(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2025064917
(43)【公開日】2025-04-17
(54)【発明の名称】クライオジェニックデバイスの貫通部を封止する手段
(51)【国際特許分類】
A61B 5/055 20060101AFI20250410BHJP
G01N 24/00 20060101ALI20250410BHJP
H01F 6/06 20060101ALI20250410BHJP
H01F 6/04 20060101ALN20250410BHJP
【FI】
A61B5/055 331
G01N24/00 600D
A61B5/055 360
H01F6/06
H01F6/04 ZAA
H01F6/04
【審査請求】有
【請求項の数】16
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2024116964
(22)【出願日】2024-07-22
(31)【優先権主張番号】23275134
(32)【優先日】2023-09-19
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(71)【出願人】
【識別番号】522108529
【氏名又は名称】シーメンス ヘルスケア リミテッド
【氏名又は名称原語表記】SIEMENS HEALTHCARE LIMITED
(74)【代理人】
【識別番号】110003317
【氏名又は名称】弁理士法人山口・竹本知的財産事務所
(74)【代理人】
【識別番号】100075166
【弁理士】
【氏名又は名称】山口 巖
(74)【代理人】
【識別番号】100133167
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 浩
(74)【代理人】
【識別番号】100169627
【弁理士】
【氏名又は名称】竹本 美奈
(72)【発明者】
【氏名】サイモン チョーリー
(72)【発明者】
【氏名】ウィリアム ビッケル
(72)【発明者】
【氏名】ゴビンダール チェイス
(57)【要約】 (修正有)
【課題】磁気共鳴装置の主磁石を吊り下げるサスペンションロッドを提供する。
【解決手段】サスペンションロッド(12)は、第1の端部と、第2の端部と、熱放射を逸らすように構成されたカラー(51)と、を含む。カラーは、サスペンションロッドに機械的に接続され、また、カラーは、第1の端部と第2の端部との間に位置するサスペンションロッドの区域に沿ってサスペンションロッドを円周方向に包囲する。さらに、本発明は、本発明のサスペンションロッドを含んだシールドアセンブリ(31)、及び、本発明のシールドアセンブリを含んだ磁気共鳴装置(11)に関する。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
磁気共鳴装置(11)の主磁石(17)を吊り下げるためのサスペンションロッド(12)であって、
第1の端部と、第2の端部と、熱放射を逸らすように構成されたカラー(51)と、を含み、
前記カラー(51)は、当該サスペンションロッド(12)に機械的に接続されると共に、前記カラー(51)は、前記第1の端部と前記第2の端部との間に位置する当該サスペンションロッド(12)の区域に沿って当該サスペンションロッド(12)を円周方向に包囲する、サスペンションロッド(12)。
【請求項2】
前記カラー(51)は、可撓性材料から構成され、円錐の形状を有する、請求項1に記載のサスペンションロッド(12)。
【請求項3】
前記カラー(51)は、剛性又は半剛性の材料を含み、ディスクの形状を有する、請求項1に記載のサスペンションロッド(12)。
【請求項4】
前記カラー(51)は、半剛性材料を含み、
前記カラー(51)は、第1のセクション(51a)及び第2のセクション(51b)を含み、
前記第1のセクション(51a)は、ディスク又は円錐の形状を有し、
前記第2のセクション(51b)の側面が、前記第1のセクション(51a)の側面に対して傾斜している、請求項1に記載のサスペンションロッド(12)。
【請求項5】
前記カラー(51)の縦軸が、前記サスペンションロッド(12)のシャフトの長手方向軸に対して傾斜している、請求項1~4のいずれか1項に記載のサスペンションロッド(12)。
【請求項6】
前記カラー(51)は、低放射率材料を含む、請求項1~5のいずれか1項に記載のサスペンションロッド(12)。
【請求項7】
遮熱体(50)をさらに含み、
前記遮熱体(50)は、該遮熱体(50)に熱的に及び機械的に接続された熱リンクを含み、
前記遮熱体(50)は、当該サスペンションロッド(12)を冷熱源に熱的に接続するように構成されると共に、前記遮熱体(50)は、前記第1の端部と前記カラー(51)との間に位置する当該サスペンションロッド(12)の区域に熱的に及び機械的に接続され、
前記熱リンクは、前記遮熱体(50)と前記第2の端部との間に位置する当該サスペンションロッド(12)の区域に沿って当該サスペンションロッド(12)から離れている、請求項1~6のいずれか1項に記載のサスペンションロッド(12)。
【請求項8】
請求項1~7のいずれか1項に記載のサスペンションロッド(12)、熱シールド(33)、及び外殻真空チャンバ(42)を含むシールドアセンブリ(31)であって、
前記サスペンションロッド(12)の前記第2の端部が前記外殻真空チャンバ(42)に機械的に接続されると共に、前記サスペンションロッド(12)が前記熱シールド(33)の通路(60a)を通し配設され、
前記カラー(51)が、前記熱シールド(33)と係合し、前記熱シールド(33)と前記サスペンションロッド(12)との間の間隙を覆うように構成される、シールドアセンブリ(31)。
【請求項9】
追加の熱シールド(34)を含み、
前記サスペンションロッド(12)が前記追加の熱シールド(34)の通路(60b)を通し配設され、
前記追加の熱シールド(34)は、前記追加の熱シールド(34)と前記サスペンションロッド(12)との間の間隙を覆うように構成された断熱体を含む、請求項8に記載のシールドアセンブリ(31)。
【請求項10】
追加の熱シールド(34)を含み、
前記サスペンションロッド(12)が前記追加の熱シールド(34)の通路(60b)を通し配設され、
前記サスペンションロッド(12)は、追加のカラー(51)を含み、該追加のカラー(51)が、前記追加の熱シールド(34)と係合し、前記追加の熱シールド(34)と前記サスペンションロッド(12)との間の間隙を覆うように構成される、請求項8に記載のシールドアセンブリ(31)。
【請求項11】
請求項7に記載のサスペンションロッド(12)を含み、
前記熱リンクが、前記追加の熱シールド(34)に熱的及び機械的に接続される、請求項9又は10に記載のシールドアセンブリ(31)。
【請求項12】
サスペンションロッド(12)と、熱シールド(33)と、外殻真空チャンバ(42)と、を含むシールドアセンブリ(31)であって、
前記サスペンションロッド(12)の第2の端部が前記外殻真空チャンバ(42)に機械的に接続され、
前記サスペンションロッド(12)は、前記熱シールド(33)の通路(60a)を通し配設され、
前記熱シールド(33)は、断熱材料を用いて構成されたカバー(61)を含み、
前記カバー(61)は、前記熱シールド(33)の前記通路(60a)を閉塞するようにして前記熱シールド(33)に機械的に取り付けられ、
前記サスペンションロッド(12)は、前記カバー(61)を貫通して前記熱シールド(33)の前記通路(60a)を通る、シールドアセンブリ(31)。
【請求項13】
前記カバー(61)は、前記通路(60a)を含んでいる前記熱シールド(33)の表面に機械的に接続されると共に、前記カバー(61)は、前記熱シールド(33)の前記通路(60a)を覆って配置される突出部を形成する、請求項12に記載のシールドアセンブリ(31)。
【請求項14】
前記カバー(61)の一部を前記サスペンションロッド(12)に取り付けるように構成されたファスナを含む、請求項13に記載のシールドアセンブリ(31)。
【請求項15】
磁気共鳴装置(11)であって、
該磁気共鳴装置(11)の撮像領域内に位置した対象から磁気共鳴データを取得するように構成され、
請求項8~14のいずれか1項に記載のシールドアセンブリ(31)を含む、磁気共鳴装置(11)。
【発明の詳細な説明】
【背景技術】
【0001】
文法上の語句の用法に関係無く、男性、女性、又は他の性自認を有する個人が語句に含まれる。
【0002】
磁気共鳴装置などのクライオジェニック(極低温)デバイスは、通常、極低温用途の温度と周囲温度との間の中間温度レベルに維持される1つ以上の熱(熱放射)シールドを含む。この熱シールドは、クライオジェニックデバイスの極低温冷却される構成要素を取り囲み、極低温冷却される構成要素に熱放射が到達することを防止する。通例、極低温冷却される構成要素及び1つ以上の熱シールドは、極低温冷却される構成要素を周囲環境から遮蔽すると共に熱対流による熱輸送を低減するための真空容器に封入される。
【0003】
極低温冷却される構成要素は、通常、専用の支持構造によって支持され、この支持構造体について、熱シールドを貫通して設ける必要がある。例えば、磁気共鳴装置内の超伝導磁石は、熱シールドの孔を貫通する専用のサスペンション要素を利用して吊り下げられる。この孔は、熱シールドで包囲された領域に熱放射が入ることを防ぐために、密封されるか光密封止されなければならない。
【0004】
熱シールドを1つだけ有するクライオジェニックデバイスの場合、クライオジェニックデバイスが閉ざされる前に、熱シールドの孔が真空容器の外側からアクセスされ得る。あるいは、極低温冷却される構成要素及び熱シールドを真空容器に装填する前に、孔を密閉することができる。例えば、特別に設計された多層断熱材のブランケットで熱シールドの孔を包み、熱放射に対するシールを提供することができる。
【0005】
2つ以上の熱シールドを含む、例えば、内側熱シールドと、内側熱シールドを取り囲む少なくとも1つの外側熱シールドと、を含むクライオジェニックデバイスの場合、内側熱シールドのアクセス可能性が著しく低くなり得る。さらに、クライオジェニックデバイスの構築許容誤差に加えてクライオジェニックデバイスの輸送で、サスペンション要素と熱シールドとの間の相対移動を可能にするシールが必要である。
【発明の概要】
【0006】
本発明の目的は、アクセスし難い制限空間内の熱シールドの孔の封止を可能にすることにある。本発明のまた別の目的は、極低温冷却される構成要素の支持構造と熱シールドとの間の相対移動を可能にすることにある。
【0007】
これらの目的は、本発明に係るサスペンションロッド及びシールドアセンブリによって達成される。そのさらに有益な態様が従属請求項に特定されている。
【0008】
本発明に係るサスペンションロッドは、磁気共鳴装置の主磁石を吊り下げるように構成される。本発明に係るサスペンションロッドは、第1の端部と、第2の端部と、熱放射を逸らすように構成されたカラーと、を含む。
【0009】
好ましくは、サスペンションロッドは、高い引張強度を有する材料から構成される。適切な材料の例は、金属、具体的には、ステンレス鋼、又は繊維強化プラスチックに代表される複合材料、などである。一態様によれば、サスペンションロッドのシャフトは、炭素繊維を使用して構成される。例えば、サスペンションロッドのシャフトは、炭素繊維強化ポリマーから構成される。
【0010】
サスペンションロッドは、円柱形状又は角柱形状を有することができる。例えば、サスペンションロッドは、楕円形又は多角形の断面をもったポール又はバーに相当する。好ましくは、サスペンションロッドは、細長い又は長円の形状を有する。
【0011】
サスペンションロッドの第1の端部及び第2の端部はそれぞれ、アンカー又はフェルールを含み得る。アンカー又はフェルールは、形状かみ合い接続、力の締め付け接続、及び/又は材料結合など、各種の適切な機械的接続を利用してサスペンションロッドに取り付けられる。例えば、アンカー又はフェルールは、サスペンションロッドにクランプ固定され、楔留めされ、及び/又は接着される。これらに限らず、各種の適切な機械的接続を使用することができる。アンカー又はフェルールは、外殻真空チャンバ、主磁石の支持構造などの支持構造と機械的に係合するように構成される。
【0012】
カラーは、断熱材料で包まれた支持要素を含むことができる。例えば、その支持要素は、多層絶縁体で包まれる。あるいは、カラーは、多層絶縁体などの断熱材料から構成されてもよい。好ましい態様において、カラーは、熱放射を逸らす又は遮るように構成される。好ましくは、断熱材料は、例えば0.01~0.05の範囲の低い放射率(すなわち、熱放射としてエネルギーを放出する有効性)を有する。好適な断熱材料は、ポリエチレン、ポリウレタン、ポリイミド(すなわち、カプトン)などのポリマー又はプラスチックであり、加えて、炭素、炭素複合材料、シリカ複合材料などであってもよい。断熱材料は、例えば、100Kより低い温度レベルにおいて、1W/(m・K)、0.5W/(m・K)、又は0.1W/(m・K)よりも低い熱伝導率といった低い熱伝導率を有する。
【0013】
好ましい態様によれば、カラーは、低放射率材料を含むか又は該材料から構成される。例えば、カラーは、多層絶縁体を含むか又は多層絶縁体から構成される。多層絶縁体(MLI)は、スペーサによって間隔を維持した数層の金属蒸着プラスチック箔から構成され得る。例えば、箔は、両面がアルミナイジングされたポリエステル又はポリイミドのシートから構成される。スペーサは、ポリエステル又はポリイミドから作製された織布又は不織布のシート又はガーゼから構成され得る。
【0014】
カラーを含んだ本発明に係るサスペンションロッドを提供する場合、シールドの孔又は通路がカラーによって覆われ、ここを通過する熱放射を遮る又は逸らす有効性が向上するので有利である。したがって、クライオジェニックデバイスの極低温冷却される構成要素における熱負荷が低減されて有利となる。
【0015】
本発明に係るサスペンションロッドの一態様において、カラーと第2の端部との間に位置するサスペンションロッドの区域は、断熱材料で包まれる。断熱材料は、上述の態様に従うものとすることができる。好ましくは、断熱材料は、低放射率を有する。カラーと第1の端部との間に位置するサスペンションロッドの区域を断熱材料で包む構成も想定される。好ましい態様によれば、断熱材料は、多層絶縁体である。
【0016】
クライオジェニックデバイスのサスペンションロッドの区域を断熱材料で包む場合、サスペンションロッドによって放出される黒体放射の該当部分は、クライオジェニックデバイスの極低温冷却される構成要素に達しないように逸らされる又は防がれる。
【0017】
本発明によれば、カラーは、サスペンションロッドに機械的に接続される。具体的には、サスペンションロッドがカラーに機械的支持を提供することができる。例えば、カラーは、サスペンションロッドのシャフトにテープで留められ、接着され、結束され、及び/又ははんだ付けされる。あるいは、カラーは、形状かみ合い接続、力の締め付け接続、及び/又は材料結合など各種の適切な機械的接続を利用してサスペンションロッドに機械的に接続され得る。いくつかの態様において、カラーは、サスペンションロッドにクランプ留めされ、ボルト留めされ、及び/又はねじ留めされる。
【0018】
カラーは、第1の端部と第2の端部との間に位置するサスペンションロッドの区域に沿ってサスペンションロッドを円周方向に包囲する。好ましくは、カラーは、カラーとサスペンションロッドとの間の界面領域を熱放射が通過できないようにする取り付け方で、サスペンションロッドに装着される。特に、カラーは、サスペンションロッドのシャフトの周りに光密シールを形成する。
【0019】
カラーは、熱シールドに当接するように構成され、及び/又は、後述の態様に従ってシールドアセンブリの熱シールドの孔又は通路を覆うように構成される。例えば、カラーは、サスペンションロッドの第1の端部が主磁石に機械的に接続されると共にサスペンションロッドの第2の端部が磁気共鳴装置の外殻真空チャンバに機械的に接続されたときにカラーが熱シールドに接触又は当接するように、サスペンションロッドの第1の端部と第2の端部との間に配置される。
【0020】
本発明に係るサスペンションロッドは、好ましくは、制限された又はアクセスできない空間にある熱シールドの通路又は孔を封止することを可能にする。したがって、熱シールドのアクセス可能性に関する要件が緩和されて有利である。本発明に係るサスペンションロッドによれば、本発明に係るサスペンションロッドを備えたクライオジェニックデバイスの寸法又は設置面積を、従来のクライオジェニックデバイスと比較して低減することが可能でもある。
【0021】
本発明に係るサスペンションロッドは、磁気共鳴装置などのクライオジェニックデバイスの製造過程を容易にすることができ有利である。例えば、当該サスペンションロッドは、熱シールドに対して所定の相対位置に配置されると、熱放射が熱シールドの孔又は通路を通過することを自動的に防止する。したがって、熱シールドの通路を封止する別個の工程や作業を省略することができ有利である。
【0022】
さらに、本発明に係るサスペンションロッドは、クライオジェニックデバイスの極低温冷却される構成要素を熱シールドから機械的に切り離すことを可能にする。特に、カラーを備えた本発明に係るサスペンションロッドは、サスペンションロッドと熱シールドとの間の間隙を熱放射が通過しないようにする一方で、サスペンションロッドと熱シールドとの間の相対移動は可能にすることができ有利である。
【0023】
本発明に係るサスペンションロッドは、クライオジェニックデバイスの製造コストを低減することができ有利であるうえに、クライオジェニックデバイスの極低温冷却される構成要素に対する熱負荷も低減することができる。
【0024】
本発明に係るサスペンションロッドの一態様によれば、カラーは、可撓性材料から構成され、円錐の形状をもつ。
【0025】
この可撓性材料は、手で変形させられるような材料を表す。好ましくは、カラーは、MLIブランケット、又は、両面が金属化された1枚のポリマーシートから構成される。例えば、カラーは、6~12μmの厚さを有する金属化ポリマー、具体的にはBoPET(二軸延伸ポリエチレンテレフタレート)、のシートを含むか又は該シートから構成される。このポリマーシートは、20~100nmの厚さを有するアルミニウムフィルム(箔)を各面に含むことができる。
【0026】
カラーは、先細りの(テーパのついた)区域を含み得る。特に、カラーは、サスペンションロッドの第2の端部に向かって先細りであり得る。例えば、サスペンションロッドの第1の端部に近い方にあるカラーの区域の第1の直径が、サスペンションロッドの第2の端部に近い方にあるカラーの区域の第2の直径を上回る。カラーは、円錐、錐台、半球などの形状に形成され得る。
【0027】
カラーは、平坦な可撓性材料を円形に切り出すことによって形成され得る。その円の区域(一部位)、例えば円の4分の1や円の3分の1、を切り取って、残った円の縁を接合して円錐を形成することができる。接合する縁部は、テープ、特に低放射率テープ、接着剤、特にエポキシ樹脂、及び/又はステープルを利用して接続することができる。当然ながら、縁部を接合する他の方法も想定される。
【0028】
本発明に係るサスペンションロッドは、サスペンションロッドのシャフト上でカラーを摺動させることによって形成することができる。カラーは、テープ、結束バンド、接着剤、又は各種の適切な機械的接続を利用してサスペンションロッドに固定される。カラーの円錐形状は、カラーを安定させるために、及び/又は、カラーの円錐形の区域と熱シールド内の通路の周囲との間に高信頼性の封止を提供するために、逆さまにしてもよい。
【0029】
先細りの形状を有するカラーを設ける場合、クライオジェニックデバイスの製造許容誤差(公差)を補償することができ有利である。特に、カラーの先細り区域がサスペンションロッドと熱シールドとの間のミスアライメント又は相対移動を補償することができるので有利である。
【0030】
本発明に係るサスペンションロッドの別の態様によれば、カラーは、剛性又は半剛性の材料を含み、そしてディスク(円板)の形状とされる。
【0031】
剛性材料は、中程度の力、特に手の力、が加えられても所定の形状を維持することができる各種の材料である。剛性材料は、プラスチック、複合材料、金属などを含むか又はこれら材料から構成される。好ましくは、ディスク形状のカラーは、金属板、具体的にはアルミニウム板、から構成される。あるいは、カラーは、プラスチック、金属、又は複合材料で作られた支持要素を含むこともできる。支持要素は、上述の態様に従って、断熱材料、特に低放射率材料、で包まれる。例えば、支持要素は、MLIブランケットで包まれる。
【0032】
カラーは、半剛性材料を含むことも想定される。半剛性材料は、中程度の力が加えられたときに可逆的に変形することができる各種の材料である。好ましくは、半剛性材料は、加えられた力が無くなると元の形状に戻るように構成される。カラーは、薄い金属、プラスチック、又は複合材料で作られた支持要素を含むことができる。支持要素は、上述の態様に従って、断熱材料、特にMLIブランケット、で包まれる。例えば、カラーの半剛性材料は、125~500μmの厚さを有する、金属化ポリマー、特にBoPET、のシートを含むか又は該シートから構成される。ポリマーシートは、20~100nmの厚さを有するアルミニウムフィルムを各面に含むことができる。
【0033】
カラーは、熱シールドの通路を覆うか又は閉塞するように構成される。好ましくは、カラーの直径が熱シールドの通路の直径を上回る。一態様において、カラーは、サスペンションロッドが熱シールドの通路を通し送られるときに、カラーが、特にカラーの円周区域が、熱シールドに当接するように、サスペンションロッドの第1の端部と第2の端部との間に配置される。
【0034】
剛性又は半剛性のカラーを備える本発明に係るサスペンションロッドを提供する場合、サスペンションロッドと熱シールドとの間に殊に堅牢な及び/又は高信頼性のシールを提供することができる。後述する態様に従う本発明に係るシールドアセンブリに設置される場合、本発明に係るサスペンションロッドは、サスペンションロッドの移動及び熱シールドの表面の局所平面における構築許容誤差を可能にするので有利である。
【0035】
本発明に係るサスペンションロッドの一態様によれば、カラーは、半剛性材料を含む。このカラーは、第1のセクション及び第2のセクションを含み、第1のセクションはディスク又は円錐の形状を備え、第2のセクションの側面が第1のセクションの側面に対して傾斜している。
【0036】
半剛性材料は、上述の材料に相当する。カラーの第1のセクション及び第2のセクションは、1つの部品から形成され得る。一態様によれば、第1のセクションの側面の先細りが第2のセクションの側面の先細りから逸れている。例えば、第2のセクションは、第2のセクションが第1のセクションに対して角度を成すように屈曲又は変形させてある。好ましい態様において、カラーの第1のセクションがディスクの形状であり、一方、第2のセクションの側面がサスペンションロッドの第1の端部に向かう先細りである。
【0037】
第1のセクション及び第2のセクションは、例えば接着剤、ステープル、及び/又は(低放射率)テープを利用して第1のセクションの外周に沿って接合される別個のピースとされることも想定される。
【0038】
第1のセクションと、第1のセクションに対し傾斜した第2のセクションと、を少なくとも有するカラーを備えた本発明に係るサスペンションロッドは、熱シールドの孔又は通路を囲む領域とカラーとの間の明確に定まった接触領域を提供することができ有利である。さらに、上述の態様に従って第1のセクション及び第2のセクションを含むカラーは、円板形状又は円錐形状のカラーと比較してより高い可撓性を提供することができ有利である。したがって、本発明に係るこのサスペンションロッドは、サスペンションロッドと熱シールドとの間の相対移動を補償することができ有利である。
【0039】
本発明に係るサスペンションロッドの一態様によれば、カラーの縦軸(中心軸)がサスペンションロッドのシャフトの長手方向軸に対して傾斜する。
【0040】
カラーの縦軸は、カラーの円錐軸又は円筒軸に相当する。カラーは回転対称形状を有することが想定される。このような場合、カラーの回転対称の軸が、サスペンションロッドのシャフトの長手方向軸に対して傾斜する。
【0041】
空間的要件に加えて機械的設計面の理由から、サスペンションロッドは、熱シールドに対し斜角して又は垂直ではない角度で熱シールドの通路を通す必要のある場合がある。剛性又は半剛性材料で作られたカラーは、熱シールドの孔又は通路の周りの連続した又は途切れのない封止を妨げる可能性がある。したがって、この場合のカラーは、カラーの縦軸がサスペンションロッドのシャフトの長手方向軸に対して傾斜するようにして、サスペンションロッドに機械的に取り付けられる。
【0042】
一態様において、サスペンションロッドは、カラーの縦軸がサスペンションロッドのシャフトの長手方向軸に対して傾斜するようにカラーを配向するように構成されたベース要素を含む。ベース要素は、カラーをサスペンションロッドに機械的に接続するように構成される。ベース要素は、カラーの縦軸とサスペンションロッドのシャフトの長手方向軸との間の角度を変更できるように構成された可動ジョイント又はヒンジを含むことが想定される。あるいは、ベース要素は、予め決められた又は固定された向きでカラーをサスペンションロッドに取り付けるように構成されてもよい。ベース要素は、上述の態様に従う可撓性材料から構成されるカラーと併せて使用することができる。
【0043】
サスペンションロッドのシャフトの長手方向軸に対して縦軸を傾斜させたカラーは、サスペンションロッドが熱シールドに対し傾斜して配置される場合であっても、熱シールドに対するシールを提供することができ有利である。可動ジョイント又はヒンジを含むベース要素にカラーを取り付ける場合、ベース要素は、例えばサスペンションロッドの設置時だけではなく、クライオジェニックデバイスの輸送時にも、サスペンションロッドと熱シールドとの間の相対移動を補償することができ有利である。
【0044】
好ましい態様において、本発明に係るサスペンションロッドは、サーマルリンクを含んだ遮熱体を有し、サーマルリンクは、遮熱体に熱的及び機械的に接続される。遮熱体は、サスペンションロッドを冷熱源に熱的に接続するように構成される。
【0045】
遮熱体は、熱接続部、熱接点部、又は熱結合部を表し得る。遮熱体は、サスペンションロッドに熱的及び機械的に接続される。例えば、遮熱体は、サスペンションロッドに取り付けられた熱伝導性要素を表す。熱伝導性要素は、ブラケット、クランプ、チューブ、リング、スリーブなどを含むことができる。熱伝導性要素は、力の締め付け接続、形状かみ合い接続、及び/又は材料結合を利用してサスペンションロッドに機械的に接続される。例えば、熱伝導性要素は、サスペンションロッドにクランプ留めされ、スエージ加工(かしめ)され、及び/又は圧着される。熱伝導性要素は、接着剤、特に熱伝導性接着剤、を利用してサスペンションロッドに取り付けられることも想定される。好ましくは、熱伝導性要素は、熱伝導性材料、例えば金属及び/又は熱伝導性複合材料、を含むか又は該材料から構成される。
【0046】
本発明によれば、遮熱体に熱的及び機械的に接続されたサーマルリンクを遮熱体が含んでいる。サーマルリンクは、遮熱体及び/又は熱伝導要素の一部を形成することが想定される。あるいは、サーマルリンクは、遮熱体及び/又は熱伝導性要素に熱的及び機械的に接続された別個の構成要素を表し得る。好ましい態様において、熱伝導性要素及び/又はサーマルリンクは、銅編組などの可撓性熱伝導体を含むか又は可撓性熱伝導体から構成される。
【0047】
遮熱体は、サスペンションロッドを冷熱源に熱的に接続するように構成される。具体的に、遮熱体は、サスペンションロッドから熱エネルギーを吸収し、該熱エネルギーを、サーマルリンクに熱的及び機械的に接続された冷熱源へ伝達するように構成される。冷熱源は、クライオクーラの冷却ステージに接続された各種の構成要素、例えば、後述する態様に従う熱シールド又はシールドアセンブリの構成要素であり、クライオクーラの冷却ステージ自体であってもよい。
【0048】
本発明によれば、遮熱体は、第1の端部とカラーとの間に位置するサスペンションロッドの区域に熱的及び機械的に接続される。遮熱体の位置は、特に、カラーの位置に対応させることができる。好ましくは、遮熱体とサスペンションロッドの第1の端部との間の距離が、遮熱体と第2の端部との間の距離を上回る。遮熱体とサスペンションロッドの第2の端部との間の距離は、少なくとも10cm、少なくとも15cm、少なくとも20cm、少なくとも30cm、又は少なくとも40cmであることが想定される。
【0049】
サーマルリンクは、遮熱体と第2の端部との間に位置するサスペンションロッドの区域に沿ってサスペンションロッドから離される。例えば、サーマルリンクは、遮熱体と第2の端部との間に位置するサスペンションロッドの区域に沿って、サスペンションロッドからの間隔を保たれる。サーマルリンクは、遮熱体と第2の端部との間に位置するサスペンションロッドの区域に沿って、サスペンションロッドから間隔を保って案内され又は配設されもする。好ましくは、サーマルリンクは、遮熱体と第2の端部との間に位置するサスペンションロッドの区域に沿って、サスペンションロッドのシャフトから少なくとも0.5mm、少なくとも1mm、又は少なくとも2mmの間隔を保つ。サーマルリンクとサスペンションロッドのシャフトとの間の間隔は、遮熱体と第2の端部との間に位置するサスペンションロッドの区域に沿って変化してもよい。一態様によれば、遮熱体と第2の端部との間に位置するサスペンションロッドの区域に沿った、サーマルリンクとサスペンションロッドのシャフトとの間の接触が、回避される。好ましい態様において、断熱材料がサーマルリンクとサスペンションロッドのシャフトとの間に配置される。断熱材料は、サスペンションロッドからサーマルリンクを離す又は分離するように構成されるが、サーマルリンクとサスペンションロッドとの間の間隔を維持するように構成されてもよい。
【0050】
本発明に係るサスペンションロッドの好ましい態様において、サーマルリンクは、可撓性熱伝導体から構成される。可撓性熱伝導体は、可塑的又は弾性的に変形可能である。特に、可撓性熱伝導体は、手で変形させられるものであり得る。可撓性熱伝導体は、サスペンションロッドを本発明に係るシールドアセンブリ内に設置することができるように、屈曲及び/又は変形させられるように構成されることが想定される。特に、可撓性熱伝導体は、サーマルリンクを熱シールドなどの冷熱源に機械的に接続するときに、シールドアセンブリの障害物又は構成要素を及び/又はクライオジェニックデバイスの他の支持構造を回避(迂回)することを可能にする。可撓性熱伝導体は、好ましくはサスペンションロッドが後述する態様に従って磁気共鳴装置の主磁石(又は主磁石を支持する支持構造)及び外殻真空チャンバに取り付けられたときに、屈曲部又は角部を回って配設されるように構成されることも想定される。
【0051】
本発明に係るサスペンションロッドの一態様によれば、可撓性熱伝導体は、金属編組、金属メッシュ、又は金属織物などの可撓性金属布地から構成される。好ましくは、可撓性熱伝導体は、銅編組から構成される。
【0052】
可撓性熱伝導体を含んだサーマルリンクは、サスペンションロッドを、遮熱体から空間的に分離されている又は離されている冷熱源に熱的に接続することを可能にするので有利である。さらに、可撓性熱伝導体は、シールドアセンブリの角部又は構成要素及び/又はクライオジェニックデバイスの支持構造などの障害物を迂回して案内又は配設することができる。したがって、シールドアセンブリの複雑な三次元配置において個々のサスペンションロッドを冷熱源に熱的に接続することが容易になり有利である。
【0053】
カラーは、遮熱体とサスペンションロッドの第2の端部との間に位置するサスペンションロッドの区域に沿ってサスペンションロッド及びサーマルリンクを包囲することができる。好ましくは、カラーは、遮熱体及び/又はサーマルリンクに機械的に接続される。特に、遮熱体がカラーに機械的支持を提供するように構成されてもよい。例えば、カラーは、遮熱体及び/又はサーマルリンクにテープ留めされ、接着され、及び/又ははんだ付けされる。好ましくは、カラーは、熱放射がカラーと遮熱体及び/又はサーマルリンクとの間の界面領域を通過することを防ぐようにして、サスペンションロッド及び/又は遮熱体に取り付けられる。
【0054】
本発明に係るシールドアセンブリは、上述の態様に従うサスペンションロッドと、熱シールドと、外殻真空チャンバと、を含む。
【0055】
熱シールドは、クライオジェニックデバイスの極低温冷却される構成要素、特に磁気共鳴デバイスの主磁石、への熱エネルギーの輸送を低減するように構成される。熱エネルギーの輸送は、熱放射や熱伝導、加えて熱対流などの熱輸送メカニズムによって特徴付けることができる。熱シールドは、磁気共鳴装置の主磁石を円周方向に取り囲むように構成される。例えば、熱シールドは、主磁石を囲むように構成された容器(ベッセル)を形成する。好ましい態様において、熱シールドは、外壁と、内壁と、外壁と内壁とを接続する環状端壁と、を含む。具体的に、熱シールドは、外壁、内壁、及び環状端壁の中に主磁石を封入するように構成された二重壁中空円筒を形成することができる。熱シールドの円筒軸は、主磁石のソレノイドコイルによって画定される回転対称の軸と平行に向けられるか又は該軸に一致するように設けられ得る。
【0056】
熱シールドは、中間熱シールドである。例えば、熱シールドは、4K~60Kの温度レベルに維持され得る。熱シールドは、熱エネルギー、特に熱放射、が、熱シールドによって囲まれた領域(例えば、熱シールドの外壁と内壁との間に囲まれた領域)に入ることを防止するように構成されることが想定される。
【0057】
熱シールドは、コーティングされた又は亜鉛メッキされたプラスチック又はポリマーを含むか又は該材料から構成される。例えば、熱シールドは、ポリエチレンテレフタレート(PET)又は他のポリマーなどのアルミナイジングされたプラスチックから構成される。一部の態様において、プラスチック又はポリマーが金、銀、アルミニウム、銅、又は白金などの熱伝導性金属で被覆、めっき、又は積層処理される。好ましくは、熱シールドは、例えば0.1を下回る又は0.05を下回る低い放射率を有する。
【0058】
好ましい態様において、熱シールドは、外側熱シールド又は追加の熱シールドによって囲まれた内側熱シールドに相当する。
【0059】
外殻真空チャンバは、液体又は気体の冷媒などの流体に対して実質的に不透過性であるベッセルを形成する。外殻真空チャンバは、外殻真空チャンバによって包囲された内部ボリュームに真空を維持するように構成される。好ましくは、外殻真空チャンバは、磁気共鳴装置の極低温冷却される構成要素を収容する。例えば、外殻真空チャンバは、クライオジェンベッセル、熱シールド、もう一つの熱シールド、及び主磁石を収容する。
【0060】
一態様によれば、外殻真空チャンバは、外側シェルと、内側シェルと、外側シェルと内側シェルとを接続する環状端壁と、を含む。外殻真空チャンバは、外側シェル、内側シェル、及び環状端壁で囲った中に主磁石及び熱シールドを封入するように構成された二重壁中空円筒を形成することができる。外殻真空チャンバの円筒軸は、主磁石のソレノイドコイルによって画定される回転対称の軸と平行に配向されるか又は該軸に一致するように設けられ得る。外殻真空チャンバの内側シェルは、磁気共鳴装置の患者ボアに対応する。
【0061】
磁気共鳴装置の主磁石は、1つ以上の電磁石又は超伝導磁石を含むか又はこれらから構成される。具体的に、主磁石は、1つ以上のソレノイド又は円筒形超伝導磁石又は超伝導コイルを含むか又はこれらから構成される。主磁石は、主磁石を担持し及び/又は主磁石に支持を提供するように構成された専用支持構造を備え得る。したがって、ここで主磁石と言う場合、1つ以上のソレノイド超伝導コイルと共に専用の支持構造も含み得る。
【0062】
本発明によれば、サスペンションロッドの第2の端部が、外殻真空チャンバに機械的に接続される。
【0063】
好ましい態様において、サスペンションロッドは、磁気共鳴装置の外殻真空チャンバと主磁石との間に機械的接続を提供するように構成される。外殻真空チャンバは、サスペンションロッド及び主磁石に機械的支持を提供するように構成される。外殻真空チャンバは、熱シールド及び/又は追加の熱シールドに機械的支持を提供するようにも構成され得る。例えば、熱シールド及び/又は追加の熱シールドは、外殻真空チャンバに担持されるか又は外殻真空チャンバから吊り下げられる。
【0064】
上述のように、サスペンションロッドの第1の端部及び/又は第2の端部は、アンカー又はフェルールを含んでいる。サスペンションロッドの第1の端部におけるアンカー又はフェルールは、磁気共鳴装置の主磁石と機械的に係合するように構成され得る。同様に、サスペンションロッドの第2の端部におけるアンカー又はフェルールは、外殻真空チャンバと機械的に係合するように構成され得る。したがって、サスペンションロッドは、主磁石及び外殻真空チャンバに機械的に接続されて張力がかかって保持される。サスペンションロッドは、各種の適切な機械的接続を利用して主磁石及び外殻真空チャンバに機械的に接続され得る。例えば、サスペンションロッドは、主磁石(又は主磁石を支持する支持構造)にねじ留め、クランプ留め、及び/又はボルト留めすることができる。サスペンションロッドは、フックを利用して外殻真空チャンバ及び/又は主磁石に機械的に接続することも想定される。
【0065】
本発明によれば、サスペンションロッドは、熱シールドの通路を通し配設される。熱シールドの通路は、熱シールドの材料又は壁を貫通する孔、ボア、スロット、又はキャビティを表す。サスペンションロッドは、主磁石と外殻真空チャンバとの間の機械的接続を提供するために、熱シールドの通路を通り抜ける。
【0066】
カラーは、熱シールドと係合し、熱シールドとサスペンションロッドとの間の間隙を覆うように構成される。
【0067】
例えば、カラーは、熱シールドの通路を覆い及び/又は遮ることができる。カラーの区域(一部)が熱シールドの通路を通って延伸することが想定される。特に、カラーは、サスペンションロッドと熱シールドとの間の間隙を遮蔽するように構成される。一態様によれば、カラーは、熱シールドに当接することで、熱放射が熱シールドの通路を通過することを防ぐように、構成される。
【0068】
好ましい態様において、カラーは、MLIなどの低放射率材料を含む。MLIは、熱放射を遮蔽する又は逸らすように構成され得る。本発明に係るシールドアセンブリに設置される場合、MLIから作製されたカラーを含んだサスペンションロッドは、熱シールドを取り囲む外殻真空チャンバと熱シールドとの間に安定した熱勾配を確立することを支援する。
【0069】
上述のように、カラーは、先細り区域を含む。一態様によれば、先細り区域は、追加の熱シールドの通路の直径よりも小さい第1の直径と、追加の熱シールドの通路の直径よりも大きい第2の直径と、を有する。これにより、カラーは、サスペンションロッドが熱シールドに対し目的とする相対位置でシールドアセンブリに設置されたときに、熱シールドの通路を埋める又は閉鎖するように構成されたプラグを形成することができる。
【0070】
カラーは、ディスクとして成形されてもよい。この場合、カラーは、熱シールドに当接するように構成され、これにより、追加の熱シールドの通路とサスペンションロッドとの間にある潜在的なギャップを閉塞し又は覆う。
【0071】
好ましい態様において、サスペンションロッドに沿ったカラーの位置は、サスペンションロッドに沿った熱シールドの位置に実質的に一致する。
【0072】
本発明に係るシールドアセンブリは、本発明に係る上述の態様に従うサスペンションロッドの利点を共有する。特に、本発明に係るシールドアセンブリは、例えば少なくとも1つの追加の熱シールドがある場合に、サスペンションロッドと熱シールドとの間の間隙を封止することに関連する制限、特に幾何学的制限、を低減する又は補うことができる。
【0073】
カラーを備えたサスペンションロッドを含む本発明に係るシールドアセンブリを提供する場合、サスペンションロッドと熱シールドとの間の間隙又は界面領域を通過する熱放射の量を低減する又は最小限にすることができる。したがって、主磁石を超伝導温度に維持するために必要な冷却能力を抑えることができ有利である。さらに、本発明に係るシールドアセンブリは、封止効果を低下させることなく、サスペンションロッドと熱シールドとの間の相対移動を可能にし、加えて、シールドアセンブリの構造許容誤差を補償することもできる。
【0074】
好ましい態様によれば、本発明に係るシールドアセンブリは、追加の(もう一つの)熱シールドを含む。
【0075】
追加の熱シールドは、外壁と、内壁と、外壁と内壁とを接続する環状端壁と、を含むベッセルを形成する。具体的に、追加の熱シールドは、該追加の熱シールドの外壁、内壁、及び環状端壁の中に熱シールドを囲い込むように構成された二重壁中空円筒を形成することができる。追加の熱シールドの長手方向軸又は円筒軸は、熱シールド及び/又は追加の熱シールドによって囲まれる主磁石のソレノイドコイルによって画定される回転対称の軸と平行に配向されるか又は該軸に一致する。
【0076】
好ましくは、追加の熱シールドは、高い導電率及び/又は高い熱伝導率を有する材料を含むか又は該材料から構成される。例えば、追加の熱シールドは、銅又はアルミニウム、特に銅合金又はアルミニウム合金から構成される。追加の熱シールドは、金、白金、銀、又は高い熱伝導率を有するその他の材料を含んでもよい。一態様において、追加の熱シールドは、金、白金、又は高い熱伝導率を有するその他の金属で被覆又は亜鉛メッキされる。
【0077】
本発明によれば、サスペンションロッドは、追加の熱シールドの通路を通し配設される。好ましくは、サスペンションロッドは、熱シールドの通路及び追加の熱シールドの通路を通って延伸する。具体的に、サスペンションロッドは、外殻真空チャンバと磁気共鳴装置の主磁石との間の機械的接続を提供するために、熱シールド及び追加の熱シールドの通路を通って延伸する。
【0078】
好ましい態様において、追加の熱シールドは、磁気共鳴装置の一次熱シールド又は50Kシールドに相当する。
【0079】
本発明に係るシールドアセンブリの別の態様において、サーマルリンクが追加の熱シールドに熱的及び機械的に接続される。例えば、サスペンションロッドの遮熱体が、銅編組を介して追加の熱シールドに機械的及び熱的に接続される。
【0080】
追加の熱シールドは、該追加の熱シールドとサスペンションロッドとの間の間隙を覆うように構成された断熱体を備える。
【0081】
例えば、追加の熱シールドは、追加の熱シールドを取り囲む領域からの断熱体を提供するように構成されたMLIブランケットのアセンブリに包まれる。好ましくは、MLIブランケットのアセンブリの少なくとも1つのMLIパッチが、サスペンションロッドとMLIブランケットのアセンブリとの間の間隙を覆うようにサスペンションロッドに当接する。少なくとも1つのMLIパッチは、MLIブランケットのアセンブリにテープ留めされ得る。
【0082】
一態様によれば、サスペンションロッドの遮熱体は、サーマルリンクを利用して追加の熱シールドに機械的及び熱的に接続される。好ましくは、サーマルリンクが遮熱体と追加の熱シールドとの間を架橋するように構成される。すなわち、サーマルリンクは、熱シールドの通路を通って延伸する。特に、サーマルリンクは、遮熱体と追加の熱シールドとの間の熱的及び機械的接続を提供する。遮熱体は、サスペンションロッドの第1の端部と熱シールドとの間に位置するサスペンションロッドの区域に機械的に接続される。
【0083】
好ましい態様において、追加の熱シールドは、クライオクーラに、特にクライオクーラの第1のステージに、熱的に接続される。この場合、サスペンションロッドは、遮熱体、サーマルリンク、及び追加の熱シールドを介してクライオクーラに熱的に接続される。
【0084】
追加の熱シールドを含んだ本発明に係るシールドアセンブリを提供する場合、磁気共鳴装置の主磁石を直接囲む領域又はボリュームに入る熱放射の部分を低減する又は最小限にすることができる。したがって、主磁石の冷却に必要な冷却能力を抑えることができ有利である。
【0085】
一態様によれば、本発明に係るシールドアセンブリは、追加の熱シールドを含み、サスペンションロッドが、その追加の熱シールドの通路を通って配設される。このサスペンションロッドは、追加のカラーを含み、該追加のカラーが、追加の熱シールドと係合すると共に追加の熱シールドとサスペンションロッドとの間の間隙を覆うように構成される。
【0086】
追加の熱シールドは、上述のように一次熱シールド又は50Kシールドに対応する。
【0087】
追加のカラーは、上述のカラーの態様に対応する。例えば、追加のカラーは、サスペンションロッド及び/又はサスペンションロッドに機械的に接続されたベース要素に、機械的に接続される。追加のカラーは、円錐、ディスク(円板)、又はこれらの組み合わせの形状をもつ。
【0088】
追加のカラーは、サスペンションロッドが追加の熱シールドに対し目的とする相対位置でシールドアセンブリに設置されたときに、追加のカラーが追加の熱シールドに接触又は当接するように、サスペンションロッドに沿って配置される。例えば、追加のカラーは、サスペンションロッドと追加の熱シールドとの間の間隙を埋めるか又は閉塞するように構成されたプラグを形成する。
【0089】
カラー及び追加のカラーを含んだサスペンションロッドを提供する場合、複数の熱シールドの通路を遮蔽する又は覆う作業が容易になり有利である。例えば、本発明に係るサスペンションロッドを使用する場合、該サスペンションロッドが磁気共鳴装置の主磁石及び外殻真空チャンバに機械的に接続されたときに、複数の熱シールドの複数の通路を自動的に覆うことができる。
【0090】
本発明に係るシールドアセンブリは、サスペンションロッドと、熱シールドと、外殻真空チャンバと、を含む。
【0091】
熱シールド及び外殻真空チャンバは、上述の態様に従って構成される。サスペンションロッドは、上述の態様に従って遮熱体及びサーマルリンクを含むことが想定される。後述する本発明に係るシールドアセンブリのサスペンションロッドは、カラーなしで実施されもする。
【0092】
サスペンションロッドの第2の端部が外殻真空チャンバに機械的に接続され、サスペンションロッドは、熱シールドの通路を通って配設される。サスペンションロッドは、上述の態様に従って熱シールドの通路を通って延伸する。
【0093】
本発明によれば、熱シールドは、断熱材料を含むカバーを備え、このカバーは、熱シールドの通路を閉塞するようにして熱シールドに機械的に取り付けられる。サスペンションロッドは、カバーを貫通して熱シールドの通路を通る。
【0094】
断熱材料は、上述の断熱材料に相当する。好ましくは、断熱材料は、1つ以上のMLIブランケットを含む又は該グランケットから構成される。例えば、通路を含む熱シールドの表面は、1つ以上のMLIブランケットに包まれる。断熱材料は、1つ以上のMLIブランケットを担持する可撓性基材を含むことが想定される。
【0095】
サスペンションロッドは、断熱材料を穿孔し、該サスペンションロッドが熱シールドを通って延伸する。好ましくは、断熱材料は、サスペンションロッドのシャフトの周りにシールを提供するように構成される。例えば、断熱材料は、該材料を穿孔するサスペンションロッドに密着するように構成された弾性材料を含むことができる。一態様によれば、サスペンションロッドは、第1の端部と第2の端部との間に配置された先細り部又はアンカー要素を含む。先細り部又はアンカー要素は、サスペンションロッドの断面積の拡張部分を提供する。具体的に、先細り部又はアンカー要素は、断熱材料がサスペンションロッドの第1の端部へ向かう方向に先細り部又はアンカー要素の上を滑ることを防止する。アンカー要素は、ナット、リング、スリーブなどを含む。アンカー要素は、サスペンションロッドのシャフトに機械的に接続される。例えば、アンカー要素は、サスペンションロッドにクランプ留め、スエージ加工、接着、又ははんだ付けされる。
【0096】
好ましくは、断熱材料は、通路の領域にバッグ又はソックスを形成する。これにより、断熱材料は、サスペンションロッドと熱シールドとの間の相対移動を、引き裂かれることなく又はダメージを受けることなく可能にするので有利である。
【0097】
本発明に係るシールドアセンブリは、シールドアセンブリを組み立てるときに熱シールドの通路に対する直接アクセスを必要とせずに、サスペンションロッドと熱シールドとの間の間隙を封止することが可能であり有利である。
【0098】
本発明に係るサスペンションロッドの一態様によれば、カバーは、通路を含む熱シールドの表面に機械的に接続される。
【0099】
好ましい態様において、カバーは、熱シールドの半径方向外側表面又は外殻真空チャンバの外壁の方に向いた熱シールドの表面に、機械的に接続される。
【0100】
カバーは、熱シールドの通路を覆って配置される突出部を形成する。例えば、カバーは、熱シールドの通路を覆って配置されるバッグ又はソックスを形成することができる。バッグ又はソックスは、熱シールドの通路を通って延びるように構成される。好ましくは、カバーの形成するバッグ又はソックスは、熱シールドの通路を通って、カバーが機械的に接続されている熱シールドの表面の向こう側又は反対側の熱シールドの側へ延びるように構成される。例えば、カバーのバッグ又はソックスは、熱シールドの通路を通って、外殻真空チャンバの外壁とは逆の方を向いている熱シールドの側へ延びるように構成される。あるいは、バッグ又はソックスは、外殻真空チャンバの外壁に向いた熱シールドの側面に収容されるか又は該側面に沿って延伸してもよい。
【0101】
カバーは、可撓性材料、特に低放射率を有する可撓性材料、を含むか又は該材料から構成される。例えば、カバーは、1つ以上のMLIブランケット、又は1つ以上の金属化もしくは二重金属化ポリマーシート、特にBoPETシート、を含むか又は該材料から構成される。好ましくは、カバーは、6~12μmの厚さを有するBoPETのシートから構成される。BoPETのシートは、20~100nmの厚さを有するアルミニウムフィルムを各側面に含むことができる。
【0102】
バッグ又はソックスとして形成されたカバーを提供する場合、断熱材料は、サスペンションロッドと熱シールドとの間の相対移動を可能にするので有利であるうえに、裂けたり損傷したりすることなくシールドアセンブリを製造することも容易にする。これにより、サスペンションロッドと熱シールドとの間の隙間を封止する信頼性を向上させることができ有利である。
【0103】
一態様によれば、本発明に係るシールドアセンブリは、カバーの一部をサスペンションロッドに取り付けるように構成されたファスナ(留め具)を含む。
【0104】
例えば、ファスナは、上述の態様に従う結束具、結束バンド、及び/又はアンカー要素を含む。
【0105】
好ましくは、カバーによって形成されるソック又はバッグは、サスペンションロッドを外殻真空チャンバに機械的に接続する前に、サスペンションロッドがファスナを利用してカバーに機械的に接続されることを可能にする材料の余剰部分を含む。例えば、シールドアセンブリは、熱シールドによって包囲された領域にサスペンションロッドの少なくとも一部が収容されることを可能にするように構成される。そして、サスペンションロッドは、サスペンションロッドを外殻真空チャンバに機械的に接続するために、熱シールドの通路を通して、熱シールドによって包囲された領域から後退させることができる。
【0106】
ファスナを含む本発明に係るシールドアセンブリは、サスペンションロッドと熱シールド体との間の相当な相対移動を可能にすることができ有利である。したがって、サスペンションロッドを本発明に係るシールドアセンブリに設置する作業を容易にすることができ有利である。
【0107】
本発明に係る磁気共鳴装置は、磁気共鳴装置の撮像領域内に位置した対象から磁気共鳴データを取得するように構成される。
【0108】
好ましくは、磁気共鳴装置は、撮像領域内に位置する対象から磁気共鳴画像データ、特に診断用磁気共鳴画像データ、を取得するように構成される。対象は、患者、具体的にはヒト又は動物であり得る。
【0109】
好ましくは、本発明に係る磁気共鳴装置は、クローズドボアスキャナである。クローズドボアスキャナは、撮像領域を円周方向に囲む実質的に円筒形のボアを備える。クローズドボアスキャナの主磁石は、円筒形ボアの軸方向又は回転対称の軸に沿う撮像領域を円周方向に取り囲む1つ以上のソレノイドコイルを含む。1つ以上のソレノイドコイルは、超伝導温度(又はそれ以下)で無視できる電気抵抗を有するワイヤを含む。主磁石を利用して提供される主磁場の方向は、撮像領域への対象のアクセスの方向及び/又は円筒形ボアの軸方向に、実質的に平行に向けられる。
【0110】
本発明によれば、磁気共鳴装置は、上述の態様に従うシールドアセンブリを含む。
【0111】
磁気共鳴装置は、少なくとも1つのクライオクーラを含む。少なくとも1つのクライオクーラは、磁気共鳴装置の構成要素を冷却するように構成される。例えば、少なくとも1つのクライオクーラは、主磁石、シールドアセンブリ、熱シールド、追加の熱シールド、クライオジェンベッセル、支持構造などを冷却するように構成される。
【0112】
少なくとも1つのクライオクーラは、主磁石の超伝導材料の超伝導温度に近いか又は該温度よりも低い温度を提供するように構成される。例えば、主磁石の超伝導温度は、3K~100Kの範囲、好ましくは3K~6K、30K~60K、又は60K~90Kの範囲である。少なくとも1つのクライオクーラは、パルスチューブ冷凍機、ギフォード-マクマホン冷凍機、スターリング冷凍機、ジュール-トムソン冷凍機などとして実施され得る。
【0113】
好ましい態様において、少なくとも1つのクライオクーラは、主磁石及び追加の熱シールドに熱的及び機械的に接続される。少なくとも1つのクライオクーラは、主磁石及び追加の熱シールドを異なる温度レベルに維持するように構成される。例えば、少なくとも1つのクライオクーラは、第1の冷却ステージ及び第2の冷却ステージを少なくとも含む。第1の冷却ステージは、シールドアセンブリに熱的及び機械的に接続される。第2の冷却ステージは、主磁石に熱的及び機械的に接続される。好ましくは、第1の冷却ステージの温度レベルが第2の冷却ステージの温度レベルを上回る。例えば、第1の冷却ステージは、30K~180Kの範囲、好ましくは40K~60K、60K~100K、又は100K~180Kの範囲の温度を提供するように構成される。第2の冷却ステージは、主磁石の超伝導温度に近い温度レベルを提供するように構成される。
【0114】
本発明に係る磁気共鳴装置は、最小限の極低温剤を含むか又はまったく極低温剤を含まない「乾燥」システムを表し得る。例えば、本発明に係る磁気共鳴装置は、固体熱伝導体を介して主磁石に熱的に接続された1つ以上の小型クライオジェンベッセルを含み得る。小型クライオジェンベッセルは、10Lより少ない、5Lより少ない、又は1Lより少ない容量を含む。本発明に係る磁気共鳴装置の一態様において、クライオジェンベッセルは省かれる。すなわち、主磁石は、全体的に熱伝導によって冷却される。
【0115】
クライオジェンベッセルは、所定の温度レベルで流体、特にクライオジェン、を貯蔵又は保存するように構成される。好ましくは、流体又はクライオジェンは、アルゴン、窒素、ネオン、ヘリウムなど、低沸点を示す。所定の温度レベルは、主磁石の超伝導温度に実質的に相当する。
【0116】
主磁石、熱シールド、追加の熱シールド、1つ以上のサスペンションロッド、及び/又はクライオジェンベッセルなどの磁気共鳴装置の構成要素は、好ましくは固体熱伝導体、対流ループ、及び/又はヒートパイプを介して、少なくとも1つのクライオクーラに熱的に接続されることが想定される。
【0117】
上述のように、シールドアセンブリは、主磁石への熱エネルギーの輸送を低減するように構成される。好ましくは、熱シールド及び/又は追加の熱シールドは、熱放射が主磁石に到達することを防止するように構成される。例えば、熱シールドの外壁は、周囲環境の方向から入ってくる熱放射を遮蔽する又は逸らすように構成され、一方、熱シールドの内壁は、磁気共鳴装置の患者ボアの方向から入ってくる熱放射を遮蔽する又は逸らすように構成される。主磁石とは反対の方向に向けられた熱シールドの表面は、MLIに包まれる及び/又は上述の態様に従うカバーを含む。磁気共鳴装置は、周囲環境及び患者ボアから入ってくる熱放射を同様に遮蔽する又は逸らすように構成された外壁及び内壁をもつ追加の熱シールドを含み得る。
【0118】
好ましい態様において、主磁石は、複数のサスペンションロッドを利用して外殻真空チャンバの外側シェルから吊り下げられる。
【0119】
本発明に係る磁気共鳴装置は、本発明に係るサスペンションロッド及び本発明に係るシールドアセンブリの利点を共有する。
【0120】
本発明のさらなる利点及び詳細が、以下に記載される実施形態と図面から理解される。
【図面の簡単な説明】
【0121】
【
図1】本発明に係る磁気共鳴装置の実施形態の概略図。
【
図2】本発明に係る磁気共鳴装置の実施形態の概略図。
【
図3】本発明に係るサスペンションロッドの実施形態の概略図。
【
図4】本発明に係るシールドアセンブリの実施形態の概略図。
【
図5】本発明に係るシールドアセンブリの実施形態の概略図。
【
図6】本発明に係るシールドアセンブリの実施形態の概略図。
【
図7】本発明に係るシールドアセンブリの実施形態の概略図。
【
図8】本発明に係るシールドアセンブリの実施形態の概略図。
【
図9】本発明に係るシールドアセンブリの実施形態の概略図。
【発明を実施するための形態】
【0122】
図1は、本発明に係る磁気共鳴装置11の実施例を示す。図示の例において、磁気共鳴装置11は、アイソセンタ38をもつ均質な静磁場18(B0磁場)を提供するように構成された静磁場磁石17(又は主磁石)を含む。静磁場18は、患者15などの撮像対象を受け入れるように構成された円筒形撮像領域36を透過する。撮像領域36は、磁気共鳴測定時に患者15を収容するように構成された患者ボアのボリュームに実質的に相当する。撮像領域36は、磁場発生ユニット30によって囲繞されている。
【0123】
図示の例において、磁気共鳴装置11は、患者15を撮像領域36の中へ搬送するように構成された患者支持体16を含む。患者支持体16は、患者15の診断関連身体領域を、磁気共鳴装置11のアイソセンタ38によって画定される撮像ボリュームの中へ搬送することができる。通常、磁気共鳴装置11の磁場発生ユニット30は、ハウジング41の中に隠されている。
【0124】
磁気共鳴装置11は、磁気共鳴測定で取得される磁気共鳴信号の空間エンコーディングに使用される勾配磁場を提供するように構成された勾配システム19を含む。勾配システム19は、適切な電流信号を利用して勾配コントローラ28により起動又は制御される。勾配システム19は、異なる、好ましくは直交する向きの、空間方向に勾配磁場を発生する1つ以上の勾配コイルを含むことが想定される。
【0125】
磁気共鳴装置11は、一体型無線周波数アンテナ20(すなわち、ボディコイル)を含む。無線周波数アンテナ20は無線周波数コントローラ29により作動し、無線周波数コントローラ29は、無線周波数アンテナ20を制御して高周波磁場を発生し、高周波励起パルスを撮像領域36に放出する。磁気共鳴装置11は、局所コイル21をさらに含み、局所コイル21は、患者15の診断関連領域に又はその近傍に配置される。局所コイル21は、患者15に高周波励起パルスを放出するように及び/又は患者15から磁気共鳴信号を受信するように構成される。局所コイル21は、無線周波数コントローラ29を利用して制御されることが想定される。
【0126】
磁気共鳴装置11は、磁気共鳴装置11を制御する制御ユニット23をさらに含む。制御ユニット23は、処理ユニット24を含み、処理ユニット24は、磁気共鳴信号を処理し、磁気共鳴画像を再構成するように構成される。また、処理ユニット24は、磁気共鳴装置11のユーザからの入力を処理するように及び/又は出力をユーザに提供するように構成される。この目的のために、処理ユニット24及び/又は制御ユニット23は、適切な信号接続を介して表示ユニット25及び入力ユニット26に接続することができる。磁気共鳴測定の準備にあたり、撮像パラメータ又は患者情報などの準備情報が、表示ユニット25を介してユーザに提供され得る。入力ユニット26は、ユーザから情報及び/又は撮像パラメータを受信するように構成され得る。
【0127】
磁気共鳴装置11は、磁気共鳴撮像装置が通常備え得る数々の構成要素を含む。磁気共鳴装置11のおおよその作動は当分野で通常の知識を有する者には周知されているので、より詳細な説明は省略する。
【0128】
図2は、
図1に示される本発明に係る磁気共鳴装置11の断面図を示す。図示の例において、外殻真空チャンバ42が、シールドアセンブリ31及び主磁石17などの磁場発生ユニット30の構成要素に対し、外囲いを提供する。特に、外殻真空チャンバ42は、周囲環境70を、外殻真空チャンバ42によって包囲される真空領域71から分離する。外殻真空チャンバ42は、環状端壁(図示せず)を介して接続された外側シェル及び内側シェルを含んだ二重壁中空円筒を提示する。外殻真空チャンバ42の内側シェルは、撮像領域36を円周方向に囲む患者ボア37に相当する。
【0129】
図2に示す例において、シールドアセンブリ31は、内側熱シールド33と外側熱シールド34とを含む。内側熱シールド33及び外側熱シールド34の両方は、上述の態様に従って環状端壁(図示せず)をもつ二重壁中空円筒として形成され得る。内側熱シールド33及び主磁石17は、外側熱シールド34の外壁と内壁との間に封入される。主磁石17は、内側熱シールド33の外壁と内壁との間に封入される。
【0130】
シールドアセンブリ31は、外殻真空チャンバ42及び主磁石17に機械的に接続された1つ以上のサスペンションロッド12を含む。サスペンションロッド12は、外殻真空チャンバ42と主磁石17との間の機械的接続を提供するために、内側熱シールド33 通路60a及び外側熱シールド34の通路60bを通って延伸する。
【0131】
磁気共鳴装置11は、外殻真空チャンバ42に取り付けられたクライオクーラ32をさらに含む。クライオクーラ32は、主磁石17、内側熱シールド33、外側熱シールド34を冷却するように構成されるが、クライオジェンベッセル(図示せず)など磁場発生ユニット30の他の構成要素も冷却するように構成されもする。
【0132】
クライオクーラ32は、通例、クライオクーラ32に加圧ガスを供給するコンプレッサ(図示せず)を含む。
図3に図示の実施例によれば、クライオクーラ32は、1つ以上の冷却ステージ32a,32bを有するコールドヘッドを含む。好ましくは、コールドヘッドの第1の冷却ステージ32aが外側熱シールド34に熱的に接続され、一方、コールドヘッドの第2の冷却ステージ32bが主磁石17に熱的に接続される。好ましい実施例において、第1の冷却ステージ32aが約50Kの温度レベルを提供し、第2の冷却ステージ32bが約4Kの温度レベルを提供する。「乾式」磁気共鳴装置の場合、クライオクーラ32の冷却ステージ32a,32bは、固体熱伝導体39a,39bを介して磁場発生ユニット30の構成要素に機械的に接続される。磁気共鳴装置11は、固体熱伝導体、ヒートパイプ、及び/又は対流ループを介してクライオクーラ32に熱的に接続された1つ以上の小型クライオジェンベッセル(図示せず)を含むことも想定される。1つ以上のクライオジェンベッセルが熱交換器及び/又は固体熱伝導体39を介して主磁石17に熱的に接続されてもよい。
【0133】
磁気共鳴装置11の作動時、外側熱シールド34は中間温度、例えば、40K~60K、好ましくは約50K、に維持される。外側熱シールド34は、領域72において放出される黒体放射から主磁石17をシールドするように構成された導電性材料を含むか又は該導電性材料から構成される。
【0134】
図3a及び
図3bは、本発明に係るサスペンションロッド12の実施例を示す。
図3aに示す例において、サスペンションロッド12は、円錐の形状を有するカラー51を含んでいる。サスペンションロッド12のシャフトの区域は、低放射率の断熱材料54、好ましくは1つ以上のMLIのブランケットに包まれている。サスペンションロッド12は、カラー51がサスペンションロッド12のシャフトに沿って滑らないようにするアンカー要素として作用する、ねじ付きシャフトとナット64とを備える。好ましくは、カラー51は、外殻真空チャンバ42に機械的に接続されるサスペンションロッド12の第2の端部55b(
図2参照)に向かって先細りになっている。他の例において、アンカー要素は、サスペンションロッド12に接着、クランプ、圧着、スエージ加工、及び/又ははんだ付けされる。
【0135】
図3bに示す例において、カラー51は、結束具又は結束バンドなどのファスナ(留め具)62を利用して遮熱体50に機械的に接続されている。好ましくは、遮熱体50は、サスペンションロッド12のシャフトにクランプされ、かしめられ、接着され、及び/又ははんだ付けされる。遮熱体は、サスペンションロッド12のシャフトとサーマルリンク52との間の熱的及び機械的接続を提供する。図示の例では、サーマルリンク52が、遮熱体50とカラー51との間に配置されている。カラー51の円錐形は、カラー51の安定度を向上させるために、上述の態様に従って逆さにされ得る。
【0136】
図4a及び
図4bは、本発明に係るシールドアセンブリ31の実施例の概略図を示す。図示の例において、サスペンションロッド12は、
図3に係る円錐の形状を有するカラー51を含んでいる。
図4aは、サスペンションロッド12が、内側熱シールド34によって包囲される領域71の中に入れられる実施例を示す。サスペンションロッド12は、通路60aを通し送られて外側熱シールド34に熱的及び機械的に接続されるサーマルリンク52を含む。好ましくは、サーマルリンク52は銅編組からなり、例えば、サスペンションロッド12が領域71から引っ込められて(
図4b参照)外殻真空チャンバ42に機械的に接続される(
図2参照)場合に、サスペンションロッド12と外側熱シールド34との間の相対移動を可能とする。
【0137】
図4aに示す実施例によれば、サスペンションロッド12は、外側熱シールド34及び外殻真空チャンバ42を内側熱シールド33の上で摺動させられるように又は位置決めできるように領域71内の十分奥に配置される。内側熱シールド33、外側熱シールド34、及び外殻真空チャンバ42がそれらの目的の最終位置に配置されると、サスペンションロッド12は、領域71から上方に引き上げられ、外殻真空チャンバ42に取り付けられる。
【0138】
サスペンションロッド12を上方に引く作業は、カラー51を内側熱シールド33の通路60aの中に移動させ、これを塞ぐ(
図4b参照)。カラー51の可撓性材料が、サスペンションロッド12と内側熱シールド33との間のあらゆる相対移動を補償し、加えて、シールドアセンブリ31の構築許容誤差も補償する。内側熱シールド33が可撓性材料で、特に非自己安定化材料で作製される場合、カラー51及びサスペンションロッド12は、内側熱シールド33に機械的支持を提供することができる。したがって、内側熱シールド33の区域のたわみを好適に低減又は回避することができる。
【0139】
通路60bを封止するために、外側熱シールド34は、MLIブランケット44のアセンブリで包まれる。好ましくは、MLIブランケット44のアセンブリの少なくとも1つのMLIパッチが、サスペンションロッド12を包み込んだ断熱材料54(
図3参照)に当接する。この少なくとも1つのMLIパッチは、MLIブランケット44のアセンブリにテープで留められ得る。
【0140】
図5a及び
図5bは、本発明に係るシールドアセンブリ31の別の実施例を表す。図示の実施例において、サスペンションロッド12のカラー51は、ディスク(円板)の形状である。カラー51は、内側熱シールド33の内面に当接し、内側熱シールド33とサスペンションロッド12との間の隙間を封止するように構成されている。
図4a及び
図4bに示すサスペンションロッド12の実施例と同様、
図5a及び
図5bに示すサスペンションロッド12は、外側熱シールド34及び外殻真空チャンバ42を内側熱シールド33の上で位置決めできるように又は摺動させられるように領域71内に収容されるべく構成される(
図5a参照)。サスペンションロッド12が外殻真空チャンバ42の方向に引かれ、外殻真空チャンバ42に機械的に接続されると、カラー51が内側熱シールド33に当接し、通路60aを封止する(
図5b参照)。
【0141】
カラー51は、ナット(
図3a参照)、結束バンドなどの各種適切な機械的接続を利用してサスペンションロッド12に固定される。サスペンションロッド12と内側熱シールド33との間の目的とする角度に応じて、内側熱シールド33の表面に平行な向きでディスク状のカラー51を保持するように構成されたベース要素63が設けられる。ベース要素63は、内側熱シールド33に対して固定された向きでカラー51を保持することができる。他方、ベース要素63は、内側熱シールド33の表面に対するカラー51の向き又は角度を可変調節できるように構成された可動ジョイント65を含むこともできる。一実施例によれば、カラー51は、例えば可動ジョイント65を介してサスペンションロッド12に緩く取り付けられる。すなわち、カラー51は、内側熱シールド33に対して引っ張られたときに、自身で正確に向きを合わせることができる。
【0142】
図5a及び
図5bに示される実施例と同様のサスペンションロッド12は、好ましくは、熱シールド33,34及び外殻真空チャンバ42が組み立てられた後に、周囲環境70から設置され得る。例えば、通路60bが通路60aよりも広いことにより、カラー51が通路60bを通過し、内側熱シールド33の外面(例えば、内側熱シールド33の外殻真空チャンバ42に面する表面)に置かれ、したがって、通路60aを閉塞することができる。さらに、サスペンションロッド12は、好ましくは、通路60aを含む内側熱シールド33の表面の局所的な平面におけるサスペンションロッド12と内側熱シールド33との間の構築許容誤差及び相対移動を補償することができる。
【0143】
図6a及び
図6bは、本発明に係るシールドアセンブリ31の別の実施例を表す。図示の実施例において、サスペンションロッド12のカラー51は、第1のセクション51a及び第2のセクション51bを含む。第1のセクション51aはディスクの形状をもち、第2のセクション51bは第1のセクション51aに対して傾斜している。
【0144】
カラー51は、上述の態様に従い半剛性材料から作製することができる。好ましくは、カラー51は、平らなディスクとして始まり、このディスクの円周の周りの複数の箇所で半径方向に切断される。結果として得られるフラップは、
図6a及び
図6bに示されるように、第1のセクション51a及び第2のセクション51bを有する漏斗状又は円錐状の構造を形成するように折り畳むことができる。第2のセクション51bの各フラップは、少なくとも部分的に重なり合う。円錐状のセクション51bに形成された後、フラップは、サスペンションロッド12の軸方向に沿った動き、そして、通路60aを含む内側熱シールド33の表面の局所平面での動きを補償し、一方で比較的に光密性を維持する。サスペンションロッド12をシールドアセンブリ31に取り付ける作業は、
図4a、
図4b、
図5a、及び
図5bに関して説明した作業に対応する。一実施例において、
図6a及び
図6bに示すカラー51の両方のセクション51a,51bが円錐形状をもっていてもよい。
【0145】
図6aに示す例において、サスペンションロッド12のカラー51は、可動ジョイント65に取り付けられる。あるいは、カラー51は、内側熱シールド33の通路60aを封止するために必要とされる所定の位置又は向きでサスペンションロッド12に取り付けられてもよい。
【0146】
図7は、第1のカラー51.1及び第2のカラー51.2を含んだ本発明に係るサスペンションロッド12の実施例を概略的に示す。カラー51.1,51.2は、上述の態様に従ってサスペンションロッド12に機械的に接続される。好ましくは、カラー51.1,51.2は、サスペンションロッド12が外殻真空チャンバ42に向かって引かれ及び/又は外殻真空チャンバ42に機械的に接続されたときに、第1のカラー51.1が通路60aを封止すると共に第2のカラー51.2が通路60bを封止するように、配置される。サスペンションロッド12をシールドアセンブリ31に設置する作業は、
図4a、
図4b、
図5a、及び
図5bに関して説明した作業に対応し得る。
【0147】
図8a及び
図8bは、本発明に係るシールドアセンブリ31の代替実施例を表す。内側熱シールド33が断熱材料からなるカバー61を含み、このカバー61は、内側熱シールド33の通路60aを閉塞するように内側熱シールド33に機械的に取り付けられ、サスペンションロッド12は、カバー61を穿孔して内側熱シールド33の通路60aを貫通する。
【0148】
好ましくは、カバー61は、通路60aにバッグ又はソックスを形成する。図示の例において、カバー61は、外殻真空チャンバ42の方に向いた内側熱シールド33の表面に取り付けられる。カバー61は、テープ、接着剤、リベット、ステープルなどを利用して内側熱シールド33に機械的に接続され得る。カバー61のバッグ又はソックスは、該バッグ又はソックスが通路60aを通って延伸することを可能にするために、材料の余剰部分を含む。サスペンションロッド12は、ソックスを通って摺動することができる。好ましくは、カバー61は、上述の態様に従って可撓性の低放射率材料を含むか又は該材料から形成される。
【0149】
図8aに示すように、サスペンションロッド12は、外側熱シールド34及び外殻真空チャンバ42を内側熱シールド33の上で位置決めする又は摺動させることができるように、領域71に収容される構成とすることができる。内側熱シールド33、外側熱シールド34、及び外殻真空チャンバ42が目的の最終位置に設置された後、サスペンションロッド12は、領域71から引き出され(
図8b参照)、外殻真空チャンバ42に取り付けられる。外側熱シールド34の通路60bは、
図4a及び
図4bに示されるように、MLIブランケット44のアセンブリで封止され得る。
図8a及び
図8bに示す実施例において、サスペンションロッド12は、好ましくは、外側熱シールド34及び外殻真空チャンバ42が内側熱シールド33の上に配置される前に、カバー61を通し案内される。
【0150】
図9a及び
図9bは、本発明に係るシールドアセンブリ31の別の実施例を表す。図示の実施例において、シールドアセンブリ31は、カバー61の一部をサスペンションロッド12に取り付けるように構成されたファスナ62を含む。
【0151】
図9a及び
図9bに示す実施例によれば、バッグ又はソックスを形成するカバー61が、相当量の材料の余剰部分を含む。バッグ又はソックスは、テープ、結束バンド、あるいは接着剤結合、又はその他の各種適切な締結機構など、適切なファスナ62を利用してサスペンションロッド12に留められる。これにより、サスペンションロッド12がカバー61を通って摺動することが防止される。
【0152】
好ましくは、サスペンションロッド12は、外側熱シールド34及び外殻真空チャンバ42を内側熱シールド33の上で摺動させる又は配置決めすることができるように、領域71に収容される構成とすることができる。
図9aに示される収容位置において、ソックスを形成するカバー61の部分が、最大の長さまで引き出されている。内側熱シールド33、外側熱シールド34、及び外殻真空チャンバ42が目的の最終位置に取り付けられると(すなわち、
図9bに示されるシールドアセンブリを形成するべく)、サスペンションロッド12は、領域71から引き出され、外殻真空チャンバ42に取り付けられる。これにより、カバー61のソックスは、弛んだギャザーアップ(掻き集め)状態に遷移する。
【0153】
外側熱シールド34の通路60bは、
図9bに示すように、MLIブランケット44のアセンブリを利用して封止することができる。
図9a及び
図9bに示す実施例において、サスペンションロッド12は、好ましくは、外側熱シールド34及び外殻真空チャンバ42が内側熱シールド33の上に配置される前に、カバー61を通し案内され、カバー61に固定される。
【0154】
ここに記載した実施例は例示として認識されるべきである。個々の実施例は、別段の記載がない限り、他の実施例の特徴によって拡張されてもよく、それら特徴と組み合わせられてもよい、ということは当然理解される。
図1~
図9に示した実施例は、必ずしも縮尺通りである必要はない表現である。
【手続補正書】
【提出日】2025-03-12
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
磁気共鳴装置(11)の主磁石(17)を吊り下げるためのサスペンションロッド(12)であって、
第1の端部と、第2の端部と、熱放射を逸らすように構成されたカラー(51)と、を含み、
前記カラー(51)は、当該サスペンションロッド(12)に機械的に接続されると共に、前記カラー(51)は、前記第1の端部と前記第2の端部との間に位置する当該サスペンションロッド(12)の区域に沿って当該サスペンションロッド(12)を円周方向に包囲する、サスペンションロッド(12)。
【請求項2】
前記カラー(51)は、可撓性材料から構成され、円錐の形状を有する、請求項1に記載のサスペンションロッド(12)。
【請求項3】
前記カラー(51)は、剛性又は半剛性の材料を含み、ディスクの形状を有する、請求項1に記載のサスペンションロッド(12)。
【請求項4】
前記カラー(51)は、半剛性材料を含み、
前記カラー(51)は、第1のセクション(51a)及び第2のセクション(51b)を含み、
前記第1のセクション(51a)は、ディスク又は円錐の形状を有し、
前記第2のセクション(51b)の側面が、前記第1のセクション(51a)の側面に対して傾斜している、請求項1に記載のサスペンションロッド(12)。
【請求項5】
前記カラー(51)の縦軸が、前記サスペンションロッド(12)のシャフトの長手方向軸に対して傾斜している、請求項1に記載のサスペンションロッド(12)。
【請求項6】
前記カラー(51)は、低放射率材料を含む、請求項1に記載のサスペンションロッド(12)。
【請求項7】
遮熱体(50)をさらに含み、
前記遮熱体(50)は、該遮熱体(50)に熱的に及び機械的に接続された熱リンクを含み、
前記遮熱体(50)は、当該サスペンションロッド(12)を冷熱源に熱的に接続するように構成されると共に、前記遮熱体(50)は、前記第1の端部と前記カラー(51)との間に位置する当該サスペンションロッド(12)の区域に熱的に及び機械的に接続され、
前記熱リンクは、前記遮熱体(50)と前記第2の端部との間に位置する当該サスペンションロッド(12)の区域に沿って当該サスペンションロッド(12)から離れている、請求項1に記載のサスペンションロッド(12)。
【請求項8】
請求項1~7のいずれか1項に記載のサスペンションロッド(12)、熱シールド(33)、及び外殻真空チャンバ(42)を含むシールドアセンブリ(31)であって、
前記サスペンションロッド(12)の前記第2の端部が前記外殻真空チャンバ(42)に機械的に接続されると共に、前記サスペンションロッド(12)が前記熱シールド(33)の通路(60a)を通し配設され、
前記カラー(51)が、前記熱シールド(33)と係合し、前記熱シールド(33)と前記サスペンションロッド(12)との間の間隙を覆うように構成される、シールドアセンブリ(31)。
【請求項9】
追加の熱シールド(34)を含み、
前記サスペンションロッド(12)が前記追加の熱シールド(34)の通路(60b)を通し配設され、
前記追加の熱シールド(34)は、前記追加の熱シールド(34)と前記サスペンションロッド(12)との間の間隙を覆うように構成された断熱体を含む、請求項8に記載のシールドアセンブリ(31)。
【請求項10】
追加の熱シールド(34)を含み、
前記サスペンションロッド(12)が前記追加の熱シールド(34)の通路(60b)を通し配設され、
前記サスペンションロッド(12)は、追加のカラー(51)を含み、該追加のカラー(51)が、前記追加の熱シールド(34)と係合し、前記追加の熱シールド(34)と前記サスペンションロッド(12)との間の間隙を覆うように構成される、請求項8に記載のシールドアセンブリ(31)。
【請求項11】
前記サスペンションロッド(12)が請求項7に記載のサスペンションロッド(12)であり、
前記熱リンクが、前記追加の熱シールド(34)に熱的及び機械的に接続される、請求項9に記載のシールドアセンブリ(31)。
【請求項12】
前記サスペンションロッド(12)が請求項7に記載のサスペンションロッド(12)であり、
前記熱リンクが、前記追加の熱シールド(34)に熱的及び機械的に接続される、請求項10に記載のシールドアセンブリ(31)。
【請求項13】
サスペンションロッド(12)と、熱シールド(33)と、外殻真空チャンバ(42)と、を含むシールドアセンブリ(31)であって、
前記サスペンションロッド(12)の第2の端部が前記外殻真空チャンバ(42)に機械的に接続され、
前記サスペンションロッド(12)は、前記熱シールド(33)の通路(60a)を通し配設され、
前記熱シールド(33)は、断熱材料を用いて構成されたカバー(61)を含み、
前記カバー(61)は、前記熱シールド(33)の前記通路(60a)を閉塞するようにして前記熱シールド(33)に機械的に取り付けられ、
前記サスペンションロッド(12)は、前記カバー(61)を貫通して前記熱シールド(33)の前記通路(60a)を通る、シールドアセンブリ(31)。
【請求項14】
前記カバー(61)は、前記通路(60a)を含んでいる前記熱シールド(33)の表面に機械的に接続されると共に、前記カバー(61)は、前記熱シールド(33)の前記通路(60a)を覆って配置される突出部を形成する、請求項13に記載のシールドアセンブリ(31)。
【請求項15】
前記カバー(61)の一部を前記サスペンションロッド(12)に取り付けるように構成されたファスナを含む、請求項14に記載のシールドアセンブリ(31)。
【請求項16】
磁気共鳴装置(11)であって、
該磁気共鳴装置(11)の撮像領域内に位置した対象から磁気共鳴データを取得するように構成され、
請求項8に記載のシールドアセンブリ(31)を含む、磁気共鳴装置(11)。
【外国語明細書】