(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2025006413
(43)【公開日】2025-01-17
(54)【発明の名称】画像読取装置及びその制御方法、並びにプログラム
(51)【国際特許分類】
H04N 1/00 20060101AFI20250109BHJP
【FI】
H04N1/00 127B
H04N1/00 L
H04N1/00 350
【審査請求】未請求
【請求項の数】20
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023107199
(22)【出願日】2023-06-29
(71)【出願人】
【識別番号】000104652
【氏名又は名称】キヤノン電子株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110003281
【氏名又は名称】弁理士法人大塚国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】田所 茂
【テーマコード(参考)】
5C062
【Fターム(参考)】
5C062AA02
5C062AA05
5C062AA13
5C062AA29
5C062AB02
5C062AB17
5C062AB20
5C062AB23
5C062AB38
5C062AB42
5C062AC02
5C062AC05
5C062AC22
5C062AC23
5C062AC34
5C062AE03
5C062AE07
5C062AE15
5C062AF00
5C062AF01
5C062AF02
5C062AF06
5C062AF12
5C062AF15
(57)【要約】
【課題】読取処理の実行中に端末装置とのセッションが切断されても、画像読取装置が端末装置へ読取画像の画像データを送信することを可能にする。
【解決手段】画像読取装置において、端末管理アプリは、ネットワークを介して通信可能な端末装置からアクセスを受け付けると、当該端末装置との間で確立されるセッションのセッションIDと、当該セッションIDに固有の個別URLとを生成する。端末管理アプリは、セッションIDと個別URLとを関連付けて管理する。スキャンアプリは、確立されたセッションを介して受信した読取指示に従って、原稿の画像を読み取って読取画像の画像データを生成する読取処理を行う。スキャンアプリは、予め設定された時間間隔で個別URLへのアクセスを受け付けている間、読取処理の実行を続ける。
【選択図】
図7
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ネットワークを介して通信可能な端末装置からアクセスを受け付けると、前記端末装置との間で確立されるセッションのセッションIDと、前記セッションIDに固有のURLとを生成し、前記セッションIDと前記URLとを関連付けて管理する管理手段と、
前記セッションを介して受信した読取指示に従って、原稿の画像を読み取って読取画像の画像データを生成する読取処理を行う処理手段と、を備え、
前記処理手段は、予め設定された時間間隔において前記URLへのアクセスを受け付けている間、前記読取処理の実行を続ける、
ことを特徴とする画像読取装置。
【請求項2】
前記読取処理の完了後に前記URLに対するアクセスを受け付けると、前記画像データを取得するための操作画面を前記端末装置に提供する提供手段を更に備える、
ことを特徴とする請求項1に記載の画像読取装置。
【請求項3】
前記提供手段は、前記読取処理の完了後に前記URLに対するアクセスを受け付けると、前記画像データの取得用のURLへのアクセス先を変更するように、前記端末装置をリダイレクトする、
ことを特徴とする請求項2に記載の画像読取装置。
【請求項4】
前記提供手段は、前記セッションが切断された後であっても、前記読取処理の完了後に前記URLに対するアクセスを受け付けると、前記操作画面を前記端末装置に提供する、
ことを特徴とする請求項2に記載の画像読取装置。
【請求項5】
前記提供手段は、前記読取処理のステータスを確認するためのリクエストを前記URLを介して前記端末装置から受信すると、前記読取処理のステータスを示すレスポンスを前記端末装置へ送信し、前記読取処理が完了している場合には更に、前記操作画面を前記端末装置に提供する、
ことを特徴とする請求項2に記載の画像読取装置。
【請求項6】
前記提供手段は、前記読取処理が完了した後、前記URLに対する最終アクセス時刻からタイムアウト時間が経過する前に、前記URLに対するアクセスを受け付けると、前記操作画面を前記端末装置に提供する、
ことを特徴とする請求項2に記載の画像読取装置。
【請求項7】
前記読取処理によって生成された前記画像データが格納される記憶手段を更に備え、
前記処理手段は、前記最終アクセス時刻から前記タイムアウト時間が経過すると、前記記憶手段から前記画像データを削除する、
ことを特徴とする請求項6に記載の画像読取装置。
【請求項8】
前記管理手段は、前記URLに対する最終アクセス時刻から第1タイムアウト時間が経過すると、前記端末装置との間で確立された前記セッションを一時的に切断し、
前記処理手段は、前記最終アクセス時刻から、前記第1タイムアウト時間より長い第2タイムアウト時間が経過すると、前記読取処理の実行を中止する、
ことを特徴とする請求項1に記載の画像読取装置。
【請求項9】
前記読取処理によって生成された前記画像データが格納される記憶手段を更に備え、
前記処理手段は、前記最終アクセス時刻から前記第2タイムアウト時間が経過すると、前記記憶手段から前記画像データを削除する、
ことを特徴とする請求項8に記載の画像読取装置。
【請求項10】
前記第1タイムアウト時間が経過した後、前記URLへの前記時間間隔のアクセスが途切れたことを前記端末装置のユーザに通知する通知手段を更に備える、
ことを特徴とする請求項8又は9に記載の画像読取装置。
【請求項11】
前記通知手段は、前記画像読取装置の表示部に表示するメッセージを用いた通知、又は近距離無線通信を用いた前記端末装置への通知を行う、
ことを特徴とする請求項10に記載の画像読取装置。
【請求項12】
前記管理手段は、前記第1タイムアウト時間の経過後に、前記セッションIDを用いたアクセスを前記端末装置から受け付けると、前記セッションIDを用いて前記端末装置との前記セッションを再確立する、
ことを特徴とする請求項8又は9に記載の画像読取装置。
【請求項13】
前記管理手段は、前記端末装置との間で前記セッションを再確立する際に、前記端末装置の認証処理を行う、
ことを特徴とする請求項12に記載の画像読取装置。
【請求項14】
前記管理手段は、前記第1タイムアウト時間の経過後に、前記端末装置以外の端末装置からのアクセスを受け付けると、当該端末装置とのセッションを新たに確立するように動作する、
ことを特徴とする請求項8又は9に記載の画像読取装置。
【請求項15】
前記管理手段は、前記読取処理が完了した時点からタイムアウト時間が経過すると、前記端末装置との前記セッションを切断する、
ことを特徴とする請求項1乃至7のいずれか一項に記載の画像読取装置。
【請求項16】
前記管理手段は、前記端末装置からアクセスを受け付けると、前記端末装置のIPアドレスを送信元IPアドレスとして取得し、前記送信元IPアドレスに対して前記セッションID及び前記URLを関連付けて管理する、
ことを特徴とする請求項1乃至7のいずれか一項に記載の画像読取装置。
【請求項17】
前記管理手段は、
前記セッションID及び前記URLを管理テーブルに格納して管理しており、
前記端末装置以外の端末装置から読取指示が受信されると、前記セッションID及び前記URLを前記管理テーブルから削除する、
ことを特徴とする請求項1乃至7のいずれか一項に記載の画像読取装置。
【請求項18】
前記管理手段は、
前記セッションID及び前記URLを管理テーブルに格納して管理しており、
前記画像データが前記端末装置によって取得されると、前記セッションID及び前記URLを前記管理テーブルから削除する、
ことを特徴とする請求項1乃至7のいずれか一項に記載の画像読取装置。
【請求項19】
ネットワークを介して通信可能な端末装置からアクセスを受け付けると、前記端末装置との間で確立されるセッションのセッションIDと、前記セッションIDに固有のURLとを生成し、前記セッションIDと前記URLとを関連付けて管理する管理工程と、
前記セッションを介して受信した読取指示に従って、原稿の画像を読み取って読取画像の画像データを生成する読取処理を行う処理工程と、を含み、
前記処理工程では、予め設定された時間間隔において前記URLへのアクセスを受け付けている間、前記読取処理の実行を続ける、
ことを特徴とする画像読取装置の制御方法。
【請求項20】
画像読取装置のコンピュータに、請求項19に記載の画像読取装置の制御方法を実行させるためのプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像読取装置及びその制御方法、並びにプログラムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
画像読取装置によって原稿の画像を読み取って読取画像の画像データを生成することで、原稿の画像に対応する画像データの電子的な保管又は当該画像データを用いた情報処理が可能になる。また、ADF(Auto Document Feeder)を備えた原稿読取装置を使用した場合、大量の原稿の画像をより効率的に読み取って画像データを生成することが可能である。画像読取処理(スキャン処理)により得られた読取画像の画像データは、PC又はモバイル端末等の端末装置(情報処理装置)へ転送され、閲覧又はデータ処理に使用されうる。
【0003】
外部装置からWebブラウザによるアクセスを可能にするためにWebサーバが実装された画像読取装置は、専用のアプリケーション又はドライバを必要とせずに、Webブラウザに提供した操作画面を介してスキャン指示を受け付けることが可能である。例えば、特許文献1には、画像読取装置が、Webブラウザに提供した設定画面を介して受け付けたスキャン指示によりスキャン処理を開始した後、スキャン中のステータスに移行し、そのステータスが変わらない限り、Webブラウザを介して画像データを提供できる技術が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上述の従来技術では、スキャン処理の実行中に、モバイル端末又はPC等の端末装置と画像読取装置とのセッションが意図せず切断されると、画像読取装置は、スキャン指示の送信元の端末装置を特定(判別)できなくなる。セッション(接続)の切断は、例えば、端末装置が省電力モードへ移行したり、Webブラウザの表示画面を別の画面に遷移させたことによって生じうる。スキャン指示の送信元の端末装置が特定できなくなると、スキャン処理により得られた読取画像の画像データを、端末装置へ送信できなくなりうる。
【0006】
そこで、本発明は、読取処理(スキャン処理)の実行中に端末装置とのセッションが切断されても、画像読取装置が端末装置へ読取画像の画像データを送信することを可能にする技術を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本開示の一態様に係る画像読取装置は、ネットワークを介して通信可能な端末装置からアクセスを受け付けると、前記端末装置との間で確立されるセッションのセッションIDと、前記セッションIDに固有のURLとを生成し、前記セッションIDと前記URLとを関連付けて管理する管理手段と、前記セッションを介して受信した読取指示に従って、原稿の画像を読み取って読取画像の画像データを生成する読取処理を行う処理手段と、を備え、前記処理手段は、予め設定された時間間隔において前記URLへのアクセスを受け付けている間、前記読取処理の実行を続ける、ことを特徴とする。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、読取処理(スキャン処理)の実行中に端末装置とのセッションが切断されても、画像読取装置が端末装置へ読取画像の画像データを送信することが可能になる。これにより、セッションの切断に伴って読取画像の画像データが失われる可能性を減らし、ユーザの利便性を向上させることが可能である。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】画像読取装置100の概略的な構成例を示す断面図。
【
図2】画像読取ユニット104の概略的な構成例を示す断面図。
【
図3】画像読取装置100のハードウェア構成例を示すブロック図。
【
図5】画像読取装置100の機能構成例を示すブロック図。
【
図6】端末200において表示されるスキャン設定用の設定画面の例を示す図。
【
図7】画像読取装置100における端末判別処理の手順の例を示すフローチャート。
【
図8】端末の管理に使用される管理テーブルの例を示す図。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、添付図面を参照して実施形態を詳しく説明する。なお、以下の実施形態は特許請求の範囲に係る発明を限定するものではなく、また実施形態で説明されている特徴の組み合わせの全てが発明に必須のものとは限らない。実施形態で説明されている複数の特徴のうち二つ以上の特徴は任意に組み合わされてもよい。また、同一又は同様の構成には同一の参照番号を付し、重複した説明は省略する。
【0011】
<画像読取装置>
図1は、本実施形態に係る画像読取装置100の概略的な構成例を示す断面図である。画像読取装置100は、読取対象の原稿101が積載される原稿台102を備える。原稿台102上の原稿は、原稿検出センサ110によって検出される。原稿台102上の原稿は、給紙ローラ106により1枚ずつ分離されて搬送路108に送り出される。搬送路108に送り出され、搬送路108を搬送される原稿101は、レジストセンサ109によって検出される。レジストセンサ109によって原稿101が検出されると、画像読取ユニット104は、搬送路108を搬送中の原稿101の画像(原稿上に形成された画像)の読み取りを開始する。
【0012】
図1に示すように、本実施形態の画像読取装置100は、搬送路108の両側に2つの画像読取ユニット104を備える。一方の画像読取ユニット104が、原稿101の第一面(表面)の画像を読み取るように構成され、他方の画像読取ユニット104が、原稿101の第二面(裏面)の画像を読み取るように構成される。搬送路108を介して各画像読取ユニット104に対向する位置には、背景板105が配置されている。背景板105は、例えば、黒色の部材である。なお、画像読取装置100は、1つの画像読取ユニット104のみを備えるように構成されてもよい。
【0013】
画像読取ユニット104による画像の読み取りが行われた原稿101は、排出部103に向けて搬送ローラ107によって搬送路108を搬送され、最終的に排出部103に排出されて排出部103において積載される。排出部103に設けられた原稿検出センサ111は、排出部103に排出されて積載されている原稿101の検出に用いられる。また、搬送路108の排出口付近に設けられた原稿検出センサ112は、搬送路108に残っている原稿101の検出に用いられる。原稿検出センサ111及び112を用いることで、原稿101が搬送路108に残っているか、排出部103に排出されたかを検出可能である。
【0014】
画像読取装置100は更に、搬送路108に沿って給紙ローラ106とレジストセンサ109との間の位置に、重送検出センサ120を備える。重送検出センサ120は、複数枚の原稿が重なった状態(静電気等により複数枚の原稿が密着した状態)で搬送路108を搬送される重送の検出に用いられる。重送検出センサ120は、例えば、超音波の発信部及び受信部を備える超音波センサで構成される。超音波センサを用いる場合、搬送路108上の原稿(原稿シート)を通過する際の超音波の減衰量に基づいて重送を検出可能である。
【0015】
図2は、画像読取ユニット104の概略的な構成例を示す断面図である。画像読取ユニット104は、筐体1041と、搬送路108に面して設けられたガラス板1042とを備える。筐体1041及びガラス板1042によって画像読取ユニット104の内部が密封されている。画像読取ユニット104の内部には、イメージセンサ1043と、一対の発光部1044a及び1044bと、が設けられている。
【0016】
イメージセンサ1043は、ラインイメージセンサで構成され、例えば、CCDラインセンサ又はコンタクトイメージセンサで構成される。原稿101の搬送方向と直交する方向(主走査方向)に沿って配置されている。イメージセンサ1043は、搬送中の原稿101の画像を主走査方向の1ライン単位で読み取って画像信号を出力する。
【0017】
発光部1044aは、イメージセンサ1043に対して原稿101の搬送方向の上流側に配置される光源を有する。発光部1044bは、イメージセンサ1043に対して原稿101の搬送方向の下流側に配置される光源を有する。イメージセンサ1043は、発光部1044aと発光部1044bとの間に挟まれた位置に配置される。発光部1044a及び1044bは、それぞれ、イメージセンサ1043と平行に、主走査方向に沿って配置され、複数のLEDを含むLEDアレイで構成される。
図2に示すように、イメージセンサ1043は、発光部1044a及び1044bが原稿101に照射した光の反射光を受光することで、原稿101上の画像を読み取る。
【0018】
図3は、本実施形態に係る画像読取装置100のハードウェア構成例を示すブロック図である。画像読取装置100の制御部10は、CPU11、RAM(ランダムアクセスメモリ)12、記憶部13、入出力I/F(インタフェース)14及び通信I/F15を備える。
【0019】
CPU11は、1つ以上のプロセッサで構成される。CPU11は、記憶部13に格納されているプログラムをRAM12に読み出して実行することで、画像読取装置100全体の制御を行う。RAM12は、CPU11による作業領域として使用される。記憶部13は、制御部10によって実行される各種プログラム(例えば、制御プログラム)、及び制御部10による処理に用いられる各種情報又はデータを格納するように構成される。例えば、イメージセンサ1043による原稿の画像の読み取りによって得られた画像データが記憶部13に保存される。記憶部13は、例えば、ROM(読み出し専用メモリ)、HDD(ハードディスクドライブ)及びSSD(ソリッドステートドライブ)等の1つ以上の記憶装置(メモリ)で構成される。
【0020】
入出力I/F14には、駆動回路24及び画像処理回路26が接続される。駆動回路24は、画像読取ユニット104の発光部1044a及び1044bを駆動する。画像処理回路26は、ADC25を介してイメージセンサ1043と接続される。イメージセンサ1043は、搬送中の原稿101の画像を主走査方向の1ライン単位で読み取って画像信号を出力する。ADC(アナログ/デジタル変換器)25は、イメージセンサ1043から出力されるアナログ形式の画像信号をデジタル形式の画像データに変換して出力する。画像処理回路26は、ADC25から出力された画像データに対して、シェーディング補正等の画像処理を行う。CPU11は、画像処理回路26から出力される画像データを取得する。
【0021】
通信I/F15は、外部装置との通信を行うためのインタフェースであり、有線通信インタフェース、無線LAN通信若しくはBluetooth(登録商標)通信等のための無線通信インタフェース、USBインタフェース、又はSCSIインタフェース等で構成されうる。本実施形態では一例として、通信I/F15は、有線LAN(ローカルエリアネットワーク)に接続された有線通信インタフェースであるものとする。なお、画像読取装置100は、個別の外部装置又はネットワークと接続される複数の通信I/F15を備えてもよい。例えば、画像読取装置100は、複数の通信I/F15として、ある外部装置と直接接続されたUSB又はSCSIインタフェースと、有線LANと接続された有線通信インタフェースとを備えてもよい。
【0022】
通信I/F15は、任意の通信プロトコルに従って外部装置と通信可能であり、任意の通信経路を介して外部装置と通信可能である。複数の外部装置と接続される場合、外部装置ごとに異なる通信プロトコル及び通信経路が用いられてもよい。例えば、通信I/F15は、端末200(
図4)とHTTPプロトコルで通信し、端末300(
図4)とFTPプロトコルで通信するように構成されてもよい。本実施形態の画像読取装置100は、HTTPプロトコルに従って外部装置と通信可能なWebサーバ500(
図5)を有する。このため、外部装置は、当該外部装置上で動作するWebブラウザにより、画像読取装置100のWebサーバ500にアクセス可能である。
【0023】
画像読取装置100は、制御部10に接続された操作部130を備える。操作部130は、入力部及び出力部を含む。入力部は、タッチパネル及びハードキー等を備え、ユーザからの各種操作の受け付けを行う。出力部(表示部)は、液晶ディスプレイ等の表示装置を備え、ユーザに対して各種情報の出力(表示)を行う。入力部及び出力部は、タッチパネルディスプレイのように、1つのモジュールとして実現されてもよい。
【0024】
操作部130には、CPU11によってスキャナ(画像読取装置100)の現在の状態(ステータス)を示す画面が表示されうる。スキャナの状態として、例えば、搬送路上で原稿(シート)が詰まるジャムが発生した状態、重送が検出されて原稿の搬送を意図的に停止した状態、画像読取装置100のカバーが開いていて原稿を搬送不能なカバーオープン状態、原稿を搬送してスキャンを行っているスキャン中の状態、原稿の画像のスキャンにより得られた画像データに対する画像処理の実行中の状態等がありうる。操作部130に表示される画面では、上記のようなスキャナの状態が、文字列又はアイコンにより示されうる。また、操作部130は、上記のようなスキャナの状態を、音又はLEDの点滅状態等により示してもよい。なお、操作部130には、セグメントLEDで構成された表示デバイスが設けられてもよい。
【0025】
<画像読取処理>
画像読取装置100において、制御部10(CPU11)は、例えば、操作部130の操作により、又は外部装置から原稿の読み取りの開始指示(読取指示)を受けると、原稿台102にセットされた原稿101に対する画像読取処理を開始する。画像読取処理において、CPU11は、まず給紙ローラ106を駆動して、原稿台102からの原稿101の搬送を開始する。原稿台102に複数枚の原稿101がセットされた場合、1枚ずつ原稿が分離されて搬送路108を搬送される。CPU11は、その後、レジストセンサ109によって原稿101が検出されると、当該検出のタイミングを基準として、原稿101の画像の読み取りのための画像読取ユニット104の制御を行う。
【0026】
具体的には、CPU11は、発光部1044a及び発光部1044bの発光を制御し、イメージセンサ1043を駆動することで、原稿101の画像の読み取りを行う。画像読取ユニット104は、イメージセンサ1043によって原稿101の画像を読み取って読取画像の画像データを生成し、生成した画像データを制御部10へ出力する。制御部10は、得られた画像データを画像読取装置100の記憶部13に保存する。なお、画像データは、画像読取装置100と通信可能な外部装置(サーバ装置)に保存されてもよい。
【0027】
<画像読取システムの構成及び動作>
図4は、本実施形態に係る画像読取システムの構成例を示す。画像読取システムは、画像読取装置100と、ネットワークを介して画像読取装置100と通信可能な端末装置(端末)200及び300とを含む。当該ネットワークは、有線LAN及び無線LAN等を含む。本実施形態では、画像読取装置100の通信I/F15は、ネットワークを介して端末200及び端末300と通信可能に接続される。なお、ネットワークは、モバイルネットワーク、インターネット、公衆無線回線等を含んでもよい。
【0028】
端末200及び300は、例えば、パーソナルコンピュータ(PC)又はモバイル端末等の情報処理装置で構成される。例えば、端末200又は300が、スマートフォン又はタブレット端末等のモバイル端末で構成される場合、当該端末は、無線LAN通信用の無線アクセスポイントに無線接続し、当該無線アクセスポイントを介して有線LANに接続することで、画像読取装置100と通信してもよい。
【0029】
本実施形態において、端末200は、画像読取装置100を操作するユーザ(操作ユーザ)によって使用される端末装置である。なお、端末200及び300は、それぞれ異なるユーザによって使用されている。以下では、主に端末200について説明するが、端末300についても同様である。
【0030】
端末200にはWebブラウザ210が予めインストールされている。ユーザは、端末200上で動作するWebブラウザ210を介して画像読取装置100を操作する。端末200は、ユーザの操作に従って、Webブラウザ210により画像読取装置100のWebサーバ500にアクセスする。これにより、Webブラウザ210は、画像読取装置100の操作用の操作画面に対応する画面データとして、HTML(Hyper Text Markup Language)データをWebサーバ500から取得し、取得したHTMLデータに基づいて操作画面を表示する。端末200(Webブラウザ210)は、表示した操作画面を介してユーザから原稿の読み取りの開始指示(スキャン指示)を受け付けると、当該スキャン指示を画像読取装置100へ送信する。
【0031】
画像読取装置100は、端末200から受信したスキャン指示に従って、上述のように画像読取処理(スキャン処理)を行う。画像読取装置100は、原稿101の搬送を開始して、画像読取ユニット104により当該原稿の読み取りを行い、得られた読取画像の画像データを記憶部13に保存する。画像読取装置100は、スキャン処理と並行して、
図6を用いて後述する端末判別処理をWebサーバ500(
図5)により実行する。保存された画像データは、その後、ネットワークを介して端末200等の外部装置へ送信(ダウンロード)される。
【0032】
本実施形態の画像読取装置100は、後述するように、端末200からのスキャン指示に従ってスキャン処理を実行している間、端末200からのアクセスを、端末判別処理により生成された個別URL(ステータス取得用の個別URL)を用いて受け付ける。端末200は、個別URLにアクセスすることで、画像読取装置100のステータス(スキャン中、スキャン完了、又はエラー発生中等)を示すステータス情報を取得できる。また、端末200は、ステータスの表示を含む操作画面(ステータス画面)の提供を受け、Webブラウザ210によって当該操作画面を表示できる。
【0033】
画像読取装置100は、スキャン処理が完了すると、記憶部13に保存された画像データをダウンロード(取得)するための操作画面のHTMLデータを、個別URLに対するアクセスに応じて端末200へ送信する。このHTMLデータには、画像データを参照(受信)するためのURLが記述される。当該HTMLデータに基づいてWebブラウザ210によって表示された操作画面に含まれる、上記URLにアクセスするためのリンクを用いて、端末200のユーザは画像データのダウンロードを指示できる。
【0034】
また、画像読取装置100は、スキャン処理の完了に応じて、ステータス取得用の個別URLからダウンロード用の個別URLへアクセス先を変更するように、端末200を誘導(即ち、リダイレクト)してもよい。これにより、画像読取装置100は、Webブラウザ210の表示画面を、個別URLへのアクセスに応じて提供したステータス画面から、画像データのダウンロード操作が可能なダウンロード画面に遷移させる表示制御を行ってもよい。画像読取装置100は、記憶部13に保存された読取画像の画像データを端末200が取得した後、当該画像データを記憶部13から削除(破棄)する処理を行う。
【0035】
なお、本実施形態の画像読取装置100は、端末200からのスキャン指示に従ってスキャン処理を開始した後、読取画像の画像データを端末200が取得するまで、別の端末(端末300等)に対してスキャン設定画面(
図7)を提供しないように動作する。この場合、端末300のWebブラウザは、画像読取装置100のWebサーバ500にアクセスしても、スキャン設定画面の画面データを取得できず、スキャン設定画面を表示できない。
【0036】
<画像読取装置の機能構成>
図5は、画像読取装置100の機能構成例(ソフトウェア構成例)を示すブロック図である。画像読取装置100は、OS上で動作するアプリケーションとしてWebサーバ500を有する。画像読取装置100の起動時に、CPU11は、OSを起動し、その後にWebサーバ500を起動する。Webサーバ500は、CPU11上に常駐するプロセスとして動作し、ネットワークを介してリクエスト(要求)を受信するまで待機する。リクエストの受信に応じて、Webサーバ500は、当該リクエストに応じたレスポンス(応答)を返す。
【0037】
画像読取装置100は、Webサーバ500上で動作するアプリケーションとして、UI表示アプリケーション(UI表示アプリ)501、スキャンアプリケーション(スキャンアプリ)502、及び端末管理アプリケーション(端末管理アプリ)503を有する。UI表示アプリ501、スキャンアプリ502及び端末管理アプリ503は、Webサーバ500の起動に応じて起動され、Webサーバ500上で動作する。
【0038】
UI表示アプリ501は、操作部130における画面の表示を制御する。スキャンアプリ502は、Webサーバ500が受け付けた、画像読取処理の開始指示(スキャン指示)に従って、スキャナドライバ(図示せず)を介して画像読取ユニット104を制御することで画像読取処理(スキャン処理)を行う。端末管理アプリ503は、後述する端末判別処理により、画像読取装置100(Webサーバ500)にアクセスする端末に対して、セッションIDと、当該セッションIDに固有のURLとを生成し、それらを用いて端末を管理するとともに端末の判別(特定)を行う。
【0039】
<画像読取処理の手順>
以下で説明する手順において、画像読取処理(スキャン処理)は、端末200から画像読取装置100へ送信される読取指示(スキャン指示)に従って実行される。端末200のユーザは、端末200を操作してWebブラウザ210を起動し、Webブラウザ210によって表示されるブラウザ画面のURL入力欄に、画像読取装置100のWebサーバ500を示すURL(本実施形態では「http://192.168.0.2/」とする。)を入力する。これにより、端末200のWebブラウザ210は、画像読取装置100のWebサーバ500との通信を確立するために、Webサーバ500にアクセスする。
【0040】
Webサーバ500は、端末200(Webブラウザ210)からのアクセスを受け付けると、端末200との通信を確立する。画像読取装置100(Webサーバ500)と端末200(Webブラウザ210)との間の通信は、例えばHTTPプロトコルを用いて行われる。なお、画像読取装置100と端末200との間の通信は、画像読取装置100のWebサーバ500及び端末200のWebブラウザ以外のアプリケーションを用いて実現されてもよい。
【0041】
Webサーバ500とWebブラウザ210との通信(接続)が確立されると、Webブラウザ210は、読取設定用の設定画面(スキャン設定画面)のHTMLデータ(画面データ)をWebサーバ500から取得する。Webブラウザ210は、Webサーバ500から取得したHTMLデータに基づいて、端末200の表示部に、
図6に例示するスキャン設定画面600を表示する。
【0042】
スキャン設定画面600では、一例として、画像の読み取りにおける読取カラーモード及び解像度を設定可能である。ユーザは、端末200の操作部(例えば、タッチパネル)を用いて読取設定(スキャン設定)を入力する。スキャン設定画面600において、スキャンボタンが操作ユーザによって押されると、Webブラウザ210は、スキャン設定及びスキャン指示を、Webサーバ500へ送信する。
【0043】
なお、スキャン設定画面600の操作中に、画像読取装置100が別の端末(端末300等)からスキャン指示を受信してスキャン処理を開始した場合、Webサーバ500は、Webブラウザ210からのスキャン指示を受け付けないように動作する。また、Webサーバ500は、開始したスキャン処理がエラーの発生により停止している状態においても、Webブラウザ210からのスキャン指示を受け付けないように動作する。この場合、Webブラウザ210は、Webサーバ500から送信されるHTMLデータに基づいて、スキャン指示を送信可能になるまで待機を要することを示すメッセージ(例えば、「他のユーザがスキャン中です。しばらくお待ちください」)を含む画面を表示する。
【0044】
Webサーバ500は、端末200(Webブラウザ210)からスキャン設定及びスキャン指示を受信すると、スキャン設定及びスキャン指示をスキャンアプリ502へ受け渡す。スキャンアプリ502は、端末200から受信されたスキャン設定及びスキャン指示に従ってスキャン処理の実行を開始する。
【0045】
スキャンアプリ502は、原稿台102にセットされた原稿を1枚ずつ順に搬送し、画像読取ユニット104によって当該原稿の画像の読み取りを行うよう、スキャン処理を制御する。スキャン処理は、原稿台102にセットされた原稿が無くなるまで継続される。なお、定められた枚数の原稿が読取対象とされてもよいし、端末200から受信されるスキャン設定において読取対象の原稿の枚数が設定されてもよい。その場合、スキャン設定画面600における設定項目として、読取対象の原稿の枚数が追加されてもよい。スキャンアプリ502は、画像読取ユニット104によって生成された画像データを記憶部13に保存する。画像データの保存が完了すると、スキャンアプリ502は、スキャン処理の完了を端末管理アプリ503に通知し、スキャン処理の実行を終了する。
【0046】
なお、エラーの発生によりスキャン処理を中断する場合、スキャンアプリ502は、エラーの発生を示すメッセージを(UIアプリ501を介して)操作部130に表示し、セッションIDを保持したままスキャン処理を中断する。スキャンアプリ502は、エラーが解消されたことを確認すると、スキャン処理の再開を指示するためのボタンを操作部130に表示し、当該ボタンを用いて再開指示が行われると、中断前と同じセッションIDで再接続させるとともに、スキャン処理を再開する。
【0047】
<端末判別処理>
図7は、画像読取装置100において実行される端末判別処理の手順の例を示すフローチャートである。端末判別処理は、端末管理アプリ503によって実行される。本手順による処理は、Webサーバ500が、端末200のWebブラウザ210からスキャン設定及びスキャン指示を含むHTTPリクエストを受信し、当該HTTPリクエストを端末管理アプリ503に受け渡したことに応じて開始される。上述のように、端末判別処理は、スキャンアプリ502によるスキャン処理と並行して実行される。
【0048】
S701で、端末管理アプリ503(CPU11)は、スキャンアプリ502から上記HTTPリクエストを受信することで、スキャン設定及びスキャン指示を取得し、S702へ処理を進める。S702で、端末管理アプリ503は、受信したHTTPリクエストから取得される、端末200のIPアドレスを、スキャン指示の送信元IPアドレスとして記録し、S703へ処理を進める。
【0049】
S703で、端末管理アプリ503は、端末200に対して(送信元IPアドレスに紐付けて)セッションIDを発行(生成)する。なお、スキャンアプリ502は、端末200(Webブラウザ210)との間で確立されたセッションを介してスキャン指示(読取指示)を受信し、受信したスキャン指示に従ってスキャン処理を行う。発行されるセッションIDは、端末200(Webブラウザ210)との間で確立されたセッションを識別するものである。更にS704で、端末管理アプリ503は、個別URLを端末200に対して発行する。個別URLは、スキャン指示の送信元の端末装置である端末200(Webブラウザ210)がアクセス可能なURLであって、このセッションID(端末200)に固有のURLである。
【0050】
次にS705で、端末管理アプリ503は、ステータス応答の設定を行う。端末200は、発行された個別URLを用いて、スキャンアプリ502によって実行中のスキャン処理のステータス(例えば、スキャン中、スキャン完了、又はエラー発生中等)を示すステータス情報を確認するためのステータス取得リクエストを送信できる。端末管理アプリ503は、個別URLを用いてステータス取得リクエストが受信された場合に、当該リクエストに対する応答が可能になるように、ステータス応答の設定を行う。
【0051】
その後S706で、端末管理アプリ503は、S703において発行された個別URLを含むアクセス用情報を、端末200(Webブラウザ210)へ通知する。アクセス用情報を含む通知は、S701において受信したHTTPリクエストに対するレスポンスとして、端末200(Webブラウザ210)へ送信される。
【0052】
端末管理アプリ503は、S703において生成したセッションIDに対して、端末200から受信したスキャン設定及びスキャン指示と、送信元IPアドレスと、個別URLとを関連付けて管理する。
図8は、端末管理アプリ503による、画像読取装置100にアクセスする端末の管理に使用される管理テーブルの例を示す。管理テーブルは、例えば記憶部13に格納される。
図8に示すように、管理テーブルには、送信元IPアドレスと、セッションIDと、個別URLとが関連付けられて格納されている。なお、
図8には図示していないが、スキャン設定及びスキャン指示を示す情報が、これらに更に関連付けて管理されている、あるいはセッションIDと関連付けて別テーブルで管理されてもよい。このように、端末管理アプリ503は、端末200からアクセスを受け付けると、当該端末200のIPアドレスを送信元として取得し、当該送信元IPアドレスに対してセッションID及び個別URLを関連付けて管理する。
【0053】
図8の例において、端末200のIPアドレスを「192.168.0.3」とした場合に、端末200に対してセッションID「1」及び個別URL「9d29d426-4cfd-4bf9-b0b7-e02b1e007c61」が発行されている。実際に端末200(Webブラウザ210)から画像読取装置100(Webサーバ500)へのアクセスに使用される個別URLは、「http:// 192.168.0.2/scan/9d29d426-4cfd-4bf9-b0b7-e02b1e007c61/」と表現される。端末管理アプリ503は、S706において、この個別URLを含むアクセス用情報を、端末200(Webブラウザ210)へ通知する。端末200へ送信されるレスポンスに含まれるデータの形式として、例えばJSON形式が用いられる。この場合、端末200へ送信されるレスポンスに含まれるアクセス用情報は、{ "IP_ADDRESS": "192.168.0.3", "SESSIONID": "1", "uniqueURL":" http://192.168.0.2/scan/9d29d426-4cfd-4bf9-b0b7-e02b1e007c61/" } と表現される。
【0054】
S707で、端末管理アプリ503は、S706において端末200(Webブラウザ210)へ通知した個別URLに対して、端末200からアクセスがあったか否かを判定する。端末管理アプリ503は、所定の時間間隔で(例えば1秒ごとに)、端末200からアクセスがあったか否かの確認を行う。なお、この時間間隔は、一般的にポーリング間隔と称される。ポーリング間隔は、ユーザ操作により変更可能であってもよい。ポーリング間隔の変更は、例えば、UIアプリ501によって操作部130に表示される操作画面を介して、又は端末200等の端末装置において使用可能な設定アプリケーションを介して行われうる。ポーリング間隔を示す設定データは記憶部13に格納される。
【0055】
端末管理アプリ503は、端末200からアクセスがあった場合にはS707からS709へ処理を進め、アクセスがなかった場合にはS708へ処理を進める。S708で、端末管理アプリ503は、端末200からの最終アクセス時刻からタイムアウト時間が経過することで、タイムアウトが発生したか否かを判定する。
【0056】
タイムアウト時間は予め設定されて、設定データが記憶部13に格納されている。なお、端末管理アプリ503は、最終アクセス時刻が記録されていない場合には、現在時刻を最終アクセス時刻とみなして、タイムアウトが発生していないものとして扱いうる。タイムアウト時間は、一般的には、ブラウザのセッション維持が失われるときのWebサーバ500の設定次第ではあるが、省メモリの観点から、数分に設定されることが望ましい。本実施形態では、それよりも長い30分に設定されるものとする。タイムアウト時間は、ユーザ操作により変更可能であってもよい。例えば、UIアプリ501によって操作部130に表示される操作画面を介して、タイムアウト時間の変更が行われうる。
【0057】
端末管理アプリ503は、タイムアウト時間が経過していない場合にはS707へ処理を戻し、タイムアウト時間が経過している場合には
図7の手順による処理を終了する。処理を終了する場合には、端末管理アプリ503は、スキャンアプリ502に、スキャン処理を終了(中止)させるとともに、記憶部13に保存されている読取画像の画像データを削除(破棄)させる。スキャンアプリ502によるスキャン処理においてエラーが発生し、エラー状態が解消されない場合にも、端末管理アプリ503は
図7の手順による処理を終了する。スキャンアプリ502は、端末管理アプリ503による処理が終了した状態で、エラー状態が解消されたとしても、スキャン指示がタイムアウトしたことを示すメッセージを操作部130に表示し、スキャン処理を終了するとともに、スキャン処理によりそれまでに得られた画像データを記憶部13から削除する。
【0058】
なお、端末管理アプリ503は、エラー状態に起因して原稿の搬送を再開していない状態で、S708におけるタイムアウトが発生した場合、例えば、「XX(JAM、重送、カバーオープン等)エラーが発生しています。ユーザ操作が一定時間行われなかったため、スキャン動作はキャンセルされています。現時点では、エラーを解消すればスキャンを指示することが可能です。」等のエラーメッセージを、操作部130に表示してもよい。同様に、端末管理アプリ503は、タイムアウトの発生前には、「XX(JAM、重送、カバーオープン等)エラーが発生しています。スキャン動作はユーザ操作によって継続されています。現在はエラーを解消すれば現在スキャン中のユーザは画像を取得することが可能です。」といったエラーメッセージを、操作部130に表示してもよい。
【0059】
一方、S707からS709へ処理を進めた場合、端末管理アプリ503は、個別URLに対するアクセスがあったことに応じて、記憶部13に格納されている最終アクセス時刻を現在の時刻に更新し、S710へ処理を進める。S710で、スキャンアプリ502からスキャン完了の通知を受信したか否かを判定する。端末管理アプリ503は、スキャン完了の通知を受信した場合には、S711へ処理を進める。一方、端末管理アプリ503は、スキャン完了の通知を受信していない場合には、スキャンアプリ502と通信して現在のスキャン処理のステータスを取得する。更に、端末管理アプリ503は、端末200(Webブラウザ210)から個別URLに対して発行されたHTTPリクエストに対するレスポンスにより、スキャン処理のステータスを示すステータス情報を端末200(Webブラウザ210)へ送信し、S707へ処理を戻す。
【0060】
なお、端末管理アプリ503は、スキャン処理においてエラーが発生している場合、エラー状態を示すステータス情報を端末200へ送信する。この場合、Webブラウザ210は、例えば、「スキャン中にエラーが発生しました。本体画面上の表示に従ってエラーを解消してください。」等の、エラー状態の解消をユーザに促すメッセージをブラウザ画面に表示する。
【0061】
S711で、端末管理アプリ503は、まず、端末200(Webブラウザ210)から個別URLに対して発行されたHTTPリクエストに対するレスポンスにより、スキャン処理の完了を、端末200に対して通知する。更にS712で、端末管理アプリ503は、スキャン処理により得られた読取画像の画像データを端末200(Webブラウザ210)が取得できるように、スキャン完了画面のHTMLデータ(画面データ)を端末200へ送信し、処理を終了する。スキャン完了画面には、画像データのダウンロード用の個別URLにアクセスするためのリンクが含まれており、端末200のユーザは、当該リンクを用いて画像データのダウンロードを指示できる。あるいは、端末管理アプリ503は、スキャン処理の完了に応じて、ステータス取得用の個別URLからダウンロード用の個別URLへアクセス先を変更するように、Webブラウザ210を誘導(即ち、リダイレクト)して、スキャン完了画面を表示させてもよい。
【0062】
なお、端末管理アプリ503は、管理テーブルを用いた端末200の管理状態を、所定の条件に従って解除してもよい。例えば、端末管理アプリ503は、端末200以外の端末装置からスキャン指示が受信されると、端末200に対応するセッションID及び個別URLを管理テーブルから削除してもよい。あるいは、端末管理アプリ503は、読取画像の画像データが端末200によって取得(ダウンロード)されると、端末200に対応するセッションID及び個別URLを管理テーブルから削除してもよい。これにより、端末管理アプリ503が、管理テーブルを用いた端末200の管理状態を適切なタイミングに解除することが可能である。
【0063】
以上説明したように、本実施形態の画像読取装置100において、端末管理アプリ503(CPU11)は、ネットワークを介して通信可能な端末装置からアクセスを受け付けると、当該端末装置との間で確立されるセッションのセッションIDと、当該セッションIDに固有の個別URLとを生成する。端末管理アプリ503は、セッションIDと個別URLとを関連付けて管理する。スキャンアプリ502は、確立されたセッションを介して受信した読取指示に従って、原稿の画像を読み取って読取画像の画像データを生成するスキャン処理(読取処理)を行う。スキャンアプリ502は、予め設定された時間間隔(ポーリング間隔)で個別URLへのアクセスを受け付けている間、スキャン処理の実行を続ける。
【0064】
本実施形態によれば、スキャン処理の実行中に端末装置とのセッションが切断されても、端末管理アプリ503は、個別URLへのアクセスに基づいて、端末装置を特定(判別)することが可能である。端末管理アプリ503は、スキャン処理の完了後に(セッション切断後であっても)個別URLに対するアクセスを受け付けると、読取画像の画像データを取得するための操作画面を端末装置に提供する。これにより、セッションの切断後であっても、画像読取装置100が端末装置へ読取画像の画像データを送信することが可能になる。したがって、セッションの切断に伴って読取画像の画像データが失われる可能性を減らし、ユーザの利便性を向上させることが可能である。
【0065】
端末装置側では、例えば、省電力モードへ移行、又はWebブラウザの表示画面を別の画面へ遷移させたことにより、画像読取装置100とのセッションが切断されることがある。この場合でも、端末管理アプリ503によって、当該端末装置のIPアドレスに関連付けられたセッションIDと個別URLとが保持されている限り、当該個別URLへのアクセスにより読取画像の画像データを取得できる。
【0066】
上述の実施形態は種々の変更が可能である。例えば、上述の実施形態では、画像読取装置100が、読取画像の画像データの保存及び当該画像データへのアクセス制御を行っているが、これらを画像読取装置100の外部のサーバ装置(情報処理装置)で行ってもよい。その場合、画像読取装置100は、スキャン処理により得られた画像データをサーバ装置に送信し、サーバ装置が、受信した画像データの管理及び当該画像データへのアクセス制御を行う。
【0067】
例えば、S708で判定に利用されるタイムアウト時間を30分とする例について説明したが、第1タイムアウト時間T1を数分に設定しておき、これを超えると、セッションが一時的に切断されるように構成することができる。そして第2タイムアウト時間T2(T1<T2。例えばT2=30分)として設定しておき、第1タイムアウト時間T1経過後には、ポーリングが途切れたことを端末200あるいはその利用ユーザに通知し、第2タイムアウト時間T2の経過後にタイムアウトとして処理(S708でYes)してもよい。
【0068】
例えば、画像読取装置100の操作部130に対してメッセージを表示してもよいし、
図8の管理テーブルに端末200を特定可能な情報を保管しておき、その情報をもとに、プッシュ通知や近距離無線通信等を利用した通知を実行してもよい。
【0069】
また、このとき第1タイムアウト時間T1の経過後に、切断された端末200が同じセッションIDを利用してアクセスしようとした際に再接続可能に構成してもよい。即ち、端末管理アプリ503は、第1タイムアウト時間T1の経過後に、同じセッションIDを用いたアクセスを端末200から受け付けると、当該セッションIDを用いて端末200とのセッションを再確立してもよい。さらにその際に、再接続するために、追加の処理にて認証情報を交換する(端末200の認証処理を行う)ようにしてもよい。例えば、画像読取装置100の操作部130に表示したQRコード(登録商標)を読み取らせることによって認証情報を取得、送信するように構成してもよい。
【0070】
また、第1タイムアウト時間T1の経過後には端末300等の他の端末によって接続可能に構成してもよい。即ち、端末管理アプリ503は、第1タイムアウト時間T1の経過後に端末200以外の端末装置からのアクセスを受け付けると、当該端末装置とのセッションを新たに確立するように動作してもよい。このとき、端末200において実行中だったスキャン処理についてはその時点で確定してしまってもよく、端末200からは、そこまでに取得した画像データのダウンロードのみが可能なように構成してもよい。
【0071】
また、上記実施形態においては、スキャン処理実行中に常時個別URLへのアクセスがタイムアウトしていないかどうかを確認していたが、これに限られない。例えば、スキャン完了時点からタイムカウントを開始し、スキャン完了からタイムアウト時間の経過後にセッションが破棄されるように構成してもよい。この場合でも、個別URLを知っている端末200からしか当該スキャンにおける画像データへのアクセスはできず、セキュリティ性を維持しつつユーザの利便性を向上させることが可能である。
【0072】
本明細書の開示は、以下の画像読取装置及びその制御方法、並びにプログラムを含む。
(項目1)
ネットワークを介して通信可能な端末装置からアクセスを受け付けると、前記端末装置との間で確立されるセッションのセッションIDと、前記セッションIDに固有のURLとを生成し、前記セッションIDと前記URLとを関連付けて管理する管理手段と、
前記セッションを介して受信した読取指示に従って、原稿の画像を読み取って読取画像の画像データを生成する読取処理を行う処理手段と、を備え、
前記処理手段は、予め設定された時間間隔において前記URLへのアクセスを受け付けている間、前記読取処理の実行を続ける、
ことを特徴とする画像読取装置。
(項目2)
前記読取処理の完了後に前記URLに対するアクセスを受け付けると、前記画像データを取得するための操作画面を前記端末装置に提供する提供手段を更に備える、
ことを特徴とする請求項1に記載の画像読取装置。
(項目3)
前記提供手段は、前記読取処理の完了後に前記URLに対するアクセスを受け付けると、前記画像データの取得用のURLへのアクセス先を変更するように、前記端末装置をリダイレクトする、
ことを特徴とする項目2に記載の画像読取装置。
(項目4)
前記提供手段は、前記セッションが切断された後であっても、前記URLに対するアクセスを受け付けると前記操作画面を前記端末装置に提供する、
ことを特徴とする項目2又は3に記載の画像読取装置。
(項目5)
前記提供手段は、前記読取処理のステータスを確認するためのリクエストを前記URLを介して前記端末装置から受信すると、前記読取処理のステータスを示すレスポンスを前記端末装置へ送信し、前記読取処理が完了している場合には更に、前記操作画面を前記端末装置に提供する、
ことを特徴とする項目2乃至4のいずれか1項目に記載の画像読取装置。
(項目6)
前記提供手段は、前記URLに対する最終アクセス時刻からタイムアウト時間が経過する前に、前記URLに対するアクセスを受け付けると、前記操作画面を前記端末装置に提供する、
ことを特徴とする項目2乃至5のいずれか1項目に記載の画像読取装置。
(項目7)
前記読取処理によって生成された前記画像データが格納される記憶手段を更に備え、
前記提供手段は、前記最終アクセス時刻から前記タイムアウト時間が経過すると、前記記憶手段から前記画像データを削除する、
ことを特徴とする項目6に記載の画像読取装置。
(項目8)
前記管理手段は、前記URLに対する最終アクセス時刻から第1タイムアウト時間が経過すると、前記端末装置との間で確立された前記セッションを一時的に切断し、
前記処理手段は、前記最終アクセス時刻から、前記第1タイムアウト時間より長い第2タイムアウト時間が経過すると、前記読取処理の実行を中止する、
ことを特徴とする項目1乃至5のいずれか1項目に記載の画像読取装置。
(項目9)
前記読取処理によって生成された前記画像データが格納される記憶手段を更に備え、
前記処理手段は、前記最終アクセス時刻から前記第2タイムアウト時間が経過すると、前記記憶手段から前記画像データを削除する、
ことを特徴とする項目8に記載の画像読取装置。
(項目10)
前記第1タイムアウト時間が経過した後、前記URLへの前記時間間隔のアクセスが途切れたことを前記端末装置のユーザに通知する通知手段を更に備える、
ことを特徴とする項目8又は9に記載の画像読取装置。
(項目11)
前記通知手段は、前記画像読取装置の表示部に表示するメッセージを用いた通知、又は近距離無線通信を用いた前記端末装置への通知を行う、
ことを特徴とする項目10に記載の画像読取装置。
(項目12)
前記管理手段は、前記第1タイムアウト時間の経過後に、前記セッションIDを用いたアクセスを前記端末装置から受け付けると、前記セッションIDを用いて前記端末装置との前記セッションを再確立する、
ことを特徴とする項目8乃至11のいずれか1項目に記載の画像読取装置。
(項目13)
前記管理手段は、前記端末装置との間で前記セッションを再確立する際に、前記端末装置の認証処理を行う、
ことを特徴とする項目12に記載の画像読取装置。
(項目14)
前記管理手段は、前記第1タイムアウト時間の経過後に、前記端末装置以外の端末装置からのアクセスを受け付けると、当該端末装置とのセッションを新たに確立するように動作する、
ことを特徴とする項目8乃至13のいずれか1項目に記載の画像読取装置。
(項目15)
前記管理手段は、前記読取処理が完了した時点からタイムアウト時間が経過すると、前記端末装置との前記セッションを切断する、
ことを特徴とする項目1乃至7のいずれか一項目に記載の画像読取装置。
(項目16)
前記管理手段は、前記端末装置からアクセスを受け付けると、前記端末装置のIPアドレスを送信元IPアドレスとして取得し、前記送信元IPアドレスに対して前記セッションID及び前記URLを関連付けて管理する、
ことを特徴とする項目1乃至15のいずれか1項目に記載の画像読取装置。
(項目17)
前記管理手段は、
前記セッションID及び前記URLを管理テーブルに格納して管理しており、
前記端末装置以外の端末装置から読取指示が受信されると、前記セッションID及び前記URLを前記管理テーブルから削除する、
ことを特徴とする項目1乃至16のいずれか1項目に記載の画像読取装置。
(項目18)
前記管理手段は、
前記セッションID及び前記URLを管理テーブルに格納して管理しており、
前記画像データが前記端末装置によって取得されると、前記セッションID及び前記URLを前記管理テーブルから削除する、
ことを特徴とする項目1乃至17のいずれか1項目に記載の画像読取装置。
(項目19)
ネットワークを介して通信可能な端末装置からアクセスを受け付けると、前記端末装置との間で確立されるセッションのセッションIDと、前記セッションIDに固有のURLとを生成し、前記セッションIDと前記URLとを関連付けて管理する管理工程と、
前記セッションを介して受信した読取指示に従って、原稿の画像を読み取って読取画像の画像データを生成する読取処理を行う処理工程と、を含み、
前記処理工程では、予め設定された時間間隔において前記URLへのアクセスを受け付けている間、前記読取処理の実行を続ける、
ことを特徴とする画像読取装置の制御方法。
(項目20)
画像読取装置のコンピュータに、項目19に記載の画像読取装置の制御方法を実行させるためのプログラム。
【0073】
発明は上記の実施形態に制限されるものではなく、発明の要旨の範囲内で、種々の変形・変更が可能である。
【符号の説明】
【0074】
100:画像読取装置、104:画像読取ユニット、10:制御部、11:CPU、13:記憶部、130:操作部、210:Webブラウザ、500:Webサーバ、502:スキャンアプリ、503:端末管理アプリ