(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2025006490
(43)【公開日】2025-01-17
(54)【発明の名称】皮膚洗浄用組成物
(51)【国際特許分類】
A61K 8/46 20060101AFI20250109BHJP
A61K 8/42 20060101ALI20250109BHJP
A61K 8/60 20060101ALI20250109BHJP
A61Q 19/10 20060101ALI20250109BHJP
【FI】
A61K8/46
A61K8/42
A61K8/60
A61Q19/10
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023107313
(22)【出願日】2023-06-29
(71)【出願人】
【識別番号】504030912
【氏名又は名称】株式会社バイオリンク販売
(71)【出願人】
【識別番号】518026280
【氏名又は名称】株式会社ロジカルラボ
(74)【代理人】
【識別番号】100125184
【弁理士】
【氏名又は名称】二口 治
(74)【代理人】
【識別番号】100188488
【弁理士】
【氏名又は名称】原谷 英之
(72)【発明者】
【氏名】辻 大作
(72)【発明者】
【氏名】波多 悟
(72)【発明者】
【氏名】波多 優
【テーマコード(参考)】
4C083
【Fターム(参考)】
4C083AC112
4C083AC122
4C083AC302
4C083AC711
4C083AC712
4C083AC791
4C083AC792
4C083AD282
4C083AD391
4C083AD392
4C083CC23
4C083DD27
4C083EE06
(57)【要約】
【課題】低刺激性で泡立ち性に優れ、洗浄後の使用感に優れる皮膚洗浄用組成物を提供する。
【解決手段】本発明の皮膚洗浄用組成物は、ラウラミドプロピルヒドロキシスルタインとラウラミドプロピルベタインとデシルグルコシドとを含有し、pHが4.0~6.0であることを特徴とする。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ラウラミドプロピルヒドロキシスルタインと
ラウラミドプロピルベタインと
デシルグルコシドとを含有し、pHが4.0~6.0であることを特徴とする皮膚洗浄用組成物。
【請求項2】
pHが4.0~4.5である請求項1に記載の皮膚洗浄用組成物。
【請求項3】
ラウラミドプロピルヒドロキシスルタインの含有率が3質量%~9質量%である請求項1に記載の皮膚洗浄用組成物。
【請求項4】
ラウラミドプロピルベタインの含有率が、0.7質量%~4.7質量%である請求項1に記載の皮膚洗浄用組成物
【請求項5】
デシルグルコシドの含有率が0.5質量%~2.5質量%である請求項1に記載の皮膚洗浄用組成物。
【請求項6】
女性の陰部用である請求項1~5のいずれか一項に記載の皮膚洗浄用組成物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、皮膚洗浄用組成物に関するものであり、女性のデリケートゾーン洗浄用組成物に関するものである。
【背景技術】
【0002】
女性のデリケートゾーン(陰部)に関する悩みの相談をすることは難しく、これらの悩みを抱えたまま相談できずにいる女性も多い。近年、フェムテックやフェムケアというような、女性のデリケートゾーンに関する問題を解消する様々な情報や方法が提案されている。女性のデリケートゾーンの問題として、例えば、かゆみ、臭い、むれ、かぶれ、乾燥などの問題がある。
【0003】
デリケートなゾーンであるために、例えば、一般の石鹸で洗いすぎても、肌荒れ、炎症などの原因になる。
【0004】
例えば、特許文献1には、植物由来成分を含むデリケートゾーン用スキンケア剤であって、前記植物由来成分として、グレープフルーツ果実エキス、シソ葉エキス、チャ葉エキス、カミツレ花エキス、リンゴ果実エキス、ローズマリー葉エキス、アマチャヅル葉エキス、カキタンニン、及びフラックスシードエキスを含むことを特徴とするデリケートゾーン用スキンケア剤が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
人の皮膚のpHは、4.5~6.0程度と言われている。皮膚のpHは、皮膚表面を薄く覆っている皮表脂質膜(皮脂膜)のpHのことを指す。皮表脂質膜は、皮脂の中に存在する遊離脂肪酸や汗に含まれている乳酸やアミノ酸の影響でpH4.5-6.0の弱酸性を示す。皮膚洗浄用組成物のpHとしては、皮膚のpH領域内のものが好ましい。皮膚のpH領域からはなれると、皮膚に対する刺激が強くなる。
【0007】
このような観点から、デリケートゾーンの洗浄剤としては、弱酸性(pHが4.5~6.0程度)のものが好ましい。一般の肌用ソープは、アルカリ性である。アルカリ性の肌用ソープは、泡立ち性や洗浄性が良いが、デリケートゾーンに対しては刺激が強いという問題がある。
【0008】
一方、弱酸性のソープは、泡立ち性が良くなく、洗浄ができているのかどうか分からないという印象を与える。また、一般に市販されている弱酸性ソープとしては、pHが6.5~7程度のものが知られているが、皮膚のpHと比較すると、弱アルカリ性になり皮膚に対する刺激の低減効果が低いものがある。
【0009】
また、デリケートゾーンであることから、デリケートゾーン用洗浄剤には、洗浄後にひりひり感やベトベト感などがないこと(使用感)が要望される。
【0010】
本発明は、前記事情に鑑みてなされたものであり、低刺激性で泡立ち性に優れ、洗浄後の使用感に優れる皮膚洗浄用組成物を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
前記課題を解決することのできた本発明の皮膚洗浄用組成物は、ラウラミドプロピルヒドロキシスルタインとラウラミドプロピルベタインとデシルグルコシドとを含有することを特徴とする。本発明者らは、洗浄成分として、ラウラミドプロピルヒドロキシスルタインとラウラミドプロピルベタインとデシルグルコシドの3種類を組み合わせることにより、弱酸性領域での泡立ち性に優れ、かつ、使用感に優れる皮膚洗浄用組成物が得られることを見出し、本発明を完成した。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、低刺激性で泡立ち性が良く、使用感に優れる皮膚洗浄用組成物を提供できる。
【発明を実施するための形態】
【0013】
本発明の皮膚洗浄用組成物は、洗浄成分として、ラウラミドプロピルヒドロキシスルタインとラウラミドプロピルベタインとデシルグルコシドとを含有することを特徴とする。
【0014】
本発明の皮膚洗浄用組成物中のラウラミドプロピルヒドロキシスルタインの含有率は、3質量%以上が好ましく、4質量%以上が好ましく、5質量%以上であることがさらに好ましく、9質量%以下であることが好ましく、8質量%以下であることがより好ましく、7質量%以下であることがさらに好ましい。
【0015】
本発明の皮膚洗浄用組成物中のラウラミドプロピルベタインの含有率は、0.7質量%以上であることが好ましく、1.2質量%以上であることが好ましく、1.7質量%以上であることがさらに好ましく、4.7質量%以下であることが好ましく、4.2質量%以下であることがより好ましく、3.7質量%以下であることがさらに好ましい。
【0016】
本発明の皮膚洗浄用組成物中のデシルグルコシドの含有率は、0.5質量%以上であることが好ましく、0.75質量%以上であることがより好ましく、1.2質量%以上であることがさらに好ましく、2.5質量%以下であることが好ましく、2.0質量%以下であることがより好ましく、1.7質量%以下であることがさらに好ましい。
【0017】
本発明の皮膚洗浄用組成物中において、ラウラミドプロピルヒドロキシスルタインとラウラミドプロピルベタインとデシルグルコシドとの合計含有率は、5質量%以上が好ましく、7質量%以上がより好ましく、9質量%以上がさらに好ましく、15質量%以下が好ましく、13質量%以下がより好ましく、11.5質量%以下がさらに好ましい。
【0018】
本発明の皮膚洗浄用組成物のpHは、4.0~6.0であることが好ましく、4.0~5.0であることがより好ましく、4.0~4.5であることがさらに好ましい。弱酸性にしておくことで、皮膚への刺激が少なくなる。
【0019】
本発明の皮膚洗浄用組成物は、pH調整剤を含有することが好ましい。前記pH調整剤としては、乳酸、クエン酸、コハク酸、アスコルビン酸、フマル酸、マレイン酸などが挙げられ、乳酸、クエン酸、コハク酸、アスコルビン酸が好ましく、クエン酸がより好ましい。
【0020】
前記pH調整剤の配合量は、皮膚洗浄用組成物のpHが4.0~6.0になるように配合されることが好ましく、皮膚洗浄用組成物のpHが4.0~5.0になるように配合されることがより好ましく、皮膚洗浄用組成物のpHが4.0~4.5になるように配合されることがさらに好ましい。pH調整剤の含有率は、特に限定されないが、0.05質量%~1質量%が好ましく、0.1質量%~0.7質量%がより好ましい。
【0021】
本発明の皮膚洗浄用組成物は、保湿剤を含有することが好ましい。保湿剤としては、コラーゲン、エラスチン、ケラチン等のタンパク質またはそれらの誘導体、加水分解物並びにそれらの塩、ヒアルロン酸、コンドロイチン硫酸等のムコ多糖及びその誘導体、セリン、グリシン、テアニン、アスパラギン酸、アルギニン等のアミノ酸及びそれらの誘導体、ソルビトール、エリスリトール、トレハロース、イノシトール、グルコース、キシリトール、蔗糖およびその誘導体、デキストリン及びその誘導体、ハチミツ等の糖類、D-パンテノール及びその誘導体、糖脂質、セラミド等が挙げられる。これらの保湿剤を配合することにより、皮膚の乾燥を防ぎ、皮膚に潤いを与えることができる。
【0022】
前記保湿剤の具体例としては、グリセリン、ジグリセリン、トリグリセリン、ポリグリセリン、3-メチル-1,3-ブタンジオール(イソプロピレングリコール)、1,3-ブチレングリコール、イソプレングリコール、ポリエチレングリコール、1,2-ペンタンジオール(ペンチレングリコール)、1,2-ヘキサンジオール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、ポリプロピレングリコール、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、ペンタエリスリトール、ネオペンチルグリコールなどを挙げることができる。
【0023】
前記保湿剤としては、グリセリン、ヒアルロン酸ナトリウム、加水分解コラーゲン、加水分解ヒアルロン酸、DL-ピロリドンカルボン酸ナトリウム液(PCA-Na)、ハチミツ、ベタイン(トリメチルグリシン)などを使用することが好ましい。
【0024】
本発明の皮膚洗浄用組成物の保湿剤の含有率は、特に限定されないが、4質量%以上が好ましく、4.5質量%以上がより好ましく、5質量%以上がさらに好ましく、9質量%以下が好ましく、8質量%以下が好ましく、76質量%以下がさらに好ましい。
【0025】
本発明の皮膚洗浄用組成物は、増粘剤を含有することが好ましい。前記増粘剤としては、例えば、水溶性高分子が好ましい。
【0026】
水溶性高分子は、系の安定化や使用性、使用感を良くするために、また保湿効果を得るために用いられる。水溶性高分子の具体例として、アラビアゴム、グァーガム、カラギーナン、ペクチン、寒天、ローカストビーンガム、セルロース等の植物系水溶性高分子;
キサンタンガム、ジェランガム等の微生物発酵系水溶性高分子;カゼイン、ゼラチン等の動物系水溶性高分子;デンプン等のデンプン系水溶性高分子;アルギン酸ナトリウム等の海藻由来の水溶性高分子;カルボキシビニルポリマー等のビニル系高分子;ラウリン酸ポリオキシエチレンソルビタン、ステアリン酸ポリオキシエチレンソルビタン、オレイン酸ポリオキシエチレンソルビタン(ポリソルベート80)などのポリオキシエチレン系高分子;ポリオキシエチレンポリオキシプロピレン共重合体系高分子;ポリアクリル酸ナトリウム等のアクリル系高分子;ベントナイト、ヘクトライト等の無機系水溶性高分子等が挙げられる。
【0027】
セルロース系水溶性高分子としては、メチルセルロース、エチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロール、ヒドロキシプロピルセルロース、ニトロセルロース、結晶セルロース等を挙げることができる。
【0028】
本発明の皮膚洗浄用組成物が、増粘剤を含有する場合、洗浄成分の泡立ち性を阻害しない増粘剤が好ましい。洗浄成分の泡立ち性を阻害しない増粘剤としては、ヒドロキシエチルセルロースが好ましい。増粘剤として、ヒドロキシエチルセルロースを使用することにより、泡立ち後の形状保持性が良好になる。
【0029】
本発明の皮膚洗浄用組成物の増粘剤の含有率は、特に限定されないが、0.05質量%以上が好ましく、0.1質量%以上がより好ましく、0.3質量%以上がさらに好ましく、1質量%以下が好ましく、0.8質量%以下が好ましく、0.6質量%以下がさらに好ましい。
【0030】
本発明の皮膚洗浄用組成物には、更に必要に応じて、本発明の効果を損なわない範囲で、通常、化粧料や医薬品外部、外用医薬品などの製剤に使用される成分、例えば、水(精製水、温泉水、深層水等の他、植物などを水蒸気蒸留した際に得られる水分も含む)、油剤、界面活性剤(乳化剤を含む)、粉体、アルコール類、樹脂、包接化合物、抗菌剤、防腐剤、香料、消臭剤、塩類、清涼剤、植物・動物・微生物由来の抽出物、血行促進剤、美白剤、細胞賦活剤、紫外線防止剤、抗炎症剤、抗酸化剤、収斂剤、抗脂漏剤、活性酸素除去剤、キレート剤、角質溶解剤、酵素、ホルモン類、ビタミン類等を加えることができる。好適な成分の具体例としてはそれぞれ以下に示すものが挙げられる。ここで、「誘導体」には、形成可能な塩が含まれる。
【0031】
油剤としては、使用感を良くするものとして、通常の洗浄剤に使用されるものであれば、天然系油であるか、合成油であるか、或いは、固体、半固体、液体であるか等の性状は問わず、炭化水素類、ロウ類、脂肪酸類、高級アルコール類、エステル油、シリコーン油類、フッ素系油類等を使用することができる。好ましい油剤の例としては、スクワラン、ワセリン等の炭化水素類、ヒマシ油、ミンク油等の植物や動物由来の油脂、ミツロウ、カルナウバロウ、キャンデリラロウ、ゲイロウ等のロウ類等が挙げられる。
【0032】
乳化剤としては、前記油分を乳化してクリーム状にするものであり、ラウロイルグルタミン酸ナトリウム、モノステアリン酸グリセリル、モノステアリン酸POEグリセリル、ステアリン酸、水添パーム脂肪酸グリセリズなどが挙げられる。
【0033】
アルコール類としてはエタノール、イソプロパノール等の低級アルコール、セタノール、ベヘニルアルコールなどの高級アルコール、グリセリン、ジグリセリン、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコ-ル、1,3-ブチレングリコール(BG)、ポリエチレングリコール等が挙げられる。
【0034】
動物または微生物由来の抽出物としては、血清除蛋白、脾臓、トリ等の卵成分、卵殻膜抽出物、鶏冠抽出物、貝殻抽出物、貝肉抽出物、ローヤルゼリー、シルクプロテイン及びその分解物又はそれらの誘導体、ヘモグロビン又はその分解物、ラクトフェリン又はその分解物、イカスミ等の軟体動物、魚肉等、鳥類、貝類、昆虫類、魚類、軟体動物類等の動物由来の抽出物、霊芝抽出物等の微生物由来の抽出物等が挙げられる。動物または微生物由来の抽出物を配合することによって、保湿効果、細胞賦活効果、美白効果、抗炎症効果、活性酸素除去効果、血行促進効果等を付与することができる。
【0035】
植物抽出物としては、植物の抽出部位や、抽出方法等に特に制限はなく、例えば植物の全草、又は根、茎、幹、樹皮、幼芽、葉、花、果実、種子等から抽出することが出来、これらを乾燥、細切、圧搾、或いは発酵等、適宜処理を施し、種々の適当な溶媒を用いて低温もしくは室温~加温下で抽出することができる。抽出溶媒としては、例えば水;メタノール、エタノール等の低級1価アルコール;グリセリン、プロピレングリコール、1,3-ブチレングリコール等の液状多価アルコール等の1種または2種以上を用いることができる。また、ヘキサン、アセトン、酢酸エチル、エーテル等の親油性溶媒を用いて抽出することもでき、その他、スクワラン等の油性成分等により抽出したものでも良い。得られた抽出液は濾過または吸着、脱色、精製して溶液状、ペースト状、ゲル状、粉末状とすることもできる。必要ならば、効果に影響のない範囲で更に、脱臭、脱色等の精製処理をしても良い。抽出方法としては、例えば、上述した各エキスを得る抽出方法を採用することができる。
【0036】
植物としては、ゲットウ、アスパラガス、ノイバラ(エイジツ)、キイチゴ、クララ(クジン)、ケイケットウ、ゴカヒ、コーヒー、コメ、サイシン、サンザシ、シラユリ、シャクヤク、茶、ブナ、ホップ、モッカ、ユキノシタ、アルテア、アシタバ、アルニカ、インチンコウ、イラクサ、キハダ(オウバク)、オトギリソウ、スイカズラ(キンギンカ)、サルビア(セージ)、シコン、シラカバ、ムクロジ、レンゲソウ、イチョウ、オオムギ、センブリ、ナツメ(タイソウ)、ローズマリー(マンネンロウ)、オウレン、グレープフルーツ、ゲンチアナ、サボンソウ、ショウブ、ジオウ、センキュウ、ゼニアオイ(ウスベニタチアオイ)、ハマメリス、フキタンポポ、プルーン、ボダイジュ、マロニエ、マルメロ、ウワウルシ葉等が挙げられる。植物抽出物を配合することによって、保湿効果、細胞賦活効果、美白効果、抗炎症効果、活性酸素除去効果、血行促進効果等を付与することができる。(尚、かっこ内は、植物の別名、生薬名等を記載した。)
【0037】
抗菌剤は、例えば、安息香酸、安息香酸ナトリウム、パラオキシ安息香酸エステル、パラクロルメタクレゾール、塩化ベンザルコニウム、フェノキシエタノール、イソプロピルメチルフェノール、アルコール類等が挙げられる。これらを配合することにより、細菌性の皮膚炎症による色素沈着を抑制し、さらに高い老化防止効果を発揮することができる。
【0038】
抗菌性のあるアルコール類としては、例えば、メタノール、エタノール、プロパノール、イソプロパノール、ブタノール、イソブタノール、3級ブタノール、1,3-ブチレングリコール、1,2-ペンタンジオール(ペンチレングリコール)、1,2-ヘキサンジオール、1,2-オクタンジオール、べンジルアルコール、フェニルエタノール、フェニルプロパノール、フェニルブタノール、フェニルペンタノール、フェニルヘキサノール、フェノキシエタノールなどを挙げることができる。
【0039】
抗菌剤として、1,2-ペンタンジオール(ペンチレングリコール)が好ましい。
【0040】
防腐剤としては、例えば、ブチルパラベン、メチルパラベンなどを挙げることができる。
【0041】
活性酸素除去剤は、紫外線による過酸化脂質の生成などを抑制する目的で用いられ、スーパーオキサイドディスムターゼ、マンニトール、クエルセチン、カテキン及びその誘導体、チアミン類(チアミン塩酸塩、チアミン硫酸塩)、リボフラビン類(リボフラビン、酢酸リボフラビン等)、ピリドキシン類(塩酸ピリドキシン、ピリドキシンジオクタノエート等)、ニコチン酸類(ニコチン酸アミド、ニコチン酸ベンジル等)等のビタミンB類;ジブチルヒドロキシトルエン及びブチルヒドロキシアニソール等が挙げられる。これらの活性酸素除去剤を配合することによって、くすみを抑制し、より高い老化防止効果を発揮することができる。
【0042】
血行促進剤は、皮膚の血流をうながすことによってメラニンの排出を促進する目的で用いられ、トウガラシチンキ、γ-オリザノール等が挙げられ、酵素としてはリパーゼ、パパイン等が挙げられる。これらを配合することにより、さらに高い老化防止効果が発揮できる。
【0043】
美白剤としては、ビタミンC及びその誘導体(L-アスコルビン酸リン酸エステル、L-アスコルビン酸硫酸エステル、ジパルミチン酸L-アスコルビル、テトライソパルミチン酸L-アスコルビル等)、グラブリジン、グラブレン、リクイリチン、イソリクイリチン及びこれらを含有するカンゾウ抽出物等が挙げられる。
【0044】
抗酸化剤としては、ビタミンE(トコフェロール)およびその誘導体(dl-α(β、γ)-トコフェロール、酢酸dl-α-トコフェロール、ニコチン酸-dl-α-トコフェロール、リノール酸-dl-α-トコフェロール、コハク酸dl-α-トコフェロール等のトコフェロール及びその誘導体、ユビキノン類等)、ビタミンD及びその誘導体(エルゴカルシフェロール、コレカルシフェロール、ジヒドロキシスタナール等)、ルチン及びその誘導体、チオタウリン、タウリン、ハイドロキノン及びその誘導体、ヒスチジン、カテキン及びその誘導体等が挙げられる。
【0045】
抗炎症剤としては、グリチルリチン酸及びその誘導体、グリチルレチン酸及びその誘導体等が挙げられる。
【0046】
紫外線防止剤としては、パラメトキシケイ皮酸-2-エチルヘキシル、オキシベンゾン、4-tert-ブチル-4’-メトキシジベンゾイルメタン、2-ヒドロキシ-4-メトキシベンゾフェノン、2-ヒドロキシ-4-メトキシベンゾフェノン-5-スルホン酸、2-ヒドロキシ-4-メトキシベンゾフェノン-5-スルホン酸ナトリウム、2-ヒドロキシ-4-メトキシベンゾフェノン-5-硫酸ナトリウム、2-フェニルベンズイミダゾール硫酸ナトリウム、酸化チタン、酸化亜鉛等が挙げられる。また、粉体は微粒子のものを用いるとより高い効果が発揮される。
【0047】
角質溶解剤としては、サリチル酸、イオウ、レゾルシン、硫化セレン、ピリドキシン等を例示することができる。清涼剤としては、メントール、サリチル酸メチル等を例示することができる。収斂剤としては、クエン酸、酒石酸、乳酸、硫酸アルミニウム・カリウム、タンニン酸等を例示することができる。
【0048】
香料としては、天然香料及び合成香料が挙げられる。天然香料としては花、葉、材、果皮等から分離した植物性香料;ムスク、シベット等の動物性香料が挙げられる。合成香料としてはモノテルペン等の炭化水素類;脂肪族アルコール、芳香族アルコール等のアルコール類;テルペンアルデヒド、芳香族アルデヒド等のアルデヒド類;脂環式ケトン等のケトン類;テルペン系エステル等のエステル類;ラクトン類;フェノール類;オキサイド類;含チッソ化合物類;アセタール類等が挙げられる。
【0049】
本発明の皮膚洗浄用組成物の残部は、水であることが好ましい。
【0050】
本発明の皮膚洗浄用組成物は、天然物由来の原料からなることが好ましく、本発明の皮膚洗浄用組成物のすべての成分は、天然物に由来することがより好ましい。本発明において、「天然物」とは、化学合成によって生産された合成物質でなければよく、人為によらず自然に存在する植物や動物の他、人為的に栽培された植物や養殖された動物なども含むものとする。また、「天然物由来」の物質とは、天然物そのものの他、天然物から産出された物質、天然物を構成する一部の成分を抽出などの方法により取り出した物質を意味する。
【0051】
本発明の皮膚洗浄用組成物は、フォーマー容器から泡の状態で吐出され、使用されることが好ましい。前記フォーマー容器としては、本発明の皮膚洗浄剤組成物を空気と混合して発泡状態で吐出できるものであれば特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。例えば、ポンプ部を押し下げることによって泡を吐出できるフォーマー容器などが挙げられる。
【0052】
前記フォーマー容器は、通常、泡を形成するための多孔質膜体を有し、前記フォーマー容器入り皮膚洗浄剤組成物が前記多孔質膜体を通過することにより泡が形成される。前記多孔質膜体の材質としては、例えば、ナイロン、ポリエステル、ポリオレフィン等のプラスチック材料が挙げられる。前記多孔質膜体のメッシュは、低温環境でのフォーマー容器のポンプの押しやすさ、及び泡のきめ細かさの点から、100メッシュ~400メッシュが好ましい。前記多孔質膜体のメッシュが、100メッシュ未満であると、泡のきめ細かさが不十分となることがあり、400メッシュを超えると、低温環境でのフォーマー容器のポンプが押しにくくなることがある。
【0053】
前記多孔質膜体の枚数は、低温環境でのフォーマー容器のポンプの押しやすさ、及び泡のきめ細かさの点から、2枚~4枚が好ましい。前記多孔質膜体の枚数が、2枚未満であると、泡のきめ細かさが不十分となることがあり、4枚を超えると、低温環境でのフォーマー容器のポンプが押しにくくなることがある。
【実施例0054】
以下、本発明を実施例によって詳細に説明するが、本発明は、下記実施例によって限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲の変更、実施の態様は、いずれも本発明の範囲内に含まれる。
【0055】
[皮膚洗浄用組成物の調製]
表1に示した原料を配合して皮膚洗浄用組成物No.1~No.7を作製した。なお、本発明の皮膚洗浄用組成物に使用したすべての成分は、天然物に由来する。得られた皮膚洗浄用組成物について、評価した結果を表1に併せて示した。なお、皮膚洗浄用組成物の残部は、精製水と合計質量で0.3質量%以下となる数種の添加剤(植物エキス、保湿剤、美白剤など)を含有する。
【0056】
【0057】
使用した原料は、以下の通りである。
ラウラミドプロピルヒドロキシスルタイン:パーム油、ヤシ油由来
ラウラミドプロピルベタイン:ヤシ油、パーム油由来、
コカミドプロピルベタイン:ヤシ油、パーム核由来
デシルグルコシド:パーム油、パーム核油、ココナツ油、トウモロコシなどに由来
グリセリン:ヤシ油、パーム油由来
ペンチレングリコール:トウモロコシ、サトウキビ由来
ヒドロキシエチルセルロース:パルプ由来
クエン酸:さつまいも澱粉粕、タピオカ澱粉粕、米糠など由来
【0058】
得られた皮膚洗浄用組成物No.1~No.7を、花王株式会社ビオレUのフォマーポンプに入れて、泡立ち性について評価した。
【0059】
(吐出時の泡立ち性)
判定基準
〇:出てきた時の泡の量が多く、出した時の泡の形を保っている。
△:出てきた時の泡の量は多いが、手の平と接地しているところから泡が潰れていく。
×:出てきた時の泡の量が少なく、水っぽく、泡がすぐにつぶれる。
【0060】
(吐出時の泡の細かさ)
判定基準
〇:きめ細かい
△:細かい
×:大きな泡も見られる
【0061】
(泡の形状維持性(もちもち感))
判定基準
〇:泡を手で触ると、弾力がある。
△:泡を手で触ると、弾力がなく、泡が壊れやすい。
×:泡を手で伸ばすと、泡が簡単に消失する。
【0062】
(泡の洗い流しやすさ)
判定基準
〇:流水で、15秒以内で洗い流すことができる。
△:流水で、15秒 ~ 30秒で洗い流すことができる。
×:流水で、洗い流すのに30秒以上かかる。
【0063】
(使用感)
判定基準
〇:洗浄後、水分をタオルで拭き取った後に保湿感がある
△:洗浄後、水分をタオルで拭き取った後に保湿感がない。
×:洗浄後、水分をタオルで拭き取ったあとにヌルツキ感がある。
【0064】
本発明の皮膚洗浄用組成物No.7と市販のフォームタイプのソープと比較した。市販品としては、以下のものを使用した。
【0065】
市販品A:下記成分を含有するハンドソープ
イソプロピルメチルフェノール、水、ポリオキシエチレンラウリルエーテル硫酸、アンモニウム(1E.O.)液、PG、エタノール、PEG6000、POEラウリルエーテル酢酸、グリセリンエチルヘキシルエーテル、アクリルアミド・アクリル酸・塩化ジメチルジアリルアンモニウム共重合体、塩化トリメチルアンモニオヒドロキシプロピルヒドロキシエチルセルロース、エデト酸塩、乳酸、水酸化ナトリウム液、安息香酸塩、香料
【0066】
市販品B:下記成分を含有するデリケートゾーン用泡石鹸
コナゾール硝酸塩、イソプロピルメチルフェノール、PG、BG、濃グリセリン、アルキルカルボキシメチルヒドロキシエチルイミダゾリニウムベタイン、ラウロイルメチル-β-アラニンNa液、ヤシ油脂肪酸ジエタノールアミド、無水クエン酸、コハク酸一ナトリウム、フェノキシエタノール、水
【0067】
市販品C:下記成分を含有するデリケートゾーン用泡石鹸
水、DPG、ココイルグルタミン酸TEA、ペンチレングリコール、ラウリルベタイン、コカミドDEA、ラウリン酸ポリグリセリル-10、カプリリルグリコール、ヒアルロン酸Na、加水分解コラーゲン、グリセリン、ローレル油、アオモジ果実油、イランイラン花油、エンピツビャクシン油、オレンジ果皮油、テレビン油、ニオイテンジクアオイ油、パルマローザ油、ビターオレンジ葉/枝油、ヒノキ油、ベチベル根油、ベルガモット果実油、マヨラナ葉油、ユーカリ葉油、ユズ果皮油、ライム油、ラバンデュラハイブリダ油、クエン酸、ユキノシタエキス、ブドウエキス、BG、ヤマグワ根皮エキス、オウゴンエキス、トウキンセンカ花エキス、アルギニン、クエン酸Na、カプリルヒドロキサム酸、エチドロン酸4Na、EDTA-2Na、フェノキシエタノール
【0068】
皮膚洗浄用組成物No.7と市販品A~Cを用いて、各洗浄剤80mLを株式会社グラセル製のFIIフォーマポンプ付FII―100PE容器(容量100mL)に入れて泡立ち性を比較した。
【0069】
(起泡性)200mLの透明容器に15プッシュして、直後の泡の高さを比較した。
起泡性は、下記の順で、本願発明の皮膚洗浄用組成物No.7が優れていた。
本願発明の皮膚洗浄用組成物No.7>市販品B、市販品C>市販品A
【0070】
(泡の細かさ)200mLの透明容器に15プッシュして、直後の泡のきめ細かさを目視で評価した。
泡の細かさは、下記の順で、本願発明の皮膚洗浄用組成物No.7の泡がきめ細かく、優れていた。
本願発明の皮膚洗浄用組成物No.7>市販品A>市販品B,C
【0071】
(泡の形状保持時間)200mLの透明容器に15プッシュして、30分後の泡の形状を比較した。
泡の形状保持時間は、下記の順で、本願発明の皮膚洗浄用組成物No.7の泡の形状が維持され、優れていた。
本願発明の皮膚洗浄用組成物No.7、市販品A>市販品C>市販品B
【0072】
表1の結果、および市販品との対比結果から、ラウラミドプロピルヒドロキシスルタインとラウラミドプロピルベタインとデシルグルコシドとを含有し、pHが4.0~6.0である本発明の皮膚洗浄用組成物は、低刺激性で泡立ち性に優れ、洗浄後の使用感に優れることが分かる。