(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2025006440
(43)【公開日】2025-01-17
(54)【発明の名称】発光モジュールの製造方法および発光装置の製造方法
(51)【国際特許分類】
H10H 20/856 20250101AFI20250109BHJP
H10H 20/85 20250101ALI20250109BHJP
F21S 2/00 20160101ALI20250109BHJP
F21Y 115/10 20160101ALN20250109BHJP
【FI】
H01L33/60
H01L33/48
F21S2/00 424
F21Y115:10
【審査請求】未請求
【請求項の数】12
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023107235
(22)【出願日】2023-06-29
(71)【出願人】
【識別番号】000226057
【氏名又は名称】日亜化学工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110004026
【氏名又は名称】弁理士法人iX
(72)【発明者】
【氏名】三木 章
【テーマコード(参考)】
3K244
5F142
【Fターム(参考)】
3K244AA01
3K244BA31
3K244CA02
3K244DA01
3K244EA01
3K244EA16
3K244LA01
3K244LA06
3K244LA07
5F142AA56
5F142CE06
5F142CE15
5F142CE16
5F142CG04
5F142CG05
5F142CG24
5F142DA14
5F142DB38
5F142DB42
5F142EA02
5F142EA06
5F142FA21
5F142FA24
5F142FA42
5F142FA46
(57)【要約】
【課題】安定して薄型化を可能にした発光モジュールの製造方法および発光装置の製造方法を提供する。
【解決手段】実施形態に係る発光モジュールの製造方法は、電極を有する光源と、第1面と前記第1面の反対側に位置する第2面とを有し、前記電極を上にして前記第2面上に前記光源を配置した導光部材と、を含む第1部材を準備する工程と、前記導光部材の前記第2面上に光反射性樹脂を配置する工程と、減圧雰囲気下において、前記導光部材の前記第2面上、前記光源上および前記光反射性樹脂上にフィルムを配置する工程と、前記フィルムに押圧部材を押し当てることにより、前記光源および前記光反射性樹脂を押圧する工程と、前記フィルムを剥離する工程と、を備える。
【選択図】
図10A
【特許請求の範囲】
【請求項1】
電極を有する光源と、第1面と前記第1面の反対側に位置する第2面とを有し、前記電極を上にして前記第2面上に前記光源を配置した導光部材と、を含む第1部材を準備する工程と、
前記導光部材の前記第2面上に光反射性樹脂を配置する工程と、
減圧雰囲気下において、前記導光部材の前記第2面上、前記光源上および前記光反射性樹脂上にフィルムを配置する工程と、
前記フィルムに押圧部材を押し当てることにより、前記光源および前記光反射性樹脂を押圧する工程と、
前記フィルムを剥離する工程と、
を備えた発光モジュールの製造方法。
【請求項2】
前記第1部材を準備する工程は、
前記光源を準備する工程と、
前記導光部材を準備する工程と、
前記電極を上にして前記第2面上に光源を配置する工程と、
を含む請求項1記載の発光モジュールの製造方法。
【請求項3】
前記フィルムを配置する工程は、前記フィルムと前記導光部材との間で前記光反射性部材を加圧する工程を含む請求項1記載の発光モジュールの製造方法。
【請求項4】
前記押圧部材は、ローラーであり、
前記ローラーの前記フィルムに押し当てる押圧面の硬度は、前記光源の硬度よりも低く、硬化前の前記光反射性樹脂の硬度よりも高い請求項1~3のいずれか1つに記載の発光モジュールの製造方法。
【請求項5】
前記押圧する工程において、前記導光部材の前記第1面から前記押圧面までの最短距離が、前記第1面から前記電極の先端までの最短距離よりも短く設定された請求項4記載の発光モジュールの製造方法。
【請求項6】
前記押圧する工程後であって前記フィルムを剥離する工程前に、前記光反射性樹脂を仮硬化する工程と、
前記フィルムを剥離する工程の後に、仮硬化された前記光反射性樹脂を硬化する工程をさらに備えた請求項1~3のいずれか1つに記載の発光モジュールの製造方法。
【請求項7】
前記導光部材は、前記第2面に凹部を含み、
前記光源を配置する工程は、前記光源を前記凹部に配置する工程を含む請求項1~3のいずれか1つに記載の発光モジュールの製造方法。
【請求項8】
光取出面と前記光取出面の反対側に位置する電極形成面と前記電極形成面に配置された電極とを含む発光素子と、一方の面上に前記光取出面側から前記発光素子を配置された支持部材と、を含む第2部材を準備する工程と、
封止樹脂を、前記電極上および前記電極形成面上に配置する工程と、
減圧雰囲気下において、前記支持部材の前記一方の面上、前記発光素子上および前記封止樹脂上にフィルムを配置する工程と、
前記フィルムに押圧部材を押し当てることにより、前記発光素子および前記封止樹脂を押圧する工程と、
前記フィルムを剥離する工程と、
を備えた発光装置の製造方法。
【請求項9】
前記押圧する工程後であって前記フィルムを剥離する工程の前に、前記封止樹脂を仮硬化する工程と、
前記フィルムを剥離する工程後に、仮硬化された前記封止樹脂を硬化する工程と、をさらに備えた請求項8記載の発光装置の製造方法。
【請求項10】
前記押圧する工程後であって前記フィルムを剥離する工程前に、前記封止樹脂を硬化する工程をさらに備えた請求項8記載の発光モジュールの製造方法。
【請求項11】
前記第2部材を準備する工程は、波長変換部材を介して、前記支持部材の一方の面に前記発光素子を配置する請求項8~10のいずれか1つに記載の発光装置の製造方法。
【請求項12】
前記第2部材を準備する工程は、遮光性部材および前記遮光部材上に配置された波長変換部材を介して、前記支持部材の一方の面上に前記発光素子を配置する請求項8~10のいずれか1つに記載の発光装置の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
実施形態は、発光モジュールの製造方法および発光装置の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、表示装置のバックライト等として、発光ダイオードを用いた光源を平面状に配列した発光モジュールが広く利用されている。
【0003】
このような発光モジュールにおいては薄型化の要求がある。発光モジュールを薄型化するために、発光モジュールの各構成要素の薄型化を安定して実現する必要がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
実施形態は、安定して薄型化できる発光モジュールの製造方法および発光装置の製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
実施形態に係る発光モジュールの製造方法は、電極を有する光源と、第1面と前記第1面の反対側に位置する第2面とを有し、前記電極を上にして前記第2面上に前記光源を配置した導光部材と、を含む第1部材を準備する工程と、前記導光部材の前記第2面上に光反射性樹脂を配置する工程と、減圧雰囲気下において、前記導光部材の前記第2面上、前記光源上および前記光反射性樹脂上にフィルムを配置する工程と、前記フィルムに押圧部材を押し当てることにより、前記光源および前記光反射性樹脂を押圧する工程と、前記フィルムを剥離する工程と、を備える。
【0007】
実施形態に係る発光装置の製造方法は、光取出面と前記光取出面の反対側に位置する電極形成面と前記電極形成面に配置された電極とを含む発光素子と、一方の面上に前記光取出面側から前記発光素子を配置された支持部材と、を含む第2部材を準備する工程と、封止樹脂を、前記電極上および前記電極形成面上に配置する工程と、減圧雰囲気下において、前記支持部材の前記一方の面上、前記発光素子上および前記封止樹脂上にフィルムを配置する工程と、前記フィルムに押圧部材を押し当てることにより、前記発光素子および前記封止樹脂を押圧する工程と、前記フィルムを剥離する工程と、を備える。
【発明の効果】
【0008】
本実施形態によれば、安定して薄型化できる発光モジュールの製造方法および発光装置の製造方法を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】第1の実施形態に係る発光モジュールを例示する模式的な斜視図である。
【
図2】
図1のII-II線における模式的な断面図である。
【
図3】第1の実施形態に係る発光モジュールの光源を例示する模式的な断面図である。
【
図4A】第1の実施形態に係る発光モジュールの光源の変形例を示す模式的な断面図である。
【
図4B】第1の実施形態に係る発光モジュールの光源の変形例を示す模式的な断面図である。
【
図4C】第1の実施形態に係る発光モジュールの光源の変形例を示す模式的な断面図である。
【
図5A】第1の実施形態に係る発光モジュールの光源の変形例を示す模式的な断面図である。
【
図5B】第1の実施形態に係る発光モジュールの光源の変形例を示す模式的な断面図である。
【
図5C】第1の実施形態に係る発光モジュールの光源の変形例を示す模式的な断面図である。
【
図6A】第1の実施形態に係る発光モジュールの製造方法を例示する模式的な上面図である。
【
図6B】
図6AのVIB-VIB線における模式的な断面図である。
【
図7】第1の実施形態に係る発光モジュールの製造方法を例示する模式的な断面図である。
【
図8A】第1の実施形態に係る発光モジュールの製造方法を例示する模式的な上面図である。
【
図8B】
図8AのVIIIB-VIIIB線における模式的な断面図である。
【
図9A】第1の実施形態に係る発光モジュールの製造方法を例示する模式的な断面図である。
【
図9B】第1の実施形態に係る発光モジュールの製造方法を例示する模式的な断面図である。
【
図10A】第1の実施形態に係る発光モジュールの製造方法を例示する模式的な断面図である。
【
図10B】第1の実施形態に係る発光モジュールの製造方法を例示する模式的な断面図である。
【
図11A】第1の実施形態に係る発光モジュールの製造方法を例示する模式的な上面図である。
【
図11B】第1の実施形態に係る発光モジュールの製造方法を例示する模式的な斜視図である。
【
図12A】第1の実施形態に係る発光モジュールの製造方法を例示する模式的な断面図である。
【
図12B】第1の実施形態に係る発光モジュールの製造方法を例示する模式的な上面図である。
【
図13A】第1の実施形態に係る発光モジュールの製造方法を例示する模式的な断面図である。
【
図13B】第1の実施形態に係る発光モジュールの製造方法を例示する模式的な断面図である。
【
図14A】ローラーによる押し込み量を説明するための模式的な断面図である。
【
図14B】ローラーによる押し込み量と光反射性部材の厚さとの関係を表すグラフ図である。
【
図15A】第2の実施形態に係る発光装置の製造方法を例示する模式的な断面図である。
【
図15B】第2の実施形態に係る発光装置の製造方法を例示する模式的な断面図である。
【
図15C】第2の実施形態に係る発光装置の製造方法を例示する模式的な断面図である。
【
図16A】第2の実施形態に係る発光装置の製造方法を例示する模式的な断面図である。
【
図16B】第2の実施形態に係る発光装置の製造方法を例示する模式的な断面図である。
【
図17A】第2の実施形態に係る発光装置の製造方法を例示する模式的な断面図である。
【
図17B】第2の実施形態に係る発光装置の製造方法を例示する模式的な断面図である。
【
図17C】第2の実施形態に係る発光装置の製造方法の変形例を例示する模式的な断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、図面を参照しつつ、本発明の実施形態について説明する。
なお、図面は模式的または概念的なものであり、各部分の厚みと幅との関係、部分間の大きさの比率などは、必ずしも現実のものと同一とは限らない。また、同じ部分を表す場合であっても、図面により互いの寸法や比率が異なって表される場合もある。また、断面図として、切断面のみを示す端面図を示す場合もある。
なお、本願明細書と各図において、既出の図に関して前述したものと同様の要素には、同一の符号を付して詳細な説明を適宜省略する。
【0011】
(第1の実施形態)
(発光モジュールの構成)
本実施形態に係る発光モジュールの構成について説明する。
図1は、本実施形態に係る発光モジュールを例示する模式的な斜視図である。
図2は、
図1のII-II線における模式的な断面図である。
図1および
図2に示すように、本実施形態に係る発光モジュール1は、導光部材10と、光反射性部材30と、配線層40と、絶縁膜50と、を備えている。導光部材10の形状は、ほぼ板状である。光反射性部材30は、導光部材10の下に配置されている。配線層40は、光反射性部材30の下に配置されている。絶縁膜50は、配線層40の下に配置されている。光源20の上部は、導光部材10内に配置されており、光源20の下部は光反射性部材30内に配置されている。
【0012】
本実施形態の発光モジュール1の構成の説明では、「上」や「上部」、「上方」という場合や「下」や「下部」、「下方」という場合がある。これらは、説明の便宜のためであり、必ずしも重力の方向と一致するものではない。発光モジュール1の構成では、「上」や「上部」、「上方」という場合には、絶縁膜50から導光部材10に向かう方向をいい、「下」や「下部」、「下方」という場合には、導光部材10から絶縁膜50に向かう方向をいうものとする。また、「平面視」とは、上方または下方から見ることをいうものとする。
【0013】
発光モジュール1は、複数のユニット2に分かれている。複数のユニット2は、平面状に配列されている。導光部材10、光反射性部材30、配線層40および絶縁膜50は、発光モジュール1の全体にわたって、複数のユニット2に共通して配置されている。
【0014】
光源20は、ユニット2ごとに配置されている。光源20は、平面視において、各ユニット2の中央付近に配置されている。光反射性部材30は、たとえば、光拡散材を含有した樹脂材料により形成されており、全体として白色である。光拡散材には、たとえば、酸化チタン、シリカ、アルミナ、酸化亜鉛、またはガラス等を用いることができる。このような光反射性部材30は、光源20からの光に対して60%以上の反射率を有し、好ましくは90%以上の反射率を有する。
【0015】
光反射性部材30は、光源20の下部の周囲に配置され、導光部材10の下部に配置されている。光反射性部材30は、少なくとも光源20を除いた発光モジュール1の全体にわたって配置されている。光反射性部材30は、平面視で光源20を囲み、かつ光源20から離れて配置されている。光反射性部材30は、断面視で、光源20の周囲では、ほぼ均一な厚さを有しており、光源20から離れるにしたがって、厚さが厚くなっている。各ユニット2は、光源20からもっとも離れた光反射性部材30の稜線で区画されている。
【0016】
導光部材10は、第1面10aと第2面10bとを有する。第2面10bは、第1面10aの反対側に位置している。第1面10aは、導光部材10の上面である。第2面10bは、導光部材10の下面である。導光部材10の第1面10aは、ほぼ平坦である。平面視で、第1面10aには光源20と重なる位置に凹部10cが形成されている。凹部10cは、たとえば、円錐状、四角錐状もしくは六角錐状等の多角錐形、または、円錐台状、四角錘台状もしくは六角錘台状等の多角錘台状の凹部が挙げられる。導光部材10の第2面10bには、少なくとも光源20および光反射性部材30が配置されている。
【0017】
凹部10c内には、光調整部材60が配置されている。光調整部材60は、光源20からの光の一部を反射し、他の一部を透過させる。光調整部材60は、たとえば、光源20からの光に対する反射率を70%以上とすることができ、より好ましくは、80%以上とすることができる。本実施形態では、光調整部材60は、導光部材10の第1面10a側において凹部10cの内側面の一部が露出するように配置されているが、凹部10c内部全体に配置することもできる。また、光調整部材60の少なくとも一部は、導光部材10を介して光反射性部材30と対向している。これにより、光源20からの光を導光部材10の第1面10aから効率よく外部に取り出すことができる。
【0018】
導光部材10は、透光性の材料からなり、たとえば、アクリル樹脂、ポリカーボネート樹脂、環状ポリオレフィン樹脂、ポリエチレンテレフタレート樹脂もしくはポリエステル樹脂等の熱可塑性樹脂、エポキシ樹脂もしくはシリコーン樹脂等の熱硬化性樹脂、または、ガラス等の材料を用いることができる。
【0019】
光調整部材60は、光反射性部材30と同様に、たとえば、光拡散材が含有された樹脂材料を用いることができる。光調整部材60は、たとえば、アルミニウム(Al)もしくは銀(Ag)などの光反射性の金属部材、またはDBR(Distributed Bragg Reflector)であってもよい。さらに、光調整部材60は、これらを組み合わせて用いてもよい。
【0020】
光源20の構成について説明する。
図3は、本実施形態に係る発光モジュールの光源を例示する模式的な拡大断面図である。
図3に示すように、光源20は、発光素子21を有する。発光素子21は、光取出面21aと電極形成面21bとを有する。電極形成面21bは、光取出面21aの反対側に位置している。光取出面21aは発光素子21の上面であり、電極形成面21bは発光素子21の下面である。主として光取出面21aから光が放射される。電極形成面21bからも光の一部が放射され、光取出面21aと電極形成面21bとの間に位置する側面からも光の一部が放射される。電極形成面21bには一対の電極22a,22bが配置されている。発光素子21は、半導体構造体を含んでおり、一対の電極22a,22bは、半導体構造体に形成された一対の電極に接続されている。半導体構造体では、たとえば、p型半導体層、発光層およびn型半導体層が少なくとも積層されることにより、発光ダイオードの構造が実現されている。
【0021】
発光層は、ダブルヘテロ構造または単一量子井戸構造(SQW)のように単一の活性層を持つ構造であってもよいし、多重量子井戸構造(MQW)のようにひとまとまりの活性層群を持つ構造であってもよい。発光層は、可視光または紫外光を発光可能である。たとえば、可視光としては、少なくとも青色から赤色までの光を挙げることができる。このような発光層を含む半導体構造体としては、たとえば、InxAlyGa1-x-yN(0≦x、0≦y、x+y≦1)を含むことができる。
【0022】
発光素子21は、半導体構造体に2以上の発光層を含むことができる。たとえば、半導体積層体は、n型半導体層とp型半導体層との間に2以上の発光層を含む構造であってもよいし、n型半導体層と発光層とp型半導体層とが順に積層された構造が2回以上繰り返された構造であってもよい。2以上の発光層は、たとえば、発光色が異なる発光層を含んでいてもよいし、発光色が同じ発光層を含んでいてもよい。なお、発光色が同じとは、使用上同じ発光色とみなせる範囲であればよく、たとえば、各発光色の主波長に数nm程度のばらつきがあってもよい。発光色の組み合わせとしては適宜選択することができる。
【0023】
発光素子21上には、透光部材24が配置されている。平面視で、透光部材24は発光素子21よりも大きい。透光部材24においては、たとえば、透光性の樹脂材料からなる母材中に、蛍光体が分散されている。蛍光体は、発光素子21から出射した光の一部を吸収して、異なる波長の光を放射する。一例では、蛍光体は、発光素子21から出射した青色の光を吸収して、黄色の光を放射する。これにより、青色の光と黄色の光が混色して、光源20からは白色の光が出射される。
【0024】
蛍光体としては、たとえば、イットリウム・アルミニウム・ガーネット系蛍光体(たとえば、(Y,Gd)3(Al,Ga)5O12:Ce)、ルテチウム・アルミニウム・ガーネット系蛍光体(Lu3(Al,Ga)5O12:Ce)、テルビウム・アルミニウム・ガーネット系蛍光体(Tb3(Al,Ga)5O12:Ce)、CCA系蛍光体(Ca10(PO4)6Cl2:Eu)、SAE系蛍光体(Sr4Al14O25:Eu)、クロロシリケート系蛍光体(Ca8MgSi4O16Cl2:Eu)、シリケート系蛍光体((Ba,Sr,Ca,Mg)2SiO4:Eu)、βサイアロン系蛍光体((Si,Al)3(O,N)4:Eu)もしくはαサイアロン系蛍光体(Ca(Si,Al)12(O,N)16:Eu)等の酸窒化物系蛍光体、LSN系蛍光体((La,Y)3Si6N11:Ce)、BSESN系蛍光体((Ba,Sr)2Si5N8:Eu)、SLA系蛍光体(SrLiAl3N4:Eu)、CASN系蛍光体(CaAlSiN3:Eu)もしくはSCASN系蛍光体((Sr,Ca)AlSiN3:Eu)等の窒化物系蛍光体、KSF系蛍光体(K2SiF6:Mn)、KSAF系蛍光体(K2(Si1-xAlx)F6-x:Mn ここで、xは、0<x<1を満たす。)もしくはMGF系蛍光体(3.5MgO・0.5MgF2・GeO2:Mn)等のフッ化物系蛍光体、ペロブスカイト構造を有する量子ドット((Cs,FA,MA)(Pb,Sn)(F,Cl,Br,I)3 ここで、FAとMAは、それぞれホルムアミジニウムとメチルアンモニウムを表す。)、II-VI族量子ドット(CdSe)、III-V族量子ドット(InP)、またはカルコパイライト構造を有する量子ドット((Ag,Cu)(In,Ga)(S,Se)2)等を用いることができる。透光部材24に添加する蛍光体としては、1種類の蛍光体を用いてもよく、複数種類の蛍光体を用いてもよい。なお、透光部材24は、蛍光体を含有しなくてもよく、この場合、赤色光を発する蛍光体(赤色蛍光体とも呼ぶ)と緑色光を発する蛍光体(緑色蛍光体とも呼ぶ)とを含有する蛍光体シートを導光部材10上に配置する、または赤色蛍光体を含有する蛍光体シートと緑色蛍光体を含有する蛍光体シートとをそれぞれ導光部材10上に配置する等により、同様の白色光を得ることができる。
【0025】
発光素子21の上部の周囲および発光素子21と透光部材24との間には、透光層25が設けられている。透光層25は、透光性の樹脂材料、たとえば、エポキシ樹脂またはシリコーン樹脂等を母材とする接着剤が固化したものである。透光層25は、母材よりも屈折率が低い樹脂材料からなる粒子等を含むことができる。透光層25は、発光素子21から側方に出射した光を内面で反射させ、上方に導く。透光部材24の下方であって、発光素子21、電極22a,22bおよび透光層25の周囲には、封止部材26が配置されている。
【0026】
封止部材26には、光反射性の材料を用いることができ、たとえば、酸化チタン、シリカ、アルミナ、酸化亜鉛またはガラス等の粒子からなる光拡散材を含む、シリコーン樹脂、エポキシ樹脂である。このような封止部材26の反射率は、発光素子21からの光に対して、たとえば、60%以上の反射率を有するものが挙げられ、90%以上の反射率を有するものが挙げられる。封止部材26の下面には、電極22a,22bが露出している。封止部材26の下面において、電極22a,22bが露出した領域の形状は、たとえば、それぞれ直角二等辺三角形であり、底辺同士が対向している。
【0027】
図2に戻って説明を続ける。
固定部材70は、光源20の上部と導光部材10との間に配置されている。固定部材70は、光源20の下部と光反射性部材30との間にも配置されている。すなわち、平面視で、固定部材70は、光源20の周囲に配置されている。固定部材70は、たとえば、透光性の樹脂材料であり、たとえば、エポキシ樹脂、シリコーン樹脂、これらを混合した樹脂等からなる。
【0028】
配線層40は、光反射性部材30下に配置されている。配線層40は、光源20下にも配置されている。配線層40は、配線41,42を含んでいる。配線41は、光源20下で電極22aに接続され、配線42は、光源20下で電極22bに接続されている。配線41,42は、外部に接続された電源から電極22a,22bを介して、発光素子21に電力を供給する。
【0029】
配線層40は、導電性ペーストを、たとえば塗布または印刷することにより形成されたものである。つまり、配線層40を構成する配線41,42は、樹脂材料からなる母材と、母材中に配置された複数の導電部材と、をそれぞれ含む。
【0030】
(光源の変形例)
本実施形態の発光モジュールでは、上述した光源20の構成に限らず、他の構成を有する光源としてもよい。
図4A~
図5Cは、本実施形態に係る発光モジュールの光源の変形例を示す模式的な断面図である。
図4Aに示すように、光源20aは、発光素子21と、一対の電極22a,22bと、透光部材24と、透光層25と、封止部材26と、光調整部材27と、を有する。この光源20aと、
図3に示した光源20との構成では、光源20aが光調整部材27を有する点で相違する。他の点では、光源20aの構成は、光源20の構成と同じであり詳細な説明を省略する。
【0031】
光調整部材27は、透光部材24の上面に配置されている。光調整部材27は、発光素子21が透光部材24を介して発する光の一部を反射し、他の一部を透過する。たとえば、光調整部材27は、発光素子21からの光に対する反射率が90%以上とすることができる。光調整部材27は、透光性樹脂と、透光性樹脂中に分散して含まれる光拡散剤とを有することができる。透光性樹脂は、たとえば、シリコーン樹脂およびエポキシ樹脂が挙げられる。光拡散剤としては、たとえば、TiO2、SiO2、Al2O3、ZrO2、ZnO等の微粒子が挙げられる。光調整部材27は、たとえば、AlもしくはAgなどの光反射性の金属部材、またはDBRであってもよい。光調整部材27は、これらを組み合わせて用いてもよい。
【0032】
図4Bに示すように、光源20bは、発光素子21と、一対の電極22a,22bと、透光部材24と、透光層25と、封止部材26と、を有する。光源20bの構成と、
図3に示した光源20の構成とでは、透光部材24および封止部材26の構成が相違している。他の点では、光源20bの構成は、光源20の構成と同じであり詳細な説明を省略する。なお、透光部材24および封止部材26は、光源20,20bのそれぞれで同じ材料を用いることができる。
【0033】
本変形例の光源20bでは、透光部材24は、発光素子21の上面に配置されるとともに、発光素子21の各側面にも配置されている。封止部材26は、発光素子21の下面に配置されている。封止部材26は、透光部材24の下面にも配置されている。一対の電極22a,22bは、光源20の場合と同じく、封止部材26から露出されている。
【0034】
図4Cに示すように、光源20cは、発光素子21と、一対の電極22a,22bと、透光部材24と、透光層25と、封止部材26と、光調整部材27と、を有する。光源20cと、
図4Bに示した光源20bとの構成では、光源20cが光調整部材27を有する点で相違する。他の点では、光源20cの構成は、光源20bの構成と同じであり詳細な説明を省略する。
【0035】
光調整部材27は、透光部材24の上面に配置されている。光調整部材27は、発光素子21が透光部材24を介して発する光の一部を反射し、他の一部を透過する。たとえば、光調整部材27は、発光素子21からの光に対する反射率が90%以上とすることができる。光調整部材27は、
図4Aに示した光源20aの光調整部材27と同じ材料を用いることができる。
【0036】
図5Aに示すように、光源20dは、発光素子21と、一対の電極22a,22bと、光調整部材27と、を有する。光源20dの構成と、
図4Aに示した光源20aの構成とでは、光源20dが、透光部材24、透光層25および封止部材26を有さない点で、光源20aの構成と相違する。他の点では、光源20dの構成は、
図4Aに示した光源20aの構成と同じであり、詳細な説明を省略する。発光素子21および一対の電極22a,22bの構成や材料は、光源20a,20dのそれぞれで同一とすることができる。
【0037】
光調整部材27は、発光素子21の上面に配置されている。光調整部材27は、
図4Aに示した光源20aの光調整部材27と同様に、発光素子21が透光部材24を介して発する光の一部を反射し、他の一部を透過する。たとえば、光調整部材27は、発光素子21からの光に対する反射率が90%以上とすることができる。
【0038】
図5Bに示すように、光源20eは、発光素子21と、一対の電極22a,22bと、透光部材24aと、透光層25と、封止部材26と、光調整部材27と、を有する。光源20eの構成と、
図4Aに示した光源20aとの構成とでは、透光部材24aの構成が相違する。他の点では、光源20eの構成と光源20aの構成とでは、同じであり、詳細な説明を省略する。
【0039】
光源20eでは、透光部材24aは、透光性の樹脂材料で形成されており、透光性の樹脂材料は、たとえばフィラーを含有している。フィラーの濃度を変えることによって、発光素子21から放射された光の透過率を調整することができる。透光部材24aについて、透光性の樹脂材料は、
図4Aに示した光源20aの透光部材24の透光性の樹脂材料と同じ材料を用いることができる。
【0040】
5Cに示すように、光源20fは、発光素子21と、一対の電極22a,22bと、透光部材24aと、封止部材26と、光調整部材27と、を有する。光源20fの構成と、
図5Bに示した光源20eの構成とでは、透光部材24aおよび封止部材26の構成が相違する。また、光源20fは、光源20eの透光層25を有していない点で相違する。光源20fの構成は、他の点では光源20eの構成と同じであり詳細な説明を省略する。なお、透光部材24aおよび封止部材26の材料は、光源20fおよび光源20eでは、それぞれ同一とすることができる。
【0041】
光源20fでは、透光部材24aは、発光素子21の上面に配置されている。透光部材24aは、発光素子21の各側面にも配置されている。封止部材26は、発光素子21の下面に配置されている。封止部材26は、透光部材24aの下面にも配置されている。
【0042】
図1および
図2に示した発光モジュール1では、
図3に示した光源20に代えて、変形例の光源20a~20fのうちのいずれかを適用することができる。以下の発光モジュール1の製造方法においては、光源20を適用した場合について説明する。発光モジュール1の製造方法においても、いずれの光源20a~20fを適用してもよい。
【0043】
(発光モジュール1の製造方法)
本実施形態に係る発光モジュール1の製造方法を説明する。
図6Aは、本実施形態に係る発光モジュールの製造方法を例示する模式的な上面図である。
図6Bは、
図6AのVIB-VIB線における模式的な断面図である。
図6Aに示すように、中間体100が準備される。「中間体」とは、発光モジュール1の形成過程における中間製造物をいうものとする。中間体100は、分断前の導光部材110を有する。中間体100は、複数の分断前の導光部材110を含むことができる。この例では、行列状に分断前の導光部材110が配置されている。分断前の導光部材110は、分断予定領域SLを介して、隣り合う分断前の導光部材110に連結されている。複数の分断前の導光部材110が分断予定領域SLに沿って分断されることにより、
図1および
図2に示した導光部材10が形成される。以降、分断前の導光部材110を単に導光部材110と呼ぶものとする。
【0044】
図6Bに示すように、導光部材110は、第1面10aと第2面10bとを有する。第2面10bは、第1面10aの反対側の面である。導光部材110の第1面10aおよび第2面10bは、
図2に示した導光部材10の第1面10aおよび第2面10bとそれぞれ同一の面である。このように、
図2等に関連して説明した発光モジュール1の構成要素と同一の構成要素については、同一の符号を用いるものとする。
【0045】
発光モジュール1の製造方法の説明では、図示の便宜上、導光部材110の第1面10aから第2面10bへ向かう方向を「上」や「上部」、「上方」といい、第2面10bから第1面10aに向かう方向を「下」や「下部」、「下方」という。「平面視」とは、上方または下方から見ることをいうものとする。これらは、必ずしも重力の方向と一致するものではないことは、発光モジュール1の構成で説明したことと同様である。
【0046】
導光部材110は、第1面10a側に凹部10c(以下、第1凹部10cという)が形成されている。導光部材110は、第2面10b側に凹部10d(以下、第2凹部10dという)が形成されている。第1凹部10cには、光調整部材60が形成されている。
【0047】
導光部材110は、第1面10aを下に、第2面10bを上にして載置される。したがって、導光部材110は、凹部10dが上に向かって開口した状態で載置される。
【0048】
隣り合う第2凹部10dの間には、溝10eが形成されている。平面視で、溝10eは、たとえば、第2凹部10dを囲むように形成され、導光部材110全体で、格子状に形成されている。
【0049】
図7は、本実施形態に係る発光モジュールの製造方法を例示する模式的な断面図である。
図7の断面図は、
図6AのVIB-VIB線に相当する位置における中間体100aの断面図である。
光源20が準備され、中間体(第1部材)100aが形成される。具体的には、
図7に示すように、準備された光源20は、電極22a,22bを上にして、導光部材110の第2面10bに配置され、中間体100aが形成される。
【0050】
より具体的には、光源20は、電極22a,22bを上にして、第2面10bに形成されている第2凹部10d内に配置される。第2凹部10d内に光源20を配置する場合に、第2凹部10d内にあらかじめ透光性の接着剤が配置され、光源20は、接着剤を介して第2凹部10d内に配置される。光源20の配置後、接着剤は、導光部材110および光源20とともに加熱され硬化される。硬化された接着剤は、固定部材70を形成して、光源20を導光部材110に固定する。
【0051】
上述の説明では、導光部材110を準備する工程および光源20を準備する工程の後に、中間体100aを形成する工程を実行し、それ以降の工程も連続的に実行するものである。たとえば、これらの工程は、同一のプラントや作業場等で実行される。これに限らず、他のプラントや作業場等において、すでに形成された中間体100aを準備して、準備された中間体100aを以降の工程に投入するようにしてももちろんよい。
【0052】
図8Aは、本実施形態に係る発光モジュールの製造方法を例示する模式的な上面図である。
図8Bは、
図8AのVIIIB-VIIIB線における模式的な断面図である。
図8Aおよび
図8Bに示すように、導光部材110の第2面10b上に光反射性樹脂130を配置する工程を有する。たとえば、導光部材110の第2面10bに形成されている溝10eに沿って、光反射性樹脂130が配置され、中間体100bが形成される。この例では、光反射性樹脂130は、行列状に配置された光源20の行方向に沿って配置された溝10e上に配置されている。光反射性樹脂130は、この例のように、行方向に沿った溝10eごとに配置される場合に限らず、1行おきの溝10eに配置されてもよいし2行おき以上の溝10eに配置されてもよい。光反射性樹脂130は、光源20の行列の列方向に沿って溝10e上に配置されてもよい。光反射性樹脂130は、列方向に沿って配置される場合についても、1列ごと、あるいは1列おき以上に配置されてもよい。光反射性樹脂130は、行方向の溝10eと列方向の溝10eとの両方に配置されてもよい。
【0053】
光反射性樹脂130の溝10e上への配置は、たとえば、光反射性樹脂130の吐出量を制御可能なディスペンサ装置を用いて行われる。
【0054】
図9A~
図10Bは、本実施形態に係る発光モジュールの製造方法を例示する模式的な断面図である。
図9A~
図10Bに関連して説明する発光モジュール1の製造工程は、樹脂加圧装置200を用いて、減圧雰囲気下で光反射性樹脂130を加圧する工程(樹脂加圧工程とも呼ぶ)を有する。まず、樹脂加圧装置200の構成について説明する。
図9A~
図10Bに示すように、樹脂加圧装置200は、上部収納部210、下部収納部220、上部支持部230、下部支持部240、ダイアフラム構造部250および駆動部260を有している。
【0055】
上部収納部210は、下部収納部220と、それぞれの一方の端部においてヒンジで回動自在に結合されている。下部収納部220は、内部に空間を有し、上下に可動する下部支持部240およびダイアフラム構造部250を有している。上部収納部210は、ヒンジにより回動することによって、下部収納部220の内部の空間を閉鎖する。
【0056】
上部収納部210は、上部支持部230を有する。上部支持部230は、上部収納部210が回動したときに、下部収納部220の内部の空間を閉鎖する側に配置されている。上部支持部230および下部支持部240は、たとえばゴム系の合成樹脂等により形成されており、上部収納部210と下部収納部220とによって閉鎖された空間は、上部支持部230および下部支持部240によって気密状態とすることができる。
【0057】
ダイアフラム構造部250は、下部支持部240の上面に配置されており、ダイアフラム構造部250の周縁は、下部支持部240に固定されている。下部支持部240の下部には、駆動部260の一端が接続されている。駆動部260は、下部収納部220の底部に形成された貫通孔を介して上下に可動するように配置されている。そのため、駆動部260が上昇すると、下部支持部240およびダイアフラム構造部250は、閉鎖された内部空間である閉鎖空間235内で上方に移動する。閉鎖空間235内に配置された中間体100bは、上部支持部230とダイアフラム構造部250とにより加圧される。
【0058】
下部収納部220は、排気ポンプを流体的に接続し、閉鎖空間235から空気を排気する排気口および排気管を有している。排気ポンプは、上部収納部210および下部収納部220が閉鎖されて形成された閉鎖空間235から空気を排気し、閉鎖空間235を減圧状態にする。
【0059】
このような樹脂加圧装置200を用いて、
図8Aおよび
図8Bに示した中間体100bの上面、すなわち導光部材110の第2面10b上、光源20上および光反射性樹脂130上にフィルム140を配置し、中間体100bの上面の全面にわたって光反射性樹脂130を配置する工程が実行される。
【0060】
図9Aに示すように、ダイアフラム構造部250上に中間体100bが配置される。フィルム140は、上部支持部230上に配置される。フィルム140は、上部支持部230に吸着され、あるいは、接着剤等によって、上部収納部210および上部支持部230が回動して上下が逆転したときに脱落しないように固定される。フィルム140の上部支持部230への固定位置は、上部収納部210および上部支持部230が回動して、下部収納部220を閉鎖したときに、平面視で、中間体100bに重なるように設定される。
【0061】
図9Bに示すように、上部収納部210は、フィルム140を配置した上部支持部230とともに回動され、下部収納部220を閉鎖する。ダイアフラム構造部250上に配置された中間体100bは、上部収納部210の回動により、上部支持部230に配置されたフィルム140と対向して閉鎖空間235内に配置される。
【0062】
図10Aに示す矢印のように、駆動部260が上昇する。駆動部260の上昇により、下部支持部240およびダイアフラム構造部250は、フィルム140に向かって上方に押し上げられる。下部支持部240、ダイアフラム構造部250および中間体100bの上昇により、中間体100bに配置された光反射性樹脂130は、フィルム140と導光部材110との間で加圧される。
【0063】
駆動部260の上昇によるフィルム140と導光部材110との間の光反射性樹脂130の加圧と同時に、閉鎖空間235内の空気が排気ポンプにより排気される。排気により閉鎖空間235が減圧されるため、ダイアフラム構造部250は、中間体100bとともに、駆動部260および下部支持部240が上昇する位置よりも、さらに上方へ引き上げられる。
【0064】
閉鎖空間235の減圧により、フィルム140は、中間体100bの上面に密着され、光反射性樹脂130を上から加圧する。上からの加圧により、光反射性樹脂130は、導光部材110の第2面10bに沿って引き延ばされる。引き延ばれた光反射性樹脂130は、光源20の全体を覆う。引き延ばされた光反射性樹脂130は、行方向の溝10eも埋めて、導光部材110の第2面10b上の全体にわたってひろがる。減圧された閉鎖空間235の気圧を適切に設定することによって、光反射性樹脂130内に残存する気泡や、光反射性樹脂130と導光部材110との間の空間や気泡、光反射性樹脂130と光源20との間の空間や気泡が排出される。
【0065】
上述の樹脂加圧工程では、閉鎖空間235を減圧する空間減圧工程を同時に行うとしたが、たとえば、樹脂加圧工程の後に、空間減圧工程を行うようにしてもよい。
【0066】
図10Bに示すように、閉鎖空間235の減圧および光反射性樹脂130の加圧が終了すると、再度閉鎖空間235に空気が導入され、上部収納部210は、下部収納部220から解放される。上部収納部210が回動して、閉鎖状態が解消されると、ダイアフラム構造部250上に中間体100cが形成されている。中間体100cは、上面にフィルム140が配置されている。フィルム140は、後述する
図11Aに示すように、光源20および導光部材110の第2面10bの全面にわたって配置された光反射性樹脂130a上に配置されている。
【0067】
図11Aは、本実施形態に係る発光モジュールの製造方法を例示する模式的な上面図である。
図11Bは、本実施形態に係る発光モジュールの製造方法を例示する模式的な斜視図である。
図11Aおよび
図11Bに関連して説明する発光モジュール1の製造工程では、樹脂平坦化装置300を用いて、光源20および光反射性樹脂130aを押圧する工程(平坦化工程とも呼ぶ)を実行する。
図11Aに示す上面図は、
図9A~
図10Bに関連して説明した樹脂加圧工程において形成された中間体100cを表している。中間体100cでは、発光素子21上および導光部材110の第2面10b上の全体にわたって、光反射性樹脂130aが配置され、光反射性樹脂130a上にフィルム140が配置されている。
図11Bは、このような中間体100cを樹脂平坦化装置300にセットして、樹脂平坦化装置300による平坦化工程を実行している様子を表している。
【0068】
図11Aに示すように、
図9A~
図10Bに示した樹脂加圧装置200によって、光反射性樹脂130aは、すべての溝10eや分断予定領域SLも充填するように配置されている。この状態においては、光反射性樹脂130aの上面は、必ずしも平坦ではなく、光反射性樹脂130aは、光源20の電極22a,22bを覆っている。
【0069】
図11Bに示すように、樹脂平坦化装置300は、押圧部材、たとえばローラー310を有している。ローラー310は、押圧面S310を有している。押圧面S310は、中間体100cの上面に押し当てられる面である。押圧面S310の硬度は、中間体100cに配置された光源20の硬度よりも低い。押圧面S310の硬度は、中間体100cに配置された光反射性樹脂130aの硬度よりも高い。このような硬度となるように、ローラー310および押圧面S310の材質が決定される。
【0070】
中間体100cは、樹脂平坦化装置300の載置面301a上に載置される。中間体100cの載置に際しては、フィルム140が配置された面が載置面301aにほぼ平行となるように、フィルム140を上に向けて載置される。
【0071】
樹脂平坦化装置300は、載置面301aに直交する方向であって、フィルム140から載置面301aに向かう矢印AR1の方向にローラー310を押圧する。樹脂平坦化装置300は、ローラー310により中間体100cを押圧し、光反射性樹脂130aの上面の載置面301aからの高さを低下させる。このとき、樹脂平坦化装置300は、光源20の電極22a,22bが光反射性樹脂130aから露出するように、押圧の度合いが調整される。
【0072】
樹脂平坦化装置300は、載置面301aに平行な矢印AR2の方向にローラー310を転がして移動させる。中間体100cは、矢印AR2の方向に対して、任意の向きに載置することができ、たとえば、
図8Aに示した光反射性樹脂130の配置に沿った方向に矢印AR1の向きが一致するように載置される。
【0073】
樹脂平坦化装置300は、押圧面S310による押圧およびローラー310の移動により、中間体100cを所望の度合いで矢印AR1の方向に押圧しながら、フィルム140の上面を矢印AR2の方向に転がして移動させる。このような平坦化工程によって、光反射性樹脂130aは、全面にわたって平坦化する。押圧の度合いを適切に調整し、設定することによって、光反射性樹脂130aから光源20の電極22a,22bが露出される。
【0074】
樹脂平坦化装置300では、中間体100c上のローラー310の押圧および移動は、1回に限らず、複数回としてもよい。ローラー310の押圧および移動を複数回とする場合には、1回目の押圧および移動を矢印AR2の方向で行った後に、矢印AR2とは反対方向に移動させて2回目の押圧および移動としてもよい。各回の移動方向を同一方向としてもよい。矢印AR2の方向で押圧および移動を行った後に、中間体100cを90°回転して載置し、矢印AR2の方向で押圧および移動を行うようにしてもよい。ローラー310による中間体100cを押圧する度合いは、押圧および移動ごとに同じでもよいし、異なる圧力としてもよい。
【0075】
押圧の度合いは、たとえば、
図14Aおよび
図14Bに関連して後述するように、ローラー310の押し込み量によって調整され、設定される。光反射性樹脂130aの平坦化および電極22a,22bの露出を両立できれば、これに限らず、たとえば、ローラー310の回転軸に対する圧力を直接計測して、圧力値を調整し、設定する等してもよい。
【0076】
図12Aは、実施形態に係る発光モジュールの製造方法を例示する模式的な断面図である。
図12Bは、本実施形態に係る発光モジュールの製造方法を例示する模式的な上面図である。
図12Cは、
図12BのXIIC-XIIC線における模式的な断面図である。
図12Aに示すように、光反射性樹脂130aを仮硬化する工程(仮硬化工程とも呼ぶ)により、中間体100eが形成される。仮硬化工程は、仮硬化された光反射性樹脂130bを形成する工程である。仮硬化工程は、平坦化された光反射性樹脂130bの上面に配置されたフィルム140の剥離を容易にするために行われる。仮硬化工程では、たとえば短時間の加熱により中間体100eが形成される。中間体100eを加熱するオーブンの温度および加熱時間は、光反射性樹脂の材質およびフィルム140の材質により適切に設定される。仮硬化工程後、フィルム140を剥離する剥離工程が実行される。
【0077】
図12Bおよび
図12Cに示すように、フィルム140を剥離する工程(剥離工程とも呼ぶ)後、所定温度で所定時間の加熱を行う光反射性樹脂130bを硬化する工程(本硬化工程とも呼ぶ)により、中間体100fが形成される。本硬化工程では、所望の硬度に硬化された光反射性部材130cが形成される。中間体100fを加熱するオーブンの温度および加熱時間は、光反射性樹脂の材質により適切に設定される。この具体例では、フィルム140の剥離を容易にするため、仮硬化工程の実行後に、本硬化工程を実行することとしたが、フィルムや光反射性樹脂の材質等により、仮硬化工程を省略し1回の本硬化工程とすることができる。本硬化された光反射性部材130cの上面は、平坦性が維持されており、光源20の電極22a,22bが露出されている。
【0078】
図13Aおよび
図13Bは、本実施形態に係る発光モジュールの製造方法を例示する模式的な断面図である。
図13Aおよび
図13Bに示した断面図は、
図12BのXIIC-XIIC線に相当する断面線における中間体100g,100hのそれぞれの矢視断面図である。
図13Aに示すように、導電性ペーストが配置された中間体100gが形成される。中間体100gでは、導電性ペーストは、平坦化された光反射性部材130cの上面に配置される。中間体100gは、オーブン等により加熱され、導電性ペーストが硬化される。これにより、配線層40が形成される。
【0079】
その後、配線層40をレーザーエッチングにより配線41,42に分断する。具体的には、配線層40を、光源20の電極22aに接続されている部分と、電極22bに接続されている部分との間の部分にレーザー光Lを照射し、この部分を除去する。これにより、電極22aに接続された配線41が形成され、電極22bに接続された配線42が形成される。
【0080】
図13Bに示すように、光反射性部材130cの上面および配線41,42を含む配線層40を覆うように絶縁性の樹脂材料を配置し、硬化させる。これにより、絶縁膜50が形成された中間体100hが形成される。
【0081】
その後、中間体100hは、分断予定領域SLに沿って、光反射性部材130cおよび導光部材110を分断され、個片化されて
図1に示した発光モジュール1が形成される。
【0082】
図11Bに関連して説明した樹脂平坦化装置300を用いた場合において、光反射性樹脂130aから光源20の電極22a,22bを露出させる具体例について説明する。
図14Aは、ローラー310による押し込み量を説明するための模式的な断面図である。
図14Bは、ローラー310による押し込み量と、電極22a,22bの位置に対する光反射性樹脂の上面の位置との関係を表すグラフ図である。
なお、
図14Aでは、図示の煩雑さを避けるため、光反射性樹脂130a上および光源20上に配置されたフィルムの表記を省略している。
【0083】
図14Aには、押し込み量Xの定義の例が示されている。また、
図14Aには、ローラー310の押し込み前後の光反射性樹脂130aの上面の位置の変化の様子も合わせて示されている。
図14Aの二点鎖線のローラー310および光反射性樹脂130aの上面S130aは、押し込み前のローラー310および上面S130aの位置をそれぞれ表している。実線のローラー310および光反射性樹脂130aの上面S130bは、押し込み後のローラー310および光反射性樹脂130aの上面S130bの位置をそれぞれ表している。
図14Aおよび
図14Bに関連する説明では、「位置」という場合には、導光部材110の第1面10aを基準とし、第1面10aに直交し、第1面10aから電極22a,22bに向かう方向を正方向にとった場合の長さをいうものとする。
【0084】
図14Aに示すように、ローラー310の押し込み量Xは、押し込み前後のローラー310の回転軸Cの位置の変化量として定義される。ローラー310による押し込みの前では、
図14Aの一点鎖線で示すように、光反射性樹脂130aの上面S130aの位置は、電極22a,22bの位置よりも高い。つまり、電極22a,22bは、光反射性樹脂130aから露出していない。ローラー310の押圧面の硬度は、電極22a,22bを含めた光源20の硬度よりも低く、光反射性樹脂130aの硬度より高い。そのため、ローラー310による押し込みの後では、
図14Aの実線で示すように、光反射性樹脂130aの上面S130bの位置まで低下する一方で、電極22a,22bの位置は、不変である。したがって、適切な押し込み量Xとすることによって、光反射性樹脂130aからの電極22a,22bが露出する長さを制御することが可能になる。
【0085】
図14Aの例では、電極22a,22bの先端の位置は、目標の位置Y2としてあらかじめ設定されている。ローラー310による押し込み後の光反射性樹脂130aの上面S130bの位置Y1が計測され、目標の位置Y2と上面S130bの位置Y1との差分ΔYを計算する。
【0086】
図14Bは、押し込み量Xを横軸にとり、光源20の電極22a,22bの先端の位置Y2を基準としたときの光反射性樹脂の上面S130bの位置Y1の差分ΔYを縦軸にとったグラフ図である。
図14Bのグラフ図では、X軸は、X1からX5に向かって大きい値となり、ΔY軸は、0よりも上では、先端の位置Y2よりも上面S130bの位置Y1の方が高く、電極22a,22bが露出しないことを表している。ΔY軸の0よりも下では、先端の位置Y2よりも上面S130bの位置Y1が低い位置となっており、電極22a,22bが露出することを表している。
【0087】
図14Bに示すように、押し込み量Xを大きくするほど、位置の差分ΔYは小さくなる。この例では、押し込み量XをX1からX2まで大きくしても、電極22a,22bの先端は、上面S130bから露出されない。押し込み量Xをさらに大きくして、X3やX4とすると、電極22a,22bの先端は、上面S130bから露出される。押し込み量Xをさらに大きくしてX5とすると、電極22a,22bの露出する長さが長くなる。つまり、位置の差分ΔYは、電極22a,22bの露出する長さを表しているので、ローラー310の押し込み量Xを適切に設定することによって、適切な電極22a,22bの露出する長さを設定することができる。
【0088】
たとえば、目標の位置Y2は、光源20および導光部材110の成形時の精度や、光源20を導光部材110に配置する際の精度等により変動し得る。そのため、適切な押し込み量Xは、目標の位置Y2の設定精度を考慮して設定することにより、電極22a,22bの露出を確保することが可能である。
【0089】
このようにして、発光モジュール1を製造することができる。
【0090】
本実施形態の発光モジュール1の製造方法の効果について説明する。
本実施形態の発光モジュール1では、薄型化を実現するには、導光部材10、光源20、光反射性部材30および配線層40等、各部材の薄型化が必要となる。光反射性部材30を薄型化する場合に、光反射性部材30の形成工程において、気泡等の残留により、樹脂の硬化時にクラック等の不具合を生じることが顕著になることがある。本実施形態の発光モジュール1の製造方法では、光反射性部材30の形成工程に樹脂加圧工程を実行するので、気泡等の残留を抑制して、硬化時の不具合を防止しつつ、薄型化された光反射性部材30を形成することが可能になる。
【0091】
また、樹脂加圧工程では、フィルム140と導光部材110との間で光反射性樹脂130を加圧できる。これによって、光反射性樹脂130を、あらかじめ光源20上および導光部材110上の全面に配置しなくても、光源20上および導光部材110の第2面10b上の全面にわたって、ほぼ均等に配置することが可能となる。たとえば、光源20の配置された行列の行ごと、あるいは、1行おきに光反射性樹脂130を線状に配置することとすれば、既存のディスペンサ装置を用いることができる。ディスペンサ装置を用いる場合に、光反射性樹脂130をひとつながりの線状配置とすることによって、ディスペンサ装置の吐出の制御回数を減らすことが可能になる。これにより、光反射性樹脂130の吐出量を均一に制御することが可能になり、光反射性樹脂130の厚さを安定して制御することが可能になる。
【0092】
発光モジュール1の製造にあたり、断線等の不具合の発生を抑えて、配線層40を形成する必要がある。光反射性部材30の配線層40を形成する面を十分に平坦化することにより、配線層40を安定して形成することが可能である。一方で、配線層40と光源20の電極22a,22bとの電気的接続を確実にとる必要もあり、光反射性部材30の配線層40を形成する面の平坦化と電極22a,22bの露出とを両立して実現する必要がある。
【0093】
本実施形態の発光モジュール1の製造方法では、平坦化工程を有している。平坦化工程では、ローラー310をフィルム140に押し当てて、光源20および光反射性樹脂130aを押圧する。そのため、光反射性樹脂130aから電極22a,22bを露出させることが可能になる。
【0094】
ローラー310の押圧面S310の硬度は、光源20の硬度よりも低く、光反射性樹脂130aの硬度よりも高く設定される。ローラー310で、フィルム140を介して光源20および光反射性樹脂130aを押圧することによって、光源20の位置が維持された状態で、光反射性樹脂130aの上面の位置が低下する。光源20は、電極22a,22bを上にして導光部材110上に配置されているので、ローラー310による押圧の度合いを適切に設定することによって、光源20の位置を維持しながら、光反射性樹脂130aの上面の位置を低下させて、電極22a,22bを露出させることができる。
【0095】
ローラー310をフィルム140上を一定の方向に転がすことによって、光源20および光反射性樹脂130aの押圧の度合いを、導光部材110の全面にわたってほぼ一定とすることができる。そのため、光反射性樹脂130aの上面は平坦化され、平坦化された光反射性樹脂130aから電極22a,22bを露出させることができる。
【0096】
平坦化された光反射性樹脂は、仮硬化工程および本硬化工程を実行することによって、硬化された光反射性部材を形成することができる。一旦、短時間で加熱する仮硬化工程を導入することによって、樹脂製のフィルム140の剥離を容易にすることができる。フィルム140の剥離後、所定時間の加熱工程を実行することによって、所望の硬度を有する光反射性部材30とすることができる。フィルム140および光反射性樹脂130の材質によっては、仮硬化工程を実行することなく、一度の本硬化工程で光反射性部材を形成することができる。
【0097】
(第2の実施形態)
第1の実施形態の発光モジュール1で適用した光反射性部材30の形成方法は、
図3に示した光源20の封止部材26の形成方法にも適用することができる。本実施形態では、光源20の製造方法について説明する。本実施形態に係る発光装置は、
図3に示した光源20であり、以下、発光装置20ということとする。発光装置20の構成については、
図3に関連して説明した光源と同じであり、詳細な説明を省略する。
【0098】
(発光装置20の製造方法)
図15A~
図17Bは、本実施形態に係る発光装置の製造方法を例示する模式的な断面図である。
【0099】
図15Aに示すように、基材(支持部材とも呼ぶ)1001が準備される。基材1001の一方の面1002a上に蛍光体シート1024が配置される。蛍光体シート1024の基材1001への配置には、たとえば、蛍光体シート1024と基材1001との間に配置された接着剤等が用いられ、蛍光体シート1024は、基材1001の面1002a上に固定される。
【0100】
蛍光体シート1024は、発光装置20の形成時に個片化されることによって、
図3に示した透光部材24として機能する。したがって、蛍光体シート1024は、透光部材24と同様の材料で形成されている。基材1001は、蛍光体シート1024上に形成される中間体を蛍光体シート1024とともに、所望の位置に固定するために設けられている。基材1001は、たとえば、ポリイミド樹脂系の材質からなるテープ状の部材である。なお、蛍光体シート1024上に形成される中間製造物を中間体と呼ぶのは、第1の実施形態の発光モジュール1の製造方法の説明の場合と同様である。
【0101】
図15Bに示すように、発光素子21と、発光素子21が配置された基材1001とを含む中間体(第2部材とも呼ぶ)1000を準備する工程を有する。たとえば、蛍光体シート1024上に発光素子21が配置され、中間体1000が形成される。発光素子21は、光取出面21aを蛍光体シート1024の側に向け、電極形成面21bを蛍光体シート1024とは反対側に向けて配置される。
【0102】
発光装置20の製造方法の説明では、第1の実施形態の発光モジュール1の製造方法の説明の場合と同様に、図示の便宜上、発光装置20の光取出面21aから電極形成面21bに向かう方向を「上」や「上部」、「上方」といい、電極形成面21bからは光取出面21aに向かう方向を「下」や「下部」、「下方」という。これらは必ずしも重力の方向と一致するものではないことは、発光モジュール1の製造方法の場合と同様である。したがって、発光素子21は、光取出面21aを下に向け、電極形成面21bを上に向けて配置される。
【0103】
中間体1000では、発光素子21は、この例では、2個並べて配置されているが、3個以上並べてもよいし、1個の発光素子21ごとに中間体1000を形成してもよい。中間体1000では、発光素子21は、1列に並べて配置する場合に限らず、行列状に配置してもよい。
【0104】
蛍光体シート1024では、発光素子21が配置される面には、あらかじめ透光性を有する接着剤が配置されており、発光素子21の光取出面21aは、接着剤上に配置される。その後、中間体1000は、所定時間、加熱されて、接着剤は硬化され、透光層25が形成される。
【0105】
図15Cに示すように、封止樹脂1026を、電極22a,22b上および電極形成面21b上に配置する工程を有する。たとえば、発光素子21の電極22a,22b上および電極形成面21b上に封止樹脂1026が配置され、中間体1000aが形成される。この例では、封止樹脂1026は、電極形成面21bおよび電極22a,22bの全体にわたり配置されるとともに、透光層25の一部を覆うように配置される。封止樹脂1026は、電極22a,22bの全体を覆い、電極形成面21bの一部を覆うようにしてもよい。中間体1000aに複数の発光素子21が配置される場合には、封止樹脂1026は、発光素子21ごとに配置される場合に限らず、1列に並んだ複数の発光素子21にわたって連続して配置されてもよい。この場合には、封止樹脂1026は、複数の発光素子21上に配置されるとともに、発光素子21の間の領域にも配置される。封止樹脂1026は、発光素子21上に限らず、隣り合う発光素子21の間の領域に沿って配置されてもよい。
【0106】
図16Aに示すように、
図9A~
図10Bに関連して説明した樹脂加圧装置200により、中間体1000bが形成される。中間体1000bの形成では、樹脂加圧装置200によって、樹脂加圧工程が実行される。空間減圧工程は、減圧下において、蛍光体シート1024の面1024a上、発光素子21上および封止樹脂1026a上にフィルム1140を配置する工程である。樹脂加圧工程は、フィルム1140で封止樹脂1026を加圧する工程である。この例では、樹脂加圧装置200は、空間減圧工程と樹脂加圧工程とを同時に実行するが、樹脂加圧工程の後に、空間減圧工程を実行するようにしてもよいのは、第1の実施形態の発光モジュール1の製造方法の場合と同様である。
【0107】
空間減圧工程では、封止樹脂1026中に残留する気泡、封止樹脂1026と蛍光体シート1024の一方の面1024aとの間の空間や気泡および封止樹脂1026と発光素子21との間の空間や気泡が排出される。
【0108】
樹脂加圧工程では、発光素子21上に配置された封止樹脂1026は、蛍光体シート1024の一方の面1024a上および発光素子21上の全体にひろがった封止樹脂1026aが形成される。
【0109】
図16Bに示すように、
図11Aおよび
図11Bに関連して説明した樹脂平坦化装置300により、中間体1000cが形成される。中間体1000cは、平坦化された封止樹脂1026bを含んでいる。
【0110】
図16Bに示すように、樹脂平坦化装置300のローラー310は、フィルム1140上を矢印AR1の方向に中間体1000cを押圧しながら、矢印AR2の方向に移動する。ローラー310の押圧面S310の硬度は、封止樹脂1026bの硬度よりも高く、発光素子21の硬度よりも低い。そのため、中間体1000cでは、封止樹脂1026bの厚さは低下する。
図14Aおよび
図14Bに関連して説明したように、ローラー310の押し込み量は、適切に設定されているので、電極22a,22bは、封止樹脂1026bから露出する。また、ローラー310の矢印AR2方向の異動により、封止樹脂1026bの上面は、平坦化される。
【0111】
図17Aに示すように、所定温度および所定時間の加熱により、中間体1000dが形成される。中間体1000dでは、所定温度および所定時間の加熱により、封止樹脂1026bは硬化され、封止部材1026cが形成される。
【0112】
図17Bに示すように、フィルム1140を剥離する剥離工程が実行されて、中間体1000eが形成される。中間体1000eでは、フィルム1140が硬化した封止部材1026cから剥離される。フィルム1140の剥離により、封止部材1026cの平坦化された面S1026cは露出される。封止樹脂を一度で硬化せず、短時間の加熱で仮硬化後、フィルム1140を剥離し、その後、諸定時間の加熱により硬化させるようにしてもよいのは、第1の実施形態の発光モジュール1の製造方法の場合と同様である。
【0113】
図17Cは、第2の実施形態に係る発光装置の製造方法の変形例を例示する模式的な断面図である。
図17Cには、
図17Bに示した中間体1000eの変形例の中間体1000e1が示されている。
図17Cに示すように、中間体1000e1では、封止部材1026cは、隣り合う発光素子21の間で凹状となってもよい。封止部材1026cの凹状の部分では露出された面S1026cは凹面である。隣り合う発光素子21の間では、封止部材1026c1を形成する封止樹脂の量が相対的に多いため、樹脂の硬化時に収縮量が大きいことによる。凹状となる度合いは、隣り合う発光素子21の間の距離により調整したり、ローラー310の押し込み量により調整したりしてもよい。
【0114】
その後、中間体1000eは、隣り合う発光素子21の間で分断されて個片化され、発光装置20が形成される。
【0115】
上述した封止部材26の形成工程は、
図3に示した光源20への適用のほか、
図4Aに示した光源20aの製造方法にも適用することが可能である。光源20aの製造方法への適用では、
図15Aに関連して説明した基材1001の準備工程後に、基材1001に蛍光体シート1024を配置する前に、光調整部材27を配置し、光調整部材27上に蛍光体シート1024を配置するようにしてもよい。また、封止部材26の形成工程は、
図5Bに示した光源20eの製造方法に適用してもよい。光源20eの製造方法への適用では、蛍光体シート1024に代えて、蛍光体を含まない透光性シートを用いることにより実現することができる。透光性シートを配置する前に、光調整部材27を基材1001上に配置し、光調整部材27上に透光性シートを配置することにより、
図5Bの光源20eの封止部材26を形成することができる。
【0116】
本実施形態の発光装置20の製造方法の効果について説明する。
本実施形態の発光装置20の製造方法では、減圧雰囲気下で、蛍光体シート1024の一方の面1024a上、発光素子21上および封止樹脂1026上に、フィルム1140を配置する工程(配置工程とも呼ぶ)を有している。この工程を実行することによって、封止樹脂1026内に残留する気泡、封止樹脂1026と面1024aとの間に存在する空間や気泡および封止樹脂1026と発光素子21との間に存在する空間や気泡を排出することができる。これら空間や気泡の排出により、封止樹脂1026の硬化時に生じ得るクラック発生等の不具合を防止することができ、安定して薄型化された封止部材26を形成することを可能にする。
【0117】
配置工程の実行に際して、フィルム1140と面1024aとの間で封止樹脂1026を加圧する工程である樹脂加圧工程を実行することができる。樹脂加圧工程を実行することによって、封止樹脂1026を、あらかじめ面1024a上および発光素子21上の全面に配置しなくても、面1024a上および発光素子21上の全面に封止樹脂1026をほぼ均等に配置することができる。
【0118】
本実施形態の発光装置20の製造方法では、ローラー310をフィルム1140に押し当てて、発光素子21および封止樹脂1026aを押圧する工程(押圧工程とも呼ぶ)を有している。そのため、封止樹脂1026aから電極22a,22bを露出させることが可能になる。
【0119】
ローラー310の押圧面S310の硬度は、発光素子21の硬度よりも低く、封止樹脂1026の硬度よりも高く設定される。ローラー310で、フィルム1140を介して発光素子21および封止樹脂1026aを押圧することによって、発光素子21の位置が維持された状態で、封止樹脂1026aの上面の位置が低下する。発光素子21は、電極22a,22bを上にして蛍光体シート1024上に配置されているので、ローラー310による押圧の度合いを適切に設定することによって、発光素子21の位置を維持しながら、封止樹脂1026aの上面の位置を低下させて、電極22a,22bを露出させることができる。
【0120】
ローラー310を、フィルム1140上を一定の方向に転がして移動させることによって、発光素子21および封止樹脂1026aの押圧の度合いを、中間体1000cの全面にわたってほぼ一定とすることができる。そのため、封止樹脂1026aの上面は平坦化され、平坦化された封止樹脂1026aから電極22a,22bを露出させることができる。
【0121】
以上説明した実施形態によれば、安定して薄型化できる発光モジュールの製造方法および発光装置の製造方法を実現することができる。
【0122】
本発明の実施形態は、以下の発光モジュールの製造方法および発光装置の製造方法を含むことができる。
【0123】
[項1]
電極を有する光源と、第1面と前記第1面の反対側に位置する第2面とを有し、前記電極を上にして前記第2面上に前記光源を配置した導光部材と、を含む第1部材を準備する工程と、
前記導光部材の前記第2面上に光反射性樹脂を配置する工程と、
減圧雰囲気下において、前記導光部材の前記第2面上、前記光源上および前記光反射性樹脂上にフィルムを配置する工程と、
前記フィルムに押圧部材を押し当てることにより、前記光源および前記光反射性樹脂を押圧する工程と、
前記フィルムを剥離する工程と、
を備えた発光モジュールの製造方法。
【0124】
[項2]
前記第1部材を準備する工程は、
前記光源を準備する工程と、
前記導光部材を準備する工程と、
前記電極を上にして前記第2面上に光源を配置する工程と、
を含む項1記載の発光モジュールの製造方法。
【0125】
[項3]
前記フィルムを配置する工程は、前記フィルムと前記導光部材との間で前記光反射性部材を加圧する工程を含む項1または2に記載の発光モジュールの製造方法。
【0126】
[項4]
前記押圧部材は、ローラーであり、
前記ローラーの前記フィルムに押し当てる押圧面の硬度は、前記光源の硬度よりも低く、硬化前の前記光反射性樹脂の硬度よりも高い項1~3のいずれか1つに記載の発光モジュールの製造方法。
【0127】
[項5]
前記押圧する工程において、前記導光部材の前記第1面から前記押圧面までの最短距離が、前記第1面から前記電極の先端までの最短距離よりも短く設定された項4記載の発光モジュールの製造方法。
【0128】
[項6]
前記押圧する工程後であって前記フィルムを剥離する工程前に、前記光反射性樹脂を仮硬化する工程と、
前記フィルムを剥離する工程の後に、仮硬化された前記光反射性樹脂を硬化する工程をさらに備えた項1~4のいずれか1つに記載の発光モジュールの製造方法。
【0129】
[項7]
前記導光部材は、前記第2面に凹部を含み、
前記光源を配置する工程は、前記光源を前記凹部に配置する工程を含む項1~6のいずれか1つに記載の発光モジュールの製造方法。
【0130】
[項8]
光取出面と前記光取出面の反対側に位置する電極形成面と前記電極形成面に配置された電極とを含む発光素子と、一方の面上に前記光取出面側から前記発光素子を配置された支持部材と、を含む第2部材を準備する工程と、
封止樹脂を、前記電極上および前記電極形成面上に配置する工程と、
減圧雰囲気下において、前記支持部材の前記一方の面上、前記発光素子上および前記封止樹脂上にフィルムを配置する工程と、
前記フィルムに押圧部材を押し当てることにより、前記発光素子および前記封止樹脂を押圧する工程と、
前記フィルムを剥離する工程と、
を備えた発光装置の製造方法。
【0131】
[項9]
前記押圧する工程後であって前記フィルムを剥離する工程の前に、前記封止樹脂を仮硬化する工程と、
前記フィルムを剥離する工程後に、仮硬化された前記封止樹脂を硬化する工程と、をさらに備えた項8記載の発光装置の製造方法。
【0132】
[項10]
前記押圧する工程後であって前記フィルムを剥離する工程前に、前記封止樹脂を硬化する工程をさらに備えた項8記載の発光モジュールの製造方法。
【0133】
[項11]
前記第2部材を準備する工程は、波長変換部材を介して、前記支持部材の一方の面に前記発光素子を配置する項8~10のいずれか1つに記載の発光装置の製造方法。
【0134】
[項12]
前記第2部材を準備する工程は、遮光性部材および前記遮光部材上に配置された波長変換部材を介して、前記支持部材の一方の面上に前記発光素子を配置する項8~10のいずれか1つに記載の発光装置の製造方法。
【0135】
以上、本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他のさまざまな形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明およびその等価物の範囲に含まれる。また、前述の各実施形態は、相互に組み合わせて実施することができる。
【符号の説明】
【0136】
1 発光モジュール、10 導光部材、10a 第1面、10b 第2面、10d 凹部(第2凹部)、10e 溝、20,20a~20f 光源(発光装置)、21 発光素子、22a,22b 電極、24,24a 透光部材、26 封止部材、27 光調整部材、30 光反射性部材、40 配線層、50 絶縁膜、60 光調整部材、70 固定部材、100,100a~100h 中間体、110 導光部材、130,130a,130b 光反射性樹脂、130c 光反射性部材、200 樹脂加圧装置、300 樹脂平坦化装置、310 ローラー、1001 基材、1024 蛍光体シート、1026,1026a,1026b 封止樹脂、1026c 封止部材、S310 押圧面