(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2025006465
(43)【公開日】2025-01-17
(54)【発明の名称】制御コントローラ、設定方法および設定プログラム
(51)【国際特許分類】
G05B 19/042 20060101AFI20250109BHJP
【FI】
G05B19/042
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023107278
(22)【出願日】2023-06-29
(71)【出願人】
【識別番号】000006507
【氏名又は名称】横河電機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002147
【氏名又は名称】弁理士法人酒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】和気 一郎
【テーマコード(参考)】
5H220
【Fターム(参考)】
5H220AA01
5H220AA04
5H220BB07
5H220CC07
5H220CX05
5H220DD07
5H220EE09
5H220FF05
5H220GG03
5H220GG05
5H220JJ12
5H220JJ26
(57)【要約】
【課題】オートメーションシステムのエンジニアリングを効率的に実施することを課題とする。
【解決手段】制御コントローラは、複数の機器に接続された中継装置を識別する番号または中継装置と制御コントローラとを接続するケーブルを識別する番号を示す識別情報の指定を受け付ける受付部と、識別情報と、中継装置に接続された複数の機器の入出力情報とを対応付けて記録する計装データベースから、指定された識別情報に対応する入出力情報を検索する検索部と、検索された入出力情報を、制御コントローラの入出力モジュールに設定する設定部とを有する。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
制御コントローラにおいて、
複数の機器に接続された中継装置を識別する番号または前記中継装置と前記制御コントローラとを接続するケーブルを識別する番号を示す識別情報の指定を受け付ける受付部と、
識別情報と、中継装置に接続された複数の機器の入出力情報とを対応付けて記録する計装データベースから、指定された前記識別情報に対応する入出力情報を検索する検索部と、
検索された前記入出力情報を、前記制御コントローラの入出力モジュールに設定する設定部と
を有する制御コントローラ。
【請求項2】
前記計装データベースにアクセスするための制御ネットワークに接続した場合に、認証要求を行うポート番号以外を無効化して、認証装置に接続に関する認証要求を行い、前記認証装置によって接続が許可された場合に、無効化したポート番号を有効にする処理を実行する認証要求部を更に有する請求項1に記載の制御コントローラ。
【請求項3】
プラントに設置された前記複数の機器および前記複数の機器に接続される機能ブロックの接続関係を定義した情報と、前記検索部に検索された入出力情報とを基にして、前記入出力情報に対応する機器と接続される機能ブロックを特定し、機器と機能ブロックとを対応付けた制御ループを構築する構築部を更に有し、
前記設定部は、制御パラメータおよびアラーム閾値を機能ブロックに設定する請求項1に記載の制御コントローラ。
【請求項4】
前記設定部は、前記入出力情報に対応する機器の数が、前記入出力モジュールに設定された上限数を超える場合に、前記上限数を超える数の機器に関する入出力情報の設定をシステムの管理装置に依頼する処理を更に実行する請求項1に記載の制御コントローラ。
【請求項5】
前記設定部は、前記入出力情報を前記入出力モジュールに設定した場合に、前記制御コントローラのチャンネルと、前記入出力情報との関係を設定情報として記録し、前記設定情報を、前記計装データベースに設定する処理を更に実行する請求項1に記載の制御コントローラ。
【請求項6】
コンピュータが、
複数の機器に接続された中継装置を識別する番号または前記中継装置と前記コンピュータとを接続するケーブルを識別する番号を示す識別情報の指定を受け付け、
識別情報と、中継装置に接続された複数の機器の入出力情報とを対応付けて記録する計装データベースから、指定された前記識別情報に対応する入出力情報を検索し、
検索された前記入出力情報を、前記コンピュータの入出力モジュールに設定する
処理を実行する設定方法。
【請求項7】
コンピュータに、
複数の機器に接続された中継装置を識別する番号または前記中継装置と前記コンピュータとを接続するケーブルを識別する番号を示す識別情報の指定を受け付け、
前記識別情報と、中継装置に接続された複数の機器の入出力情報とを対応付けて記録する計装データベースから、指定された前記識別情報に対応する入出力情報を検索し、
検索された前記入出力情報を、前記コンピュータの入出力モジュールに設定する
処理を実行させる設定プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、制御コントローラ、設定方法および設定プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
プラントに対して、オートメーションシステムを導入することで、各種の製品を製造するためのプロセスを自動化している。かかるオートメーションシステムに関するプロジェクトを遂行する場合には、顧客から受領した設計情報を基にして設計・構築・検査等のエンジニアリングが実施される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、従来では、オートメーションシステムのエンジニアリングを効率的に実施することができていない。
【0005】
一つの側面では、オートメーションシステムのエンジニアリングを効率的に実施することができる制御コントローラ、設定方法および設定プログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
一側面にかかる制御コントローラは、複数の機器に接続された中継装置を識別する番号または中継装置と制御コントローラとを接続するケーブルを識別する番号を示す識別情報の指定を受け付ける受付部と、識別情報と、中継装置に接続された複数の機器の入出力情報(たとえば、IO情報)とを対応付けて記録する計装データベースから、指定された識別情報に対応する入出力情報を検索する検索部と、検索された入出力情報を、制御コントローラの入出力モジュール(たとえば、IOモジュール)に設定する設定部とを有する。
【0007】
一側面にかかる設定方法は、複数の機器に接続された中継装置を識別する番号または中継装置とコンピュータとを接続するケーブルを識別する番号を示す識別情報の指定を受け付け、識別情報と、中継装置に接続された複数の機器の入出力情報とを対応付けて記録する計装データベースから、指定された識別情報に対応する入出力情報を検索し、検索された入出力情報を、制御コントローラの入出力モジュールに設定する処理をコンピュータが実行する。
【0008】
一側面にかかる設定プログラムは、複数の機器に接続された中継装置を識別する番号または中継装置とコンピュータとを接続するケーブルを識別する番号を示す識別情報の指定を受け付け、識別情報と、中継装置に接続された複数の機器の入出力情報とを対応付けて記録する計装データベースから、指定された識別情報に対応する入出力情報を検索し、検索された入出力情報を、コンピュータの入出力モジュールに設定する処理をコンピュータに実行させる。
【発明の効果】
【0009】
一実施形態によれば、オートメーションシステムのエンジニアリングを効率的に実施することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】本実施形態にかかるシステム構成を説明する図である。
【
図2】計装データベースのデータ構造の一例を示す図である。
【
図3】P&IDデータのデータ構造の一例を示す図である。
【
図4】本実施形態に係るDCNの機能構成を示す機能ブロック図である。
【
図5】本実施形態のDCNの処理の流れを示すフローチャートである。
【
図7】顧客から受領する設計情報の一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下に、本願の開示する制御コントローラ、設定方法および設定プログラムの実施例を図面に基づいて詳細に説明する。なお、この実施例によりこの発明が限定されるものではない。また、同一の要素には同一の符号を付し、重複する説明は適宜省略し、各実施形態は、矛盾のない範囲内で適宜組み合わせることができる。
【0012】
(実施形態)
図7は、顧客から受領する設計情報の一例を示す図である。
図7に示すように、たとえば、設計情報10には、計装データベース11、プロセスフロー図の情報12、制御機能と安全機能の要求仕様書13、オペレーション思想・手順・アラーム管理要件14、物理プラント構成15が含まれる。なお、計装データベース11には、ゲーブル情報11a、計器情報11b、プラント階層11cが含まれる。プロセスフロー図の情報12には、P&ID(Piping & Instrumentation Diagram)12aが含まれる。
【0013】
従来では、設計情報10を基にしてエンジニアリングを実施する場合に、作業員が手動で実施するワークが存在する。たとえば、作業員は、計装データベース11を参照し、オートメーションシステムを構成する複数の制御コントローラ(以下、DCN:Distributed Control Node)に対して、IO(Input Output)の設定や、IOにつながる機能ブロックの制御ループを構築している。
【0014】
上記のように、従来では、設計情報10を基にしてエンジニアリングを実施する場合に、DCNの設定を作業員が手動で実施しており、効率よくオートメーションシステムのプロジェクトを遂行することができない。
【0015】
また、作業員は、設計情報10の変更が発生すると、その都度、計装データベース11を参照し、複数のDCNの再設定を行うことになり、作業員に係る負担が大きくなる。以下において、本実施形態について説明する。
【0016】
(全体構成)
実施形態にかかるシステム構成の一例について説明する。
図1は、実施形態にかかるシステム構成を説明する図である。
図1に示すように、このシステムは、プラント1と、計装データベース50と、P&IDデータ60と、構成管理装置70と、認証装置80と、DCN100a,100b,100cとを有する。図示を省略するが、このシステムは、DCN100a~100c以外の他のDCNを更に有していてもよい(たとえば、DCN100dを更に有していてもよい)。構成管理装置70および認証装置80は、単一の装置で実現してもよい。
【0017】
構成管理装置70、認証装置80、DCN100a~100cは、制御ネットワーク90によって相互に接続される。構成管理装置70は、計装データベース50、P&IDデータ60に接続される。
【0018】
プラント1は、石油・石化、ガス、鉄・非鉄、化学、電力、食薬等の生産設備である。
【0019】
プラント1のさまざまな場所に、複数の機器2が設けられる。機器2は、プラント1内の圧力センサ、温度センサ、流量センサ、pHセンサ、速度センサ、加速度センサ、バルブ、ポンプ、モーター等のフィールド機器に接続される。また、機器2は、ジャンクションボックス(Junction Box)4a,4b,4cに接続される。
【0020】
機能ブロック3は、DCN内に構築され、機器2を制御する。たとえば、機能ブロック3が、ある機器2から情報を取得し、取得した情報を基にして、他の機器2を制御する一連の流れを、制御ループと呼ぶ。
【0021】
ジャンクションボックス4a~4cは、マルチコアのホームランケーブル5a,5b,5cによって、DCN100a~100cにそれぞれ接続される。図示を省略するが、プラント1には、ジャンクションボックス4a~4c以外のジャンクションボックスが更に含まれていてもよい。ジャンクションボックス4a~4cは、「中継装置」の一例である。たとえば、機器2が通信機能を有しているならば、機器2は、ネットワークスイッチのような通信機能を持つ中継装置4dに接続してもよい。この場合、中継装置4dは、通信ケーブル5dによって、DCN100dに接続される。
【0022】
ジャンクションボックス4a~4cは、機器2に電気ケーブル等を接続する。以下の説明では、ジャンクションボックス4a~4cを適宜「ジャンクションボックス4」と表記する。ジャンクションボックス4には、ジャンクションボックスを識別するためのジャンクションボックス番号(以下、JB番号)が設定される。
図1に示す例では、ジャンクションボックス4aのJB番号は「JB-001」である。ジャンクションボックス4bのJB番号は「JB-002」である。ジャンクションボックス4cのJB番号は「JB-003」である。
【0023】
なお、ホームランケーブル5a~5cを適宜「ホームランケーブル5」と表記する。ホームランケーブル5には、ホームランケーブル5を識別するホームランケーブル番号(HRケーブル番号)が設定される。
【0024】
計装データベース50は、JB番号と、HRケーブル番号と、IO情報とを対応付ける。
図2は、計装データベースのデータ構造の一例を示す図である。
図2に示すように、計装データベースは、項番、JB番号、JBターミナル番号、HRケーブル番号、ケーブル芯線番号、IO情報、DCN設定情報、制御パラメータ、アラーム閾値を有する。
【0025】
項番は、計装データベース50のレコードを識別する番号である。なお、項番は、必ずしも、計装データベース50に含まれていなくてもよい。
【0026】
JB番号は、ジャンクションボックス4を識別する番号である。JBターミナル番号は、ジャンクションボックス4の機器2側のターミナル番号のうち、機器2に接続されたターミナル番号を示す。たとえば、JBターミナル番号「1/2」は、1番、2番を示す。
【0027】
HRケーブル番号は、ホームランケーブル5を識別する番号である。ケーブル芯線番号は、ジャンクションボックス4のDCN側のターミナルとDCNのIOモジュールのターミナルとの接続に使用されるケーブルの芯線番号を示す。たとえば、ケーブル芯線番号「1/2」は、1番、2番を示す。
【0028】
IO情報は、タグ名、IOタイプ、信号タイプ、測定範囲、工業単位等が含まれる。たとえば、タグ名は、機器2のタグ名(Device Tag Name)である。IOタイプは、「AI(Analog Input)」、「AO(Analog Output)」、「DI(Digital Input)」、「DO(Digital Output)」の何れかが設定される。
【0029】
信号タイプは、信号の種別であり、「4-20mA」、「24VDC(Volts Direct Current)」等が設定される。測定範囲は、機器2によって測定可能な範囲を示す。たとえば、測定範囲として「0~300」等が設定される。工業単位は、「T/hr」、「%」、「PSIG」等の工業単位が設定される。
【0030】
DCN設定情報は、ジャンクションボックス4に接続されたDCNの設定情報であり、後述するように、DCN100a~100cから通知される。たとえば、DCN設定情報には、「DCN Assignment」、「IO Channel Assignment」、「Control System Tag」、「Function Block Type」が含まれる。
【0031】
DCN Assignmentには、該当するJB番号を割り当てたDCNの識別情報が設定される。IO Channel Assignmentには、DCNのIOモジュールに割り当てたチャンネル番号が設定される。Control System Tagは、DCNで構築された制御ループに関する機能ブロック3のタグ名が設定される。Function Block Typeは、機能ブロック3の型名である。
【0032】
制御パラメータは、機能ブロック3に設定される各種のパラメータである。アラーム閾値は、機能ブロック3がアラームを出力する場合に参照する閾値である。たとえば、機能ブロック3は、機器2から出力された値が、閾値を超えた場合に、アラームを出力する。
【0033】
たとえば、DCN100a~100cは、計装データベース50を利用することで、JB番号(または、HRケーブル番号)に対応するIO情報を特定することができる。
【0034】
P&IDデータ60は、プラント1内のフィールド機器、フィールド機器に接続される機器2、機能ブロック3、配管等の様々な要素を図式化して表現されたデータである。
【0035】
図3は、P&IDデータのデータ構造の一例を示す図である。ここでは、便宜的に、P&IDデータ60に含まれる一部の機器、一部の機能ブロック、一部の配管に関する説明を行う。上述したジャンクションボックス4は、複数の機器2に接続される。
【0036】
熱交換器61は、配管p1,p2等に接続される。たとえば、配管p1によって、LNG(Liquefied Natural Gas)が熱交換器61に送られる。熱交換器61は、LNGに熱を加えることで、LNGをガスに戻す。熱交換器61は、配管p2を用いて、ガスを供給する。
【0037】
配管p1には、LNGの流量を計測するためのセンサse1が設置される。配管p1には、LNGの流量を調整するためのバルブv1,v2が設置される。センサse1は、機器2-1に接続される。バルブv1は、機器2-2,2-3に接続される。バルブv2は、機器2-4、2-5に接続される。
【0038】
機能ブロック3-1,3-2,3-3は、DCN内に構築される。機能ブロック3-1は、機器2-1,2-3、機能ブロック3-2に接続される。機能ブロック3-2は、機能ブロック3-3に接続される。たとえば、機能ブロック3-1は、機器2-1から、配管p1の流量の測定値を取得し、測定値に応じて、バルブv1の制御情報を機器2-3に出力する。機器2-3は、制御情報を基にして、バルブv1の開閉具合を調整する。機能ブロック3-1がかかる処理を実行することで、配管p1の流量が制御される。機能ブロック3-1が、機器2-1から情報を取得し、取得した情報を基にして、機器2-3を制御する一連の処理が、制御ループである。
【0039】
たとえば、DCN100a~100cは、P&IDデータ60を利用することで、機器2と機能ブロック3との接続関係と、制御ループを特定することが可能となる。
【0040】
構成管理装置70は、
図2に示したシステムの構成を管理する。たとえば、構成管理装置70は、制御ネットワーク90に接続されたDCN100a~100cに設定された情報を保持する。構成管理装置70は、DCN100a~100cからの要求に応じて、計装データベース50およびP&IDデータ60に関する情報をDCN100a~100cに送信する。なお、DCN100a~100cは、計装データベース50およびP&IDデータ60に直接アクセスして、情報を取得してもよい。
【0041】
認証装置80は、制御ネットワーク90にDCNが接続された場合に、接続されたDCNを認証する。認証装置80は、DCNから認証要求を受付けた場合に、認証要求元のDCNが、接続の許可対象となるDCNの場合には、接続許可を通知する。たとえば、認証要求には、DCNを識別する情報が設定されているものとする。
【0042】
DCN100a~100cは、ホームランケーブル5およびジャンクションボックス4を介して、機器2に接続し、データ収集、監視、制御命令の送信、プロセスの最適化等を実行する。以下の説明では、DCN100a~100cをまとめて「DCN100」と表記する。
【0043】
本実施形態に関するDCN100は、作業員からJB番号の設定を受け付け、制御ネットワーク90に接続されると、計装データベース50とJB番号とを基にして、JB番号に対応するIO情報を検索し、検索したIO情報をDCN100のIOモジュールに設定する。
【0044】
DCN100は、IO情報の設定が完了すると、P&IDデータ60を基にして、設定したIO情報のタグ名を持つ機器2に関連した制御ループを検索し、制御ループに関連するタグ名と機能ブロック3とを対応付けることで、DCN100内に、制御ループを構築する。DCN100は、制御ループを構築すると、計装データベース50から制御ループに関する機能ブロック3のタグ名に対応する制御パラメータ、アラーム閾値を機能ブロック3に設定する。
【0045】
上記のように、作業員は、DCN100に対してJB番号を設定するだけで、自動的にIO情報がIOモジュールに設定され、制御ループが自動的に構築されるため、作業員がそれまで手動で行っていたエンジニアリングによる負担をなくすことができる。
【0046】
(機能構成)
次に、
図1に示したシステムに含まれるDCN100の構成例について説明する。
図4は、本実施形態に係るDCNの機能構成を示す機能ブロック図である。
図4に示すように、DCN100は、IOモジュール110、入力部120、表示部130、記憶部140、制御部150、通信部160を有する。なお、DCN100が有する機能部は、図示したものに限られず、他の機能部を有していてもよい。
【0047】
IOモジュール110は、ホームランケーブル5等と接続するための複数のチャンネルを備える。たとえば、DCN100は、IOモジュール110を介して、プラント1の機器2を制御する。また、DCN100は、通信部160を介して、構成管理装置70、認証装置80とデータ通信を実行する。なお、通信部160は、計装データベース50、P&IDデータ60にアクセスしてもよい。
【0048】
入力部120は、DCN100の制御部150に各種の情報を入力する。入力部120は、キーボード、マウス、タッチパネル等である。作業員は、入力部120を操作して、JB番号またはHRケーブル番号を入力する。
【0049】
なお、作業員は、作業の対象となるDCN100と、このDCN100に接続するジャンクションボックス4との関係(DCN100に、どのJB番号のJBを繋ぐか)を計装データベース50を参照して事前に確認しておく。計装データベース50には、JB番号とHRケーブル番号が入力されているので、JB番号が決まれば、HRケーブル番号も決まる。
【0050】
表示部130は、DCN100の制御部150から出力される情報を表示する。
【0051】
記憶部140は、IO情報テーブル141、制御ループ情報142、DCN設定情報143を記憶する。記憶部140は、メモリやハードディスクなどにより実現される。
【0052】
IO情報テーブル141は、制御部150によって計装データベース50から検索されるIO情報を保持する。IO情報テーブル141に登録されたIO情報は、制御部150によって、IOモジュール110に設定される。
【0053】
制御ループ情報142、DCN設定情報143は、IO情報テーブル141に登録されたIO情報およびP&IDデータ60の検索結果等によって生成される情報である。
【0054】
制御部150は、DCN100全体を司る処理部であり、たとえばプロセッサなどにより実現される。この制御部150は、受付部151、認証要求部152、検索部153、第1設定部154、構築部155、第2設定部156を有する。第1設定部154と第2設定部156は、「設定部」の一例である。
【0055】
受付部151は、入力部120から、JB番号またはHRケーブル番号の指定を受け付ける。本実施形態では、入力部120からJB番号の指定を受け付けた場合について説明するが、JB番号の代わりに、HRケーブル番号を受け付けて、同様の処理を行ってもよい。上記のように、JB番号が決まれば、HRケーブル番号が決まるためである。
【0056】
受付部151は、指定されたJB番号を、検索部153に出力する。以下の説明では、指定されたJB番号を「指定JB番号」と表記する。
【0057】
認証要求部152は、DCN100の通信部160が制御ネットワーク90にハードウェア的に接続された場合に、通信に使われるプログラムを認識する複数のポート番号のうち、認証要求に使用するポート番号を有効にし、認証要求に使用しない他のポート番号を無効にする。認証要求に使用するポート番号は、DCN100が、認証装置80と通信する場合に利用するポート番号である。
【0058】
認証要求部152は、認証装置80に対して認証要求を行う。たとえば、認証要求部152は、認証要求に、DCN100を識別するための識別情報を設定する。認証要求部152は、認証装置80から、接続許可の通知を受け付けた場合には、無効にしていた複数のポート番号のうち、必要なポート番号を全て有効に設定する。必要なポート番号は、本設定プログラムによって、事前に設定されているものとする。
【0059】
検索部153は、受付部151から指定JB番号を取得し、かつ、認証装置80による接続許可の通知を受信した場合に、構成管理装置70を介して、計装データベース50にアクセスする。検索部153は、計装データベース50のレコードのうち、指定JB番号と同一のJB番号が設定されたレコードを検索する。
【0060】
たとえば、指定JB番号として「JB-001」が指定されている場合には、
図2の項番(1)~(4)のレコードがヒットする。検索部153は、ヒットしたレコードに含まれるIO情報を計装データベース50から取得する。検索部153は、取得したIO情報を、IO情報テーブル141に登録する。
【0061】
第1設定部154は、IO情報テーブル141に格納された複数のIO情報を、IOモジュール110の各IOポイント(入出力チャンネル)にそれぞれ設定する。たとえば、第1設定部154は、一つのIOポイントに一つのIO情報を設定する。
【0062】
第1設定部154は、IO情報を、IOモジュール110の各IOポイント(入出力チャンネル)に設定した場合に、DCNに割り当てたチャンネル番号(IO Channel Assignment)を、DCN設定情報143に登録する。
【0063】
なお、第1設定部154は、IO情報テーブル141に格納されたIO情報の数が、IOモジュールのIOポイントに設定可能な数を超えている場合には、IOポイントに設定可能な分だけ、IO情報の設定を行い、設定できなかった残りのIO情報に関する設定の依頼を、構成管理装置70に対して行う。
【0064】
構成管理装置70は、DCN100から、設定できなかった残りのIO情報に関する設定の依頼を受け付けた場合には、依頼元のDCN100と同じJB番号が設定された他のDCNを検索し、検索したDCNに対して、依頼を受け付けたIO情報を通知して、IOモジュールに対する設定を依頼する。
【0065】
構築部155は、第1設定部154によるIO情報の設定が終了した場合に、IOモジュール110に設定されたIO情報に含まれる機器2のタグ名を特定する。以下の説明では、IOモジュール110に設定されたIO情報に含まれる機器2のタグ名を、「設定タグ名」と表記する。
【0066】
構築部155は、構成管理装置70を介して、P&IDデータ60にアクセスし、設定タグ名と、P&IDデータ60とを基にして、設定タグ名と同じ機器2のタグ名を持つ制御ループを検索する。たとえば、設定タグ名が、
図3で説明した機器2-1のタグ名である場合には、制御ループは、機器2-1、機能ブロック3-1、機器2-3の制御ループとなる。
【0067】
構築部155は、検索した制御ループに含まれる機器2のタグ名、機能ブロック3のタグ名、制御ループに含まれる機器2のIOタイプ(AI、AO、DI、DO)、制御ループに含まれる機能ブロックのFunction Block Type(PID、DC、その他)等を対応付けた制御ループ情報142を生成し、記憶部140に登録する。たとえば、Function Block Typeが「PID」となる機能ブロックは、制御対象の現在の状態と目標の状態との差異(エラー)を基に、制御信号を計算し調整する制御(PID制御)を行う機能ブロックである。Function Block Typeが「DC」となる機能ブロックは、モーター等を制御するディジタル信号(DI、DO)を取り扱う機能ブロックである。
【0068】
第2設定部156は、構築部155に生成された制御ループ情報142を基にして、制御ループに含まれる機能ブロックのタグ名を特定する。第2設定部156は、構成管理装置70を介して、計装データベース50にアクセスし、特定した機能ブロックのタグ名に対応する制御パラメータおよびアラーム閾値を取得し、該当する機能ブロック3に設定する。
【0069】
また、第2設定部156は、構築部155に生成された制御ループ情報142を基にして、DCNに割り当てたチャンネル番号(IO Channel Assignment)と、機能ブロックのタグ名と、Function Block Typeとの関係を特定し、DCN設定情報143に登録する。第2設定部156は、構成管理装置70を介して、計装データベース50にアクセスし、指定JB番号と、DCN設定情報143との関係を、計装データベース50に登録する。
【0070】
作業員は、計装データベース50の情報が更新され、DCN100に設定したJB番号を変更したい場合には、入力部120を操作して、再度、JB番号を、DCN100に入力する。制御部150に含まれる各機能部151~156は、入力部120から新たな指定JB番号を受け付けた場合には、IO情報テーブル141、制御ループ情報142、DCN設定情報143を初期化し、上記の処理を再度実行する。これによって、新たな指定JB番号に対応するIO情報が検索され、検索されたIO情報が、IOモジュール110の各IOポイントに設定される。また、新たな指定JB番号に対応する制御ループ情報142、DCN設定情報143も再度生成される。
【0071】
なお、DCN100は、ダイナミックプロセスシミュレーションに接続された場合に、機能ブロック3に対する機能テストを実行し、テストレポートを出力する。
【0072】
(処理の流れ)
次に、本実施形態のDCN100の処理の流れについて説明する。
図5は、本実施形態のDCNの処理の流れを示すフローチャートである。
図5に示すように、DCN100の受付部151は、入力部120から、JB番号の入力を受け付ける(ステップS101)。
【0073】
DCN100の認証要求部152は、制御ネットワークに接続された場合、複数のポート番号のうち、認証要求に使用するポート番号以外のポート番号を無効化する(ステップS102)。認証要求部152は、認証装置80に、認証要求を送信する(ステップS103)。認証要求部152は、認証装置80から、接続許可の通知を受け付けた場合に、必要なポート番号を全て有効に設定する(ステップS104)。
【0074】
DCN100の検索部153は、構成管理装置70を介して、計装データベース50にアクセスし、JB番号に対応するIO情報を検索し、検索したIO情報をIO情報テーブル141に登録する(ステップS105)。
【0075】
DCN100の第1設定部154は、IO情報テーブル141に登録された複数のIO情報を、IOモジュール110の各IOポイントに設定する(ステップS106)。第1設定部154は、IO情報テーブル141に登録されたIO情報の数が、設定可能な数を超えている場合には、設定できなかったIO情報に関する設定の依頼を構成管理装置に対して実行する(ステップS107)。
【0076】
第1設定部154は、IOモジュール110の各IOポイントに、IO情報を割り当てた結果を基にして、DCN設定情報143を生成する(ステップS108)。
【0077】
DCN100の構築部155は、IOモジュール110に設定されたIO情報に含まれる機器2のタグ名(設定タグ名)を特定する(ステップS109)。構築部155は、構成管理装置70を介して、P&IDデータ60にアクセスし、設定タグ名と同じ機器2のタグ名を持つ制御ループを検索し、制御ループ情報142を生成する(ステップS110)。
【0078】
DCN100の第2設定部156は、制御ループ情報142を基にして、制御ループに含まれる機能ブロック3のタグ名を特定する(ステップS111)。第2設定部152は、構成管理装置70を介して、計装データベース50にアクセスし、特定した機能ブロック3のタグ名に対応する制御パラメータおよびアラーム閾値を取得する(ステップS112)。
【0079】
第2設定部156は、取得した制御パラメータおよびアラーム閾値を機能ブロックに設定する(ステップS113)。第2設定部156は、制御ループ情報142を基にして、DCN100に割り当てたチャンネル番号と、機能ブロック3のタグ名と、Function Block Typeとの関係を特定し、DCN設定情報143に登録する(ステップS114)。
【0080】
DCN100は、ダイナミックプロセスシミュレーションに接続された場合に、機能テストを実行し、テストレポートを出力する(ステップS115)。
【0081】
第2設定部156は、構成管理装置70を介して、計装データベース50にアクセスし、指定JB番号と、DCN設定情報143との関係を、計装データベース50に登録する(ステップS116)。
【0082】
(効果)
次に、本実施形態に係るDCN100の効果について説明する。DCN100は、JB番号(または、HRケーブル番号)の指定を受け付けると、計装データベース50にアクセスして、指定されたJB番号に対応するIO情報を検索し、検索したIO情報をIOモジュールに設定する。これによって、作業員は、DCN100に対してJB番号を設定するだけで、自動的にIO情報がIOモジュールに設定され、作業員がそれまで手動で行っていたエンジニアリングによる負担をなくすことができる。
【0083】
DCN100は、制御ネットワーク90に接続した場合に、認証要求を行うポート番号以外を無効化して、認証装置80に接続に関する認証要求を行い、認証装置80によって接続が許可された場合に、無効化したポート番号を有効にする。これによって、認証されたDCNのみ制御ネットワーク90に接続できるため、セキュリティレベルを上げることができる。
【0084】
DCN100は、検索したIO情報と、P&IDデータ60とを基にして、制御ループを構築する。これによって、作業員は、DCN100に対してJB番号を設定するだけで、基本的な制御ループを生成することができる。
【0085】
DCN100は、検索したIO情報の数が、IOモジュールに設定可能な数を超える場合に、超えた分のIO情報の設定依頼を、構成管理装置70に対して実行する。これによって、効率的に、IO情報の設定を配分することができる。
【0086】
DCN100は、IO情報をIOモジュール110に設定した情報を、DCN設定情報143として記録し、計装データベース50に設定する。これによって、DCN側に自動設定されたIO情報の割り振りを、計装データベース50に自動で設定することができる。
【0087】
(ハードウェア)
次に、DCN100のハードウェア構成例を説明する。
図6は、ハードウェア構成例を説明する図である。
図6に示すように、DCN100は、通信装置6a、HDD(Hard Disk Drive)6b、メモリ6c、プロセッサ6d、IO装置6eを有する。また、
図6に示した各部は、バス等で相互に接続される。
【0088】
通信装置6aは、構成管理装置70、認証装置80、他のサーバ、通信機能を持つフィールド機器との通信を行う。また、IO装置6eは、IOモジュールなどであり、ホームランケーブル5が接続される。HDD6bは、
図4に示した機能を動作させるプログラムやDBを記憶する。
【0089】
プロセッサ6dは、
図4に示した各処理部と同様の処理を実行するプログラムをHDD6b等から読み出してメモリ6cに展開することで、
図4等で説明した各機能を実行するプロセスを動作させる。例えば、このプロセスは、DCN100が有する各処理部と同様の機能を実行する。具体的には、プロセッサ6dは、受付部151、認証要求部152、検索部153、第1設定部154、構築部155、第2設定部156等と同様の処理を実行するプロセスを実行する。
【0090】
このように、DCN100は、プログラムを読み出して実行することで設定方法を実行するDCNとして動作する。また、DCN100は、媒体読取装置によって記録媒体から上記プログラムを読み出し、読み出された上記プログラムを実行することで上記した実施例と同様の機能を実現することもできる。なお、この他の実施例でいうプログラムは、DCN100によって実行されることに限定されるものではない。例えば、他のコンピュータまたはサーバがプログラムを実行する場合や、これらが協働してプログラムを実行するような場合にも、本発明を同様に適用することができる。
【0091】
このプログラムは、インターネットなどのネットワークを介して配布することができる。また、このプログラムは、ハードディスク、フレキシブルディスク(FD)、CD-ROM、MO(Magneto-Optical disk)、DVD(Digital Versatile Disc)などのコンピュータで読み取り可能な記録媒体に記録され、コンピュータによって記録媒体から読み出されることによって実行することができる。
【0092】
(その他)
開示される技術特徴の組合せのいくつかの例を以下に記載する。
【0093】
(1)制御コントローラにおいて、複数の機器に接続された中継装置を識別する番号または前記中継装置と前記制御コントローラとを接続するケーブルを識別する番号を示す識別情報の指定を受け付ける受付部と、
識別情報と、中継装置に接続された複数の機器の入出力情報とを対応付けて記録する計装データベースから、指定された前記識別情報に対応する入出力情報を検索する検索部と、
検索された前記入出力情報を、前記制御コントローラの入出力モジュールに設定する設定部と
を有する制御コントローラ。
【0094】
(2)前記計装データベースにアクセスするための制御ネットワークに接続した場合に、認証要求を行うポート番号以外を無効化して、認証装置に接続に関する認証要求を行い、前記認証装置によって接続が許可された場合に、無効化したポート番号を有効にする処理を実行する認証要求部を更に有する(1)に記載の制御コントローラ。
【0095】
(3)プラントに設置された前記複数の機器および前記複数の機器に接続される機能ブロックの接続関係を定義した情報と、前記検索部に検索された入出力情報とを基にして、前記入出力情報に対応する機器と接続される機能ブロックを特定し、機器と機能ブロックとを対応付けた制御ループを構築する構築部を更に有し、
前記設定部は、制御パラメータおよびアラーム閾値を機能ブロックに設定する(1)または(2)に記載の制御コントローラ。
【0096】
(4)前記設定部は、前記入出力情報に対応する機器の数が、前記入出力モジュールに設定された上限数を超える場合に、前記上限数を超える数の機器に関する入出力情報の設定をシステムの管理装置に依頼する処理を更に実行する(1)、(2)または(3)に記載の制御コントローラ。
【0097】
(5)前記設定部は、前記入出力情報を前記入出力モジュールに設定した場合に、前記制御コントローラのチャンネルと、前記入出力情報との関係を設定情報として記録し、前記設定情報を、前記計装データベースに設定する処理を更に実行する(1)~(4)のいずれか一つに記載の制御コントローラ。
【0098】
(6)前記受付部は、プラントの操業に用いられる複数の機器に接続されたジャンクションボックスを識別する番号または前記ジャンクションボックスと前記制御コントローラとを接続するケーブルを識別する番号を示す識別情報の指定を受け付け、
前記検索部は、識別情報と、ジャンクションボックスに接続された複数の機器の入出力情報とを対応付けて記録する計装データベースから、指定された前記識別情報に対応する入出力情報を検索し、
前記設定部は、検索された前記入出力情報を、前記制御コントローラの入出力モジュールに設定する、
(1)に記載の制御コントローラ。
【0099】
(7)コンピュータが、
複数の機器に接続された中継装置を識別する番号または前記中継装置と前記コンピュータとを接続するケーブルを識別する番号を示す識別情報の指定を受け付け、
識別情報と、中継装置に接続された複数の機器の入出力情報とを対応付けて記録する計装データベースから、指定された前記識別情報に対応する入出力情報を検索し、
検索された前記入出力情報を、前記コンピュータの入出力モジュールに設定する
処理を実行する設定方法。
【0100】
(8)コンピュータに、
複数の機器に接続された中継装置を識別する番号または前記中継装置と前記コンピュータとを接続するケーブルを識別する番号を示す識別情報の指定を受け付け、
識別情報と、中継装置に接続された複数の機器の入出力情報とを対応付けて記録する計装データベースから、指定された前記識別情報に対応する入出力情報を検索し、
検索された前記入出力情報を、前記コンピュータの入出力モジュールに設定する
処理を実行させる設定プログラム。
【符号の説明】
【0101】
1 プラント
2 機器
3 機能ブロック
100 DCN
110 IOモジュール
120 入力部
130 表示部
140 記憶部
141 IO情報テーブル
142 制御ループ情報
143 DCN設定情報
150 制御部
151 受付部
152 認証要求部
153 検索部
154 第1設定部
155 構築部
156 第2設定部
160 通信部