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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2025064935
(43)【公開日】2025-04-17
(54)【発明の名称】積層型電子部品
(51)【国際特許分類】
   H01G 4/30 20060101AFI20250410BHJP
   H01C 7/18 20060101ALI20250410BHJP
【FI】
H01G4/30 201A
H01G4/30 511
H01C7/18
H01G4/30 201N
【審査請求】未請求
【請求項の数】17
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2024141791
(22)【出願日】2024-08-23
(31)【優先権主張番号】10-2023-0132660
(32)【優先日】2023-10-05
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(71)【出願人】
【識別番号】594023722
【氏名又は名称】サムソン エレクトロ-メカニックス カンパニーリミテッド.
(74)【代理人】
【識別番号】110000877
【氏名又は名称】弁理士法人RYUKA国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】カン、セウン ミン
(72)【発明者】
【氏名】リー、ダエ ヒー
(72)【発明者】
【氏名】フワン、スン ジュ
(72)【発明者】
【氏名】ヤン、チャン ホ
【テーマコード(参考)】
5E001
5E082
【Fターム(参考)】
5E001AB03
5E001AC01
5E001AF06
5E082AA01
5E082AB03
5E082BC19
5E082EE04
5E082FF05
5E082FG04
5E082FG26
5E082GG10
5E082PP09
(57)【要約】      (修正有)
【課題】MLCCのサイズを小型化しながらもチッピングやクラックなどの発生を防止し、かつ、信頼性を確保し必要な容量を実現する構造を提供する。
【解決手段】積層型電子部品は、第2方向の最大サイズL、第3方向の最大サイズ、第1方向の最大サイズT、カバー部112、113の第1方向の平均サイズtc、誘電体層111の第1方向の平均サイズtd、内部電極121、122の第1方向の平均サイズteを所定の範囲で満たす。さらにT<第3方向の最大サイズを満たし、サイドマージン部の第3方向の平均サイズも所定範囲であるように設計する。
【選択図】図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
積層型電子部品であって、
第1方向に対向する第1面及び第2面、前記第1面及び前記第2面と連結され、第2方向に対向する第3面及び第4面、前記第1面~前記第4面と連結され、第3方向に対向する第5面及び第6面を含み、
誘電体層及び前記誘電体層と第1方向に交互に配置される内部電極を含む容量形成部、及び前記容量形成部の前記第1方向の両面上に配置されるカバー部を含む本体と、
前記第3面及び前記第4面に配置される外部電極と、を含み、
前記積層型電子部品の前記第2方向の最大サイズをL、前記積層型電子部品の前記第3方向の最大サイズをW、前記積層型電子部品の前記第1方向の最大サイズをT、前記カバー部の前記第1方向の平均サイズをtc、前記誘電体層の前記第1方向の平均サイズをtd、前記内部電極の前記第1方向の平均サイズをteとするとき、
0.75mm≦L≦1.25mm、0.25mm≦W≦0.75mm、T<0.5mm、28μm≦tc≦34μm、0.4μm≦td≦0.5μm及び0.4μm≦te≦0.5μmを満たす、積層型電子部品。
【請求項2】
T<Wを満たす、請求項1に記載の積層型電子部品。
【請求項3】
前記内部電極は、前記誘電体層を挟んで前記第1方向に交互に配置される第1内部電極及び第2内部電極を含み、
前記第1内部電極は、前記第3面、前記第5面及び前記第6面と連結されるように配置され、
前記第2内部電極は、前記第4面、前記第5面及び前記第6面と連結されるように配置され、
前記第5面及び前記第6面にはサイドマージン部が配置される、請求項1に記載の積層型電子部品。
【請求項4】
前記サイドマージン部の前記第3方向の平均サイズをwmとするとき、
13μm≦wm≦21μmを満たす、請求項3に記載の積層型電子部品。
【請求項5】
前記内部電極は、前記誘電体層を挟んで前記第1方向に交互に配置される第1内部電極及び第2内部電極を含み、
前記第1内部電極は前記第3面と連結され、且つ前記第4面と離隔するように配置され、前記第2内部電極は前記第4面と連結され、且つ前記第3面と離隔するように配置され、
前記第3面と前記第2内部電極との間の前記第2方向への平均距離をL1とするとき、
30μm≦L1≦50μmを満たす、請求項1に記載の積層型電子部品。
【請求項6】
前記積層型電子部品の容量は12μF以上である、請求項1に記載の積層型電子部品。
【請求項7】
前記サイドマージン部の前記第3方向のサイズの最大値に対する前記サイドマージン部の前記第3方向のサイズの最小値の比率は0.9~1.0である、請求項4に記載の積層型電子部品。
【請求項8】
前記サイドマージン部の前記第3方向の平均サイズをwmとするとき、
前記wmに対する前記tcの比率(tc/wm)は2.0~2.25である、請求項3に記載の積層型電子部品。
【請求項9】
0.056≦tc/T≦0.67を満たす、請求項1から8のいずれか一項に記載の積層型電子部品。
【請求項10】
0.028≦wm/T≦0.38を満たす、請求項4から8のいずれか一項に記載の積層型電子部品。
【請求項11】
0.70≦T/W<0.85を満たす、請求項2から8のいずれか一項に記載の積層型電子部品。
【請求項12】
積層型電子部品であって、
誘電体層及び前記誘電体層と厚さ方向に交互に配置される内部電極を含む容量形成部、及び前記容量形成部の前記厚さ方向に対向する両面上に配置されたカバー部を含む本体と、
前記本体の幅方向に対向する両面上に配置されたサイドマージン部と、
前記本体の長さ方向に対向する両面上に配置された外部電極と、を含み、
前記積層型電子部品の厚さをT、前記カバー部の前記厚さ方向への平均サイズをtc、前記サイドマージン部の前記幅方向への平均サイズをwmとするとき、
0.056≦tc/T≦0.67及び0.028≦wm/T≦0.38を満たす、積層型電子部品。
【請求項13】
前記Tは0.5mm未満であり、
前記サイドマージン部の前記幅方向へのサイズの最大値に対する前記サイドマージン部の前記幅方向のサイズの最小値の比率は0.9~1.0である、請求項12に記載の積層型電子部品。
【請求項14】
tc/wmは2.0~2.25である、請求項12に記載の積層型電子部品。
【請求項15】
前記積層型電子部品の長さLは0.75mm≦L≦1.25mmを満たし、
前記積層型電子部品の幅Wは0.25mm≦W≦0.75を満たし、
前記カバー部の前記厚さ方向への平均サイズtcは28μm≦tc≦34μmを満たす、請求項12に記載の積層型電子部品。
【請求項16】
前記内部電極の前記厚さ方向への平均サイズteは0.4μm≦te≦0.5μmを満たし、
前記誘電体層の前記厚さ方向への平均サイズtdは0.4μm≦td≦0.5μmを満たす、請求項12から15のいずれか一項に記載の積層型電子部品。
【請求項17】
前記サイドマージン部の前記幅方向への平均サイズwmは13μm≦wm≦21μmを満たす、請求項12から15のいずれか一項に記載の積層型電子部品。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、積層型電子部品に関する。
【背景技術】
【0002】
積層型電子部品の一つである積層セラミックキャパシタ(MLCC:Multi-Layered Ceramic Capacitor)は、液晶表示装置(LCD:Liquid Crystal Display)及びプラズマ表示装置パネル(PDP:Plasma Display Panel)などの映像機器、コンピュータ、スマートフォン、及び携帯電話などの様々な電子製品の印刷回路基板に装着され、電気を充電又は放電させる役割を果たすチップ型のコンデンサである。このような積層セラミックキャパシタは、小型でありながらも高容量が保障され、実装が容易であるという利点により、様々な電子装置の部品として使用されることができる。
【0003】
積層セラミックキャパシタの超小型化及び高容量化を要求する傾向に伴って、積層セラミックキャパシタの容量を増加させながらも、そのサイズを減少させるための研究が進められている。
【0004】
従来、一般的に通用されていたMLCCのサイズは1005サイズ(長さ:約1.0mm、幅:約0.5mm)であって、1005サイズのMLCCは小型IT製品に主に搭載されている。現在、1005サイズのMLCCの厚さは通常0.5mm内外であるが、顧客が要求する有効容量を実現するために、その厚さを0.65mm~0.75mmまで増加させている。但し、MLCCが搭載される電子部品の小型化に伴い、MLCCの厚さを0.5mm未満に調節する必要がある。
【0005】
しかし、MLCCのサイズが小さくなるほど、MLCCの本体の角に発生するチッピング(chipping)やクラック(crack)に対して脆弱になるほかない。このようなチッピングやクラックがMLCCの本体に発生すると、めっき液や外部からの水分の浸透によりMLCCの信頼性が低下する可能性がある。
【0006】
したがって、MLCCのサイズを小型化しながらもチッピングやクラックなどの発生を防止して信頼性を確保し、顧客が要求する容量を実現できるMLCCの設計構造についての研究が必要な実情である。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明のいくつかの目的の一つは、単位体積当たりの容量及び信頼性に優れた積層型電子部品を提供することである。
【0008】
但し、本発明の目的は上述の内容に限定されず、本発明の具体的な実施形態を説明する過程でより容易に理解することができる。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の一実施形態に係る積層型電子部品は、第1方向に対向する第1面及び第2面、上記第1面及び第2面と連結され、第2方向に対向する第3面及び第4面、上記第1面~第4面と連結され、第3方向に対向する第5面及び第6面を含み、誘電体層及び上記誘電体層と第1方向に交互に配置される内部電極を含む容量形成部、及び上記容量形成部の上記第1方向の両面上に配置されるカバー部を含む本体と、上記第3面及び第4面に配置される外部電極と、を含み、上記積層型電子部品の上記第2方向の最大サイズをL、上記積層型電子部品の上記第3方向の最大サイズをW、上記積層型電子部品の上記第1方向の最大サイズをT、上記カバー部の上記第1方向の平均サイズをtc、上記誘電体層の上記第1方向の平均サイズをtd、上記内部電極の上記第1方向の平均サイズをteとするとき、0.75mm≦L≦1.25mm、0.25mm≦W≦0.75mm、T<0.5mm、28μm≦tc≦34μm、0.4μm≦td≦0.5μm及び0.4μm≦te≦0.5μmを満たす。
【0010】
本発明の一実施形態に係る積層型電子部品は、誘電体層及び上記誘電体層と厚さ方向に交互に配置される内部電極を含む容量形成部、並びに上記容量形成部の上記厚さ方向に対向する両面上に配置されたカバー部を含む本体、上記本体の幅方向に対向する両面上に配置されたサイドマージン部及び上記本体の長さ方向に対向する両面上に配置された外部電極を含み、上記積層型電子部品の厚さをT、上記カバー部の上記厚さ方向への平均サイズをtc、上記サイドマージン部の上記幅方向への平均サイズをwmとするとき、0.056≦tc/T≦0.67及び0.028≦wm/T≦0.38を満たす。
【発明の効果】
【0011】
本発明の様々な効果のうち一効果として、単位体積当たりの容量及び信頼性に優れた積層型電子部品を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】本発明の一実施形態に係る積層型電子部品を概略的に示す斜視図である。
図2図1の本体及びサイドマージン部を概略的に示す分解斜視図である。
図3図1のI-I'線に沿った切断断面を概略的に示す断面図である。
図4図1のII-II'線に沿った切断断面を概略的に示す断面図である。
図5】本発明の一実施形態に係る積層型電子部品の製造方法を概略的に示す斜視図である。
図6】本発明の一実施形態に係る積層型電子部品の製造方法を概略的に示す斜視図である。
図7】本発明の一実施形態に係る積層型電子部品の製造方法を概略的に示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、具体的な実施形態及び添付の図面を参照して本発明の実施形態について説明する。しかし、本発明の実施形態は様々な他の形態に変形することができ、本発明の範囲が以下で説明する実施形態に限定されるものではない。また、本発明の実施形態は、通常の技術者に本発明をより完全に説明するために提供されるものである。したがって、図面における要素の形状及び大きさ等は、より明確な説明のために誇張することができ、図面上の同じ符号で示される要素は同じ要素である。
【0014】
そして、図面において本発明を明確に説明するために、説明と関係のない部分は省略し、図面に示した各構成の大きさ及び厚さは説明の便宜上、任意に示しているため、本発明は必ずしも図示したものに限定されない。なお、同一思想の範囲内の機能が同一である構成要素に対しては、同一の参照符号を用いて説明する。さらに、明細書全体において、ある部分がある構成要素を「含む」と言うとき、これは特に反対の記載がない限り、他の構成要素を除外するのではなく、他の構成要素をさらに含み得ることを意味する。
【0015】
図面において、第1方向は厚さT方向、第2方向は長さL方向、第3方向は幅W方向と定義することができる。
【0016】
積層型電子部品
図1は、本発明の一実施形態に係る積層型電子部品を概略的に示す斜視図であり、図2は、図1の本体及びサイドマージン部を概略的に示す分解斜視図であり、図3は、図1のI-I'線に沿った切断断面を概略的に示す断面図であり、図4は、図1のII-II'線に沿った切断断面を概略的に示す断面図である。
【0017】
以下、図1図4を参照して、本発明の一実施形態に係る積層型電子部品100について詳細に説明する。また、積層型電子部品の一例として、積層セラミックキャパシタについて説明するが、本発明はこれに限定されるものではなく、様々な積層型電子部品、例えば、インダクタ、圧電体素子、バリスタ、又はサーミスタなどにも適用することができる。
【0018】
本発明の一実施形態に係る積層型電子部品100は、1005サイズ(長さ:1.0mm±0.25mm、幅:0.5mm±0.25mm)を有することができる。すなわち、積層型電子部品100の第2方向の最大サイズをL、積層型電子部品100の第3方向の最大サイズをWとするとき、0.75mm≦L≦1.25mm及び0.25mm≦W≦0.75mmを満たすことができる。製造工程の正確度に応じて、0.85mm≦L≦1.15mm及び0.35mm≦W≦0.65mmを満たすこともできるが、本発明はこれに限定されるものではない。
【0019】
積層型電子部品100は、誘電体層111及び内部電極121、122を含む本体110と外部電極131、132とを含むことができる。
【0020】
本体110の具体的な形状に特に制限はないが、図示のように、本体110は六面体形状又はこれと類似の形状からなることができる。焼成過程で本体110に含まれたセラミック粉末の収縮や角部の研磨により、本体110は完全な直線を有する六面体形状ではないが、実質的に六面体形状を有することができる。
【0021】
本体110は、第1方向に対向する第1面1及び第2面2、上記第1面1及び第2面2と連結され、第2方向に対向する第3面3及び第4面4、第1面1、第2面2、第3面3及び第4面4と連結され、第3方向に対向する第5面5及び第6面6を有することができる。
【0022】
本体110は、誘電体層111及び誘電体層111と交互に配置される内部電極121、122を含むことができる。本体110を形成する複数の誘電体層111は焼成された状態であって、隣接する誘電体層111間の境界は走査電子顕微鏡(SEM:Scanning Electron Microscope)を利用せずには確認し難いほど一体化することができる。
【0023】
誘電体層111は、例えば、ABOで表されるペロブスカイト型化合物を主成分として含むことができる。ABOで表されるペロブスカイ型化合物は、例えば、BaTiO、(Ba1-xCa)TiO(0<x<1)、Ba(Ti1-yCa)O(0<y<1)、(Ba1-xCa)(Ti1-yZr)O(0<x<1、0<y<1)又はBa(Ti1-yZr)O(0<y<1)であり得る。
【0024】
内部電極121、122は、誘電体層111を挟んで第1方向に交互に配置される第1内部電極121及び第2内部電極122を含むことができる。第1内部電極121と第2内部電極122は、その間に配置された誘電体層111によって互いに電気的に分離することができる。
【0025】
第1内部電極121は、第3面3と連結され、且つ第4面4と離隔するように配置されることができる。第1内部電極121は、第3面3、第5面5及び第6面6と連結されるように配置されることができる。第2内部電極122は、第4面4と連結され、且つ第3面3と離隔するように配置されることができる。第2内部電極122は、第4面4、第5面5及び第6面6と連結されるように配置されることができる。
【0026】
内部電極121、122に含まれる導電性金属は、Ni、Cu、Pd、Ag、Au、Pt、Sn、W、Ti及びこれらの合金のうち一つ以上であってもよく、より好ましくはNiを含んでもよいが、本発明はこれに限定されるものではない。
【0027】
本体110は、誘電体層111及び誘電体層111と第1方向に交互に配置される内部電極121、122を含む容量形成部Ac、及び容量形成部Acの第1方向の両面上に配置されるカバー部112、113を含むことができる。容量形成部Acは本体110の内部に配置され、誘電体層111を挟んで第1内部電極121と第2内部電極122とが交互に配置されて積層型電子部品100の容量を形成することができる。
【0028】
カバー部112、113は、容量形成部Acの第1方向に対向する両面上にそれぞれ配置される第1カバー部112及び第2カバー部113を含み、カバー部112、113は、基本的に物理的又は化学的ストレスによる内部電極の損傷を防止する役割を果たすことができる。カバー部112、113は、内部電極を含まないことを除いては、誘電体層111と同じ構成を有することができる。
【0029】
本発明の一実施形態に係る積層型電子部品100の第5面5及び第6面6にはサイドマージン部141、142が配置されることができる。具体的に、積層型電子部品100は、第5面5に配置される第1サイドマージン部141及び第6面6に配置される第2サイドマージン部142を含むことができる。サイドマージン部141、142は、基本的に物理的又は化学的ストレスによる内部電極121、122の損傷を防止する役割を果たすことができる。サイドマージン部141、142は、内部電極121、122を含まないことを除いては、誘電体層111と類似の構成を有することができる。すなわち、サイドマージン部141、142は、ABOで表されるペロブスカイト型化合物を主成分として含むことができる。
【0030】
外部電極131、132は、第3面3及び第4面4に配置されることができ、第1面1、第2面2、第5面5及び第6面6の一部上に延びることができる。外部電極131、132は、第1内部電極121と連結される第1外部電極131及び第2内部電極122と連結される第2外部電極132を含むことができる。
【0031】
外部電極131、132は、本体110の第3面3及び第4面4に配置され、内部電極121、122と連結される下地電極層及び上記下地電極層上に配置されるめっき層を含むことができる。
【0032】
上記下地電極層は金属及びガラスを含むことができる。上記下地電極層に含まれた金属は電気的連結性を確保する役割を果たすことができ、上記下地電極層に含まれたガラスは本体110との結合力を向上させる役割を果たすことができる。上記下地電極層に含まれる金属としては、Cu、Ni、Pd、Pt、Au、Ag、Pb及び/又はこれらを含む合金などを含むことができるが、本発明はこれに限定されるものではない。
【0033】
上記めっき層は実装特性を向上させることができる。上記めっき層の種類は特に限定されず、Ni、Sn、Pd及び/又はこれらを含む合金などを含むめっき層であってもよく、複数の層で形成されてもよい。上記めっき層は、例えば、Niめっき層又はSnめっき層であってもよく、Niめっき層及びSnめっき層が順次形成された形態であってもよい。また、上記めっき層は、複数のNiめっき層及び/又は複数のSnめっき層を含むこともできる。
【0034】
図面では、積層型電子部品100が2つの外部電極131、132を有する構造について説明しているが、これに限定されるものではなく、外部電極131、132の個数や形状などは内部電極121、122の形態やその他の目的に応じて変更することができる。
【0035】
本発明の一実施形態によれば、カバー部112、113の第1方向の平均サイズをtcとするとき、28μm≦tc≦34μmを満たすことができる。ここで、カバー部112、113の第1方向の平均サイズtcは、第1カバー部112及び第2カバー部113のそれぞれの第1方向の平均サイズを意味する。
【0036】
研究によれば、チッピングが起こる臨界力(P)は、T×h3/2(T:本体を構成するセラミックの靭性、h:本体の外表面から容量形成部までの直線距離)に比例する。構造的に、上記h値が相対的に小さい1005サイズの小型部品の場合、本体110の角に発生するチッピング(chipping)不良に対して脆弱になる可能性がある。チッピングが発生すると、これによりめっき液や外部からの水分が容量形成部Acに浸透することができ、結果的に、積層型電子部品100の信頼性が低下する可能性がある。
【0037】
一方、本発明の一実施形態の場合、上記tcが28μm以上を満たすことにより、外部からの衝撃が容量形成部Acに到達するまでの距離を長くして本体110にチッピングやクラックが発生することを防止することができる。一方、1005サイズ(0.75mm≦L≦1.25mm及び0.25mm≦W≦0.75mm)を有する小型部品の場合、目標とする積層型電子部品100の容量を実現するために、tcは34μm以下であることが好ましい。
【0038】
本発明の一実施形態によれば、誘電体層111の第1方向の平均サイズをtdとするとき、0.4μm≦td≦0.5μmを満たすことができる。積層型電子部品100の第1方向の最大サイズTは、積層型電子部品100の小型化を実現するために必然的に制限される。制限された上記T値内で上記tcが28μm以上であると、容量形成部Acの第1方向のサイズが必然的に減少し、これにより積層型電子部品100の容量が低下する可能性がある。
【0039】
これに対し、本発明の一実施形態に係る積層型電子部品100は、上記tdが0.5μm以下を満たして誘電体層111を薄層化することができ、結果的に、容量形成部Acの第1方向のサイズが減少しても、目標とする積層型電子部品100の容量を実現することができる。一方、誘電体層111の厚さが過度に薄くなると、積層型電子部品100の絶縁破壊電圧が低下する可能性があるため、上記tdは0.4μm以上であることが好ましい。
【0040】
本発明の一実施形態によれば、内部電極121、122の第1方向の平均サイズをteとするとき、0.4μm≦te≦0.5μmを満たすことができる。上述したように、積層型電子部品100の第1方向の最大サイズTは積層型電子部品100の小型化を実現するために必然的に制限され、制限された上記T値内で上記tcが28μm以上であると、容量形成部Acの第1方向のサイズが減少し、積層型電子部品100の有効容量が低下する可能性がある。
【0041】
これに対し、本発明の一実施形態に係る積層型電子部品100は、上記teが0.5μm以下を満たして内部電極121、122を薄層化することができ、結果的に、容量形成部Acの第1方向のサイズが減少しても、目標とする積層型電子部品100の容量を実現することができる。一方、内部電極121、122の厚さが過度に薄くなると、積層型電子部品100の絶縁破壊電圧が低下する可能性があるため、上記teは0.4μm以上であることが好ましい。
【0042】
積層型電子部品100の容量を実現するために、内部電極121、122の積層数は400層以上であってもよいが、本発明はこれに限定されるものではない。
【0043】
一方、サイドマージン部141、142の厚さは特に限定する必要はない。但し、サイドマージン部141、142の第3方向の平均サイズをwmとするとき、13μm≦wm≦21μmを満たすことができる。ここで、サイドマージン部141、142の第3方向の平均サイズwmとは、第1サイドマージン部141及び第2サイドマージン部142のそれぞれの第3方向の平均サイズを意味する。
【0044】
上述したように、1005サイズの小型部品の場合、チッピング不良に対して脆弱になる可能性があるため、上記wmは13μm以上であることが好ましい。これにより、外部からの衝撃が容量形成部Acに到達するまでの距離を長くしてチッピング不良が発生することを抑制することができる。一方、1005サイズを有する小型部品の場合、目標とする積層型電子部品100の容量を実現するために、上記wmは21μm以下であることが好ましい。
【0045】
従来は、サイドマージン部の位置別厚さのばらつきが激しかった。具体的に、従来の場合は、本体の第1方向の中央部領域に対応する第1又は第2サイドマージン部領域の厚さは、他の領域の厚さに比べて厚く形成されていた。このようにサイドマージン部の位置別厚さのばらつきが大きい場合、同一サイズの積層型電子部品においてサイドマージン部が占める部分が増加するため、容量形成部のサイズを大きく確保することができず、積層型電子部品の単位体積当たりの容量が低下するという問題点が発生する可能性がある。特に、本発明の一実施形態に係る積層型電子部品100の場合、1005サイズを有する小型部品として、単位体積当たりの容量を最大に確保するための設計が必要である。
【0046】
これに対し、本発明の一実施形態に係る積層型電子部品100の場合、後述するように、サイドマージン部用シートを本体の第3方向の両面に加圧密着させてサイドマージン部141、142を形成することにより、従来に比べて、サイドマージン部141、142の位置別厚さのばらつきが小さくなり得る。例えば、本体110の第1方向の中央部領域に対応する第1又は第2サイドマージン部141、142領域の第3方向のサイズw1に対して、第1方向を基準として最外郭に配置される内部電極121、122の末端と接する第1又は第2サイドマージン部141、142領域の第3方向のサイズw2の比率(w2/w1)は、0.9以上1.0以下を満たすことができる。一実施形態において、サイドマージン部141、142の第3方向のサイズの最大値に対するサイドマージン部141、142の第3方向のサイズの最小値の比率は0.9~1.0を満たすことができる。w2/w1が上記範囲を満たすことで、サイドマージン部141、142の第3方向のサイズを減少させて積層型電子部品100の単位体積当たりの容量を改善することができる。
【0047】
また、サイドマージン部141、142の第3方向のサイズを減少させるため、上記wmに対するtcの比率(tc/wm)は2以上であることができる。上記tc/wmの上限は特に限定する必要はないが、例えば、2.25以下であってもよい。
【0048】
一方、従来の1005サイズ(長さ:1.0mm±0.25mm、幅:0.5mm±0.25mm)を有する積層型電子部品の第1方向の最大サイズTは、第3方向の最大サイズWと類似のレベルである。あるいは、目標とする容量を実現するために、内部電極の積層数を増やすことで、積層型電子部品の第1方向の最大サイズTは、第3方向の最大サイズWよりも大きくなり得る。
【0049】
上記TがWより小さい場合、上記TがWと類似又はそれよりも大きい従来に比べて、小型化の観点からは有利であるが、チッピング不良の防止及び有効容量確保の観点からは不利であり得る。一方、本発明の一実施形態によれば、28μm≦tc≦34μm、0.4μm≦td≦0.5μm、及び/又は0.4μm≦te≦0.5μmを満たすことにより、上記TがWより小さくても、チッピング不良を防止することができ、積層型電子部品100の容量を確保することができる。これにより、本発明の一実施形態では、積層型電子部品100を小型化するためにT<Wを満たすことができる。より具体的に、上記TはT<0.5mmを満たすことができる。本発明の一実施形態によれば、上記Tが0.5mm未満の場合でも、積層型電子部品100の容量は12μF以上であることができる。
【0050】
より好ましくは、上記Lは1.0mm≦L≦1.15mmを満たすことができ、上記Wは0.55mm<W≦0.65mmを満たすことができ、上記Tは0.46mm≦T<0.5mmを満たすことができる。上記Wに対するTの比率(T/W)は、積層型電子部品100の有効容量や製造工程等を考慮して0.70以上0.85未満であってもよいが、本発明はこれに限定されるものではない。
【0051】
一方、チッピング不良を防止し、且つ積層型電子部品100の容量を実現するために、上記Tに対するtcの比率(tc/T)は、0.056≦tc/T≦0.67を満たすことができ、上記Tに対するwmの比率(wm/T)は、0.028≦wm/T≦0.38を満たすことができる。
【0052】
一実施形態において、第3面3と第2内部電極122との間の第2方向への平均距離をL1とするとき、30μm≦L1≦50μmを満たすことができる。1005サイズの小型部品の場合、上記L1が30μm未満であると、第2内部電極122と第1外部電極131との間の絶縁性を安定的に確保することが困難になる可能性がある。上記L1が50μmを超える場合、容量形成部Acの面積が減少し、目標とする積層型電子部品100の容量を実現することが困難になる可能性がある。
【0053】
一方、第4面4と第1内部電極121との間の第2方向への平均距離をL2とするとき、30μm≦L2≦50μmを満たすことができる。
【0054】
以下、上記tc、td、te、L1、L2及びwmを測定する方法の一例について説明する。
【0055】
まず、カバー部112、113の第1方向の平均サイズtcは、本体110の第1方向及び第2方向の断面を走査電子顕微鏡(SEM)でスキャンして測定することができる。例えば、上記tcは、カバー部112、113の多数の地点、例えば、第2方向に等間隔である5個の地点で第1方向のサイズを測定した後、上記5個の地点における第1方向のサイズを平均することで測定することができる。
【0056】
誘電体層111の第1方向の平均サイズtd及び内部電極121、122の第1方向の平均サイズteは、例えば、本体110の第1方向及び第2方向の断面を1万倍率の走査電子顕微鏡(SEM)でスキャンして測定することができる。より具体的に、上記tdは、一つの誘電体層111の多数の地点、例えば、第2方向に等間隔である30個の地点で第1方向のサイズを測定した後、上記30個の地点における第1方向のサイズを平均することで測定することができる。上記teは、一つの内部電極121、122の多数の地点、例えば、第2の方向に等間隔である30個の地点で第1方向のサイズを測定した後、上記30個の地点における第1方向のサイズを平均することで測定することができる。上記等間隔である3個の地点は容量形成部Acで指定することができる。一方、このような平均値の測定をそれぞれ10個の誘電体層111及び10個の内部電極121、122について行った後に平均値を測定すると、上記td及びteをさらに一般化することができる。
【0057】
第3面3と第2内部電極122との間の第2方向への平均距離L1は、例えば、本体110の第1方向及び第2方向の断面を走査電子顕微鏡(SEM)でスキャンした後、互いに5層以上離れた10個以上の第2内部電極122と第3面との間の第2方向への距離をそれぞれ測定した後、その平均値をとることで測定することができる。同様に、第4面4と第1内部電極121との間の第2方向への平均距離L2は、例えば、本体110の第1方向及び第2方向の断面を走査電顕微鏡(SEM)でスキャンした後、互いに5層以上離れた10個以上の第1内部電極121と第4面4との間の第2方向への距離をそれぞれ測定した後、その平均値をとることで測定することができる。
【0058】
サイドマージン部141、142の第3方向の平均サイズwmは、例えば、本体110の第2方向の中央を通る積層型電子部品100の第1方向及び第3方向の断面を走査電子顕微鏡(SEM)でスキャンした後、サイドマージン部141、142の多数の地点、例えば、第1方向に等間隔である5個の地点で第3方向のサイズを測定した後、上記5個の地点における第3方向のサイズを平均することで測定することができる。
【0059】
図5図7は、本発明の一実施形態に係る積層型電子部品の製造方法を概略的に示す斜視図である。以下、図5図7を参照して、上述した積層型電子部品100の製造方法の一例について説明する。
【0060】
セラミック粉末、有機溶剤及びバインダーを含むセラミックスラリーを製造し、上記スラリーをキャリアフィルム(carrier film)上に塗布及び乾燥してセラミックグリーンシートを設ける。セラミック粉末は十分な静電容量が得られる限り特に限定されないが、例えば、チタン酸バリウム系材料、鉛複合ペロブスカイト系材料又はチタン酸ストロンチウム系材料等を用いることができ、上記セラミック粉末の例示として、BaTiO、BaTiOにCa(カルシウム)、Zr(ジルコニウム)等が一部固溶された(Ba1-xCa)TiO(0<x<1)、Ba(Ti1-yCa)O(0<y<1)、(Ba1-xCa)(Ti1-yZr)O(0<x<1、0<y<1)又はBa(Ti1-yZr)O(0<y<1)などが挙げられる。
【0061】
次に、図5に示すように、容量形成部Acを形成するための第1セラミックグリーンシート211a及び第2セラミックグリーンシート211bと、カバー部112、113を形成するための第1カバー部用シート212及び第2カバー部用シート213を積層してセラミック積層体を製造する。
【0062】
第1セラミックグリーンシート211a上には、第1内部電極121を形成するための第1内部電極パターン221が形成されることができ、第2セラミックグリーンシート211b上には、第2内部電極122を形成するための第2内部電極パターン222が形成されることができる。具体的に、第1セラミックグリーンシート211a上に所定の間隔を空けて配置された複数の第1内部電極パターン221を形成することができる。複数の第1内部電極パターン221は帯状を有し、互いに平行に形成されることができる。また、第2セラミックグリーンシート211b上に所定の間隔を空けて配置された複数の第2内部電極パターン222を形成することができる。複数の第2内部電極パターン222は帯状を有し、互いに平行に形成されることができる。内部電極パターン221、222は、金属粉末、バインダー、溶剤などを含む内部電極用導電性ペーストをスクリーン印刷法又はグラビア印刷法などを用いて印刷することで形成することができる。
【0063】
一方、カバー部用シート212、213はセラミックグリーンシート211と類似の構成を有するが、カバー部用シート212、213上には内部電極パターンを形成しない。
【0064】
次いで、製造された上記セラミック積層体を圧着した後、切断線C1、C2に沿って切断する。具体的に、上記セラミック積層体は、第2方向と平行な複数の第1切断線C1、及び第3方向と平行な複数の第2切断線C2に沿って切断されることができる。切断線C1、C2は、第1内部電極パターン221及び第2内部電極パターン222を横切ることができる。
【0065】
これにより、図6に示すセラミックチップ210を製造することができる。セラミックチップ210は、切断された第1内部電極パターン221と第2内部電極パターン222が切断されたセラミックグリーンシート211を挟んで交互に配置されることができる。
【0066】
次に、積層チップ210の第3方向の両面にサイドマージン部141、142を形成するためのサイドマージン部用シート241、242を加圧密着させる。その後、サイドマージン部用シート241、242が貼り付けられた積層チップ210を焼成して、本体110及びサイドマージン部141、142を形成することができる。焼成温度は特に限定する必要はないが、例えば、1100℃以上1300℃以下の温度で行うことができる。また、積層チップ210を焼成する前に、必要に応じて脱バインダー工程やバレル研磨工程などを行うこともできる。
【0067】
次に、外部電極131、132を形成する。まず、サイドマージン部141、142が形成された本体110を、金属粉末及びガラスを含む導電性ペーストにディッピング(dipping)した後、焼成することにより下地電極層を形成することができる。その後、下地電極層上にめっき層を形成することができる。めっき層を形成する方法は、特に限定する必要はなく、例えば、電解めっき法及び/又は無電解めっき法などを用いることができる。
【0068】
但し、上述した製造方法は一例であり、積層型電子部品100の製造方法は、上述した製造方法に限定されるものではない。
【0069】
本発明は、上述した実施形態及び添付の図面によって限定されるものではなく、添付の特許請求の範囲によって限定されるものとする。したがって、特許請求の範囲に記載された本発明の技術的思想から逸脱しない範囲内で、当技術分野における通常の知識を有する者により様々な形態の置換、変形及び変更が可能であり、これも本発明の範囲に属すると言える。
【0070】
また、「一実施形態」という表現は、互いに同じ実施形態を意味するものではなく、それぞれ互いに異なる固有の特徴を強調して説明するために提供されたものである。しかし、上記提示された一実施形態は、他の一実施形態の特徴と結合して実現されることを排除しない。例えば、特定の一実施形態において説明された事項が他の一実施形態に説明されていなくても、他の一実施形態においてその事項と反対又は矛盾する説明がない限り、他の一実施形態に関連する説明として理解されることができる。
【0071】
さらに、「第1、第2」などの表現は、ある構成要素と他の構成要素とを区分するために使用されるものであり、当該構成要素の順序及び/又は重要度などを限定しない。場合によっては、権利範囲を逸脱しない範囲内で、第1構成要素は第2構成要素と命名されてもよく、同様に第2構成要素は第1構成要素と命名されてもよい。
【符号の説明】
【0072】
100:積層型電子部品
110:本体
111:誘電体層
112、113:カバー部
121、122:内部電極
131、132:外部電極
141、142:サイドマージン部
210:積層チップ
211:セラミックグリーンシート
212、213:カバー部用シート
221、222:内部電極パターン
241、242:サイドマージン部用シート
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7