055】
一方、
図5(b)に示すように、水平ロッド100bを第2締付部42で締め付ける際には、第1締付部31の内周側に水平ロッド100aが存在しない状態になる。よって、突出部33が凸部41によって押し込まれると、凸部41によって第1締付部31が押し上げられるように変形し易くなる。
【0056】
そのため、例えば
図5(b)の2点鎖線で示すように、第2締付部材40と第1締付部31の側面31cとの接触面積を上下に広くすると、凸部41が第1締付部31を押し上げながらスライドする場合に、第1締付部31の側面31cが第2締付部材40の上縁に干渉し易くなる。この干渉によって第2締付部材40に傾き(
図5(b)の反時計回りにおける回転)が生じると、第2締付部42(溝42a)で水平ロッド100bを適切に締め付けることができないという問題点が生じる。この問題点を解決する構成を以下に説明する。
【0057】
第2締付部材40には、凸部41の先端面を構成する凸面43と、その凸面43の上縁に連なる凹面44と、その凹面44に上縁に連なる逃げ面45と、が形成される。凸面43は、第1締付部31の凹部34側に凸の円弧状に形成され、凸面43の曲率は凹部34と同一である。また、凹面44は、第1締付部31の側面31cから離れる方向に凸の円弧状に形成され、凹面44の曲率は、第1締付部31の側面31cと同一である。
【0058】
そして、凹面44の上縁に連なる逃げ面45は、上方側に凸の円弧状に形成され、このような逃げ面45を第2締付部材40の上端部分に形成することにより、第2締付部材40と第1締付部31の側面31cとの接触面積を低減できる。より具体的には、第1締付部31の内周面31aの中心軸Oを中心にした仮想円Vを描いた場合に、仮想円Vの下端(内周面31aの周方向におけるスリット31bの中央)と中心軸Oとを結ぶ線分の中央Cよりも下方側で、第2締付部材40が第1締付部31の側面31cに接触している。
【0059】
これにより、第2締付部材40が第1締付部31を押し上げながらスライドする場合に、第1締付部31の側面31cが第2締付部材40の上縁に干渉することを抑制できる。これにより、第2締付部42(溝42a)に傾きが生じることを抑制できるので、水平ロッド100bを適切に締め付けることができる。よって、ブラケット10に水平ロッド100bを強固に固定できる。
【0060】
なお、本実施形態では、凹面44の上縁に連ねて逃げ面45を形成しているが、必ずしもこれに限られない。例えば、凹面44を省略し、逃げ面45を凸面43の上縁に連ねて形成しても良い。これによっても、第2締付部材40が第1締付部31を押し上げながらスライドする場合に、第1締付部31の側面31cが締付部材40の上縁に干渉することを抑制できる。
【0061】
次いで、
図6及び
図7を参照して第2実施形態の打楽器201について説明する。なお、上述した第1実施形態と同一の部分には同一の符号を付してその説明を省略する。
【0062】
図6(a)は、第2実施形態の締付部材230の斜視図であり、
図6(b)は、第2実施形態の打楽器201の部分拡大断面図である。
図7(a)は、第1締付部31で水平ロッド100aを締め付けた状態を示す打楽器201の部分拡大断面図であり、
図7(b)は、第2締付部242の溝42aで水平ロッド100bを締め付けた状態を示す打楽器201の部分拡大断面図である。なお、
図6(b)及び
図7では、締付ボルト20の軸部21を含む平面であって、水平ロッド100a,100bの挿入方向と直交する平面で切断した断面を図示している。
【0063】
図6に示すように、第2実施形態の打楽器201の締付部材230は、突出部33(
図2参照)が省略された点と、第1締付部31と第2締付部242とが一体に形成された点とを除き、第1実施形態の第1締付部材30と同一の構成である。
【0064】
第2締付部242は、第1締付部31の側面31cに連なるようにして下方に延びており、締付ボルト20側を向く第2締付部242の側面には、軸部21を嵌め込むための凹部242cが形成される。よって、締付ボルト20の締結力によって第2締付部242が押し込まれることにより、第1締付部31が内周面31aの直径を縮小させるように弾性変形する。
【0065】
従って、
図7(a)に示すように、第1締付部31に水平ロッド100aを挿入した状態で締付ボルト20を締結することにより、第2締付部242と共に弾性変形する第1締付部31によって水平ロッド100aが締め付けられる。
【0066】
また、
図7(b)に示すように、水平ロッド100bの挿入方向視において、挿入孔14aを挟んで第2締付部242と脚部34とが対面しており、脚部34側を向く第2締付部242の側面には溝42aが形成される。よって、挿入孔14aに水平ロッド100bを挿入した状態で締付ボルト20を締結することにより、第2締付部242の溝42aによって水平ロッド100bが締め付けられる。
【0067】
また、鉛直ロッド100c(
図4(b)参照)を挿入するための貫通孔31eは、第2締付部242に連なるように上下に延びている。よって、図示は省略するが、挿入孔12a及び貫通孔31e,31f,2cを通して挿入孔8bに挿入される鉛直ロッド100cは、第2締付部242(貫通孔31eの内周面)と、2つの挿入孔8b,12aの縁との複数箇所で挟まれることでブラケット10に固定される。
【0068】
このように、本実施形態においても、水平ロッド100a,100b及び鉛直ロッド100cを締付部材230の第1締付部31及び第2締付部342で締め付けることができる。これにより、同一の方向(水平方向)に延び、且つ径の異なる2本の水平ロッド100a,100bに打楽器201を支持できると共に、水平ロッド100a,100bとは異なる方向に延びる鉛直ロッド100cにも打楽器201を支持できる。よって、打楽器201の汎用性を向上できる。
【0069】
また、締付部材230は、水平ロッド100aを締め付けるための第1締付部31と、水平ロッド100bを締め付けるための第2締付部242とが一体に形成される。これにより、上述した第1実施形態のように第1締付部材30(第1締付部31)と第2締付部材40(第2締付部42)とを別体にする構成に比べ、部品点数を低減できると共に、ブラケット10及び締付部材230を打楽器1に組み付ける作業を容易にできる。
【0070】
なお、本実施形態の水平ロッド100bは、水平ロッド100aよりも直径が小さい円柱状に形成されるが、第1実施形態と同様の多角形状の水平ロッド100bを第2締付部242(溝42a)で締め付けることは当然可能である(後述する第3~6実施形態においても同様である)。
【0071】
次いで、
図8及び
図9を参照して、第3実施形態のブラケット310について説明する。なお、上述した各実施形態と同一の部分には同一の符号を付してその説明を省略する。
図8(a)は、第3実施形態のブラケット310の背面斜視図であり、
図8(b)は、ブラケット310の断面図である。
図9(a)は、第1締付部331で水平ロッド100aを締め付けた状態を示すブラケット310の断面図であり、
図9(b)は、第2締付部342で水平ロッド100bを締め付けた状態を示すブラケット310の断面図である。
【0072】
図8に示すように、第3実施形態のブラケット310は、打楽器の筐体(図示せず)側に開口を有する箱状に形成される。より具体的には、ブラケット310の外周壁311には、水平ロッド100a,100b(
図9参照)を挿入するための円形の挿入孔311a,311bが形成される。これらの挿入孔311a,311bは、締付ボルト20の締結方向(
図8(b)の左右方向)に並んで形成される。
【0073】
外周壁311の下端からは、打楽器の筐体側(
図8の紙面垂直方向手前側)に向けて下壁312が延びており、締付ボルト20の締結方向(
図8(b)の左右方向)における下壁312の両端からは、一対の側壁313が上方に延びている。一対の側壁313の上端同士は上壁314によって接続され、下壁312及び上壁314には、鉛直ロッド100cを挿入するための挿入孔312a,314aが形成される。
【0074】
ブラケット310の各壁311~314は、金属を用いて一体に形成され、ブラケット310には、各壁311~314によって取り囲まれる略直方体状の空洞Sが形成される。この空洞Sには、打楽器の筐体側に形成されるの開口部分から第1締付部材330及び第2締付部材340が収容される。
【0075】
一対の側壁313には、締付ボルト20の締結方向両側に突出する一対の締結部315が一体に形成され、この締結部315を打楽器の筐体にねじ止めすることにより、ブラケット310や各締付部材330,340が打楽器の筐体に組み付けられる。
。
【0076】
第1締付部材330は、水平ロッド100aを締め付けるための樹脂製の部品であり、第2締付部材340は、水平ロッド100b及び鉛直ロッド100cを締め付けるための金属製の部品である。
【0077】
第1締付部材330は、挿入孔311aに対応する断面円形の内周面331aを有する第1締付部331を備える。よって、挿入孔311aから水平ロッド100a(
図9(a)参照)が挿入された場合には、第1締付部331の内周面331aに水平ロッド100aが保持される。なお、図示は省略するが、第1締付部331に向けた水平ロッド100aの挿入は、図示しない打楽器の筐体との接触によって停止するようになっている。まず、この水平ロッド100aを第1締付部331で締め付ける構成について、
図8及び
図9(a)を参照して説明する。
【0078】
図8及び
図9(a)に示すように、第1締付部331の上端部には、その周方向(内周面331a回りの方向)の一部を分断するスリット331bが形成される。スリット331bは、第1締付部331の内周面331aの軸方向両端にわたって延びる割れ目であり、このスリット331bが形成されることにより、略C字状に形成された第1締付部331の弾性的な変形(スリット331bの幅を狭める変形)が可能になっている。
【0079】
締付ボルト20側を向く第1締付部331の側面331cは、第1締付部331の内周面331aに対応する(内周面331aの中心軸を中心にした)円弧状に形成される。ブラケット310の下壁312からは、第1締付部331の側面331cを支える仕切壁316が上方に立ち上がっている。第1締付部331側を向く仕切壁316の側面316a(
図8(b)参照)は、第1締付部331の側面331cに沿う湾曲面である。
【0080】
第1締付部331の側面331cの上端側には、凹部333が形成される。凹部333は、水平ロッド100aの挿入方向(
図9(a)の紙面垂直方向)において、第1締付部331の側面331cの両端にわたって延びる溝状に形成される。
【0081】
凹部333は、締付ボルト20側とは反対側(
図9(a)の右側)に凸の湾曲形状であり、この凹部333には、上壁314と仕切壁316との間を通して延びる第2締付部材340の凸部341が嵌め込まれる。凸部341の先端面は、凹部333に沿う(凹部333側に凸の)湾曲形状であり、凸部341の基端(締付ボルト20側の端部)には、下方に延びる第2締付部342が一体に形成される。
【0082】
第2締付部342と対面するブラケット310の側壁313にはめねじ孔13aが形成され、締付ボルト20側を向く第2締付部342の側面には、締付ボルト20の軸部21を挿入するための凹部242cが形成される。よって、締付ボルト20の締結力で第2締付部342が押し込まれることで第2締付部材340が第1締付部331側に向けてスライドする。
【0083】
第2締付部材340のスライドにより、凹部333が凸部341によって押し込まれ、第1締付部331が内周面331aの直径を縮小させる(スリット331bの幅を狭める)ように弾性変形する(
図9(a)参照)。この第1締付部331の弾性変形によって水平ロッド100aが締め付けられ、ブラケット310に水平ロッド100aが固定される。
【0084】
次いで、水平ロッド100b及び鉛直ロット100cを第2締付部342で締め付ける構成を説明する。
【0085】
図8及び
図9(b)に示すように、挿入孔311bを挟んで第2締付部342と仕切壁316とが対面しており、仕切壁316側を向く第2締付部342の側面には溝42aが形成される。また、第2締付部342側を向く仕切壁316の側面には、溝42a側とは反対側に凸の円弧状の溝316bが形成される。溝316bは、水平ロッド100bの挿入方向(
図9(b)の紙面垂直方向)に延びて挿入孔311bの内周面に連なっている。
【0086】
よって、挿入孔311bに水平ロッド100bを挿入した状態で締付ボルト20を締結することにより、挿入孔311bと、第2締付部342の溝42と、仕切壁316の溝316bとによって水平ロッド100bが締め付けられる。
【0087】
また、
図9(a)に示すように、第2締付部材340及び仕切壁316には、鉛直ロッド100cを通すための溝346,316cが形成される。溝346は、上下に延びて下壁312の挿入孔12aと上壁314の挿入孔314aとに連なっている。また、仕切壁316の溝316cも上下に延びて下壁312の挿入孔12aに連なっている。
【0088】
よって、図示は省略するが、挿入孔312a、溝346,316cを通して挿入孔314aに挿入される鉛直ロッド100cは、挿入孔312a,314a及び溝346,316cによって締め付けられる。
【0089】
このように、本実施形態においても、水平ロッド100a,100b及び鉛直ロッド100cを各締付部材330,340の第1締付部331及び第2締付部342で締め付けることができる。これにより、同一の方向(水平方向)に延び、且つ径の異なる2本の水平ロッド100a,100bに打楽器を支持できると共に、水平ロッド100a,100bとは異なる方向に延びる鉛直ロッド100cにも打楽器を支持できる。よって、打楽器の汎用性を向上できる。
【0090】
また、締付ボルト20の締結方向において、第2締付部342に形成された溝42a,346が締付ボルト20の軸部21と重なる位置に形成されるので(
図9(a)参照)、締付ボルト20の締結力が水平ロッド100bや鉛直ロッド100cに伝達され易くなる。よって、各ロッド100b,100cをブラケット310に強固に固定できる。
【0091】
また、第1締付部331の弾性変形を利用して水平ロッド100aを締め付ける構成であるため、締付ボルト20を緩めることにより、第1締付部331の弾性回復力を利用して各締付部材330,340を初期位置(締付ボルト20の締結前の状態)に戻すことができる。よって、各ロッド100a~100cの挿入に第1締付部331や第2締付部342が干渉する(引っ掛かる)ことを抑制できる。
【0092】
また、第1締付部331を有する第1締付部材330と、第2締付部342を有する第2締付部材340とが別部品であり、第2締付部材340のスライド変位によって締付部331を弾性変形させる構成である。よって、第1締付部331及び第2締付部342を一体に形成する場合とは異なり、第1締付部331の弾性変形に第2締付部342が追従することを抑制できる。これにより、第2締付部342(第2締付部材340)が締付ボルト20の締結方向に沿って変位し易くなるので、締付ボルト20の締結力が水平ロッド100bや鉛直ロッド100cに伝達され易くなる。
【0093】
次いで、
図10を参照して第4実施形態について説明する。
図10(a)は、第4実施形態のブラケット410の断面図であり、
図10(b)は、第1締付部431及び第2締付部443で水平ロッド100a,100bを締め付けた状態を示すブラケット410の断面図である。なお、
図10では、
図9と対応する平面で切断したブラケット410の断面を図示している。
【0094】
また、
図10(b)では、第1締付部431及び第2締付部442で各水平ロッド100a,100bの各々が締め付けられた状態を図示しているが、実際に打楽器をドラムセットに支持する場合には、いずれか一方のロッドが第1締付部431又は第2締付部442で締め付けられる。
【0095】
図10(a)に示すように、第4実施形態のブラケット410は、仕切壁316(
図9参照)を省略した点を除き、第3実施形態のブラケット310と同一の構成である。よって、ブラケット410には、第3実施形態のブラケット310と同様、各ロッド100a~100cを挿入するための挿入孔311a,311b,312a,314aが形成される。
【0096】
締付部材430は、各ロッド100a~100cを締め付けるための樹脂製の部品である。締付部材430は、水平ロッド100a(挿入孔311a)に対応する断面円形の内周面431aを有する筒状の第1締付部431を備え、第1締付部431の下端部には、その周方向(内周面431a回りの方向)の一部を分断するスリット431bが形成される。スリット431bは、第1締付部431の内周面431aの軸方向両端にわたって延びる割れ目であり、このスリット431bが形成されることにより、略C字状に形成された第1締付部431の弾性的な変形(スリット331bの幅を狭める変形)が可能になっている。
【0097】
第1締付部431には、水平ロッド100bを締め付けるための第2締付部442が一体に形成される。第1締付部431及び第2締付部442は、いずれも略直方体状に形成され、ブラケット410の内部に締付部材430が収容される。
【0098】
ブラケット410に締付部材430が収容された状態では、締付ボルト20の軸部21と第2締付部442とが対面する。締付ボルト20側を向く第2締付部442の側面には凹部242cが形成され、締付ボルト20の締結力が第2締付部442に作用する。これにより、締付ボルト20の締結方向で締付部材440の全体が圧縮されるように弾性変形し、これによって筒状の第1締付部431が内周面431aの直径を縮小させる(スリット431bの幅を狭める)ように弾性変形する。
【0099】
よって、
図10(b)に示すように、挿入孔311a及び第1締付部431に水平ロッド100aを挿入した状態で締付ボルト20を締結することにより、第1締付部431の弾性変形によって水平ロッド100aが締め付けられる。
【0100】
なお、本実施形態では、第1締付部431の内周面431aの直径が挿入孔311aの直径よりも大きく形成されており、第1締付部431の弾性変形によって挿入孔311aと第1締付部431の内周面431aとに水平ロッド100aが挟まれる構成となっているが、第1締付部431の内周面431aの直径を挿入孔311aの直径よりも小さく形成することは当然可能である。
【0101】
また、
図10(b)に示すように、第2締付部442には、挿入孔311bに連なる(水平ロッド100bの挿入方向に延びる)貫通孔442dが形成される。よって、締付ボルト20の締結力が第2締付部442に作用すると、貫通孔442dを僅かに窄めるようにして第2締付部442が弾性変形すると共に、上記の第1締付部431の弾性変形に伴って第2締付部442がスライド変位する。
【0102】
よって、挿入孔311bに水平ロッド100bを挿入した状態で締付ボルト20を締結することにより、挿入孔311bと第2締付部442の貫通孔442dとに挟まれることで水平ロッド100bが締め付けられる。
【0103】
また、第2締付部442には、上下方向で挿入孔312a,314aと重なる位置に貫通孔442eが形成されている。よって、図示は省略するが、挿入孔312a及び貫通孔442eを通して挿入孔314aに挿入される鉛直ロッド100cは、挿入孔312a,314a及び貫通孔442eに締め付けられることでブラケット410に固定される。
【0104】
このように、本実施形態においても、水平ロッド100a,100b及び鉛直ロッド100cを第1締付部431及び第2締付部442で締め付けることができる。これにより、同一の方向(水平方向)に延び、且つ径の異なる2本の水平ロッド100a,100bに打楽器を支持できると共に、水平ロッド100a,100bとは異なる方向に延びる鉛直ロッド100cにも打楽器を支持できる。よって、打楽器の汎用性を向上できる。
【0105】
また、締付ボルト20の締結方向において、第2締付部442の貫通孔442d及び貫通孔442eが締付ボルト20の軸部21と重なる位置に形成されるので、締付ボルト20の締結力が水平ロッド100bや鉛直ロッド100cに伝達され易くなる。
【0106】
また、水平ロッド100a,100bを締め付けるための第1締付部431及び第2締付部442が一体に形成されるので、部品点数を低減できると共に、ブラケット410及び締付部材430を打楽器に組み付ける作業を容易にできる。
【0107】
また、第1締付部431の弾性変形を利用して水平ロッド100aを締め付ける構成であるため、締付ボルト20を緩めることにより、第1締付部431の弾性回復力を利用して各締付部材430,440を初期位置(締付ボルト20の締結前の状態)に戻すことができる。よって、各ロッド100a~100cの挿入に第1締付部431及び第2締付部442が干渉する(引っ掛かる)ことを抑制できる。
【0108】
次いで、
図11を参照して第5実施形態について説明する。
図11(a)は、第5実施形態のブラケット410の断面図であり、
図11(b)は、第1締付部531及び第2締付部542で水平ロッド100a,100bを締め付けた状態を示すブラケット410の断面図である。なお、
図11では、
図10と対応する平面で切断したブラケット410の断面を図示している。
【0109】
また、
図11(b)では、第1締付部531及び第2締付部542で水平ロッド100a,100bの各々が締め付けられた状態を図示しているが、実際に打楽器をドラムセットに支持する場合には、いずれか一方のロッドが第1締付部531又は第2締付部542で締め付けられる。
【0110】
図11(a)に示すように、第5実施形態の締付部材530は、締付ボルト20の締結方向に長い直方体状に形成された金属または樹脂製の部品である。内部に締付部材530を収容したブラケット410を打楽器の筐体にねじ止めすることにより、ブラケット410や締付部材530が打楽器の筐体に組み付けられる。この組み付け状態では、ブラケット410の一対の側壁313と締付部材530との間に隙間が形成され、締付ボルト20の締結方向における締付部材530のスライド変位が可能になっている。
【0111】
締付部材530は、挿入孔311aに繋がる断面円形の貫通孔531aを有する第1締付部531と、挿入孔311bに繋がる断面円形の貫通孔542dを有する第2締付部542とが一体に形成される。締付ボルト20側を向く第2締付部542の側面には凹部242cが形成され、締付ボルト20の締結力が第2締付部542に作用する。これにより、締付ボルト20の締結方向に沿って締付部材530がスライド変位する。
【0112】
よって、
図11(b)に示すように、挿入孔311aと第1締付部531の貫通孔531aとに水平ロッド100aを挿入した状態で締付ボルト20を締結することにより、挿入孔311aと第1締付部531の貫通孔531aとに挟まれることで水平ロッド100aが締め付けられる。これと同様、挿入孔311bに水平ロッド100bを挿入した状態で締付ボルト20を締結することにより、挿入孔311bと第2締付部542の貫通孔542dとに挟まれることで水平ロッド100bが締め付けられる。
【0113】
また、第2締付部542には、上下に延びて挿入孔312a,314aに繋がる貫通孔542eが形成されている。よって、図示は省略するが、挿入孔312a及び貫通孔542eを通して挿入孔314aに挿入される鉛直ロッド100cは、挿入孔312a,314a及び貫通孔542eに締め付けられることでブラケット410に固定される。
【0114】
このように、本実施形態においても、水平ロッド100a,100b及び鉛直ロッド100cを第1締付部531及び第2締付部542で締め付けることができる。これにより、同一の方向(水平方向)に延び、且つ径の異なる2本の水平ロッド100a,100bに打楽器を支持できると共に、水平ロッド100a,100bとは異なる方向に延びる鉛直ロッド100cにも打楽器を支持できる。よって、打楽器の汎用性を向上できる。
【0115】
また、締付ボルト20の締結方向において、第2締付部542の貫通孔542d及び貫通孔542eが締付ボルト20の軸部21と重なる位置に形成されるので、締付ボルト20の締結力が水平ロッド100bや鉛直ロッド100cに伝達され易くなる。よって、各ロッド100b,100cをブラケット410に強固に固定できる。
【0116】
また、水平ロッド100a,100bを締め付けるための第1締付部531及び第2締付部542が一体に形成されるので、部品点数を低減できると共に、ブラケット410及び締付部材530を打楽器に組み付ける作業を容易にできる。
【0117】
また、締付部材530のスライド変位によって各ロッド100a~100cを締め付ける構成であるため、締付部材を弾性変形させる場合に比べ、締付部材530の疲労を抑制できる。
【0118】
なお、本実施形態では、ブラケット410の内部に締付部材530が単にスライド可能に保持されているだけであるが、必ずしもこれに限られない。例えば、締付部材530を初期位置に戻すためのバネなどの弾性体を、締付部材530とブラケット410の側壁313との間に配置しても良い。後述する第6実施形態(
図12参照)においても同様である。
【0119】
次いで、
図12を参照して第6実施形態について説明する。
図12(a)は、第6実施形態のブラケット610の断面図であり、
図12(b)は、第1締付部631及び第2締付部642で水平ロッド100a,100bを締め付けた状態を示すブラケット610の断面図である。なお、
図12では、
図11と対応する平面で切断したブラケット610の断面を図示している。
【0120】
また、
図12(b)では、第1締付部631及び第2締付部642で水平ロッド100a,100bの各々が締め付けられた状態を図示しているが、実際に打楽器をドラムセットに支持する場合には、いずれか一方のロッドが第1締付部631又は第2締付部642で締め付けられる。
【0121】
図12(a)に示すように、第6実施形態のブラケット610は、外周壁611に設けられる挿入孔311a,311bが上下に並んで形成され、ブラケット610の外形が上下に長い直方体状である点を除き、第5実施形態のブラケット410と同一の構成である。
【0122】
締付部材630は、上下方向に長い直方体状に形成された金属または樹脂製の部品である。内部に締付部材630を収容したブラケット610を打楽器の筐体にねじ止めすることにより、ブラケット610や締付部材630が打楽器の筐体に組み付けられる。この組み付け状態では、ブラケット610の一対の側壁313と締付部材630との間に隙間が形成されており、ブラケット610は、締付ボルト20の締結方向において締付部材630をスライド可能に保持している。
【0123】
締付部材630は、挿入孔311aに繋がる断面円形の貫通孔631aを有する第1締付部631と、挿入孔311bに繋がる断面円形の貫通孔642dを有する第2締付部642とが一体に形成される。
【0124】
締付ボルト20側を向く締付部材630の側面には凹部242cが形成され、締付ボルト20の締結力が締付部材630に作用する。これにより、締付ボルト20の締結方向に沿って締付部材630がスライド変位する。
【0125】
よって、
図12(b)に示すように、挿入孔311aと第1締付部631の貫通孔631aとに水平ロッド100aを挿入した状態で締付ボルト20を締結することにより、挿入孔311aと第1締付部631の貫通孔631aとに挟まれることで水平ロッド100aが締め付けられる。これと同様、挿入孔311bに水平ロッド100bを挿入した状態で締付ボルト20を締結することにより、挿入孔311bと第2締付部642の貫通孔642dとに挟まれることで水平ロッド100bが締め付けられる。
【0126】
また、締付部材630は、第1締付部631及び第2締付部642の各貫通孔631a,642dと交差する貫通孔635を備え、この上下に延びる貫通孔635が挿入孔312a,314aに繋がっている。よって、図示は省略するが、挿入孔312a及び貫通孔635を通して挿入孔314aに挿入される鉛直ロッド100cは、挿入孔312a,314a及び貫通孔635に締め付けられることでブラケット610に固定される。
【0127】
このように、本実施形態においても、水平ロッド100a,100b及び鉛直ロッド100cを第1締付部631及び第2締付部642で締め付けることができる。これにより、同一の方向(水平方向)に延び、且つ径の異なる2本の水平ロッド100a,100bに打楽器を支持できると共に、水平ロッド100a,100bとは異なる方向に延びる鉛直ロッド100cにも打楽器を支持できる。よって、打楽器の汎用性を向上できる。
【0128】
また、水平ロッド100a,100bを締め付けるための第1締付部631及び第2締付部642が一体に形成されるので、部品点数を低減できると共に、ブラケット610及び締付部材630を打楽器に組み付ける作業を容易にできる。
【0129】
また、締付部材630のスライド変位によって各ロッド100a~100cを締め付ける構成であるため、締付部材を弾性変形させる場合に比べ、締付部材630の疲労を抑制できる。
【0130】
以上、上記実施形態に基づき説明をしたが、本発明は上記実施形態に何ら限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲内で種々の改良変形が可能であることは容易に推察できるものである。
【0131】
上記各実施形態では、打楽器1,201が電子打楽器である場合を説明したが、必ずしもこれに限られない。例えば、アコースティックの打楽器(ドラム)を各ロッド100a~100cに支持する場合においても、上記各実施形態の構成は適用可能である。
【0132】
上記各実施形態では、水平方向に延び、且つ直径の異なる2種類の水平ロッド100a,100bを第1締付部31,331,431,531,631及び第2締付部42,242,342,442,542,642(以下、単に「締付部」という。)で締め付ける場合を説明したが、必ずしもこれに限られない。鉛直方向(又は鉛直方向に対して傾斜する方向)に延び、且つ直径の異なる2種類のロッドを締付部で締め付ける構成でも良い。この構成の場合には、ロッドが延びる方向に応じて締付部の向きを変更すれば良い。
【0133】
また、2種類のロッドではなく、同一の方向に延びる3種類以上のロッドを締付部で締め付ける構成でも良い。このような構成の一例として、第1,2実施形態のブラケットの挿入孔11bの下方に3種類目のロッドを挿入するための挿入孔を追加すると共に、第2締付部42,242を下方に延長し、その延長部分で3種類目のロッドを締め付ける構成が例示される。また、他の例として、第5,6実施形態の挿入孔311a,311bに加え、3種類目のロッドを挿入するための挿入孔を追加すると共に、その挿入孔に繋がる貫通孔を締付部材530,630に形成する構成が例示される。
【0134】
上記各実施形態では、締付ボルト20の締結方向において、締付部が締付ボルト20の軸部21と重なる位置に形成される場合を説明したが、同方向において、締付部が締付ボルト20の軸部21と重ならない位置に形成されていても良い。
【0135】
上記第1実施形態では、スリット31bの近傍に突出部33を形成する場合を説明したが、スリット31bの近傍とは、
図5(b)に示す仮想円Vの下端(内周面31aの周方向におけるスリット31bの中央)と中心軸Oとを結ぶ線分の中央Cよりも下方側(スリット31b側)である。
【0136】
上記第1実施形態では、突出部33が水平ロッド100b(水平ロッド100a)の挿入方向に並んで一対に形成される場合を説明したが、必ずしもこれに限られない。例えば、水平ロッド100bの挿入方向における第1締付部31の両端にわたって突出部33を形成しても良いし、水平ロッド100bの挿入方向において3以上の突出部33を形成しても良い。
【0137】
上記第1,2実施形態では、第2締付部42,242と、挿入孔11b,14aの縁とで水平ロッド100bが挟まれる場合や、第2締付部42,242と、挿入孔8b,12aの縁とで鉛直ロッド100cが挟まれる場合を説明したが、必ずしもこれに限られない。例えば、第2締付部42と脚部34とによって水平ロッド100b及び鉛直ロッド100cを締め付けても良い。
【符号の説明】
【0138】
1,201 打楽器
2 ボトムフレーム(筐体の一部)
3 トップフレーム(筐体の一部)
8 補強フレーム(筐体の一部)
10,310,410,610 ブラケット
11a,311a 第1挿入孔
11b,14a,311b 第2挿入孔
12a,312a,314a 第3挿入孔
20 締付ボルト
21 軸部
30,330 第1締付部材
31,331,431,531,631 締付部(第1締付部)
31b,331b,431b スリット
33 突出部
40,340 第2締付部材
42,242,342,442,542,642 締付部(第2締付部)
100a 水平ロッド(第1ロッド)
100b 水平ロッド(第2ロッド)
100c 鉛直ロッド(第3ロッド)