(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2025006409
(43)【公開日】2025-01-17
(54)【発明の名称】画像生成装置、画像生成方法およびプログラム
(51)【国際特許分類】
G06T 1/00 20060101AFI20250109BHJP
【FI】
G06T1/00 500A
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023107193
(22)【出願日】2023-06-29
(71)【出願人】
【識別番号】000005957
【氏名又は名称】三菱鉛筆株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100099759
【弁理士】
【氏名又は名称】青木 篤
(74)【代理人】
【識別番号】100123582
【弁理士】
【氏名又は名称】三橋 真二
(74)【代理人】
【識別番号】100160705
【弁理士】
【氏名又は名称】伊藤 健太郎
(74)【代理人】
【氏名又は名称】阿形 直起
(72)【発明者】
【氏名】塚田 海斗
【テーマコード(参考)】
5B057
【Fターム(参考)】
5B057BA23
5B057CA08
5B057CA12
5B057CB12
5B057CC01
5B057CF10
5B057DA08
5B057DB02
5B057DB09
5B057DC16
5B057DC22
5B057DC25
(57)【要約】
【課題】ユーザが入力画像の特徴を容易に把握することを可能とする画像生成装置等を提供する。
【解決手段】画像生成装置は、画像を取得する取得部と、画像の特徴に基づいて、図形が配置された変換画像を生成する生成部と、変換画像を出力する出力部と、を有する。
【選択図】
図5
【特許請求の範囲】
【請求項1】
画像を取得する取得部と、
前記画像に基づいて、図形が配置された変換画像を生成する生成部と、
前記変換画像を出力する出力部と、
を有することを特徴とする画像生成装置。
【請求項2】
前記図形の形状は、複数の幾何形状のうちから選択される、
請求項1に記載の画像生成装置。
【請求項3】
前記生成部は、
前記画像から前景領域を抽出し、
前記前景領域に含まれる複数の画素の位置関係に基づいて前記前景領域を分割することにより、前記画像から複数の領域を抽出し、
各領域の形状に基づいて前記図形を算出する、
請求項1に記載の画像生成装置。
【請求項4】
画像を取得し、
前記画像の特徴に基づいて、図形が配置された変換画像を生成し、
前記変換画像を出力する、
ことを含むことを特徴とする画像生成方法。
【請求項5】
画像を取得し、
前記画像の特徴に基づいて、図形が配置された変換画像を生成し、
前記変換画像を出力する、
ことをコンピュータに実行させることを特徴とするプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像生成装置、画像生成方法およびプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
写真や絵を模写するときには、対象物の特徴部分のキャンバス上における大きさや位置関係を把握することが重要である。特徴部分の大きさや位置関係は、例えば、キャンバス上において特徴部分が描画されるべき位置に楕円や直線のような単純な図形を下書きすることにより把握される。特徴部分の大きさや位置関係を把握することは、「アタリをつける」とも称される。模写の経験の浅い者は、適切にアタリをつけることができず、その結果として模写がうまくできないことがある。
【0003】
特許文献1には、キャンバス上に写真や絵を投影することにより、模写の練習を支援する方法が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
模写の上達を支援するためには、写真または絵そのものを投影することよりも、そのうちの特徴部分のみを提示することが好ましい場合がある。
【0006】
本発明は、上述の課題を解決するためになされたものであり、ユーザが入力画像の特徴を容易に把握することを可能とする画像生成装置、画像生成方法およびプログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の実施形態に係る画像生成装置は、画像を取得する取得部と、画像の特徴に基づいて、図形が配置された変換画像を生成する生成部と、変換画像を出力する出力部と、を有することを特徴とする。
【0008】
また、図形の形状は、複数の幾何形状のうちから選択されることが好ましい。
【0009】
また、生成部は、画像から前景領域を抽出し、前景領域に含まれる複数の画素の位置関係に基づいて前景領域を分割することにより、画像から複数の領域を抽出し、各領域の形状に基づいて図形を算出することが好ましい。
【0010】
本発明の実施形態に係る画像生成方法は、画像を取得し、画像の特徴に基づいて、図形が配置された変換画像を生成し、変換画像を出力する、ことを含むことを特徴とする。
【0011】
本発明の実施形態に係るプログラムは、画像を取得し、画像の特徴に基づいて、図形が配置された変換画像を生成し、変換画像を出力する、ことをコンピュータに実行させることを特徴とする。
【発明の効果】
【0012】
本発明に係る画像生成装置、画像生成方法およびプログラムは、ユーザが入力画像の特徴を容易に把握することを可能とする。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【
図1】画像生成システム1の概略構成の例を示す図である。
【
図2】(A)は入力画像の例を示す図であり、(B)は変換画像の例を示す図である。
【
図3】形状テーブルT1のデータ構造の例を示す図である。
【
図4】画像出力処理の流れの例を示すフロー図である。
【
図6】図形算出処理の流れの例を示すフロー図である。
【
図7】曲線の算出について説明するための模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、図面を参照しつつ、本発明の様々な実施形態について説明する。本発明の技術的範囲はそれらの実施形態に限定されず、特許請求の範囲に記載された発明及びその均等物に及ぶ点に留意されたい。
【0015】
図1は、本発明の実施形態に係る画像生成システム1の概略構成の例を示す図である。画像生成システム1は、対象物を含む入力画像に基づいて、図形が配置された変換画像を生成する。図形は、例えば、対象物の特徴部分を示すように配置される。ユーザは、変換画像を参照することで、対象物の特徴部分を把握し、入力画像を適切に模写することができる。画像生成システム1は、画像生成装置2および通信端末3を有する。画像生成装置2および通信端末3は、インターネットまたはイントラネットであるネットワークNを介して通信する。
【0016】
画像生成装置2は、サーバ、PC(Personal Computer)、タブレット端末等の情報処理装置である。画像生成装置2は、記憶部21、通信部22および処理部23を有する。
【0017】
記憶部21は、プログラムおよびデータを記憶するための構成であり、例えば半導体メモリを備える。記憶部21は、プログラムとして、処理部23による処理に用いられるオペレーティングシステムプログラム、ドライバプログラム、アプリケーションプログラム等を記憶する。プログラムは、CD-ROM(Compact Disc Read Only Memory)、DVD-ROM(Digital Versatile Disc Read Only Memory)等のコンピュータ読取可能かつ非一時的な可搬型記憶媒体から記憶部21にインストールされる。
【0018】
通信部22は、画像生成装置2を他の装置と通信可能にする構成であり、通信インタフェース回路を備える。通信インタフェース回路は、有線LAN(Local Area Network)又は無線LAN等の通信インタフェース回路である。通信部22は、データを他の装置から受信して処理部23に供給するとともに、処理部23から供給されたデータを他の装置に送信する。
【0019】
処理部23は、画像生成装置2の動作を統括的に制御する構成であり、一つまたは複数のプロセッサおよびその周辺回路を備える。処理部23は、例えば、CPU(Central Processing Unit)を備える。処理部23は、GPU(Graphics Processing Unit)、DSP(Digital Signal Processor)、LSI(Large Scale Integration)、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)、FPGA(Field Programmable Gate Array)等を備えてもよい。処理部23は、記憶部21に記憶されているプログラムに基づいて画像生成装置2の各種処理が適切な手順で実行されるように、各構成の動作を制御するとともに、各種の処理を実行する。
【0020】
処理部23は、取得部231、設定部232、生成部233および出力部234を有する。これらの各部は、処理部23がプログラムを実行することによって実現される機能モジュールである。これらの各部は、専用の処理回路として画像生成装置2に実装されてもよい。
【0021】
通信端末3は、ユーザが所持するPC、タブレット端末、スマートフォン、携帯電話機、携帯ゲーム機等の情報処理端末である。通信端末3は、画像生成装置2から送信された表示データに基づいて画像を表示する。また、通信端末3は、ユーザの操作に応じた信号を画像生成装置2に送信する。
【0022】
図2(A)は入力画像の例を示す図であり、
図2(B)は変換画像の例を示す図である。
図2(A)に示す入力画像は、対象物として犬を含む。
図2(B)に示す変換画像では、対象物の特徴部分として犬の頭部、胴体部、左前脚および尾が抽出されている。また、変換画像においては、楕円により頭部、胴体部、左前脚が示されており、曲線により尾が示されている。ユーザは、変換画像を参照して頭部、胴体部、左前脚および尾の位置関係を容易に把握して入力画像を模写できるようになる。
【0023】
図3は、記憶部21に記憶される形状テーブルT1のデータ構造の例を示す図である。画像生成装置2は、対象物の特徴部分をユーザのレベルに応じた形状の図形に変換する。形状テーブルT1は、ユーザのレベルと形状とを相互に関連付けて記憶する。
【0024】
図3に示す例では、ユーザのレベルとして5段階が設定されている。また、各レベルについて、あらかじめ設定された複数の幾何形状のうちから選択された形状が、変換画像に配置される図形の形状として設定されている。例えば、複数の幾何形状は、凸多角形、楕円および単純曲線を含む。ここで、楕円は真円を含む。また、単純曲線は直線を含む。以下では、凸多角形および単純曲線をそれぞれ単に多角形および曲線と称する。
【0025】
例えば、ユーザの模写の経験が最も浅いことを示すレベル1では、特徴部分は多角形により示される。ユーザの模写の経験が中程度であることを示すレベル3では、特徴部分は楕円により示される。ユーザの模写の経験が最も豊富であることを示すレベル5では、特徴部分は曲線で示される。すなわち、模写の経験が浅いユーザは特徴部分の輪郭を把握することができない場合があるので、変換画像においても特徴部分の輪郭の概略が把握できるように、特徴部分が多角形により示される。一方、模写の経験が豊富なユーザは特徴部分の輪郭を把握することができるので、変換画像においては特徴部分が曲線により示される。
【0026】
レベル1とレベル3との中間であるレベル2では、特徴部分は楕円および多角形のいずれか一方により示される。レベル3とレベル5との中間であるレベル4では、特徴部分は曲線および楕円のいずれか一方により示される。これらの場合、特徴部分の形状に応じて一方の図形の形状が選択される。
【0027】
形状テーブルT1のデータは、あらかじめ設定される。
【0028】
図4は、画像生成装置2によって実行される画像出力処理の流れの例を示すフロー図である。画像出力処理は、入力画像に基づいて、対象物の特徴部分を示す図形が配置された変換画像を生成して出力する処理である。画像出力処理は、記憶部21に記憶されたプログラムに基づいて、処理部23が画像生成装置2の構成と協働することにより実現される。
【0029】
最初に、取得部231は、入力画像を取得する(ステップS11)。例えば、取得部231は、通信部22を介して入力画像を通信端末3から受信することにより取得する。取得部231は、あらかじめ記憶部21に記憶された入力画像を取得してもよい。
【0030】
次に、設定部232は、対象物の特徴部分を示す図形の数および形状を設定する(ステップS12)。例えば、設定部232は、通信部22を介して図形の数およびユーザのレベルを入力するための画面の表示データを通信端末3に送信する。表示データは、例えばHTML(Hypertext markup Language)である。設定部232は、通信端末3に入力された図形の数およびユーザのレベルを通信端末3から受信することにより取得する。設定部232は、ユーザのレベルに関連付けられた形状を形状テーブルT1から取得する。設定部232は、取得した情報に基づいて図形の数および形状を設定する。なお、設定部232は、通信端末3から情報を受信することなく図形の数および形状を既定値に設定してもよい。
【0031】
次に、生成部233は、生成処理を実行する(ステップS13)。生成処理は、入力画像の特徴に基づいて、図形が配置された変換画像を生成する処理である。生成処理の詳細は後述する。
【0032】
次に、出力部234は、変換画像を出力する(ステップS14)。例えば、出力部234は、通信部22を介して変換画像を通信端末3に送信することにより出力する。出力部234は、プリンタ等を介して変換画像を印刷することにより出力してもよい。以上で、画像出力処理が終了する。
【0033】
図5は、画像生成装置2によって実行される生成処理の流れの例を示すフロー図である。生成処理は、画像出力処理のステップS13において実行される。
【0034】
最初に、生成部233は、入力画像の特徴に基づいて、入力画像から複数の領域を抽出する(ステップS21)。生成部233は、入力画像から対象物を含む前景領域を抽出する。例えば、生成部233は、WatershedアルゴリズムまたはGrabCutアルゴリズム等を適用して、対象物を含む領域を前景領域として抽出する。生成部233は、前景領域をステップS12で設定された数の領域に分割することにより、複数の領域を抽出する。例えば、生成部233は、スペクトラルクラスタリングを適用して前景領域に含まれる画素をステップS12で設定された数のクラスタに分類することにより、前景領域を分割する。スペクトラルクラスタリングにおいて、画素間の類似度は画素間の距離に基づいて設定される。
【0035】
次に、生成部233は、複数の領域のうちのいずれか1つの領域を処理対象の領域として選択する(ステップS22)。
【0036】
次に、生成部233は、図形算出処理を実行する(ステップS23)。図形算出処理は、複数の領域の形状に基づいて、各領域に対応する図形を算出する処理である。図形算出処理の詳細は後述する。
【0037】
次に、生成部233は、複数の領域の全てが処理対象の領域として選択されたか否かを判定する(ステップS24)。
【0038】
複数の領域の全てが処理対象の領域として選択されていない場合(ステップS24-No)、生成処理はステップS22に戻り、生成部233は、まだ処理対象として選択されていない領域のうちのいずれか1つの領域を処理対象の領域として選択する。
【0039】
複数の領域の全てが処理対象の領域として選択された場合(ステップS24-Yes)、生成部233は、誤差条件が満たされているか否かを判定する(ステップS25)。誤差条件は、複数の領域のそれぞれについて算出された図形と各領域との間の誤差の合計値が閾値未満であることである。後述するように、入力画像と変換画像とは等しい画素数を有しているから、誤差は、入力画像から抽出された領域に含まれる画素と、変換画像に配置された図形に含まれる画素との差に基づいて算出される。例えば、図形が楕円または多角形である場合には、誤差は、変換画像において楕円または多角形に含まれ、かつ入力画像において楕円または多角形に対応する領域に含まれない画素の画素数と、変換画像において楕円または多角形に含まれず、かつ入力画像において楕円または多角形に対応する領域に含まれる画素の画素数との合計値である。図形が曲線である場合には、誤差は、変換画像において曲線を構成し、かつ入力画像において曲線に対応する領域に含まれない画素の画素数である。
【0040】
誤差条件が満たされていない場合(ステップS25-No)、生成部233は、図形の数を変更する(ステップS26)。例えば、生成部233は、図形の数を1だけ増加させる。その後、生成処理はステップS21に進み、生成部233は、再び入力画像から複数の領域を抽出する。
【0041】
誤差条件が満たされている場合(ステップS25-Yes)、生成部233は、変換画像を生成する(ステップS27)。生成部233は、曲線上、楕円の円周上および多角形の辺上に位置する画素の画素値が0であり、他の画素の画素値が1である二値画像を変換画像として生成する。以上で、生成処理が終了する。
【0042】
図6は、図形算出処理の流れの例を示すフロー図である。図形算出処理は、生成処理のステップS23において実行される。
【0043】
最初に、生成部233は、曲線算出条件が満たされているか否かを判定する(ステップS31)。曲線算出条件は、処理対象の領域に対応する図形として曲線を算出する条件である。例えば、曲線算出条件は、(1)ステップS12において図形の形状として曲線のみが設定されたこと、または(2)図形の形状として曲線と他の図形とが設定されかつ処理対象の領域のアスペクト比が所定値以上であることである。アスペクト比は、処理対象の領域を回転を考慮して外接矩形にフィッティングしたときの、外接矩形の長辺長を短辺長で除した値である。すなわち、図形の形状として曲線と他の図形とが設定されている場合には、アスペクト比が大きいため曲線を対応付けても違和感のない領域のみについて曲線が算出される。
【0044】
曲線算出条件が満たされている場合(ステップS31-Yes)、生成部233は、処理対象の領域に対応する図形として曲線を算出する(ステップS32)。以上で、図形算出処理が終了する。
【0045】
図7は、ステップS32における曲線の算出について説明するための模式図である。
図7においては、処理対象の領域Sの概説矩形の長辺長Xが短辺長Yよりも大きい。すなわち、領域Sのアスペクト比はX/Yである。このとき、領域Sに対応する曲線Cは、領域Sのx方向における両端の点、およびy方向に延伸する直線と領域Sの輪郭線との2つの交点の中点を連結することにより算出される。
図7では、領域Sのx方向における両端の点P1およびP2と、中点の代表としての点M1-M9とが図示されている。なお、領域Sのy方向における幅がx方向における幅よりも大きい場合には、曲線Cは、x方向に延伸する直線と領域Sの輪郭線との2つの交点の中点を連結することにより算出される。すなわち、領域に対応する曲線は、相互に直交し、かつ画素の配列に沿った2方向のうち、処理対象の領域の幅が小さい方向に延伸する直線と領域の輪郭線との2つの交点の中点を連結することにより算出される。なお、領域に対応する曲線は、相互に直交し、かつ概説矩形の長辺および短辺にそれぞれ平行な2方向のうち、処理対象の領域の幅が小さい方向に延伸する直線と領域の輪郭線との2つの交点の中点を連結することにより算出されてもよい。
【0046】
図6に戻り、曲線算出条件が満たされていない場合、生成部233は、楕円算出条件が満たされているか否かを判定する(ステップS33)。楕円算出条件は、処理対象の領域に対応する図形として曲線を算出する条件である。例えば、楕円算出条件は、ステップS12において図形の形状として楕円が設定されたことである。
【0047】
楕円算出条件が満たされている場合(ステップS33-Yes)、生成部233は、処理対象の領域に対応する図形として楕円を算出する(ステップS34)。生成部233は、処理対象の領域の輪郭を構成するエッジ画素を検出する。例えば、エッジ画素はCannyのアルゴリズムまたはSobelフィルタ等を用いて検出される。生成部233は、エッジ画素に楕円をフィッティングすることにより、楕円を算出する。楕円のフィッティングは、例えば最小二乗法により行われる。楕円は中心座標、長径、短径および傾きにより特定されるから、エッジ画素が5つ以上あれば楕円のフィッティングが可能である。
【0048】
楕円算出条件が満たされていない場合(ステップS33-No)、またはステップS34の次に、生成部233は、多角形算出条件が満たされているか否かを判定する(ステップS35)。多角形算出条件は、処理対象の領域に対応する図形として多角形を算出する条件である。例えば、多角形算出条件は、ステップS12において図形の形状として多角形が設定されたことである。
【0049】
多角形算出条件が満たされていない場合(ステップS35-No)、図形算出処理は終了する。
【0050】
多角形算出条件が満たされている場合(ステップS35-Yes)、生成部233は、処理対象の領域に対応する図形として多角形を算出する(ステップS36)。生成部233は、処理対象の領域を構成する画素を包含する凸包を処理対象の領域に対応する多角形として算出する。凸包は、例えばギフト包装法またはグラハムスキャンにより算出される。
【0051】
次に、生成部233は、処理対象の領域に対応する図形として楕円および多角形の両方が算出されているか否かを判定する(ステップS37)。
【0052】
楕円および多角形の両方が算出されていない場合(ステップS37-No)、図形算出処理は終了する。
【0053】
楕円および多角形の両方が算出されている場合(ステップS37-Yes)、生成部233は、図形と処理対象の領域との誤差に基づいて、楕円および多角形の一方を処理対象の領域に対応する図形として選択する(ステップS38)。生成部233は、楕円および多角形のうち、処理対象の領域との誤差が小さい一方を領域に対応する図形として選択する。誤差は、楕円または多角形に含まれ、かつ対応する領域に含まれない画素の画素数と、楕円または多角形に含まれず、かつ対応する領域に含まれる画素の画素数との合計値である。以上で、図形算出処理は終了する。
【0054】
図8(A)-(E)および
図9(A)-(E)は、
図2(A)に示した入力画像に基づいて生成された変換画像の例を示す図である。
図8(A)-(E)は図形の数が4である場合の変換画像の例を示す。
図8(A)はユーザのレベルが1、
図8(B)はユーザのレベルが2、
図8(C)はユーザのレベルが3、
図8(D)はユーザのレベルが4、
図8(E)はユーザのレベルが5である場合の変換画像を示す。同様に、
図9(A)-(E)は図形の数が5である場合の変換画像の例を示す。
図9(A)はユーザのレベルが1、
図9(B)はユーザのレベルが2、
図9(C)はユーザのレベルが3、
図9(D)はユーザのレベルが4、
図9(E)はユーザのレベルが5である場合の変換画像を示す。このように、ユーザのレベルに応じて様々な変換画像が生成される。
【0055】
ユーザは、生成された変換画像に基づいて入力画像を模写することができる。例えば、ユーザは、通信端末3において描画アプリケーションプログラムを実行し、変換画像を背景として表示することにより、描画アプリケーションにおいて入力画像を模写する。ユーザは、変換画像を紙等に印刷し、変換画像に重ねて入力画像を模写する。
【0056】
以上説明したように、画像生成装置2の生成部233は、入力画像の特徴に基づいて、図形が配置された変換画像を生成する。これにより、ユーザが入力画像の特徴を容易に把握することが可能となる。
【0057】
また、生成部233は、図形の形状を複数の幾何形状のうちから選択する。これにより、ユーザは入力画像の特徴の概略を容易に把握することが可能となる。
【0058】
また、生成部233は、入力画像に含まれる複数の画素の位置関係に基づいて画像から複数の領域を抽出し、各領域の形状に基づいて図形を算出する。これにより、ユーザは入力画像の画素値に基づいて抽出された特徴の概略を適切に把握することが可能となる。
【0059】
画像生成システム1には、次に述べるような変形例が適用されてもよい。
【0060】
上述した実施形態では、形状テーブルT1においてユーザのレベルと図形の形状とが関連付けられ、画像出力処理のステップS12において、設定部232はユーザのレベルを示す情報に基づいて図形の形状を設定するものとした。このような例に限られず、設定部232は図形の形状を示す情報を取得してもよい。この場合、ステップS12において、設定部232はて図形の数および形状を入力するための画面の表示データを通信端末3に送信する。
【0061】
上述した実施形態では、生成処理のステップS21において、生成部233は画素間の距離に基づく類似度を用いたスペクトラルクラスタリングを適用して、入力画像から複数の領域を抽出するものとした。このような例に限られず、画素間の類似度は、画素間の距離および輝度値の差に基づいて設定されてもよい。例えば、画素間の輝度値の差が大きいほど類似度が小さくなるように設定されてもよい。このようにすることで、類似する輝度値を有し、同一の特徴部分を構成する可能性の高い画素が同一のクラスタに分類されるため、入力画像の特徴部分がより適切に抽出される。
【0062】
また、生成部233は、スペクトラルクラスタリングとは異なる手法を適用して入力画像から複数の領域を抽出してもよい。例えば、生成部233は、凝集型階層クラスタリングを適用して前景領域に含まれる画素を所定数のクラスタに分類してもよい。あるいは、クラスタリングを用いずともよい。例えば、WatershedアルゴリズムまたはGrabCutアルゴリズム等を用いた領域分割、エッジ情報をベースにした領域分割、内接図形をベースにした領域分割、等のいずれの方法を用いても、前景領域に含まれる画素を所定数の領域に分類することができる。このようにしても、ユーザは入力画像の特徴を容易に把握することが可能となる。
【0063】
上述した実施形態では、生成処理のステップS21において、生成部233は入力画像から前景領域を抽出し、前景領域を分割することにより複数の領域を抽出するものとした。このような例に限られず、生成部233は前景処理を抽出することなく入力画像から直接に複数の領域を抽出してもよい。例えば、生成部233は、画像が入力された場合に対象物の特徴部分(頭部、胴体部等)を検出するように学習された学習済みモデルを用いて入力画像から複数の領域を抽出してもよい。この場合、画像出力処理のステップS12において図形の数が設定されなくてもよい。
【0064】
上述した実施形態では、図形の形状は、曲線、楕円および凸多角形のうちのいずれかに設定されるものとした。このような例に限られず、図形の形状は他の形状を含んでもよい。例えば、図形の形状として2次曲線で囲まれた領域が設定されてもよい。また、図形の形状の分類方法として、他の分類方法が適用されてもよい。例えば、図形の形状は、曲線、楕円、三角形および4つ以上の頂点を有する凸多角形のうちのいずれかに設定されてもよい。
【0065】
上述した画像生成装置2の機能は、複数の装置によって実現されてもよい。また、上述した画像生成装置2および通信端末3の機能が1つの装置によって実現されてもよい。
【0066】
当業者は、本発明の範囲から外れることなく、様々な変更、置換及び修正をこれに加えることが可能であることを理解されたい。例えば、上述した実施形態及び変形例は、本発明の範囲において、適宜に組み合わせて実施されてもよい。
【符号の説明】
【0067】
2 画像生成装置
231 取得部
232 設定部
233 生成部
234 出力部