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  • 特開-ハイブリッド車両の充電制御システム 図1
  • 特開-ハイブリッド車両の充電制御システム 図2
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2025006484
(43)【公開日】2025-01-17
(54)【発明の名称】ハイブリッド車両の充電制御システム
(51)【国際特許分類】
   B60W 20/13 20160101AFI20250109BHJP
   B60K 6/46 20071001ALI20250109BHJP
   B60W 20/00 20160101ALI20250109BHJP
   B60L 50/61 20190101ALI20250109BHJP
   B60L 53/30 20190101ALI20250109BHJP
【FI】
B60W20/13
B60K6/46
B60W20/00 900
B60L50/61
B60L53/30
【審査請求】未請求
【請求項の数】1
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023107304
(22)【出願日】2023-06-29
(71)【出願人】
【識別番号】000003207
【氏名又は名称】トヨタ自動車株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002147
【氏名又は名称】弁理士法人酒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】岡西 大輔
(72)【発明者】
【氏名】永井 裕喜
(72)【発明者】
【氏名】菊池 義晃
(72)【発明者】
【氏名】松井 貴昭
【テーマコード(参考)】
3D202
5H125
【Fターム(参考)】
3D202AA07
3D202BB19
3D202CC01
3D202CC57
3D202DD47
3D202EE28
5H125AA01
5H125AC08
5H125AC12
5H125AC24
5H125BD17
5H125BE02
5H125DD02
5H125EE23
(57)【要約】
【課題】バッテリの電池セル数を低減し、かつ給電装置からバッテリに電力を供給可能なハイブリッド車両の充電制御システムを提供すること。
【解決手段】ハイブリッド車両の充電制御システムは、電力を蓄電可能なバッテリと、燃料の燃焼により駆動するエンジンと、前記エンジンの駆動によって発電した電力により前記バッテリを充電する発電機と、外部の給電装置から供給された電力により前記バッテリを充電する充電部と、前記バッテリの電圧が前記給電装置の作動電圧以下の場合、前記エンジンを駆動させて前記発電機により前記バッテリを充電し、前記バッテリの電圧が前記給電装置の作動電圧より大きい場合、前記給電装置から電力を供給して前記充電部により前記バッテリを充電するように構成されたプロセッサと、を備える。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
電力を蓄電可能なバッテリと、
燃料の燃焼により駆動するエンジンと、
前記エンジンの駆動によって発電した電力により前記バッテリを充電する発電機と、
外部の給電装置から供給された電力により前記バッテリを充電する充電部と、
前記バッテリの電圧が前記給電装置の作動電圧以下の場合、前記エンジンを駆動させて前記発電機により前記バッテリを充電し、前記バッテリの電圧が前記給電装置の作動電圧より大きい場合、前記給電装置から電力を供給して前記充電部により前記バッテリを充電するように構成されたプロセッサと、
を備えるハイブリッド車両の充電制御システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、ハイブリッド車両の充電制御システムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、外部の給電装置から電力を供給し、バッテリに充電可能なプラグインハイブリッド車両等のハイブリッド車両が知られている。ハイブリッド車両では、バッテリの電圧が給電装置の作動電圧以下になると、給電装置からバッテリに電力を供給することができない。そのため、バッテリの電圧が給電装置の作動電圧以下にならないように、複数の電池セルを直列に接続したバッテリが採用されている。
【0003】
また、特許文献1には、給電装置からバッテリ(第1の二次電池)に電力を供給することができない場合、第2の二次電池で第1の二次電池を充電する技術が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2011-087403号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ハイブリッド車両では、価格を低減するため、バッテリの電池セル数の低減が求められている。
【0006】
本開示は、上記に鑑みてなされたものであって、バッテリの電池セル数を低減し、かつ給電装置からバッテリに電力を供給可能なハイブリッド車両の充電制御システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本開示に係るハイブリッド車両の充電制御システムは、電力を蓄電可能なバッテリと、燃料の燃焼により駆動するエンジンと、前記エンジンの駆動によって発電した電力により前記バッテリを充電する発電機と、外部の給電装置から供給された電力により前記バッテリを充電する充電部と、前記バッテリの電圧が前記給電装置の作動電圧以下の場合、前記エンジンを駆動させて前記発電機により前記バッテリを充電し、前記バッテリの電圧が前記給電装置の作動電圧より大きい場合、前記給電装置から電力を供給して前記充電部により前記バッテリを充電するように構成されたプロセッサと、を備える。
【発明の効果】
【0008】
本開示によれば、バッテリの電池セル数を低減し、かつ給電装置からバッテリに電力を供給可能なハイブリッド車両の充電制御システムを実現することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1図1は、実施形態1に係るハイブリッド車両の充電制御システムの概略的な構成図である。
図2図2は、ハイブリット車両を充電する処理のフローチャートを示す図である。
図3図3は、実施形態2に係るハイブリット車両を充電する処理のフローチャートを示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
本開示の実施形態に係るハイブリッド車両の充電制御システムについて、図面を参照しながら説明する。なお、下記実施形態における構成要素には、当業者が置換可能かつ容易なもの、あるいは実質的に同一のものが含まれる。
【0011】
(実施形態1)
〔ハイブリッド車両〕
まず、本発明の一実施形態によるハイブリッド車両の充電制御システムについて説明する。図1は、実施形態1に係るハイブリッド車両の充電制御システムの概略的な構成図である。本実施形態による充電制御システム100においてハイブリット車両1は、例えばプラグインハイブリッド(PHEV:Plug-in Hybrid Electric Vehicle)車両であるが、レンジエクステンダーハイブリッド(REEV:Range Extended Electric Vehicle)車両であってもよく、エンジンを備える種々のハイブリッド車両を採用可能である。ハイブリット車両1は、基本的に、ガソリンや軽油などの燃料に比してバッテリや発電機から給電される電力を優先的に用いて走行する車両である。
【0012】
図1に示すように、ハイブリット車両1は、バッテリ11と、エンジン12と、発電機13と、充電部14と、モータ15と、ECU16と、を備える。
【0013】
バッテリ11は、電力を蓄電可能に構成される。バッテリ11は、電池セル数が少ないものであってよく、バッテリ11の充電量が少ない場合、バッテリ11の電圧が給電装置21の作動電圧以下となってもよい。
【0014】
バッテリ11は、例えば、ニッケル水素電池やリチウムイオン電池等の二次電池からなる。バッテリ11と充電部14との間には、給電装置21から入力される外部電力をバッテリ11に充電可能な電力に変換してバッテリ11に出力する充電装置が設けられている。バッテリ11には、例えばPCU(Power Control Unit)が接続されている。PCUは、バッテリ11に蓄えられた直流電力をモータ15及び発電機13を駆動可能な交流電力に変換したり、モータ15及び発電機13で発電された交流電力をバッテリ11に蓄電可能な直流電力に変換したりする。
【0015】
エンジン12は、例えば、ガソリンエンジンやディーゼルエンジンなどの内燃機関であって、燃料の燃焼により駆動し、トルクを出力する。エンジン12は、ECU16からの制御信号によって制御される。エンジン12が発生する動力は、車輪又は発電機13に伝達される。
【0016】
発電機13は、ECU16によって駆動される三相交流回転電機などである。発電機13は、エンジン12の駆動によって発電した電力によりバッテリ11を充電する。
【0017】
充電部14は、車両外部の給電装置21のコネクタ22と接続可能に構成され、外部の給電装置21から供給された電力によりバッテリ11を充電する。給電装置21は、系統電源に接続されて、系統電源の電力をコネクタ22に接続されたハイブリット車両1に供給可能に構成される。
【0018】
モータ15は、バッテリ11から給電され、ECU16によって駆動される三相交流回転電機などである。モータ15は電力によってトルクを出力して車輪に伝達する。これにより、ハイブリット車両1は、モータ15によって走行可能に構成される。また、モータ15は、バッテリ11に蓄えられた電力、及び発電機13により発電された電力の少なくとも一方を用いて、ハイブリット車両1の駆動力を発生する。モータ15は、運転者がアクセルペダルを踏んでいない状態であるアクセルオフ状態での惰性走行中において、駆動輪から伝達されるハイブリット車両1の運動エネルギーを用いて回生発電する。モータ15が発電した回生電力はバッテリ11に回収される。
【0019】
ECU16は、制御部及び記憶部を備える。制御部は、具体的に、CPU(Central Processing Unit)、DSP(Digital Signal Processor)、FPGA(Field-Programmable Gate Array)などのプロセッサ、及びRAM(Random Access Memory)やROM(Read Only Memory)などの主記憶部を備える。記憶部は、EPROM(Erasable Programmable ROM)、ハードディスクドライブ(HDD:Hard Disk Drive)、及びリムーバブルメディアなどから選ばれた記憶媒体から構成される。なお、リムーバブルメディアは、例えば、USB(Universal Serial Bus)メモリ、又は、CD(Compact Disc)、DVD(Digital Versatile Disc)、又はBD(Blu-ray(登録商標) Disc)のようなディスク記録媒体である。記憶部には、オペレーティングシステム(OS:Operating System)、各種プログラム、各種テーブル、各種データベースなどが格納可能である。ECU16は、制御部が記憶部に格納されたプログラムを主記憶部の作業領域にロードして実行し、プログラムの実行を通じて、各構成部を制御する。具体的にECU16は、バッテリ11、エンジン12、発電機13、及びモータ15などを制御することによって、所定の目的に合致した機能を実現できる。
【0020】
ECU16は、外部のネットワークと通信可能な通信部を有する。ネットワークは、例えば、インターネットなどの公衆通信網であって、WAN(Wide Area Network)や、携帯電話などの電話通信網や、WiFiなどの無線通信網などのその他の通信網を含んでもよい。ハイブリット車両1は、ECU16の通信部によって、外部の通信センタとネットワークを介して種々の情報を送受信可能に構成される。なお、本実施形態において外部の通信センタは、例えば給電装置21により電力を提供する事業者のサーバなどである。
【0021】
ECU16は、バッテリ11の電圧が給電装置21の作動電圧以下の場合、エンジン12を駆動させて発電機13によりバッテリ11を充電し、バッテリ11の電圧が給電装置21の作動電圧より大きい場合、給電装置21から電力を供給して充電部14によりバッテリ11を充電する。
【0022】
〔充電制御方法〕
次に、ハイブリッド車両の充電制御方法について説明する。図2は、ハイブリット車両を充電する処理のフローチャートを示す図である。図2に示すように、まず、ECU16は、充電部14に給電装置21のコネクタ22が接続されたことを検知する(ステップS1)。
【0023】
すると、ECU16は、バッテリ11の電圧>給電装置21の作動電圧であるか否かを判定する(ステップS2)。バッテリ11の電圧は、例えば開回路電圧(OVC:Open Circuit Voltage)である。
【0024】
ECU16が、バッテリ11の電圧>給電装置21の作動電圧であると判定した場合(ステップS2:Yes)、ECU16は、給電装置21から電力を供給して充電部14によりバッテリ11を充電する(ステップS3)。
【0025】
一方、ステップS2において、ECU16が、バッテリ11の電圧>給電装置21の作動電圧ではないと判定した場合(ステップS2:No)、ECU16は、エンジン12を駆動させて発電機13によりバッテリ11を充電する(ステップS4)。
【0026】
その後、ECU16は、所定の時間待機する(ステップS5)。所定の時間は、バッテリ11が十分分極緩和するまでに必要な時間である。所定の時間待機後、ステップS2に戻り、処理を継続する。
【0027】
以上説明した実施形態1によれば、バッテリ11の電圧>給電装置21の作動電圧ではない場合、発電機13によりバッテリ11を充電し、バッテリ11のOVCを引き上げる。その後、バッテリ11の電圧>給電装置21の作動電圧となってから、給電装置21から電力を供給して充電部14によりバッテリ11を充電する。その結果、バッテリ11の電池セル数を低減し、かつ給電装置21からバッテリ11に電力を供給可能な充電制御システム100を実現することができる。
【0028】
なお、バッテリ11の電圧は、閉回路電圧(CCV:Closed circuit voltage)であってもよい。この場合、ステップS5の待機時間は必要ない。また、ステップS2におけるバッテリ11の電圧として、初回の判定にはOVCを採用し、2回目以降の判定にはCCVを採用してもよい。
【0029】
(実施形態2)
実施形態2において、充電制御システム100の構成は、実施形態1の構成と同様であってよいから説明を省略する。図3は、実施形態2に係るハイブリット車両を充電する処理のフローチャートを示す図である。
【0030】
まず、ECU16は、目的地の入力を受け付ける(ステップS11)。ECU16は、例えばカーナビゲーションシステムと連携し、ユーザの所望する目的地の入力を受け付ける。
【0031】
続いて、ECU16は、目的地の給電装置21の作動電圧を取得する(ステップS12)。ECU16は、インターネット等のネットワークを用いて、目的地に設置されている給電装置21の作動電圧を取得する。
【0032】
さらに、ECU16は、目的地におけるバッテリ11の電圧を算出する(ステップS13)。ECU16は、ステップS1において受け付けた目的地から、現在地から目的地までの距離を推定する。さらに、ECU16は、目的地までの距離から目的地までの電力消費量を算出する。その後、ECU16は、バッテリ11の現在の充電量から算出した電力消費量を差し引き、目的地におけるバッテリ11の電圧を算出する。
【0033】
そして、ECU16は、目的地におけるバッテリ11の電圧>目的地の給電装置21の作動電圧であるか否かを判定する(ステップS14)。
【0034】
ECU16が、目的地におけるバッテリ11の電圧>目的地の給電装置21の作動電圧であると判定した場合(ステップS14:Yes)、ECU16は、目的地に到着し、充電部14に目的地に設置されている給電装置21のコネクタ22が接続されたことを検知する(ステップS15)と、給電装置21から電力を供給して充電部14によりバッテリ11を充電する(ステップS16)。
【0035】
一方、ステップS14において、ECU16が、目的地におけるバッテリ11の電圧>目的地の給電装置21の作動電圧ではないと判定した場合(ステップS14:No)、ECU16は、目的地においてバッテリ11の電圧>給電装置21の作動電圧となるように給電装置21の充電を制御する(ステップS17)。ECU16は、例えばエンジン12を駆動させて発電機13によりバッテリ11を充電し、バッテリ11の電圧>目的地の給電装置21の作動電圧となるまで十分充電されてからエンジン12の駆動を停止する。このとき、ECU16は、目的地到着後に直ちに給電装置21から充電を開始できるよう、バッテリ11の温度を管理してもよい。
【0036】
以上説明した実施形態2によれば、予めバッテリ11の電圧>目的地の給電装置21の作動電圧となるようにバッテリ11の充電量を管理することにより、目的地に到着後、直ちに給電装置21から電力を供給して充電部14によりバッテリ11を充電することができる。
【0037】
更なる効果や変形例は、当業者によって容易に導き出すことができる。よって、本発明のより広範な態様は、以上のように表わし、かつ記述した特定の詳細及び代表的な実施形態に限定されるものではない。従って、添付のクレーム及びその均等物によって定義される総括的な発明の概念の精神又は範囲から逸脱することなく、様々な変更が可能である。
【符号の説明】
【0038】
1 ハイブリット車両
11 バッテリ
12 エンジン
13 発電機
14 充電部
15 モータ
16 ECU
21 給電装置
22 コネクタ
100 充電制御システム
図1
図2
図3