特開 2025-6422 親綱支柱支持具

(19)【発行国】日本国特許庁(JP)

(12)【公報種別】公開特許公報(A)

(11)【公開番号】P2025006422

(43)【公開日】2025-01-17

(54)【発明の名称】親綱支柱支持具

(51)【国際特許分類】

   A62B 35/00 20060101AFI20250109BHJP

【ＦＩ】

A62B35/00 H

【審査請求】未請求

【請求項の数】4

【出願形態】ＯＬ

(21)【出願番号】P 2023107209

(22)【出願日】2023-06-29

(71)【出願人】

【識別番号】596156886

【氏名又は名称】セイコー機器株式会社

(71)【出願人】

【識別番号】390019541

【氏名又は名称】江戸川機鋼株式会社

(74)【代理人】

【識別番号】100160990

【弁理士】

【氏名又は名称】亀崎 伸宏

(72)【発明者】

【氏名】盛高 裕治

(72)【発明者】

【氏名】合田 忠夫

【テーマコード（参考）】

2E184

【Ｆターム（参考）】

2E184KA13

2E184LA03

(57)【要約】      （修正有）

【課題】繰り返し賃貸しすることに好適な親綱支柱支持具を提供する。
【解決手段】親綱支柱支持具１は、Ｈ形鋼におけるフランジから当該フランジの幅方向の一方に食み出るようにフランジの上面に重ねられ、フランジから食み出た位置であってフランジの長さ方向に互いに間隔を空けた位置に一対の馬鹿穴を有しているメインプレート２と、フランジから幅方向の一方に食み出るようにメインプレート２の上面に重ねられ、一対の第１馬鹿穴に連なる各々の位置に一対の第２馬鹿穴を有しているカバープレート３と、フランジから幅方向の一方に食み出るようにフランジの下面に重ねられ、一対の第１馬鹿穴に連なる各々の位置に一対の第３馬鹿穴を有しているサブプレート４と、一対の第１馬鹿穴、一対の第２馬鹿穴、及び一対の第３馬鹿穴に通される一対のボルト５と、一対のボルト５の各々に嵌め込まれる一対のナット６と、を備えている。
【選択図】図２

【特許請求の範囲】

【請求項1】

Ｈ形鋼におけるフランジに取り付けられ、前記フランジの幅を補いつつ親綱支柱を支持する親綱支柱支持具であって、
前記フランジから該フランジの幅方向の一方に食み出るように前記フランジの上面に重ねられ、前記フランジから食み出た位置であって前記フランジの長さ方向に互いに間隔を空けた位置に一対の第１馬鹿穴を有しているメインプレートと、
前記フランジから前記幅方向の一方に食み出るように前記メインプレートの上面に重ねられ、前記一対の第１馬鹿穴に連なる各々の位置に一対の第２馬鹿穴を有しているカバープレートと、
前記フランジから前記幅方向の一方に食み出るように前記フランジの下面に重ねられ、前記一対の第１馬鹿穴に連なる各々の位置に一対の第３馬鹿穴を有しているサブプレートと、
前記一対の第１馬鹿穴、前記一対の第２馬鹿穴、及び前記一対の第３馬鹿穴に通される一対のボルトと、
前記一対のボルトの各々に嵌め込まれる一対のナットと、を備えていることを特徴とする
親綱支柱支持具。

【請求項2】

前記メインプレートは、前記フランジにおける前記幅方向の他方の端部を巻き込むように、前記幅方向の他方の端部が下方に向けて折り曲げられていることで、側面視でＬ字状に構成されていることを特徴とする
請求項１に記載の親綱支柱支持具。

【請求項3】

前記カバープレートの上方に位置し、前記親綱支柱を設置する際に前記親綱支柱の締付ボルトの前記幅方向の移動を制限するガイド手段を備えていることを特徴とする
請求項１に記載の親綱支柱支持具。

【請求項4】

前記カバープレートの上方に位置する把手を備えていることを特徴とする
請求項１に記載の親綱支柱支持具。

【発明の詳細な説明】

【技術分野】

【0001】

本発明は、親綱支柱支持具に関する。

【背景技術】

【0002】

高所作業者は、墜落時の事故を抑制するために、身体を支持する安全帯（墜落抑止用器具）の着用が義務付けられている。安全帯は、対の親綱支柱に架け渡されている親綱に連結ベルトを介して繋がれる。対の親綱支柱は、それぞれ、建設現場等の足場となるＨ形鋼におけるフランジに固定されるものであるが、当該フランジの幅が小さい場合には、フランジの幅を補う親綱支柱支持具（例えば、特許文献１～５参照）を介して固定される。

【先行技術文献】

【特許文献】

【0003】

【特許文献1】特開２０２３－０３８５１０号公報

【特許文献2】特許第６８４３３８５号公報

【特許文献3】意匠登録第１７２３５５４号公報

【特許文献4】意匠登録第１７２３４９２号公報

【特許文献5】意匠登録第１７０６３６８号公報

【発明の概要】

【発明が解決しようとする課題】

【0004】

親綱支柱支持具は、親綱支柱の締付ボルトによってＨ形鋼におけるフランジに締め付けられるので、傷が付きやすい。傷が付いた親綱支柱支持具は、見た目が悪いため、繰り返し賃貸しすることに適していない。

【0005】

本発明は、上記課題を鑑みてなされたものであり、繰り返し賃貸しすることに好適な親綱支柱支持具を提供することを目的とする。

【課題を解決するための手段】

【0006】

（１）本発明は、Ｈ形鋼におけるフランジに取り付けられ、前記フランジの幅を補いつつ親綱支柱を支持する親綱支柱支持具であって、前記フランジから該フランジの幅方向の一方に食み出るように前記フランジの上面に重ねられ、前記フランジから食み出た位置であって前記フランジの長さ方向に互いに間隔を空けた位置に一対の第１馬鹿穴を有しているメインプレートと、前記フランジから前記幅方向の一方に食み出るように前記メインプレートの上面に重ねられ、前記一対の第１馬鹿穴に連なる各々の位置に一対の第２馬鹿穴を有しているカバープレートと、前記フランジから前記幅方向の一方に食み出るように前記フランジの下面に重ねられ、前記一対の第１馬鹿穴に連なる各々の位置に一対の第３馬鹿穴を有しているサブプレートと、前記一対の第１馬鹿穴、前記一対の第２馬鹿穴、及び前記一対の第３馬鹿穴に通される一対のボルトと、前記一対のボルトの各々に嵌め込まれる一対のナットと、を備えていることを特徴とする親綱支柱支持具である。

【0007】

本発明によれば、一対のナットの各々を一対のボルトの各々から外すことで容易に分解することができる。このため、本発明によれば、親綱支柱の締付ボルトによってＨ形鋼におけるフランジに締め付けられた場合に傷が付きやすいカバープレートを容易に交換することができる。

【0008】

（２）本発明はまた、前記メインプレートは、前記フランジにおける前記幅方向の他方の端部を巻き込むように、前記幅方向の他方の端部が下方に向けて折り曲げられていることで、側面視でＬ字状に構成されていることを特徴とする上記（１）に記載の親綱支柱支持具である。

【0009】

本発明によれば、メインプレートが、フランジにおける幅方向の他方の端部を巻き込むように、側面視でＬ字状に構成されているので、Ｈ形鋼におけるフランジに取り付けられ、親綱支柱を支持している場合に、Ｈ形鋼におけるフランジから脱落することを防止できる。

【0010】

（３）本発明はまた、前記カバープレートの上方に位置し、前記親綱支柱を設置する際に前記親綱支柱の締付ボルトの前記幅方向の移動を制限するガイド手段を備えていることを特徴とする上記（１）に記載の親綱支柱支持具である。

【0011】

本発明によれば、親綱支柱の締付ボルトの幅方向の移動を制限するガイド手段を備えているので、親綱支柱を容易に設置することができる。

【0012】

（４）本発明はまた、前記カバープレートの上方に位置する把手を備えていることを特徴とする上記（１）に記載の親綱支柱支持具である。

【0013】

本発明によれば、把手を備えているので、Ｈ形鋼におけるフランジに対する取付け及び取外しを容易に行うことができる。

【発明の効果】

【0014】

上記（１）～（４）に記載の本発明によれば、繰り返し賃貸しすることに好適な親綱支柱支持具を提供することができる。

【図面の簡単な説明】

【0015】

【図1】本発明の実施形態に係る親綱支柱支持具の外観斜視図である。

【図2】図１に示す親綱支柱支持具の分解斜視図である。

【図3】メインプレート、把手及び一対のガイドバーの分解斜視図である。

【図4】図１に示す親綱支柱支持具の側面図である。

【図5】図１に示す親綱支柱支持具の使用状態図であり、Ｈ形鋼におけるフランジに取り付けられる前の状態を示す。

【図6】図１に示す親綱支柱支持具の使用状態図であり、親綱支柱を支持する前の状態を示す。

【図7】図１に示す親綱支柱支持具の使用状態図であり、親綱支柱を支持した後の状態を示す。

【発明を実施するための形態】

【0016】

以下、図面を参照して、本発明の実施形態に係る親綱支柱支持具１について詳細に説明する。

【0017】

まず、図１～図４を用いて、本発明の実施形態に係る親綱支柱支持具１の構造について説明する。図１は、親綱支柱支持具１の外観斜視図である。図２は、親綱支柱支持具１の分解斜視図である。図３は、メインプレート２、把手８及び一対のガイドバー７の分解斜視図である。図４は、親綱支柱支持具１の側面図である。

【0018】

図１、図２及び図４に示す親綱支柱支持具１は、建設現場等の足場となるＨ形鋼Ｈ（図５～図７参照）におけるフランジＦ（図５～図７参照）の幅が小さい場合に、フランジＦ（図５～図７参照）に取り付けられ、フランジＦ（図５～図７参照）の幅を補いつつ親綱支柱Ｓ（図５～図７参照）を支持する。なお、親綱支柱Ｓ（図５～図７参照）は、対で用いられ、親綱支柱Ｓ（図５～図７参照）同士の間に、高所作業者が着用する安全帯と連結ベルトを介して繋がれる親綱を架け渡す。

【0019】

具体的に、親綱支柱支持具１は、メインプレート２と、カバープレート３と、サブプレート４と、一対のボルト５と、一対のナット６と、一対のガイドバー（ガイド手段）７と、把手８と、を備えている。

【0020】

図１～図４に示すメインプレート２は、矩形のステンレス鋼板を加工したものであり、Ｈ形鋼Ｈ（図５～図７参照）におけるフランジＦ（図５～図７参照）から当該フランジＦ（図５～図７参照）の幅方向の一方に食み出るようにフランジＦ（図５～図７参照）の上面に重ねられる。

【0021】

このメインプレート２は、Ｈ形鋼Ｈ（図５～図７参照）におけるフランジＦ（図５～図７参照）から食み出た位置であってフランジＦ（図５～図７参照）の長さ方向に互いに間隔を空けた位置に一対の第１馬鹿穴２１を有している。

【0022】

また、メインプレート２は、Ｈ形鋼Ｈ（図５～図７参照）におけるフランジＦ（図５～図７参照）の長さ方向及び幅方向に互いに間隔を空けた位置に、一対のガイドバー７を取り付けるための二対のガイドバー用取付孔２２を有していると共に、フランジＦ（図５～図７参照）の幅方向に互いに間隔を空けた位置に、把手８を取り付けるための一対の把手用取付孔２３を有している。

【0023】

さらに、メインプレート２は、Ｈ形鋼Ｈ（図５～図７参照）のフランジＦ（図５～図７参照）における幅方向の他方の端部を巻き込むように、幅方向の他方の端部が下方に向けて折り曲げられていることで、側面視でＬ字状に構成されている。

【0024】

図１、図２及び図４に示すカバープレート３は、矩形のステンレス鋼板を加工したものであり、Ｈ形鋼Ｈ（図５～図７参照）におけるフランジＦ（図５～図７参照）から幅方向の一方に食み出るようにメインプレート２の上面に重ねられる。

【0025】

このカバープレート３は、Ｈ形鋼Ｈ（図５～図７参照）におけるフランジＦ（図５～図７参照）から食み出た位置であってフランジＦ（図５～図７参照）の長さ方向に互いに間隔を空けた位置に、すなわち、一対の第１馬鹿穴２１に連なる各々の位置に、一対の第２馬鹿穴３１を有している。

【0026】

また、カバープレート３は、メインプレート２に取り付けられた一対のガイドバー７に重なる各々の位置に、一対のガイドバー用スリット３２を有していると共に、メインプレート２に取り付けられた把手８に重なる位置に、把手用スリット３３を有している。

【0027】

サブプレート４は、矩形のステンレス鋼板を加工したものであり、Ｈ形鋼Ｈ（図５～図７参照）におけるフランジＦ（図５～図７参照）から幅方向の一方に食み出るようにフランジＦ（図５～図７参照）の下面に重ねられる。

【0028】

このサブプレート４は、Ｈ形鋼Ｈ（図５～図７参照）におけるフランジＦ（図５～図７参照）から食み出た位置であってフランジＦ（図５～図７参照）の長さ方向に互いに間隔を空けた位置に、すなわち、一対の第１馬鹿穴２１に連なる各々の位置に、一対の第３馬鹿穴４１を有している。

【0029】

一対のボルト５は、一対の第１馬鹿穴２１、一対の第２馬鹿穴３１、及び一対の第３馬鹿穴４１に通される。具体的に、一対のボルト５は、それぞれ、一対の第１馬鹿穴２１のいずれか、並びに当該第１馬鹿穴２１に連なる第２馬鹿穴３１及び第３馬鹿穴４１に通される。

【0030】

一対のナット６は、一対のボルト５の各々に嵌め込まれる。

【0031】

図１～図４に示す一対のガイドバー７は、カバープレート３の上方に位置し、親綱支柱Ｓ（図５～図７参照）を設置する際に親綱支柱Ｓ（図５～図７参照）の締付ボルトＢ（図５～図７参照）についてのフランジＦ（図５～図７参照）の幅方向の移動を制限する。これら一対のガイドバー７は、メインプレート２の二対のガイドバー用取付孔２２に嵌め込まれてから溶接で固定される。

【0032】

把手８は、カバープレート３の上方に位置する。この把手８は、メインプレート２の一対の把手用取付孔２３に嵌め込まれてから溶接で固定される。

【0033】

次に、図５～図７を用いて、親綱支柱支持具１の使用方法について説明する。図５は、親綱支柱支持具１の使用状態図であり、Ｈ形鋼ＨにおけるフランジＦに取り付けられる前の状態を示す。図６は、親綱支柱支持具１の使用状態図であり、親綱支柱Ｓを支持する前の状態を示す。図７は、親綱支柱支持具１の使用状態図であり、親綱支柱Ｓを支持した後の状態を示す。

【0034】

まず、親綱支柱支持具１は、メインプレート２及びサブプレート３の互いの間隔が広げられた状態にされてから、Ｈ形鋼ＨにおけるフランジＦに取り付けられる（図５→図６参照）。親綱支柱支持具１は、Ｈ形鋼ＨにおけるフランジＦに取り付けられることで、フランジＦの幅を補う（図６参照）。その後、親綱支柱支持具１が取り付けられているＨ形鋼ＨにおけるフランジＦに親綱支柱Ｓが取り付けられる。

【0035】

以上説明したように、親綱支柱支持具１によれば、一対のナット６の各々を一対のボルト５の各々から外すことで容易に分解することができる。このため、親綱支柱支持具１によれば、親綱支柱Ｓの締付ボルトＢによってＨ形鋼ＨにおけるフランジＦに締め付けられた場合に傷が付きやすいカバープレート３を容易に交換することができる。これにより、繰り返し賃貸しすることに好適な親綱支柱支持具１を提供することができる。

【0036】

また、親綱支柱支持具１によれば、メインプレート２が、フランジＦにおける幅方向の他方の端部を巻き込むように、側面視でＬ字状に構成されているので、Ｈ形鋼ＨにおけるフランジＦが取り付けられ、親綱支柱Ｓを支持している場合に、Ｈ形鋼におけるフランジＦから脱落することを防止できる。

【0037】

また、親綱支柱支持具１によれば、親綱支柱Ｓの締付ボルトＢの幅方向の移動を制限する一対のガイドバー７を備えているので、親綱支柱Ｓを容易に設置することができる。

【0038】

また、親綱支柱支持具１によれば、把手８を備えているので、Ｈ形鋼ＨにおけるフランジＦに対する取付け及び取外しを容易に行うことができる。

【0039】

本発明は、上記実施形態に限られるものではなく、その趣旨及び技術思想を逸脱しない範囲で種々の変形が可能である。すなわち、各構成の位置、大きさ、長さ、数量、形状、材質などは適宜変更できる。

【符号の説明】

【0040】

１ 親綱支柱支持具
２ メインプレート
２１ 第１馬鹿穴
２２ 二対のガイドバー用取付孔
２３ 一対の把手用取付孔
３ カバープレート
３１ 第２馬鹿穴
３２ 一対のガイドバー用スリット
３３ 把手用スリット
４ サブプレート
４１ 第３馬鹿穴
５ 一対のボルト
６ 一対のナット
７ 一対のガイドバー（ガイド手段）
８ 把手
Ｈ Ｈ形鋼
Ｆ フランジ
Ｓ 親綱支柱
Ｂ 締付ボルト

【図1】

【図2】

【図3】

【図4】

【図5】

【図6】

【図7】