(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2025006387
(43)【公開日】2025-01-17
(54)【発明の名称】指示情報出力装置、指示情報出力方法及び指示情報出力プログラム
(51)【国際特許分類】
H04N 23/60 20230101AFI20250109BHJP
H04N 7/18 20060101ALI20250109BHJP
【FI】
H04N23/60 100
H04N7/18 D
H04N7/18 E
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023107149
(22)【出願日】2023-06-29
(71)【出願人】
【識別番号】304014143
【氏名又は名称】サクサ株式会社
(71)【出願人】
【識別番号】591207574
【氏名又は名称】サクサシステムエンジニアリング株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100091546
【弁理士】
【氏名又は名称】佐藤 正美
(74)【代理人】
【識別番号】100206379
【弁理士】
【氏名又は名称】丸山 正
(72)【発明者】
【氏名】伊橋 真吾
(72)【発明者】
【氏名】鈴木 政寿
(72)【発明者】
【氏名】齋藤 舞花
(72)【発明者】
【氏名】長沢 湖樹
【テーマコード(参考)】
5C054
5C122
【Fターム(参考)】
5C054CA04
5C054CC02
5C054CF06
5C054CG02
5C054DA09
5C054EA01
5C054EA03
5C054EA05
5C054EA07
5C054FD07
5C054FF02
5C054GB01
5C054HA19
5C122DA11
5C122EA55
5C122FA01
5C122FA18
5C122FH11
5C122FJ03
5C122FJ11
5C122FK23
5C122FK34
5C122GC14
5C122GC52
5C122GD01
5C122GE04
5C122HB01
5C122HB06
(57)【要約】
【課題】 複数台の監視カメラ(撮像装置)を設置する場合であっても、手間や時間がかかることなく、1人の工事担当者で各監視カメラの撮像方向の調整を行えるようにする。
【解決手段】最大撮像範囲特定部312が、各撮像装置の最大撮像範囲を特定する。接続部分特定部314が、撮像方向調整済みの撮像装置からの撮像画像と、ターゲットの撮像装置の最大撮像範囲とから接続部分を特定する。位置関係特定部316が、ターゲットの撮像装置の撮像画像と、ターゲットの撮像装置の最大撮像範囲とから、接続部分特定部314で特定した接続部分を構成するための当該ターゲットの撮像装置の撮像画像についての位置関係を特定する。位置関係特定部316により特定された位置関係に基づいて、指示情報形成部317が指示情報を形成し、これを指示情報出力部318が出力する。
【選択図】
図5
【特許請求の範囲】
【請求項1】
連続する監視領域の異なる部分を撮像するように設置された複数の撮像装置の撮像方向を調整するための指示情報を出力する指示情報出力装置であって、
複数の前記撮像装置のそれぞれからの、所定の複数の方向ごとに調整可能な最大の角度まで撮像方向を変えた場合の撮像画像を取得する第1の画像取得手段と、
前記第1の画像取得手段を通じて複数の前記撮像装置から取得した撮像画像に基づいて、複数の前記撮像装置ごとに最大撮像範囲を特定する最大撮像範囲特定手段と、
複数の前記撮像装置の内の1の撮像装置から撮像画像を取得する第2の画像取得手段と、
前記第2の画像取得手段を通じて取得した前記撮像画像と、前記1の撮像装置に対して隣り合う他の撮像装置の前記最大撮像範囲とから、前記最大撮像範囲内においての前記1の撮像装置からの撮像画像に対する、前記他の撮像装置の撮像画像の接続部分を特定する接続部分特定手段と、
前記他の撮像装置からの撮像画像を取得する第3の画像取得手段と、
前記第3の画像取得手段を通じて取得した前記撮像画像と、前記他の撮像装置の前記最大撮像範囲とに基づいて、前記接続部分特定手段で特定された前記接続部分を構成するための前記他の撮像装置からの前記撮像画像についての位置関係を特定する位置関係特定手段と、
前記位置関係特定手段により特定された前記位置関係に基づいて、前記他の撮像装置の撮像方向を調整するための指示情報を形成する指示情報形成手段と、
前記指示情報形成手段で形成された前記指示情報を出力する指示情報出力手段と
を備えることを特徴とする指示情報出力装置。
【請求項2】
請求項1に記載の指示情報形成手段で形成される前記指示情報は、少なくとも、前記他の撮像装置の撮像画像の基準となる端部部分の前記接続部分に対する距離に応じた情報を含む、音情報と表示情報との一方あるいは両方である
ことを特徴とする指示情報出力装置。
【請求項3】
請求項1に記載の指示情報出力装置であって、
前記第3の画像取得手段で取得された前記撮像画像が、前記位置関係特定手段で特定された前記位置関係に至ったか否かを判別する判別手段を備え、
前記判別手段において、前記第3の画像取得手段で取得された前記撮像画像が、前記位置関係特定手段で特定された前記位置関係に至ったと判別されるまで、前記第3の画像取得手段と、前記位置関係特定手段と、前記指示情報形成手段と、前記指示情報出力手段との処理が繰り返される
ことを特徴とする指示情報出力装置。
【請求項4】
請求項1に記載の指示情報出力装置であって、
前記接続部分特定手段で特定される前記接続部分は、連続する前記監視領域において、所定の被写体を所定の速度で前記複数の撮像装置の配列方向に移動させた場合に、前記被写体の全体を含む画像重複部分、前記被写体の半分を含む画像重複部分、撮像画像の重なりなしのいずれかを選択可能にする選択手段
を備えることを特徴とする指示情報出力装置。
【請求項5】
連続する監視領域の異なる部分を撮像するように設置された複数の撮像装置の撮像方向を調整するための指示情報を出力する装置で用いられる指示情報出力方法であって、
第1の画像取得手段が、複数の前記撮像装置のそれぞれからの、所定の複数の方向ごとに調整可能な最大の角度まで撮像方向を変えた場合の撮像画像を取得する第1の画像取得工程と、
前記第1の画像取得工程を通じて複数の前記撮像装置から取得した撮像画像に基づいて、最大撮像範囲特定手段が、複数の前記撮像装置ごとに最大撮像範囲を特定する最大撮像範囲特定工程と、
第2の画像取得手段が、複数の前記撮像装置の内の1の撮像装置から撮像画像を取得する第2の画像取得工程と、
前記第2の画像取得手段を通じて取得した前記撮像画像と、前記1の撮像装置に対して隣り合う他の撮像装置の前記最大撮像範囲とから、接続部分特定手段が、前記最大撮像範囲内においての前記1の撮像装置からの撮像画像に対する、前記他の撮像装置の撮像画像の接続部分を特定する接続部分特定工程と、
第3の画像取得手段が、前記他の撮像装置からの撮像画像を取得する第3の画像取得工程と、
前記第3の画像取得手段を通じて取得した前記撮像画像と、前記他の撮像装置の前記最大撮像範囲とに基づいて、位置関係特定手段が、前記接続部分特定工程で特定した前記接続部分を構成するための前記他の撮像装置からの前記撮像画像についての位置関係を特定する位置関係特定工程と、
前記位置関係特定工程において特定した前記位置関係に基づいて、指示情報形成手段が、前記他の撮像装置の撮像方向を調整するための指示情報を形成する指示情報形成工程と、
指示情報出力手段が、前記指示情報形成工程で形成した前記指示情報を出力する指示情報出力工程と
を有することを特徴とする指示情報出力方法。
【請求項6】
連続する監視領域の異なる部分を撮像するように設置された複数の撮像装置の撮像方向を調整するための指示情報を出力するコンピュータで実行される指示情報出力プログラムであって、
複数の前記撮像装置のそれぞれからの、所定の複数の方向ごとに調整可能な最大の角度まで撮像方向を変えた場合の撮像画像を取得する第1の画像取得ステップと、
前記第1の画像取得ステップで複数の前記撮像装置から取得した撮像画像に基づいて、複数の前記撮像装置ごとに最大撮像範囲を特定する最大撮像範囲特定ステップと、
複数の前記撮像装置の内の1の撮像装置から撮像画像を取得する第2の画像取得ステップと、
前記第2の画像取得ステップで取得した前記撮像画像と、前記1の撮像装置に対して隣り合う他の撮像装置の前記最大撮像範囲とから、前記最大撮像範囲内においての前記1の撮像装置からの撮像画像に対する、前記他の撮像装置の撮像画像の接続部分を特定する接続部分特定ステップと、
前記他の撮像装置からの撮像画像を取得する第3の画像取得ステップと、
前記第3の画像取得ステップで取得した前記撮像画像と、前記他の撮像装置の前記最大撮像範囲とに基づいて、前記接続部分特定ステップで特定した前記接続部分を構成するための前記他の撮像装置からの前記撮像画像についての位置関係を特定する位置関係特定ステップと、
前記位置関係特定ステップで特定した前記位置関係に基づいて、前記他の撮像装置の撮像方向を調整するための指示情報を形成する指示情報形成ステップでと、
前記指示情報形成ステップで形成した前記指示情報を出力する指示情報出力ステップと
を実行することを特徴とする指示情報出力プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、例えば、連続する監視エリアを撮像する監視カメラである複数の撮像装置の撮像方向(撮像装置の向き)を調整するための指示情報を出力する装置、方法、プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
監視カメラを設置する場合、監視したい対象物が含まれる撮像画像が出力されるように、監視カメラの撮像方向(監視カメラの向き)が調整され、目的とする撮像範囲の画像が撮像できるようにされる。一般には、監視カメラにより撮像された画像を視認しながら監視カメラを動かす向きを指示する人と、監視カメラの向きを変える人との2名で撮像方向の調整が行われる。このため、1名の工事担当者によって、撮像方向の調整を行えるようにすることが求められていた。このような要求に応えるため、後に記す特許文献1には、情報出力装置等に関する発明が開示されている。
【0003】
特許文献1に開示された発明は、簡単に説明すると、監視カメラで撮像した撮像画像を情報出力装置に提供すると共に、携帯端末を通じて撮像画像における中心位置となるべき目的部分を指定する。情報出力装置は、監視カメラで撮像した撮像画像の中心位置に指定された目的部分が位置するように監視カメラの向き指示する音情報を形成して、携帯端末に提供する。これにより、1人の工事担当者が、自身が所持する携帯端末から放音される音情報をたより、監視カメラの撮像方向の調整を行うことができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、撮像対象を追尾する目的などにより、監視エリアが広範囲となる場合には、複数の監視カメラを設置する必要がある。このような場合でも、特許文献1に開示された発明を用いて、監視カメラごとに中心位置を指定して撮像範囲を調整することは可能である。しかしながら、各監視カメラは単独で機能し、監視カメラ間で撮像画像が連携しているわけではないので、死角が発生したり、隣り合う監視カメラの撮像画像同士で重なり合う部分が大きくなったりする場合がある。
【0006】
このため、1台目の監視カメラについては、特許文献1に開示された発明を用いて撮像範囲の調整を行うことができるが、2台目以降の監視カメラについては、実際に撮像画像を確認しながら撮像範囲の調整を行わなければならない。この場合、2台目以降の監視カメラについては、従来通り2人の工事担当者で撮像範囲の調整を行わなければならなくなる。また、工事担当者の感覚に頼って撮像範囲の調整を行わなければならず、手間や時間がかかる場合もある。
【0007】
以上のことに鑑み、この発明は、複数台の監視カメラ(撮像装置)を設置する場合であっても、手間や時間がかかることなく、1人の工事担当者で各監視カメラの撮像方向の調整を行えるようにすることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決するため、請求項1に記載の発明の指示情報出力装置は、
連続する監視領域の異なる部分を撮像するように設置された複数の撮像装置の撮像方向を調整するための指示情報を出力する指示情報出力装置であって、
複数の前記撮像装置のそれぞれからの、所定の複数の方向ごとに調整可能な最大の角度まで撮像方向を変えた場合の撮像画像を取得する第1の画像取得手段と、
前記第1の画像取得手段を通じて複数の前記撮像装置から取得した撮像画像に基づいて、複数の前記撮像装置ごとに最大撮像範囲を特定する最大撮像範囲特定手段と、
複数の前記撮像装置の内の1の撮像装置から撮像画像を取得する第2の画像取得手段と、
前記第2の画像取得手段を通じて取得した前記撮像画像と、前記1の撮像装置に対して隣り合う他の撮像装置の前記最大撮像範囲とから、前記最大撮像範囲内においての前記1の撮像装置からの撮像画像に対する、前記他の撮像装置の撮像画像の接続部分を特定する接続部分特定手段と、
前記他の撮像装置からの撮像画像を取得する第3の画像取得手段と、
前記第3の画像取得手段を通じて取得した前記撮像画像と、前記他の撮像装置の前記最大撮像範囲とに基づいて、前記接続部分特定手段で特定された前記接続部分を構成するための前記他の撮像装置からの前記撮像画像についての位置関係を特定する位置関係特定手段と、
前記位置関係特定手段により特定された前記位置関係に基づいて、前記他の撮像装置の撮像の撮像方向を調整するための指示情報を形成する指示情報形成手段と、
前記指示情報形成手段で形成された前記指示情報を出力する指示情報出力手段と
を備えることを特徴とする。
【0009】
この請求項1に記載の発明の指示情報出力装置によれば、第1の画像取得手段と最大撮像範囲特定手段とが機能して、各撮像装置の最大撮像範囲が特定される。第2の画像取得手段と接続部分特定手段とが機能して、1の撮像装置からの撮像画像と、当該1の撮像装置に対して隣り合う撮像装置の最大撮像範囲とから接続部分が特定される。次に、第3の画像取得手段と位置関係特定手段とが機能する。この場合、当該隣り合う撮像装置の撮像画像と、当該隣り合う撮像装置の最大撮像範囲とから、接続部分特定手段で特定された接続部分を構成するための当該隣り合う撮像装置の撮像画像についての位置関係が特定される。位置関係特定手段により特定された位置関係に基づいて、指示情報形成手段により指示情報が形成され、これが指示情報出力手段により出力される。
【発明の効果】
【0010】
この発明によれば、複数台の撮像装置を設置する場合であっても、手間や時間をかけることなく、1人の工事担当者で各撮像装置の撮像方向の調整ができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図1】実施の形態の指示情報出力システムの構成例を説明するための図である。
【
図2】複数の撮像装置(監視カメラ)が設置される監視エリアの例と、撮像装置により撮像される撮像範囲の例について説明するための図である。
【
図3】実施の形態の撮像装置の構成例を説明するためのブロック図である。
【
図4】実施の形態の携帯通信端末の構成例を説明するためのブロック図である。
【
図5】実施の形態の指示情報出力装置の構成例を説明するためのブロック図である。
【
図6】撮像装置の最大撮像範囲について説明するための図である。
【
図7】最大撮像範囲の特定と、撮像方向の調整の仕方について説明するための図である。
【
図8】
図7に続く撮像方向の調整の仕方について説明するための図である。
【
図9】複数の撮像装置(監視カメラ)が設置される監視エリアの例と、撮撮像方向の調整後の像装置により撮像される撮像範囲の例について説明するための図である。
【
図10】撮像装置の撮像方向調整のための事前準備について説明するためのシーケンス図である。
【
図11】撮像装置の撮像方向の調整を行う場合の処理を説明するためのシーケンス図である。
【
図12】指示情報出力装置で行われる処理を説明するためのフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、図を参照しながら、この発明による装置、方法、プログラムの一実施の形態について説明する。以下に説明する実施の形態においては、比較的に広範囲に及ぶ連続した監視エリア(監視領域)を監視するために、3台の撮像装置を設置する場合を例にして説明する。なお、撮像装置の設置台数は一例であり、2台以上の場合には、この発明の装置、方法、プログラムを用いることができる。
【0013】
[指示情報出力システムの構成例]
図1は、実施の形態の指示情報出力システムの構成例を説明するための図である。また、
図2は、複数の撮像装置(監視カメラ)が設置される監視エリアの例と、撮像装置により撮像される撮像範囲の例について説明するための図である。
図1に示すように、この実施の形態の指示情報出力システムは、3台の撮像装置1(1)、1(2)、1(3)が、監視エリア(監視領域)Arに設置される。監視エリアArは、
図2(A)に示すように、比較的に広範囲に及ぶ連続した領域であり、監視エリアAr内が撮像装置1(1)、1(2)、1(3)によって撮像されて監視される。
【0014】
監視エリアArは、屋内である場合もあれば、屋外である場合もある。撮像装置1(1)、1(2)、1(3)は、監視エリアが屋内である場合には、建物の内壁面や天井などに、また、監視エリアが屋外である場合には、建物等の外壁面や屋外に設けられた支柱などに、それぞれが専用の取り付け具が用いられて取り付けられる。この場合、取り付けられた撮像装置1(1)、1(2)、1(3)については、上下左右に撮像方向(撮像装置の向き)の若干の調整が手動により可能になっている。
【0015】
携帯通信端末2は、撮像装置1(1)、1(2)、1(3)を監視エリアに設置する工事担当者が所持するスマートフォンやタブレットPC(Personal Computer)である。サーバ装置3は、指示情報出力装置としての機能を実現するものである。
図1において基地局BS5(1)は、携帯電話網の基地局やLAN(Local Area Network)のアクセスポイントに相当する。ネットワーク4は、広域ネットワークである場合と、ローカルネットワークである場合がある。
【0016】
広域ネットワークである場合、ネットワーク4は、主にはインターネットであるが、撮像装置1(1)、1(2)、1(3)や携帯通信端末2やサーバ装置3が、インターネットに接続されるまでの経路である電話網、携帯電話網、LANといった接続経路を含む。ローカルネットワークである場合、ネットワーク4は、LANや、例えばBluetooth(登録商標)規格などの近距離無線通信規格に準拠して相互に通信が可能となる近距離通信ネットワークとなる。
【0017】
図2(B)は、
図2(A)において、監視エリアArを上から(矢印Upが示す上面側から)見た場合の各撮像装置1(1)、1(2)、1(3)により撮像される撮像画像P1、P2、P3の撮像範囲を示す図である。また、
図2(C)は、監視エリアArを横から(矢印Frが示す正面側、すなわち、撮像装置に対して対向する側から)見た場合の各撮像装置1(1)、1(2)、1(3)により撮像される撮像画像P1、P2、P3の撮像範囲を示す図である。
【0018】
監視エリアの広さ、監視カメラとして用いる撮像装置のズーム性能や画角範囲などは予め分かっている。このため、監視エリアの広さに応じて、何台の撮像装置が必要なのか、また、どの位の間隔で撮像装置を設置すればよいかも予め把握できる。この実施の形態では、監視エリアArの全体を監視するために、3台の撮像装置1(1)、1(2)、1(3)が必要で、各撮像装置間の間隔が最大でXメートルであることが把握できているとする。
【0019】
この場合に、監視エリアArに撮像装置1(1)、1(2)、1(3)を、各撮像装置間の間隔が最大でXメートル以内となるように設置するのであるが、その撮像方向を適切に定めることが難しい。この場合に、上述した特許文献1に開示された技術を用いて、撮像装置1(1)、1(2)、1(3)のそれぞれの撮像方向を調整する場合を考える。
【0020】
撮像装置1(1)、1(2)、1(3)のそれぞれは単独で機能し、監視カメラ間で撮像画像が連携しているわけではない。このため、
図2(B)、(C)に示したように、撮像装置1(1)の撮像画像P1と、撮像装置1(2)の撮像画像P2との間に死角が生じたり、撮像装置1(2)の撮像画像P2と、撮像装置1(3)の撮像画像P3とで大きな画像重複部分が生じたりする場合がある。なお、
図2(B)、(C)において、画像重複部分は、斜線を付して示した部分である。このような場合、各撮像装置からの撮像画像を監視して、撮像装置の撮像方向の調整指示を出す工事担当者と、当該指示に応じて撮像装置の撮像方向を調整する工事担当者との2人が協働して撮像方向の調整作業を行わなければならなくなってしまう。
【0021】
そこで、この実施の形態の指示情報出力システムにおいては、
図1に示すように、サーバ装置3は、撮像装置1(1)、1(2)、1(3)から撮像画像を取得し、撮像可能領域を把握し、携帯通信端末2からの範囲指定に応じて撮像範囲(監視範囲)を特定する。更に、サーバ装置3は、撮像画像の接続部分を特定し、この接続部分に対する撮像方向の調整対象(ターゲット)の撮像装置からの撮像画像の位置関係を把握し、これらの情報を用いて指示情報を形成する。
【0022】
当該指示情報は、ターゲットとする撮像装置の撮像方向を調整するための指示情報であり、携帯通信端末2を通じて出力される音情報や表示情報である。これにより、工事担当者は、自己が所持する携帯通信端末2から放音される音情報や携帯通信端末2の表示部に表示される表示情報に応じて、ターゲットとする撮像装置の撮像方向を調整する作業を行うことができる。すなわち、携帯通信端末2とサーバ装置3とが協働して、従来、撮像画像を見ながら撮像装置の撮像方向の調整指示を出していた工事担当者の働きをするようにしている。
【0023】
以下に、この実施の形態の指示情報出力システムを構成する各装置の構成例と動作について説明する。なお、撮像装置1(1)、1(2)、1(3)のそれぞれは、基本的には同様の構成を有するものであるので、特に区別して示す必要がある場合を除き、撮像装置1と総称することとする。また、以下においては、説明を簡単にするため、ネットワーク4は広域ネットワーク(主にインターネット)であるものとして説明する。
【0024】
また、以下においては、撮像装置1(1)の撮像方向は、上述した特許文献1(特許第6819403号公報)に開示された発明を用いることによって、既に調整済みであるものとする。このための、この実施の形態の指示情報出力システムにおいては、撮像装置1(2)と撮像装置1(3)の撮像方向の調整を実現するものである。
【0025】
[撮像装置1の構成例]
図3は、実施の形態の撮像装置1の構成例を説明するためのブロック図である。撮像部101は、撮像レンズなどからなる光学系部分と、撮像レンズを通じて入射した光を受光部で受光して電気信号に変換する撮像素子とを備え、被写体の画像を電気信号として取り込むことにより撮像画像を形成する部分である。制御部102は、CPU(Central Processing Unit)、ROM(Read Only Memory)、RAM(Random Access Memory)、不揮発性メモリなどを備えて構成されたマイクロプロセッサであり、撮像装置1の各部を制御する機能を実現する。
【0026】
なお、制御部102のROMには、CPUで実行されるプログラムや処理に必要になるデータが記憶されている。また、制御部102のRAMは、主に作業領域として用いられる。また、制御部102の不揮発性メモリには、後からネットワーク4を通じて提供されたアップグレード用のプログラムや電源が落とされても保持しておく必要のある重要度の高いデータなどが記憶される。
【0027】
記憶部103は、例えば比較的に容量の大きな半導体メモリとそのドライバとからなる装置部であり、撮像部101を通じて撮像された撮像画像を記憶保持する他、種々の処理において途中結果を記憶する作業領域としても用いられる。操作部104は、例えば、ズームの設定ボタン、画角の調整ボタン、シャッタボタンといった工事担当者によって操作されるいくつかの操作ボタンを備えて構成された部分である。
【0028】
通信部105及び通信アンテナ105Aは、ネットワーク4を通じた通信を可能にする通信インターフェースである。従って、撮像装置1で撮像された撮像画像を、サーバ装置3に送信する場合には、通信部105において送信用のデータに変換され、通信アンテナ105Aを通じて送信される。また、例えば、サーバ装置3からの制御情報などは、通信アンテナ105Aで受信され、通信部105において自機において処理可能な形式のデータに変換されて取り込まれる。
【0029】
このような構成を備える撮像装置1は、監視カメラとしての機能を実現するものであり、所定の撮像レートで撮像画像を順次に生成する。生成された撮像画像は、記憶部103に記憶したり、通信部105及び通信アンテナ105Aを通じてサーバ装置3などの外部装置に提供して蓄積したりするなどのことができる。また、工事担当者による操作部104のシャッタ操作に応じて、撮像画像を生成し、サーバ装置3に提供することもできる。
【0030】
[携帯通信端末2の構成例]
図4は、実施の形態の携帯通信端末の構成例を説明するためのブロック図である。通信アンテナ201A及び通信部201は、ネットワーク4を通じた通信を可能にする通信インターフェースである。従って、携帯通信端末2から送信するデータは、通信部201において送信用のデータに変換され、通信アンテナ201Aを通じて送信される。また、例えば、サーバ装置3からのデータなどは、通信アンテナ201Aで受信され、通信部201において自機において処理可能な形式のデータに変換されて取り込まれる。
【0031】
制御部202は、CPU、ROM、RAM、不揮発性メモリなどを備えて構成されたマイクロプロセッサであり、携帯通信端末2の各部を制御する機能を実現する。なお、制御部202のROMには、CPUで実行されるプログラムや処理に必要になるデータが記憶されている。また、制御部202のRAMは、主に作業領域として用いられる。また、制御部202の不揮発性メモリには、後からネットワーク4を通じて提供されたアップグレード用のプログラムや電源が落とされても保持しておく必要のある重要度の高いデータなどが記憶される。
【0032】
記憶部203は、例えば比較的に容量の大きな半導体メモリとそのドライバとからなる装置部であり、種々のデータ等を記憶保持する他、種々の処理において途中結果を記憶する作業領域としても用いられる。操作部204は、例えば、電源ボタン、音量の調整ボタンなど、いくつかの操作ボタンを備えて構成される。また、例えば、LCD(Liquid Crystal Display)や有機EL(Electro Luminescence)ディスプレイなどの薄型の表示部(表示素子)205とタッチセンサ206とで構成されるタッチパネル207を備える。タッチパネル207は、情報の表示機能と情報の入力機能とを実現するユーザインターフェースである。
【0033】
音声出力部208とスピーカ209とは、音情報の出力機能を実現する。具体的に、制御部202からの出力対象のデジタル音声データは、音声出力部208に供給され、ここでアナログ音声信号に変換されてスピーカ209に供給される。これにより、出力対象のデジタル音声データに応じた音声がスピーカ209から放音される。なお、
図4に示した携帯通信端末2においては、通話機能部やGPS機能部といった、この実施の形態では用いられない機能部についての記載は省略している。
【0034】
このような構成の携帯通信端末2は、サーバ装置3に対して撮像する範囲の指示を送信したり、また、サーバ装置3からの撮像装置1の撮像方向の調整指示としての音情報や表示情報の提供を受けて、これを出力したりする機能を実現する。従って、撮像装置1を設置する工事担当者は、携帯通信端末2のスピーカ209から放音される音情報や表示部205に表示される表示情報をガイド情報(案内情報)として用いて、撮像装置1の撮像方向調整作業を行うことができる。
【0035】
[サーバ装置(指示情報出力装置)3の構成例]
図5は、実施の形態のサーバ装置(指示情報出力装置)3の構成例を説明するためのブロック図である。サーバ装置3は、例えばパーソナルコンピュータのようなコンピュータ装置(情報処理装置)として実現される。接続端301T及び通信部301は、ネットワーク4を通じた通信を可能にする通信インターフェースである。従って、サーバ装置3から送信するデータは、通信部301において送信用のデータに変換され、接続端301Tを通じて送信される。また、例えば、サーバ装置3からのデータなどは、接続端301Tを通じて受信され、通信部301において自機において処理可能な形式のデータに変換されて取り込まれる。
【0036】
制御部302は、CPU、ROM、RAM、不揮発性メモリなどを備えて構成されたマイクロプロセッサであり、サーバ装置3の各部を制御する機能を実現する。なお、制御部302のROMには、CPUで実行されるプログラムや処理に必要になるデータが記憶されている。また、制御部302のRAMは、主に作業領域として用いられる。また、制御部302の不揮発性メモリには、後からネットワーク4を通じて提供されたアップグレード用のプログラムや電源が落とされても保持しておく必要のある重要度の高いデータなどが記憶される。
【0037】
記憶部303は、例えばSSD(Solid State Drive)などの、大容量の記録媒体とそのドライバとからなる装置部であり、種々のデータ等を記憶保持する他、種々の処理において途中結果を記憶する作業領域としても用いられる。撮像画像保持部304は、記憶部303と同様に、例えばSSDなどの、大容量の記録媒体とそのドライバとからなる装置部であり、撮像装置1(1)、1(2)、1(3)からの撮像画像を記憶保持する機能を実現する。
【0038】
第1画像取得部311は、撮像装置1(1)、1(2)、1(3)のそれぞれからの、所定の複数の方向ごとに、調整可能な最大の角度まで撮像方向を変えた場合の撮像画像を取得する。
図6は、撮像装置の最大撮像範囲について説明するための図である。
図6(A)に示すように、上下左右に撮像方向の調整が可能な状態にある場合の撮像装置1からの撮像画像が撮像画像Pであり、この状態の撮像装置1が基準状態であるとする。
【0039】
図6(A)において、基準状態にある撮像装置1の撮像方向を上側方向に最大限向けて、更に左側方向に最大限向けた場合の撮像画像が撮像画像PULである。ここから撮像装置1を右側方向に最大限向けた場合の撮像画像が撮像画像PURである。ここから撮像装置を下側方向に最大限向けた場合の撮像画像が撮像画像PDRであり、ここから撮像装置1を左側方向に最大限向けた場合の撮像画像が撮像画像PDLである。
【0040】
従って、
図6(A)において、点線で示した撮像画像PUL、PUR、PDL、PDRを合わせた範囲が、最大撮像範囲となる。すなわち、この例の場合には、
図6(B)に示すように、基準状態にある撮像画像Pが、点Pa、Pb、Pc、Pdを頂点とする四角形の領域であるとすると、最大撮像範囲は、点a、b、c、dを頂点とする四角形の領域が最大撮像範囲Rとなる。このように、第1画像取得部311は、撮像装置1(1)、1(2)、1(3)のそれぞれから順次に提供される、所定の複数の方向ごとに、調整可能な最大の角度まで撮像方向を変えた場合の撮像画像を取得し、撮像画像保持部304にその位置関係を保持したまま記録する。
【0041】
最大撮像範囲特定部312は、第1画像取得部311を通じて撮像装置1(1)、1(2)、1(3)から取得し、撮像画像保持部304に保持した撮像画像に基づいて、撮像装置1(1)、1(2)、1(3)ごとに最大撮像範囲を特定する。
図7は、最大撮像範囲の特定と、撮像装置の撮像方向の調整の仕方について説明するための図である。また、
図8は、
図7に続く撮像装置の撮像方向の調整の仕方について説明するための図である。なお、
図7(A)においては、撮像装置1(1)、1(2)、1(3)の撮像画像P1、P2、P3、及び、最大撮像範囲R1、R2、R3は、その範囲を明確に示すため、図の上下方向に若干ずらすようにして示している。
【0042】
上述したように、第1画像取得部311により、撮像装置1(1)、1(2)、1(3)のそれぞれからの撮像画像PUL、PUR、PDL、PDRは、その位置関係を保持したまま撮像画像保持部304に記録されている。最大撮像範囲特定部312は、撮像装置1(1)、1(2)、1(3)のそれぞれからの撮像画像PUL、PUR、PDL、PDRに形成される最大撮像範囲の画像の重なり合う部分を結像させるようにして1枚のパノラマ画像を撮像画像保持部304に形成する。
【0043】
当該パノラマ画像は、
図7(A)において点線で示したように、撮像装置1(1)の最大撮像範囲R1の画像と、撮像装置1(2)の最大撮像範囲R2の画像と、撮像装置1(3)の最大撮像範囲R3の画像を結合したものとなる。また、
図7(A)に示すように、撮像装置1(1)の最大撮像範囲R1の画像には、最大撮像範囲を特定するための画像の撮像前の初期位置における撮像装置1(1)の撮像画像P1が含まれる。同様に、撮像装置1(2)の最大撮像範囲R2の画像には、最大撮像範囲を特定するための画像の撮像前の初期位置における撮像装置1(2)の撮像画像P2が含まれる。同様に、撮像装置1(3)の最大撮像範囲R3の画像には、最大撮像範囲を特定するための画像の撮像前の初期位置における撮像装置1(3)の撮像画像P3が含まれる。
【0044】
撮像装置1(1)、1(2)、1(3)の撮像画像のサイズは、採用されている規格に応じて、予め決まっている。例えば、フルHD規格であれば、1920画素×1080画素、HDV1080i規格であれば、1440画素×1080画素、HD70p規格であれば120画素×720画素である。このため、撮像装置1(1)、1(2)、1(3)の撮像画像のサイズと撮像画像P1、P2、P3の最大撮像範囲R1、R2、R3における位置に応じて、最大撮像範囲R1、R2、R3の四隅の座標位置も特定できる。
【0045】
図7(A)において、撮像装置1(1)の最大撮像範囲R1の四隅の座標は、点a1、b1、c1、d1であり、撮像装置1(2)の最大撮像範囲R2の四隅の座標は、点a2、b2、c2、d2であるというように特定できる。また、撮像装置1(3)の最大撮像範囲R3の四隅の座標は、点a3、b3、c3、d3であるというように特定できる。従って、この例の場合、撮像装置1(1)、1(2)、1(3)の3台の撮像装置による最大撮像範囲は、点a1、b3、c3、d1の4点を頂点とする四角形の範囲となる。
【0046】
このように、最大撮像範囲特定部312は、撮像装置1(1)、1(2)、1(3)の3台の撮像装置による最大撮像範囲の大きさを特定する。更に、最大撮像範囲特定部312は、この撮像装置1(1)、1(2)、1(3)の3台の撮像装置による最大撮像範囲における、撮像装置1(1)、1(2)、1(3)のそれぞれの最大撮像範囲R1、R2、R3の位置と大きさを特定する。
【0047】
また、この実施の形態において、
図7(A)に示したように撮像画像保持部304に形成される最大撮像範囲R1、R2、R3によるパノラマ画像は、通信部301及び接続端301Tを通じてネットワーク4に送出され、携帯通信端末2に提供される。携帯通信端末2では、当該パノラマ画像を表示部205に表示して、タッチパネル207を通じて、目的とする撮像範囲を指定し、この情報をサーバ装置3に返信する。これにより、
図7(A)において、点Ga、Gb、Gc、Gdが示すように、携帯通信端末2を所持する工事担当者が目的とする撮像範囲をサーバ装置3に対して指示し、これをサーバ装置3において把握することができる。
【0048】
第2画像取得部313は、最新の撮像に対して撮像方向の調整が終了し、撮像方向が確定した撮像装置1からの撮像画像を取得する。上述もしたように、この段階では、撮像装置1(1)の撮像方向が、特許文献1に開示の発明等が用いられて確定されている。このため、この場合、第2画像取得部313は、撮像装置1(1)からの撮像画像P1を取得し、
図7(A)に示したパノラマ画像内に配置するようにする。
【0049】
接続部分特定部314は、第2画像取得部313を通じて取得した撮像装置1(1)からの撮像画像P1と、撮像装置1(1)に対して隣り合う他の撮像装置である撮像装置1(2)の最大撮像範囲R2と用いて接続部分を特定する処理を行う。この場合の撮像装置1(2)が、撮像方向の調整対象(ターゲット)となるものである。接続部分特定部314は、
図7(B)に示すように、撮像装置1(1)からの撮像画像P1と、撮像装置1(2)の最大撮像範囲R2との位置関係から、最大撮像範囲R2内においての撮像画像P1に対する撮像装置1(2)の撮像画像P2の接続部分を特定する。
【0050】
接続部分特定部314は、撮像装置1(2)の最大撮像範囲R2内において、撮像装置1(1)からの撮像画像P1と撮像装置1(2)からの撮像画像P2とが重なり合うようにする場合の撮像画像P2の撮像画像P1側の端部位置を接続部分X1として特定する。当該接続部分X1は、撮像装置1(1)からの撮像画像P1と撮像装置1(2)からの撮像画像P2とが、所定程度重なり合うようにする位置である。当該所定程度は、例えば、撮像画像の横幅の10パーセント程度などのように具体的に決められる。また、重なり合うことなく、撮像画像P1の右端部と撮像画像P2の左端部とがぴったりと接続するようにすることもできる。
【0051】
第3画像取得部315は、撮像方向の調整対象の撮像装置、この場合には撮像装置1(2)からの撮像画像P2を取得し、
図7(A)に示したパノラマ画像内に配置するようにする。位置関係特定部316は、第3画像取得部315を通じて取得した撮像画像P2と、撮像装置1(2)の最大撮像範囲R2とに基づいて、接続部分特定部314で特定された接続部分X1を構成するための撮像画像P2についての位置関係を特定する。この位置関係は、
図7(B)における矢印M1に対応する。換言すれば、位置関係特定部316は、撮像画像P2の左端部を接続部分X1に位置させるためには、撮像装置1(2)の撮像方向をどの方向にどれだけ動かせばよいかを特定する。具体的には、
図7(B)に示した例の場合には、例えば、左方向(撮像装置1(1)の方向)に10度傾けるというように、
図7(B)における矢印M1の内容を特定する。
【0052】
指示情報形成部317は、位置関係特定部316により特定された位置関係に基づいて、撮像方向の調整対象の撮像装置、この場合には撮像装置1(2)の撮像方向を調整するための指示情報を形成する。例えば、「左方向(撮像装置1(1)の方向)に10度傾けて下さい。」という音情報と、撮像装置1(2)から順次に提供される撮像画像の左端部の接続部分X1に対する距離に応じた音情報とを形成する。距離に応じた音情報は、撮像装置1(2)から順次に提供される撮像画像の左端部と接続部分X1との距離が短くなるほど、周期が短くなる音情報である。
【0053】
具体的に、撮像装置1(2)から順次に提供される撮像画像の左端部の接続部分X1に対する距離が遠い時には、例えば、「ピー、ピー、…」というように周期の長い離散的な音情報を形成する。撮像装置1(2)から順次に提供される撮像画像の左端部の接続部分X1に対する距離が近くなるほど、「ピッ、ピッ、…」というように周期の短い離散的な音情報を形成する。撮像装置1(2)から順次に提供される撮像画像の左端部が接続部分X1に一致した時には、「ピーーー」といった連続的な音情報を形成する。
【0054】
また、指示情報形成部317は、例えば、
図7(B)に示した態様の表示情報を形成するようにしてもよい。この場合、画像P2を画像P1側に移動させるように変化する表示情報を形成してもよい。また、形成する指示情報は、音情報と表示情報のいずれか一方だけでもよいし、音情報と表示情報の両方であってもよい。
【0055】
指示情報出力部318は、指示情報形成部317で形成された指示情報を、通信部301及び接続端301Tを通じてネットワーク4に送出し、携帯通信端末2に提供する処理を行う。これにより、指示情報としての音情報と表示情報の一方または両方が、携帯通信端末2のスピーカ209、表示部205を通じて出力される。この出力される指示情報としての音情報と表示情報との一方あるいは両方に応じて、工事担当者は撮像装置1(2)の撮像方向の調整作業を行う。
【0056】
これにより、
図7(C)に示すように、撮像装置1(1)の撮像画像P1と撮像装置1(2)の撮像画像P2とがその端部部分において、所定分だけ重なり合う部分を生じさせるように、撮像装置1(2)の撮像方向(撮像装置1(2)の向き)を調整できる。すなわち、
図7(C)において、撮像画像P1は、点P1a、P1b、P1c、P1dを頂点とする四角形の領域であり、撮像画像P2は、点P2a、P2b、P2c、P2dを頂点とする四角形の領域である。この場合、斜線を付して示した点P2a、P1b、P1c、P2dを頂点とする四角形の領域が重なり合う部分となっている。
【0057】
このようにして撮像装置1(2)についての撮像方向の調整が完了すると、制御部302は、第2画像取得部313以降の各部を制御して、撮像装置1(3)についての撮像方向の調整処理を行うようにする。すなわち、第2画像取得部313は、最新の撮像に対して撮像方向の調整が終了し、撮像方向が確定した撮像装置1からの撮像画像を取得する。この場合、第2画像取得部313は、撮像装置1(2)からの撮像画像P2を取得し、
図7(A)に示したパノラマ画像内に配置するようにする。
【0058】
接続部分特定部314は、第2画像取得部313を通じて取得した撮像装置1(2)からの撮像画像P2と、撮像装置1(2)に対して隣り合う他の撮像装置である撮像装置1(3)の最大撮像範囲R3と用いて接続部分を特定する処理を行う。この場合の撮像装置1(3)が、撮像方向の調整対象(ターゲット)となるものである。接続部分特定部314は、
図8(A)に示すように、撮像装置1(2)からの撮像画像P1と、撮像装置1(3)の最大撮像範囲R3との位置関係から、最大撮像範囲R3内においての撮像画像P2に対する撮像装置1(3)の撮像画像P3の接続部分を特定する。
【0059】
接続部分特定部314は、撮像装置1(3)の最大撮像範囲R3内において、撮像装置1(3)からの撮像画像P3と撮像装置1(3)からの撮像画像P3とが重なり合うようにする場合の撮像画像P3の撮像画像P3側の端部位置を接続部分X2として特定する。当該接続部分X2は、撮像装置1(2)からの撮像画像P2と撮像装置1(3)からの撮像画像P3とが、所定程度重なり合うようにする位置である。当該所定程度は、例えば、撮像画像の横幅の10パーセント程度などのように具体的に決められる。また、重なり合うことなく、撮像画像P2の右端部と撮像画像P3の左端部とがぴったりと接続するようにすることもできる。
【0060】
第3画像取得部315は、撮像方向の調整対象の撮像装置、この場合には撮像装置1(3)からの撮像画像P3を取得し、
図7(A)に示したパノラマ画像内に配置するようにする。位置関係特定部316は、第3画像取得部315を通じて取得した撮像画像P3と、撮像装置1(3)の最大撮像範囲R3とに基づいて、接続部分特定部314で特定された接続部分X2を構成するための撮像画像P3についての位置関係を特定する。この位置関係は、
図8(A)における矢印M2に対応する。換言すれば、位置関係特定部316は、撮像画像P3の左端部を接続部分X2に位置させるためには、撮像装置1(3)の撮像方向をどの方向にどれだけ動かせばよいかを特定する。具体的には、
図8(A)に示した例の場合には、例えば、右方向(撮像装置1(2)とは反対の方向)に5度傾けるというように、
図8(A)における矢印M2の内容を特定する。
【0061】
指示情報形成部317は、位置関係特定部316により特定された位置関係に基づいて、撮像方向の調整対象の撮像装置、この場合には撮像装置1(3)の撮像方向を調整するための指示情報を形成する。例えば、「右方向(撮像装置1(2)とは反対の方向)に5度傾けて下さい。」という音情報と、上述もしたように、撮像装置1(3)から順次に提供される撮像画像の左端部の接続部分X2に対する距離に応じた音情報とを形成する。
【0062】
また、指示情報形成部317は、例えば、
図8(A)に示した態様の表示情報を形成するようにしてもよい。この場合、画像P3を画像P2とは反対方向に移動させるように変化する表示情報を形成してもよい。また、形成する指示情報は、音情報と表示情報のいずれか一方だけでもよいし、音情報と表示情報の両方であってもよい。
【0063】
指示情報出力部318は、指示情報形成部317で形成された指示情報を、通信部301及び接続端301Tを通じてネットワーク4に送出し、携帯通信端末2に提供する処理を行う。これにより、指示情報としての音情報と表示情報の一方または両方が、携帯通信端末2のスピーカ209、表示部205を通じて出力される。この出力される指示情報としての音情報と表示情報との一方あるいは両方に応じて、工事担当者は撮像装置1(3)の撮像方向の調整作業を行う。
【0064】
これにより、
図8(B)に示すように、撮像装置1(2)の撮像画像P2と撮像装置1(3)の撮像画像P3とがその端部部分において、所定分だけ重なり合う部分を生じさせるように、撮像装置1(3)の撮像方向(撮像装置1(3)の向き)を調整できる。すなわち、
図8(B)において、撮像画像P2は、点P2a、P2b、P2c、P2dを頂点とする四角形の領域であり、撮像画像P3は、点P3a、P3b、P3c、P3dを頂点とする四角形の領域である。この場合、斜線を付して示した点P3a、P2b、P2c、P3dを頂点とする四角形の領域が重なり合う部分となっている。
【0065】
図9は、複数の撮像装置(監視カメラ)が設置される監視エリアの例と、撮撮像方向の調整後の像装置により撮像される撮像範囲の例について説明するための図である。上述した撮像装置1(2)、1(3)についての撮像方向の調整処理により、
図9(A)に示すように、監視エリアArに設置される撮像装置1(1)、1(2)、1(3)の撮像方向が調整される。
【0066】
図9(B)は、
図9(A)において、監視エリアArを上から(矢印Upが示す上面側から)見た場合の各撮像装置1(1)、1(2)、1(3)により撮像される撮像画像P1、P2、P3の撮像範囲を示す図である。また、
図9(C)は、監視エリアArを横から(矢印Frが示す正面側、すなわち、撮像装置に対して対向する側から)見た場合の各撮像装置1(1)、1(2)、1(3)により撮像される撮像画像P1、P2、P3の撮像範囲を示す図である。
【0067】
図9(B)、(C)を見ると分かるように、撮像装置1(1)、1(2)、1(3)により撮像される撮像画像P1、P2、P3は、死角を生じさせることもない。また、撮像装置1(1)、1(2)、1(3)により撮像される撮像画像P1、P2、P3は、大きく重なり合う部分を生じさせることもない。撮像装置1(1)、1(2)、1(3)により撮像される撮像画像P1、P2、P3は、監視エリアArの監視対象部分の全体をくまなく撮像することができていることがわかる。このように、複数の撮像装置1(1)、1(2)、1(3)の撮像方向を適切に調整することができる。
【0068】
[指示情報出力システムの動作]
<事前準備>
上述した構成の撮像装置1(1)、1(2)、1(3)と、携帯通信端末2と、サーバ装置3とによって構成される指示情報出力システムの動作について説明する。
図10は、撮像装置の撮像方向調整のための事前準備について説明するためのシーケンス図である。撮像装置1(1)、1(2)、1(3)の撮像方向の調整処理の前に、
図10示す事前準備を実行することになる。
【0069】
図10には図示していないが、実際には、工事担当者は自分が所持する携帯通信端末2の所定のアプリ(撮像装置の撮像方向調整アプリ)を起動させ、撮像方向調整のための事前準備の実行を、サーバ装置3に対して指示する。これにより、サーバ装置3では、制御部302の制御の下、第1画像取得部311が動作状態となって、撮像装置1(1)、1(2)、1(3)からの撮像画像の取得待機状態となる。
【0070】
工事担当者は、
図6を用いて説明したように、撮像装置1(1)について、所定の複数の方向ごとに、調整可能な最大の角度まで撮像方向を変えた場合の撮像画像PUL、PUR、PDL、PDRを撮像し、サーバ装置3に送信する(ステップS11~ステップS14)。これにより、サーバ装置3では、接続端301T及び通信部301を通じて、撮像装置1(1)からの撮像画像を取得し、最大撮像範囲R1の画像を生成して、撮像画像保持部304に格納する(ステップS15)。
【0071】
次に、工事担当者は、撮像装置1(1)の場合と同様に、撮像装置1(2)について、所定の複数の方向ごとに、調整可能な最大の角度まで撮像方向を変えた場合の撮像画像PUL、PUR、PDL、PDRを撮像し、サーバ装置3に送信する(ステップS21~ステップS24)。これにより、サーバ装置3では、接続端301T及び通信部301を通じて、撮像装置1(2)からの撮像画像を取得し、最大撮像範囲R2の画像を生成して、撮像画像保持部304に格納する(ステップS25)。
【0072】
次に、工事担当者は、撮像装置1(1)、1(2)の場合と同様に、撮像装置1(3)について、所定の複数の方向ごとに、調整可能な最大の角度まで撮像方向を変えた場合の撮像画像PUL、PUR、PDL、PDRを撮像し、サーバ装置3に送信する(ステップS31~ステップS34)。これにより、サーバ装置3では、接続端301T及び通信部301を通じて、撮像装置1(3)からの撮像画像を取得し、最大撮像範囲R3の画像を生成して、撮像画像保持部304に格納する(ステップS35)。
【0073】
この後、サーバ装置3では、制御部302の制御の下、最大撮像範囲特定部312が機能して、
図7(A)を用いて説明したように、撮像画像保持部304に最大撮像範囲のパノラマ画像PMを生成する(ステップS41)。これにより、撮像装置1(1)、1(2)、1(3)のそれぞれごとの最大撮像範囲の位置と大きさ、また、撮像装置1(1)、1(2)、1(3)を用いた最大撮像範囲の位置と大きさが把握できる。
【0074】
この後、最大撮像範囲特定部312は、生成したパノラマ画像PMを、工事担当者が所持する携帯通信端末2に提供する(ステップS42)。上述もしたように、携帯通信端末2は所定のアプリを起動させることにより、撮像方向調整のための事前準備の実行をサーバ装置3に対して指示しているので、サーバ装置3は携帯通信端末2を特定できている。携帯通信端末2は、サーバ装置3からのパノラマ画像PMを表示部205に表示し、実際の撮像範囲の指定を受け付け(ステップS43)、撮像範囲を指定する情報をサーバ装置3に送信する(ステップS44)。
【0075】
これにより、サーバ装置3においては、
図7(A)を用いて説明したように、実際の撮像範囲(点Ga、Gb、Gc、Gdを頂点とする四角形の範囲)を特定でき、当該撮像範囲についても、撮像画像保持部304に保持する(ステップS45)。従って、撮像画像保持部304には、
図7(A)に示したパノラマ画像と、各撮像装置1(1)、1(2)、1(3)の最大撮像範囲R1、R2、R3と、実際の撮像範囲(点Ga、Gb、Gc、Gdを頂点とする四角形の範囲)とが保持され、把握される。この
図10に示すシーケンス図の処理が、撮像方向の調整処理のための事前準備である。
【0076】
<撮像装置1(1)の撮像方向の調整>
次に、撮像装置1(1)、1(2)、1(3)のそれぞれごとに、撮像方向の調整を行うのであるが、最初の撮像装置1(1)については、既に撮像方向の調整が完了した撮像装置は存在せず、他の撮像装置との関係を考慮する必要はない。このため、最初の撮像装置1(1)については、特許文献1(特許第6819403号公報)に開示された発明を用いて撮像方向の調整を行う。この場合には、工事担当者は、携帯通信端末2の所定のアプリを通じて、最初の撮像装置1(1)についての撮像方向の調整処理の開始の指示を出す。
【0077】
これにより、特許文献1の段落[0036]から段落[0040]において、特許文献1の
図6が用いられて説明されている方法を用いて、撮像方向の調整処理が開始され、撮像装置1(1)についての撮像方向の調整が完了する。なお、撮像装置1(1)についての撮像方向の調整は、特許文献1に開示された発明を必ずしも用いる必要はない。適当な方法で調整すればよい。
【0078】
この後、既に撮像方向の調整が完了した撮像装置1(1)が存在するため、撮像装置1(1)との位置関係を考慮して、撮像装置1(2)についての撮像方向の調整処理を行う。更に、撮像装置1(2)との位置関係を考慮して、撮像装置1(3)についての撮像方向の調整処理を行う。
【0079】
<撮像装置1(2)、1(3)の撮像方向の調整>
図11は、撮像装置の撮像方向の調整を行う場合の処理を説明するためのシーケンス図である。
図11には示していないが、この場合にも、工事担当者は、携帯通信端末2の所定のアプリを通じて、2番目以降の撮像装置1(2)、1(3)についての撮像方向の調整処理の開始の指示を出す。これにより、必要な指示が、サーバ装置3から携帯通信端末2に対して送られて来るので、工事担当者はこれに従い作業を行うことにより、
図11に示し処理が進められていく。
【0080】
まず、工事担当者は、撮像方向の調整が完了した撮像装置1(1)のシャッタボタンを押下操作して撮像を行い、撮像画像P1をサーバ装置3に送信する(ステップS51)。サーバ装置3では、撮像画像P1を受信し、制御部302の制御の下、第2画像取得部313が機能して、撮像装置1(1)からの撮像画像P1を取得し、
図7(A)を用いて説明しように、撮像画像P1をパノラマ画像内に配置するようにする。この後、接続部分特定部314が機能し、
図7(B)を用いて説明したように、撮像画像P1と、撮像装置1(2)の最大撮像範囲R2とから接続部分X1を特定する(ステップS52)。
【0081】
次に、工事担当者は、撮像方向の調整対象(ターゲット)である撮像装置1(2)のシャッタボタンを押下操作して撮像を行い、撮像画像P2をサーバ装置3に送信する(ステップS53)。サーバ装置3では、撮像画像P2を受信し、制御部302の制御の下、第3画像取得部315が機能して、撮像装置1(2)からの撮像画像P2を取得し、
図7(A)を用いて説明しように、撮像画像P2をパノラマ画像内に配置するようにする。この後、位置関係特定部316が機能し、撮像画像P2と、撮像装置1(2)の最大撮像範囲R2とを用い、接続部分X1に対する撮像画像P2の位置関係を特定する(ステップS54)。
【0082】
当該位置関係は、
図7(B)を用いて説明した矢印M1に対応する。すなわち、位置関係特定部316は、撮像画像P2の左端部を接続部分X1に位置させるためには、撮像装置1(2)の撮像方向をどの方向にどれだけ動かせばよいかを特定する。具体的には、
図7(B)に示した例の場合には、例えば、左方向(撮像装置1(1)の方向)に10度傾けるというように、
図7(B)における矢印M1の内容を特定する。
【0083】
この後、制御部302の制御の下、指示情報形成部317が機能し、位置関係特定部316が特定した位置関係に基づいて、携帯通信端末2に提供する指示情報(音情報)を形成し、(ステップS55)、これを携帯通信端末2に送信する(ステップS56)。携帯通信端末2では、サーバ装置3からの音情報を出力するので(ステップS57)、これが工事担当者に提供され(ステップS58)、当該音情報に従って、工事担当者は撮像装置1(2)の撮像方向を調整する(ステップS59)。
【0084】
なお、ここでは、指示情報は音情報であるものとして説明したが、これに限るものではない。上述もしたように、指示情報は、音情報と表示情報との一方あるいは両方であってよい。このようにして、撮像装置1(2)については、撮像方向の調整が完了している撮像装置1(1)との関係性(より厳密には撮像装置1(1)の撮像画像P1との関係性)を考慮して、撮像装置1(2)についての撮像方向の調整を行うことができる。
【0085】
この後、
図11を用いて説明した処理と同様にして、撮像装置1(3)の撮像方向の調整を、撮像方向の調整が完了した撮像装置1(2)との関係性を考慮して行うことになる。具体的には、ステップS51においては、撮像装置1(2)において撮像を行い、撮像画像P2をサーバ装置3に送信する。ステップS52では、撮像画像P2と撮像装置1(3)の最大撮像範囲R3を用いて、
図8(A)を用いて説明したように接続部分X2を特定する。ステップS53では、撮像装置1(3)で撮像を行い、撮像画像P3をサーバ装置3に送信する。
【0086】
ステップS54では、撮像装置1(3)からの撮像画像P3と、撮像装置1(3)の最大撮像範囲R3を用い、接続部分X2に対する撮像画像P3の位置関係を特定する。ステップS55では、制御部302の制御の下、指示情報形成部317が機能し、位置関係特定部316が特定した位置関係M2に基づいて、携帯通信端末2に提供する指示情報(音情報)を形成する。ステップS56では、指示情報形成部317で形成された指示情報(音情報)を、携帯通信端末2に送信する。
【0087】
これにより、ステップS57において、携帯通信端末2は、サーバ装置3からの音情報を出力するので、ステップS58において、当該音情報が工事担当者に提供され、ステップS59において、当該音情報に従って、工事担当者が撮像装置1(3)の撮像方向を調整する。このように、最初の撮像装置1(1)以降の撮像装置1(2)、1(3)については、直前に撮像方向の調整が完了した他の撮像装置との関係性を考慮して、撮像方向の調整を行うことができる。
【0088】
なお、この実施の形態では、3台の撮像装置1(1)、1(2)、1(3)が用いられる場合について説明したが、撮像装置が4台以上の場合であっても、
図11を用いて説明した処理は、直前に撮像方向の調整が完了した撮像装置と、撮像方向の調整対象となった撮像装置との間において、同様に行われる処理となる。
【0089】
[サーバ装置3で行われる処理のまとめ]
図12は、サーバ装置(指示情報出力装置)3で行われる処理を説明するためのフローチャートであり、他の撮像装置との関係性を考慮して撮像方向の調整を行う2台目以降の撮像装置の撮像方向を調整するための処理である。従って、
図12の処理が実行される前に、
図10を用いて説明した事前準備と、最初の撮像装置1(1)についての撮像方向の調整については、既に完了しているものとする。また、サーバ装置3は、携帯通信端末2で実行される所定のアプリを通じて、何台の撮像装置についての撮像方向の調整を行うのか(撮像装置の台数の最大値)を把握しているものとする。また、
図12に示すフローチャートの処理は、制御部302において実行され、制御部302が各部を制御して進められる処理である。
【0090】
上述したように、事前準備(
図10)及び最初の撮像装置1(1)についての撮像方向の調整が完了すると、サーバ装置3の制御部302において、
図12に示す処理が実行される。制御部302は、まず、変数nに初期値2をセット(代入)する(ステップS101)。次に、制御部302は、第2画像取得部313を制御し、撮像方向調整済み(向き調整済み)の撮像装置1(n-1)から送信されて来る撮像画像Pn-1を取得する(ステップS102)。
【0091】
この後、制御部302は、接続部分特定部314を制御し、撮像装置1(n-1)からの撮像画像Pn-1と、撮像方向の調整対象の撮像装置1(n)の最大撮像範囲Rnとから接続部分Xn-1を特定する(ステップS103)。次に、制御部302は、撮像方向の調整対象の撮像装置1(n)から送信されて来る撮像画像Pnを取得する(ステップS104)。次に、制御部302は、取得した撮像画像Pnと、撮像方向の調整対象の撮像装置1(n)の最大撮像範囲Rnとを用いて、接続部分Xn-1に対する位置関係Mn-1を特定する(ステップS105)。
【0092】
制御部302は、ステップS103で特定した接続部分Xn-1と、ステップS104で取得した撮像方向の調整対象である撮像装置1(n)からの撮像画像Pnの左端部が一致しているか否かを判別する(ステップS106)。ステップS106の判別処理で、一致していないと判別したときには、制御部302は、指示情報形成部317を制御して、調整用の音情報を形成して出力し、携帯通信端末2に送信する処理を行う(ステップS107)。この後、制御部302は、ステップS104からの処理を繰り返すようにする。
【0093】
また、ステップS106の判別処理で、一致していると判別したときには、制御部302は、指示情報形成部317を制御して、一致状態であることを示す音情報を形成して出力し、携帯通信端末2に送信する処理を行う(ステップS108)。この後、制御部302は、変数nに値1を加算し(ステップS109)、変数nは撮像装置の台数の最大値より大きいか否かを判別する(ステップS110)。
【0094】
ステップS110の判別処理において、変数nは撮像装置の台数の最大値より大きくない(最大値以下である)と判別したときには、制御部302は、ステップS102からの処理を繰り返す。また、ステップS110の判別処理において、変数nは撮像装置の台数の最大値より大きいと判別したときには、監視エリアArに設置された全ての撮像装置1についての撮像方向の調整が完了したことになるので、
図12に示すフローチャートの処理を終了する。
【0095】
[実施の形態の効果]
これにより、工事担当者は、サーバ装置3からの指示情報(音情報、表示情報)を自分が所持する携帯通信端末2から出力し、これをガイド情報として用いて、監視エリアArに配置される複数台の撮像装置1の撮像方向の調整を、自分1人で行うことができる。しかも、複数台の撮像装置のそれぞれの撮像画像間に死角を生じさせたり、複数台の撮像装置のそれぞれの撮像画像間に大きな重なり合う部分を生じさせたりすることが無いようにできる。従って、比較的に広い監視エリアに複数台の撮像装置を配置して監視を行う環境を整える場合に、複数人の工事担当者を必要とせず、適切に撮像装置の撮像方向を調整することができる。
【0096】
[変形例]
<接続部分のパターンの選択>
上述した実施の形態では、
図7、
図8を用いて説明したように、撮像画像P1と撮像画像P2との接続部分や撮像画像P2と撮像画像P3との接続部分X1、X2は、撮像画像の例えば横幅の10パーセント程度が重複するように特定するものとして説明した。しかし、これに限るものではない。重なり具合は、例えば、監視エリアArにおいて実際に人を歩かせ、人の全身が入る程度の幅としたり、人の半身が入る程度の幅としたり、重なりはなく、両撮像画像の端部がぴったりと合うようにしたりするなどの指定を可能にする。当該指定は、携帯通信端末2を通じて、サーバ装置3に対して行うようにし、サーバ装置3の接続部分特定部314において使用可能にしておけばよい。
【0097】
また、1台目の撮像装置1(1)で撮像対象を指定することなく、実際に人を歩かせることにより、撮像画像内に人が移り込んでから映らなくなるまでの間においては、音情報や表示情報により携帯通信端末2を通じて通知するようにする。1台目の撮像装置1(1)の撮像画像P1において、例えば、左端部から右端部まで歩く人がうつるように撮像装置1の撮像方向を調整する。この調整過程において、1台目の撮像装置1(1)の撮像画像P1において、左端部と右端部とにおいて、どの程度の人の部分が映る範囲を接続部分とするのかを決め、これを例えば携帯通信端末2を通じてサーバ装置3に設定するようにしてもよい。
【0098】
このように、1台目の撮像装置1(1)における被写体である人の移動の状況に応じて、他の撮像装置1(2)、1(3)について用いる画像の重なり合う場合の幅などの情報を生成することが可能である。なお、この場合、人の全身が入る程度の幅とすると、人の歩く速さが速い場合には、重なり合う部分の幅は広くなり、人の歩く速さが遅い場合には、重なり合う部分の幅は狭くなるので、人の歩く速さについても、適切な速度を選択する必要がある。
【0099】
<指示情報としての音情報の種類>
指示情報としての音情報は、撮像装置1(1)、1(2)、1(3)のそれぞれで、異なる音情報を用いるようにしてもよい。これにより、音情報により、今、どの撮像装置についての撮像方向の調整処理を行っているのかを、工事担当者に知らせることができ、作業場でのミスの防止に役立つ。
【0100】
<撮像装置を直接に制御して撮像方向を調整する場合>
また、撮像装置1(1)、1(2)、1(3)自体が、光軸の向き、ズーム設定、画角設定の調整が可能なようにアクチュエータを備え、このアクチュエータを制御部302に制御可能に構成することも可能である。このような場合には、上述したサーバ装置3の指示情報形成部317において、指示情報としての音情報や表示情報に替えて、少なくとも光軸の向きをどの方向にどの位変えるのかを指示する指示情報(制御情報)を形成して、これをターゲットの撮像装置1に供給する。これにより、当該指示情報に応じて、制御部302がアクチュエータを制御して光軸の方向を変えることにより、撮像方向の調整ができる。この場合には、工事担当者が撮像装置1の撮像方向を変える作業を行う必要もない。
【0101】
<携帯通信端末2のサーバ装置3としての利用>
近年においては、携帯通信端末2の機能も向上してきている。例えば、記憶部の記憶容量が例えば500GB(ギガバイト)以上であるものも多く、処理速度も高速で、複雑な画像処理も容易に熟すことができるようになってきている。そこで、
図4に示した携帯通信端末2に、
図5に示したサーバ装置3の構成を追加し、携帯通信端末2がサーバ装置3としても機能するように構成することもできる。この場合には、撮像装置1(1)、1(2)、1(3)のそれぞれが、携帯通信端末2と通信を行い、携帯通信端末2で指示情報を形成して、携帯通信端末2から出力し、上述した実施の形態の場合と同様にして、撮像方向の調整を行うことができる。
【0102】
[その他]
上述した実施の形態では、3台の撮像装置1(1)、1(2)、1(3)を用いる場合を例にして説明したが、これに限るものではない。撮像装置の台数は、2台以上であれば、この発明を適用して、2番目以降の撮像装置の撮像方向の調整を行うことができる。
【0103】
また、監視エリアArが
図2等に示したように、横方向に広がったエリアである場合には、基本的に上下方向に撮像画像同士が大きくずれることはない。しかし、上下方向に撮像画像同士にズレが生じている場合には、例えば、重なり合う部分の類似度に応じて、撮像方向の調整対象の撮像装置1の向きを、上下方向に調整することも可能である。
【0104】
また、階段部分や梯子部分等、上下に伸びた監視エリアに複数の撮像装置を配置する場合であっても、撮像画像の接続部分が左右方向から上下方向に変わるだけで、同様に撮像方向の調整を行うことができる。
【0105】
また、
図10、
図11、
図12を用いて説明したサーバ装置3で実行される処理が、この発明による指示情報出力方法の一実施の形態が適用されたものである。また、
図10、
図11、
図12を用いて説明したサーバ装置3で実行される処理が、この発明による指示情報出力プログラムの一実施の形態が適用されたものである。また、
図5に示したサーバ装置3において、310番台の各部の機能は、制御部302で実行されるプログラムによって、制御部302の機能として実現することもできる。
【符号の説明】
【0106】
1、1(1)、1(2)、1(3)…撮像装置、101…撮像部、102…制御部、103…記憶部、104…操作部、105…通信部、105A…通信アンテナ、2…携帯通信端末、201A…通信アンテナ、201…通信部、202…制御部、203…記憶部、204…操作部、205…表示部、206…タッチセンサ、207…タッチパネル、208…音声出力部、209…スピーカ、3…サーバ装置、301T…接続端、301…通信部、302…制御部、303…記憶部、304…撮像画像保持部、311…第1画像取得部、312…最大撮像範囲特定部、313…第2画像取得部、314…接続部分特定部、315…第3画像取得部、316…位置関係特定部、317…指示情報形成部、318…指示情報出力部、4…ネットワーク、5(1)…基地局