(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2025063824
(43)【公開日】2025-04-16
(54)【発明の名称】回路基板および電子素子パッケージ
(51)【国際特許分類】
H05K 1/02 20060101AFI20250409BHJP
H05K 3/46 20060101ALI20250409BHJP
H05K 1/18 20060101ALI20250409BHJP
【FI】
H05K1/02 E
H05K3/46 Q
H05K3/46 Z
H05K1/18 R
【審査請求】未請求
【請求項の数】18
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2024114595
(22)【出願日】2024-07-18
(31)【優先権主張番号】10-2023-0131800
(32)【優先日】2023-10-04
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(71)【出願人】
【識別番号】594023722
【氏名又は名称】サムソン エレクトロ-メカニックス カンパニーリミテッド.
(74)【代理人】
【識別番号】110000051
【氏名又は名称】弁理士法人共生国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】趙 泳 雄
【テーマコード(参考)】
5E316
5E336
5E338
【Fターム(参考)】
5E316AA32
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5E338AA03
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5E338BB75
5E338CD02
5E338CD25
5E338EE28
(57)【要約】
【課題】プリント回路基板のキャビティの縁のレジン領域のクラックを抑制できる回路基板を提供する。
【解決手段】本発明の回路基板は、互いに対向する第1面と第2面を有し、前記第1面と前記第2面との間に配置された絶縁層を含み、前記第1面に垂直な方向に貫通したキャビティを有する基板、前記第1面で前記絶縁層に埋込まれて信号伝達が可能に構成される第1配線パターン、前記第1面で前記絶縁層に埋め込まれ、前記キャビティの周りに前記キャビティの縁から離隔して配置され、前記第1配線パターンから分離されて構成される第1補強パターンを含む。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
互いに対向する第1面と第2面を有し、前記第1面と前記第2面との間に配置された絶縁層を含み、前記第1面に垂直な方向に貫通したキャビティを有する基板と、
前記第1面で前記絶縁層に埋込まれて信号伝達が可能に構成された第1配線パターンと、
前記第1面で前記絶縁層に埋め込まれ、前記キャビティの周りに前記キャビティの縁から離隔して配置され、前記第1配線パターンから分離されて構成された第1補強パターンと、を含むことを特徴とする回路基板。
【請求項2】
前記第1補強パターンは金属を含むことを特徴とする請求項1に記載の回路基板。
【請求項3】
前記第1補強パターンは電気的に孤立していることを特徴とする請求項1に記載の回路基板。
【請求項4】
前記第1補強パターンは、前記キャビティ内に露出しないように前記絶縁層で覆われていることを特徴とする請求項1に記載の回路基板。
【請求項5】
前記第1補強パターンは、前記第1配線パターンと同じ高さを有することを特徴とする請求項1に記載の回路基板。
【請求項6】
前記第1配線パターンは、前記キャビティから遠くなる方向に前記第1補強パターンから離隔していることを特徴とする請求項1に記載の回路基板。
【請求項7】
前記第2面で前記絶縁層上に配置されて信号伝達が可能に構成された第2配線パターンと、
前記第2面で前記絶縁層上に配置され、前記キャビティの周りに前記キャビティの縁から離隔して配置され、前記第2配線パターンから分離されて構成された第2補強パターンと、
前記絶縁層に埋め込まれ、前記第1配線パターンと前記第2配線パターンを互いに接続するビアをさらに含むことを特徴とする請求項1に記載の回路基板。
【請求項8】
前記第2補強パターンは、前記第2配線パターンと同じ高さを有するように前記第2面の上に突出していることを特徴とする請求項7に記載の回路基板。
【請求項9】
前記第2配線パターンは、前記キャビティから遠くなる方向に前記第2補強パターンから離隔していることを特徴とする請求項7に記載の回路基板。
【請求項10】
前記第1補強パターンと前記第2補強パターンは、前記第1面に垂直な方向に沿って少なくとも一部分が互いに重なるように配置されることを特徴とする請求項7に記載の回路基板。
【請求項11】
前記第1補強パターンは、前記キャビティの縁に沿って互いに離隔して配置された複数の補強パッドを含むことを特徴とする請求項1に記載の回路基板。
【請求項12】
前記第1補強パターンは、前記キャビティの縁に沿って連続的につながって前記キャビティを囲むように構成されることを特徴とする請求項1に記載の回路基板。
【請求項13】
前記キャビティは4つの辺を含み、
前記第1補強パターンは、前記4つの辺にそれぞれ配置された補強パッドを含むことを特徴とする請求項1に記載の回路基板。
【請求項14】
互いに対向する第1面と第2面を有し、前記第1面と前記第2面との間に配置された絶縁層を含み、前記第1面に垂直な方向に貫通したキャビティを有する基板と、
前記第1面で前記絶縁層に埋込まれて信号伝達が可能に構成された第1配線パターンと、
前記第1面で前記絶縁層に埋め込まれ、前記キャビティの周りに前記キャビティの縁から離隔して配置され、前記第1配線パターンから分離されて構成された第1補強パターンと、
前記キャビティ内に収容された電子素子と、
前記基板の前記第1面側に配置され、前記電子素子が接続される再配線層と、を含むことを特徴とする電子素子パッケージ。
【請求項15】
前記基板の前記第1面と前記再配線層との間で前記第1補強パターンを覆うように配置された絶縁保護層をさらに含むことを特徴とする請求項14に記載の電子素子パッケージ。
【請求項16】
前記第1補強パターンは電気的に孤立していることを特徴とする請求項14に記載の電子素子パッケージ。
【請求項17】
前記第1補強パターンは、前記キャビティ内に露出しないように前記絶縁層で覆われていることを特徴とする請求項14に記載の電子素子パッケージ。
【請求項18】
前記第1配線パターンは、前記キャビティから遠くなる方向に前記第1補強パターンから離隔していることを特徴とする請求項14に記載の電子素子パッケージ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、回路基板および電子素子パッケージに関する。
【背景技術】
【0002】
電子製品の小型化および多機能化傾向により、半導体パッケージング技術が高集積、高性能化されている。従来のインターポ-ザ(Interposer)POPパッケージング技術は、実装チップの厚さの制約により放熱効果に限界があった。これにより、チップ厚さ制約を緩和して放熱効果を改善したPLP(Panel Level Package)パッケージング技術が注目されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
PLPパッケージングでは、プレプレグ(PPG)タイプのプリント回路基板を使用する。PPGは、レジン(Resin)とガラス繊維(Glass fabric)が共に積層されている。キャビティ(Cavity)加工後、スミア(Smear)除去工程を行うと、ガラス繊維がエッチングされ、これにより、パッケージング工程で機械的/物理的荷重によってPPGレジン部位にクラックが発生することがある。
【0005】
このようなクラックは、PLPパッケージング工程で感光性絶縁材塗布時に塗布不良を引き起し得る。したがって、チップ実装領域のプリント回路基板のキャビティ領域の品質確保のための回路基板の構造とその製造方法の改善が必要になった。
【0006】
本発明の目的は、プリント回路基板のキャビティの縁のレジン領域のクラックを抑制できる回路基板、電子素子パッケージおよび回路基板の製造方法を提供することにある。
しかし、本発明の実施例が解決しようとする課題は、上述した課題に限定されず本発明に含まれている技術的な思想の範囲で多様に拡張される。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するためになされた本発明の一態様による回路基板は、互いに対向する第1面と第2面を有し、前記第1面と前記第2面との間に配置された絶縁層を含み、前記第1面に垂直な方向に貫通したキャビティを有する基板と、前記第1面で前記絶縁層に埋込まれて信号伝達が可能に構成された第1配線パターンと、前記第1面で前記絶縁層に埋め込まれ、前記キャビティの周りに前記キャビティの縁から離隔して配置され、前記第1配線パターンから分離されて構成された第1補強パターンと、を含む。
【0008】
前記第1補強パターンは金属を含み得る。
前記第1補強パターンは電気的に孤立し得る。
前記第1補強パターンは、前記キャビティ内に露出しないように前記絶縁層で覆われてもよい。
前記第1補強パターンは、前記第1配線パターンと同じ高さを有し得る。
前記第1配線パターンは、前記キャビティから遠くなる方向に前記第1補強パターンから離隔し得る。
【0009】
前記回路基板は、前記第2面で前記絶縁層上に配置されて信号伝達が可能に構成された第2配線パターンと、前記第2面で前記絶縁層上に配置され、前記キャビティの周りに前記キャビティの縁から離隔して配置され、前記第2配線パターンから分離されて構成された第2補強パターンと、前記絶縁層に埋め込まれ、前記第1配線パターンと前記第2配線パターンを互いに接続するビアをさらに含むことができる。
前記第2補強パターンは、前記第2配線パターンと同じ高さを有するように前記第2面の上に突出し得る。
前記第2配線パターンは、前記キャビティから遠くなる方向に前記第2補強パターンから離隔し得る。
前記第1補強パターンと前記第2補強パターンは、前記第1面に垂直な方向に沿って少なくとも一部分が互いに重なるように配置されてもよい。
前記第1補強パターンは、前記キャビティの縁に沿って互いに離隔して配置された複数の補強パッドを含み得る。
前記第1補強パターンは、前記キャビティの縁に沿って連続的につながって前記キャビティを囲むように構成され得る。
前記キャビティは、4つの辺を含み、前記第1補強パターンは、前記4つの辺にそれぞれ配置される補強パッドを含み得る。
【0010】
上記目的を達成するためになされた本発明の一態様による電子素子パッケージは、互いに対向する第1面と第2面を有し、前記第1面と前記第2面との間に配置された絶縁層を含み、前記第1面に垂直な方向に貫通したキャビティを有する基板と、前記第1面で前記絶縁層に埋込まれて信号伝達が可能に構成された第1配線パターンと、前記第1面で前記絶縁層に埋め込まれ、前記キャビティの周りに前記キャビティの縁から離隔して配置され、前記第1配線パターンから分離されて構成された第1補強パターンと、前記キャビティ内に収容された電子素子と、前記基板の前記第1面側に配置され、前記電子素子が接続される再配線層と、を含む。
【0011】
前記基板の前記第1面と前記再配線層との間で前記第1補強パターンを覆うように配置された絶縁保護層をさらに含み得る。
前記第1補強パターンは電気的に孤立し得る。
前記第1補強パターンは、前記キャビティ内に露出しないように前記絶縁層で覆われてもよい。
前記第1配線パターンは、前記キャビティから遠くなる方向に前記第1補強パターンから離隔し得る。
【発明の効果】
【0012】
本発明による回路基板によれば、PLP(Panel level package)工程進行時キャビティの縁のレジン領域のクラック発生抑制により、パッケージング収率を確保することができる。
また、PLP工程の感光性絶縁材(Photo-imageable Dielectric、PID)塗布時の塗布不良を改善することができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【
図1】一実施例による回路基板に電子素子が実装された状態を示す電子素子パッケージを示した断面図である。
【
図2】一実施例による回路基板を製造する方法を示した工程断面図である。
【
図3】一実施例による回路基板を製造する方法を示した工程断面図である。
【
図4】一実施例による回路基板を製造する方法を示した工程断面図である。
【
図5】一実施例による回路基板を製造する方法を示した工程断面図である。
【
図6】一実施例による回路基板を製造する方法を示した工程断面図である。
【
図7】一実施例による回路基板を製造する方法を示した工程断面図である。
【
図8】一実施例による回路基板を製造する方法を示した工程断面図である。
【
図9】一実施例による回路基板を製造する方法を示した工程断面図である。
【
図10】一実施例による回路基板を製造する方法を示した工程断面図である。
【
図11】一実施例による回路基板を製造する方法を示した工程断面図である。
【
図12】一実施例による回路基板を製造する方法を示した工程断面図である。
【
図13】一実施例による回路基板を製造する方法を示した工程断面図である。
【
図14】一実施例による回路基板を製造する方法を示した工程断面図である。
【
図16】他の実施例による回路基板の底面図である。
【
図17】他の実施例による回路基板の底面図である。
【
図18】他の実施例による回路基板の底面図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、図面を参照して、本発明が属する技術分野において通常の知識を有する者が容易に実施できるように本発明の実施例を詳しく説明する。図面で本発明を明確に説明するために、説明上不要な部分は省略し、明細書全体を通じて同じまたは類似の構成要素については同じ参照符号を付けた。また、図面において、一部の構成要素は誇張されたり省略されたりまたは概略的に示されており、各構成要素の大きさは、実際の大きさを完全に反映するものではない。
【0015】
図面は、本明細書に開示された実施例を容易に理解できるようにするためのものであり、図面によって本明細書に開示された技術的な思想が限定されるものではなく、本発明の思想および技術範囲に含まれる全ての変更、均等物乃至代替物を含むものと理解されるべきである。
【0016】
第1、第2などのように序数を含む用語は、様々な構成要素を説明するために使用するが、構成要素は、上記用語によって限定されない。上記用語は、1つの構成要素を他の構成要素から区別する目的にだけ使用される。
【0017】
また、層、膜、領域、板などの部分が他の部分「の上に」または「上に」あるということは、これは他の部分の「直上に」ある場合だけでなく、その中間にさらに他の部分がある場合も含む。逆に、ある部分が他の部分の「直上に」あるというときは、中間に他の部分がないことを意味する。また、基準となる部分「の上に」または「上に」あるというのは、基準となる部分の上または下に位置することであり、必ずしも重力反対方向に向かって「の上に」または「上に」位置することを意味するものではない。
【0018】
明細書全体において、「含む」または「有する」などの用語は、明細書上に記載された特徴、数字、ステップ、動作、構成要素、部品、またはこれらを組み合わせが存在することを指定しようとするものであって、1つまたはそれ以上の他の特徴や数字、ステップ、動作、構成要素、部品、またはこれらを組み合わせの存在または付加の可能性を予め排除しないものと理解されるべきである。したがって、ある部分がある構成要素を「含む」というとき、これは特に反対の記載がない限り、他の構成要素を除くのではなく、他の構成要素をさらに含むことができることを意味する。
【0019】
また、明細書全体において、「平面上」というとき、これは対象の部分を上から見たときを意味し、「断面上」というとき、これは対象の部分を垂直に切断した断面を横から見たときを意味する。
【0020】
また、明細書全体において、「接続される」というとき、これは2つ以上の構成要素が直接的に接続されることだけを意味するのではなく、2つ以上の構成要素が他の構成要素を介して間接的に接続されること、物理的に接続されることだけでなく、電気的に接続されること、または位置や機能に応じて異なる名称で呼ばれているが、一体であることを意味する。
【0021】
図1は、一実施例による回路基板に電子素子が実装された状態を示す電子素子パッケージを示した断面図である。
【0022】
図1を参照すると、電子素子パッケージ100は、本実施例による回路基板101に電子素子70が実装されて構成される。電子素子70は、能動素子、受動素子、集積回路(IC)など様々な素子を含み、例えば、半導体チップであってもよい。回路基板101は、半導体パッケージ用に使用され、プリント回路基板(Printed Circuit Board)として構成される。
【0023】
回路基板101は、互いに対向する第1面110aと第2面110bを有し、絶縁層112を含む基板110と、この基板110の内部または表面に配置された配線パターン121、122を含む。基板110は、第1面110aに垂直方向に貫通したキャビティ119を有する。キャビティ119の周りの絶縁層112の内部または表面に補強パターン131、132が配置される。
【0024】
配線パターン121、122は、第1面110aで絶縁層112に埋め込まれる第1配線パターン121と、第2面110bで絶縁層112の上に配置される第2配線パターン122を含む。第1配線パターン121と第2配線パターン122は、それぞれ信号伝達が可能に構成される。このような第1配線パターン121と第2配線パターン122は、絶縁層112に埋込まれたビア124を介して互いに接続される。
【0025】
補強パターン131、132は、第1面110aで絶縁層112に埋め込まれる第1補強パターン131を含む。第1補強パターン131は、キャビティ119の周りにキャビティ119の縁(edge)から離隔して配置され、第1配線パターン121から分離されて構成される。すなわち、第1補強パターン131は、信号伝達に活用されないように物理的または電気的に孤立したパターンで構成されるか、接地パターンに接続される。第1補強パターン131は、金属を含み、具体的には銅(Cu)を含む。
【0026】
第1面110aに平行な方向を基準にするとき、第1補強パターン131は、キャビティ119内に露出しないように絶縁層112で覆われている。第1面110aに垂直な方向に測定された高さにおいて、第1補強パターン131は、第1配線パターン121と同じ高さを有する。ここで「同じ高さ」とは、該当する技術分野において同じレベルと評価される高さのことであり、製造工程や測定方法の限界および/または誤差などによって高さが異なる場合も含む。第1配線パターン121は、キャビティ119から遠くなる方向に第1補強パターン131から離隔して配置される。
【0027】
補強パターン131、132は、第2面110bで絶縁層112の上に配置される第2補強パターン132を含む。第2補強パターン132は、キャビティ119の周りにキャビティ119の縁から離隔して配置され、第2配線パターン122から分離されて構成される。すなわち、第2補強パターン132は、信号伝達に活用されないように物理的または電気的に孤立したパターンで構成される。第2補強パターン132は、金属を含み、具体的には銅(Cu)を含む。
【0028】
第2補強パターン132は、第2配線パターン122と同じ高さを有するように第2面110bの上に突出する。ここで「同じ高さ」とは、該当する技術分野において同じレベルと評価される高さのことであり、製造工程や測定方法の限界および/または誤差などによって高さが異なる場合も含む。第2配線パターン122は、キャビティ119から遠くなる方向に第2補強パターン132から離隔して配置される。第2補強パターン132は、第1面110aに垂直な方向に沿って少なくとも一部分が第1補強パターン131と重なるように配置される。
【0029】
絶縁性樹脂を含む基板110に、上記のようにキャビティ119の周囲に金属の補強パターン131、132を備えることによって、PLP(Panel level package)工程進行時にキャビティ119の縁のレジン領域のクラック発生を抑制することができる。
【0030】
電子素子パッケージ100は、ファン-アウト半導体パッケージであってもよく、回路基板101のキャビティ119内に電子素子70の接続端が、基板110の第1面110a側に位置するように配置される。基板110の第1面110a側には、再配線層150の一面が配置されて電子素子70が接続され、回路基板101の第1配線パターン121も再配線層150に接続される。再配線層150の他の一面には、接続パッド151が配置され、この接続パッド151に接続端子154が接続される。
【0031】
電子素子70の少なくとも一部と基板110の第2面110bは、密封材92で覆われる。密封材92は、第2面110bに配置された第2補強パターン132を覆い、第2配線パターン122の少なくとも一部を覆う。第2面110bの上に配置された第2配線パターン122は、密封材92から一部露出されて接続パッドとして機能する。
【0032】
基板110の第1面110aと再配線層150との間には、絶縁保護層141が配置される。絶縁保護層141は、電子素子70と再配線層150との間で接続部を保護するように満たされるアンダーフィル(underfill)樹脂であってもよい。絶縁保護層141は、基板110と再配線層150との間に感光性絶縁(Photo Imageable Dielectric、PID)樹脂が配置されて構成される。回路基板101の第1面110aには、キャビティ119の縁の周りに金属の第1補強パターン131が備えられることにより、PLP工程の感光性絶縁樹脂塗布時の塗布不良を改善することができる。
【0033】
図2~
図14は、一実施例による回路基板を製造する方法を示した工程断面図である。
【0034】
図2~
図5を参照すると、少なくとも一面に第1シード層81が配置されたキャリア基板60を準備し、回路形成工程を通じて第1シード層81に第1配線パターン層121Aと第1補強パターン層131Aを形成する。キャリア基板60は、絶縁材61の両面に銅箔層62が積層されている基板であり、第1シード層81と銅箔層62は、互いに分離される(
図2参照)。キャリア基板60上に、第1配線パターン層121Aと第1補強パターン層131Aが形成される部分だけが露光および現像により除去されたメッキレジストパターン83を形成する(
図3参照)。第1配線パターン層121Aと第1補強パターン層131Aは、パターニングされたメッキレジストパターン83の開口を通して露出された第1シード層81の部分に導電性金属がメッキされて形成される(
図4参照)。第1配線パターン層121Aと第1補強パターン層131Aの形成後、メッキレジストパターンは除去される(
図5参照)。
【0035】
第1シード層81は、回路基板分野で回路用導電性金属として使用されるものであれば制限なしに適用可能であり、銅(Cu)を使用するのが一般的である。第1配線パターン層121Aと第1補強パターン層131Aは、キャリア基板60の第1シード層81に接続され、第1シード層81と同じ種類の金属を含む。例えば、第1シード層81と第1配線パターン層121Aおよび第1補強パターン層131Aは、銅(Cu)を含む。
【0036】
本実施例では、キャリア基板60の両面上に第1配線パターン層121Aと第1補強パターン層131Aを形成することを示したが、キャリア基板60の一面上にだけ第1配線パターン層121Aと第1補強パターン層131Aを形成することも可能であり、これも本発明の範囲に属する。
【0037】
図6を参照すると、第1配線パターン層121Aと第1補強パターン層131Aが埋込まれるように絶縁層112を積層して、絶縁層112の上部面に第2シード層85を形成する。第2シード層85は、第2配線パターン層122Aと第2補強パターン層132Aを形成するために形成され、導電性金属であれば制限なしに使用可能であるが、銅を使用することが一般的である。
【0038】
絶縁層112は、樹脂絶縁層を含む。絶縁層112は、エポキシ樹脂のような熱硬化性樹脂、ポリイミドのような熱可塑性樹脂、またはこれらにガラス繊維または無機フィラーのような補強材が含浸された樹脂、例えば、プレプレグが使用され、また絶縁層112は、熱硬化性樹脂および/または光硬化性樹脂などを含むことができるが、これに限定されない。
【0039】
図7~
図10を参照すると、絶縁層112の上に回路形成工程により、第2配線パターン層122Aと第2補強パターン層132Aを形成する。第2配線パターン層122Aと第2補強パターン層132Aは、第1配線パターン層121Aと第1補強パターン層131Aを形成する方法と類似した方法で形成する。この時、第1配線パターン層121Aと第2配線パターン層122Aを互いに接続するビア124を形成するために、絶縁層112を部分的にエッチングし、第1配線パターン層121Aの一部を露出させ(
図7参照)、このように露出した第1配線パターン層121Aの部分の上にメッキ工程を行う。
【0040】
第2シード層85上に第2配線パターン層122Aと第2補強パターン層132Aが形成される部分にだけ露光および現像によって除去されたメッキレジストパターン87を形成する(
図8参照)。第2配線パターン層122Aと第2補強パターン層132Aは、パターニングされたメッキレジストパターン87の開口を通して露出した第2シード層85の部分に導電性金属がメッキされて形成される(
図9参照)。第2配線パターン層122Aと第2補強パターン層132Aの形成後、メッキレジストパターン87は除去される(
図10参照)。これにより、キャリア基板60の両側に埋め込みパターン(Embedded Pattern)基板部を完成する。
【0041】
図示した実施例によれば、それぞれの埋め込みパターン基板部は、1つの絶縁層112とその両面に配置された金属層の第1配線パターン層121Aおよび第2配線パターン層122Aを含むものとして図示したが、これに限定されず、より多くの数のビルドアップ(build-up)絶縁層と、より多くのビルドアップ配線パターン層を含むことができ、これも本発明の範囲に属するものである。
【0042】
図11を参照すると、第1シード層81とキャリア基板60を分離して、埋め込みパターン基板を準備する。キャリア基板60の両面上に形成された第1シード層81を銅箔層62から分離して一対の埋め込みパターン基板を得ることができ、一対の埋め込みパターン基板のそれぞれに対して個別に工程が適用される。
【0043】
図12を参照すると、
図11で得られた埋め込みパターン基板をソフトエッチングして第1シード層81と第2シード層85を除去する。第1シード層81と第2シード層85を除去したら、絶縁層112に埋込まれた第1配線パターン層121Aと第1補強パターン層131Aは、それぞれ第1配線パターン121と第1補強パターン131を形成し、絶縁層112の一面上に配置された第2配線パターン層122Aと第2補強パターン層132Aは、それぞれ第2配線パターン122と第2補強パターン132を形成する。
【0044】
図13および
図14を参照すると、
図12から得られた埋め込みパターン基板の中央をエッチングしてキャビティ119を形成する。キャビティ加工は、既知の様々な工程から選択して使用することができ、例えばレーザードリリング、機械的ドリリング、ルーター工程およびエッチングなどを活用することができる。キャビティ119内には電子素子70が受容される(
図14参照)。
【0045】
図15は、一実施例による回路基板の底面図である。
図15は、回路基板の埋め込みパターンが形成された第1面を示したものである。
【0046】
図15を参照すると、本実施例による回路基板102は、基板110の第1面110aで絶縁層112に埋込まれた第1補強パターン1312を含む。第1補強パターン1312は、キャビティ119の縁に沿って互いに離隔して配置された複数の補強パッドを含む。
【0047】
回路基板102の第1面110aには、接地パターン138が配置され、接地パターン138は、キャビティ119を囲む形状を有する。この時、第1補強パターン1312の複数の補強パッドは、接地パターン138に接続される。すなわち、第1補強パターン1312は、キャビティ119を囲んだ接地パターン138の縁からキャビティ119に向かって第1面110aに平行な方向に突出した形状で構成される。
【0048】
【0049】
図16を参照すると、本実施例による回路基板103で第1面110aに埋込まれた第1補強パターン1313は、キャビティ119の縁に沿って互いに離隔して配置された複数の補強パッドを含む。この時、第1補強パターン131の複数の補強パッドは、キャビティ119を囲む接地パターン138から離隔してそれぞれ孤立した形状を有する。
【0050】
図17を参照すると、本実施例による回路基板104で第1面110aに埋込まれた第1補強パターン1314は、4つの辺を含むキャビティ119の縁に沿って4つの辺にそれぞれ配置される補強パッドを含む。この時、第1補強パターン1314の複数の補強パッドは、キャビティ119を囲む接地パターン138から離隔してそれぞれ孤立した形状を有する。
【0051】
図18を参照すると、本実施例による回路基板105で第1面110aに埋込まれた第1補強パターン1315は、キャビティ119の縁に沿って連続的につながってキャビティ119を囲むように構成される。この時、第1補強パターン1315は、キャビティ119を囲む接地パターン138から離隔して孤立した形状を有する。
【0052】
以上、本発明の好ましい実施例について説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、発明の説明および図面の範囲内で多様に変形して実施することが可能であり、これも本発明の範囲に属することは当然である。
【符号の説明】
【0053】
70 電子素子
92 密封材
100 電子素子パッケージ
101 回路基板
112 絶縁層
119 キャビティ
121、122 第1、第2配線パターン
124 ビア
131、132 第1、第2補強パターン
138 接地パターン
141 絶縁保護層
150 再配線層
151 接続パッド
154 接続端子